たまりば

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2019年01月14日

数A「整数の性質」 ユークリッドの互除法。



今回から「ユークリッドの互除法」の学習に入ります。
この後「不定方程式」を解くのに使う計算方法ですので、確実に身につけておきたいところです。
「ユークリッドの互除法」とは、最大公約数を求める方法です。
それなら「連除法」があるからそれでいいじゃないかという気もしますが、連除法は、最大のものではなくてもとにかく公約数を自力で見つけなくてはなりません。
2や3ならすぐに見つけられますが、公約数が19だったり23だったりしたら、見つけにくいです。
そうしたものでも確実に見つけられるのがユークリッドの互除法です。
まず、小学生レベルの簡単な問題で考えてみましょう。

問題 縦70cm横98cmの長方形の紙があります。これを余りがないようにできるだけ大きい正方形に切り分けます。正方形の1辺を何cmにすればよいですか。

これは、70と98の最大公約数を求めればよいのですね。
上の板書の左下は、いつもの連除法で解いたものです。
最大でなくても良いので、とにかく公約数を考えます。
思いつくのは、まず「7」。
70と98をそれぞれ7で割って、10と14。
今度は、10と14の公約数を考えます。
「2」ですね。
それぞれを2で割って、5と7。
もう1以外の公約数はなくなりました。
したがって、最大公約数は、7×2=14。
これが連除法です。

一方、今回学習する「ユークリッドの互除法」は、長方形を初めからざっくり正方形に切り分けていく方法です。
板書の中央下が互除法です。
まず、縦の70cmにあわせて、70×70の正方形を1つ切り出します。
最終的に切り分ける正方形の1辺は必ず70の約数なので、この正方形は後で余りなく切り分けていくことができるでしょう。
切り出した残りは、縦70cm横28cmの長方形です。
この長方形も最終的に同じ大きさの正方形に切り分けるのですから、求める正方形の1辺は、70と28の最大公約数でもあるでしょう。
ならば、1辺28cmの正方形をまず切り出して、後でその正方形をさらに細かく切り分けることにしても余りは出ないでしょう。
28×28の正方形は、上の図のように2つ切り出すことができます。
残りは、縦14cm横28cmの長方形。
同じように考えて、今度は、14×14の正方形を切り出していくと、これは2つ切り出すことができ、余りはありません。
では、この1辺14cmの正方形が求めたかった最大の正方形でしょう。
先程切り出した28×28の正方形は、この正方形に切り分けることができますね。
70×70の正方形も、この正方形に切り分けることができます。
やはり、答えは、14cmです
これを式で表すと、
98÷70=1あまり28
70÷28=2あまり14
28÷14=2
よって、答えは14。
これが互除法です。

合同式のときもそうでしたが、今回も、商はどうだっていいんです。
割る数とあまりが大切です。

ところで、高校数学はどうしても必要でない限り「÷」の記号や「余り」という日本語は使いません。
98÷70=1あまり28
という書き方ではなく、
98=70・1+28
という書き方をします。
これは、小学校でわり算の筆算を学習したときに、検算の式として学習している内容です。
「はじめの数=わる数×商+あまり」
という式です。
同じ数量の関係を異なる表し方をしたもので、意味は同じです。

わかりにくかったら、上のほうのわり算の書き方で理解できれば大丈夫です。
この先、不定方程式に互除法を利用する場合は、上の書き方でも下の書き方でもない、第3の書き方を利用します。
それはマスターしなければ不定方程式がうまく解けません。
28=98-70・1
という書き方です。
「余り=はじめの数-割る数×商」
という意味の式です。
この式も面食らってしまう可能性がありますが、頑張って理解しましょう。

互除法は、なぜそれで解けるのかを文字式を用いて証明したものを理解しようとして、かなり混乱する人がいます。
そうした証明に興味がある場合はとことん追求すると良いですが、そうでないなら、長方形を切り分けるやり方でざっくり理解できたら、それで良いことにして大丈夫です。
互除法は計算方法なので、この計算方法で計算して良いのだと納得できれば、あとは活用できることのほうが大切です。
証明に抵抗感が強かったため、それで「互除法がわからない」となり、互除法を活用できないと、不定方程式が解けなくなります。
そちらのほうが深刻な問題です。

なお、上の板書の右下は、互除法の筆算です。
わり算の筆算をどんどんつなげて書いていくもので、一番右の筆算から始まり、左に書き添えていきます。
最初の筆算の「割る数」を「余り」で割っていくので、左につなげて書いていくことが可能です。
割り切れたときの「割る数」が、求めたかった最大公約数です。
最大公約数だけを求めたい場合は、この筆算も便利です。



  


  • Posted by セギ at 12:07Comments(0)算数・数学

    2019年01月09日

    高校数A 合同式の利用 その3 合同方程式。


    合同式の利用。
    今回は、合同方程式と呼ばれるものです。

    問題 次の合同式を満たすxをそれぞれの法mにおいて、x≡a(mod m)の形で表せ。(aはmより小さい自然数)
    (1) x+4≡2(mod 6)
    (2) 3x≡4(mod 5)
    (3) 4x≡4(mod 6)

    合同式の性質は、等式の性質と共通の部分が多いです。
    すなわち、
    a≡b、c≡d のとき、
    a+c≡b+d
    a-c≡b-d
    ac≡bd
    が成り立ちます。

    これらを利用し、上の問題を解いてみましょう。

    (1) x+4≡2(mod 6)
    両辺から4を引いて、
    x≡2-4=-2(mod 6)
    ここで、-2≡4(mod 6)
    よって、x≡4(mod 6)

    あ、簡単だ。ヽ(^。^)ノ
    では、

    (2) 3x≡4(mod 5)
    4は3で割ると整数にならないので、厄介だから、
    まず、4≡9(mod 5) を利用します。
    3x≡9(mod 5)
    両辺を3で割って、
    x≡3(mod 5)

    はい正解です。

    (3) 4x≡4(mod 6)
    超簡単だ。ヽ(^。^)ノ
    両辺を4で割って、
    x≡1(mod 6)

    ・・・いいえ。これは間違いなのです。

    ええー?
    何が違うのー?

    実は、上の合同式の性質に、a≡b、c≡dのとき、
    a/c≡b/d
    というのはなかったのです。
    一部使えることもあるのですが、それには条件があります。

    aとmが互いに素であるとき、ax≡ay(mod m)ならば、x≡y です。

    上の(2)では、3と5は互いに素なので、両辺を3で割ることができました。
    (3)は、4と6は互いに素ではないので、両辺を4で割ることはできません。

    証明しましょう。
    ax≡ay(mod m) ならば、ax-ay=mk(kは整数)と表されます。

    すらっと書きましたが、ちょっとわかりにくいでしょうか?
    法をmとして合同ということは、mで割った余りが等しいもの同士ということです。
    axもayも、余りがいくつなのかはわかりませんが、mで割ったあまりは等しいのです。
    だとすれば、ax-ayは、余りの分はちょうど引かれてなくなり、mの倍数のみ残るでしょう。
    だから、ax-ay=mk(kは整数)となります。
    さらに左辺を共通因数aでくくると、
    a(x-y)=mk
    この式は、aとmが互いに素のときには、x-yは、mの倍数であることを示します。
    よって、
    x-y=mL(Lは整数)   ※本当はLは小文字で書きます。
    よってx≡y(mod m)

    上の証明では、aとmが互いに素であることが条件でした。
    だから、aとmが互いに素ではない場合は、x-yは、mの倍数とは限らなくなります。
    証明の根拠が崩れたのです。
    根拠が崩れたことは、使えば必ず誤りを生みます。

    何だか、よくわからない・・・。
    そんな声が聞こえてきます。
    互いに素について、さらに考えてみましょう。
    例えば、3・8=4・6 
    この場合、3と4は互いに素です。
    3と4は互いに素なのに、3・8=4・6が成立しているのは、8は、4の倍数、6は3の倍数だからです。
    その関係がないと、積が等しくなることはありません。
    例えば、3・7と4・6が等しくならないのは、3と4が互いに素なのに、7は4の倍数ではないからです。

    あるいは、7と21は互いに素ではありません。
    その場合、7・9=21・3 のように、9は21の倍数にはなりませんし、3は7の倍数になりません。
    これは、この先の不定方程式を解く際に使う、重要な考え方です。


    (3) について、さらに具体的に考えてみましょう。
    4x≡4(mod 6)
    よって、x≡1(mod 6) では、正解ではなかったのですが、x≡1は正解の一部であり、もっと他に答えがあったのです。

    6を法としていますから、xは0、1、2、3、4、5のいずれかです。
    一覧表にしてみましょう。
    x  0  1  2    3    4   5
    4x 0  4 8≡2 12≡0 16≡4 20≡2

    4x≡4 となるものは、x≡1だけではないですね。
    x≡4のときも、4x≡16≡4 となることが逐一表にしてみることでわかります。
    ですから、x≡1、x≡4 が(3)の正解となります。

    これを(2)の、3x≡4(mod 5) でもやってみると、
    x  0 1  2   3    4
    3x 0 3 6≡1 9≡4 12≡2
    と、同じ数字が被らず、きれいに散るのがわかります。
    3と5が互いに素であるとき、そうなります。

    解き方としてまとめますと、合同式の場合、両辺を割ることはできるときとできないときがあるので、注意すること。
    それさえ意識しておけば、合同方程式はそんなに難しいものではありません。

      


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    2018年12月19日

    高校数A 合同式の利用 その2。



    今回も「合同式」。
    まずはこんな問題です。

    問題 整数nを3で割った余りが2のとき、n3-3nを3で割った余りを求めよ。

    合同式を使えば簡単です。
    整数nは3で割った余りが2なのだから、
    n≡2 (mod3)
    よって、
    n3-3n≡23-3・2=8-6=2 (mod3)

    したがって、余りは2です。

    合同式を用いて、証明問題を解くことも可能です。
    これも、普通の解き方よりも簡単に書いていくことができます。

    問題 nが整数であるとき、n3+5nは6で割り切れることを証明せよ。

    6で割り切れるかどうかを証明するのですから、6を法として論を進めていけば良いのです。

    整数nは6を法とするとn≡0、n≡1、n≡2、n≡3、n≡4、n≡5のいずれかに分類される。
    (1)n≡0のとき
    n3+5n≡03+5・0≡0
    (2)n≡1のとき
    n3+5n≡13+5・1≡6≡0
    (3)n≡2のとき
    n3+5n≡23+5・2≡18≡0
    (4)n≡3のとき
    n3+5n≡33+5・3≡42≡0
    (5)n≡4のとき
    n≡4≡-2
    n3+5n≡(-2)3+5・(-2)≡-8-10≡-18≡0
    (6)n≡5のとき
    n≡5≡-1
    n3+5n≡(-1)3+5・(-1)≡-1-5≡-6≡0
    (1)~(6)より、
    n3+5n≡0
    よって、nを整数とすると、n3+5nは6で割り切れる。

    シンプルで楽ですね。
    あっという間に終わりました。



    これを普通の解き方で解くとなると、答案は少なくともこの倍のボリュームになります。
    その中で、この問題は、実は隠れた重要事項を利用できると、少し楽に解けます。
    それは、「連続する3つの整数の積は6の倍数である」というものです。
    しかし、このことに、ノーヒントで気づく高校生は少ないです。
    問題集の欄外などにヒントとして、「連続する3つの整数の積は6の倍数であることを利用する」などと書いてあることが多いですが、そう書いてあっても、何のことかわからない場合もあります。

    連続する3つの整数なんだから、どれかは2の倍数だし、どれかは3の倍数ですよ。
    だから、積は必ず6の倍数でしょう?

    この雑な説明が頭の中でスパークし、顔を輝かせ、
    「すげえっ!そうか!」
    と感動する子もいます。
    「・・・・おまえ、オラが見えるのか?」
    私は、哀しい妖怪の定番のセリフを口にすることになります。
    正直、こんな雑な説明で伝わるとは思わなかった・・・。

    一方、私がそういう雑な説明をすると余計に
    「え?」「え?」「え?」
    となってしまう子も多いのです。

    もっと詳しく説明しても、
    「でも、どれが2の倍数で、どれが3の倍数かわからないじゃないですか」
    と言われてしまうこともあります。
    そこを詳細に場合分けして説明すると、むしろ場合分けしたことがあだとなり、
    「だって、こっちの場合とこっちの場合では話が違うじゃないですか」
    と言われてしまうこともあります。
    そんなときは、ああもうこの話はしたくないと泣き伏したくなります。

    わからないことが苦しいのは何より本人なのだけれど。

    何をどう説明しても、わかってもらえない。
    講師と生徒と1対1のとき、わからない生徒が絶対王者のように君臨し、「わかるように説明できない講師が悪い」という空気の中で私は絶望的な闘いを続ける。
    そういうことは、たまに起こります。
    集団指導の場合は、理解の速い子は説明が終わる前にもう理解し、
    「あ。そうか」
    「ああ。そういうことか」
    と声に出してくれます。
    その一言で、わからないのは、わからないほうが悪いという空気が生まれます。
    そうなると、本当はわからない子も、わかったふりをします。
    あるいは、わかったふりはしないまでも、それは自分の理解力に問題があるのだと哀しい気持ちで認め、少なくとも王者のように君臨することはありません。

    どちらか良いのか。
    ・・・それは、個別指導のほうがいいです。
    だって、実際わからないのですから、わからないことをわからないと表明できるほうが健全です。
    だから、泣き伏しそうになりながらでも、私は頑張るぞ。

    膠着状態を脱却する方法はあります。
    相手が納得のいくまで、具体例で説明していくのです。
    連続する3つの整数として例えば「9、10、11」を考えます。
    9は3の倍数です。
    3×3と分解できます。
    10は2の倍数です。
    2×5と分解できます。
    したがって、
    9×10×11=3×3×2×5×11
    3×2という因数が含まれていますから、これは6の倍数です。
    これをいくつかの例でやれば、ある程度は理解してもらえます。
    しかし、私の中では1つの敗北と感じてもいるのです。

    せっかく文字を用いて抽象化しようとしているのに、結局、具体例で考えないと理解できない。
    抽象を抽象のまま理解できなくて、この先の学習は大丈夫だろうか?

    ・・・・心配ばかりしていても仕方ないのですが。
    いずれにしろ主題ではないことにかなりの時間を費やし、さて問題は何だったかというと。


    問題 nが整数であるとき、n3+5nは6で割り切れることを証明せよ。

    n3+5n
    =n3-n+6n
    =n(n2-1)+6n
    =(n-1)n(n+1)+6n
    連続する3つの整数は、6の倍数である。
    ゆえに、n3+5nは、6の倍数。

    ・・・やっぱり難しい。( ;∀;)
    合同式で証明するほうが簡単な気がしてきます。

      


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    2018年12月13日

    数A「整数の性質」合同式の利用。



    前回、合同式とはどういうものか学習しました。
    それでは、この合同式、具体的にはどういうことに利用するのか。
    例えば、こんな問題です。

    問題 nは13で割って5あまる数であるとき、3n4-7n2を13で割ったあまりを求めよ。

    半角の数字は指数だと思ってください。

    これを、合同式を利用せず、普通に解くと、
    n=13m+5 と表す。(mは整数)
    3n4-7n2
    =3(13m+5)4-7(13m+5)2
    =3(132m2+13・10m+25)2-7(13・13m2+13・10m+25)
    =3(134m4+132・102m2+625+2・133・10m3+2・13・10・25m+2・25・132m2)-7・132m2-7・13・10m-7・25
    =3・134m4+3・132・102m2+1875+6・13・10・25m3+6・25・132m2-7・132m2-7・13・10m-175
    =13(3・133m4+1500m3+13・359m2-70m)+1700
    =13(3・133m4+1500m3+13・359m2-70m+130)+10
    よって、余りは10。

    上の途中式、書き間違いをしているかもしれません。
    それくらいに面倒くさい。
    この問題を解く上で大事なところは、あまりはいくつかなのですから、13という因数をもっていない部分です。
    上の式でいえば、1700は13で割ると余りはいくつなのか。
    そこだけに着目すれば余りが出るのに、13という因数を含んでいることがわかりきっている、いわばどうでもいい部分の計算に神経を使います。
    これを簡単にクリアできるのが、合同式です。


    合同式を用いると、n≡5(mod13) となります。
    よって3n4-7n2≡3・54-7・52=3・252-7・25
    ここで25≡-1(mod13)ですから
    3・252-7・25≡3・(-1)2-7・(-1)=3+7=10
    ゆえに、あまりは10です。

    合同によって言い換えたものを数字としてそのまま計算し、また合同で言い換えていきます。
    あまりにだけ注目している合同式ならば、それが可能です。
    ちょっと手品のようですが、慣れると、もう一番上のような解き方はやりたくない。
    それくらいに便利なものが合同式です。

    あるいは、こんな問題。

    問題 a、bを整数とする。aを5で割ると3余り、bを5で割ると4余る。このとき、abを5で割ったときの余りを求めよ。

    これも、合同式を用いないで解くことも勿論可能です。

    m、nを整数とすると、a、bは、m、nを用いて、
    a=5m+3、b=5n+4 と表すことができます。
    ab=(5m+3)(5n+4)
      =25mn+20m+15n+12
      =5(5mn+4m+3n+2)+2
    よって、abを5で割った余りは2。

    これを合同式を用いて解くと、
    a≡3、b≡4 (mod5)
    ab≡3・4=12≡2 (mod5)
    よって、abを5で割った余りは2。

    合同式を用いると余計な文字を使わずに済むので、答案がシンプルです。
    実は考え方の本質は同じなので、ぜひ合同式を身につけて簡単に解いていただきたいと思います。

    また別の問題。

    問題 2012の200乗を7で割ったときの余りを求めよ。
    200乗?
    普通の解き方だと、さすがにこれはどう解くのだろうか、と考え込んでしまいます。
    しかし、合同式を用いればこれも簡単です。
    まず2012を実際に7で割って確認すると、
    2012≡3 (mod7) です。
    よって、
    2012200≡3200=9100≡2100=833・2≡133・2≡2 (mod7)
    よって、余りは2。

    合同で言い換えては計算し、また合同で言い換える。
    指数法則がわかっていないと、この計算はピンとこないかもしれません。
    こうした指数計算は、この後、数Ⅱ「指数関数」、数B「数列」でもよく使うのですが、よく詰まるところです。
    模範解答を見ても、何をどう計算して次の行になっているのかわからないという話をよく聞きます。

    上の答案では、
    2100≡833・2
    のところがわかりにくいかと思います。
    2の100乗を、(23)33・2 と直しているのですが、指数法則が理解できていないと、
    「そんなことをしていいんですか?」
    と感じるかもしれません。

    指数がわからなくなったら、指数法則の基本に戻りましょう。
    a2×a3=(a×a)×(a×a×a)=a5 でした。
    (a2)3=(a×a)×(a×a)×(a×a)=a6 でした。
    ですから、(23)33・2=299・2=2100 となりますね。
    逆の操作で、2100=299・2=(23)33・2=833・2 とすることができます。

    ところが、上のような説明も、
    (a×a)×(a×a×a) の( ) は、どういう意味なんですか?
    ( )がないときと、どう違うんですか?
    それは要らないんじゃないんですか?
    と、それこそ不要な質問で頭がいっぱいになり、このほうがわかりやすいだろうと思って使った( )があだとなることもあります。
    何かがわからないというのはそういう場合が多く、本筋ではないところに目がいき、主要なところの理解を阻む。
    そういう傾向があります。

    しかし、なぜ本筋ではないところに目がいってしまうのでしょうか。
    その原因を考えれば、そもそも、( )の使い方について不安があるのではないか?
    小学校で( )を使った式を立てることを学習した小学校3年生の頃に、( )の使い方をしっかり身につけることができなかったのではないか?
    それは四則演算の原則がどこか曖昧になっているということでもあります。
    あるいは、( )の使い方の基本はわかっているのだけれど、自分で式を立てるときには、つい( )をつけ忘れたり、不要な( )を書いてしまったりを繰り返して、何となく苦手という感覚が高校生になっても残ってしまっているのではないか?
    さらには、几帳面な正確もあって、以前、自分が( )を使ったときには不要だと言われたのに、説明のためという理由で使用されているのが納得できないのかもしれません。
    先生や教科書・参考書が使用している( )のニュアンスを理解できない。
    そういうことが学習を阻む場合もあるかと思います。

    もう1つの壁は、やはり指数に対する感覚でしょう。
    同じ数を何回もかけるときに指数を使うという根本が理解しきれていないのではないか想像される場合もあります。
    23=2×2×2ということが、ふっと頭から抜ける。
    そのため、23=6と、気がつくと思い違いをしている。
    そんな場合もあると思います。
    (23)33・2=833・2 という転換が理解できず、
    「そんなことして、いいんですか?」
    と不安になるのは、指数の定義や乗法の交換法則が頭の奥まで染み込んでいないのが一因ではないかと感じます。

    それは、普通の指数計算の際にも表れます。
    26 を計算せよと言われて、
    2、4、8、16、32、64 と、逐一2倍していないでしょうか?
    26=64 と一瞬で転換している人を、「暗記しているのかな?」と思っていないでしょうか?
    26=(23)2=82=64 です。
    同じように、34=(32)2=92=81 です。
    指数を一瞬で計算している人は、この作業を一瞬で行っている場合が多いのです。
    答えを暗記しているとは限りません。
    あまりにも繰り返される計算に関しては、さすがに答えを覚えてしまっている場合もありますが。
    こうした指数に対する感覚、かけ算に対する感覚は、誰かに教えられたのではなく、本人が計算する過程で身につけていることが多いです。
    むしろ、このやり方を教えても、
    「いいの!私は普通にやらないとわからないの!」
    と意固地になる子もいるので、教えてわかるものではないのかもしれません。
    しかし、教えてわかるわけではないことがわからないと、合同式や、高校数Ⅱで学習する指数関数・対数関数の理解に大差が生じるようになる・・・。

    いやいやいや。
    こんなこと、教われば、わかることです。
    わかってください。
    ・・・と最後は古いフォークソングみたいになって、また次回。
    ヽ(^。^)ノ



      


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    2018年12月07日

    高校数A 合同式とは何か。


    今回の学習内容は「合同式」です。

    2つの整数a、bを自然数mで割ったあまりが等しいとき、aとbをmを法として合同であるといい、a≡b(mod m)と表す。
    このような式を合同式という。

    定義は上のようにシンプルで、難しい言葉は何1つなく、込み入った論理も何1つないのですが、多くの場合、数学の授業史上一番の停滞となります。
    新課程になったばかりの頃は、「発展」として一応教科書に載っているこの内容を教える高校は多かったのですが、今は、私立高校や都立中高一貫校でも、教えない学校が増えてきました。
    あまりにも理解が進まないので、先生たちも匙を投げたかもしれません。
    苦労して時間をかけて教えても、入試にほとんど出ないですし。

    合同式を解説する難しさの1つは、具体的に説明すれば理解してもらえるとは限らず、その具体例に縛られて混乱したり誤解をしてしまう子が多いことにあります。
    それでも、具体例で説明しないわけにいきません。

    例えば整数を7で割った余りで分類することを考えてみましょう。
    7で割ると1余る数。
    こういう数には、1、8、15などがあります。
    これらは7を法として合同と言い、8≡1(mod7)と表すことができます。
    15≡1(mod7) でもあります。

    7で割ると2余る数はどうでしょうか。
    2、9、16などがあります。
    これらはこれらで、7を法として合同です。
    9≡2(mod7) 、16≡2(mod7) となります。

    あるいは、整数を4で割った余りで分類したらどうでしょうか。
    例えば、4で割ると2あまる数。
    こういう数には、2、6、10などがあります。
    これらは4を法として合同です。
    6≡2(mod4)、10≡2(mod4) と表すことができます。

    ルールの基本はおわかりいただけたでしょうか?ヽ(^。^)ノ


    ぱっと感覚的に理解できれば何も問題ないのですが、最初に上手く呑み込めないと結局最後まで何だか納得できないという感情が尾をひくことになるようです。
    それは理解力の問題ではなく、何か固定観念があり、このことの理解を阻んでいるものがあるせいなのかもしれません。

    それが何であるのか、新課程にこの単元が登場し教えるようになってから、私はずっと不思議に思っています。
    混乱は、例えば「1は7で割ると1あまる数である」ということを知らなかった、あるいは納得できない、という小さいことからも起こります。
    1÷7=0あまり1
    商は0でも良いというのは単なる知識ですが、初めて知ると、これだけでも衝撃のようです。

    自然数に限っての話でもなかなか大変なのですが、合同式は整数全体、すなわち負の数も含んで考えます。
    例えば、6で割った余りで整数を分類してみましょう。
    6で割ってあまり0。
    自然数の範囲では、6、12、18、・・・・
    6≡0(mod6)、12≡0(mod6)。
    これはもう大丈夫でしょうか?
    次に負の整数を含めて考えると、-6も-12も6で割ってあまり0の数です。
    すなわち、-6≡0(mod6)、-12≡0(mod6)。

    同様に、6で割った余りが1の数を考えれば、
    ・・・・-17、-11、-5、1、7、13、・・・・
    という数列が見えてくると思います。
    この数列に出てくる数は全て6を法として合同です。
    -5=6・(-1)+1
    -11=6・(-2)+1
    -17=6・(-3)+1
    どの数もあまりが1になるのがわかります。
    よって、-5≡1(mod6)、-11≡1(mod6)、・・・。

    これでいかがでしょうか。ヽ(^。^)ノ

    「いや、わからない。-5=6・(-1)+1って、何ですか?」
    そういう質問を受けることがあります。
    高校ではわり算の式は基本書きませんので、上のようにかけ算の式で表すのですが、それがそもそも納得できない、意味がわからないという声を聞くことがあります。
    (わる数)×(商)+(あまり)=(もとの数)
    こういう、わり算の検算の式と同じ構造ですよ、小学校3年生でやっていますよ、と説明しても、知らない、教わったことがない、と言う高校生もいます。
    習っていることなのですが、全く覚えていないようです。

    「次のわり算をしなさい。検算もしなさい」
    という問題の後半を全部見落として解いたことがない。
    あるいは、暗記した通りに検算の式を書くだけで済ませて、本当に検算したことがないので、身についた知識になっていない。
    そういうことかなと想像したりもします。

    中学の方程式の利用でも、この考え方は使っています。

    問題 37をある数で割ると商が5、あまりが2となった。ある数を求めよ。

    という文章題で、この考え方を利用します。
    ある数をxとすると、
    5x+2=37
    という式を立てることができます。
    これも、(わる数)×(商)+(あまり)=(もとの数) という検算の式を使っています。

    こう説明するとやったことがあると思い出す子もいますが、中学の方程式の文章題でも、わり算の検算の式を使用するこのタイプの問題は自力で解いたことがなく、定着しないまま高校生になってしまった子もいて、首を傾げたままということもあります。
    かけ算とわり算との関係を理解しないまま、それぞれを無関係にただ暗記し、作業手順だけ覚えてきた子の場合、合同式の理解は確かにかなりつらいものがあるのかもしれません。


    上の式の意味が一応は理解できても、-5が6で割って1余る数であるというのがピンとこない子もいます。
    そうした子は、-5は、6で割って5不足する数ととらえることならギリギリできます。
    そうです。ヽ(^。^)ノ
    整数を6で割るとき、すなわち、6を法とするとき、「1余る」ということと「5不足する」ということは、同じことなのです。
    例えば7は、6で割ると1余る数ですが、6で割ると5不足する数ととらえることも可能です。
    1も、6で割って1余る数ですが、6で割って5不足する数でもあります。
    ですから、-5は、6で割って5不足する数であると同時に、1余る数ととらえることができます。

    何年か前、大人のための数学教室では、授業はここで長い長い停滞を迎えました。
    繰り返し繰り返し同じことを説明しても、理解が深まる様子が全く見られない・・・・。
    しかし、ようやく理解してくださった参加者の発言は私には大変興味深いものでした。
    「あっ。わかった。商は何でもいいのね」
    「・・・・・・?」

    え?
    ・・・・そうですよ?
    最初から余りの話だけをしていますよ?
    割る数と余りの数だけに注目していますよ?

    そのとき、ふっと見えたのです。
    商が重要だとずっと思っていらっしゃったんだ。
    高校生がこの単元を全く理解してくれない原因もそれかもしれません。

    わり算の式を立てるとき、立てた本人は商を求めるために立てている感覚があります。
    求めているのは商だから、それが何より大切だと思ってしまうのかもしれません。
    子どもの頃から、算数はとにかく答えを出すことが大事、式なんかより答え、と思い込んでいる子は多いです。
    そういう思い込みがあると、「整数をある数でわった余りによって分類しています」と幾度説明しても、その部分を聞き流す。
    あまりがいくつであるかが大切なので、商なんか問題にしていない。
    しかし、本人は、商にしか目がいかない習慣があるので、その説明が頭に響かない・・・。
    思い込みのせいで重要な情報を聞き流す不思議な仕組みが人間の脳にはあるようなのです。
    商なんかどうでも良くて、割る数と余りの話をしています。
    しかし、それが普段の計算の常識とは異なるために、そこに立ち位置を移せない高校生は多いのでしょう。


    「あまりと不足に関する問題」は、中学受験の受験算数の単元の1つです。
    しかし、何回復習してもこの問題を解けるようにならない子がいます。
    高校生でも大人でも理解してくれないので、小学生が理解できないのは無理からぬところがあります。

    例えばこんな問題です。
    例題 4で割ると3あまり、6で割ると1不足する数のうちで100にもっとも近い数を求めなさい。

    4で割ると3あまる数は、言い換えれば4で割ると1不足する数です。
    ですから、この問題は、4で割っても6で割っても1不足する数を求めます。
    ならば、まずは4で割っても6で割っても割り切れる数を考えます。
    それは4と6の最小公倍数の12で割り切れる数です。
    100÷12=8あまり4
    12で割り切れる数で100に一番近い数は、上の式から、12×8=96であるとわかります。
    それは、上の式から100-4=96と求めることもできます。
    では、12で割って1不足する数は?
    96-1=95。
    よって、問題の答えは95となります。

    この問題、スラッと理解する小学生もいますが、幾度解説しても、何度同じ問題を解いても、全く解けるようにならない子も多いです。
    何がそんなに難しいのか教える側として疑問だったのですが、何だか少しわかった気がします。
    あの子どもたちも、あまりや不足に着目するより、商のことばかり考えてしまうのかもしれません。
    4で割って3余るということは1不足するということ。
    しかし、その言い換えをするときには商が変わるだろうに、それを無視する姿勢が理解できない。
    商が変わればそれは同じ計算ではないのに、同じだと言っている神経が理解できない。
    そもそも、商を無視して、余りだ不足だばかり言っている姿勢が理解できない。
    そういうことなのでしょうか?

    「あまりと不足」に関する問題が解けない小学生たちは、こんなふうに思っているのかもしれません。
    「算数の問題を解くって、そういうことじゃないでしょう!」
    「式を立てて、計算して、答えを出すんでしょう!」
    「商が問題の答えでしょう!」
    「算数の問題はそうでなければならないよ!」

    子どもたちの無言の中に、実はそんな心の抗議があったのでしょうか?
    しかし、それはあまりにも頭が硬い。
    ガチンゴチンです。
    子どもの頭というのは大人がびっくりするくらい石頭で、妙な思い込みに凝り固まっているものですから、そのように頑固でも驚くに値しませんが。

    でも、1つ言えること。
    子どもの石頭は一度割ることに成功すれば、そこからは柔軟です。
    新しい考え方を受け入れ、無限に伸びていきます。
    子どもには、それだけ成長する力、生命力があります。

    高校生は、どうでしょうか。
    硬い頭をやわらかく。
    商なんてどうでもいいから、余りによって整数を分類する。
    ある数で割って、同じ余りである数は、その数を法として合同な数。
    合同式は、それさえ理解できれば、そんなに難しくありません。

      


  • Posted by セギ at 13:43Comments(0)算数・数学

    2018年11月30日

    数A「整数の性質」に関する証明問題。


    数A「整数の性質」の学習の続きです。
    いよいよ難しいところに入ってきました。
    例えば、こんな問題です。

    問題 自然数aとbが互いに素であるとき、a+2bと3a+5bも互いに素であることを背理法を用いて証明せよ。

    問題を解く前に解決すべき点が2つあります。
    「互いに素」とは何なのか?
    「背理法」とは何であるか?

    「互いに素」は、今回初めて学ぶ内容です。
    定義はこうです。
    2つの整数a、bの最大公約数が1であるとき、aとbは互いに素であるという。
    うわあ、これだけでは何を言っているのかわからなーい。

    例をあげて考えてみましょう。
    例えば、15と28について考えてみます。
    素因数分解すると、
    15=3・5
    28=2・2・7
    それぞれの素因数の中に共通のものがありません。
    この場合、15と28の最大公約数は1となります。
    このように、共通の素因数を持っていない関係が「互いに素」です。
    これは今回だけ出てくる内容ではなく、この先、不定方程式を解く際にも使用します。

    では、「背理法」とは何でしょうか?
    これは、数Ⅰ「数と式」の単元で学習しました。
    高校生に、「何か数学でわからないところはある?」と質問すると、
    「背理法がわからない」
    という答えがすぐ返ってくるほど、もう圧倒的にわからないところのようです。

    背理法は、証明すべき結論をまず否定します。
    その否定を根拠に論を進めていくと、しかし、矛盾が生じます。
    矛盾が生じたのは、根拠が間違っているからです。
    否定したから、矛盾が生じた。
    これは否定してはいけない内容だった。
    だから、結論が正しいことが導かれる。
    そういう証明方法です。

    こういう論理の進め方が肌に合わない人もいるようです。
    「だって、さっき結論は否定したのに、何で結局それでいいことになったの?」
    と、論理展開に追いついていない反応もあれば、
    「矛盾が生じたからといって、間違っているとは限らないんじゃないの?」
    という懐疑にとりつかれてしまう子もいます。
    矛盾は抱えつつも、一概に間違っているとは言えないのでないか、と考えてしまうようです。
    「否定すると矛盾が生じるから、否定は間違っているのだというところまではわかる。でも、だから、肯定する、というのがわからない」
    と言う子もいます。
    否定が間違っているのなら、肯定は正しい。
    そうとは言い切れないのではないか?
    否定も間違っているが、肯定も間違っている可能性もあるのではないか?
    肯定と否定との間に「隙間」を感じてしまい、気になってしまう・・・。
    気持ちはわからなくもありません。
    しかし、否定も肯定も間違っているって、どんなことなのでしょう。
    有理数でなければ、無理数。
    そのような単純な二択に絞り込めることで利用するのが、背理法です。

    そうした悩みはないけれど、実際に問題を解くことに悩んでいる高校生も多いです。
    背理法の論理の構造は理解できるけれど、実際に何をどうやって矛盾を指摘すれば良いのか自力で発想できないというのです。
    こうした子は、実はかなり優秀です。
    そんなのは初学者なんだから当たり前で、典型題のテクニックを自分のものとして蓄積していく以外に方法はありません。
    1題2題解いたくらいで背理法を自力で操れるようになるわけがありません。
    学校の定期テストで背理法の証明問題が出題される場合は、典型題ばかりです。
    有理数・無理数に関する問題などが大半ですね。

    さて、話を戻し、もう一度上の問を見てみましょう。
    これを背理法で証明するのですから、まず結論を否定した仮定を立てます。

    a、bが互いに素であるとき、a+2bと3a+5bは互いに素ではないと仮定する。
    互いに素ではないということは、1より大きい最大公約数が存在するということ。
    つまり、共通因数があるということです。
    その1以外の最大公約数を自然数gで表します。
    他に、k、L(本当は小文字で表しますが、ネットでは1と区別がつきにくいので大文字にしました)を自然数とすると、
    a+2b=kg ・・・①
    3a+5b=Lg ・・・②
    と表すことができます。

    さて、上の仮定を突き崩し矛盾を指摘するのですから、これを用いて、aとbが互いに素ではないことを示せば良いのです。
    では、とりあえず、連立方程式のようにして、a、bについて解いてみましょう。
    共通因数が出てくれば、aとbは互いに素ではないことになりますね。

    ①×3-②
      3a+6b=3kg
    -)3a+5b=Lg
           b=g(3k-L) ・・・③
    ①×5-②×2
      5a+10b=5kg
    -)6a+10b=2Lg
      -a    =g(5k-2L)
            a=g(2L-5k) ・・・④

    おや?
    ③、④より、aとbは、gという1以外の共通因数を持つことになります。
    これは、aとbが互いに素であることに矛盾します。
    何でこんな矛盾が生じたのでしょう?
    それは前提とした仮定が間違っていたからです。
    「aとbが互いに素であるとき、a+2b、3a+5bは互いに素ではない」という仮定が間違っていたのです。
    したがって、aとbが互いに素であるとき、a+2b、3a+5bも互いに素です。

    これが背理法による証明です。

    「そんなの、gという共通因数を勝手にあることにしたからこうなったので、gが残るのが当たり前。こんなのインチキだ」
    と、どこかで思考がねじれてしまうかもしれませんが、落ち着いて、式の1行1行を読み飛ばさず見ていくことが大切です。
    gが残るのは、当たり前ではありません。
    消えるかもしれなかったのです。
    でも、残ってしまった。
    それは、仮定に矛盾があったからです。
    a+2bと、3a+5bには、初めから、共通因数gなど存在しなかったのです。

    とはいえ、やはり難しいですね。
    1回目の学習で難しかったら、しばらく放置しておくのも1つの手です。
    次に復習するとき、案外、スルッと理解できることもあります。
    最初は脳が慣れていなかった。
    ただそれだけのこと。
    そんなこともありますから。


      


  • Posted by セギ at 12:21Comments(0)算数・数学

    2018年11月23日

    高校数A「整数の性質」公倍数・公約数に関する問題。



    今回も高校数A「整数の性質」。
    「最小公倍数・最大公約数」の性質について。
    例えば、こんな問題です。

    問 最小公倍数が144、積が864である自然数の組(a,b)をすべて求めよ。ただしa<bとする。

    まずは受験算数の解き方で解いてみます。
    2つの数aとbの連除法をイメージした図を描いてみます。

    ☐) a b
      A B

    ☐は、最大公約数です。
    本来、共通に割れる数で何段階にも割っていったものの積が最大公約数ですが、一気に最大公約数を見つけたのなら、こうして一段で連除法が終わっても良いでしょう。
    連除法のこの図からわかるように、最小公倍数は☐×A×B。
    問題によれば、これが144なのですから、
    ☐×A×B=144 ・・・① となります。
    さらに、上の図から、
    a=☐×A。
    b=☐×B も読み取れます。
    よって、2数の積は、
    a×b=☐×A×☐×B。
    問題によれば、これが864ですから、
    ☐×A×☐×B=864 ・・・② となります。
    ①、②より
    ☐=864÷144=6
    ①に代入して、6×A×B=144 となりますので、
    A×B=144÷6
    A×B=24
    AとBとはもう公約数はないのですから、候補としては、
    1と24、または3と8でしょう。
    2と12や、4と6は、まだ共通に割り切れる数があるので、上の連除法の図に当てはまらなくなってしまいます。
    よって、A=1、B=24のとき、a=6、b=144。
    A=3、B=8のとき、a=18、b=48。 
    よって、(a,b)=(6,144),(18,48)
    これが答えとなります。

    高校数Aの解き方もこれと同じで、小学生よりも少し大人っぽく文字を使用するだけです。

    まず、aとbとの最大公約数をgとすると、
    a=ga'
    b=gb'と表すことができます。
    (a'、b'は互いに素な自然数で、a'<b')
    最小公倍数から、
    ga'b'=144 ・・・・①
    また、積が864だから、
    ab=864
    よって、ga'gb'=864・・・・②
    ②÷①より
    g=864÷144=6・・・・③
    ③を①に代入して
    6a'b'=144
    a'b'=24
    となります。
    a'とb'は互いに素な自然数で、a'<b'ですから、
    (a'、b')=(1、24)、(3、8)です。
    それぞれ6倍して、
    (a、b)=(6、144)、(18、48)


    解き方は小学生も高校生も同じです。
    連除法を知らないと、論理展開についていくのが少しつらいかもしれません。
    自然数を他の自然数の積の形として見ることに慣れていると楽に解けます。
    これは、計算の工夫の上でも必要な感覚ですが、自然数が他の自然数の和に見える「和の感覚」だけでなく、自然数が他の自然数の積の形に見えている「積の感覚」が身についていると、こうした問題は楽に解けると思います。
    簡単に言えば、15=3×5 という形に見えていること。
    因数分解した形が常に見えているということです。

    これは中3の「平方根」の単元でも重要な感覚です。
    例えば、
    √45×√40
    =3√5×2√10
    =3・2・5√2
    =30√2
    という計算は、この「積の感覚」があるからできることです。
    この感覚が育っていないため、
    √45×√40
    =√1800
    ここで、素因数分解の筆算をして、
    =30√2
    という形でしか計算できない子は案外多いです。
    どちらでも正しい答えを導けますが、上の解き方のほうが暗算がやりやすく精度が高いです。

    小学校4年生で学ぶ「計算のきまり」という単元も、この「積の感覚」があると、工夫を思いつきやすいです。
    問題 12×25 を工夫して計算しなさい。
    そう言われても普通に筆算することしか思いつかない、工夫を考えている時間に筆算できるのに・・・という子が案外多いのです。
    12×25
    =3×4×25
    =3×100
    =300
    というのが、期待されている工夫です。
    小学4年生がこの単元で習得することを期待されているのは、表面的には「交換法則」と「分配法則」ですが、交換法則をより効果的に利用するには、このように自然数を積の形に分解できることが必要となります。

    この「積の感覚」は、教わっていなくても自然と身についていることも多いのですが、教わっても身につかないこともあります。
    言われればわかるけれど、自分で思いつくことはできないようです。
    1つには、算数というのは、もっと単純に1つの解き方に統一されるべきなのだという思い込みがあるのかもしれません。
    色々な解き方があるというのが好きではない。
    色々覚えなければならないのは面倒だから、そういうのはやめてほしい。
    そういう気持ちが根底にあるような気がします。

    だから、どれほど教わっても進んで活用しようという気持ちになれない。
    一応は理解しても、そういう「他の解き方」というのが好きではない。

    私はいついつまでも、地道に計算します。
    それ以外のことを勧められても迷惑です。

    中学3年で「平方根」を学習する頃には、すでにそのように凝り固まってしまう子も多く、上の解き方を説明しても、
    「いいの!私はこのやり方じゃないとわからないの!」
    と拒絶されたこともあります。
    作業手順だけを暗記しているので、他のやり方を勧められても混乱するからやめてくれ、という気持ちだったのでしょう。
    「他の解き方」が好きではないのは、それを理解する余裕がなくなっていることの表れであり、算数・数学がわからなくなってきているサインととらえて良いと思います。
    全ての単元に共通する数理の根本がわかっていないので、1つ1つの単元ごとの解き方を別べつに暗記するしかなく、それがとても苦しくなっているサインではないかと思うのです。

    気持ちに余裕がなくなっている。
    それは計算が速い遅いの話とは違います。
    精度の話ともまた違います。
    計算は遅いし、計算ミスも多いけれど、気持ちに余裕のある子はいます。
    考えるのにとても時間がかかるけれど、考え続けることはできる。
    表面的なテストの点数はともかく、「他の解き方」を受け入れられる。
    そういう子はいずれ開花するので、あまり心配はいらないのです。


      


  • Posted by セギ at 12:22Comments(0)算数・数学

    2018年11月04日

    数A「整数の性質」公倍数と公約数。



    今回も「整数の性質」、公倍数・公約数の学習です。
    公倍数・公約数は、小学校5年生で最初に学習します。
    分母の異なる分数のたし算・ひき算を学習する前に、通分・約分ができるよう、まず学習するのが公倍数・公約数です。

    現在、学校では使うことがほとんどない略称に、G・C・DとL・C・Mというものがあります。
    G・C・Dは、the Greatest Common Divisor すなわち、最大公約数。
    L・C・Mは、the Least Common Multiple すなわち、最小公倍数。

    連除法も、現在の小中学校では学習しません。
    連除法とは以下のようなものです。

    例 72と108の最大公約数と最小公倍数を求めなさい。

    ここで、2つの数に共通する因数で割っていきます。

    3)72 108
    3)24  36
    2) 8  12
    2) 4   6
       2   3

    共通する因数がなくなるまで割り進めたら、共通する因数を全てかけます。
    3・3・2・2=36
    これが最大公約数です。
    さらに、共通する因数と、残った2数の因数とを全てかけていきます。
    すなわち、3・3・2・2・3・2=216
    L字の形にかけていくので、上のL・C・Mの「L」で覚えたりしたものです。
    これが最小公倍数です。

    今の小中学生は、この解き方を知らない子が多いです。
    中学受験をした子や私立小学校の子はこの解き方を習っていますが、公立の小中学校では学習しません。
    じゃあ、どうやって最大公約数を求めるのか?
    地道に、108と72の両方を割ることのできる数は最大で何かなと考えていくのです。
    思いつかないときは、両方とも全ての約数を書きだして、共通する最大のものを調べます。
    なかなか答えが出てこない場合は、かなりの苦行です。
    最大公約数の定義通りの作業ですので、学習効果の意味はあるのですが、学習能率は低いです。
    小学生の場合、かけ算・わり算の得意・苦手が如実に現れてしまう単元です。
    72は何で割れるかを暗算できず、いちいち筆算し、108は何で割れるかを暗算できず、またいちいち筆算する。
    かけ算・わり算が苦手だと、そういうことになってしまいます。
    そういうことのわずらわしさを実感して、2桁×1桁の暗算や、3桁÷1桁の暗算ができるようになると大きな進歩ですが。

    さて、高校数Aの「公倍数・公約数」の問題とは?

    問題 35/18、50/63 のいずれに掛けても積が自然数となるような有理数のうち最小のものを求めよ。

    この問題、「積が自然数となる有理数」という言い方で混乱が起こりやすいようです。
    内容自体は、中学受験の受験算数で小学生もこの問題を解きますので、そんなに難しいわけではありません。
    しかし、用語がネックとなることがあるようです。
    「自然数」「有理数」あるいは「実数」という言葉が問題文中に出てくると、何のことだったっけとなるようなのです。
    そういう定義をあまり気にしない子は、案外楽にこういう問題を解いたりもしますが。

    「自然数」とは、1、2、3、4、・・・と無限に続く正の整数のこと。
    最も自然発生しやすい数の概念です。
    原始人は、森で見つけた獲物の数を仲間に伝えるために自然数を発見したかもしれませんね。

    その後、人類の歴史の中で負の数や0が発見されていきます。
    そうして生まれたのが「整数」。
    「整数」は、0と負の整数と自然数を含みます。
    「0は整数なんですか?」と質問されることが多いのですが、0は整数です。

    小数や分数という考え方も同時に生まれたでしょう。
    ものごとは整数で表されることばかりではありません。
    分数という概念が生まれます。
    分数で表すことができる数が「有理数」です。

    「分数」と「整数」を区別する人がいますが、整数は全て分数で表すことができます。
    例えば、2=2/1です。
    ですから、整数は分数に含まれます。
    このように、数は拡張される度に以前の数の概念を含み込んでいきます。
    それは、数が発見された歴史と一致しているでしょう。

    そういう「含み込んでいく」という概念が理解しづらいのかもしれません。
    整数と自然数は別のもので、1つもかぶっていないと誤解してしまう。
    整数と有理数は別のもので、1つもかぶっていないと誤解してしまう。
    そういう誤解が問題の読み解きを難しくしてしまうことがあるのかもしれません。

    「分数」と「小数」はきっちり区別されるという誤解も、そういう考え方でしょう。
    それは表記法が異なるだけ。
    「分数」と「小数」を区別する考え方にあまり意味はありません。
    同じ数を分数でも小数でも表すことができるのですから、その区別は無意味です。
    存在する数そのものをどう分類していくかが重要です。

    さて、ここで問題となるのは、分数で表すことができない数はどうなるのかということ。
    小数で表そうとしても永遠に循環もせずに不規則に数字が続いていく数。
    これが「無理数」です。

    そんな数あるの?
    と、これだけ聞くと不思議に感じるかもしれませんが、そんなに特別な数ではありません。
    √2、√3など、根号を使ってしか表せない数が無理数ですね。
    他に、円周率π(パイ)がそうです。
    こうやって具体例を聞くと、無理数なんて名前のわりによくある数だなと感じると思います。

    有理数と無理数は、1つもかぶっていません。
    これは、はっきり二分されます。
    有理数でなければ無理数。
    そして、有理数と無理数を合わせた数を「実数」と言います。
    実数の中に、有理数も無理数も含まれます。

    ここでまた何か誤解があり、「無理数は実数じゃない!」と言い張る高校生に困惑したこともありますが、無理数は実数です。
    どちらも現実にこの世に存在している数です。
    「実数」と「無理数」の語感が馴染まないことからくる誤解なのだろうと思いますが、「有理」の反対は「無理」であり、「実」と対比される概念ではありません。

    では、「実数」と対立する概念は何か?
    それが「虚数」です。
    虚数を学ぶと、「実数」や「有理数」という言葉も頭の中に定位置をもって整理されるのかもしれません。

    さて、話を戻して、上の問いは、どう解いていくのか。
    求めるものは、35/18、50/63 のいずれに掛けても自然数となる有理数のうち最小のもの。
    有理数ですから、分数で表すことができます。
    この有理数をb/aと表すことにしましょう。
    35/18×b/a
    50/63×b/a
    の答えが自然数になるということは、約分されて分母が1になるということです。
    ということは、bと分母の18や63を約分して、分母が1になれば良い。
    つまり、bは18と63の公倍数であれば良いのです。
    ただし、「最小のもの」という指示が問題文にありますので、公倍数の中で最小のものでしょう。
    すなわち、bは、18と63の最小公倍数である126。
    また、aについては、約分して分母が1になることを優先するなら、最初からaが1であれば面倒がないような気がしますが、これも「最小のもの」という指示があるため、分母aはできるだけ大きい数であるほうが、有理数b/aは小さい数となります。
    ということは、aは35や50と約分して1になる数のうちで最大のものであれば良い。
    すなわち、aは35と50の最大公約数。
    よって、答えは、126/5となります。

    小学生ならば、b/aではなく、☐/△で良いのですが、とにかく、そのように、問題をわかりやすい形に自分で直してみるのが秘訣です。
    それをせず、問題文を睨んで頭の中で全部やろうとする子は、受験算数にしろ数学にしろ、あまり得意にならずに終わってしまう可能性が高いのです。

    手を使うこと。
    自分なりの工夫で整理すること。
    試行錯誤すること。

    そういうことが一切できず、問題をパッと見て解ける問題は解ける。
    それ以外は、わからない。
    考えろと言われても、考え方がわからない。
    手を使えと言われても、使い方がわからない。
    工夫しろと言われても、どう工夫するのかわからない。
    そういう子は多いです。

    そういう子のノートを見ますと、
    35/18×b/a
    50/63×b/a
    といった考えるヒントは、私が板書しても書かなかったりします。
    式だけ書けば良いと思い、こういうものは不要と考えてしまうのでしょうか。
    工夫の具体例が頭の中に材料としてなければ、工夫の仕方は1つも発想できないと思います。

    小学生は、算数の問題は答えだけ書けば良いと誤解している子が多いです。
    (式) という欄が解答用紙にない限り、式も書かなくて良いと思っています。
    式さえ不要と思っている子が、考え方の工夫など落書きレベルのものと思っていても不思議はありません。
    不要と思っているものを自力で書くことはできないでしょう。

    不要と思っているものが、実は答えよりも式よりも大切かもしれません。
    そこに発想の根元があります。
    きれいなノートを残すことが勉強の目的ではありません。
    算数・数学のノートには落書があって当然なのです。
    落書きはいずれ洗練されていきます。
    無からは何も生まれません。
    とにかく、ノートに、問題を解くための落書きを書いてみましょう。
    その書き方がわからない?
    書き方は、人それぞれです。
    自分がわかれば良いのですから。

    ・・・それすらも何も浮かんでこないなら。
    せめて、先生や友達の書いている「落書き」をノートに写しておきましょう。
    「落書き」の書き方のヒントがそこに詰まっています。
    そして、同じ問題を解き直すときや類題を解くときに、自分も真似して落書きを書いてみましょう。
    全てはそこから始まります。

      


  • Posted by セギ at 15:43Comments(0)算数・数学

    2018年10月31日

    方べきの定理。



    高校数A「図形の性質」の重要定理、最後は「方べきの定理」です。
    上の画像の左図を見てください。
    円の2つの弦、AB、CDの交点をPとすると、
    PA・PB=PC・PD

    これが方べきの定理の基本です。
    交点Pが円の内側にあるときが左図。
    真ん中の図は円の外側に交点があるときですが、式は同じです。
    PA・PB=PC・PD

    この2つの図は、交点と弦の両端との線分同士をかけるのだというイメージを大切にすると共通のイメージを持ちやすく覚えやすいです。
    これの特殊な例が右図で、1つは弦、もう1つは円の接線となっている場合です。
    弦ABと接線PTとの場合は、
    PA・PB=PT2

    パターンは、この3つです。
    証明は、いずれも、三角形の相似を利用します。
    左図の場合は、
    △PACと△PDBにおいて、
    対頂角は等しいから、
    ∠APC=∠DPB
    等しい弧の円周角は等しいから、
    ∠CAP=∠BDP
    2組の角がそれぞれ等しいので、
    △PAC∽△PDB
    よって、PA:PD=PC:PB
    内項の積=外項の積なので、
    PA・PB=PC・PD

    他の2つも、三角形の相似を利用する流れは同じで、角が等しいことを示すための根拠が上の証明とは異なるだけです。
    円に内接する四角形の定理だったり、接弦定理だったり。
    共通の角だったり。

    方べきの定理は、その名称に違和感を抱く人もいます。
    チェバの定理ならば、どうせチェバという数学者が発見したんだろう、で済ますことができますが、「方べき」と日本語で言われると聞き慣れない言葉なので違和感があるのですね。
    「方」は平方、立方などの「方」。
    累乗を意味します。
    「べき」は「冪」と書き、これは箱を意味する語。
    等しい面積の長方形の2辺の長さを示す定理。
    ある正方形と等しい面積の長方形の2辺の長さを示す定理。
    そのようにイメージしておくと、名前と定理の内容が一致しやすいと思います。

    方べきの定理は、覚え間違えてしまうことが案外多いです。
    3つの図とも交点Pから式が始まるという共通点を強く意識するのがポイント。
    そこを意識せずに別々に覚えると、覚え間違えてしまう可能性が高まります。
    左の図を、AP・PB=CP・PDというイメージで覚えてしまい(これ自体は間違いではないです)、その影響で、真ん中の図を、PA・AB=PC・CDと間違って記憶してしまう人がいるのです。

    こういうことは、ちょっとした覚え方が大きく影響します。
    繰り返しますが、方べきの定理は、全て、交点Pから式が始まります。
    その共通点を強く意識すれば、3つのパターンは、全く別のものではなく、根本は同じものであることが見えてきます。

    方べきの定理は、センター試験でよく用いる定理です。
    センター過去問などを解いていて、方べきの定理を使うと知ると、
    「あー、方べきかー。気づかなかったー」
    とつぶやく子は多いです。
    円に関する問題を解く際に、方べきの定理を使う可能性は極めて高いです。
    方べきの定理が、いつも使える状態で頭の中にあるでしょうか?
    自力で発想できる状態、使える武器の状態で方べきの定理が頭の中に存在していれば、気づくことができると思うのです。

    図形が苦手な子と一緒に問題を解いていて、
    「どういう定理を使える可能性がある?間違っていてもいいから、何でも思いつくものを言ってみて」
    と声をかけても、何も出てこないことが多いです。
    「使える使えない関係なく、知っている定理の名前を全部言ってみて」
    と声をかけても、やはり何も出てきません。
    残念ですが、その状態では解き方を発想できる可能性はほとんどないと思います。
    とにかく、定理の名称を言えと言われたら、学習した定理の名称をズラズラと並べたてられるようになるまで暗唱してください。

    高校数Aで学習する定理のうち、重要なものは限られています。
    三角形の五心に関する定理。
    角の二等分線の定理。
    接弦定理。
    チェバの定理。
    メネラウスの定理。
    方べきの定理。

    それに、数Ⅰで学習している三角比の正弦定理や余弦定理、中学で学習済みの三平方の定理など。

    それらが頭の中に列挙されるなら、
    今回はどれを使う?
    どれなら使える?
    と、吟味できます。
    図形の解き方は、空から降ってくるように発想できるわけではありません。
    頭の中にある定理を吟味するのです。
    図形問題が得意な人は、そんなことをしていないように見えますが、それを瞬時に、ほぼ無意識にやっています。
    この作業に慣れているため、吟味していることを本人が自覚することもないほどのスピードで使える定理を選び出し、すぐに解きだしているのです。

    もう 1つ。
    現行のセンター試験では、図形問題の図も自分で描く場合があります。
    その図が下手過ぎて、解き方が発想できない。
    そう嘆く人が多いです。

    図が実際と異なってしまうのは、3辺の長さから鈍角三角形であるとわかるのに、鋭角三角形を描いてしまっているなど、描き出しのミスのため、その後の全てに無理が生じていることが多いです。
    そんなに厳密に指示通りの長さで描く必要はないですが、あまりに指示と異なる長さや角の大きさで描かないほうが後が楽です。
    また、正確な図を描こうとして、デッサン的なヒゲ線の多い図を描いてしまう人や、ぐりぐりとなぞってしまう人もいます。
    シンプルな1本の線で円や直線を描いたほうが見やすいです。
    余計な線は、見るときに邪魔です。
    フリーハンドでは円や直線が描けない、とひるまないで。
    上の画像は、私がフリーハンドで描いたものです。
    こんなもんで大丈夫です。
    これくらいなら、誰でも描けるはずです。
    あとは、図の大きさ。
    私は、円は直径5cmくらいのものを描きます。
    どうせ、問題が進むにつれてごちゃごちゃとさらに線分が加わるのはわかっています。
    直径3cmの円では、追加の線分に耐えられないかもしれません。
    線分が重なり、角が明確に見えてこなくなります。
    あるいは、どの線分も平行に見えてきたりします。
    結局、大きく正しく描く自信がないので図が小さくなるのだと思いますが、下手でも大きく。
    ヒゲ線抜きで、下手でも大きく。
    使える図は、そういう図だと思います。
    また、追加の線分に自分の図が耐えられないと感じたら、もう1枚描きましょう。
    例えばメネラウスの定理を使うとわかったら、使う三角形と線分だけ抜き出して描いてみても良いと思います。
    そんな時間はない?
    図をサッと描ければ、時間はかかりません。
    1本の線で短時間でサラッと正確な図を描く。
    図を描くのに時間のかかる子の様子を見ていると、円を正確に描けない、真っ直ぐな線を引けないということにこだわりが強く、幾度も線を引き直しています。
    こだわりが強いわりに練習不足なのだと思います。
    こだわりを捨てるか、練習するか。
    こだわりを捨てたほうが早いと私は思います。

      


  • Posted by セギ at 11:58Comments(0)算数・数学

    2018年10月19日

    数A「整数の性質」平方根の利用。


    高校数Aの最後の単元は、「整数の性質」です。
    前半の学習内容は、約数・倍数、平方根の利用、約数の個数や約数の総和の求め方など、小学校・中学校の復習内容が多いです。
    平方根の利用は、例えばこんな問題です。

    問題 √120n が整数となるときの自然数nを小さいものから3つ求めよ。

    これは中3で学習する内容です。
    高1になると数Ⅰの「式の計算」の単元で復習します。
    そして、数A「整数の性質」でも、再度復習します。
    その都度、ガツッとつまずく子がいます。
    どうにも納得できない。
    何のことか呑み込めない。
    そういう状態に陥ってしまいます。

    120=2・2・2・3・5
    よって、最小のnは、2・3・5=30

    これの理解が最初の課題です。

    n=2・3・5とすると、
    √120n=√2・2・2・3・5・2・3・5
    =√(2・2・3・5)2
    =2・2・3・5
    =60
    と無事に整数になります。

    √ の屋根の中に、同じ整数が2つあれば、それが1組みのペアとなり、整数となって√ の外に出ることができます。
    硬い説明では伝わりにくいかと思い、「屋根」とか「ペア」とか、柔らかい言葉遣いをするのですが、それで余計にわからないと言われ、普通の言葉に直して説明しても、やはりわからない。

    √120n=√(2・2・2・3・5)×(2・3・5)
    と分けて書けばわかりやすいかと思い、そうしてみると、
    「なぜ( )でくくるんですか?」
    「・と×は何が違うんですか?」
    と些末な疑問がさらに増えてしまうだけの様子で、やっぱりわからない。

    根本の原因は、平方根というものがよくわかっていないこと。
    これに尽きると思います。

    √a・a・b=a√b
    このシステムが理解できていないのだと思うのです。
    √75=5√3 など、平方根を整理することは一応できるようになっていても、作業手順として覚えているだけで、その意味をあまりわかっていない子がいます。
    だから、5√3=5×√3 と書き換えただけでうろたえてしまいます。
    そういう意味だと知らなかったと言うのです。

    応用問題以前の、平方根の計算でも、例えば、
    √21×√3 といった計算で、
    =√63
    としてから、素因数分解をして、
    =3√7
    という解き方しかできない子は、平方根の意味が根本的には理解できていない可能性があります。
    √21×√3
    =√7・3 ×√3
    =3√7
    と解くことができないのです。

    この解き方が上手く理解できない人は、平方根の根本が理解できていない可能性が高いです。
    平方根とは何のことかよくわからないのに諦めて、作業手順だけ覚えてごまかしてきた可能性はないでしょうか?
    基本がわかっていないと、応用問題の理解は難しいです。
    まず基本に戻ったほうが、遠回りのようで近道です。

    でも、平方根は中3のときから苦手だったし・・・・・。
    そうやって諦めてしまう人もいますが、中3のときは、初めてのことに抵抗感が強く、処理しきれなかっただけかもしれません。
    寝て起きたら何となく理解できていたということもあるように、脳には新しい情報を勝手にどんどん整理していく力があります。
    高校1年になって、中3の「平方根」の勉強をやり直すと、案外スルッと理解できるかもしれません。
    何であんなにわからなかったのだろう?
    むしろ、それが逆に不思議というくらいに、理解できることがあります。
    10代の脳は年々成長しますから。
    応用問題だけ無理に理解しようとしないで、まず基本に戻って復習すると良いと思います。

    もう1つのわからない原因は、指数法則のようです。
    n=2・3・5とすると、
    √120n=√2・2・2・3・5・2・3・5
    =√(2・2・3・5)2
    =2・2・3・5
    =60
    これの、
    2・2・2・3・5・2・3・5
    =(2・2・3・5)2
    のところが理解できないのは、指数法則がわかっていないからでしょう。

    aabb=(ab)2

    中1から学習していることですから高校生にはもう説明不要と思っていると、高1になっても指数法則は意味不明、という子は案外います。
    (ab)2を展開してみると、
    (ab)2=ab×ab=aabb
    なのですから、
    aabb=(ab)2
    です。
    と説明しても、納得した顔をしない子もいます。
    さらに根本には、2乗とはかけ算のことだということが、心の底に沁みて理解できていないのが原因なのかもしれません。
    (ab)2=ab×ab だということが、わかっているつもりでわかっていない。
    だから、aabb=(ab)2
    と言われると、ちょっと不安になってしまい、本当にそうかな?と感じてしまうことがあるようです。

    a2b2=(ab)2
    という書き方をしても、これは同じことです。
    そのあたりのルールに不安を感じるのは、
    a2b2=a×a×b×b
    だという根本に揺らぎがあるからかもしれません。

    中1の頃、2乗と2倍の違いがわかっているようでもふっとわからなくなり、
    32=6
    といった誤った計算を繰り返してきた記憶が頭をよぎり、指数法則をすっきりと理解することができない。
    頭が晴れ晴れとクリアーな日は理解できるが、頭の中がよどんでいるように感じる日は理解できない。
    そんなことがあるようです。

    (a2)3=a6
    a2×a3=a5
    こうしたことに対し、
    「え?え?え?」
    といつまでも不安を感じてしまう・・・。

    わからなくなったら、全部書いてみましょう。
    (a2)3
    =(a×a)×(a×a)×(a×a)
    =a6

    a2×a3
    =(a×a)×(a×a×a)
    =a5

    これで理解できれば大丈夫です。
    これでも理解できず、
    a×a×a×a×a=a5 なんですか?初めて知った・・・・。
    と言った高校生もかつていましたから。
    累乗はかけ算だということを心の底に沁みるほど理解できるまで、自分で繰り返し繰り返し、これを具体的にやってみると良いと思います。


    さて、√a・a・b=a√b という仕組み、そして指数法則は理解できるようになったとして。
    だから、最小の自然数nを求めるだけの問題なら解けるようになったとして。
    実はnは1つではなく無数にあるという話になると、今までの理解も吹っ飛ぶほどにわからなくなる人もいます。

    例えば、n=2・3・5・2・2とすると、
    √120n
    =√2・2・2・3・5・2・3・5・2・2
    =√(2・2・2・3・5)2
    =2・2・2・3・5
    =120

    やはり、整数になります。

    nは120の中のペアのいない素数の積2・3・5だけとは限らず、nの中に2の2乗を含んでいても良いわけです。
    したがって、n=2・3・5・2・2=120 としても大丈夫です。

    次のnは、もともと必要な2・3・5の他に、3・3を含む数。
    すなわち、n=2・3・5・3・3=270とすると、
    √120n=√2・2・2・3・5・2・3・5・3・3
    =√(2・2・3・3・5)2
    =2・2・3・3・5
    =180
    これも整数になります。
    よって、n=30、120、270です。


    「整数の性質」という単元は、このようにこれまでの復習内容から始まる、というよりも、小学校や中学校で十分に理解できなかった急所を突いてくる単元なのかもしれません。
    理解できないまま、まあまあまあ、この単元さえやり過ごせば、とごまかしてきたことが濃縮された単元。
    つまりはそれだけ、数学的な考え方や数理の根本を問う単元と言えるのかもしれません。
    復習内容が終われば、この単元は、「合同式」そして「不定方程式」の学習に入ります。
    斜め上どころか、火星方向からやってきた論理が金星方向に抜けていくような凄まじいアサッテ感との闘いとなるかもしれません。
    1問の解説を聞き終わったときには、もう最初のほうがわからなくなっている・・・・。
    論理的に正しいはずのことが、どうしてこんなに淡雪のように儚いのだろう・・・・。
    正しいことなのだろうに、なぜ、こうも確信がもてないのか・・・・。
    大袈裟でなく、そんなふうになってしまうかもしれません。
    しかし、それも、初めて学ぶ、脳に全く道筋のない学習内容だから抵抗感が強いせいだと思います。
    繰り返し学習することで、頭を慣らすのが、何より特効薬と思います。

      


  • Posted by セギ at 15:35Comments(0)算数・数学

    2018年10月14日

    数学の文章題が理解できない理由は何なのか。



    近年、読解力のない子どもが多数存在することがクローズアップされるようになりました。
    国語ができない子は、数学ができない。
    国語ができない子は、そもそも全ての教科の伸びが限定的。
    そのように言われます。

    国語といっても、文学作品の鑑賞力というような話ではありません。
    古文・漢文の素養でもありません。
    本当にシンプルに読解力です。
    実用的な文章に書いてあることをそのまま理解する力。
    それが絶望的に足りない子どもが、近年、多数存在するようになりました。
    確かに、それでは、数学は理解できません。
    単純な計算だけはできるでしょうが、理論は、言葉で説明され、言葉で理解されます。
    言葉を理解できない子は、理論を理解できないと思います。

    問題 ある数の2乗をするところを、誤って2倍してしまったため、計算の結果は19小さくなった。ある数を求めよ。

    これは、2次方程式の文章題です。
    この問題に書いてあることの意味がわからない。
    あるとき生徒にそう言われて、ギョッとしました。
    方程式の文章題は苦手とする子が多いですが、その中では、こうした「数に関する問題」は立式しやすいほうです。
    「速さの問題」「食塩水の問題」「売買の問題」「動点の問題」など、難しい問題は他にもっと存在します。
    この問題が全くわからないというのは、どういうことなのだろう?

    ある数をxとするところまでは、誰でも発想できます。
    ある数の2乗は、x2。
    ある数の2倍は、2x。
    それを表すことはできる。
    でも、19をどうしたらいいのかわからない。
    どちらにたすのか、どちらから引くのか、わからない。
    文が伝えていることの意味が、よくわからない。
    そう言うのです。

    「x2と2xと、どちらが大きいと思う?」
    私は尋ねました。
    「わからない。2乗のほうが普通大きくなるだろうから、大きいんだろうけれど、文章からは読み取れない」
    その子は答えました。
    2乗のほうが普通大きくなる。
    数に対する感覚はむしろ数学センスを感じます。
    私は説明を試みました。
    「計算の結果は19小さい、と言っているから、計算の結果のほうが小さいんでしょう?それなら、2xのほうが小さいよね?」
    「2xのほうが計算の結果?」
    「そう」
    「どうしたら、それがわかるの?」
    「・・・・・」
    いやいやいや、書いてある。
    書いてあるよ?
    何で書いてあるのに、読み取れないの?


    これは想像の域を出ないのですが、このような読解力の子は、文を読むとき、目立つ単語の拾い読みをしているだけなのではないか?
    自立語以外の語句の機能を理解していないのではないか?
    特に助詞の働きを理解しないまま成長しているのではないか?

    つまり、彼らが読んでいる文章は、このようなものなのではないかと思うのです。

    問題 ある数の2乗・・・・2倍・・・・・計算・・結果・・・19小さく・・・・。

    これでは、関係が読み取れません。
    単語と単語とのつながりが理解できない限り、本人に問題文を音読させても、私が読んであげても、上のようにしか読み取れないという点で、絶望的な要素をはらんでいます。
    「よく読みなさい」
    「細部まで読みなさい」
    と言っても、変化はないのです。

    助詞を理解しない子どもは、実は、相当数いるのかもしれません。
    子どもの発する言葉を聴き取ると、助詞を使用しない子どもは多いです。
    それは日常会話だから、で済まされるレベルのことなのでしょうか。
    作文を書けば、助詞を使用できるのでしょうか。
    読解力のない子の大半が作文も苦手なのは、そもそも助詞を使えないので、文を書くことに困難があるのではないでしょうか。

    助詞といっても、「が」「は」くらいは使えると思います。
    問題は、「の」「を」「に」「へ」「と」などを多用する文を使うことができるか、です。
    つまりは、それだけ1文の長い、語句の関係が複雑な文を話したり書いたりすることができるでしょうか?
    日常生活の子どもの言葉に耳を傾けたとき、幼児の頃と同じように助詞を省略した2語文で生活している、ということはないでしょうか?

    努力すれば助詞の働きを理解できなくもないし、使用できなくもないが、普段の読み取りでそこが抜け落ちるということもあるかもしれません。
    単語の拾い読みが習慣化しているため、文を精読し、単語と単語との関係をつかむのが文を読むことだということが、実感としてつかめない。
    単語と単語の関係を把握しながら読解することができない。
    そういう子も多いのかもしれません。

    小学生では、例えば、「倍数と約数」の問題で端的なのは、このような問題です。
    ☐に「倍数」または「約数」を入れなさい。
    (1)8は2の☐です。
    (2)2は8の☐です。

    これが、どちらがどちらなのか、わからないことがあるようです。
    その子の目に、
    (1)8・・・2・・・・☐。
    (2)2・・・8・・・・☐。
    としか見えていないのであれば、それは答えられないと思います。

    目立つ自立語しか読み取らず、その他の部分を読み飛ばす。
    あるいは、目には入っていても、その機能を意識できない。
    それは、おそらく、文字を覚えた頃からの読み癖で、小学校の低学年までは、それで事足りたのだろうと思います。
    それでも文章の意味はわかるので、そういう読み方が本人の中で固定したのかもしれません。
    それが無意識のレベルまで本人の中に浸透し、文章が複雑になったときにも、他の読み方ができなくなっているとしたら?

    もう一度、最初の問題に戻ります。
    問題 ある数の2乗をするところを、誤って2倍してしまったため、計算の結果は19小さくなった。ある数を求めよ。

    この問題がわからないという子は特異な素質を持っていました。
    読解力のない子は、普通、わからないことを伝えるのも諦めてしまいます。
    何がわからないかを伝えるのにも言葉を使わねばなりません。
    読解力のない子の多くは、そうした表現力を持っていません。
    わからないまま、黙る。
    わからないまま、諦める。
    わからないまま、ごまかす方法を獲得する。
    そうして重症化していく子は多いです。
    しかし、その子は諦めませんでした。

    「計算の結果って、どっちの結果?2乗?2倍?」
    「実際に計算したのはどっちなの?誤って2倍したんだから、2倍のほうが実際に計算した結果でしょう?」
    「どこでそれがわかるの?」
    「『ある数を2乗するところを誤って2倍したため計算の結果は』と書いてあるから、2倍したんでしょう?」
    「えー?書いてあるかな?」
    「『誤って2倍した』と書いてあるでしょう?」
    「えー?」
    「書いてあるよ?」

    このやりとりにどこまで効果があったのかは、実際のところは不明です。
    とりあえず類題は正しく立式できるようになりましたが、それはパータン化して覚えただけかもしれせん。
    ただ、思うのは、この子は、現時点では読解力に欠ける面もあるのかもしれませんが、表現力があるということ。
    数学の文章題が解けない他の子とは、そこが少し違うのです。
    その子が何かを伝えようとする限り、靴の上から足の裏を掻くようなもどかしさはあるものの、確実にその子の疑問が伝わってくるのでした。


    もう随分昔の話なので、私が誤解したまま間違った解釈をしているのかもしれませんが、遠い昔、『機動戦士ガンダム』というテレビアニメが初めて放送された頃のこと。
    私は他の同級生と同様に、普通にアニメが好きでした。
    私は「アニメ第1世代」と呼ばれる世代です。
    『宇宙戦艦ヤマト』の劇場公開が成功したのは、その数年前。
    今から考えれば隔世の感がありますが、テレビアニメの総集編を映画館で上映して、それが興行的に成功するなど、当時の普通の大人は予想しなかったのです。
    まして、その続編をオール新作の映画として公開して、初日の映画館前に徹夜で行列を作る若者たちが存在するほどに成功することなど。
    『宇宙戦艦ヤマト』の作品としての価値に、現在の私は何の感想も抱いていませんが、アニメーションの興行的成功としての歴史的意味は大きいと思います。
    そんなわけで、話題のアニメは何歳になっても普通に見る最初の世代に属する私ですが、『起動戦士ガンダム』は、アニメから遠ざかるきっかけになりました。
    むしろ『ガンダム』からアニメに没入していった後の世代とは対照的に。

    あそこに出てくるニュータイプというのが、気持ち悪かったんです。
    機械との親和性が高く、反応が速い。
    そういうことだけなら良いのですが、どうも彼らはニュータイプ同士で瞬時に互いのことを全面的に理解しあうらしい。
    そのことがとてつもなく肯定的に描かれていました。
    主人公がコミュニケーション不全なタイプの少年で、周囲と和解できないまま、否応なく戦争に巻き込まれてロボットで闘っているという状況ですから、ありのままの自分を丸ごと誤解なく受け入れてもらえることは究極の理想だったのかもしれませんが。

    最終回を見て、私ははっきりと声に出してつぶやきました。
    「言いたいことは、言葉にして言いなよ」
    私自身がそんなにコミュニケーションが得意なわけではなかったにも関わらず、あるいは、むしろそれだからこそだったかもしれませんが、声に出してつぶやいてしまうほど、強くそう思ったのです。
    ニュータイプなんかに進化しなくても、人間には言葉があるよ。
    使えよ、言葉を。
    何の努力もせず、丸ごと完璧に自分を好意的に理解してもらおうなんて、甘えているんじゃないよ。
    ああ、こんなアニメを見ている場合じゃない。
    私は、現実と関わろう。

    以後、アニメを全く見なかったというわけではありませんが、心理的距離はかなり開きました。

    わかってほしいことがあるなら、言葉にして伝えないと。
    何かを伝えるにも、何かを理解するにも、言葉を使えば可能なのだから。
    私たちは今もニュータイプには進化していないですが、言葉によって感情を伝え、意思を伝え、情報を伝えることはできるのです。

    しかし、あれから40年、言葉を使えない子は増える一方です。
    頭が悪いわけではないのに国語力の低い子が目立つようになりました。
    国語力の低い子の学力は限定的になってしまうと、私も思います。
    国語ができれば必ず数学ができるとは限りません。
    数学ができるようになるには、数学的な才能も必要です。
    ただ、数学的才能がその子の中に眠っている様子なのに、国語力のせいで開花しないのは、本当に勿体ない。
    意識して文章の読み方を変えたり、自分で文章を書く練習をすることで、単語と単語とのつながりや、そこから意味が生まれる言葉の機能を理解できるはず。
    何歳からでも、遅すぎるということはないはずです。

      


  • Posted by セギ at 15:12Comments(0)算数・数学

    2018年09月30日

    メネラウスの定理。


    高校数A「図形の性質」の学習。
    センター試験にもよく出る定理がこの「メネラウスの定理」です。
    チェバの定理と同様、これも、楽な覚え方をすれば、何でもなく活用できるようになります。
    上の左図で、

    ABFCEA=1
    BF・CE・EA


    ブログでは分数表記をできないので読みにくいと思います。
    テキスト・参考書等で確認してください。

    証明は、ネットで検索したらすぐ出てきます。
    この定理も、証明よりも覚え方、活用の仕方が重要です。
    決して記号で覚えないこと。
    左図のような配置からの順番だけで覚えるのも得策ではありません。
    実際の問題は、左図のような配置になっているとは限らないからです。

    メネラウスの定理も、三角形が基本です。
    その三角形の2辺と、頂点以外で交わる直線があること。
    その直線は、当然、残る1辺の延長線とも交わります。
    この構造の図のとき、メネラウスの定理が使えます。
    まず、三角形の3つの頂点を強く意識します。
    それ以外の点は、「交点」ととらえます。
    あとは、チェバの定理と同じ呪文を唱えます。
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」
    必ず頂点から始め、そこから直接進める交点へ。
    それが最初の分子です。
    その交点から次の頂点へ。
    それが分母。
    その頂点から次の交点へ。
    それが次の分子。
    その交点から次の頂点へ。
    それが分母。
    そうしてひと筆書きをして元の頂点に戻れば、メネラウスの定理を使った式の右辺が完成します。

    左図のような配置だけでメネラウスの定理を覚えてしまうと、実際の問題で三角形と交わる直線の向きがその配置と異なっているとき、メネラウスの定理を使えること自体を発想できなくなりがちです。
    「使えるよ」とヒントを出しても、どう使うのかわからず、図を回転したり首をひねったりと苦戦する子は多いです。
    メネラウスの定理の構造を理解すれば、そういうことはありません。
    頂点Aから始める必要もなく、どこからでも、呪文の通りにひと筆書きをしていけば良いのです。
    どうか「呪文」を、すなわちこの定理の本質を理解してください。
    どんな配置の図でも、どの頂点からでも、メネラウスの定理を使えるようにしておくと心強いです。
    上の左図でも右図でも、頂点BからもCからも、メネラウスの定理は利用できます。
    上の図は反時計回りですが、時計回りも可能です。

    どうか頭を柔軟に。
    それは定理の本質を理解するということでもあります。

      


  • Posted by セギ at 13:25Comments(0)算数・数学

    2018年09月06日

    チェバの定理。


    数A「図形の性質」の学習、今回は、チェバの定理です。
    まずは、左の図が基本です。
    △ABCの内部に点Oをとります。
    各頂点から対辺に向けて、点Oを通る直線を引き、対辺との交点をE、F、Dとします。
    左図の線分AE、BF、CDがそれです。
    すなわち、点D、E、Fは、それぞれ辺AB、BC、CAを内分する点です。
    このとき、
    AD/DB ・ BE/EC ・ CF/FA = 1
    これがチェバの定理です。

    証明は簡単で、三角形の面積の比と線分の比を利用します。
    興味のある方は、ネットで検索するとすぐに証明が出てきます。

    高校レベルの定理にありがちですが、証明を理解して納得したところで、定理は覚えられないことが多いです。
    三角形の面積の公式など、公式が表しているものが求め方の意味そのものだった頃と比べ、公式と証明との間に乖離が生じるのが高校数学です。
    証明は証明として納得した後は、定理は定理で暗記すると良いでしょう。
    いえ、数学センス、図形センスが高度に発達した人の場合、このレベルでもなお、証明が理解できれば、公式は証明そのもの、意味そのものじゃん、暗記とかそういうことじゃないという感覚を抱きます。
    そういう人は「数学は暗記じゃない」と言います。
    一応、その人の言うことも聞いて、証明を理解した後、何も見ないで定理を復元できるか自分で試してみても良いですが、あ、ちょっと無理だなと感じたら、丸暗記したほうが良いと思います。

    「チェバの定理」の場合、暗記は簡単。
    まず、土台は△ABCであることを強く意識します。
    点A、B、Cが頂点です。
    それ以外の点は、交点とします。
    「分点」と呼ぶ人もいますが、同じことです。
    唱える呪文は、
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」。
    始まりは必ず頂点です。
    そこから直接いける交点までが最初の分数の分子。
    その交点から次の頂点までが、その分母。
    その頂点から次の交点までが、次の分子。
    その交点から次の頂点までが、その分母。
    そうやって、頂点から交点へ、交点から頂点へと一周していくのが、チェバの定理です。
    上の左図では、頂点Aから始めていますが、これは頂点Bから始めても頂点Cから始めても同じことです。
    「AD、DB、・・・」と文字で暗記するのは混乱のもと。
    ざっくりと把握し、自由に活用できるようにしておきましょう。

    次に上の右の図。
    点Oが△ABCの外側にある場合です。
    同じように、各頂点から点Oを通る直線を引き、対辺あるいは対辺の延長との交点をE、F、Dとします。
    上の図のように、2つの交点は、外分点、1つは内分点となります。
    この場合も、チェバの定理は成り立ちます。
    上の右図にオレンジ色で書き込んである通り、
    「頂点・交点・頂点・交点・頂点・交点・頂点」
    の順番でひと筆書きでなぞり、最初の頂点に戻れば終了です。
    あくまで△ABCが土台。
    A、B、Cが頂点。
    外分点は交点です。
    それを強く意識すれば、間違えずに最初の頂点に戻ってこられます。
    これも、出発は点Aとは限らず、どの頂点から開始してもその頂点に戻ってこられるよう練習しておくと良いと思います。

    あとは代入とその後の計算の問題です。
    例えば、図のAD:DBの値を求める問題で、他の線分の比は既にわかっているとして。
    AD/DB ・ 1/2 ・ 4/5=1
    という式が立ったその後。
    2AD/5DB=1
    というところまで整理できて、その先で迷ってしまう人がいます。
    このとき、AD:DB=5:2 です。

    これもまた、なかなか納得できない人もいるようで、つまずきポイントです。
    小学校の頃から分数や比が苦手だったことが高校まで尾を引いている子は特に。
    本当に、小学校の算数は諦めずに理解しておいてください。
      


  • Posted by セギ at 13:30Comments(0)算数・数学

    2018年08月23日

    三角形の五心。


    数A「図形の性質」の学習は、どういう問題が試験に出るか、ポイントを絞って勉強すると効果的です。
    しかし、まだ高校生くらいですと「自分がわからないところが試験に出る」という思い込みに惑わされてしまうことがあります。
    不安が勝ってしまうのでしょう。
    具体的には、三角形の五心で試験によく出るのは、外心・内心・重心の3つ。
    まずその3つを攻略し、まだ余力があるなら垂心や傍心の問題にも挑戦したら良いと思います。
    知識・理解を問う、語句の穴埋め問題で「垂心」「傍心」が出題されることは勿論あります。
    しかし、外心・内心・重心の問題が出ていないのに傍心が大問として出ることは、定期テストではまずないと考えて良いでしょう。

    生徒にそのように説明するのですが、それでも、
    「傍心がわからない」
    「垂心を教えて」
    「垂心か傍心の問題を解きたい」
    と、テスト直前、テスト対策をする大切な授業の日に本人が強く言うので、仕方なくそうした演習したこともありました。
    定期テストが終わってテストを見ると、やはり垂心・傍心の問題は出題されていませんでした。
    一方、必ず出ると予想された外心・内心・重心に関する典型題の出来はグダグダ。
    「外心や内心は自分で勉強できるから大丈夫」
    と本人は言っていたのですが。
    テスト前、最後の1回の授業を私の思うように使わせてくれたらと悔やむことは多いです。

    三角形の五心。
    学習して時間が経ってしまうと、定義もわからなくなっている人が大半ではないでしょうか。
    五心は、まずは定義の理解が重要です。
    三角形には、ある条件を満たす3本の直線が1点で交わるという不思議な性質があります。
    2直線は1点で交わるでしょうが、その交点を3本目の直線も必ず通るのですよ。
    偶然ではなく、必ず。
    よく考えたらとても不思議なことで、三角形というのは凄い図形なのです。


    まずは外心。
    三角形の3辺の垂直二等分線は1点で交わる。
    この点を三角形の外心という。
    外心は三角形の外接円の中心である。

    内心。
    三角形の3つの内角の二等分線は1点で交わる。
    この点を三角形の内心という。
    内心は三角形の内接円の中心である。

    重心。
    三角形の3つの中線は1点で交わり、その点で各中線は2:1に内分される。
    この点を三角形の重心という。

    垂心。
    三角形で、3つの頂点から対辺に引いた垂線は1点で交わる。
    この点を三角形の垂心という。

    傍心。
    三角形で、1つの内角の二等分線と他の2つの外角の二等分線は1点で交わる。
    この点を三角形の傍心という。
    傍心は1つの三角形について3つある。
    傍心は、三角形の傍接円の中心である。


    定義だけでも、傍心はわかりにくいですね。
    まず傍接円をイメージできれば、傍心も少しはイメージしやすくなります。
    三角形の3辺の両端を延長し、3本の直線としましょう。
    そして、その三角形の外側に、その3本全ての直線と接する円を描きます。
    1つの辺と他の2辺の延長線とで三方を囲まれた円が、円の外側に3つ描けます。
    それが傍接円です。
    その中心が傍心です。
    傍接円は、直線に接しているのですから、傍心と接点を結んだ線分は三角形の各直線に垂直です。
    すなわち、傍心から各直線に下した垂線が重要な役割を果たします。
    また、傍心と各頂点とを結んだ線分も、それぞれの内角や外角の二等分線なのですから重要です。
    この合計6本の線分が問題を解く鍵となります。
    傍心の問題が解けない原因の第一は、この6本の線分を引いていないことです。
    とにかくその6本を引くのが、問題を解く鍵です。
    6本の線分を引くと、合同な三角形、特に使い勝手の良い直角三角形がザクザク現れてくるのです。
    それで問題の構造が見えてきます。

    傍接円そのものは、描いても描かなくても大丈夫です。
    描くのは自由ですが、その線が濃すぎるとむしろ邪魔になります。
    きれいな円を描こうとして、デッサン的に、細かい線の集積のような太くて濃い円をぐりぐりと描いてしまうと特に邪魔です。
    円を描きたいときは、1本の線で薄く描きましょう。
    描かずに済むなら描かず、心の目で円を見ているほうが良い場合も多いです。

    傍心は、そんなにテストに出ません。
    数年前、センター試験の追試に出題されましたが、傍心の問題だと気づかずに解いた人が多いのではないかと思います。
    追試は、本試験よりも難しいので傍心が出ることもありますが、傍心だと気づかなくても解ける問題でした。

    定期テスト対策としては、自分がわからないことがテストに出る、という謎の怯えから脱却することが大切です。
    大学入試で多く扱われることが、高校の定期テストに出ます。
    外心・内心・重心の学習は怠りなく。
    それが十分できてから、垂心・傍心。
    「嫌い」
    「こんなの、わからない」
    と感情的な反発をしているのは時間の無駄ですから、定義と性質をしっかり理解し、易しい基本問題を解いて、自分が本当に理解しているか確認してから、応用問題に進むと良いと思います。
    学校の問題集を1回解くだけの勉強をしている人は、基本問題で間違えても復習せず、そのまま応用問題に突き進み、基本がわかっていないのですから当然応用問題が解けるわけがなく、
    「嫌い」
    「わからない」
    と感情的に反応しがちです。
    それでも基本の定義や性質を復習することはせず、
    「特に傍心がわからない」
    「わからない。わからない。わからない」
    とパニック状態のまま定期テストを受け、テストが返ってきて、
    「やっぱり図形は嫌い」
    というあまり有益ではない感想を口にして終わってしまいます。

    勉強のやり方を変えたほうがいいんじゃないかな?
    少しでもそういう反省に結びついたら、悪い結果のテストも意味があると思うのです。

      


  • Posted by セギ at 10:49Comments(0)算数・数学

    2018年08月08日

    高校数Aの図形の学習。


    現行の高校1年生の数学は、数Ⅰと数Aに分かれています。
    数Ⅰの単元は「数と式」「2次関数」「三角比」「データの分析」。
    数Aの単元は、「場合の数と確率」「図形の性質」「整数の性質」。
    中学で発展的な数学の学習をしている場合、高校数A「図形の性質」はほとんど学習済みの内容ですので、この単元は夏休みの課題として自習し、夏休み明けに課題テストをします、ということで済ませてしまう高校もあります。

    現行のセンター試験数ⅠAは、数Ⅰの全単元が必答問題。配点60点。
    数Aの3つの単元はそれぞれ大問になっていて、3つの大問から2つを選択します。配点40点。
    このとき、図形は苦手だからと「場合の数と確率」「整数の性質」しか選ばない子が結構いますが、問題を全部解いてみると、「図形の性質」が結局一番得点しやすいということもあります。
    「場合の数と確率」はものの考え方のソリが合わず、問題の後半は全く得点できない子が多いのです。
    特に最後の問題は細かい場合分けが必要で、解くのに時間もかかります。
    「整数の性質」は、公倍数・公約数までは何とかなるようですが、不定方程式やn進法は、高校1年の終わりにぽつんと学習してそれっきりの印象があり、公式や解法を何だかすぐ忘れてしまうようで、身につかない子が多いです。
    また、センター試験の問題は不定方程式の基本問題ではなく、癖が強くてよくわからないという子も多いのです。

    でも、「図形」は嫌いだから、選ばない。(^-^;

    結局、数Aはどの単元も苦手という子が多いのです。
    文系で、数ⅠAだけは仕方なく入試科目にしている子には特に負担が大きいのが数Aのようです。
    そんな中で、図形を攻略できると、選択の余地が広がります。

    なぜ図形が苦手なのか?
    理由は本当にさまざまですが、根本は、重要な定義や定理を覚えていない。
    これに尽きます。
    頭に入っていないから使えない。
    定理を使って問題を解くことができない。

    逆にいえば、それさえ解消すれば、図形はある程度の得点を見込める単元になります。
    満点は難しい。
    でも大きな崩れもない。
    「確率」や「整数の性質」の危なっかしさに比べると、むしろ安定して得点できるかもしれません。

    しかし、正直、高校3年生の夏になって、図形分野の攻略などやっている時間的余裕のある受験生はいないと思います。
    そんな時間があるのは高校1年の夏。遅くとも高校2年の夏。
    この夏、図形を攻略したい人は、中学で学んだ基本定理に戻って復習すると良いでしょう。
    中2の数学からで構いません。
    「平行線と角」「図形の合同」「三角形」「四角形」。
    中3の数学は、
    「相似」「円」「三平方の定理」。
    数Aの図形は、そこから半歩しか先に進みません。
    新しく学ぶ内容はいくつもありません。
    「三角形の五心」「角の二等分線の定理」「接弦定理」「チェバの定理」「メネラウスの定理」「方べきの定理」。
    その程度です。

    以下、中学で学ぶ重要定理をおさらいしておきます。
    箇条書きにしてみると、重要定理は案外少ないのです。
    以下の定理の逆が言えることが多いのですが、それを書くと分量が増えて、気持ちの負担が増すと思いますので、今回、あえて逆は省略しています。

    ◎対頂角は等しい。
    ◎平行線の同位角は等しい。   
    ◎平行線の錯角は等しい。     
    ◎平行線の同側内角の和は180°。   
    ◎三角形の内角の和は180°。
    ◎三角形の外角は、隣り合わない内角の和に等しい。
    ◎三角形の合同条件。
     3組の辺がそれぞれ等しい。
     2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい。
     1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい。
    ◎二等辺三角形の底角は等しい。
    ◎二等辺三角形の頂角の二等分線は、底辺を垂直に2等分する。
    ◎直角三角形の合同条件。
     斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい。
     斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい。
    ◎平行四辺形の対辺は等しい。
    ◎平行四辺形の対角は等しい。
    ◎平行四辺形の対角線はそれぞれの中点で交わる。
    ◎平行線と線分の比。(図が必要な定理ですので、テキスト等で確認してください)
    ◎三角形の相似条件
     3組の辺の比がすべて等しい。
     2組の辺の比が等しく、その間の角が等しい。
     2組の角がそれぞれ等しい。
    ◎中点連結定理。
    ◎内角の二等分線の定理。
    ◎外角の二等分線の定理。
    ◎三角形の線分の比と面積比。
    ◎相似な三角形の面積比は相似比の2乗。
    ◎三平方の定理。
    ◎円周角の定理。
    ◎円に内接する四角形の定理。
    ◎接弦定理。

    もう終わりました。
    中学3年間かけても、これしか勉強していないのです。
    十分、取り返せます。
    復習は可能です。

      


  • Posted by セギ at 14:43Comments(0)算数・数学

    2018年07月20日

    事後に考えた条件付き確率。


    今回は「事後に考えた条件付き確率」です。
    例えば、こんな問題です。

    例題
    赤玉5個、白玉2個が入っている袋から1個ずつ続けて2個の玉を取り出した。2個目の玉が白玉であったとき、1個目の玉が白玉である確率を求めよ。

    まずは公式を使わず、場合の数を用いて、これを求めてみましょう。
    玉の数は合計7個。
    それぞれの玉は色は同じでも別の玉と認識します。
    今回、2個目の玉は白玉であったことが確定しています。
    ですから、2個目の玉が白玉である場合は何通りあるのかを考えます。
    これは場合分けの必要があります。
    すなわち、赤白の順番で出た場合と、白白の順番で出た場合と。
    赤白の順に玉が出る場合の数は、
    5×2=10(通り)
    白白の順に玉が出る場合の数は、
    2×1=2(通り)
    よって、合計で、10+2=12(通り)であるとわかります。
    条件付き確率は、この12通りが全体の場合の数となります。
    2個目が白玉であるという条件下で1個目が白玉である確率は?ということだからです。
    この12通りのうち、1個目も白玉であったのは、上の計算のように2通りです。
    ですから、2個目が白玉であったとき、1個目も白玉であった確率は、2/12=1/6
    これが答えとなります。

    難しくありません。
    条件付き確率は、条件がついたことで全体の場合の数が限定されるだけなのです。
    ただ、高校数学では、上のように場合の数をいちいち求めたりせず、確率で処理します。
    そのためにあるのが公式です。
    公式は直観では意味を把握できないかもしれません。
    そのため、
    「わからない、わからない」
    と混乱してしまう人がいます。
    わからなくなったら、上の、場合の数の考え方に戻って確認してみてください。

    条件付き確率の公式は、
    PA(B)=P(A∩B)/P(A)
    今回は、2個目がわかってからさかのぼって考えますので、この公式を利用して、
    PB(A)=P(B∩A)/P(B)
    と考えたほうがわかりやすいでしょう。
    これが、事後に考えた条件付き確率の公式です。
    1個目の玉が白である事象をA、2個目の玉が白である事象をBとします。

    分母であるP(B)は、2個目が白玉である確率。
    やはり場合分けして求めます。
    赤白の順に玉が出る確率は、
    5/7・2/6=10/42
    白白の順に玉が出る確率は、
    2/7・1/6=2/42
    この2つは互いに排反ですから、2個目が白玉である確率は、
    10/42+2/42=12/42 となります。

    分子であるP(B∩A)は、2個目が白で、かつ1個目も白である場合の確率。
    すなわち、白白の順に玉が出る確率ということですから、
    2/7・1/6=2/42

    よって、
    PB(A)=2/42÷12/42=2/12=1/6
    これが、答えです。

    場合の数を用いて求めたさきほどの数字と見比べてください。
    似ています。
    2が2/42 に。
    12が12/42 になっているだけです。
    それぞれ、全体の場合の数42が分母としてついているだけです。
    確率として式を立てたために、それらが分母についているだけ。
    その分母は計算するときに払うことができます。
    だから、場合の数÷場合の数で計算しても、確率÷確率で計算しても、結果は変わらないのです。

    確率÷確率 でも、場合の数÷場合の数 と同じ結果が出る。
    条件付き確率の公式が示していることは、そういうことです。

    ところで、前回でもそこを詳しく書いたつもりだったのですが、計算式をズラズラ書いてあるところは読みにくいのかもしれません。
    上手く頭に入ってこない。
    つい斜め読みになる。
    理解するために一番重要なところがそこなのに、1人で読んでいてはピンとこない場合もあると思います。
    自学の難しさはそこにあります。
    何が重要であるか、自分ではわからない。
    読み流したことが最も重要なことかもしれません。

    あるとき、高校生に「2次関数」の授業をしていて、

    平方完成をした一般式
    y=a(x-p)2+q
    このとき、軸は直線x=p、頂点(p,q)

    という、2次関数の前半の学習で最も大切なところをわかっていない子がいました。
    理解できていないのは仕方ないのですが、
    「学校で習っていない」
    と主張するのです。
    これを教えない数学の授業などありえません。
    学校の授業ノートを見せてもらったら、やはり、ノートに書いてありました。
    ただ、全てシャーペンで、黒1色。
    ズラズラと行替えもせずに書かれて他の内容の中に埋没していたので、私は天を仰ぎました。
    「これは、真っ赤で書いて、青マーカーで囲んでおくようなところだよ」
    「だって、うちの先生、色分けしないから」
    「もう高校生なんだから、重要度は自分で判断しよう」

    しかし、それが無理な子がいるのも、現実問題としてわかります。
    何が重要かという視点を持てず、学習した記憶のあることは重要、思い出せないことは習っていない。
    そのように感情的な判断をし、定期テストが壊滅的な結果になってひどく落ち込むのですが、原因が何であるかの分析もやはり感情的。
    サポートの必要な子は多いです。

    基本がわかっていない。
    重要なことがわかっていない。
    テストに何が出るか、わかっていない。

    それを解消するだけで、テストの点数は劇的に上がっていきます。
      


  • Posted by セギ at 11:42Comments(0)算数・数学

    2018年07月16日

    確率の乗法定理。



    今回も「場合の数と確率」の続きです。
    確率の乗法定理について学習しましょう。

    まずは、条件付き確率の公式。
    PA(B)=P(A∩B)/P(A)
    これの右辺と左辺を入れ替えると、
    P(A∩B)/P(A)=PA(B)
    両辺にP(A)をかけると、
    P(A∩B)=P(A)・PA(B)
    これで出来上がり。
    これが確率の乗法定理です。

    何だか難しそうですが、乗法定理というのは、要するに、確率と確率をかけても良いということです。
    例えば、こんな問題。

    例題 3本の当たりくじを含む8本のくじがある。このくじをa、bの2人がこの順に1本ずつ引く。ただし、くじはもとにもどさないものとする。このとき、aが外れ、bが当たる確率を求めよ。

    8本のうち3本が当たりですから、外れは5本です。
    aが外れる確率は、5/8 となります。
    その後、bが引きますが、そのとき、くじはもう7本しか残っていません。
    そのうち、当たりは3本です。
    だから、bが当たる確率は、3/7です。
    したがって、aが外れ、bが当たる確率は、
    5/8・3/7=15/56
    これが答えとなります。
    確率×確率で解いていけるということです。
    簡単ですね。ヽ(^。^)ノ

    では、こんな問題はどうでしょう。

    例題 12本のくじの中に当たりくじが3本ある。a、bの2人がこの順番にこのくじを引くとき、bが当たる確率を求めよ。引いたくじは元に戻さないものとする。

    これは、場合分けをして求めなければなりません。
    すなわち、aが当たりbも当たる場合と、aが外れbが当たる場合とです。
    この2つは確率が異なるので、それぞれを求めて最後に足す必要があります。

    まず、aが当たる確率は、3/12。
    この後、bが当たる確率は、くじは全部で11本、当たりくじは2本ですから、2/11。
    したがって、aが当たりbも当たる確率は、3/12×2/11=6/132となります。

    次に、aが外れbが当たる場合。
    aが外れる確率は、9/12。
    その後、くじは全部11本、当たりくじは3本ですから、bが当たる確率は、3/11。
    したがって、aが外れbが当たる確率は、9/12×3/11=27/132。

    aが当たりbも当たる場合と、aが外れbが当たる場合は、互いに排反ですから、この確率は単純に足すことができます。
    よって、bが当たる確率は、6/132+27/132=33/132=3/12=1/4。

    ところで、aが当たる確率は、3/12=1/4ですから、aが当たる確率もbが当たる確率も等しいとわかります。

    実は、くじに当たる確率は、引く順番と関係なく等しいのです。
    先に引いたほうが有利とか、後に引いたほうが有利ということはないのです。
    え?本当に?と感じますよね。

    ただし、これは少し説明が必要です。
    aがくじを引く前の段階では、aが当たる確率も、bが当たる確率も等しいということです。
    でも、aがくじを引いてその結果がわかった瞬間から、bの当たる確率は変わってきます。
    aが当たった後では、bが当たる確率は低くなりますし、aが外れた後なら、bが当たる確率は高まります。
    このときのbが当たる確率こそが、前回学習した「条件付き確率」。
    まだaがくじを引いていない最初の段階でbの当たる確率とは違うのですね。

    考え方がわかったところで、単純な計算上の工夫を。
    確率を最終的に足さなければならないことがわかっている問題では、計算の途中では約分をしないことをお薦めします。
    上の問題で言えば、6/132も27/132も約分できますが、その段階では約分しません。
    これを、6/132=1/22、27/132=9/44とすぐに約分し、足すときになって、
    1/22+9/44=2/44+9/44
    と、また通分するのは無駄なことだからです。
    上の問題くらいシンプルならば良いのですが、もっと何通りもに場合分けして、それを最終的に足していくことも多いです。
    そのいちいちで約分し、最終的に足すときにはまた通分する人がときどきいます。
    時間の無駄であるだけでなく、約分の途中、通分の途中で計算ミスを犯すリスクが高まります。

    実際には、そう注意しても、約分が癖になっていて、ついやってしまう人がいます。
    計算ミスをしやすい人ほど、リスクの高い方法で計算してしまう癖があると、こういうときに感じます。
    作業が増えるだけ計算ミスは増えるということを頭の隅において、気づいたときだけでも約分をやめてみてください。
    随分計算しやすくなり、また速く計算できるので、びっくりすると思います。
    ヽ(^。^)ノ

      


  • Posted by セギ at 13:41Comments(0)算数・数学

    2018年07月11日

    条件付き確率。


    本日は「条件付き確率」です。
    教科書やテキストの説明を読むだけだと何だか難しく感じるのが、この「条件付き確率」です。
    例えば、こんな問題です。

    例題 あるコンサートの入場者のうち、40%が高校生で、前売りを買って入場した高校生は全体の35%だった。入場者の中から任意の1人の高校生を選びだしたとき、その人が前売りを買っている確率を求めよ。

    わかりにくいので、まず人数を具体的に設定して考えてみましょう。
    あるコンサートの入場者は100人だったとします。
    入場者の40%が高校生なのですから、その人数は、
    100×0.4=40(人)となります。
    また、前売りを買って入場した高校生の人数は、
    100×0.35=35(人)です。
    つまり、高校生40人のうち、前売りを買った人は35人。
    よって、任意の1人の高校生が前売りを買っている確率は、
    35/40=7/8
    となります。

    高校生を選びだしたときに、分母、すなわち「全体の場合の数」が変わるんです。
    「高校生である」という条件が付いたので、分母が変わります。
    これが「条件付き確率」です。
    そんなに難しくはありません。

    しかし、上のようにいちいち100人に例えて計算するのは煩わしいですね。
    公式を作っておきたいです。

    ここで、「集合」の復習。
    集合の要素の個数の表し方は、nを用いるのでした。
    ある有限集合Aの要素の個数は、n(A)と表します。
    上の例で言えば、全体集合の個数は、n(U)=100。
    高校生の集合をAとすると個数は、n(A)=40。
    前売りを買っている人の集合をBとすると、その個数は、n(B)。
    高校生で前売りを買っている人の集合の個数は、n(A∩B)=35。
    この条件付き確率は、n(A∩B)/n(A)=35/40 となります。

    ところで、分数の性質として、分母・分子を同じ数で割っても、値は変わりません。
    分子を全体集合の個数n(U)で割ると、その式は、
    n(A∩B)/n(U) となり、これはA∩Bの確率を表す式ですね。
    だから、n(A∩B)/n(u)=P(A∩B)となります。
    確率はPで表すのでしたね。
    n(A)を全体集合の個数n(U)で割ると、その式は、
    n(A)/n(U)=P(A)となり、これは、Aの確率。
    よって、条件付き確率は、P(A∩B)/P(A)で求めることができます。
    本来、個数で処理するはずのところを確率で代用できるのです。
    これが条件付き確率の公式です。
    PA(B)=P(A∩B)/P(A) と表記します。
    PA(B)のAという文字は、本当はもっと小さく、Pの下半分のサイズで書きます。

    この公式を利用すると、上の例題は、
    高校生である確率、P(A)=0.4
    前売りを買った高校生である確率、P(A∩B)=0.35
    よって、この条件付き確率は、
    PA(B)=0.35/0.4=35/40=7/8
    公式で簡単に求めることができます。

    さて、この条件付き確率は、この形の公式よりも、これを変形したもののほうが使い途があります。
    PA(B)=P(A∩B)/P(A)
    両辺をひっくり返すと、
    P(A∩B)/P(A)=PA(B)
    両辺にP(A)をかけると、
    P(A∩B)=P(A)・PA(B)
    このように変形した公式を「確率の乗法定理」といいます。
    大変使いやすい定理です。

    例題 黒玉が4個、白玉が7個入っている袋がある。この袋から玉を元に戻さずに1個ずつ2回取り出すとき、2個とも白玉である確率を求めよ。

    1回目に白玉が出るという事象をA。
    2回目に白玉が出るという事象をBとします。
    1回目に白玉が出る確率は、全部で11個の玉のうち、白玉が7個ですから、
    P(A)=7/11 となります。
    次に、2回目も白玉が出るのは、1回目に白玉が出ているという条件があっての確率、すなわち条件付き確率PA(B)となります。
    1回目に玉を1個取り出していますから、袋の中の全体の玉の数は10個。
    そのうち白玉は、1つ減っていますから、6個。
    したがって、PA(B)=6/10。
    よって、2個とも白玉である確率は、
    P(A∩B)=P(A)・PA(B)=7/11・6/10=21/55
    となります。
    PA(B)といった記号が難しそうに見えるだけで、実感としては何も問題なく、使いやすい公式です。
    確率×確率で計算していけると、今までよりもシンプルに解いていける問題が増えてきます。

      


  • Posted by セギ at 12:53Comments(0)算数・数学

    2018年07月04日

    独立試行の確率。



    今日は「独立試行の確率」です。
    例えば、こんな問題です。

    例題 
    白玉2個、赤玉6個が入った袋がある。この袋から玉を1個取り出して色を調べてから元に戻す。このとき、1回目に赤玉、2回目に白玉が出る確率を求めなさい。

    玉は全部で8個。
    そのうち、赤玉が6個ですから、1回目に赤玉が出る確率は、6/8、すなわち、3/4です。
    白玉は2個ですから、白玉の出る確率は、2/8、すなわち、1/4です。
    玉はその都度袋に戻していますから、この2つの試行は互いに影響しあうことがありません。
    ですから、1回目が赤玉で2回目が白玉になる確率は、3/4・1/4=3/16となります。

    (1回目の確率)×(2回目の確率)で求められることは、このくらい易しい問題だと何の疑問も感じないようなのですが、この先、もっと問題の難度が上がったときに、
    「何でかけ算なんですか?」
    と質問する高校生がいます。
    実は基本がわからなかったのに何となくスルーしていると、応用問題には対応できなくなります。
    わからなくなったら、基本に戻りましょう。

    なぜ確率×確率で計算できるのか?
    今までの確率の求め方と、確率×確率は、実は同じ式になるのです。
    今まで通りのやり方で式を立ててみましょう。
    まずは、全体の場合の数を求めましょう。
    袋の中に玉は8個ですから、1回目と2回目で全体の場合の数は、8×8。
    そのうち、1回目の赤玉は6通り、2回目の白玉は2通りの玉の出方がありますから、6×2。
    よって確率は、6×2 / 8×8 = 3×1 / 4×4 = 3/16
    上の求め方と数字上は同じ式、同じ答えになりますね。
    これを一般化して、文字で表しても、やはり同じ式、同じ答えになるのです。

    さて、次の問題。
    白玉2個、赤玉6個が入った袋から玉を1個取り出し、色を調べて元に戻す試行を繰り返す。3回目に初めて赤玉が出る確率を求めなさい。

    問題の書き方に戸惑う人もいます。
    3回目に初めて赤玉が出るとは、どういうことなのか。
    1回目と2回目は赤玉ではなかったということです。
    それは、つまり1回目と2回目は白玉だったということ。
    この問題は、1回目に白玉、2回目に白玉、3回目に赤玉が出る確率ということです。
    だったら、先ほどの問題と大差ないですね。
    1/4・1/4・3/4=3/64
    答えは、3/64となります。

    式はシンプルなのですが、この問題の難しさは、「3回目に初めて赤玉」という条件の分析の仕方にあるのでしょう。
    これが、白・白・赤の順に玉が出たことだと分析できない高校生は案外多いのです。
    説明されれば、わかる。
    でも、自力では分析できない。
    異口同音にそのように言います。
    では、「3回目に初めて赤玉が出た」とはどのようなことだと感じるのかと問うと、1回目・2回目にどんな玉が出たのかは謎のままのように感じると言うのです。

    これは、読解力と関係のあることかもしれません。
    「変な行間は読まないで。必要なことは文章の中に全部書いてあるから」
    と私は生徒に繰り返し言います。
    「3回目に初めて赤玉」ならば、白・白・赤の順に玉が出ています。
    これは、「行間」ではないのです。
    書いてあることです。
    そのようにしか読み取れない形で書いてあります。

    この場合の「変な行間」とは、例えば、
    「赤玉くんは、出たくなかったんだね。袋の住み心地がいいのかな」
    とか、
    「玉を袋から出しているこの人は、赤玉に出てほしかったんだなあ。赤玉が出るといいことがあるんだね」
    とかいうものです。
    そんなことは、問題文には書いてないです。

    子どもの読書指導をすると、こういう擬人化したもの言いや感情移入は子どもらしくて可愛らしいものですから、つい褒めてしまうことがあります。
    想像力があって素晴らしいというのですね。
    大人に「ウケる」と、子どもは、その方向で良いのだと思ってしまいます。
    しかし、こういう読み取り方は「想像力」というほどのものではありません。
    整合性を気にする必要がないので、あまり頭を使わなくてもこうした読み方は簡単にできますから、こんなことばかりに逃げて、正しい読み取りの姿勢が育たなくなる可能性もあります。
    「赤玉くん」が本当に出たくなくてふんばっていたのなら、前後にそれを示す描写が必ずあります。
    袋から玉を出している人が赤玉を出すことを強く望んでいる場合も同様です。
    この問題文だけからでは、それは読み取れないことです。

    今、数学の問題文でこんなことを書いているから奇妙ですが、小説の読み取りなどでも、自分の勝手な感情移入で書いていないことを読んでしまう生徒はいます。
    勝手な読み取りを「自由な読み取り」「想像力が豊かな読み取り」と褒めてもらえた幼い時代のままなのかもしれません。

    数学の問題があまりにも無機質なのがつらくて、擬人化や感情移入で緩和しているのなら構いません。
    心情的にはどうであれ、この問題文から読み取れることは「白・白・赤の順に玉が出ていること」です。
    それを読み取ることが読解です。

    書いてあることを正確に読み取ること。
    深く読み取ること。
    どの科目の問題文であれ、そのように読んでいけば、正解は見えてきます。


    では、こんな問題はどうでしょう。

    問題
    袋に白玉2個、赤玉6個が入っている。この袋から玉を1個取り出し、色を調べて元に戻す。これを3回繰り返すとき、3回とも同じ色が出る確率を求めなさい。

    3回とも同じ色。
    それは具体的にはどういうことでしょうか?
    白・白・白と連続して玉が出た場合。
    赤・赤・赤と連続して玉が出た場合。
    この2つです。
    このように具体的に分析できれば、式を立てることができます。
    白白白の確率は、1/4・1/4・1/4=1/64。
    赤赤赤の確率は、3/4・3/4・3/4=27/64。
    この2つの事柄は同時には起こりません。
    かぶる部分がありません。
    ですから、確率は単純に足して良いです。
    したがって、求めたい確率は、1/64+27/64=28/64=7/16となります。

    この問題も、説明されればわかるけれど自力では発想できないと生徒に相談されることの多い種類の問題です。
    これも読解力でしょう。
    「3回とも同じ色」と言われたら、それが具体的にどういうことであるかを分析すること。
    字面の表面を追うのではなく、具体的なイメージを持つこと。
    それが読解だと思います。

    数学という科目の好き嫌いとは別の次元で「確率」という単元の得意苦手が大きく分かれる原因の1つは、問題文をどう読解・分析するか、その得手不得手かもしれません。


      


  • Posted by セギ at 12:32Comments(0)算数・数学

    2018年06月26日

    反復試行の確率。



    今回も「確率」の学習。
    次は「反復試行の確率」。
    例えば、こんな問題です。

    例題
    袋の中に白玉2個、赤玉6個が入っている。この中から玉を1個取り出し色を調べてから袋に戻す。これを5回繰り返したとき、白玉がちょうど3回出る確率を求めよ。

    今までと同じようでいて、実はかなり違うタイプの問題です。
    赤玉白玉の出方の順番がわかりません。
    5回のうち、とにかく白玉が3回出る。
    言い換えると、どこで白玉が出るかは自分で考えて場合分けしなければならないということです。
    例えば、白白白赤赤という出方と、白白赤白赤という出方は、異なる玉の出方であり、それぞれに固有の確率があります。
    それぞれの場合ごとに確率を計算して、最終的にそれらを足せば答えとなるでしょう。

    「なぜ場合分けしなければならないのか、そこからわからない」
    という質問を受けることがあります。
    異なる出方があるなら、1つ1つ場合分けし、それぞれの確率を足すのだということをまず理解しましょう。
    白白白赤赤という出方と、白白赤白赤という出方は異なる出方です。
    そのそれぞれに確率があるのです。

    5回のうち3回白玉が出る。
    さて、場合分けしましょう。
    5回のうち3回白玉なら、残る2回は赤玉となります。
    その並べ方は、
    白白白赤赤
    白白赤白赤
    白白赤赤白
    白赤白白赤
    白赤白赤白
    白赤赤白白
    赤白白白赤
    赤白白赤白
    赤白赤白白
    赤赤白白白
    以上の10通りに場合分けされます。
    では次に、そのおのおのの確率を求める式を立ててみましょう。

    白白白赤赤 は、1/4・1/4・1/4・3/4・3/4
    白白赤白赤 は、1/4・1/4・3/4・1/4・3/4
    白白赤赤白 は、1/4・1/4・3/4・3/4・1/4
    白赤白白赤 は、1/4・3/4・1/4・1/4・3/4
    白赤白赤白 は、1/4・3/4・1/4・3/4・1/4
    白赤赤白白 は、1/4・3/4・3/4・1/4・1/4
    赤白白白赤 は、3/4・1/4・1/4・1/4・3/4
    赤白白赤白 は、3/4・1/4・1/4・3/4・1/4
    赤白赤白白 は、3/4・1/4・3/4・1/4・1/4
    赤赤白白白 は、3/4・3/4・1/4・1/4・1/4

    こうして一覧にしてみますと、同じような分数ばかり並んでいるのがわかります。
    要するに、どの場合も、1/4を3回、3/4を2回かけるのですね。
    各行は、(1/4)3(3/4)2
    とまとめることができます。
    ( )の後ろの半角の文字は指数として読んでください。
    で、これを全部足します。
    同じものを10個足すのですから、それは×10と同じこと。
    つまり、この問題は、10(1/4)3(3/4)2という式で求めることができます。

    この10という数字を計算で求めることはできないでしょうか?
    白3個、赤2個を並べる並べ方。
    これは、以前に学習した「同じものを含む順列」の公式で求めることかできます。
    全体でn個のうち、同じものがp個、また別の種類の同じものがr個あったときの順列は、
    n!/p!r!・・・
    という式で求めることができるのでした。
    また、n=p+rであるのなら、それは、nCpという組合せの式と同じものでした。
    ですから、白玉3個、赤玉2個の並べ方は、
    5C3=5・4・3/3・2・1=10 と計算できます。

    さあ、これで、反復試行の確率の公式が導かれました。
    Aという事象の確率をpとするとき、n回の試行のうちr回Aという事象の起こる確率は、
    nCr・pのr乗・(1-p)の(n-r)乗
    公式で書くと余計わからないと非難轟々の公式ですが、問題を解くことで練習を繰り返し、慣れてしまえば使えるようになります。

      


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