2024年12月28日
冬休みなので、難問を。円に外接する多角形の1辺の長さ。
冬休みなので、難問を解いてみましょう。
中3または高校数学の知識で解くことができる問題です。
問題1 半径1の円に外接する正六角形の1辺の長さを求めよ。
問題2 半径1の円に外接する正十二角形の1辺の長さを求めよ。
自分で解きたい方は、ここでブログを閉じてください。
以下は、解説です。
まずは問題1から。
こういう問題では、図を自分で描く必要がありますが、幾度それを助言されても、絶対に図を描かない生徒もいます。
描き方がわからない、と本人たちは言うのですが、その「わからない」の何がわからないのかは、不可解です。
円を描いて、その周りに、下手でもいいから正六角形を描くことの何がわからないのか?
上手く描ける気がしないし、描いたからといって、それで解ける気がしない。
そういう気持ちのほうが強いのではないかと思うのです。
結局、本人の中で、図を描くことが、自分の気持ちを少し犠牲にしてでも行うべきことだと思えないのではないか。
生徒は、どんなに数学が苦手な子でも、本人なりに何かを判断しています。
その判断が間違っているから、数学が得意にならないのだと思うのです。
一方、数学が好きな人は、
「この問題で図を描かないなんて、それじゃ解けないのに。何でそんな気持ち悪いことができるんだろう。図を描けば、解けるのに」
という確信が強いのです。
というわけで、図を描きましょう。
画像の左側が、半径1の円に外接する正六角形の図です。

円の中心をOとし、正六角形の頂点を図のように、点A、点Bとしてみました。
正六角形ですので、辺の長さはすべて等しいです。
中心Oと正六角形の角頂点を結んでできる三角形は、すべて合同です。
360÷6=60 で、
∠AOB=60° となります。
また、△OABは、OA=OBの二等辺三角形です。
頂角が60°の二等辺三角形。
つまり、△ABCは、正三角形だとわかります。
これでわかりました。
正三角形も一種の二等辺三角形ですから、頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分します。
よって、OM⊥AB
また、AM=BM
∠BOM=30°
∠OBM=60°
です。
△OMBは、内角が30°、60°、90° の特別な比の三角形だとわかりました。
辺の比は、1:2:√3
ここで、OMは、円の半径ですから、OM=1
よって、BM=1÷√3=1/√3=√3/3
AB=2BM=2√3 / 3
したがって、外接する正六角形の1辺の長さは、2√3 / 3 です。
続いて、問題2を解きましょう。
問題2 半径1の円に外接する正十二角形の1辺の長さを求めよ。

今度は右側の図を見てください。
半径1の円に外接する正十二角形を、正六角形を用いて描き起こそうとしています。
正十二角形の各頂点と円の中心Oとを結べば、12個の合同な二等辺三角形を描くことができます。
その二等辺三角形の頂角は、
360÷12=30
で、30°
頂角30°の二等辺三角形を1つ描いてみましょう。
OBと円との交点をEとします。
∠MOBの二等分線とMBとの交点をCとします。
∠COE=15°
CEの延長上に、∠EOD=15° となる点Dをとります。
△OCDは、頂角30°の二等辺三角形となります。
二等辺三角形の性質から、OE⊥CDで、CE=DEとなります。
さあ、準備は整いました。
CEの長さがわかれば、それを2倍すれば、正十二角形の1辺の長さです。
CEを1辺に持つ直角三角形があれば・・・。
あります!
△BCEが、直角三角形です。
OEは、円の半径ですから、
OE=1
△OABは正三角形でしたから、問題1より、
OB=2√3 / 3
よって、BE=2√3/3 -1
∠B=60°
∠CEB=90° ですから、
△BCEも、特別な比の直角三角形です!
よって、
CE=√3・BE=√3(2√3/3-1)=2-√3
正十二角形の1辺はCDです。
CD=2CE=2(2-√3)=4-2√3
したがって、正十二角形の1辺の長さは、4-2√3 です。
図を描いたからこそ、この解き方にたどりつくことができました!
図は大切。
「描き方がわからないし」
「どうせ、描いてもわからないから、無駄だし」
という気持ちもわかるのですが、そんなふうにくさらず、諦めないで、描き続けましょう。
描いたからこそ解けた問題に、いつか必ず到達します。
中3または高校数学の知識で解くことができる問題です。
問題1 半径1の円に外接する正六角形の1辺の長さを求めよ。
問題2 半径1の円に外接する正十二角形の1辺の長さを求めよ。
自分で解きたい方は、ここでブログを閉じてください。
以下は、解説です。
まずは問題1から。
こういう問題では、図を自分で描く必要がありますが、幾度それを助言されても、絶対に図を描かない生徒もいます。
描き方がわからない、と本人たちは言うのですが、その「わからない」の何がわからないのかは、不可解です。
円を描いて、その周りに、下手でもいいから正六角形を描くことの何がわからないのか?
上手く描ける気がしないし、描いたからといって、それで解ける気がしない。
そういう気持ちのほうが強いのではないかと思うのです。
結局、本人の中で、図を描くことが、自分の気持ちを少し犠牲にしてでも行うべきことだと思えないのではないか。
生徒は、どんなに数学が苦手な子でも、本人なりに何かを判断しています。
その判断が間違っているから、数学が得意にならないのだと思うのです。
一方、数学が好きな人は、
「この問題で図を描かないなんて、それじゃ解けないのに。何でそんな気持ち悪いことができるんだろう。図を描けば、解けるのに」
という確信が強いのです。
というわけで、図を描きましょう。
画像の左側が、半径1の円に外接する正六角形の図です。

円の中心をOとし、正六角形の頂点を図のように、点A、点Bとしてみました。
正六角形ですので、辺の長さはすべて等しいです。
中心Oと正六角形の角頂点を結んでできる三角形は、すべて合同です。
360÷6=60 で、
∠AOB=60° となります。
また、△OABは、OA=OBの二等辺三角形です。
頂角が60°の二等辺三角形。
つまり、△ABCは、正三角形だとわかります。
これでわかりました。
正三角形も一種の二等辺三角形ですから、頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分します。
よって、OM⊥AB
また、AM=BM
∠BOM=30°
∠OBM=60°
です。
△OMBは、内角が30°、60°、90° の特別な比の三角形だとわかりました。
辺の比は、1:2:√3
ここで、OMは、円の半径ですから、OM=1
よって、BM=1÷√3=1/√3=√3/3
AB=2BM=2√3 / 3
したがって、外接する正六角形の1辺の長さは、2√3 / 3 です。
続いて、問題2を解きましょう。
問題2 半径1の円に外接する正十二角形の1辺の長さを求めよ。

今度は右側の図を見てください。
半径1の円に外接する正十二角形を、正六角形を用いて描き起こそうとしています。
正十二角形の各頂点と円の中心Oとを結べば、12個の合同な二等辺三角形を描くことができます。
その二等辺三角形の頂角は、
360÷12=30
で、30°
頂角30°の二等辺三角形を1つ描いてみましょう。
OBと円との交点をEとします。
∠MOBの二等分線とMBとの交点をCとします。
∠COE=15°
CEの延長上に、∠EOD=15° となる点Dをとります。
△OCDは、頂角30°の二等辺三角形となります。
二等辺三角形の性質から、OE⊥CDで、CE=DEとなります。
さあ、準備は整いました。
CEの長さがわかれば、それを2倍すれば、正十二角形の1辺の長さです。
CEを1辺に持つ直角三角形があれば・・・。
あります!
△BCEが、直角三角形です。
OEは、円の半径ですから、
OE=1
△OABは正三角形でしたから、問題1より、
OB=2√3 / 3
よって、BE=2√3/3 -1
∠B=60°
∠CEB=90° ですから、
△BCEも、特別な比の直角三角形です!
よって、
CE=√3・BE=√3(2√3/3-1)=2-√3
正十二角形の1辺はCDです。
CD=2CE=2(2-√3)=4-2√3
したがって、正十二角形の1辺の長さは、4-2√3 です。
図を描いたからこそ、この解き方にたどりつくことができました!
図は大切。
「描き方がわからないし」
「どうせ、描いてもわからないから、無駄だし」
という気持ちもわかるのですが、そんなふうにくさらず、諦めないで、描き続けましょう。
描いたからこそ解けた問題に、いつか必ず到達します。
2024年12月21日
高校英語長文読解。間違っているものを選ぶ四択問題。

さて、こんな長文問題を生徒と解いたときのことです。
Is there a creative writer who hasn't at times wondered what drives thousands of people to spend thousands of hours thinking about and writing made-up stories? At best these stories will be read by thousands of people who have got nothing better to do than read made-up stories! Is there some evolutionary need that has molded our minds to seek stories? Steven Pinker, the author of How the Mind Works, controversially tells that music confers no survival advantage but that fiction can "supply us with a mental catalogue of the fatal difficulties we might face someday and the outcome of strategies we could make use of in them." Perhaps for writers of fiction the truth of this is even greater. But what does this mean for the mind? Does it tell we have special systems in our brains that have evolved for the purpose of creating stories that might some day be useful in our real lives? And why is it that some people are better at making up stories than others, and if they are, are they therefore better prepared for whatever life throws at them?
問 This paragraph asks all of the following questions EXCEPT
あ. Why do people read and write fiction?
い. Dose the brain have a need to create stories?
う. What is the relation between music and fiction?
え. Does writing stories help us deal with real life?
かなり難しいですが、例によって、わからないところはわからないまま、読んでもらいました。
まずは、第1文。
Is there a creative writer who hasn't at times wondered what drives thousands of people to spend thousands of hours thinking about and writing made-up stories?
「創造的な作家はいるだろうか。ときどき不思議に思うことがない。何が運転するのか。何千人の人々に。費やすように。何千時間考えて書くことを。メイドアップな物語を」
「ここのdrive は、運転するという意味ではなさそうですので、ドライブのままで理解しましょう」
続けて、第2文。
At best these stories will be read by thousands of people who have got nothing better to do than read made-up stories!
「せいぜい、これらの物語は、読まれるだろう。何千人の人々に。何も得ていない。メイドアップな物語を読むよりも良いことを」
第3文。
Is there some evolutionary need that has molded our minds to seek stories?
「何かエボルーショナルな必要があるだろうか。私たちの心に物語をシークするようモールドする」
「・・・はい」
第4文。
Steven Pinker, the author of How the Mind Works, controversially tells that music confers no survival advantage but that fiction can "supply us with a mental catalogue of the fatal difficulties we might face someday and the outcome of strategies we could make use of in them."
「スティーブン・ピンカー、How the Mind Works の著者は、コントラバースリーに言う。音楽はコンファーしない。生き残る有利を。しかし、フィクションは、私たちに供給する。心のカタログで。フェイタルな困難の。私たちがいつか直面するかもしれない。そして、戦略のアウトカムを。私たちが利用できる。その中で」
かなり単語を覚えているほうです。
第5文。
Perhaps for writers of fiction the truth of this is even greater.
「多分、フィクションの作家にとって、この真実は、より偉大ですらある」
第6文。
But what does this mean for the mind?
「しかし、これは何を意味するのだろうか。精神にとって」
第7文。
Does it tell we have special systems in our brains that have evolved for the purpose of creating stories that might some day be useful in our real lives?
「それは言うだろうか。私たちが特別なシステムを持っていることを。私たちの脳の中に。エボルブした。物語を作る目的のために。いつか役に立つ。私たちの本当の人生に」
第8文。
And why is it that some people are better at making up stories than others, and if they are, are they therefore better prepared for whatever life throws at them?
「そして、なぜだろう。ある人々のほうが得意なのは。物語を作るのが。他人よりも。そして、もし彼らがそうならば、彼らはそれゆえに、よりよく準備しているのだろうか。どんな人生が彼らに投げられても」
問 This paragraph asks all of the following questions EXCEPT
あ. Why do people read and write fiction?
い. Dose the brain have a need to create stories?
う. What is the relation between music and fiction?
え. Does writing stories help us deal with real life?
英文が、このように多少難しくても、選択肢のほうは比較的易しいということは多いです。
選択肢が日本語の場合すらあります。
このように平易な選択肢が並んでいれば、それでむしろ、この英文は何について書かれているのか、理解の助けになります。
英文の内容を整理し、要約してくれています。
有難い。
この4つのうち、3つは、正しい選択肢なのですよ。
こういうことが書いてある英文なのですね。
そのつもりで見直すと、わかりにくかった英文がほぐれて、ああそういう意味か、と理解しやすくなるのです。
あ. なぜ人々はフィクションを読んだり書いたりするのか。
い. 脳は物語を創造する必要があるのだろうか。
う. 音楽とフィクションとの関係は何だろうか。
え. 物語を書くことは、私たちが現実生活に対処するのを助けるだろうか。
「答は?」
「え」
「・・・違います」
完璧でないとしても、この程度は意味を取ることができているのなら、正解しても良いはずなのに、なぜか誤答してしまう・・・。
そういう不器用なタイプの生徒もいます。
「問の This paragraph asks all of the following questions EXCEPT の意味はわかりますか?」
「・・・このパラグラフは、尋ねる。すべての以下の質問を。~を除いて」
「そうです。よくわかっているじゃないですか。つまり、この段落には、多くの疑問が提示されているのですが、あ~えの選択肢の中で、1つだけ示されていない疑問があります。それを選ぶんですよね?」
「はい」
「間違っている選択肢を選ぶ問題ですよね?正しい選択肢を選んでしまった、ということではないですよね?」
「はい」
「え. Does writing stories help us deal with real life? を訳してください」
「・・・書かれた物語は助ける。私たちを。本当の人生を処理することを」
「・・・writing stories は、書かれた物語、ではないです。書かれた物語ならば、written stories 。writing stories は、動名詞。そうすると、そこのところは、どういう意味でしょうか」
「書いている物語は・・・」
「・・・動名詞ですよ。分詞じゃないんです。耳に届いてますか?動名詞、です」
一度思い込むと、修正が効かないということは、生徒にはよくあります。
動名詞という文法事項を知らないわけではないのに、間違えるとパニックを起こして、ヒントが耳に届きにくくなります。
「動名詞です。~すること、です。物語を書くこと、です」
「ああ・・・。どう見分けるんですか」
「文脈で判断します。ストーリーさんが何かを書くわけがないので、分詞だとは思えません。だから、動名詞です」
「ああ・・・」
「物語を書くことが、私たちを助けるんです。私たちが何をすることを助けるんですか」
「本当の人生を・・・」
「・・・間違ってはいないですが、何か少し変ですね。real life は『現実生活』という意味です」
「どう見分けるんですか」
「本当の人生ならば、true life じゃないですかね」
おそらく、中学生の頃から、really を見慣れ過ぎていて、それはいつも「本当に」と訳してきたので、そこからの類推で、real life を、本当の人生、と訳してしまうのだと思います。
完全に間違っているわけではないですが、訳し方のバリエーションが不足していて、いつも1つの固定した訳しかできない子は、少しずつニュアンスのズレた訳が集まって集まって、結果として英文全体の意味がよくわからない、ということが起こりやすいです。
「deal with の意味は?」
「処理する」
「うーん・・・。では、全体の訳をもう一度」
「物語を書くことは、私たちを助ける。現実生活を処理することを」
「うーん・・・。やはり、処理するが少し気持ち悪いですね。deal with は、対処する、という意味で覚えておいほうが使いまわしが効きますよ」
「・・・」
書いてある物語は、私たちが本当の人生を処理するのを助ける。
という誤訳。
物語を書くことは、私たちが現実生活に対処するのを助ける。
という訳。
似ていますし、上の誤訳で十分正答に至ることのできる生徒もいますが、若干頭が固くて、だから、訳も固くなるタイプの子は、自分の誤訳が、本文のどこかに書いてあるとは思えず、そうすると「え」が答、となってしまうようです。
この問いかけは、第7文に書いてありました。
Does it tell we have special systems in our brains that have evolved for the purpose of creating stories that might some day be useful in our real lives?
「私たちの脳の中には、特別なシステムがあるというのだろうか / 物語を作る目的のために進化した / いつか、私たちの現実生活に役にたつかもしれない」
日本語らしい順番に並べれば、
私たちの脳の中には、いつか現実生活に役にたつかもしれない物語を作るために進化した特別なシステムがあるというのだろうか。
書いてありますね。
では、「え」は正解ではないです。
間違っているものを選ぶ四択問題は、選択肢を読んでいるうちに正しい選択肢を選んでしまうという失敗をしてしまう子が多いです。
さすがに高校生ですから、設問を読んで、間違っている選択肢を選ぶのだと一応認識しているのですが、読んでいるうちに忘れてしまうようです。
それがまず、初歩のつまずき。
次に、間違っている選択肢を選ぶということは理解しているものの、英文を読む力が弱く、本文も、選択肢も、実際のところほとんど読み通すことができない場合。
何度も書いてきましたが、本文と同じ語句が使われている選択肢が正しい選択肢、使っていなければ間違っている選択肢、という判断しかできない学力の子たちもいます。
しかし、むしろ、正しい選択肢は、本文を言い換えていることのほうが多いのです。
とはいえ、今回は、どの選択肢も、本文中に使われている言葉が入っているので、そういう観点で選択肢を選ぶことはできません。
第三段階になると、上のように、意味の取り方が固いため、本文に書かれていることとはニュアンスが異なってしまって、
「こんなことは書いていない」
と思って選んでしまう子。
単語暗記はしているのですが、1単語について1つの訳して覚えていないので、すべてが固いのです。
これは、経験不足によるところが大きいです。
教科書の英文を自分で日本語に訳して、模範の訳と照らし合わせて、正しいニュアンスの訳をつかんでいく練習。
あるいは、日本語から英語に直すことで、この日本語がこんな英語になるんだいう感覚を養っていく練習。
そういう基本の積み重ねが、初見の長文を読む際に、底力となります。
とはいえ、この問題、本文の多少の難しさとバランスをとるように、設問自体は非常に簡単です。
正解は、「う. What is the relation between music and fiction?」です。
音楽とフィクションとの間の関係は何であるか。
そんな話、してないですよね。
音楽という単語は、1回だけ出てきますが。
第4文。
Steven Pinker, the author of How the Mind Works, controversially tells that music confers no survival advantage but that fiction can "supply us with a mental catalogue of the fatal difficulties we might face someday and the outcome of strategies we could make use of in them."
「スティーブン・ピンカー、How the Mind Works の著者は、コントラバースリーに言う。音楽はコンファーしない。生き残る有利を。しかし、フィクションは、私たちに供給する。心のカタログで。フェイタルな困難の。私たちがいつか直面するかもしれない。そして、戦略のアウトカムを。私たちが利用できる。その中で」
生徒のこの訳で、十分だと思います。
音楽ができないことをフィクションは行うと語っているだけで、『関係』は語っていません。
そのことは、この訳で十分わかります。
長文読解は、どれだけ単語を覚えても、自分が第一志望とする大学や、受けようと思う英検の級では、知らない単語が出てくるのは仕方ありません。
全て知っている単語ばかりの長文は、自分にとって完全に格下レベルの長文です。
滑り止めの大学ならわかりますが、第一志望でそれはないでしょう。
英検ならば、もう1つ上の級を受けたらいいのです。
つまり、知らない単語は、問題文の中に常に出てきます。
知らない単語は英語のままで読み通していけばよいのです。
それには、常にこのような練習をしていく必要があります。
前から順番に訳すのも、そのためです。
日本語の順番に整えようとし、修飾関係を考えて訳そうとすると、負荷がかかり、混乱します。
それは、「和訳せよ」という設問のときにのみ、対応すればいいことです。
読み進めていくときに、そんなことは必要ありません。
わからない単語は、わかってみれば、どうでもいい単語のことが多いのです。
意味をちょっと強めているか、弱めているだけ。
副詞の場合は特にそうです。
それでも気になる人は、辞書ではなく、自分の単語集の索引で、わからなかった単語を引いてみるのをお勧めします。
単語集に載っているのにわからなかった単語のことは、多少反省したほうがいいです。
覚え直しましょう。
しかし、単語集にも載っていない単語なら、入試問題としては、どうでもいいと見切るのも、実践的な英語学習法です。
2024年12月13日
中1数学「反比例」と計算力。

中1の数学「比例と反比例」は、半分以上は小6の復習ですので、習得できない内容ではないはずなのですが、特に反比例の場合、計算力の壁が立ちはだかる場合があります。
まずは、計算力をそれほど問われない、簡単な問題から。
例えば、こんな問題です。
問題 y=6 / x とする。x=2 のときの y の値を求めなさい。
与えられた式に代入すればいいだけだということを、ほとんどの生徒が知っています。
y=6 / 2
=3
と、簡単に解くことができます。
しかし、以下のような問題になると、もう解けない子が現れます。
問題 y=3 / x とする。x=2/3 のときの y の値を求めなさい。
数学が苦手な子は、数の扱いが不器用であることが多く、分数の分母が分数になるときにどうしたらいいのか、もうわからないのです。
分数というのは、わり算です。
分子÷分母です。
だから、
y=3÷2/3
=3×3/2
=9/2
と、解いていくことができます。
しかし、数学が苦手な子は、「分数は、分子÷分母のわり算である」という知識が身につきません。
分母が分数になった瞬間に、計算できなくなります。
1÷3=1/ 3
こうした式を例に挙げ、分数は「分子÷分母」であることを実感で理解してもらおうとします。
そのときは、理解した顔をします。
しかし、宿題に出すと、またわからない。
「わからなかった」
と言って、解いてきません。
翌週の授業でも、もう忘れています。
なぜか、定着しないのです。
こんな問題も、数学が苦手な子は対応できません。
問題 y=3/x とする。y=2/5のときの x の値を求めなさい。
代入することはできますが、
2/5=3/x
と代入したまま、立ち往生となります。
分母が x の方程式をどう解いていいのか、わからないのです。
まずは両辺をx倍して、
2/5x=3
両辺に5/2をかけて、
x=15/2
このようにスマートに解いていける中1は、相当に数学が得意な子のみです。
実は、分数=分数 の形になったときには、もっと簡単な解き方があって、互いの分母と分子をたすきにかけて、式を変形することが可能です。
比例式を解く際の、(内項の積)=(外項の積) と同じ考え方ですが、比と分数は同じカテゴリーのものであるというのは、小学校で学習している割に定着しない学習内容です。
2/5=3/x より
2x=15
x=15/2
です。
慣れれば簡単です。
高校生になったら、特に、「三角比」の正弦定理を利用した問題を解くときに、この解き方を知っていると計算が速く正確になります。
しかし、これは、高校生でも数学が得意な子でないと定着しないことが多く、中1に教えるのはまだ早い解き方ではあります。
もっと数学が苦手な子になると、yの値が整数でも、解けなくなります。
問題 y=3/x とする。y=6のときの x の値を求めなさい。
6=3/x
までは、式を立てることができるのですが、その後、どうしていいかわからず、あてずっぽうで、
x=18
といった答を書き、それが不正解となるとさらに混乱していきます。
数の扱いと方程式の解法に習熟していないのです。
特に、分数の扱い方がわかっていません。
小学校の頃から分数が苦手で、分数は「分数」という単元が終わればもう忘れていいもの、という希望的観測で生きてきたような気配を感じます。
中1の「比例・反比例」以前の単元を学習していても、その兆候は感じます。
方程式の計算のとき、答が分数になると、
「割り切れない」
と訴えてきます。
「割り切れないときは、分数ですよ」
と説明すると、ひるんだ顔をします。
そんなことがあるとは予想していなかった。
分数の単元でもないのに、分数を出してくるなんて、卑怯だ。
・・・と、そこまで思っているかどうかはわかりませんが、とにかく、分数を使わないで数学の問題を解きたいという意志を強く感じるのです。
まだ中1くらいですと、答が整数にならないときは、小数で解いてくる子も多いです。
別に間違ってはいないですが、「データ」に関する単元のとき以外は、基本的には小数は使わず、分数で処理しましょう、小数は割り切れない、という限界がありますが、分数は全ての実数を表すことができますから。
そう説明しても、乗り気でない顔をするばかりです。
余程分数に関して苦手意識があるのでしょう。
実際、本当に数学が苦手な子になると、分数の加減乗除のやり方を忘れていることがあります。
「通分」「約分」といった言葉の意味も忘れています。
それでは分数を避けたがるだろうなあとは思うのです。
やり方をただ丸暗記して、その単元が終われば忘れて、を繰り返してきた子は、分数の計算ができないのです。
分数の計算に習熟してもらうという課題は課題として。
反比例の問題は、もっと簡単に解く方法があります。
反比例の式を答えなさいという問題ならば、フォーマルな形の、
y=a / x
で答える必要がありますが、自分で計算するときには、この形にこだわる必要はありません。
それを変形した、
xy=a
を使えば、計算はどれも簡単になります。
問題 y=3 / x とする。x=2/3 のときの y の値を求めなさい。
この場合は、xy=3 ということですから、
x=2/3 を代入して、
2/3y=3
両辺に3/2をかけて、
y=9/2
とすぐに答が出ます。
ただし、上の解き方は、できない子もいます。
その場合は、もっと段階を踏んで、
2/3y=3
両辺を3倍して、
2y=9
両辺を2で割って、
y=9/2
でも、大丈夫です。
y について解くということは、y の係数を1にするということ。
2/3はどうすれば1になるか?
逆数の3/2をかければいい。
この考え方も、数学が苦手な子にはあまり理解できない考え方なので、その理解には時間がかかります。
数理の基盤がないことが、こういう細部で露呈します。
小学校の6年間、やり方を覚えて忘れてを繰り返すのみという間違った学習を続けてきたので、そう簡単には定着しません。
しかし、絶望する必要もないのです。
高校生になる頃には、案外するっと理解できたりしますから、時機を待ちましょう。
問題 y=3/x とする。y=2/5のときの x の値を求めなさい。
これも、xy=3 の式に代入するのなら、楽に計算していけます。
2/5x=3
x=15/2
です。
このように計算すれば、計算力の乏しい子も、正解を出すことができます。
しかし、残念なことに、計算力の乏しい子、数学が苦手な子ほど、この解き方も定着しない傾向があります。
y=a / x の式にこだわらず、計算過程では、xy=a を使っていく。
その解き方を、
「あ、便利ですね」
とスッと理解し、さっと利用するのは、もともと数学が得意な子たちです。
数学が苦手な子たちは、こうした楽な解き方を解説しても、それもまたすぐに忘れ、宿題は、y=a / x の式に代入する杓子定規な解き方をしようとして上手くできず、白紙とするか、計算ミスをするか、となりがちです。
数学が得意な子と苦手な子との格差は、このようにして開いていくばかりです。
なぜ定着しないのでしょうか?
理由はその子によって色々です。
まず、便利であることは一応理解できるが、すぐに忘れてしまう子が大多数です。
記憶がもたないのです。
宿題を解く頃には、もう忘れています。
教わったことを復習してから宿題を解く、という習慣もありません。
身につかないことは、永久に身につかずに終わっていきます。
解説を黙って聞いているが、心の中で却下している子もいるのでしょう。
「学校で習っていない。学校で習っていない解き方をすると、学校の先生に目をつけられる」
そのような意識が強い場合もあれば、
「そんな解き方は良くない」
となぜか根拠のない本人の判断を絶対視しているタイプの子もいます。
「解き方を2つも覚えられない。1つだけでいい」
と思っている場合もあると思います。
数学は色々な解き方が可能な、のびやかな教科です。
それなのに、1つの解き方を丸暗記する解き方しかできない・・・。
数理の基盤が本人の中にないので、何をしても良くて何をしたらダメなのか、本人には判断できないのです。
頭が本当に硬い子になると、比例の問題でも不正解となります。
問題 y=5x とする。y=3 のときの x の値を求めなさい。
3=5x
という代入した式を立てることはできますが、その先が上手く計算できません。
5x=3
と、左辺と右辺を取り換えれば簡単な方程式ですよと助言しても、不可解なほどに、その助言には従いません。
3=5x
という方程式を睨みつけ、長考の末、
x=15
と答えたりします。
これも、「答が分数になるのは嫌だ」という感情が働いてのこともあるのでしょうが、右辺と左辺を取り換えないのは、数学が苦手な子の特徴です。
いちいち書き換えるのが面倒なら、最初から、
5x=3
と書けばいいのですが。
y=5x に y=3を代入して、
5x=3
と書いてある答案に、どこの誰がケチをつけるというのか?
でも、なぜか、
「そういうことはしてはいけない!」
と思い込んでしまうようです。
それでいて、
3=5x
と書いた後に、
5x=3
と書き換えることもしない・・・。
頭の疲れる暗算に自分を追い込み、そして間違えてしまうのです。
比例・反比例の理解よりもはるか手前の段階で、つまずいている子は多いです。
計算力が足りないのが根本ですが、それは小学校の計算ドリルや、今はあまり言われなくなった「百マス計算」で解決がつくことではない、もっと伸びやかな計算力が足りないのです。
小学生のうちに身についていてほしい数理の基盤が形成されていない・・・。
数に対する感覚が、育っていない・・・。
だから、分数をひたすら忌避するような、数学的原始人の状態に陥っています。
基盤がないから、中1の1学期に学習した「等式の性質」も、血肉となっていない。
だから、方程式の解き方が、ただの作業手順となり、そこから少しでも外れると、できなくなってしまう・・・。
数学が苦手な原因は何なのか?
どこでつまずいているのか。
まずは、その正確な分析をし、一つ一つ、克服していきましょう。
壁は、この先も、いくつもいくつも立ちはだかると思います。
しかし、全ての壁は、扉なのです。
まずは、計算力をそれほど問われない、簡単な問題から。
例えば、こんな問題です。
問題 y=6 / x とする。x=2 のときの y の値を求めなさい。
与えられた式に代入すればいいだけだということを、ほとんどの生徒が知っています。
y=6 / 2
=3
と、簡単に解くことができます。
しかし、以下のような問題になると、もう解けない子が現れます。
問題 y=3 / x とする。x=2/3 のときの y の値を求めなさい。
数学が苦手な子は、数の扱いが不器用であることが多く、分数の分母が分数になるときにどうしたらいいのか、もうわからないのです。
分数というのは、わり算です。
分子÷分母です。
だから、
y=3÷2/3
=3×3/2
=9/2
と、解いていくことができます。
しかし、数学が苦手な子は、「分数は、分子÷分母のわり算である」という知識が身につきません。
分母が分数になった瞬間に、計算できなくなります。
1÷3=1/ 3
こうした式を例に挙げ、分数は「分子÷分母」であることを実感で理解してもらおうとします。
そのときは、理解した顔をします。
しかし、宿題に出すと、またわからない。
「わからなかった」
と言って、解いてきません。
翌週の授業でも、もう忘れています。
なぜか、定着しないのです。
こんな問題も、数学が苦手な子は対応できません。
問題 y=3/x とする。y=2/5のときの x の値を求めなさい。
代入することはできますが、
2/5=3/x
と代入したまま、立ち往生となります。
分母が x の方程式をどう解いていいのか、わからないのです。
まずは両辺をx倍して、
2/5x=3
両辺に5/2をかけて、
x=15/2
このようにスマートに解いていける中1は、相当に数学が得意な子のみです。
実は、分数=分数 の形になったときには、もっと簡単な解き方があって、互いの分母と分子をたすきにかけて、式を変形することが可能です。
比例式を解く際の、(内項の積)=(外項の積) と同じ考え方ですが、比と分数は同じカテゴリーのものであるというのは、小学校で学習している割に定着しない学習内容です。
2/5=3/x より
2x=15
x=15/2
です。
慣れれば簡単です。
高校生になったら、特に、「三角比」の正弦定理を利用した問題を解くときに、この解き方を知っていると計算が速く正確になります。
しかし、これは、高校生でも数学が得意な子でないと定着しないことが多く、中1に教えるのはまだ早い解き方ではあります。
もっと数学が苦手な子になると、yの値が整数でも、解けなくなります。
問題 y=3/x とする。y=6のときの x の値を求めなさい。
6=3/x
までは、式を立てることができるのですが、その後、どうしていいかわからず、あてずっぽうで、
x=18
といった答を書き、それが不正解となるとさらに混乱していきます。
数の扱いと方程式の解法に習熟していないのです。
特に、分数の扱い方がわかっていません。
小学校の頃から分数が苦手で、分数は「分数」という単元が終わればもう忘れていいもの、という希望的観測で生きてきたような気配を感じます。
中1の「比例・反比例」以前の単元を学習していても、その兆候は感じます。
方程式の計算のとき、答が分数になると、
「割り切れない」
と訴えてきます。
「割り切れないときは、分数ですよ」
と説明すると、ひるんだ顔をします。
そんなことがあるとは予想していなかった。
分数の単元でもないのに、分数を出してくるなんて、卑怯だ。
・・・と、そこまで思っているかどうかはわかりませんが、とにかく、分数を使わないで数学の問題を解きたいという意志を強く感じるのです。
まだ中1くらいですと、答が整数にならないときは、小数で解いてくる子も多いです。
別に間違ってはいないですが、「データ」に関する単元のとき以外は、基本的には小数は使わず、分数で処理しましょう、小数は割り切れない、という限界がありますが、分数は全ての実数を表すことができますから。
そう説明しても、乗り気でない顔をするばかりです。
余程分数に関して苦手意識があるのでしょう。
実際、本当に数学が苦手な子になると、分数の加減乗除のやり方を忘れていることがあります。
「通分」「約分」といった言葉の意味も忘れています。
それでは分数を避けたがるだろうなあとは思うのです。
やり方をただ丸暗記して、その単元が終われば忘れて、を繰り返してきた子は、分数の計算ができないのです。
分数の計算に習熟してもらうという課題は課題として。
反比例の問題は、もっと簡単に解く方法があります。
反比例の式を答えなさいという問題ならば、フォーマルな形の、
y=a / x
で答える必要がありますが、自分で計算するときには、この形にこだわる必要はありません。
それを変形した、
xy=a
を使えば、計算はどれも簡単になります。
問題 y=3 / x とする。x=2/3 のときの y の値を求めなさい。
この場合は、xy=3 ということですから、
x=2/3 を代入して、
2/3y=3
両辺に3/2をかけて、
y=9/2
とすぐに答が出ます。
ただし、上の解き方は、できない子もいます。
その場合は、もっと段階を踏んで、
2/3y=3
両辺を3倍して、
2y=9
両辺を2で割って、
y=9/2
でも、大丈夫です。
y について解くということは、y の係数を1にするということ。
2/3はどうすれば1になるか?
逆数の3/2をかければいい。
この考え方も、数学が苦手な子にはあまり理解できない考え方なので、その理解には時間がかかります。
数理の基盤がないことが、こういう細部で露呈します。
小学校の6年間、やり方を覚えて忘れてを繰り返すのみという間違った学習を続けてきたので、そう簡単には定着しません。
しかし、絶望する必要もないのです。
高校生になる頃には、案外するっと理解できたりしますから、時機を待ちましょう。
問題 y=3/x とする。y=2/5のときの x の値を求めなさい。
これも、xy=3 の式に代入するのなら、楽に計算していけます。
2/5x=3
x=15/2
です。
このように計算すれば、計算力の乏しい子も、正解を出すことができます。
しかし、残念なことに、計算力の乏しい子、数学が苦手な子ほど、この解き方も定着しない傾向があります。
y=a / x の式にこだわらず、計算過程では、xy=a を使っていく。
その解き方を、
「あ、便利ですね」
とスッと理解し、さっと利用するのは、もともと数学が得意な子たちです。
数学が苦手な子たちは、こうした楽な解き方を解説しても、それもまたすぐに忘れ、宿題は、y=a / x の式に代入する杓子定規な解き方をしようとして上手くできず、白紙とするか、計算ミスをするか、となりがちです。
数学が得意な子と苦手な子との格差は、このようにして開いていくばかりです。
なぜ定着しないのでしょうか?
理由はその子によって色々です。
まず、便利であることは一応理解できるが、すぐに忘れてしまう子が大多数です。
記憶がもたないのです。
宿題を解く頃には、もう忘れています。
教わったことを復習してから宿題を解く、という習慣もありません。
身につかないことは、永久に身につかずに終わっていきます。
解説を黙って聞いているが、心の中で却下している子もいるのでしょう。
「学校で習っていない。学校で習っていない解き方をすると、学校の先生に目をつけられる」
そのような意識が強い場合もあれば、
「そんな解き方は良くない」
となぜか根拠のない本人の判断を絶対視しているタイプの子もいます。
「解き方を2つも覚えられない。1つだけでいい」
と思っている場合もあると思います。
数学は色々な解き方が可能な、のびやかな教科です。
それなのに、1つの解き方を丸暗記する解き方しかできない・・・。
数理の基盤が本人の中にないので、何をしても良くて何をしたらダメなのか、本人には判断できないのです。
頭が本当に硬い子になると、比例の問題でも不正解となります。
問題 y=5x とする。y=3 のときの x の値を求めなさい。
3=5x
という代入した式を立てることはできますが、その先が上手く計算できません。
5x=3
と、左辺と右辺を取り換えれば簡単な方程式ですよと助言しても、不可解なほどに、その助言には従いません。
3=5x
という方程式を睨みつけ、長考の末、
x=15
と答えたりします。
これも、「答が分数になるのは嫌だ」という感情が働いてのこともあるのでしょうが、右辺と左辺を取り換えないのは、数学が苦手な子の特徴です。
いちいち書き換えるのが面倒なら、最初から、
5x=3
と書けばいいのですが。
y=5x に y=3を代入して、
5x=3
と書いてある答案に、どこの誰がケチをつけるというのか?
でも、なぜか、
「そういうことはしてはいけない!」
と思い込んでしまうようです。
それでいて、
3=5x
と書いた後に、
5x=3
と書き換えることもしない・・・。
頭の疲れる暗算に自分を追い込み、そして間違えてしまうのです。
比例・反比例の理解よりもはるか手前の段階で、つまずいている子は多いです。
計算力が足りないのが根本ですが、それは小学校の計算ドリルや、今はあまり言われなくなった「百マス計算」で解決がつくことではない、もっと伸びやかな計算力が足りないのです。
小学生のうちに身についていてほしい数理の基盤が形成されていない・・・。
数に対する感覚が、育っていない・・・。
だから、分数をひたすら忌避するような、数学的原始人の状態に陥っています。
基盤がないから、中1の1学期に学習した「等式の性質」も、血肉となっていない。
だから、方程式の解き方が、ただの作業手順となり、そこから少しでも外れると、できなくなってしまう・・・。
数学が苦手な原因は何なのか?
どこでつまずいているのか。
まずは、その正確な分析をし、一つ一つ、克服していきましょう。
壁は、この先も、いくつもいくつも立ちはだかると思います。
しかし、全ての壁は、扉なのです。
2024年12月04日
高校数学B「統計的な推測」二項分布の平均と分散。

数B「統計的な推測」は、旧課程の頃は、この単元丸ごと学習しない高校が多かったのです。
しかし、新課程になり、大学入試共通テストの範囲が数学B・Cとなってからは、文系の生徒が数学Cの「複素数平面」で受験するよりは、「統計的な推測」のほうがまだ理解しやすいのではないかという判断からか、高校でも扱う学校が増えてきました。
同時に、あまりのわかりにくさに悲鳴も上がっています。
公式を理解し、覚えてしまえばあとは簡単なのですが、数Ⅰ「データの分析」のときから、統計に苦手意識があり、どうにも公式が理解しづらい様子です。
そもそも、用語がわかりづらい・・・。
聞いたことのない用語が一気に出てくるので、それで面食らう、ということがあるようです。
これは、覚えるしかないので、用語の意味がわからなくなったら、逐一、定義に戻って意味を確認してください。
とはいえ、定義もかなり難しい・・・。
まず、二項分布の定義から見ていきましょう。
1回の試行で事象Aの起こる確率が p である独立試行を n 回繰り返し、Aの起こる回数を確率変数 X とすると、
P(X=r)
=nCr・p^r(1-p)^n-r
である。
このとき、Xの確率分布を二項分布といい、
B(n , p )
で表す。
平均は、
E(X)=np
分散は、
V(X)=np(1-p)
標準偏差は、
σ(X)=√np(1-p)
である。
・・・何、それ?
まずは、具体的に考えてみましょう。
問題 1個のさいころを5回投げるとき、3の目が出る回数を X とする。確率変数 X の平均と標準偏差を求めよ。
これは、数Aで学習した、反復試行の確率の問題と似ていますよね。
反復試行は、大丈夫でしょうか?
というわけで、反復試行の確率の問題を復習しておきましょう。
復習問題 1個のさいころを5回投げるとき、3の目が2回出る確率を求めよ。
このように、同じ試行を繰り返していく場合の確率が、反復試行の確率です。
さいころを5回投げるとき、3の目が2回出る・・・。
具体的に考えます。
まず、単純に、1回目と2回目に3の目が出て、以降は3以外の目が出たのだとしてみましょう。
その確率は、
1/6・1/6・5/6・5/6・5/6
しかし、これだけでは、1回目と2回目に3が出た場合のみの確率です。
3の目が2回出るのは、1回目と2回目に出る場合だけではありません。
1回目と3回目に3が出て、他はそれ以外の目。
2回目と3回目に3が出て、他はそれ以外の目。
・・・など、複数の出方があります。
その全ての場合で、それぞれの確率は、
1/6・1/6・5/6・5/6・5/6
です。
そして、それらの目の出方は、互いに排反。
すなわち、かぶりませんから、確率を足せばいいのだとわかります。
では、5回のうち、3の目が2回だけ出る場合の数は?
それは、5回のうち、3の目が出る2か所を選ぶ場合の数と考えられますから、組み合わせの公式を用いて、
5C2
となります。
したがって、1個のさいころを5回投げるとき、3の目が2回出る確率は、
5C2・(1/6)^2・(5/6)^3
という式で求めることができます。
これが、反復試行の確率の求め方です。
では、少しずつ、一般化しましょう。
さいころを n 回投げて、3の目が r 回出る確率は、
nCr・(1/6)^r・(5/6)^n-r
さらに一般化しましょう。
さいころから離れ、3の目からも離れます。
1回の試行で事象Aが起こる確率が p である独立試行を n 回繰り返すとき、Aの起こる回数が r 回である確率は、
nCr・p^r・(1-p)^n-r
ここまで、いいでしょうか?
さて、そこで、二項分布の定義を見直しましょう。
1回の試行で事象Aの起こる確率がpである独立試行を n 回繰り返し、Aの起こる回数を確率変数 X とすると、
P(X=r)
=nCr・p^r(1-p)^n-r
である。
このとき、Xの確率分布を二項分布といい、
B(n , p )
で表す。
これが定義です。
P(X=r) というのは、この「統計的な推測」という単元の一番最初に学習した表し方でした。
X が r のときの確率、という意味でした。
ということは、書き方が少し複雑なだけで、これは、反復試行の公式そのままです。
確率が、反復試行の公式をそのまま使うことになることが明白な場合、きっと確率の分布に何かルールがあるぞ、ということは推測できます。
こういう形の確率分布を、二項分布と呼ぶ、というのが、まずは定義です。
・・・なぜ二項という名前を使うのか?
というと、それは、数Ⅱで学習した「二項定理」が関係しているのです。
二項定理は覚えているでしょうか。
こういうものでした。
例えば、
(x+3)^5=5C0・x^5+5C1・x^4・3+5C2・x^3・3^2+5C3・x^2・3^3+5C4・x・3^4+5C5・3^5
=x^5+3x^4+90x^3+270x^2+405x+243
公式は、
(p+q)^n=nC0・p^n+nC1・p^n-1・q+nC2・p^n-2・q^2+・・・+nCn-1・pq^n-1+nCn・q^n
・・・何か似てる!
反復試行の確率の公式に似てる!
というか、そっくりです。
だから、二項分布という名前なのです。
何か知らないけど、そう呼ぶのだな、という把握で、今は大丈夫です。
とりあえず、反復試行の確率の確率分布を、二項分布と呼びます。
そして、B(n , p)で表します。
・・・なぜB?
「二項分布」は、英語で、binominal distribution と呼びます。
その頭文字のBです。
B(n , p)
Bは、「これは二項分布、つまり反復試行の確率の確率分布ですよー」という合図。
そして、試行回数はnですよー。
1回の試行で、ある事象Aが起こる確率はpですよー。
そういう意味です。
そして、n と p、その2つの数値さえわかれば、反復試行の確率の式は立つのです。
重要な数値は、この2つ。
これで確率分布は決まるよー。
そういう意味だと、ざっくりとらえれば、大丈夫です。
さて、ここまで、まあ何とか呑み込んだとして。
ここからが重要。
3本の公式が出てきます。
平均は、
E(X)=np
分散は、
V(X)=np(1-p)
標準偏差は、
σ(X)=√np(1-p)
この公式が、あまりにもシンプル過ぎて、逆に意味がわからない・・・。
そういう悩みがあるかと思います。
なぜ、X の平均、すなわち期待値が、npで出るのか?
何で、そこがかけ算なのか?
どういう意味?
でも、これも、現実に即して考えれば、当たり前です。
例えば、こんな例で考えてみましょう。
例 1個のさいころを6回投げるとき、2の目は何回出ると期待できるか?
2の目がX 回出るとしましょう。
さいころの目は6種類あります。
そのうちの2の目は、6回投げたら、1回くらいは出ると期待できるんじゃないでしょうか。
6回に1回。
1/6の確率なのですから、6回に1回は出てもいいでしょう。
これがまさに、二項分布B(6 , 1/6) において、
E(X)=np=6・1/6=1
です。
公式と感覚が完全に一致します。
X は、この例では、1個のさいころを6回投げるのとき、2の目が X 回出る、という意味の X です。
X は確率変数ですので、何種類かの値を取ります。
今、さいころを6回投げていますから、Xは、
X=0 , 1 , 2 , 3 , 4 , 5 , 6
の7通りが考えられますが、
6回も投げたのに、2の目が0回ということは、そんなにあることではない。(勿論、実際はありえます)
6回も投げて、6回とも2の目ということも、そんなにあることではない。(勿論、これも可能性はあります)
実際のところ、1回投げるごとの、2の目が出る確率は1/6なのだから、その1/6が、集まって集まって集まって、
1/6+1/6+1/+1/6+1/6+1/6
=1/6・6
=1
となり、6回投げたら、1回くらいは2の目が出ると期待できる。
2の目が出る平均の回数は、1回である。
そういう意味でとらえれば、この公式は、するっと頭に入ると思います。
式として、比較的しっかりと証明するならば、
1回の試行で事象Aの起こる確率を p とする。
この試行を n 回繰り返すとき、
第 k 回の試行でAが起これば1、起こらなければ0の値をとる確率変数をXk とする。
・・・ついてきてますかー?
k=0,1,2,3,・・・,n
となります。
そのそれぞれで、実際に A という事象が起これば1、起こらなければ0の値を取ります。
ここも難しいところです。
期待値のこれまでの学習と混ざって、kの値×確率pではないのか、という混乱が起こりそうですが、実際には、そんなかけ算はあり得ません。
k は、第 k 回の試行というだけの数字なので、2回目だから急に値が2に増えるということはありません。
第何回でも、平等に、事象 A が起これば1、起こらなければ0。
そうとらえます。
このとき、
P(Xk=1)=p、P(Xk=0)=q (q=1-p)
です。
これも書き方が難しいですが、
Xkが1である、すなわち第k回目に、Aという事象が起こる確率は、pである。
Xkが0である、すなわち第k回目に、Aという事象が起こらない確率は、q (ただしq=1-p)。
ということです。
となると、k 回目にAという事象が起こる期待値は、
E(Xk=1)=1・p+0・q=p
となります。
で、実際に、X1 や X2 が1になるか0になるかは、そのとき次第ですが、
X=X1+X2+X3+X4+・・・+Xn
とおくと、この X は、n 回のうち A が起こる回数ということですから、その平均、すなわち期待値は、
E(X)=E(X1)+E(X2)+E(X3)+・・・+E(Xn)
=p+p+p+・・・+p
=np
となります。
実感は簡単なのに、証明するとなると難しい・・・。
次に課題となるのが、分散の公式の意味です。
分散は、
V(X)=np(1-p)
これも、もう諦めてこのまま覚えますというのなら、それでも良いと思うのですが、やはり、それでは不安定で、覚えづらく、脳からすぐ消えていきそうな気がします。
一度はしっかりと、理解しておきたい。
分散の公式は大丈夫でしょうか?
数Ⅰ「データの分析」で分散を学習したときに、定義通りの1本目の公式しか覚えなかった人もいると思いますが、分散の公式は、2本目のほうが使い道があるのです。
数学の公式は、大体そうです。
2本あるときは、2本目に意味があります。
難しい問題ほど、2本目のほうが威力を発揮します。
分散の公式の2本目とは、
分散=2乗の値の平均値-平均の2乗
という公式です。
V(X)=E(X^2)-{E(X)}^2
ここで、平均と期待値は同じ意味だということも、改めて把握しましょう。
平均でどれくらいなのかと、どれくらい期待できるのかは、同じ意味です。
したがって、
分散=(X^2の期待値)-(Xの期待値)^2
となります。
さきほど、
E(Xk)=1・p+0・q=p
でした。
また、
E(Xk^2)=1^2・p+0^2・q=p
となります。
よって、
V(Xk)=E(Xk^2)-{E(Xk)}^2
=p-p^2
=p(1-p)
=pq
つまり、
V(X1)=pq
ですし、
V(X2)=pq
です。
ここで、確率変数X1,X2,X3,・・・Xnは互いに独立だから、
V(X)=V(X1)+V(X2)+V(X3)+・・・+V(Xn)
=pq+pq+pq+・・・+pq
=npq
=np(1-p)
となります。
標準偏差は、分散の正の平方根のことですので、証明は不要ですね。
何とか呑み込んだら、後は、使うのみです。
問題に戻りましょう。
問題 1個のさいころを5回投げるとき、3の目が出る回数をXとする。確率変数Xの平均と標準偏差を求めよ。
さいころを1回投げて3の目が出る確率は1/6。
明らかに反復試行ですので、確率変数 X は、二項分布 B(5 , 1/6) に従います。
平均というのは期待値のことですから、
E(X)=np=5・1/6=5/6
よって、平均は、5/6。
分散は、
V(X)=npq
=5・1/6・5/6
=25/36
標準偏差は、分散の正の平方根ですから、
σ=√25/36=5/6
標準偏差は、5/6 です。
2024年12月01日
冬期講習空きコマ状況。2024年度。
冬期講習空きコマ状況です。
1月3日現在
空きコマはありません。
なお、1月6日(月)より通常授業です。
1月6日(月)~1月10日(金) 13:20~14:50 , 15:00~16:30
の時間帯での冬期講習お申込みも承ります。
1月3日現在
空きコマはありません。
なお、1月6日(月)より通常授業です。
1月6日(月)~1月10日(金) 13:20~14:50 , 15:00~16:30
の時間帯での冬期講習お申込みも承ります。