たまりば

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2018年10月19日

数A「整数の性質」平方根の利用。


高校数Aの最後の単元は、「整数の性質」です。
前半の学習内容は、約数・倍数、平方根の利用、約数の個数や約数の総和の求め方など、小学校・中学校の復習内容が多いです。
平方根の利用は、例えばこんな問題です。

問題 √120n が整数となるときの自然数nを小さいものから3つ求めよ。

これは中3で学習する内容です。
高1になると数Ⅰの「式の計算」の単元で復習します。
そして、数A「整数の性質」でも、再度復習します。
その都度、ガツッとつまずく子がいます。
どうにも納得できない。
何のことか呑み込めない。
そういう状態に陥ってしまいます。

120=2・2・2・3・5
よって、最小のnは、2・3・5=30

これの理解が最初の課題です。

n=2・3・5とすると、
√120n=√2・2・2・3・5・2・3・5
=√(2・2・3・5)2
=2・2・3・5
=60
と無事に整数になります。

√ の屋根の中に、同じ整数が2つあれば、それが1組みのペアとなり、整数となって√ の外に出ることができます。
硬い説明では伝わりにくいかと思い、「屋根」とか「ペア」とか、柔らかい言葉遣いをするのですが、それで余計にわからないと言われ、普通の言葉に直して説明しても、やはりわからない。

√120n=√(2・2・2・3・5)×(2・3・5)
と分けて書けばわかりやすいかと思い、そうしてみると、
「なぜ( )でくくるんですか?」
「・と×は何が違うんですか?」
と些末な疑問がさらに増えてしまうだけの様子で、やっぱりわからない。

根本の原因は、平方根というものがよくわかっていないこと。
これに尽きると思います。

√a・a・b=a√b
このシステムが理解できていないのだと思うのです。
√75=5√3 など、平方根を整理することは一応できるようになっていても、作業手順として覚えているだけで、その意味をあまりわかっていない子がいます。
だから、5√3=5×√3 と書き換えただけでうろたえてしまいます。
そういう意味だと知らなかったと言うのです。

応用問題以前の、平方根の計算でも、例えば、
√21×√3 といった計算で、
=√63
としてから、素因数分解をして、
=3√7
という解き方しかできない子は、平方根の意味が根本的には理解できていない可能性があります。
√21×√3
=√7・3 ×√3
=3√7
と解くことができないのです。

この解き方が上手く理解できない人は、平方根の根本が理解できていない可能性が高いです。
平方根とは何のことかよくわからないのに諦めて、作業手順だけ覚えてごまかしてきた可能性はないでしょうか?
基本がわかっていないと、応用問題の理解は難しいです。
まず基本に戻ったほうが、遠回りのようで近道です。

でも、平方根は中3のときから苦手だったし・・・・・。
そうやって諦めてしまう人もいますが、中3のときは、初めてのことに抵抗感が強く、処理しきれなかっただけかもしれません。
寝て起きたら何となく理解できていたということもあるように、脳には新しい情報を勝手にどんどん整理していく力があります。
高校1年になって、中3の「平方根」の勉強をやり直すと、案外スルッと理解できるかもしれません。
何であんなにわからなかったのだろう?
むしろ、それが逆に不思議というくらいに、理解できることがあります。
10代の脳は年々成長しますから。
応用問題だけ無理に理解しようとしないで、まず基本に戻って復習すると良いと思います。

もう1つのわからない原因は、指数法則のようです。
n=2・3・5とすると、
√120n=√2・2・2・3・5・2・3・5
=√(2・2・3・5)2
=2・2・3・5
=60
これの、
2・2・2・3・5・2・3・5
=(2・2・3・5)2
のところが理解できないのは、指数法則がわかっていないからでしょう。

aabb=(ab)2

中1から学習していることですから高校生にはもう説明不要と思っていると、高1になっても指数法則は意味不明、という子は案外います。
(ab)2を展開してみると、
(ab)2=ab×ab=aabb
なのですから、
aabb=(ab)2
です。
と説明しても、納得した顔をしない子もいます。
さらに根本には、2乗とはかけ算のことだということが、心の底に沁みて理解できていないのが原因なのかもしれません。
(ab)2=ab×ab だということが、わかっているつもりでわかっていない。
だから、aabb=(ab)2
と言われると、ちょっと不安になってしまい、本当にそうかな?と感じてしまうことがあるようです。

a2b2=(ab)2
という書き方をしても、これは同じことです。
そのあたりのルールに不安を感じるのは、
a2b2=a×a×b×b
だという根本に揺らぎがあるからかもしれません。

中1の頃、2乗と2倍の違いがわかっているようでもふっとわからなくなり、
32=6
といった誤った計算を繰り返してきた記憶が頭をよぎり、指数法則をすっきりと理解することができない。
頭が晴れ晴れとクリアーな日は理解できるが、頭の中がよどんでいるように感じる日は理解できない。
そんなことがあるようです。

(a2)3=a6
a2×a3=a5
こうしたことに対し、
「え?え?え?」
といつまでも不安を感じてしまう・・・。

わからなくなったら、全部書いてみましょう。
(a2)3
=(a×a)×(a×a)×(a×a)
=a6

a2×a3
=(a×a)×(a×a×a)
=a5

これで理解できれば大丈夫です。
これでも理解できず、
a×a×a×a×a=a5 なんですか?初めて知った・・・・。
と言った高校生もかつていましたから。
累乗はかけ算だということを心の底に沁みるほど理解できるまで、自分で繰り返し繰り返し、これを具体的にやってみると良いと思います。


さて、√a・a・b=a√b という仕組み、そして指数法則は理解できるようになったとして。
だから、最小の自然数nを求めるだけの問題なら解けるようになったとして。
実はnは1つではなく無数にあるという話になると、今までの理解も吹っ飛ぶほどにわからなくなる人もいます。

例えば、n=2・3・5・2・2とすると、
√120n
=√2・2・2・3・5・2・3・5・2・2
=√(2・2・2・3・5)2
=2・2・2・3・5
=120

やはり、整数になります。

nは120の中のペアのいない素数の積2・3・5だけとは限らず、nの中に2の2乗を含んでいても良いわけです。
したがって、n=2・3・5・2・2=120 としても大丈夫です。

次のnは、もともと必要な2・3・5の他に、3・3を含む数。
すなわち、n=2・3・5・3・3=270とすると、
√120n=√2・2・2・3・5・2・3・5・3・3
=√(2・2・3・3・5)2
=2・2・3・3・5
=180
これも整数になります。
よって、n=30、120、270です。


「整数の性質」という単元は、このようにこれまでの復習内容から始まる、というよりも、小学校や中学校で十分に理解できなかった急所を突いてくる単元なのかもしれません。
理解できないまま、まあまあまあ、この単元さえやり過ごせば、とごまかしてきたことが濃縮された単元。
つまりはそれだけ、数学的な考え方や数理の根本を問う単元と言えるのかもしれません。
復習内容が終われば、この単元は、「合同式」そして「不定方程式」の学習に入ります。
斜め上どころか、火星方向からやってきた論理が金星方向に抜けていくような凄まじいアサッテ感との闘いとなるかもしれません。
1問の解説を聞き終わったときには、もう最初のほうがわからなくなっている・・・・。
論理的に正しいはずのことが、どうしてこんなに淡雪のように儚いのだろう・・・・。
正しいことなのだろうに、なぜ、こうも確信がもてないのか・・・・。
大袈裟でなく、そんなふうになってしまうかもしれません。
しかし、それも、初めて学ぶ、脳に全く道筋のない学習内容だから抵抗感が強いせいだと思います。
繰り返し学習することで、頭を慣らすのが、何より特効薬と思います。

  


  • Posted by セギ at 15:35Comments(0)算数・数学

    2018年10月14日

    数学の文章題が理解できない理由は何なのか。



    近年、読解力のない子どもが多数存在することがクローズアップされるようになりました。
    国語ができない子は、数学ができない。
    国語ができない子は、そもそも全ての教科の伸びが限定的。
    そのように言われます。

    国語といっても、文学作品の鑑賞力というような話ではありません。
    古文・漢文の素養でもありません。
    本当にシンプルに読解力です。
    実用的な文章に書いてあることをそのまま理解する力。
    それが絶望的に足りない子どもが、近年、多数存在するようになりました。
    確かに、それでは、数学は理解できません。
    単純な計算だけはできるでしょうが、理論は、言葉で説明され、言葉で理解されます。
    言葉を理解できない子は、理論を理解できないと思います。

    問題 ある数の2乗をするところを、誤って2倍してしまったため、計算の結果は19小さくなった。ある数を求めよ。

    これは、2次方程式の文章題です。
    この問題に書いてあることの意味がわからない。
    あるとき生徒にそう言われて、ギョッとしました。
    方程式の文章題は苦手とする子が多いですが、その中では、こうした「数に関する問題」は立式しやすいほうです。
    「速さの問題」「食塩水の問題」「売買の問題」「動点の問題」など、難しい問題は他にもっと存在します。
    この問題が全くわからないというのは、どういうことなのだろう?

    ある数をxとするところまでは、誰でも発想できます。
    ある数の2乗は、x2。
    ある数の2倍は、2x。
    それを表すことはできる。
    でも、19をどうしたらいいのかわからない。
    どちらにたすのか、どちらから引くのか、わからない。
    文が伝えていることの意味が、よくわからない。
    そう言うのです。

    「x2と2xと、どちらが大きいと思う?」
    私は尋ねました。
    「わからない。2乗のほうが普通大きくなるだろうから、大きいんだろうけれど、文章からは読み取れない」
    その子は答えました。
    2乗のほうが普通大きくなる。
    数に対する感覚はむしろ数学センスを感じます。
    私は説明を試みました。
    「計算の結果は19小さい、と言っているから、計算の結果のほうが小さいんでしょう?それなら、2xのほうが小さいよね?」
    「2xのほうが計算の結果?」
    「そう」
    「どうしたら、それがわかるの?」
    「・・・・・」
    いやいやいや、書いてある。
    書いてあるよ?
    何で書いてあるのに、読み取れないの?


    これは想像の域を出ないのですが、このような読解力の子は、文を読むとき、目立つ単語の拾い読みをしているだけなのではないか?
    自立語以外の語句の機能を理解していないのではないか?
    特に助詞の働きを理解しないまま成長しているのではないか?

    つまり、彼らが読んでいる文章は、このようなものなのではないかと思うのです。

    問題 ある数の2乗・・・・2倍・・・・・計算・・結果・・・19小さく・・・・。

    これでは、関係が読み取れません。
    単語と単語とのつながりが理解できない限り、本人に問題文を音読させても、私が読んであげても、上のようにしか読み取れないという点で、絶望的な要素をはらんでいます。
    「よく読みなさい」
    「細部まで読みなさい」
    と言っても、変化はないのです。

    助詞を理解しない子どもは、実は、相当数いるのかもしれません。
    子どもの発する言葉を聴き取ると、助詞を使用しない子どもは多いです。
    それは日常会話だから、で済まされるレベルのことなのでしょうか。
    作文を書けば、助詞を使用できるのでしょうか。
    読解力のない子の大半が作文も苦手なのは、そもそも助詞を使えないので、文を書くことに困難があるのではないでしょうか。

    助詞といっても、「が」「は」くらいは使えると思います。
    問題は、「の」「を」「に」「へ」「と」などを多用する文を使うことができるか、です。
    つまりは、それだけ1文の長い、語句の関係が複雑な文を話したり書いたりすることができるでしょうか?
    日常生活の子どもの言葉に耳を傾けたとき、幼児の頃と同じように助詞を省略した2語文で生活している、ということはないでしょうか?

    努力すれば助詞の働きを理解できなくもないし、使用できなくもないが、普段の読み取りでそこが抜け落ちるということもあるかもしれません。
    単語の拾い読みが習慣化しているため、文を精読し、単語と単語との関係をつかむのが文を読むことだということが、実感としてつかめない。
    単語と単語の関係を把握しながら読解することができない。
    そういう子も多いのかもしれません。

    小学生では、例えば、「倍数と約数」の問題で端的なのは、このような問題です。
    ☐に「倍数」または「約数」を入れなさい。
    (1)8は2の☐です。
    (2)2は8の☐です。

    これが、どちらがどちらなのか、わからないことがあるようです。
    その子の目に、
    (1)8・・・2・・・・☐。
    (2)2・・・8・・・・☐。
    としか見えていないのであれば、それは答えられないと思います。

    目立つ自立語しか読み取らず、その他の部分を読み飛ばす。
    あるいは、目には入っていても、その機能を意識できない。
    それは、おそらく、文字を覚えた頃からの読み癖で、小学校の低学年までは、それで事足りたのだろうと思います。
    それでも文章の意味はわかるので、そういう読み方が本人の中で固定したのかもしれません。
    それが無意識のレベルまで本人の中に浸透し、文章が複雑になったときにも、他の読み方ができなくなっているとしたら?

    もう一度、最初の問題に戻ります。
    問題 ある数の2乗をするところを、誤って2倍してしまったため、計算の結果は19小さくなった。ある数を求めよ。

    この問題がわからないという子は特異な素質を持っていました。
    読解力のない子は、普通、わからないことを伝えるのも諦めてしまいます。
    何がわからないかを伝えるのにも言葉を使わねばなりません。
    読解力のない子の多くは、そうした表現力を持っていません。
    わからないまま、黙る。
    わからないまま、諦める。
    わからないまま、ごまかす方法を獲得する。
    そうして重症化していく子は多いです。
    しかし、その子は諦めませんでした。

    「計算の結果って、どっちの結果?2乗?2倍?」
    「実際に計算したのはどっちなの?誤って2倍したんだから、2倍のほうが実際に計算した結果でしょう?」
    「どこでそれがわかるの?」
    「『ある数を2乗するところを誤って2倍したため計算の結果は』と書いてあるから、2倍したんでしょう?」
    「えー?書いてあるかな?」
    「『誤って2倍した』と書いてあるでしょう?」
    「えー?」
    「書いてあるよ?」

    このやりとりにどこまで効果があったのかは、実際のところは不明です。
    とりあえず類題は正しく立式できるようになりましたが、それはパータン化して覚えただけかもしれせん。
    ただ、思うのは、この子は、現時点では読解力に欠ける面もあるのかもしれませんが、表現力があるということ。
    数学の文章題が解けない他の子とは、そこが少し違うのです。
    その子が何かを伝えようとする限り、靴の上から足の裏を掻くようなもどかしさはあるものの、確実にその子の疑問が伝わってくるのでした。


    もう随分昔の話なので、私が誤解したまま間違った解釈をしているのかもしれませんが、遠い昔、『機動戦士ガンダム』というテレビアニメが初めて放送された頃のこと。
    私は他の同級生と同様に、普通にアニメが好きでした。
    私は「アニメ第1世代」と呼ばれる世代です。
    『宇宙戦艦ヤマト』の劇場公開が成功したのは、その数年前。
    今から考えれば隔世の感がありますが、テレビアニメの総集編を映画館で上映して、それが興行的に成功するなど、当時の普通の大人は予想しなかったのです。
    まして、その続編をオール新作の映画として公開して、初日の映画館前に徹夜で行列を作る若者たちが存在するほどに成功することなど。
    『宇宙戦艦ヤマト』の作品としての価値に、現在の私は何の感想も抱いていませんが、アニメーションの興行的成功としての歴史的意味は大きいと思います。
    そんなわけで、話題のアニメは何歳になっても普通に見る最初の世代に属する私ですが、『起動戦士ガンダム』は、アニメから遠ざかるきっかけになりました。
    むしろ『ガンダム』からアニメに没入していった後の世代とは対照的に。

    あそこに出てくるニュータイプというのが、気持ち悪かったんです。
    機械との親和性が高く、反応が速い。
    そういうことだけなら良いのですが、どうも彼らはニュータイプ同士で瞬時に互いのことを全面的に理解しあうらしい。
    そのことがとてつもなく肯定的に描かれていました。
    主人公がコミュニケーション不全なタイプの少年で、周囲と和解できないまま、否応なく戦争に巻き込まれてロボットで闘っているという状況ですから、ありのままの自分を丸ごと誤解なく受け入れてもらえることは究極の理想だったのかもしれませんが。

    最終回を見て、私ははっきりと声に出してつぶやきました。
    「言いたいことは、言葉にして言いなよ」
    私自身がそんなにコミュニケーションが得意なわけではなかったにも関わらず、あるいは、むしろそれだからこそだったかもしれませんが、声に出してつぶやいてしまうほど、強くそう思ったのです。
    ニュータイプなんかに進化しなくても、人間には言葉があるよ。
    使えよ、言葉を。
    何の努力もせず、丸ごと完璧に自分を好意的に理解してもらおうなんて、甘えているんじゃないよ。
    ああ、こんなアニメを見ている場合じゃない。
    私は、現実と関わろう。

    以後、アニメを全く見なかったというわけではありませんが、心理的距離はかなり開きました。

    わかってほしいことがあるなら、言葉にして伝えないと。
    何かを伝えるにも、何かを理解するにも、言葉を使えば可能なのだから。
    私たちは今もニュータイプには進化していないですが、言葉によって感情を伝え、意思を伝え、情報を伝えることはできるのです。

    しかし、あれから40年、言葉を使えない子は増える一方です。
    頭が悪いわけではないのに国語力の低い子が目立つようになりました。
    国語力の低い子の学力は限定的になってしまうと、私も思います。
    国語ができれば必ず数学ができるとは限りません。
    数学ができるようになるには、数学的な才能も必要です。
    ただ、数学的才能がその子の中に眠っている様子なのに、国語力のせいで開花しないのは、本当に勿体ない。
    意識して文章の読み方を変えたり、自分で文章を書く練習をすることで、単語と単語とのつながりや、そこから意味が生まれる言葉の機能を理解できるはず。
    何歳からでも、遅すぎるということはないはずです。

      


  • Posted by セギ at 15:12Comments(0)算数・数学

    2018年09月30日

    メネラウスの定理。


    高校数A「図形の性質」の学習。
    センター試験にもよく出る定理がこの「メネラウスの定理」です。
    チェバの定理と同様、これも、楽な覚え方をすれば、何でもなく活用できるようになります。
    上の左図で、

    ABFCEA=1
    BF・CE・EA


    ブログでは分数表記をできないので読みにくいと思います。
    テキスト・参考書等で確認してください。

    証明は、ネットで検索したらすぐ出てきます。
    この定理も、証明よりも覚え方、活用の仕方が重要です。
    決して記号で覚えないこと。
    左図のような配置からの順番だけで覚えるのも得策ではありません。
    実際の問題は、左図のような配置になっているとは限らないからです。

    メネラウスの定理も、三角形が基本です。
    その三角形の2辺と、頂点以外で交わる直線があること。
    その直線は、当然、残る1辺の延長線とも交わります。
    この構造の図のとき、メネラウスの定理が使えます。
    まず、三角形の3つの頂点を強く意識します。
    それ以外の点は、「交点」ととらえます。
    あとは、チェバの定理と同じ呪文を唱えます。
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」
    必ず頂点から始め、そこから直接進める交点へ。
    それが最初の分子です。
    その交点から次の頂点へ。
    それが分母。
    その頂点から次の交点へ。
    それが次の分子。
    その交点から次の頂点へ。
    それが分母。
    そうしてひと筆書きをして元の頂点に戻れば、メネラウスの定理を使った式の右辺が完成します。

    左図のような配置だけでメネラウスの定理を覚えてしまうと、実際の問題で三角形と交わる直線の向きがその配置と異なっているとき、メネラウスの定理を使えること自体を発想できなくなりがちです。
    「使えるよ」とヒントを出しても、どう使うのかわからず、図を回転したり首をひねったりと苦戦する子は多いです。
    メネラウスの定理の構造を理解すれば、そういうことはありません。
    頂点Aから始める必要もなく、どこからでも、呪文の通りにひと筆書きをしていけば良いのです。
    どうか「呪文」を、すなわちこの定理の本質を理解してください。
    どんな配置の図でも、どの頂点からでも、メネラウスの定理を使えるようにしておくと心強いです。
    上の左図でも右図でも、頂点BからもCからも、メネラウスの定理は利用できます。
    上の図は反時計回りですが、時計回りも可能です。

    どうか頭を柔軟に。
    それは定理の本質を理解するということでもあります。

      


  • Posted by セギ at 13:25Comments(0)算数・数学

    2018年09月06日

    チェバの定理。


    数A「図形の性質」の学習、今回は、チェバの定理です。
    まずは、左の図が基本です。
    △ABCの内部に点Oをとります。
    各頂点から対辺に向けて、点Oを通る直線を引き、対辺との交点をE、F、Dとします。
    左図の線分AE、BF、CDがそれです。
    すなわち、点D、E、Fは、それぞれ辺AB、BC、CAを内分する点です。
    このとき、
    AD/DB ・ BE/EC ・ CF/FA = 1
    これがチェバの定理です。

    証明は簡単で、三角形の面積の比と線分の比を利用します。
    興味のある方は、ネットで検索するとすぐに証明が出てきます。

    高校レベルの定理にありがちですが、証明を理解して納得したところで、定理は覚えられないことが多いです。
    三角形の面積の公式など、公式が表しているものが求め方の意味そのものだった頃と比べ、公式と証明との間に乖離が生じるのが高校数学です。
    証明は証明として納得した後は、定理は定理で暗記すると良いでしょう。
    いえ、数学センス、図形センスが高度に発達した人の場合、このレベルでもなお、証明が理解できれば、公式は証明そのもの、意味そのものじゃん、暗記とかそういうことじゃないという感覚を抱きます。
    そういう人は「数学は暗記じゃない」と言います。
    一応、その人の言うことも聞いて、証明を理解した後、何も見ないで定理を復元できるか自分で試してみても良いですが、あ、ちょっと無理だなと感じたら、丸暗記したほうが良いと思います。

    「チェバの定理」の場合、暗記は簡単。
    まず、土台は△ABCであることを強く意識します。
    点A、B、Cが頂点です。
    それ以外の点は、交点とします。
    「分点」と呼ぶ人もいますが、同じことです。
    唱える呪文は、
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」。
    始まりは必ず頂点です。
    そこから直接いける交点までが最初の分数の分子。
    その交点から次の頂点までが、その分母。
    その頂点から次の交点までが、次の分子。
    その交点から次の頂点までが、その分母。
    そうやって、頂点から交点へ、交点から頂点へと一周していくのが、チェバの定理です。
    上の左図では、頂点Aから始めていますが、これは頂点Bから始めても頂点Cから始めても同じことです。
    「AD、DB、・・・」と文字で暗記するのは混乱のもと。
    ざっくりと把握し、自由に活用できるようにしておきましょう。

    次に上の右の図。
    点Oが△ABCの外側にある場合です。
    同じように、各頂点から点Oを通る直線を引き、対辺あるいは対辺の延長との交点をE、F、Dとします。
    上の図のように、2つの交点は、外分点、1つは内分点となります。
    この場合も、チェバの定理は成り立ちます。
    上の右図にオレンジ色で書き込んである通り、
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」
    の順番でひと筆書きでなぞり、最初の頂点に戻れば終了です。
    あくまで△ABCが土台。
    A、B、Cが頂点。
    外分点は交点です。
    それを強く意識すれば、間違えずに最初の頂点に戻ってこられます。
    これも、出発は点Aとは限らず、どの頂点から開始してもその頂点に戻ってこられるよう練習しておくと良いと思います。

    あとは代入とその後の計算の問題です。
    例えば、図のAD:DBの値を求める問題で、他の線分の比は既にわかっているとして。
    AD/DB ・ 1/2 ・ 4/5=1
    という式が立ったその後。
    2AD/5DB=1
    というところまで整理できて、その先で迷ってしまう人がいます。
    このとき、AD:DB=5:2 です。

    これもまた、なかなか納得できない人もいるようで、つまずきポイントです。
    小学校の頃から分数や比が苦手だったことが高校まで尾を引いている子は特に。
    本当に、小学校の算数は諦めずに理解しておいてください。
      


  • Posted by セギ at 13:30Comments(0)算数・数学

    2018年08月23日

    三角形の五心。


    数A「図形の性質」の学習は、どういう問題が試験に出るか、ポイントを絞って勉強すると効果的です。
    しかし、まだ高校生くらいですと「自分がわからないところが試験に出る」という思い込みに惑わされてしまうことがあります。
    不安が勝ってしまうのでしょう。
    具体的には、三角形の五心で試験によく出るのは、外心・内心・重心の3つ。
    まずその3つを攻略し、まだ余力があるなら垂心や傍心の問題にも挑戦したら良いと思います。
    知識・理解を問う、語句の穴埋め問題で「垂心」「傍心」が出題されることは勿論あります。
    しかし、外心・内心・重心の問題が出ていないのに傍心が大問として出ることは、定期テストではまずないと考えて良いでしょう。

    生徒にそのように説明するのですが、それでも、
    「傍心がわからない」
    「垂心を教えて」
    「垂心か傍心の問題を解きたい」
    と、テスト直前、テスト対策をする大切な授業の日に本人が強く言うので、仕方なくそうした演習したこともありました。
    定期テストが終わってテストを見ると、やはり垂心・傍心の問題は出題されていませんでした。
    一方、必ず出ると予想された外心・内心・重心に関する典型題の出来はグダグダ。
    「外心や内心は自分で勉強できるから大丈夫」
    と本人は言っていたのですが。
    テスト前、最後の1回の授業を私の思うように使わせてくれたらと悔やむことは多いです。

    三角形の五心。
    学習して時間が経ってしまうと、定義もわからなくなっている人が大半ではないでしょうか。
    五心は、まずは定義の理解が重要です。
    三角形には、ある条件を満たす3本の直線が1点で交わるという不思議な性質があります。
    2直線は1点で交わるでしょうが、その交点を3本目の直線も必ず通るのですよ。
    偶然ではなく、必ず。
    よく考えたらとても不思議なことで、三角形というのは凄い図形なのです。


    まずは外心。
    三角形の3辺の垂直二等分線は1点で交わる。
    この点を三角形の外心という。
    外心は三角形の外接円の中心である。

    内心。
    三角形の3つの内角の二等分線は1点で交わる。
    この点を三角形の内心という。
    内心は三角形の内接円の中心である。

    重心。
    三角形の3つの中線は1点で交わり、その点で各中線は2:1に内分される。
    この点を三角形の重心という。

    垂心。
    三角形で、3つの頂点から対辺に引いた垂線は1点で交わる。
    この点を三角形の垂心という。

    傍心。
    三角形で、1つの内角の二等分線と他の2つの外角の二等分線は1点で交わる。
    この点を三角形の傍心という。
    傍心は1つの三角形について3つある。
    傍心は、三角形の傍接円の中心である。


    定義だけでも、傍心はわかりにくいですね。
    まず傍接円をイメージできれば、傍心も少しはイメージしやすくなります。
    三角形の3辺の両端を延長し、3本の直線としましょう。
    そして、その三角形の外側に、その3本全ての直線と接する円を描きます。
    1つの辺と他の2辺の延長線とで三方を囲まれた円が、円の外側に3つ描けます。
    それが傍接円です。
    その中心が傍心です。
    傍接円は、直線に接しているのですから、傍心と接点を結んだ線分は三角形の各直線に垂直です。
    すなわち、傍心から各直線に下した垂線が重要な役割を果たします。
    また、傍心と各頂点とを結んだ線分も、それぞれの内角や外角の二等分線なのですから重要です。
    この合計6本の線分が問題を解く鍵となります。
    傍心の問題が解けない原因の第一は、この6本の線分を引いていないことです。
    とにかくその6本を引くのが、問題を解く鍵です。
    6本の線分を引くと、合同な三角形、特に使い勝手の良い直角三角形がザクザク現れてくるのです。
    それで問題の構造が見えてきます。

    傍接円そのものは、描いても描かなくても大丈夫です。
    描くのは自由ですが、その線が濃すぎるとむしろ邪魔になります。
    きれいな円を描こうとして、デッサン的に、細かい線の集積のような太くて濃い円をぐりぐりと描いてしまうと特に邪魔です。
    円を描きたいときは、1本の線で薄く描きましょう。
    描かずに済むなら描かず、心の目で円を見ているほうが良い場合も多いです。

    傍心は、そんなにテストに出ません。
    数年前、センター試験の追試に出題されましたが、傍心の問題だと気づかずに解いた人が多いのではないかと思います。
    追試は、本試験よりも難しいので傍心が出ることもありますが、傍心だと気づかなくても解ける問題でした。

    定期テスト対策としては、自分がわからないことがテストに出る、という謎の怯えから脱却することが大切です。
    大学入試で多く扱われることが、高校の定期テストに出ます。
    外心・内心・重心の学習は怠りなく。
    それが十分できてから、垂心・傍心。
    「嫌い」
    「こんなの、わからない」
    と感情的な反発をしているのは時間の無駄ですから、定義と性質をしっかり理解し、易しい基本問題を解いて、自分が本当に理解しているか確認してから、応用問題に進むと良いと思います。
    学校の問題集を1回解くだけの勉強をしている人は、基本問題で間違えても復習せず、そのまま応用問題に突き進み、基本がわかっていないのですから当然応用問題が解けるわけがなく、
    「嫌い」
    「わからない」
    と感情的に反応しがちです。
    それでも基本の定義や性質を復習することはせず、
    「特に傍心がわからない」
    「わからない。わからない。わからない」
    とパニック状態のまま定期テストを受け、テストが返ってきて、
    「やっぱり図形は嫌い」
    というあまり有益ではない感想を口にして終わってしまいます。

    勉強のやり方を変えたほうがいいんじゃないかな?
    少しでもそういう反省に結びついたら、悪い結果のテストも意味があると思うのです。

      


  • Posted by セギ at 10:49Comments(0)算数・数学

    2018年08月08日

    高校数Aの図形の学習。


    現行の高校1年生の数学は、数Ⅰと数Aに分かれています。
    数Ⅰの単元は「数と式」「2次関数」「三角比」「データの分析」。
    数Aの単元は、「場合の数と確率」「図形の性質」「整数の性質」。
    中学で発展的な数学の学習をしている場合、高校数A「図形の性質」はほとんど学習済みの内容ですので、この単元は夏休みの課題として自習し、夏休み明けに課題テストをします、ということで済ませてしまう高校もあります。

    現行のセンター試験数ⅠAは、数Ⅰの全単元が必答問題。配点60点。
    数Aの3つの単元はそれぞれ大問になっていて、3つの大問から2つを選択します。配点40点。
    このとき、図形は苦手だからと「場合の数と確率」「整数の性質」しか選ばない子が結構いますが、問題を全部解いてみると、「図形の性質」が結局一番得点しやすいということもあります。
    「場合の数と確率」はものの考え方のソリが合わず、問題の後半は全く得点できない子が多いのです。
    特に最後の問題は細かい場合分けが必要で、解くのに時間もかかります。
    「整数の性質」は、公倍数・公約数までは何とかなるようですが、不定方程式やn進法は、高校1年の終わりにぽつんと学習してそれっきりの印象があり、公式や解法を何だかすぐ忘れてしまうようで、身につかない子が多いです。
    また、センター試験の問題は不定方程式の基本問題ではなく、癖が強くてよくわからないという子も多いのです。

    でも、「図形」は嫌いだから、選ばない。(^-^;

    結局、数Aはどの単元も苦手という子が多いのです。
    文系で、数ⅠAだけは仕方なく入試科目にしている子には特に負担が大きいのが数Aのようです。
    そんな中で、図形を攻略できると、選択の余地が広がります。

    なぜ図形が苦手なのか?
    理由は本当にさまざまですが、根本は、重要な定義や定理を覚えていない。
    これに尽きます。
    頭に入っていないから使えない。
    定理を使って問題を解くことができない。

    逆にいえば、それさえ解消すれば、図形はある程度の得点を見込める単元になります。
    満点は難しい。
    でも大きな崩れもない。
    「確率」や「整数の性質」の危なっかしさに比べると、むしろ安定して得点できるかもしれません。

    しかし、正直、高校3年生の夏になって、図形分野の攻略などやっている時間的余裕のある受験生はいないと思います。
    そんな時間があるのは高校1年の夏。遅くとも高校2年の夏。
    この夏、図形を攻略したい人は、中学で学んだ基本定理に戻って復習すると良いでしょう。
    中2の数学からで構いません。
    「平行線と角」「図形の合同」「三角形」「四角形」。
    中3の数学は、
    「相似」「円」「三平方の定理」。
    数Aの図形は、そこから半歩しか先に進みません。
    新しく学ぶ内容はいくつもありません。
    「三角形の五心」「角の二等分線の定理」「接弦定理」「チェバの定理」「メネラウスの定理」「方べきの定理」。
    その程度です。

    以下、中学で学ぶ重要定理をおさらいしておきます。
    箇条書きにしてみると、重要定理は案外少ないのです。
    以下の定理の逆が言えることが多いのですが、それを書くと分量が増えて、気持ちの負担が増すと思いますので、今回、あえて逆は省略しています。

    ◎対頂角は等しい。
    ◎平行線の同位角は等しい。   
    ◎平行線の錯角は等しい。     
    ◎平行線の同側内角の和は180°。   
    ◎三角形の内角の和は180°。
    ◎三角形の外角は、隣り合わない内角の和に等しい。
    ◎三角形の合同条件。
     3組の辺がそれぞれ等しい。
     2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい。
     1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい。
    ◎二等辺三角形の底角は等しい。
    ◎二等辺三角形の頂角の二等分線は、底辺を垂直に2等分する。
    ◎直角三角形の合同条件。
     斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい。
     斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい。
    ◎平行四辺形の対辺は等しい。
    ◎平行四辺形の対角は等しい。
    ◎平行四辺形の対角線はそれぞれの中点で交わる。
    ◎平行線と線分の比。(図が必要な定理ですので、テキスト等で確認してください)
    ◎三角形の相似条件
     3組の辺の比がすべて等しい。
     2組の辺の比が等しく、その間の角が等しい。
     2組の角がそれぞれ等しい。
    ◎中点連結定理。
    ◎内角の二等分線の定理。
    ◎外角の二等分線の定理。
    ◎三角形の線分の比と面積比。
    ◎相似な三角形の面積比は相似比の2乗。
    ◎三平方の定理。
    ◎円周角の定理。
    ◎円に内接する四角形の定理。
    ◎接弦定理。

    もう終わりました。
    中学3年間かけても、これしか勉強していないのです。
    十分、取り返せます。
    復習は可能です。

      


  • Posted by セギ at 14:43Comments(0)算数・数学

    2018年07月20日

    事後に考えた条件付き確率。


    今回は「事後に考えた条件付き確率」です。
    例えば、こんな問題です。

    例題
    赤玉5個、白玉2個が入っている袋から1個ずつ続けて2個の玉を取り出した。2個目の玉が白玉であったとき、1個目の玉が白玉である確率を求めよ。

    まずは公式を使わず、場合の数を用いて、これを求めてみましょう。
    玉の数は合計7個。
    それぞれの玉は色は同じでも別の玉と認識します。
    今回、2個目の玉は白玉であったことが確定しています。
    ですから、2個目の玉が白玉である場合は何通りあるのかを考えます。
    これは場合分けの必要があります。
    すなわち、赤白の順番で出た場合と、白白の順番で出た場合と。
    赤白の順に玉が出る場合の数は、
    5×2=10(通り)
    白白の順に玉が出る場合の数は、
    2×1=2(通り)
    よって、合計で、10+2=12(通り)であるとわかります。
    条件付き確率は、この12通りが全体の場合の数となります。
    2個目が白玉であるという条件下で1個目が白玉である確率は?ということだからです。
    この12通りのうち、1個目も白玉であったのは、上の計算のように2通りです。
    ですから、2個目が白玉であったとき、1個目も白玉であった確率は、2/12=1/6
    これが答えとなります。

    難しくありません。
    条件付き確率は、条件がついたことで全体の場合の数が限定されるだけなのです。
    ただ、高校数学では、上のように場合の数をいちいち求めたりせず、確率で処理します。
    そのためにあるのが公式です。
    公式は直観では意味を把握できないかもしれません。
    そのため、
    「わからない、わからない」
    と混乱してしまう人がいます。
    わからなくなったら、上の、場合の数の考え方に戻って確認してみてください。

    条件付き確率の公式は、
    PA(B)=P(A∩B)/P(A)
    今回は、2個目がわかってからさかのぼって考えますので、この公式を利用して、
    PB(A)=P(B∩A)/P(B)
    と考えたほうがわかりやすいでしょう。
    これが、事後に考えた条件付き確率の公式です。
    1個目の玉が白である事象をA、2個目の玉が白である事象をBとします。

    分母であるP(B)は、2個目が白玉である確率。
    やはり場合分けして求めます。
    赤白の順に玉が出る確率は、
    5/7・2/6=10/42
    白白の順に玉が出る確率は、
    2/7・1/6=2/42
    この2つは互いに排反ですから、2個目が白玉である確率は、
    10/42+2/42=12/42 となります。

    分子であるP(B∩A)は、2個目が白で、かつ1個目も白である場合の確率。
    すなわち、白白の順に玉が出る確率ということですから、
    2/7・1/6=2/42

    よって、
    PB(A)=2/42÷12/42=2/12=1/6
    これが、答えです。

    場合の数を用いて求めたさきほどの数字と見比べてください。
    似ています。
    2が2/42 に。
    12が12/42 になっているだけです。
    それぞれ、全体の場合の数42が分母としてついているだけです。
    確率として式を立てたために、それらが分母についているだけ。
    その分母は計算するときに払うことができます。
    だから、場合の数÷場合の数で計算しても、確率÷確率で計算しても、結果は変わらないのです。

    確率÷確率 でも、場合の数÷場合の数 と同じ結果が出る。
    条件付き確率の公式が示していることは、そういうことです。

    ところで、前回でもそこを詳しく書いたつもりだったのですが、計算式をズラズラ書いてあるところは読みにくいのかもしれません。
    上手く頭に入ってこない。
    つい斜め読みになる。
    理解するために一番重要なところがそこなのに、1人で読んでいてはピンとこない場合もあると思います。
    自学の難しさはそこにあります。
    何が重要であるか、自分ではわからない。
    読み流したことが最も重要なことかもしれません。

    あるとき、高校生に「2次関数」の授業をしていて、

    平方完成をした一般式
    y=a(x-p)2+q
    このとき、軸は直線x=p、頂点(p,q)

    という、2次関数の前半の学習で最も大切なところをわかっていない子がいました。
    理解できていないのは仕方ないのですが、
    「学校で習っていない」
    と主張するのです。
    これを教えない数学の授業などありえません。
    学校の授業ノートを見せてもらったら、やはり、ノートに書いてありました。
    ただ、全てシャーペンで、黒1色。
    ズラズラと行替えもせずに書かれて他の内容の中に埋没していたので、私は天を仰ぎました。
    「これは、真っ赤で書いて、青マーカーで囲んでおくようなところだよ」
    「だって、うちの先生、色分けしないから」
    「もう高校生なんだから、重要度は自分で判断しよう」

    しかし、それが無理な子がいるのも、現実問題としてわかります。
    何が重要かという視点を持てず、学習した記憶のあることは重要、思い出せないことは習っていない。
    そのように感情的な判断をし、定期テストが壊滅的な結果になってひどく落ち込むのですが、原因が何であるかの分析もやはり感情的。
    サポートの必要な子は多いです。

    基本がわかっていない。
    重要なことがわかっていない。
    テストに何が出るか、わかっていない。

    それを解消するだけで、テストの点数は劇的に上がっていきます。
      


  • Posted by セギ at 11:42Comments(0)算数・数学

    2018年07月16日

    確率の乗法定理。



    今回も「場合の数と確率」の続きです。
    確率の乗法定理について学習しましょう。

    まずは、条件付き確率の公式。
    PA(B)=P(A∩B)/P(A)
    これの右辺と左辺を入れ替えると、
    P(A∩B)/P(A)=PA(B)
    両辺にP(A)をかけると、
    P(A∩B)=P(A)・PA(B)
    これで出来上がり。
    これが確率の乗法定理です。

    何だか難しそうですが、乗法定理というのは、要するに、確率と確率をかけても良いということです。
    例えば、こんな問題。

    例題 3本の当たりくじを含む8本のくじがある。このくじをa、bの2人がこの順に1本ずつ引く。ただし、くじはもとにもどさないものとする。このとき、aが外れ、bが当たる確率を求めよ。

    8本のうち3本が当たりですから、外れは5本です。
    aが外れる確率は、5/8 となります。
    その後、bが引きますが、そのとき、くじはもう7本しか残っていません。
    そのうち、当たりは3本です。
    だから、bが当たる確率は、3/7です。
    したがって、aが外れ、bが当たる確率は、
    5/8・3/7=15/56
    これが答えとなります。
    確率×確率で解いていけるということです。
    簡単ですね。ヽ(^。^)ノ

    では、こんな問題はどうでしょう。

    例題 12本のくじの中に当たりくじが3本ある。a、bの2人がこの順番にこのくじを引くとき、bが当たる確率を求めよ。引いたくじは元に戻さないものとする。

    これは、場合分けをして求めなければなりません。
    すなわち、aが当たりbも当たる場合と、aが外れbが当たる場合とです。
    この2つは確率が異なるので、それぞれを求めて最後に足す必要があります。

    まず、aが当たる確率は、3/12。
    この後、bが当たる確率は、くじは全部で11本、当たりくじは2本ですから、2/11。
    したがって、aが当たりbも当たる確率は、3/12×2/11=6/132となります。

    次に、aが外れbが当たる場合。
    aが外れる確率は、9/12。
    その後、くじは全部11本、当たりくじは3本ですから、bが当たる確率は、3/11。
    したがって、aが外れbが当たる確率は、9/12×3/11=27/132。

    aが当たりbも当たる場合と、aが外れbが当たる場合は、互いに排反ですから、この確率は単純に足すことができます。
    よって、bが当たる確率は、6/132+27/132=33/132=3/12=1/4。

    ところで、aが当たる確率は、3/12=1/4ですから、aが当たる確率もbが当たる確率も等しいとわかります。

    実は、くじに当たる確率は、引く順番と関係なく等しいのです。
    先に引いたほうが有利とか、後に引いたほうが有利ということはないのです。
    え?本当に?と感じますよね。

    ただし、これは少し説明が必要です。
    aがくじを引く前の段階では、aが当たる確率も、bが当たる確率も等しいということです。
    でも、aがくじを引いてその結果がわかった瞬間から、bの当たる確率は変わってきます。
    aが当たった後では、bが当たる確率は低くなりますし、aが外れた後なら、bが当たる確率は高まります。
    このときのbが当たる確率こそが、前回学習した「条件付き確率」。
    まだaがくじを引いていない最初の段階でbの当たる確率とは違うのですね。

    考え方がわかったところで、単純な計算上の工夫を。
    確率を最終的に足さなければならないことがわかっている問題では、計算の途中では約分をしないことをお薦めします。
    上の問題で言えば、6/132も27/132も約分できますが、その段階では約分しません。
    これを、6/132=1/22、27/132=9/44とすぐに約分し、足すときになって、
    1/22+9/44=2/44+9/44
    と、また通分するのは無駄なことだからです。
    上の問題くらいシンプルならば良いのですが、もっと何通りもに場合分けして、それを最終的に足していくことも多いです。
    そのいちいちで約分し、最終的に足すときにはまた通分する人がときどきいます。
    時間の無駄であるだけでなく、約分の途中、通分の途中で計算ミスを犯すリスクが高まります。

    実際には、そう注意しても、約分が癖になっていて、ついやってしまう人がいます。
    計算ミスをしやすい人ほど、リスクの高い方法で計算してしまう癖があると、こういうときに感じます。
    作業が増えるだけ計算ミスは増えるということを頭の隅において、気づいたときだけでも約分をやめてみてください。
    随分計算しやすくなり、また速く計算できるので、びっくりすると思います。
    ヽ(^。^)ノ

      


  • Posted by セギ at 13:41Comments(0)算数・数学

    2018年07月11日

    条件付き確率。


    本日は「条件付き確率」です。
    教科書やテキストの説明を読むだけだと何だか難しく感じるのが、この「条件付き確率」です。
    例えば、こんな問題です。

    例題 あるコンサートの入場者のうち、40%が高校生で、前売りを買って入場した高校生は全体の35%だった。入場者の中から任意の1人の高校生を選びだしたとき、その人が前売りを買っている確率を求めよ。

    わかりにくいので、まず人数を具体的に設定して考えてみましょう。
    あるコンサートの入場者は100人だったとします。
    入場者の40%が高校生なのですから、その人数は、
    100×0.4=40(人)となります。
    また、前売りを買って入場した高校生の人数は、
    100×0.35=35(人)です。
    つまり、高校生40人のうち、前売りを買った人は35人。
    よって、任意の1人の高校生が前売りを買っている確率は、
    35/40=7/8
    となります。

    高校生を選びだしたときに、分母、すなわち「全体の場合の数」が変わるんです。
    「高校生である」という条件が付いたので、分母が変わります。
    これが「条件付き確率」です。
    そんなに難しくはありません。

    しかし、上のようにいちいち100人に例えて計算するのは煩わしいですね。
    公式を作っておきたいです。

    ここで、「集合」の復習。
    集合の要素の個数の表し方は、nを用いるのでした。
    ある有限集合Aの要素の個数は、n(A)と表します。
    上の例で言えば、全体集合の個数は、n(U)=100。
    高校生の集合をAとすると個数は、n(A)=40。
    前売りを買っている人の集合をBとすると、その個数は、n(B)。
    高校生で前売りを買っている人の集合の個数は、n(A∩B)=35。
    この条件付き確率は、n(A∩B)/n(A)=35/40 となります。

    ところで、分数の性質として、分母・分子を同じ数で割っても、値は変わりません。
    分子を全体集合の個数n(U)で割ると、その式は、
    n(A∩B)/n(U) となり、これはA∩Bの確率を表す式ですね。
    だから、n(A∩B)/n(u)=P(A∩B)となります。
    確率はPで表すのでしたね。
    n(A)を全体集合の個数n(U)で割ると、その式は、
    n(A)/n(U)=P(A)となり、これは、Aの確率。
    よって、条件付き確率は、P(A∩B)/P(A)で求めることができます。
    本来、個数で処理するはずのところを確率で代用できるのです。
    これが条件付き確率の公式です。
    PA(B)=P(A∩B)/P(A) と表記します。
    PA(B)のAという文字は、本当はもっと小さく、Pの下半分のサイズで書きます。

    この公式を利用すると、上の例題は、
    高校生である確率、P(A)=0.4
    前売りを買った高校生である確率、P(A∩B)=0.35
    よって、この条件付き確率は、
    PA(B)=0.35/0.4=35/40=7/8
    公式で簡単に求めることができます。

    さて、この条件付き確率は、この形の公式よりも、これを変形したもののほうが使い途があります。
    PA(B)=P(A∩B)/P(A)
    両辺をひっくり返すと、
    P(A∩B)/P(A)=PA(B)
    両辺にP(A)をかけると、
    P(A∩B)=P(A)・PA(B)
    このように変形した公式を「確率の乗法定理」といいます。
    大変使いやすい定理です。

    例題 黒玉が4個、白玉が7個入っている袋がある。この袋から玉を元に戻さずに1個ずつ2回取り出すとき、2個とも白玉である確率を求めよ。

    1回目に白玉が出るという事象をA。
    2回目に白玉が出るという事象をBとします。
    1回目に白玉が出る確率は、全部で11個の玉のうち、白玉が7個ですから、
    P(A)=7/11 となります。
    次に、2回目も白玉が出るのは、1回目に白玉が出ているという条件があっての確率、すなわち条件付き確率PA(B)となります。
    1回目に玉を1個取り出していますから、袋の中の全体の玉の数は10個。
    そのうち白玉は、1つ減っていますから、6個。
    したがって、PA(B)=6/10。
    よって、2個とも白玉である確率は、
    P(A∩B)=P(A)・PA(B)=7/11・6/10=21/55
    となります。
    PA(B)といった記号が難しそうに見えるだけで、実感としては何も問題なく、使いやすい公式です。
    確率×確率で計算していけると、今までよりもシンプルに解いていける問題が増えてきます。

      


  • Posted by セギ at 12:53Comments(0)算数・数学

    2018年07月04日

    独立試行の確率。



    今日は「独立試行の確率」です。
    例えば、こんな問題です。

    例題 
    白玉2個、赤玉6個が入った袋がある。この袋から玉を1個取り出して色を調べてから元に戻す。このとき、1回目に赤玉、2回目に白玉が出る確率を求めなさい。

    玉は全部で8個。
    そのうち、赤玉が6個ですから、1回目に赤玉が出る確率は、6/8、すなわち、3/4です。
    白玉は2個ですから、白玉の出る確率は、2/8、すなわち、1/4です。
    玉はその都度袋に戻していますから、この2つの試行は互いに影響しあうことがありません。
    ですから、1回目が赤玉で2回目が白玉になる確率は、3/4・1/4=3/16となります。

    (1回目の確率)×(2回目の確率)で求められることは、このくらい易しい問題だと何の疑問も感じないようなのですが、この先、もっと問題の難度が上がったときに、
    「何でかけ算なんですか?」
    と質問する高校生がいます。
    実は基本がわからなかったのに何となくスルーしていると、応用問題には対応できなくなります。
    わからなくなったら、基本に戻りましょう。

    なぜ確率×確率で計算できるのか?
    今までの確率の求め方と、確率×確率は、実は同じ式になるのです。
    今まで通りのやり方で式を立ててみましょう。
    まずは、全体の場合の数を求めましょう。
    袋の中に玉は8個ですから、1回目と2回目で全体の場合の数は、8×8。
    そのうち、1回目の赤玉は6通り、2回目の白玉は2通りの玉の出方がありますから、6×2。
    よって確率は、6×2 / 8×8 = 3×1 / 4×4 = 3/16
    上の求め方と数字上は同じ式、同じ答えになりますね。
    これを一般化して、文字で表しても、やはり同じ式、同じ答えになるのです。

    さて、次の問題。
    白玉2個、赤玉6個が入った袋から玉を1個取り出し、色を調べて元に戻す試行を繰り返す。3回目に初めて赤玉が出る確率を求めなさい。

    問題の書き方に戸惑う人もいます。
    3回目に初めて赤玉が出るとは、どういうことなのか。
    1回目と2回目は赤玉ではなかったということです。
    それは、つまり1回目と2回目は白玉だったということ。
    この問題は、1回目に白玉、2回目に白玉、3回目に赤玉が出る確率ということです。
    だったら、先ほどの問題と大差ないですね。
    1/4・1/4・3/4=3/64
    答えは、3/64となります。

    式はシンプルなのですが、この問題の難しさは、「3回目に初めて赤玉」という条件の分析の仕方にあるのでしょう。
    これが、白・白・赤の順に玉が出たことだと分析できない高校生は案外多いのです。
    説明されれば、わかる。
    でも、自力では分析できない。
    異口同音にそのように言います。
    では、「3回目に初めて赤玉が出た」とはどのようなことだと感じるのかと問うと、1回目・2回目にどんな玉が出たのかは謎のままのように感じると言うのです。

    これは、読解力と関係のあることかもしれません。
    「変な行間は読まないで。必要なことは文章の中に全部書いてあるから」
    と私は生徒に繰り返し言います。
    「3回目に初めて赤玉」ならば、白・白・赤の順に玉が出ています。
    これは、「行間」ではないのです。
    書いてあることです。
    そのようにしか読み取れない形で書いてあります。

    この場合の「変な行間」とは、例えば、
    「赤玉くんは、出たくなかったんだね。袋の住み心地がいいのかな」
    とか、
    「玉を袋から出しているこの人は、赤玉に出てほしかったんだなあ。赤玉が出るといいことがあるんだね」
    とかいうものです。
    そんなことは、問題文には書いてないです。

    子どもの読書指導をすると、こういう擬人化したもの言いや感情移入は子どもらしくて可愛らしいものですから、つい褒めてしまうことがあります。
    想像力があって素晴らしいというのですね。
    大人に「ウケる」と、子どもは、その方向で良いのだと思ってしまいます。
    しかし、こういう読み取り方は「想像力」というほどのものではありません。
    整合性を気にする必要がないので、あまり頭を使わなくてもこうした読み方は簡単にできますから、こんなことばかりに逃げて、正しい読み取りの姿勢が育たなくなる可能性もあります。
    「赤玉くん」が本当に出たくなくてふんばっていたのなら、前後にそれを示す描写が必ずあります。
    袋から玉を出している人が赤玉を出すことを強く望んでいる場合も同様です。
    この問題文だけからでは、それは読み取れないことです。

    今、数学の問題文でこんなことを書いているから奇妙ですが、小説の読み取りなどでも、自分の勝手な感情移入で書いていないことを読んでしまう生徒はいます。
    勝手な読み取りを「自由な読み取り」「想像力が豊かな読み取り」と褒めてもらえた幼い時代のままなのかもしれません。

    数学の問題があまりにも無機質なのがつらくて、擬人化や感情移入で緩和しているのなら構いません。
    心情的にはどうであれ、この問題文から読み取れることは「白・白・赤の順に玉が出ていること」です。
    それを読み取ることが読解です。

    書いてあることを正確に読み取ること。
    深く読み取ること。
    どの科目の問題文であれ、そのように読んでいけば、正解は見えてきます。


    では、こんな問題はどうでしょう。

    問題
    袋に白玉2個、赤玉6個が入っている。この袋から玉を1個取り出し、色を調べて元に戻す。これを3回繰り返すとき、3回とも同じ色が出る確率を求めなさい。

    3回とも同じ色。
    それは具体的にはどういうことでしょうか?
    白・白・白と連続して玉が出た場合。
    赤・赤・赤と連続して玉が出た場合。
    この2つです。
    このように具体的に分析できれば、式を立てることができます。
    白白白の確率は、1/4・1/4・1/4=1/64。
    赤赤赤の確率は、3/4・3/4・3/4=27/64。
    この2つの事柄は同時には起こりません。
    かぶる部分がありません。
    ですから、確率は単純に足して良いです。
    したがって、求めたい確率は、1/64+27/64=28/64=7/16となります。

    この問題も、説明されればわかるけれど自力では発想できないと生徒に相談されることの多い種類の問題です。
    これも読解力でしょう。
    「3回とも同じ色」と言われたら、それが具体的にどういうことであるかを分析すること。
    字面の表面を追うのではなく、具体的なイメージを持つこと。
    それが読解だと思います。

    数学という科目の好き嫌いとは別の次元で「確率」という単元の得意苦手が大きく分かれる原因の1つは、問題文をどう読解・分析するか、その得手不得手かもしれません。


      


  • Posted by セギ at 12:32Comments(0)算数・数学

    2018年06月26日

    反復試行の確率。



    今回も「確率」の学習。
    次は「反復試行の確率」。
    例えば、こんな問題です。

    例題
    袋の中に白玉2個、赤玉6個が入っている。この中から玉を1個取り出し色を調べてから袋に戻す。これを5回繰り返したとき、白玉がちょうど3回出る確率を求めよ。

    今までと同じようでいて、実はかなり違うタイプの問題です。
    赤玉白玉の出方の順番がわかりません。
    5回のうち、とにかく白玉が3回出る。
    言い換えると、どこで白玉が出るかは自分で考えて場合分けしなければならないということです。
    例えば、白白白赤赤という出方と、白白赤白赤という出方は、異なる玉の出方であり、それぞれに固有の確率があります。
    それぞれの場合ごとに確率を計算して、最終的にそれらを足せば答えとなるでしょう。

    「なぜ場合分けしなければならないのか、そこからわからない」
    という質問を受けることがあります。
    異なる出方があるなら、1つ1つ場合分けし、それぞれの確率を足すのだということをまず理解しましょう。
    白白白赤赤という出方と、白白赤白赤という出方は異なる出方です。
    そのそれぞれに確率があるのです。

    5回のうち3回白玉が出る。
    さて、場合分けしましょう。
    5回のうち3回白玉なら、残る2回は赤玉となります。
    その並べ方は、
    白白白赤赤
    白白赤白赤
    白白赤赤白
    白赤白白赤
    白赤白赤白
    白赤赤白白
    赤白白白赤
    赤白白赤白
    赤白赤白白
    赤赤白白白
    以上の10通りに場合分けされます。
    では次に、そのおのおのの確率を求める式を立ててみましょう。

    白白白赤赤 は、1/4・1/4・1/4・3/4・3/4
    白白赤白赤 は、1/4・1/4・3/4・1/4・3/4
    白白赤赤白 は、1/4・1/4・3/4・3/4・1/4
    白赤白白赤 は、1/4・3/4・1/4・1/4・3/4
    白赤白赤白 は、1/4・3/4・1/4・3/4・1/4
    白赤赤白白 は、1/4・3/4・3/4・1/4・1/4
    赤白白白赤 は、3/4・1/4・1/4・1/4・3/4
    赤白白赤白 は、3/4・1/4・1/4・3/4・1/4
    赤白赤白白 は、3/4・1/4・3/4・1/4・1/4
    赤赤白白白 は、3/4・3/4・1/4・1/4・1/4

    こうして一覧にしてみますと、同じような分数ばかり並んでいるのがわかります。
    要するに、どの場合も、1/4を3回、3/4を2回かけるのですね。
    各行は、(1/4)3(3/4)2
    とまとめることができます。
    ( )の後ろの半角の文字は指数として読んでください。
    で、これを全部足します。
    同じものを10個足すのですから、それは×10と同じこと。
    つまり、この問題は、10(1/4)3(3/4)2という式で求めることができます。

    この10という数字を計算で求めることはできないでしょうか?
    白3個、赤2個を並べる並べ方。
    これは、以前に学習した「同じものを含む順列」の公式で求めることかできます。
    全体でn個のうち、同じものがp個、また別の種類の同じものがr個あったときの順列は、
    n!/p!r!・・・
    という式で求めることができるのでした。
    また、n=p+rであるのなら、それは、nCpという組合せの式と同じものでした。
    ですから、白玉3個、赤玉2個の並べ方は、
    5C3=5・4・3/3・2・1=10 と計算できます。

    さあ、これで、反復試行の確率の公式が導かれました。
    Aという事象の確率をpとするとき、n回の試行のうちr回Aという事象の起こる確率は、
    nCr・pのr乗・(1-p)の(n-r)乗
    公式で書くと余計わからないと非難轟々の公式ですが、問題を解くことで練習を繰り返し、慣れてしまえば使えるようになります。

      


  • Posted by セギ at 16:03Comments(0)算数・数学

    2018年06月22日

    道順と確率。これは難問です。


    問題 上の図の地点Aを出発した人が最短の道順を通って地点Bへ向かう。このとき、途中で地点Pを通る確率を求めよ。

    なあんだ。ヽ(^。^)ノ
    道順の問題なんて、簡単、簡単。
    まず、全体の場合の数を求めましょう。
    Aから、縦方向の動きを3回、横方向の動きを4回行えば、Bに到達します。
    これは、縦・縦・縦・横・横・横・横の順列ということ。
    すなわち、同じものを含む順列なので、公式を利用して、
    7!/3!4!=35
    そのうち、P地点を通る場合の数は、AからPまで到達すれば、あとの道順は横横の1通りしかないから、AからPまで、縦・縦・縦・横・横の順列ということ。
    5!/3!2!=10
    よって、確率は、10/35=2/7
    できたー。ヽ(^。^)ノ

    しかし、これは、間違いなのです。
    ええっ?ですよね。
    (*_*)

    道順の場合の数の問題や、同じものを含む順列などをしっかり勉強している人ほど、この間違いに至る可能性があります。
    恐ろしい。

    この問題、道順によって確率が異なるのです。

    え?どういうこと?
    1つ1つの道順は、全て根元事象でしょう?
    それぞれ、1/35の確率でしょう?
    ・・・・まず、その固定観念を打破するために、これとは少し違う問題を考えてみましょう。
    上と同じ図で、別の問題を考えてみます。

    問題 コインを投げて、表が出たら縦に1区画、裏が出たら横に1区画進むとする。Aから出発し、7回コインを投げてBに到達する確率を求めよ。

    縦縦縦縦横横横なのだから、7回で全部Bに到達するのかな?
    ・・・・いや、違いますね。
    例えば、表・表・表と立て続けに縦縦縦と3回動いてしまったら、地点Cに到達してしまいます。
    すると、その後、もう一度表が出た場合に、動けないのです。
    4回目の表が出てしまったら、7回のコイントスではBに到達できなくなります。
    コインの表と裏の確率は1/2。
    そこは平等なのに、7回で到達できる道順と到達できない道順があります。
    ・・・・つまり、この道順は、確率的に平等ではないのです。
    確率的に平等とは、無機質に動いていくことが可能で、初めて平等です。
    この先はその進路しか進めない、この先は一択しかない道順があるのでは平等ではありません。
    Bに到達するために、実は判断し、調整しながら進むことになります。
    もう縦に進めない。だから横に進む。
    それは1つの判断です。
    それでは確率的に平等ではありません。
    そういうことだ。
    (''_'')

    それでもわかりにくければ、こんな説明はどうでしょう?
    上の図は実際の道で、P地点には毒ヘビがいるとします。
    P地点には行きたくない。
    P地点は避けたい。
    そういう気持ちでA地点を歩きだしたとき、C地点に行くでしょうか?
    C地点まで行けば、避けようもなくP地点を通らなければなりません。
    Cに行くということは、毒ヘビに遭遇する確率が上がります。
    毒ヘビに遭遇する確率が低くなるよう、まず横へ横へと移動しないでしょうか?
    毒ヘビに遭遇する確率とは、P地点を通る確率のことです。
    どの道を通れば、毒ヘビに遭遇する確率が高いかは、すなわち、どの道を通ればP地点を通るかということ。
    私たちは、実は実感として、どの道がP地点を通ることになるか、その確率をわかっているのではないでしょうか。
    とりあえず、確率は等しくないことだけでも。

    確率は等しくない。
    平等ではないことがわかったので、最初の問題に戻りましょう。
    どうすれば、平等ではない道順の確率を求めていくことができるのか。
    どこから進路が一択になるか、そこを場合分けし、それぞれの確率を求めていけば良いでしょう。




    上の図に新たに記号を加えたのがこの図です。
    C、Dに至った場合、もうその先は横一択です。
    だから、Cを通る場合、Dを通る場合、どちらも通らずにPに行く場合と、3つに分けることができます。
    ここで、さらによく考えると、Cを通る場合も必ずDを通ります。
    そこを二重に計算してしまわないよう、もっと厳密に定義しましょう。
    本当に言いたかったことは、どういうことでしょうか。
    Dを通る場合は、Cは通らないでDを通る場合という意味で3つに分けたはずです。
    そこを明確に表現するためには?
    縦方向に行き止まりになる1つ手前に、図のようにC',D',P'を記入してみると、明確になります。
    Cを通る場合とは、C'からCを通ってPに進む場合。
    Dを通る場合とは、D'からDを通ってPに進む場合。
    そして、P'からPに進む場合。
    これで厳密に場合分けできました。

    そして、問題を解く人は、スモールライトを浴びて、この図の中に入りましょう。
    自分が縦に進むか横に進むか、曲がり角の度に、その確率を考えます。
    縦に進む・横に進むの二択がある場合、それぞれの確率は、1/2ですが、横一択になったら、その確率は1/1=1です。
    その道しか選べないのですから、確率は1=100%です。
    曲がり角の度に、その確率で進みます。
    C'からCを通ってPに進み、さらにBに到達する道順は、縦縦縦横横横横の1通りです。
    確率は、1/2・1/2・1/2・1・1・1・1・1=1/8

    D'からDを通ってPに進み、さらにBに到達する道順はどのようになるでしょう?
    AからD'までは縦縦横の順列、すなわち3!/2!=3通りあります。
    3C1と組合せの式で表しても良いですね。
    3通りあるので、確率は3倍になります。
    D'からDへ進む確率は1/2。
    その先は横一択ですから、1。
    よって確率は、3・1/2・1/2・1/2・1/2・1・1・1=3/16。

    P'からPに進み、さらにBに到達する道順の確率はどうでしょう?
    AからP'まで、道順は、縦縦横横の4!/2!2!=6 通り。
    P'からPまでの確率は1/2。
    その先は横一択。
    よって求める確率は、
    6・1/2・1/2・1/2・1/2・1/2・1・1=6/32。

    よって、その総和は、
    1/8+3/16+6/32
    =2/16+3/16+3/16
    =8/16
    =1/2

    求める確率は、1/2 です。

    好みの問題もありますが、確率の問題の中でも、考え方を革命的に変えなければ正解に至らないという意味で、これが最高難度の確率の問題だと私は思うのですが、いかがでしょう。
    数学は、超クール!ヽ(^。^)ノ
      


  • Posted by セギ at 14:35Comments(0)算数・数学

    2018年06月18日

    確率と余事象。




    さて、「確率」の学習の続きです。
    今回は「余事象」の確率。
    例えば、こんな問題です。 

    例題 
    袋の中に赤玉5個、白玉5個が入っている。この中から2個を同時に取り出すとき、少なくとも1個が白玉である確率を求めなさい。

    問題文の中に「少なくとも」という表現があったら、余事象の可能性をまず考えてみましょう。
    そのほうが楽に解けることが多いのです。
    余事象とは、Aという事象があるとき、「Aではない」という事象を指します。
    硬貨を1枚投げて表が出るという事象をAとするなら、「Aではない」は「表ではない」すなわち「裏が出る」。
    この「裏が出る」がAの余事象です。

    ある事象の確率とその余事象の確率との和は1となります。
    確率が1とは100%ということ。
    しかし、この説明をすると首を傾げる高校生もいます。
    「もっと他のことがある気がする」
    と言うのですね。
    「他のことって、どんなこと?AかBしか起こらない場合だよ。確率があわせて100%、つまり1であるのは当然じゃない?」
    と説明すると、
    「わからない、わからない」
    と言われてしまいます。

    これは1つにはものの考え方の好みというものかと思います。
    Aであるか、Aでないか、2つに1つしかないのだ。
    そういう白黒はっきりした考え方が嫌い。
    もっとグレーゾーンがある気がする。
    そうではない可能性がある気がする・・・・。

    気持ちはわかるけれど、そういう話をしているのではないのです。
    しかし、「そういう話をしているのではない」ということが、最も伝わらないことであるような気もします。

    もう1つ。
    AかBかの事象しか起こらないということを理解できていない可能性があります。
    「Aではない」=「Bである」。
    この言い換えが納得できないというのです。
    ここが完全なイコールではない気がする。
    騙されているような気がする。
    そのように言う生徒もいます。
    その子にしか見えない蜃気楼が見えているのだろうかと教える側は困惑してしまうところです。
    AかBかの事象しか起こらないという前提が視点から容易に外れてしまうのだろうと想像されます。

    説明は理解できるが、自分でその言い換えをできる気がしない。
    生徒からそのように訴えられることもあります。
    白か赤の玉しか出ない状況でも、「白玉ではない」を「赤玉である」に言い換えることに自信が持てないというのです。
    その発想の転換が、自力では出来そうにないと言います。
    やはりAかBかの事象しか起こらないということを理解しきれていないことが原因なのではないかと感じます。
    当該の事象にばかり目が向いてしまい、「わからない」「難しい」と感じるのは、外枠が曖昧だからではないかと思うのですが、「わからない」という状態にはまってしまっている子には、論理的な救済よりもまず精神的救済が必要な様子です。
    「わからない」という気持ちに寄り添うこと。
    まず落ち着いてもらうこと。
    演習問題を解くための勇気をもってもらうこと。
    数学にはあまり関係のないことが数学の問題を解くために必要になることもあります。


    話を戻して。
    この問題は「少なくとも1個は白玉である確率」を求めようとしています。
    この程度の問題であれば、場合分けしてもそんなに難しいわけではありません。
    「少なくとも1個は白玉」は、場合分けすると「1個が白玉で、もう1個が赤玉」である場合と、「2個とも白玉」である場合となります。
    それぞれの確率を求めて単純に足しても、求めたい確率は出ます。
    しかし、もっと複雑な問題になったときに、場合分けが3通り、4通り、5通りとなっていくこともあります。
    計算も煩雑になります。
    もっと簡単に求める方法はないか?
    余事象を利用すれば、もっと簡単に求められるのです。

    「少なくとも1個は白玉が出る」ことの余事象は、「1つも白玉が出ない」ということ。
    言い換えると「2個とも赤玉が出る」こととなります。
    「少なくとも1個は白玉が出る」ことの反対は、「2個とも赤玉が出る」です。
    この「2個とも赤玉が出る」確率を求めて、全体1からその確率を引けば、「少なくとも1個は白玉が出る」確率を求めることができます。
    これが余事象を利用した確率の求め方です。

    全部で10個の玉です。
    そのうち2個を同時に取り出します。
    全体の場合の数は、10C2。
    そのうち、5個が赤玉ですから、2個とも赤玉が出る場合の数は、5C2。
    よって、余事象の確率は、
    5C2/10C2=2/9
    求めたい確率は、1-2/9=7/9
    余事象を用いると、簡単に答えか出てきます。

    計算そのものは簡単なので、「少なくとも1つが白玉である」ことの余事象は「1つも白玉ではない」すなわち「2つとも赤玉である」ことなのだと自力で読み取る力をつけること。
    余事象の問題は、そのように事象を把握する力をつけることが鍵となります。
    他の可能性がある気がする、というところに拘泥せず、このような考え方に慣れること。
    この方向でものごとを分析するトレーニングをすること。
    怖がらないで、練習あるのみです。
    ヽ(^。^)ノ

      


  • Posted by セギ at 13:53Comments(0)算数・数学

    2018年06月04日

    場合の数と確率。確率の根元事象とは。


    今回は高校数学A「確率」の学習です。
    例えば、こんな問題です。

    問題 
    以下の真偽を答えよ。
    3枚の硬貨を投げた場合の事象は、「表が3枚出る」「表が2枚、裏が1枚出る」「表が1枚、裏が2枚出る」「裏が3枚出る」の4通りである。よってそれぞれの事象の起こる確率は全て1/4である。

    うっかり説得されそうになりますが、これは「偽」です。
    3枚の硬貨を投げた場合の事象は、4通りではありません。
    3枚の硬貨に、a、b、cと名前を与え、それぞれの表裏を(a・b・c)の順に書いていくと、
    (表・表・表),(表・表・裏),(表・裏・表),(表・裏・裏),(裏・表・表),(裏・表・裏),(裏・裏・表),(裏・裏・裏)
    と8通りとなります。
    この8通りの事象のように、これ以上は分解できない事象の1つ1つが根元事象です。
    「4通り」としたときは、いくつかの根元事象を合体させてしまっているのです。
    したがって、
    表が3枚出る確率は、1/8。
    表が2枚、裏が1枚出る確率は、3/8。
    表が2枚、裏が2枚出る確率は、3/8。
    裏が3枚出る確率は、1/8。
    となります。

    確率は、上のように硬貨の問題もカードを選ぶ問題も、玉を選ぶ問題も、根元事象を区別して明らかにしていくことで正確に求めることができます。

    最初から後者の解説をされれば理解できるのですが、最初に前者の話をされるとそれで納得してしまい、正しい説明を受けても混乱する高校生がいます。
    後者の考え方は、それはそれでわかる。
    でも、前者の何が間違いなのかわからない。
    いったんその状態になってしまった高校生を説得するのは、かなり難しいです。
    「前者の考え方だと、確率は全て分子が1になり、どんなことも確率は等しくなるけど?」
    という説明でハッと気がついてくれると良いのですが、そんなことでハッと気がつく子なら、最初からこういうことでは混乱しないのかもしれません。
    何を言われたのか呑み込めない様子で、怪訝そうな表情のままの子が多いです。
    間違った考え方にはまってしまった子に説明し続ける徒労感は、「場合の数と確率」に特有のものです。

    一対一の個別指導で、生徒の性格が強めですと、わかるように説明できない講師が悪いという雰囲気になることがあります。
    わからない生徒が勝者のようにその場に君臨し、授業が全く進まないということが起こります。
    一方、集団指導ですと、このようことをいつまでも言い張る子に対して、周囲から、
    「え?」
    「バカじゃね?」
    というつぶやきがもれ、生徒はすごすご引き下がるという事態になりやすいです。
    理解できないまま、ただ心が傷ついて終了し、数学なんて大嫌いで終わってしまうかもしれません。
    また、個別指導でもあまり自己主張しない子は、よく理解できていないのに理解したふりで済ませてしまうことがあります。
    本人はわかったというので、授業が先に進みますが、基本が理解しきれていないので、その先の応用問題は何をどう考えれば良いのかわからない事態に立ち至ります。
    それを考えれば、授業進度に支障はきたすものの、わかるまで話しあうほうが「確率」の理解に半歩でも近づけるでしょう。
    実際のところ、大変ではありますが。('_')

    正しい考え方を聞いてもなお、間違った考え方のどこが間違いなのかわからない。
    どこが間違いであるかわからない限りは、それは正しいのではないか?
    その姿勢は共感できなくはないのですが、上の例でいえば、
    「いくつかの根元事象を合体させている」
    という点が誤りであると指摘しても、それで納得はしないのですから、説明はかなり難しいです。
    全ての根元事象を具体的に明示しても、
    「それはそれでわかるけれど、それで、間違っているほうの考え方はどこが間違っているんですか?」
    と相対化させてしまうのですから、説明するほうは手詰まりとなります。
    それはそれでわかるって、どういうこと?
    それがわかるなら、根元事象を合体させたらダメだよね?
    「え?なぜですか?
    うーむ、手ごわい。( ;∀;)

    「確率」は、手順だけ覚えて済む単元ではなく、事象をどう分析するか、ものごとをどう見るかが深く関わってきます。
    そんなに簡単には霧は晴れませんが、簡単に諦める必要もありません。
    あまり思いつめずに、やっていくのが何より。
    明日にはぽこっと霧が晴れて、理解できているかもしれません。

      


  • Posted by セギ at 14:48Comments(0)算数・数学

    2018年05月16日

    途中式のほどよい省略。


    数学の答案を見ていますと、無駄なくらいに途中式を書く子と、途中式を省略しすぎて計算ミスをする子とがいます。
    本人の計算力にもよるので、どの程度の省略がいいかは一概には言えないのですが。

    例えば、こんなとき。

    -8+3-7+5
    =-8-7+3+5
    =-15+8
    =-7

    上の式の2行目、要らないですよね?

    あるいは、こんな例。

    2x+3=5x-6
    2x-5x=-6-3
    -3x=-9
       x=3

    上の2行目、要らないですよね?

    やり方の説明のため、最初に学習するときには教科書に書いてある式です。
    とはいえ、絶対に書かなければならない式ではありません。
    慣れるまでは書いていくのもいいでしょう。
    でも、慣れれば、特に頭に負荷のかかることなく暗算できることです。
    書かなくて良いものです。
    でも、中3になっても高1になっても、永久に書き続ける子がいます。
    2年も3年も書き続けていると、省略したらそこで詰まってしまうのでしょう、絶対に省略できない様子です。
    正答率に影響することではないので、書きたかったら書いたらいいのですが、早めに省略を身につけていれば1行書かずに済むのになあと思わないでもありません。

    とはいえ、丁寧なのはそんなに問題ではないので、そのことには触れないことが多いです。
    私の板書は、省略したものを書きます。
    省略しても安全に解いていけることを示しながら、解説します。
    テキストを見て解説するときも、
    「この1行は説明のための1行で、実際に計算するときは書く必要はないよ」
    と説明します。
    それでも本人が書くのなら、もうそれでいいでしょう。

    やはり、問題は過剰な省略。
    これは正答率に影響します。

    例えば、こんな例。

    (√6-√2)2
    =4-2√3

    え?
    何をしたの?

    (√6-√2)2
    =6-2√6√2+2
    =8-4√3
    これが正解です。

    (a-b)2
    =a2-2ab+b2
    という乗法公式を利用しているのですが、これを、
    =(a2+b2)-2ab
    として、(a2+b2)のところは暗算で済ませるやり方は、ないわけではありません。
    ただ、真ん中の負の符号に引きずられて、6-2=4としてしまうミスが起こりやすいのです。
    また、-2abのところは、今回、-2√6√2=-2・2√3
    なのですが、2がかぶっているため、暗算の中で1つになってしまい、その結果、
    (√6-√2)2
    =4-2√3
    と誤答してしまった様子です。
    途中式を書けば間違えるはずのないところで間違えてしまう勿体ないミスです。

    1度このやり方を始めた子に、
    「そのやり方は正答率が下がるから、やめたほうがいいよ」
    と助言しても、まずやめません。
    今度こそ正答してみせると逆にムキになってしまうのか、以後、このタイプの計算ではミスすることを含みこんでの得点しか期待できなくなってしまいます。

    人間のやることなんて、そんなに正確じゃない。
    あなたが不正確だと言っているわけではない。
    人間は不正確なんですよ。
    そのように諭しても、直しません。
    人間の限界に思いが至るほどには精神的に成長していないからでしょうか。
    ミスをすることがある自分を認められないのでしょうか。
    理解は深まっているのに、同じ計算ミスが繰り返されるので得点が伸びない。
    数学を指導していて感じる不条理の1つです。

    そのやり方を否定しても直りません。
    むしろ、本人のやりたいやり方で正解できるよう指導し応援するのが得点を上げる近道となります。
    子どもの中には否定されることに異様に弱い子がいます。
    何を注意しても「否定された!」と感じて傷つくだけで、肝心の注意されたことは直りません。
    傷ついてもそれで直るのなら意味があるのですが、傷つくだけで直らないとなると、こちらも考えざるを得ません。
    そんなことでは社会に出たらすぐ潰れるのではないかと老婆心ながら思うこともあるのですが、そんなにメンタルが弱いなら、せめて学力がその子の将来を守ってくれますように。

    とはいえ、これは否定しないとどうにもならない省略もあります。

    25(3x+1)2-49=0 を解け。
    √3x =-√25/49-1

    ・・・・え?
    何をやったの?
    「この先は、どう計算するんですか?」
    とその子は質問するのですが、私はむしろそこまでをどう計算したのか問いたい。

    ノートにはその2行しかないのです。
    与式の次は、もうその暗算の結果が書かれているのです。
    こういう極端な暗算が癖になっている子もいます。
    おそらく、中1や中2の頃は独りで勉強していて、方程式を型通りに解いたことがなく、全部暗算で出していたのではないかと想像されます。
    それでもある程度の正答率は維持していたので、問題視されずにきたのでしょうか。
    2次方程式になって、ついにそれでは解けなくなったということなのでしょう。

    25(3x+1)2-49=0
    25(3x+1)2=49
    (3x+1)2=49/25
    3x+1=±7/5
    3x=±7/5-1
    3x=2/5,-12/5
    x=2/15,-4/5

    これは、暗算は、ちょっと無理です。
    正しい解き方を繰り返し解説したのですが、その子は、暗算が直りません。

    どういうことなのだろう?
    暗算は無理だと言われれば言われるほど、いや自分はできると思ってしまうのか?
    正しいやり方が理解できないので、この解き方をしているのか?

    本人に訊いたところ、予想外の第三の答えが返ってきました。
    「言われたことはわかるし、直そうと思っているが、問題を解き始めると忘れてしまう」
    「・・・・・・」
    ('_')

    忘れてしまう・・・・。

    この言葉、説得力があります。
    忘れてしまうんだなあ。
    その子に限らず、繰り返し間違えてしまう子たちの行動も説明してくれる言葉です。
    そうか、忘れてしまうんだ。
    問題を解き始めると、直したほうがいいことも、注意すべきことも、スマートな解き方も、全部忘れてしまう。
    だから、間違った解き方を繰り返してしまう。
    ( ;∀;)

    しかし、めげません。
    忘れたら、また覚えましょう。
    そのやり方では正解は出せないということを、まず覚えましょう。
    れを思い出して、立ち止まれるようになれば、きっと変わると思います。
    がんばれ、がんばれ。



      


  • Posted by セギ at 15:17Comments(0)算数・数学

    2018年05月11日

    重複組合せの考え方。具体的に考えてみることから公式へ。


    「組合せ」の学習の続きです
    今回は、「重複組合せ」の学習です。

    問題 りんご・かき・なしをあわせて7個詰めた果物かごを作りたい。何通りの果物かごを作ることができるか。ただし、使わない果物があっても良いものとする。

    ふーむ。
    とりあえず、具体的に考えてみましょう。
    果物の一番上のひらがな1字で表すならば、例えばこんな詰め方があります。

    り・り・り・か・か・な・な

    あるいは、

    り・り・り・か・な・な・な

    こういうのを全部書きだしていくことでも求められるけれど、もう少し一般化できないものか?
    そこで、とりあえず、果物を全て〇で表すことにします。
    そして、別の種類の果物との境に仕切りを入れることにします。

    〇〇〇|〇〇|〇〇

    これが、先ほど書いた り・り・り・か・か・な・な
    を表すものとなります。

    〇〇〇|〇|〇〇〇

    これは、 り・り・り・か・な・な・な。

    〇〇〇||〇〇〇〇

    これは、 り・り・り・な・な・な・な。
    仕切りを2本続けて描くことで、柿は0個であることを表します。

    〇〇〇〇〇〇〇||

    これは、 り・り・り・り・り・り・り。
    全てりんごの場合です。
    こうやってみますと、果物かごの作り方は、〇7個と仕切り2本の順列と考えることができます。
    同じものを含む順列です。
    同じものを含む順列は、例えば今回のように〇7個、仕切り2本であれば全部で9個のマスを考え、その9個のうち、〇を入れる7個のマスを選ぶと考えます。
    それは、9個から7個を選ぶ組合せです。
    9C7=(9・8・7・6・5・4・3)÷(7・6・5・4・3・2・1)
    ネットで分数を表しにくいのでこう書きましたが、これは、実際には分数で表します。
    その次は、結果的には計算しなくても良いのですが、残った2個のマスから仕切りを入れる2個を選びます。
    2C2=(2・1)÷(2・1)
    これらをまとめて1本の式にしますと、
    (9・8・7・6・5・4・3・2・1)÷(7・6・5・4・3・2・1・2・1)=36
    これは、9!÷(7!2!) と同じですね。
    一般化しますと、全部でn個のもののうち、p個が同じもの、q個が同じもの、・・・・である順列は、
    n!÷(p!q!・・・)
    重複組合せは、この「同じものを含む順列」の公式を利用して解いていきます。
    果物が全部で7個で3種類のときは、〇7個、仕切り2本。
    だから、全部で9個のうち同じものが7個と2個。
    このように、式に代入する数値の決定までは頭を使いますが、そこから先は公式に代入して簡単に計算していけます。
    (9・8・7・6・5・4・3・2・1)÷(7・6・5・4・3・2・1・2・1)=36
    答えは36通りです。



    問題 りんご・かき・なしの果物をあわせて7個詰めた果物かごを作りたい。3種類の果物を少なくとも1つずつは必ず入れるとすると何通りの果物ができるか。

    先ほどの考え方では、かごに入らない果物もありました。
    仕切りが両端にあったり2本並んでしまうと、入らない果物が出てしまうことになります。
    では、今回のルールは、〇7個仕切り2本は変わらないけれど、仕切りは両端に来てはいけないし、2本並んでもいけないということになります。

    この場合は、〇と〇の間のスペースに着目しましょう。

    〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

    この図で書いた「・」の位置、つまりスペースに仕切りが入ったり入らなかったりすると考えます。
    この「・」、つまり6個のスペースのうち、2個に仕切りが入ることになります。
    言い換えると、6個の「・」のうち2個を「|」に置き換えれば良い。
    4個の「・」と2個の「|」を並べると考え直すことができます。
    結局、またも同じものを含む順列なのですが、先ほどとは数字が異なりますね。
    4個の「・」と2個の「|」、あわせて6個を並べる順列。
    6!÷(4!2!)=15
    答えは、15通りとなります。
    これは、6個のスペースのうち2個を選んで仕切りを入れると考えることもできます。
    その場合の式は、6C2=15
    結果は同じです。

    この「同じものを含む順列」の公式は、この問題だけで使うマニアックなものではなく、数Ⅱの学習でまた使う重要公式です。
    問題がこのくらい難しくなると、誤解すらできなくなるのか、
    「え?こうじゃないんですか?」
    と自分の間違った考え方を正しいと主張する生徒を見ることもなくなります。
    授業は一見スムーズに進むようになりますが、基本問題で既にモヤモヤしていた高校生にとっては、既に理解の限界を越えているから黙り込んでいるだけかもしれません。
    それはそれで授業としてピンチです。
    わからないから、とにかく解き方だけ覚えよう、それで定期テストを乗り切ろうとする人が多くなります。
    繰り返しますが、この考え方は、数Ⅱ「二項定理」に関する問題など、忘れた頃にまた出てきます。
    理解できないままですと、この上には何も積み上がらなくなります。
    まずは具体例に即して基本の考え方を理解し、公式の成り立ちを理解して、単なる暗記に終わらないようにしましょう。
    忘れたら自力で復元できるくらいに理解を深めておくことが、知識の定着につながります。


      


  • Posted by セギ at 13:06Comments(0)算数・数学

    2018年05月09日

    場合の数。グループ分けの問題。


    今回も「組合せ」の学習です。
    例えばこんな問題です。

    問題 
    6人で旅行し、ホテルに宿泊しました。301号室、302号室、303号室の3部屋に2人ずつ宿泊します。何通りの泊まり方がありますか。

    まず、301号室に泊まる人から決めていきましょう。
    6人から2人を選ぶ組合せでいいですよね。
    だから式は、6C2です。
    次に、残った4人から、302号室に泊まる人を決めます。
    4人から2人を選ぶ組合せです。
    だから式は、4C2です。
    最後に、残った2人から、303号室に泊まる人を決めます。
    2人から2人を選びます。
    式は、2C2です。

    この最後の2C2。
    2C2=1ですし、何より、残った2人は自動的に303号に泊まることになるのですから、書かなくて良いものです。
    ところが、2C2は書かないということがスルッと理解できる人と、どんなに言葉を変えて説明しても理解できない人とがいます。
    思考の癖なのだと思います。
    「選ばない」ということが、どうしてもどうしても納得できないようなのです。

    しかし、そういう人には、あえて2C2=1を書いて説明すると、問題なく理解します。
    なぜなんだろう。
    理解しやすさという点で何が違うんだろう。
    説明する側として、むしろそのことに興味があるのですが、きっと何かが決定的に違うんだろうと思います。
    残ったのが2人でも、ちゃんと選んでほしい。
    選ばないままなら、それは選んでいない。
    そういうことなのかなあ。

    そこがモヤモヤすると、そもそも6C2の次が4C2というのがわからない、2人ずつ選ぶんだから、6C2×6C2×6C2じゃないのか、それでなぜいけないのかという話に進む可能性もあります。
    一度そのように混乱し始めると、言葉で説明しても到底理解してもらえるものではなくなります。
    「場合の数と確率」という単元は、一度、本人の頭の中に間違った筋道ができてしまうと、それを消すのには大変な手間と時間がかかります。
    思考の迷宮に陥る前に、先手を打って2C2=1で理解してしまうのが良さそうです。
    「場合の数と確率」は、理解するにも教えるにもデリケートな単元です。

    先日も、中学生に「場合の数と確率」の授業をしていたのですが、その子は「順列」と「組合せ」は何が違うのかわからないと嘆いていました。
    「順番が関係あるのが順列で、順番はどうでもいいのが組合せだよ」
    と説明しても、
    「それがわからない」
    と言うのです。
    「A、B、C、D、Eの5人から、AとBを選ぶのと、BとAを選ぶのは、同じ選び方じゃない?それが組合せだよ」
    「AとBを選ぶのと、BとAを選ぶのとは、違うと思う」
    「そう?例えば、親戚の人がお土産に色々なケーキを持ってきてくれて、その中から、イチゴのショートケーキとチョコレートケーキを選ぶのと、チョコレートケーキとイチゴのショートケーキを選ぶのは、実質同じことだよね?」
    「イチゴを食べてからチョコを食べるのと、チョコを食べてからイチゴを食べるのは、口の中の感じが全然違うから、違う選び方だ」
    「それは順列だよ。胃の中に入れば同じだよ。それが組合せだよ」
    「そんな雑な話は、わからない(笑)」
    途中から笑っていましたから、理解できたようです。
    ヽ(^。^)ノ


    一番上の問題の説明に戻ります。
    3つの部屋に入る人を選ぶのは同時に起こることなので、「積の法則」が適用され、全体の式は、
    6C2・4C2・2C2 です。
    最後の2C2はどうせ答えが1なので省略されて、6C2・4C2
    分数の式にすると、

    6・5・4・3
    2・1・2・1

    この2行は、分数の分子・分母として読んでください。
    答えは90通りです。
    しかし、このグループ分けに関する問題の最大のヤマ場は、この次にあるのです。

    問題
    6人を2人ずつ3つのグループに分ける。何通りの分け方があるか。

    問題に余計な叙述がなくなっただけで、同じことなのでは?
    答えは90通りでしょう?

    ・・・・いいえ、違います。
    この問題の答えは、15通りです。

    何で、最初の問題の答えは90通りで、同じ問題のように見えるのに後のほうの問題の答えは15通りなのか?
    この2つの問題は、大きく異なる点があるのです。
    分けられた3つのグループに「名称」と呼べるものがあるかないか。
    最初の問題の3つのグループは「301号室の人」「302号室の人」「303号室の人」と名称が与えられます。
    参加者6人をA、B、C、D、E、Fとするなら、
    301号室はAとB、302号室はCとD、303号室はEとF
    という部屋分けと、
    301号室はAとB、302号室はEとF、303号室はCとD
    という部屋分けは、違う部屋分けです。
    90通りの中で、上の2つは別々の部屋分けとしてカウントされています。

    では、「6人を2人ずつ3つのグループに分ける」という場合はどうなのか?
    (A、B)、(C、D)、(E、F)と、
    (A、B)、(E、F)、(C、D)は、別のグループ分けでしょうか?
    これは、同じですね。
    順番を変えているだけで、同じ分け方ですから。
    3つのグループに名称がなく、ただ3つに分けるだけなら、順番は関係ないのです。
    他にも、
    (C、D)、(A、B)、(E、F)
    (C、D)、(E、F)、(A、B)
    (E、F)、(A、B)、(C、D)
    (E、F)、(C、D)、(A、B)
    これらは全て同じです。
    90通りの中で、同じ1通りのグループ分けを繰り返しカウントしていることになります。
    1つについて、何回繰り返しカウントしているか?
    上の例からもわかるように、3つのグループを並べる順列、
    すなわち3P3=3!=6(回)、同じグループを繰り返しカウントしています。
    ですから、答えは90÷6=15(通り)となります。

    ほんのちょっとした記述の違いで、解答が大きく異なる。
    場合の数は、そういう意味でも難しい単元です。
    センター試験のⅠ・Aでは、「場合の数と確率」は選択問題の1つなのですが、これを避けると図形問題を選択しなければならなくなります。
    図形は図形で、苦手な人が多いのです。
    どちらを選ぶか。
    どちらが克服可能か。
    中学生の頃からの図形への苦手意識で、安易に「図形は絶対無理」と思ってしまう人も多いのですが、解いてみると「場合の数と確率」のほうが得点できないこともあります。
    「場合の数と確率」の考え方とそりが合わないとでもいうのでしょうか。
    それでも、本人には苦手だという自覚がない。
    何となく得点できないだけ、ケアレスミスしただけと勘違いして、「場合の数と確率」に固執してしまう場合もあるようです。
    どちらを選ぶべきか、客観的な判断が必要なところです。

      


  • Posted by セギ at 11:07Comments(0)算数・数学

    2018年04月27日

    場合の数と確率。組合せの公式と活用。



    「組合せ」は、例えば、こんな問題です。

    問題 4人の生徒の中から3人を選ぶ選び方は何通りあるか。

    まずは「順列」で考えてみます。
    4人から3人を選んで並べる順列は?
    樹形図をイメージして、
    4・3・2・1=24
    という式で求めることができます。
    でも、これは順列。
    組合せは、順番は関係ありません。
    上の式で求める答えは、同じ選び方で順番が異なるものを何度も繰り返しカウントすることになります。
    それは、3人を並べる順列の数だけ繰り返しカウントしているでしょう。

    わかりにくいと思うので、4人に記号を与えましょう。
    A君、B君、C君、D君の4人です。
    上の24通りを全て書きだしてみましょう。
    (A、B、C)、(A、C、B)、(B、A、C)、(B、C、A)、(C、A、B)、(C、B、A)
    (A、B、D)、(A、D、B)、(B、A、D)、(B、D、A)、(D、A、B)、(D、B、A)
    (A、C、D)、(A、D、C)、(C、A、D)、(C、D、A)、(D、A、C)、(D、C、A)
    (B、C、D)、(B、D、C)、(C、B、D)、(C、D、B)、(D、B、C)、(D、C、B)

    順列としては、上の24通りですが、よく見ると、選び方としては、横に1列になっているものは、全て同じ選び方ではないでしょうか。
    選ぶだけなら、順番はどうでも良いのですから、同じ選び方です。
    同じ選び方を横一列、それぞれ6回カウントしていることがわかります。
    この「6」という数字は何でしょうか?
    それは、A、B、Cならその3つの文字の並び方、すなわち順列の数ではないでしょうか?
    ということは、まずは4個から3個を並べる順列で、4×3×2とした上で、それを、3個のものを並べる順列 3×2×1で割れば、組合せの数が計算できるのでは?


    4・3・2
    3・2・1

    =4

    答えは4通りです。

    一般化するならば、n個のものからr個を選ぶ組み合わせの個数は、

    n(n-1)(n-2)×・・・×(n-r+1)
        r!

    これが、組合せの公式です。

    ところで、上の一覧に戻り、左端の( )にだけ着目していくと、(A、B、C)は、Dを選んでいないもの。
    (A、B、D)は、Cを選んでいないもの。
    (A、C、D)は、Bを選んでいないもの。
    (B、C、D)は、Aを選んでいないもの。
    と見ることもできます。
    何を選んだかということは、何を選ばなかったかということと同じこと。
    したがって、選ばないものは4通りあるので、答えは4通り。
    そのように考えることもできます。
    もう少し数字を大きくしてみると、この考え方はとても便利だとわかります。

    問題 15人から12人を選ぶ選び方は何通りあるか。

    公式通りに書くと、

    15×14×13×12×11×10×9×8×7×6×5×4
    12×11×10× 9 ×8 ×7×6×5×4×3×2×1

    この2行は、上が分子、下が分母の分数だと思ってください。
    これ、分母と分子に同じ数が多いので、かなり約分できますね。
    約分した結果は、

    15×14×13
    3× 2× 1

    あれ?
    この式は、15個のものから3個を選ぶ組み合わせの式と同じなのでは?

    そうです。
    15個から12個を選ぶ組合せと、15個から3個を選ぶ組合せは、同じ数となります。
    これは数字上のことだけではなく、意味の上からもそうなります。
    15個から12個を選ぶということは、15個から3個を選ばないということ。
    ならば、その選ばない3個を「選ぶ」と考えても、同じことである。

    しかし、ここは授業が停滞しやすいところです。
    ここがわかりにくいのは、数字上の問題ではなく、表現上の問題なのかもしれません。
    「15個から12個を選ぶ」ことを「15個から3個を選ぶ」ことにすり替える。
    それが、同じことであるはずがない。
    だから「わからない」と言う子が多いのかもしれません。

    そうです。
    意味上は、同じことではないのです。
    でも、「15個から12個を選ぶ」ことと「15個から3個を選ばない」ことは同じこと。
    だから選ばない3個を先に選んで除外しましょうということなのです。

    問題 15人にうち、特定の5人から3人だけを選び、特定の5人以外の10人から9人を選ぶ方法は何通りあるか。

    うーむ、何だこのえこひいきは?
    いや、そもそも15人から12人を選ぶこと自体がおかしい。
    12人選ぶくらいなら、もう全員にすればいいのに。
    そうツッコみながら、楽しく解いていきましょう。
    まずは、特定の5人から3人を選ぶ組合せを考えます。

    これは公式を使って簡単に解いていけますね。

    5×4×3
    3×2×1 
    =10
    です。
    ちなみに、組合せは「コンビネーション」の頭文字Cを用いて、5C3と表します。
    5C3で、5個から3個を選ぶ組合せ、という意味です。
    5C3=10 です。

    次に、残る10人から9人を選びます。
    先ほどの考え方を用いて、
    10C9=10C1=10 となります。

    さて、この2つをどうするのか?
    足すのか?
    かけるのか?
    この2つは同時に起こる事柄です。
    5人から3人を選んだ組合せの1つ1つに対して、10人から9人を選んだ組合せが対応します。
    だから、かけ算をします。
    これを「積の法則」と呼びます。
     
    5C3・10C1
    =100
    100通りが、この問題の答えです。

    問題 15人のうち、特定の2人を含まずに12人を選ぶ選び方は何通りあるか。

    どうせ含まないのですから、特定の2人は最初から除外しましょう。
    15人から12人を選ぶのではなく、13人から12人を選ぶのです。
    よって式は、13C12=13C1=13
    答えは、13通り です。

    ここで、
    「その特定の2人を選ぶ方法を考えなくていいんですか?」
    と高校生によく質問されます。
    ですが、問題に「特定の2人」と書いてあるとき、その時点でその特定の2人は確定しているので、問題を解く我々がその2人が誰であるかを選ぶ必要はないのです。
    という説明が、これまで高校生にこのことを説明してきて、まだしも理解しやすい説明だと思います。
    それでも納得してくれない子とは、延々と不毛な論争をすることになります。
    そういう子の論理は循環して、トリックアートのようになっています。
    階段を下りているつもりがいつの間にか登っている、有名な絵画のようなものですね。
    そこに切り込んで、循環した論理を粉砕するのは意外に難しいです。
    本来存在しない論理の筋道が本人の頭の中だけではつながっているので、何を言われても自分の誤解に気づけなくなるようなのです。

    「場合の数と確率」という単元は、その人の思考の癖や文章の読み取りの癖が出やすい単元です。
    「自分の考え方の何が悪いのか」
    を突き詰めようとしても、もうそれが見つからず、教えてくれる人が何を言っているのかもわからなくなったときは、答えを全て書きだす作業を1度行うと良いと思います。
    少なくとも、正解が自分の出した答えとは異なることは納得できるはずです。
    自分の考え方のほうが正しいのではないかという思いを捨てきれないから、間違った循環から脱出できない場合もあるでしょう。
    自分の答えが明らかに正解ではないと理解することができれば、一歩先に進めます。
    自分の考えを捨てて、
    「正しい考え方はどういう構造のものであるのか」
    を学ぼうとできると思うんです。


    問題 15人から12人を選ぶとき、特定の2人のうち少なくとも1人を選ぶ選び方は何通りあるか。

    さて、これが一番の難問です。
    計算自体は非常に楽なのですが。
    問題文に「少なくとも」と書かれているときは、その反対を考えると楽に解けることが多いです。
    確率で言う「余事象」というものです。
    「特定の2人のうち少なくとも1人を選ぶ」ことの反対とは何か?
    それは、「特定の2人を選ばない」ことになります。
    もう少し具体的に考えてみましょうか。
    例えば、ここで特定の2人をAさんとBさんと名付けましょう。
    この2人の選び方は、以下の4通りあります。
    「AさんもBさんも選ぶ」
    「Aさんを選ぶ。Bさんは選ばない」
    「Aさんは選ばない。Bさんを選ぶ」
    「AさんもBさんも選ばない」
    他の選び方はないですよね?
    さて、ここで、2人のうち少なくとも1人を選んでいるのは、どの選び方か?
    上から3つ目までがそうです。
    最後の4つ目だけが、それとは異なる選び方となります。

    だから、「特定の2人のうち少なくとも1人を選ぶ」ことの反対は、「特定の2人を選ばない」ことになります。
    ということは、上で求めた、何の条件もない選び方455通りから、特定の2人を選ばない選び方13通りを引けば、この問題の答えとなります。
    よって、455-13=442
    442通りが答えです。

    この考え方を、スパンと理解して、
    「あー!場合の数、面白い!」
    と言う高校生と、
    「それ全然わかんない」
    という高校生と、はっきり分かれます。

    例として出したAさんとBさんが、むしろ悪影響を及ぼすこともあります。
    「では、CさんとDさんの場合はどうなるんですか?」
    という質問を受けることがあります。
    ・・・・いや、AさんとBさんだけが特定の2人です。
    「特定の2人」と問題に書いてあるので、その2人にAさん・Bさんと名付けたのです。
    CさんやDさんは、特定の2人になることはありません。
    「他の場合もあるんじゃないんですか?」
    ・・・・ありません。
    他の場合とは、では、どんな場合があるの?
    「何かありそうな気がする」
    ・・・・それは、気の迷いでしょう。

    このやりとりで高校生に納得してもらえることのほうが実は少ないのです。
    そして、こうした質問に対し、具体的に全ての場合を書いていくには、442通りは、あまりにも数が多い。

    「場合の数と確率」という単元は、思考のサーフィン。
    上手く波に乗れると楽しくて大好きになる単元ですが、どうしても波に乗れないこともあるようです。
    場合の数の考え方の何かが肌に合わない、ということなのかもしれません。
    ここは、一種の思考訓練と考えましょう。
    自分の考え方のどこが間違っているかを究明しようとして迷宮を彷徨うよりも、自分の知らない新しい考え方を理解することに専念することをお勧めします。
    それは「数学的思考」というものへの道を開く鍵かもしれません。
    どうか頭を柔らかく。

      


  • Posted by セギ at 12:53Comments(0)算数・数学

    2018年04月25日

    円順列の考え方。円卓は平等なんです。


    順列は順番が重要です。
    小学校でも「並べ方と組み合わせ方」という単元で学習しますし、中学でも「場合の数と確率」で学習するのですが、何回学習しても、結局、順列とは何であるか曖昧になってしまう子がいます。
    順列だけ考えてもよくわからないので、組み合わせとの違いを意識するとわかりやすくなります。

    例 30人の生徒のうちから学級委員と副学級委員を選ぶ方法は何通りあるか。

    樹形図をイメージしながら考えます。
    まず、学級委員を選ぶ方法は、30人いますから、30通りあります。
    その30通りについて、それぞれ、副学級委員を選ぶ方法は、学級委員に選ばれた1人を除いた29通りあります。
    1人の学級委員から、29本の枝が広がる樹形図がイメージできます。
    よって、式は、30×29=870
    870通りが答えです。
    これが順列です。
    学級委員にA君が選ばれ、副学級委員にB君が選ばれた場合と、学級委員にB君が選ばれ、副学級委員にA君が選ばれた場合とは、異なるものとなります。
    順番が重要。
    それが順列です。

    例 30人の生徒のうちから学級委員を2名選ぶ方法は何通りあるか。

    今度は、学級委員が2名で、その2名に「正」「副」はありません。
    ならば、学級委員にA君とB君を選んだ場合と、B君とA君を選んだ場合は、同じものとなります。
    順番は関係ない。
    これが組み合わせです。
    式は、(30×29)÷(2×1)となりますが、この話はまたいずれ。


    例 5人でリレーをするとき、走る順番は何通りあるか。

    これは順番が重要ですから順列ですね。
    樹形図をイメージしながら式を書いていくと、まず第1走者は5通り。
    そのそれぞれに対して、第2走者の候補は、4通り。
    そのそれぞれに対して、第3走者の候補は、3通り。
    そのそれぞれに対して、第4走者の候補は、2通り。
    そのそれぞれに対して、第5走者の候補は、1通り。
    樹形図は規則的に広がっていきます。
    式は、5×4×3×2×1。
    これを「5!」と書き、「5の階乗」と読みます

    ところで、上の説明では「それぞれ」と書きましたが、教科書や参考書によっては、「おのおの」と書いてあります。
    最近、「おのおの」とか「めいめい」という日本語がわからないという高校生も多く、説明を読んでも理解できないことがある様子です。
    「そんな言葉、知らなーい」
    と高校生は気軽に言いますし、知らないことが若さの象徴であると思うのか、なぜか自慢げな様子さえ見られます。
    自分の知らない言葉は古い言葉、「死語」だと思うようなのです。
    しかし、それは自分が知らないだけかもしれません。
    そういう客観性は持っていたほうが良いでしょう。
    わからない言葉があったらそれをかみくだいて説明するのも私の仕事ですが、「おのおの」や「めいめい」は死語ではなく、書き言葉です。
    意味を覚えたほうが国語の読解などに役立つので、頑張って覚えましょう。
    「知らない言葉=死語」と思っていたら、語彙が増えないです。

    ここでもう1つ困るのが、最後の ×1 を省略したがる子。
    「こんなの無駄だ」
    と思うのか、省略して書かない子がいます。
    計算に影響しないけれど意味のあることだから書きなさいと促しても、書こうとしません。
    目先の面倒くささに書くのを省略しているだけですと、あとで本人が困ることがあります。
    自分の書いている式の意味がだんだんわからなくなり、組み合わせの学習に進んだときに、分母と分子の釣り合いが取れていない妙な式を書いても自分のミスに気がつかなくなることがあるのです。
    学習が先に進み、難しくなってくると、理解できなくなってしまう。
    それは、基礎の段階で本人が王道と外れたことをやってしまっているのが原因のことがあります。
    何千年の歴史のある数学において、現代まで残っているやり方には何か意味があるでしょう。
    「自分なりのプチ工夫」はやめたほうが良いでしょう。
    独創性や創造性は、そういうことではないと思うのです。
    むしろ、数学ができなくなる原因を自分が作っているだけかもしれません。

    話は戻って。
    樹形図をイメージすることで順列の公式の意味が理解できていれば、順列の基本問題は簡単です。
    しかし、「円順列」と「じゅず順列」は、それだけではよくわからないことがあるようです。

    冒頭の板書をご覧ください。

    例 5人が円卓を囲む方法は何通りあるか?

    円卓は、上座下座が存在しません。
    アーサー王と円卓の騎士』も、上下関係がないという意味で円卓が登場しますね。
    日本の内閣の閣議も円卓で行われます。
    いや、本当に上下関係はないのかなあと、ちょっと心がざわつく面がないわけではないですが、まあそれはさておき。
    一番上の画像をご覧ください。
    円卓は、図の上とか右とか左といった位置に意味はありません。
    重要なのは、互いの位置関係です。
    誰の隣りに誰がいて、その隣りに誰がいるのか。
    そういうことが並べ方として重要となります。
    画像にあるように、全体を少し回転させただけで位置関係が同じになってしまいます。
    それは、同じ並べ方ですす。
    ですから、普通の順列のように、5!で計算すると、同じ並べ方を何回もダブって計算してしまうことになります。

    では、その計算方法では同じ並べ方を何回カウントしてしまうのか?
    Aの位置に着目して考えれば、5個の席の分だけ、つまり、5回同じ並べ方をカウントしていることになります。
    だから、5!÷5 で本当の並べ方の数が計算できます。

    一般化すると、n個の円順列なら、n!÷n です。
    それはつまり、一番初めのnを最初からかけなければ良い話。
    ですから、公式は、(n-1)!です。

    「円順列」の解説にはもう1通りあって、Aを回転させると同じ並べ方が何回も出てくることになるので、Aは位置を固定させます。
    そのAの周囲に、どのように人を配置するかで、円卓を囲む方法はダブらずに数えることができます。
    それは、Aを覗いた4人の順列で良いでしょう。
    だから、求め方は、4!
    公式は、(n-1)!

    この2つの解説のうち、理解しやすいほうで理解すればよいです。
    いずれにせよ、公式としては同じです。

    続いて、「じゅず順列」。
    円卓を囲む方法は、裏返したものは別の並べ方となります。
    人間が全員、足を上に向けて裏返ったテーブルを囲むということはありえないですから。
    しかし、じゅずや首飾りとなりますと、簡単に裏返せます。
    そして、裏返したからといって、その玉の並び方が急に別の並び方になるはずがありません。
    すなわち、じゅずや首飾りは、裏返した並べ方も同一のものとみなします。
    表と裏で、2通り。
    だから、円順列で求めたものをさらに2で割ります。
    これが、「じゅず順列」です。ヽ(^。^)ノ
      


  • Posted by セギ at 11:32Comments(0)算数・数学

    2018年04月13日

    約数の個数に関する問題。



    数A「場合の数」の問題の1パターンとして、約数の個数に関する問題があります。
    これは、数A「整数の性質」でも、再度出てくる問題なので、どちらかで1回学習するという学校も多いと思います。
    例えば、こんな問題です。

    例題
    400の正の約数の個数を求めなさい。

    約数というのは、その整数を割り切ることのできる整数のことです。
    この問題は、「倍数・約数」の学習を終えれば小学生でも解けます。
    400でしたら、全部書いていってもそんなに手間のかかることではありません。

    約数の勉強を初めて行う小学生がよくやってしまうのが、小さい約数から順に書いていって、だんだんわからなくなって大きい約数を書きもらしてしまうこと。
    大きいほうの約数は、とびとびに出てくるので、考えていくのがだんだん面倒になって、もれてしまうのです。

    でも、これには解決策があります。
    400÷2=200
    のように「2」という約数
    を見つけたら、商である200も、400の約数です。
    だから、割る数と商とをセットで見つけていきます。
    すなわち、
    1と400
    2と200
    4と100
    5と80
    8と50
    10と40
    16と25
    20と20  あ、ここでつながった。
    だから、正の約数は、全部で15個です。
    こうすれば、書きもらしがありません。

    中学生や高校生に向けて言うのならば、400÷2=200 の2も200も400の因数です。
    400=2×200 と書いたほうがわかりやすいでしょうか。
    積の形で表される2も200も、400の約数です。
    しかし、この説明を当たり前のことと受け止める子もいれば、わり算がかけ算に書き換えられたことに驚いて、何がどうなったのかわからず混乱する子もいます。
    その子にとっては、わり算とかけ算は全く無関係のもので、頭の中でつながっていないようなのです。

    わり算とかけ算とは表裏一体のもの。
    こうしたことは、小学校の算数のどこかの単元でしっかり学習するというよりも、計算をしている間に本人が気づいているはずの概念なのですが、わり算とかけ算との関係について全く気付かず、中学生になり高校生になってしまう子も存在します。
    計算をしている間に、そうしたことに頭をめぐらせるということが一切なかったのかもしれません。
    計算しろと言われたら、ただ機械的にその作業をするのみで、その作業を通じて何かを考えることがないのでしょう。
    思考力の欠如とは、そういうことなのかもしれません。
    しかし、逆に、気づかない子にとっては「何でそんなことに気がつくと?」ということなのかもしれません。

    こうした数学的な規範は、誰に教わったということもなく、漠然と理解していることが多いです。
    十進法の仕組みなどもそうですね。
    十進法は、説明しようとすると、言葉遣いも難しくなる複雑な概念です。
    2進法や3進法が上手く理解できない子は、十進法を本質的には理解できていない可能性があります。
    一方、小学生でも理解している子は理解していて、だから小学生でも2進法や3進法の問題を解くことはできます。
    他にも、例えば、たし算とひき算との関係。
    かけ算とわり算との関係。
    たし算とかけ算との関係。

    こうしたことに気づかないまま中学生・高校生になると、数学でやっていいことと悪いことの判断が自力ではできず、思考の幅が狭くなるのかもしれません。
    方程式の計算を学ぶときも、なぜそれで計算できるのかを上手く理解できないまま、ただやり方だけ覚えて使うようになります。
    本来、自然に気づくはずのこと。
    自力で考えをめぐらせるはずのこと。
    それに気づかない子に「考えろっ」と命じて考えるようになるとは思えません。
    思考力を育てるというのは並大抵のことではないと思う日々です。


    話を400の約数に戻して。
    約数を全部書きだす問題ならば、小さいもの順になるように、両端からそれぞれのセットを書いていきます。
    書いていく段階では、約数の個数が何個あるのかわかりません。
    だから、解答欄の思い切り両端から書いていき、結局、真ん中に空白が出来たりします。
    それは仕方ないですよね。
    正解するためには、こうしたほうが、小さいものから順番に見つけていくよりも速く正確ですから。

    でも、小学生の中には、そういうことが気になって不機嫌になる子もいます。
    「あーあ、こんなに空いた!」
    と腹を立てて、ぐしゃぐしゃと消して、また1から書き直したりします。
    そして、結局、書きもらしてしまいます。
    ( ;∀;)

    重要なことは何であるか。
    優先事項は何か。
    そういう判断が少しズレてしまう子はそうなってしまいます。

    答案に隙間が出来るのがどうしても嫌なら、まずメモをとって、それを解答欄に書き写せば良いのですが、それはそれで面倒だから嫌だと拒絶します。
    結果、約数を全て書きだしていく基本問題ですら正答できるかどうかわからない、薄氷を踏むようなことになる子がいます。

    きれいな答案を書くことが最優先な子は、もう仕方ないので、小さい順に約数を書いていきましょう。
    しかし、いつでも商を意識して、
    400÷20=20
    と、約数と商が一致、あるいはその間に他の約数はないと確認したら、その先は、これまで出た約数で割った商を順番に書いていくように指導します。
    すなわち、
    1,2,4,5,8,10,16,20まで来たら、
    次は、16で割った商の25。
    次は、10で割った商の40。
    次は、8で割った商の50。
    というふうに逆流するように考えて書いていけば、もれなく書いていけるでしょう。
    同じ計算を2回することにはなりますが、折衷案として有効です。

    とはいえ、どんなやり方でも、400の約数16は、書きもらしやすいものです。
    25のほうが思いつきやすいので、16をとばしてしまった自分の答案を見直して、
    あれ?25がないのは何でだ?
    あ、400÷25=16かー。
    16があったー。
    と気がついて修正できれば上出来です。

    このように、人間のやることにはどうしてもミスがつきまといます。
    高校数学の「場合の数」は、「全て書きだしていく」のは万策尽きたときに行うことで、計算できるものなら計算で求めたいです。
    では、約数の個数は、どうやったら計算で求められるのか。
    それが高校数Aで学習する「約数の個数の求め方」です。

    400=1・400
    400=2・200
    と、かけ算の形にしてみると、約数というのはその数の因数なのだと気づきます。
    ならば、素因数分解をしてみれば、何かわかるのではないか?
    というわけで、400を素因数分解してみると、
    400=24・52
    (全角の数字の後ろに書いた半角の数字は指数です)

    これらの素因数を使ったり使わなかったりする組み合わせで、全ての約数は表されるのではないか?
    2や5を1回も使わない場合、それは「1」とします。
    実は、2の0乗や5の0乗が1なのですが、それは、数Ⅱ「指数関数」の学習をする際に、また詳しく勉強します。
    2や5を1回も使わない場合が、20・50=1×1=1。
    2を1回、5は0回使うのなら、2・50=2×1=2
    2を2回、5は0回使うのなら、22・50=4×1=4
    このようにして、縦に5を使用する回数、横に2を使用する回数を書いた表を作り、その縦横の積として、400の約数が全て表されます。
    ということは、表のマス目の数だけ約数があるということです。
    縦は、5の0乗、5の1乗、5の2乗の3列。
    横は、2の0乗、2の1乗、2の2乗、2の3乗、2の4乗の5行。
    したがって、3×5=15(個) の約数があることがわかります。
    すなわち、素因数分解したときの各素因数の指数に+1をしたもの同士をかけたら良いのですね。
    5は2乗なので、2+1の3。
    2は4乗なので、4+1の5。
    その3と5をかけます。
    +1をするのは、0乗の分があるからです。
    こうやって計算で求めたら、数えもらしの心配がありません。
    これが約数の個数を計算で求める方法です。
    400の正の約数の個数は、3×5=15で15個です。
    ヽ(^。^)ノ
      


  • Posted by セギ at 12:32Comments(0)算数・数学