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お知らせ

2020年07月08日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その2。垂直に交わる直線。


数Ⅱ「図形と方程式」。今回は、直線の方程式の求め方の2回目です。
ある直線と平行な直線、あるいは垂直な直線の求め方。

問題を見てみましょう。

問題
(1)直線 y=2x+1 に平行で、点(-2,3)を通る直線を求めよ。
(2)直線 y=-1/3 x +1 に垂直で、点(1,-2)を通る直線を求めよ。

まずは(1)から。
ある直線と平行な直線の求め方は、中2でも学習しています。
平行だということは、傾きが等しいということ。
だから、求める直線の傾きも、2です。
そして、点(-2,3)を通るのですから、前回学習した直線の式、
y-y1=m(x-x1) に代入して、
y-3=2(x+2)
y=2x+4+3
y=2x+7

これが答です。

では、(2)はどうでしょうか?
ある直線と垂直な直線。
これも、私立中学や、進学塾の学力上位クラスでは、中学生で学習している内容です。
もとの直線の傾きと、垂直な直線の傾きとの積は、-1。
それを利用すれば、求める直線の傾きは、3です。
あとは、直線の公式を利用し、
y+2=3(x-1)
y=3x-3-2
y=3x-5

これが答となります。

ところで、解き方自体は簡単でしたが、もとの直線の傾きと、垂直な直線の傾きとの積は、なぜ-1なのでしょう?
これは、中学で発展的な学習をしてきた人でも、案外答えられないのです。
とにかく、-1になるんだ。
そう教えられて、それを使ってきた。
理由なんか説明されなかった。
そのように主張する人もいるかもしれません。

事実、そうだったのかもしれません。
しかし、理由も説明されたのに、それを忘れているだけかもしれません。
簡単そうに思えることでも、理由を説明するとなると結構大変なことが数学にはあります。
説明するほうも大変ですが、理解するほうも大変です。

前回説明した、「分数のわり算はなぜ逆数のかけ算で計算できるのか」という件もそうでした。
今回の件も、そういうものの1種だと思います。

なぜ2直線が垂直に交わるとき、2直線の傾きの積は-1なのか、説明します。

上の図を見てください。
今、垂直な2直線を、
y=m1x+n1
y=m2x+n2
とおきます。

それぞれの直線を原点を通るように平行移動すると、式はそれぞれ、
y=m1x
y=m2x
となります。
この2直線も、垂直に交わります。

それぞれの直線上で、x座標が1の点をM、Nとすると、それぞれの座標は、
M(1,m1)1、N(1,m2) となります。

2直線は垂直に交わっていますから、△OMNは、直角三角形です。
三平方の定理より、
OM2+ON2=MN2 ですから、
(1+m1の2乗)+(1+m2の2乗)=(m1-m2)2
これを展開すると、
m1の2乗+m2の2乗+2=m1の2乗-2m1m2+m2の2乗
2m1m2=-2
m1m2=-1
よって、2直線の傾きの積は、-1である。

どうでしょうか?

・・・これも、1つ1つ段階を踏んで論理的なので、途中で「もういいから、垂直な2直線の傾きの積は-1と覚えます」とため息をつく人もいるかもしれません。
簡単そうに見えることでも、証明は結構難しく、理解するのが大変なことはあります。

証明自体がエキサイティングで、証明を理解することで数学の面白さに目覚める!
・・・それならよいのですが、こうした証明は、そんなふうではないことが多いです。
もっと面白いかと思っていたのに、テンションだだ下がり・・・。

何とかショーアップして、この手の証明をエキサイティングなものにし、生徒が数学の面白さに目覚めるようにしたらよいのでは?
それが講師の能力というものなのでは?
・・・それもわかります。
その一方、そんなふうにいちいち「濃い味」のものに調理してスプーンで口の中に入れてあげないと味がわからないのなら、自立した学習者になるのは難しいのではないかとも思うのです。
面白さは自力で発見できるようであってほしい。
その狭間で、悩む日々です。

ただ、理解できたこと自体の快感はあると思います。
難しいけれど、理解できた。
霧が晴れた。
納得できたから、この定理を使おう。
そのほうが、意味もわからずただ使うだけよりも、精神的に安定した状態で数学の問題に向き合えると思うのです。


  


  • Posted by セギ at 13:49Comments(0)算数・数学

    2020年07月05日

    分数のわり算はなぜ逆数をかけるのか。


    昔のアニメに『おもひでポロポロ』というのがありました。
    27歳の女性が、小5だった頃の自分のことを思い出しながら田舎を訪れ、そこで暮らすことを決意する。
    そういうストーリーでした。

    そのアニメの中で重要なエピソードの1つが、「分数のわり算」。
    分数のわり算は、なぜ逆数のかけ算に直すのか?
    なぜそれで答が出るのか?
    小5のヒロインは、それがどうしても納得できず、お姉さんに質問しますが、「そういうものなの!」と決めつけられ、むしろバカにされ、うるさがられます。
    どうやら、小学校でも説明されていないことになっているようでした。
    少し不器用なヒロインの性格を浮き彫りにするエピソードなのだと思います。

    これは、このエピソードを作った人、すなわち原作者の実感なのだと思うのです。
    けれど、私は、分数のわり算がなぜ逆数のかけ算になるのか、小学校で教わりました。
    教科書にも載っていた記憶があります。
    私自身が教える立場になったときにも、理由を教えています。
    今も、小学校の教科書に載っています。
    だから、このアニメのそこのところを見る度に、ストーリーの本筋と関係ないとわかっていても、何だかちょっとモヤモヤするのです。
    算数や数学が悪者にされているようで・・・。

    分数のわり算は、なぜ逆数のかけ算で計算できるのか。
    この説明は、しかし、ちょっと面倒くさいのです。
    小学生が理解するには難しい、段階を踏んで論理的な説明です。
    順を踏んで、AならばBで、BならばCで、CならばDだから、結論として、AならばDである、というタイプの論理です。
    一言で説明できることや、ひと目でわかることでないと理解しづらい、という子には向いていないかもしれません。

    分数のわり算は、なぜ逆数のかけ算で計算できるのか。
    私が理由を説明している間、多くの小学生は、不安そうな表情を浮かべます。
    難しくて、よくわからない。
    この説明、早く終わらないかな、という顔です。
    そして、まとめとして計算のやり方を説明すると、ほっと安堵の表情に変わります。
    何だ、簡単だ。
    逆数のかけ算にするだけなんだ。
    良かった、良かった。

    その瞬間に、それまでの長い説明は吹っ飛んで、記憶から削除されるのかもしれません。
    こうしたことは、他にも沢山あると思います。
    中学生になった後も、そうです。

    3-(-2)=3+2 
    のように、負の数を引くことが、正の数を足すことに書き換えられるのは、なぜなのか。

    (-3)×(-2)=6
    のように、負の数×負の数は、なぜ、正の数になるのか。

    理由は説明されているはずです。
    でも、よく理解できなかった。
    そして、忘れた。
    理由を説明されたという事実も忘れた。
    そういうことは沢山あると思います。


    分数のわり算は、なぜ逆数のかけ算で計算できるのか?

    代表的な考え方は2つあります。
    まず、1つは、文章題から具体的に図を描いて考えていく方法。
    分数を分数でわるというのは、具体的には、どんな場合でしょうか。
    例えば、こんな問題を考えてみるのです。

    問題 2/3dlで、3/4㎡の壁を塗ることのできるペンキがあります。このペンキは、1dlで何㎡の壁を塗ることができますか。

    この説明が子どもにほとんど理解されない理由が、もうこれでわかった・・・。
    そんな諦めの気持ちを抱く人もいるかと思います。
    この文章題を解く式を自力で正しく立てられる小学生が、まずかなり限定されるのです。
    「単位量あたり」の問題は、小学生には鬼門の1つです。

    とりあえず、分数では難しすぎるので、整数で考えてみましょうか。

    問題 3dlで7㎡の壁を塗ることのできるペンキがあります。このペンキは、1dlでは何㎡の壁を塗ることができますか。

    ・・・いいえ、これでも難しいのです。
    生徒が困った顔をしているので、理由を訊くと、
    「わりきれないと思う・・」
    と言い出す子が多いのです。
    「いや、割り切れなくても、いいでしょう。答は分数になってもいいのですから」
    と説明すると、驚いた顔をします。
    答えが分数になる可能性を全く考えていず、普段は整数と小数だけで計算すると決めている子が多いのです。

    問題 4dlで2㎡の壁を塗ることのできるペンキがあります。このペンキは、1dlでは何㎡の壁を塗ることができますか。

    これなら、割り切れるから大丈夫でしょうか?
    いいえ。
    生徒の2人に1人は、間違った式を立てます。
    式 4÷2=2 答2㎡

    ・・・いや、違います。
    正しい式は、2÷4です。

    何で4÷2という式を立ててしまうのかというと、「わり算は、文章の中の大きい数を小さい数で割ればいい」というとんでもないルールを低学年の頃に発見して、以後、それで文章題をやり過ごしている子が多いからなのです。
    低学年の頃、最初にわり算を学習したときは確かにそうだったのでしょう。
    小数も分数もまだ学習していないので、答を整数にするためには、大きい数÷小さい数の式しかない。
    問題を作る側のそうした都合を、自分のルールに取り込んでしまっている子が多いのです。
    そんなルールで文章題を解いているために、問題文を読まない習慣がつき、高学年になると、正しい式を立てることができなくなるのです。

    問題 2dlで4㎡の壁を塗ることのできるペンキがあります。このペンキは、1dlでは何㎡の壁を塗ることができますか。

    これなら、安心。
    4÷2 という式を立てられる子が多いでしょう。
    整数で考えたときに立てた式は数字が分数になっても同じ構造のはず。
    では、一番上の問題は?

    問題 2/3dlで、3/4㎡の壁を塗ることのできるペンキがあります。このペンキは、1dlで何㎡の壁を塗ることができますか。

    式は、3/4÷2/3 ですよね?
    単位量あたりの数値を出すときは、その単位の数値で割るんですよ。
    1dlあたりを求めたいなら、dlのついている数値で割るんです。
    これなら、安心。

    ・・・いえ、何も安心ではないでしょう。
    もう既に、この段階で、子どもの気持ちはついてきていないです。
    この式を実感できる子は、ほとんどいない。
    こんな理解できない式を使ってそれから分数のわり算を逆数のかけ算で解く意味を説明されても、モヤモヤしてしまう・・・。

    それでも、何とかここまで理解してくれた子に向けて、説明を続けます。
    まず、縦1m、横1mの正方形の壁の図を描きます。
    それを横に4つに区切って、下から3つ分まで薄く色を塗ってみましょう。
    3/4㎡の壁に塗られたペンキの図をこれで描けました。
    これが、2/3dlで塗った分です。
    これを1dl分にいきなりするのは難しい。
    でも、まずは、1/3dl分ではどれだけ塗れるか考えて、それから1dl分に直すことならできそうです。
    さきほどの、3/4㎡の薄く色を塗った壁を今度は縦に2つに切り分けましょう。
    今回は縦に切るのがコツです。
    そのほうが切り分けやすいですから。
    図から、1/3dlで塗れる壁は、3/8㎡であることが見てとれます。
    では、1dlで塗れる壁は?
    3/8㎡の3つ分であることが、これも図から見て取れます。
    つまり、9/8㎡です。

    これを途中式を加えて書き記していくと、
    3/4÷2/3
    =3/4÷2×3
    =3/(4×2)×3
    =(3×3)/(4×2)
    =9/8

    文字で一般化しましょう。
    a/b÷c/d
    =a/(b×c)×d
    =(a×d)/(b×c)

    おや?
    これは、a/b×d/c=(a×d)/(b×c)と同じです。
    つまり、分数のわり算は、÷の後ろの数を逆数にしたかけ算と計算方法は同じなのです。

    これが、分数のわり算が、逆数のかけ算で計算できる理由の説明の1つです。
    ネットだから説明しにくかった、ということもありますが、実際に図を見せたり、もっと見やすい分数の式を書いて説明しても、やっぱりわかりにくいのです。
    しかも、これは、結果として同じ計算になりますね、というだけです。
    なぜ逆数にするのかその理由を知りたいという気持ちに真正面から答えるものではないような気もします。
    例えば「三角形の面積を求めるときは、平行四辺形の面積を求めて2で割る」というような、真正面からの理由ではありません。
    その意識のズレも「理由を説明してもらえなかった・・・」という気持ちを引きずる子がいる原因なのかもしれません。


    分数のわり算は、なぜ逆数のかけ算で計算できるのか?
    説明の仕方は、もう1つあります。
    これは、分数×整数と、分数÷整数の計算の仕方はしっかり身について、それに対しては疑問はないという前提で説明が始まります。

    分数×整数の計算は、大丈夫でしょうか?
    2/5×3=(2×3)/5=6/5
    これも、基本は面積の図を描いて説明します。
    1×1の正方形をまず描き、それを横に5つに分けます。
    1つ分が、1/5です。
    下から2つ分に薄く色を塗りましょう。
    それが、2/5です。
    2/5×3は、2/5が3個あるということ。
    同じ図を横に3個書き並べます。
    3個分に薄く色を塗ります。
    1/5が何個分でしょうか?
    6個分ですね。
    だから、答えは、6/5です。

    一般化すると、分数×整数は、分母はそのまま、分子に整数をかければ答になります。


    分数÷整数の計算はどうでしょうか?
    2/5÷3は、どう計算しましょう。
    これも、面積の図を描いて考えます。
    1×1の正方形を描き、それを横に5つに分けます。
    1つ分が1/5です。
    下から2つ分に薄く色を塗りましょう。
    それが、2/5です。
    それを3つに分けます。
    図を縦に3つに切り分けましょう。
    横に5つに分け、縦に3つに分けたことになります。
    1つ分は、15に分けた1つ分だということが、図から見てとれます。
    すなわち、1つ分は、1/15です。
    2/5を3つに分けた1つ分は?
    1/15が2つ分であることが図から見てとれます。
    だから、2/5÷3=2/15です。

    一般化すると、分数÷整数は、分母のその整数をかけて、分子はそのままでよいことがわかります。

    さらに、ここで、確認しておくことがもう1つ。
    わり算の性質です。
    わり算は、わられる数とわる数の両方に同じ数をかけても、または、同じ数でわっても、商は同じになるのでした。
    例えば、
    0.8÷0.2=4 です。
    筆算で、小数点を移動して計算するのは、わり算のこの性質を利用していたのでした。
    8÷2=4 と商は同じだということを利用しているのです。
    わられる数とわる数を10倍しても、商は変わらないのです。
    別に10倍でなくても、何倍でも商は同じです。
    8÷2=4 のわられる数をそれぞれ3倍して、
    24÷6としても、商は4です。
    また、8÷2のわられる数とわる数のそれぞれを2で割って、
    4÷1としても、商は4です。

    分数×整数、分数÷整数、さらにわり算の性質。
    この3つを利用して、分数÷分数の計算をやってみましょう。

    3/4÷2/3

    わる数が分数なので、このままでは計算できませんが、わる数を整数にすれば、分数÷整数にできます。
    では、どうすれば、わる数を整数にできるでしょうか。
    わる数の分母を払う、すなわち、2/3を3倍すればよいのです。
    わる数だけ3倍するわけにはいきませんが、わられる数も3倍するなら、商は同じままです。

    だから、(3/4 ×3)÷(2/3 ×3) とします。
    =(3×3)/4 ÷2
    分数÷整数をするのですから、分母に×2をすればよいです。
    =(3×3)/(4×2)

    これは、3/4×3/2=(3×3)/(4×2)と同じですね。

    だから、分数のわり算は、逆数のかけ算に直して計算できるのです。

    こちらのほうが、面積の図を描くよりもわかりやすいと言われることがあります。
    しかし、分数÷分数の説明をするまでに遠い道のりを経なくてはならないということでは、同じです。
    しかも、なぜ逆数のかけ算になるのかを真正面から説明したわけではありません。
    そのせいか、記憶にも残りにくいようです。


    分数のわり算は、なぜ逆数のかけ算になるのか?
    ・・・もういいから、やり方だけ覚えます。
    そんな声も聞こえてきそうですが、今年はアクティブラーニング元年。
    やり方だけ覚えるのではなく、理由を考え、説明できることが大切です。
    意味がわかっていないことの上に学習を積み上げていくと、中学のいつか、あるいは高校のいつか、全崩壊します。
    何をやってよくて、何をやったらダメなのか。
    自分の中に根拠がないまま、とぼとぼと歩く数学学習の道は、暗く長いです。
    1つ1つの霧を晴らしていきましょう。


      


  • Posted by セギ at 16:47Comments(0)算数・数学

    2020年07月03日

    数は音声では聞き取りにくいのです。


    ある年、中3の生徒の英語の1学期の期末テストの得点が普段より10点ほど下がったことがありました。
    見ると、リスニングでかなり失点していました。
    しかし、普段はリスニングが苦手な子ではなかったのです。
    英検3級のリスニング過去問は、毎回ほぼ満点を取ることができていました。
    話を聞くと、内容に特徴があったことがわかりました。

    場面は空港。
    飛行機の出発時刻とゲート番号が列挙されたアナウンスを聴き取るものだったそうです。
    中学生向けですから、英文はゆっくり読まれたと思います。
    それでも、時刻や番号が列挙されると混乱し、数字を聴き取り間違えてしまったのです。

    数字は、視覚での情報伝達力は極めて高いのですが、音声で伝えられると把握しにくい傾向があります。
    日本語での口頭の場合も、数字は他の単語よりも聴き取りにくいです。
    まして英語で数字を聴き取るのは、難しくて当然です。

    私個人は、小学生の頃に珠算教室に通い、「読み上げ算」を練習していますので、日本語による数字の聴き取りは比較的得意なほうだとは思っています。
    今も塾での算数・数学の宿題の答えあわせは、生徒が口頭で数字や式を読み上げ、正解かどうか私が判断することが多いです。
    これが逆に、私が正解を口頭で述べ、生徒が自分で丸付けをすることにしたら、正しく聞き取れず、間違っているのに丸をつけてしまう子がいるだろうと予想されます。
    とはいえ、生徒の読み上げる数字はスピードが速すぎるうえに語尾が不明瞭なことがあります。
    もしもそのスピードと不明瞭さで私が数字を読み上げたら、あなたは聴き取れないでしょう、と思うこともあります。
    数字を読み上げるときは、ゆっくりはっきり言わないと正確に伝わらないということが、年齢的にまだ理解できないから仕方ないのです。
    速く読み上げることが頭の良さの証明だという誤解もあるかもしれません。
    ただ、こういうことは、注意しても、「別にいいじゃん。聴き取れないのは、そっちの責任じゃん」という反発心を起こさせる小言の類に聞こえそうで、私も余程速い場合以外は注意しないのですが。
    同じ生徒が、私が正しい式をゆっくり読み上げても、上手く聴き取れないことがあります。
    そんなときが良い機会です。
    私がホワイトボードに式を書いていくと、その子は、当然理解できます。
    そうした経験を重ねることで、数字は、音声で早口に読み上げても伝わらないということを実感してくれるようです。
    ゆっくりはっきり読み上げることを徐々に学んでいくのです。
    それは客観性や社会性の獲得ということでもあると思います。

    例えば電話番号を早口でペラペラペラっと伝えられたら、誰でも「はあ?」と思いますよね。
    相手の社会性を、むしろ疑う事態です。
    数字は、はっきり、ゆっくり読む。
    そして、互いに確認しあう必要があります。


    日本語でも難しいのですから、英語のリスニングで数字にまつわる問題が出題されると、非常に難度が上がります。
    社会人向けの英語検定なら、そうした出題は当然でしょう。
    ビジネスに数字はつきものですから。
    しかし、英語を学び始めたばかりの子にとって、数字の聴き取りはハードルが高いです。

    何年か前、都立高校の英語リスニング問題で、電話番号の問題が出題されたときも、その問題だけ正答率が低かったのです。
    男女の会話で、間違い電話の受け答えを聴いて、問いに答える問題でした。
    間違い電話をするくらいですから、番号は部分的に数字が入れ替わっているものでした。
    間違った番号と正しい番号と両方を英語で言われ、正しい電話番号を以下から選べ、と言われても、それは混乱しますよね。

    男「もしもし、〇〇さんのお宅ですか」
    女「いいえ、違います。何番におかけですか」
    男「そちらは、いちさんはちよんのごさんはちいちではありませんか」
    女「いいえ、うちは、いちさんはちよんのごはちさんいちです」
    男「ああ、間違いました。すみません」
    女「どういたしまして」
    聴き取りにくさをあえて日本語で表記すれば、こんな感じでしょうか。


    中1の最初の定期テストの場合、そもそもリスニング問題に上手く対応できない可能性もあります。
    これも何年か前、英語のリスニング問題を塾の授業中に最初に行ったときのこと。
    CDには日本語でくどいほどの説明があるし、例題とその解説もあるから大丈夫だと思っていたら、いざ第1問が始まると、
    「え?何をするんですか?」
    と声を上げた子がいて、慌ててCDを止めたことがあります。
    最初に説明したつもりだったのですが、その子にとっては、十分な説明ではなかったのでしょう。
    CDの説明をよく聴いてその通りにしなさい、という指示を出さなかったのがまずかったのだと思います。
    いや、そもそもリスニングテストというものが英語にはあるのだという話から始めるべきだったのかもしれません。
    初めてのことに対する抵抗感と不器用さに関して、現代の子は突出していることがありますから、中1の最初の定期テストのリスニングは白紙答案になってしまわないかと心配です。
    何をどうすれば良いのか、全くわからなかった。
    白紙答案を見せて屈託なくそう言う子が現れる可能性は毎年あります。

    「学校で、定期テストにリスニング問題が出るという話はありましたか」
    中1の生徒にそう問いかけても、首をかしげています。
    「・・・いや、たぶん出題されるので、そのつもりでいてね?」
    リスニングは色々な出題形式があるから、日本語の説明をよく聴いてね。
    選択肢があるとは限らないですよ。
    聴き取った英文を書くのかもしれません。
    とにかく、その場でパニックを起こさないでね。
    色々とくどいほど話すのですが、それでも心配は尽きません。

    そんな状況なのに、英語で数字を読み上げて書き取る問題が出題されたらどうしましょう。
    日本語で出題しても難しい問題を英語で出されても・・・。
    そういうのは、英語力以外の何かが付加された課題です。
    でも、やっぱりそれは、英語力かなあ。
    上手く対応できますように。
    そう願うこの頃です。


      


  • Posted by セギ at 14:33Comments(0)算数・数学英語

    2020年06月30日

    小学校算数。点対称の図形。



    「対称な図形」は、小学校6年生で学習する単元です。
    教科書によるのですが、この単元が6年生の教科書の冒頭にあり、しかも、学校が休校のため、これを独学するのが宿題だった子も多かったようです。
    なお、三鷹市で採択されている教科書では、最初の単元が「ならべ方・組み合わせ方」でした。
    樹形図の描き方は、手取り足取りで教えないと中学生でもなかなか定着しないのに大丈夫なのかしらと、これも心配でした。
    そして、登校が始まったらあっという間に1つの単元が終了し、カラーテストを受けることとなり、苦労した子も今年は多いようです。

    さて、まずは、線対称。
    折り紙のように真ん中で折り重ねたとき、ぴったりと重なる図形が、線対称な図形です。
    方眼紙に線対称な図形の半分が描かれていて、残り半分を完成させる問題が典型題です。
    対称の軸が方眼紙上に垂直または水平に引かれている場合は、易しいです。
    これは、理解できない子はほとんどいません。

    ところが、上の図1のように、対称の軸が斜めになると、少し混乱する子が現れます。
    完成図を正しくイメージすることができないのです。
    頭の中に誤ったイメージが浮かびやすく、それが邪魔になる様子です。

    例題などで最初に練習した問題の対象の軸が垂直方向だったため、対応する点や線分はすべて水平移動だと思い込んでしまう場合があります。
    上の図1でいえば、矢印の先端部分の線分が、水平移動だと思い込むのです。
    「・・・方眼紙から飛び出すけど、いいですか」
    という質問をするので、え?と思い、その子がどういう誤解をしているのか気づくことがあります。
    図1で、水平方向の線分は、対称移動すると垂直方向の線分になります。
    それをイメージできないのです。

    図形のイメージ力は個人差が大きいです。
    頭の中に描くイメージだけで図を完成させられる子もいます。
    しかし、本人のイメージ力が弱い、あるいは誤謬が多い場合は、想像するだけでは図を完成させることができません。
    その場合は、理屈で図を完成させればよいのです。
    それは「逃げ」ではありません。
    線対称の図形の性質を正しく使用して作図するのですから、それもまた数学的な態度です。

    では、線対称な図形の性質とは何か?
    ①対応する辺の長さは等しい。
    ②対応する角の大きさは等しい。
    ③対応する点を結んだ線分は、対称の軸と垂直に交わる。
    ④対応する点と対称の軸との距離は等しい。

    これらの性質を利用し、図中に描かれている点を対称移動することで、残り半分を描いていきます。
    上の図1でいえば、一番上の「矢印のてっぺんの点」は、対称の軸上にある点なので、移動せず、そのままです。
    いや、完成図が「矢印」になるとわかっている時点で正しいイメージができているのですが、それは説明のための方便としてお許しください。
    てっぺんから「左に5」だけ移動した位置にある点を正しく打ち込めるかが、最初の鍵です。
    対称の軸が方眼紙に垂直だろうが斜めだろうが、対応する点を水平に移動させる間違ったイメージが邪魔をします。
    その最初の点を打ち間違えたら、もう残りはぐちゃぐちゃです。

    方眼紙に描く場合でも、定規をあてるとかなり楽になります。
    理想は三角定規ですが、おそらく道具袋の奥にあり、探すのが大変でしょうから、普通の定規で大丈夫です。
    短い定規は、ペンケースに常に入れておくと便利です。
    その定規を、対称の軸と垂直の位置におきます。
    大体で構いません。
    対称移動する方向さえ見えてくればよいのです。
    矢印のてっぺんから「左に5」の位置にある点は、どこに移動するか?
    予想外に下のほうに移動するのだと、定規を使うことでイメージできます。
    距離は?
    対応する点と対称の軸との距離はそれぞれ等しいのだから、大体このあたりの点?
    では、正確には?
    対応する辺の長さは等しいのだから、てっぺんの点から下に5の位置?
    これで正確な点の位置が判断できます。

    この点を1つ打ち、てっぺんの点と結べば、残りのイメージは正確に描ける子が多いです。
    ああ、こういう向きだったのかあ。
    わかったー。
    感動の声を上げて、残りは自力で描きあげていきます。

    しかし、イメージ力には個人差があり、それでもその先をイメージできない子も中にはいます。
    その場合は、次の点も、上と同じ作業を繰り返し、定規をあてて、対称移動した先のおおよその位置を特定していきます。


    線対称の場合は、上の作業で大多数の子が描けるようになりますが、点対称の場合は、もっと苦闘する場合があります。
    図2を見てください。
    描かれている半分は図1と同じですが、完成される図は「矢印」ではありません。
    「矢印を描く」という固定観念にしばられ、完成イメージを思い描けない子が多いです。
    点対称の図を描いているつもりでも、途中から線対称の「矢印」を描き始めてしまうのです。
    正しい点を打っているのに、矢印にならないことに混乱してしまう子もいます。
    完成させるべき図は矢印ではないのに、矢印を描こうとして苦闘するのです。

    図2の問題は、大人の人でも苦戦される方がいらっしゃると思います。
    何の手がかりもなく、上の図2を見ただけで点対称の図形の完成図をイメージできる人のほうがむしろ少ないでしょう。
    それは特別なイメージ力を持っている方だと思います。
    しかし、そんな特別な才能を持っていなくても、点対称の図形を完成させることはできます。

    こちらも、点対称の図形の性質を使えば、正しく作図できます。
    では、点対称な図形の性質とは何か?

    ①対応する辺の長さは等しい。
    ②対応する角の大きさは等しい。
    ③対応する点を結んだ線分は、対称の中心を通る。
    ④対応する点と対称の中心との距離は等しい。

    つまり、これも、定規を使用すれば、正しい位置に対応する点を打っていくことが可能です。
    まず、移動したい点と対称の中心を直線で結びます。
    その直線上のどこかに、対応する点があります。
    対応すると点と対称の中心との距離は等しいです。

    どの点から始めても大丈夫ですが、点Oに近いところから始めたほうが混乱を避けられると思います。
    まず、点Oから上に2の位置にある点から移動しましょう。
    その点と点Oとを結んだ直線は、方眼の垂直方向の直線です。
    距離は、点Oから2。
    よって、点Oから下に2の位置にこの点は移動します。

    ここからは何通りかのやり方がありますが、移動した点から次の点に移動するほうが楽かもしれません。
    最初に注目した点から、次の点は、左に2、上に2だけ移動した位置にあります。
    点対称は180度回転するのですから、移動後の点から右に2、下に2だけ移動したのが次の点です。
    点を打ったら、すぐに前の点と結び、線分を明らかにしておきましょう。
    点だけ先に全部打って後で結ぼうとすると、間違った点どうしを結んでしまい、混乱を助長させてしまう可能性があるのです。
    移動前の点と移動後の点に定規を当て、ちゃんと対称の中心を通っているかも確認します。
    この繰り返しで点を移動していくと、徐々に図形が見えてきます。
    完成図のおおよそがイメージできるようになったら、上の作業を省略し、自分の力で次の点を打っていっても大丈夫でしょう。
    ときどき定規を当て、対応する点を結んだ線分が対称の中心を通っているか確認すれば、さらに間違いないです。
    そのようにして完成した図が、下の図となります。


      


  • Posted by セギ at 13:24Comments(0)講師日記算数・数学

    2020年06月28日

    山に行けないので、山の本を読みました。


    山に行けない日々が続いています。
    行こうと思えば行けるのですが、山へ向かう休日の朝の電車やバスというのは独特の空間です。
    特にバスは、おしゃべりが車内にワンワンと反響し、次の停留所を伝えるアナウンスすら聞こえないこともあります。
    周囲がうるさいので、自分の声を通そうとしてさらに大声で喋る人たちが多くなり、ますますうるさくなる。
    恐ろしいスパイラル。
    それが、山へ向かう朝のバスです。
    マスクをすり抜けたマイクロ飛沫が飛び交う空間。
    混雑した通勤電車よりもリスクが高いと思います。

    ・・・いや、静かなときは静かなのです。
    こんな時期ですから、マナーを守って、乗り物の中では沈黙している人のほうが多いだろうとも思います。
    でも、世の中の人全員に、同じマナー、同じ意識を期待するのは難しい。

    先日、ネットを見ていたら、何かの記事のコメント欄に、
    「珠算教室の先生が、自粛明けに教室が再開したら人が変わったように神経質になっていて、小言や愚痴が多くなったので、うちの子は嫌気がさしてやめた」
    といったものがあり、ゾッとしました。
    今の時期は、もうコロナ禍は去ったような気分でいる人と、3月・4月の用心深さのままでいる人とが、同じ社会で生きていかねばならないので、軋轢も摩擦も多いと思います。
    注意は勉強のことだけにしたいのに、本当にくだらないことを注意しなければならないときは、私自身、気が滅入ります。
    もっと机の端に寄り、2メートルの距離を保ちましょう、とか。
    ノートなどの手渡しのため接近するときには無言でお願いします、とか。
    それを「人が変わったように神経質」と呼ぶ人もいるかもしれません。
    気をつけないと。


    とりあえず、山へ行くのはもう少し保留することとして、休日は部屋の片づけをしたり、山の本を読んだりしています。
    先日購入し、あっという間に読み終わったのが、山田哲哉著『奥多摩 山、谷、峠、そして人』です。
    山岳雑誌『山と渓谷』に今年の1月号まで連載されていたエッセイをまとめた本です。

    このブログのタイトルから想像される通り、私は、山岳雑誌は『山と渓谷』派で、年間購読しています。
    雑誌が届くと、まずは最初の特集記事からパラパラとめくり、あ、面白そう、あとで読もうと先送りにし、結局、一番最初に読むのが、この連載でした。
    雑誌の巻末近くの地味なエッセイ。
    最初はそうした印象で、読まなかった回もあったと思うのですが、何しろ知っている山・歩いたことのある山のことが沢山出てくるのです。
    笠取山。棒ノ折山。浅間尾根。小河内峠。生藤山。三国峠。三頭山。雲取山。川苔山。飛竜山。御前山。高水三山。笹尾根。天平尾根。蕎麦粒山。鷹ノ巣山。雁峠。馬頭刈尾根。大岳山。
    自分が歩いたことのある山のことを読むのは何でも面白く、だから、私のつたない山の記録でも読んでくださる方がいらっしゃいます。
    それが、この本に記されているのは、今から50年ほど前の、著者が中学生から高校生だった頃の思い出の山歩きなのです。

    1954年武蔵野市生まれの著者の中学生から高校生の頃の山歩き。
    60年代後半から70年代前半の奥多摩。
    今の奥多摩の、植林の中の暗い山道ではなく、カヤトの原の広がる道。
    鹿の食害がなく、季節ごとにアツモリソウ、オダマキ、ヤナギラン、マツムシソウの花々が咲き乱れる奥多摩。

    地形を知っている山の、でも、今は残っていない風景。
    それを思い描きながら、遠い昔の山を、自分も歩いた気持ちになれる本です。
    私の持っている一番古い奥多摩の登山地図には、鷹ノ巣山の山頂直下に「お花畑」と記されてあります。
    今は何も咲かないあの急な坂道。
    あそこは、ヤナギランのお花畑だったのだそうです。
    それを読むと、広い石尾根の防火帯に咲くヤナギランの中を歩いたことがあるような気がしてきます。

    いや、しかし、思い出の山というだけなら、途中で飽きてしまったのかもしれません。
    結局、その頃の奥多摩を、私は知りません。
    挿しはさまれる現代の奥多摩の描写が、さらに興味深いのです。

    この数年、奥多摩にはさまざまなことがありました。
    例えば、2014年2月半ばの大雪。
    山梨県周辺は未曽有の大雪で電車も高速道路上の車も立ち往生となり、大変な数日を過ごされた方が多かったと思います。
    奥多摩も雪に閉じ込められ、全てが不通となりました。
    20代の小屋番が1人で留守番をしていた雲取山荘は、ひと月ほど孤立したそうです。
    3月になってようやく青梅警察署の山岳救助隊が丸2日をかけて雲取山荘にやってきたとのこと。

    この記述を読んで、私はこの直後に雲取山に登ったことを思い出しました。
    3月5日(水)、奥多摩~丹波間のバスが復旧。
    3月7日(金)、警察関係者30名ほどが訓練のため山に入り、雲取山の鴨沢コースにトレースがついた。
    山の情報サイトでそれを知って、私は3月9日(日)・10日(月)に登りました。
    あれは訓練ではなく、山岳救助だったんだ・・・。
    ちらっと『山と渓谷』の記事で読んだことはあったのです。
    雲取山荘の小屋番からのSOSは、まず小屋関係者に届きました。
    しかし、鴨沢コースは登山口に行くことすら困難。
    そこで、三峰神社から小屋関係者が登ろうとしたけれど、胸までの雪に断念。
    その後、警察が出動した。
    そうした経緯を記事で読んでいました。
    やはり、訓練ではなく、本番だったんですね。
    訓練を兼ねて小屋番の様子を見に行こう、ということだったのかもしれませんが。
    本当に緊急のことなら、ヘリで救助したでしょうから。
    雲取山まで、30人規模で交替でラッセルしても2日がかりだったそうです。

    あのとき、七ツ石山手前から雲取山の山頂までは、青空の下、素晴らしく広いトレースが続いていました。
    あの雪道は楽しかったと今も思い出します。
    雲取山荘に宿泊しましたが、スタッフも何人もいて、客が少ない以外は、普段通りの雲取山荘でした。
    警察関係者と一緒に、スタッフも登ったのかもしれません。

    2014年3月の終わりに、私は川苔山も歩きましたが、それでもまだ凄い雪で、山頂の道しるべは、文字板のすぐ下が雪に埋まっていました。
    鳩ノ巣駅からの一番易しいコースで登っても、やはり人が少なく、静かな山でした。
    あの年、川乗橋からの谷沿いのコースは、木橋が崩落し、また雪崩の恐れもあり、長く通行禁止でした。

    あの大雪で多くの鹿が死に、その年の春は、奥多摩にも珍しい花がぽつぽつと見られたそうです。
    鹿は、雪が深いと歩くことができず、死んでしまうのだそうです。

    読み進めていくと、ここ数年の山のことが思いだされます。
    自分の体験と本の記述とがしばしばオーバーラップします。

    そういえば4月に雪が降った年がありました。
    街でも毎朝氷点下になった冬もありました。
    午前中は給湯器が凍結して、お湯が出なくて困りましたっけ。
    ここ数年のことなのに忘れかけていたことが、よみがえってきます。

    2014年の大雪。
    そして、2019年の台風。

    自然の猛威により登山道は崩落し、しばしば通行止めとなりました。
    それでも、人気のある登山道はその都度修復されていきました。
    しかし、修復が難しいこともあるようです。

    道だけでなく、さまざまなことが変わりました。
    2019年、奥多摩町が、老朽化した奥多摩小屋の撤去に伴う予算を計上したとの記述があります。
    鴨沢から雲取山へと向かう登山道の中でも広く歩きやすく風景が圧巻の場所に立つ奥多摩小屋がもう機能していないのだそうです。
    では、テント場も、使用禁止となるのでしょうか?
    管理人がいない場所でのテント泊は禁じられることが多いのです。
    今は若い人を中心にテント泊が流行しています。
    コロナ禍が収束しない限り山小屋泊りは難しいですから、1人用テントで泊まる計画を立てている人は多いと思います。
    あそこが使用できないとなったら、どうなるのでしょう。
    私自身は、雲取山に登るときには毎回雲取山荘に泊まっていましたが、いつか、春秋の気候の良いときに奥多摩でテント泊をしたいと思っていました。
    そんなに困難な計画でもないので、老後の楽しみのような気持ちでいました。
    そのときのテント場は奥多摩小屋前と決めていたのですが。

    奥多摩小屋で「仙人」と呼ばれた名物管理人のことも、この本には書かれています。
    登山者の様子をよく見ている人だったのだと短い記述でも感じます。
    私は小屋前を通りかかったときに作業中のその人と目があって挨拶した思い出があります。
    明らかに雲取山荘に泊まって下山する時間帯に小屋の前を通り、普通のサイズのザックに普通の山服で普通に歩いている登山客に対しては、会釈もしてくれなかったですが。
    しかし、興味を持たれなかったのは、この場合、良いことだと思っています。
    登山客として問題なかったということですから。

    以前、奥多摩の警察関係者の方の書いた本で読んだのですが、この仙人は、管理人を辞めた後、奥多摩の山中に独りで小屋を建ててひっそり暮らしていたとのこと。
    でも、それが関係者に見つかって、また行方がわからなくなったとのことでした。
    知り合いに対してすら、それなりに気難しい・・・。

    この方が管理人を辞めて以後の奥多摩小屋のことを、この本で初めて読み、つらい気持ちになりました。
    でも、また何か新しい動きが起こらないかな。
    あのテント場は、奥多摩町にとっても貴重なもののはずだから。
    そんな少しの希望も抱いて、本を読み終えました。

      


  • Posted by セギ at 15:35Comments(0)

    2020年06月24日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞としての than。


    今回は、関係代名詞の than の話。

    しかし、これは as とは違い、空所補充問題ではそんなに悩まない人もいるかもしれません。
    例題で確認しましょう。

    問題 次の空所を埋めよ。
    (1) The next war will be more cruel (  ) can be imagined.
    次の戦争は想像もできないほど残酷なものだろう。

    (2) There is more space (  ) is needed.
    必要以上のスペースがある。

    正解は、
    (1) The next war will be more cruel (than) can be imagined.
    (2) There is more space (than) is needed.
    です。

    空所の前に比較級があるので、答は than だろうと推測し、それで正解できる人も多いと思います。
    むしろ、(  )の後ろをいちいち見ない雑な解き方をする人のほうが、簡単に正解するということもありそうです。
    文法的な見方をある程度する人のほうが、案外こうした問題で悩んでしまうでしょう。
    何だ、いつもの than じゃないか、と埋めようとして、手が止まります。
    いつもの than は接続詞です。
    接続詞は、SやOにはなりません。
    (  )の後に、主語がない・・・。
    これは、than ではないのでは?

    あれこれ悩んで、
    (1) The next war will be more cruel (that) can be imagined.
    (2) There is more space (that) is needed.
    としてしまう人もいます。
    先行詞を最上級の形容詞が修飾するときは that だから、比較級でも that かな?
    そんなふうに誤解してしまうのでしょう。

    than という関係代名詞があることを知っていれば、そんな誤答をせずに済みます。
    関係代名詞は、従属節の主語の働きをしますから。

    細かい文法分析はどうでもいい、正解できればいいという考え方もあると思いますが、空所補充問題ならそれで良くても、乱文整序問題では、 than が関係代名詞のときもあることを知らないと、上手く並べられないかもしれません。
    まして、以下のような問題の場合、かなり困惑すると思います。

    問題 次の英文に文法的に誤りがあれば指摘して改めよ。誤りがない場合は解答欄に〇をつけよ。
    (1) The next war will be more cruel than can be imagined.
    (2) There is more space than is needed.

    空所を補充しろと言われたら深く考えずに than を入れる人も、この英文を改めて読むと違和感があるかもしれません。
    あれ?
    何かおかしくない?
    than の周辺に何か単語が足りなくない?
    そうだ。主語が足りないんだ。

    わかった。
    (1)は、(誤) than  (正) than we
    (2)は、(誤) than  (正) than it

    そう思う気持ちもわかります。
    (1) The next war will be more cruel than we can be imagined.
    (2) There is more space than it is needed.

    は、これはこれで正しい文です。
    これらの than は接続詞の than です。

    しかし、than には関係代名詞の than があります。
    関係代名詞節の中で、主語の働きをします。
    だから、主語を補わなくても良いのです。
    したがって、上の問題の正解は、(1)〇 (2)〇 です。

    もっとも、こんなひどいひっかけ問題は通常作られません。
    こういう問題こそ、ひっかけ問題というのです。

    ただ、than が関係代名詞として使われることを知らないと、長文を読む際にも、このあたりのことでモヤモヤして、文意が上手く取れない人もいるかと思います。
    やはり、知識を身を助けます。

    なお、さらに面倒くさいことを述べるなら、
    (1) The next war will be more cruel than can be imagined.
    (2) There is more space than is needed.
    の than も、接続詞と見ることが可能です。
    従属節では、代名詞の主語は省略できるのです。
    だから、この文の than は接続詞で、その後の we や it が省略されているだけとみなすこともできます。
    その見方でも、上の問題の正解は、(1)〇 (2)〇 です。


    上の2つは、than が関係代名詞の中で主語の働きをしていましたが、than は目的語の働きもします。

    He didn't accept more money than he really needed.
    彼は、本当に必要なお金以上は受け取らなかった。

    この than は、目的格の関係代名詞と見ることもできますし、接続詞と見ることもできます。
    どちらにしても文意は同じですので、こんな場合は、接続詞と関係代名詞の区別をしなくてもよいのです。


    ここからは余談ですが、上の説明の途中で、than とthat とが同じに見えて、「うん?」となった人はいるでしょうか。
    実は私も書いていて、うっかり書き間違い、慌てて直しました。
    than と that はスペルが似ているので、四択問題で目が迷う、という人もいるようです。

    than と then とを見間違う中学生にも多く出会います。
    then とthem とを見間違う子もいます。

    英語は似ている単語が多いから嫌だと言う子がいます。
    アルファベットは26文字しかないので、その順列で考えたら似ているものが多数あって当然です。
    一瞬見間違っても、すぐに気がつくのなら特に問題はありません。
    たいていは、文脈上こういう単語が出てくるだろうと推測しながら読むので、正しい単語に見える場合が多いです。
    difficult と different。
    invite と invent。
    これらも見た目が少し似ているので混同しやすいですが、文脈判断で読み分けることがおおむね可能です。
    むしろ、こうした単語は、意味を取り違えて覚えてしまい、以後ずっと誤用し続けることのほうに注意が必要です。

    また、見た目は全く似ていないのに、中学生が混同しがちなのが、famous と popular。
    popular を訳すときに「有名な」としてしまう子は多いです。
    popular は「人気がある」で、famous が「有名な」です。

    「それ、同じじゃね?」
    と生徒に言われたことがあります。
    いや、人気は全くないけど有名な人はいますよ。
    大きな事件の犯人とか。
    そう説明すると、こちらが逆にびっくりするほど覚醒した表情になり、納得していました。
    本当は、大きな事件の犯人に famous という形容はしないと思いますが、「有名人」イコール「人気者」ではないので、そこらへんの混同は避けたいところです。
    英語と日本語と、その単語の語義の範囲が完全に一致することはまれなので、popular を「有名な」と訳すのは本当にダメなのかというところから考えを深めてくれたら、それはむしろ嬉しいことですが。

    似通ったスペルの単語や、似通った意味の単語は沢山あります。
    混乱しやすいのはわかります。
    しかし、それも程度問題で、以前、father と family の識別のできない子に出会ったことがあります。
    fa しか同じじゃない・・・。
    ここまでくると、英単語を識別する意思の問題なのか能力の問題なのかと、教えていて悩むところです。
    house を「ホーム」と読む子もいました。
    house というスペルのどこに「ム」と読む要素があるの?
    そう問いかけ続けても、あまり効果がありませんでした。
    一度混同してしまうと、本人の意思とは関係なく、混乱は続くのです。
    最初に正しく覚えることが、きわめて重要です。

    スペルをよく見なさい、というのもまた誤解のもととなることがあります。
    should を「ショウルド」、could「コウルド」、would を「ウオウルド」と読む子もいました。
    それは、スペルに沿いすぎる・・・。
    そのエルは読まないエルなんですよと説明しても、なかなか治りませんでした。

    英検などの面接試験で、あるいは今後実施される予定の都立高校入試の英語スピーキング試験で、発音のことを苦にして悩んでいる子もいるかもしれません。
    面接試験があるから英検は受けない、と断言する子もいます。
    子どもだけでなく、日本人はおおむね英語の発音に自信がない・・・。
    しかし、スピーキングテストで問われるのは、発音だけではないのです。
    発音は、採点対象のほんの一部分です。
    採点基準が発音だけになったら、大半の子は得点できません。
    ギリギリ通じる音であればよいのです。
    問われるのは、should を「ショウルド」とは読まない英語力。
    house を「ホーム」とは読まない英語力。
    father と family を読み分けることのできる英語力。
    そして、発音よりも、問われたことに正確に返答できる英語力。
    自分の伝えたいことをある程度の内容のある英語で説明できる英語力。
    スピーキングテストは、内容を重視すれば大丈夫なのです。
    しかし、発音を気にする子は、一刻も早くテストの場から逃れたいと思うのか、本来の能力よりも数段劣る「痩せた英語」でその場をごまかしてしまうことがあります。
    得点が低いのは、発音のせいではなく、内容のせいなのです。

      


  • Posted by セギ at 12:24Comments(0)英語

    2020年06月21日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。



    今回の学習内容は、数Ⅱ「図形と方程式」の中の、直線の方程式です。

    直線の方程式の求め方は、中学2年の「1次関数」で学習しています。
    例えば、こんな問題。

    問題 点(6,-1)を通り、傾きが-1/2の直線を求めよ。

    まずは、中学生の解き方で解いてみましょう。
    直線の式は、1次関数です。
    1次関数の一般式は、y=ax+b。
    このaとbには具体的な数字が入り、個々の直線の式を表します。
    aは傾き。bは切片。
    今は傾きが-1/2とわかっていますので、a=-1/2です。
    これを一般式に代入して。
    y=-1/2x+b。
    ところで、点(6,-1)はこの直線上の点なのですから、この点のx座標とy座標は、上の式の関係を満たします。
    x=6、y=-1 を代入して、上の式が成り立つということです。
    では代入しましょう。
    -1=-1/2・6+b
    -3+b=-1
    b=2
    よって、求める直線の式は、 y=-1/2x+2 です。

    数学が苦手な子は、こういう問題の作業手順だけ覚える傾向があり、しかも、1つ1つ手順を踏まず、一気に全部代入して解く子も多いです。
    最初は意味がわかったうえでそうするのでしょうが、意味はたちまち後退し、単なる作業手順になります。
    「1次関数」が範囲の定期テストが終わってひと月も経てば、こんな基本問題も、どうやって解くのか曖昧になります。
    復習しようと自分のノートを見直しても、何もかも一気に代入した、
    -1=-3+b
    という式が唐突に書いてあるだけなので、何をどうしたのか、自分でもわからなくなってしまいます。

    また、応用問題を解くときに、上の問題と同じ考え方で、点の座標がわかれば直線の式を求められるという発想を持つことができず、座標平面と図形の問題は歯が立たない子も多くいます。
    手順だけになってしまい、意味がわかっていないからなのでしょう。
    「意味がわかるようにノートをとっておくといいよ」
    「代入は一気にやらず、まずy=-1/2x+bの式を立てて、それから点の座標を代入すると、後で意味がわかるよ」
    と繰り返し助言しますが、聞いてくれない子もいます。
    説明を聞いた直後なので、そのときは意味がわかるから大丈夫と思うのでしょう。
    今はわかっても、明日はわからないかもしれないのに。
    記憶なんて、すぐに消えてしまいます。
    単なる操作は、意味を伴っていなければ記憶に残ることは少ないのです。

    意味がわかるように答案を作っていくこと。
    数学の記述答案で必要とされているのは、とりあえず、それです。
    どういう考え方で、何の定理や公式を用いて、どう解いているのかを示しながら解いていく。
    中学の間はそれがなくてもある程度許されますが、高校数学になると記述答案としての体裁が整っているかが答案として重要となります。
    数学の答案なのに日本語が多くなり、「何で式と答えだけじゃダメなんだろう?」と不満を感じる子もいると思います。
    しかし、1週間も経てば、自分の立てた式の意味さえ自分でわからなくなるのが高校数学の答案です。
    塾の宿題の答えあわせでも、
    「どうやって解いたの?」
    と質問すると、絶句する高校生が多いのです。
    「・・・とにかく、答案を1行目から読んでみて」
    と声をかけても、絶句しています。
    書いた本人が全く意味がわからないので、読み上げることもできない。
    そんな状態の様子です。

    そんな状態なのに、答案を読む採点者に、「式の意味はおまえが判読しろ」、「そして採点しろ」、「部分点くらいよこせ」、と言っても、無理です。
    ヒントをください。
    どういう考え方でその式を立てたのか、式の前に1行でいいから説明をください。
    そうすれば、たとえ誤答だとしても、全くの勘違いによる式なのか、代入ミスなのか、判断することができます。
    採点者が求めているのは、そういうことです。
    そして、それが記述答案の根本です。

    記述答案を書かねばならないと納得しても、今度は、ルールがわからない、ここはどう書くの、ここはどうするの、と不安になり、1行も書けない子がいますが、絶対の形式があるわけではありません。
    大切なのは、読む人の立場になって書くこと。
    それは、結局、時間が経過した後の自分が読んでも意味がわかるということ。
    ルールは、究極、それです。


    さて、問題に戻りましょう。
    問題 点(6,-1)を通り、傾き-1/2の直線の式を求めよ。

    高校数Ⅱは、これを一気に解く公式を学びます。
    点(x1,y1)を通り、傾きがmの直線の式は、
    y-y1=m(x-x1)

    この公式の証明は簡単です。
    求める直線の式を、
    y=mx+n ・・・➀
    と表します。
    この直線は、点(x1,y1)を通るのですから、
    y1=mx1+n ・・・➁
    が成り立ちます。
    ➀-➁をすると、
    y-y1=(mx+n)-(mx1+n)
    y-y1=mx-mx1
    y-y1=m(x-x1)
    これが公式です。

    点(6,-1)を通り、傾き-1/2の直線だから、
    y-(-1)=-1/2(x-6)
    y+1=-1/2x+3
    y=-1/2x+2

    これで、公式のバージョンアップが行われたことになります。
    しかし、これがなかなか厄介で、中学時代の解き方を手放せない子が現れます。
    作業手順だけ丸暗記するタイプの子なら、この新しい公式も丸暗記して使えば良いようなものですが、なかなかそう簡単にはいきません。
    何度も忘れては覚え直すことを繰り返してようやく作業手順を覚えた中学生の解き方を、そう簡単には手放せないのでしょう。
    高校の公式を使えば秒殺の問題を、何だかあれこれ迷い、思い出しながら解いているので、何をしているのかなあとノートを覗くと、中学の解き方で解いている。
    そういう光景に何度も遭遇しました。

    本人にバージョンアップしたい気持ちがないわけではないのです。
    でも、覚えられない。
    中学の頃は、この直線の式の求め方だけで学校の授業は1~2時間使ったし、学校のワークもそれだけで2ページくらいぎっしり問題があって沢山練習できました。
    高校の授業は、新しい公式がさっと出てきて、スッとすぐに次の公式に進んでしまいます。
    高校から配られている問題集も、この公式の練習問題は小問が5~6問程度です。
    定着しないうちにスルスルと先に進んでしまいます。

    定期テスト前にまとめて丸暗記しよう、あるいは、中学の解き方でも答は出るからいいじゃん、と思って先に進んでいくと、しかし、えらい目にあいます。
    その先、問題が複雑になったときに、学校の問題集の解説を読んでも、意味がわからないのです。
    何でこんな式が唐突に立てられているのか、意味がわからない。
    解説が3行くらいすっ飛んでいるような気がする。
    記述答案は意味がわかるように書けって言ったくせに、模範答案であるはずの問題集の解答解説の意味がわからないってどういうこと?

    ・・・・公式を覚えていないからなのです。

    応用問題の中で、基本公式の意味を逐一解説することはありません。
    点(6,-1)を通るから。
    丁寧な解説でも、それくらいの1行しか書いてありません。
    それで記述答案としては十分です。
    それで意味がわからないのは、公式を覚えていないからなのです。
    解説を読んでも意味がわからない場合の大半は、本人が公式や定理を覚えていないことに原因があります。

    高校数Ⅱはこれから、怒涛の公式ラッシュが始まります。
    数学が苦手だけれど、大学受験のために数Ⅱのマスターがどうしても必要な場合、独りで勉強するのが苦しいのはこの点です。
    公式の解説だけなら、塾に行かなくても、ネットに沢山解説が上がっていますし、動画もあります。
    しかし、いざ自分で問題に取り組むと、その問題集の解答解説を読んでも意味がわからないことが多いのです。
    模試の問題も、解説を読んでも意味がわからない。
    使っている公式が何なのか、わからないからなのです。

    どの公式を覚えていないから、その状態なのか。
    どこからつまずいているのか。
    それすら、自分では、わからないのです。
    そうして、今度こそ、意味をしっかり理解しようとしても、意味がわからない。
    今まで、意味を無視してきたのですから、高校数学になって急に意味を読みとろうとしても、理解するための基盤がないのです。

    数Ⅱ「図形と方程式」がわからない高校生の多くは、中学の図形分野だけでなく関数でもつまずいている場合が多いです。
    そうした場合は、点の座標と直線の式との関係など、根本が理解できていない可能性があります。
    なぜ点の座標を直線の式に代入できるのか、その根本がわかっていない子は沢山います。


    今回、公式はもう1本。
    点(x1,y1),(x2,y2)を通る直線の式は。
    y-y1=y1-y2/x1-x2 (x-x1)

    これは、上の y-y1=m(x-x1) という公式の傾きの部分を、
    y1-y2/x1-x2 としたものです。

    中学で学習した直線の公式 y=ax+b のaは、直線の傾きでした。
    直線の場合、傾きは、「変化の割合」と等しいのでした。
    「変化の割合」は、 yの増加量 / xの増加量 で求めることができました。
    だから、直線の傾きは、y1-y2/x1-x2 です。


    この説明がすんなり理解できない場合、中2「1次関数」で忘れていることが多いと思います。
    やり方や作業手順だけ覚えているが、意味を忘れている・・・。
    そのような状態であるため、高校数学の公式の意味や説明が理解できないのです。

    本当は、そうなる前、出来れば中学生のうちに、数学の学習姿勢を変えてほしかった。
    でも、それが出来ないまま、高校2年になってしまったなら。
    何もかもがわからない状態であると、気づいたのなら。
    戻りましょう。
    答の多くは、中学数学にあります。

      


  • Posted by セギ at 14:19Comments(0)算数・数学

    2020年06月18日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞としての as。


    今回もマイナーな内容。
    そんな関係代名詞あったっけ?と思う人もいるかもしれません。
    本来は接続詞である単語が、関係代名詞として用いられることがあります。
    これを疑似関係代名詞といいます。
    as, than, but がそうです。

    今回は、as を見ていきましょう。

    ◎the same A as ~ 「~と同じA」
    これが一番メジャーですので、これだけでも覚えてください。

    This is the same watch as my father gave me.
    これは、父が私にくれたのと同じ時計だ。

    as は、関係代名詞節の中で、主語・目的語・補語の働きをします。
    また、as は that で言い換えることが可能です。
    自分で英文を作る場合は that でもいいですが、四択問題の選択肢の中に that がない場合、何を入れてよいかわからなくなる人は多いと思います。
    the same A as ~ で覚えましょう。

    ◎such A as ~ 「~のようなA」
    I want to paint such a beautiful picture as I saw in the museum.
    私はその美術館で見たような絵を描きたい。

    これは、so を使って言い換えることも可能です。
    I want to paint so beautiful a picture as I saw in the museum.

    「such a 形容詞+名詞」=「so 形容詞 a 名詞」の語順は、今回の文法事項と直接関係はないのですが、乱文整序問題になると繰り返し間違う人が多く、メインの文法事項とは関係ないところで失点してしまいます。
    such は、名詞を修飾していますが、so は形容詞を修飾する副詞なので、直後に形容詞を伴うのです。
    そのような細かい理屈はさておき、正しい語順を幾度も口慣らしして、覚えてしまうのが良いと思います。
    自分の作った間違った語順の英文の記憶のほうが強くなる前に正しく覚えてしまうのがコツです。


    such は名詞を修飾するので、形容詞が使われていない用法もあります。

    Choose such friends as will listen to you quietly.
    あなたの言うことを静かに聞いてくれるような友人を選びなさい。

    いずれの場合も、関係代名詞 as は that に書き換えが可能です。


    ◎前の節の一部または全部を受ける as
    He was in the hospital for two weeks, as was expected.
    予測されたことだったが、彼は2週間入院した。

    これは、
    He was in the hospital for two weeks, which was expected.
    と書き換え可能です。
    前の節全体を受ける which です。
    which を用いたときは、このように必ず主節の後ろに置きますが、as を用いた場合は、主節よりも前に置くことが可能です。
    むしろ、主節よりも前にくるほうが多いと思って大丈夫です。

    As everyone knows, it is harder to write interestingly about a good person than about a bad person.
    誰もが知っていることだが、悪人についてよりも善人について興味深く書くのは難しい。

    こうなると、この as は接続詞の as と何が違うんだろう、と思いますね。
    上の文を「誰もが知っているように」と訳しても、文脈上も特に違和感は起こりません。


    ◎ as is often the case with A 「Aにはよくあることだが」
    これはテストによく出ます。
    慣用表現として覚えるべき重要表現ですが、この as も関係代名詞です。
    上で説明した、主節の一部または全部を受ける as です。

    As is often the case with Tom , he was late for school today .
    トムにはよくあることだが、彼は今日学校に遅刻した。

    これは、as is usual with A という慣用表現もあります。
    同じ意味です。
    あわせて覚えてください。


    ◎as A as B 「Bと同じくAである」
    He is as wise a man as ever lived.
    彼はとびぬけて賢い男だ。

    ・・・うん?
    どこかで見たような?

    そうです。
    「比較」のところで学習した as ~as ever です。
    この後ろのほうの as は、文法的には関係代名詞だったのです。
    では、前のほうの as は何か?
    副詞です。
    so と同じ働きをする as です。


    関係代名詞の as は、このように他の文法事項で出てくることもあります。
    また、文法学習として「関係代名詞」の章ではそんなにスペースを割いて説明されないため、記憶に残りにくいかもしれません。
    しかし、高校2年や3年になって、入試演習的な学習に入ると、解けなかった問題の答がたいてい as で、正体がよくわからず困惑することがあるようです。
    そういう as があるとしっかり認識し、あとは慣用表現的に覚えてしまえば大丈夫と思います。



    as が苦手な人を見ると、学習者としての視野、ということを考えます。
    「こんなのテストに出ない」
    「どうせこれが答だろう」
    といった決めつけで問題を解くので、繰り返し間違っているにも関わらず記憶に残らない。
    学習する際の視野が狭いのだと思うのです。
    答えは as の可能性もあると思って問題を解いている人と、関係代名詞 as が念頭にない状態で解いている人とでは、正答率が違って当然です。


    こうしたことは、英語を学習したばかりの頃から起こります。
    中学英語で確認してみましょう。

    問題 次の空所に適切な語句を補充しなさい。
    (1) (  ) you playing tennis with your friend at that time?
    (2) (  ) you visit the town yesterday?
    (3) (  ) you reading a book now?

    英語が得意な人にとっては、何でもない問題です。
    正解は、
    (1) (Were) you playing tennis with your friend at that time?
    (2) (Did) you visit the town yesterday?
    (3) (Are) you reading a book now?
    です。

    ところが、過去進行形を学習したばかりの中学生がこの問題を解くと、
    (1) (Were) you playing tennis with your friend at that time?
    (2) (Were) you visit the town yesterday?
    (3) (Were) you reading a book now?

    と、全部 were を入れてしまいがちです。
    今は過去進行形の勉強をしているんだから、全部過去進行形だろう、と決めつけて問題を解いているのです。
    本人の中で、問題に対するそうした決めつけがあるのだと思います。
    解答を考える際の視野が狭いのです。
    どうせ were だと思って解いているので、did や are が視野に入っていないのです。

    小学校で学習する問題はどの教科も何の癖もなく平易であるため、中1や中2では、まだそこから脱却できていないのかもしれません。
    中学校から配布される教科書準拠ワークも、何でも were を入れれば正解になるような単純な問題が並んでいるものもあります。
    せいぜいで、were と was の使い分け問題。
    どのような学力の子でも解答集を見れば意味がわかる教材というと、そういうレベルになってしまうのも否定できません。
    簡単過ぎて練習にならない・・・。
    そんな問題ばかり解いていると、勉強しているときに頭を使わなくなる子がいます。
    勉強しているときに頭を使わない。
    単純作業としてただ空所を埋める。
    そんな学習姿勢になってしまう子がいます。

    後に都立自校作成校に合格した子で、中2の段階ではまだ上のように何でも were を入れている子がかつていました。
    小学生のような心の在り方からなかなか脱皮できず、ハキハキと間違い続け、正解を聞くと、
    「ひっかけだ・・・」
    とぼやくことを繰り返していました。
    まだ、ゆとり教育の気配が濃厚な頃でした。
    ひっかけだ。
    騙された。
    こういう問題は、問題が悪い・・・。

    そのような認識をしている間は、何度でも「新手の詐欺」にあいます。
    答は全部 were かもしれないけれど、そうではないかもしれない。
    そのように意識を変え、視野を広げて問題に取り組めば、were ばかりが答とは限らないことに気づくのです。
    時制を学習しているのですから、新しい時制を学んだら、それまで学習した時制との使い分け問題も出題されます。

    精神的成長とともに、どうにかそうしたことを理解できるようになり、高校入試に間にあいました。

    学力的に、全部 were を入れるので精一杯なのではないか?
    そのように思われる子でも、問題を解く前に、
    「これは、いろいろな時制の使い分け問題ですね。答は過去進行形とは限りません」
    とヒントを出すと、全問正解できます。
    そのヒントを出されなくても、自力でその判断ができれば良いだけなのです。
    それは、本人の意識の問題、視野の問題です。
    それこそが学力ということでもあるのですが。

    勉強しているときは、頭を使いましょう。
    単純作業で問題を解かず、あらゆる可能性を考えましょう。

    関係代名詞には、as もあります。
    そのように視野を広げて問題を解けば、正答が増えていくと思います。
      


  • Posted by セギ at 11:29Comments(0)英語

    2020年06月16日

    2020年度夏期講習のお知らせ。


    2020年度夏期講習のお知らせです。

    書面でも今週より配布を始めましたが、今年度の夏期講習は中止といたしました。
    7月・8月ともに通常授業を行います。

    学校が休みなので、早い時間帯に変更したい。
    1学期の総復習、あるいは受験勉強をしたいので、コマを増やしたい。
    そうした方のために、コマ移動・コマ追加を承ります。
    移動・追加可能なコマは、火曜日から金曜日までの、
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    となります。
    移動された方の夜の時間帯のコマも移動可能なコマとして、随時このページでお伝えいたします。

    7月1日よりお申込みを承ります。
    メールまたはLINEでお申込みください。
    受付順にご予約となります。

    ◎費用
    月額 1コマ90分4,000円×受講回数+諸経費5,000円

    ◎指導科目
    小学生 一般算数・受験算数・国語・英語
    中学生 数学・英語
    高校生 数学・英語

    ◎中3受験講座
    土曜教室を今年は8月より開きます。
    都立高校受験を目指す中学3年生限定です。
    科目は、国語・社会・理科の3教科です。
    英語・数学で個別指導を受講されている方限定の講座ですので、土曜教室だけの受講はできません。
    時間は、
    毎週土曜日
    国語 12:00~12:50
    社会 12:55~13:45
    理科 13:50~14:40
    費用は、
    3科目 月額15,000円となります。
    お申込みは、メールでお願いいたします。
    ご不明な点は、お気軽にお問合せください。


    ◎空きコマ状況 7月10日現在
    7月13日(月)
    16:40~18:10
    7月14日(火)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30 , 16:40~18:10 , 20:00~21:30
    7月15日(水)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50
    7月16日(木)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    7月17日(金)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    7月20日(月)
    16:40~18:10
    7月21日(火)
    13:20~14:50 , 15:00~16:30
    7月22日(水)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    7月23日(木)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    7月24日(金)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50
    7月27日(月)
    16:40~18:10
    7月28日(火)
    13:20~14:50 , 15:00~16:30
    7月29日(水)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30 , 16:40~18:10
    7月30日(木)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    7月31日(金)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 16:40~18:10
    8月4日(火)
    13:20~14:50 , 15:00~16:30
    8月5日(水)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30 , 16:40~18:10
    8月6日(木)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    8月7日(金)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50
    8月11日(火)
    13:20~14:50 , 15:00~16:30
    8月12日(水)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50
    8月13日(木)
    11:40~13:10
    8月14日(金)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50
    8月15日(土)
    18:20~19:50
    8月18日(火)
    13:20~14:50 , 15:00~16:30
    8月19日(水)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50
    8月20日(木)
    11:40~13:10
    8月21日(金)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50
    8月22日(土)
    18:20~19:50
    8月25日(火)
    13:20~14:50 , 15:00~16:30
    8月26日(水)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    8月27日(木)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30
    8月28日(金)
    11:40~13:10 , 13:20~14:50 , 15:00~16:30



      


  • 2020年06月14日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。座標平面上の点の座標と内分・外分。


    数Ⅱ「図形と方程式」、今回は2回目です。
    前回は、数直線上の内分点、外分点の座標の求め方を学習しました。
    今回は、座標平面上の線分の内分点・外分点の座標の求め方です。
    まずは上の左の図を見てください。
    座標平面上に点A(x1,y1)、点B(x2,y2)があります。
    この2点を結んだ線分ABをm:nに内分する点Pの座標を考えます。

    斜めになっているけど、何とかして線分ABの長さを求めて、それを内分するのかな?
    三平方の定理を使えば、長さは求められるから・・・。

    そういう考え方もわからなくはありませんが、もっと簡単に求めることができます。
    これ、まずはx座標のことだけ考えましょう。
    点A、Bのx座標をx軸に記してみます。
    それぞれの点から真下に点を下ろしていくイメージです。
    上の図の赤で記したものがそれです。
    赤で示した3本の点線は全て平行です。
    したがって、平行線と線分の比から、線分AB上でm:nだったものは、x軸上でもm:nであることがわかります。
    つまり、求めたい点Pのx座標は、点AとBのx座標を内分の公式に当てはめて求めることができます。
    すなわち、点Pのx座標は、


    nx1+mx2
    m+n

    となります。

    同様に、点Aと点Bのy座標をy軸上に記して考えるなら、点Pのy座標は、AとBのy座標を内分の公式に当てはめれば求めることができます。
    点Pのy座標は


    ny1+my2
    m+n

    となります。

    以上の説明でわかりにくいところがある場合、以前に学習したことが曖昧になっている可能性があります。
    おそらく、「平行線と線分の比」のことを忘れているのではないかと思うのです。
    中3「相似」の単元で学習している定理です。
    高校で図形に関係した問題がよくわからない人は、中3の「相似」をマスターできていない場合が多いです。
    平行線と線分の比。
    三角形の相似条件。
    中点連結定理。
    角の二等分線の定理。
    三角形の辺の比と面積の比。
    これらの基本の定理を復習すると、少なくとも、問題集の解答解説を読んでも意味がわからない・・・ということが今までよりは減ってくると思います。


    問題 4点A(-2,0),B(-3,-2),C(0,-1),Dを頂点とする平行四辺形ABCDがある。頂点Dの座標を求めよ。

    座標平面について初めて学習する中学1年生の数学でも、これと同じ問題は存在します。
    中1では、点Bから点Aへの座標上の移動を読みとり、同じように点Cから点Dへ移動していることからDの座標を求めます。
    点Bから点Aへは、x軸の正の方向に1、y軸の正の方向に2だけ移動しています。
    したがって、点Cから点Dへも同じだけ移動します。
    点C(0,-1)をx軸の正の方向に1、y軸の正の方向に2だけ移動すると、(1,1)。
    よって、D(1,1)です。

    その求め方でも構わないのですが、対角線の中点の座標を利用して求める方法もあります。
    この平行四辺形の対角線はACとBDです。
    そして、平行四辺形の対角線は、それぞれの中点で交わります。
    これは、中2「三角形と四角形」の単元で学習した、平行四辺形に関する定理です。
    この定理を利用します。
    A(-2,0),C(0,-1)の中点の座標はx座標、y座標をそれぞれ足して2で割れば良いのですから、(-1,-1/2)となります。
    対角線BDの中点も同じ座標です。
    中点の座標の求め方も既習ですが、内分の公式で解いても構いません。
    これを利用して、方程式を立てます。

    D(x,y)とすると、
    -3+x /2=-1 
    -3+x=-2
    x=1

    -2+y /2=-1/2
    -2+y=-1
    y=1

    よってD(1,1) となります。

    ここまで書いていて、自分でもただし書きが多い、と感じます。
    ただし書きが多くなるのが、この「図形と方程式」という単元の特徴です。
    中学・高校の数学でこれまで学習したことを忘れていると、そこでいちいちつまずくことになるのがこの単元です。
    覚えてはすぐ忘れる学習を繰り返してきた人が、高校2年で数学が全くわからなくなる最大の理由はそれです。
    中学で学習したことも含め、これまで学習したすべてを使わないと理解できないし問題を解けない。
    そういうことが多いのです。

    次に学習する重心の座標も、そうです。

    三角形の重心。
    三角形には外心・内心・重心・垂心・傍心の5種類の点が存在します。
    それを三角形の五心と呼びます。
    中3数学でも発展的なテキストには載っていますし、高校数Aの「図形の性質」でも学習する内容です。
    外心は、三角形の外接円の中心。
    内心は、三角形の内接円の中心。
    重心は?

    三角形の頂点と対辺の中点を結ぶ線分を中線という。
    三角形の3つの中線は1点で交わる。
    この点を三角形の重心という。

    これが、重心の定義です。
    また、重心は、各中線を2:1に内分します。
    これも非常に重要です。
    中3か数Aのテキストに戻って復習すると、理解が深まると思います。

    今回学習するのは、重心の座標の求め方です。
    A(x1,y1),B(x2,y2),C(x3,y3)の三角形ABCの重心の座標は?
    まず、頂点Aから辺BCに中線を引きましょう。
    頂点Aと、BCの中点Mとを結んだ線分です。
    Mの座標は、(x2+x3 / 2 , y2+y3 / 2)。
    重心Gは、線分AMを2:1に内分する点ですから、内分点の公式にあてはめ、整理すると、

    G(x1+x2+x3 / 3 , y1+y2+y3 / 3)

    となります。

    問題 △ABCの頂点A、Bの座標はそれぞれ(4,-4),(-1,4)で、重心Gの座標は(-1,2)である。頂点Cの座標を求めよ。

    C(x,y)とします。
    公式にあてはめると、x座標に関しては、
    4-1+x / 3=-1
    3+x=-3
    x=-6

    y座標に関しては、
    -4+4+y / 3=2
    y=6

    よって、C(-6,6) です。


    繰り返しますが、図形問題が苦手という人は、それまでに学習した定理が身についていないために問題を解けないのです。
    説明されれば定理を思い出せるというのでは自力で発想することはできません。
    まして、説明されても「そんな定理ありましたか?」とポカンとしてしまうのでは、問題を解けるわけがないのです。

    センスも勿論あります。
    二等辺三角形を横たえた途端に、それが直角三角形に見えてしまう。
    正方形を斜めにすると、それがひし形にしか見えなくなってしまう。
    見取り図が平面のままに見え、立体的に把握することができない。
    三角形が線分で分割されていると、もとの三角形を認識できない。
    そうした、視覚的な課題を抱えている場合は、そうではない場合と比べれば、図形問題を解くまでに解決すべき課題が多いです。
    しかし、努力で解決できることもまた多いのです。
    図形問題が苦手な人は、図形問題を自力で解いた経験があまりないまま高校生になってしまっています。
    中学の図形問題を解いたことがないのに、高校の図形問題が解けない、解けない、と苦しんでいます。
    中学の図形に戻って復習すれば、スッキリします。

    「図形は苦手だから、捨てます」
    文系の生徒の場合、そういう決断をしてしまう人もいます。
    大学入試共通テストでは、数Aは3つの単元のうち2つを選択すればいいから、図形は捨てて、「確率」と「整数の性質」で受験します。
    そういう人は多いです。
    本当に図形が苦手で、何の望みもないのならそれでもいいのですが、「確率」も「整数の性質」も、数学センスが必要です。
    決まりきった定理を使うだけの図形問題よりも、「確率」や「整数の性質」のほうが発想力が必要で、攻略が難しく、半分も得点できない場合があります。
    特に「整数の性質」は、むしろ私はこの単元が得意な生徒に会ったことがほとんどないのですが、図形と異なり、苦手を自覚していない人が多いのです。
    「確率が苦手」「図形が苦手」という声は聴きますが、「整数の性質が苦手」という声は聞きません。
    しかし、現実には、最も得点が低いのは「整数の性質」で、ほとんど0点に近いのです。
    図形で半分得点することのほうが、むしろ可能なのではないか?
    少なくとも、図形問題を選択することが視野に入っていたほうが良いのではないか。
    そう思うことも多いのです。
    しかし、その決断をするには、図形アレルギーとでもいうものからは脱却しておく必要があります。
    普通に図形問題に対処できるようになっていないと、やはり「図形は苦手」という呪縛からは逃れられないようなのです。


      


  • Posted by セギ at 17:32Comments(0)算数・数学

    2020年06月11日

    オンライン授業を始めています。



    2020年6月8日(月)、教室にようやく光回線が通りました。
    これで、全授業をオンライン化することが可能となりました。

    咳・くしゃみ・微熱などの症状がある場合は、オンライン授業をお申込みください。
    オンライン授業への変更は当日で可能です。
    コロナ対策だけでなく、普通の風邪やインフルエンザ対策としても、お願いいたします。
    せっかく通塾いただいても、そのまま帰宅していただく場合があります。
    ご了承ください。
    なお、今まで通り、前日までのご連絡ならば振替が可能です。

    また、台風や大雪の場合は、こちらからオンライン授業への変更を提案いたしますが、休講も承ります。
    今までと同様、台風当日・大雪初日の場合は、当日のご連絡でも欠席扱いはせず振替が可能です。
    台風の翌日や大雪の2日目以降の当日欠席は、振替授業はできませんので、ご了承ください。
    ゲリラ豪雨による欠席は振替授業の対象ではありませんが、オンライン授業への変更のご希望は承ります。
    よろしくお願いいたします。

    オンライン授業初回は、さまざまな連絡が必要となります。
    遅くとも授業の当日2時間前にはオンラインへの変更をご連絡いただけると助かります。
    また、その際にはオンタイムで会話できるよう、LINEで「友だち」になりましょう。

    これまで、初回の授業はトラブルが起こることが多く、授業開始が10分ほど遅れています。
    原因の第一は、音声が通じないことです。
    私のパソコンやスマートフォンでそのような事態が発生したことがないので、原因はよくわかりません。
    「パソコンのオーディオを使用する」にチェックが入っていないことが主な原因と考えられます。
    ソフトをあらかじめ使用し、操作に慣れておかれることをお勧めします。


    近年、LINE利用が普通になっていることもあり、教室にご登録いただいているメールアドレスは、すぐには御覧にならないアドレスが多くなってきています。
    台風や大雪で休校の連絡をこちらからする場合に、なかなか返信がなく心配なことがあります。
    オンライン授業では、即レスできるツールでの連絡が必要となります。
    よろしくお願いいたします。
    なお、私のパソコンアドレスは、数日に一度チェックするアドレスです。
    急を要するご連絡は、携帯アドレスまたはLINEにお願いいたします。

    オンライン2回目以降は、授業開始15分前までにご連絡いただければ何とかなります。

    授業時間帯は、通常の授業時間帯と同じです。
    学校がなお変則的な登校が続く間は、午後の早い時間帯への移動も承ります。
    詳細はお問い合わせください。


    さて、ここからは雑感です。
    4月、コロナ禍で通塾を断念された方から、試験的にオンライン授業を始めていました。
    自転車で通うことが不可能な遠距離からの電車通学の方。
    小学生で、通塾に本人や保護者の方が不安を抱いた方。
    ウィルスの流行が収束するまで塾を休みたいという連絡があった方に、オンライン授業のご提案をしておりました。

    オンライン授業は午後の早い時間に私の自宅で行い、夜は教室で授業をするという形をとっていました。
    基本はそのようにしていたのですが、私立は普段よりむしろ遅い時間まで学校のオンライン授業があったり。
    公立も、5月後半になると、登校日が増えていきました。
    時間割は日々複雑化し、迷走しました。
    私のための教材は1部しかありませんので、自宅と教室と教材の行き来も必要で、神経を遣いました。

    教室でオンライン授業をできれば、こんな苦労はないのだが。
    しかし、その決断が遅かったのに加え、光回線の申し込みから開設までも1か月かかりましたので、完全オンライン化が遅くなりました。

    もう必要ないのでは?

    いいえ。
    私個人の感覚で言えば、むしろこれから全コマをオンライン化したいくらいです。
    これまでは、学校が休校し、さまざまな店も自粛していたので、生徒の感染の可能性は低かったのです。
    怖いのはこれからです。
    ワクチンが開発されたわけでも、治療法が確立されたわけでもないのに、なぜか気が緩み始めている人が多数。
    学校でクラスターが発生し休校という事態は、これから十分に起こり得ること。
    少しでも異変を感じたら、オンライン授業をお申し込みください。


    オンライン授業で、現時点の欠点は。
    英語の授業時にリスニングを行うことができません。
    英文科受験の高校3年生など、リスニングに重点をおいている授業では、オンライン化は現状難しいです。
    たまの1コマなら、その日だけリスニングは行わないということで大丈夫でしょう。
    音声ファイルを送り、授業時間外にリスニングを行うことは可能かと思いますが、受験学年以外は、そこまでしなくても、NHKラジオ講座などを活用して、授業とは別にリスニング力を鍛えていただければと思います。

    オンライン授業の欠点、2つ目。
    機動性。
    宿題の結果や授業中の演習の様子から判断してプリント教材をすぐに追加、ということは難しくなります。
    あらかじめ郵送したテキストやプリントでの授業となります。

    オンライン授業で「タイムラグ」を欠点に挙げる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はあまり気になりません。
    Wi-Fi環境によりますが、0.5秒ほどタイミングがズレることがあるのは事実です。
    しかし、対面授業でも、「タイムラグ」は起こるのです。
    例えば、こんな問題の答を生徒に音読してもらうとき。

    問題 次の空所を埋めなさい。
    I (  ) play tennis tomorrow.

    正解は、
    I (will) play tennis tomorrow.
    です。

    しかし、こういう問題の答えあわせは、通常大変な「タイムラグ」があり、私はそれを待つのが日常です。
    I ・・・・・・・・・・・・ will・・・・・・・play tennis・・・・・・・・tomorrow.

    宿題で解いたときにはそれでいいと思っていても、答を音読するときにまた不安になって、もう一度答を考えて確かめているのか、will を言うまでに約5秒。
    言い終わった後、本当にそれで良かったのかと、また考えているのか、次の単語を読み始めるまでに約3秒。
    そこまでは、まだ気持ちを理解できます。
    なぜか、解答とは直接関係のない最後の単語を読む前に2秒ほどのためらいがある子もいます。
    tomorrow が読めないために、ためらってしまうのでしょうか?
    しかし、他の単語のときも、最後の単語を読む前に長い間が空くことが多いのです。
    本当にこれで良かったのか、頭の中で最後の確認をしているのかもしれません。

    できれば、タイミングよく「正解!」と言ってあげたい。
    しかし、生徒がこの1文を言い終わるまでに呼吸をしないで待っていると、私は窒息します。
    生徒が、絶妙な間の悪さで tomorrow を言い終わったとき、私は、息を吐いた直後かもしれず、その後、息を吸ってからでなければ「正解」とは言えないのです。
    しかし、生徒は、自分の不可解なタイムラグには自覚がなく、一方、私が「正解」と言うタイミングが遅いと、「えっ?」と顔を上げます。

    いやいやいや、そんな顔をするのなら、もっとスラスラ読んでください。
    いつ読み終わるかわからないので、呼吸のタイミングを計れないのです。

    10代はまだ主観で生きていますから、自分のタイムラグには無自覚。
    一方、他人のタイムラグは気になるかもしれません。
    私の感想としては、普段からそうなので、オンラインのタイムラグには、特に問題を感じません。
    打てば響くような反応が必要とも思いません。
    私が指示する前に答を読み、私が「正解」と言う前に丸をつけるような子には、むしろ注意をします。
    ゆっくりでいいから、正確に。
    それで大丈夫です。


    オンライン授業の長所。その1。
    生徒の忘れ物がありません。
    これは重要なことで、例えば英語の授業で学校の教科書を忘れてきたら、その日、予習は進みません。
    数学の授業で、塾テキストを忘れてきたら、授業が先に進みません。
    学校は長い休校に入っていたので、今のところ予習ストックはありますが、学校が始まった途端、例年の倍速で進み始めています。
    学校と苛烈なデッドヒートとなったときに、生徒が教科書・テキストを忘れてきたら、そこで完全に追い抜かれます。
    コロナ禍以前ならば、私のテキストを一緒にのぞき込みながらの授業が可能でした。
    現在、生徒と私との間には、2メートルの距離があり、テキストを共有することができません。

    オンライン授業の長所。その2。
    学校の数学の進度を明瞭に把握でき、また、生徒からの質問が具体的です。
    学校の数学の教科書は、塾の授業では使わないので、持ってこない子が大半です。
    私もそのことを特に注意しません。
    進度さえわかればよいのです。
    しかし、進度を正確に説明できない子もいます。
    「『式の計算』をやっている・・・」
    うん。知っていますよ、それは。
    「式の計算」のどこをやっているの?
    しかし、その問いかけに正確に答えられない子もいます。
    学校がどこまで進んだかを覚えていない子もいれば、覚えてはいるのだがそれを正確に説明できない子もいます。
    言葉に詰まると、適当な説明でお茶を濁す子もいます。
    また、せっかくテスト範囲表が学校から配られても、それを忘れてきたら、次の授業は1週間後。
    情報の共有が何より大切と、どれだけ説明しても、子どもにはなかなかピンとこない話なのです。
    オンタイムで私が情報を得るには、生徒が家にいるのが一番です。
    そこには、すべての情報があります。
    また、教科書のこの問題がわからない、学校の問題集のこの問題がわからない、と事前に画像を送ってくれると、今までよりも質問対応がやりやすいです。

    オンライン授業の長所。その3。
    マスクなしで授業が可能です。
    室温・湿度なども本人の好みの状態の家庭内で、感染に怯えることなく、快適に授業を受けられます。
    通塾時間が不要なので、今までは無理だった早い時間の授業、または遅い時間の授業も可能と思います。

    オンライン個別指導。
    結構長所も多いのです。

    ただ、現在空きコマはありません。
    申し訳ありません。
      


  • Posted by セギ at 14:21Comments(0)講師日記コース案内

    2020年06月10日

    高校英語。関係代名詞。注意すべき which 非制限用法。


    関係代名詞の学習の中でも、今回は超マイナーで、定着しないことが多い内容です。
    非制限用法の which の話。

    勿論、which は、普通の非制限用法があります。

    My father gave me some books, which were not so interesting.
    私の父は私に何冊かの本をくれたが、それらはあまり面白くなかった。

    しかし、これとは別の用法があるのです。


    ◎前の節の一部または全体を先行詞とする which の非制限用法

    今回の中で、これが最も重要です。
    これだけでも覚えてください。

    Some school children take no breakfast, which is not good for the health.
    朝食を食べない生徒がいるが、それは健康に良くない。

    この which は、前の節全体、すなわち、「朝食を食べない生徒がいる」という内容全体を受けて、そしてそのことは健康によくないと言っています。

    この which 節は、主節の中に挿入することもできます。

    They had, which was important to them, a heroic past to boast of.
    彼らにとっては重要なことだったが、彼らは自慢するべき勇敢な過去を持っていた。

    この which は、主節全体、すなわち「彼らは自慢するべき勇敢な過去を持っていた」を指します。

    これらの which は、読解にはあまり影響しないと思います。
    意味を読み取ることは難しくありません。
    しかし、文法問題になると、苦戦する人が多いのです。
    空所補充問題で、which を入れることを発想できないのです。
    it や that を入れてしまいます。
    関係代名詞の問題である、という枠組みがないと特にそうなります。
    知識としてしっかり身につけておきたいところです。



    ◎関係形容詞の which

    名詞を修飾するのが形容詞。
    名詞を修飾しつつ関係詞の働きをするのが、関係形容詞。
    そんな面倒くさいものは、日常会話ではそんなに使わないですが、書き言葉では目にします。

    She was appointed ambassader to the country, which post she filled with honor.
    彼女はその国の大使に任命され、その職を立派に務めた。

    which post の post は名詞で、which はそれを修飾していますから、関係形容詞です。
    まあ、特にそんなことを難しく分析しなくても意味は取れますが、これも文法問題だと苦労する人がいます。
    上の日本語を関係詞を用いて英語に直しなさいという問題だった場合。
    She was appointed ambassader to the country, which she filled post with honor.
    と、which と post を引き離してしまう人は多いです。
    このレベルの単語を使用する能力があるのなら、そんな些細な語順ミスは実に勿体ない。


    これは、疑問詞でもよく起こる現象です。
    中学1年生で、How many ~? の文を学習した際、
    「あなたは何冊の本を持っていますか」という日本語を英語に直すと、
    How many do you have books ?
    という間違った語順の英文を書く人は多いです。
    How many books do you have ?
    ですよ、と何度解説しても、直らないのです。

    中学3年生で、「疑問詞+不定詞」を学習する場合も同じです。
    「どのバスに乗ればよいか、私はわからない」という日本語を英語に直す際に、
    I don't know which to take bus.
    という間違った語順の英文を書いてしまいます。
    正しくは、
    I don't know which bus to take.
    です。
    疑問詞には疑問形容詞の働きをするものがあり、後ろに名詞を伴うことがあるんですよと、ごつい文法用語で中学生に説明するのも無理があるのですが、柔らかく説明しても、定着しない・・・。

    一度本人が思い込んでしまった間違った英語の語順は、恐ろしいほどの定着をみせ、その人を一生縛りかねません。
    英語は、間違った練習をすると、間違った語順が定着しがちです。
    間違った英文を書くと、その記憶のほうが深く脳に残り、それが本人の「英語の語順」として強化され、永遠に再生され続けるのです。
    文法的な分析があまり好きではなく、「英語は大体こういう語順のもの」という感覚に頼る人ほどそうなりがちです。
    日本に住む日本人は、そもそもそんなに英語に触れていないです。
    それなのに、本人の中の英語の語順の感覚に頼ろうとする。
    その感覚の源の大部分は、本人の書いた間違った英文だというのに・・・。
    本人の英語の語順の感覚が、間違った自分の英語を書いたり見たりした記憶で拡大再生産され、強化され続けるのです。

    感覚に頼るのはやめましょう。
    知識で正しい英文を作りましょう。

    これは、学習習慣が確立していない早い時期に間違った英語の練習をたくさんやってしまうこととも関係があるのかもしれません。
    小学校で学習する内容は、どの教科もおおむね単純で、学校の授業をちゃんと受けて、授業中にちゃんと演習もしていれば、覚えようと意識しなくても覚えられることが多いのです。
    すると、家に帰って復習する習慣のある子でも、授業ノートや教科書を読み返すといったことはせず、いきなりワークやドリルを解いてしまう子が大半だと思います。
    別にそれで間違うわけでもないので、勉強とはそういうものという形が出来上がってしまいます。
    中学生になっても、それをそのままやり続ける子が多いのですが、中学で学ぶ内容は、小学校ほど量が少ないわけでもないし内容が単純なわけでもありません。
    覚えきれないこともあります。
    それなのに、自分が覚えきれていないことに対してまだ無自覚なので、ノートを見直すことも教科書を読みなおすこともせず、いきなり問題練習をする子が多いです。
    そして、間違った練習をたくさんやってしまいます。

    自分の間違いに敏感な子は、そこで気づきます。
    ああ、ここは訂正するべきだ、ここが重要だ、と。
    しかし、勉強が下手な子は、自分の間違った答が正答と違っていることに気づかず、全部マルをつけてしまうことがあります。
    違っていることに気づいても、鉛筆で書き直して赤丸をつけ、間違ったことを記憶ごと封印してしまう子もいます。
    そして、大事なテストでしくじる。
    間違った語順が高校生になっても記憶に残り、しくじり続ける・・・。


    高校生は、自分の間違いに、そろそろ耐性があってもよい頃。
    自分の間違いを正視し、直せるはずです。
    そして、ちゃんと学習事項を復習してから演習をするという手順を踏めるはずです。
    疑問詞や関係詞は名詞を伴うものがある、という知識を定着させましょう。


    上の文に戻ります。
    She was appointed ambassader to the country, which post she filled with honor.
    これは、
    She was appointed ambassader to the country, and she filled the post with honor.
    と書き換えられます。
    which post のところは、関係代名詞節では目的語の働きをしていたのですが、節の一番前にきていました。
    一方、先行詞は ambasadder です。
    先行詞がきたら、すぐに関係詞。
    原則はそうなのですが、今回は、ambassader to the country という語句のつながりが強いので、そこには割って入り込めなかったのです。
    そこに無理に挿入すると意味がとりにくくなる場合、先行詞と関係詞との間に少し距離が開くこともあります。


    ◎ in which case
    これも関係形容詞 which の用法ですが、もうこれで熟語として覚えてしまって構わないと思います。
    「そしてその場合は」という意味です。

    The plain may be several hours late, in which case there is no point in our waiting.
    その飛行機は数時間遅れるかもしれず、そしてその場合は、待っていても無駄です。

    この文は、
    The plain may be several hours late, and in that case there is no point in our waiting.
    と書き換え可能です。


    以上、マイナーながら、たまにテストに出ると、必ず失点原因となる which の非制限用法でした。


      


  • Posted by セギ at 14:44Comments(0)英語

    2020年06月07日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。数直線上の点の座標と内分・外分。



    さて、数Ⅱ「図形と方程式」。
    公式まみれの数Ⅱがいよいよ本格的に始まります。
    1つ1つの公式が全て大切で次につながるものですので、理解し、整理し、活用していきましょう。

    まずは数直線上の点の話から始まります。
    今回扱うのは数直線です。
    x軸とy軸がある座標平面ではありません。
    まずはそこからです。
    数直線上にも座標は存在します。
    数直線とはすなわちx軸のことで、それしか存在しないので、x座標しかないのだと思ってください。
    数直線上の3の位置に点Pが存在する場合、P(3)と書きます。

    次に、数直線上の2点間の距離について考えます。
    これは、中学生の頃にも学習しています。
    座標の大きいほうの点の座標から、小さいほうの点の座標を引けば、距離が出ます。

    例題 2点A(3)、B(-5)間の距離を求めよ。

    3-(-5)=3+5=8

    よって、距離は8です。

    よくあるミスが、
    3-5=-2
    距離は絶対値だから、答は2、としてしまうミスです。
    頭の中で思考が2回ねじれているのですが、ねじれていることに本人はなかなか気づかないので、一度このミスにはまってしまうと、解説や説得がほとんど無効状態になってしまうことがあります。
    数字にマイナスがついていると、それで混乱してしまうのか、1回しかマイナスを書かない癖は、中1「正負の数」を学習した当初から始まり、永遠に解決のつかない課題となりがちです。
    3から-5を引くのですから、3-(-5)が正しいのです。

    うっかり、3-5という式を立てて、結果が-2なったときに、気づくことも可能です。
    しかし、
    「距離が-2になるのはおかしいよね?」
    と問いかけても、
    「それは、3-5のところで符号を処理したから大丈夫」
    と不合理なことを主張し、異論は認めない、という状態になる子もいます。
    数直線を描き、
    「-5と3との距離は、どう見たって2じゃないよね?8だよね?」
    と示すと、ようやく理解してくれます。

    どうか、符号を無視せずに「引く」ということを強く意識してください。
    大きい数から小さい数を「引く」のです。
    7と5との距離なら、7-5=2 と正解できると思います。
    負の数になっても、それは同じこと。
    3と-5との距離は、3-(-5)=8 です。
    符号を一切省略せずに「引く」のです。
    それで正しい距離が出ます。

    3と-5との距離は、計算をするまでもなく8である、と認識できると本当は楽なのです。
    頭の中に数直線のイメージがあると、3と-5との距離は、計算するまでもなく、8です。
    原点からそれぞれの距離は3と5だから、2点間の距離は8だと、頭の中の数直線でわかるのです。
    この先、数Bで学習する「ベクトル」で、ベクトルの成分を求めていくときにも、
    A(-2,3)、B(4,-1)だから、ベクトルAB=(6,-4)
    と、見ただけで書いていくことができます。
    どちらからどちらを引いた、ではなく、x成分は-2から4に移動したのだから6だ、と見たまま書いていけるのです。
    y成分は、3から-1に移動したのだから、-4。
    頭の中の数直線で方向と距離を読み取っています。

    しかし、頭の中に数直線のイメージが存在しないと、この話は通じません。
    何を言っているのか全くわからない、という顔をされます。
    この断絶は、暗く深く、越えられないものなのかもしれません。
    頭の中の数直線は、中学に入学し数学を学び始めたときにイメージしていないと、高校2年になって急にイメージできるようにはならないようです。
    数学はすべて公式を丸暗記して数字を操作しているだけで、どんなイメージとも結びついていない。
    数学が苦手な子には、そういう子が多いです。

    話を戻して。
    3と-5との距離は、3-(-5)=8
    大きい数から小さい数を引くと、距離を求めることができます。
    符号を省略したりしなければ、必ず正しい距離が出ます。


    ところで、これは、最初から絶対値を利用する方法もあります。
    |-5-3|=|-8|=8
    |3-(-5)|=|8|=8
    これなら、2数の大小を確認せずに済みます。
    どちらの数からどちらの数を引いても同じです。
    同じ答えが出てきます。
    文字と数字、あるいは文字と文字との大小がわからないときは、これを用いることになりますので、こちらのほうが汎用性が高いといえます。
    大切なことは、必ず引くこと。
    その数についている負の符号を勝手に省略しないこと。
    その数の負の符号を、引き算のマイナスに使いまわさないこと。
    ちゃんと符号をつけて、そして引くこと。
    それさえ守れば、どちらの点の座標から先に書いても、距離は正しく求めることができます。


    続いて、内分点・外分点。

    まずは内分の定義から。
    下の図をご覧ください。

    A(1)   P(3)   B(7)

    線分ABの間に点Pがあります。
    点Pは、ABを内側で分けている点と見ることができます。
    このような点を内分点といいます。
    上の図では、AP=2、PB=4です。
    点Pは、ABを2:4、すなわち1:2に内分しています。

    A(1)  B(3)   P(9)

    この図はどうでしょうか?
    点PはABの外側にあります。
    このような点Pを外分点といいます。
    「分けていないのに外分というのは、納得がいかない」
    生徒から、このように言われることがあるのですが、内分とセットで外分という言葉を使っていると思って、そこのところは納得してください。
    上の図では、AP=8、BP=6です。
    このような場合、点Pは、ABを8:6、すなわち4:3に外分するといいます。

     P(2)  A(4)  B(8)

    この図は、点PがABの左側にあります。
    これも外分です。
    AP=2、PB=6 です。
    点Pは、ABを2:6、すなわち1:3に外分しています。

    外分点が線分の右にくるか左にくるかは、4:3や1:3といった比のどちらの数字が大きいかによります。
    初めて外分を学ぶと、上手く外分できず、結局全て内分してしまうことがありますので、できるようになるまで練習しましょう。
    最初の数字が大きい外分は、出発点から到達点を越えてグンと進んでから、相手の点に戻るようにすると外分できます。
    最初の数字が小さい外分は、まず出発点から、到達点とは反対方向に行ってから、到達点のほうにどんと進むと、外分できます。

    さて、内分・外分がわかったところで、内分点・外分点の座標の求め方に進みます。
    まずは内分点。
    公式は、これです。

    点A(a)、B(b)をm:nに内分する点の座標は、


    na+mb
    m+n

    です。
    これは、必ず覚えるべき公式です。
    今後もこの単元で出てきますし、忘れた頃、数Bの「ベクトル」の学習でも多用します。
    なぜこれで求められるのか証明を理解しておくと、万一公式を忘れた場合に自力で復元できます。
    A(a)、B(b)をm:nに内分する点をP(x)とします。

    A(a) P(x)  B(b)

    図を参照にしながら、比例式を立ててみましょう。
    (x-a):(b-x)=m:n
    となります。
    比例式は、内項の積=外項の積 ですから、
    m(b-x)=n(x-a) と変形できます。
    これを整理していきましょう。
    mb-mx=nx-na
    xの項を左辺に集めましょう。
    -mx-nx=-na-mb
    (-m-n)x=-na-mb
    x=(-na-mb)/(-m-n)
    分母・分子に-1をかけて、符号を整理しましょう。
    x=(na+mb)/(m+n)

    公式の通りになりましたね。

    次は外分点の座標の公式です。


    -na+mb
    m-n

    これが外分点の座標の公式です。
    証明しましょう。
    まずは点PがABの右にある場合。

    A(a)  B(b)   P(x)

    この位置関係ですね。
    比例式にすると、
    (x-a):(x-b)=m:n
    m(x-b)=n(x-a)
    mx-mb=nx-na
    mx-nx=-na+mb
    (m-n)x=-na+mb
    x=(-na+mb)/(m-n)

    点PがABの左にある場合はどうでしょうか?

    P(x)  A(a)  B(b)

    この位置関係です。
    (a-x):(b-x)=m:n
    m(b-x)=n(a-x)
    mb-mx=na-nx
    -mx+nx=na-mb
    (-m+n)x=na-mb
    x=(na-mb)/(-m+n)
    x=(-na+mb)/(m-n)

    やはり公式の通りになりました。
    点PがABの右にあっても左にあっても、外分点の座標は同じ公式で求められることがわかりました。
    あとは、この公式を正確に活用するだけです。
      


  • Posted by セギ at 15:29Comments(0)算数・数学

    2020年06月03日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞の非制限用法(継続用法)。


    関係代名詞の非制限用法。

    その前に、では、それとは違う「制限用法」とは何なのかから、確認しましょう。
    これは、中学から学習している、先行詞である名詞を修飾する、普通の関係代名詞のことです。
    「制限用法」という呼び方の他に「限定用法」という呼び方もあります。
    どちらも、修飾される名詞の意味を制限する、意味を限定する、ということからつけられた呼称です。

    意味を制限する・限定するのは、関係代名詞に限らず、修飾語の働きです。
    「男の子」といっただけでは、人によって色々なイメージがあると思います。
    「金髪の」と言われると、イメージがかなり限定されます。
    「10歳くらいの」と言われると、さらにイメージが限定されます。
    このように、修飾語には、修飾される語の意味を制限し、限定する働きがあるのです。
    それで、修飾する用法のことを「制限用法」または「限定用法」と呼ぶのです。

    どちらの呼び方を使ってもいいのですが、私は「制限用法」を好みます。
    なぜなら、「制限用法」の反対は「非制限用法」で、覚えやすいからです。
    一方、「限定用法」の反対は通常、「継続用法」と呼ばれます。
    ・・・覚えにくい。

    覚えられるのなら、どちらの用語でも大丈夫です。

    さて、それでは、制限用法と非制限用法の両方の例文を見てみましょう。

    (1) She has two sons who are doctors.
    (2) She has two sons , who are doctors.

    違いは1か所だけ。
    関係詞の前に、カンマ(,)があるかないか、だけです。

    (1)の日本語訳は、簡単ですね。
    「彼女には、医者である息子が2人いる」
    これが制限用法です。

    では、(2)の日本語訳は?
    「彼女には息子が2人いて、彼らは医者だ」
    これが、非制限用法です。

    え?
    そんなに違わない気がする?
    言っていることは、結局同じだと思う?

    実質が同じである場合も勿論あります。
    しかし、そうではない場合も考えられます。
    上の2つ文のうち、どちらかは、3人目の息子が存在する可能性があるのです。

    どちらでしょうか?

    正解は、(1)です。
    医者をやっている息子が2人いることは、文から明らかです。
    しかし、他の職業の息子が、他にもまだいるのかもしれないのです。

    一方、(2)は、She has two sons と、言い切っていますから、息子は2人だけです。
    息子は絶対に2人だけで、その2人ともが医者なのです。

    つまり、(2)のカンマ(,)以降は、sons を修飾しているわけではないのです。
    文が普通に続いているのです。
    (2)の文は、
    She has two sons , and they are doctors.
    と言い換えることができます。


    ここで余談ですが、son を「ソン」と発音する中学生・高校生が多く、少し気になります。
    携帯会社の社長さんじゃないんです。
    son の発音は「サン」です。
    太陽という意味の sun と全く同じ発音の「サン」です。
    日本人の耳には同じ音に聞こえてしまうというレベルのことではなく、発音記号上も全く同じ発音です。
    発音記号では、vが逆さになっている、あの「ア」の音です。

    でも、スペルに引きずられるのか、「ソン」と読んでしまう人は多いです。
    CDや外国人講師の範読を聴いたときに、「あれ?これはサンと読むのか」と気づいても良さそうなのですが、例によって認知にバイアスがかかるのか、自分が読み間違えていることには全く気づかず、「ソン」と発音し続けてしまうようです。

    さすがにちょっと気になるので、
    「それは、ソンではなくて、サンです。太陽と全く同じ発音のサンですよ」
    と一度は注意するのですが、直る場合は少ないです。
    たまたまうまく直ってほっとすると、ノートを見たら san とスペルしていて、天を仰いだこともあります。
    わかった、私が悪かった。
    san と書くくらいなら「ソン」と読んでいてもいいです。
    もう、しょうがない。
    orange を「オランゲ」と読んで覚えるようなものですよね。

    そんなふうに、結局、日本人の英語能力は、音声英語に関しては、昭和の頃から進歩していないのではないかと感じることがあります。
    ローマ字読みが直りません。

    しかし、小学校から英語教育が始まっていることは、やはりある種の変化をもたらしています。
    耳から英語が入っているために、逆に発音を間違えている子に出会うことがあるのです。
    例えば、have を「ハバ」と読む子に、これまでに数人出会いました。
    これは、小学生の頃に、
    Have a nice trip !
    だの、
    I have a pen.
    だのを、文字を使わず、耳だけで学習するために起こっている現象だと想像されます。
    have a が、リエゾンで「ハバ」と聞こえることは、否定しません。
    そのように発音したほうが英語らしいかもしれません。

    しかし、have の後ろに常に a があるとは限りません。
    生徒に文法問題の宿題の答を音読してもらうと、
    I have a two books.
    というので、「え?」と思い、ノートを見ると、
    I have two books.
    と、正答していることがあります。

    ああ、have を「ハバ」と読んでいるんだなあと、気づきます。

    What do you have a in your hand ?

    うん?
    その a は何?
    私は a を聴き取りましたが、それは何ですか?

    しかし、生徒のノートを見ると、そんな a は存在しないのです。
    今後、この問題に長く苦しむことになりそうな予感があります。
    あまりにこなれた発音を学習すると、むしろ妙な誤解をすることがあるのでしょう。
    ・・・というより、小学校も、音声英語と同時に文字英語をしっかり教えたらいいのではないかと思います。
    音だけで学習しているために、変な誤解をしてしまうことがあるのですから。
    今後、小学校の英語学習の改革に期待します。

    さて、話を戻しましょう。


    非制限用法の関係代名詞は、接続詞+代名詞 の働きをしています。
    She has two sons , who are doctors.
    =She has two sons , and they are doctors.

    この文では、who=and they です。

    復元される接続詞は、常に and というわけではありません。
    他に but や because が考えられ、それは文脈で判断します。

    He complained loudly to the storekeeper, who answered him mildly.
    前半は「彼は大声で店主に文句を言った」。
    後半は「店主は彼に穏やかに返答した」。

    これは、and ではなく、but でつなげたほうがいいですね。
    He complained loudly to the storekeeper, but she answered him mildly.

    店主の性別がわからなかったので、今は she にしておきました。


    I called him, who had called while I was out.
    前半は「私は彼に電話をした」。
    後半は「私が外出中に彼は電話をくれた」。

    これは、and でも but でも、ありません。
    これは、because を使いましょう。
    I called him because he had called while I was out.

    少し文法的な話をするなら、and, but は等位接続詞。
    文と文とを対等につなぐ接続詞です。
    しかし、because は、従属接続詞。
    主節と従属節の区別があります。
    種類の異なる接続詞を補うことは、何かちょっとモヤモヤします。
    厳密にいえば、ここで書き換えるべき接続詞は、and や but と同じ等位接続詞 for であるべきでしょう。
    for は、「というのは」と訳す、その後に理由を説明する等位接続詞です。

    とはいえ、for の存在を知らない高校生は多いと思います。
    for って、前置詞でしょう?
    接続詞の for なんて知らない・・・。
    そういう把握の人が大半と思います。
    for を用いての書き換えはレベルが高い。
    文法的な厳密さよりも、わかりやすさが大切。
    だから、文法テキストでも、because での書き換えを示していることが多いです。
    私も、ここは because を使って構わないと思います。


    非制限用法でも、関係詞と同じ意味を表す名詞のことは先行詞と呼びます。
    非制限用法の場合、先行詞は固有名詞や代名詞でも大丈夫です。
    このブログの関係代名詞の最初の回で、
    The man is Mr.Tanaka who is talking to my sister.
    は間違いだけれど、
    The man is Mr.Tanaka , who is talking to my sister.
    は、正しい英語だという話をしました。
    「その男性は、私の姉に話しかけている田中さんです」はおかしいけれど、
    「その男性は田中さんで、私の姉に話しかけています」は大丈夫。

    まずは、非制限用法の基本のお話でした。


      


  • Posted by セギ at 13:47Comments(0)英語

    2020年05月31日

    中1「正負の数」。加減と数直線。


    中1「正負の数」は、数学の学習の中で、もっとも簡単なようでいて、教えるのは最も難しいものの1つです。
    基本の基本になるほど、それを「わからない」という子に説明するのは困難を極めます。
    一応わかったのだろうと安心するのは禁物です。
    「正負の数」の単元の終わりに復習すると、
    (+1)+(+3)=-2
    といった答案を目にし、愕然とすることがあります。

    何で?
    それは、小学校1年生で学習した、1+3ですよ?
    答は4に決まっていますよ。
    なぜ、中学に入ったら-2になると思うの?
    なるわけないでしょう?

    といった「常識の押し付け」は、しかし、教える者と教わる者、両者にとって不幸です。

    それは、「正負の数」の体系が、その子の中に形成されていないということなのです。
    数学の学習が、やり方の丸暗記に終始しているのです。
    そして、やり方をちょっと間違ったために、そんな答になるのです。

    ・・・やばい、この子は全然わかっていない。
    根本的には何も理解していない。
    これは、最初からやり直しだ。

    教える者がそう判断しても、しかし、幾度やり直したところで同じ結果になるのかもしれません。
    「そんな答になるわけないでしょう!」
    と、大人が驚くのを見る度、子どもは委縮し、理解できていないことを隠そう、わかっているふりをしよう、とさらに必死にやり方だけ暗記し、表面上は正しい操作ができるようになるだけということも多いからです。


    学校や塾の教え方が悪いんじゃないのか?

    ある意味、そうなのかもしれません。
    しかし、弁解するなら、そうとばかりも言えない面もあるのです。
    やり方だけを説明しているわけではないからです。
    意味を丁寧に説明しても、その部分は聞き流し、やり方だけ暗記してしまう子が多いのです。

    順を追って説明しましょう。

    「正負の数」は、まず、正負の数の意味から学習が始まります。
    正の数と負の数が存在することは、大半の子が理解できます。
    寒暖計の目盛りの-10℃など、負の数の存在は、幼い頃から目にしていますから。
    そういうものが存在することは知っているのです。

    しかし、次の段階で早くもつまずく子が現れます。
    あることがらを、正負の数を用いて言い表す問題です。

    問題 次のことがらを正の数を用いて表せ。
    (1)-20㎏の増量
    (2)-30万円の収入
    (3)-1万人の減少
    (4)-4分の遅れ

    正解は、
    (1)+20㎏の減量
    (2)+30万円の支出
    (3)+1万人の増加
    (4)+4分の進み

    言葉遊びのようですが、後に正負の数の減法を理解するための全てがここに詰まっています。
    この言い換えが理解できないと、正負の数の減法の符号の操作は、理解できないのです。
    しかし、この問題の意味どころか、その重要性すら理解できずに通りすぎていく子は多いです。

    そうした子の誤答の例としては、
    (1)+20
    (2)+30
    (3)+1万
    (4)+4
    と、符号を+に変えただけで、単位もついていなければその後に続く言葉も書いていない場合が、まず多いのです。
    問題の意味を全く理解していません。

    「いや。その後に続く言葉も含めて、このことがら全体を正の数で言い表すんですよ」
    と説明しても、書き直したものは以下のような誤答という子が多いです。
    (1)+20㎏の増量
    (2)+30万円の収入
    (3)+1万人の減少
    (4)+4分の遅れ
    後ろにつく言葉を言い換えていないのです。

    「-20㎏の増量と、+20㎏の増量は、意味が反対だと思わない?それじゃ、同じことを言い表したことにならないよね?」
    「え?同じことを表すの?」
    「・・・そうですよ」

    何だと思っていたの?

    やり方しか暗記しない子の多くは、また、問題文をほぼ読まないという、もう1つの習慣を持っていることに思い至り、絶望の度合いを深めたりもするのですが、それを補助するのが私の役目です。
    中学入学は良い機会。
    悪い学習の癖を改め、やり方の暗記ではない学習、問題文を正確に読んで理解して解く学習習慣を身につけましょう。
    そう思って補助します。

    ところが、ここでまた「やり方だけ暗記する」という悪い習慣を発動する子が多いのです。
    -20㎏の増量は、+20㎏の減量と言い換えればいいらしい。
    ははあ、数字の符号を反対にして、言葉を反対にすればいいだけか。
    そのように「やり方」を把握し、それでさっさと処理する子が現れます。
    そのようにして正解は出せるのですが、意味はわかっていません。
    こんなことを、なぜ学習したのか?
    なぜこんな問題が出題されるのか?
    それは、全く理解していません。

    意味を理解すると、これは面白いのです。
    -20㎏の増量は、20㎏の減量。
    確かにそうだなあ。
    じゃあ、体重が1㎏増えたときは、「-1㎏減りました」って言えばいいんだ。
    1万円赤字のときは、「-1万円の黒字です」って言うんだ。
    面白い。
    ひねくれた言い方で、面白い。
    そうした言い換えを面白く感じ、頭に沁みていくなら、それが頭の中の数理の体系に静かに組み込まれていくのです。


    さて、とりあえず、このことは置いておいて。
    「正負の数の加法」すなわち、たし算の学習に進みましょう。

    正負の数のたし算の考え方の基本は、数直線上の移動です。
    正の数は、原点よりも右に移動した点。
    負の数は、原点よりも左に移動した点。

    (1) (+3)+(+5)
    これは、数直線上の原点から、まず右へ3移動した+3の位置から、さらに右へ5移動することを意味します。
    右へ3移動し、さらに5移動。
    だから、答は、+8。

    (2) (+3)+(-5)
    これは、数直線上の原点から、まず右へ3移動した+3の位置から、左に5移動することを意味します。
    右に3移動した後、左に5移動。
    結局、原点から左に2だけ移動したことになります。
    だから、答は、-2。

    (3) (-3)+(+5)
    これは、数直線上の原点から、まず左に3移動した-3の位置から、右に5移動することを意味します。
    左に3移動した後、右に5。
    だから、答は、+2。

    (4) (-3)+(-5)
    これは、数直線上の原点から、まず左に3移動した-3の位置から、さらに左に5移動することを意味します。
    左に3移動後、さらに左に5。
    だから、答えは、-8。


    これを理解できない子は、ほとんどいません。
    教科書や問題集に書かれた数直線上にペン先を立てて、一所懸命右へ左へと移動させて、答を導いていきます。

    そして、これが加法の本質であり、私は今もそれを頭の中でやっています。
    頭の中の数直線で数を移動させています。
    いちいち数直線を描いたり、数直線の目盛りを数えたりはしないだけで、頭の中に数直線のイメージは常にあります。
    やり方だけ暗記する子は、おそらく、頭の中に数直線のイメージがないのだと思うのです。

    なぜ、頭の中に数直線のイメージがないのか?
    次の学習段階で、この計算方法のルールをまとめてしまうことも一因かと思います。
    (+3)+(+5)=+8
    (+3)+(-5)=-2
    (-3)+(+5)=+2
    (-3)+(-5)=-8

    これからわかるルールは?
    同符号のたし算の答は、その符号で、絶対値の和。
    異符号のたし算の答は、絶対値の大きいほうの符号で、絶対値の差。

    このルールの整理は、頭の中の数直線上の移動を円滑にするための補助に過ぎないのですが、これが学習のメインになってしまう子が大半です。
    このルールを丸暗記し、そのルール通りの操作で以後は計算します。
    そのため、
    (+3)+(+5)=-2
    といった、ありえないミスをする子が出てきます。
    ルールを丸暗記して操作しているだけで実感はないので、そんな答の異常性には気づかないのです。
    やり方だけ暗記している子にとっては、正の数どうしのたし算すら、実感を伴うものではありません。


    さて、次に正負の数の減法に入ります。
    (1) (+3)-(+5)
    さきほど出てきた「言葉遊び」がここで生きてきます。
    「+5をひく」ことは、「-5をたす」ことと同じです。
    よって、
    (+3)-(+5)
    =(+3)+(-5)
    =-2

    (2) (-3)-(-5)
    「-5をひく」ことは、「+5をたす」ことと同じです。
    よって、
    (-3)-(-5)
    =(-3)+(+5)
    =+2

    正負の数の減法は、すべて加法に置きかえて計算できます。
    この世にひき算は存在しない。
    全て、たし算なのだ。
    そのように意識を切り替えるのです。

    理解していれば、何も問題はないのです。
    しかし、丸暗記で済ませている子にとっては、そろそろ重荷が増してきています。
    上のような符号の操作も、丸暗記で済ますしかないのです。
    -+は、+-に書き換える。
    --は、++に書き換える。
    というように。

    だから、ミスが絶えません。
    (+3)-(+5)
    =(+3)-(-5)
    =(+3)+(+5)
    =+8
    という謎の二度手間の誤答をこれまで幾度も見てきました。
    (-3)-(-5)
    =(-3)+(-5)
    =-8
    というミスも極めて多いです。
    全て丸暗記による操作ミスです。
    意味がわかっていたら、こんな誤答はしないのです。


    練習を重ねて、丸暗記で操作できるようになっても、「正負の数」の学習は、さらにここから難度を上げていきます。
    ( )を外す操作がここに加わるのです。
    +3は3のことなので、いちいち+は書かない。
    -は省略できないので、-を書く。
    +(-3)などは、-3 と表記する。
    このようなルールで( )を外すようになると、それまで必死に丸暗記したことがまた崩れ始め、混乱を起こす子は多いです。

    (+3)-(+5)
    =3-5
    =-2
    これで正しいのですが、

    (+3)-(+5)
    =3+5
    =8
    と誤答する子に、「なぜ?」と問いかけても、意味を考えて解いていませんから、理由はないのです。
    操作をちょっと間違えただけなのです。

    慣れてしまえば、( )なんかないほうが見やすくて楽だ。
    しかし、それはこの計算に習熟している大人の感覚。
    中学1年生にとって、このあたりの計算は、全力の800m走並みの負荷がかかる難度であり、「たかが正負の数」ではないのです。


    練習を重ねて、どうにか加減だけはできるようになっても、次は乗除の計算です。
    符号のルールをまた丸暗記しなければなりません。
    さらに加減乗除混合の四則計算に入ります。
    もう、符号はぐちゃぐちゃです。


    数学は、丸暗記で済ますには限界があります。
    意味を理解しなければ、先はありません。
    「正負の数」という単元で、何よりも学んでほしいのは、このことです。
    意味を理解して学んでください。
    頭の中に常に数直線をイメージし、実感で計算してください。


      


  • Posted by セギ at 15:35Comments(0)算数・数学

    2020年05月27日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞 what の慣用表現。




    関係代名詞 what は、慣用表現が多いことも特徴です。
    慣用表現は、覚えるしかありません。
    1つずつ見ていきましょう。

    ◎what is called または、what we call
    「いわゆる」という意味です。

    This music is what is called rap.
    この音楽は、いわゆるラップです。

    what we call は、文脈により、what you call や what they call という形でも使用されます。
    「いわゆる」というと、so to speak などの熟語もあります。
    言い換えは色々ある、ということも含めて、記憶しておきたい熟語です。


    ◎what S is
    「現在のS」という意味です。
    これは慣用表現というよりも what の普通の用法なのですが、最初にこの用法の文を見たときに意味をとれない高校生は多いので、一応ここで解説します。

    His mother has made him what he is.
    彼の母が、彼を今日の彼にした。

    時制を過去にすれば、「過去のS」という意味になります。

    This town is a diffrent place from what it was ten years ago.
    この町は、10年前とは違う場所だ。

    This town is a diffrent place from what it used to be ten years ago.

    この文も同じ意味です。
    過去の状態を表す熟語の助動詞 used to を用いた文です。


    ◎what is more 「さらに、そのうえ」
     what is worse 「さらに悪いことには」
     what is more surprising 「さらに驚くことに」
    what is more important 「さらに重要なことに」 など。 

    His power is absolute, and what is more, hereditary.
    彼の権力は絶対的なものであり、そのうえ、世襲によるものである。

    We got lost in the dark and, what was worse, it began to rain.
    私たちは暗闇で道に迷い、さらに悪いことには、雨が降り出した。

    上の2文を見て気づくかと思いますが、カンマ(,)と and の位置関係は、どちらでも大丈夫です。
    基本、文の途中にカンマ・カンマでこの慣用表現を挿入します。
    1文目をいったん終わらせて、2文目の冒頭に置くことも可能です。


    このあたりまでは何とか覚えている人も多いのですが、この先になると、
    「そんなのありましたか?」
    と秀才まで言い出すことがあるので、がっかりするところです。
    この先こそ、理解していないと、全く対応できなくなるので気合を入れて覚えましょう。


    ◎what little +名詞 「少ないながらもあるだけの~」

    He gave her what little money he has.
    彼は、少ないながらもあるだけのお金を彼女にあげた。

    これも、慣用表現とすることには異論があると思います。
    正しくは、この what は、関係形容詞と呼ばれるものです。
    名詞を修飾するのが、形容詞。
    だから、名詞を修飾しつつ関係詞の働きをしているものは、関係形容詞です。
    でも、そうした文法分析が面白い人はそれでいいですが、もう勘弁して・・・という人は、これも慣用表現として覚えてしまって構わないと思います。

    little のない用法もあります。

    He gave me what help he could give.
    彼は、できる限りの援助を私に与えてくれた。

    「what+名詞」=「all the+名詞+that」と把握できます。

    後ろに名詞のつかない用法もあります。
    その場合は関係形容詞ではなく、関係代名詞です。
    これの基本は、what =anything that です。

    What I have is yours.
    私の持っているものは全てあなたのものです。

    この例文の what は、後に学習する whatever に置き換えることができます。
    とりあえず、これらの what には、「すべての」という意味がこもっているという把握で乗り切りましょう。


    さて、以下の2つは、これまで以上にガチの慣用表現です。
    覚えていないと文の構造を把握できません。

    ◎what with A and (what with) B 「AやらBやらで」

    What with the wind and the rain, our walk was spoiled.
    風やら雨やらで、私たちの散歩は台無しだった。

    そもそも日本語の「AやらBやらで」の意味がわからない、聞いたことがない・・・という高校生は多いですが、こういうのは死語ではなく、文語表現です。
    自分は知らなくてもこの世に存在する正しい日本語なのだという意識をもって覚えてください。
    「AやBのせいで」という意味です。


    ◎A is to B what C is to D 
    「AとBとの関係は、CとDとの関係と同じだ」
    「BにとってのAは、DにとってのCと同じだ」

    Reading to the mind what food is to the body.
    精神にとっての読書は、肉体にとっての食べ物と同じだ。

    これを学習すると、
    「何かそういうのを前に勉強した気がする・・・」
    と言う高校生がいます。
    え?
    言い換え表現がありましたっけ?
    私はピンとこないので授業が停滞するのですが、よくよく聞くとその生徒の頭の中にあるのは、「クジラ公式」のことだったりします。
    それは、全然違うので、結びつけないでください。
    クジラ公式は、
    「クジラが哺乳類なのは、馬が哺乳類なのと同じだ」
    というのが有名な例文です。
    「哺乳類にとってのクジラは、哺乳類にとっての馬と同じだ」
    ではありません。

    関係ないことが頭の中で結びついてしまうのは脳の働きの1つで、脳としてはそれで知識を安定させたいらしいのです。
    そういう錯誤にも気をつけましょう。

    慣用表現は、覚えているかいないかの問題。
    学校の文法テキストでは、最後のほうに列挙してあるので、まあこれはいいや・・・と捨ててしまい、テストにがっつり出て後悔した人は多いと思います。
    あるいは、テストに出ていても、それが文法のテスト範囲の慣用表現だと気づかず、熟語集などの他のテスト範囲から出題された問題なんだろうと誤解して済ませてしまうために、テスト対策の姿勢が改められない、という人もいると思います。

    学校からは、文法テキストとセットで、似たような表紙のぶ厚い文法の参考書が配布されていると思います。
    そうした参考書のボリュームと比べれば、文法テキストは薄いのです。
    もともと薄いのに、見開きの左側は解説ページ、右側は問題ページという構成になっているものが多く、解説は厳選され絞り込まれています。
    そこに載っているのは、文法のエッセンスです。
    どんなに小さな字で書かれていても、全て重要事項です。
    捨てて良い箇所は1つもありません。

    しかし、参考書の存在を忘れ、文法テキストだけを見る人は、その中でも重要な箇所とそうでない箇所とを選別しようとします。
    そして、そのような判断をする人は、重要箇所と、中学の文法の復習箇所とを混同しがちです。
    自分が知っていることだから重要な気がする・・・という錯誤を起こしてしまうようです。
    中学の文法の復習は、それは基本ですから、重要です。
    しかし、そこから一歩も先に進まず、中学の復習以外は全て些末なことで、覚えなくてもいいや、テストにはたぶん出ないよ・・・という判断で大丈夫でしょうか?
    絶対ダメですよね。
    でも、テスト前になると、そんな錯誤をしてしまうのです。

    学校の文法テキストに載っていることで、自分の知らないこと、初耳のことが全てテストに出る。
    そこが重要。
    そのように意識を変えて勉強してください。

    what の慣用表現は、テストに出て当たり前のことばかりです。

      


  • Posted by セギ at 14:25Comments(2)英語

    2020年05月25日

    高校数Ⅰ「因数分解」の難問。



    高校数学には、普通の高校では授業では扱わない発展的な公式があります。
    あるいは扱っても「こんなのも一応あります」と紹介される程度で定期テストには出ないのです。
    その高校の先生の考え方によるのでしょう。
    高校1年の段階では、これは必要ない。
    文系・理系にコースが分かれた後、理系クラスだけの数ⅠA演習といった授業では扱う学校もあります。
    あるいは、高校1年の最初に、もう全部教えてしまう学校もあります。

    今回は、そんな公式の話。
    例えば、こんな問題です。

    問題 次の式を因数分解せよ。
    x3+y3-6xy+8

    うん?
    一見単純そうですね?

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y)(x2-xy+y2)-6xy+8

    ・・・・あれ?この先、進まない。
    では、xで括ってみましょうか。

    x3+y3-6xy+8
    =x(x2-6y)+y3+8
    =x(x2-6y)+(y+2)(y2-2y+4)

    ・・・・あれ?やっぱり共通因数が見つからない。
    うーん?

    さらに頑張ってみましょう。
    最後の8は、2の3乗とみることができます。
    3乗の項が3つある・・・。
    これは、やはり、3乗の公式にからんだ何かが使える気がします。

    3乗の公式について、もう少し考えてみましょうか。
    高校で学習する3乗の公式に、こういうものがあります。
    (a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
    これは、左辺と右辺をひっくり返してから部分的に移項することで、
    a3+b3=(a+b)3-3a2b-3ab2
    と変形することができます。
    これを利用してみましょう。

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y)3-3x2y-3xy2-2・3xy+8
    順番を入れ替えながら、共通因数でくくってみましょう。

    =(x+y)3+23-3xy(x+y+2)

    ここで、x+y=A と心のなかで見立てながら、しかし、もう中学生ではないので、Aは使わずにくくっていきましょう。
    今度は、a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2) という公式を使います。

    =(x+y+2){(x+y)2-2(x+y)+4}-3xy(x+y+2)

    共通因数 x+y+2 が見えました!
    くくります。
    ついでに{ }の中は適宜計算し整理します。

    =(x+y+2)(x2+2xy+y2-2x-2y+4-3xy)
    =(x+y+2)(x2+y2+4-xy-2y-2x)

    できたー!
    でも、大変だった・・・。

    こんなの自力で発想できない・・・。
    そんな声が聞こえてきます。
    確かに。

    実は、これ、発展的な公式を利用すれば、1行で因数分解は完成するのです。
    考え方は上と同じで、それを公式として固定化しているものがあるのです。


    その前に、まず基本的な因数分解の公式を確認します。
    因数分解の公式は、中学3年生で学習するものは、以下の通りです。
    a2+2ab+b2=(a+b)2
    a2-2ab+b2=(a-b)2
    x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)
    a2-b2=(a+b)(a-b)

    高校1年、つまり数Ⅰで新しく学習するものは、

    acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)

    いわゆる「たすきがけ」の公式です。

    さらに、本当は数Ⅱの学習内容とされているけれど、一緒に学習してしまおうということで、多くの高校は、以下の公式も高校1年で学習します。

    x3+y3=(x+y)(x2-xy+y2)
    x3-y3=(x-y)(x2+xy+y2)
    x3+3x2y+3xy2+y3=(x+y)3
    x3-3x2y+3xy2-y3=(x-y)3

    しかし、因数分解の公式は、他にもあります。
    発展的な重要公式として有名なのは、以下の2つ。

    a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)2

    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)

    問題に戻りましょう。
    x3+y3-6xy+8

    これは、上の公式の、
    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)
    を利用できます。
    公式のaが上の問題でxにあたります。
    bがy。
    cが2。
    だから、-3abcは、-6xy。
    この公式を利用すれば簡単に因数分解できるのです。

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y+2)(x2+y2+4-xy-2y-2x)

    できたー。
    公式を知っていると、早いですね。


    では、こんな問題はどうでしょうか?

    問題 次の式を因数分解せよ。
    (x-y)3+(z-y)3-(x-2y+z)3

    これも、先ほど使ったのと同じ公式を利用できそうです。
    3番目の(  )の前のマイナスは、その(  )自体に-の符号がついているのだと思えば良いです。
    負の数の3乗は、負の数です。

    でも、公式は、左辺に-3abcがあるけれど、この問題は、3乗の項が3つあるだけ・・・。
    そこも、頭を柔らかく。
    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca) は、
    a3+b3+c3=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)+3abc
    と変形できます。
    そして、この形が案外使いまわしが効くのです。

    とはいえ、最後の+3abcの部分がはみ出すので、因数分解は完成しないのでは?
    本当にこれを利用して良いのかな?
    ちょっと不安になってしまいます。
    特に後半の長い(   )の部分を書いていくのは大変そうで、これで解けないのならやりたくない作業です。
    しかし、ここでためらい、やらずに済ませてしまうと、この問題は解けません。
    無駄に思えても思考錯誤は必要。
    他に策があるわけでもないのなら、思いついた策を試してみることが大切。
    やってみましょう。

    (x-y)3+(z-y)3-(x-2y+z)3
    ={(x-y)+(z-y)-(x-2y+z)}(・・・・・・・
    =(x-y+z-y-x+2y-z)(・・・・・・・

    ここまで書いて、気づくのです。
    最初の( )は、計算すると0になる!
    0に何をかけても0なので、公式の( )(     )の部分は全部0になって消えます。
    だから、+3abcの部分だけが残るのです。
    3番目の( )の前にマイナスがついていることに気をつけて、+3abcの部分を書いていくと、

    =-3(x-y)(z-y)(x-2y+z)
    =3(x-y)(y-z)(x-2y+z)

    できたっ!
    こうなると、単に公式を知っているかどうかだけではなく、その公式を利用するかどうか決断を迫られるところにちょっとワクワクしますし、ごちゃごちゃした部分が一気に消える爽快感もあって好きなタイプの問題です。

    発展的な公式に関するお話でした。
    覚えて使ってください。



      


  • Posted by セギ at 15:33Comments(0)算数・数学

    2020年05月22日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞 what の用法。


    今回は、関係代名詞 what の用法です。
    まずは、こんな2文から。

    They couldn't believe the things. They saw the things.

    この2文を、「彼らは、自分たちの見たものを信じられなかった」という文にしたいとき。
    1文目と2文目の the things が同一のものですから、これを先行詞とすることができます。

    They couldn't believe the things which they saw.
    彼らは、自分たちの見たものを信じることができなかった。

    これはこれで正しい英語です。

    これを言い換えることができるのが、関係代名詞 what です。
    what は、「ものごと」という意味の先行詞を含みこんでいる関係代名詞。
    だから、先行詞なしで使います。

    They couldn't believe what they saw.
    彼らは、自分たちの見たものを信じられなかった。

    what は、文にあわせて「もの」や「こと」と訳すと自然な日本語になります。

    what = the thing(s) which
    この把握で基本は理解できると思います。


    もう1つ例文を見ましょう。

    What he says is different from what he does.
    彼の言うことは、彼の行うこととは異なる。

    言うこととやることが違う。
    彼は言動不一致の人なのですね。
    冒頭の what he says という関係代名詞節全体が主節の主語の働きをしています。
    後半の what he does は from という前置詞の目的語の働きをしています。


    関係代名詞の what は、疑問詞と区別がつかず混乱する人がいます。
    もともと、関係詞と疑問詞はどれも同じ見た目です。
    同じ単語の使いまわし感が強い。
    それでも、先行詞がある場合はそんなに疑問文っぽくなかったので混乱しなかった人も、what があまりにも疑問詞の印象が強いので混乱するようです。
    その混乱は理由のある混乱です。

    what を用いた文は、間接疑問文との区別がつかないことがあるのです。

    Tell me what you want.

    この文をどうとらえるか?
    今回学習した、関係代名詞ととらえるなら、この文の意味は、
    「あなたの欲しいものを私に教えて」
    となります。

    中3で学習した間接疑問文ととらえるなら、
    「あなたが何が欲しいのか、私に教えて」
    となります。

    ・・・あれ?
    それは、同じ意味ですね。
    だったら、別にどちらでもいいでしょう。
    そんなわけで、関係代名詞でも間接疑問文でも、どちらにとってもいいよ、という場合が大半です。


    しかし、それでは困る場合もあります。

    He asked me what I expected.

    これを関係代名詞ととらえるなら、
    「彼は、私が予期したことを尋ねた」
    という意味になります。
    こういう質問をしてくるだろうなあと予期していた通りのことを尋ねてきた、という意味です。

    これを間接疑問文ととらえるなら、
    「彼は、私が何を期待しているのかを尋ねた」
    という意味になります。
    おまえは何を期待しているんだね?と彼に尋ねられた、という意味です。

    これは意味が違います。
    見た目が同じなのに、意味が違う。
    どうしたらいいのでしょう?
    文章ならば、文脈判断です。
    前後から判断して、どちらの意味なのかをとらえます。
    会話ならば、疑問詞の what は強く発音され、関係代名詞の what は弱く発音されます。


    what という関係代名詞がわかりにくいのは、このように間接疑問文との混同が起こりやすいことが第一です。
    しかし、再三述べているように、高校で新出の文法事項をそもそも覚えていないので、
    「関係代名詞に what なんてあったっけ?」
    という人もかなりいると思います。
    what は、長文読解問題の中で普通に使われますから、知らないと困るのです。
    そのように話しても、浮かない顔をするばかり。
    「脳のメモリーはもうパンパンで、新しいことなんて入らない」
    という愚痴も聞こえてきます。

    ・・・そんなわけ、ないんですよ。
    まず、その認識を改めてほしいのです。
    脳のメモリーは、安物のガジェットのそれとは違います。
    脳の記憶容量は無限といって構わないほど大きいのです。
    英文法や英単語はもう頭に入らない、覚えられない、と言っている人も、新しいアニメのタイトルや登場人物はすぐに覚えるじゃないですか。
    新しいバンドや歌手の名も曲名も正確に覚えるじゃないですか。
    そして、
    「最近のバンドは、どっちがバンドの名前でどっちが曲名かわからない」
    と、もしも私が言ったら、「おばさん・・・」と揶揄するじゃないですか。

    私は、新しいアニメのタイトルも登場人物も、覚えないです。
    新しいバンドの名も、もう覚えないかもしれません。
    それは、興味がないからです。
    脳のメモリーがパンパンだから、ではありません。

    だから、英文法や英単語を覚えない人も、脳のメモリーがパンパンだから、ではないのです。
    興味がないのでしょう?

    気持ちはわからなくはありません。
    でも、そこは理性で乗り越えましょう。
    英語ができないままで、どうするんですか?

    本当に英語が必要ないのなら、それでいいと思います。
    大学に行く気はない。
    将来的にも、英語が必要な職業につくことはない。
    だから、自分には英語は必要ない。

    そのようにスパッと割り切れているのなら、それでいいのです。
    でも、現実はそうではない。
    大学には行きたいと思っている。
    英語の成績が上がったらいいなあと思っている。
    英語が聞き取れたり、読めたり、話せたりしたらいいなあと思っている。
    将来、英語を使う予感がする。
    でも、興味がもてない。

    それならば、とりあえず、それを脳の容量にせいにするのは、やめましょう。
    興味をもてば、覚えられるのです。

    しかし、どうしたら興味をもてるようになるのかは、難しいことです。
    例えば私が、どうしたら今さらテレビアニメに興味がもてるようになるかと、しばらく考えてみました。
    そして、どう考えても興味がもてるようにはならないだろう、という結論に達しました。
    私はアニメ第一世代ですから、アニメーションについて、何も知らないというわけではないのです。
    今も『未来少年コナン』の再放送を見ています。
    ひー、懐かしい、やめてくれー、とつぶやきながら。
    家庭にビデオデッキもなかった時代で、一度しか見ていないアニメを、なぜこれほど覚えているのだろう。
    十代の記憶力というのは本当に薄気味悪いくらいに凄いな、と感じながら。

    私が『未来少年コナン』に対してそうであったように、今作られている新作のテレビアニメを、一度で何もかも目に焼き付けるほどに集中して見ている若い子たちは多いと思います。
    その人たちにとって、それがどれほど大切なものであるかは、自分の十代の頃を思えば、よくわかるのです。
    だから、アニメというジャンルを否定する気持ちは全くない。
    でも、私は、今のテレビアニメには、もう興味はもてないのです。

    ただし、もしも仕事上それが必要なことになれば、話は別です。
    仕事で必要なら、アニメを見るし、覚えるべきことは覚えると思います。


    えー?
    ・・・そういうことじゃないじゃん、アニメは。
    それなら見てもらいたくないよ。

    そんなふうに言わないで。

    私は、もしも中学生や高校生が、
    「英語なんか好きじゃないけど必要だから勉強するし、覚える」
    と言ったときに、そういうことじゃないじゃん、とは思いません。
    それでいいよ、と思います。
    そこから始まる何かが必ずありますから。
    英語は、面白いですから。
    ほれぼれするような簡便さと合理性。
    それでもじわじわとにじんでくる歴史性。

    必要なことは、やりましょう。
    必要なんですから。
    英語を覚えることは、必要なことです。
    そのように認識したとき、きっと、前よりは覚えやすくなると思います。

      


  • Posted by セギ at 20:51Comments(0)英語

    2020年05月20日

    高校数学。開平法。平方根のおよその大きさが必要なときに。




    数学の問題を解いていて、平方根のおよその値が必要なときがあります。
    そんなとき、どうしましょう?
    今回は、そんな問題について考えてみましょう。


    問題 √19 の整数部分をa、小数部分をbとするとき、a2+b2の値を求めよ。

    これは、aの値がわからないと解けないです。
    √19って、整数部分はいくつなんだろう?
    √2=1.41421356・・・・
    など、語呂合わせで覚えている数は、せいぜい√5までの人が大半だと思います。
    √19って、どれくらいでしょう?

    実は、これは中学3年生で学んでいるのです。
    まず、整数に直せる平方根との大小を比べます。
    √16<√19<√25
    ですね。
    これを、√18<√19<√20
    と書いてしまう人がいますが、そういうことではなく、整数に直せる平方根でなければ意味がありません。
    また、一番値の近いものを書くことも必要です。
    √4<√19<√36
    では、意味がありません。

    √16<√19<√25
    これを整数に直すと、
    4<√19<5
    よって、√19は、4と5の間にある数、つまり、4.・・・と表される数とわかります。
    ゆえに、整数部分 a=4です。
    さて、bは、無限に続いていく小数なのにどうするのでしょう?
    心配いりません。
    b=√19-4 と表せば良いのです。

    この問題が解けない中学3年生は、この発想を持てないことが多いです。
    「b=√19-4 なんて書き方で、いいの?」
    と不安そうに言います。
    あるいは、
    「そんなの自分で思いつかない」
    と落ち込んでしまう子もいます。

    数学者ではないので、こんなことをゼロから自力で発想できなくてもいいです。
    この解き方をテクニックとして自分のものとしておけば大丈夫です。
    「自分には数学の才能がない」「勉強しても意味がない」と落ち込む必要はありません。
    2つの値の和がわかっているとき、一方は他方の数を用いて差で表すことができる。
    こうしたことをテクニックとして学び、以後、他の問題で活用できれば良いのです。

    さて、問題に戻って、
    a2+b2
    の求め方は大丈夫でしょうか?

    これくらい単純なら、このままの形で代入してもスピードも精度も変わりません。
    a2+b2
    =42+(√19-4)2
    =16+19-8√19+16
    =51-8√19

    これでも良いですが、もっと複雑な問題になったときのために、対称式を利用した解き方も思いだしておきましょう。

    a2+b2
    =(a+b)2-2ab
    ここで、a+bというのは、何のことはない、√19そのものです。
    =√192-2・4(√19-4)
    =19-8√19+32
    =51-8√19

    同じ答えになります。

    「答えに√19が残っていいの?」
    と質問した子がかつていました。
    「え?どういうこと?」
    「√19が残ったらダメなんじゃないの?」

    答に平方根が残ったらダメだなんて問題には書いてないのですが、そうした謎の思い込みに苦しむ子もいます。
    何は良くて、何はダメなのか、学年が上がるにつれ、そうしたことで悩む子が増えてきます。
    本質を理解していないのに解き方だけ丸暗記して表面をとりつくろってきたツケが、いよいよ回ってきたのだと感じます。
    本人の頭の中に数理の体系が存在しないので、自分で判断できないのです。
    おそらく小学校の算数の頃から、いちいち理解するのが面倒くさいので、やり方の丸暗記で済ませてきた。
    そのまま中学生・高校生になり、気がつくと、理解したくても理解できなくなっていた。
    案外頭の回転が速く、楽できる方法をついつい探してしまう子にこのタイプが多いのです。


    平方根のおよその大きさが必要な問題には、連立不等式もあります。
    問題 以下の連立不等式の解の範囲を求めよ。
    x2-x-8>0   ・・・①
    8x2-19x-27<0 ・・・②

    計算過程は今回は省略します。
    ①より
    x<1-√33 /2 , 1+√33 /2<x 
    ②より
    -1<x<27/8

    ここまで順調に解いて、数直線上にそれぞれの範囲を記していく際に、あれ?と思います。
    1-√33 /2 と-1って、どちらが大きいの?
    1+√33 /2 と27/8って、どちらが大きいの?
    それがわからないと、数直線上に記すことができません。

    まずは、1-√33 /2 と-1を比べましょう。
    両方を2倍して、
    1-√33 と-2。
    両方から1を引いて、
    -√33 と-3
    それぞれを2乗すると、
    33と9。
    負の数は、絶対値が大きいほうが小さい数ですから、
    -√33<-3
    よって、1-√33 /2<-1

    しかし、このように丁寧に計算していくスペースが答案用紙や計算用紙に存在しない、ということが数学のテストの場合、起こります。
    そもそも、数学の解答スペースの使い方が下手な子は、高校数学の問題を解いていて、途中でスペースがなくなってしまいます。
    解答スペースの上から2㎝ほども下がったあたりから、1㎝四方ほどの大きな字で答案を書き出し、書くスペースがなくなり、その問題は解けなくなって終了、という子がかつていました。
    それは極端な例ですが、こんなどうでもいい計算に解答スペースをあまり使いたくないものです。
    この程度のことは、暗算できれば何よりです。
    √33は、5<√33<6。
    大体6として、1-6は-5。
    それを2で割るから、1-√33 /2は、約-2.5。
    だから、-1よりは小さい。

    一方、1+√33 /2と27/8の大小は?
    √33は6より少し小さい数。
    だから、1+√33は7より少し小さい数。
    1+√33 /2は、3.5より少し小さい数。
    一方、27/8は、27÷8だから、3.3・・・。
    あれ、あまり差がないなあ。
    これで1+√33 /2のほうが大きいとするのは危険です。
    やはり、こういうときは、しっかり計算するしかありません。
    両方を2倍して、
    1+√33と27/4
    両方から1を引いて、
    √33と23/4
    両方を2乗して、
    33と529/16
    529/16=33+1/16
    うわ、27/8のほうが大きかったのですね。

    それぞれを数直線に記して、重なっている部分がこの連立不等式の解ですから、
    1+√33 /2<x<27/8。

    あー、大変だった。


    それでも、大小の判断だけならこれで何とかなるのですが、一番厄介なのが、数Ⅰ「データの分析」です。
    標準偏差は、平方根になります。
    高校の定期テストや入試問題で、それを何のヒントもなく小数を用いた表記に直させるようなことはありませんが、問題集などで自分で問題を解いている際に、模範解答で平方根がスルッと小数に直っているのを見て、「何で?」と思ったことはありませんか?
    小数第2位まで、平然と小数に直しているけれど、どういうこと?
    どうやるの?

    やり方は3つあります。
    まず1つ目は、「平方根表」を使用する方法。
    三角比の表と似たような見た目の「平方根表」というものがあります。
    中3向けの問題集の巻末などに載っています。
    例えば、「体系問題集・代数2」など。
    その表で読み取ります。
    大学入試共通テストは、今のところ、問題がそれを必要としている場合は「平方根表」を添付してくれるようです。

    2つ目。
    電卓を使用する。
    √ のボタンのついている電卓なら、すぐに平方根の値が出てきます。
    √ のボタンのない電卓でも、それなりの値段の電卓、あるいはスマホの電卓アプリならば、平方根を計算するやり方があります。
    多少複雑なボタン操作になりますので、説明書をよく読んで使用しましょう。
    ただし、テスト中は電卓・スマホは使用できない場合がほとんどですね。

    3つ目。
    「開平法」で筆算する。
    平方根は、筆算で小数に直すことができます。
    一番上の画像がその計算です。

    上の画像は、√13 を計算したものです。
    まず、13より少し小さい平方数(何かの2乗の数)を考えます。
    3×3=9ですね。
    その3を、√13の横に書き、平方数の9を13の下に書いて、引きます。
    引いた答えは、4となります。
    これに小数点以下の2桁分を加え、400とします。
    3は、真下にも3を書き、足します。
    3+3=6 となります。
    この6が十の位となります。
    次に、6☐×☐の答えが、400より少し小さくなる数を探します。
    ☐は6ですね。
    66×6=396を400の下に書いて、引きます。
    答えは4です。
    66の下に、見つけた6を書いて、足します。
    72となります。
    これを繰り返し、見つけた数を順番に√13の上に書いていくと、それが√13を小数に直した数となります。

    これを開平法、あるいは開平計算と言います。
    なぜ、こんな方法で計算できるのか?
    大体のイメージを説明しましょう。
    √xという数を開平法で計算するとします。
    まず、2乗してxより少し小さくなる数を見つけ、それをaとし、
    √x=a+b
    と表すとします。
    上の√13の例で言えば、x=13、a=3 です。
    √x=a+b を2乗しましょう。
    x=(a+b)2
    x=a2+2ab+b2
    移項します。
    x-a2=2ab+b2
        =b(2a+b)
    次に、x-a2の値より少し小さくなるb(2a+b)を満たすbを探します。
    上の図で、bは0.6です。
    2a+b=6.6、そして、b(2a+b)=3.96です。
    以下、これの繰り返しで割り進めていきます。

    正確な証明ではありませんので、今の説明で、パッとひらめくものがあればそれで良し、わからなかったら、もうそれはそれでいいというくらいに気楽に受け取ってください。
    開平法は、必ず身につけなければならないというものではありません。
    こんな方法もありますよ、というお話でした。
      


  • Posted by セギ at 11:25Comments(0)算数・数学

    2020年05月18日

    高校英語。前置詞と関係代名詞。


    まずは、以下の2文を1文にしてみましょう。

    This is the office. I work in the office.

    「これが私が働く職場です」という文を作りましょう。
    1文目の the office と、2文目の the office が同じものですから、これが先行詞となります。
    先行詞が人以外なので、which を使いましょう。

    This is the office which I work in.

    2文目の the office が、関係代名詞 which になり、先行詞の直後にきました。
    その後は、2文目の残りを普通の順番で続けます。
    関係代名詞を使った文を作るときの、基本ルールですね。
    which をthat に置き換えることもできます。

    This is the office that I work in.

    前置詞のことを無視しがちで、何かと前置詞を書き忘れる人は、この最後の in を忘れがちですが、これは省略できません。
    繰り返します。
    前置詞は、省略できません。
    まず、ここまで、大丈夫でしょうか?
    ここから、さらにこれのバリエーションの解説を始めます。

    この関係代名詞 that や which は、「前置詞の目的語」です。
    目的格の関係代名詞は省略可能。
    だから、これらの関係代名詞も省略できます。

    This is the office I work in.

    これも、正しい英語です。


    ところが、別の語順も考えられます。
    意味のまとまり(句)は、in the office です。
    句としてのまとまりを大事にするなら、in the office は、 in which となり、そのまとまりごと先行詞の直後に置くことも可能です。

    This is the office in which I work.

    これも正しい英文です。
    こちらのほうが、文法的にガチガチに正しい書き言葉です。

    なお、 in which は、in that に書き換えることはできません。
    これは、重要です。
    in that は、「~の点において」という意味の接続詞の用法ならばあります。
    それは、関係代名詞ではありません。
    他の前置詞の場合も、前置詞+関係代名詞という形で that を使うことはできません。
    that は万能ではない。
    使ってはいけない場合もあるのです。

    ここまで、4つの文が全て同じ意味であり、英文として正しいことを説明しました。
    まとめます。
    This is the office I work in.
    =This is the office that I work in.
    =This is the office which I work in.
    =This is the office in which I work.

    この4つの文は、上の文ほど口語的(話し言葉)で、下へ行くほど文語的(書き言葉)になります。


    さて、では、これから書く文は、正しい英語なのか、そうではないのか。
    どうでしょうか?

    I found the key for which my mother had been looking.
    母が探していた鍵を私は見つけた。

    この文は、間違いです。
    正しくは、
    I found the key which my mother had been looking for.

    なお、which は省略しても構いません。

    ルール通りに英文を作ったはずなのに、前のほうの文はなぜ間違いなのか?
    これは、前置詞が、どの単語と緊密に結びついているかによるのです。

    一番上の文では、in the office が意味のまとまりです。
    前置詞から始まるので、前置詞句と呼ばれます。
    しかし、今回の for は、for the key という前置詞句を作っているわけではありません。
    この for は、動詞 look との結びつきが強いのです。
    look for で、「探す」という意味の熟語です。
    動詞+前置詞などの形で、その動詞本来の意味とは別の意味を作っているものを「群動詞」と呼びます。
    look for は、群動詞です。
    群動詞の一部である前置詞の場合、関係詞につられてふわふわと前に行ったりはしないのです。
    動詞の側にいないと意味が壊れて、伝わらなくなってしまうからです。

    群動詞かそうじゃないかは、どうやって見分けるの?

    そんな質問があるかと思いますが、究極のところ、それは知識です。
    look for が、look(見る)とは異なる意味の熟語、すなわち群動詞であると判断できるのは、その知識があるからです。
    その群動詞を覚えているかどうかです。
    熟語として覚えているから、その熟語を引き離してはいけないと理解できます。

    何だ、結局覚えないとダメなのかあ・・・。

    ため息をついた方もいらっしゃると思いますが、単語も熟語も、覚えないとダメなものはダメです。
    look for は中学で学習する熟語ですが、それでも覚えていない子は、覚えていません。
    テスト範囲だったときは何とか覚えて、テストが終わればすぐに忘れてしまうのです。

    英語でそのような学習習慣だと、学年が上がるにつれて本当にひどいことになります。
    定期テストは、跳びぬけて良いわけではないにせよ、そこそこの点は取っている。
    そういう場合、保護者の方は、子どもがそのような学習習慣に陥っていると気がついていないことがあります。
    中学生の間は、目に見える形では、危機が露呈しません。
    ひどいことになっていると気がつくのは、多くの場合、高校2年。
    校外模試や学力テストで、英語の偏差値が極端に低いことを初めて目にし、愕然とする保護者の方が多いです。
    あるいは、当然受かるだろうと思って受検を勧めた英検準2級や英検2級に筆記試験で不合格という事実に直面したとき。

    ただし、生徒自身はそのずっと前から状況にうすうす気づいています。
    自分が、中学生から全く英語力が伸びていないこと。
    単語も熟語も覚えていない。
    文法も、細かいところはよくわからない。
    それは本人には自覚があるのですが、定期テストの点数がそこそこなので、保護者は気がつかないのです。

    単語も熟語も、反復がものを言います。
    文法練習をたくさんやっている子は、その中で単語・熟語にも多く触れているので、少なくとも中学で学習した熟語は身についています。
    ただ、高校英語になると、覚えるべき熟語が大量なので、文法練習をやりながら身につけるということでは間にあわなくなっていきます。
    熟語は熟語で、整理して覚えていかなければなりません。
    暗記しましょう。
    英語は、ある程度時間を割いて勉強しなければ身につかない教科です。
    教科書だけとか、定期テストの範囲だけとか、視野の狭い学習にならないように気をつけて、反復してください。

    それを知り、実践してきた高校生と、実践しなかった高校生とでは、高校3年生では英語力に大差がつきます。
    大学入試問題に全く歯がたたない人と、普通に対応できる人と。
    高3になっても、英検2級の問題文の単語がほとんどわからない人と、英検準1級でも普通に正答でき、リスニングなら英検1級問題にも対応できる人と。
    私の実感では、中間層は少ないのです。
    できるか、できないか。
    その二択になってしまうのが英語です。
    その差は、才能よりも努力の差です。
    努力できることも才能だという見方をすれば、それも才能の差ではあるのですが。


      


  • Posted by セギ at 12:21Comments(0)英語