たまりば

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2019年03月20日

立方体の展開図の読み取り。



画像が傾いていますが、ご了承ください。

問題 上の図で、面㋒と平行な面はどれか。

こうした立方体の展開図に関する問題は、小学校4年生で1度、中学1年生でもう1度学習しますが、苦手なままで終わってしまう人が多くいます。
側面が横並びに4枚並び、その上と下に底面がついているタイプの展開図ならば読み取れる人も、上のような展開図だと、どの面がどの位置にくるのか、よくわからない。

頭の中でこの展開図を組立てられれば何の問題もありません。
今は組み立てられない人も、今後の空間図形の学習のために、頭の中で展開図を組み立てるトレーニングはしたほうが良いと思います。
空間図形をイメージする力は重要です。

とはいえ、こうした空間把握力は素質もかなり影響します。
イメージしなさいといくら励ましても、イメージできないものはイメージできない。
この展開図を実際に折って組み立てれば、なあんだ、こんな図形だったのかあと納得し、理解したつもりになるようですが、イメージする力がそれでつくわけではありません。
別の問題になれば、また読み取れない可能性が高いです。

では、諦めるしかないのか?
そんなこともありません。
イメージ力の乏しさを知識で補うことは可能です。
知識で補強することによって、頭で組み立てられるようにもなっていきます。

完全なイメージができない場合は、とりあえず、2つの面だけを考えるのが有効です。
面㋒と垂直になる面を1つ1つイメージしてみましょう。
面㋒を上の底面と見立て、全部を1度にではなく、1枚ずつ側面にあたる面の見当をつけるのです。
展開図ですぐ隣りにある面は、間の辺で折りますから、全て垂直の関係になるでしょう。
上の図で言えば、面㋐、㋑、㋓は、すぐに側面だと判断できます。
問題は面㋔で、これがどうなるかをイメージできない子が、すなわち空間把握力にやや課題がある子なのですが、辺サシと辺スシが一致することを知識で補うことができれば、それで面㋔も、面㋒と隣りあう面、すなわち、組み立てれば垂直の関係になる面なのだと理解できます。
これで、面㋒を上の底面と見たときの4つの側面を全て発見できました。
だとすれば、残る面㋕は、下の底面になるでしょう。
底面と底面は平行です。
すなわち、面㋒と平行な面は、面㋕です。

図によっては、平行な面がすぐに見つかる場合もあります。
3つの面が横並びになっている場合などは、その3つのうちの両端の面は平行となるでしょう。

そんなまわりくどいことをいちいち考えないと、見えないの?
保護者の方がイメージ力のある人の場合、こんな説明にむしろイライラするかもしれません。
我が子がこれをイメージできないことにもイライラするでしょうが、見えない人には本当に見えないのです。
上の展開図の面㋕が下の底面になることが、どうしてもイメージできないということはよくあることです。
しかし、2面ずつならば、練習すれば自力で判断できるようになります。
残る面が底面にまわり込んでいくのだと、後は知識で処理していきます。
それを繰り返すうちに、ふと気づくと、まわり込んでいく底面も自力でイメージできるようになっている場合もあります。
頭の中で、何かの回線がつながったのだと思います。
そうなるまで、とりあえず、平行な面を答える問題は、すぐ横の面ではない面が平行な面、という知識で解くのが正解に至るコツです。

何で平行な面が答えられないの?簡単なのに、と思う人も、こんな問題になると「あれ、これは難しい」となることがあります。

問題 上の展開図を組立てたとき、点アと一致する点を全て答えよ。

点アと点ウが一致するのは、比較的容易にイメージできると思います。
しかし、もう1つ、点ケも点アと一致します。
これをイメージできるでしょうか?

一種の脳トレとして、あくまでも頭の中でこの立方体を組み立てようとするのも良いのですが、これがテスト問題であり、こんなところで失点するわけにはいかない場合、絶対確実な解き方があります。
これは知識で解ける問題なのです。

立方体で、ある点と対角線上にある点、すなわち、その点から一番遠い点は、展開図ではどこに存在するでしょう?
それは、展開図で隣りあう面2つだけを選んで作った長方形の対角線上の位置に存在する点です。

まず立方体の見取り図をイメージし、その上の底面と正面に見えている側面の2面だけを展開図としてイメージしてください。
他の面はイメージの邪魔になりますから、今は無視します。
その2枚だけの長方形の対角線の位置にある2点は、組み立てた立方体で対角線の位置にあります。
もしわからなければ、このことは実際の立方体で確認してみると良いと思います。

次、上の底面と右横の側面の2面で考えみます。
今度は横長の長方形がイメージできると思います。
その長方形の対角線の位置にある2点は、やはり組み立てた立方体で対角線の位置にあります。
イメージするのは、そのことだけで良いのです。
6つの面を同時にイメージするから大変なので、イメージは2面だけに絞ります。

対角線の位置にある点のことがわかったところで、では、一致する点はどう見つけるのか?
対角線の位置にある点にとっての対角線の位置にある点は、元の点と一致します。
まず対角線の位置にある点を見つけ、次にその点にとって対角線の位置にある点を見つけます。
すると、元の点と一致する点が見つかります。

上の図で言うと、点アと対角線の位置にあるのは、点シです。
その点シと対角線の位置にある点は?
点アに戻っては意味がありません。
別の2面の長方形を見つけます。
面㋔と面㋕の2面で長方形になりますね。
点シと対角線上にあるのは、点ケです。
すなわち、点アと一致するのは、点ケとなります。
点アと点ウのように、見たらすぐ一致するとわかる、90°の関係になっている点も、このやり方で発見できますが、それは見たまますぐ見つければ良いでしょう。
したがって、点アと一致する点の答えは、点ウと点ケです。

このやり方ならば、どんな奇妙な展開図でも正確に一致する点を答えていくことができます。
イメージできなくても知識でこのように補っていく過程で、「へえ、こんな位置にある点が一致するんだ」と驚きながら、頭の中でそれを組み立てようとしてみる。
その繰り返しで、イメージ力も少しずつ鍛えられていきます。

  


  • Posted by セギ at 11:28Comments(0)算数・数学

    2019年03月11日

    高校数A「整数の性質」不定方程式。解が自然数の場合。


    「不定方程式」の学習を続けます。
    今回は、こんな問題です。

    例題 方程式 3x+7y=71 を満たす自然数の組(x , y)を全て求めよ。

    この問題が今までと異なるのは、求める解が「整数」ではなく、「自然数」であることです。
    自然数とは、1、2、3、4、・・・・といった、正の整数。
    x も y も自然数となると、解は無数にあるわけではなさそうです。
    どちらかが負の整数であるものは解ではないからです。
    ですから、こういう問題は、具体的な解を全てあげて答えます。

    まずは、いつも通りの不定方程式の解き方で計算していきます。
    x、y の具体的な解を1組、見つけましょう。
    係数の大きい y のほうから、1、2と具体的に代入していくことで、x=19、y=2が見つかりますね。
    したがって、
    3・19+7・2=71 ・・・・②
    与式を①として、①-②をすると、
    3(x-19)+7(y-2)=0
    移項して、
    3(x-19)=-7(y-2)
    3と7は互いに素だから、
    x-19=7k (kは整数)
    x=7k+19 ・・・③
    y-2=-3k
    y=-3k+2 ・・・④
    という整数解がまず見つかります。

    ここからが今までと異なります。
    x、yは自然数なので、
    1≦x、1≦yです。
    これに③を代入すると、
    1≦7k+19
    7k+19≧1
    7k≧-18
    k≧-18/7
    1≦y に④を代入すると、
    1≦-3k+2
    3k≦1
    k≦1/3
    よって、-18/7≦k≦1/3
    kは整数だから
    k=-2、-1、0
    これで、自然数の解は3組あることが確認できました。
    これを③、④に代入して、
    (x、y)=(5 , 8),(12 , 5),(19 , 2)
    x=7k+19 ですので、1つめの x=5 を計算したら、その他のxの解は単純に7ずつ増やしていくと、求める時間を短縮できます。
    yも同様です。
    y=-3k+2 ですから、最初は計算で y=8 を出した後は、3ずつ減らしていくとよいでしょう。
    今回は解が3組だけでしたが、もっと沢山あっても全部書いていきますので、計算時間の短縮は重要です。
    計算の工夫ですね。

    高校生の定期テストを見ると、計算でもたつき、時間がかかってテストを最後まで解くことができない人もいます。
    計算スピードが遅い生徒を見ていると、手が止まって考え込んでいる時間が長いのが特徴です。
    立式を考えているのではありません。
    式が立った後、計算で手が止まって考え込んでいるんです。
    何をしているのかというと、暗算をしています。
    その暗算のやり方がまずいのです。
    上の例で言えば、k=-2をx=7k+19に代入した暗算をするのは納得できます。
    7・(-2)+19=5
    その後は、5+7=12、12+7=19 と暗算していけば速いのですが、
    7・(-1)+19=・・・うーん、うーん、うーん・・・。
    7・0+19=・・・うーん、うーん、うーん・・・。
    と逐一、もとの式に代入して暗算しているので、時間がかかるのです。

    これは、暗算と筆算とのバランスの問題もあるかもしれません。
    楽に暗算できるところは暗算し、不正確になりがちなところは目に見える形にしておく。
    例えば、もっと単純な1次方程式でも、そういう子の答案は、変に丁寧なところと省略しているところとがアンバランスなことが多いです。
    3x-17=8x+53
      -5x=70
        x=-14
    これが普通の計算の進め方だと思いますが、計算の下手な子は、こういう書き方をすることがあります。
    3x-17=8x+53
    3x-8x=53+17
        x=-14

    え?その2行目、要らなくない?
    え?その2行目から3行目に跳ぶの、つらくない?
    同じ行数でも、上の書き方と比べると、暗算の負担が大きくなり、時間がかかります。
    ミスも出やすいでしょう。
    何でそんなアクロバティックな省略をしたがるのか私にはわからないのですが、書いている本人は、もう何年もそういう答案を書いているので、何を指摘されているのか、なかなか飲み込めない様子です。
    ここを省略するから計算しにくくなって、ここで符号ミスをして、ここで計算ミスをする。
    そういうことに対して普段から自覚がなく、
    「次はミスしないようにしよう」
    と思うだけのようです。
    それでは、ミスが減ることはあまり期待できません。

    計算ミスが多いのは、何か原因があります。
    計算のスタイルを改善する必要があるのです。
    具体的に何かを変えていかなかったら、ミスは減りません。
    「ミスしないよう、次は頑張ります」と思うだけでは、ミスは減りません。

    我流のスタイルが身体にしみついている場合、改善が難しいのは事実です。
    スポーツに通じるものがあるかもしれません。
    正しいフォームが大切なのは一般論としてはわかっている。
    でも、自分は正しいフォームで行うことができない。
    我流のやり方がしみついている。
    そこを注意されても、直せない。
    そういうことは多いと思います。

    例えば、テニスのサーブで、自分の真上にトスを上げるのは初心者にはなかなか難しいことです。
    多くの場合、斜め前方にトスを上げてしまい、そこからへっぴり腰で威力のないサーブを打つしかありません。
    しかし、そこを注意されても、直せない。
    何をどうすればそれが直るのかも、わからない。
    そういうことはあると思います。
    斜め前方に上げたトスから打つサーブでも、とにかく相手コートには入る。
    だから、もうそれで良しとしてしまうのです。
    不正確なフォームのまま、本人の中でそれでOKとなってしまうのは、指導力のあるコーチが側にいない場合には、よくあることでしょう。
    正しいフォームを身につければ無限に伸びる可能性が生まれるのに、我流から脱することができないのです。

    数学も、そうなのかもしれません。
    そういうところは、数学はスポーツと似ていると思います。
    数学は頭脳のスポーツ。
    正しいフォームで数学の問題を解きましょう。

      


  • Posted by セギ at 14:40Comments(0)算数・数学

    2019年03月04日

    高校数A「整数の性質」不定方程式。文字が3つの場合。



    さて、「不定方程式」の続きです。
    今回は、文字が3つある、3元1次不定方程式の解き方。
    まずは連立型。
    式が2本ある場合です。

    問題 連立方程式 
    7x+5y+2z=37・・・①
    2x-y+z=13・・・②
    の整数解を全て求めよ。

    不定方程式の基礎が身についたら、この解き方は自力で発見することもできそうです。
    zを消去した式をまず1本作ったら良いですよね。
    どうしたら消去できるか?
    zの係数を揃えて、足したり引いたりすれば消えます。
    ①-②×2をすると。
      7x+5y+2z=37
    -)4x-2y+2z=26
      3x+7y   =11 ・・・③

    ここから xとyの解を求めるまでは、今まで学習した不定方程式の解き方と同じです。
    暗算で、xとyの整数解の1つを求めます。
    例えば、(x, y)=(-1, 2)がそうですね。

    この暗算が上手くいかないという悩みをもつ高校生もいます。
    見つけられないと言うのです。
    では、ちょっとしたコツを。

    上の式で言えば、3xと7yの和が11という正の数になるということは、xとyのどちらかが負の数だということにまず気づきます。
    3×1+7×1=10 ですから、どちらも正の数の場合、この先、どんどん和は大きくなっていく一方で、和が11になることはありません。
    必ず、xとyのどちらかは負の数です。
    あとは、係数の大きいyのほうに、1、2と入れていって辻褄が合うかどうかを検討するのが手っ取り早いです。
    7と3の差が4で、11と7の差が4であることから、xの係数とyの係数の絶対値の差は1であることも判断できます。
    しかし、今すらっと書いたことを読んで「え?」と思われる場合は、その考え方を使うのはかえって時間がかかる可能性があります。
    そんなことをいちいち考えるより、y=1、y=2と代入していくほうが早く見つかるでしょう。

    さて、そのようにして、x=-1、y=2という整数解の1つが見つかります。
    3・(-1)+7・2=11・・・④
    ③-④をすると、
    3(x+1)+7(y-2)=0
    移項して、
    3(x+1)=-7(y-2)
    3と7は互いに素だから、
    x+1=7k (kは整数) ・・・⑤
    ⑤を③に代入して計算すると、
    y=3k+2
    よって、x=7k-1
         y=3k+2 (kは整数)

    xと y の解がわかったら、それを与式のどちらかに代入すれば z も求めることができます。
    今回は②の式が求めやすそうなので②に代入しますが、①に代入しても同じ答えが出ますし、そのことで考えこんでしまう必要はありません。
    しかし、ここでいつまでも考え、悩み、手が止まってしまう子もいます。

    ぱっと見てどちらが解きやすいか判断がつかないのは、それはどちらも本人にとって同じ労力だからなのでしょう。
    係数の大きいかけ算はあまりやりたくない。
    かといって、負の数のかけ算はミスをしそうで気が進まない。
    結局、どちらもやりたくない・・・。
    負の数になると符号ミスをしやすい高校生の場合は、むしろ①に代入したほうが正解の可能性が高まるかもしれません。


    計算の工夫は、そうしなければならないというものではありません。
    ただ、高校生に「三角比」や「三角関数」を教えていると特に感じるのですが、計算が苦手な子ほど計算ミスをしやすい計算方法で計算してしまう傾向があります。

    例えば、余弦定理の利用の問題で、下のような式を立てるところまではできたとします。
    49=(x-1)2+25-2(x-1)・5・(-1/2)
    この式の後ろのほう、-2(x-1)・5・(-1/2) はごちゃごちゃしているように見えますが、ここは全てかけ算の連なりですから、どこからかけても結果は同じです。
    -2と-1/2を先にかけてしまえば、ここは1です。
    だから、5(x-1)=5x-5 と簡単に整理できます。

    しかし、計算が苦手な子ほど、前から順番にかけてしまいます。

    -2(x-1)・5・(-1/2)
    =-2x+2・5・(-1/2)
    =-2x+10・(-1/2)
    =-2x-5

    これは、誤った計算です。
    -2x+2を(  )でくくるのを忘れ、そこから、もう正しい計算ではなくなっているのです。
    余弦定理の利用で、非常に多く見られる計算ミスです。

    そこを何とかクリアしても、
    (-2x+2)・5・(-1/2)
    =(-10x+10)・(-1/2)
    =5x-5

    と、見ていて、「うわあ・・・・」とつぶやいてしまう危険な計算過程をたどる子は多いです。
    多項式の( )をいちいち開いたら面倒くさくなるよ、そこは最後にして単項式から先にかけなさいと助言するのですが、そういうのは問題を解いているときには気づかないと本人は言います。
    使っているのは、単なる交換法則です。
    それが使えないと言うのです。
    言われればわかるけれど、使いこなせない。
    どんなときにどんな法則を使うのか、本当のところがよくわかっていないのかもしれません。

    交換法則を学習するのは、小学4年生です。
    そこが大きな分岐点だったことなど、小学4年生本人も保護者の方も気づきません。
    高校生になって、交換法則が使えないことが発覚しても、なかなか定着しません。
    交換法則は、強く深く理解しておいてください。
    後になるほど大きく影響してきます。
    「計算のくふう」は苦手。
    よくわからない。
    普通に計算したい・・・。
    そんなことを言う小学生は、交換法則が実はよくわかっていない可能性があります。

    計算の工夫は、簡単に計算するための工夫です。
    簡単に計算できれば、ミスしにくくなります。


    さて、不定方程式に話を戻しまして。
    x=7k-1 , y=3k+2 を ②の2x-y+z=13 に代入しましょう。
    2(7k-1)-(-3k+2)+z=13
    14k-2+3k-2+z=13
    17k-4+z=13
           z=-17k+4+13
           z=-17k+17
    よって、
    x=7k-1
    y=-3k+2
    z=-17k+17 (kは整数)

    これが3元1次不定方程式の解です。
      


  • Posted by セギ at 13:04Comments(0)算数・数学

    2019年02月20日

    数A「整数の性質」。不定方程式。定数項が大きい場合。


    今回も「不定方程式」の学習の続きです。
    例えば、こんな問題。

    例 41x+17y=30 の整数解を求めよ。

    x や y の係数も大きいですし、定数項30もそこそこ大きいですね。
    でも、解き方の基本は今までと同じです。
    不定方程式を解くには、まずxyの整数解を1組見つけます。
    暗算で見つけられれば、それでOK。
    しかし、このようにxyの係数が大きいと、さすがに暗算で見つけるのは難しくなります。
    そこで互除法を利用します。
    41と17に互除法を用いて、
    41÷17=2あまり7 より 7=41-17・2
    17÷7=2あまり3  より 3=17-7・2

    目標は、x、yの整数解を1組見つけること。
    すなわち、41◇+17△=30
    という形の式を1本作ることです。
    そこに向かって、互除法で得られた式をどんどん代入していきます。
    あまりが1になるまで計算しなくても、あまりが30の約数になるまで互除法をやれば、そこから変形していくことができます。
    3ならば、10倍すれば30ですから、今回は、そこから始めましょう。

    3=17-7・2
     =17-(41-17・2)・2
     =17-41・2+17・4
     =41・(-2)+17・5
    よって、
    41・(-2)+17・5=3

    この式の両辺を10倍します。
    41・(-20)+17・50=30 ・・・・②

    かけ算のまとまりのところ、例えば41・(-2)のところは、-2のほうだけ10倍すれば、全体を10倍したことになります。
    41と-2と両方を10倍し、410・(-20)としてしまうと、結果としてその部分は100倍したことになってしまうので、注意が必要です。
    これは、中学生が方程式を整理するときによくやってしまうミスですが、高校生になっても、なぜそれではダメなのか実のところわかっていない人もいます。
    こういうことをしてはダメなんだというルールとして覚えようとして覚えきれず、ミスを繰り返す。
    「数理の根本がよくわかっていないのではないか?」
    数学の先生にそう指摘されてしまうのは、こういう点だったりします。
    本当にわからない人は、ここで解決しておきたいですね。

    わからなくなる度に、実際に計算し、実感をもって確認しておくと良いでしょう。
    上の式で、かけ算のまとまりところを両方10すると、
    410・(-20)+170・50
    =-8200+8500
    =300
    となります。
    やはり、もともとの右辺である3を100倍した結果になってしまい、10倍にはなりません。

    ところが、ここで、0を多く含む計算の正しいやり方を小学生のときに習得できなかったのか、
    410・(-20)=-820
    としてしまう人もいます。
    違うと指摘されれば気づくのですが、自分では、1桁小さくしてしまっていることに気づかないようです。
    このあたりがあやふやであることも、等式の両辺を10倍するやり方を根本で飲み込めなくなっている原因の1つでしょう。
    かける数とかけられる数をそれぞれ10倍すれば、全体としては100倍になることが、やはり未定着なのだと思います。
    小学校の算数のどこかがあやふやであることは、中学・高校と進むにつれて大きな困難を伴います。
    算数は大事です。


    不定方程式の計算に戻りましょう。

    与式を①として、①-②をすると。
    41(x+20)+17(y-50)=0
    移項して、
    41(x+20)=-17(y-50)
    41と17は互いに素だから。
    x+20=17k (kは整数)
    y-50=-41k
    よって、答えは、
    x=17k-20
    y=-41k+50 (kは整数)

    後半の計算過程は、ご理解いただけたでしょうか?
    そのときはわかるけれど、時間が経つと、またわからなくなる。
    不定方程式の計算は、わかって、わからなくなって、またわかっての繰り返しとなる人が多いです。

    作業手順だけ覚えようとすると、忘れるのも早いのです。
    必ず計算の意味に戻れるようにしておいてください。


      


  • Posted by セギ at 10:33Comments(0)算数・数学

    2019年02月13日

    算数・数学の文章題が読み解けない子。


    国語が苦手なために、算数・数学の文章題を上手く解くことができない子の話は、以前にも書きました。
    例えば、こういう文章題が読めないのでした。

    問題 ある数を2乗するところを誤って2倍したため、計算の結果は19小さくなりました。ある数を求めなさい。

    この問題の何が読み取れないのか?
    「計算の結果」とは、2乗したもののことか2倍したもののことか、わからないと本人は言うのです。
    誤って2倍したほうが計算の結果です。
    誤って2倍したのだから、その誤った計算を実際にやっているのでしょう?
    そう説明しても、
    「そうかな?どこに書いてあるの?」
    と首をひねり、自分はこの文からはそんなことは読み取れない、と言うのです。

    それに関して、以前は、文章の読み方の癖として、目立つ動詞や名詞しか目に入っていないからなのではないか、という解釈をしました。
    目につく単語を拾い読みするほうが速く読み取れるので、それが習慣になり、語句の関係が複雑な文は読解できなくなっているのではないか?
    助詞・助動詞の働きが理解できず、語句の関係をつかめないので、正確な読解ができないのではないかと考えたのです。
    その見方は必ずしも間違っていないと今も思っているのですが、最近、また新たな発見がありました。

    別の、やはり国語が苦手な子が、以下の文章題を読み取れなかったのです

    問題 色紙でつるを600羽折りました。赤い色紙のつるは全体の30%にあたります。赤いつるは何羽でしょう。

    「割合」に関する文章題の中では、比較的易しい問題です。
    600羽の30%なのだから、
    600×0.3=180 で、答えは180羽ですね。

    上の問題、
    「600羽の30%なんだよ」
    と私が解説すると、その子は、スラスラと式を立てることができるのです。
    だから、割合の3用法は理解できています。
    もとにする量×割合=比べられる量
    そういう公式は理解しています。
    しかし、文章から、その関係を読み解けないのです。

    私が小学生に算数の「割合」を教えるようになった最初の頃から、文章中の何が「もとにする量」で何が「くらべられる量」なのか判断できない子は存在しました。
    むしろ、小学生の過半数はそうではないかとも思います。
    そうした場合に「もとにする量の、割合」という文章の構造を教えると理解できるようになる子は多いです。
    文章中の割合を表す数値はどれであるかは、さすがに9割以上の子が識別できます。
    むきだしの小数・分数、または%や何割何分何厘といった単位のついている数値が割合。
    それでほぼ判断がつきますから。
    上の文章題で言えば、「30%」が割合です。
    その数字の前にひらがなの「の」があります。
    助詞の「の」ですが、そんなことは説明しなくて大丈夫です。
    その「の」の前に書いてあるものが「もとにする量」。
    上の文章題で言えば、「全体」がもとにする量です。
    全体の30%。
    もとにする量の、割合。
    文章題からそれを発見すること。
    「割合」と「もとにする量」を発見できれば、そうでない数字が「くらべられる量」です。
    「割合」が本当に苦手で、文章題で得点できる可能性がほとんどない子に対しては、この教え方は効果的です。

    ☐cmの1割5分は7cmです。

    といった、1行の基本問題ならば、自力で立式できるようになります。
    1割5分が「割合」。
    「の」の前にあるのが☐だから、☐は「もとにする量」。
    もとにする量を求めるのだから、式は、比べられる量÷割合。
    だから、式は、7÷0.15 です。

    しかし、上の問題は、そのやり方では解けない子がいます。
    もう一度、上の問題を確認しましょう。

    問題 色紙でつるを600羽折りました。赤い色紙のつるは全体の30%にあたります。赤いつるは何羽でしょう。

    「全体の30%」という表現から、30%が「割合」。
    その前に「の」があるから、そのさらに前の「全体」が「もとにする量」。
    そこまでは読み取れるのです。
    しかし、全体が何羽であるかを読み取れないので、式が立てられないのです。
    全体が600羽であることを、この短い文章から読み取れないようです。
    どういうことなのでしょう?


    また別の問題。

    問題 定員55人のバスに、140%の人が乗っています。このバスに乗っているのは何人でしょう?

    この文章題は「もとにする量の、割合」という構造が崩れています。
    140%が割合ということは識別できます。
    しかし、その前に「の」がない。
    だから、もとにする量が何であるかを読み取れない子がいます。
    したがって、求めるものが「もとにする量」なのか「くらべられる量」なのかを識別できません。
    ふーむ・・・。

    「もとにする量の、割合」という構造になっていないのは事実だけれど、どう見ても「定員55人」が「もとにする量」なんだけれど、やっぱり、わかりませんか?
    その子の返事は、「わからない」でした。
    ふーむ・・・。


    また別の問題。
    問題 めぐみさんの学校では、今日は18人休みました。これは学校全体の4%にあたるそうです。今日出席しているのは何人でしょう。

    この問題は少し複雑で、小学生にとっては応用問題です。
    18人が4%にあたるのですから、「もとにする量」である学校全体の人数は、
    18÷0.04=450 (人)
    そのうち18人が休んでいるのだから、今日出席しているのは、
    450-18=432 (人)
    いきなり答えが出ず、2段階で計算していかなければならない問題は、難しいです。
    そのように解くということを発想できない小学生が多いですから。
    小学生の多くは、算数の問題は1本の式で答えが出るものと思い込んでいるのです。
    だから、答えを出す式を立てようとウンウンうなったあげくに、ギブアップとなってしまいます。

    応用問題ですから、解けなくても良いと思って出題してはいるのですが、それでも、4パーセントが「割合」で、「学校全体」が「もとにする量」で、18人が「くらべられる量」というところまでは分析してほしい。
    そこまではできるはずだから、と思うのですが、なかなかうまくいきません。
    「学校全体」が「もとにする量」までは何とか分析できるのですが、18人が何なのかわからないのです。

    ふーむ・・・。


    これらの問題を、なぜ子どもは読み解けないのか?
    共通することは何なのでしょう。

    問題1 ある数を2乗するところを誤って2倍したため、計算の結果は19小さくなりました。ある数を求めなさい。
    問題2 色紙でつるを600羽折りました。赤い色紙のつるは全体の30%にあたります。赤いつるは何羽でしょう。
    問題3 定員55人のバスに、140%の人が乗っています。このバスに乗っているのは何人でしょう?
    問題4 めぐみさんの学校では、今日は18人休みました。これは学校全体の4%にあたるそうです。今日出席しているのは何人でしょう。

    上のように別紙に問題を書き取って、じっと眺めているうちに、私はあることに気づきました。
    これらの文章題は、全て、途中が読点、あるいは句点で、問題文が区切られています。
    彼らは、読点、あるいは句点を越えた内容の関係性を把握できないのではないか?
    読点の度、句点の度に、意味がリセットされて、その先はまた白紙のところから読むため、意味をつかめないのではないか?

    問題1は「誤って2倍したため」という表現の後に読点があるので、本人の中でそこでリセットされてしまい、「計算の結果」が何の計算の結果なのかを読み取れないのではないでしょうか。
    つまり、問題1をこのように書き変えれば、読み取れるのです。
    「ある数を2乗するところを誤って2倍したため、誤って2倍した計算の結果は2乗したものよりも19小さくなりました。ある数を求めなさい」

    同様に、
    問題2 色紙でつるを600羽折りました。赤い色紙のつるは、折った600羽全体の30%にあたります。赤いつるは何羽でしょう。
    問題3 定員55人のバスに、定員55人の140%の人が乗っています。このバスに乗っているのは何人でしょう?
    問題4 めぐみさんの学校では、今日は18人休みました。今日休んだ18人は学校全体の4%にあたるそうです。今日出席しているのは何人でしょう。

    このように問題を自分で書き直した際の私自身の感想は、
    わかりやすいのかもしれないけれど、下手くそな文だな・・・。
    くどいなあ。文章の呼吸というものが何もない・・・。

    でも、ここまでくどくどと書かないと意味を取れない子が存在するのです。
    すなわち、文章の呼吸を読み取れない子が存在します。


    高校の国語教育改革が取沙汰されています。
    高校の国語は、契約書や資料などを含む実用的な文章の読み取りに重点を置くものに変わり、文学作品の読解は選択科目になってしまうとのこと。
    それに関して、例のAIによる大学受験や読解テストで有名になった学者が、現在、高校国語の全ての教科書で採択されている『山月記』などは教える意味がないといった発言をし、批判を浴びています。

    現代の子どもの多くが、上のように読点や句点を越えた読み取りすらできない現状では、確かに、文学の鑑賞などよりも、基本的な文章が読み取れる学習のほうを強化すべきかもしれません。
    教科書を読めない子どもたちがいることはどうにかしないといけません。

    しかし、それで文学作品を教えることを否定するのはどうなのでしょう?
    文学を理解することが、高い能力を持つ者だけの教養や贅沢になってしまうのは気持ち悪いという以上に、契約書や資料の読み取りに夢中になれる子どもなど果たして存在するのかという懸念があります。
    文章を読むことがますます嫌いにならないでしょうか?
    文字を読むことそのものが好きな私ですら、契約書を読み通すのは、ある種の苦行です。
    つまらないです。
    その中から面白さを探せ、それが勉強だなどと言われたら、さすがにちゃぶ台をひっくり返しますよ。
    つまらないものは、どうしたってつまらないです。
    必要だから読みますが、面白くはないです。
    どこまでいっても、面白くなりようがないです。
    無味乾燥な文章なのですから。
    つまらないことを勉強するのは嫌です。
    文学作品の読解は、文字を読むことが嫌いな子どもが、1つの作品との出会いで劇的に文章を読むことが好きになる、わずかな可能性を担っていると思うんです。


    それにしても、なぜ、句読点を越えると意味がリセットされるような読み取りをする子どもが存在するのでしょう。
    デジタル世代だから?
    そんな乱暴な論を振り回している場合ではないので、その子に質問してみました。
    「子どもの頃、読み聞かせとか、してもらった?」
    その子の答えは、こうでした。
    「してもらった!すごくしてもらった。だから絵本は好きなんだけど、他の本は好きじゃないんだよね」
    「・・・・・・」

    子どもを本好きにさせるのは容易なことではないと改めて思います。

      


  • Posted by セギ at 12:12Comments(0)算数・数学

    2019年02月07日

    数A「整数の性質」不定方程式。互除法の利用。



    今回も「不定方程式」の学習です。
    前回は、比較的係数の小さい不定方程式を解きました。
    不定方程式は、具体的な x と y の整数解を1組見つけることができれば解いていくことができるのでした。
    係数の小さい不定方程式なら、頭の中でちょちょっと代入して、暗算で求めることができました。

    しかし、暗算ではなかなか見つけられない場合もあります。
    そんなときは、「互除法」を利用して整数解を1組求めます。

    問題 43x+13y=1 の整数解を全て求めよ。

    これは暗算では整数解をなかなか見つけられそうにないです。
    こんなときは、互除法を利用します。

    43と13に互除法を用いてみましょう。
    43÷13=3あまり4
    これを後で利用しやすいように変形しておきます。
    4=43-13・3
    これは、余り=もとの数-割る数×商 という変形です。

    この変形で苦労する高校生がときどきいます。
    形だけ真似ることはできても、よく意味がわからないようなのです。
    おそらく、小学生の頃から、加減乗除の関係の理解が完全ではなかったのだと思います。
    小学4年生でわり算の筆算を学習したとき、検算もあわせて学習しますが、なぜそれで検算できるのか、実は理解できなかったのかもしれません。
    検算しろと言われたから、公式通りに代入して検算した形にした。
    でも、本当は、なぜそれで検算になるのか、意味はわからなかった。
    あるいは、意味など考えなかった。

    ☐を使った式の変形などでも、かなり苦労する小学生がいます。
    例えば、
    ☐-3=5
    などの☐を求める式を上手く立てることができないのです。

    中学生になって方程式を解くときにも、加減乗除が理解しきれていないことは影響したはずです。
    移項をするとき、なぜ符号が変わるのかわからないまま、「そういうものだ」と作業手順だけ覚えて済ませてしまったのかもしれません。
    あるいは、意味が理解できなかったわけではないけれど、作業手順だけを頭に残してきた。
    手順だけを覚え、作業の意味を忘れてしまう繰り返しの中で、算数・数学の根幹への理解が痩せていってしまったのかもしれません。
    いちいち意味を確かめながら作業していたら時間がかかるので、作業は自動化しがちです。
    自動化の中で、意味は無用のものだから記憶から消去してしまった。
    そして、意味がわからなくなった。
    数学が苦手な子の典型の1つです。

    中学受験の受験算数では、しつこいくらい「逆算」の計算問題が出題されます。
    上の、☐を使った計算です。
    中学生になったら使うことのない逆算を、なぜそんなにしつこく問うのかといえば、加減乗除の関係を正しく理解できている子を入学させたいからでしょう。
    表面的には逆算を使用することは中学入学以後はないけれど、加減乗除の関係が定着している子でないと、その上に何を積み上げていっても不安定です。
    不安定な基礎の上に無理に数学を積み上げていっても、やがて何も積み上がらなくなってしまう。
    中学側は、数理の基礎を理解している子を入学させたいのでしょう。

    小学校でもっと、☐を使った計算を沢山やれば良いのに、と思わないでもありません。
    しかし、それをやると、過半数の子は上手く解くことができないかもしれません。
    小学校で、過半数が解けない問題を扱えば、授業が成立しないでしょう。
    小学校は、皆が解ける問題を勉強する場所。
    勉強に関して絶望させない場所です。
    ☐を使った計算は、深追いできないでしょうか。

    その一方、高校数学には絶望が存在する。
    わからな過ぎて、授業中に涙を流す高校生が存在します。
    本質的には小学校の算数が身についていないのですから、無理ないのです。
    目の前のことがわからないのではない。
    そのはるか手前でつまずいているのです。
    そのことに自覚的になるだけでも、高校数学を攻略する道が見えてくると思います。


    不定方程式に話を戻します。
    43と13に互除法を用いて、
    43÷13=3あまり4 より 4=43-13・3
    13÷4=3あまり1 より 1=13-4・3

    ここで、余りが1となりました。
    与えられた不定方程式の右辺と一致しました。
    ここから、変形しておいた式を代入して、復元作業をしていきます。
    1=13-4・3
     =13-(43-13・3)・3
     =13-43・3+13・3・3
     =13-43・3+13・9
     =43・(-3)+13・10

    すなわち、
    43・(-3)+13・10=1 ・・・②

    43x+13y=1と同じ形になりました。(*'▽')
    つまり、x=-3、y=10 は、この方程式の整数解の1つです。
    これが互除法を利用した整数解の1組の求め方です。
    途中、何をどう代入しているのかわからなくなる人。
    わかるつもりなんだけど、自分でやってみると、この通りにならない人。
    そういう人が多く出るところです。
    1人でできるようになるまでは、補助があると良いですね。
    目標は、与えられた式、43x+13y=1 と同じ構造にすること。
    そこへ向かって、道筋を誤らないようにします。
    慣れないうちは、符号ミスが出やすいですし、計算しないでおくべきところをすぐに計算してしまって、訳がわからない見た目になったりしがちです。


    後は、前回解いた問題と同じ解き方です。
    与えられた不定方程式・・・① から、今求めた式②を引きます。
      43x    +13y  =1
    -)43・(-3)+13・10=1
      43(x+3)+13(y-10)=0

    移項すると、
    43(x+3)=-13(y-10) ・・・③
    43と13は互いに素だから、
    x+3=13k (kは整数)
    これを③に代入すると、
    43・13k=-13(y-10)
    13(y-10)=-43・13k
    y-10=-43k
    y=-43k+10
    よって、答えは、
    x=13k-3, y=-43k+10 (kは整数)

    これで、係数が大きい不定方程式も解けます。
    途中でわからないところがある人は、前回の、不定方程式の基本のところに戻って見直してみてください。
    ヽ(^。^)ノ
      


  • Posted by セギ at 12:03Comments(0)算数・数学

    2019年01月24日

    高校数A 不定方程式。


    今回は、「不定方程式」の学習に進みます。
    不定方程式とは、何か?
    解が明確には定まらない方程式のことです。

    例えば、 3x-4y=0

    この方程式1本では、x、yの値は定まりません。
    y=3/4x
    と変形してみるとわかりやすいですが、これは比例の式ですから、xとyの値の組は無数に存在します。

    では、不定方程式は、「解は無数に存在する」で終わらせるのかいうと、もう少し範囲を狭めて、何か情報を伝えたいものです。

    不定方程式の問題は、「x、yの整数解を求めよ」となっているのも特徴です。
    無数に存在する中で、xもyも整数である解を求めなさいというのです。

    いやいや、それだって無数に存在するのですが、何か解の性質のようなものを伝えて、それを答えとしたい。
    そういう方向で解いていくことになります。

    では、解いてみましょう。

    3x-4y=0

    とりあえず、yを移項します。
    3x=4y

    こうすることで、xとyの整数解の関係が見やすくなりました。
    3と4は、最大公約数が1。
    それ以外に整数の共通因数を持ちません。
    つまり互いに素です。
    それで、3x=4y が成り立っているということは、xには4の因数が含まれているということです。
    一方、yには3の因数が含まれている。
    つまり、xは4の倍数で、yは3の倍数です。
    そうでなければ、この等式は成立しません。

    よって、
    x=4k、y=3k (kは整数)

    これが、この不定方程式の整数解となります。
    1つに特定することはできないけれど、xは4の倍数ですし、yは3の倍数ですよ。
    kに整数を代入すれば、個々の解は全て出てきますよ。
    この解答が伝えていることは、そういうことです。
    これが、不定方程式の解です。

    「何だか解いた気がしない」
    と言う高校生もいます。
    数学は答えが1つに決まるものだと思っていたのに、この答えは中途半端だ。
    今までの方程式と何か違うので、やりにくい。
    頑固なタイプの生徒ですと、違和感を抱き、反発心も強く、なかなか定着しないことがあります。
    納得できない内容は、頭に入らないですよね。
    しかし、
    「数学とはこうでなければならない」
    という固定観念の強い人ほど、この先の数学で実感的に納得できる内容は少なくなっていきます。

    頑固にならないでね。
    この先の内容で納得できないことがあっても、そんな考え方もあるのかと受け流すといいよと話しています。

    さて、不定方程式をもう1問。

    3x+5y=1

    これは、どう解きましょうか?
    右辺が0なら、上の問題のようにxとyの関係を見ることができますが、右辺が1なのでやりにくいです。
    では、まず右辺を0にしましょう。
    どうやって?

    上の方程式が成立するxとyの整数解を1組、とにかく見つけます

    もっと複雑になると見つけ方の計算方法もありますが、今のところ問題がシンプルなので、暗算で見つけることができますね。
    x=1のときは、yは整数解はありません。
    x=2、y=-1。
    これは成立します!
    そこで、与式から、今作った式を引きます。
      3x +5y   =1 
    -)3・2+5・(-1) =1 
    3(x-2)+5(y+1)=0

    上のように共通因数でくくり、扱いやすくしておきます。

    これで右辺は0になり、xとyの関係が見やすくなりました。
    移項して、
    3(x-2)=-5(y+1) ・・・・①
    3と5は互いに素ですから、x-2は5の倍数だとわかります。

    よって、
    x-2=5k (kは整数) ・・・②
    x=5k+2
    ②の x-2=5k を、①の3(x-2)=-5(y+1) に代入すると、
    3・5k=-5(y+1)
    15k=-5(y+1)
    -5(y+1)=15k
    y+1=-3k
    y=-3k-1
    よって、この不定方程式の解は、
    x=5k+2、y=-3k-1 (kは整数)

    最初に見つけた整数解によって、この解答は見た目が少し違ってきます。
    しかし、表しているものの関係は変わりません。
    だから、模範解答と異なるものでも正解はあります。

    慣れてくると、上の、
    3(x-2)=-5(y+1)
    からすぐに、
    x=5k+2
    y=-3k-1 (kは整数)
    という解を導くことができます。

    不定方程式は単なる計算問題なので、解法の過程が重視される問題ではありません。
    だから、慣れたら、いきなり跳んでも構いません。
    ただ、どのように解いているのか、その痕跡がノートに残らないため、時間が経つと解き方を忘れてしまい、不定方程式が解けなくなってしまう高校生がいます。

    どういう根拠でそのように解けるのか、納得できないとペンが進まない。
    その一方、一応理解できると、自分で計算するときにはやたらと省略してしまう。
    しかし、時間が経つと根拠を忘れ、解き方がわからなくなる。

    中学生の頃から、例えば関数の式を求める際にも、同じ失敗をしてきていなかったでしょうか。
    解き方がわかっているときにはやたらと省略し、何もかも一度に代入して計算する。
    しかし、時間が経つと、解き方を忘れ、全くわからなくなる。
    ノートを見直しても、全てを一気に代入した謎の計算式が残っているだけなので、自分が何をどうしたのか、よくわからない・・・。

    それを反省点として、後で見直してもよくわかるノートを作っておくことをお薦めします。
    記憶なんて、そんなに長持ちしません。
    宿題も、
    「どう解いたの?」
    と私が尋ねると、答えに詰まって絶句する人は多いです。
    そのときは確かにわかっていた。
    でも、もう今はわからない。
    そんなことにならないように解き方をノートに残しておきましょう。

      


  • Posted by セギ at 11:53Comments(0)算数・数学

    2019年01月14日

    数A「整数の性質」 ユークリッドの互除法。



    今回から「ユークリッドの互除法」の学習に入ります。
    この後「不定方程式」を解くのに使う計算方法ですので、確実に身につけておきたいところです。
    「ユークリッドの互除法」とは、最大公約数を求める方法です。
    それなら「連除法」があるからそれでいいじゃないかという気もしますが、連除法は、最大のものではなくてもとにかく公約数を自力で見つけなくてはなりません。
    2や3ならすぐに見つけられますが、公約数が19だったり23だったりしたら、見つけにくいです。
    そうしたものでも確実に見つけられるのがユークリッドの互除法です。
    まず、小学生レベルの簡単な問題で考えてみましょう。

    問題 縦70cm横98cmの長方形の紙があります。これを余りがないようにできるだけ大きい正方形に切り分けます。正方形の1辺を何cmにすればよいですか。

    これは、70と98の最大公約数を求めればよいのですね。
    上の板書の左下は、いつもの連除法で解いたものです。
    最大でなくても良いので、とにかく公約数を考えます。
    思いつくのは、まず「7」。
    70と98をそれぞれ7で割って、10と14。
    今度は、10と14の公約数を考えます。
    「2」ですね。
    それぞれを2で割って、5と7。
    もう1以外の公約数はなくなりました。
    したがって、最大公約数は、7×2=14。
    これが連除法です。

    一方、今回学習する「ユークリッドの互除法」は、長方形を初めからざっくり正方形に切り分けていく方法です。
    板書の中央下が互除法です。
    まず、縦の70cmにあわせて、70×70の正方形を1つ切り出します。
    最終的に切り分ける正方形の1辺は必ず70の約数なので、この正方形は後で余りなく切り分けていくことができるでしょう。
    切り出した残りは、縦70cm横28cmの長方形です。
    この長方形も最終的に同じ大きさの正方形に切り分けるのですから、求める正方形の1辺は、70と28の最大公約数でもあるでしょう。
    ならば、1辺28cmの正方形をまず切り出して、後でその正方形をさらに細かく切り分けることにしても余りは出ないでしょう。
    28×28の正方形は、上の図のように2つ切り出すことができます。
    残りは、縦14cm横28cmの長方形。
    同じように考えて、今度は、14×14の正方形を切り出していくと、これは2つ切り出すことができ、余りはありません。
    では、この1辺14cmの正方形が求めたかった最大の正方形でしょう。
    先程切り出した28×28の正方形は、この正方形に切り分けることができますね。
    70×70の正方形も、この正方形に切り分けることができます。
    やはり、答えは、14cmです
    これを式で表すと、
    98÷70=1あまり28
    70÷28=2あまり14
    28÷14=2
    よって、答えは14。
    これが互除法です。

    合同式のときもそうでしたが、今回も、商はどうだっていいんです。
    割る数とあまりが大切です。

    ところで、高校数学はどうしても必要でない限り「÷」の記号や「余り」という日本語は使いません。
    98÷70=1あまり28
    という書き方ではなく、
    98=70・1+28
    という書き方をします。
    これは、小学校でわり算の筆算を学習したときに、検算の式として学習している内容です。
    「はじめの数=わる数×商+あまり」
    という式です。
    同じ数量の関係を異なる表し方をしたもので、意味は同じです。

    わかりにくかったら、上のほうのわり算の書き方で理解できれば大丈夫です。
    この先、不定方程式に互除法を利用する場合は、上の書き方でも下の書き方でもない、第3の書き方を利用します。
    それはマスターしなければ不定方程式がうまく解けません。
    28=98-70・1
    という書き方です。
    「余り=はじめの数-割る数×商」
    という意味の式です。
    この式も面食らってしまう可能性がありますが、頑張って理解しましょう。

    互除法は、なぜそれで解けるのかを文字式を用いて証明したものを理解しようとして、かなり混乱する人がいます。
    そうした証明に興味がある場合はとことん追求すると良いですが、そうでないなら、長方形を切り分けるやり方でざっくり理解できたら、それで良いことにして大丈夫です。
    互除法は計算方法なので、この計算方法で計算して良いのだと納得できれば、あとは活用できることのほうが大切です。
    証明に抵抗感が強かったため、それで「互除法がわからない」となり、互除法を活用できないと、不定方程式が解けなくなります。
    そちらのほうが深刻な問題です。

    なお、上の板書の右下は、互除法の筆算です。
    わり算の筆算をどんどんつなげて書いていくもので、一番右の筆算から始まり、左に書き添えていきます。
    最初の筆算の「割る数」を「余り」で割っていくので、左につなげて書いていくことが可能です。
    割り切れたときの「割る数」が、求めたかった最大公約数です。
    最大公約数だけを求めたい場合は、この筆算も便利です。



      


  • Posted by セギ at 12:07Comments(0)算数・数学

    2019年01月09日

    高校数A 合同式の利用 その3 合同方程式。


    合同式の利用。
    今回は、合同方程式と呼ばれるものです。

    問題 次の合同式を満たすxをそれぞれの法mにおいて、x≡a(mod m)の形で表せ。(aはmより小さい自然数)
    (1) x+4≡2(mod 6)
    (2) 3x≡4(mod 5)
    (3) 4x≡4(mod 6)

    合同式の性質は、等式の性質と共通の部分が多いです。
    すなわち、
    a≡b、c≡d のとき、
    a+c≡b+d
    a-c≡b-d
    ac≡bd
    が成り立ちます。

    これらを利用し、上の問題を解いてみましょう。

    (1) x+4≡2(mod 6)
    両辺から4を引いて、
    x≡2-4=-2(mod 6)
    ここで、-2≡4(mod 6)
    よって、x≡4(mod 6)

    あ、簡単だ。ヽ(^。^)ノ
    では、

    (2) 3x≡4(mod 5)
    4は3で割ると整数にならないので、厄介だから、
    まず、4≡9(mod 5) を利用します。
    3x≡9(mod 5)
    両辺を3で割って、
    x≡3(mod 5)

    はい正解です。

    (3) 4x≡4(mod 6)
    超簡単だ。ヽ(^。^)ノ
    両辺を4で割って、
    x≡1(mod 6)

    ・・・いいえ。これは間違いなのです。

    ええー?
    何が違うのー?

    実は、上の合同式の性質に、a≡b、c≡dのとき、
    a/c≡b/d
    というのはなかったのです。
    一部使えることもあるのですが、それには条件があります。

    aとmが互いに素であるとき、ax≡ay(mod m)ならば、x≡y です。

    上の(2)では、3と5は互いに素なので、両辺を3で割ることができました。
    (3)は、4と6は互いに素ではないので、両辺を4で割ることはできません。

    証明しましょう。
    ax≡ay(mod m) ならば、ax-ay=mk(kは整数)と表されます。

    すらっと書きましたが、ちょっとわかりにくいでしょうか?
    法をmとして合同ということは、mで割った余りが等しいもの同士ということです。
    axもayも、余りがいくつなのかはわかりませんが、mで割ったあまりは等しいのです。
    だとすれば、ax-ayは、余りの分はちょうど引かれてなくなり、mの倍数のみ残るでしょう。
    だから、ax-ay=mk(kは整数)となります。
    さらに左辺を共通因数aでくくると、
    a(x-y)=mk
    この式は、aとmが互いに素のときには、x-yは、mの倍数であることを示します。
    よって、
    x-y=mL(Lは整数)   ※本当はLは小文字で書きます。
    よってx≡y(mod m)

    上の証明では、aとmが互いに素であることが条件でした。
    だから、aとmが互いに素ではない場合は、x-yは、mの倍数とは限らなくなります。
    証明の根拠が崩れたのです。
    根拠が崩れたことは、使えば必ず誤りを生みます。

    何だか、よくわからない・・・。
    そんな声が聞こえてきます。
    互いに素について、さらに考えてみましょう。
    例えば、3・8=4・6 
    この場合、3と4は互いに素です。
    3と4は互いに素なのに、3・8=4・6が成立しているのは、8は、4の倍数、6は3の倍数だからです。
    その関係がないと、積が等しくなることはありません。
    例えば、3・7と4・6が等しくならないのは、3と4が互いに素なのに、7は4の倍数ではないからです。

    あるいは、7と21は互いに素ではありません。
    その場合、7・9=21・3 のように、9は21の倍数にはなりませんし、3は7の倍数になりません。
    これは、この先の不定方程式を解く際に使う、重要な考え方です。


    (3) について、さらに具体的に考えてみましょう。
    4x≡4(mod 6)
    よって、x≡1(mod 6) では、正解ではなかったのですが、x≡1は正解の一部であり、もっと他に答えがあったのです。

    6を法としていますから、xは0、1、2、3、4、5のいずれかです。
    一覧表にしてみましょう。
    x  0  1  2    3    4   5
    4x 0  4 8≡2 12≡0 16≡4 20≡2

    4x≡4 となるものは、x≡1だけではないですね。
    x≡4のときも、4x≡16≡4 となることが逐一表にしてみることでわかります。
    ですから、x≡1、x≡4 が(3)の正解となります。

    これを(2)の、3x≡4(mod 5) でもやってみると、
    x  0 1  2   3    4
    3x 0 3 6≡1 9≡4 12≡2
    と、同じ数字が被らず、きれいに散るのがわかります。
    3と5が互いに素であるとき、そうなります。

    解き方としてまとめますと、合同式の場合、両辺を割ることはできるときとできないときがあるので、注意すること。
    それさえ意識しておけば、合同方程式はそんなに難しいものではありません。

      


  • Posted by セギ at 12:56Comments(0)算数・数学

    2018年12月19日

    高校数A 合同式の利用 その2。



    今回も「合同式」。
    まずはこんな問題です。

    問題 整数nを3で割った余りが2のとき、n3-3nを3で割った余りを求めよ。

    合同式を使えば簡単です。
    整数nは3で割った余りが2なのだから、
    n≡2 (mod3)
    よって、
    n3-3n≡23-3・2=8-6=2 (mod3)

    したがって、余りは2です。

    合同式を用いて、証明問題を解くことも可能です。
    これも、普通の解き方よりも簡単に書いていくことができます。

    問題 nが整数であるとき、n3+5nは6で割り切れることを証明せよ。

    6で割り切れるかどうかを証明するのですから、6を法として論を進めていけば良いのです。

    整数nは6を法とするとn≡0、n≡1、n≡2、n≡3、n≡4、n≡5のいずれかに分類される。
    (1)n≡0のとき
    n3+5n≡03+5・0≡0
    (2)n≡1のとき
    n3+5n≡13+5・1≡6≡0
    (3)n≡2のとき
    n3+5n≡23+5・2≡18≡0
    (4)n≡3のとき
    n3+5n≡33+5・3≡42≡0
    (5)n≡4のとき
    n≡4≡-2
    n3+5n≡(-2)3+5・(-2)≡-8-10≡-18≡0
    (6)n≡5のとき
    n≡5≡-1
    n3+5n≡(-1)3+5・(-1)≡-1-5≡-6≡0
    (1)~(6)より、
    n3+5n≡0
    よって、nを整数とすると、n3+5nは6で割り切れる。

    シンプルで楽ですね。
    あっという間に終わりました。



    これを普通の解き方で解くとなると、答案は少なくともこの倍のボリュームになります。
    その中で、この問題は、実は隠れた重要事項を利用できると、少し楽に解けます。
    それは、「連続する3つの整数の積は6の倍数である」というものです。
    しかし、このことに、ノーヒントで気づく高校生は少ないです。
    問題集の欄外などにヒントとして、「連続する3つの整数の積は6の倍数であることを利用する」などと書いてあることが多いですが、そう書いてあっても、何のことかわからない場合もあります。

    連続する3つの整数なんだから、どれかは2の倍数だし、どれかは3の倍数ですよ。
    だから、積は必ず6の倍数でしょう?

    この雑な説明が頭の中でスパークし、顔を輝かせ、
    「すげえっ!そうか!」
    と感動する子もいます。
    「・・・・おまえ、オラが見えるのか?」
    私は、哀しい妖怪の定番のセリフを口にすることになります。
    正直、こんな雑な説明で伝わるとは思わなかった・・・。

    一方、私がそういう雑な説明をすると余計に
    「え?」「え?」「え?」
    となってしまう子も多いのです。

    もっと詳しく説明しても、
    「でも、どれが2の倍数で、どれが3の倍数かわからないじゃないですか」
    と言われてしまうこともあります。
    そこを詳細に場合分けして説明すると、むしろ場合分けしたことがあだとなり、
    「だって、こっちの場合とこっちの場合では話が違うじゃないですか」
    と言われてしまうこともあります。
    そんなときは、ああもうこの話はしたくないと泣き伏したくなります。

    わからないことが苦しいのは何より本人なのだけれど。

    何をどう説明しても、わかってもらえない。
    講師と生徒と1対1のとき、わからない生徒が絶対王者のように君臨し、「わかるように説明できない講師が悪い」という空気の中で私は絶望的な闘いを続ける。
    そういうことは、たまに起こります。
    集団指導の場合は、理解の速い子は説明が終わる前にもう理解し、
    「あ。そうか」
    「ああ。そういうことか」
    と声に出してくれます。
    その一言で、わからないのは、わからないほうが悪いという空気が生まれます。
    そうなると、本当はわからない子も、わかったふりをします。
    あるいは、わかったふりはしないまでも、それは自分の理解力に問題があるのだと哀しい気持ちで認め、少なくとも王者のように君臨することはありません。

    どちらか良いのか。
    ・・・それは、個別指導のほうがいいです。
    だって、実際わからないのですから、わからないことをわからないと表明できるほうが健全です。
    だから、泣き伏しそうになりながらでも、私は頑張るぞ。

    膠着状態を脱却する方法はあります。
    相手が納得のいくまで、具体例で説明していくのです。
    連続する3つの整数として例えば「9、10、11」を考えます。
    9は3の倍数です。
    3×3と分解できます。
    10は2の倍数です。
    2×5と分解できます。
    したがって、
    9×10×11=3×3×2×5×11
    3×2という因数が含まれていますから、これは6の倍数です。
    これをいくつかの例でやれば、ある程度は理解してもらえます。
    しかし、私の中では1つの敗北と感じてもいるのです。

    せっかく文字を用いて抽象化しようとしているのに、結局、具体例で考えないと理解できない。
    抽象を抽象のまま理解できなくて、この先の学習は大丈夫だろうか?

    ・・・・心配ばかりしていても仕方ないのですが。
    いずれにしろ主題ではないことにかなりの時間を費やし、さて問題は何だったかというと。


    問題 nが整数であるとき、n3+5nは6で割り切れることを証明せよ。

    n3+5n
    =n3-n+6n
    =n(n2-1)+6n
    =(n-1)n(n+1)+6n
    連続する3つの整数は、6の倍数である。
    ゆえに、n3+5nは、6の倍数。

    ・・・やっぱり難しい。( ;∀;)
    合同式で証明するほうが簡単な気がしてきます。

      


  • Posted by セギ at 12:12Comments(0)算数・数学

    2018年12月13日

    数A「整数の性質」合同式の利用。



    前回、合同式とはどういうものか学習しました。
    それでは、この合同式、具体的にはどういうことに利用するのか。
    例えば、こんな問題です。

    問題 nは13で割って5あまる数であるとき、3n4-7n2を13で割ったあまりを求めよ。

    半角の数字は指数だと思ってください。

    これを、合同式を利用せず、普通に解くと、
    n=13m+5 と表す。(mは整数)
    3n4-7n2
    =3(13m+5)4-7(13m+5)2
    =3(132m2+13・10m+25)2-7(13・13m2+13・10m+25)
    =3(134m4+132・102m2+625+2・133・10m3+2・13・10・25m+2・25・132m2)-7・132m2-7・13・10m-7・25
    =3・134m4+3・132・102m2+1875+6・13・10・25m3+6・25・132m2-7・132m2-7・13・10m-175
    =13(3・133m4+1500m3+13・359m2-70m)+1700
    =13(3・133m4+1500m3+13・359m2-70m+130)+10
    よって、余りは10。

    上の途中式、書き間違いをしているかもしれません。
    それくらいに面倒くさい。
    この問題を解く上で大事なところは、あまりはいくつかなのですから、13という因数をもっていない部分です。
    上の式でいえば、1700は13で割ると余りはいくつなのか。
    そこだけに着目すれば余りが出るのに、13という因数を含んでいることがわかりきっている、いわばどうでもいい部分の計算に神経を使います。
    これを簡単にクリアできるのが、合同式です。


    合同式を用いると、n≡5(mod13) となります。
    よって3n4-7n2≡3・54-7・52=3・252-7・25
    ここで25≡-1(mod13)ですから
    3・252-7・25≡3・(-1)2-7・(-1)=3+7=10
    ゆえに、あまりは10です。

    合同によって言い換えたものを数字としてそのまま計算し、また合同で言い換えていきます。
    あまりにだけ注目している合同式ならば、それが可能です。
    ちょっと手品のようですが、慣れると、もう一番上のような解き方はやりたくない。
    それくらいに便利なものが合同式です。

    あるいは、こんな問題。

    問題 a、bを整数とする。aを5で割ると3余り、bを5で割ると4余る。このとき、abを5で割ったときの余りを求めよ。

    これも、合同式を用いないで解くことも勿論可能です。

    m、nを整数とすると、a、bは、m、nを用いて、
    a=5m+3、b=5n+4 と表すことができます。
    ab=(5m+3)(5n+4)
      =25mn+20m+15n+12
      =5(5mn+4m+3n+2)+2
    よって、abを5で割った余りは2。

    これを合同式を用いて解くと、
    a≡3、b≡4 (mod5)
    ab≡3・4=12≡2 (mod5)
    よって、abを5で割った余りは2。

    合同式を用いると余計な文字を使わずに済むので、答案がシンプルです。
    実は考え方の本質は同じなので、ぜひ合同式を身につけて簡単に解いていただきたいと思います。

    また別の問題。

    問題 2012の200乗を7で割ったときの余りを求めよ。
    200乗?
    普通の解き方だと、さすがにこれはどう解くのだろうか、と考え込んでしまいます。
    しかし、合同式を用いればこれも簡単です。
    まず2012を実際に7で割って確認すると、
    2012≡3 (mod7) です。
    よって、
    2012200≡3200=9100≡2100=833・2≡133・2≡2 (mod7)
    よって、余りは2。

    合同で言い換えては計算し、また合同で言い換える。
    指数法則がわかっていないと、この計算はピンとこないかもしれません。
    こうした指数計算は、この後、数Ⅱ「指数関数」、数B「数列」でもよく使うのですが、よく詰まるところです。
    模範解答を見ても、何をどう計算して次の行になっているのかわからないという話をよく聞きます。

    上の答案では、
    2100≡833・2
    のところがわかりにくいかと思います。
    2の100乗を、(23)33・2 と直しているのですが、指数法則が理解できていないと、
    「そんなことをしていいんですか?」
    と感じるかもしれません。

    指数がわからなくなったら、指数法則の基本に戻りましょう。
    a2×a3=(a×a)×(a×a×a)=a5 でした。
    (a2)3=(a×a)×(a×a)×(a×a)=a6 でした。
    ですから、(23)33・2=299・2=2100 となりますね。
    逆の操作で、2100=299・2=(23)33・2=833・2 とすることができます。

    ところが、上のような説明も、
    (a×a)×(a×a×a) の( ) は、どういう意味なんですか?
    ( )がないときと、どう違うんですか?
    それは要らないんじゃないんですか?
    と、それこそ不要な質問で頭がいっぱいになり、このほうがわかりやすいだろうと思って使った( )があだとなることもあります。
    何かがわからないというのはそういう場合が多く、本筋ではないところに目がいき、主要なところの理解を阻む。
    そういう傾向があります。

    しかし、なぜ本筋ではないところに目がいってしまうのでしょうか。
    その原因を考えれば、そもそも、( )の使い方について不安があるのではないか?
    小学校で( )を使った式を立てることを学習した小学校3年生の頃に、( )の使い方をしっかり身につけることができなかったのではないか?
    それは四則演算の原則がどこか曖昧になっているということでもあります。
    あるいは、( )の使い方の基本はわかっているのだけれど、自分で式を立てるときには、つい( )をつけ忘れたり、不要な( )を書いてしまったりを繰り返して、何となく苦手という感覚が高校生になっても残ってしまっているのではないか?
    さらには、几帳面な正確もあって、以前、自分が( )を使ったときには不要だと言われたのに、説明のためという理由で使用されているのが納得できないのかもしれません。
    先生や教科書・参考書が使用している( )のニュアンスを理解できない。
    そういうことが学習を阻む場合もあるかと思います。

    もう1つの壁は、やはり指数に対する感覚でしょう。
    同じ数を何回もかけるときに指数を使うという根本が理解しきれていないのではないか想像される場合もあります。
    23=2×2×2ということが、ふっと頭から抜ける。
    そのため、23=6と、気がつくと思い違いをしている。
    そんな場合もあると思います。
    (23)33・2=833・2 という転換が理解できず、
    「そんなことして、いいんですか?」
    と不安になるのは、指数の定義や乗法の交換法則が頭の奥まで染み込んでいないのが一因ではないかと感じます。

    それは、普通の指数計算の際にも表れます。
    26 を計算せよと言われて、
    2、4、8、16、32、64 と、逐一2倍していないでしょうか?
    26=64 と一瞬で転換している人を、「暗記しているのかな?」と思っていないでしょうか?
    26=(23)2=82=64 です。
    同じように、34=(32)2=92=81 です。
    指数を一瞬で計算している人は、この作業を一瞬で行っている場合が多いのです。
    答えを暗記しているとは限りません。
    あまりにも繰り返される計算に関しては、さすがに答えを覚えてしまっている場合もありますが。
    こうした指数に対する感覚、かけ算に対する感覚は、誰かに教えられたのではなく、本人が計算する過程で身につけていることが多いです。
    むしろ、このやり方を教えても、
    「いいの!私は普通にやらないとわからないの!」
    と意固地になる子もいるので、教えてわかるものではないのかもしれません。
    しかし、教えてわかるわけではないことがわからないと、合同式や、高校数Ⅱで学習する指数関数・対数関数の理解に大差が生じるようになる・・・。

    いやいやいや。
    こんなこと、教われば、わかることです。
    わかってください。
    ・・・と最後は古いフォークソングみたいになって、また次回。
    ヽ(^。^)ノ



      


  • Posted by セギ at 13:08Comments(0)算数・数学

    2018年12月07日

    高校数A 合同式とは何か。


    今回の学習内容は「合同式」です。

    2つの整数a、bを自然数mで割ったあまりが等しいとき、aとbをmを法として合同であるといい、a≡b(mod m)と表す。
    このような式を合同式という。

    定義は上のようにシンプルで、難しい言葉は何1つなく、込み入った論理も何1つないのですが、多くの場合、数学の授業史上一番の停滞となります。
    新課程になったばかりの頃は、「発展」として一応教科書に載っているこの内容を教える高校は多かったのですが、今は、私立高校や都立中高一貫校でも、教えない学校が増えてきました。
    あまりにも理解が進まないので、先生たちも匙を投げたかもしれません。
    苦労して時間をかけて教えても、入試にほとんど出ないですし。

    合同式を解説する難しさの1つは、具体的に説明すれば理解してもらえるとは限らず、その具体例に縛られて混乱したり誤解をしてしまう子が多いことにあります。
    それでも、具体例で説明しないわけにいきません。

    例えば整数を7で割った余りで分類することを考えてみましょう。
    7で割ると1余る数。
    こういう数には、1、8、15などがあります。
    これらは7を法として合同と言い、8≡1(mod7)と表すことができます。
    15≡1(mod7) でもあります。
    15≡8(mod7)でもあります。

    7で割ると2余る数はどうでしょうか。
    2、9、16などがあります。
    これらはこれらで、7を法として合同です。
    9≡2(mod7) 、16≡2(mod7) となります。

    あるいは、整数を4で割った余りで分類したらどうでしょうか。
    例えば、4で割ると2あまる数。
    こういう数には、2、6、10などがあります。
    これらは4を法として合同です。
    6≡2(mod4)、10≡2(mod4) と表すことができます。

    ルールの基本はおわかりいただけたでしょうか?ヽ(^。^)ノ


    ぱっと感覚的に理解できれば何も問題ないのですが、最初に上手く呑み込めないと結局最後まで何だか納得できないという感情が尾をひくことになるようです。
    それは理解力の問題ではなく、何か固定観念があり、このことの理解を阻んでいるものがあるせいなのかもしれません。

    それが何であるのか、新課程にこの単元が登場し教えるようになってから、私はずっと不思議に思っています。
    混乱は、例えば「1は7で割ると1あまる数である」ということを知らなかった、あるいは納得できない、という小さいことからも起こります。
    1÷7=0あまり1
    商は0でも良いというのは単なる知識ですが、初めて知ると、これだけでも衝撃のようです。

    自然数に限っての話でもなかなか大変なのですが、合同式は整数全体、すなわち負の数も含んで考えます。
    例えば、6で割った余りで整数を分類してみましょう。
    6で割ってあまり0。
    自然数の範囲では、6、12、18、・・・・
    6≡0(mod6)、12≡0(mod6)。
    これはもう大丈夫でしょうか?
    次に負の整数を含めて考えると、-6も-12も6で割ってあまり0の数です。
    すなわち、-6≡0(mod6)、-12≡0(mod6)。

    同様に、6で割った余りが1の数を考えれば、
    ・・・・-17、-11、-5、1、7、13、・・・・
    という数列が見えてくると思います。
    この数列に出てくる数は全て6を法として合同です。
    -5=6・(-1)+1
    -11=6・(-2)+1
    -17=6・(-3)+1
    どの数もあまりが1になるのがわかります。
    よって、-5≡1(mod6)、-11≡1(mod6)、・・・。

    これでいかがでしょうか。ヽ(^。^)ノ

    「いや、わからない。-5=6・(-1)+1って、何ですか?」
    そういう質問を受けることがあります。
    高校ではわり算の式は基本書きませんので、上のようにかけ算の式で表すのですが、それがそもそも納得できない、意味がわからないという声を聞くことがあります。
    (わる数)×(商)+(あまり)=(もとの数)
    こういう、わり算の検算の式と同じ構造ですよ、小学校4年生でやっていますよ、と説明しても、知らない、教わったことがない、と言う高校生もいます。
    習っていることなのですが、全く覚えていないようです。

    「次のわり算をしなさい。また、検算もしなさい」
    という問題の後半を全部見落として解いたことがない。
    あるいは、暗記した通りに検算の式を書くだけで済ませて、本当に検算したことがないので、身についた知識になっていない。
    そういうことかなと想像したりもします。

    中学の方程式の利用でも、この考え方は使っています。

    問題 37をある数で割ると商が5、あまりが2となった。ある数を求めよ。

    という文章題で、この考え方を利用します。
    ある数をxとすると、
    5x+2=37
    という式を立てることができます。
    これも、(わる数)×(商)+(あまり)=(もとの数) という検算の式を使っています。

    こう説明するとやったことがあると思い出す子もいますが、中学の方程式の文章題でも、わり算の検算の式を使用するこのタイプの問題は自力で解いたことがなく、定着しないまま高校生になってしまった子もいて、首を傾げたままということもあります。
    かけ算とわり算との関係を理解しないまま、それぞれを無関係にただ暗記し、作業手順だけ覚えてきた子の場合、合同式の理解は確かにかなりつらいものがあるのかもしれません。


    上の式の意味が一応は理解できても、-5が6で割って1余る数であるというのがピンとこない子もいます。
    そうした子は、-5は、6で割って5不足する数ととらえることならギリギリできます。
    そうです。ヽ(^。^)ノ
    整数を6で割るとき、すなわち、6を法とするとき、「1余る」ということと「5不足する」ということは、同じことなのです。
    例えば7は、6で割ると1余る数ですが、6で割ると5不足する数ととらえることも可能です。
    1も、6で割って1余る数ですが、6で割って5不足する数でもあります。
    ですから、-5は、6で割って5不足する数であると同時に、1余る数ととらえることができます。

    何年か前、大人のための数学教室では、授業はここで長い長い停滞を迎えました。
    繰り返し繰り返し同じことを説明しても、理解が深まる様子が全く見られない・・・・。
    しかし、ようやく理解してくださった参加者の発言は私には大変興味深いものでした。
    「あっ。わかった。商は何でもいいのね」
    「・・・・・・?」

    え?
    ・・・・そうですよ?
    最初から余りの話だけをしていますよ?
    割る数と余りの数だけに注目していますよ?

    そのとき、ふっと見えたのです。
    商が重要だとずっと思っていらっしゃったんだ。
    高校生がこの単元を全く理解してくれない原因もそれかもしれません。

    わり算の式を立てるとき、立てた本人は商を求めるために立てている感覚があります。
    求めているのは商だから、それが何より大切だと思ってしまうのかもしれません。
    子どもの頃から、算数はとにかく答えを出すことが大事、式なんかより答え、と思い込んでいる子は多いです。
    そういう思い込みがあると、「整数をある数でわった余りによって分類しています」と幾度説明しても、その部分を聞き流す。
    しかし、この単元は、あまりがいくつであるかが大切で、商なんか問題にしていないのです。
    それなのに、本人は、商にしか目がいかない習慣があるので、その説明が頭に響かない・・・。
    思い込みのせいで重要な情報を聞き流す不思議な仕組みが人間の脳にはあります。
    繰り返します。
    商なんかどうでも良くて、割る数と余りの話をしています。
    しかし、それが普段の計算の常識とは異なるために、そこに立ち位置を移せない高校生は多いのでしょう。


    「あまりと不足に関する問題」は、中学受験の受験算数の単元の1つです。
    しかし、何回復習してもこの問題を解けるようにならない子がいます。
    高校生でも大人でも理解してくれないので、小学生が理解できないのは無理からぬところがあります。

    例えばこんな問題です。
    例題 4で割ると3あまり、6で割ると1不足する数のうちで100にもっとも近い数を求めなさい。

    4で割ると3あまる数は、言い換えれば4で割ると1不足する数です。
    ですから、この問題は、4で割っても6で割っても1不足する数を求めます。
    ならば、まずは4で割っても6で割っても割り切れる数を考えます。
    それは4と6の最小公倍数の12で割り切れる数です。
    100÷12=8あまり4
    12で割り切れる数で100に一番近い数は、上の式から、12×8=96であるとわかります。
    それは、上の式から100-4=96と求めることもできます。
    では、12で割って1不足する数は?
    96-1=95。
    よって、問題の答えは95となります。

    この問題、スラッと理解する小学生もいますが、幾度解説しても、何度同じ問題を解いても、全く解けるようにならない子も多いです。
    何がそんなに難しいのか教える側として疑問だったのですが、何だか少しわかった気がします。
    あの子どもたちも、あまりや不足に着目するより、商のことばかり考えてしまうのかもしれません。
    4で割って3余るということは1不足するということ。
    しかし、その言い換えをするときには商が変わるだろうに、それを無視する姿勢が理解できない。
    商が変わればそれは同じ計算ではないのに、同じだと言っている神経が理解できない。
    そもそも、商を無視して、余りだ不足だばかり言っている姿勢が理解できない。
    そういうことなのでしょうか?

    「あまりと不足」に関する問題が解けない小学生たちは、こんなふうに思っているのかもしれません。
    「算数の問題を解くって、そういうことじゃないでしょう!」
    「式を立てて、計算して、答えを出すんでしょう!」
    「商が問題の答えでしょう!」
    「算数の問題はそうでなければならないよ!」

    子どもたちの無言の中に、実はそんな心の抗議があったのでしょうか?
    しかし、それはあまりにも頭が硬い。
    ガチンゴチンです。
    子どもの頭というのは大人がびっくりするくらい石頭で、妙な思い込みに凝り固まっているものですから、そのように頑固でも驚くに値しませんが。

    でも、1つ言えること。
    子どもの石頭は一度割ることに成功すれば、そこからは柔軟です。
    新しい考え方を受け入れ、無限に伸びていきます。
    子どもには、それだけ成長する力、生命力があります。

    高校生は、どうでしょうか。
    硬い頭をやわらかく。
    商なんてどうでもいいから、余りによって整数を分類する。
    ある数で割って、同じ余りである数は、その数を法として合同な数。
    合同式は、それさえ理解できれば、そんなに難しくありません。

      


  • Posted by セギ at 13:43Comments(0)算数・数学

    2018年11月30日

    数A「整数の性質」に関する証明問題。


    数A「整数の性質」の学習の続きです。
    いよいよ難しいところに入ってきました。
    例えば、こんな問題です。

    問題 自然数aとbが互いに素であるとき、a+2bと3a+5bも互いに素であることを背理法を用いて証明せよ。

    問題を解く前に解決すべき点が2つあります。
    「互いに素」とは何なのか?
    「背理法」とは何であるか?

    「互いに素」は、今回初めて学ぶ内容です。
    定義はこうです。
    2つの整数a、bの最大公約数が1であるとき、aとbは互いに素であるという。
    うわあ、これだけでは何を言っているのかわからなーい。

    例をあげて考えてみましょう。
    例えば、15と28について考えてみます。
    素因数分解すると、
    15=3・5
    28=2・2・7
    それぞれの素因数の中に共通のものがありません。
    この場合、15と28の最大公約数は1となります。
    このように、共通の素因数を持っていない関係が「互いに素」です。
    これは今回だけ出てくる内容ではなく、この先、不定方程式を解く際にも使用します。

    では、「背理法」とは何でしょうか?
    これは、数Ⅰ「数と式」の単元で学習しました。
    高校生に、「何か数学でわからないところはある?」と質問すると、
    「背理法がわからない」
    という答えがすぐ返ってくるほど、もう圧倒的にわからないところのようです。

    背理法は、証明すべき結論をまず否定します。
    その否定を根拠に論を進めていくと、しかし、矛盾が生じます。
    矛盾が生じたのは、根拠が間違っているからです。
    否定したから、矛盾が生じた。
    これは否定してはいけない内容だった。
    だから、結論が正しいことが導かれる。
    そういう証明方法です。

    こういう論理の進め方が肌に合わない人もいるようです。
    「だって、さっき結論は否定したのに、何で結局それでいいことになったの?」
    と、論理展開に追いついていない反応もあれば、
    「矛盾が生じたからといって、間違っているとは限らないんじゃないの?」
    という懐疑にとりつかれてしまう子もいます。
    矛盾は抱えつつも、一概に間違っているとは言えないのでないか、と考えてしまうようです。
    「否定すると矛盾が生じるから、否定は間違っているのだというところまではわかる。でも、だから、肯定する、というのがわからない」
    と言う子もいます。
    否定が間違っているのなら、肯定は正しい。
    そうとは言い切れないのではないか?
    否定も間違っているが、肯定も間違っている可能性もあるのではないか?
    肯定と否定との間に「隙間」を感じてしまい、気になってしまう・・・。
    気持ちはわからなくもありません。
    しかし、否定も肯定も間違っているって、どんなことなのでしょう。
    有理数でなければ、無理数。
    そのような単純な二択に絞り込めることで利用するのが、背理法です。

    そうした悩みはないけれど、実際に問題を解くことに悩んでいる高校生も多いです。
    背理法の論理の構造は理解できるけれど、実際に何をどうやって矛盾を指摘すれば良いのか自力で発想できないというのです。
    こうした子は、実はかなり優秀です。
    そんなのは初学者なんだから当たり前で、典型題のテクニックを自分のものとして蓄積していく以外に方法はありません。
    1題2題解いたくらいで背理法を自力で操れるようになるわけがありません。
    学校の定期テストで背理法の証明問題が出題される場合は、典型題ばかりです。
    有理数・無理数に関する問題などが大半ですね。

    さて、話を戻し、もう一度上の問を見てみましょう。
    これを背理法で証明するのですから、まず結論を否定した仮定を立てます。

    a、bが互いに素であるとき、a+2bと3a+5bは互いに素ではないと仮定する。
    互いに素ではないということは、1より大きい最大公約数が存在するということ。
    つまり、共通因数があるということです。
    その1以外の最大公約数を自然数gで表します。
    他に、k、L(本当は小文字で表しますが、ネットでは1と区別がつきにくいので大文字にしました)を自然数とすると、
    a+2b=kg ・・・①
    3a+5b=Lg ・・・②
    と表すことができます。

    さて、上の仮定を突き崩し矛盾を指摘するのですから、これを用いて、aとbが互いに素ではないことを示せば良いのです。
    では、とりあえず、連立方程式のようにして、a、bについて解いてみましょう。
    共通因数が出てくれば、aとbは互いに素ではないことになりますね。

    ①×3-②
      3a+6b=3kg
    -)3a+5b=Lg
           b=g(3k-L) ・・・③
    ①×5-②×2
      5a+10b=5kg
    -)6a+10b=2Lg
      -a    =g(5k-2L)
            a=g(2L-5k) ・・・④

    おや?
    ③、④より、aとbは、gという1以外の共通因数を持つことになります。
    これは、aとbが互いに素であることに矛盾します。
    何でこんな矛盾が生じたのでしょう?
    それは前提とした仮定が間違っていたからです。
    「aとbが互いに素であるとき、a+2b、3a+5bは互いに素ではない」という仮定が間違っていたのです。
    したがって、aとbが互いに素であるとき、a+2b、3a+5bも互いに素です。

    これが背理法による証明です。

    「そんなの、gという共通因数を勝手にあることにしたからこうなったので、gが残るのが当たり前。こんなのインチキだ」
    と、どこかで思考がねじれてしまうかもしれませんが、落ち着いて、式の1行1行を読み飛ばさず見ていくことが大切です。
    gが残るのは、当たり前ではありません。
    消えるかもしれなかったのです。
    でも、残ってしまった。
    それは、仮定に矛盾があったからです。
    a+2bと、3a+5bには、初めから、共通因数gなど存在しなかったのです。

    とはいえ、やはり難しいですね。
    1回目の学習で難しかったら、しばらく放置しておくのも1つの手です。
    次に復習するとき、案外、スルッと理解できることもあります。
    最初は脳が慣れていなかった。
    ただそれだけのこと。
    そんなこともありますから。


      


  • Posted by セギ at 12:21Comments(0)算数・数学

    2018年11月23日

    高校数A「整数の性質」公倍数・公約数に関する問題。



    今回も高校数A「整数の性質」。
    「最小公倍数・最大公約数」の性質について。
    例えば、こんな問題です。

    問 最小公倍数が144、積が864である自然数の組(a,b)をすべて求めよ。ただしa<bとする。

    まずは受験算数の解き方で解いてみます。
    2つの数aとbの連除法をイメージした図を描いてみます。

    ☐) a b
      A B

    ☐は、最大公約数です。
    本来、共通に割れる数で何段階にも割っていったものの積が最大公約数ですが、一気に最大公約数を見つけたのなら、こうして一段で連除法が終わっても良いでしょう。
    連除法のこの図からわかるように、最小公倍数は☐×A×B。
    問題によれば、これが144なのですから、
    ☐×A×B=144 ・・・① となります。
    さらに、上の図から、
    a=☐×A。
    b=☐×B も読み取れます。
    よって、2数の積は、
    a×b=☐×A×☐×B。
    問題によれば、これが864ですから、
    ☐×A×☐×B=864 ・・・② となります。
    ①、②より
    ☐=864÷144=6
    ①に代入して、6×A×B=144 となりますので、
    A×B=144÷6
    A×B=24
    AとBとはもう公約数はないのですから、候補としては、
    1と24、または3と8でしょう。
    2と12や、4と6は、まだ共通に割り切れる数があるので、上の連除法の図に当てはまらなくなってしまいます。
    よって、A=1、B=24のとき、a=6、b=144。
    A=3、B=8のとき、a=18、b=48。 
    よって、(a,b)=(6,144),(18,48)
    これが答えとなります。

    高校数Aの解き方もこれと同じで、小学生よりも少し大人っぽく文字を使用するだけです。

    まず、aとbとの最大公約数をgとすると、
    a=ga'
    b=gb'と表すことができます。
    (a'、b'は互いに素な自然数で、a'<b')
    最小公倍数から、
    ga'b'=144 ・・・・①
    また、積が864だから、
    ab=864
    よって、ga'gb'=864・・・・②
    ②÷①より
    g=864÷144=6・・・・③
    ③を①に代入して
    6a'b'=144
    a'b'=24
    となります。
    a'とb'は互いに素な自然数で、a'<b'ですから、
    (a'、b')=(1、24)、(3、8)です。
    それぞれ6倍して、
    (a、b)=(6、144)、(18、48)


    解き方は小学生も高校生も同じです。
    連除法を知らないと、論理展開についていくのが少しつらいかもしれません。
    自然数を他の自然数の積の形として見ることに慣れていると楽に解けます。
    これは、計算の工夫の上でも必要な感覚ですが、自然数が他の自然数の和に見える「和の感覚」だけでなく、自然数が他の自然数の積の形に見えている「積の感覚」が身についていると、こうした問題は楽に解けると思います。
    簡単に言えば、15=3×5 という形に見えていること。
    因数分解した形が常に見えているということです。

    これは中3の「平方根」の単元でも重要な感覚です。
    例えば、
    √45×√40
    =3√5×2√10
    =3・2・5√2
    =30√2
    という計算は、この「積の感覚」があるからできることです。
    この感覚が育っていないため、
    √45×√40
    =√1800
    ここで、素因数分解の筆算をして、
    =30√2
    という形でしか計算できない子は案外多いです。
    どちらでも正しい答えを導けますが、上の解き方のほうが暗算がやりやすく精度が高いです。

    小学校4年生で学ぶ「計算のきまり」という単元も、この「積の感覚」があると、工夫を思いつきやすいです。
    問題 12×25 を工夫して計算しなさい。
    そう言われても普通に筆算することしか思いつかない、工夫を考えている時間に筆算できるのに・・・という子が案外多いのです。
    12×25
    =3×4×25
    =3×100
    =300
    というのが、期待されている工夫です。
    小学4年生がこの単元で習得することを期待されているのは、表面的には「交換法則」と「分配法則」ですが、交換法則をより効果的に利用するには、このように自然数を積の形に分解できることが必要となります。

    この「積の感覚」は、教わっていなくても自然と身についていることも多いのですが、教わっても身につかないこともあります。
    言われればわかるけれど、自分で思いつくことはできないようです。
    1つには、算数というのは、もっと単純に1つの解き方に統一されるべきなのだという思い込みがあるのかもしれません。
    色々な解き方があるというのが好きではない。
    色々覚えなければならないのは面倒だから、そういうのはやめてほしい。
    そういう気持ちが根底にあるような気がします。

    だから、どれほど教わっても進んで活用しようという気持ちになれない。
    一応は理解しても、そういう「他の解き方」というのが好きではない。

    私はいついつまでも、地道に計算します。
    それ以外のことを勧められても迷惑です。

    中学3年で「平方根」を学習する頃には、すでにそのように凝り固まってしまう子も多く、上の解き方を説明しても、
    「いいの!私はこのやり方じゃないとわからないの!」
    と拒絶されたこともあります。
    作業手順だけを暗記しているので、他のやり方を勧められても混乱するからやめてくれ、という気持ちだったのでしょう。
    「他の解き方」が好きではないのは、それを理解する余裕がなくなっていることの表れであり、算数・数学がわからなくなってきているサインととらえて良いと思います。
    全ての単元に共通する数理の根本がわかっていないので、1つ1つの単元ごとの解き方を別べつに暗記するしかなく、それがとても苦しくなっているサインではないかと思うのです。

    気持ちに余裕がなくなっている。
    それは計算が速い遅いの話とは違います。
    精度の話ともまた違います。
    計算は遅いし、計算ミスも多いけれど、気持ちに余裕のある子はいます。
    考えるのにとても時間がかかるけれど、考え続けることはできる。
    表面的なテストの点数はともかく、「他の解き方」を受け入れられる。
    そういう子はいずれ開花するので、あまり心配はいらないのです。


      


  • Posted by セギ at 12:22Comments(0)算数・数学

    2018年11月04日

    数A「整数の性質」公倍数と公約数。



    今回も「整数の性質」、公倍数・公約数の学習です。
    公倍数・公約数は、小学校5年生で最初に学習します。
    分母の異なる分数のたし算・ひき算を学習する前に、通分・約分ができるよう、まず学習するのが公倍数・公約数です。

    現在、学校では使うことがほとんどない略称に、G・C・DとL・C・Mというものがあります。
    G・C・Dは、the Greatest Common Divisor すなわち、最大公約数。
    L・C・Mは、the Least Common Multiple すなわち、最小公倍数。

    連除法も、現在の小中学校では学習しません。
    連除法とは以下のようなものです。

    例 72と108の最大公約数と最小公倍数を求めなさい。

    ここで、2つの数に共通する因数で割っていきます。

    3)72 108
    3)24  36
    2) 8  12
    2) 4   6
       2   3

    共通する因数がなくなるまで割り進めたら、共通する因数を全てかけます。
    3・3・2・2=36
    これが最大公約数です。
    さらに、共通する因数と、残った2数の因数とを全てかけていきます。
    すなわち、3・3・2・2・3・2=216
    L字の形にかけていくので、上のL・C・Mの「L」で覚えたりしたものです。
    これが最小公倍数です。

    今の小中学生は、この解き方を知らない子が多いです。
    中学受験をした子や私立小学校の子はこの解き方を習っていますが、公立の小中学校では学習しません。
    じゃあ、どうやって最大公約数を求めるのか?
    地道に、108と72の両方を割ることのできる数は最大で何かなと考えていくのです。
    思いつかないときは、両方とも全ての約数を書きだして、共通する最大のものを調べます。
    なかなか答えが出てこない場合は、かなりの苦行です。
    最大公約数の定義通りの作業ですので、学習効果の意味はあるのですが、学習能率は低いです。
    小学生の場合、かけ算・わり算の得意・苦手が如実に現れてしまう単元です。
    72は何で割れるかを暗算できず、いちいち筆算し、108は何で割れるかを暗算できず、またいちいち筆算する。
    かけ算・わり算が苦手だと、そういうことになってしまいます。
    そういうことのわずらわしさを実感して、2桁×1桁の暗算や、3桁÷1桁の暗算ができるようになると大きな進歩ですが。

    さて、高校数Aの「公倍数・公約数」の問題とは?

    問題 35/18、50/63 のいずれに掛けても積が自然数となるような有理数のうち最小のものを求めよ。

    この問題、「積が自然数となる有理数」という言い方で混乱が起こりやすいようです。
    内容自体は、中学受験の受験算数で小学生もこの問題を解きますので、そんなに難しいわけではありません。
    しかし、用語がネックとなることがあるようです。
    「自然数」「有理数」あるいは「実数」という言葉が問題文中に出てくると、何のことだったっけとなるようなのです。
    そういう定義をあまり気にしない子は、案外楽にこういう問題を解いたりもしますが。

    「自然数」とは、1、2、3、4、・・・と無限に続く正の整数のこと。
    最も自然発生しやすい数の概念です。
    原始人は、森で見つけた獲物の数を仲間に伝えるために自然数を発見したかもしれませんね。

    その後、人類の歴史の中で負の数や0が発見されていきます。
    そうして生まれたのが「整数」。
    「整数」は、0と負の整数と自然数を含みます。
    「0は整数なんですか?」と質問されることが多いのですが、0は整数です。

    小数や分数という考え方も同時に生まれたでしょう。
    ものごとは整数で表されることばかりではありません。
    分数という概念が生まれます。
    分数で表すことができる数が「有理数」です。

    「分数」と「整数」を区別する人がいますが、整数は全て分数で表すことができます。
    例えば、2=2/1です。
    ですから、整数は分数に含まれます。
    このように、数は拡張される度に以前の数の概念を含み込んでいきます。
    それは、数が発見された歴史と一致しているでしょう。

    そういう「含み込んでいく」という概念が理解しづらいのかもしれません。
    整数と自然数は別のもので、1つもかぶっていないと誤解してしまう。
    整数と有理数は別のもので、1つもかぶっていないと誤解してしまう。
    そういう誤解が問題の読み解きを難しくしてしまうことがあるのかもしれません。

    「分数」と「小数」はきっちり区別されるという誤解も、そういう考え方でしょう。
    それは表記法が異なるだけ。
    「分数」と「小数」を区別する考え方にあまり意味はありません。
    同じ数を分数でも小数でも表すことができるのですから、その区別は無意味です。
    存在する数そのものをどう分類していくかが重要です。

    さて、ここで問題となるのは、分数で表すことができない数はどうなるのかということ。
    小数で表そうとしても永遠に循環もせずに不規則に数字が続いていく数。
    これが「無理数」です。

    そんな数あるの?
    と、これだけ聞くと不思議に感じるかもしれませんが、そんなに特別な数ではありません。
    √2、√3など、根号を使ってしか表せない数が無理数ですね。
    他に、円周率π(パイ)がそうです。
    こうやって具体例を聞くと、無理数なんて名前のわりによくある数だなと感じると思います。

    有理数と無理数は、1つもかぶっていません。
    これは、はっきり二分されます。
    有理数でなければ無理数。
    そして、有理数と無理数を合わせた数を「実数」と言います。
    実数の中に、有理数も無理数も含まれます。

    ここでまた何か誤解があり、「無理数は実数じゃない!」と言い張る高校生に困惑したこともありますが、無理数は実数です。
    どちらも現実にこの世に存在している数です。
    「実数」と「無理数」の語感が馴染まないことからくる誤解なのだろうと思いますが、「有理」の反対は「無理」であり、「実」と対比される概念ではありません。

    では、「実数」と対立する概念は何か?
    それが「虚数」です。
    虚数を学ぶと、「実数」や「有理数」という言葉も頭の中に定位置をもって整理されるのかもしれません。

    さて、話を戻して、上の問いは、どう解いていくのか。
    求めるものは、35/18、50/63 のいずれに掛けても自然数となる有理数のうち最小のもの。
    有理数ですから、分数で表すことができます。
    この有理数をb/aと表すことにしましょう。
    35/18×b/a
    50/63×b/a
    の答えが自然数になるということは、約分されて分母が1になるということです。
    ということは、bと分母の18や63を約分して、分母が1になれば良い。
    つまり、bは18と63の公倍数であれば良いのです。
    ただし、「最小のもの」という指示が問題文にありますので、公倍数の中で最小のものでしょう。
    すなわち、bは、18と63の最小公倍数である126。
    また、aについては、約分して分母が1になることを優先するなら、最初からaが1であれば面倒がないような気がしますが、これも「最小のもの」という指示があるため、分母aはできるだけ大きい数であるほうが、有理数b/aは小さい数となります。
    ということは、aは35や50と約分して1になる数のうちで最大のものであれば良い。
    すなわち、aは35と50の最大公約数。
    よって、答えは、126/5となります。

    小学生ならば、b/aではなく、☐/△で良いのですが、とにかく、そのように、問題をわかりやすい形に自分で直してみるのが秘訣です。
    それをせず、問題文を睨んで頭の中で全部やろうとする子は、受験算数にしろ数学にしろ、あまり得意にならずに終わってしまう可能性が高いのです。

    手を使うこと。
    自分なりの工夫で整理すること。
    試行錯誤すること。

    そういうことが一切できず、問題をパッと見て解ける問題は解ける。
    それ以外は、わからない。
    考えろと言われても、考え方がわからない。
    手を使えと言われても、使い方がわからない。
    工夫しろと言われても、どう工夫するのかわからない。
    そういう子は多いです。

    そういう子のノートを見ますと、
    35/18×b/a
    50/63×b/a
    といった考えるヒントは、私が板書しても書かなかったりします。
    式だけ書けば良いと思い、こういうものは不要と考えてしまうのでしょうか。
    工夫の具体例が頭の中に材料としてなければ、工夫の仕方は1つも発想できないと思います。

    小学生は、算数の問題は答えだけ書けば良いと誤解している子が多いです。
    (式) という欄が解答用紙にない限り、式も書かなくて良いと思っています。
    式さえ不要と思っている子が、考え方の工夫など落書きレベルのものと思っていても不思議はありません。
    不要と思っているものを自力で書くことはできないでしょう。

    不要と思っているものが、実は答えよりも式よりも大切かもしれません。
    そこに発想の根元があります。
    きれいなノートを残すことが勉強の目的ではありません。
    算数・数学のノートには落書があって当然なのです。
    落書きはいずれ洗練されていきます。
    無からは何も生まれません。
    とにかく、ノートに、問題を解くための落書きを書いてみましょう。
    その書き方がわからない?
    書き方は、人それぞれです。
    自分がわかれば良いのですから。

    ・・・それすらも何も浮かんでこないなら。
    せめて、先生や友達の書いている「落書き」をノートに写しておきましょう。
    「落書き」の書き方のヒントがそこに詰まっています。
    そして、同じ問題を解き直すときや類題を解くときに、自分も真似して落書きを書いてみましょう。
    全てはそこから始まります。

      


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    2018年10月31日

    方べきの定理。



    高校数A「図形の性質」の重要定理、最後は「方べきの定理」です。
    上の画像の左図を見てください。
    円の2つの弦、AB、CDの交点をPとすると、
    PA・PB=PC・PD

    これが方べきの定理の基本です。
    交点Pが円の内側にあるときが左図。
    真ん中の図は円の外側に交点があるときですが、式は同じです。
    PA・PB=PC・PD

    この2つの図は、交点と弦の両端との線分同士をかけるのだというイメージを大切にすると共通のイメージを持ちやすく覚えやすいです。
    これの特殊な例が右図で、1つは弦、もう1つは円の接線となっている場合です。
    弦ABと接線PTとの場合は、
    PA・PB=PT2

    パターンは、この3つです。
    証明は、いずれも、三角形の相似を利用します。
    左図の場合は、
    △PACと△PDBにおいて、
    対頂角は等しいから、
    ∠APC=∠DPB
    等しい弧の円周角は等しいから、
    ∠CAP=∠BDP
    2組の角がそれぞれ等しいので、
    △PAC∽△PDB
    よって、PA:PD=PC:PB
    内項の積=外項の積なので、
    PA・PB=PC・PD

    他の2つも、三角形の相似を利用する流れは同じで、角が等しいことを示すための根拠が上の証明とは異なるだけです。
    円に内接する四角形の定理だったり、接弦定理だったり。
    共通の角だったり。

    方べきの定理は、その名称に違和感を抱く人もいます。
    チェバの定理ならば、どうせチェバという数学者が発見したんだろう、で済ますことができますが、「方べき」と日本語で言われると聞き慣れない言葉なので違和感があるのですね。
    「方」は平方、立方などの「方」。
    累乗を意味します。
    「べき」は「冪」と書き、これは箱を意味する語。
    等しい面積の長方形の2辺の長さを示す定理。
    ある正方形と等しい面積の長方形の2辺の長さを示す定理。
    そのようにイメージしておくと、名前と定理の内容が一致しやすいと思います。

    方べきの定理は、覚え間違えてしまうことが案外多いです。
    3つの図とも交点Pから式が始まるという共通点を強く意識するのがポイント。
    そこを意識せずに別々に覚えると、覚え間違えてしまう可能性が高まります。
    左の図を、AP・PB=CP・PDというイメージで覚えてしまい(これ自体は間違いではないです)、その影響で、真ん中の図を、PA・AB=PC・CDと間違って記憶してしまう人がいるのです。

    こういうことは、ちょっとした覚え方が大きく影響します。
    繰り返しますが、方べきの定理は、全て、交点Pから式が始まります。
    その共通点を強く意識すれば、3つのパターンは、全く別のものではなく、根本は同じものであることが見えてきます。

    方べきの定理は、センター試験でよく用いる定理です。
    センター過去問などを解いていて、方べきの定理を使うと知ると、
    「あー、方べきかー。気づかなかったー」
    とつぶやく子は多いです。
    円に関する問題を解く際に、方べきの定理を使う可能性は極めて高いです。
    方べきの定理が、いつも使える状態で頭の中にあるでしょうか?
    自力で発想できる状態、使える武器の状態で方べきの定理が頭の中に存在していれば、気づくことができると思うのです。

    図形が苦手な子と一緒に問題を解いていて、
    「どういう定理を使える可能性がある?間違っていてもいいから、何でも思いつくものを言ってみて」
    と声をかけても、何も出てこないことが多いです。
    「使える使えない関係なく、知っている定理の名前を全部言ってみて」
    と声をかけても、やはり何も出てきません。
    残念ですが、その状態では解き方を発想できる可能性はほとんどないと思います。
    とにかく、定理の名称を言えと言われたら、学習した定理の名称をズラズラと並べたてられるようになるまで暗唱してください。

    高校数Aで学習する定理のうち、重要なものは限られています。
    三角形の五心に関する定理。
    角の二等分線の定理。
    接弦定理。
    チェバの定理。
    メネラウスの定理。
    方べきの定理。

    それに、数Ⅰで学習している三角比の正弦定理や余弦定理、中学で学習済みの三平方の定理など。

    それらが頭の中に列挙されるなら、
    今回はどれを使う?
    どれなら使える?
    と、吟味できます。
    図形の解き方は、空から降ってくるように発想できるわけではありません。
    頭の中にある定理を吟味するのです。
    図形問題が得意な人は、そんなことをしていないように見えますが、それを瞬時に、ほぼ無意識にやっています。
    この作業に慣れているため、吟味していることを本人が自覚することもないほどのスピードで使える定理を選び出し、すぐに解きだしているのです。

    もう 1つ。
    現行のセンター試験では、図形問題の図も自分で描く場合があります。
    その図が下手過ぎて、解き方が発想できない。
    そう嘆く人が多いです。

    図が実際と異なってしまうのは、3辺の長さから鈍角三角形であるとわかるのに、鋭角三角形を描いてしまっているなど、描き出しのミスのため、その後の全てに無理が生じていることが多いです。
    そんなに厳密に指示通りの長さで描く必要はないですが、あまりに指示と異なる長さや角の大きさで描かないほうが後が楽です。
    また、正確な図を描こうとして、デッサン的なヒゲ線の多い図を描いてしまう人や、ぐりぐりとなぞってしまう人もいます。
    シンプルな1本の線で円や直線を描いたほうが見やすいです。
    余計な線は、見るときに邪魔です。
    フリーハンドでは円や直線が描けない、とひるまないで。
    上の画像は、私がフリーハンドで描いたものです。
    こんなもんで大丈夫です。
    これくらいなら、誰でも描けるはずです。
    あとは、図の大きさ。
    私は、円は直径5cmくらいのものを描きます。
    どうせ、問題が進むにつれてごちゃごちゃとさらに線分が加わるのはわかっています。
    直径3cmの円では、追加の線分に耐えられないかもしれません。
    線分が重なり、角が明確に見えてこなくなります。
    あるいは、どの線分も平行に見えてきたりします。
    結局、大きく正しく描く自信がないので図が小さくなるのだと思いますが、下手でも大きく。
    ヒゲ線抜きで、下手でも大きく。
    使える図は、そういう図だと思います。
    また、追加の線分に自分の図が耐えられないと感じたら、もう1枚描きましょう。
    例えばメネラウスの定理を使うとわかったら、使う三角形と線分だけ抜き出して描いてみても良いと思います。
    そんな時間はない?
    図をサッと描ければ、時間はかかりません。
    1本の線で短時間でサラッと正確な図を描く。
    図を描くのに時間のかかる子の様子を見ていると、円を正確に描けない、真っ直ぐな線を引けないということにこだわりが強く、幾度も線を引き直しています。
    こだわりが強いわりに練習不足なのだと思います。
    こだわりを捨てるか、練習するか。
    こだわりを捨てたほうが早いと私は思います。

      


  • Posted by セギ at 11:58Comments(0)算数・数学

    2018年10月19日

    数A「整数の性質」平方根の利用。


    高校数Aの最後の単元は、「整数の性質」です。
    前半の学習内容は、約数・倍数、平方根の利用、約数の個数や約数の総和の求め方など、小学校・中学校の復習内容が多いです。
    平方根の利用は、例えばこんな問題です。

    問題 √120n が整数となるときの自然数nを小さいものから3つ求めよ。

    これは中3で学習する内容です。
    高1になると数Ⅰの「式の計算」の単元で復習します。
    そして、数A「整数の性質」でも、再度復習します。
    その都度、ガツッとつまずく子がいます。
    どうにも納得できない。
    何のことか呑み込めない。
    そういう状態に陥ってしまいます。

    120=2・2・2・3・5
    よって、最小のnは、2・3・5=30

    これの理解が最初の課題です。

    n=2・3・5とすると、
    √120n=√2・2・2・3・5・2・3・5
    =√(2・2・3・5)2
    =2・2・3・5
    =60
    と無事に整数になります。

    √ の屋根の中に、同じ整数が2つあれば、それが1組みのペアとなり、整数となって√ の外に出ることができます。
    硬い説明では伝わりにくいかと思い、「屋根」とか「ペア」とか、柔らかい言葉遣いをするのですが、それで余計にわからないと言われ、普通の言葉に直して説明しても、やはりわからない。

    √120n=√(2・2・2・3・5)×(2・3・5)
    と分けて書けばわかりやすいかと思い、そうしてみると、
    「なぜ( )でくくるんですか?」
    「・と×は何が違うんですか?」
    と些末な疑問がさらに増えてしまうだけの様子で、やっぱりわからない。

    根本の原因は、平方根というものがよくわかっていないこと。
    これに尽きると思います。

    √a・a・b=a√b
    このシステムが理解できていないのだと思うのです。
    √75=5√3 など、平方根を整理することは一応できるようになっていても、作業手順として覚えているだけで、その意味をあまりわかっていない子がいます。
    だから、5√3=5×√3 と書き換えただけでうろたえてしまいます。
    そういう意味だと知らなかったと言うのです。

    応用問題以前の、平方根の計算でも、例えば、
    √21×√3 といった計算で、
    =√63
    としてから、素因数分解をして、
    =3√7
    という解き方しかできない子は、平方根の意味が根本的には理解できていない可能性があります。
    √21×√3
    =√7・3 ×√3
    =3√7
    と解くことができないのです。

    この解き方が上手く理解できない人は、平方根の根本が理解できていない可能性が高いです。
    平方根とは何のことかよくわからないのに諦めて、作業手順だけ覚えてごまかしてきた可能性はないでしょうか?
    基本がわかっていないと、応用問題の理解は難しいです。
    まず基本に戻ったほうが、遠回りのようで近道です。

    でも、平方根は中3のときから苦手だったし・・・・・。
    そうやって諦めてしまう人もいますが、中3のときは、初めてのことに抵抗感が強く、処理しきれなかっただけかもしれません。
    寝て起きたら何となく理解できていたということもあるように、脳には新しい情報を勝手にどんどん整理していく力があります。
    高校1年になって、中3の「平方根」の勉強をやり直すと、案外スルッと理解できるかもしれません。
    何であんなにわからなかったのだろう?
    むしろ、それが逆に不思議というくらいに、理解できることがあります。
    10代の脳は年々成長しますから。
    応用問題だけ無理に理解しようとしないで、まず基本に戻って復習すると良いと思います。

    もう1つのわからない原因は、指数法則のようです。
    n=2・3・5とすると、
    √120n=√2・2・2・3・5・2・3・5
    =√(2・2・3・5)2
    =2・2・3・5
    =60
    これの、
    2・2・2・3・5・2・3・5
    =(2・2・3・5)2
    のところが理解できないのは、指数法則がわかっていないからでしょう。

    aabb=(ab)2

    中1から学習していることですから高校生にはもう説明不要と思っていると、高1になっても指数法則は意味不明、という子は案外います。
    (ab)2を展開してみると、
    (ab)2=ab×ab=aabb
    なのですから、
    aabb=(ab)2
    です。
    と説明しても、納得した顔をしない子もいます。
    さらに根本には、2乗とはかけ算のことだということが、心の底に沁みて理解できていないのが原因なのかもしれません。
    (ab)2=ab×ab だということが、わかっているつもりでわかっていない。
    だから、aabb=(ab)2
    と言われると、ちょっと不安になってしまい、本当にそうかな?と感じてしまうことがあるようです。

    a2b2=(ab)2
    という書き方をしても、これは同じことです。
    そのあたりのルールに不安を感じるのは、
    a2b2=a×a×b×b
    だという根本に揺らぎがあるからかもしれません。

    中1の頃、2乗と2倍の違いがわかっているようでもふっとわからなくなり、
    32=6
    といった誤った計算を繰り返してきた記憶が頭をよぎり、指数法則をすっきりと理解することができない。
    頭が晴れ晴れとクリアーな日は理解できるが、頭の中がよどんでいるように感じる日は理解できない。
    そんなことがあるようです。

    (a2)3=a6
    a2×a3=a5
    こうしたことに対し、
    「え?え?え?」
    といつまでも不安を感じてしまう・・・。

    わからなくなったら、全部書いてみましょう。
    (a2)3
    =(a×a)×(a×a)×(a×a)
    =a6

    a2×a3
    =(a×a)×(a×a×a)
    =a5

    これで理解できれば大丈夫です。
    これでも理解できず、
    a×a×a×a×a=a5 なんですか?初めて知った・・・・。
    と言った高校生もかつていましたから。
    累乗はかけ算だということを心の底に沁みるほど理解できるまで、自分で繰り返し繰り返し、これを具体的にやってみると良いと思います。


    さて、√a・a・b=a√b という仕組み、そして指数法則は理解できるようになったとして。
    だから、最小の自然数nを求めるだけの問題なら解けるようになったとして。
    実はnは1つではなく無数にあるという話になると、今までの理解も吹っ飛ぶほどにわからなくなる人もいます。

    例えば、n=2・3・5・2・2とすると、
    √120n
    =√2・2・2・3・5・2・3・5・2・2
    =√(2・2・2・3・5)2
    =2・2・2・3・5
    =120

    やはり、整数になります。

    nは120の中のペアのいない素数の積2・3・5だけとは限らず、nの中に2の2乗を含んでいても良いわけです。
    したがって、n=2・3・5・2・2=120 としても大丈夫です。

    次のnは、もともと必要な2・3・5の他に、3・3を含む数。
    すなわち、n=2・3・5・3・3=270とすると、
    √120n=√2・2・2・3・5・2・3・5・3・3
    =√(2・2・3・3・5)2
    =2・2・3・3・5
    =180
    これも整数になります。
    よって、n=30、120、270です。


    「整数の性質」という単元は、このようにこれまでの復習内容から始まる、というよりも、小学校や中学校で十分に理解できなかった急所を突いてくる単元なのかもしれません。
    理解できないまま、まあまあまあ、この単元さえやり過ごせば、とごまかしてきたことが濃縮された単元。
    つまりはそれだけ、数学的な考え方や数理の根本を問う単元と言えるのかもしれません。
    復習内容が終われば、この単元は、「合同式」そして「不定方程式」の学習に入ります。
    斜め上どころか、火星方向からやってきた論理が金星方向に抜けていくような凄まじいアサッテ感との闘いとなるかもしれません。
    1問の解説を聞き終わったときには、もう最初のほうがわからなくなっている・・・・。
    論理的に正しいはずのことが、どうしてこんなに淡雪のように儚いのだろう・・・・。
    正しいことなのだろうに、なぜ、こうも確信がもてないのか・・・・。
    大袈裟でなく、そんなふうになってしまうかもしれません。
    しかし、それも、初めて学ぶ、脳に全く道筋のない学習内容だから抵抗感が強いせいだと思います。
    繰り返し学習することで、頭を慣らすのが、何より特効薬と思います。

      


  • Posted by セギ at 15:35Comments(0)算数・数学

    2018年10月14日

    数学の文章題が理解できない理由は何なのか。



    近年、読解力のない子どもが多数存在することがクローズアップされるようになりました。
    国語ができない子は、数学ができない。
    国語ができない子は、そもそも全ての教科の伸びが限定的。
    そのように言われます。

    国語といっても、文学作品の鑑賞力というような話ではありません。
    古文・漢文の素養でもありません。
    本当にシンプルに読解力です。
    実用的な文章に書いてあることをそのまま理解する力。
    それが絶望的に足りない子どもが、近年、多数存在するようになりました。
    確かに、それでは、数学は理解できません。
    単純な計算だけはできるでしょうが、理論は、言葉で説明され、言葉で理解されます。
    言葉を理解できない子は、理論を理解できないと思います。

    問題 ある数の2乗をするところを、誤って2倍してしまったため、計算の結果は19小さくなった。ある数を求めよ。

    これは、2次方程式の文章題です。
    この問題に書いてあることの意味がわからない。
    あるとき生徒にそう言われて、ギョッとしました。
    方程式の文章題は苦手とする子が多いですが、その中では、こうした「数に関する問題」は立式しやすいほうです。
    「速さの問題」「食塩水の問題」「売買の問題」「動点の問題」など、難しい問題は他にもっと存在します。
    この問題が全くわからないというのは、どういうことなのだろう?

    ある数をxとするところまでは、誰でも発想できます。
    ある数の2乗は、x2。
    ある数の2倍は、2x。
    それを表すことはできる。
    でも、19をどうしたらいいのかわからない。
    どちらにたすのか、どちらから引くのか、わからない。
    文が伝えていることの意味が、よくわからない。
    そう言うのです。

    「x2と2xと、どちらが大きいと思う?」
    私は尋ねました。
    「わからない。2乗のほうが普通大きくなるだろうから、大きいんだろうけれど、文章からは読み取れない」
    その子は答えました。
    2乗のほうが普通大きくなる。
    数に対する感覚はむしろ数学センスを感じます。
    私は説明を試みました。
    「計算の結果は19小さい、と言っているから、計算の結果のほうが小さいんでしょう?それなら、2xのほうが小さいよね?」
    「2xのほうが計算の結果?」
    「そう」
    「どうしたら、それがわかるの?」
    「・・・・・」
    いやいやいや、書いてある。
    書いてあるよ?
    何で書いてあるのに、読み取れないの?


    これは想像の域を出ないのですが、このような読解力の子は、文を読むとき、目立つ単語の拾い読みをしているだけなのではないか?
    自立語以外の語句の機能を理解していないのではないか?
    特に助詞の働きを理解しないまま成長しているのではないか?

    つまり、彼らが読んでいる文章は、このようなものなのではないかと思うのです。

    問題 ある数の2乗・・・・2倍・・・・・計算・・結果・・・19小さく・・・・。

    これでは、関係が読み取れません。
    単語と単語とのつながりが理解できない限り、本人に問題文を音読させても、私が読んであげても、上のようにしか読み取れないという点で、絶望的な要素をはらんでいます。
    「よく読みなさい」
    「細部まで読みなさい」
    と言っても、変化はないのです。

    助詞を理解しない子どもは、実は、相当数いるのかもしれません。
    子どもの発する言葉を聴き取ると、助詞を使用しない子どもは多いです。
    それは日常会話だから、で済まされるレベルのことなのでしょうか。
    作文を書けば、助詞を使用できるのでしょうか。
    読解力のない子の大半が作文も苦手なのは、そもそも助詞を使えないので、文を書くことに困難があるのではないでしょうか。

    助詞といっても、「が」「は」くらいは使えると思います。
    問題は、「の」「を」「に」「へ」「と」などを多用する文を使うことができるか、です。
    つまりは、それだけ1文の長い、語句の関係が複雑な文を話したり書いたりすることができるでしょうか?
    日常生活の子どもの言葉に耳を傾けたとき、幼児の頃と同じように助詞を省略した2語文で生活している、ということはないでしょうか?

    努力すれば助詞の働きを理解できなくもないし、使用できなくもないが、普段の読み取りでそこが抜け落ちるということもあるかもしれません。
    単語の拾い読みが習慣化しているため、文を精読し、単語と単語との関係をつかむのが文を読むことだということが、実感としてつかめない。
    単語と単語の関係を把握しながら読解することができない。
    そういう子も多いのかもしれません。

    小学生では、例えば、「倍数と約数」の問題で端的なのは、このような問題です。
    ☐に「倍数」または「約数」を入れなさい。
    (1)8は2の☐です。
    (2)2は8の☐です。

    これが、どちらがどちらなのか、わからないことがあるようです。
    その子の目に、
    (1)8・・・2・・・・☐。
    (2)2・・・8・・・・☐。
    としか見えていないのであれば、それは答えられないと思います。

    目立つ自立語しか読み取らず、その他の部分を読み飛ばす。
    あるいは、目には入っていても、その機能を意識できない。
    それは、おそらく、文字を覚えた頃からの読み癖で、小学校の低学年までは、それで事足りたのだろうと思います。
    それでも文章の意味はわかるので、そういう読み方が本人の中で固定したのかもしれません。
    それが無意識のレベルまで本人の中に浸透し、文章が複雑になったときにも、他の読み方ができなくなっているとしたら?

    もう一度、最初の問題に戻ります。
    問題 ある数の2乗をするところを、誤って2倍してしまったため、計算の結果は19小さくなった。ある数を求めよ。

    この問題がわからないという子は特異な素質を持っていました。
    読解力のない子は、普通、わからないことを伝えるのも諦めてしまいます。
    何がわからないかを伝えるのにも言葉を使わねばなりません。
    読解力のない子の多くは、そうした表現力を持っていません。
    わからないまま、黙る。
    わからないまま、諦める。
    わからないまま、ごまかす方法を獲得する。
    そうして重症化していく子は多いです。
    しかし、その子は諦めませんでした。

    「計算の結果って、どっちの結果?2乗?2倍?」
    「実際に計算したのはどっちなの?誤って2倍したんだから、2倍のほうが実際に計算した結果でしょう?」
    「どこでそれがわかるの?」
    「『ある数を2乗するところを誤って2倍したため計算の結果は』と書いてあるから、2倍したんでしょう?」
    「えー?書いてあるかな?」
    「『誤って2倍した』と書いてあるでしょう?」
    「えー?」
    「書いてあるよ?」

    このやりとりにどこまで効果があったのかは、実際のところは不明です。
    とりあえず類題は正しく立式できるようになりましたが、それはパータン化して覚えただけかもしれせん。
    ただ、思うのは、この子は、現時点では読解力に欠ける面もあるのかもしれませんが、表現力があるということ。
    数学の文章題が解けない他の子とは、そこが少し違うのです。
    その子が何かを伝えようとする限り、靴の上から足の裏を掻くようなもどかしさはあるものの、確実にその子の疑問が伝わってくるのでした。


    もう随分昔の話なので、私が誤解したまま間違った解釈をしているのかもしれませんが、遠い昔、『機動戦士ガンダム』というテレビアニメが初めて放送された頃のこと。
    私は他の同級生と同様に、普通にアニメが好きでした。
    私は「アニメ第1世代」と呼ばれる世代です。
    『宇宙戦艦ヤマト』の劇場公開が成功したのは、その数年前。
    今から考えれば隔世の感がありますが、テレビアニメの総集編を映画館で上映して、それが興行的に成功するなど、当時の普通の大人は予想しなかったのです。
    まして、その続編をオール新作の映画として公開して、初日の映画館前に徹夜で行列を作る若者たちが存在するほどに成功することなど。
    『宇宙戦艦ヤマト』の作品としての価値に、現在の私は何の感想も抱いていませんが、アニメーションの興行的成功としての歴史的意味は大きいと思います。
    そんなわけで、話題のアニメは何歳になっても普通に見る最初の世代に属する私ですが、『起動戦士ガンダム』は、アニメから遠ざかるきっかけになりました。
    むしろ『ガンダム』からアニメに没入していった後の世代とは対照的に。

    あそこに出てくるニュータイプというのが、気持ち悪かったんです。
    機械との親和性が高く、反応が速い。
    そういうことだけなら良いのですが、どうも彼らはニュータイプ同士で瞬時に互いのことを全面的に理解しあうらしい。
    そのことがとてつもなく肯定的に描かれていました。
    主人公がコミュニケーション不全なタイプの少年で、周囲と和解できないまま、否応なく戦争に巻き込まれてロボットで闘っているという状況ですから、ありのままの自分を丸ごと誤解なく受け入れてもらえることは究極の理想だったのかもしれませんが。

    最終回を見て、私ははっきりと声に出してつぶやきました。
    「言いたいことは、言葉にして言いなよ」
    私自身がそんなにコミュニケーションが得意なわけではなかったにも関わらず、あるいは、むしろそれだからこそだったかもしれませんが、声に出してつぶやいてしまうほど、強くそう思ったのです。
    ニュータイプなんかに進化しなくても、人間には言葉があるよ。
    使えよ、言葉を。
    何の努力もせず、丸ごと完璧に自分を好意的に理解してもらおうなんて、甘えているんじゃないよ。
    ああ、こんなアニメを見ている場合じゃない。
    私は、現実と関わろう。

    以後、アニメを全く見なかったというわけではありませんが、心理的距離はかなり開きました。

    わかってほしいことがあるなら、言葉にして伝えないと。
    何かを伝えるにも、何かを理解するにも、言葉を使えば可能なのだから。
    私たちは今もニュータイプには進化していないですが、言葉によって感情を伝え、意思を伝え、情報を伝えることはできるのです。

    しかし、あれから40年、言葉を使えない子は増える一方です。
    頭が悪いわけではないのに国語力の低い子が目立つようになりました。
    国語力の低い子の学力は限定的になってしまうと、私も思います。
    国語ができれば必ず数学ができるとは限りません。
    数学ができるようになるには、数学的な才能も必要です。
    ただ、数学的才能がその子の中に眠っている様子なのに、国語力のせいで開花しないのは、本当に勿体ない。
    意識して文章の読み方を変えたり、自分で文章を書く練習をすることで、単語と単語とのつながりや、そこから意味が生まれる言葉の機能を理解できるはず。
    何歳からでも、遅すぎるということはないはずです。

      


  • Posted by セギ at 15:12Comments(0)算数・数学

    2018年09月30日

    メネラウスの定理。


    高校数A「図形の性質」の学習。
    センター試験にもよく出る定理がこの「メネラウスの定理」です。
    チェバの定理と同様、これも、楽な覚え方をすれば、何でもなく活用できるようになります。
    上の左図で、

    ABFCEA=1
    BF・CE・EA


    ブログでは分数表記をできないので読みにくいと思います。
    テキスト・参考書等で確認してください。

    証明は、ネットで検索したらすぐ出てきます。
    この定理も、証明よりも覚え方、活用の仕方が重要です。
    決して記号で覚えないこと。
    左図のような配置からの順番だけで覚えるのも得策ではありません。
    実際の問題は、左図のような配置になっているとは限らないからです。

    メネラウスの定理も、三角形が基本です。
    その三角形の2辺と、頂点以外で交わる直線があること。
    その直線は、当然、残る1辺の延長線とも交わります。
    この構造の図のとき、メネラウスの定理が使えます。
    まず、三角形の3つの頂点を強く意識します。
    それ以外の点は、「交点」ととらえます。
    あとは、チェバの定理と同じ呪文を唱えます。
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」
    必ず頂点から始め、そこから直接進める交点へ。
    それが最初の分子です。
    その交点から次の頂点へ。
    それが分母。
    その頂点から次の交点へ。
    それが次の分子。
    その交点から次の頂点へ。
    それが分母。
    そうしてひと筆書きをして元の頂点に戻れば、メネラウスの定理を使った式の右辺が完成します。

    左図のような配置だけでメネラウスの定理を覚えてしまうと、実際の問題で三角形と交わる直線の向きがその配置と異なっているとき、メネラウスの定理を使えること自体を発想できなくなりがちです。
    「使えるよ」とヒントを出しても、どう使うのかわからず、図を回転したり首をひねったりと苦戦する子は多いです。
    メネラウスの定理の構造を理解すれば、そういうことはありません。
    頂点Aから始める必要もなく、どこからでも、呪文の通りにひと筆書きをしていけば良いのです。
    どうか「呪文」を、すなわちこの定理の本質を理解してください。
    どんな配置の図でも、どの頂点からでも、メネラウスの定理を使えるようにしておくと心強いです。
    上の左図でも右図でも、頂点BからもCからも、メネラウスの定理は利用できます。
    上の図は反時計回りですが、時計回りも可能です。

    どうか頭を柔軟に。
    それは定理の本質を理解するということでもあります。

      


  • Posted by セギ at 13:25Comments(0)算数・数学

    2018年09月06日

    チェバの定理。


    数A「図形の性質」の学習、今回は、チェバの定理です。
    まずは、左の図が基本です。
    △ABCの内部に点Oをとります。
    各頂点から対辺に向けて、点Oを通る直線を引き、対辺との交点をE、F、Dとします。
    左図の線分AE、BF、CDがそれです。
    すなわち、点D、E、Fは、それぞれ辺AB、BC、CAを内分する点です。
    このとき、
    AD/DB ・ BE/EC ・ CF/FA = 1
    これがチェバの定理です。

    証明は簡単で、三角形の面積の比と線分の比を利用します。
    興味のある方は、ネットで検索するとすぐに証明が出てきます。

    高校レベルの定理にありがちですが、証明を理解して納得したところで、定理は覚えられないことが多いです。
    三角形の面積の公式など、公式が表しているものが求め方の意味そのものだった頃と比べ、公式と証明との間に乖離が生じるのが高校数学です。
    証明は証明として納得した後は、定理は定理で暗記すると良いでしょう。
    いえ、数学センス、図形センスが高度に発達した人の場合、このレベルでもなお、証明が理解できれば、公式は証明そのもの、意味そのものじゃん、暗記とかそういうことじゃないという感覚を抱きます。
    そういう人は「数学は暗記じゃない」と言います。
    一応、その人の言うことも聞いて、証明を理解した後、何も見ないで定理を復元できるか自分で試してみても良いですが、あ、ちょっと無理だなと感じたら、丸暗記したほうが良いと思います。

    「チェバの定理」の場合、暗記は簡単。
    まず、土台は△ABCであることを強く意識します。
    点A、B、Cが頂点です。
    それ以外の点は、交点とします。
    「分点」と呼ぶ人もいますが、同じことです。
    唱える呪文は、
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」。
    始まりは必ず頂点です。
    そこから直接いける交点までが最初の分数の分子。
    その交点から次の頂点までが、その分母。
    その頂点から次の交点までが、次の分子。
    その交点から次の頂点までが、その分母。
    そうやって、頂点から交点へ、交点から頂点へと一周していくのが、チェバの定理です。
    上の左図では、頂点Aから始めていますが、これは頂点Bから始めても頂点Cから始めても同じことです。
    「AD、DB、・・・」と文字で暗記するのは混乱のもと。
    ざっくりと把握し、自由に活用できるようにしておきましょう。

    次に上の右の図。
    点Oが△ABCの外側にある場合です。
    同じように、各頂点から点Oを通る直線を引き、対辺あるいは対辺の延長との交点をE、F、Dとします。
    上の図のように、2つの交点は、外分点、1つは内分点となります。
    この場合も、チェバの定理は成り立ちます。
    上の右図にオレンジ色で書き込んである通り、
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」
    の順番でひと筆書きでなぞり、最初の頂点に戻れば終了です。
    あくまで△ABCが土台。
    A、B、Cが頂点。
    外分点は交点です。
    それを強く意識すれば、間違えずに最初の頂点に戻ってこられます。
    これも、出発は点Aとは限らず、どの頂点から開始してもその頂点に戻ってこられるよう練習しておくと良いと思います。

    あとは代入とその後の計算の問題です。
    例えば、図のAD:DBの値を求める問題で、他の線分の比は既にわかっているとして。
    AD/DB ・ 1/2 ・ 4/5=1
    という式が立ったその後。
    2AD/5DB=1
    というところまで整理できて、その先で迷ってしまう人がいます。
    このとき、AD:DB=5:2 です。

    これもまた、なかなか納得できない人もいるようで、つまずきポイントです。
    小学校の頃から分数や比が苦手だったことが高校まで尾を引いている子は特に。
    本当に、小学校の算数は諦めずに理解しておいてください。
      


  • Posted by セギ at 13:30Comments(0)算数・数学