2022年02月27日
高校英語。否定。few と little
さて、否定の続きです。
今回は、few と little です。
前回の hardly , seldom などは、副詞ですので、動詞を否定していたのですが、few と little は形容詞ですので、名詞を否定します。
だから、位置も働きも異なるのですが、日本語の意味と1対1で覚える人は、どれも「ほとんど~ない」なので、区別がつかなくなるのです。
few と little は、形容詞ですので、名詞の前に置き、その名詞がほとんどないことを表します。
few は、可算名詞(数えられる名詞)に用い、数がほとんどないことを表します。
little は、不可算名詞(数えられない名詞)に用い、量がほとんどないことを表します。
例文を見てみましょう。
He has few faults.
彼は欠点がほとんどない。
He paid little attention to the fact.
彼はその事実にほとんど注意を払わなかった。
few と little の使い分けが覚えられないのも課題ですが、それは一応覚えても、実際に使いわけるには、後ろの名詞が数えられるのか数えられないのかを知識として知っていないといけないことも大きな課題です。
そして、数えられるか数えられないかの感覚は、日本語と同じ場合もありますが、何でそうなるのと思う場合もあり、結局、いちいち覚えていくしかありません。
「注意」が数えられないのはわかる気もするが、「欠点」って、数えられるのかなあ?
1つの欠点、2つの欠点・・・?
それが数えられるのなら、「情報」も数えられる気がするが、imformation は、不可算名詞です。
しかし、「議論」discussion は、可算名詞。
わかるような気もするが、わからないといえば、わからない・・・。
どこからどこまでが、1つの議論なの?
どこで区切って数えるの?
外国語を学ぶことは、その国の人の言語感覚を学ぶことです。
それを面白いと感じられるとよいですね。
「変だなあ?」と思うことも1つの興味。
変だから英語はダメだなどと言うのではなく、日本語と感覚が違っていて面白いなあと思うと、違和感がむしろ覚えるとっかかりになります。
興味をもって覚えてください。
数えられるか数えられないかに関しては、中学英語でも、many と much の使い分けなどで学習していますが、英語が苦手な子は、英語のこういう細かいところに興味がないし、だから覚えられないことが多いです。
例えば、money は、数えられない名詞としてはわかりやすいほうだと思うのですが、間違えてしまう子は多いです。
お金は数えられません。
「自分は、お金を100枚持っている」
と言っても、意味をなしません。
それは、1円玉を100枚なのか?
1万円札が100枚なのか?
お金は単位をつけて表さなければ意味がない。
個数では意味がない。
そういうものは、数えられない名詞です。
ただ、many に関しては、much との使いわけを力説しようにも、生徒の中には、別の課題を抱えている子もいます。
many も some も「多くの」だと覚えてしまっていて、幾度解説し修正しても、時間をおくと、また誤解が復活しています。
some と any の使いわけでモヤモヤし、any と many がスペルが似ているので結びつき、そのあげくに、こういう混乱が常態になったものと思われます。
その子は、日本語でも、「ひじ」と「ひざ」の区別で混乱しますし、「エレベーター」と「エスカレーター」も、一瞬言葉に詰まって半分あてずっぽうで呼んでいる気配を感じます。
気持ちはわからないでもない・・・。
many と much が意味的にはペアだよ、同じmから始まるよ、それ以外の語は、関係ないよと、その都度声をかけ、何とか覚えるとっかかりを作ろうと鋭意努力中ですが、もしかしたら一生治らないかもしれないとも感じています。
一度混乱したものは、なかなか治りません。
最初にしっかり正確に覚えることが大切です。
some , any , many の混乱は、複数の子に表れる症状です。
そういうところで毎回つまずいて派手に転んでいる子に、few と little の使い分けは、ちょっとレベルが高いかもしれません。
しかも、これに、few と a few 、さらに little と a little の使い分けが加わってきます。
同じ可算名詞の前におくのでも、
few ならば、「ほとんど~ない」
a few ならば、「少し~ある」なのです。
例文で確認しましょう。
Few people live to be one hundred.
100歳まで生きる人はほとんどいない。
A few people live to be one hundred.
100歳まで生きる人は少しいる。
He had little time to buy a present for her.
彼は、彼女へのプレゼントを買う時間がほとんどなかった。
He had a little time to buy a present for her.
彼は、彼女へのプレゼンを買う時間が少しあった。
これらをイメージとして理解するには。
few も little も、数直線上では、0にほぼ近い位置に存在します。
ゼロではないけれど、ゼロに近い。
しかし、そこに、a という、存在することを明瞭に表す語が付け加えられた瞬間に、その存在が強調されます。
だから、「少しはある」になるのです。
そういうイメージで覚えてください。
ところで、以下の文の意味はわかりますか?
Quite a few people live to be seventy.
quite は、「かなり」という意味で、very と同様、後ろの語句を強める働きをする副詞だから、quite a few は、「とっても少しの」という意味かな?
そのように誤解する人が多いのですが、これは「かなり多くの」という意味です。
few とは異なり、a few は、その存在が否定されず、肯定的に受け止められている表現です。
それをさらに quite で強めたのですから、これは「かなり多くの」という意味に変わってしまうのです。
上の文は、「かなり多くの人々が、70歳まで生きる」という意味です。
ちなみに、very few ならば「非常に少しの」という意味になります。
これも、a がないからだと思えば、理解できますね。
今回は、few と little です。
前回の hardly , seldom などは、副詞ですので、動詞を否定していたのですが、few と little は形容詞ですので、名詞を否定します。
だから、位置も働きも異なるのですが、日本語の意味と1対1で覚える人は、どれも「ほとんど~ない」なので、区別がつかなくなるのです。
few と little は、形容詞ですので、名詞の前に置き、その名詞がほとんどないことを表します。
few は、可算名詞(数えられる名詞)に用い、数がほとんどないことを表します。
little は、不可算名詞(数えられない名詞)に用い、量がほとんどないことを表します。
例文を見てみましょう。
He has few faults.
彼は欠点がほとんどない。
He paid little attention to the fact.
彼はその事実にほとんど注意を払わなかった。
few と little の使い分けが覚えられないのも課題ですが、それは一応覚えても、実際に使いわけるには、後ろの名詞が数えられるのか数えられないのかを知識として知っていないといけないことも大きな課題です。
そして、数えられるか数えられないかの感覚は、日本語と同じ場合もありますが、何でそうなるのと思う場合もあり、結局、いちいち覚えていくしかありません。
「注意」が数えられないのはわかる気もするが、「欠点」って、数えられるのかなあ?
1つの欠点、2つの欠点・・・?
それが数えられるのなら、「情報」も数えられる気がするが、imformation は、不可算名詞です。
しかし、「議論」discussion は、可算名詞。
わかるような気もするが、わからないといえば、わからない・・・。
どこからどこまでが、1つの議論なの?
どこで区切って数えるの?
外国語を学ぶことは、その国の人の言語感覚を学ぶことです。
それを面白いと感じられるとよいですね。
「変だなあ?」と思うことも1つの興味。
変だから英語はダメだなどと言うのではなく、日本語と感覚が違っていて面白いなあと思うと、違和感がむしろ覚えるとっかかりになります。
興味をもって覚えてください。
数えられるか数えられないかに関しては、中学英語でも、many と much の使い分けなどで学習していますが、英語が苦手な子は、英語のこういう細かいところに興味がないし、だから覚えられないことが多いです。
例えば、money は、数えられない名詞としてはわかりやすいほうだと思うのですが、間違えてしまう子は多いです。
お金は数えられません。
「自分は、お金を100枚持っている」
と言っても、意味をなしません。
それは、1円玉を100枚なのか?
1万円札が100枚なのか?
お金は単位をつけて表さなければ意味がない。
個数では意味がない。
そういうものは、数えられない名詞です。
ただ、many に関しては、much との使いわけを力説しようにも、生徒の中には、別の課題を抱えている子もいます。
many も some も「多くの」だと覚えてしまっていて、幾度解説し修正しても、時間をおくと、また誤解が復活しています。
some と any の使いわけでモヤモヤし、any と many がスペルが似ているので結びつき、そのあげくに、こういう混乱が常態になったものと思われます。
その子は、日本語でも、「ひじ」と「ひざ」の区別で混乱しますし、「エレベーター」と「エスカレーター」も、一瞬言葉に詰まって半分あてずっぽうで呼んでいる気配を感じます。
気持ちはわからないでもない・・・。
many と much が意味的にはペアだよ、同じmから始まるよ、それ以外の語は、関係ないよと、その都度声をかけ、何とか覚えるとっかかりを作ろうと鋭意努力中ですが、もしかしたら一生治らないかもしれないとも感じています。
一度混乱したものは、なかなか治りません。
最初にしっかり正確に覚えることが大切です。
some , any , many の混乱は、複数の子に表れる症状です。
そういうところで毎回つまずいて派手に転んでいる子に、few と little の使い分けは、ちょっとレベルが高いかもしれません。
しかも、これに、few と a few 、さらに little と a little の使い分けが加わってきます。
同じ可算名詞の前におくのでも、
few ならば、「ほとんど~ない」
a few ならば、「少し~ある」なのです。
例文で確認しましょう。
Few people live to be one hundred.
100歳まで生きる人はほとんどいない。
A few people live to be one hundred.
100歳まで生きる人は少しいる。
He had little time to buy a present for her.
彼は、彼女へのプレゼントを買う時間がほとんどなかった。
He had a little time to buy a present for her.
彼は、彼女へのプレゼンを買う時間が少しあった。
これらをイメージとして理解するには。
few も little も、数直線上では、0にほぼ近い位置に存在します。
ゼロではないけれど、ゼロに近い。
しかし、そこに、a という、存在することを明瞭に表す語が付け加えられた瞬間に、その存在が強調されます。
だから、「少しはある」になるのです。
そういうイメージで覚えてください。
ところで、以下の文の意味はわかりますか?
Quite a few people live to be seventy.
quite は、「かなり」という意味で、very と同様、後ろの語句を強める働きをする副詞だから、quite a few は、「とっても少しの」という意味かな?
そのように誤解する人が多いのですが、これは「かなり多くの」という意味です。
few とは異なり、a few は、その存在が否定されず、肯定的に受け止められている表現です。
それをさらに quite で強めたのですから、これは「かなり多くの」という意味に変わってしまうのです。
上の文は、「かなり多くの人々が、70歳まで生きる」という意味です。
ちなみに、very few ならば「非常に少しの」という意味になります。
これも、a がないからだと思えば、理解できますね。
2022年02月22日
高校数Ⅱ「三角関数」。積和の公式。
さて、今回は、三角関数の公式のうち、最悪に覚えにくい「積和の公式」です。
sinα・cosβ=1/2{sin(α+β)+sin(α-β)}
cosα・sinβ=1/2{sin(α+β)-sin(α-β)}
cosα・cosβ=1/2{cos(α+β)+cos(α-β)}
sinα・sinβ=1/2{cos(α+β)-cos(α-β)}
サインやコサインの積の形のものを和や差の形に直したいときに使います。
まずは証明から。
これは、基本の加法定理どうしを足したり引いたりすることで求めることができます。
基本の加法定理は、
sin(α+β)=sinα・cosβ+cosα・sinβ・・・①
sin(α-β)=sinα・cosβ-cosα・sinβ・・・②
cos(α+β)=cosα・cosβ-sinα・sinβ・・・③
cos(α-β)=cosα・cosβ+sinα・sinβ・・・④
①+②より
sin(α+β)+sin(α-β)=sinα・cosβ+cosα・sinβ+sinα・cosβ-cosα・sinβ
sin(α+β)+sin(α-β)=2sinα・cosβ
左辺と右辺を取り換えると、
2sinα・cosβ=sin(α+β)+sin(α-β)
両辺を2で割ると、
sinα・cosβ=1/2{sin(α+β)+sin(α-β)}
はい。
無事に、公式の1本目となりました。
同様に、
(①-②)÷2で2本目の公式。
(③+④)÷2で3本目の公式。
(③-④)÷2で4本目の公式を導くことができます。
公式を忘れてしまったときは、こうやって導くのだったという大体のところを覚えておくと復元できます。
しかし、テスト中にいちいち復元するのは時間がかかり、また、テスト中ということで気持ちに焦りがあると、つまらない符号ミスをしてしまったりもします。
何か覚え方はないかと、ネットで調べましたが、どれも、覚え方そのものが覚えにくい・・・。
それでも、語呂合わせで覚えたい方は、いろいろ調べてみるとよいと思います。
語呂合わせというのではないですが、私は、4本まとめて覚えています。
もう一度、上の4本を書きます。
sinα・cosβ=1/2{sin(α+β)+sin(α-β)}
cosα・sinβ=1/2{sin(α+β)-sin(α-β)}
cosα・cosβ=1/2{cos(α+β)+cos(α-β)}
sinα・sinβ=1/2{cos(α+β)-cos(α-β)}
この4本の左辺は、「サイン・コス・コス・サイン。コス・コス・サイン・サイン」と、加法定理の右辺を2本、符号は無視して唱えながら書いていきます。
この4本の式の右辺は、規則的です。
上から、サインの和、サインの差、コサインの和、コサインの差です。
必ず、1番目が α+β、2番目が α-β です。
1/2は、何とか自力で覚えます。
それで復元できます。
では、この公式は、どんな問題で使うのでしょうか?
例えば、こんな問題です。
問題 次の値を求めよ。
(1) sin75°cos15°
(2)cos20°cos40°cos80°
(1)からいきましょう。
公式をそのまま利用できます。
sin75°cos15°
=1/2{sin(75°+15°)+sin(75°-15°)}
=1/2(sin90°+sin60°)
=1/2(1+√3/2)
=2+√3 / 4
(2)も同様です。
過程が少し複雑になるだけです。
やってみましょう。
cos20°cos40°cos80°
角の和や差は暗算して、公式を利用すると、
=1/2{cos60°+cos(-20°)}cos80°
=1/2(1/2+cos20°)cos80°
=1/4cos80°+1/2cos20°cos80°
=1/4cos80°+1/2・1/2{cos100°+cos(-60°)}
=1/4cos80°+1/4(cos100°+1/2)
=1/4cos80°+1/4(-cos80°+1/2)
=1/4cos80°-1/4cos80°+1/8
=1/8
値のわかっているサインやコサインは数に変え、負の数の角は正の数の角に、鈍角は鋭角に転換するのがコツです。
他にも、関数として最大値や最小値を求めたいのに、サインとコサインの積の形では数値がよくわからないとき、この公式を利用できます。
右辺を見ればわかりますが、サインとコサインの積だったものをサインのみに形を変えることが可能です。
使い道のある公式です。
しかし、何しろ覚えにくいので、活用できずに終わる場合が多いのが残念です。
覚えましょう!
sinα・cosβ=1/2{sin(α+β)+sin(α-β)}
cosα・sinβ=1/2{sin(α+β)-sin(α-β)}
cosα・cosβ=1/2{cos(α+β)+cos(α-β)}
sinα・sinβ=1/2{cos(α+β)-cos(α-β)}
サインやコサインの積の形のものを和や差の形に直したいときに使います。
まずは証明から。
これは、基本の加法定理どうしを足したり引いたりすることで求めることができます。
基本の加法定理は、
sin(α+β)=sinα・cosβ+cosα・sinβ・・・①
sin(α-β)=sinα・cosβ-cosα・sinβ・・・②
cos(α+β)=cosα・cosβ-sinα・sinβ・・・③
cos(α-β)=cosα・cosβ+sinα・sinβ・・・④
①+②より
sin(α+β)+sin(α-β)=sinα・cosβ+cosα・sinβ+sinα・cosβ-cosα・sinβ
sin(α+β)+sin(α-β)=2sinα・cosβ
左辺と右辺を取り換えると、
2sinα・cosβ=sin(α+β)+sin(α-β)
両辺を2で割ると、
sinα・cosβ=1/2{sin(α+β)+sin(α-β)}
はい。
無事に、公式の1本目となりました。
同様に、
(①-②)÷2で2本目の公式。
(③+④)÷2で3本目の公式。
(③-④)÷2で4本目の公式を導くことができます。
公式を忘れてしまったときは、こうやって導くのだったという大体のところを覚えておくと復元できます。
しかし、テスト中にいちいち復元するのは時間がかかり、また、テスト中ということで気持ちに焦りがあると、つまらない符号ミスをしてしまったりもします。
何か覚え方はないかと、ネットで調べましたが、どれも、覚え方そのものが覚えにくい・・・。
それでも、語呂合わせで覚えたい方は、いろいろ調べてみるとよいと思います。
語呂合わせというのではないですが、私は、4本まとめて覚えています。
もう一度、上の4本を書きます。
sinα・cosβ=1/2{sin(α+β)+sin(α-β)}
cosα・sinβ=1/2{sin(α+β)-sin(α-β)}
cosα・cosβ=1/2{cos(α+β)+cos(α-β)}
sinα・sinβ=1/2{cos(α+β)-cos(α-β)}
この4本の左辺は、「サイン・コス・コス・サイン。コス・コス・サイン・サイン」と、加法定理の右辺を2本、符号は無視して唱えながら書いていきます。
この4本の式の右辺は、規則的です。
上から、サインの和、サインの差、コサインの和、コサインの差です。
必ず、1番目が α+β、2番目が α-β です。
1/2は、何とか自力で覚えます。
それで復元できます。
では、この公式は、どんな問題で使うのでしょうか?
例えば、こんな問題です。
問題 次の値を求めよ。
(1) sin75°cos15°
(2)cos20°cos40°cos80°
(1)からいきましょう。
公式をそのまま利用できます。
sin75°cos15°
=1/2{sin(75°+15°)+sin(75°-15°)}
=1/2(sin90°+sin60°)
=1/2(1+√3/2)
=2+√3 / 4
(2)も同様です。
過程が少し複雑になるだけです。
やってみましょう。
cos20°cos40°cos80°
角の和や差は暗算して、公式を利用すると、
=1/2{cos60°+cos(-20°)}cos80°
=1/2(1/2+cos20°)cos80°
=1/4cos80°+1/2cos20°cos80°
=1/4cos80°+1/2・1/2{cos100°+cos(-60°)}
=1/4cos80°+1/4(cos100°+1/2)
=1/4cos80°+1/4(-cos80°+1/2)
=1/4cos80°-1/4cos80°+1/8
=1/8
値のわかっているサインやコサインは数に変え、負の数の角は正の数の角に、鈍角は鋭角に転換するのがコツです。
他にも、関数として最大値や最小値を求めたいのに、サインとコサインの積の形では数値がよくわからないとき、この公式を利用できます。
右辺を見ればわかりますが、サインとコサインの積だったものをサインのみに形を変えることが可能です。
使い道のある公式です。
しかし、何しろ覚えにくいので、活用できずに終わる場合が多いのが残念です。
覚えましょう!
2022年02月16日
説明を聞き取れない子、読み取れない子。
学力の高い子と、そうではない子で、最も表面的ですぐわかる違いは、言葉が通じやすいかどうかです。
話が通じるかどうか。
その生徒に他人の話を理解する力があるかどうかは、学力に大きく影響します。
ある日、自校作成校に通う高校生が、体験授業を受けにきたことがありました。
数学の「微分法」が、よくわからない、というのです。
微分のやり方そのものはわかっている子でした。
手順は、知っているのです。
でも、何のために何をやっているのか、わからない・・・。
だから、ただ微分するだけの計算問題は解けるけれど、応用問題になると、解説を読んでも、何で唐突に微分を始めるのか、わからない・・・。
「微分法」を学習していて、陥りがちな状態でした。
「微分法」がテスト範囲の場合、多くの定期テストは、
「次の式を定義にしたがって微分せよ」
とか、
「定義に従い、次の式の導関数を求めよ」
といった問題が最低1題は出されます。
これが解けない子が多いのです。
作業手順だけの微分をしてしまい、0点となってしまいます。
微分の作業手順を覚えた瞬間に、その前に学習した、訳のわからないリミットだの平均変化率だのは、忘れてしまうのです。
しかし、そこを忘れてしまうと、微分の意味がわからなくなってしまいます。
微分はその曲線の接線の傾きを表します。
なぜ微分することで、接線の傾きを表すことができるのか?
その解説を定義に戻って5分ほどすると、その子は目を輝かせ、全ての謎が解けたという顔をしました。
微分をすることで、接線の傾きがわかれば、その曲線の概形を知ることができる。
増減表は、傾きがゼロになる箇所、すなわち極値を調べている。
そういうことが、全てつながったのでした。
「わかった!じゃあ、これはこういうことですか?」
持参の学校の問題集の印をつけた問題を自分で解き始めました。
「そうそう。そういうことです」
「じゃあ、次のこの問題は、こういうことですか?」
「そうですね。曲線上の点(t , f(t))における接線の方程式を求めよという問題ですから、まさにそういうことですね」
「接線の公式って、そういう意味かあ」
「そうです。微分で傾きを求めて、あとは、1点を通る直線の方程式の求め方で求めているだけですね」
「何だ、そうか」
わずか90分で、謎は解決しました。
その後入会したその子は、前の定期テストよりも30点ほど一気に上昇しました。
むしろ、その子がなぜ数学が苦手だったのか、私にとっては、そのほうが謎でした。
しかし、同じように、微分の作業手順は知っているけれど応用問題が解けないというある子に解説したときのこと。
私は、全く同じように、適当な曲線の一部を描き、x=aの点と、x=a+hの点を記入し、その2点間の平均変化率を考えるところから解説を始めました。
勿論、図を示しながらの解説です。
しかし、話が通じませんでした。
「x=a の点と、x=a+h の点とを結んだ直線の傾きは・・・」
「え?x=a とx=h の点?」
「違います。x=a と、x=a+h の点です」
「x=a と、x=a?」
「・・・違います。よく見てね。x=a と、x=a+h です」
ボードを指さしながら、解説を続けると、一応、それは理解したようでした。
「・・・ああ」
「この2点間の『平均変化率』、中学の数学で言えば『変化の割合』は、この2点を結んだ直線の傾きになりますよね?」
「平均の割合?」
「違います。高校数学では、『平均変化率』。でも、中学の頃に習った言葉は、『変化の割合』」
「変化のはぶあい?」
「変化の割合、です」
ボードに文字を書き、指さしました。
「・・・ああ、変化の割合」
「変化の割合は、直線の式では傾きと等しいですね?」
「変化の割合は、直線の割合と等しい?」
「・・・違います。変化の割合は、直線の式では、傾きと、等しいですよね?」
「・・・そうなんですか?」
「・・・」
それならばと、中2の「1次関数」の基本に戻って、直線の傾きは変化の割合と等しいというところを復習した後、微分に戻りました。
「・・・そして、x=a と x=a+h を考えた場合に、hが限りなく0に近づくならば・・・」
「え?x=a+hが限りなくセロリ近づく?」
「違います。野菜の話はしていません。hが限りなく0に近づくときに」
「x=a+hが0に近づく?」
「違います。それでは、いつでも、xはほぼ0になってしまいます。0に限りなく近づくのは、hだけです」
「・・・何で?」
「・・・」
さらに説明を続けて、
「・・・というわけで、微分は、その点における接線の傾きを表すことになります」
「てっぺんのからぶき?」
「・・・違います。その点における、接線の、傾き」
「・・・わからない」
「・・・」
「接線って何ですか?」
「・・・」
これは、微分を学習できる状態ではないのではないか?
中学数学も高校数学も、ほとんど何も覚えていない可能性がある・・・。
この状態で微分を理解するのは、さすがに無理だ・・・。
その子がしばしば聞き間違えたのは、私の滑舌が悪いからでしょうか?
しかし、他の子には通じるのですから、私の滑舌がきわだって悪いとは考えにくいのでした。
思うに、その子の語彙にない言葉が連続するので、意味をとりにくかったのだと思うのです。
「接線」も「接点」も「傾き」も、その子の語彙にはなかったのでしょう。
予期せぬ数学用語は聴き取りにくい。
聴き取れたとしても、そもそも基本的な数学用語を理解していない。
言葉がわからないので、解説が聞き取れないのでした。
もう1つ言うならば、音声の聞き取りに多少の弱点がある可能性も考えられました。
それは生まれつきの場合も考えられますが、潜在的な能力はあるのに、それを伸ばしていないだけという場合も考えられます。
長年個別指導をしていると、音声だけでは通じない子が多くなってきた、と感じます。
話が通じにくい。
こんなこと、いちいち書かなくても・・・と思うようなことも、書かないと通じなくなってきました。
個人差は大きいですが。
話は変わって、ある年の中3の話。
都立高校の国語の入試問題は、200字の課題作文が出題されます。
読み取った評論に沿ってテーマが与えられ、それにまつわる具体例と自分の意見を述べます。
その練習をしていたある日のことです。
課題となった評論は、イメージの伝達に関するものでした。
例えば、犯罪を報道する際に、「犯人は入口をバールのようなものでこじあけたもようです」といった表現をします。
「バール」と断定するのではなく、「バールのようなもの」と表現するのには意味があります。
そう表現することで、使われた道具の情報がむしろ正確に伝達されるのです。
そうした内容の文章でした。
それを読んで、「イメージを伝える」という課題作文を書いたところ、その子は興味深い作文を書きました。
学校の先生に、
「おまえの説明は、名詞を並べているだけで、何も伝わらない」
と言われたことがある、というのです。
おおっ。
良い例を持ってきましたね。
そう思い、私は期待して続きを読みました。
「だから、比喩を使うことが大切だ。『青い』とか、『トゲトゲした』といった表現ではダメで、比喩を使うとよく伝わる」
・・・違いますよ。
青いも、トゲトゲしたも、優れた形容ですよ。
しかも、「バールのようなもの」は、例示であって、比喩ではありません。
これは参ったなあ・・・。
私は、作文を読んだ後、その子に尋ねました。
「学校の先生に、『おまえの説明は名詞を並べているだけで何も伝わらない』と言われたのは、本当のことですか?」
その子は頷きました。
「どういう状況でそれを言われましたか?」
「・・・」
難しい質問だったのか、その子は黙り込んでしまいました。
私は解説を始めました。
「・・・例えば、学校の校庭に犬が入ってきたとして、それを学校の先生に伝えるとします。『犬!犬!』だけでは、情報としては、あまりよく伝わらないのです」
その子は、顔を上げました。
私は話を続けました。
「『薄茶色の中くらいの大きさの犬が、校庭に入ってきて、うろうろしています』というほうが情報量が多いです。『薄茶色の』や『中くらいの大きさの』という表現が情報を詳しくしています。これらは、別に比喩ではありませんよね。だから、君が否定した『青い』や『トゲトゲした』は有効な表現方法なんですよ。様子がよくわかります」
「・・・」
「さらに、さっきの犬の説明に『柴犬のような』という表現を付け加えたら、たとえ純血種の柴犬ではなくても、そのように見えるタイプの犬全般をイメージできるので、わかりやすいのです。『バールのような』は、そういう表現方法です。これを例示といいます」
「・・・」
「もし『ドーベルマンのような黒い犬が校庭に入ってきて走り回っています』とあなたが言えば、先生は、網を持っていこうか、警察に連絡するか、いや、生徒に校庭に出ないように放送するのが先かと考えるでしょう。先ほどの『柴犬のような』とは対応が違ってくると思います。正確なイメージが伝わったからです」
「・・・」
「イメージを伝える方法は、比喩だけではありません。だから、あなたのこの作文は、本文の内容を読み取れていません」
「・・・」
「面白いんですけどね。高校の国語の先生が興味を持って読んでくれそうな具体例です。着地さえ良ければ、満点が取れるんです」
・・・しかし、学校の先生の言葉の意味も、この評論の意味も、その子は理解できていませんでした。
むしろ何も理解していないことが読み手に伝わる作文なので、私は、ヒヤっとしたのでもありました。
0点にはしないだろうけれど、かなり得点は低い・・・・。
書いてあることを理解できない、他人の話を理解できない生徒を、入学させたいかさせたくないかと言ったら・・・。
他人の話をスルッと理解する子と、簡単な説明もなかなか理解しない子と。
中間層が存在しないように私が感じるのは、個別指導の特性だとは思います。
学校には、普通に大多数の中間層が存在しているでしょう。
言葉を聞き取る力が弱いのは、生まれつきの傾向もありますが、本人の言語生活が痩せたものであることも大きいでしょう。
そこを踏まえた授業をしなければと思います。
一方で、わかりやす過ぎる説明をしてしまったり、
「聴き取れました?」
といちいち確認したりして、当たり前に聴き取れる秀才に変な顔をされてしまうこともあります。
個別指導の個別性が今こそ発揮されるべき時代なのでしょう。
腕の見せどころです。
話が通じるかどうか。
その生徒に他人の話を理解する力があるかどうかは、学力に大きく影響します。
ある日、自校作成校に通う高校生が、体験授業を受けにきたことがありました。
数学の「微分法」が、よくわからない、というのです。
微分のやり方そのものはわかっている子でした。
手順は、知っているのです。
でも、何のために何をやっているのか、わからない・・・。
だから、ただ微分するだけの計算問題は解けるけれど、応用問題になると、解説を読んでも、何で唐突に微分を始めるのか、わからない・・・。
「微分法」を学習していて、陥りがちな状態でした。
「微分法」がテスト範囲の場合、多くの定期テストは、
「次の式を定義にしたがって微分せよ」
とか、
「定義に従い、次の式の導関数を求めよ」
といった問題が最低1題は出されます。
これが解けない子が多いのです。
作業手順だけの微分をしてしまい、0点となってしまいます。
微分の作業手順を覚えた瞬間に、その前に学習した、訳のわからないリミットだの平均変化率だのは、忘れてしまうのです。
しかし、そこを忘れてしまうと、微分の意味がわからなくなってしまいます。
微分はその曲線の接線の傾きを表します。
なぜ微分することで、接線の傾きを表すことができるのか?
その解説を定義に戻って5分ほどすると、その子は目を輝かせ、全ての謎が解けたという顔をしました。
微分をすることで、接線の傾きがわかれば、その曲線の概形を知ることができる。
増減表は、傾きがゼロになる箇所、すなわち極値を調べている。
そういうことが、全てつながったのでした。
「わかった!じゃあ、これはこういうことですか?」
持参の学校の問題集の印をつけた問題を自分で解き始めました。
「そうそう。そういうことです」
「じゃあ、次のこの問題は、こういうことですか?」
「そうですね。曲線上の点(t , f(t))における接線の方程式を求めよという問題ですから、まさにそういうことですね」
「接線の公式って、そういう意味かあ」
「そうです。微分で傾きを求めて、あとは、1点を通る直線の方程式の求め方で求めているだけですね」
「何だ、そうか」
わずか90分で、謎は解決しました。
その後入会したその子は、前の定期テストよりも30点ほど一気に上昇しました。
むしろ、その子がなぜ数学が苦手だったのか、私にとっては、そのほうが謎でした。
しかし、同じように、微分の作業手順は知っているけれど応用問題が解けないというある子に解説したときのこと。
私は、全く同じように、適当な曲線の一部を描き、x=aの点と、x=a+hの点を記入し、その2点間の平均変化率を考えるところから解説を始めました。
勿論、図を示しながらの解説です。
しかし、話が通じませんでした。
「x=a の点と、x=a+h の点とを結んだ直線の傾きは・・・」
「え?x=a とx=h の点?」
「違います。x=a と、x=a+h の点です」
「x=a と、x=a?」
「・・・違います。よく見てね。x=a と、x=a+h です」
ボードを指さしながら、解説を続けると、一応、それは理解したようでした。
「・・・ああ」
「この2点間の『平均変化率』、中学の数学で言えば『変化の割合』は、この2点を結んだ直線の傾きになりますよね?」
「平均の割合?」
「違います。高校数学では、『平均変化率』。でも、中学の頃に習った言葉は、『変化の割合』」
「変化のはぶあい?」
「変化の割合、です」
ボードに文字を書き、指さしました。
「・・・ああ、変化の割合」
「変化の割合は、直線の式では傾きと等しいですね?」
「変化の割合は、直線の割合と等しい?」
「・・・違います。変化の割合は、直線の式では、傾きと、等しいですよね?」
「・・・そうなんですか?」
「・・・」
それならばと、中2の「1次関数」の基本に戻って、直線の傾きは変化の割合と等しいというところを復習した後、微分に戻りました。
「・・・そして、x=a と x=a+h を考えた場合に、hが限りなく0に近づくならば・・・」
「え?x=a+hが限りなくセロリ近づく?」
「違います。野菜の話はしていません。hが限りなく0に近づくときに」
「x=a+hが0に近づく?」
「違います。それでは、いつでも、xはほぼ0になってしまいます。0に限りなく近づくのは、hだけです」
「・・・何で?」
「・・・」
さらに説明を続けて、
「・・・というわけで、微分は、その点における接線の傾きを表すことになります」
「てっぺんのからぶき?」
「・・・違います。その点における、接線の、傾き」
「・・・わからない」
「・・・」
「接線って何ですか?」
「・・・」
これは、微分を学習できる状態ではないのではないか?
中学数学も高校数学も、ほとんど何も覚えていない可能性がある・・・。
この状態で微分を理解するのは、さすがに無理だ・・・。
その子がしばしば聞き間違えたのは、私の滑舌が悪いからでしょうか?
しかし、他の子には通じるのですから、私の滑舌がきわだって悪いとは考えにくいのでした。
思うに、その子の語彙にない言葉が連続するので、意味をとりにくかったのだと思うのです。
「接線」も「接点」も「傾き」も、その子の語彙にはなかったのでしょう。
予期せぬ数学用語は聴き取りにくい。
聴き取れたとしても、そもそも基本的な数学用語を理解していない。
言葉がわからないので、解説が聞き取れないのでした。
もう1つ言うならば、音声の聞き取りに多少の弱点がある可能性も考えられました。
それは生まれつきの場合も考えられますが、潜在的な能力はあるのに、それを伸ばしていないだけという場合も考えられます。
長年個別指導をしていると、音声だけでは通じない子が多くなってきた、と感じます。
話が通じにくい。
こんなこと、いちいち書かなくても・・・と思うようなことも、書かないと通じなくなってきました。
個人差は大きいですが。
話は変わって、ある年の中3の話。
都立高校の国語の入試問題は、200字の課題作文が出題されます。
読み取った評論に沿ってテーマが与えられ、それにまつわる具体例と自分の意見を述べます。
その練習をしていたある日のことです。
課題となった評論は、イメージの伝達に関するものでした。
例えば、犯罪を報道する際に、「犯人は入口をバールのようなものでこじあけたもようです」といった表現をします。
「バール」と断定するのではなく、「バールのようなもの」と表現するのには意味があります。
そう表現することで、使われた道具の情報がむしろ正確に伝達されるのです。
そうした内容の文章でした。
それを読んで、「イメージを伝える」という課題作文を書いたところ、その子は興味深い作文を書きました。
学校の先生に、
「おまえの説明は、名詞を並べているだけで、何も伝わらない」
と言われたことがある、というのです。
おおっ。
良い例を持ってきましたね。
そう思い、私は期待して続きを読みました。
「だから、比喩を使うことが大切だ。『青い』とか、『トゲトゲした』といった表現ではダメで、比喩を使うとよく伝わる」
・・・違いますよ。
青いも、トゲトゲしたも、優れた形容ですよ。
しかも、「バールのようなもの」は、例示であって、比喩ではありません。
これは参ったなあ・・・。
私は、作文を読んだ後、その子に尋ねました。
「学校の先生に、『おまえの説明は名詞を並べているだけで何も伝わらない』と言われたのは、本当のことですか?」
その子は頷きました。
「どういう状況でそれを言われましたか?」
「・・・」
難しい質問だったのか、その子は黙り込んでしまいました。
私は解説を始めました。
「・・・例えば、学校の校庭に犬が入ってきたとして、それを学校の先生に伝えるとします。『犬!犬!』だけでは、情報としては、あまりよく伝わらないのです」
その子は、顔を上げました。
私は話を続けました。
「『薄茶色の中くらいの大きさの犬が、校庭に入ってきて、うろうろしています』というほうが情報量が多いです。『薄茶色の』や『中くらいの大きさの』という表現が情報を詳しくしています。これらは、別に比喩ではありませんよね。だから、君が否定した『青い』や『トゲトゲした』は有効な表現方法なんですよ。様子がよくわかります」
「・・・」
「さらに、さっきの犬の説明に『柴犬のような』という表現を付け加えたら、たとえ純血種の柴犬ではなくても、そのように見えるタイプの犬全般をイメージできるので、わかりやすいのです。『バールのような』は、そういう表現方法です。これを例示といいます」
「・・・」
「もし『ドーベルマンのような黒い犬が校庭に入ってきて走り回っています』とあなたが言えば、先生は、網を持っていこうか、警察に連絡するか、いや、生徒に校庭に出ないように放送するのが先かと考えるでしょう。先ほどの『柴犬のような』とは対応が違ってくると思います。正確なイメージが伝わったからです」
「・・・」
「イメージを伝える方法は、比喩だけではありません。だから、あなたのこの作文は、本文の内容を読み取れていません」
「・・・」
「面白いんですけどね。高校の国語の先生が興味を持って読んでくれそうな具体例です。着地さえ良ければ、満点が取れるんです」
・・・しかし、学校の先生の言葉の意味も、この評論の意味も、その子は理解できていませんでした。
むしろ何も理解していないことが読み手に伝わる作文なので、私は、ヒヤっとしたのでもありました。
0点にはしないだろうけれど、かなり得点は低い・・・・。
書いてあることを理解できない、他人の話を理解できない生徒を、入学させたいかさせたくないかと言ったら・・・。
他人の話をスルッと理解する子と、簡単な説明もなかなか理解しない子と。
中間層が存在しないように私が感じるのは、個別指導の特性だとは思います。
学校には、普通に大多数の中間層が存在しているでしょう。
言葉を聞き取る力が弱いのは、生まれつきの傾向もありますが、本人の言語生活が痩せたものであることも大きいでしょう。
そこを踏まえた授業をしなければと思います。
一方で、わかりやす過ぎる説明をしてしまったり、
「聴き取れました?」
といちいち確認したりして、当たり前に聴き取れる秀才に変な顔をされてしまうこともあります。
個別指導の個別性が今こそ発揮されるべき時代なのでしょう。
腕の見せどころです。
2022年02月10日
高校英語。否定。hardly と rarely。
さて、「否定」の学習です。
今回は、準否定表現の副詞、hardly , scarcely , rarely , seldom を扱います。
例えば、こんな例文。
I could hardly listen to him.
特に長文問題の中にこのような文があったとき、これを、
「私は、一生懸命彼の言うことを聞くことができた」
といった意味にとってしまう子がいます。
しかし、これは、ほぼ逆の意味です。
実際は、
「私は、彼の言うことがほとんど聞き取れなかった」
という意味なのです。
知識があるか、ないか。
注意深く英文を読む習慣があるか、ないか。
それだけで、意味を真逆にとらえてしまう・・・。
準否定表現の恐ろしさは、そこです。
否定文は、not や never や no が使われているものだけが否定文ではありません。
このような準否定表現に注意が必要です。
hard と hardly は、違う言葉です。
hard が副詞になったら hardly というわけではありません。
そもそも、hard は、このまま副詞として使います。
他の形容詞のように、ly をつけて副詞化する単語ではないのです。
I study English hard every day.
といった文は、英語を学習し始めて半年以内には習っていると思います。
hard で、「一生懸命に」です。
勿論、
It's hard day.
のように、hard には、形容詞としての「大変な」「硬い」といった意味もあります。
形容詞?
副詞?
そこらへんで、頭がぐるぐるーとなってしまう人もいるかもしれません。
形容詞は、品詞の1種です。
働きは、
①C(補語)になる。
②名詞を修飾する。
副詞も、品詞の1種です。
働きは、
名詞以外のものを修飾する。
・・・名詞以外のものとは、具体的に何かといえば、
動詞、形容詞、副詞、文全体などです。
同じ単語が、形容詞だったり副詞だったりしていいの?
そのような疑問を持たれる人もいるかもしれませんが、全く問題ありません。
英語は、その単語をどの位置に置くかでその単語の働きが決定しますので、副詞の位置におけば副詞であり、形容詞の位置におけば形容詞です。
では、副詞の位置とは?
普通の副詞は、SVOなどの文の主な要素を言い終わった後に副詞を置きます。
例えば、SVOの語順は、
「誰が」「~する」「何を」「どんなふうに」「どこで」「いつ」。
と、順番が決まっています。
この「どんなふうに」の部分に副詞がきます。
面倒くさいことを言いますと、「どこで」「いつ」も副詞、副詞句あるいは副詞節ですが、そんなことは今はどうでもいいですね。
ところが、そうではない位置にくる副詞があります。
英語学習の意外に早い時期にすでに学習しています。
「頻度の副詞」と呼ばれるものです。
always , usually , often , sometimes などですね。
これの位置は、一般動詞の前。
be 動詞や助動詞の後ろ。
助動詞と be 動詞の両方が使われている文ならば、助動詞の後ろで be 動詞の前。
この同じ位置に、hardly などの準否定表現の副詞がきます。
I could hardly listen to him.
は、助動詞の後ろ、一般動詞の前に hardly が来ていますので、これは普通の副詞ではない、hard とは関係ない、これは準否定表現の副詞だとひと目で気づくのです。
・・・助動詞って何?
先日も、高校生に「仮定法」を教えていて、
「主節は、まず主語を書いて、助動詞過去形、特に意味がないときも、必ず would は入れます・・・」
と解説していたら、
「・・・助動詞って何?」
と質問され、後頭部にいきなり矢を撃ち込まれたようなショックを受けました。
目の前が暗くなる、サントワマミー・・・。
と、歌の一節も聞こえてきましたが、しかし、そこでめげてはいけません。
英語が苦手な子は、本当に本当に文法用語を覚えない・・・。
文法用語を記憶することを脳が拒否するように、覚えません。
用語を覚えることは、その概念を理解すること。
助動詞という言葉を覚えていれば、助動詞と呼ばれる単語に共通の性質も位置も働きも覚えられます。
助動詞は、動詞の意味を補助する働きをする語です。
助動詞+動詞の原形 の形で使用します。
多くの場合、最初に学習するのは、can。
その仲間が助動詞です。
will , must , may , shouldなどですね。
さて、準否定表現に戻りましょう。
hardly , scarcely の意味は「ほとんど~ない」。
程度がほとんどない場合に使用します。
It hardly rained last summer.
この前の夏は、ほとんど雨が降らなかった。
There is scarcely any sugar in this cake.
このケーキには、砂糖はほとんど入っていない。
rarely , seldom の意味は「めったに~ない」。
頻度がほとんどない場合に使用します。
She is rarely late for school.
彼女はめったに学校に遅れない。
Japanese parents seldom go out to dinner without their children.
日本の親は、子どもを連れないで夕食に出かけることはめったにない。
つまり、量的に「ほとんど~ない」ならば、hardly , scarcely。
回数的に「めったに~ない」ならば、rarely , seldom。
これ、hardly しか覚えないのではなく、4つ全部覚えてください。
言い換え表現を理解していないと、4択問題で苦労しますから。
4択問題は、単語を言い換えているのが正解で、本文中の語句をそのまま使っているのはひっかけの選択肢である可能性があります。
言い換え表現をできるだけ知っておくことが必要です。
rarely は、rare「まれな」という形容詞に ly がついた、普通の作り方の副詞ですので、覚えやすいと思います。
「レアな」「レア物」という言い方で、日本語として定着しています。
レアメタルといった言葉もあります。
しかし、そのように覚えるための手がかりを説明しても、
「知らない」
「言わない」
とはね返す子は、今も昔もいます。
「そんなことも知らないの?」
と言われた気がして、不愉快になってしまうのか?
本当に知らないのか?
言葉の意味をいちいち考える習慣がないのか?
あんたとは使う言葉が違うんだよ、私は若いからと、若さアピールがしたいのか?
英語が苦手な子の謎言動の1つです。
そうして、単語を覚える機会を自ら逃していきます。
しかし、そういう子も、一回腑に落ちる経験があると、それが語彙を増やすのに有効であると理解してくれるようです。
前述の、高校生なのに助動詞が何なのかわからない子は、文法はそんなふうでまだ遅々たる歩みですが、単語は覚えることができるようになってきました。
単語テストの度に、
「これはもう日本語になっていますね」
と私が言うのを、最初のうちは、「知らない」「言わない」でかわしていたのですが、何かのきっかけで腑に落ちたようなのです。
その子にとって、「これは確かに日本語だ。この単語は知っている」と納得する経験があったようなのです。
どの単語がその子にとって腑に落ちる体験になるのかは、その子によって違うので、「知らない」「言わない」は無視して、連射していくしかありません。
「これは日本語になっているね」
「日本語でも、こう言うね」
「もう日本語になっているから、覚えやすいね」
いつか、的中します。
今回は、準否定表現の副詞、hardly , scarcely , rarely , seldom を扱います。
例えば、こんな例文。
I could hardly listen to him.
特に長文問題の中にこのような文があったとき、これを、
「私は、一生懸命彼の言うことを聞くことができた」
といった意味にとってしまう子がいます。
しかし、これは、ほぼ逆の意味です。
実際は、
「私は、彼の言うことがほとんど聞き取れなかった」
という意味なのです。
知識があるか、ないか。
注意深く英文を読む習慣があるか、ないか。
それだけで、意味を真逆にとらえてしまう・・・。
準否定表現の恐ろしさは、そこです。
否定文は、not や never や no が使われているものだけが否定文ではありません。
このような準否定表現に注意が必要です。
hard と hardly は、違う言葉です。
hard が副詞になったら hardly というわけではありません。
そもそも、hard は、このまま副詞として使います。
他の形容詞のように、ly をつけて副詞化する単語ではないのです。
I study English hard every day.
といった文は、英語を学習し始めて半年以内には習っていると思います。
hard で、「一生懸命に」です。
勿論、
It's hard day.
のように、hard には、形容詞としての「大変な」「硬い」といった意味もあります。
形容詞?
副詞?
そこらへんで、頭がぐるぐるーとなってしまう人もいるかもしれません。
形容詞は、品詞の1種です。
働きは、
①C(補語)になる。
②名詞を修飾する。
副詞も、品詞の1種です。
働きは、
名詞以外のものを修飾する。
・・・名詞以外のものとは、具体的に何かといえば、
動詞、形容詞、副詞、文全体などです。
同じ単語が、形容詞だったり副詞だったりしていいの?
そのような疑問を持たれる人もいるかもしれませんが、全く問題ありません。
英語は、その単語をどの位置に置くかでその単語の働きが決定しますので、副詞の位置におけば副詞であり、形容詞の位置におけば形容詞です。
では、副詞の位置とは?
普通の副詞は、SVOなどの文の主な要素を言い終わった後に副詞を置きます。
例えば、SVOの語順は、
「誰が」「~する」「何を」「どんなふうに」「どこで」「いつ」。
と、順番が決まっています。
この「どんなふうに」の部分に副詞がきます。
面倒くさいことを言いますと、「どこで」「いつ」も副詞、副詞句あるいは副詞節ですが、そんなことは今はどうでもいいですね。
ところが、そうではない位置にくる副詞があります。
英語学習の意外に早い時期にすでに学習しています。
「頻度の副詞」と呼ばれるものです。
always , usually , often , sometimes などですね。
これの位置は、一般動詞の前。
be 動詞や助動詞の後ろ。
助動詞と be 動詞の両方が使われている文ならば、助動詞の後ろで be 動詞の前。
この同じ位置に、hardly などの準否定表現の副詞がきます。
I could hardly listen to him.
は、助動詞の後ろ、一般動詞の前に hardly が来ていますので、これは普通の副詞ではない、hard とは関係ない、これは準否定表現の副詞だとひと目で気づくのです。
・・・助動詞って何?
先日も、高校生に「仮定法」を教えていて、
「主節は、まず主語を書いて、助動詞過去形、特に意味がないときも、必ず would は入れます・・・」
と解説していたら、
「・・・助動詞って何?」
と質問され、後頭部にいきなり矢を撃ち込まれたようなショックを受けました。
目の前が暗くなる、サントワマミー・・・。
と、歌の一節も聞こえてきましたが、しかし、そこでめげてはいけません。
英語が苦手な子は、本当に本当に文法用語を覚えない・・・。
文法用語を記憶することを脳が拒否するように、覚えません。
用語を覚えることは、その概念を理解すること。
助動詞という言葉を覚えていれば、助動詞と呼ばれる単語に共通の性質も位置も働きも覚えられます。
助動詞は、動詞の意味を補助する働きをする語です。
助動詞+動詞の原形 の形で使用します。
多くの場合、最初に学習するのは、can。
その仲間が助動詞です。
will , must , may , shouldなどですね。
さて、準否定表現に戻りましょう。
hardly , scarcely の意味は「ほとんど~ない」。
程度がほとんどない場合に使用します。
It hardly rained last summer.
この前の夏は、ほとんど雨が降らなかった。
There is scarcely any sugar in this cake.
このケーキには、砂糖はほとんど入っていない。
rarely , seldom の意味は「めったに~ない」。
頻度がほとんどない場合に使用します。
She is rarely late for school.
彼女はめったに学校に遅れない。
Japanese parents seldom go out to dinner without their children.
日本の親は、子どもを連れないで夕食に出かけることはめったにない。
つまり、量的に「ほとんど~ない」ならば、hardly , scarcely。
回数的に「めったに~ない」ならば、rarely , seldom。
これ、hardly しか覚えないのではなく、4つ全部覚えてください。
言い換え表現を理解していないと、4択問題で苦労しますから。
4択問題は、単語を言い換えているのが正解で、本文中の語句をそのまま使っているのはひっかけの選択肢である可能性があります。
言い換え表現をできるだけ知っておくことが必要です。
rarely は、rare「まれな」という形容詞に ly がついた、普通の作り方の副詞ですので、覚えやすいと思います。
「レアな」「レア物」という言い方で、日本語として定着しています。
レアメタルといった言葉もあります。
しかし、そのように覚えるための手がかりを説明しても、
「知らない」
「言わない」
とはね返す子は、今も昔もいます。
「そんなことも知らないの?」
と言われた気がして、不愉快になってしまうのか?
本当に知らないのか?
言葉の意味をいちいち考える習慣がないのか?
あんたとは使う言葉が違うんだよ、私は若いからと、若さアピールがしたいのか?
英語が苦手な子の謎言動の1つです。
そうして、単語を覚える機会を自ら逃していきます。
しかし、そういう子も、一回腑に落ちる経験があると、それが語彙を増やすのに有効であると理解してくれるようです。
前述の、高校生なのに助動詞が何なのかわからない子は、文法はそんなふうでまだ遅々たる歩みですが、単語は覚えることができるようになってきました。
単語テストの度に、
「これはもう日本語になっていますね」
と私が言うのを、最初のうちは、「知らない」「言わない」でかわしていたのですが、何かのきっかけで腑に落ちたようなのです。
その子にとって、「これは確かに日本語だ。この単語は知っている」と納得する経験があったようなのです。
どの単語がその子にとって腑に落ちる体験になるのかは、その子によって違うので、「知らない」「言わない」は無視して、連射していくしかありません。
「これは日本語になっているね」
「日本語でも、こう言うね」
「もう日本語になっているから、覚えやすいね」
いつか、的中します。
2022年02月07日
高校数Ⅱ「三角関数」三角関数の合成。
さて、今回は三角関数の合成です。
例えば、こんな問題。
問題 sinx+cosx を、r sin(θ+α) (r>0、-π<α≦π) の形にせよ。
三角関数は、1つの式にサインとコサインの両方があると、その値がわかりにくいのが課題です。
どちらか一方に統一したい。
そこで役立つのが、サインとコサインの和を1つのサインにまとめるやり方です。
サインに関する加法定理を思い出してください。
これです。
sin(α+β)=sinα cosβ+cosα sinβ
これを逆に活用して、導いたのが、三角関数の合成の公式です。
asinθ+bcosθ=√(a^2+b^2)sin(θ+α)
ただし、sinα=b /√(a^2+b^2) , cosα=a/√(a^2+b^2)
です。
なぜこのような公式になるのか?
上の図の点P(a , b)を見てください。
OP=r とおくと、三平方の定理より、
r=√(a^2+b^2)
となります。
また、OPと x 軸の正の方向とのなす角を α とすると、
a=rcosα , b=rsinα
です。
え?え?え?
と思う場合は、直角三角形の三角比の基本に戻ってsinα と cosα について分数の式を立てて変形してみてください。
なお、このように直角三角形の斜辺以外の辺の長さを、斜辺とサインやコサインの積で表すことは、共通テストなどでもよく使用するものなので、理解を深めておくとよいです。
さあ、代入して式を変形しますよー。
asinθ+bcosθ
=rcosα・sinθ+rsinα・cosθ
=r(cosα・sinθ+sinα・cosθ)
順番を整えましょう。
=r(sinθ・cosα+cosθ・sinα)
この( )の中は、加法定理の右辺ですね。
よって、
=rsin(θ+α)
すなわち、
=√(a^2+b^2)sin(θ+α)
です。
上の問題を、まずは、この公式を用いた計算で解いてみます。
sinxとcosxの係数はそれぞれ1ですから、
sinx+cosx
=√2(sinx・1/√2+cosx・1/√2)
=√2(sinx・cosπ/4+cosx・sinπ/4)
=√2sin(x+π/4)
このような計算過程を理解しておくことが重要ですが、上の図を描くことで、r も α もひと目でわかりますので、いきなり結果だけを書いていくことが可能です。
この問題でいえば、rは√2。
a=1、b=1より、特別な三角比ですから、α は π/4 とひと目でわかります。
よって、
sinx+cosx=√2sin(x+π/4)
といきなり合成できるのです。
慣れてくれば、図を描かなくても、頭の中で座標平面をイメージするだけで合成できます。
もっと練習してみましょう。
問題 次の式をrsin(θ+α)の形に変形せよ。
ただしr>0 , -π<α≦π とする。
(1) √3cosθ-sinθ
(2) sinθ-cosθ
(3) 2sinθ+3cosθ
(1)からいきましょう。
問題は、わざとコサインから書いてありますね。
順番を整えると、
-sinθ+√3cosθ
です。
a=-1、b=√3ですから、
√(a^2+b^2)=√4=2
点Pを座標平面にとると、第2象限に位置することがわかります。
x軸の正の方向とのなす角 α は、2/3π。
よって、
√3cosθ-sinθ=2sin(θ+2/3π)
(2)は、
a=1、b=-1ですから、
√(a^2+b^2)=√2
点Pは、第4象限に位置します。
したがって、x軸の正の方向とのなす角 α は、-π/4
よって、
sinθ-cosθ=√2sin(θ-π/4)
(3)は、
a=2、b=3ですから、
√(a^2+b^2)=√13
うーむ、これは、私たちが暗記していて、すぐにπを用いて書き換えられる角にはならないですね。
では公式通りに、
2sinθ+3cosθ=√13sin(θ+α)
ただし、cosα=2/√13 , sinα=3/√13
となります。
よくわからない・・・という人は、座標平面を描いて、確認してください。
あるいは、丁寧に計算過程を書いてみるのもよいと思います。
それで理解できれば、何も問題ないのです。
解き方を暗記しようとする場合、いつもの単位円の座標平面は、コサインのほうがx軸、サインのほうがy軸であるのに、今回は、サインの係数のほうをx軸、コサインの係数のほうをy軸にとりますので、そこを取り違えないように注意しましょう。
え?え?え?
何でそうなるの?
と混乱する場合は、証明の最初に戻って確認するとよいと思います。
今回は、サインやコサインの値そのものではなく、サインやコサインの係数を点Pのx座標、y座標にしているだけなのです。
それでも、
え?え?え?
と、さらに混乱する場合、そもそも三角比や三角関数の知識が、ゆらゆらと揺れているのだと思います。
この件だけをクリアに理解しようとするのはすでに難しい状態かもしれません。
単位円の基本から総復習するか、「そういうものだ」と諦めて覚えるか。
基本からの総復習をお薦めしますが、「そういうものだ」と諦めて覚える方向になってしまいがちでしょう。
すでに、三角比の基本を忘れている人もいると思います。
そもそも三角比は直角三角形の辺の比だったものが、なぜ関数みたいになっているのか?
単位円とは何だったか。
新しい内容を学習すると、以前に学習したことが頭から抜けていく・・・。
わからないことがあるのは、目の前のことがわからないのではなく、ずっと以前に学んだことがあやふやになっていて、数学的な基盤がないことが最大の原因です。
それでも、そのときだけは、「わかった!」という感覚がほしい人が多いと思います。
「わかった!」
と思った瞬間にすっきりして忘れていくのであっても、わからない限りは、
「なぜ先生はわかるように説明してくれないのか?」
「なぜ、もっとわかりやすい解説がないのか?」
と不満がつのる・・・。
数理の基礎が身についていないのに数学の学習を先に進めていくことの難しさ。
私も、いつもここで格闘しています。
最近は、
「・・・何を言っているのやら」
という言葉がお気に入りの様子で、そればかりつぶやいている生徒もいます。
何を言っているのかをいうなら、あなたの疑問を解決しようと私は格闘しているのですよ・・・。
応用問題ではなく、ただ公式を解説して基本問題を一緒に解くことが、なぜこれほどに難しいのか・・・。
でも、難しいから、面白い。
数学が好きで得意な子に数学を教えるのは、簡単なことなんです。
パパッと教えたことを翌週には完璧にマスターしてくる子もいます。
塾で予習したことを、学校の問題集や市販の問題集で復習し、マスターしてくるのです。
こんなに覚えにくい公式を何でこんなにたやすく覚えるの?
何でそんなに計算が速いの?
土に水がしみ込むような吸収力です。
やりがいがあります。
でも、これは多分、学生アルバイトでもできる仕事だなとも感じます。
一方で、高校生になっても、「展開」「因数分解」「平方完成」「判別式」といった数学用語がほとんど通じない子もいます。
「学校は、今週から、ベクトルに入りましたー」
「え?先週まで等差数列をやっていたのに?」
とびっくりして確認したら、Σ (シグマ)をベクトルと読むと思っていた・・・、ということもありました。
そういう素っ頓狂な高校生と悪戦苦闘して、数学の問題をとにもかくにも正答できるようにすること。
数学に全く興味がないのに、志望する大学の入試科目に数学があるので、どうしてもどうしても、数学で他教科の足を引っ張らない点を取らなければならない。
そんな状況に、むしろわくわくします。
わからなくなったら、とにかく基本に戻りましょう。
基本の中に、必ず答があります。
数学が苦手な生徒を、ただいま募集中です。
3月から、空きコマが生じます。
リモート授業も承ります。
お問い合わせください。
例えば、こんな問題。
問題 sinx+cosx を、r sin(θ+α) (r>0、-π<α≦π) の形にせよ。
三角関数は、1つの式にサインとコサインの両方があると、その値がわかりにくいのが課題です。
どちらか一方に統一したい。
そこで役立つのが、サインとコサインの和を1つのサインにまとめるやり方です。
サインに関する加法定理を思い出してください。
これです。
sin(α+β)=sinα cosβ+cosα sinβ
これを逆に活用して、導いたのが、三角関数の合成の公式です。
asinθ+bcosθ=√(a^2+b^2)sin(θ+α)
ただし、sinα=b /√(a^2+b^2) , cosα=a/√(a^2+b^2)
です。
なぜこのような公式になるのか?
上の図の点P(a , b)を見てください。
OP=r とおくと、三平方の定理より、
r=√(a^2+b^2)
となります。
また、OPと x 軸の正の方向とのなす角を α とすると、
a=rcosα , b=rsinα
です。
え?え?え?
と思う場合は、直角三角形の三角比の基本に戻ってsinα と cosα について分数の式を立てて変形してみてください。
なお、このように直角三角形の斜辺以外の辺の長さを、斜辺とサインやコサインの積で表すことは、共通テストなどでもよく使用するものなので、理解を深めておくとよいです。
さあ、代入して式を変形しますよー。
asinθ+bcosθ
=rcosα・sinθ+rsinα・cosθ
=r(cosα・sinθ+sinα・cosθ)
順番を整えましょう。
=r(sinθ・cosα+cosθ・sinα)
この( )の中は、加法定理の右辺ですね。
よって、
=rsin(θ+α)
すなわち、
=√(a^2+b^2)sin(θ+α)
です。
上の問題を、まずは、この公式を用いた計算で解いてみます。
sinxとcosxの係数はそれぞれ1ですから、
sinx+cosx
=√2(sinx・1/√2+cosx・1/√2)
=√2(sinx・cosπ/4+cosx・sinπ/4)
=√2sin(x+π/4)
このような計算過程を理解しておくことが重要ですが、上の図を描くことで、r も α もひと目でわかりますので、いきなり結果だけを書いていくことが可能です。
この問題でいえば、rは√2。
a=1、b=1より、特別な三角比ですから、α は π/4 とひと目でわかります。
よって、
sinx+cosx=√2sin(x+π/4)
といきなり合成できるのです。
慣れてくれば、図を描かなくても、頭の中で座標平面をイメージするだけで合成できます。
もっと練習してみましょう。
問題 次の式をrsin(θ+α)の形に変形せよ。
ただしr>0 , -π<α≦π とする。
(1) √3cosθ-sinθ
(2) sinθ-cosθ
(3) 2sinθ+3cosθ
(1)からいきましょう。
問題は、わざとコサインから書いてありますね。
順番を整えると、
-sinθ+√3cosθ
です。
a=-1、b=√3ですから、
√(a^2+b^2)=√4=2
点Pを座標平面にとると、第2象限に位置することがわかります。
x軸の正の方向とのなす角 α は、2/3π。
よって、
√3cosθ-sinθ=2sin(θ+2/3π)
(2)は、
a=1、b=-1ですから、
√(a^2+b^2)=√2
点Pは、第4象限に位置します。
したがって、x軸の正の方向とのなす角 α は、-π/4
よって、
sinθ-cosθ=√2sin(θ-π/4)
(3)は、
a=2、b=3ですから、
√(a^2+b^2)=√13
うーむ、これは、私たちが暗記していて、すぐにπを用いて書き換えられる角にはならないですね。
では公式通りに、
2sinθ+3cosθ=√13sin(θ+α)
ただし、cosα=2/√13 , sinα=3/√13
となります。
よくわからない・・・という人は、座標平面を描いて、確認してください。
あるいは、丁寧に計算過程を書いてみるのもよいと思います。
それで理解できれば、何も問題ないのです。
解き方を暗記しようとする場合、いつもの単位円の座標平面は、コサインのほうがx軸、サインのほうがy軸であるのに、今回は、サインの係数のほうをx軸、コサインの係数のほうをy軸にとりますので、そこを取り違えないように注意しましょう。
え?え?え?
何でそうなるの?
と混乱する場合は、証明の最初に戻って確認するとよいと思います。
今回は、サインやコサインの値そのものではなく、サインやコサインの係数を点Pのx座標、y座標にしているだけなのです。
それでも、
え?え?え?
と、さらに混乱する場合、そもそも三角比や三角関数の知識が、ゆらゆらと揺れているのだと思います。
この件だけをクリアに理解しようとするのはすでに難しい状態かもしれません。
単位円の基本から総復習するか、「そういうものだ」と諦めて覚えるか。
基本からの総復習をお薦めしますが、「そういうものだ」と諦めて覚える方向になってしまいがちでしょう。
すでに、三角比の基本を忘れている人もいると思います。
そもそも三角比は直角三角形の辺の比だったものが、なぜ関数みたいになっているのか?
単位円とは何だったか。
新しい内容を学習すると、以前に学習したことが頭から抜けていく・・・。
わからないことがあるのは、目の前のことがわからないのではなく、ずっと以前に学んだことがあやふやになっていて、数学的な基盤がないことが最大の原因です。
それでも、そのときだけは、「わかった!」という感覚がほしい人が多いと思います。
「わかった!」
と思った瞬間にすっきりして忘れていくのであっても、わからない限りは、
「なぜ先生はわかるように説明してくれないのか?」
「なぜ、もっとわかりやすい解説がないのか?」
と不満がつのる・・・。
数理の基礎が身についていないのに数学の学習を先に進めていくことの難しさ。
私も、いつもここで格闘しています。
最近は、
「・・・何を言っているのやら」
という言葉がお気に入りの様子で、そればかりつぶやいている生徒もいます。
何を言っているのかをいうなら、あなたの疑問を解決しようと私は格闘しているのですよ・・・。
応用問題ではなく、ただ公式を解説して基本問題を一緒に解くことが、なぜこれほどに難しいのか・・・。
でも、難しいから、面白い。
数学が好きで得意な子に数学を教えるのは、簡単なことなんです。
パパッと教えたことを翌週には完璧にマスターしてくる子もいます。
塾で予習したことを、学校の問題集や市販の問題集で復習し、マスターしてくるのです。
こんなに覚えにくい公式を何でこんなにたやすく覚えるの?
何でそんなに計算が速いの?
土に水がしみ込むような吸収力です。
やりがいがあります。
でも、これは多分、学生アルバイトでもできる仕事だなとも感じます。
一方で、高校生になっても、「展開」「因数分解」「平方完成」「判別式」といった数学用語がほとんど通じない子もいます。
「学校は、今週から、ベクトルに入りましたー」
「え?先週まで等差数列をやっていたのに?」
とびっくりして確認したら、Σ (シグマ)をベクトルと読むと思っていた・・・、ということもありました。
そういう素っ頓狂な高校生と悪戦苦闘して、数学の問題をとにもかくにも正答できるようにすること。
数学に全く興味がないのに、志望する大学の入試科目に数学があるので、どうしてもどうしても、数学で他教科の足を引っ張らない点を取らなければならない。
そんな状況に、むしろわくわくします。
わからなくなったら、とにかく基本に戻りましょう。
基本の中に、必ず答があります。
数学が苦手な生徒を、ただいま募集中です。
3月から、空きコマが生じます。
リモート授業も承ります。
お問い合わせください。
2022年02月03日
都立野川公園に、セツブンソウが咲き始めました。2022年2月。
2022年2月2日(水)、自転車でまずは都立神代植物園方面に向かいました。
自転車で30分、都立神代植物園多様性センターの正門に到着。
しかし、閉館中でした。
1月半ばから、閉館しているのですね。
蔓延防止措置ですか・・・。
隣接する自由広場は空いていたので、ここを1周。
ここも、いつも人が少なく、舗装されている遊歩道を避けて、土の道のみで1周できるので、好きな散歩コースです。
入口に戻り、自転車をこいで、都立野川公園に向かいました。
ここの自然観察園も、閉園中かな?
無駄足になっても、そもそも散歩が目的なので、まあいいか。
そう思い、公園北西の入口のトイレ脇に自転車を置いて、とことこ歩き始めました。
日課の散歩に来ている様子の人がぱらぱらと歩いているだけです。
風が強く、ウィルスが吹き飛ぶ感じがあり、快適でした。
いや、ウィルスが遠くから飛んでくるだけでしょうか?
でも、マスク・屋外・半径2mに人がいない。
この3条件が揃っていれば、まずは安心ですね。
自然観察園の脇を歩いていきますので、柵の内側を歩いている人が見えました。
あ、ゲートが開いているんだ!
嬉しくなって足を速めました。
平日なので、園内もすいていました。
入口から時計回りに歩き始め、すぐに木道へ。
ここの木道は、来る度に老朽化が進んでいて、危険を示す赤いコーンの数も増えています。
本当に木が腐ってしまったら、その部分だけ張り替えるシステムなのでしょうか、たまに新しい木の板が張ってある箇所もあります。
全面張り替えとなると、長期の休園が必要でしょうし、こうやってちょっとずつ修理するしかないのかな。
踏みしめると揺れる箇所もあるので、おそるおそる通過しました。
冬枯れの木道は、私の解析力では花が咲いている気配がありません。
でも、木道の先に、お目当てが1つ。
そして、その場に先客がいるのが見えました。
私に気づくと、すっとその場を離れてくださいました。
ということは?
あった!
ありました。
咲いていました。
セツブンソウ。
まだ、満開とは言えませんが、ぽつぽつと咲き始めていました。
上の画像がそれです。
セツブンソウは、平地では、本当に節分の時期に咲くんですね。
山では、あとひと月は先になります。
コロナ第6波が猛威をふるい、再び山に行けなくなってしまいました。
近くの山から順番に歩き、冬は、奥武蔵の低山を歩くつもりでいたのですが。
丸山に、久しぶりに行きたかったんだけどなあ。
あしがくぼ山の花道の、ちょっと歩きにくい階段を下りた奥の奥の谷底のセツブンソウを久しぶりに見たかったのですが。
8月の経験があるので、あっさりとピークアウトするんじゃないかと安易に考えていたのですが、皆がそのように考えていたらピークアウトはしないのですね。
用心深く、何とかこの時期をやり過ごしたいと思います。
しゃがみこんでセツブンソウを眺めて、写真も撮って、もう1か所のお目当てに移動しました。
おお。
一輪だけですが、ミスミソウも咲いていました。
俗称「雪割草」の、あのミスミソウです。
どちらも、見ごろは来週以降になると思います。
私がその場を離れると、先ほどの人がまた戻ってきて、写真を撮り始めました。
ありがとうございました。
私は、その先、もう1か所のセツブンソウの咲く場所に移動。
ここも、ぽつぽつと咲き始めていました。
ぐるりと遊歩道を回っていくと、ロウバイの花が咲いていました。
風の呼吸を読みながら撮影。
どんなに強い風の日にも、風がふっとやむときはあります。
何とかブレずに撮影できたつもりでしたが、写真を見ると、一番近い花がボケている。
どこにピントがあっているんだ?
なかなかうまくいきません。
そうこうする間に、もう14:30。
そろそろ帰ろう。
来週また来よう。
そう思い、来た道を戻りました。
自転車で30分、都立神代植物園多様性センターの正門に到着。
しかし、閉館中でした。
1月半ばから、閉館しているのですね。
蔓延防止措置ですか・・・。
隣接する自由広場は空いていたので、ここを1周。
ここも、いつも人が少なく、舗装されている遊歩道を避けて、土の道のみで1周できるので、好きな散歩コースです。
入口に戻り、自転車をこいで、都立野川公園に向かいました。
ここの自然観察園も、閉園中かな?
無駄足になっても、そもそも散歩が目的なので、まあいいか。
そう思い、公園北西の入口のトイレ脇に自転車を置いて、とことこ歩き始めました。
日課の散歩に来ている様子の人がぱらぱらと歩いているだけです。
風が強く、ウィルスが吹き飛ぶ感じがあり、快適でした。
いや、ウィルスが遠くから飛んでくるだけでしょうか?
でも、マスク・屋外・半径2mに人がいない。
この3条件が揃っていれば、まずは安心ですね。
自然観察園の脇を歩いていきますので、柵の内側を歩いている人が見えました。
あ、ゲートが開いているんだ!
嬉しくなって足を速めました。
平日なので、園内もすいていました。
入口から時計回りに歩き始め、すぐに木道へ。
ここの木道は、来る度に老朽化が進んでいて、危険を示す赤いコーンの数も増えています。
本当に木が腐ってしまったら、その部分だけ張り替えるシステムなのでしょうか、たまに新しい木の板が張ってある箇所もあります。
全面張り替えとなると、長期の休園が必要でしょうし、こうやってちょっとずつ修理するしかないのかな。
踏みしめると揺れる箇所もあるので、おそるおそる通過しました。
冬枯れの木道は、私の解析力では花が咲いている気配がありません。
でも、木道の先に、お目当てが1つ。
そして、その場に先客がいるのが見えました。
私に気づくと、すっとその場を離れてくださいました。
ということは?
あった!
ありました。
咲いていました。
セツブンソウ。
まだ、満開とは言えませんが、ぽつぽつと咲き始めていました。
上の画像がそれです。
セツブンソウは、平地では、本当に節分の時期に咲くんですね。
山では、あとひと月は先になります。
コロナ第6波が猛威をふるい、再び山に行けなくなってしまいました。
近くの山から順番に歩き、冬は、奥武蔵の低山を歩くつもりでいたのですが。
丸山に、久しぶりに行きたかったんだけどなあ。
あしがくぼ山の花道の、ちょっと歩きにくい階段を下りた奥の奥の谷底のセツブンソウを久しぶりに見たかったのですが。
8月の経験があるので、あっさりとピークアウトするんじゃないかと安易に考えていたのですが、皆がそのように考えていたらピークアウトはしないのですね。
用心深く、何とかこの時期をやり過ごしたいと思います。
しゃがみこんでセツブンソウを眺めて、写真も撮って、もう1か所のお目当てに移動しました。
おお。
一輪だけですが、ミスミソウも咲いていました。
俗称「雪割草」の、あのミスミソウです。
どちらも、見ごろは来週以降になると思います。
私がその場を離れると、先ほどの人がまた戻ってきて、写真を撮り始めました。
ありがとうございました。
私は、その先、もう1か所のセツブンソウの咲く場所に移動。
ここも、ぽつぽつと咲き始めていました。
ぐるりと遊歩道を回っていくと、ロウバイの花が咲いていました。
風の呼吸を読みながら撮影。
どんなに強い風の日にも、風がふっとやむときはあります。
何とかブレずに撮影できたつもりでしたが、写真を見ると、一番近い花がボケている。
どこにピントがあっているんだ?
なかなかうまくいきません。
そうこうする間に、もう14:30。
そろそろ帰ろう。
来週また来よう。
そう思い、来た道を戻りました。