たまりば

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2020年09月24日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。その2。



今回は、こんな問題から。

問題 点A(1,3)、B(-2,-2)、C(3,-5)を頂点とする△ABCについて、次の問に答えよ。
(1) △ABCの外接円の方程式を求めよ。
(2) △ABCの外心の座標を求めよ。

では(1) から解いていきましょう。
「外接円」といった図形用語が出てくると混乱し、もうわからない、という人もいるかもしれません。
図形は自分は苦手だから、絶対解けない、という謎の思い込みがある様子です。
しかし、これは図形問題というほどのものではありません。
△ABCの外接円。
それは、点A、B、Cを通る円ということです。
3点を通る円の方程式の求め方を使えば、解けます。

求める円の方程式を、x2+y2+ℓx+my+n=0 とおく。
点A(1,3) を通ることから、
1+9+ℓ+3m+n=0
よって、
ℓ+3m+n=-10 ・・・①
点B(-2,-2) を通ることから、
4+4-2ℓ-2m+n=0
よって、
-2ℓ-2m+n=-8 ・・・②
点C(3,-5) を通ることから、
9+25+3ℓ-5m+n=0
3ℓ-5m+n=-34 ・・・③

この①、②、③を連立して解けばよいでしょう。
①-②より
3ℓ+5m=-2 ・・・④
①-③より
-2ℓ+8m=24 ・・・⑤
④×2+⑤×3
 6ℓ+10m=-4
-6ℓ+24m=72
   34m=68
    m=2 ・・・⑥
⑥を④に代入して、
3ℓ+10=-2
3ℓ=-12
ℓ=-4 ・・・⑦
⑥、⑦を①に代入して、
-4+6+n=-10
n=-12
よって、求める円の方程式は、
x2+y2-4x+2y-12=0 です。

次に、(2) の△ABCの外心を求めましょう。
ここで、また図形アレルギーを発動させて、
「外心って、何の二等分線でしたっけ?」
と質問する人もいます。
「・・・外心は、各辺の垂直二等分線の交点ですが、そんなことは使いませんよ。難しく考え過ぎです」
「えー?」
「外心は、外接円の中心ですよ?」
「えー?」
「・・・さっき求めた円の、中心ですよ」
「えー・・・」
難しく考え過ぎて、視野が狭くなってしまうのです。
外心は、外接円の中心。
つまり、(1) で求めた円の中心の座標を求めるだけです。
円の方程式の標準形にしてみればよいですね。

やってみましょう。
x2+y2-4x+2y-12=0
(x-2)2+(y+1)2=12+4+1
(x-2)2+(y+1)2=17
この円の中心の座標が、外心です。
すなわち、答は、(2,-1) です。


図形が苦手な人に多いのですが、発想が固く、1つのことを思いつくと、もう別の発想ができなくなる場合があります。
しかし、それは、人間全体の特徴だとする説もあります。

アメリカの大学での実験だったと記憶していますが、こんなものがありました。
数十人の被験者を集め、こんな指示を出します。
「今から、一切話をしないでください」
次に、こんな指示を出します。
「誕生日の日付の早い順に並んでください」
被験者は、一様に声なき驚きを示します。
会話しないで誕生日の早い順に並ぶことなど、不可能だ。
しかし、その直後、指で数字を示した手を高く掲げ、無言で皆に呼びかける人が現れます。
そして、全員が、その即席の指文字に従って、並び始めるのです。

しばらくして、行列は完成します。
ここで結果を確かめあうと、上手く並べる人もいますが、間違えてとんでもないところに並んでしまう人もいます。
即席の指文字では互いに共通の認識がないため、誤解が起こるのです。

結果を確認した後、この実験をした科学者は、被験者に話します。
もっと、正確に互いの誕生日を確かめあう方法があったのではないですか?
我々は、話をするなとは言った。
しかし、その他のことは制限していません。
すると、被験者の中から、遠慮がちにこんな意見が出てきます。
「例えば、運転免許証などを見せ合うとか?」
さらに、次のような発言も見られます。
「そうだ、字を書いても良かったんだ。
互いに誕生日をメモしたものを見せ合えば、良かった」

幾度行っても、実験の結果はこのようになるといいます。

これは、何の実験なのか?
人間は、最初に思いついた発想が、たとえ不完全なものであっても、それに従ってしまうことがある。
むしろ、誕生日を指で示すことを思いついた人をヒーローのように思ってしまう。
その他のやり方を考えることができなくなってしまう、というのです。

しかし、最初に思いついたやり方が最善である場合は少ない。
多くの場合、3番目に思いついたやり方が最善のやり方である、というのです。
1つの発想を得ると、それに凝り固まってしまうのが、人間の性質かもしれません。
けれど、最善のやり方は、3番目に表れる。
それを知っていると、試行錯誤に向けての心構えができると思います。

数学の問題を解くときに、何にも発想できなくて諦める人。
1つのやり方で上手くいかなくて諦める人。
そこでもう少し粘ることができたら、道が開けると思います。


では、次はこんな問題を。

問題 2点(4,1)、(-3,8) を通り、x軸に接する円の方程式を求めよ。

少し難しくなりました。
これは、求める円の中心を(a , b) とおく、という基本から考えましょう。
中心が (a , b) で、x軸に接するということは、その円の半径は|b|です。

上の1行の意味がわからない、という場合は、実際にそうした円を描いて、確認してください。
bは負の数の場合もありますが、円の半径は正の数なので、半径は|b|とおきます。
実際に座標平面上に円を描いても、なぜ半径が|b|になるのかわからない、という場合は、座標に関して、何か理解できていないことがあると思います。
x座標とy座標と、座標平面の縦横の関係がわかっているようでわかっていない人は高校生でも多いのです。
例えば、(0,3) といった点を、x軸上に打ち込んでしまう人です。
塾に通ってください。
独りでは解決できないことも、個別指導なら解決できます。

話を戻して。
中心が (a , b) で、x軸に接するということは、その円の半径は|b|です。
ということは、求める円の方程式は、
(x-a)2+(y-b)2=|b|2
すなわち、
(x-a)2+(y-b)2=b2 と表すことができます。

ここで、右辺の絶対値記号がなぜ外れるのかわからず、頭を抱えてしまう人もいます。
bが正の数でも負の数でも、2乗すれば必ず正の数ですから、絶対値記号は外すことができるのです。
|b|2=b2 です。
本当に、ここまでくると、以前に学習したことで忘れてしまっていることや理解できなかったことが時限爆弾のように無造作に足元に転がっていて、そのいちいちでつまずくことになります。
数Ⅱや数Bが、正直何1つわからない、という人は、それ以前の内容が理解不足のために理解できないのです。
数Ⅱや数Bの内容が極端に難しいわけではないのです。

再び、話を戻して。
求める円の方程式は、(x-a)2+(y-b)2=b2 と表すことができます。
これが、2点(4,1)、(-3,8) を通りますから、
点(4,1)より、
(4-a)2+(1-b)2=b2
これを整理して、
16-8a+a2+1-2b+b2=b2
a2-8a-2b=-17 ・・・①
点(-3,8)より、
(-3-a)2+(8-b)2=b2
9+6a+a2+64-16b+b2=b2
a2+6a-16b=-73 ・・・②

これを連立して解きますが、この解き方にはちょっとテクニックが必要です。
まず、①-②をすることは、発想できると思います。
-14a+14b=56
これを整理して、
a-b=-4

ここまではできるのですが、式は1本になったのに、文字が2個あるままで、この先どうしよう、と途方に暮れてしまいそうですね。
大丈夫。
式は、1本ではありません。
①も②もあるじゃないですか。
代入し直せばよいのです。
この「必殺、代入返し」といったテクニックを身につけておくと、計算上で行き詰まったときの対処法を思いつくことができます。
a-b=-4
これを整理して、
-b=-a-4
b=a+4 ・・・③
③を①に代入して、
a2-8a-2(a+4)=-17
a2-8a-2a-8=-17
a2-10a+9=0
(a-1)(a-9)=0
a=1,9 ・・・④
④を③に代入して、
a=1のとき、b=5
a=9のとき、b=13

よって、求める円の方程式は、
(x-1)2+(y-5)2=25  と、
(x-9)2+(y-13)2=169 です。


問題 点(-2,-1) を通り、x軸、y軸に接する円の方程式を求めよ。

x軸とy軸に接する円で、x座標とy座標が等しくない円なんてあるの?
・・・謎の思い込みで、そのように混乱する人もいます。
点(-2,-1)は、中心ではありませんので、x座標とy座標は等しくなくても大丈夫です。
でも、それは、ある意味イメージできているからこその混乱です。
そうです。
x軸とy軸の両方に接する円の中心のx座標とy座標の絶対値は等しいです。
そして、点(-2,-1)を通る円というと、それは第3象限にある円ですから、x座標もy座標も負の数で、等しいことがわかります。
だから、中心を(a , a)とおくことができます。(a<0)
よって、求める円の方程式は、
(x-a)2+(y-a)2=a2 と表すことができます。
これが点(-2,-1)を通るから、
(-2-a)2+(-1-a)2=a2
これを整理して、
4+4a+a2+1+2a+a2=a2
a2+6a+5=0
(a+1)(a+5)=0
a=-1,-5
したがって、求める円の方程式は、
(x+1)2+(y+1)2=1 と、
(x+5)2+(y+5)2=25 です。



  


  • Posted by セギ at 14:17Comments(0)算数・数学

    2020年09月21日

    高校英語。複合関係代名詞の whichever と whatever。


    さて、今回は、複合関係代名詞の whichever と whatever です。
    まずは例文を見てみましょう。

    Help yourself to whichever you want.
    どれでも欲しいものを自由にとって食べて。

    help oneself to ~は、「自由にとって食べる」という熟語です。
    テーブルの上などにある食べ物を客に勧めるときの決まり文句です。

    文法事項としては、前回学習した whoever が whichever になっているだけなので、比較的理解しやすいかと思います。
    これの書き換えは、
    Help yourself to whichever you want.
    =Help yourself to any ones that you want.
    となります。

    これのほうが「うん?」ですよね。
    Help yourself to anything that you want.
    じゃないの?
    ~thing や、~one は、物なら thing で、人なら one でしょう?

    はい。
    でも、one という不定代名詞は、人でも物でも使うのです。
    one という不定代名詞の複数形は、ones です。
    anyone なら人ですが、any one は、物を指します。

    実は、anything は、別の文の書き換えに用います。
    まず、その文を見てみましょう。

    I'll do whatever you tell me to do.
    あなたがやれということなら何でも私はやります。
    =I'll do anything you tell me to do.

    このように使い分け、書き分けます。

    ・・・とはいえ、ネイティブも人間なので、文法的な誤りは多いです。
    例えば、近年では、分詞の前置修飾がネイティブの間ですたれ始め、多くが後置修飾になっていると聞きます。
    それにともない、前置修飾の分詞には、「常にそれをやっている人」という特別なニュアンスが付加され始めているというのです。

    しかし、それは結局、正確な英語を使えないネイティブが増えて、それによって英語が変わり始めているということだと思うのです。
    言語とはそういうもので、それは日本語もそうです。
    例えば「行かれる」という表現を「行くことができる」という可能の意味にとらえる人は減り、尊敬の意味にのみとらえる人が多くなっている。
    行くことができるという意味を表したいときは、「行ける」というんだよ、「行かれる」なんて言わないよ。
    そんなことを、外国の日本語学習者に向けて発言する日本人もいるかもしれません。
    ・・・いや、しかし、本当に可能の意味で「行かれる」を使うのは、間違った日本語なんでしょうか?

    そこらへんは本当に微妙で、外国語についての、「今はこう言う」「そんな言い方は古い」という情報には慎重であったほうがいいとは思います。
    一方で、分詞の前置修飾と後置修飾の使い分けにネイティブの間で変化が生じ始めているのは、知っておいたほうが良いことでもあります。
    外国人留学生も多い、国際的な大学の英語の入試問題には、実際に単独の分詞なのに後置修飾の用例も出題され始めています。
    古く正しい文法事項の重箱の隅をつつくのも大概にしないと、ネイティブに「そんな区別を我々はしない」「そもそも、そんな書き換え表現は使わない」と一笑にふされておしまいということもありそうです
    一所懸命学習したのに、言語についてむしろ鈍感なネイティブにあっさり否定されてしまう・・・。
    whichever と whatever の上のような書き替えの違いなど、そんなに必死に学ぶことではないと、私は思います。


    そんなことより、whichever と whatever 自体の使い分けは、今もなお重要でしょう。
    これは、which と what という疑問詞の使い分けが基本にあります。

    選択肢がいくつかある中で、その中の「どれ」であるかを問うのが、which です。
    選択肢はなく、全てのものの中で「何」であるかを問うのが、what です。

    例えば、バス停がいくつか並んでいる駅前ロータリーで、どのバスに乗るのかと尋ねたいのなら、which。
    色々なデザイン、色々な機能のバスを心の中に自由に思い描き、どんなバスに乗ってみたいかと尋ねるのなら、what。
    この使い分けは、一度しっかり理解すれば、特に問題ないと思います。

    さて、わかりにくいのは、やはり、「譲歩」の用法があることでしょうか。
    例文を見てみましょう。

    It's all the same to us whichever side wins.
    どちら側が勝っても、私には同じことです。

    SVOCMを分析しましょう。
    it が主語。
    is が動詞。
    same が補語。
    to us は修飾語。
    これはSVCの文です。
    whichever side wins は、文の主な骨組みではありません。
    これは、M(修飾語)です。
    こういう場合の、whichever 節は、譲歩の用法となります。
    「どちらが~しようとも」という意味です。

    ちなみに、上の文の whichever は、side という名詞を伴っています。
    複合関係形容詞とも呼ぶべき用法です。


    さて、この辺で、書き換え問題を解いてみましょう。

    問題、以下の英文を次のようにほぼ同じ意味に書き換えるとき、空所を埋めよ。
    It's all the same to us whichever side wins.
    =It's all the same to us ( )( )( )( )( )win.

    whoever の譲歩の用法のときと同じで、no matter を使うんでしょう?
    だったら、
    It's all the same to us (no)(matter)(which)(side)( )win.

    ・・・あれ?
    ( )が1つ余る・・・。

    正解は、
    It's all the same to us (no)(matter)(which)(side)(may)win.
    です。

    その may は何?
    と、驚く人もいるかもしれません。
    またモヤモヤする内容きたー。

    この文は譲歩の用法の文なので、確定した内容ではありません。
    だから、推定の助動詞 may、あるいは、それをさらに婉曲的にする might が用いられることがあります。
    絶対に使わなくてはならないものではありませんが、こうした空所補充問題では、使用しないと空所が埋まらない、ということがあります。

    whichever だけでなく、他の複合関係代名詞でも使用されます。
    長文読解をする受験生に対しては、文中の意味不明な may や should は、実際大した意味はないから読み飛ばしなさい、と勧めています。

    では、次の問題は、もう楽勝ですね。

    問題 以下の英文を以下のようにほぼ同じ意味に書き換える際の空所を埋めよ。
    Whatever happens, I will go.
    =( )( )( )( )( ), I will go.

    正解は、
    =(No)(matter)(what)(may)(happen), I will go.
    です。

    なお、whatever は、否定文・疑問文で強調のために用いられることがあります。

    No problem whatever.
    全く問題ありません。

    Do you have any interest whatever in Japanese animation ?
    日本のアニメについて少しでも関心がありますか。

    これも、長文の中で出てきたときは、意味のわからない whatever は無視する作戦で大丈夫でしょう。
      


  • Posted by セギ at 11:51Comments(0)英語

    2020年09月18日

    禁断の公式。


    毎年のように、中3の男子の間で流行する「公式」があります。
    集団指導塾の上位クラスに通っている友達あたりから教わるのでしょうか。
    気がつくと使うようになっていて、そのせいで誤答が増え、私に使用を禁止される解き方です。

    そうした子は、例えば、こんな誤答をします。

    (2-√7)2
    =-5-4√7

    ノートにこれしか書いてないので、逆にピンとくるのです。
    これは、あの解き方を誤用したのだな?

    そんな禁断の「公式」とは、どんな公式か?
    種明かしをすれば、何でもないものです。
    (√a+√b)2
    =(a+b)+2√ab

    例えば、
    (√2+√3)2
    =5+2√6

    1行で答が出るので、字を書くのが嫌いな子や、そういうのがカッコいいと感じる子に好評の解き方です。
    この程度のことなのに、毎年ブームが起こり、男子生徒の多くがこれにカブれます。

    もともとは、普通の乗法公式です。
    (a+b)2=a2+2ab+b2

    これが、aもbも平方根なら、平方根の中身の数字を単純に足すだけなので、(a2+b2)を先にやって、1行で済ましちゃいなよ、という解き方です。
    公式とすら呼べないしろものです。
    とにかく、どうでもいい。
    くだらない、とすら私は思うのですが、なぜか男子の多くはこれにハマります。
    男女を区別するのは今どきもう古い、ジェンダーを強化するな、というのは私もそうだと思うのですが、現実には、学習上の好みの違いは存在します。
    この解き方に無駄にハマる女子を私は見たことがないのです。
    使っている子もいるのかもしれませんが、使っていても確実に正答するので、使っていることを私に悟られないのが女子、ということはあるのかもしれません。
    こういう解き方をすると計算ミスをしそうな女子は、最初から使わないのでしょう。
    おのれの計算力を顧みず、使って失敗し、私に使用を禁止されるのが、男子。
    そういう違いがあるように思います。

    (√2+√3)2 のように、両方とも平方根であるなら、この解き方は魅力的です。
    しかし、片方整数である場合、無駄な暗算が必要になります。
    (2-√7)2 の場合は、2は2乗して4にし、それに√7の2乗の7を足さなければなりません。
    =11-4√7
    これを一瞬で行うことができ、精度100%であるなら、私は文句を言いません。
    しかし、一度暗算した計算結果を使って、さらに次の暗算をするという二重の暗算は、精度が落ちます。
    無駄に時間もかかります。
    上の誤答例のように、暗算に混乱したあげく、2-7をしてしまうような精度なら、使わないほうがいいのです。
    公式は、それを使うから計算が簡単になったり精度が上がったりするのでなければ意味がありません。
    ケアレスミスが増えるだけの解き方など、公式ではありません。

    「こんなくだらないことで誤答して、5点、5点と点を失って、それでどうやって得点を固めるの?
    正答できるかもしれませんが、できないかもしれませんよね?
    そんな精度のテクニックを取り込んで、それで高校に落ちたら、どうするの?
    解けない問題があるのは仕方ないんですよ。
    でも、こんなことで点を失ってしまうのは、私は本当に嫌なんですよ。
    努力して努力して、応用問題を解けるようになっても、こんなことで点を失ったら、何も変わりませんよ。
    同じ5点なんですよ?」

    1回叱責すると、受験生ならば、それで治る場合が多いです。
    中高一貫校の生徒は、受験が目前ではないので、この叱責ができませんし、治らない場合が多いのですが。


    計算ミス・ケアレスミスに関しては、これは無理だ、これは完全には治らないだろうという場合もあるのです。

    以前も書きましたが、1つには、数学の問題を解いていても、精神的にフワフワし、他のことを同時に考えているタイプの子。
    目の前の数学の問題に集中することができず、問題を解きながら、常に他のことを考えているのです。
    なぜ、そうなるのか、本人にもわからないし、制御することもできない様子です。
    例えば、問題の解き方がわかって、計算をしながら、私に、
    「今日は、何ページまでやるの?」
    と質問してきたりします。
    なぜ、計算しながら、そんなことを質問してくるの?
    なぜ、計算に集中できないの?
    そして、案の定、計算ミスをするのです。
    話し相手が傍にいるからそうなるので、独りで勉強しているときには集中するのかというと、そんなことはないのです。
    独りなら独りでも、問題を解きながら他のことを考えているのは同じです。
    目の前の1つのことに集中することができない。
    常に気が散ってしまう。
    そういう性分なのでしょう。

    もう1つは、数学への苦手意識が強く、過度に緊張している子です。
    ミスすればするほど、不安な表情になり、さらにミスが増えていきます。
    小さなことで簡単にパニックに陥ります。
    問題の読み取り間違いや式の書き間違い、符号や指数の書き漏らしがとにかく多いです。
    数学の問題を解いているときの精神状態が悪いのです。
    あがり症の人が大舞台に立つときのような精神状態になっているのだと想像されます。
    数学の問題を冷静に考えられる精神状態ではないので、テストは信じられないようなミスを連発します。

    以上の2つは、心の問題が大きいので、そう簡単には治りません。
    こういうケアレスミスが簡単に治ると思っているほうがおかしいとすら思います。
    本人が自分の心の状態を自覚し、ミスの多さと一生つきあっていく覚悟を持つ必要があります。


    しかし、そうではなく、計算のやり方や、式の書き方次第で治せるケアレスミスもあります。
    上の、禁断の「公式」を使用しないことなどはその筆頭です。
    正答できるかもしれない。
    でも、失敗するかもしれない。
    精度は人によるでしょうが、成功率70%であっても、そんなものは使用しないほうがいいでしょう。

    しかし、成功率50%であっても、その解き方のほうを選んでしまう中学生もいます。
    丁寧に書いていくのが嫌なのだと思います。
    字を書くことが、あまり得意ではないのかもしれません。
    読みやすく粒の揃った字を水平にササッと書いていくことができない子は案外多いです。
    字の大小がそろわず、だんだん大きくしかも斜めになっていき、解答スペースや計算スペースがなくなってしまう子もいます。
    粒のそろった字を素早く書いていくことは、授業を受けていて板書を書き写すときなどにも必要な技術なのですが、そういうことが上手くできない。
    1文字1文字、字を書くのに時間がかかる。
    精神的なストレスもかかる。
    だから、1行でも答案を減らしたい。
    楽したい。
    そういうことも影響しているかもしれません。


    とはいえ、私もそんなに丁寧に何もかも書けとは言いません。
    意味もなくくどい書き方をする必要はないのです。
    例えば、「正負の数」の学習が終わった中1ならば、もう符号は省略して書いていって良いのに、異様にくどくどとした符号の書き方が癖になって、なかなか治らない子もいます。
    -3-(-7)×(-2)
    といった計算問題を解く際に、
    =-3+(+7)×(-2)
    =-3+(-14)
    =-17
    と、丁寧に丁寧に書いています。
    別に間違っているわけではないですが、そんなのは、
    -3-(-7)×(-2)
    =-3-14
    =-17
    で、いいのです。
    符号の決定と絶対値の決定を分割して行っていくことで、計算は正確になり、かつ短時間で行うことができます。
    上のようにくどくどと何行も書いたあげくに途中で符号を書き間違えている答案を見ると、がっかりします。
    何行も書いていくことで、符号の書き間違いのリスクが高くなっているだけなのです。


    「1次方程式」を学習すると、これも最初に学習した丁寧な解き方から脱却できず、
    7x+5=2x-15
    7x-2x=-15-5
    5x=-20
    x=-4
    といった、丁寧な丁寧な答案を書く子もいます。
    間違っていないからそれでも構わないのですが、上の2行目は書かなくても大丈夫です。

    7x+5=2x-15
    5x=-20
    x=-4

    という計算は、精度を保ちながら行うことができます。
    しかし、計算ミス・符号ミスの多い子の中に、以下のような省略の仕方をする子がいます。

    7x+5=2x-15
    7x-2x=-15-5
    x=-4

    3行目を省略するのです。
    見る度に、ぎょっとする答案です。
    なぜ、2行目をわざわざ書くのに、3行目を省略するの?
    加法してさらに両辺を何かで割るという二重の暗算をしたら、精度が下がって当然です。
    符号ミスも多くなります。

    一番上で書いた、禁断の「公式」も、平方根以外のもので使用した場合、2乗して、さらにたし算をするという二重の暗算がネックとなり、精度が下がるのでした。
    大抵の人間は、二重の暗算を100%の精度では行うことはできません。
    大体はできるかもしれない。
    でも、間違えるかもしれない。
    その程度の精度しか保てないのが普通です。
    しかし、この二重暗算、やってしまう子は多いです。
    移項を暗算するのは、一度の暗算ですから、移項に関する符号処理が理解できていない子を除けば、ほぼ100%の精度で行うことができます。
    しかし、移項の処理を最初に学習したときから一度も省略したことがなく、もう書かないと計算できなくなっている子もいます。
    それでいて、その次に二重の無理な暗算をします。
    答案を見る度びっくりするのですが、こんな書き方が癖になっていて、もう直せない子もいます。

    繰り返しますが、1つの暗算なら精度を保つことができても、暗算した結果を使ってさらに暗算を重ねると、普通の人間は精度が下がります。
    目に見える形のもので暗算することは、暗算の精度に必要なことなのです。
    そのことが理解できていない子が、不用意に二重暗算をし、自ら計算精度を下げています。


    こんな暗算ミスも多いです。
    これは「文字式の計算」。
    例えば、こんな問題です。
    ちょっと見にくいと思いますが、分数式です。
    まずは丁寧な計算から。

    4x+2 /3 - 7x-5 /2
    =2(4x+2)-3(7x-5) /6
    =8x+4-21x+15 /6
    =-13x+19 /6

    このように丁寧に通分していけば、精度を保てます。
    しかし、ここで、一気に通分しながら分子もそれぞれ計算する子が多いです。
    そして、後ろの分数の前にある負の符号を処理できず、計算ミスをします。

    4x+2 / 3 - 7x-5 / 2
    =8x+4-21x-15 / 6
    =-13x-11 / 6

    私は、こんな計算ミスをもう何十年も見ています。
    ああ、この子もそうか、と思いながら。
    通分しながら分子もかけ算した結果を書いていくという作業だけなら何とかできても、そこに後ろの分数は符号が変わるという条件まで加わると、正確に処理できなくなるのです。
    人間の精度なんて、そんなものです。

    そんなミスを繰り返しても、自分の精度の限界を把握できず、同じことをいつまでもやってしまう子は、数学の成績がなかなか上がりません。
    それはそうです。
    穴の空いたバケツで水を汲んでいるようなものですから。
    解くことのできる問題が増えても、計算ミスも増えていたら、正答は増えません。


    これまで、数学の成績が急上昇していった子の例を思い出すと、もともとうちの塾に来る前から計算の精度は高く、計算ミスのことをとやかく言う必要のなかった子が多いのが事実です。
    考え方がよく身についていなかったり、数理の根本について何が誤解があったりして、しばらく妄言を繰り返したりはしますが、数か月後、ロケット並みの上昇をしていきました。

    その他に、これは年齢的なことがあったのだと思いますが、入塾当時はおそろしいほど計算ミスをしていたけれど、中3から高1くらいの時期に、まるで脳がきゅっとしぼられたように計算精度が上がり、数学の成績が高めに安定していった子もいました。
    これは、本人の脳の発達によるものだろうと推測されます。

    そうして、少数ですが、私が直しなさいと言ったことは全て直し、計算過程を改善することで計算精度を上げ、正答率を高めていった子たちがいました。


    同じ計算ミスを繰り返す子に尋ねたことがあります。
    やり方をどう直せばいいのか、わからないの?
    それとも、無理な暗算でも自分はできると思い、自分のやり方をどうしてもつらぬきたいの?
    有名中高一貫校に通っている生徒でした。
    理解力はあるのに、計算ミスばかりしていて、毎度毎度テストで落第点を取り、学校の補習を受けていました。
    しかし、理解力があるというのはやはり物凄いことで、答など期待していなかった私の問いに、その子は答えました。

    理解はしている。
    直そうと思っている。
    でも、実際に問題を解くときには、そのことを忘れてしまう・・・。

    計算ミスをしやすい計算過程を直せない子の、直せない理由として、これ以上の説得力のある言葉を、私は聞いたことがありません。
    そうなんですよね。
    理解できないわけでもなく、反抗したいわけでもなく、ただ、直せないだけなんです・・・。
    多分、皆、そうなんです。


    先日も、高校生が、2次関数の平方完成で、こんなミスをしていました。

    y=1/2x2+2x-6
    =1/2(x+1)2-1/2-6
    =1/2(x+1)2-13/6

    ・・・x2の係数が1ではないときは、いきなり平方完成するなと、もう何回言ったかわからないのに・・・。

    y=1/2x2+2x-6
    =1/2(x2+4x)-6
    =1/2(x+2)2-2-6
    =1/2(x+2)2-8

    と、一度、1/2で単純にくくってからのほうが、平方完成は精度が上がるのです。
    こうしたほうが頭が楽で、正確で、結局速いのです。
    何度も何度もそう説明しているのに・・・。

    理解できないわけではない。
    反抗したいわけでもない。
    ただ直せないだけ。
    わかっているけれど、直せない。

    きっとそうなのです。
    例えば私が急に草野球のピッチャーをやることになって、投球フォームをあれこれ直せと言われたら。
    言われていることは多分理解できるし、反抗したいわけではないけれど、きっと直せない・・・。
    そういうことは、誰にでもあります。
    そのとき、私はどのように声をかけてほしいだろう・・・。


    私は、同じようなミスを何十年も見ています。
    ああ、この子もそうか、と思いながら。
    けれど、それでこの仕事をむなしいと思うことがないことの1つに、あの子の教えてくれた言葉があるような気がします。
    そして、それを乗り越えて成績を上げていった子たちの記憶が、さらに私を支えてくれているのです。

      


  • Posted by セギ at 12:13Comments(0)算数・数学

    2020年09月15日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。その1。


    さて、今回は、円の方程式です。

    まず、「円の方程式」ということの意味がわからず、ポカンとする高校生がいます。

    これは、1つには、中2で最初に学習した、直線の方程式の意味が、実はよくわかっていないことが根本の原因ではないかと思います。
    直線は、x座標とy座標とが同じ関係を持った点の集合です。
    直線の方程式は、そのx座標とy座標の関係を表す式です。
    例えば、直線y=3x+5 ならば、この直線上の全ての点のx座標とy座標には、y=3x+5 という関係があります。

    直線に限ったことではありません。
    曲線でもそれは同じです。
    中3や高1で学習した放物線もそうです。
    1つの放物線上の点のx座標とy座標には共通の関係があります。
    例えば、y=2(x-1)2+3 という放物線ならば、その放物線上の全ての点のx座標とy座標に、この式の関係が成り立ちます。
    そうした関係を持つ点の集合が、y=2(x-1)2+3 という放物線です。

    そして、円もそうです。
    円が閉じているからなのか、何のことかよくわからず、
    「え?円盤の内側のことですか?」
    という質問を受けたことがあるのですが、そうではなく、円周を描いている、曲線のことです。
    その曲線を表す式が、円の方程式です。

    この誤解は、わからないでもありません。
    小学生の頃から、「円の面積」というと、円周で囲まれた、円の内側の面積のことでした。
    それが「円」そのものだと思っても、おかしくありません。
    「円」が円周を形成する曲線そのものであるなら、そんなものに「面積」は存在しないのですから。
    「円」の定義が、揺れているのですね。

    さて、「円の方程式」とは何であるか、意味がわかったところで、では、確認しましょう。

    中心が(a , b)、半径が r の円の方程式は、
    (x-a)2+(y-b)2=r2
    特に、中心が原点、半径が r の円の方程式は、
    x2+y2=r2

    この式の証明は、特に難しくありません。
    上の図を見てください。
    中心が、C(a , b)、半径 r の円があります。
    この円周上の任意の点をP(x , y)とすると、PC=r であることから、2点間の距離の公式を使って、
    √(x-a)2+(y-b)2=r
    と表されます。
    この両辺を2乗すると、
    (x-a)2+(y-b)2=r2
    これは、円周上のどの点の座標(x , y) についても成り立ちますから、これが、中心C(a , b)、半径 r の円の方程式です。
    これを、円の方程式の標準形といいます。

    この式に、中心O(0 , 0)を代入すると、
    (x-0)2+(y-0)2=r2
    よって、
    x2+y2=r2
    これが、中心が原点、半径がrの円の方程式です。


    では、ちょっと練習してみましょう。

    問題1 中心が(1 , 2)、半径が3の円の方程式を求めよ。

    これは、公式に代入するだけです。
    (x-1)2+(y-2)2=9
    これで答です。


    問題2 2点(1 , 2)、(3 , -2)を直径の両端とする円の方程式を求めよ。

    ちょっと難しくなりました。
    中心の座標と半径を自分で求めなければなりません。
    この2点が直径の両端ならば、この2点の中点が、円の中心です。
    まず、それを求めましょう。
    (1 , 2)、(3 , -2)の中点の座標は、(2 , 0)です。
    では、半径は?
    中心と、この2点のどちらかとの距離です。
    (1 , 2)、(2 , 0)の距離を求めましょう。
    √(1-2)2+(2-0)2
    =√1+4
    =√5
    これらを、円の方程式の公式に代入して、
    (x-2)2+y2=5


    問題3 中心が(1 , 2)で、点(2 , -1)を通る円の方程式を求めよ。

    また少し難しくなりました。
    中心はわかっているので、あとは円の半径がわかればいいですね。
    円の半径は、(1 , 2)、(2 , -1) の距離ですから、
    √(1-2)2+(2+1)2
    =√1+9
    =√10
    よって、
    (x-1)2+(y-2)2=10


    問題4 中心が(-2 , -√3)で、y軸に接する円の方程式を求めよ。

    ここまでは比較的順調にきた人も、ここで詰まってしまうことがあります。
    わかりにくいときは、実際に座標平面上にそういう円を描いてみるのが一番です。
    中心は、第3象限にあります。
    中心がそこで、y軸に接する円を描いてみましょう。
    その円の半径は2であることが、見てとれると思います。
    中心のx座標が-2だからです。
    よって、
    (x+2)2+(y+√3)2=4


    問題5 中心が(√3 , 2)で、x軸に接する円の方程式を求めよ。

    これも、実際に座標平面上にそうい円を描いてみるとわかります。
    中心は、第1象限。
    x軸に接する円を描いてみましょう。
    その円の半径は、2であることが見てとれます。
    中心のy座標が2だからです。
    よって、
    (x-√3)2+(y-2)2=4


    こうした練習問題を、最初の1問は機嫌良く解く子が、2問目からもう応用になったと感じるからか、暗く辛そうな表情を浮かべることがあります。
    小学校の頃ならば、上の問題1レベルのような、例題とそっくりな問題だけをたくさん練習します。
    それ以外の問題は教科書に存在しないことすらあります。
    中学校ならば、上の問題1レベルの問題を10問くらい解き、同じページの最後のほうに1~2問、問題2レベルのものがあります。

    しかし、高校は、助走は短く、あっという間に離陸します。
    基本の練習だから大丈夫だろうと解き始めても、例題と全く同じ解き方の問題は1問しかありません。
    いや、1問もないことすらあります。
    自分で解き方を考えなければならない。
    そのことに、気持ちがついていかない子がいます。

    問題4、問題5は、中心のx座標やy座標に注目して円の半径を読み取る問題です。
    こうしたことが、中学生の頃から、うまく理解できない子もいます。
    「円を描いてみるとわかります」
    先ほどはそのように書きましたが、自分で円を描いても、私が描いた円を見ても、何も思いつかない子も、一定数存在します。
    自力で発想できないだけでなく、一度解説されたときに、そういう考え方があると理解し記憶することもできない様子で、毎回、そのような問題で詰まるのです。

    高校生になって突然そうなるわけはないので、中学生の頃から、座標平面上の図形の問題は苦手だったと思います。
    座標平面上の三角形の底辺や高さの読み取りに苦労していたと思うのです。
    座標平面の見方の何かが身についていないのです。
    「2点間の距離を読み取ればいいよね」
    といった説明に眉を寄せることが多く、そのあたりのことが理解できていないのだろうと思われます。
    座標平面上で水平な位置の2点の距離は、x座標の差を読み取ればよいことが理解できない子もいます。
    x軸上に落として考えればよいでしょうとヒントを出しても理解できません。

    座標平面を描き、y軸と接する円を描き、半径を赤くペンで描き、同じ長さをx軸上になぞって示して、こことここは同じ長さだねと解説すると、何とか理解した様子は見せます。
    しかし、しばらく経つと、また何も読み取れなくなります。
    完全にリセットされてしまいます。
    結局、それは理解していなかったということなのだと思いますが。

    x座標とy座標の読み取りがときどき逆転することがあるのも、そうした子たちです。
    最初に覚えるときに、何かを誤解をしてしまったのかもしれません。
    点の座標の根本の何かが理解できていないのかもしれません。

    直線x=1 はy軸と平行な直線です、といった説明も苦手な様子で、頭を抱え、苦しそうにします。
    y軸と平行なら、y=1でなければならないと思うようです。
    何かもっと簡単に頭の中で整理し直したいのに、そうならないことに苦しんでいる様子が見られます。

    ・・・いや、これ以上は簡単にならないです。
    このまま、受け入れてください。
    そのように願うのみです。


    ところで、放物線の方程式は、y=a(x-p)2+q という、平方完成した形の式の他に、y=ax2+bx+c という形の式もありました。
    問題の形式によって、それらを使いわけました。
    あるいは、問題では、y=ax2+bx+c の形の式が与えられ、それを平方完成することも多かったです。

    円の方程式も、そのような一般形があります。
    x2+y2+ℓx+my+n=0
    これが、円の方程式の一般形です。

    この形が問題で与えられたら、標準形に直すことで、その円の中心や半径を求めることができます。
    やってみましょう。


    問題 円x2+y2-2x-6y+5=0 の中心の座標と半径を求めよ。

    x と y、それぞれに、平方完成をすれば求めることができます。
    最初なので、丁寧にやってみます。
    (x2-2x)+(y-6y)=-5
    それぞれ平方完成し、式にはもともとないのに加えてしまった定数項を右辺にも加えることで辻褄を合わせましょう。
    (x-1)2+(y-3)2=-5+1+9
    (x-1)2+(y-3)2=5
    よって、円の中心(1 , 3)、半径√5


    考え方はそんなに難しくないので、あとは、ケアレスミス・計算ミスに気をつけるだけです。
    とはいえ、ここまでくると、1年前に学習した高校1年の数学内容など1つも覚えていない、1つ前の単元どころか、先週学習した内容ももう忘れている、という人が増えてきます。
    周囲は全て霧。
    足元の細い道だけが見えている。
    後ろは、おそらく崖崩れが起きていて、戻れない。
    前方に何があるのかも、わからない。
    このような精神状態で問題を解いているためでしょうか、比較的簡単に思われるこうした問題でも、符号ミス、計算ミス、円の方程式の右辺は半径の2乗であることを忘れているミスなど、多様なミスを繰り返し、正解に至ることが難しい人が出てきます。
    この問題だけならば、落ち着いて解けば正解が出せるはずなのに、もう何を解いても正解に至らない・・・。
    何を解いても正解にならないので、気持ちがどんどん暗くなる・・・。
    精度の低さが、本人の心をむしばんでいきます。

    理解度と精度は、別のことですが、理解があやふやであれば精度が下がります。
    同時に、精度の低さが、精神的な不安を招き、さらに精度を下げていくこともあります。
    全問不正解のとき、それが全てケアレスミスが原因だとしても、
    「いや、自分は理解しているから大丈夫」
    とは思えないでしょう。
    数学が苦手な高校生の多くはそのような精神状態かもしれません。
    理解できないわけではない。
    ただ、計算が合わない。
    正答に至らない。

    そして、理解しているとはいっても、先週学習した問題を、例題も解説もなくすっと出され、さあ解いてと言われたときに、何をどうしていいか、わからない・・・。
    どうしてこんなに頭をすりぬけていってしまうのか。
    理解したつもりだったが何も覚えていないのは、なぜなのか・・・。

    理解と記憶は、また別のものだからです。

    理解すること。
    記憶すること。
    精度を保つこと。

    それは、別べつのことですが、根は同じところにあります。
    改善していくには、反復することです。
    1回目に学習するときよりも、2回目に学習するときのほうが、まだ少し気持ちが落ち着き、わかることが増えます。
    正答も増えていきます。
    諦める前にどうか反復してください。
    数学が受験にどうしても必要な人は、夢を諦める前に、まだできることがあるはずです。

      


  • Posted by セギ at 14:07Comments(0)算数・数学

    2020年09月12日

    高校英語。複合関係代名詞 whoever。


    さて、今回は、複合関係代名詞。
    名前からして難しそうで、モヤモヤの残ってしまう人が多いところです。
    まずは、例文から見てみましょう。

    Whoever leaves the classroom last should turn off the light.
    教室を最後に出る人なら誰でも、明かりを消すべきだ。

    この whoever は、「~は誰でも」と訳します。
    Whoever leaves the classroom last が、
    「教室を最後に出る人は誰でも」という意味です。
    この意味のまとまりが、従属節(関係代名詞節)で、主節の主語となっています。

    複合関係代名詞は、先行詞を必要としません。
    複合関係代名詞から始まる節がこの文の主語となり、それが should turn off the light.である。
    すなわち、「明かりを消すべきだ」と続いていきます。

    もう1つ例文を見てみましょう。

    The club admits whoever pays the entry fee.
    そのクラブは、入会金を払う人なら誰でも入会を認める。

    club が主語。
    admits(認める)が、動詞。
    whoever pays the entry feeは「入会金を払う人なら誰でも」という意味の従属節(関係代名詞節)で、主節の中で目的語の働きをします。

    文法的に分析すると、英文の構造がよくわかり、意味を理解しやすくなりますね。
    こういう文になってくると、SVOCMの分析は理解を助けるものであって、決して敵視してはならないのです。

    こうした whoever は、anyone who で書き換えることができます。

    Whoever leaves the classroom last should turn off the light.
    =Anyone who leaves the classroom last should turn off the light.
    です。
    The club admits whoever pays the entry fee.
    =The club admits anyone who pays the entry fee.
    です。

    中1の最初に some と any を学習したところから知識のバージョンアップがされず、
    「any は疑問文と否定文で使うものなのに、変な使い方がされていてモヤモヤする・・・」
    という人がいるかもしれません。
    肯定文で any を用いたときは、「何でも」という意味があります。
    肯定文の anyone は、「誰でも」という意味です。
    こういう細かい知識は、大きな文法事項とは異なるため、何となく頭から脱落しがちでなかなか定着しないのですが、結局、そうした小さな知識の欠落からモヤモヤすることが多くなります。
    「そんなの習ったことない」
    という感覚に陥りやすいところでもあります。

    しかし、これは中学で学習しています。
    大きな文法事項ではないので、例えば「過去形は中1の終わりに学習した」というほどの印象は残りません。
    教科書の本文にさらっと出てきていて、
    「この any は・・・」
    とさらっと説明され、特に違和感はないのでどうでもいいやと聞き流したことが、後になってモヤモヤとして残るのです。

    いや、そもそも someone とか something とか、そういうことを学習した記憶がないんだけど・・・。
    何だか、いつの間にが出てきていて、謎なんだけど?
    そんな疑問を抱く人もいるかもしれません。
    これらは中2で学習する内容なんですが、やはり、あまり定着しないし、記憶にも残らないようです。
    学習事項としては「代名詞」にあたります。
    その中でも「不定代名詞」と呼ばれる、モヤモヤする文法事項です。
    高校生ならば、文法参考書を読んで、モヤモヤをすっきりさせることをお勧めします。

    先日も、中2の生徒と「不定詞」の学習をしていて、この不定代名詞と不定詞の語順を解説しました。
    I want something to eat.
    などの語順が定着し、うん、良かったと思った直後のことです。
    不定詞の形容詞的用法全体の演習に入ると、
    「今日はやるべきことがたくさんある」
    を英語に直す問題で、
    I have a lot of something to do.
    という文をその子は作りました。

    うーん、なるほど、そういうミスにつながるのか。

    I have a lot of things to do.
    が正解ですよ、と説明しましたが、不服そうでした。

    something を使うとき、それはまだ不定の「何か」です。
    I have something to do.
    という文がもしあるなら、それは、やるべきことがあるとして、それが何であるかは不定な状態です。
    「今日はやるべきことがたくさんある」という文を言っている、あるいは書いている「私」は、やるべきことがわかっているはずです。
    そこに不定の「何か」という意味の something を使うことはありません、と説明すると、わかりにくかったのか、頭を抱えてしまいました。
    うーん・・・。

    そこで、
    「I want something to eat. は、どう訳すの?」
    と質問すると、
    「食べるものがほしい」
    と訳すので、
    「いいえ。『何か食べるものがほしい』と訳すようにしましょう。まだ不定の『何か』であることをちゃんと訳しましょう。『何か』がついているところで something を使いましょう」
    と説明すると、
    「『何か』がついていれば、必ず something なんですか?」
    と、また微妙なことを訊いてくるので、私は腕組をして、
    「絶対にそうだとは限りませんけれど、『何か』がついているのに、 things を使うことはないでしょう」
    と裏側から答えると、しぶしぶ了解してくれた形でした。

    もつべき疑問が、中2にしては複雑な内容なのでした。
    そこはすっと流して、まあそんなものなのだと思い、先送りにしたほうが、言語習得は楽な場合もあります。
    高校生、あるいはそれ以上になれば、文法的に明晰な分析があり、それを理解できるようになります。
    まだそういう年齢ではないのに、明晰な文法的分析が必要なことについて疑問を抱き、そこでつまずいたりしてしまう・・・。
    今の自分が理解できる範囲を越えたことに疑問を抱くので、疑問が解決しないのです。
    そこでモヤモヤし、それで英語が嫌いになってしまうのは、勿体ないです。
    語学学習は長いスパンでやっていくもの。
    短気を起こさず、地道に気長に努力していくと、振り返るとびっくりするような実力がついています。


    話を複合関係代名詞に戻します。

    上の例だけなら、whoever は、そんなに難しいものではない気もするのですが、ここで大問題が生じます。
    whoever には、別の用法があり、書き換え方も異なるのです。
    例文を見てみましょう。

    Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
    誰が電話をしてこようとも、私は電話に出たくない。

    これは「譲歩」を意味する複合関係代名詞、と呼ばれるものです。
    これの書き換えは、
    Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
    =No matter who calls me, I don't want to answer the phone.

    whoever=no matter who です。

    これが出てくると、どちらの書き換えをすればよいかわからず、モヤモヤが一気に上がる人もいるかと思います。
    「どうせ意味から判断するんでしょう?」
    と決めつけている人もいますが、まあそれも1方法ではあるものの、文法的に正確に分析できます。
    この譲歩の用法のときの関係詞節は、必ず副詞節です。
    一方、冒頭の用法の関係詞節は、名詞節なのです。
    主節の主語や目的語の働きをします。
    主語や目的語になるのは、名詞です。
    節ならば、名詞節です。

    一方、副詞節というのは、SVOCのどれにもなりません。
    M(修飾語)です。
    ですから、whoever を含む文が、どちらの用法なのかわからない場合は、主節のSVOCMを分析すればよいのです。
    Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
    は、主節の主語は、I。
    主節の動詞は don't want。
    主節の目的語は、to answer the phone という、不定詞による名詞句。
    この文は、SVOの文であり、Whoever calls me は、主節の主な要素であるSVOCのどれでもありません。
    「誰が電話をかけてきても」という節は、動詞を修飾する副詞節です。
    こうした用法のときは、「譲歩」の用法となります。

    Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
    のように、先頭に whoever がきていて、間にカンマ( , ) があれば、譲歩の用法ですか?

    と、賢い質問をする人がいます。
    確かに、それはそうです。
    しかし、それ以外は絶対に譲歩の用法ではない、とは限りません。
    I don't want to answer the phone whoever calls me.
    という位置関係の場合もあり、これも「譲歩」の用法だからです。

    やはり、主節のSVOCMを分析するのが、正確に解くコツです。
    そうすることを苦手と言わず、できるようになると楽ですよ。
    1文の長い英文を読むために、それは必要なことですから。
    全ての英文でそんなことをする必要はありませんが、必要なときはあります。

    繰り返します。
    SVOCMの分析は理解を助けるものであって、決して敵視してはならないのです。
    文法的に分析すると、英文の構造がよくわかり、意味を理解しやすくなります。
    それが習慣になっていれば、普段、特に意識しないで英文を読んでいるときにも、自然に、意味のまとまりごとに文意を把握できるようになっていきます。
    英文を前から読む、英文を英文のまま読むというのは、そういうことです。

      


  • Posted by セギ at 12:10Comments(0)英語

    2020年09月10日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。三角形の面積。


    さて、今回は、座標平面上の三角形の面積の求め方です。
    例えば、こんな問題。

    問題 点O(0,0)、B(8,2)、C(3,5)を頂点とする三角形OABの面積を求めよ。

    これも、実際に座標平面にこの三角形を描いて考えるとわかりやすいと思います。

    高校生に自力で考えてもらうと、発想が中学生に戻り、中1で学習した解き方をする子が大半です。
    すなわち、この三角形を取り囲むように、三角形の頂点が周上にある長方形を描き、その長方形から、余計な直角三角形を3つ引いて、△OABの面積を求める方法です。
    間違った方法ではありません。
    まずは、それで解いてみましょう。

    △OABを囲むように長方形を作ると、縦5、横8の長方形となります。
    そこから、不要な三角形を3つ分の面積を引きます。
    5・8-1/2・3・5-1/2・5・3-1/2・8・2
    =40-23
    =17

    △OABの面積は、17です。

    しかし、せっかく、2点間の距離の求め方や点と直線との距離の求め方を学習したのですから、それを利用した解き方を考えてみましょう。
    この△OABを、底辺AB、頂点Oの三角形とみなします。
    まずは、底辺の長さを求めましょう。
    点A(8,2)とB(3,5)の距離ですから、2点の距離の公式に代入すると、
    AB=√(8-3)2+(2-5)2
    =√25+9
    =√34

    底辺をABとみなしたら、この三角形の高さは、点Oと直線ABとの距離となります。
    そのため、まず直線ABの式を求めましょう。
    2点(8,2)、(3,5)を通る直線ですから、2点を通る直線を求める公式に代入して、
    y-2=-3/5(x-8)
    両辺を5倍して、
    5y-10=-3(x-8)
    5y-10=-3x+24
    3x+5y-34=0

    この直線と、点O(0,0)との距離ですから、点と直線との距離の公式に代入して、
    距離d=|-34|/ √9+25
    =34/√34

    よって、
    △OAB=1/2・√34・34/√34
    =17

    上と同じ面積を求めることができました。

    しかし、この求め方、高度な考え方を利用しているわりに、むしろ、中1で学習した求め方よりも計算が面倒くさくなっている気がします。
    ご安心ください。
    これも、公式があります。

    点0(0,0)、A(x1,y2)、B(x2,y2)のとき、
    △OAB=1/2|x1y2-x2y1|

    この公式に代入してみましょう。
    △OAB=1/2|8・5-2・3|
    =1/2|40-6|
    =1/2・34
    =17

    ・・・わあ、簡単だあ。

    では、この公式を証明しましょう。
    底辺を線分ABと見るのは、上の解き方と同じです。
    まず、底辺を求めましょう。
    AB=√(x2-x1)2+(y2-y1)2 となります。
    次に、この三角形の高さ、すなわち、点0とABとの距離dを求めます。
    そのために、直線ABの式を求めると、
    y-y1=y2-y1 / x2-x1 (x-x1)
    これを整理します。
    両辺をx2-x1 倍して、
    (y-y1)(x2-x1)=(y2-y1)(x-x1)
    全て左辺に移項して、
    (y-y1)(x2-x1)-(y2-y1)(x-x1)=0
    展開して、整理すると、
    -(y2-y1)x+(x2-x1)y-x2y1+x1y1+x1y2-x1y1=0
    (y2-y1)x-(x2-x1)y-(x1y2-x2y1)=0
    よって、点0(0,0)との距離は、
    d=|0-0-(x1y2-x2y1)| / √(y2-y1)2+(x2-x1)2
    ところで、この分母√(y2-y1)2+(x2-x1)2=ABであ。
    よって、d=|x1y2-x2y1| / AB
    したがって、
    △OAB=1/2・AB・d
    =1/2・AB・|x1y2-x2y1| / AB
    =1/2|x1y2-x2y1|


    原点を通る三角形の面積は、この公式で簡単に求めることができます。
    それでは、こんな問題はどうでしょうか。

    問題 点(3,4)、(-4,1)、(2,-5)を頂点とする三角形の面積を求めよ。

    原点を通っていない・・・。
    では、上の公式は使えないでしょうか?
    いいえ。
    ちょっと工夫すれば使えます。

    原点を通る三角形になるよう、3点を平行移動させればよいのです。
    どれでもいいのですが、今回は、点(2,-5)を原点に移動してみましょう。
    (2,-5)が、(0,0)に移動するのですから、x軸方向に-2、y軸方向に+5だけ平行移動することになります。
    それにあわせて他の点も移動すれば、全体に平行移動したことになりますから、もとの三角形と面積は等しいです。
    (3,4)は、(1,9)に。
    (-4,1)は、(-6,6)に。
    よって、求める三角形は、点(0,0)、(1,9)、(-6,6)を頂点とする三角形と面積は等しいです。
    これを公式に代入すると、
    1/2|1・6-9・(-6)|
    =1/2|6+54|
    =30
    これが求める面積となります。

      


  • Posted by セギ at 13:19Comments(0)算数・数学

    2020年09月06日

    英検を受験しますか?


    先日、中学生から、「秋に英検を受検することにした」と報告され、困惑しました。
    いえ、受けることは別に構わないのですが、過去問を解いてみたら、ほとんど正解できないというのです。
    申し込む前に相談してくれれば、
    「1回分過去問を解いて合格するものなのかどうか試してから申し込んだらよいですよ」
    とアドバイスできたのですが。
    私が暗い顔をしていたせいでしょう、その子は、言いました。
    「受験で有利になるから、英検を受けろって、学校の先生が言うから」
    「・・・有利になる?どんなふうに?」
    「・・・」
    そこをしっかり確かめないと、将来、詐欺の被害にあいますよー。
    有利にならないとは言いませんが、ケース・バイ・ケースですよー。

    私が暗い顔になったのは、これで英検に落ちたら、そのショックで塾をやめるのやめないのという問題が発生するかもしれないと、過去の記憶がよぎったからでした。
    大人は気楽に検定受検を子どもに勧めます。
    入試まではまだ時間があるから、学習の目標をもってもらいたい、と思うようです。
    一方、生徒の多くは、試験ではっきり不合格と判定され、否定され排除された経験を持っていません。
    子どもにとっては、それは想像以上にきつい経験になります。

    保護者の方にとっても、想像以上にきつい経験になる場合もあります。
    子どもに受検を勧めるとき、合格することしか想定していないのかもしれません。
    不合格という結果に、保護者の方も動揺します。
    何が原因なのか?
    英語力は順調に伸びているんじゃなかったのか?
    うちの子の英語は、ダメなのか?
    学習上の課題について子どもと冷静に話しあうつもりが、結局最後は言い争いになってしまうことがあります。
    「これからしっかり頑張るから」という子どもの返答を期待して「もう塾なんかやめてしまいなさいっ」と言ってしまう。
    すると、子どもは、「じゃあ、やめる」と、応じる・・・。

    ・・・ああ、いやだ、いやだ。

    そういう子の場合、英語学習が、定期テストをやり過ごすだけのよくない状態に陥っていると、生徒自身と私は、気がついているのです。
    しかし、生徒は、その状態が楽なので、変えるつもりがありません。
    受験学年になったら、そのときはもう少しちゃんとやるから、今はまだ・・・という気持ちでいるのでしょう。
    そういう状態の子に、受験に向けての英語学習を提案しても、実行できません。
    単語暗記を宿題に出しても、やってきません。
    長文読解問題を宿題に出しても、「わからなかったー」と白紙のまま持ってきます。
    あるいは、適当に解いてきます。
    本人の中で、それをする動機がないのです。
    それでも、学校の定期テストはそこそこの点数でやり過ごすことができます。
    平均点以下ではない。
    だから、まあいいじゃない。
    本人はそう思っています。

    そうした状態で、例えば、校外模試で英語の偏差値が低かった。
    あるいは、英検に落ちた。
    それは、これからの学習の起爆剤になります。
    さすがに、本人も反省するはず。
    ようやく学習習慣を改めるチャンスが巡ってきた。
    それなのに、結論は一気に「退会」となってしまいます。

    新しい塾で、その反省を生かして、それまでとは違う学習習慣が作られたのなら良いのです。
    しかし、そういう話は風の噂でも聞こえてこないことが多いのです。
    聞こえてくるのは、浪人し、とうとう大学には入れなかった、という話。
    塾を変えても、本人が変わらなければ、何も変わらないのです。


    苦い経験を幾度か経て、「英検受検」→「不合格」→「退会」という図式が心の中でしっかり出来上がっているものですから、必ず合格する場合や、進学に必要な場合以外は、英検受検を私から勧めることはありません。

    ただ、英検不合格からの退会、というのは、今までの例では、高校生の場合ばかりでした。
    受けても合格するわけがない状態で、英検2級を突然受検し、予想通り不合格となり、退会、という流れでした。
    中学生なら、違うかもしれません。
    というよりも、なぜその子は、英検の過去問の筆記試験がそんなにも出来ないの?
    出題形式に慣れていないだけなのでは?
    直前に少し指導すれば、合格できるのでは?


    長い目でみれば、英検3級までは誰でもいつかは合格します。
    英検準2級も、高校生になり真面目に英語を勉強していればいずれ合格します。
    しかし、そのままの学習では、英検2級のレベルには決して到達しない子たちが存在します。

    何年英語を学習しても中学英語のレベルにとどまり、高校英語レベルに進歩しない子は、想像以上に多いです。
    その最大の原因は、単語力です。
    中学で学習した単語はそこそこ覚えているのですが、高校で新出の単語が、覚えられないのです。
    それがまさに英検準2級の英語力です。

    英検準2級は、高校1~2年生程度の英語力となっていますが、満点を取らないと合格できないわけではありません。
    中学英語が身についていれば7割程度は正答できますから、それで合格します。
    つまり、英検準2級合格は、「中学英語はそこそこ身についている」という証明に過ぎません。
    高校英語の語彙を一切知らなくても何とか合格できます。

    しかし、英検2級となると、文法・語法の問題も、長文問題も、高校で学習する単語が多く含まれます。
    そのレベルの英文をほとんど読めない高校生たちが存在します。
    それも、ある程度の学力を期待されている高校に在籍していながら。
    問題の英文の意味が全くわからないのですから、正答できません。

    そういう子の英語学習には、共通の特徴があります。
    学校で毎週行われている単語テストは一夜漬け、あるいはテスト直前だけの即席漬けで切り抜けています。
    覚えてもすぐ忘れるので、単語力の蓄積がなく、中学生の単語力のまま、高2になり、高3になります。
    高1の頃は、教科書に出てくる知らない単語は新出単語の場合がほとんどです。
    しかし、高1の新出単語を覚えないまま高2・高3と進級してしまうので、教科書の中で、新出単語ではないのに意味のわからない単語が増えていきます。
    その意味調べが必要になり、英語学習は教科書の単語の意味調べだけでほとんどの時間を使いきることになります。
    しかも、調べるだけで覚えませんから、わからない単語は増える一方です。

    定期テストは、教科書の本文からの出題はそこそこ得点できても、それは教科書本文の内容を覚えているからであって、単語を1つ取り出して意味を問われたら答えられません。
    初見の長文問題はほとんど読めず、「こんなの無理」「知らない単語が多すぎる」とテストの度に不平不満をもらすことになります。
    あるいは、勉強不足で問題を解くスピードが遅いため、時間が足りず、テストの最後の長文にはそもそも目を通していないということもあります。

    親に勧められ、個別指導塾に来ても、
    「教科書をしっかりやりたい」
    という、ある意味まっとうな言い訳で、英語学習を自ら限定的にしてしまいます。
    個別指導で学校の教科書の予習をすれば、自分で辞書を引く手間が省けます。
    学校の文法テキストの練習問題を塾で解く、というより講師に答を教えてもらえば、学校の宿題も自分でやらずに済みます。
    要するに、自力で英語の勉強をしなくて済むので、塾のことは嫌いではないようです。
    学校の英語の授業が何だか前よりわかるような気もするので、英語力がついたと勘違いをしてしまう人もいます。
    自力で英語を勉強する時間がむしろ減っているということに気がついていないのです。

    そうした誤解の中、突然、
    「英検2級を受ける」
    と言い出すのも、そうした子たちの特徴です。
    申し込みのときに言ってくれれば止めることができるのですが、全て事後承諾であり、すでに試験はひと月後という場合すらあります。
    いやいや・・・・。
    そんな英語力じゃないでしょう?
    そんな勉強をしていないでしょう?
    単語力が全く足りないでしょう?
    親や学校の先生が勧めても、断らないとダメでしょう?

    受かるような気が、自分でもしてしまうのでしょうか。
    英語が得意で努力も怠らない友達と同じように、自分も英検2級に合格できると漠然と思いこんでしまうのかもしれません。
    友達が合格すれば、自分もできそうな気がしますよね。
    でも、同じ人であり、根本の学力は同じくらいかもしれないけれど、一番大切なところが違うのです。

    英語に対して、努力を惜しまないのか、どうか。

    単語は、漫然と勉強していればそのうち覚えられるというものではありません。
    集中してガッと覚える時期が必要です。

    高校から配布された、大学受験用の単語集を1冊丸ごと覚えれば、英検2級くらいはどうにでもなります。
    しかし、学校の単語テストにあわせて、その範囲を覚えてすぐ忘れているようでは、単語集は手付かずと同じ状態です。
    幾度も自分で反復することが必要です。
    大人なら、そんなの当たり前だとわかっているのですが、記憶というものについて、高校生は案外わかっていない子がいます。
    「1回覚えたのに、何ですぐ忘れてしまうの?こんなの、覚えても無駄じゃん」
    と、訳のわからないことを平気で言ったりします。

    人間は忘れるものです。
    脳は不要な記憶を消去することに一所懸命なんですから。
    脳に「このことは大事だから覚えておけ」と指令を出さなければなりません。
    それには反復・反復・反復。
    幾度も反復すると、脳は「あれ?これ、消去する記憶じゃないの?」と気づいて、長期記憶に組み替えてくれます。

    とにかく反復することが大切。
    しかし、これができない子が多いのです。
    一度で覚えられないことが納得できないという、幼稚な子もいます。
    あるいは、一度では覚えられないことは理解していても、反復するのがとにかく面倒くさくて嫌いな子もいます。

    簡単な覚え方があるはずなのに、自分はそれを知らないだけだ、学校の先生も塾の先生も後れているからそれがわかっていないだけだと謎の思い込みをしている子もいます。
    そんなに凄い単語暗記法がもしあるなら、文科省が推奨し、たちまち全国の学校で実施されています。
    英語教育改革に躍起になっていても、日本人の英語力が世界ランキングでじりじり下がっている絶望的な状況を知らないのですか。
    凄い単語暗記法は、その救世主となるはずです。
    しかし、そんなものは、存在しないのです。
    個人や企業が宣伝している凄い英語学習法というのは、あれは商売でやっているので、鵜呑みにしてはいけません。
    夢みたいなことを、安易に信じて、だまされる。
    高校生は、精神的にとても成長している子もいるのですが、精神年齢はマイナス5歳すればちょうどいい子も多いのです。
    見た目は高校生、心は小学生。
    コナンの逆バージョンみたいな子も多いです。

    単語は、音声で覚えると良いと勧めても、英語のCDなんてそんなに面白いものではありませんから、1度聴いたらもう2度と聴きません。
    反復しないと意味ないのですが。

    文章の中で単語が出てくるタイプの単語集のほうが覚えやすいと勧めても、1度読んで、知らない単語をマーカーで塗って、勉強した気になっておしまいです。
    「えー?1度読んだら良くない?何でー?」
    と、幼稚な疑問を返してきたりします。

    ゲームが好きなようなので、英単語ゲームならやるだろうと保護者が与えても、タブレットはちゃっかりゲットしますが、英単語ゲームなんか1度やったらおしまいという子もいます。
    単語の覚え方として、単語集で覚えるよりはゲームのほうが面白いという比較を大人はしますが、子どもは、単語ゲームよりも他のゲームのほうが面白いという比較をします。

    心が小学生なのです。

    そうして、結局、英単語は覚えられない。
    単語が覚えられないと、英検2級の問題文が読めない。
    受かりません。

    学校の英語の教科書だけで勉強していると、この流れからは逃れられません。
    だから、現在、うちの塾では、高校生に学校の教科書での指導は行っていません。
    単語集も、文法テキストも、読解テキストも、塾で指定したものを使用します。
    大学受験のための英語学習であって、学校の授業の予習復習ではありません。
    英検2級がどうのこうのではなく、英検準1級に楽に合格できる英語力をつけることが目標です。
    そうでなければ、大学受験の英語入試問題に対応できません。
    高校生には、学校の定期テスト前は、塾は休んでテスト勉強をするよう指示しています。
    テスト対策を塾で行っていないので、定期テスト結果にカウントしていませんが、校外模試では英語の偏差値は70を越える子が多いです。

    中学生は、教科書の学習も重視していますが。

    突然英検2級を受けて、予想通り不合格となり、それで突然塾をやめてしまう子は、今はもううちの塾にはいないのです。
    過去の苦い記憶は、もう封印してもよいのかもしれません。

    英語は才能の問題もありますが、努力でカバーできる部分が大きいです。
    スマホを眺めている毎日の1時間を、英語を勉強する1時間に変えるだけで、英語力は変わります。
    一度で覚えられないのは当たり前だと理解し、反復することを苦にしなければ、単語は覚えられます。
    1つの目安として、英語は、1,000時間学習すれば、そこそこ使えるようになると言われています。
    10,000時間学習すれば、英語に堪能だと言えるようになります。
    楽な方法なんてないと悟ること。
    そうして、努力すること。
    そうすれば、目標は射程圏内に入ります。


      


  • Posted by セギ at 14:22Comments(0)英語

    2020年09月03日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。点と直線の距離。



    今回は、点と直線との距離を求める問題です。

    問題 点(1,2) から直線 3x+4y=5 までの距離を求めよ。

    そもそも、「点と直線との距離」とは何か、その確認からしましょう。
    中学生が作図問題を解いている様子を見ていると、ああ、わかっていないかもしれないなあと感じることがあるのが、点と直線との距離です。
    与えられた点と直線との距離を示す線分を描けといった問題に上手く対応できないのです。
    それの応用である、与えられた点を中心とし、与えられた直線と接する円を描けといった問題にも困惑することになります。

    数学で「距離」というのは「最短距離」のことです。
    点と直線との最短距離とは何か?
    その点からその直線に垂線を下したときの、その点と垂線の足との距離が最短距離です。
    ちなみに、垂線の足とは、垂線と直線の交点のことです。

    ・・・このように、説明しても説明しても、そこにまた数学用語が出てきて、それをまた説明しなければならないということが、数学の授業
    では起こりがちです。
    テストのために暗記するけれど、テストが終わったら忘れる。
    そのような学習習慣の子が幾何が苦手な原因の1つが、用語の意味がわからないことです。
    重要なことを覚えていないのです。
    だから、説明を聞いても、その説明が理解できない、という状況に簡単に陥ります。

    用語がごついだけで、言っていることはとても単純なことです。
    点から直線には、多くの線が引けますが、その中で一番短い線は?
    その点からその直線に垂直に引いた線ですよね?
    それが最短距離です。
    そのことを、点と直線との距離と呼びます。

    しかし、上のような不正確な表現は、許されません。
    上の説明は、図を示しながら、ニュアンスで理解してもらおうとしている説明です。
    この説明が通じればよいですが、もし通じなければ、相手を混乱させるだけです。

    勝手な用語を使うと全く通じないことがあります。
    もう何年も前になりますが、中3の生徒が図形問題を解いている途中で、
    「この棒の長さが」
    と言い出して、ぎょっとしたことがあります。
    ・・・棒?
    棒って何のこと?
    虚をつかれて、本当に何のことかわからなかったのですが、それは「線分」のことでした。

    別の子で、これは代数の学習でしたが、式の計算のところで、
    「この式をほぐしていいですか?」
    と質問するので、困惑したこともあります。
    式をほぐす?
    それは、何をどうすること?
    ・・・その子が言っていたのは、式を展開することでした。
    ニュアンスで説明するのは、本人はよく理解できても、他人に通じない可能性が高いのです。

    上の私の説明も、幾何の専門家からすれば、線分を棒と呼ぶほどの暴挙を寄せ集めた説明です。
    1つ1つ、正確に定義された言葉を使うことで、相手に正確に伝わります。
    だから、数学は定義が極めて重要です。


    問題の意味が正確にわかったところで、さて、どう解きましょう。
    もう一度、問題を読んでみます。

    問題 点(1,2) から直線 3x+4y=5 までの距離を求めよ。

    よくわからなかったら、グラフを描いてみると助けになると思いますが、そろそろ、実際にグラフを描かなくても、頭の中のイメージだけで何とかなりそうな気がします。
    とにかく直線 3x+4y=5 がある。
    その直線外の点(1,2) がある。
    その点から直線に垂線を引く。
    その点とその垂線の足との距離が、求める距離です。

    これまで学習したことを利用して求められそうな気がします。
    点(1,2)を、点Pとしましょう。
    与えられた直線 3x+4y=5 を対称の軸として、点Pと対称な点をQ(a,b)とおきます。
    直線 3x+4y=5 と、直線PQは、垂直です。
    線分PQの中点は、直線 3x+4y=5 を通ります。
    こうしたことを利用して、何とか求めることができそうな気がします。
    Qの座標がわかれば、線分PQの長さがわかります。
    それを1/2にしたものが、点Pと直線との距離でしょう。
    その指針で、解いてみましょう。

    まず、与えられた直線の傾きを求めます。
    3x+4y=5 をyについて解くと、
    4y=-3x+5
    y=-3/4x+5/4

    この直線の傾きは、-3/4であることがわかりました。
    では、それと垂直な直線PQの傾きは、4/3です。
    垂直な2直線の傾きの積は、-1だからです。

    直線PQの傾きは、P(1,2)、Q(a , b) を、変化の割合の公式に代入すると、
    b-2 / a-1 です。
    よって、
    b-2 / a-1=4/3
    これを整理すると、
    4(a-1)=3(b-2)
    これは、両辺が分数のときに、互いの分母×分子は等しいことを利用しました。
    4a-4=3b-6
    4a-3b=-2 ・・・①

    式が1本出来ました。
    もう1本式があれば、Q(a , b) を求めることができます。

    線分PQの中点が、対称の軸を通ることを利用しましょう。
    線分PQの中点の座標は、(a+1 / 2 , b+2 / 2)。
    これが直線3x+4y=5を通るから、
    3( a+1 / 2) +4(b+2 / 2)=5
    各辺を2倍して、
    3(a+1)+4(b+2)=10
    これを整理して、
    3a+3+4b+8=10
    3a+4b=-1 ・・・②

    ①、②を連立して、aとbを求めましょう。
    ①×4+②×3 をすると、
    25a=-11
    a=-11/25 ・・・③

    ③を②に代入して、
    3・(-11/25)+4b=-1
    -33+100b=-25
    100b=8
    b=2/25

    よって、Q(-11/25 , 2/25)

    P(1,2)、Q(-11/25 , 2/25)より、PQ間の距離を求めることができます。
    2点の距離を求める公式に代入して、
    √(-11/25-1)2+(2/25-2)2
    =√(-36/25)2+(48/25)2
    =√1296+2304 / 252
    =√3600 / 252
    =60/25
    =12/5

    PQ間の距離が12/5ですので、点Pと対称の軸との距離は、その1/2ですから、
    12/5×1/2
    =6/5

    できました。


    とはいえ、計算が面倒でしたね。

    ・・・これ、公式があったんじゃない?
    そのようなツッコミもあるかと思います。
    はい。
    これは公式に代入して、もっと簡単に答を出せる問題なのです。
    まずは公式を確認しましょう。

    直線 ax+by+c=0 と、この直線外の点(x1,y1)との距離dは、
    d=|ax1+by1+c| / √a2+b2

    このブログの表示では、もう何のことやらさっぱりわからないかもしれません。
    お手元の教科書・参考書で確認されるか、上の画像をご覧ください。
    公式そのものは、そんなに特殊なものではなく、どこの高校でも必ず学習する基本公式です。

    これに代入すると、上の問題は、点(1,2)から直線3x+4y-5=0 までの距離となりますから、
    |3・1+4・2-5| / √9+16
    =|6|/ √25
    =6/5

    と簡単に求めることができます。

    ただ、数学が苦手な子は、そもそも絶対値記号のことを忘れていたり、
    「3・1+4・2+5ではないのは、なぜですか?」
    と質問し、そこの思い込みからなかなか抜け出せないことがあります。

    3x+4y-5=0 と移項したからですよと説明すればわかってくれる場合は比較的簡単ですが、
    「絶対値は正の数なのだから、-5というのはおかしい。+5でなければおかしい」
    という論理のねじれや歪みが生じている場合は、説得は簡単ではありません。
    数学の問題を解いていて、このような論理のねじれや歪みを起こしやすい人がいます。
    絶対値の基本に戻り、|-2|=2といった、絶対値記号の内側は負の数でも構わないことを確認し、誤解を解いていく必要があります。
    自力では、こうした誤解からなかなか脱出できません。
    個別指導の強みはそこです。
    どんな妄言でもよいので、妄言は妄言のまま声に出してくれると、解決への道が開かれます。

    さて、では、この公式の証明を始めましょう。
    直線 ℓ : ax+by+c=0 と、この直線外の点P(x1, y1) がある。
    Pから ℓ に引いた垂線と ℓ との交点をH(x2, y2) とすると、
    PH=√(x2-x1)2+(y2-y1)2 ・・・①
    また H は直線 ℓ 上の点だから、
    ax2+by2+c=0 ・・・②
    ここで、
    (ⅰ) ab≠0 のとき、
    ℓ の傾きは、-a / bであるから、直線PHの傾きは、b/a
    よって、
    y2-y1 / x2-x1=b / a
    これを整理すると、
    y2-y1=b / a ・ x2-x1
    y2-y1 / b=x2-x1 / a
    この値をtとおく。
    すなわち、
    x2-x1 / a=t、 y2-y1 / b=t、
    これを変形して、
    x2-x1=at 、 y2-y1=bt
    x2=at+x1 、 y2=bt+y1 ・・・③
    これを②に代入して、
    a(at+x1)+b(bt+y1)+c=0
    これをtについて解くと、
    a2t+ax1+b2t+by1+c=0
    t(a2+b2)=-ax1-by1-c
    t=-ax1-by1-c / a2+b2 ・・・④
    ③、④を①に代入すると、
    PH=√a2t2+b2t2
    =√(a2+b2)t2
    =√(a2+b2)t2・(ax1+by1+c)2 / (a2+b2)2
    =√(ax1+by1+c)2 / (a2+b2)
    =|ax1+by1+c| / √a2+b2 ・・・⑤

    (ⅱ)a=0、b≠0のとき、
    y=-c/b
    PH=|y1+c /  b|
    =|by1+c|/ |b|
    ⑤の式からもこれと同じ式が得られる。
    またa≠0、b=0のときも、同様のことがいえる。
    よって、aかbのいずれか1つが0のときも、PHは⑤の式であらわされる。

    したがって、(ⅰ)(ⅱ)より、
    PH=|ax1+by1+c| / √a2+b2

    公式の証明を理解したら、あとは活用するだけです。
    この公式は、使う機会がとても多い公式ですので、早めに覚えて活用しましょう。


      


  • Posted by セギ at 11:29Comments(0)算数・数学

    2020年08月30日

    高校英語。関係副詞の非制限用法。


    関係副詞。
    今回は、非制限用法です。
    非制限用法は、関係代名詞のときも学習しました。
    先行詞を修飾するのではない用法です。
    接続詞を補って、前から順番に意味をとっていけば大丈夫でした。
    この非制限用法をもつ関係副詞は、where と when です。
    まず、where の用法。

    We got to the park, where we rested for a while.
    私たちはその公園に着いて、そこでしばらく休憩した。

    これは、
    We got to the park, and there we rested for a while.
    と同じ意味です。

    Stratford-on-Avon, where Shakespeare was born, is visited by a great number of tourists every year.
    ストラットフォード・オン・エイボンは、シェイクスピアの生誕地で、毎年多数の観光客が訪れる。

    このように、途中で挿入することも可能です。

    次に、when の用法。

    I was taking a shower at seven, when the lights went out.
    私は7時にシャワーを浴びていて、そのとき、明かりが消えた。

    The summer of 1945, when the Pacific War ended, is still vivid in my memory.
    1945年の夏は、太平洋戦争が終わったときで、いまだに私の記憶の中で生々しい。


    うん。簡単ですね。


    ところで、ここから少しややこしい話をします。
    先行詞が省略されて、when だけが残ると、接続詞 when の用法との見分けがほとんどつかない、という話です。

    まずは普通の用例。
    I finished talking with him at ten o'clock, when he wanted me to stay a little longer.
    彼との話は10時に終わったが、彼は私にもう少しいてほしがった。

    これは、when = and then ととらえればよい、普通の用法です。
    時間的な前後関係が明確です。
    しかし、主節の動詞が、was/were about to ~、was/were going to ~、または過去進行形のときには、このカンマを省略することがあります。
    主節がこれらの時制の場合、主節と従属節の時系列は、ほぼ同時となります。

    I was about to reply when he cut in.
    私が答えようとすると、彼は口をはさんだ。

    このように訳します。
    この文の見た目は、接続詞の when を利用している場合と区別がつきません。
    接続詞ととらえると、この文の意味は「彼が口をはさんだとき、私は答えようとしていた」となります。
    状況は同じです。
    伝達情報としては同じなので、言語として困ることはありません。

    困惑するのは英語を学習している生徒の側です。
    模試や読解問題集の全訳を見たとき、模範の訳は「私が答えようとすると、彼は口をはさんだ」となっています。
    この訳に混乱する人がいます。
    ・・・何で when の後ろから訳さないの?
    when の後ろから訳すって、中学生のときに教わったのに・・・。

    そうなのです。
    私も、中2の生徒に接続詞 when を教えていて、強調するのはそのことです。
    そこのところを間違ってしまう人が多いからです。

    When I saw him, he was playing baseball in the park.
    という文ならば、
    「私が彼と会ったとき、彼は公園で野球をしていた」
    と正しく訳せるのですが、
    He was playing baseball in the park when I saw him.
    という形で書かれていると、
    「彼が公園で野球をしていたとき、私は彼に会った」
    と訳してしまう人がいます。

    解説を聞いているとき、when 節とか、主節とか、そういう言葉が、気に入らなかったのかもしれません。
    それぞれ、定義を説明しても、それがまたわずらわしい。
    そんな難しい説明は要らない。
    簡単じゃないか。
    文と文との間を、when でつなぐ。
    それだけのことだろう?
    内心で、そう思ってしまうのかもしれません。

    ・・・これ以上簡単に説明できないから、この説明をしているんですよ。
    気に入らない説明がもしあったら、こういう理解でいいかと、質問してね。
    繰り返しそう話しても、後日、生徒が誤解をしていて、天を仰ぎ、最初から説明のし直し、ということはしばしばです。

    そうした子たちは、
    He was playing baseball in the park when I saw him.
    という文を、
    「彼が公園で野球をしていたとき、私は彼に会った」
    と訳してしまいます。
    「私が彼に会ったとき、彼は公園で野球をしていた」という日本語を英語に直す問題は、
    I saw him when was playing baseball in the park.
    と誤答してしまいます。

    when I saw him が、1つのまとまり。
    これが、when 節。
    そのまとまりごと、主節よりも前にドンと移動できる。
    後ろにドンと下がることもできる。
    文と文との間に when があるとういうことではないのです。
    when は、従属節の先頭の語です。
    when から始まる、1つの意味のまとまりです。
    when の後ろから訳すんですよ。
    こうしたことを繰り返し繰り返し説明して、練習して、when 節を代表とする従属節と従属接続詞の用法を何とか身につけるのが中2です。

    そうやって、しっかり従属節を学習したというのに、高校生になったら、
    He was playing baseball in the park when I saw him.
    の when は、関係副詞とみるなら、
    「彼が公園で野球をしていたとき、私は彼に会った」
    という解釈でも、別に構わなくなるなんて・・・。

    なんてこった!

    ただし、こういう関係副詞 when の用法は、難しい英文でたまに見る程度ですので、自ら使う必要はありません。
    読解問題の全訳を読んでいて、この when の訳し方がどう見ても逆に思えてストレスを感じたら、このことを思い出してください。
    文法的にどうしても割り切れない表現が、入試問題、すなわち、実際の随筆や評論にはあるかもれしません。
    そのとき、文法が間違っているのではなく、それを正しく解釈する文法も存在すると理解しておくと、英語を読み進めていく推進力になると思います。


      


  • Posted by セギ at 16:15Comments(0)英語

    2020年08月26日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その6。恒等式の利用。


    今回は、こんな問題を。

    問題 2直線 2x+y-5=0、3x-2y-11=0 の交点と、点(1,-2) を通る直線の方程式を求めよ。

    ・・・あれ?
    簡単すぎる・・・?
    こういう問題は、以前に学習しましたよね。

    では、まず、その解き方から。

    2点の座標がわかれば、直線の方程式は求められます。
    1点は、問題で示されている点(1,-2)。
    あと1点は、2直線の交点。
    まず、これを求めましょう。
    2直線の方程式を連立して解きます。
    2x+y-5=0   ・・・①
    3x-2y-11=0 ・・・②

    ①×2+②
      4x+2y-10=0
    +)3x-2y-11=0
     7x  -21=0
         7x=21
          x=3 ・・・③

    ③を①に代入して、
    6+y-5=0
       y=-1

    よって、交点の座標は(3,-1) です。

    すなわち、求める直線は、点(1,-2) , (3,-1) を通りますから、2点を通る直線を求める公式に代入して、
    y+2=1/2(x-1)
    y=1/2x-1/2-4/2
    y=1/2x-5/2

    これが答となります。


    この解き方で構わないのですが、後に、2円の共有点と他の1点を通る円の方程式などを求める際に利用する解き方があります。
    こちらのほうが汎用性が高いです。
    ただし、これからの数学の多くはそうですが、汎用性の高い考え方は、難しいです。
    できるだけわかりやすく説明したいと思いますが。
    まずは、答案を見てみてください。

    2直線、2x+y-5=0、3x-2y-11=0 の交点を通る直線の方程式は、
    k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0 ・・・① と表される。
    この直線が、点(1 , 2) を通るから、
    k(2-2-5)+(3+4-11)=0
    -5k-4=0
    -5k=4
    k=-4/5
    これを①に代入して、
    -4/5(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
    -4(2x+y-5)+5(3x-2y-11)=0
    -8x-4y+20+15x-10y-55=0
    7x-14y-35=0
    x-2y-5=0

    これが答です。


    ・・・はあ?
    何それ?
    何をしたの?
    そのkって何?

    そのような声が、絶叫レベルで聞こえてきそうな気がします。

    上の答案は、冒頭の2行が謎に満ちていると感じる人が多いでしょう。

    2直線、2x+y-5=0、3x-2y-11=0の交点を通る直線の方程式は、
    k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0 と表される。

    ・・・何それ?
    何で、2直線の交点を通る直線の方程式が、そんなもので表されるの?

    問題は、そこですよね。

    これは、kについての恒等式なんです。
    kの値が何であっても、この式は成立するということなのです。

    ・・・どういうこと?

    それでは、kの値が何であってもこの式が成立するための条件を考えてみましょう。
    k(2x+y-5)の部分の、(2x+y-5)の値が0でなければ、そんなものは成立しません。
    この( )の中が、例えば1であったり、2であったり、何か0以外の数字になってしまったら、kの値によって、左辺=0 が成立することもあれば成立しないこともある、となってしまいます。
    kの値が何であってもこの式が成立するためには、kの係数は0である必要があります。
    だから、2x+y-5=0 です。
    また、それだけでは、必ず左辺=0 とはなりません。
    後半の( )の中身、3x-2y-11=0 も同時に満たさなければ、左辺=0 とはなりません。

    ということは、どういうことか?
    k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
    という式が常に成り立つということは、2x+y-5=0、かつ、3x-2y-11=0 だということです。

    2x+y-5=0、かつ、3x-2y-11=0
    そのときの x と y の値は、この2つの式を連立して解いた解ということです。
    それは、この2直線の交点の座標ですよね?
    だから、
    k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
    という式が表す直線は、2直線の交点の x 座標と y 座標の値のときは、k の値が何であっても、必ず成立するのです。
    すなわち、この直線は、k の値は謎のままであっても、2直線の交点の x 座標と y 座標の関係は満たします。
    つまり、この直線は、2直線の交点を必ず通るのです。
    わさわざ計算して交点の座標を求めなくても、その交点を通る直線を表すことができるのが、この解き方の利点です。

    それでもまだもやもやするという人のために、一応確認しておきましょうか?
    冒頭の求め方で、2直線の交点の座標は出してありました。
    交点は、点(3,-1) でしたね。
    この値を、この k を用いた式に代入してみましょう。
    k(6-1-5)+(9+2-11)=0
    0・k+0=0
    確かに、これなら、kが何であっても、成立します。
    2直線の交点(3,-1) の値を代入すると、kが何であってもこの式は成立します。
    つまり、この直線は、kの値が何であっても、必ず点(3,-1) は通るのです。

    ただし、このままでは、kが定まっていません。
    2直線の交点は必ず通るけれど、傾きもy切片も定まりません。
    2直線の交点のところでピン留めされた直線が、360度、ぐるぐる回るイメージを抱いてください。
    k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
    という式が表しているのは、そういう、ぐるぐる回る無数の直線なのです。

    このkが定まるとき、その直線は1つに定まります。
    回転をやめ、定まった傾きとy切片をもった直線の式となります。

    では、どうやってkを求めましょう?
    問題を見直してみましょう。

    問題 2直線 2x+y-5=0、3x-2y-11=0 の交点と点(1,-2) を通る直線の方程式を求めよ。

    求める直線は、点(1,-2) を通るのです。
    ならば、求める直線は、
    k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
    という式で表されるうえに、さらに、x=1 のときy=-2 という条件を満たすということです。
    そのとき、kの値はただ1つに定まります。
    代入してみましょう。
    k(2-2-5)+(3+4-11)=0
    これをkについて解きます。
    -5k-4=0
    -5k=4
    k=-4/5

    2直線の交点を通る直線は、360度回転して無数に存在するけれど、k=-4/5であるとき、点(1,-2) を通ります。
    では、このkの値を、k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0 の式に代入すれば、求める式になるでしょう。
    代入しましょう。
    -4/5(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
    これを整理しましょう。
    両辺を5倍して、
    -4(2x+y-5)+5(3x-2y-11)=0
    展開すると、
    -8x-4y+20+15x-10y-55=0
    7x-14y-35=0
    x-2y-5=0

    これが、求める直線です。
    一番上の求め方では、y=1/2x-5/2となりました。
    形が違うだけで、同じ式です。
    確かめましょうか。
    x-2y-5=0 を、yについて解いてみましょう。
    -2y=-x+5
    y=1/2x-5/2
    やはり、同じ式ですね。


    なぜkを用いるのかが理解できたところで、細かい疑問が浮かぶ人もいるかもしれせん。
    k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
    という式は、なぜ、2x+y-5のほうにkをかけたのか?
    3x-2y-11のほうにkをかけてはいけないのか?

    どちらでも、大丈夫です。
    同じ結果が出ます。
    同じ交点を通る直線の式を表しているのですから。

    でも、不安な人もいるかもしれません。
    試してみましょう。

    k(3x-2y-11)+(2x+y-5)=0 
    これが点(1,-2)を通るから、
    k(3+4-11)+(2-2-5)=0
    -4k-5=0
    -4k=5
    k=-5/4 

    kの値が違うっ、と慌てないで。
    この段階では違う値が出ます。

    このkを、k(3x-2y-11)+(2x+y-5)=0 に代入します。
    -5/4(3x-2y-11)+(2x+y-5)=0
    -5(3x-2y-11)+4(2x+y-5)=0
    -15x+10y+55+8x+4y-20=0
    -7x+14y+35=0
    x-2y-5=0

    無事に、同じ式となりました。
    大丈夫です。
    どちらでも、好きなほうの直線をk倍してください。


      


  • Posted by セギ at 10:51Comments(0)算数・数学

    2020年08月23日

    高校英語。関係副詞の how。




    今回は、関係副詞の how の用法です。
    まずは、2文を1文にするところから考えてみましょう。

    We can get a discount in this way. Could you tell me the way?

    これを、「割引を受けられる方法を私に教えてくださいませんか」という意味の1文にしましょう。
    関係代名詞を用いると以下のようになります。

    Could you tell me the way in which we can get a discount?

    堅苦しい文語表現ですが、正しい英文です。
    この in which が、先行詞が the way 「方法」のときは、how になります。
    したがって、

    Could you tell me the way how we can get a discount?

    ・・・いいえ。
    この文は間違いなんです。
    なぜなら、関係副詞 how は、先行詞 the way とは同時に用いないという摩訶不思議なルールがあるからなんです。
    片方を省略してもよい、というのならわかります。
    今まで、関係副詞、where , when , why は、全部そうでしたね。
    関係副詞のほうを省略してもよいし、先行詞のほうを省略してもよいのでした。
    ところが、how に限っては、関係副詞と先行詞と、どちらかを必ず省略しなければなりません。

    Could you tell me the way we can get a discount?
    または、
    Could you tell me how we can get a discount?
    とするのが、正解です。

    言語には、ときどき、こういう変則があります。
    興味がある人は、大学で英語学を学んでください。
    英語は、日本語とは違って、母体となる言語が何で、それが何語の影響でどう変わって、そしてどうなったということが明らかになっている言語です。

    英語は、それでも変則が少ないほうで、だから、国際語になっています。
    変則的なことが少ないほうが学びやすいですから。

    でも、変則は変則でしょう?
    そういう例外が多いから、英語は嫌い。
    勉強しても無駄。

    ・・・英語の小さな欠点をあげて、「だから英語はダメだ。英語なんか覚えない」と思わないでください。
    このくらいの例外的なルールは、ましなほうです。

    本人はかなり非効率な生活をしているのに、英語学習に関してだけは異様に効率を求める人がいます。
    以前も書きましたが、学校の廊下で友達と、
    「単語テストの範囲が100語もあっても、テストに出るのは10問だけなんだから、覚えるのは無駄だよね」
    と話していて、通りかかった英語の先生に注意された、というエピソードを当の生徒から聞いたことがあります。
    本人は笑い話のつもりだったのでしょうが、全く笑えませんでした。
    英語学習だけ、なぜ、そのように「無駄」だと切り捨てるのでしょう。
    無駄という観点で言えば、SNSにかけている時間は、あれは無駄ではないのですか?
    どうでもいい YouTube を見ている時間は、無駄ではないですか?
    英単語100語を覚えたほうが、はるかに将来の役にたちますよ。

    でも、そういうことでもないと、私は思っているのです。
    SNSだって、意味はあるでしょう。
    無駄と思えることにも意味はあります。
    自分が何か極端なことを考えているときは、本当にそうかな?と立ち止まったほうがいいのです。
    SNSにも英語学習にも、意味はあります。

    特に今は、コロナ禍で思うような気分転換もできないし、ものすごく暑いし、また新学期が始まるしで、頭の中が何だか煮詰まったようになっていて、誤った決断をする人が多くなる時期です。
    私自身も、自分のことをなかなか客観視できないながらも、おそらく、普段の夏とはメンタルが違っているでしょう。
    今は、何か大きな決断はしないほうがいいと思います。
    何かを、特に他人を、ジャッジするようなことはしないほうがいいです。
    最善を尽くしながら、この暑さが去り、コロナ禍が去っていくのを待ち、それから冷静に考えましょう。

    英語の話に戻りましょう。
    英語の覚えにくさに腹を立てて、文句を言うのは、中学生でも同じです。
    例えば、三単現のときに動詞に s をつけるのなら、全部ただの s をつければいいのに、例外が多い。
    過去形の ed のつけ方も例外がある。
    不規則動詞なんて、もっと気にいらない。
    覚えることが多すぎる・・・。

    しかし、日本語の動詞を振り返ってみれば、動詞の種類が五段活用動詞から始まって何種類もあって、どの動詞がどの活用をするのか、覚えなければなりません。
    しかも、五段活用だけでも、未然形だ連用形だと活用語尾が何種類もあって、後ろに続く語にあわせて変えなければなりません。
    何なの、この言語?
    動詞だけで、何でそんなに複雑なの?
    全部五段活用でよくない?
    いや、そもそも、活用しなくてよくない?

    私が外国人なら、日本語は覚えられないです。
    日本語のネイティブなのに、国語の文法の学習で悪戦苦闘している中学生は多いと思います。


    中学生・高校生の中には、日本語は簡単だし、文法学習は必要ないと思っている人がいます。
    なぜなら、自分は、日本語の文法は知らないけれど、日本語を話せるから。

    ・・・しかし、本当に、日本語の文法を知らないのでしょうか?
    日本語の文法を学問的に分析したり解説したりする能力がないだけで、文法はわかっているのではないでしょうか。
    耳にした日本語が、正しい日本語か間違った日本語かを判断する能力があるのは、文法をわかっているからです。
    そこのところを誤解し、自分は文法はわからないけれど日本語は話せると思っている人は多いです。

    この誤解が、英語学習の妨げにもなっています。
    文法がわからなくても、英語がわかるようになると思ってしまうのです。

    人間は、生後数年、言語を習得する能力がきわめて高い時期があります。
    それは、単語を習得する能力の大きさよりも、文法を理解する力、その言語の体系を理解する力が突出して高いということです。
    周囲の大人の使う、文法的に間違った表現も含めて取捨選択し、それを総合して、その言語の文法を把握します。
    学問的に説明する能力などはありませんが、子どもは文法体系を把握しています。
    周囲の大人の話している用例だけで、文法を把握するのです。
    恐ろしい能力です。
    文法を把握するから、日本語を話せるようになります。

    しかし、その能力は、生後数年で急速に衰え、十代の前半でほぼ消えると言われています。

    それ以降は、用例を耳にし目にしただけでは、その言語を話せるようにはなりません。
    その言語のネイティブでないというのはそういうことです。
    全く同じ文を同じ場面で使うことはできるでしょうが、応用は効きません。
    少ない用例で体系的に理解できるようになる年齢ではないのです。
    だから、文法を学び、単語を学ぶことで、外国語を習得するのです。


    文法というのは、ルールを分析し、統合して把握していくことです。

    I am a boy.
    You are a girl.
    He is a teacher.
    This is Tom.
    My sister is a high school student.
    1つ1つの文に共通する、大きなルールが見えてきます。
    am , are , is は、同じ働きをする語なのではないか?

    また、
    Am I a good boy?
    Are you a good boy?
    Is he a good boy?
    こうしたことから、疑問文の作り方の大きなルールが見えてきます。
    Am , is , are を文の先頭にもってくれば、疑問文になるのでは?

    am , is , are は同じ働きをします。
    これらをまとめて be 動詞と呼びます。
    be 動詞の文の疑問文は、be 動詞を文頭に置きます。
    こうした共通点が、文法です。

    ところが、am , is , are は、同じ働きをする語だという説明を受けても、聞き流す人たちがいます。
    このきわめてシンプルなルールを覚えないし、理解しないようなのです。
    だから、
    (  ) your father an English teacher?
    という問題の( )を埋めることができません。

    間違って、Are を入れてしまった、というのなら、まだわかるのです。
    Do を入れた、という場合も、百歩譲って、その意図はわかります。
    問題なのは、何を入れていいのか、見当もつかない、という子。
    文法的な把握をしないから、初めてみる英文には全く対応できず、正解を知ると、またその文を覚えるしかないのです。

    共通点は何か。
    相違点は何か。

    そうした方向に思考が全く働かず、与えられた例文を覚えるだけで、文が変われば反応できない、という子がいます。

    こんな初歩の英語なら、大丈夫な人は多いでしょう。
    しかし、似たようなことは、英文法がより複雑になってくると誰でも起こり得るのです。
    文法を把握しようとしないということは、そういうことです。
    文法がわかっていれば、分析すればすぐに答が出るのに、文法を使わないで、何となく自分の知っている英語はこんなふう、という感覚で答を出そうとするのです。
    根本の理屈がわかっていれば、簡単なのに。
    文法問題なのですから、理屈がわかっているかどうかを問われているのに。
    違うアプローチをして、解くのに苦労し、誤答しています。
    本当に勿体ない。
    文法を理解し、使うだけで、簡単に解ける問題は沢山あります。

    大筋のルールを覚え、利用する。
    同時に、例外を覚える。
    文法学習で行うのは、それだけです。

    さて、関係副詞の話に戻って。
    ちょっとした例外に腹を立てずに、それを覚えましょう。
    the way と how は同時に使わない。
    片方だけ使う。
    何でもないことですよね?


      


  • Posted by セギ at 11:57Comments(0)英語

    2020年08月18日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その5。


    さて、今回は、こんな問題です。

    問題 直線y=3xに関して、直線y=x+2と対称な直線の方程式を求めよ。

    前回は、対称の軸である直線1本と、与えられた点から、その直線に関して対称な点の座標を求める問題でした。
    今回は、対称の軸である直線が1本あるのは同じですが、与えられたのは、点ではなく、もう1本の直線です。
    その直線と対称な関係の直線の式を求めるのです。

    これも、グラフを描いて、具体的に考えたほうがわかりやすいでしょう。
    対称の軸は、y=3x。
    そして、もう1本、与えられた直線 y=x+2 も描きましょう。
    前回説明した通り、大体で大丈夫です。
    その直線と対称の関係にある、もう1本の直線も、大体のイメージでよいので描いてみましょう。
    線対称ですので、対称の軸との交点は一致しているでしょう。
    上の画像の、黒い直線が、対称の軸である y=3x。
    青い直線が、与えられた直線 y=x+2。
    赤い直線が、おおよそのイメージで描いた、求めたい直線です。

    どうすれば、この赤い直線の式を求めることができるでしょうか?
    まずは、画像で板書したのとは異なる、基本的な求め方を解説します。

    直線の式は、2点の座標がわかれば求めることができます。
    だから、赤い直線上の2点の座標を求めることが目標となります。

    対称の関係があるので、黒い直線と青い直線との交点を、赤い直線も通ります。
    まずは、その座標を求めましょう。
    y=3x と y=x+2 とを連立すれば、求めることができます。
    3x=x+2
    2x=2
    x=1
    これをy=3xに代入して、
    y=3
    よって、交点の座標は(1,3)。
    赤い直線も、この交点を通ります。

    残る1点は?
    y=x+2 上の任意の点と対称な点の座標を求めたらどうでしょうか?
    y=x+2 上の点であれば、どんな点でもいいのです。
    それと対称な点が、必ず求めたい赤い直線上にあるでしょう。

    どんな点にしましょうか?
    そこで、悩んで、いつまでも答が出ない人がたまにいるのですが、本当にどうでもいいのです。
    xの値を適当に決めましょう。
    今回は、0にしてみましょうか。
    本当に、何でもいいんです。
    x=0のとき、y=0+2=2となります。
    すなわち、点(0,2) は、直線y=x+2上の点です。

    これと対称な点は?
    前回、対称な点の求め方を学習しました。
    今、求めた点をP(0 , 2)とし、求めたい対称な点をQ(p , q)とおきましょう。
    点Pと点Qを結んだ直線PQは、対称の軸y=3xと垂直に交わります。
    すなわち、傾きの積は、-1です。
    (q-2)/(p-0)・3=-1
    これを変形しておきましょう。
    3(q-2)=-p
    3q-6=-p
    p+3q=6 ・・・①

    点P(0 , 2)と点Q(p , q)の中点(p/2 , q+2 /2)は、対称の軸を通りますから、
    y=3x に代入して、
    q+2 /2=3・p/2
    q+2=3p
    -3p+q=-2・・・②

    ①と②を連立すれば、点Q(p , q)の座標を求めることができます。

    ①×3+② 
       3p+9q=18
    +)-3p+ q=-2
        10q=16
    よって、q=8/5
    これを①に代入して、
    p+24/5=30/5
    p=6/5

    よって、Q(6/5,8/5)とわかりました。
    求めたい赤い直線は、点(1,3)、(6/5,8/5)を通ります。
    2点を通る直線を求める公式に代入して、一気に求めることができますが、今、傾きの分母も分子も分数になるので、先に傾きを計算しておきましょうか。
    xの増加量は、6/5-1=1/5
    yの増加量は、8/5-3=-7/5
    よって、傾きは、-7/5÷1/5=-7
    点(1,3)を通り、傾き-7の直線は、
    y-3=-7(x-1)
    y=-7x+7+3
    y=-7x+10

    これが求める直線です。

    学習の順序として、まずこの求め方を理解するのが順当ですが、この単元で少し後に学習する「軌跡」の考え方をこの段階で少し利用するなら、以下のような求め方もあります。
    おそらく、軌跡を学習した後では、むしろその求め方のほうがピンとくると思います。


    もう一度、問題に戻りましょう。

    問題 直線y=3xに関して、直線y=x+2と対称な直線の方程式を求めよ。

    ここで、y=x+2上の点をP(a , b)、それと対称な求める直線上の点をQ(x , y)とします。
    PとQは逆のほうが良かったなあと画像の板書を撮影した後で気づきましたが、まあ、そんなのは大したことではありません。

    この点Q(x , y)の x と y の関係を表す式を求めることができれば、それが求める直線の式となるのです。

    ・・・はあ?

    まだ軌跡を学習していない生徒にこの説明をすると、たいていポカンとした顔をします。
    よく意味がわからない・・・。
    そういう顔です。
    軌跡を学習した後でも、この説明の意味がわからず、だから軌跡に関する問題を解けない子もいます。

    点Q(x , y)は、求めたい直線上の点です。
    直線上(曲線でもそうですが)の点のx座標とy座標には固有の関係があり、その関係を表したものが、その直線の式です。
    1つの直線上のどの点も、x座標とy座標との関係は同じです。
    同じ関係を持っている点の集合が直線ということです。
    その、x座標とy座標との関係を表した式が、その直線の式です。

    この説明が最初にされたのは、中2の「1次関数」の中での、「連立方程式とグラフ」の学習のときです。
    理解できないままで終わる人、理解したような気はするが、どうせ大した内容ではないと忘れ去った人が多いところです。
    しかし、これが理解できないと、関数の応用問題はほとんど解けないのです。
    一番大切なことを、理解していない・・・。
    そのため、関数が作業手順の丸暗記のまま終わってしまうのは、とても残念なことです。

    直線上の点のx座標とy座標には、全てその直線の式の関係があります。
    例えば、y=2x+1 という式なら、その直線上の全ての点のx座標とy座標には、y=2x+1の関係があります。
    逆に、その直線上のある点のx座標とy座標との関係を求めることができれば、それがその直線の式なのです。

    だから、目標は、点Q(x , y)の、x と y の関係を求めることです。

    どうやって?
    x と y に関する式を立てればよいでしよう。

    ・・・いや、だから、それが答で、それがわからないんでしょう?
    そんなツッコミが聞こえてきそうです。

    確かに。
    いきなり x と y との関係を表す式は立てられません。
    でも、点P(a , b)があります。
    a と b と x と y に関する式なら、何か立てられそうな気がしませんか?
    わからない文字が4つある場合、式が3本あれば、x と y だけが残る式を作ることができます。

    まず、一番簡単で、しかし、案外気がつかない人もいるのが、a と b に関する式です。
    点P(a , b) は、与えられた直線 y=x+2 上の点です。
    だから、y=x+2 の関係を満たします。
    すなわち、
    b=a+2 ・・・①
    これで1本。
    あと2本です。

    直線PQは、対称の軸 y=3x と垂直に交わります。
    すなわち、傾きの積は-1です。
    直線PQの傾きは、どう表せるでしょうか。
    座標は、P(a , b)、Q(x , y)ですから、変化の割合の公式に当てはめると、
    y-b / x-a です。
    傾きの積が-1であることを表す式は、
    y-b / x-a ・ 3=-1
    これを変形し、整理しましょう。
    3(y-b)=-(x-a)
    3y-3b=-x+a
    -a-3b=-x-3y
    a+3b=x+3y ・・・②
    これで2本目。
    あと1本です。

    線分PQの中点は、対称の軸y=3x上の点です。
    PQの中点の座標は、(x+a / 2 , y+b / 2)。
    これがy=3xを通るから、
    y+b / 2=3(x+a / 2)
    これを整理します。
    y+b=3(x+a)
    y+b=3x+3a
    -3a+b=3x-y ・・・③

    これで、式が3本たちました。
    この3本の式を上手く組み合わせて、x と y だけの式にすれば、それが答です。

    どうすれば良いか?
    ここでの発想も、慣れるまでは「えっ?」と思う人もいるようです。
    b=a+2 ・・・① の式は、x も y も含んでいないので、一番使い道がないダメな式のようですが、一番の骨格をなす式なのです。
    この式の a と b を、x と y だけで表すことができれば、a と b は消え、x と y だけの式になるのです。
    a を、x と y だけで表す。
    b を、x と y だけで表す。
    そして、①の式に代入する。
    そうした指針で考えていきましょう。

    ①の使い道は最後。
    ならば、②と③だけで、それをやればよいのです。
    a を、x と y だけで表す。
    つまり、b を消去すればよいのです。

    a+3b=x+3y ・・・②
    -3a+b=3x-y ・・・③

    この2本の式で、b を消去します。
    これも中2で学習した、連立方程式が基本です。
    加減法で、消去できますね。
    ②-③×3
        a+3b= x+3y
    -) -9a+3b=9x-3y
      10a  =-8x+6y
         a=-4/5x+3/5y ・・・④

    次に、a を消去した式を作りましょう。
    ②×3+③
       3a+9b=3x+9y
    +) -3a+ b=3x-y
         10b=6x+8y
          b=3/5x+4/5y ・・・⑤

    できました。
    この2本の式を①に代入すれば、a と b を消去した、x と y だけの式ができます。
    ④、⑤を①に代入して、
    3/5x+4/5y=-4/5x+3/5y+2
    3x+4y=-4x+3y+10
    y=-7x+10

    できました。

    ところで、前回までの直線の式に関する問題に関して、ベクトルを用いた解き方をコメントで書いてくださった方がいらっしゃいました。
    数B「ベクトル」を学習すると、直線と方程式や図形と方程式に関する問題も、一般の図形問題も、ものすごく簡単に解くことができるようになります。
    この数Ⅱ「図形と方程式」を学習している段階では、高校2年生は数B「ベクトル」を学習していない場合が多いので、その解説はしないのですが。

    ただ、「ベクトル」を学習しても、こうした座標平面上の問題で楽に使いこなせるようになる人はそんなに多くないかもしれません。
    問題集の解説を読んでも、何にもわからない。
    意味がわからない。
    何を根拠にどう解いているのか、一切わからない。
    そうなってしまうことがあります。

    ベクトルの最初のほうは、中学理科でやった力の向きと大きさみたいなものかな、何だ簡単だと思ったのに、気がついたら、とんでもないことになっている。
    気がついたら、飛躍している。
    ベクトル方程式なんて、定義から理解不能。
    説明を聞いているだけで、死相が表れる。
    そんな高校生もいます。
    使えると、凄いんです。
    上のような、面倒くさい計算過程の必要な問題が、簡素な手順で解けるんです。

    でも、今はまだ、ベクトルは使わずに、地道に解いていきましょう。
     
      


  • Posted by セギ at 11:16Comments(0)算数・数学

    2020年08月16日

    高校英語。関係副詞の why。


    今回は、関係副詞の why です。

    まずは2文を1文にするところから考えてみましょう。

    I don't know the reason. He was late for school for the reason.

    これを、「私は彼が学校に遅れた理由を知らない」という文にしましょう。
    関係代名詞を用いるなら、

    I don't know the reason for which he was late for school.

    となります。
    この for which を関係副詞にすることができます。
    先行詞が the reason「理由」の場合に用いる関係副詞が why です。

    I don't know the reason why he was late for school.

    関係副詞 where のときの先行詞 the place 、関係副詞 when のときの先行詞 the time のときもそうでしたが、the reason という先行詞も省略可能です。
    また、先行詞を残す代わりに関係副詞のほうを省略することも可能です。

    I don't know why he was late for school.

    先行詞を省略すると、上のようになりますが、この文は、間接疑問文と解釈することも可能です。

    Why was he late for school ?
    I don't know that.

    この2文を1文にしたのが、

    I don't know why he was late for school.

    know という動詞の目的語が疑問文になっている、間接疑問文です。
    見た目が同じになります。
    見た目だけでなく、意味も同じなので、どちらの解釈でも大丈夫です。


    さて問題です。
    以下の文がほぼ同じ意味になるように、次の空所を埋めよ。
    I don't like him. That is because he is always saying bad things about other people.
    He is always saying bad things about other people. That (  ) (  ) I don't like him.

    正解は、
    I don't like him. That is because he is always saying bad things about other people.
    He is always saying bad things about other people. That (is) (why) I don't like him.


    That is why I don't like him.
    この直訳は、「それが、私が彼を好きではない理由です」となります。
    しかし、そんな固い訳はせず、「そういうわけで、私は彼は好きではありません」と訳すのが普通です。

    That is why~.は、「そういうわけで~」。
    This is why~.は、「こういうわけで~」。
    このルールを知っておくと、楽ですね。

    そんなに難しくないようでいて、
    I don't like him. That is because he is always saying bad things about other people.
    He is always saying bad things about other people. That (is) (because) I don't like him.
    という誤答をした人もいるかもしれません。

    上の2文は、1文目が結果で、2文目が原因。
    下の2文は、1文目が原因で、2文目が結果。
    そうした関係が読み取れれば問題ないのです。
    しかし、文と文との関係、語句と語句との関係を読み取る練習を小学生の頃から放棄して現在に至る、という人もいます。
    そういう人にとっては苦しいと思います。
    何でそんなことを放棄したのだろう?
    そこが大切なところじゃないの?

    そう思うのですが、そのことの大切さに気づかなかったのでしょう。
    早く気づいて、気づいたら、そこから練習しましょう。
    数学の計算問題だけはやたらとできるけれど国語の成績が悪いというような人には、その可能性があります。
    国語の成績が悪くても英語の成績をよくしたいというのは、かなり無理があります。
    今の英語教育は、長文読解ができないと、テストで高得点を取れないんです。
    英単語の意味がわかっても、英文と英文との関係が読み取れなかったら、読解はできないです。

    国語でも、精読できず、単語を適当にピックアップして、自分の妄想で内容を作り上げてしまう人がいます。
    書いていないことを想像で補ってしまう人です。
    英語になると、わからない単語が多いこともあって、そこを想像で補うため、本文とは似ても似つかない内容を勝手に読解する人はさらに多くなります。
    筆者の主張と真逆の内容を読み取っているのはまだましなほうで、何の関係もないことを読み取っていることもあります。
    そこを補うために、文と文とのつながりを理解する力が必要になります。
    どの文が原因で、どの文が結果か。
    どの文が筆者の主張で、どの文がその根拠か。
    それを把握するためにも、必要なのが文法です。



      


  • Posted by セギ at 14:15Comments(0)英語

    2020年08月13日

    高校数Ⅰ対称式の計算。



    今回は対称式の話。
    対称式とは、文字式で、文字の値を入れ替えても式全体の値が変わらないものをいいます。
    例えば、x2+y2などがそうです。

    対称式の問題は、多くの単元に登場します。
    平方根と対称式。
    三角比と対称式。
    虚数と対称式。
    新しい事柄を学習する度に、それとからめて対称式の値に関する問題を演習します。
    しかし、対称式の問題を苦手とする高校生は多いです。

    対称式の計算は、発展的なテキストでは中学3年から登場します。
    例えば、こんな問題です。

    問題 x+y=3、xy=2であるとき、x2+y2の値を求めよ。

    x2+y2
    =(x+y)2-2xy
    =32-2・2
    =9-4
    =5

    上の式の1行目から2行目への転換がわからないという子は案外多いのです。
    無いものを足して、その後同じものを引いて辻褄を合わせる、その考え方が難しいのだろうと私は思っていました。

    実際、この考え方を利用する2次関数の平方完成でも最初は苦労する子がいます。
    例えば、2次関数 y=x2+4x+7 を、
    y=(x2+4x)+7
    =(x+2)2-4+7
    =(x+2)2+3 
    と平方完成する際にも、最初は何をやっているのか理解できず、かなり補助が必要な子はいます。

    しかし、習得まで時間がかかることはありますが、2次関数の平方完成に関しては最後まで理解できないということは少なく、大抵の高校1年生ができるようになる作業です。
    平方完成に関する練習問題は豊富にあるので、自力でできるようになるまで練習できるから、ということもありますが、それだけでなく、対称式の値に関する問題ほどの激しい抵抗感を示さずに理解するのです。

    この2つは、わかりやすさという点で、何が違うのでしょう?
    不思議です。
    つまずきやすい理由がわかっていれば、事前にそこを強調し、
    「そこに石がある。そこにつまずくから注意して」
    と促していけるのです。
    しかし、教える者からは平らな道に見えるところでつまずく子がいるように感じることがあります。
    平らな道なのにそこでつまずく子が多いことだけは現象としてわかっているのです。
    なぜなのかはわかりません。
    目を凝らしても、つまずく石は見えない。
    教えることの難しさの1つです。

    これは以前、中学3年生に理科を教えたときのこと。
    「塩化銅水溶液が青く見えるのは、あるイオンが原因です。そのイオン名を答えなさい」
    という問題を解いたときのことです。
    正解は銅イオンです。
    その子の誤答は「水素イオン」でした。
    しかし、その子は納得しませんでした。
    「水素イオンじゃないんですか?水素イオンは必ずあるって学校で言われた」
    「・・・・水素イオンは水溶液中にあるけど、青く見える原因ではないですよ」
    「酸性は青いって学校で言われた」
    「うん?どういうこと?」
    「・・・・銅イオンが青いのは、覚えなければならないことですか?」
    「まあ、そうですね」
    「何だよ、いちいち覚えるのかよ。学校では、理科は暗記するなと言われた」
    「・・・・うん?」
    その子の言うことは一言一言の飛躍が激しく、あっという間に怒り出していました。

    彼の中で、いくつかの知識が頭の中で癒着し、妙なつながり方をしているようでした。
    水溶液の中には水素イオンがある。
    水素イオンがあるものは酸性。
    酸性は青い。
    最後の「酸性は青い」が特に謎なのですが、とにかくこの論法でいくと、塩化銅水溶液を青く見せているものの正体は水素イオンということになってしまうのでした。
    この誤解を解くのはかなり大変でした。

    「わからない」というのは、論理を追えないことではないのかもしれません。
    少し複雑な論理だから途中で迷子になっているのだろうとこちらは思い、ゆっくり説明したり繰り返したりしても、生徒の理解が進まないときがあります。
    「どこからわからない?」と質問します。
    板書の1行ずつを示しながら、あるいは、論理を細かく段階に区切りながら、「ここまではわかる?」と確認しようとします。
    どこからわからないのか、どこから説明すればいいのか。
    しかし、こうした指示に反応してくれず、生徒が何か別のことをずっと言い続けることがあります。
    論理の癒着がその子の中で起きている場合に、そうなることが多いようです。
    他人にはその論理は追えません。
    でも、その子は論理的なことのつもりで話しているので、私が怪訝な顔をすればするほど、むしろ私を説得しようとします。


    対称式の問題でも、ある日、そんなことが起こりました。

    問題 x+y=3、xy=2のとき、x2+y2の値を求めよ。

    x2+y2
    =(x+y)2-2xy
    =32-2・2
    =9-4
    =5

    「それ、最初に入れたらダメ?」
    この問題を解説していたとき、そう質問されたのです。
    最初に入れる・・・・?
    「最初に入れるって、どういうこと?」
    「最初に2乗したらだめ?」
    「うん?どういうこと?式を言ってみて」
    具体的な式を言ってくれれば、最初に入れる、最初に2乗するとは何をすることなのか、わかるかもしれません。
    しかし、それには答えてくれず、何かをずっと説明しているのですが、よく意味がわからないのです。

    授業はここで膠着するか?
    でも、この件に関して、以前に、私は大人のための教室で、重要なヒントを得ていました。

    x2+y2
    =(x+y)2
    =32
    =9

    私はそう板書して、その子に問いかけました。
    「こういうこと?」
    その子の顔がパッと輝きました。
    「そう!そういうこと」
    「・・・うーん。これは間違っています。どこが間違っているか、わかりますか?」
    「えっ?」

    その子は、何を誤解していたのか?
    x2+y2=(x+y)2
    だと思っていたのです。
    x2+y2
    =(x+y)2
    =32
    =9
    と、最初に数字を入れて2乗すれば済むことなのに、なんでまわりくどい計算をしなければならないのかと、それを訴えていたのでした。

    x2+2xy+y2=(x+y)2 です。
    因数分解の公式ですから、当然わかっている内容です。
    それでも、万が一忘れているといけないので、それは赤字で板書もしていました。
    しかし、当人は、x2+y2=(x+y)2 
    だと思いこんでいたのです。
    人は、思いこみが強いとき、それを否定する情報が目の前にあっても無視するそうです。
    確証バイアスと呼ばれる状態です。
    x2+y2=(x+y)2 
    とすれば済むことを、なぜまわりくどい変な解き方をしなければならないのかと不思議に思い、正しい解き方が理解できなかったのでした。

    x2+2xy+y2=(x+y)2
    という因数分解の公式は知っているのです。
    しかし、同時に、
    x2+y2=(x+y)2
    だとも思っている。
    知識が二重構造になっていて、上の2つのことが頭の中に同時に存在しています。
    それはそれ、これはこれ、として存在しているのです。
    乗法公式を学習する前、例えば文字式を学習し始めたばかりの中学1年生に解かせたら、
    (x+y)2=x2+y2
    としてしまうと思います。
    そうしてしまう感覚が、乗法公式を学習した後も残ってしまうのだと思います。

    (x+y)2=x2+y2 ではありません。
    数字を代入してみるとわかります。
    (3+2)2=52=25 です。
    32+22=9+4=13 
    とは異なります。
    しかし、そう説明しても、
    それは、最初に(  )の中の3と2を足してしまうからそうなるので、別々に計算すれば、違う結果になるのでは?
    そのような主張を聞いたこともあります。

    ルールに従っている限り、どこからやっても同じ結果になる。
    それが数理の根本です。

    いや、そうではないことがあった気がする。
    自分はそうではなかった場合を経験している。
    変だなあと思ったけれど、まあ仕方ないと諦めた気がする。
    数学に対して、こうした根本の不安定さや不信感がある子は、案外多いのだと思います。
    原因は本人の計算ミスだろうと想像できるのですが、本人の実感としては、ちゃんと計算したのにそうなったのだ、という記憶が濃いようです。

    このことは、大人のための数学教室で私が教わったことでした。
    大人のための数学教室では、2次式ではなく、
    x3+y3=(x+y)3
    という思い込みがもとで、3次式の解と係数の関係に関する問題が理解できない場面があり、長いやりとりの末、この誤解が発見されました。
    そうではないことも知っている。
    しかし、そうだとも思っている。
    あるいは、そのときだけふっとそう思ってしまう。
    そのときだけは、そう思い込んでしまっていた。
    そういうことが数学への理解を妨げ、不信感を募らせるようです。

    しかし、2次関数の平方完成では、そのような誤解が顔を出しません。
    x2+6x+7
    =(x+3)2-9+7
    =(x+3)2-2
    という作業は誰でも比較的すんなりと理解できるのです。
    xと数字なら大丈夫だが、xとyだと誤解が顔を出す。
    同じことなのですが、違うように見えるようです。

    xと数字なら、xが主体で、数字は添え物的な見方になるが、xとyだと、対等の印象があり、見え方がまた違ってくるのでしょうか。
    そうした見え方の偏りも、数学のわかりにくさの正体なのかもしれません。

    x2+y2
    =(x+y)2-2xy

    この解き方の理解を妨げるものの正体。

    それは、この解き方の難しさにあるのではなく、本人が何か間違った思い込みをしているため、正しい理解が妨げられている。
    つまり、間違った思い込みが解消されれば、この問題は解けるようになるのです。

    難しいから、わからないのかなあ・・・・。
    教える側が勝手にそう思い込んで諦めてしまうことの多くの中に、こうした単純な障壁さえ取り除けば簡単に理解できることがあるのかもしれません。



      


  • Posted by セギ at 08:41Comments(0)算数・数学

    2020年08月09日

    中学数学1年。文字式のルールを理解していますか。


    中1の生徒と「文字式」の予習をしていて、不思議な誤答に出会うようになりました。

    例えば、a+3a=3a2 としてしまうのです。

    「・・・えーと、何でそこをかけ算したの?」
    「・・・」

    「文字式」は、中1で、「正負の数」の次に学習する単元です。
    学習の冒頭で、3×a=3a と表すといった、乗法の記号の省略を学びます。
    そのせいで、全てかけ算に見えてしまうようになったのかもしれません。
    a+3a が、a×(+3a)と見えているのだと思います。

    「正負の数」を学習する際、加法の+の記号の省略を学びます。
    (+3)+(+7)=+10 といちいち書かず、
    3+7=10 と書く。
    (+3)+(-7) は、
    3-7 と、書きます。

    そして、次の「文字式」という単元で、今度は×の記号の省略を学びます。
    しかし、省略せよといいながら、教科書でも参考書でも、説明のために再び丁寧に書いてあることも多いです。
    それで、混乱する子もいるのかもしれません。
    結局、そのときどきの都合で、省略されたりされなかったりしているから、わからなくなっていくのでしょうか。

    問題 a×(-7) を×の記号を使わないで表しなさい。
    こういう問題を、a-7 と誤答してしまうのを見ることもあります。
    本人の中では、a-7=a×(-7) なのでしょう。
    このミスと、a+3a=3a2 とは同じ根をもつものだと感じます。


    式の中の、1つ1つの項を把握できていないのでしょうか?
    ただ、以下のような問題は正答できるのです。

    問題 以下の式の項を答えなさい。
    -3+7-8

    項は、-3、+7、-8
    完璧に正答できます。
    文字式の場合も同様です。

    3a2-2a-1の項を答えなさい。

    3a2、-2a、-1。

    問題なく正解できるのです。
    そして、そのことと、a+3a=3a2 が、普通に同居しているのです。

    1つ1つの項が見えるようになれば、「正負の数」も「文字式」も、問題なく計算できるようになっていく。
    そう思ってきました。
    しかし、各項が把握できるようになり、a+3aは、aという項と、+3aという項なのだと見えているから、むしろ、それをかけ算してしまう・・・。
    昔は見られなかったミスです。
    今年になって、初めて、このようなミスを見るようになりました。
    しかも、複数の生徒が同時多発的に同じミスをしています。
    a+3a のように見るからに「たし算」であるものを「かけ算」することなど、昔は誰も発想しませんでした。
    新しい数学の学習は、誤解されやすい何か危険なものをはらんでいるのでしょうか。


    今年は、学習が後れている分、じっくりと数学を学べているのではないか?
    そのように思っていたのですが、むしろ、
    (+3)+(+7)=+10
    といった、書かなくてもいい符号をわざわざ書いている式を長期間見ることになった中1が多いです。
    そのことも影響しているのかもしれません。
    気がつくと、2月頃から予習を初めて、もう半年も「正負の数」をやっている・・・。
    (+3)×(+7)=+21
    なんていう式を、気がつくと半年も見ています・・・。
    それをさらにくどくどと記述させる問題がテストに出るので、省略できる符号は必ず省略した式を書いていくことを徹底できません。
    省略できる符号は、必ず省略して書く。
    絶対に省略できない符号は、必ず書く。
    「正負の数」の学習が終わった段階で、そうなっているのが目標ですが、いつまでもいつまでも「正負の数」の学習の途中です。
    同時に「文字式」の予習も行っています。
    そのせいで、a+3a の+の符号は、絶対に省略できないから書いてあるのだということが、理解できなくなっているということもあるのかもしれません。

    a+3aは、a+(+3a) と、a×(+3a) と、両方の可能性があると思っている・・・。

    結局、一度でスッキリする説明はなかなかうまくできず、多くの問題を解きながら、それは違う、それは正解、と実践を踏んで、その子の頭の中に正しい概念が作られていくのを待つしかないようです。

    ただ、光も見えています。

    数と文字とをかけるときは、数から先に書く。
    例 a×(-7)=-7a

    こうした細則は、わかりにくいようで、実はすべての例外を排除していくために設けられたルールです。

    「数と文字とをかけるときは、数から先に書くのが文字式のルールでしたよね。 a×(-7) は、-7a と書きます。 a-7という書き方はしません。a-7のときは、(+a)+(-7)という意味です。そして、a+3aは、(+a)+(+3a)という意味です」
    と説明すると、一瞬霧が晴れたような顔になることがあります。

    細則にてらして説明すると、理解してくれるようなのです。
    それは一瞬のことで、また混乱が始まったりもするのですが。

      


  • Posted by セギ at 15:53Comments(0)算数・数学

    2020年08月05日

    高校英語。関係副詞の when。



    今回は、関係副詞の when。
    まずは、こんな問題を考えてみましょう。

    問題 次の2文を、関係副詞を用いて1文で表せ。
    The time will soon come. The cruel war will end at that time.

    the time がこの2文で共通の語句。
    これが先行詞になると判断できます。
    「その残酷な戦争が終わるときが間もなくくるだろう」
    という文を作りましょう。

    先行詞がきたら、すぐ関係詞。
    関係代名詞を使う文ならば、
    The time at which the cruel war will end will soon come.
    この at which のところが、関係副詞になります。
    2個目の文は、
    the cruel war will end then.
    と書き換えることもできますね。
    この then が副詞です。

    よって、
    The time when the cruel war will end will soon come.

    できたっ。

    うーん・・・。
    絶対に間違っているとは言い切れないのですが、この語順の英文はあまり見かけないのです。
    「~なときがくる」が主節の文のときは、以下の語順が普通です。

    The time will soon come when the cruel war will end.

    先行詞と関係詞が離れている・・・。
    こんなの原則と違う。
    そのように思う気持ちもわかるのですが、上の文と比べると、この文のほうが意味をとりやすいです。
    だからでしょう。
    この語順が普通に用いられています。

    2文を1文にする問題でこのような文が使われることは、しかし、そんなにないので、心配はいりません。
    以下のような問題で使用されることが多いです。


    問題 次の空所に適切な語を補え。
    The time will soon come (  ) the cruel war will end.

    こういう問題のときに、
    「直前の語がcomeだ。え?え?何を補うの?」
    と慌てなければ大丈夫です。


    では、このような問題はどうでしょうか?

    問題 次の文を正しい語順に並び変えよ。
    その本を読んだら、もとの場所へ返しておきなさい。
    Put the book back ( was / when / where / to / you / are / it ) through with it.

    where も when もある。
    どっちを使うんだろう?
    え。両方使うの?
    なんで?

    そんなとき、よくある誤答。
    Put the book back to it where you are through with it.

    このような誤答をした生徒と、こんな会話を交わしたことがあります。
    「使っていない語がありますね」
    「使い道が分かりませんでした」
    「it は代名詞なので、where の先行詞にはなりませんよ」
    「・・・え?言っている意味がわかりません」
    「うーん・・・」

    その本を読んだら、もとの場所へ返しておきなさい。

    与えられた語句にこだわらず、この日本語を英語にするとしたら、どうなるでしょう。
    Put the book back to the place where ・・・・。
    とりあえず、そういう語句が浮かぶと思います。
    しかし、the place という単語はこの問題の中にありません。
    だから、it を入れてみた。
    そういうことだったと思います。
    しかし、it のような代名詞は、関係詞の先行詞にはなりません。
    先行詞は、名詞がなるものです。

    「え?the place って、代名詞じゃないんですか?」
    と問われたことがあります。
    「え?」
    「the place って、場所でしょう?図書館とか、店とか、具体的なことを言わずに、ただ場所というのは、代名詞じゃないんですか?」
    「違います・・・。place は、普通の名詞です」

    そうか。
    代名詞という言葉の定義がブレていたのか、と目が開かれる思いがしました。
    代名詞は、そういうものではありません。
    代名詞は、大きく分けて3種類。
    人称代名詞・指示代名詞・不定代名詞。
    それ以外は、代名詞ではありません。

    人称代名詞は、英語学習の最初の頃に暗記した、I my me mine というあれです。
    4番目の mine の形のものは、特に所有代名詞と呼ばれます。
    さらに、myself の形のものは、再帰代名詞と呼ばれます。
    そこまで含んで人称代名詞という総称です。
    it も人称代名詞です。

    人ではないのに人称?
    はい。
    人称は、人といういう意味ではないのです。
    一人称・二人称・三人称。
    一人称は、語り手・書き手のこと。「私」「私たち」。
    二人称は、聞き手・読み手のこと。「あなた」「あなたがた」。
    三人称は、それ以外の第三者。人でも物でも構わないのです。
    だから、it は、三人称単数の人称代名詞です。

    指示代名詞は、this , that , these , those など。
    不定代名詞は、one , other , another など。

    代名詞という用語は、いつの間にか使われ始めて、でも、いつまでも曖昧で。
    そういうこともあって、苦手としている人が多いです。
    高校で配布された英文法の参考書の「代名詞」の章を一度熟読すれば、霧が晴れると思います。
    曖昧でよくわからないと思っていたことが全部書いてあるので、びっくりした。
    高校3年になって受験勉強をするようになり、初めて文法の参考書を読んで驚愕した、という生徒の言葉を複数名から聞いています。
    あれは、実はとても役に立つ本なんです。
    高校で配布されていなかったら、書店で購入しましょう。
    読みやすさ重視の本を買ってしまう誘惑にかられると思いますが、お勧めできません。
    こういう場合に購入する文法参考書は、目次は「名詞」「代名詞」などの固いものが列挙されていること。
    巻末に索引がついていること。
    これらが必須です。
    それとは別に、読みやすそうな、中学英語が1時間でわかる本、みたいなものもあわせて買うのは、それは自由です。


    place は、「場所」という意味の名詞です。

    とはいえ、「場所」という言葉は、ちょっと漠然としているのは事実。
    具体性に欠けます。
    こんな言葉は、省略しても通じます。

    そういうわけで、where の前のthe place や、when の前の the time など、漠然とした意味合いの先行詞は省略できます。
    さらに言えば、先行詞のほうをしっかり書く代わりに、where や when を省略することも許されています。

    問題に戻りましょう。

    問題 次の文を正しい語順に並び変えよ。
    その本を読んだら、もとの場所へ返しておきなさい。
    Put the book back ( was / when / where / to / you / are / it ) through with it.

    Put the book back to the place where ・・・・
    これの、the place を省略して、
    Put the book back to where ・・・・
    ここまで、わかってきました。

    「え?関係副詞は、前置詞を含みこんでいるんじゃないんですか?なら to は要らないんでしょう?」
    「いや・・・、これはもともとあった the place のための to なので、普通に残します」
    Put the book back to the place at which ・・・・
    の、at which が、 where になったんです。

    さて、ここまで作れました。
    使った語句には斜線を入れて、消しましょう。
    でも、残りの語句をどう並べるのか、何だかよくわからない。
    そういうことも多いと思います。
    そんなときに、イライラしがちな人は、「もういいや」と残りは適当に並べてしまうことがありますが、ここまで来たのですから、もう少し粘って考えましょう。
    行き詰まったら、今度は後ろから考えてみるのが良いと思います。

    日本語を見ると、「その本を読み終わったら」と書いてあります。
    ( ) の後ろの語句は、through with it
    何だかよくわからないが、「終わる」とかそういう意味の熟語なんじゃないか?
    そういう判断で、大丈夫です。
    でも、through は、動詞じゃない。
    前置詞とか副詞とか、そういうものだろうと想像がつきます。
    動詞らしいものを( ) の残りの単語から探しましょう。
    was と are があります。
    いずれにせよ、be 動詞です。
    ここの部分の主語は?
    読み終わるのは、誰?
    それでわかりました。
    「その本を読み終わったら」の部分の英語は、
    when you are through with it です。
    このwhen は、接続詞の when だったんですね。


    あとは、何が残っているでしょうか?
    was と it 。
    わかった。
    正解は、
    Put the book back to where it was when you are through with it.
    です。

    繰り返しますが、語数の多い乱文整序問題になると、途中で面倒くさくなって、感覚で適当に並べて済ますのは、得策ではありません。
    これはパズルです。
    理屈で考えれば、必ず正解にたどりつきます。
    そのときに使う理屈が、文法です。


      


  • Posted by セギ at 14:41Comments(0)英語

    2020年08月04日

    1学期期末テストの結果が出ました。2020年。


    1学期期末テストの結果が出ました。
    前年の学年末テストのなかった学校も多く、1学期中間テストもなかったので、本当に久しぶりの定期テストでした。

    数学 70点台 3人  60点台 3人  50点台 1人
    英語 80点台 3人  70点台 1人  60点台 1人 40点台 1人

    塾内での数学最高点は、学年平均点が40点台のテストでの70点台でした。
    価値ある得点と感じます。
    今年も、まずはここからです。

    得点にもう一歩の伸び悩みのある子の多くは、応用問題は正答できるのに、基本問題で取りこぼすという共通の特徴があります。
    これは得点できるだろうという単なる計算問題で失点してしまいます。
    つまらない失点が多いのに、テスト後半の応用問題や記述問題で正答しています。
    そんな結果を見ても、まだ、解けなかったほうの応用問題が気になってしまう様子です。
    失点した基本問題のほうを気にしてほしい・・・。
    そんなところを間違ったりしなければ、数学で80点台も90点台も実現可能です。

    基本問題で失点する子の中には、もう何がどうなろうとケアレスミスはするので、そこをあまりつついても悪化するばかりだから何も言わないほうがいい子もいます。
    「2」と書くつもりで「3」と書いてしまい、自分では気がつかなかったりしますから、これはもう仕方ないのです。
    頭の中で「ときそば」が起こるのでしょう。
    頭はいい場合が多いです。
    英語は突出して出来たりします。
    でも、数学は、書き間違いや計算ミスがとにかく多いのです。

    数学の問題を解いているときの精神状態がかなり悪い場合も考えられます。
    小学校の高学年の頃から、ケアレスミスが増えていきます。
    何でそんなミスをするのか、本人にもわからないミスが多いです。
    原因も特になく、傾向もはっきりしない。
    あ、わかった、と思った瞬間に、例えば、3:2を、2:3と逆に書いてしまう。
    45だ、と思った瞬間に、47と書いてしまう。
    かけ算だとわかっていたのに、なぜかたし算してしまう。
    客観的に眺めていると、意味がわからない・・・。
    とにかく常にふわふわした精神状態の子と、緊張と動揺が表情に出ている子と、両方の場合がありますが、ミスが多いのは同じです。

    どうすれば、ケアレスミスがなくなるんでしょうか?

    うーん・・・。
    ・・・なくならないかもしれません。
    減らすことはある程度できると思いますが、完全になくなることはないのではないかと思います。
    「ふわふわ」系の子は、意識の5割程度しか目の前の問題に割いていないように見えます。
    常に何か他のことを同時に考えているように見えるのです。
    いつも気が散っています。
    そんな状態で数学の問題を解いています。
    なぜなのかは、おそらく本人もわからないのではないかと思います。
    目の前の1つのことに集中することが、できないようなのです。

    「緊張・動揺」系の子は、数学の問題を解いているときの表情に、悪い精神状態が表れています。
    数学の問題を解きながら、明らかに動揺しています。
    疲れがたまっていて、ダメだ今日は計算が合わないという日が私にもありますが、あのモヤッとした頭の状態なのではないかと思うのです。
    だとしたら、なす術がありません。
    精度を維持できないのです。

    そうなることを踏まえて、そういうことと折り合いをつけながら、できうる限りの得点を目指していく。
    精神状態を自分でコントロールできるようになると、少し変わってくると思います。


    それとは別に、基本問題を軽視しているため、テストで失敗する子もいます。
    テスト前は、応用問題ばかり練習しているようです。
    単なる計算問題は、テスト前1週間は全く解いていなかったりします。
    そして、テスト当日、解こうとすると、何だか手が上手く動かない。
    やり方がわからないわけではないけれど、何だかたどたどしい。
    そして、計算ミスをします。
    そんな場合もあります。

    これは、解決可能です。
    今回は、そんな子が多かったです。
    テスト勉強のバランスが悪いのです。
    応用問題が解けるようになると、もう数学は大丈夫と思い、他の科目の勉強に時間をかけたのではないでしょうか。
    数学はまあ普段やっているから大丈夫と思って、テスト前日はろくに勉強しなかったのでは?
    テスト前にやっておかなかったら、計算は手も頭も上手く動きません。
    このたどたどしさは、単なる練習不足のたどたどしさでは?
    そんな印象の答案もありました。


    何はともあれ、まずはここから。
    ここから伸びていこう。
    そう思います。

      


  • Posted by セギ at 01:10Comments(0)講師日記

    2020年07月30日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その4。




    問題 直線 y=2x+1に関して、点A(3,2)と対称な点Bの座標を求めよ。

    さて、応用問題に入ってきました。

    解き方がすぐにピンときたなら必要ありませんが、わからないときは、グラフを描いて考えるのが得策です。
    グラフを描くのが苦手で、時間がかかり、かつ間違ったグラフを描いてしまいがちな人もいると思います。
    しかし、そこでひるんでグラフを描くのをやめてしまうと、この先の問題を自力で解くのはかなり難しくなります。
    グラフは描き慣れれば速く描けるようになりますし、正しく描けるようにもなります。
    練習あるのみです。

    高校生がグラフを描くのを見たとき、これまでで一番驚いたのは、普通の横罫線のノートに、定規で x 軸と y 軸を引いてから、そこに5ミリおきに目盛りを書き込み、それから、これまた定規を使って直線を引いた子を見たときです。
    「高校生は、グラフはフリーハンドで描きましょう。センター試験では、定規の使用は禁止されています。学校のテストも、定規は使用できないでしょう?」
    と声をかけると、それは知っていて、石のように固い表情になりました。
    フリーハンドでは上手く描けない。
    見た目が汚い。
    だから、自分のノートでは定規を使いたいというのです。

    不器用でありながら、潔癖。
    テストのときは定規を使ってはいけないと知っているが、自分のノートくらいはきれいに描きたい。
    そういう思いが強いようでした。
    「問題を解くための参考にするだけのグラフをそんなに丁寧に描いたら、1題解くのに30分くらいかかりませんか」
    そう声をかけても、固い表情のままでした。
    「テストのときには定規を使えないんですから、普段から使わない練習をしていないと、テストのときに余計な心の負担や緊張が生まれませんか」
    そう説得しても、ダメでした。

    しかし、しばらくして、同じ単元を復習したときに、グラフをフリーハンドで描くようになっていました。
    どういう気持ちの変化があったのかは、わかりません。
    学校で何か言われたか。
    友達から助言されたか。


    中学までは、直線のグラフは、方眼紙に定規を使って描きます。
    格子点から1ミリずれていたら、減点、あるいはバツといった厳しい採点基準があります。
    あれも、鬱陶しい話です。
    定規を格子点の真上に当ててしまう子は、そのまま直線を引いてしまい、必ずズレます。
    ペンの幅というものを考えていないのです。
    置き方が適当だと、さらにズレます。
    そういう子たちには、定規の使い方の指導をする必要があります。

    小学校では、筆算のときに引く横線は定規を使え、分数の横線も定規を使え、と訳のわからない要求をする先生もいるようです。
    首を傾げざるを得ない指導ですが、そういう指導をしないと、ぐにゃぐにゃと曲がった線を描き、筆算がどんどん斜めになっていき、計算ミスをしてしまう子がいるのも事実。
    そのための指導なのだとは思います。
    定規ばっかり使っているから、いつまでもきれいな直線が引けないのだ、とも言えますが。
    三鷹の学校の先生でそういう人がいるという話を聞いたことがないのは幸いですが、以前、筆算の横線に必ず定規を使う小学生の女の子に出会ったことはあります。
    まだ小学生なので、使いたいものは使えばいいやとほおっておいたら、そのうち使わなくなりました。


    なぜ高校数学では、グラフは定規を使わずに描くのか?
    正確な理由はわかりません。
    あまり勉強が得意ではない生徒の通う高校の数Ⅰの宿題プリントが方眼紙だったのを見たこともあります。
    そこに定規でグラフを描く宿題でした。
    方眼紙と定規を使わないとグラフを描けない子もいる。
    それも事実だろうと思います。

    ただ、放物線は、定規では描けません。
    この先の数Ⅱで学習するその他の曲線になったらもっとそうです。
    問題を解くのに特に必要としない正確さや手間を省くには、フリーハンドで目盛なしのグラフを描くのが便利です。
    曲線はフリーハンドなのに、一緒に描く直線だけ定規というのも、変に直線だけ目立って不格好です。
    全部フリーハンドでいいんじゃないんでしょうか。

    大体でいいのが、フリーハンドの利点です。
    この図は大体の図です。
    概念図です。
    フリーハンドは、そういう合図なのだと思います。


    なぜ高校数学では、グラフは定規を使わずに描くのか?
    ネットで少し調べてみましたが、
    「グラフは定規を使わずに描くものだ」
    「直線や円くらいはフリーハンドで正確に描け」
    といった上から目線の書き方のものが多く、うわー、数学好きの悪いところ丸出しだなあと、恥ずかしくなってしまいました。
    理屈を好むわりに、自分が確信している大元のところを問われると、高圧的になる。
    ダメダメ、そういうのは。

    いずれ、パソコンやタブレットで問題を解くのが常態になれば、フリーハンドで直線を引くことそのものがありえない時代もくるかもしれません。
    共通テスト試行試験では、太郎と花子がパソコンソフトで放物線を動かしている問題が出題されました。
    今は、そういう時代です。
    2点を決定すれば、画面に直線が描かれます。
    中心と半径を決定すれば、画面に円が描かれます。
    そうした時代に、フリーハンドで直線や円を正確に描くことは、なお要求される能力なのかどうか。
    要求されるかもしれない。
    要求されないかもしれない。
    そうしたことを改めて考えてもよいのではないかと思います。

    しかし、現状、高校の数学のテストで定規の使用は許されていません。
    テストは、パソコン画面ではなく、紙で行われます。
    定規を使わずにグラフを描く練習は必要です。
    その辺は現実的な対応をしましょう。

    問題に戻りましょう。

    問題 直線 y=2x+1に関して、点A(3,2)と対称な点Bの座標を求めよ。

    グラフを描きましょう。
    x軸とy軸をまず描きます。
    目盛は入れません。
    そこに、y切片が1で、右上がりの直線をささっと描きます。
    適当でいいんです。
    その座標平面に、点A(3,2)を打ち込みます。
    パッと感覚的に、この点は直線の右下にあるなとわかればそれでよいのです。
    わからなければ、計算します。
    この直線上で、x=3のとき、y=5です。
    (3,2)は、(3,5)より下の位置にあります。
    これも、神経質な人は、正確に(3,2)の点を打とうとして、グラフとのバランスが取れず、ああ、グラフが間違っていたんだと癇癪を起こしたように全部消して最初からやり直したりする人がいます。
    (3,2)は、座標平面の第1象限に入っていれば、大丈夫です。
    ちょっと歪んでいるのは、心の目で補正しましょう。
    それも耐えられないなら、x軸、y軸を描くのを止めるという手もあります。
    右上がりの直線だけを描く。
    それでも大丈夫です。

    次に、この点Aと対称な点Bを大体のイメージで良いですから、座標平面上に打ち込んでみます。
    「線対称」は、小学6年生で最初に学習する内容です。
    線対称というのは、どういう性質があったでしょうか?
    線対称のとき、対応する点と点とを結ぶ線分は、対称の軸と垂直に交わる。
    線対称のとき、対応する点と対称の軸との距離は等しい。

    6年生の段階で、はっきりとこれらのことを学んでいるのですが、忘れている人も多いと思います。
    このことを利用し、
    「図の中で、垂直に交わっている直線はどれとどれですか?」
    「図の中で長さの等しい線分はどれとどれですか?
    といった問題を解いたはずですが、個々の問題の解き方だけ覚え、根本のルールは記憶から消えている人もいるかもしれません。

    小学生のときも、中学1年でも、まるでドリルのように繰り返し解いた問題。
    そこで終わってしまうので、小6や中1の頃は、
    「だから何なの?当たり前じゃん」
    という印象だった問題。
    いよいよ、この知識が結実するのです。
    繰り返し解いたドリルのような問題は、根本のルールを理解し、脳の奥深くに浸透させ、やがて高校数学で使うためにあったのです。

    求めたい点Bの座標を(p,q)としましょう。
    このpとqの値を求めれば良いわけです。
    直線ABの傾きは、q-2/p-3 と表されます。
    直線の傾きは、変化の割合と等しく、yの増加量/xの増加量 だからです。
    この直線ABは、対称の軸である、y=2x+1 と垂直に交わりますから、傾きの積は-1です。
    よって、2・q-2/p-3=-1
    これを変形して、pとqの関係を表す式を1本導いておきましょう。
    両辺に p-3 をかけて、
    2(q-2)=-(p-3)
    2q-4=-p+3
    p+2q=7 ・・・①

    pとqの値を求めるには、もう1本、pとqに関する式があれば良いです。
    線対称の性質には、もう1つ、対称の点から対称の軸までの距離は等しいというものがありました。
    言い換えれば、2点の中点は対称の軸上にあります。
    点A(3,2)と点B(p,q)の中点の座標は、(p+3 /2,q+2 /2)。
    これは対称の軸上の点ですから、このx座標とy座標は、y=2x+1 の関係を満たします。
    よって、
    q+2 / 2=2(p+3 / 2)+1
    これを整理すると、
    q+2 / 2=p+3+1
    q+2=2p+8
    -2p+q=6 ・・・②

    この①、②を連立して解くと、
    p=-1、q=4
    よって点Bの座標は(-1,4) です。


    応用問題とはいえ、まだ易しい。
    そんなに複雑な問題ではないはずなのですが、この問題、以前、大人のための数学教室で解いたときは、かなり難渋しました。
    解説を終えて、
    「質問はありますか」
    と問いかけたところ、
    「何をやっているのか全くわからない」
    という感想を参加者の方が口にしたのです。

    何をやっているのか、全くわからない?
    え?
    何で?

    後になって振り返ると、分岐点は、①の式を作るときにありました。
    垂直に交わるのだから、傾きの積は-1になりますよね?
    と、
    q-2 / p-3 ・2=-1
    という式を板書したときに、質問があったのです。
    「それ、直線ABの傾きは、-1/2 である、という式にしていいですか?」
    つまり、q-2 / p-3 =-1/2 という式にしたいと言うのです。
    私は、内心、何でわざわざそうするのだろう?
    と微かな違和感を抱きました。

    なぜ、そんなアレンジをするのか?
    これから式を整理するのだから、わざわざ直線ABの傾きは-1/2であることを暗算した上での式など立てなくても良いのだが?

    しかし、参加者の方が書きたいと言った式は、間違った式ではありません。
    その式にして良いかと問われて、ダメという理由はないのです。
    「あ。いいですよ」
    と、私は軽く受け流したのですが、後から考えれば、ここが分岐点だったのです。

    どういうことだったのか?
    参加者の方は、そのとき、p、qに関する式を作ろうとしていたのではなく、直線ABの式を求めようとしていたのです。
    直線ABの式を求めようとしているのに、解説がその方向にいかず、pとqの式を整理したりしている。
    何のために何をやっているのか、全くわからない・・・。

    その誤解がようやく解けてから、私は、参加者に尋ねました。
    「何で直線ABの式を求めようと思ったんですか?」
    「今まで、ずっと直線の式を求めていたから」
    「・・・・なるほど」

    この問題は、点Bの座標を求める問題です。
    B(p,q) と定めたら、後は p と q に関する式を2本作って連立方程式にすればいい、という解き方の流れが、私には見えていました。
    しかし、教わる側は、その流れが見えていなかったのです。

    解説はしたつもりでした。
    点B(p,q) としましょう。
    この p と q の値を求めれば良いですよね?と。

    しかし、初めて見る問題の解説を聞きながらノートも取るという状態では、解説のなかの何が重要で、どれがキーワードであるのかの判断を誤ることがあるのだと思います。

    大人のための教室は、このようにいつも示唆的でした。
    数学の問題を解説していて、これは誤解の余地などないはずだと私が思っていることも、誤解の余地はあるのだということを教えてもらいました。
    数学が苦手な子どもの多くは、何がわからないのかを語る言葉を持ちません。
    日常会話ではおしゃべりな子も、論理的なことを正確に語るのは難しいことも多いです。
    「どこがわからない?」
    という質問は、その字面通りの質問なのですが、どんなに柔らかい口調で尋ねてもなお、
    「なんでこれがわからないんだ?」
    と責められているように感じることがあるようです。
    もともと言葉で説明するのが苦手な子どもが、さらに責められていると感じたら、黙り込んでしまうのも当然なのかもしれません。

    板書を1行ずつ指差しながら、
    「ここはわかる?ここはわかる?何行目がわからない?」
    と、私は、わからなくなっている行を明確にしようとするのですが、こちらのそういう意図を理解してくれず、黙り込んでしまう子もいます。
    「まあ、いいや。次いこう、次」
    と、勝手に諦める子もいます。

    生徒がどこでつまずいているのかを知りたい。
    何がわからないのかを知りたい。
    何を誤解しているのかを知りたい。
    それがわかれば、解決策はある・・・。



    直線の式に関するさまざまな公式など、直線の式を求めることをずっとやっていると、応用問題でも、絶対に直線の式を求めるものだと思い込んでしまう・・・。

    わからない原因が、そんなところにあったとは。

    板書に書いてあること・テキストに書いてあることと、何か少しでも違うことを生徒がやろうとしているとき、生徒の頭の中で何か異変が起きている可能性を考えること。
    微かな違和感を大切にすること。
    それを改めて感じた出来事でした。

    ところで、上の問題ですが、では、直線の式を求めてはいけないのか?
    いえ、いけないことはありません。
    そうやって解く方法もありえます。

    もう一度問題に戻って考えてみましょう。

    問題 直線y=2x+1に関して、点A(3,2)と対称な点Bの座標を求めよ。

    線対称の性質から、直線y=2x+1と直線ABとは垂直に交わります。
    それを利用して、直線ABの式を求めてみましょう。
    傾きは-1/2で、点A(3,2)を通る直線ですから、公式に代入して、
    y-2=-1/2(x-3)
    これを整理して、
    y=-1/2x+3/2+2
    y=-1/2x+7/2
    次に、直線ABと、y=2x+1の交点を求めましょう。
    2本の式を連立して、
    -1/2x+7/2=2x+1
    これをxについて解きます。
    -x+7=4x+2
    -5x=-5
    x=1
    これをy=2x+1に代入して、
    y=2・1+1
     =3
    よって、2本の直線の交点の座標は、(1,3)。

    さて、ここからどうするか?
    点Aとこの交点との距離は、この交点と点Bとの距離と等しいです。
    すなわち、点Aからこの交点への移動は、この交点から点Bへの移動と等しくなります。
    点A(3,2)から交点(1,3)へは、x軸方向に-2、y軸方向に1だけ移動しています。
    よって、交点の座標を同じだけ移動させると、
    x座標は、1-2=-1。
    y座標は、3+1=4。
    よって、点B(-1,4)

    あれ?
    この解き方のほうがわかりやすいし、解きやすい。
    そう思うでしょうか?

    いいえ。
    必要のない直線の式をわざわざ求める、遠回りな解き方です。
    また、この解き方は、中点の座標が分数になったりすると、計算がかなり面倒くさくなりそうです。
    さらに、今後のさらなる応用問題の解き方とのつながりがありません。

    けれど、直線の式を求めることしか発想できないならば、とにかく直線の式を求めて、そこからその先を考える。
    そういう試行錯誤が見られるという意味で、高校生が自力でこのように発想して解いたのなら素晴らしいと思います。
    数学の応用問題を解けるようになるには、自力で問題を解いた経験を増やしていくことが何よりの糧になります。
    いつも解答解説を見て解いている人が、テストのときだけ自力で問題を解くのは不可能です。
    自力で解法を発見することが大切です。

    けれど、それはそれとして、模範解答を読み、その解き方の良さに気づき、取り入れるとさらに力がつきます。
    特に、ABの中点の座標が直線を通ることを用いる解き方は、汎用性があります。
    この先の学習のために身につけておきたい解き方です。

    高校3年生には、同じ入試問題を解くのでも、どう解けば時間を短縮できるのか、どの解き方が計算ミスが少なく楽なのかという方針で授業を進めるようになります。
    基礎学力はあるので、普通の解き方ならもう説明は不要な子には、どうブラッシュアップしていくかがその先の課題です。

    例えば、反復試行の確率と条件付き確率の混合問題などで、
    「私もこれを自分で解いたとき、うっかり数値をそのまま代入しちゃって、計算がウザくてウザくて大変だったんだけど、ここは数値をいったん文字にして式を整理すると、すぐにスッキリするよね」
    といった解説をすると、
    「ははあー。文明開化の音がしますね」
    といった反応がある子には、手応えを感じます。
    解き方は1つではない。
    より洗練された解き方は、どういうものか?
    それを模索していくのも、数学の楽しみの1つだと思います。


      


  • Posted by セギ at 13:44Comments(0)算数・数学

    2020年07月26日

    高校英語。関係副詞の where。



    今回は、関係副詞 where です。
    まずは、こんな問題を解いてみましょう。

    問題 以下の空所に適語を補充せよ。
    (1) The road (  ) we traveled was beautiful.
    (2) Do you know the town (  ) he visited last month?

    関係副詞は4種類しかなく、その4種類の中での使い分けなら比較的簡単なのですが、上のような問題になった途端に正答率が下がります。
    正解は、
    (1) The road (where) we traveled was beautiful.
    (2) Do you know the town (which) he visited last month?

    この使い分けをクリアできない人は案外多いです。
    そのときは、ああそうなのかと思っても、時間が経つと何度でも同じように間違ってしまう人もいます。

    (1)を2文に分解して考えてみましょう。
    The road was beautiful. We traveled on the road.
    と分解することができます。
    the road が共通の語句、すなわち先行詞となり、「私たちが進んだ道路は美しかった」という文を作ることができます。

    関係代名詞を用いて表すならば、
    The road on which we traveled was beautiful.
    です。
    これはこれで正しい英文です。

    この on which のように「前置詞+関係代名詞」となっているものを、1語で表すことができるのが、関係副詞です。
    関係副詞には、where , when , why , how の4種類があり、それらは先行詞によって使い分けます。
    今回、先行詞は場所を表す名詞なので、where を用います。

    前置詞から始まっている意味のまとまりを「前置詞句」と言います。
    前置詞句は、名詞を修飾するものは形容詞句。
    名詞以外のものを修飾するものは副詞句と呼ばれます。
    後ろの文の中で、この on which は、動詞 traveled を修飾していますから、副詞句です。
    それを1語で言い換えた where も同様に、動詞 traveled を修飾している副詞です。
    だから、関係副詞と呼ばれます。

    副詞について、もう少し上の2文で説明しましょう。
    The road was beautiful. We traveled on the road.
    は、あえて同じ語句を用いていますが、2個目の文は、以下のように言い換えが可能です。
    The road was beautiful. We traveled there.
    この there が副詞です。
    on the road = there なのです。

    そして、there を where に言い換えたのが関係副詞を用いた文です。
    The road where we traveled was beautiful.

    The road (which) we traveled was beautiful.
    としてしまうと、勝手に on を省略したことになってしまいます。
    前置詞は、基本的には省略できません。

    英語を学習した初期の頃から前置詞を忘れがちな人は、ここのところが苦手なことが多いです。
    We traveled on the road.
    = We traveled there.
    「何で there のときは前置詞が不要なんですか?」
    と疑問に思う人は、まだ前置詞について気がついているほうです。
    副詞は、前置詞を含みこんでいる語なので、前置詞は不要です。
    この単語は副詞なのだと意識することで、だからこれは前置詞が不要と判断することができます。
    there の他、英語学習の初期の頃から目にしている副詞としては、 here や home があります。
    これらは、前置詞が不要です。

    しかし、there は前置詞が不要ということに気づいていない人は案外多いのです。
    そのあたりの知識が一切身につかず、前置詞はすべて無視する人もいます。
    例えば英作文の問題で、
    「『道路を』を訳し忘れていますよ」
    と声をかけると、
    「あ。road だ」
    と、名詞を思い出すことばかりに必死になってしまいます。
    「うん。road の前に何か単語が必要だと思いますけど?」
    と問いかけても、何も思いつかない様子です。そこで、
    「on the road ですよ」
    と説明すると、つまらなそうな顔をします。
    大事なことを間違えた、失敗した、という顔ではないのが心配です。

    前置詞と名詞と副詞との関係が曖昧で、いつもそこのところでしくじります。
    前置詞+名詞=副詞句または形容詞句
    という単純な図式だけでも理解しておくと、かなり違ってくると思います。
    あわせて、名詞の前には冠詞がつくのではないかと常に意識しておくことが重要です。


    さて、(2)を分解してみましょう。
    Do you know the town? He visited the town last month.
    となります。
    visit の後ろは前置詞は不要です。
    ですから、関係代名詞を用いて、
    (2) Do you know the town (which) he visited last month?
    とします。
    これを、
    Do you know the town where he visited last month?
    としてしまったら、不要な前置詞を加えたことになり、誤りなのです。


    では、なぜ visit の後ろは前置詞は不要なのか?
    visit は目的語をとる動詞、すなわち他動詞だからです。
    目的語というのは、動詞の直後の名詞のことです。
    「誰々に」とか「何々を」といった意味の名詞です。
    間に前置詞が入ることがないのです。
    だから、前置詞を含みこんでいる where の出番ではないのです。

    つまり、where と which の使い分けの基準は、関係詞節の動詞が、後ろに前置詞をとるかどうか、ということです。
    その動詞が、自動詞か他動詞か、ということです。
    これは知識です。
    visit は、すぐ後ろに名詞がくる。
    travel は、前置詞が必要。
    そうした知識を問う問題だということです。

    自動詞でも他動詞でもある動詞も多いですが、必ず自動詞、必ず他動詞の動詞というものもあり、問われるのはそうした動詞に関する知識です。
    重箱の隅をつつかれたらきついところではありますが、visit を使った問題はどんな問題集にも載っている典型題なので、こんな問題は得点しましょう。

    実は英語学習の最初から、自動詞と他動詞は区別されています。
    visit の訳は、「~を訪れる」と、教科書準拠ワークなどにも書いてあったはずです。
    この「~を」がついていたのが他動詞です。
    動詞の後ろにすぐに名詞を書いていい動詞です。
    しかし、中学生はそういうところが雑で、「~を」は無視します。
    下手をすると、visit が動詞であることすら無視して、「訪問」と覚えてしまう子もいます。
    いや、名詞としての用法もありますが、そんな高度なレベルで理解しているわけではないでしょう。
    「れる」とか「する」をつけて覚えることすら無駄だと思っている雑な感覚で単語の意味を覚えているだけでしょう。
    名詞と動詞を区別しないで覚えているのですから、自動詞と他動詞を区別して覚えているわけがありません。
    そうした初期学習の粗雑さに復讐されているのです。

    安心してください。
    私もそうでした。
    いや、さすがに名詞と動詞とは区別していましたが、自動詞と他動詞を区別する覚え方はしていませんでした。
    これは、後からでも間にあいます。
    気がついたら、そこから、神経を払う。
    ああ、この動詞は目的語がつくんだなあ。
    この動詞は、前置詞が必要なんだ。
    そして、前置詞は必ずこれを使うんだな。
    そうしたことを丁寧に学習していく。
    それでどうにかなります。
    頑張りましょう。

      


  • Posted by セギ at 17:46Comments(0)英語

    2020年07月23日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その3


    高校数Ⅱ「図形と方程式」の学習の続きです。
    前回学習した、直線の方程式に関する公式は次のものでした。

    傾きがmで、点(x1,y1)を通る直線の方程式は、
    y-y1=m(x-x1)

    また、2点(x1,y1)、(x2,y2)を通る直線の方程式は、
    y-y1=y2-y1/x2-x1 (x-x1)

    平行な2直線は、傾きが等しい。
    垂直な2直線は、傾きの積が-1。

    今回は、それの応用編です。

    問題 直線2x+y+2=0 に平行で、点(1,2)を通る直線の式を求めよ。

    まず与えられた式を、y=・・・・の形に直して傾きを求め、その上で、点(1,2)を代入して解くという方法を思いつけたら、それはそれでよいのです。
    ただ、これを瞬時に解く公式もあります。

    点(x1,y1)を通り、直線 ax+by+c=0 に平行な直線の方程式は、
    a(x-x1)+b(y-y1)=0 です。

    ax+by+c=0 という式の形に最初は戸惑う人もいるかもしれません。
    中学時代は、直線の式は、y=・・・・の形でなければダメと言われましたが、高校では、右辺が0になる式も用います。
    この後、この形のほうが利用しやすい別の事柄があるからなのです。
    a、b、cは具体的な数字が入ります。
    上の公式は、ax+by+c=0 をy=・・・に変形してみれば理解できます。
    ax+by+c=0
    by=-ax-c
    y=-a/b・x-c/b
    よって、この直線の傾きは、-a/b です。
    前回学習した公式を利用すると、傾きが-a/bで、点(x1,y1)を通る直線は、
    y-y1=-a/b(x-x1)
    両辺をb倍して、
    b(y-y1)=-a(x-x1)
    左辺に移項して、
    a(x-x1)+b(y-y1)=0
    これが、上の公式です。

    この公式を用いると、上の問題は瞬時に解けます。
    直線2x+y+2=0に平行で、点(1,2)を通る直線だから、
    2(x-1)+(y-2)=0
    このまま答えとするのではなく、整理します。
    2x-2+y-2=0
    2x+y-4=0
    これが上の問題の解答です。

    この公式とセットで覚えるとお得な公式は、

    直線ax+by+c=0に垂直で、点(x1,y1)を通る直線は、
    b(x-x1)-a(y-y1)=0

    この公式も、上のような変形の仕方で導くことができます。興味がありましたら、上と同じようにしてやってみてください。
    これらの公式は覚えにくいです。
    別にこんな公式を覚えなくても、まず傾きを求める解き方でも解けます。
    ただ、困るのは、この先、問題集の解説で、この公式を当然のように使い、特に説明も加えていないものがあることです。
    何で急にこんな式が立っているのか、わからない・・・。
    そうならないために、こういう公式もあると頭の隅に置いておきましょう。
    自分では使わなくても良いので、問題集の解説を読んで意味がわからなかったとき、
    「あれ?あの公式を使っているのかな?」
    と考えることができれば、学習が先に進みます。

    こうした公式のメリットは、問題を解く時間を短縮できることです。
    直線の式1本求めるのに、まず傾きを求める解き方では、2分~3分かかります。
    この公式を使えば、30秒もかからないのです。
    逆に言えば、それ以外には特にメリットはないので、どうしても覚えられなかったら、覚えなくても大丈夫です。

    高校生としては、このあたりの内容でどうしても覚えてほしいのは、冒頭に書いた4つの内容。
    これらは使う機会が多いので、いちいち中学生の解き方で時間をかけていると、テストでは時間が足りなくなります。
    それ以上の公式は、使う機会も限られているので、本人の覚える力に応じてで構わないと思います。


    問題 直線ax-6y-5=0が直線2x-3y+6=0に平行であるとき、定数aの値を求めよ。

    これも、傾きを求めれば解ける問題です。
    それぞれの直線を、y=・・・・の形に変形し、傾きを比較すれば、定数aを求めることができます。
    やってみましょう。

    ax-6y-5=0より
    -6y=-ax+5
    y=a/6x-5/6
    よって、この直線の傾きはa/6です。
    2x-3y+6=0
    -3y=-2x-6
    y=2/3y+2
    よって、この直線の傾きは2/3です。
    この2直線は平行なので、傾きは等しいですから、
    a/6=2/3
    a=2/3 ×6
    a=4

    これにも、公式があります。

    2直線a1x+b1y+c1=0、 a2x+b2y+c2=0 が、
    平行なとき、a1b2-a2b1=0
    垂直なとき、a1a2+b1b2=0

    上の問題にこの公式を用いると、
    a・(-3)-2(-6)=0
    -3a+12=0
    -3a=-12
    a=4

    与式をいちいちy=・・・の形に変形せずにすぐに式を立てることができます。
    覚える余力のある人は、覚えておくと良い公式です。

    なぜこの公式が成り立つのか、考えてみましょう。
    直線a1x+b1y+c1=0 の傾きを求めましょう。
    b1y=-a1-c1
    y=-a1/b1-c1/b1
    よって、傾きは、-a1/b1
    また、a2x+b2y+c2=0 は、
    b2y=-a2x-c2
    y=-a2/b2-c2/b2
    よって、傾きは、-a2/b2

    この2直線が平行なとき、傾きは等しいので、
    -a1/b1=-a2/b2
    a1/b1=a2/b2
    両辺に b1b2 をかけて、
    a1b2=a2b1
    a1b2-a2b1=0
    となります。
    この2直線が垂直なとき、傾きの積は-1ですから、
    -a1/b1・-a2/b2=-1
    両辺に b1b2 をかけて、
    a1a2=-b1b2
    a1a2+b1b2=0
    となります。


      


  • Posted by セギ at 18:17Comments(1)算数・数学