たまりば

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2020年09月28日

高校英語。複合関係副詞の whenever。


複合関係副詞の whenever。
まずは、こんな例文から。

Come and see us whenever it is convenient for you.
都合の良いときにいつでも会いにきてください。

この whenever は、「~なときにいつでも」という意味です。

複合関係代名詞を学習した後なら、それほど違和感はないと思います。
では、こんな問題を解いてみましょう。

問題 以下の文をほぼ同じ意味になるように空所を埋めよ。
(1) Come and see us whenever it is convenient for you.
=Come and see us ( )( ) it is convenient for you.
(2) I visit my old friend whenever I go to Hokkaido.
=I visit my old friend ( )( ) I go to Hokkaido.

どちらも、「~なときはいつでも」という意味の whenever です。
複合関係代名詞を学習した後なら、何を入れるか想像できそうです。
・・・any time かな?
では、
(1) =Come and see us (any)(time) it is convenient for you.
(2)=I visit my old friend (any)(time) I go to Hokkaido.
でしょうか?


(1) は問題なく正解。
しかし、実は、(2) は、
I visit my old friend (every)(time) I go to Hokkaido.
のほうが良いのです。

これは「いつでも」のニュアンスの違いからくるものです。
逆に、(1) を、
Come and see us (every)(time) it is convenient for you.
とすると、絶対に毎回来ることを強要しているようで、誘い文句としてはむしろ無神経な印象になります。
「いつでも会いに来てね」と「いつも会いに来てね」はかなり印象が違いますよね。

つまり、any time と every time の使い分けは、文脈判断です。
そういうのが苦手な人にはつらいところかもしれません。

では、この場合はどうでしょうか。

問題 次の文を、ほぼ同じ意味になるように書き換えよ。
You will be welcomed whenever you come.
=You will be welcomed ( )( )( ) you come.

うーん・・・?
=You will be welcomed (any)(time)(when) you come.
かなあ・・・?
any time は、これだけでも十分ですが、at any time when としても良いですから。
at も when も省略可能ですが、書いても良いわけですから。

・・・しかし、この文は、ちょっとニュアンスが変ではないでしょうか。
これも文脈上の問題ですが。

「あなたは、来るときはいつでも歓迎されるでしょう」
では、来ないときは、歓迎されないのか?
裏で何か言われているのか?
「来るとき」に限定されているこの表現は、何だか奇妙です。

これは、「あなたは、いつ来ても歓迎されるでしょう」という文なのではないでしょうか。
だから、正解は、
=You will be welcomed (no)(matter)(when) you come.
です。

つらいのは、全て文脈判断だというところです。
例えば、複合関係代名詞 whoever のときには、主節の中でSやOになっているときは「~する人は誰でも」で、M(修飾語)のときには、「誰が~しようとも」と譲歩の意味になる、と文法的な分析ができました。
しかし、複合関係副詞は、どちらにしろM、副詞節なので、文脈判断になります。
日本語に対する感覚の鋭敏さが問われます。

「あなたは、来るときはいつでも歓迎されるでしょう」
「あなたは、いつ来ても歓迎されるでしょう」
この2文のどちらかがおかしいと感じられない場合には、判断がつかないということになります。
おかしい、とまでは言わなくても、どちらのほうが良い、ということが判断できれば、その判断に従うことができます。
しかし、判断がつかない、そもそも違いがわからない、となると、この問題は正答できないかもしれません。

説明するとき、できれば、文法的に分析してあげたい。
しかし、whenever の使い分けに、文法的な違いは、ないのです。
これは、本当に文脈判断です。
できることは、日本語の語感を磨くこと。
こんなことは何でもないと、やすやすとクリアしていく子も多い中で、一生レベルでわからない、と頭を抱えてしまう子もいます。

絶対ではありませんが、no matter when のほうは、例によって助動詞 may が使われていることがありますから、それをヒントにすることは可能です。
少しのヒントを頼りに、何とか正答してください。

  


  • Posted by セギ at 11:34Comments(2)英語

    2020年09月24日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。その2。



    今回は、こんな問題から。

    問題 点A(1,3)、B(-2,-2)、C(3,-5)を頂点とする△ABCについて、次の問に答えよ。
    (1) △ABCの外接円の方程式を求めよ。
    (2) △ABCの外心の座標を求めよ。

    では(1) から解いていきましょう。
    「外接円」といった図形用語が出てくると混乱し、もうわからない、という人もいるかもしれません。
    図形は自分は苦手だから、絶対解けない、という謎の思い込みがある様子です。
    しかし、これは図形問題というほどのものではありません。
    △ABCの外接円。
    それは、点A、B、Cを通る円ということです。
    3点を通る円の方程式の求め方を使えば、解けます。

    求める円の方程式を、x2+y2+ℓx+my+n=0 とおく。
    点A(1,3) を通ることから、
    1+9+ℓ+3m+n=0
    よって、
    ℓ+3m+n=-10 ・・・①
    点B(-2,-2) を通ることから、
    4+4-2ℓ-2m+n=0
    よって、
    -2ℓ-2m+n=-8 ・・・②
    点C(3,-5) を通ることから、
    9+25+3ℓ-5m+n=0
    3ℓ-5m+n=-34 ・・・③

    この①、②、③を連立して解けばよいでしょう。
    ①-②より
    3ℓ+5m=-2 ・・・④
    ①-③より
    -2ℓ+8m=24 ・・・⑤
    ④×2+⑤×3
     6ℓ+10m=-4
    -6ℓ+24m=72
       34m=68
        m=2 ・・・⑥
    ⑥を④に代入して、
    3ℓ+10=-2
    3ℓ=-12
    ℓ=-4 ・・・⑦
    ⑥、⑦を①に代入して、
    -4+6+n=-10
    n=-12
    よって、求める円の方程式は、
    x2+y2-4x+2y-12=0 です。

    次に、(2) の△ABCの外心を求めましょう。
    ここで、また図形アレルギーを発動させて、
    「外心って、何の二等分線でしたっけ?」
    と質問する人もいます。
    「・・・外心は、各辺の垂直二等分線の交点ですが、そんなことは使いませんよ。難しく考え過ぎです」
    「えー?」
    「外心は、外接円の中心ですよ?」
    「えー?」
    「・・・さっき求めた円の、中心ですよ」
    「えー・・・」
    難しく考え過ぎて、視野が狭くなってしまうのです。
    外心は、外接円の中心。
    つまり、(1) で求めた円の中心の座標を求めるだけです。
    円の方程式の標準形にしてみればよいですね。

    やってみましょう。
    x2+y2-4x+2y-12=0
    (x-2)2+(y+1)2=12+4+1
    (x-2)2+(y+1)2=17
    この円の中心の座標が、外心です。
    すなわち、答は、(2,-1) です。


    図形が苦手な人に多いのですが、発想が固く、1つのことを思いつくと、もう別の発想ができなくなる場合があります。
    しかし、それは、人間全体の特徴だとする説もあります。

    アメリカの大学での実験だったと記憶していますが、こんなものがありました。
    まず、数十人の被験者を集め、こんな指示を出しました。
    「今から、一切話をしないでください」
    次に、こんな指示を出したのです。
    「誕生日の日付の早い順に並んでください」
    被験者は、一様に声なき驚きを示しました。
    会話しないで誕生日の早い順に並ぶことなど、不可能だ。
    しかし、その直後、被験者の中から、指で数字を示した手を高く掲げ、無言で皆に呼びかける人が現れ始めたというのです。
    そして、全員が、その即席の指文字に従って、並び始めました。

    しばらくして、行列は完成しました。
    ここで結果を確かめあうと、正しく並べた人も多かったのですが、間違えてとんでもないところに並んでしまう人もいたそうです。
    即席の指文字では互いに共通の認識がないため、誤解が起こるのです。
    1月23日と、12月3日を指文字でどう区別するかなどは、共通のルールを事前に確認していなければ難しいのです。

    結果を確認した後、この実験をした科学者は、被験者に話しました。
    もっと、正確に互いの誕生日を確かめあう方法があったのではないですか?
    我々は、話をするなとは言いました。
    しかし、その他のことは制限していません。
    すると、被験者の中から、遠慮がちにこんな意見が出てきます。
    「例えば、運転免許証などを見せ合うとか?」
    さらに、次のような発言も見られたそうです。
    「そうだ、字を書いても良かったんだ。
    互いに誕生日をメモしたものを見せ合えば、良かった」

    幾度行っても、実験の結果はこのようになるといいます。

    これは、何の実験なのか?
    人間は、最初に思いついた発想が、たとえ不完全なものであっても、それに従ってしまうことがある。
    むしろ、誕生日を指で示すことを思いついた人をヒーローのように思ってしまう。
    その他のやり方を考えることができなくなってしまう、というのです。

    しかし、最初に思いついたやり方が最善である場合は少ない。
    多くの場合、3番目に思いついたやり方が最善のやり方である、というのです。
    1つの発想を得ると、それに凝り固まってしまうのが、人間の性質かもしれません。
    けれど、最善のやり方は、3番目に表れる。
    それを知っていると、試行錯誤に向けての心構えができると思います。

    数学の問題を解くときに、何にも発想できなくて諦める人。
    1つのやり方で上手くいかなくて諦める人。
    そこでもう少し粘ることができたら、道が開けると思います。
    少なくとも3通りの方法を思いつくまで、諦めないぞ。
    そのように自分を鼓舞できるかもしれません。


    では、次はこんな問題を。

    問題 2点(4,1)、(-3,8) を通り、x軸に接する円の方程式を求めよ。

    少し難しくなりました。
    これは、求める円の中心を(a , b) とおく、という基本から考えましょう。
    中心が (a , b) で、x軸に接するということは、その円の半径は|b|です。

    上の1行の意味がわからない、という場合は、実際にそうした円を描いて、確認してください。
    bは負の数の場合もありますが、円の半径は正の数なので、半径は|b|とおきます。
    実際に座標平面上に円を描いても、なぜ半径が|b|になるのかわからない、という場合は、座標に関して、何か理解できていないことがあると思います。
    x座標とy座標と、座標平面の縦横の関係がわかっているようでわかっていない人は高校生でも多いのです。
    例えば、(0,3) といった点を、x軸上に打ち込んでしまう人です。
    塾に通ってください。
    独りでは解決できないことも、個別指導なら解決できます。

    話を戻して。
    中心が (a , b) で、x軸に接するということは、その円の半径は|b|です。
    ということは、求める円の方程式は、
    (x-a)2+(y-b)2=|b|2
    すなわち、
    (x-a)2+(y-b)2=b2 と表すことができます。

    ここで、右辺の絶対値記号がなぜ外れるのかわからず、頭を抱えてしまう人もいます。
    bが正の数でも負の数でも、2乗すれば必ず正の数ですから、絶対値記号は外すことができるのです。
    |b|2=b2 です。
    本当に、ここまでくると、以前に学習したことで忘れてしまっていることや理解できなかったことが時限爆弾のように無造作に足元に転がっていて、そのいちいちでつまずくことになります。
    数Ⅱや数Bが、正直何1つわからない、という人は、それ以前の内容が理解不足のために理解できないのです。
    数Ⅱや数Bの内容が極端に難しいわけではないのです。

    再び、話を戻して。
    求める円の方程式は、(x-a)2+(y-b)2=b2 と表すことができます。
    これが、2点(4,1)、(-3,8) を通りますから、
    点(4,1)より、
    (4-a)2+(1-b)2=b2
    これを整理して、
    16-8a+a2+1-2b+b2=b2
    a2-8a-2b=-17・・・①
    点(-3,8)より、
    (-3-a)2+(8-b)2=b2
    9+6a+a2+64-16b+b2=b2
    a2+6a-16b=-73・・・②

    これを連立して解きますが、この解き方にはちょっとテクニックが必要です。
    まず、①-②をすることは、発想できると思います。
    -14a+14b=56
    これを整理して、
    a-b=-4

    ここまではできるのですが、式は1本になったのに、文字が2個あるままで、この先どうしよう、と途方に暮れてしまいそうですね。
    大丈夫。
    式は、1本ではありません。
    ①も②もあるじゃないですか。
    代入し直せばよいのです。
    この「必殺、代入返し」といったテクニックを身につけておくと、計算上で行き詰まったときの対処法を思いつくことができます。
    a-b=-4
    これを整理して、
    -b=-a-4
    b=a+4 ・・・③
    ③を①に代入して、
    a2-8a-2(a+4)=-17
    a2-8a-2a-8=-17
    a2-10a+9=0
    (a-1)(a-9)=0
    a=1,9 ・・・④
    ④を③に代入して、
    a=1のとき、b=5
    a=9のとき、b=13

    よって、求める円の方程式は、
    (x-1)2+(y-5)2=25  と、
    (x-9)2+(y-13)2=169 です。


    問題 点(-2,-1) を通り、x軸、y軸に接する円の方程式を求めよ。

    x軸とy軸に接する円で、x座標とy座標が等しくない円なんてあるの?
    ・・・謎の思い込みで、そのように混乱する人もいます。
    点(-2,-1)は、中心ではありませんので、x座標とy座標は等しくなくても大丈夫です。
    でも、それは、ある意味イメージできているからこその混乱です。
    そうです。
    x軸とy軸の両方に接する円の中心のx座標とy座標の絶対値は等しいです。
    そして、点(-2,-1)を通る円というと、それは第3象限にある円ですから、x座標もy座標も負の数で、等しいことがわかります。
    だから、中心を(a , a)とおくことができます。(a<0)
    よって、求める円の方程式は、
    (x-a)2+(y-a)2=a2 と表すことができます。
    これが点(-2,-1)を通るから、
    (-2-a)2+(-1-a)2=a2
    これを整理して、
    4+4a+a2+1+2a+a2=a2
    a2+6a+5=0
    (a+1)(a+5)=0
    a=-1,-5
    したがって、求める円の方程式は、
    (x+1)2+(y+1)2=1 と、
    (x+5)2+(y+5)2=25 です。



      


  • Posted by セギ at 14:17Comments(0)算数・数学

    2020年09月21日

    高校英語。複合関係代名詞の whichever と whatever。


    さて、今回は、複合関係代名詞の whichever と whatever です。
    まずは例文を見てみましょう。

    Help yourself to whichever you want.
    どれでも欲しいものを自由にとって食べて。

    help oneself to ~は、「自由にとって食べる」という熟語です。
    テーブルの上などにある食べ物を客に勧めるときの決まり文句です。

    文法事項としては、前回学習した whoever が whichever になっているだけなので、比較的理解しやすいかと思います。
    これの書き換えは、
    Help yourself to whichever you want.
    =Help yourself to any ones that you want.
    となります。

    これのほうが「うん?」ですよね。
    Help yourself to anything that you want.
    じゃないの?
    ~thing や、~one は、物なら thing で、人なら one でしょう?

    はい。
    でも、one という不定代名詞は、人でも物でも使うのです。
    one という不定代名詞の複数形は、ones です。
    anyone なら人ですが、any one は、物を指します。

    実は、anything は、別の文の書き換えに用います。
    まず、その文を見てみましょう。

    I'll do whatever you tell me to do.
    あなたがやれということなら何でも私はやります。
    =I'll do anything you tell me to do.

    このように使い分け、書き分けます。

    ・・・とはいえ、ネイティブも人間なので、文法的な誤りは多いです。
    例えば、近年では、分詞の前置修飾がネイティブの間ですたれ始め、多くが後置修飾になっていると聞きます。
    それにともない、前置修飾の分詞には、「常にそれをやっている人」という特別なニュアンスが付加され始めているというのです。

    しかし、それは結局、正確な英語を使えないネイティブが増えて、それによって英語が変わり始めているということだと思うのです。
    言語とはそういうもので、それは日本語もそうです。
    例えば「行かれる」という表現を「行くことができる」という可能の意味にとらえる人は減り、尊敬の意味にのみとらえる人が多くなっている。
    行くことができるという意味を表したいときは、「行ける」というんだよ、「行かれる」なんて言わないよ。
    そんなことを、外国の日本語学習者に向けて発言する日本人もいるかもしれません。
    ・・・いや、しかし、本当に可能の意味で「行かれる」を使うのは、間違った日本語なんでしょうか?

    そこらへんは本当に微妙で、外国語についての、「今はこう言う」「そんな言い方は古い」という情報には慎重であったほうがいいとは思います。
    一方で、分詞の前置修飾と後置修飾の使い分けにネイティブの間で変化が生じ始めているのは、知っておいたほうが良いことでもあります。
    外国人留学生も多い、国際的な大学の英語の入試問題には、実際に単独の分詞なのに後置修飾の用例も出題され始めています。
    古く正しい文法事項の重箱の隅をつつくのも大概にしないと、ネイティブに「そんな区別を我々はしない」「そもそも、そんな書き換え表現は使わない」と一笑にふされておしまいということもありそうです
    一所懸命学習したのに、言語についてむしろ鈍感なネイティブにあっさり否定されてしまう・・・。
    whichever と whatever の上のような書き替えの違いなど、そんなに必死に学ぶことではないと、私は思います。


    そんなことより、whichever と whatever 自体の使い分けは、今もなお重要でしょう。
    これは、which と what という疑問詞の使い分けが基本にあります。

    選択肢がいくつかある中で、その中の「どれ」であるかを問うのが、which です。
    選択肢はなく、全てのものの中で「何」であるかを問うのが、what です。

    例えば、バス停がいくつか並んでいる駅前ロータリーで、どのバスに乗るのかと尋ねたいのなら、which。
    色々なデザイン、色々な機能のバスを心の中に自由に思い描き、どんなバスに乗ってみたいかと尋ねるのなら、what。
    この使い分けは、一度しっかり理解すれば、特に問題ないと思います。

    さて、わかりにくいのは、やはり、「譲歩」の用法があることでしょうか。
    例文を見てみましょう。

    It's all the same to us whichever side wins.
    どちら側が勝っても、私には同じことです。

    SVOCMを分析しましょう。
    it が主語。
    is が動詞。
    same が補語。
    to us は修飾語。
    これはSVCの文です。
    whichever side wins は、文の主な骨組みではありません。
    これは、M(修飾語)です。
    こういう場合の、whichever 節は、譲歩の用法となります。
    「どちらが~しようとも」という意味です。

    ちなみに、上の文の whichever は、side という名詞を伴っています。
    複合関係形容詞とも呼ぶべき用法です。


    さて、この辺で、書き換え問題を解いてみましょう。

    問題、以下の英文を次のようにほぼ同じ意味に書き換えるとき、空所を埋めよ。
    It's all the same to us whichever side wins.
    =It's all the same to us ( )( )( )( )( )win.

    whoever の譲歩の用法のときと同じで、no matter を使うんでしょう?
    だったら、
    It's all the same to us (no)(matter)(which)(side)( )win.

    ・・・あれ?
    ( )が1つ余る・・・。

    正解は、
    It's all the same to us (no)(matter)(which)(side)(may)win.
    です。

    その may は何?
    と、驚く人もいるかもしれません。
    またモヤモヤする内容きたー。

    この文は譲歩の用法の文なので、確定した内容ではありません。
    だから、推定の助動詞 may、あるいは、それをさらに婉曲的にする might が用いられることがあります。
    絶対に使わなくてはならないものではありませんが、こうした空所補充問題では、使用しないと空所が埋まらない、ということがあります。

    whichever だけでなく、他の複合関係代名詞でも使用されます。
    長文読解をする受験生に対しては、文中の意味不明な may や should は、実際大した意味はないから読み飛ばしなさい、と勧めています。

    では、次の問題は、もう楽勝ですね。

    問題 以下の英文を以下のようにほぼ同じ意味に書き換える際の空所を埋めよ。
    Whatever happens, I will go.
    =( )( )( )( )( ), I will go.

    正解は、
    =(No)(matter)(what)(may)(happen), I will go.
    です。

    なお、whatever は、否定文・疑問文で強調のために用いられることがあります。

    No problem whatever.
    全く問題ありません。

    Do you have any interest whatever in Japanese animation ?
    日本のアニメについて少しでも関心がありますか。

    これも、長文の中で出てきたときは、意味のわからない whatever は無視する作戦で大丈夫でしょう。
      


  • Posted by セギ at 11:51Comments(0)英語

    2020年09月18日

    禁断の公式。


    毎年のように、中3の男子の間で流行する「公式」があります。
    集団指導塾の上位クラスに通っている友達あたりから教わるのでしょうか。
    気がつくと使うようになっていて、そのせいで誤答が増え、私に使用を禁止される解き方です。

    そうした子は、例えば、こんな誤答をします。

    (2-√7)2
    =-5-4√7

    ノートにこれしか書いてないので、逆にピンとくるのです。
    これは、あの解き方を誤用したのだな?

    そんな禁断の「公式」とは、どんな公式か?
    種明かしをすれば、何でもないものです。
    (√a+√b)2
    =(a+b)+2√ab

    例えば、
    (√2+√3)2
    =5+2√6

    1行で答が出るので、字を書くのが嫌いな子や、そういうのがカッコいいと感じる子に好評の解き方です。
    この程度のことなのに、毎年ブームが起こり、男子生徒の多くがこれにカブれます。

    もともとは、普通の乗法公式です。
    (a+b)2=a2+2ab+b2

    これが、aもbも平方根なら、平方根の中身の数字を単純に足すだけなので、(a2+b2)を先にやって、1行で済ましちゃいなよ、という解き方です。
    公式とすら呼べないしろものです。
    とにかく、どうでもいい。
    くだらない、とすら私は思うのですが、なぜか男子の多くはこれにハマります。
    男女を区別するのは今どきもう古い、ジェンダーを強化するな、というのは私もそうだと思うのですが、現実には、学習上の好みの違いは存在します。
    この解き方に無駄にハマる女子を私は見たことがないのです。
    使っている子もいるのかもしれませんが、使っていても確実に正答するので、使っていることを私に悟られないのが女子、ということはあるのかもしれません。
    こういう解き方をすると計算ミスをしそうな女子は、最初から使わないのでしょう。
    おのれの計算力を顧みず、使って失敗し、私に使用を禁止されるのが、男子。
    そういう違いがあるように思います。

    (√2+√3)2 のように、両方とも平方根であるなら、この解き方は魅力的です。
    しかし、片方整数である場合、無駄な暗算が必要になります。
    (2-√7)2 の場合は、2は2乗して4にし、それに√7の2乗の7を足さなければなりません。
    =11-4√7
    これを一瞬で行うことができ、精度100%であるなら、私は文句を言いません。
    しかし、一度暗算した計算結果を使って、さらに次の暗算をするという二重の暗算は、精度が落ちます。
    無駄に時間もかかります。
    上の誤答例のように、暗算に混乱したあげく、2-7をしてしまうような精度なら、使わないほうがいいのです。
    公式は、それを使うから計算が簡単になったり精度が上がったりするのでなければ意味がありません。
    ケアレスミスが増えるだけの解き方など、公式ではありません。

    「こんなくだらないことで誤答して、5点、5点と点を失って、それでどうやって得点を固めるの?
    正答できるかもしれませんが、できないかもしれませんよね?
    そんな精度のテクニックを取り込んで、それで高校に落ちたら、どうするの?
    解けない問題があるのは仕方ないんですよ。
    でも、こんなことで点を失ってしまうのは、私は本当に嫌なんですよ。
    努力して努力して、応用問題を解けるようになっても、こんなことで点を失ったら、何も変わりませんよ。
    同じ5点なんですよ?」

    1回叱責すると、受験生ならば、それで治る場合が多いです。
    中高一貫校の生徒は、受験が目前ではないので、この叱責ができませんし、治らない場合が多いのですが。


    計算ミス・ケアレスミスに関しては、これは無理だ、これは完全には治らないだろうという場合もあるのです。

    以前も書きましたが、1つには、数学の問題を解いていても、精神的にフワフワし、他のことを同時に考えているタイプの子。
    目の前の数学の問題に集中することができず、問題を解きながら、常に他のことを考えているのです。
    なぜ、そうなるのか、本人にもわからないし、制御することもできない様子です。
    例えば、問題の解き方がわかって、計算をしながら、私に、
    「今日は、何ページまでやるの?」
    と質問してきたりします。
    なぜ、計算しながら、そんなことを質問してくるの?
    なぜ、計算に集中できないの?
    そして、案の定、計算ミスをするのです。
    話し相手が傍にいるからそうなるので、独りで勉強しているときには集中するのかというと、そんなことはないのです。
    独りなら独りでも、問題を解きながら他のことを考えているのは同じです。
    目の前の1つのことに集中することができない。
    常に気が散ってしまう。
    そういう性分なのでしょう。

    もう1つは、数学への苦手意識が強く、過度に緊張している子です。
    ミスすればするほど、不安な表情になり、さらにミスが増えていきます。
    小さなことで簡単にパニックに陥ります。
    問題の読み取り間違いや式の書き間違い、符号や指数の書き漏らしがとにかく多いです。
    数学の問題を解いているときの精神状態が悪いのです。
    あがり症の人が大舞台に立つときのような精神状態になっているのだと想像されます。
    数学の問題を冷静に考えられる精神状態ではないので、テストは信じられないようなミスを連発します。

    以上の2つは、心の問題が大きいので、そう簡単には治りません。
    こういうケアレスミスが簡単に治ると思っているほうがおかしいとすら思います。
    本人が自分の心の状態を自覚し、ミスの多さと一生つきあっていく覚悟を持つ必要があります。


    しかし、そうではなく、計算のやり方や、式の書き方次第で治せるケアレスミスもあります。
    上の、禁断の「公式」を使用しないことなどはその筆頭です。
    正答できるかもしれない。
    でも、失敗するかもしれない。
    精度は人によるでしょうが、成功率70%であっても、そんなものは使用しないほうがいいでしょう。

    しかし、成功率50%であっても、その解き方のほうを選んでしまう中学生もいます。
    丁寧に書いていくのが嫌なのだと思います。
    字を書くことが、あまり得意ではないのかもしれません。
    読みやすく粒の揃った字を水平にササッと書いていくことができない子は案外多いです。
    字の大小がそろわず、だんだん大きくしかも斜めになっていき、解答スペースや計算スペースがなくなってしまう子もいます。
    粒のそろった字を素早く書いていくことは、授業を受けていて板書を書き写すときなどにも必要な技術なのですが、そういうことが上手くできない。
    1文字1文字、字を書くのに時間がかかる。
    精神的なストレスもかかる。
    だから、1行でも答案を減らしたい。
    楽したい。
    そういうことも影響しているかもしれません。


    とはいえ、私もそんなに丁寧に何もかも書けとは言いません。
    意味もなくくどい書き方をする必要はないのです。
    例えば、「正負の数」の学習が終わった中1ならば、もう符号は省略して書いていって良いのに、異様にくどくどとした符号の書き方が癖になって、なかなか治らない子もいます。
    -3-(-7)×(-2)
    といった計算問題を解く際に、
    =-3+(+7)×(-2)
    =-3+(-14)
    =-17
    と、丁寧に丁寧に書いています。
    別に間違っているわけではないですが、そんなのは、
    -3-(-7)×(-2)
    =-3-14
    =-17
    で、いいのです。
    符号の決定と絶対値の決定を分割して行っていくことで、計算は正確になり、かつ短時間で行うことができます。
    上のようにくどくどと何行も書いたあげくに途中で符号を書き間違えている答案を見ると、がっかりします。
    何行も書いていくことで、符号の書き間違いのリスクが高くなっているだけなのです。


    「1次方程式」を学習すると、これも最初に学習した丁寧な解き方から脱却できず、
    7x+5=2x-15
    7x-2x=-15-5
    5x=-20
    x=-4
    といった、丁寧な丁寧な答案を書く子もいます。
    間違っていないからそれでも構わないのですが、上の2行目は書かなくても大丈夫です。

    7x+5=2x-15
    5x=-20
    x=-4

    という計算は、精度を保ちながら行うことができます。
    しかし、計算ミス・符号ミスの多い子の中に、以下のような省略の仕方をする子がいます。

    7x+5=2x-15
    7x-2x=-15-5
    x=-4

    3行目を省略するのです。
    見る度に、ぎょっとする答案です。
    なぜ、2行目をわざわざ書くのに、3行目を省略するの?
    加法してさらに両辺を何かで割るという二重の暗算をしたら、精度が下がって当然です。
    符号ミスも多くなります。

    一番上で書いた、禁断の「公式」も、平方根以外のもので使用した場合、2乗して、さらにたし算をするという二重の暗算がネックとなり、精度が下がるのでした。
    大抵の人間は、二重の暗算を100%の精度では行うことはできません。
    大体はできるかもしれない。
    でも、間違えるかもしれない。
    その程度の精度しか保てないのが普通です。
    しかし、この二重暗算、やってしまう子は多いです。
    移項を暗算するのは、一度の暗算ですから、移項に関する符号処理が理解できていない子を除けば、ほぼ100%の精度で行うことができます。
    しかし、移項の処理を最初に学習したときから一度も省略したことがなく、もう書かないと計算できなくなっている子もいます。
    それでいて、その次に二重の無理な暗算をします。
    答案を見る度びっくりするのですが、こんな書き方が癖になっていて、もう直せない子もいます。

    繰り返しますが、1つの暗算なら精度を保つことができても、暗算した結果を使ってさらに暗算を重ねると、普通の人間は精度が下がります。
    目に見える形のもので暗算することは、暗算の精度に必要なことなのです。
    そのことが理解できていない子が、不用意に二重暗算をし、自ら計算精度を下げています。


    こんな暗算ミスも多いです。
    これは「文字式の計算」。
    例えば、こんな問題です。
    ちょっと見にくいと思いますが、分数式です。
    まずは丁寧な計算から。

    4x+2 /3 - 7x-5 /2
    =2(4x+2)-3(7x-5) /6
    =8x+4-21x+15 /6
    =-13x+19 /6

    このように丁寧に通分していけば、精度を保てます。
    しかし、ここで、一気に通分しながら分子もそれぞれ計算する子が多いです。
    そして、後ろの分数の前にある負の符号を処理できず、計算ミスをします。

    4x+2 / 3 - 7x-5 / 2
    =8x+4-21x-15 / 6
    =-13x-11 / 6

    私は、こんな計算ミスをもう何十年も見ています。
    ああ、この子もそうか、と思いながら。
    通分しながら分子もかけ算した結果を書いていくという作業だけなら何とかできても、そこに後ろの分数は符号が変わるという条件まで加わると、正確に処理できなくなるのです。
    人間の精度なんて、そんなものです。

    そんなミスを繰り返しても、自分の精度の限界を把握できず、同じことをいつまでもやってしまう子は、数学の成績がなかなか上がりません。
    それはそうです。
    穴の空いたバケツで水を汲んでいるようなものですから。
    解くことのできる問題が増えても、計算ミスも増えていたら、正答は増えません。


    これまで、数学の成績が急上昇していった子の例を思い出すと、もともとうちの塾に来る前から計算の精度は高く、計算ミスのことをとやかく言う必要のなかった子が多いのが事実です。
    考え方がよく身についていなかったり、数理の根本について何が誤解があったりして、しばらく妄言を繰り返したりはしますが、数か月後、ロケット並みの上昇をしていきました。

    その他に、これは年齢的なことがあったのだと思いますが、入塾当時はおそろしいほど計算ミスをしていたけれど、中3から高1くらいの時期に、まるで脳がきゅっとしぼられたように計算精度が上がり、数学の成績が高めに安定していった子もいました。
    これは、本人の脳の発達によるものだろうと推測されます。

    そうして、少数ですが、私が直しなさいと言ったことは全て直し、計算過程を改善することで計算精度を上げ、正答率を高めていった子たちがいました。


    同じ計算ミスを繰り返す子に尋ねたことがあります。
    やり方をどう直せばいいのか、わからないの?
    それとも、無理な暗算でも自分はできると思い、自分のやり方をどうしてもつらぬきたいの?
    有名中高一貫校に通っている生徒でした。
    理解力はあるのに、計算ミスばかりしていて、毎度毎度テストで落第点を取り、学校の補習を受けていました。
    しかし、理解力があるというのはやはり物凄いことで、答など期待していなかった私の問いに、その子は答えました。

    理解はしている。
    直そうと思っている。
    でも、実際に問題を解くときには、そのことを忘れてしまう・・・。

    計算ミスをしやすい計算過程を直せない子の、直せない理由として、これ以上の説得力のある言葉を、私は聞いたことがありません。
    そうなんですよね。
    理解できないわけでもなく、反抗したいわけでもなく、ただ、直せないだけなんです・・・。
    多分、皆、そうなんです。


    先日も、高校生が、2次関数の平方完成で、こんなミスをしていました。

    y=1/2x2+2x-6
    =1/2(x+1)2-1/2-6
    =1/2(x+1)2-13/6

    ・・・x2の係数が1ではないときは、いきなり平方完成するなと、もう何回言ったかわからないのに・・・。

    y=1/2x2+2x-6
    =1/2(x2+4x)-6
    =1/2(x+2)2-2-6
    =1/2(x+2)2-8

    と、一度、1/2で単純にくくってからのほうが、平方完成は精度が上がるのです。
    こうしたほうが頭が楽で、正確で、結局速いのです。
    何度も何度もそう説明しているのに・・・。

    理解できないわけではない。
    反抗したいわけでもない。
    ただ直せないだけ。
    わかっているけれど、直せない。

    きっとそうなのです。
    例えば私が急に草野球のピッチャーをやることになって、投球フォームをあれこれ直せと言われたら。
    言われていることは多分理解できるし、反抗したいわけではないけれど、きっと直せない・・・。
    そういうことは、誰にでもあります。
    そのとき、私はどのように声をかけてほしいだろう・・・。


    私は、同じようなミスを何十年も見ています。
    ああ、この子もそうか、と思いながら。
    けれど、それでこの仕事をむなしいと思うことがないことの1つに、あの子の教えてくれた言葉があるような気がします。
    そして、それを乗り越えて成績を上げていった子たちの記憶が、さらに私を支えてくれているのです。

      


  • Posted by セギ at 12:13Comments(0)算数・数学

    2020年09月15日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。その1。


    さて、今回は、円の方程式です。

    まず、「円の方程式」ということの意味がわからず、ポカンとする高校生がいます。

    これは、1つには、中2で最初に学習した、直線の方程式の意味が、実はよくわかっていないことが根本の原因ではないかと思います。
    直線は、x座標とy座標とが同じ関係を持った点の集合です。
    直線の方程式は、そのx座標とy座標の関係を表す式です。
    例えば、直線y=3x+5 ならば、この直線上の全ての点のx座標とy座標には、y=3x+5 という関係があります。

    直線に限ったことではありません。
    曲線でもそれは同じです。
    中3や高1で学習した放物線もそうです。
    1つの放物線上の点のx座標とy座標には共通の関係があります。
    例えば、y=2(x-1)2+3 という放物線ならば、その放物線上の全ての点のx座標とy座標に、この式の関係が成り立ちます。
    そうした関係を持つ点の集合が、y=2(x-1)2+3 という放物線です。

    そして、円もそうです。
    円が閉じているからなのか、何のことかよくわからず、
    「え?円盤の内側のことですか?」
    という質問を受けたことがあるのですが、そうではなく、円周を描いている、曲線のことです。
    その曲線を表す式が、円の方程式です。

    この誤解は、わからないでもありません。
    小学生の頃から、「円の面積」というと、円周で囲まれた、円の内側の面積のことでした。
    それが「円」そのものだと思っても、おかしくありません。
    「円」が円周を形成する曲線そのものであるなら、そんなものに「面積」は存在しないのですから。
    「円」の定義が、揺れているのですね。

    さて、「円の方程式」とは何であるか、意味がわかったところで、では、確認しましょう。

    中心が(a , b)、半径が r の円の方程式は、
    (x-a)2+(y-b)2=r2
    特に、中心が原点、半径が r の円の方程式は、
    x2+y2=r2

    この式の証明は、特に難しくありません。
    上の図を見てください。
    中心が、C(a , b)、半径 r の円があります。
    この円周上の任意の点をP(x , y)とすると、PC=r であることから、2点間の距離の公式を使って、
    √(x-a)2+(y-b)2=r
    と表されます。
    この両辺を2乗すると、
    (x-a)2+(y-b)2=r2
    これは、円周上のどの点の座標(x , y) についても成り立ちますから、これが、中心C(a , b)、半径 r の円の方程式です。
    これを、円の方程式の標準形といいます。

    この式に、中心O(0 , 0)を代入すると、
    (x-0)2+(y-0)2=r2
    よって、
    x2+y2=r2
    これが、中心が原点、半径がrの円の方程式です。


    では、ちょっと練習してみましょう。

    問題1 中心が(1 , 2)、半径が3の円の方程式を求めよ。

    これは、公式に代入するだけです。
    (x-1)2+(y-2)2=9
    これで答です。


    問題2 2点(1 , 2)、(3 , -2)を直径の両端とする円の方程式を求めよ。

    ちょっと難しくなりました。
    中心の座標と半径を自分で求めなければなりません。
    この2点が直径の両端ならば、この2点の中点が、円の中心です。
    まず、それを求めましょう。
    (1 , 2)、(3 , -2)の中点の座標は、(2 , 0)です。
    では、半径は?
    中心と、この2点のどちらかとの距離です。
    (1 , 2)、(2 , 0)の距離を求めましょう。
    √(1-2)2+(2-0)2
    =√1+4
    =√5
    これらを、円の方程式の公式に代入して、
    (x-2)2+y2=5


    問題3 中心が(1 , 2)で、点(2 , -1)を通る円の方程式を求めよ。

    また少し難しくなりました。
    中心はわかっているので、あとは円の半径がわかればいいですね。
    円の半径は、(1 , 2)、(2 , -1) の距離ですから、
    √(1-2)2+(2+1)2
    =√1+9
    =√10
    よって、
    (x-1)2+(y-2)2=10


    問題4 中心が(-2 , -√3)で、y軸に接する円の方程式を求めよ。

    ここまでは比較的順調にきた人も、ここで詰まってしまうことがあります。
    わかりにくいときは、実際に座標平面上にそういう円を描いてみるのが一番です。
    中心は、第3象限にあります。
    中心がそこで、y軸に接する円を描いてみましょう。
    その円の半径は2であることが、見てとれると思います。
    中心のx座標が-2だからです。
    よって、
    (x+2)2+(y+√3)2=4


    問題5 中心が(√3 , 2)で、x軸に接する円の方程式を求めよ。

    これも、実際に座標平面上にそうい円を描いてみるとわかります。
    中心は、第1象限。
    x軸に接する円を描いてみましょう。
    その円の半径は、2であることが見てとれます。
    中心のy座標が2だからです。
    よって、
    (x-√3)2+(y-2)2=4


    こうした練習問題を、最初の1問は機嫌良く解く子が、2問目からもう応用になったと感じるからか、暗く辛そうな表情を浮かべることがあります。
    小学校の頃ならば、上の問題1レベルのような、例題とそっくりな問題だけをたくさん練習します。
    それ以外の問題は教科書に存在しないことすらあります。
    中学校ならば、上の問題1レベルの問題を10問くらい解き、同じページの最後のほうに1~2問、問題2レベルのものがあります。

    しかし、高校は、助走は短く、あっという間に離陸します。
    基本の練習だから大丈夫だろうと解き始めても、例題と全く同じ解き方の問題は1問しかありません。
    いや、1問もないことすらあります。
    自分で解き方を考えなければならない。
    そのことに、気持ちがついていかない子がいます。

    問題4、問題5は、中心のx座標やy座標に注目して円の半径を読み取る問題です。
    こうしたことが、中学生の頃から、うまく理解できない子もいます。
    「円を描いてみるとわかります」
    先ほどはそのように書きましたが、自分で円を描いても、私が描いた円を見ても、何も思いつかない子も、一定数存在します。
    自力で発想できないだけでなく、一度解説されたときに、そういう考え方があると理解し記憶することもできない様子で、毎回、そのような問題で詰まるのです。

    高校生になって突然そうなるわけはないので、中学生の頃から、座標平面上の図形の問題は苦手だったと思います。
    座標平面上の三角形の底辺や高さの読み取りに苦労していたと思うのです。
    座標平面の見方の何かが身についていないのです。
    「2点間の距離を読み取ればいいよね」
    といった説明に眉を寄せることが多く、そのあたりのことが理解できていないのだろうと思われます。
    座標平面上で水平な位置の2点の距離は、x座標の差を読み取ればよいことが理解できない子もいます。
    x軸上に落として考えればよいでしょうとヒントを出しても理解できません。

    座標平面を描き、y軸と接する円を描き、半径を赤くペンで描き、同じ長さをx軸上になぞって示して、こことここは同じ長さだねと解説すると、何とか理解した様子は見せます。
    しかし、しばらく経つと、また何も読み取れなくなります。
    完全にリセットされてしまいます。
    結局、それは理解していなかったということなのだと思いますが。

    x座標とy座標の読み取りがときどき逆転することがあるのも、そうした子たちです。
    最初に覚えるときに、何かを誤解をしてしまったのかもしれません。
    点の座標の根本の何かが理解できていないのかもしれません。

    直線x=1 はy軸と平行な直線です、といった説明も苦手な様子で、頭を抱え、苦しそうにします。
    y軸と平行なら、y=1でなければならないと思うようです。
    何かもっと簡単に頭の中で整理し直したいのに、そうならないことに苦しんでいる様子が見られます。

    ・・・いや、これ以上は簡単にならないです。
    このまま、受け入れてください。
    そのように願うのみです。


    ところで、放物線の方程式は、y=a(x-p)2+q という、平方完成した形の式の他に、y=ax2+bx+c という形の式もありました。
    問題の形式によって、それらを使いわけました。
    あるいは、問題では、y=ax2+bx+c の形の式が与えられ、それを平方完成することも多かったです。

    円の方程式も、そのような一般形があります。
    x2+y2+ℓx+my+n=0
    これが、円の方程式の一般形です。

    この形が問題で与えられたら、標準形に直すことで、その円の中心や半径を求めることができます。
    やってみましょう。


    問題 円x2+y2-2x-6y+5=0 の中心の座標と半径を求めよ。

    x と y、それぞれに、平方完成をすれば求めることができます。
    最初なので、丁寧にやってみます。
    (x2-2x)+(y-6y)=-5
    それぞれ平方完成し、式にはもともとないのに加えてしまった定数項を右辺にも加えることで辻褄を合わせましょう。
    (x-1)2+(y-3)2=-5+1+9
    (x-1)2+(y-3)2=5
    よって、円の中心(1 , 3)、半径√5


    考え方はそんなに難しくないので、あとは、ケアレスミス・計算ミスに気をつけるだけです。
    とはいえ、ここまでくると、1年前に学習した高校1年の数学内容など1つも覚えていない、1つ前の単元どころか、先週学習した内容ももう忘れている、という人が増えてきます。
    周囲は全て霧。
    足元の細い道だけが見えている。
    後ろは、おそらく崖崩れが起きていて、戻れない。
    前方に何があるのかも、わからない。
    このような精神状態で問題を解いているためでしょうか、比較的簡単に思われるこうした問題でも、符号ミス、計算ミス、円の方程式の右辺は半径の2乗であることを忘れているミスなど、多様なミスを繰り返し、正解に至ることが難しい人が出てきます。
    この問題だけならば、落ち着いて解けば正解が出せるはずなのに、もう何を解いても正解に至らない・・・。
    何を解いても正解にならないので、気持ちがどんどん暗くなる・・・。
    精度の低さが、本人の心をむしばんでいきます。

    理解度と精度は、別のことですが、理解があやふやであれば精度が下がります。
    同時に、精度の低さが、精神的な不安を招き、さらに精度を下げていくこともあります。
    全問不正解のとき、それが全てケアレスミスが原因だとしても、
    「いや、自分は理解しているから大丈夫」
    とは思えないでしょう。
    数学が苦手な高校生の多くはそのような精神状態かもしれません。
    理解できないわけではない。
    ただ、計算が合わない。
    正答に至らない。

    そして、理解しているとはいっても、先週学習した問題を、例題も解説もなくすっと出され、さあ解いてと言われたときに、何をどうしていいか、わからない・・・。
    どうしてこんなに頭をすりぬけていってしまうのか。
    理解したつもりだったが何も覚えていないのは、なぜなのか・・・。

    理解と記憶は、また別のものだからです。

    理解すること。
    記憶すること。
    精度を保つこと。

    それは、別べつのことですが、根は同じところにあります。
    改善していくには、反復することです。
    1回目に学習するときよりも、2回目に学習するときのほうが、まだ少し気持ちが落ち着き、わかることが増えます。
    正答も増えていきます。
    諦める前にどうか反復してください。
    数学が受験にどうしても必要な人は、夢を諦める前に、まだできることがあるはずです。

      


  • Posted by セギ at 14:07Comments(0)算数・数学

    2020年09月12日

    高校英語。複合関係代名詞 whoever。


    さて、今回は、複合関係代名詞。
    名前からして難しそうで、モヤモヤの残ってしまう人が多いところです。
    まずは、例文から見てみましょう。

    Whoever leaves the classroom last should turn off the light.
    教室を最後に出る人なら誰でも、明かりを消すべきだ。

    この whoever は、「~は誰でも」と訳します。
    Whoever leaves the classroom last が、
    「教室を最後に出る人は誰でも」という意味です。
    この意味のまとまりが、従属節(関係代名詞節)で、主節の主語となっています。

    複合関係代名詞は、先行詞を必要としません。
    複合関係代名詞から始まる節がこの文の主語となり、それが should turn off the light.である。
    すなわち、「明かりを消すべきだ」と続いていきます。

    もう1つ例文を見てみましょう。

    The club admits whoever pays the entry fee.
    そのクラブは、入会金を払う人なら誰でも入会を認める。

    club が主語。
    admits(認める)が、動詞。
    whoever pays the entry feeは「入会金を払う人なら誰でも」という意味の従属節(関係代名詞節)で、主節の中で目的語の働きをします。

    文法的に分析すると、英文の構造がよくわかり、意味を理解しやすくなりますね。
    こういう文になってくると、SVOCMの分析は理解を助けるものであって、決して敵視してはならないのです。

    こうした whoever は、anyone who で書き換えることができます。

    Whoever leaves the classroom last should turn off the light.
    =Anyone who leaves the classroom last should turn off the light.
    です。
    The club admits whoever pays the entry fee.
    =The club admits anyone who pays the entry fee.
    です。

    中1の最初に some と any を学習したところから知識のバージョンアップがされず、
    「any は疑問文と否定文で使うものなのに、変な使い方がされていてモヤモヤする・・・」
    という人がいるかもしれません。
    肯定文で any を用いたときは、「何でも」という意味があります。
    肯定文の anyone は、「誰でも」という意味です。
    こういう細かい知識は、大きな文法事項とは異なるため、何となく頭から脱落しがちでなかなか定着しないのですが、結局、そうした小さな知識の欠落からモヤモヤすることが多くなります。
    「そんなの習ったことない」
    という感覚に陥りやすいところでもあります。

    しかし、これは中学で学習しています。
    大きな文法事項ではないので、例えば「過去形は中1の終わりに学習した」というほどの印象は残りません。
    教科書の本文にさらっと出てきていて、
    「この any は・・・」
    とさらっと説明され、特に違和感はないのでどうでもいいやと聞き流したことが、後になってモヤモヤとして残るのです。

    いや、そもそも someone とか something とか、そういうことを学習した記憶がないんだけど・・・。
    何だか、いつの間にが出てきていて、謎なんだけど?
    そんな疑問を抱く人もいるかもしれません。
    これらは中2で学習する内容なんですが、やはり、あまり定着しないし、記憶にも残らないようです。
    学習事項としては「代名詞」にあたります。
    その中でも「不定代名詞」と呼ばれる、モヤモヤする文法事項です。
    高校生ならば、文法参考書を読んで、モヤモヤをすっきりさせることをお勧めします。

    先日も、中2の生徒と「不定詞」の学習をしていて、この不定代名詞と不定詞の語順を解説しました。
    I want something to eat.
    などの語順が定着し、うん、良かったと思った直後のことです。
    不定詞の形容詞的用法全体の演習に入ると、
    「今日はやるべきことがたくさんある」
    を英語に直す問題で、
    I have a lot of something to do.
    という文をその子は作りました。

    うーん、なるほど、そういうミスにつながるのか。

    I have a lot of things to do.
    が正解ですよ、と説明しましたが、不服そうでした。

    something を使うとき、それはまだ不定の「何か」です。
    I have something to do.
    という文がもしあるなら、それは、やるべきことがあるとして、それが何であるかは不定な状態です。
    「今日はやるべきことがたくさんある」という文を言っている、あるいは書いている「私」は、やるべきことがわかっているはずです。
    そこに不定の「何か」という意味の something を使うことはありません、と説明すると、わかりにくかったのか、頭を抱えてしまいました。
    うーん・・・。

    そこで、
    「I want something to eat. は、どう訳すの?」
    と質問すると、
    「食べるものがほしい」
    と訳すので、
    「いいえ。『何か食べるものがほしい』と訳すようにしましょう。まだ不定の『何か』であることをちゃんと訳しましょう。『何か』がついているところで something を使いましょう」
    と説明すると、
    「『何か』がついていれば、必ず something なんですか?」
    と、また微妙なことを訊いてくるので、私は腕組をして、
    「絶対にそうだとは限りませんけれど、『何か』がついているのに、 things を使うことはないでしょう」
    と裏側から答えると、しぶしぶ了解してくれた形でした。

    もつべき疑問が、中2にしては複雑な内容なのでした。
    そこはすっと流して、まあそんなものなのだと思い、先送りにしたほうが、言語習得は楽な場合もあります。
    高校生、あるいはそれ以上になれば、文法的に明晰な分析があり、それを理解できるようになります。
    まだそういう年齢ではないのに、明晰な文法的分析が必要なことについて疑問を抱き、そこでつまずいたりしてしまう・・・。
    今の自分が理解できる範囲を越えたことに疑問を抱くので、疑問が解決しないのです。
    そこでモヤモヤし、それで英語が嫌いになってしまうのは、勿体ないです。
    語学学習は長いスパンでやっていくもの。
    短気を起こさず、地道に気長に努力していくと、振り返るとびっくりするような実力がついています。


    話を複合関係代名詞に戻します。

    上の例だけなら、whoever は、そんなに難しいものではない気もするのですが、ここで大問題が生じます。
    whoever には、別の用法があり、書き換え方も異なるのです。
    例文を見てみましょう。

    Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
    誰が電話をしてこようとも、私は電話に出たくない。

    これは「譲歩」を意味する複合関係代名詞、と呼ばれるものです。
    これの書き換えは、
    Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
    =No matter who calls me, I don't want to answer the phone.

    whoever=no matter who です。

    これが出てくると、どちらの書き換えをすればよいかわからず、モヤモヤが一気に上がる人もいるかと思います。
    「どうせ意味から判断するんでしょう?」
    と決めつけている人もいますが、まあそれも1方法ではあるものの、文法的に正確に分析できます。
    この譲歩の用法のときの関係詞節は、必ず副詞節です。
    一方、冒頭の用法の関係詞節は、名詞節なのです。
    主節の主語や目的語の働きをします。
    主語や目的語になるのは、名詞です。
    節ならば、名詞節です。

    一方、副詞節というのは、SVOCのどれにもなりません。
    M(修飾語)です。
    ですから、whoever を含む文が、どちらの用法なのかわからない場合は、主節のSVOCMを分析すればよいのです。
    Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
    は、主節の主語は、I。
    主節の動詞は don't want。
    主節の目的語は、to answer the phone という、不定詞による名詞句。
    この文は、SVOの文であり、Whoever calls me は、主節の主な要素であるSVOCのどれでもありません。
    「誰が電話をかけてきても」という節は、動詞を修飾する副詞節です。
    こうした用法のときは、「譲歩」の用法となります。

    Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
    のように、先頭に whoever がきていて、間にカンマ( , ) があれば、譲歩の用法ですか?

    と、賢い質問をする人がいます。
    確かに、それはそうです。
    しかし、それ以外は絶対に譲歩の用法ではない、とは限りません。
    I don't want to answer the phone whoever calls me.
    という位置関係の場合もあり、これも「譲歩」の用法だからです。

    やはり、主節のSVOCMを分析するのが、正確に解くコツです。
    そうすることを苦手と言わず、できるようになると楽ですよ。
    1文の長い英文を読むために、それは必要なことですから。
    全ての英文でそんなことをする必要はありませんが、必要なときはあります。

    繰り返します。
    SVOCMの分析は理解を助けるものであって、決して敵視してはならないのです。
    文法的に分析すると、英文の構造がよくわかり、意味を理解しやすくなります。
    それが習慣になっていれば、普段、特に意識しないで英文を読んでいるときにも、自然に、意味のまとまりごとに文意を把握できるようになっていきます。
    英文を前から読む、英文を英文のまま読むというのは、そういうことです。

      


  • Posted by セギ at 12:10Comments(0)英語

    2020年09月10日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。三角形の面積。


    さて、今回は、座標平面上の三角形の面積の求め方です。
    例えば、こんな問題。

    問題 点O(0,0)、B(8,2)、C(3,5)を頂点とする三角形OABの面積を求めよ。

    これも、実際に座標平面にこの三角形を描いて考えるとわかりやすいと思います。

    高校生に自力で考えてもらうと、発想が中学生に戻り、中1で学習した解き方をする子が大半です。
    すなわち、この三角形を取り囲むように、三角形の頂点が周上にある長方形を描き、その長方形から、余計な直角三角形を3つ引いて、△OABの面積を求める方法です。
    間違った方法ではありません。
    まずは、それで解いてみましょう。

    △OABを囲むように長方形を作ると、縦5、横8の長方形となります。
    そこから、不要な三角形を3つ分の面積を引きます。
    5・8-1/2・3・5-1/2・5・3-1/2・8・2
    =40-23
    =17

    △OABの面積は、17です。

    しかし、せっかく、2点間の距離の求め方や点と直線との距離の求め方を学習したのですから、それを利用した解き方を考えてみましょう。
    この△OABを、底辺AB、頂点Oの三角形とみなします。
    まずは、底辺の長さを求めましょう。
    点A(8,2)とB(3,5)の距離ですから、2点の距離の公式に代入すると、
    AB=√(8-3)2+(2-5)2
    =√25+9
    =√34

    底辺をABとみなしたら、この三角形の高さは、点Oと直線ABとの距離となります。
    そのため、まず直線ABの式を求めましょう。
    2点(8,2)、(3,5)を通る直線ですから、2点を通る直線を求める公式に代入して、
    y-2=-3/5(x-8)
    両辺を5倍して、
    5y-10=-3(x-8)
    5y-10=-3x+24
    3x+5y-34=0

    この直線と、点O(0,0)との距離ですから、点と直線との距離の公式に代入して、
    距離d=|-34|/ √9+25
    =34/√34

    よって、
    △OAB=1/2・√34・34/√34
    =17

    上と同じ面積を求めることができました。

    しかし、この求め方、高度な考え方を利用しているわりに、むしろ、中1で学習した求め方よりも計算が面倒くさくなっている気がします。
    ご安心ください。
    これも、公式があります。

    点0(0,0)、A(x1,y2)、B(x2,y2)のとき、
    △OAB=1/2|x1y2-x2y1|

    この公式に代入してみましょう。
    △OAB=1/2|8・5-2・3|
    =1/2|40-6|
    =1/2・34
    =17

    ・・・わあ、簡単だあ。

    では、この公式を証明しましょう。
    底辺を線分ABと見るのは、上の解き方と同じです。
    まず、底辺を求めましょう。
    AB=√(x2-x1)2+(y2-y1)2 となります。
    次に、この三角形の高さ、すなわち、点0とABとの距離dを求めます。
    そのために、直線ABの式を求めると、
    y-y1=y2-y1 / x2-x1 (x-x1)
    これを整理します。
    両辺をx2-x1 倍して、
    (y-y1)(x2-x1)=(y2-y1)(x-x1)
    全て左辺に移項して、
    (y-y1)(x2-x1)-(y2-y1)(x-x1)=0
    展開して、整理すると、
    -(y2-y1)x+(x2-x1)y-x2y1+x1y1+x1y2-x1y1=0
    (y2-y1)x-(x2-x1)y-(x1y2-x2y1)=0
    よって、点0(0,0)との距離は、
    d=|0-0-(x1y2-x2y1)| / √(y2-y1)2+(x2-x1)2
    ところで、この分母√(y2-y1)2+(x2-x1)2=ABであ。
    よって、d=|x1y2-x2y1| / AB
    したがって、
    △OAB=1/2・AB・d
    =1/2・AB・|x1y2-x2y1| / AB
    =1/2|x1y2-x2y1|


    原点を通る三角形の面積は、この公式で簡単に求めることができます。
    それでは、こんな問題はどうでしょうか。

    問題 点(3,4)、(-4,1)、(2,-5)を頂点とする三角形の面積を求めよ。

    原点を通っていない・・・。
    では、上の公式は使えないでしょうか?
    いいえ。
    ちょっと工夫すれば使えます。

    原点を通る三角形になるよう、3点を平行移動させればよいのです。
    どれでもいいのですが、今回は、点(2,-5)を原点に移動してみましょう。
    (2,-5)が、(0,0)に移動するのですから、x軸方向に-2、y軸方向に+5だけ平行移動することになります。
    それにあわせて他の点も移動すれば、全体に平行移動したことになりますから、もとの三角形と面積は等しいです。
    (3,4)は、(1,9)に。
    (-4,1)は、(-6,6)に。
    よって、求める三角形は、点(0,0)、(1,9)、(-6,6)を頂点とする三角形と面積は等しいです。
    これを公式に代入すると、
    1/2|1・6-9・(-6)|
    =1/2|6+54|
    =30
    これが求める面積となります。

      


  • Posted by セギ at 13:19Comments(0)算数・数学

    2020年09月06日

    英検を受験しますか?


    先日、中学1年生から、「秋に英検5級を受検することにした」と報告され、困惑しました。
    いえ、受けることは別に構わないのですが、過去問を解いてみたら、ほとんど正解できないというのです。
    申し込む前に相談してくれれば、
    「1回分過去問を解いて合格するものなのかどうか試してから申し込んだらよいですよ」
    とアドバイスできたのですが。
    私が暗い顔をしていたせいでしょう、その子は、言いました。
    「受験で有利になるから、英検を受けろって、学校の先生が言うから」
    「・・・英検5級が、有利になる?どんなふうに?」
    「・・・」
    そこをしっかり確かめないと、将来、詐欺の被害にあいますよー。

    私が暗い顔になったのは、これで英検に落ちたら、そのショックで塾をやめるのやめないのという問題が発生するかもしれないと、過去の記憶がよぎったからでした。
    大人は気楽に検定受検を子どもに勧めます。
    入試まではまだ時間があるから、学習の目標をもってもらいたい、と思うようです。
    一方、生徒の多くは、試験ではっきり不合格と判定され、否定され排除された経験を持っていません。
    子どもにとっては、それは想像以上にきつい経験になります。

    保護者の方にとっても、想像以上にきつい経験になる場合もあります。
    子どもに受検を勧めるとき、合格することしか想定していないのかもしれません。
    不合格という結果に、保護者の方も動揺します。
    何が原因なのか?
    英語力は順調に伸びているんじゃなかったのか?
    うちの子の英語は、ダメなのか?
    学習上の課題について子どもと冷静に話しあうつもりが、結局最後は言い争いになってしまうことがあります。
    「これからしっかり頑張るから」という子どもの返答を期待して「もう塾なんかやめてしまいなさいっ」と言ってしまう。
    すると、子どもは、「じゃあ、やめる」と、応じる・・・。

    ・・・ああ、いやだ、いやだ。

    そういう子の場合、英語学習が、定期テストをやり過ごすだけのよくない状態に陥っていると、生徒自身と私は、気がついているのです。
    しかし、生徒は、その状態が楽なので、変えるつもりがありません。
    受験学年になったら、そのときはもう少しちゃんとやるから、今はまだ・・・という気持ちでいるのでしょう。
    そういう状態の子に、受験に向けての英語学習を提案しても、実行できません。
    単語暗記を宿題に出しても、やってきません。
    長文読解問題を宿題に出しても、「わからなかったー」と白紙のまま持ってきます。
    あるいは、適当に解いてきます。
    本人の中で、それをする動機がないのです。
    それでも、学校の定期テストはそこそこの点数でやり過ごすことができます。
    平均点以下ではない。
    だから、まあいいじゃない。
    本人はそう思っています。

    そうした状態で、例えば、校外模試で英語の偏差値が低かった。
    あるいは、英検に落ちた。
    それは、これからの学習の起爆剤になります。
    さすがに、本人も反省するはず。
    ようやく学習習慣を改めるチャンスが巡ってきた。
    それなのに、結論は一気に「退会」となってしまいます。

    新しい塾で、その反省を生かして、それまでとは違う学習習慣が作られたのなら良いのです。
    しかし、そういう話は風の噂でも聞こえてこないことが多いのです。
    聞こえてくるのは、浪人し、とうとう大学には入れなかった、という話。
    塾を変えても、本人が変わらなければ、何も変わらないのです。


    苦い経験を幾度か経て、「英検受検」→「不合格」→「退会」という図式が心の中でしっかり出来上がっているものですから、必ず合格する場合や、進学に必要な場合以外は、英検受検を私から勧めることはありません。

    ただ、英検不合格からの退会、というのは、今までの例では、高校生の場合ばかりでした。
    受けても合格するわけがない状態で、英検2級を突然受検し、予想通り不合格となり、退会、という流れでした。
    中学生なら、違うかもしれません。
    というよりも、なぜその子は、英検5級の過去問の筆記試験がそんなにも出来ないの?
    出題形式に慣れていないだけなのでは?
    直前に少し指導すれば、合格できるのでは?
    (11月4日追記 無事合格したそうです)

    長い目でみれば、英検3級までは誰でもいつかは合格します。
    英検準2級も、高校生になり真面目に英語を勉強していればいずれ合格します。
    しかし、そのままの学習では、英検2級のレベルには決して到達しない子たちが存在します。

    何年英語を学習しても中学英語のレベルにとどまり、高校英語レベルに進歩しない子は、想像以上に多いです。
    その最大の原因は、単語力です。
    中学で学習した単語はそこそこ覚えているのですが、高校で新出の単語が、覚えられないのです。
    それがまさに英検準2級の英語力です。

    英検準2級は、高校1~2年生程度の英語力となっていますが、満点を取らないと合格できないわけではありません。
    中学英語が身についていれば7割程度は正答できますから、それで合格します。
    つまり、英検準2級合格は、「中学英語はそこそこ身についている」という証明に過ぎません。
    高校英語の語彙を一切知らなくても何とか合格できます。

    しかし、英検2級となると、文法・語法の問題も、長文問題も、高校で学習する単語が多く含まれます。
    そのレベルの英文をほとんど読めない高校生たちが存在します。
    それも、ある程度の学力を期待されている高校に在籍していながら。
    問題の英文の意味が全くわからないのですから、正答できません。

    そういう子の英語学習には、共通の特徴があります。
    学校で毎週行われている単語テストは一夜漬け、あるいはテスト直前だけの即席漬けで切り抜けています。
    覚えてもすぐ忘れるので、単語力の蓄積がなく、中学生の単語力のまま、高2になり、高3になります。
    高1の頃は、教科書に出てくる知らない単語は新出単語の場合がほとんどです。
    しかし、高1の新出単語を覚えないまま高2・高3と進級してしまうので、教科書の中で、新出単語ではないのに意味のわからない単語が増えていきます。
    その意味調べが必要になり、英語学習は教科書の単語の意味調べだけでほとんどの時間を使いきることになります。
    しかも、調べるだけで覚えませんから、わからない単語は増える一方です。

    定期テストは、教科書の本文からの出題はそこそこ得点できても、それは教科書本文の内容を覚えているからであって、単語を1つ取り出して意味を問われたら答えられません。
    初見の長文問題はほとんど読めず、「こんなの無理」「知らない単語が多すぎる」とテストの度に不平不満をもらすことになります。
    あるいは、勉強不足で問題を解くスピードが遅いため、時間が足りず、テストの最後の長文にはそもそも目を通していないということもあります。

    親に勧められ、個別指導塾に来ても、
    「教科書をしっかりやりたい」
    という、ある意味まっとうな言い訳で、英語学習を自ら限定的にしてしまいます。
    個別指導で学校の教科書の予習をすれば、自分で辞書を引く手間が省けます。
    学校の文法テキストの練習問題を塾で解く、というより講師に答を教えてもらえば、学校の宿題も自分でやらずに済みます。
    要するに、自力で英語の勉強をしなくて済むので、塾のことは嫌いではないようです。
    学校の英語の授業が何だか前よりわかるような気もするので、英語力がついたと勘違いをしてしまう人もいます。
    自力で英語を勉強する時間がむしろ減っているということに気がついていないのです。

    そうした誤解の中、突然、
    「英検2級を受ける」
    と言い出すのも、そうした子たちの特徴です。
    申し込みのときに言ってくれれば止めることができるのですが、全て事後承諾であり、すでに試験はひと月後という場合すらあります。
    いやいや・・・・。
    そんな英語力じゃないでしょう?
    そんな勉強をしていないでしょう?
    単語力が全く足りないでしょう?
    親や学校の先生が勧めても、断らないとダメでしょう?

    受かるような気が、自分でもしてしまうのでしょうか。
    英語が得意で努力も怠らない友達と同じように、自分も英検2級に合格できると漠然と思いこんでしまうのかもしれません。
    友達が合格すれば、自分もできそうな気がしますよね。
    でも、根本の学力は同じくらいかもしれないけれど、一番大切なところが違うのです。

    英語に対して、努力を惜しまないのか、どうか。

    単語は、漫然と勉強していればそのうち覚えられるというものではありません。
    集中してガッと覚える時期が必要です。

    高校から配布された、大学受験用の単語集を1冊丸ごと覚えれば、英検2級くらいはどうにでもなります。
    しかし、学校の単語テストにあわせて、その範囲を覚えてすぐ忘れているようでは、単語集は手付かずと同じ状態です。
    幾度も自分で反復することが必要です。
    大人なら、そんなの当たり前だとわかっているのですが、記憶というものについて、高校生は案外わかっていない子がいます。
    「1回覚えたのに、何ですぐ忘れてしまうの?こんなの、覚えても無駄じゃん」
    と、訳のわからないことを平気で言ったりします。

    人間は忘れるものです。
    脳は不要な記憶を消去することに一所懸命なんですから。
    脳に「このことは大事だから覚えておけ」と指令を出さなければなりません。
    それには反復・反復・反復。
    幾度も反復すると、脳は「あれ?これ、消去する記憶じゃないの?」と気づいて、長期記憶に組み替えてくれます。

    とにかく反復することが大切。
    しかし、これができない子が多いのです。
    一度で覚えられないことが納得できないという、幼稚な子もいます。
    あるいは、一度では覚えられないことは理解していても、反復するのがとにかく面倒くさくて嫌いな子もいます。

    簡単な覚え方があるはずなのに、自分はそれを知らないだけだ、学校の先生も塾の先生も後れているからそれがわかっていないだけだと謎の思い込みをしている子もいます。
    そんなに凄い単語暗記法がもしあるなら、文科省が推奨し、たちまち全国の学校で実施されています。
    英語教育改革に躍起になっていても、日本人の英語力が世界ランキングでじりじり下がっている絶望的な状況を知らないのですか。
    凄い単語暗記法は、その救世主となるはずです。
    しかし、そんなものは、存在しないのです。
    個人や企業が宣伝している凄い英語学習法というのは、あれは商売でやっているので、鵜呑みにしてはいけません。
    夢みたいなことを、安易に信じて、だまされる。
    高校生は、精神的にとても成長している子もいるのですが、精神年齢はマイナス5歳すればちょうどいい子も多いのです。
    見た目は高校生、心は小学生。
    コナンの逆バージョンみたいな子も多いです。

    単語は、音声で覚えると良いと勧めても、英語のCDなんてそんなに面白いものではありませんから、1度聴いたらもう2度と聴きません。
    反復しないと意味ないのですが。

    文章の中で単語が出てくるタイプの単語集のほうが覚えやすいと勧めても、1度読んで、知らない単語をマーカーで塗って、勉強した気になっておしまいです。
    「えー?1度読んだら良くない?何でー?」
    と、幼稚な疑問を返してきたりします。

    ゲームが好きなようなので、英単語ゲームならやるだろうと保護者が与えても、タブレットはちゃっかりゲットしますが、英単語ゲームなんか1度やったらおしまいという子もいます。
    単語の覚え方として、単語集で覚えるよりはゲームのほうが面白いという比較を大人はしますが、子どもは、単語ゲームよりも他のゲームのほうが面白いという比較をします。

    心が小学生なのです。

    そうして、結局、英単語は覚えられない。
    単語が覚えられないと、英検2級の問題文が読めない。
    受かりません。

    学校の英語の教科書だけで勉強していると、この流れからは逃れられません。
    だから、現在、うちの塾では、高校生に学校の教科書での指導は行っていません。
    単語集も、文法テキストも、読解テキストも、塾で指定したものを使用します。
    大学受験のための英語学習であって、学校の授業の予習復習ではありません。
    英検2級がどうのこうのではなく、英検準1級に楽に合格できる英語力をつけることが目標です。
    そうでなければ、大学受験の英語入試問題に対応できません。
    高校生には、学校の定期テスト前は、塾は休んでテスト勉強をするよう指示しています。
    テスト対策を塾で行っていないので、定期テスト結果にカウントしていませんが、校外模試では英語の偏差値は70を越える子が多いです。

    中学生は、教科書の学習も重視していますが。

    突然英検2級を受けて、予想通り不合格となり、それで突然塾をやめてしまう子は、今はもううちの塾にはいないのです。
    過去の苦い記憶は、もう封印してもよいのかもしれません。

    英語は才能の問題もありますが、努力でカバーできる部分が大きいです。
    スマホを眺めている毎日の1時間を、英語を勉強する1時間に変えるだけで、英語力は変わります。
    一度で覚えられないのは当たり前だと理解し、反復することを苦にしなければ、単語は覚えられます。
    1つの目安として、英語は、1,000時間学習すれば、そこそこ使えるようになると言われています。
    10,000時間学習すれば、英語に堪能だと言えるようになります。
    楽な方法なんてないと悟ること。
    そうして、努力すること。
    そうすれば、目標は射程圏内に入ります。


      


  • Posted by セギ at 14:22Comments(0)英語

    2020年09月03日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。点と直線の距離。



    今回は、点と直線との距離を求める問題です。

    問題 点(1,2) から直線 3x+4y=5 までの距離を求めよ。

    そもそも、「点と直線との距離」とは何か、その確認からしましょう。
    中学生が作図問題を解いている様子を見ていると、ああ、わかっていないかもしれないなあと感じることがあるのが、点と直線との距離です。
    与えられた点と直線との距離を示す線分を描けといった問題に上手く対応できないのです。
    それの応用である、与えられた点を中心とし、与えられた直線と接する円を描けといった問題にも困惑することになります。

    数学で「距離」というのは「最短距離」のことです。
    点と直線との最短距離とは何か?
    その点からその直線に垂線を下したときの、その点と垂線の足との距離が最短距離です。
    ちなみに、垂線の足とは、垂線と直線の交点のことです。

    ・・・このように、説明しても説明しても、そこにまた数学用語が出てきて、それをまた説明しなければならないということが、数学の授業
    では起こりがちです。
    テストのために暗記するけれど、テストが終わったら忘れる。
    そのような学習習慣の子が幾何が苦手な原因の1つが、用語の意味がわからないことです。
    重要なことを覚えていないのです。
    だから、説明を聞いても、その説明が理解できない、という状況に簡単に陥ります。

    用語がごついだけで、言っていることはとても単純なことです。
    点から直線には、多くの線が引けますが、その中で一番短い線は?
    その点からその直線に垂直に引いた線ですよね?
    それが最短距離です。
    そのことを、点と直線との距離と呼びます。

    しかし、上のような不正確な表現は、許されません。
    上の説明は、図を示しながら、ニュアンスで理解してもらおうとしている説明です。
    この説明が通じればよいですが、もし通じなければ、相手を混乱させるだけです。

    勝手な用語を使うと全く通じないことがあります。
    もう何年も前になりますが、中3の生徒が図形問題を解いている途中で、
    「この棒の長さが」
    と言い出して、ぎょっとしたことがあります。
    ・・・棒?
    棒って何のこと?
    虚をつかれて、本当に何のことかわからなかったのですが、それは「線分」のことでした。

    別の子で、これは代数の学習でしたが、式の計算のところで、
    「この式をほぐしていいですか?」
    と質問するので、困惑したこともあります。
    式をほぐす?
    それは、何をどうすること?
    ・・・その子が言っていたのは、式を展開することでした。
    ニュアンスで説明するのは、本人はよく理解できても、他人に通じない可能性が高いのです。

    上の私の説明も、幾何の専門家からすれば、線分を棒と呼ぶほどの暴挙を寄せ集めた説明です。
    1つ1つ、正確に定義された言葉を使うことで、相手に正確に伝わります。
    だから、数学は定義が極めて重要です。


    問題の意味が正確にわかったところで、さて、どう解きましょう。
    もう一度、問題を読んでみます。

    問題 点(1,2) から直線 3x+4y=5 までの距離を求めよ。

    よくわからなかったら、グラフを描いてみると助けになると思いますが、そろそろ、実際にグラフを描かなくても、頭の中のイメージだけで何とかなりそうな気がします。
    とにかく直線 3x+4y=5 がある。
    その直線外の点(1,2) がある。
    その点から直線に垂線を引く。
    その点とその垂線の足との距離が、求める距離です。

    これまで学習したことを利用して求められそうな気がします。
    点(1,2)を、点Pとしましょう。
    与えられた直線 3x+4y=5 を対称の軸として、点Pと対称な点をQ(a,b)とおきます。
    直線 3x+4y=5 と、直線PQは、垂直です。
    線分PQの中点は、直線 3x+4y=5 を通ります。
    こうしたことを利用して、何とか求めることができそうな気がします。
    Qの座標がわかれば、線分PQの長さがわかります。
    それを1/2にしたものが、点Pと直線との距離でしょう。
    その指針で、解いてみましょう。

    まず、与えられた直線の傾きを求めます。
    3x+4y=5 をyについて解くと、
    4y=-3x+5
    y=-3/4x+5/4

    この直線の傾きは、-3/4であることがわかりました。
    では、それと垂直な直線PQの傾きは、4/3です。
    垂直な2直線の傾きの積は、-1だからです。

    直線PQの傾きは、P(1,2)、Q(a , b) を、変化の割合の公式に代入すると、
    b-2 / a-1 です。
    よって、
    b-2 / a-1=4/3
    これを整理すると、
    4(a-1)=3(b-2)
    これは、両辺が分数のときに、互いの分母×分子は等しいことを利用しました。
    4a-4=3b-6
    4a-3b=-2 ・・・①

    式が1本出来ました。
    もう1本式があれば、Q(a , b) を求めることができます。

    線分PQの中点が、対称の軸を通ることを利用しましょう。
    線分PQの中点の座標は、(a+1 / 2 , b+2 / 2)。
    これが直線3x+4y=5を通るから、
    3( a+1 / 2) +4(b+2 / 2)=5
    各辺を2倍して、
    3(a+1)+4(b+2)=10
    これを整理して、
    3a+3+4b+8=10
    3a+4b=-1 ・・・②

    ①、②を連立して、aとbを求めましょう。
    ①×4+②×3 をすると、
    25a=-11
    a=-11/25 ・・・③

    ③を②に代入して、
    3・(-11/25)+4b=-1
    -33+100b=-25
    100b=8
    b=2/25

    よって、Q(-11/25 , 2/25)

    P(1,2)、Q(-11/25 , 2/25)より、PQ間の距離を求めることができます。
    2点の距離を求める公式に代入して、
    √(-11/25-1)2+(2/25-2)2
    =√(-36/25)2+(48/25)2
    =√1296+2304 / 252
    =√3600 / 252
    =60/25
    =12/5

    PQ間の距離が12/5ですので、点Pと対称の軸との距離は、その1/2ですから、
    12/5×1/2
    =6/5

    できました。


    とはいえ、計算が面倒でしたね。

    ・・・これ、公式があったんじゃない?
    そのようなツッコミもあるかと思います。
    はい。
    これは公式に代入して、もっと簡単に答を出せる問題なのです。
    まずは公式を確認しましょう。

    直線 ax+by+c=0 と、この直線外の点(x1,y1)との距離dは、
    d=|ax1+by1+c| / √a2+b2

    このブログの表示では、もう何のことやらさっぱりわからないかもしれません。
    お手元の教科書・参考書で確認されるか、上の画像をご覧ください。
    公式そのものは、そんなに特殊なものではなく、どこの高校でも必ず学習する基本公式です。

    これに代入すると、上の問題は、点(1,2)から直線3x+4y-5=0 までの距離となりますから、
    |3・1+4・2-5| / √9+16
    =|6|/ √25
    =6/5

    と簡単に求めることができます。

    ただ、数学が苦手な子は、そもそも絶対値記号のことを忘れていたり、
    「3・1+4・2+5ではないのは、なぜですか?」
    と質問し、そこの思い込みからなかなか抜け出せないことがあります。

    3x+4y-5=0 と移項したからですよと説明すればわかってくれる場合は比較的簡単ですが、
    「絶対値は正の数なのだから、-5というのはおかしい。+5でなければおかしい」
    という論理のねじれや歪みが生じている場合は、説得は簡単ではありません。
    数学の問題を解いていて、このような論理のねじれや歪みを起こしやすい人がいます。
    絶対値の基本に戻り、|-2|=2といった、絶対値記号の内側は負の数でも構わないことを確認し、誤解を解いていく必要があります。
    自力では、こうした誤解からなかなか脱出できません。
    個別指導の強みはそこです。
    どんな妄言でもよいので、妄言は妄言のまま声に出してくれると、解決への道が開かれます。

    さて、では、この公式の証明を始めましょう。
    直線 ℓ : ax+by+c=0 と、この直線外の点P(x1, y1) がある。
    Pから ℓ に引いた垂線と ℓ との交点をH(x2, y2) とすると、
    PH=√(x2-x1)2+(y2-y1)2 ・・・①
    また H は直線 ℓ 上の点だから、
    ax2+by2+c=0 ・・・②
    ここで、
    (ⅰ) ab≠0 のとき、
    ℓ の傾きは、-a / bであるから、直線PHの傾きは、b/a
    よって、
    y2-y1 / x2-x1=b / a
    これを整理すると、
    y2-y1=b / a ・ x2-x1
    y2-y1 / b=x2-x1 / a
    この値をtとおく。
    すなわち、
    x2-x1 / a=t、 y2-y1 / b=t、
    これを変形して、
    x2-x1=at 、 y2-y1=bt
    x2=at+x1 、 y2=bt+y1 ・・・③
    これを②に代入して、
    a(at+x1)+b(bt+y1)+c=0
    これをtについて解くと、
    a2t+ax1+b2t+by1+c=0
    t(a2+b2)=-ax1-by1-c
    t=-ax1-by1-c / a2+b2 ・・・④
    ③、④を①に代入すると、
    PH=√a2t2+b2t2
    =√(a2+b2)t2
    =√(a2+b2)t2・(ax1+by1+c)2 / (a2+b2)2
    =√(ax1+by1+c)2 / (a2+b2)
    =|ax1+by1+c| / √a2+b2 ・・・⑤

    (ⅱ)a=0、b≠0のとき、
    y=-c/b
    PH=|y1+c /  b|
    =|by1+c|/ |b|
    ⑤の式からもこれと同じ式が得られる。
    またa≠0、b=0のときも、同様のことがいえる。
    よって、aかbのいずれか1つが0のときも、PHは⑤の式であらわされる。

    したがって、(ⅰ)(ⅱ)より、
    PH=|ax1+by1+c| / √a2+b2

    公式の証明を理解したら、あとは活用するだけです。
    この公式は、使う機会がとても多い公式ですので、早めに覚えて活用しましょう。


      


  • Posted by セギ at 11:29Comments(0)算数・数学