たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾三鷹市 三鷹市

2017年07月20日

3元1次方程式と計算力。

3元1次方程式とは、すなわち、x、y、zなど、3種類の文字を含む方程式のことです。
3本を連立すれば、解くことができます。
例えば、こんな問題です。

2x -y +z=8 ・・・・① 
 x+3y+2z=5 ・・・・② 
4x+2y-3z=-3 ・・・・③

中学2年で連立方程式を習うときにも、その応用として少し演習するのですが、本格的には、高校数Ⅰ「2次関数」で、3点の座標から2次関数の式を求めるときに学習します。

この3元1次連立方程式、2元1次連立方程式よりも文字が1つ増えるだけで、なぜか正答率がガクンと下がります。
解き方は、そんなに難しくありません。
3本の式を組み合わせて、どれかの文字を消した2本の式を作るのがまず目標です。
例えば、zを消すと決めたら、上の例で言えば、
①×2-②より
 3x-5y=11 ・・・・④
①×3+③より
 10x-y=21 ・・・・⑤ 
こうやって、まずはxとyだけの2本の連立方程式にします。
ここからは、2元1次連立方程式の解き方と同じです。
④-⑤×5
   3x-5y=11
-)50x-5y=105
-47x   =-94
       x=2 ・・・⑥
⑥を⑤に代入して
20-y=21
  -y=1
   y=-1 ・・・⑦
x、yの値がわかったところで、最初の式のうちの1本を選んで代入し、zの値を求めましょう。
⑥、⑦を①に代入して、
4+1+z=8
     z=3
よって、
x=2、y=-1、z=3

手間はかかりますが、そんなに難しくはありませんよね。
ヽ(^。^)ノ

でも、数学の苦手な高校生の中には、3元1次連立方程式をほとんど正答できない子もいます。
解き方がわからないわけではないのですが、途中でミスしてしまうのです。

よくあるミスとしては、1本目の式でzを消し、2本目の式ではxを消してしまう子。
できた2本の式を並べてみると、文字は1つも消えていないことになってしまいます。
どうやったら楽に解けるか、変に迷っていつまでもいつまでも考えて、なかなか式を立てない子が、結局そんな式を立ててしまうことがあるのです。
「zを消すのでいいんじゃないの?」
とヒントを出しても、何か考え込んでいて、手が動かないのです。

この問題、式全体を何倍かしなければならないので、どの文字を消すにしても、そんなに楽ではありません。
しかし、どの係数の文字なら消しやすいか、考え過ぎてしまう子がいるのです。
いったんzを消すことに決めて、式を2本作っても、そうやってできた2本の式の係数が揃うことはまずありません。
それを見て、計算しづらいことにひるんでしまうようで、また最初から別の文字を消して解き直したりもします。
あげく、単純な符号ミスで間違えたりします。

どう解いたところでそんなに楽ではない。
だから、こう解くと決めたら、あとは機械的に淡々と解いていったほうが速く正確です。
間違える子は、数学の問題を解きながら、やたらと感情が動き、ひるんだり動揺したりして、途中で計算ミスをしてしまう様子です。
冷静に解いていくことができないことが、エラーを招く原因なのだと思います。
見ていても、ペン先がためらってくるくる回っていて、なかなか書き出さないのです。
何でさっさと書いていかないのか不思議なのですが、本人の中にためらいや混乱があって、スッと書き出していくことができない様子です。
不安なんだろうと思います。
結局、正答する自信がないことが一番の原因なのかもしれません。

突飛な省略をしたり、無理な暗算をしたりと、ミスしやすいようなやり方で計算しているから起こるミスについては指導します。
自分が何をどうミスしやすいか自覚しなさいと注意もします。
しかし、全て指導しても、それでも符号を見落とす、式を書き間違えるというミスが繰り返される子は、もうそれでいいやと開き直るのも1つの方法だと思います。
ミスをしやすい自分とつきあっていく。
ケアレスミスがあることを見込んで、テストの得点を予測していく。
そのように気持ちを切り替えることも、あるいは必要かと思います。

数学的なセンスを感じる子でケアレスミスの多い子に関しては、
「まあ、いいんじゃない?次の問題を解こう」
という指導をしていると、気がつくとケアレスミスも減っていることが多いです。
その子がケアレスミスを気にしていても、私は気にしていないのが大きいのかもしれません。
その子のマイナス要素より、伸びしろの大きさに私は目がいっています。
ピグマリオン効果というものですかね。

気にして、突ついていると悪化するのがケアレスミス。
そういうこともあるのかもしれません。

  


  • Posted by セギ at 14:38Comments(0)算数・数学

    2017年07月13日

    2次関数の文章題


    画像はギンリョウソウ。
    今の時期、日陰の林床で見られる植物です。

    さて、今回は「2次関数の利用」。
    文章題です。
    文章題を解く際に、子どもは語彙の面でつまずくことがあります。
    例えば、こんな問題です。

    幅16cmのトタン板を折り曲げて、切り口が長方形のといを作る。切り口の面積が最大となるようにするには、といの深さを何cmにすればよいか。またそのときの面積も求めよ。

    この問題、高校数Ⅰの問題としては易しいのですが、解けない子は多いです。
    問題を熟読している様子なので、考えているのかなあと様子を見ていると、かなり時間が経ってから質問してきます。

    「・・・・・・といって、何ですか?」
    「とい?雨どいのことでしょう」
    「何ですか、それ?」
    「家の屋根の下につけてある、雨水を受けるものだよ。見たことない?」
    「ありませんね」

    高1でも、日本語の名詞の中で知らないものがたくさんあります。

    一応、といの件は理解して。
    それでも手が動きません。
    しばらくして、また質問。
    「トタン板って何ですか?」
    「金属の薄い板だね。鉄かな。錆びないように何かでメッキしてあるんだと思うよ」
    「何かって、何ですか?」
    「知らない。興味があるなら、自分で調べたらいいよ」
    「知らないと、わからないじゃないですか!」
    「トタン板の成分は、この問題を解くのに必要ないでしょう」
    「・・・・・・・・」

    現代の子どもがトタン板を知らないのは、仕方ないかもしれません。
    辞書で調べたら、鉄を亜鉛でメッキしてあるものだそうです。

    私も、トタン板とは何なのか、曖昧にしか理解していませんでした。
    でも、問題を解くのに不都合を感じません。
    そもそも、この問題、テキストでは、横に挿絵があるのです。
    言葉による説明だけでは、わかりにくいからでしょう。
    それでも、言葉でつまずく子がいます。
    知らない言葉があると混乱し、もう解けないと思ってしまうようです。
    自分の知らないことがたくさんあることを不安に思っていて、だから、そういう反応になってしまうのでしょうか。

    言葉の意味がわからないだけではないのでしょう。
    文章題は苦手だと思いこんでいる子の多くは、解法パターンを把握していません。
    文章題を解いていく方法はどれも同じです。

    ➀何をxとするかを決める。
    ➁xを用いて、何かの数量を表す式を立てる。
    ➂式を解く。
    ➃解が問題の答えとして適切かを確認して解答する。

    文章題が苦手な子は、この解法パターンを理解していません。
    毎回、
    「何をxとしますか?」
    と声をかけないと、全く手が動かない子は多いです。
    彼らは、では、何を考えて、どう解こうとして悩んでいるのでしょうか。
    おそらく、文章題を見ると小学生に戻ってしまい、小学生として答えを出す式をうんうん考えているのではないかと推測します。
    それは難しいでしょうね。
    上の問題を、小学生として解くのは、普通の小学生には無理だと思います。
    受験算数の訓練を積んでいれば、面積図を描いて強引に解く方法はあるでしょう。

    「何をxとしたらいいのかわからない」
    と言う子もいます。
    「求めたいものをxとするんですよ」
    「でも、そうじゃないときもあった」
    「うん。増減に関する方程式の問題は、例えば昨年の女子の生徒数をx人としますね。でも、あれは、読めばすぐ増減に関する問題だとわかりますから、区別できますよ。それ以外は求めたいものをxとするのでほとんど大丈夫ですよ」
    「でも、そうじゃないときもあった」
    「・・・・どんなとき?」
    「忘れた」
    「・・・・・・・」

    彼らは、数学に対してネガティブで、裏切られた記憶ばかりが濃く残り、標準的な解き方を信じることができないのかもしれないと思うことがあります。
    易しいことを難しくしているのは、自分の心かもしれません
    文章題だからどうせ難しいなんて思いこみは、捨ててしまいましょう。

    上の問題で言えば、求めるのはといの深さですから、深さをxcmとします。
    式はxではない数量を表す式を立てます。
    ここでxに頭がとらわれ、xを表す式を立てようとする子がいますが、それは小学校の算数。
    立てる式は、xそのものではない数量を表すのだということを理解しているだけで、問題はかなりほぐれてきます。
    この問題の中で、といの深さではない数量というと。
    1つはトタンの板の長さ。
    もう1つは、といの切り口の面積。

    どちらにするかは、センスの問題もあります。
    数学が嫌いな子に、この二択を選ばせると、「トタン板の長さ」と答える子は確かに多くて、がっかりしてしまうのも本当です。
    そちらのほうが求めやすそうだから選んでしまうのでしょうか。
    目先の求めやすさを選び、問題を解くにはどちらが有効かという判断ができないのだと思います。
    この問題では、切り口の面積も求めるのですから、面積を表す式を立てるという判断が妥当でしょう。
    といの切り口は長方形。
    その長方形の縦の長さはといの深さであるxcm。
    では横の長さは?
    トタン板の長さ16cmから、深さとして折り曲げたx㎝2個分を取り除いたものが、長方形の横の長さになります。
    したがって、横の長さは16-2x(cm)。

    よって、切り口の面積は、
    x(16-2x)。
    これが最大になれば良いのです。
    xの値によって、この式全体の値も変わっていきます。
    ですから、これは、2次関数の最大値に関する問題ですね。
    グラフの形や頂点を把握しましょう。
    平方完成が必要です。

    F(x)=x(16-2x) とします。
       =16x-2x2
       =-2x2+16x
    ここで平方完成をします。
       =-2(x2-8x)
       =-2(x-4)2+2・16
       =-2(x-4)2+32

    「何で平方完成するの?」
    と質問されることがあるんですが、最大値や最小値を求めるのには頂点の座標が必要だからです。
    しかし、それだけでなく、とりあえず2次関数を見たら平方完成して、軸や頂点の座標を把握してみるのは意味のあることです。
    それを習慣にしておけば何も問題はないのです。
    どんなときに平方完成したらいいかわからない、などと言わず、とりあえずどんなときも平方完成することをまず考えてみたら良いと思います。
    数学が苦手な子は、この「とりあえずやってみる」ができない子が多いように思います。

    上の式を2次関数としてとらえれば、
    頂点は(4,32)、上に凸の放物線だとわかります。
    すなわち、X=4のとき、最大値32です。

    この問題、何を求めるんでしたっけ?
    切り口の面積が最大となるときのといの深さと、そのときの面積でしたよね。
    0<2x<16
    0<x<8
    という問題の条件に、この頂点の数値は一致します。
    よって、といの深さは4cm、面積は32平方cmです。

    「え?」
    ここで固まってしまう高校生は多いです。
    平方完成しただけで、何でもう答えが出てしまうのか、わからない。
    何か物凄い飛躍がある。
    全然わからない。
    そういう表情で固まってしまうのです。

    「何で32が、といの切り口の面積になるの?」
    「この式は、といの切り口の面積を表す式だからだよ。その最大値が32なんだから、といの面積の最大値は32だね」
    「ちょっと、何言ってるかわからない」
    「・・・・・・・」

    この深い断絶をつなぐ言葉が、なかなか見つかりません。
    2次関数に関して普通のことが、彼らの頭の中で繋がっていないのを感じます。
    といの深さをxcmとしたこと。
    といの切り口の面積を表す式を立てたこと。
    そうした最初の前提と計算の結果とが上手く繋がらないようなのです。
    2次関数の最大値・最小値を求めなさいという計算問題ならば解けるのに、文章題になるとその考え方を利用できない子は多いです。
    最大値・最小値に関する問題は、今後の単元でも、忘れた頃に出てきます。
    その度、
    「これは、最大値を求めよと言っているんでしょう。だったら、2次関数として解くだけだよ」
    とヒントを出せば済む子と、答案を全て板書して詳しく解説しても理解した表情を見せない子がいます。


    文章題になると、理解できなくなる。
    それは小学生も同様です。
    何年か前の小6対象の全国学力調査の算数に出題された文章題。
    そこに、謎の言葉が登場しました。

    「親指と人差し指を直角に広げ、その両端を結んだ長さを、ひとあた、と言います」
    そのように、問題文中で説明されていました。
    挿絵もありました。
    「ひとあた」という見慣れない単位の意味を理解すれば、問題そのものは簡単でした。
    「割合」に関する易しい問題です。
    でも、言葉でつまずくタイプの子は、あの問題は解けなかったと思います。
    知らない言葉が出てくると、「習っていない」「習っていないことがテストに出た」「習っていないから、わからない」となってしまう子は、真面目な秀才の中にもいます。

    大人でも、「ひとあた」は、耳慣れない言葉です。
    使いやすい箸の長さは「ひとあた半」と説明されると、ああ、そう言えばそんなことを聞いたことがあると、ようやく思い出す言葉だと思います。

    でも、知らなくたって、いいんです。
    問題文の中で説明されているんですから。
    それなのに、問題の中でどれだけ説明されていても、自分が知らないことは解けない子がいます。

    受験算数ですと、「約束記号」の問題が苦手な子は、そういうタイプの子です。

    「大きいほうの数を小さいほうの数で割って、その商を3倍することを、記号◎を使って表すとします。例えば、2◎10=15 です。以下の問いに答えなさい」

    こういう問題、受験算数としては簡単なことが多く、得点源なのですが、わからない子は全くわからない様子です。
    問題の意味がわからないというのです。

    「だから、そういう意味の記号なんだね」
    「知らない。そんな記号、あるの?」
    「いや、このときだけの記号だよ」
    「知らない」
    「だから、この問題だけの記号だから、覚える必要なんかないし、知らなくていいんだよ」
    「何それ。そんなことして、いいの?」

    新しい情報を飲み込めない。
    頭が固い。
    頑固である。
    文章題が苦手な子の特徴の一つといっていいかもしれません。

    もう何度も書いてきたことですが、大人よりも子どものほうが、むしろ保守的で頑固です。
    視野が狭く、融通がききません。
    視野を広げ、より柔軟になるために、人は学ぶのでしょう。

    それでも、やはり子どもは柔軟です。
    子どもの持つ柔軟さとは、自分の知らないことに失敗し傷ついたときの、そこからの回復力を指すのではないでしょうか。
    自分の間違いに気づいてそれを受け入れる力は、子どもは圧倒的です。
    今日の自分の固定観念なんて、明日は踏みつけて生きていけるはずです。
    文章題が難しいなんてのも、くだらない固定観念かもしれませんよ。
      


  • Posted by セギ at 13:32Comments(0)算数・数学

    2017年07月10日

    三ツ峠山を歩きました。2017年7月。


    2017年7月9日(日)、河口湖畔の三ツ峠山を歩きました。
    6年ぶり5度目の山です。

    三鷹7:01発の高尾行きに乗車。
    高尾着。7:46。
    高尾発。7:47。
    向かい側のホームなので、乗り換え1分で富士急直通の河口湖行きの電車に乗ることができました。
    この電車、前の4両は河口湖行き。
    後ろ4両は大月止まりでした。
    こんな便利な電車があるんだなあ。
    o(^o^)o
    外出する気になれないほど暑いせいか電車はそれほど混雑せず、途中までボックス席に1人で座っていけました。

    大月を過ぎると、車窓から富士山が見えてきました。
    雲の上に頭だけ出ている富士山です。
    終点河口湖。9:34。
    駅前にはバス停がいくつもあり、きょろきょろしながら小さな横断歩道を渡って、「天下茶屋」行きのバス停を発見。
    とはいえ、そのバス停に他の観光バスがいつまでも停まっていたりして、ちょっと不安になります。
    時間になって、ようやく天下茶屋行きのバスが入ってきました。
    富士急もこのバスもSuicaが使えました。

    バスが出発。
    駅前の時計塔が「気温29℃」を示していました。
    河口湖も今日は暑くなりそうです。
    バスは河口湖を巡り、途中から御坂道を上がっていきました。
    舗装されていますが、山の中の林道です。
    明るい緑の中をバスは軽快に進んでいきます。

    三ツ峠登山口。10:15。
    8人下車。
    三叉路のところにバス停がありました。
    バスは左折して、天下茶屋のほうに去っていきました。
    下りた客は皆、三ツ峠に行く登山客のようです。
    迷う様子もなく、舗装道路を直進していきます。
    私は、道路の端で山支度をして、すこし遅れて出発。10:20。

    10分ほど舗装道路を行くと、駐車場とトイレがありました。
    駐車場には、登山客の車がぎっしり。
    トイレを済ませて、さあここからは舗装されていない山道です。
    とはいえ、四駆なら登れそうな広い山道がしばらく続きました。
    もう下りてくる人が何人も。
    車で来ている早朝登山の人たちかなあ。
    山頂の山小屋で泊まった人たちかなあ。
    夏の富士山を見るなら、朝のうちが勝負でしょうか。

    ヒグラシが鳴いていました。
    鳴き声が幾重にも重なって聞こえてきます。
    眺望はありませんが、高山らしい林の中を行く、静かな山道です。
    道幅は広いままですが傾斜がだんだん急になってきました。
    これは四駆も無理かなあ。
    キャタピラー車じゃなきゃ無理でしょう。
    そう思っていたら、本当にキャタピラーの跡が登山道に残っていました。

    昔、この山は高山植物の宝庫で、この季節はそこら中が花だらけでした。
    しかし、何にも咲いていません。
    これは、どうしたことだろう。
    山頂近くになって、やっとチラホラと花が咲いているのを見つけました。
    クサタチバナが数株。
    ヤマオダマキが数株。
    何でこんなふうになったかなあ。
    鹿の食害かなあ。
    それとも、数年前に甲府を襲った大雪で、植物が根ごと流されてしまったかなあ。
    回復するといいなあ。
    6年前の花畑を思い浮かべながら歩を進めます。

    山小屋への道しるべが見えてきて、いったん山頂らしき広場に出ました。
    ヤマオダマキ、ハナショウブ、シモツケソウ。
    草むらに高山植物が咲いていて、ほっとしました。
    ここからお花畑が再び広がっていきますように。

    ここでもういいような気分なのですが、行く手には電波塔の並ぶ開運山が見えています。
    見るからに急登ですが、登っていく人たちがよく見えます。
    私も行かなくちゃ。
    木段から土が流れ落ちてしまっている急坂を登っていきます。
    木段は地面から飛び出て、斜めになっています。
    これも大雪の後遺症でしょうか。
    右手に「危険」とロープが張ってある先は、岸壁のクライミングルートの到達点でしょう。
    足を踏み外したら命にかかわるし、上から小石などをうっかり落としてしまったらクライマーにとって危険。
    お互いの平和のために、入ってはいけない場所ですね。
    最後の登りは新しく整備されて歩きやすい木段になっていました。
    山頂。12:00。
    予想はしていましたが、富士山は全く見えませんでした。
    「本当はこっちのほうに大きく見えるんだよー」
    そう教えてくださった方と二人、富士山が見えているようなポーズでしばらく立ち尽くした山頂でした。
    先週は曇りだったのに陣馬山から予想外にくっきりと富士山が見え、今週は晴れていたのに、こんなに近い三ツ峠から富士山は見えない。
    そんなものかもしれません。
    富士山を見るなら秋に来たら良いのですが、三ツ峠に来るならクサタチバナの季節にと、結局いつもこの季節に来てしまいます。
    上の画像がクサタチバナです。

    さて下山。
    苦手な砂まじりの急坂なので、ストックを1本使いましたが、それでも次の一歩がなかなか出ないほどの急傾斜のところもありました。
    どう足を置いても滑るのです。
    乾いた砂がまぶされている急坂が一番苦手です。
    「ここは、いつも厄介だよねー」
    後ろからそう話しかけて来た方に会釈して道をゆずりながら、そろそろと歩き、何とか通過。

    小屋前のベンチは木陰で快適そうでしたが、「使用料100円」と書いてありました。
    トイレ使用料は、ペーパー代や処理費用があるから当然だと思うのですが、ベンチ使用料はどうなのかなあ。
    でも、日帰りできる山での小屋の維持は大変だろうなあ。
    先ほどの広場に戻って、結局、無料のベンチで昼食をとりました。
    日向ですが、ここも快適です。
    標高1700mの山頂は、涼しい風が吹いていました。

    さて、下山。12:40。
    三ツ峠駅への道を下ります。
    先程の山小屋のベンチ脇から、まずは急な階段を下っていきます。
    かなり急で、壊れているところもありますが、手すりに銀の鎖が張ってあり、安心でした。
    道がやや平らになると、ところどころに桟道が。
    なかには、ちょっと斜めに傾いている桟道もありました。
    これ、濡れているときは怖いでしょうね。
    崖崩れが登山道を突っ切っている箇所もありました。
    これも、数年前の大雪の名残なのかもしれません。

    道が安定してくると、開運山の岩壁が見えてきました。
    クライマーが何パーティも登っています。
    岸壁の途中のテラスにも数組。
    見る分にはルートが明瞭で登りやすそうでしたが、実際にはもう登れないだろうなあ。
    少し下っていくと大きなテントが張られてありました。
    クライマーたちのものでしょうか。

    「落石注意」の看板の立つ登山道を急ぎ足で通過します。
    本当に漬物石くらいの石が登山道にゴロゴロ落ちています。
    そこを越えると、ようやく、歩きやすい下り道が続くようになりました。
    休憩適地の各箇所に、仏教的な名前が付けられています。
    三ツ峠は宗教登山の山でもあるのですね。
    八十八大師という場所には、草むらにお地蔵さまが赤い頭巾をかぶって沢山並んでいました。
    木陰のベンチに座って休憩。
    お地蔵さまと辺りの木々が調和しています。
    心休まる光景でした。

    延々と続くようだった登山道が終わり、いったん舗装道路へ。
    道しるべに従って再び短い登山道を行くと、広場に出ました。
    そこが達磨石でした。14:40。
    大きな石に、梵字が刻まれています。
    再び舗装道路。
    そこからは、もうずっと舗装道路が続きました。
    道の端にはホタルブクロが点々と咲いています。
    標高が下がると日向の道はさすがに暑いです。
    途中、滝を見物できる遊歩道が。
    少し遠回りになるので行きませんでしたが、あっちのほうが涼しかったかなあ。

    単調な舗装道路を50分ほど下っていくと、三ツ峠グリーンセンター。
    テニスコートやバーベキュー場、バンガローなどのある施設です。
    舗装道路はグリーンセンターに突当り、そこを左折。
    施設をまわり込んでいくと、本館らしき建物がありました。15:35。
    確か、ここで入浴できるはず。
    「日帰り温泉」などののぼりがないので、おそるおそる木の自動ドアをくぐると、中は日帰り入浴施設らしい構造でした。
    靴を脱いで、受付。
    入浴料610円。
    受付ではロッカーの鍵を渡されませんでした。
    脱衣所に入ってみると、ロッカー式ではなく、棚に大きなカゴが並んでいます。
    貴重品を入れる有料コインロッカーは別にありました。
    脱衣所も洗い場も空いていて快適でした。
    シャワーの出力も良好です。
    露天は竹炭風呂。
    無色透明で、さっぱりしたお湯でした。

    さてお風呂上がりのお楽しみ。
    しかし、自販機は「節電中」との表示が。
    6年前、やはりここで日帰り入浴しました。
    そのとき「節電中」だったのは、東日本大震災の直後で、どこもかしこも節電中でしたから、普通のことだと思っていました。
    まさか、6年経っても、まだ「節電中」とは。
    電気が足りないという話はあまり聞かないのですが。
    発泡酒。350mL、230円。
    「節電中」な微妙な冷え具合でした。
    お風呂上がりはキンキンに冷えたのを飲みたいなあ。
    入浴料をもう100円上げてくれていいから、自販機の節電はやめてくれると嬉しいなあ。
    そんなことを思いつつ、さて、駅へ。

    舗装道路をとにかく道なりに下っていきます。
    「三ツ峠グリーンセンター」の看板と矢印を見る度に、その反対方向を目指します。
    やがて高架線が見えてきて、ひと安心。
    高架線をくぐってすぐ右折すると三ツ峠駅。
    グリーンセンターから徒歩20分で駅でした。

    三ツ峠駅発。16:21
    この電車が、なんとホリデー快速富士山2号で、三鷹まで直通でした。
    でも、まるで「あずさ」のような2席ずつの構造の電車です。
    座り切れない客は通路に1人ずつ立っていて、身動きとれない印象です。
    三鷹まで乗り換えなしなのはいいけれど、これは三鷹まで立っていくということかあ。
    と思ったら、次の都留文科大学前駅で横に座っていた乗客が下りていきました。
    降りた人は1人だけです。
    何という幸運でしょう。
    そこから、三鷹までずっと座っていくことができました。
    三鷹。17:49。
    まだ明るいうちに三鷹に帰り着きました。


      


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    2017年07月06日

    奥高尾を歩きました。2017年7月。


    2017年7月2日(日)、陣馬高原から高尾山口まで縦走しました。
    もう少し晴れていれば行きたい山は他にあるのですが、どうせ眺望はないし、夕方から雨の可能性もあるし。
    そういうときは、やはり奥高尾を歩いてきましょう。
    というわけで、いつものように三鷹発8:05の特快に乗って高尾駅へ。
    梅雨時は少し登山客も減るので、電車は座っていくことができました。

    高尾駅北口からの陣馬高原行きバス停の行列も控えめです。
    夫婦連れらしい二人が、私の少し前に並んでいた若者のグループに、
    「日影はこのバスですか?」
    と訊いていました。
    若者グループは、
    「さあ?」
    うーむ。
    訊く相手を間違えていますね。
    グループで来ている若い子たちは、高尾に行くのがほとんど初めてという場合が多いでしょう。
    こちらに来たので、
    「日影なら、向こうの小仏行きのバスですよ」
    と声をかけたのですが、外では私の声はそんなに通らないので、聞こえなかったようです。
    「こっちかしら?こっち?」
    と奥さんのほうがひっきりなしに大声を出しているので、他人の声が聞こえないということもあったのかもしれません。
    とりあえず、小仏行きのバス停の行列のほうに歩いていったので、まあ大丈夫でしょう。
    と思っていたら、すぐ前に並んでいた3人のうちの1人の男性が、
    「あ。ここは陣馬高原行きだ。小仏行きのバスに乗るんだった!」
    と言い出し、移動していきました。
    何か今日はバタバタしていますね。

    バスは2台同時発車で、立っている客はいない状態で出発しました。
    終点、陣馬高原。9:25。
    この前来たときは、バス停のところのトイレが、右側は全部男性用、左側の1つの多機能トイレのみが女性用に変わっていて、長い行列ができていました。
    今回、また昔に戻っていて、右側のトイレも女性が使って良いことになっていました。
    良かったー。ヽ(^。^)ノ
    あのままだったら、とても不便でしたから。

    トレイを済ませて、さて出発。
    まずは舗装された林道を緩やかに登っていきます。
    今日も暑くなりそうなので、加減して歩きます。
    左側の沢から冷気が上がってきて、思ったより涼しい道でした。
    登山口分岐。9:45。
    前日まで雨が降っていましたから、かなりの湿気です。
    滑りやすい沢沿いの道から、急な登りへ。
    この道は変化があるので、幾度歩いても飽きないです。
    登山道を覆う広葉樹林の緑も爽やかです。

    後ろから若者2人が追い付いてきました。
    若い子は速いなあ。
    今日の私は久々にトレッキングポールも置いてきたこともあって、自分でも笑ってしまうくらい遅いのですが。
    暑いし、ゆっくり行きましょう。

    1つの目の急登を終えた分岐。
    緑が濃くて、気持ちのよいところです。
    先程の2人が、ここで休憩していました。
    ゆっくりとした足取りのまま、2人を追い越します。
    そこから、道は広くなり、ゆるやかな気持ちのよいところがしばらく続きます。
    先程の2人が追い付いてきました。
    道幅が広いので端に寄るだけで道を譲ることができます。

    しばらく行くと、再び急登。
    植相も変わり、この辺りは植林帯が広がっています。
    道は複線化し、直登もできますが、ジグザグにも登っていけます。
    あれ?
    先程の2人がまた休憩しています。

    ゆっくりゆっくり追い抜きます。
    しばらくして、また2人が追い付いてきました。
    こうなると、少し面倒くさくなってきました。(^。^)
    それでも仕方ないので道を譲ると、急登を登り切ったところで、また座り込んでいます。
    靴もウエアも高機能タイツもザックも、見た目はとっても「登れる人」なのだけれど、このペース配分は素人だなあ。
    ガシガシ登って、息が切れて、頻繁に休憩しないと登れなくなっているのに、スピードを緩めてゆっくり登っていくことはできないようでした。
    急いでも、その後に休憩しなければならないのなら、結局時間がかかるし、息が切れてつらいし、疲れるので、あまりいいことはありません。
    休憩せずに速く歩き続けられるのなら、それで良いのですが。

    そこからは、斜面をトラバースする細い道。
    泥で滑りやすくなっていて、用心して歩きました。
    ここで後ろから追い付いてこられると厄介だなと思いましたが、もう彼らは追いついて来ませんでした。
    いよいよ体力が尽きたのでしょうか。
    熱中症になっていないと良いのですが。

    大きなカエデの木のところで左折。
    ここから陣馬山名物のドロドロ道の始まりです。
    しかし、あまりに泥がひどいので、前を行く人が右の細い道に入っていくのにつられて、私も右折。
    こちらは遠回りのようでしたが、あまり泥がないので歩きやすかったです。
    和田峠から登ってくるときの、山頂近くの木段に途中で合流する道でした。
    少し登ると、陣馬山の白い馬のオブジェが遠くに見えてきました。

    上まで登りきらず、茶店の先の草原にシートを敷いて座りました。10:50。
    予想外にくっきりと富士山が見えています。
    上の画像がそれです。
    こんなに富士山が見えるのなら、丹沢か奥多摩に行けば良かったかなー。
    灰色がかった紺色の富士。
    少し雪渓の残る、見事な夏富士でした。

    おにぎりを1つ食べて、さて出発。
    まずは白馬のオブジェのところまで登ります。
    山頂の茶店は今日はお休みでした。
    そこから階段状の道を降りていきます。
    昔と比べて随分整備されて歩きやすくはなったのですが、やはりドロンドロンの道が続きます。
    後ろで誰かがズズッと滑っている音がするのがまた怖いんでよね。

    明王峠。11:50。
    売店は営業中。
    そこから高尾山へと進む道が整備されて、別の道みたいになっていました。
    いつもはドロドロのところを歩きたくないので、左端の木の根の作る段差のところを歩き、適当なところで登山道に降り立つようにしていたのですが、木の根ごとなくなっていました。
    全体に平らに整備されているのです。
    道の両側をロープで仕切られ、「ここを歩け」と指示されている印象でもあります。
    泥を避けて道の外を歩く人が多く、登山道の広がりや複線化が奥高尾で問題化しているということでしょうか。
    今後は木段やデッキによる整備がさらに進んでいくんだろうなあ。

    前を行く親子連れが、子どもとお父さんはまき道、お母さんは登り道のほうに分かれて登っていきました。
    歩きながら、「今どこー?」と声をかけあっています。
    最終的に、お母さんのほうが早く合流点について、カメラを構えてお出迎え。
    微笑ましい光景でした。
    お母さん、健脚だなあ。

    景信山。13:05。
    小屋に挟まれた通路から見えるせいか、富士山を大きく感じます。
    反対側の眺望も見事でした。
    この時期にスカイツリーが見えていました。
    ベンチに座って、もう1つおにぎりを食べました。

    景信山からの急な下りも整備が進み、歩きやすくなっていました。
    ここも、やがて完璧に整備されるのでしょう。
    小仏峠から登り返して、相模湖の見渡せるポイントへ。
    楽しみにしていた富士山が雲に隠れていました。
    さすがに午後になると雲が沸きますね。

    小仏城山。14:10。
    もっと楽しみにしていた、かき氷(大)400円を購入。
    今日はレモン味にしました。
    かき氷のシロップは色が違うだけで味はどれも同じらしいのですが、やはり色々試したい。
    涼みながら、ここで本日一番の大休憩。
    時間も遅いので、ベンチの人もまばらでした。

    富士山が隠れてしまったので、紅葉台は巻いて、高尾山下。15:25。
    高尾山も巻いて、さてそこからは6号路を下りました。
    琵琶滝コースです。
    こんな時間から登ってくる人が多いのに驚きました。
    しかも、山歩きの姿ではない人がほとんど。
    ロングスカートで、沢の飛び石を登ってくる人もいます。
    何だろう?
    高尾の夕景色とビアガーデンが目当てかな?

    高尾山口。16:45。
    駅前には靴の泥を落とすタワシが沢山置いてありました。
    ゴシゴシと泥を落として、電車に乗り込みました。

      


  • Posted by セギ at 14:06Comments(0)