たまりば

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2019年06月17日

1学期中間テストの結果が出ました。2019年。


1学期中間テストの結果が出ました。

数学 70点台 1人 60点台 1人 50点台 2人
英語 80点台 1人 50点台 1人 40点台 2人

受験が終わり、新学期になり、塾生の顔ぶれもかなり変わりました。
さあ、まずはここから。
前回、数学が40点台、英語が30点台だった人は、順調に上昇しました。


数学の成績が思うように伸びない高校生の保護者の方からこんなふうな相談をされることがあります。
「数学はこつこつ勉強しているようなんですが」

数学をこつこつ・・・。
それは、数学を勉強している時間は長いのだろうけれど、質や量の面はどうなのかなあ・・・。
つい、そう考えてしまいます。

大半の高校は、問題集を生徒に配っています。
定期テスト範囲としてその問題集からページ指定があり、テスト当日の朝にそのページの問題を解いたノートを提出するのがルールです。
数Ⅰと数A、数Ⅱと数Bのように、高校数学は2科目あります。
1回のテスト範囲でそれぞれ15ページから20ページのテスト範囲が指定されます。

数学が苦手な子は、高校数学の問題集を1ページ解くのに、2時間から3時間かかります。
数学2科目で合計30ページの問題集を1回解くのに最低で60時間かかる計算になります。
確かに数学をこつこつ勉強しているでしょう。
けれど、それでもテスト範囲の問題集を1回解いただけなのです。

その1回の中身も、質的にかなり怪しいのが実状です。
公式を覚えていないので、教科書や問題集の解答解説と首っぴきで解いているのではないでしょうか。
公式を代入するだけの基本問題ですら、教科書でその公式を見ながら代入しています。
定期テスト必出の典型題も、解答解説を見ながら解いているだけです。

そのように解答解説を見ながら解いても、それなりに時間はかかります。
式を書き写した後は、自分で計算しようとする子が大半です。
完全に答えを書き写しているという意識が本人にはなく、ただわからないところだけ参考にしているつもりですから、当然そうなります。
そうやって計算し終わって解答を見ると、間違っている・・・。
どこかで計算ミスをしているのです。
どこで計算ミスをしたのか?
その発見と直しに、また時間がかかります。
問題集を1回解き終わる頃には定期テスト前日になっています。

その状態で定期テストを受けると結果はどうなるか?
公式だけは、直前に暗記して、テスト用紙の上のほうに急いでメモしたとしても。
どの問題でその公式を使うのか、よくわからない。
その公式の代入の練習をしたのは随分前なので、どう代入するのかよくわからない。
どの問題にどの公式を使うのか、よくわからない。
他の科目と比べて随分勉強時間を使ったのに、どうしてこんなに解けないんだろう・・・。
そういうことになりがちです。

少しの解決策としては。
最初に公式を覚えて、教科書や解答解説を見ないで問題を解くことです。
せっかくこつこつ勉強している時間は、有効に使いましょう。
「あとで覚えよう」
と思っていたら、高校の公式は覚えきれません。
忘れるのも早いです。

抜本的な解決策としては。
学校の問題集は最低2周しましょう。
あるいは、間違えた問題を時間をおいて解き直す他、別の問題集でも復習すると良いでしょう。

しかし、それには、それだけの勉強をする時間の確保が必要です。
問題集1ページに2時間も3時間もかかっているのを何とかしないといけません。

何で1ページに2時間も3時間もかかるのか?
解き方を考えているから時間がかかっているわけではありません。
そうならむしろ良いくらいなのですが、大抵は、1分と考えずに解答解説を見ているはずです。
それでも、2時間から3時間かかるのは、計算が遅いからです。
遅い上に計算ミスもするので、その直しにさらに時間がかかります。

数学は頭脳のスポーツと言われるくらいですから、若いほうが有利です。
理系に進む子は、高校生の段階で、私よりも計算は速くなります。
文系でも、最低限、私と同程度のスピードでなければ、センター試験を最後まで解くことができません。

しかし、現実には、何にそれほど時間がかかっているのだろうと疑問なほどに計算の遅い子が多いです。
しかも、ノートを覗き込んでも、何をしているのかよくわからないことが多いのです。
計算過程が、数学が得意な子とは違うため、何をしているのか見てもわからない・・・。
なぜ、( )をそこで開くの?
なぜ、そことそこを約分するの?
なぜ、そんな順番で計算するの?
なぜ、そこで同類項の整理をしないの?

それは、やり方が間違っていることもありますし、間違ってはいないけれど遠回りになるだけのこともあります。
こういうことの積み重なりが計算がスムーズな子と比較して計算ミスをしやすい原因の1つであり、解くのにも直すのにも大量に時間がかかる原因となっています。
数学が脳のスポーツであるならば、計算には正しいフォームがあります。
合理的な正しいフォームで計算すれば、案外ゆっくり解いていても、答えは速く出ます。

しかし、計算フォームというのは癖になっていて、きわめて直しにくいことの1つです。
本人が強く自覚した上でも、矯正に時間がかかります。
最初から正しいフォームを身につけていれば、こんなことにならないのに、と思います。

また、そもそもかけ算・わり算の暗算が上手くできない人は、速く計算できません。
そんなに凄い暗算をしろといっているわけではありません。
×1桁、÷1桁を暗算する力を持っていてほしいのです。
もっと言えば、数字を因数分解する力が欲しいのです。
例えば、75=25×3 であることが計算しなくてもパっとみてわかる力。
48=16×3 であることを見てとれる力。
あるいは、どんな数が3で割りきれ、どんな数が4で割りきれ、どんな数が9で割りきれるかを見る力。

これができないと、小学校5年以降の分数の通分・約分にもたつきます。
小6以降、分数のかけ算・わり算にもたつきます。
中1以降、小数の計算がほぼ姿を消し、分数計算ばかりになるため、数学そのものに苦手意識を持ちます。
中3以降、因数分解が上手くできません。
中3以降、平方根の整理にもたつきます。
中3以降、2次方程式の計算にもたつきます。
中3以降、三平方の定理の活用にもたつきます。
高1以降、2次関数の整理にもたつきます。
高1以降、三角比の計算にもたつきます。
高1以降、確率の計算にもたつきます。
高1以降、データの計算にもたつきます。
高1以降、不定方程式の計算にもたつきます。
高2以降、・・・もうやめましょう。

整数を見たときに、その整数が何かの積の形に見えること。
それができない数は素数であることを認識していること。

数学が得意な人にとって当たり前のそのことに、数学が苦手な人は気づいていないことがあります。

小学校5年になって約分・通分を学習してから急に「かけ算・わり算は暗算しろ」と命令されるわけではありません。
当然暗算が必要で、そうとは言われない形で練習を繰り返しているのが、わり算の筆算です。
わり算の筆算をスムーズに行う子は、×1桁、÷1桁の暗算がスムーズにできる子です。
さらに言えば、わり算の筆算はそれにひき算も加わりますから、総合格闘技のようなものです。

わり算の筆算自体は、中学以降は使う機会が減っていきます。
全て分数で処理していきますから、筆算で割るのではなく、約分していきます。
しかし、その約分は、わり算の筆算で鍛えてきたからこそ楽にできるようになるものです。
約分は、わり算を暗算で行うものだからです。
約分しなければならない段階になって急に「わり算は暗算しなさい」と言われても、そんな練習をしていない子には難しいのです。
わり算の筆算は暗算の練習にとても良いものです。
わり算の筆算が得意だった子は、約分も、最初から大きな数でバッサバサと約分できます。
ちまちまと2や3で約分することを繰り返して、答案が汚くなって自分で見誤るといったミスを避けることができます。

将来の約分のためにも、わり算の筆算は有効。
ところが、暗算しないでわり算の筆算をする小学生もいます。
何でも商にまず「5」を立てて、実際に筆算し、違ったら消してやり直す。
何でも「5」から始めて、1ずつ数字を上げていったり、下げていったりするのです。

・・・誰が教えたのだろう、こんな頭を使わない方法を。

人間はコンピュータじゃないんですから、無駄なことを機械的に全部試すようなことは、させたらダメです。
コンピュータはそういうことをフルスピードでできるので計算の結果は速く出ますが、人間がそれをやったら単なるわり算の筆算1問に5分もかかることがあります。
人間を性能の悪い電卓にしてはいけない。
わり算の筆算は、わり算をするためだけに練習しているのではありません。
その先の学習の準備も兼ねています。
全ての学習は、上へ上へと積み上がっていくのです。

ただ、同じようにそれを教わっても、商に何でも「5」を立てることの無駄に早い時期で気づく子もいるでしょう。
もっと予測を立てて、一度で正しい商を立てたら良くないか?
わる数と予測した商との積を頭の中で暗算して、その商が正しいことを確認することは可能ではないか?
繰り上がってくる数があるのが少しややこしいけれど、やろうと思えばできる。
そう思う子は、商をスパスパ立て、わり算の計算問題をこなしながら、暗算力も鍛えていくのです。

何でもまず「5」を立てて順番にやれば頭を使わなくていい。
そんなところに安住していたら、将来、数学は相当苦しいものになると思います。

・・・結局、そういうことの繰り返しだったのではないか?
例えば、中学3年になったとき、平方根の整理は、頭の中で数字を分解せず、何でも素因数分解の筆算をしてきたのではないか。
平方根のかけ算は、平方根どうしをまずかけ算して、たとえ3桁の数になったとしても、それから素因数分解してきたのではないか。

もっとも不器用で回り道なやり方を、それが一番頭を使わない方法だから、常に選択してきた。
その結果が、今、高校数学の、遠回りで計算ミスだらけの答案になっているのではないか?
工夫したやり方、頭を使うやり方を避けて、地道でも必ず答えの出るやり方を選んできたつもりが、地道過ぎて時間ばかりかかり、途中で計算ミスするため正答の出ないやり方にいつの間にかなっていた・・・。

高校生の数学の答案に、そのような痕跡を見ることがあります。
計算のフォームを変えましょう。
長く無駄な計算をしてきた分だけ、直すのに時間はかかると思います。
それでも、改革が必要なことはあります。

  


  • Posted by セギ at 14:55Comments(0)算数・数学

    2019年06月15日

    高校数Ⅱ「式と証明」、4次式の展開と二項定理。



    数Ⅱの学習に入り、まずは3次式の展開、そして3次式の因数分解と学習しました。
    今回は、4次以上の式の展開に進みます。

    例題 (a+b)4 を展開しなさい。

    これは「二項定理」を用いて解いていくのですが、「二項定理」を理解し活用するためには、数Aで学習した「同じものを含む順列」という学習内容が身についていることが必要です。
    そして、「同じものを含む順列」を理解するためには、「組合せ」の基本を理解していることが前提となります。

    前回の3次式の因数分解でもそうでしたが、数Ⅰ・数Aの学習内容が身についていないと、新しい定理の学習が上手く進みません。
    授業では、「二項定理」を説明する前に、「同じものを含む順列」や「組合せ」について確認することが多いです。

    以下は、順列と組合せの復習です。

    例題 a、b、c、dから3つを選んで順番に並べる方法は何通りあるか。

    これが「順列」です。
    樹形図をイメージして考えていきます。
    1番目にくる候補は4通り。
    2番目は、そのそれぞれから樹形図の枝が3通りに広がります。
    3番目は、さらにそこから2通りに広がっていきます。
    したがって、式は、4×3×2=24
    高校数学では、
    4P3=4・3・2=24
    と表します。
    答は24通りです。

    したがって、順列の一般式は、
    nPr=n(n-1)(n-2)・・・・(n-r+1)
    となります。
    最後の(n-r+1)の意味がよくわからないという生徒がときどきいますが、要するに、nから順番に1ずつ小さくなる数を全部でr個かけていくということです。
    上の4P3ならば、4から始めて、4・3・2と全部で3つの数をかけました。

    それに対して「組合せ」は選ぶ順番は関係ない選び方です。

    例題 a、b、c、dから3つを選ぶ方法は何通りあるか。

    3つ選ぶだけなので、順番は関係ないですね。
    abcという選び方も、acbという選び方も、同じ選び方です。
    順番が関係ないことが「順列」との違いです。
    ですから、上の4P3の計算方法では、同じ選び方を何回もダブって数えてしまうことになります。
    具体的には、どれくらいダブって数えてしまうでしょう。
    abcを例にとれば、そのabc3つの並べ方だけダブって数えているでしょう。
    abc、acb、bac、bca、cab、cbaの6通りです。
    この計算方法は、3つから3つを選んで並べる順列です。
    すなわち3P3=3・2・1=6 です。
    よって、組合せは、上の4P3を3P3で割れば求められます。
    (4・3・2)÷(3・2・1)=4
    答えは4通りです。
    一般式としては、
    nCr=nPr÷rPrです。

    「組合せ」の基本の復習が終わったところで、次は「同じものが含まれる順列」の復習に進みます。

    例題 a、a、a、b、bの5文字の並べ方は何通りあるか。

    これは、普通の順列5P5ではダメです。
    普通の順列の計算では、3個あるaや2個あるbをそれぞれ区別して並べてしまうことになりますが、見た目が同じものは、同じ並べ方です。
    このaとあのaは実は違うと言われても、見た目が同じですから、同じ並べ方として数えるしかありません。
    5P5では、同じ並べ方を何回もダブって数えてしまうことになります。

    では、どうするか?
    同じものが含まれる順列は、これらの文字を入れる箱をまずイメージします。
    この問題では、5個の箱が横に並んでいると考えます。
    その箱のどれにa3個を入れるかを考えます。
    残る2個の箱には自動的にbが入ります。
    3個の箱の選び方は、
    5C3=(5・4・3)÷(3・2・1)=10
    答えは10通りです。
    ちなみに、aを入れる箱を選んでから、残る2個の箱からbを入れる箱2個をあえて選んでも同じ結果となります。
    5C3・2C2=(5・4・3)÷(3・2・1)×(2・1)÷(2・1)=10
    同じです。

    さて、以上で復習が終わりました。
    いよいよ、ここから一番上の問題を解いていきます。

    例題 (a+b)4 を展開しなさい。

    ( )を全て書いていけば、この式は、(a+b)(a+b)(a+b)(a+b)
    となります。
    これを、まずは公式を使わず、逐一展開してみましょう。
    4つの(  )から、1つずつ文字を選んで順番にかけていくことで展開できます。
    (a+b)4
    =aaaa+aaab+aaba+aabb+abaa+abab+abba+abbb+baaa+baab+baba+babb+bbaa+bbab+bbba+bbbb
    同類項をまとめると、
    =a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4
    となります。
    ( )の中の文字aとbのどちらか1つを選んで4つ並べていくことで1つの項が形成されるのをご理解いただけるでしょうか。
    地道に展開すると、このように解いていくことになります。

    これを、このように逐一展開するのではなく、計算で解いていく方法はないでしょうか。
    同類項ごとに、同じ同類項が何回出てくるのか考えてみます。
    aaaaすなわちa4という項は1つしかないですね。

    aaab、すなわちa3bは、逐一展開する中で何回か同じものが出てくることが予想されます。
    それは、何回出てくるのでしょうか?
    その回数がa3bの係数となるでしょう。
    その計算方法はないでしょうか?

    それは、aaabの4文字の並べ方と同じ数ではないでしょうか。
    何番目の( )からbを選んだかの数と同じという言い方もできます。
    「同じものを含む順列」の考え方をここで利用します。
    aaabの4文字を並べる順列。
    4つの箱をイメージします。
    bを入れる箱を選びましょう。
    4C1=4です。
    ちなみに、aを入れる箱3つを選んでも、同じ答えになります。
    4C3=(4・3・2)÷(3・2・1)=4です。

    次に、aabb、すなわちa2b2の係数はどうなるでしょう。
    aabbの4文字を並べる順列の数と同じでしょう。
    すなわち、4C2=(4・3)÷(2・1)=6です。

    abbb、すなわちab3の係数はどうでしょう。
    abbbの4文字を並べる順列の数と同じでしょう。
    すなわち、4C3=4C1=4です。

    最後にbbbb、すなわちb4は、1回しか出てこないとすぐに判断できますが、これも組合せの考えを使うならば、
    4C4=1とみなすことができます。
    ならば、最初のaaaaすなわちa4の係数も、4C0=1とみなすことができますね。
    bを1回も選ばないということです。
    よって、
    (a+b)4
    =4C0a4+4C1a3b+4C2a2b2+4C3ab3+4C4b4
    =a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4

    逐一展開したときと同じ結果になりました。ヽ(^。^)ノ

    これを一般化したものが「二項定理」です。
    二項定理をここに書こうかと思いましたが、このブログの形式では、上の式でも読みにくいのに、nだのrだと文字ばかりになると最悪の読みにくさなので、公式の確認はお手元のテキスト等をご覧いただけますと幸いです。
      


  • Posted by セギ at 13:37Comments(0)算数・数学

    2019年06月09日

    小学校算数。円の面積に関する応用問題。



    問題 半径2㎝の円を組み合わせた上の図の灰色の部分の面積を求めなさい。
    ただし、円周率は3.14とします。

    この図をどう見るか、そして計算の工夫をどうするかで、この問題を解くスピードは大きく違ってきます。
    最短で1分とかかりませんが、計算にまごつくと10分以上かかることもあると思います。

    まずは、比較的発想しやすい普通の解き方で考えてみましょう。
    4つの円が重なっているこの図の、重なって白抜きになっている葉っぱのような形に注目します。
    受験算数では、「葉っぱ形」あるいは「ラグビーボール形」などの通称でおなじみの形です。
    4つの円の面積の和から、この葉っぱ形を引けば、求める面積が出ます。
    葉っぱ形を何個分引けば良いでしょう?
    4個?
    いいえ。
    二重に重なったものが両方の円について白抜きになって失わているのですから、1つの葉っぱにつき2個分の面積が失われていることになります。
    したがって、4つの円の面積の和から、8個の葉っぱ形の面積を引けば、求める面積が出ます。

    ところで、葉っぱ形の面積はどうすれば求められるでしょう。
    近年は、小学校の教科書にも葉っぱ形の面積1つを求める問題は載っています。

    この葉っぱ形の求め方も、考え方は2つあります。
    1つは、まず葉っぱの半分を求めて、それを2倍する方法です。
    中心角90°のおうぎ形から、直角二等辺三角形を引くことで、葉っぱの半分の面積を求めます。
    今、この図の葉っぱ形は、1辺2㎝の正方形に囲まれている葉っぱ形です。
    半径2㎝中心角90°のおうぎ形から、直角を挟む2辺の長さが2㎝の直角二等辺三角形を引くと、
    2×2×3.14÷4-2×2÷2
    =3.14-2
    =1.14
    これが、葉っぱの半分の面積ですから、葉っぱ1つの面積は、
    1.14×2=2.28

    葉っぱ形の面積も求め方の、もう1つの考え方は。
    90°のおうぎ形を向かいあわせに重ねて正方形を作ったときの重なった部分が葉っぱ形となります。
    ということは、おうぎ形2つ分から正方形を1つ引いたものが、葉っぱ形となります。
    2×2×3.14÷4×2-2×2
    =6.28-4
    =2.28

    葉っぱ形の求め方に関する基本的な考え方はこの2つですが、中学受験では葉っぱ形はよく出てくるので、その都度いちいちこんなことをしているのは面倒です。
    正方形の中で葉っぱの面積はどのような割合になっているかを考えてみるのはどうでしょう。
    まず、数値のわかりやすい基本となる正方形で考えてみます。
    1辺1㎝の正方形に囲まれた葉っぱ形の面積は、上の求め方を用いるなら、
    1×1×3.14÷4×2-1×1
    =1.57-1
    =0.57
    面積が1㎠の正方形の中に、0.57㎠の葉っぱ形があります。
    この割合は、正方形が大きくなっても小さくなっても、変らないでしょう。
    つまり、葉っぱ形は、常に正方形の面積の0.57倍です。
    1辺2㎝の正方形に囲まれた葉っぱ形は、
    2×2×0.57=2.28 
    となります。
    0.57倍ということだけ覚えておけば、とても簡単ですね。
    「名探偵コナン」と、ごろ合わせで覚えておきましょう。
    コナンで、57です。

    0.57という数字は、中学生になって円周率がπになったらもう何の意味もない数字ですので、中学受験をするのでなければ覚える必要はありません。
    そんなものを覚えるより、葉っぱ型をどうやって求めるか、その考え方は理解しておいたほうが良いのです。
    その考え方は、中学で円周率がπになっても使います。

    ともかく、上の問題の葉っぱ1つが2.28㎠だとわかりました。
    これで問題を解くことができます。
    円4つから葉っぱ8つを引きます。
    2×2×3.14×4-2.28×8
    真面目に計算してもミスしなければ答えが出ますが、少し計算の工夫をしたほうが簡単でしょう。
    2×2×3.14×4-2.28×8
    =2×3.14×8-2.28×8
    =(6.28-2.28)×8
    =4×8
    =32
    答えは、32㎠ です。


    この解き方でも、勿論答えは出るのですが、よりスマートな解き方はないでしょうか?
    この図を見てください。






    あれ?
    直しても直しても画像が傾く・・・。
    仕方ないので、この図で説明しましょう。
    上の図を、円が4つ重なっているのではなく、東京都のマークのようなイチョウの葉が4つある図と見ます。
    その1つに着目し、葉っぱの茎の付近の部分を上の図のように長方形で囲みます。
    この長方形は、中心角90°のおうぎ形2つと、葉っぱの茎の部分とに分けられるのが見えるでしょうか。
    中心角90°のおうぎ形2つ?
    それは、茎より上の部分の半円を2つに分ければ、ちょうど、中心角90°のおうぎ形2つになります。
    つまり、イチョウの葉と、長方形とは、面積が等しいです。
    この長方形の面積は?
    2×4 です。
    求める面積はイチョウ4個分ですから、
    2×4×4=32
    答えは、32㎠。
    とても簡単に求めることができますね。

    ほんのちょっとした発想や計算の工夫で、難しい問題はとても簡単に解くことができます。
    ヽ(^。^)ノ


      


  • Posted by セギ at 14:30Comments(0)算数・数学

    2019年06月06日

    高校数Ⅱ「式と証明」。3次式の因数分解と対称式の計算。


    今回から数Ⅱの学習に入ります。
    まずは、「3次式の因数分解」です。
    例えば、こんな問題です。

    問題 27x3+8y3 を因数分解せよ。

    3乗+3乗 の因数分解の公式を使うのだと、すぐにピンとくる人が多いと思います。
    この公式は、一応数Ⅱの学習範囲なのですが、数Ⅰの教科書や参考書にも載っていますので、そこで学習済みの人が大半でしょう。
    公式は、
    a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2)
    です。
    この公式は、右辺を展開すると左辺と同じになることから証明できます。
    疑問を感じる人は、一度、右辺を地道に展開して、左辺になることを確認すると良いと思います。

    公式が信頼できたところで、利用してみましょう。
    27x3+8y3
    =(3x+2y)(9x2-6xy+4y2)

    できました。ヽ(^。^)ノ

    では、こんな問題はどうでしょう。

    問題 x6-64 を因数分解しなさい。

    上の類題に見えて、これが意外に難しいのです。
    3次式の因数分解の公式のもう1本は、
    a3-b3=(a-b)(a2+ab+b2)
    です。
    直前まで、この公式の基本練習をしていると、それに引きずられやすくなります。

    xの6乗は、xの2乗の3乗。
    ということは、

    x6-64
    =(x2-4)(x4+4x2+16)
    =(x+2)(x-2)(x4+4x2+16)

    よし、できたー、と思ってしまいそうですね。

    しかし、これはまだ正解ではありません。
    x4+4x2+16 は、さらに因数分解できるのです。

    数Ⅰで学習しました。
    複2次式の因数分解というものです。

    x4+4x2+16
    =x4+8x2+16-4x2
    =(x2+4)2-(2x)2
    =(x2+4+2x)(x2+4-2x)
    =(x2+2x+4)(x2-2x+4)

    平方完成の考え方を利用する解き方です。
    存在しないものをあえて足し、その後同じものを引いて辻褄をあわせます。
    そんなことをしていいの?とキョトキョトする高校生もいます。
    答えを見たら理解できるけれど自分ではきっと発想できない、と諦めてしまう子もいます。

    それにしても、この問題、本当にこんなに難しい解き方しかないのでしょうか?
    実は、もっと易しいやり方があるのです。
    中3で学習した2次式の因数分解の公式、a2-b2=(a+b)(a-b)をまず利用します。
    その後、3次式の因数分解の公式を利用します。

    x6-64
    =(x3+8)(x3-8)
    =(x+2)(x2-2x+4)(x-2)(x2+2x+4)

    随分簡単に解いていくことができます。
    3次式の因数分解を勉強したのだから、3次式の公式だけを使うのだ。
    そういうふうに視野が狭くなっていると、一番上の解き方しか発想できません。
    6次式を2次式と4次式に分解したら、後が厄介なのではないか?
    それよりも、3次式と3次式に分解したほうが後がやりやすいのでは?
    慣れてくれば、そのように先の見当をつけて解いていくこともできると思います。


    続いては、「3次式の展開公式の利用」に関する問題。
    こんな問題です。

    問題 x+1/x=3のとき、x3+1/x3の値を求めよ。

    対称式の値に関する問題です。
    中3から既に発展的内容として学習していますし、数Ⅰでも、新しい単元になる度、その都度それに関する対称式の問題を学習してきましたから、そろそろ慣れてきている人も多いと思います。
    しかし、対称式の問題に対処する度に、同じことが同じように解けない人もいます。
    理解できなかったことがそのまま残ってしまっていたり。
    わかったつもりだったのが、結局わかっていなかったりするのだと思います。

    基本対称式に関する問題は、x+yの値と、xyの値、すなわち和と積と2本の式があるはずなのに、この問題は和の式しかない。
    これじゃ、解けない。
    あるいは、積が与えられていなかったから、基本対称式の問題だと気づかなかった。
    そういう人が多いです。
    確かに、この問題では、x+1/x=3 という和しか与えられていません。
    でも、積は計算できるのです。
    積は、x・1/x=1 です。
    これの理解が重要です。

    何年か前、数学が苦手な高校生とこんなふうな会話を交わしたことがあります。
    「積は、x・1/x=1と計算できるんですよ」
    「何でですか」
    「約分すると、そうなりますよね」
    「どうしてですか」
    「分母のxと分子のxを約分すると、1になるでしょう?」
    「でも、xって、何の数かわからないじゃないですか」
    「・・・・え?」
    「何の数かわからないのに、約分していいんですか」
    「・・・・約分していいですよ。分母のxが例えば8なら、分子のxも同じ8なのだから、約分できるじゃないですか」
    「xが8って、何でわかるんですか」
    「今、『例えば』と言いましたよ。8でも7でも、分母のxと分子のxは同じ数ですから、約分できますよ」
    「分母のxが8で、分子のxが7だったら、どうするんですか」
    「そういうことはないから、大丈夫ですよ」
    「何で大丈夫だってわかるんですか」

    ・・・・うーん、これは大変だ。
    数学が苦手な子の頭の中で、「変数x」は、こんなにも不安定なものなのだと実感しました。
    数Ⅰの復習云々ではなく、小学校の「関係をあらわす式」のあたりから、もうxとyに不信感があり、理解したふりで理解できずに高校生になってしまったのだろうと思うのです。
    方程式のときはxの値が定まったり。
    関数になるとxの値は定まらなかったり。
    数学がわからない子は、このあたりが特に混沌としているのだと思います。

    「方程式と関数って、何が違うんですか?」
    と問われることもあります。
    グラフを利用できる点でかなりの部分は重なるが、そもそも定義が異なるものなので違いを考える必要はないと思うが、と説明すると、しかし、彼らは余計に混乱します。
    数学がわからない人は、その学習段階では触れないほうが良い疑問に抵触しやすい人なのかもしれません。
    その一方、中学2年の「1次関数」の学習で、連立方程式をグラフで解く方法はどこの中学でも必ず学習するのです。
    また、x=3 や y=-2 といった式もグラフに表せることを学びます。
    方程式と関数はかなりの部分で重なるものであることがそのときに示され、積年の疑問が晴れて頭がスッキリするはずなのですが、その学習にそれほどの感動を示す子を見たことはありません。

    方程式と関数は、何が違うのか?
    彼らの考えている疑問の正体は、そういうことではないのかもしれません。
    方程式と関数は、同じもののようなのに、使い方が違うのはなぜなのか?
    わからないことの正体は、それなのかもしれません。
    彼らの混沌とした疑問は、言葉の数が少ないこともあって、本当に分析が難しいのです。

    数学が苦手ということは、どういうことなのか。
    その解明は、なお道半ばです。


    ともかく、上の問題をもう一度見直しましょう。

    問題 x+1/x=3のとき、x3+1/x3の値を求めよ。

    対称式の計算のとき、因数分解の公式の他に、便利な公式があります。
    a3+b3=(a+b)3-3ab(a+b)
    というものです。
    これなら、a+b とab さえわかれば代入して求められます。
    この式も、右辺を展開すれば左辺になることで証明できます。
    対称式の値を求めるために作られた公式です。
    使ってみましょう。

    x3+1/x3
    =(x+1/x)3-3x・1/x(x+1/x)
    =33-3・1・3
    =27-9
    =18
    これが答えです。



      


  • Posted by セギ at 11:11Comments(0)算数・数学

    2019年05月30日

    高校数A n進法 その3。分数の処理。


    今回が数A最後の内容です。
    内容は、「分数の小数表示と記数法」。
    10進法の分数をn進法の小数に直す問題を解きましょう。

    例題 1/4を5進法の小数で表せ。

    これは、10進法の小数をn進法の小数に直すときと、基本の考え方は同じです。
    まず、
    1/4=a/5+b/5の2乗+c/5の3乗+・・・・① とおきます。
    ①×5をすると、
    5/4=a+b/5+c/5の2乗+d/5の3乗+・・・
    両辺の整数部分を比較して、
    a=1とわかります。
    次に両辺から1を引いて、
    1/4=b/5+c/5の2乗+d/5の3乗+・・・② とおきます。
    ②×5をすると、
    5/4=b+c/5+d/5の2乗+・・・・
    よって、b=1。
    以下同様に、c=d=・・・・・=1とわかります。
    したがって、1/4=0.1111・・・・・です。

    分数や小数とn進法は、さすがにそこまで復習していないという人もいて、センター試験あるいはセンター模試でそれが出てしまうと、もう完全にアウトとなってしまう人が多くいました。
    解き方を知っているか知らないかだけの問題で白紙答案になってしまうのは勿体ないので、解き方をいつでも復元できるように、なぜそれで解けるのか、その理屈を理解しておくことをお薦めします。
    手順だけ覚えるのは、忘れるのも速いです。
    理屈を理解していれば、復元可能です。


    さて、ここで、n進法の応用問題を少し。

    問題 150台が駐車可能な駐車場がある。駐車位置は1から順に番号が付けられているが、4という数は使われていない。駐車位置の番号の中で最大の数は何番か。

    例えば0と1しか使わないのなら2進法だとわかるけれど、逆に、4だけは使わないというのは、どう解いたら良いのかわからない・・・。
    そういう人もいるかもしれません。
    もっと頭を柔らかく。
    4だけは使わないのですから、0、1、2、3、5、6、7、8、9の数字を使う。
    つまり、これは9進法なのだとわかります。
    ただし、普通の9進法は、0から8までの数字を使うのですが、これは4を使わないが9を使います。
    だから、計算した後に数字を変換する必要があります。

    まず、150を普通の9進法で表すと、
    150=1×92+7×9+6
    すなわち、176(9) となります。

    4を使っていないから、このままでいいでしょうか?
    いいえ、そういうわけにはいきません。
    9の2乗の位の数である1は、そのままでいいでしょう。
    9の2乗のまとまりが1組あるということは、4という数字を使っても使わなくても変わらずに1です。
    しかし、9の1乗の位の7は、普通の9進法での7です。
    9のまとまりが7組あるということです。
    その7組に、4を使わずに番号をつけるならば、1組目、2組目、3組目、5組目、6組目、7組目、8組目。
    つまり、これは7ではなく、8と表さなければなりません。
    最後に、一の位の6も、普通の9進法で、1が6個あるということです。
    それに番号をつけるならは、1、2、3、5、6、7。
    つまり、これも6ではなく7と表さなければなりません。
    よって、この駐車場の最大の番号は、187となります。

    さて、数ⅠAの学習がこれでひと通り終わりました。
    最初のほうで学習したことを忘れてしまっていると、数Ⅱの学習は困難を極めます。
    数Ⅱの学習を進めながらも、常に数ⅠAを復習すると良いと思います。
    1度では理解できなかったことも、2度目なら、案外すんなりと理解できることがあります。
    1度目は覚えきれなかった公式も2度目なら見慣れて、頭にすっと入ってきます。
    数学の学習は、諦めなければ必ず前に進むことができます。
    頑張りましょう。
    ヽ(^。^)ノ


      


  • Posted by セギ at 12:28Comments(0)算数・数学

    2019年05月23日

    小学校算数。公式と交換法則・分配法則。


    問題 底辺7㎝、高さ13㎝の平行四辺形の面積を求めなさい。

    四角形の面積は、5年生で学習します。
    平行四辺形の面積の公式は、底辺×高さ=面積 です。

    7×13=91 答え 91c㎡
    となります。
    しかし、これを、
    13×7=91
    と書く小学生は案外多いです。

    問題 直径8cmの円の円周を求めなさい。

    公式は、直径×円周率=円周 です。
    順当に式を書くならば、
    8×3.14
    となります。
    しかし、これも、
    3.14×8
    と書く子を多く見ます。

    Twitterなどで、ときどき、こういう式を書いた子どもがテストでバツにされた、おかしい、という投稿を見かけます。
    この式をどうとらえるかは微妙な問題です。
    かけ算は交換法則が成立します。
    かける数とかけられる数の順番を入れ替えても、計算の結果は変わりません。
    どうせ計算の結果は同じになるのに、公式通りではないからといってバツをつけるのは、おかしい。
    そのように考える人が多いのも理解できます。

    中学生になれば、公式の順番が変わってしまうことがあります。
    円周は、半径をrとし、2πr と表します。
    円周をどのように求めているかの意味を伝えるよりも、文字式の順番を優先した公式に変わってしまいます。
    答えも、文字式の順番が優先されます。
    直径8a cmの円の円周は、8πa cmです。
    8aπ cmと書いたら、誤りです。

    中学に入れば変わってしまう順番なのですから、3.14×8という式でも正解として良いと私も思います。
    小学校の大多数の先生は、3.14×8 という式を見たら、丸をつけた上で、横に、赤ペンで、8×3.14 と書いています。
    それで十分でしょう。

    しかし、1つ気になるのは、なぜわざわざ公式の順番に逆らって、
    3.14×8 
    という式を立てる子が多いのかということです。

    どっちが先でもいいという雑な神経で式を立てているのでしょうか?
    そんな雑な感覚で、中学・高校と複雑になっていく公式を正確に活用できるでしょうか。
    そう思うと、ちょっと心配にはなるのです。
    そういう式を立てている子に対しては、
    「丸をつけていいけれど、公式通りの正しい順番で式を書こうね」
    と助言します。

    公式通りに書かない雑な立式をする子は、例えば、直方体を組み合わせた複雑な図形の体積の問題などで立式ミスをすることがあります。
    常に、縦×横×高さ の順番で立式していれば数値を確認しやすいのですが、適当な順番で数字を並べていくと途中で混乱し、高さ×横×高さ といった式を立ててしまうことがあるのです。
    3つの数字をどれでも適当な順番にかけときゃいいという考えでいると、そんなミスが起こります。
    小学生の中には、面積と体積、平面と立体との識別が、わかっているようで案外わかっていない子もいて、立体の「高さ」と「縦」との区別が曖昧になってしまうことがあります。
    公式通りの順番で式を立てるのは、そうしたミスを防ぐための安全策でもあるのです。


    6年生で、奇妙な立式ミスをする子がかつていました。

    問題 面積が13㎝で、高さが26/3㎝である平行四辺形の底辺の長さを求めなさい。

    こうした問題で、1/13×26/3という式を立ててしまうのです。
    13÷26/3=13×3/26 とすべきところを、わられる数のほうを逆数にしてしまいます。
    分数のわり算のやり方がわかっていないのなら、それを教えれば済みます。
    しかし、単なる計算問題では、そんなミスはしませんでした。
    文章題になると、いきなりそんな式を立ててしまいます。

    「式を書きながらその後の計算のことも考えているから、こういう式になったのかな。わり算だなと思ったら、まずわり算の式を書いて、それを逆数のかけ算に変えて計算しましょう」
    その子には、そういう助言をしましたが、なかなか直りませんでした。
    まずわり算の式を書くことが無駄な作業のように思えて、省略したかったようです。


    式を書きながら、その後の計算のことを考えていると、こういう式になる・・・。

    そのとき、何気なく自分で言ったことに、あ、と気づきました。

    公式通りの順番で式を立てない子は、単に雑なのではなく、その後の計算のことを考えているのではないか?
    円周を求める式を、
    3.14×8
    と立ててしまう子は、その後、3.14×8 と筆算するつもりでいるから、そのように書いてしまうのではないでしょうか。

    しかし、8×3.14 という式を書いても、その後の筆算は、3.14×8 として良いのです。
    もしかしたら、8×3.14 という式を立てたら、その順番で筆算しなければならないと思い込んでいるのでしょうか?
    式は式。
    計算は計算。
    式は8×3.14 でも、計算は交換法則を利用して良いのです。

    8×3.14 ではなく、3.14×8 という式を立てる子は、交換法則が理解できているのだから、むしろ数学センスがある。
    そのように言う人もいます。
    しかし、本当にそうでしょうか。
    小学生から高校生まで、長期に渡って算数・数学の指導をしている実感から言えば、3.14×8 という式を立てるかどうかでは数学センスは測れないと感じます。
    立式と計算とは別だということが理解できていない。
    むしろ、そうしたことが懸念されます。
    式を立てることと計算することを頭の中で分割できず混同しているから、そういう式を立ててしまう。
    式とは、どのように解いたのかを示すもので、計算ではありません。
    自分の思考の過程を示すものです。
    公式を使用したのなら、公式の通りの順番に書いてあるほうが、どのように解いたかを明瞭に示せます。

    小学校で学習する易しい内容ならば、逆に書いても意味はまあまあ伝わります。
    しかし、その習慣は後々まで残る可能性があります。
    高校数学で、何の定理を使ったかを示さず、自分の計算優先で暗算したり順番を変えたりしてある答案は、1週間も経てば、本人もその式の意味を説明できなくなります。
    そして、そういう答案を書いてしまう子ほど、記述式の問題を恐れます。
    何をどう書いていいのかわからないと言うのです。
    答案を読む人が理解しやすい式を書く努力をしてこなかったので、記述答案をどう書いていいかわからなくなるのです。

    式の1行目は、意味の伝わる式を立てる。
    高校数学ならば、何の定理であるか、どういう考え方であるかも示します。
    2行目以降は、ガンガン計算の工夫をします。
    というより、計算過程など書いても書かなくても良いのです。
    そうしたメリハリを理解できていない子が高校生でも多いのが現状です。
    式と計算とを混同しているのです。
    そういう意味では、前述の 3.14×8 という式に褒めるべき要素はありません。
    バツにするのは可哀想だとは思いますが。


    小学生の段階で数学センスを感じるのは、交換法則よりも分配法則を活用できる子です。
    円周の問題や円の面積の問題で分配法則を活用できれば、計算が楽になり、正確になります。
    しかし、活用できない子は多いです。
    例えば、いくつかの半円が組み合わさった図形の面積。
    5×5×3.14÷2-3×3×3.14÷2+2×2×3.14÷2
    =(5×5÷2-3×3÷2+2×2÷2)×3.14
    =(12.5-4.5+2)×3.14
    =10×3.14
    =31.4
    といった計算の工夫ができる小学生は、限られています。
    中学受験生でもこれはできない子が多いのです。

    ☐×〇+△×〇=(☐+△)×〇
    という分配法則は、普通に学校で小4で学習するのにほとんど定着しない内容です。
    それだけに、これを活用する子に出会うと、この子は数学センスがあるなと感じます。

    ただし、センスはあっても、上のように丁寧に式を書かず、1行目から、
    (12.5-4.5+2)×3.14
    といった式を立てる子も多いです。
    そうした子には、
    「式と計算とは違うのですよ」
    と注意をしなければなりません。
    意味のわかる1行目を書くことの意義を理解してもらうのに時間がかかります。
    え?そんなのわかるでしょう?という気持ちが本人の中で強いようです。
    そういう意味では、センスがあっても小学生はまだ主観的ですから、自分が意味がわかることは、他人も意味がわかって当然と思っているのかもしれません。
    あるいは、自分の計算のために式を書いているので、他人がそれを理解するかどうかは、どうでも良いのでしょう。

    高校数学がどのようであるかを想像できるはずのない子に、高校数学に至る道筋を指導していくのは、なかなか難しいです。
    3.14×8 という式が表面上正しいかどうかではなく、その式を書く子が、数学的にこの先どう成長するのか。
    注目すべきはそちらだと思います。

      


  • Posted by セギ at 14:42Comments(0)算数・数学

    2019年05月20日

    高校数A n進法 その2。小数の処理。


    今回も「n進法」の続きです。
    2進法は、「2の0乗の位」「2の1乗の位」「2の2乗の位」というように、1桁上がるごとに桁の2の指数が上がっていくのだということを前回確認しました。
    では、小数はどのように扱われるのでしょうか?

    まず10進法で考えるのならば、小数第1位は「10分の1の位」、小数第2位は「100分の1の位」、小数第3位は「1000分の1の位」です。
    それは、「10分の1の位」「10の2乗分の1の位」「10の3乗分の1の位」と書き表すこともできます。
    1つ下の位から見て、1つ上の位はそれを10倍した数の桁、という関係が成立しているのが10進法です。

    2進法も同じように考えます。
    小数第1位は、「2分の1の位」、小数第2位は「2の2乗分の1の位」、小数第3位は「2の3乗分の位」です。
    そうすることで、1つ下の桁から見て1つ上の桁の数は2倍の関係が成立しています。
    ちなみに、2分の1は、指数では「2の-1乗」、2の2乗分の1は、指数では「2の-2乗」と表します。

    ところで、「2の2乗」を「にのじじょう」と読む人は中高生ではかなり減ってきましたが、まだ一応存在します。
    「2の-2乗」を「にのマイナスじじょう」と読む人はさすがに減っています。
    高校の数学の先生は「にじょう」と正しく読む人が大半であることも関係しているかもしれません。

    「2乗」のときだけ「じじょう」と読むのは、本来、不自然なことです。
    数字は「いち、に、さん」と読みます。
    「いち、じ、さん」ではありません。
    「2乗」だけ「じじょう」と特別扱いの読み方をすることには理由がありません。

    しかし、自分が信じてきたことを否定されると強い拒絶反応を示す人もいます。
    「じじょう」は「自乗」という意味なんだ!
    と言う人がいます。
    「2乗」だけそのような特別扱いをする理由はないのですが。

    「にじょう」なんて読み方はまぬけっぽい、と言う人もいます。
    しかし、そういう主観は、数学とは関係ありません。

    ただ、読み方なんか究極どうでも良いので、生徒が「じじょう」と読むのを訂正しないのですが、私が「にじょう」と読むのを生徒が「このセンセイ、読み方を間違えている」と感じているのではないかと考えてしまうことはあります。
    こういうことは、間違っていてもそれを信じている人のほうが強いのです。

    おっと話が逸れました。
    マイナスの指数の話でした。
    2分の1は、「2の-1乗」、2の2乗分の1は「2の-2乗」、2の3乗分の1は、「2の-3乗」。
    指数はこのように表記されます。
    これは、n進法の桁の仕組みと整合しています。
    指数がこのように負の数に拡張されることは、n進法を理解していると容易に納得できることです。
    指数の拡張は、詳しくは数Ⅱの「指数関数」で学習します。


    では、n進法に戻って、実際に問題を問いてみましょう。

    問題 10進数0.375を6進法で表せ。

    6進法の小数第1位は、6分の1の位。
    6進法の小数第2位は、6の2乗分の1の位。
    ですから、
    0.375=a/6+b/62+c/63+・・・・
    と表すことができます。
    この両辺を6倍すると、
    2.25=a+b/6+c/62+d/63+・・・・・

    b/6以下は、全て分母のほうが分子より大きい真分数です。
    b/6以下の総和は、1より大きくなることはありせん。
    そこで、両辺を比較すると、
    2=aであることがわかります。

    両辺から2=aを引いて、
    0.25=b/6+c/62+d/63+・・・・

    この両辺を6倍すると、
    1.5=b+c/6+d/62+e/63・・・・
    よって、1=bであることがわかります。

    さらに、両辺から1=bを引いて、
    0.5=c/6+d/62+e/63+・・・・
    この両辺を6倍すると、
    3=c+d/6+e/62・・・・・
    3=cであり、d以降は0であることがわかります。

    よって、10進数0.375は、6進法では、2.13です。

    上のように、6倍して整数になったものを次の桁の数字と確定していくと、それを利用した筆算が可能です。
    整数になったものを取り除きながら、次々と×6をしていく方法です。
    数学Aの参考書などに筆算のやり方が載っていますので、参考にしてください。
    そして、やり方だけ覚えるのではなく、なぜそれで筆算できるのか、意味を理解してください。
    意味を伴っていない筆算は、すぐに忘れます。
    n進法の勉強ばかりそんなに毎日していられませんから、突然テストに出て、全く解けないという事態に至ります。
    意味を理解していれば、やり方の復元が可能です。
      


  • Posted by セギ at 12:58Comments(0)算数・数学

    2019年05月15日

    数A「整数の性質」n進法。


    数A最後の学習内容は、「n進法」です。

    n進法は、中学受験の受験算数でも出題されることがあります。
    容易に理解できる小学生もいれば、高校生でも全く理解できない子もいる単元です。

    理解できない子は、10進法の仕組みの根本を理解できていない可能性があります。
    10進法の仕組みは、子どもの頃から慣れ親しみ過ぎて自明の理のようになっていて、むしろ意識しにくいということはあります。
    しかし、n進法を学ぶことで10進法の仕組みが逆に照射され、それが絶対のものではないことに気づかされます。
    そのとき、頭の中が一瞬揺れるような快感があるはずなんです。

    数が10集まったら上の桁に上げることは、絶対のことではない。
    他の可能性もあるのだ。

    n進法を学ぶ最大の意義は、これに気づくことではないでしょうか。

    当たり前だと思っていることは、実は当たり前ではない。
    そういうルールを皆で守っているだけで、自明の理のわけではない。

    そのことに気づくもう1つの単元というと、これも受験算数で出題される「約束記号」があります。
    しかし、こちらも、理解できない子は、見ていて不可解なほどに理解できません。

    まず、そちらから見ていきましょう。
    なぜn進法の理解が進まないか、原因をさぐる一助になると思います。

    問題 A◎B=A+A×B-B とする。3◎19を計算しなさい。

    何も難しくないはずなんです。
    問題に書いてある通りに代入して、
    3+3×19-19=41
    と解答するだけです。

    ところが、この問題、理解できない子は全く理解できません。
    小学生だけではありません。
    中学生でも、高校生でも、この種の問題には全く対応できない子がいます。
    「問題が何を言っているのか、わからない」
    異口同音にそう言います。

    この問題のときだけ、◎に計算記号の意味をもたせる。
    そのことが理解できないようです。
    そんなことをしていいはずがない。
    あり得ない。
    だから、全く理解できない。
    そういうことなのだろうかと想像するのですが、想像の域を出ません。
    本人が、明確に言葉にして表現することがないからです。

    このことが理解できない子は、大抵うろたえています。
    どこがわからないのか問い返しても、絶句している場合が大半です。
    解き方や正解を教えても、動揺は消えません。
    説明の仕方を変えても、類題を解いても、動揺したまま、理解が進みません。

    「割合」がわからないとか、「速さ」がわからないという場合は、何がどうわかりにくいのか、教える側が推測できる余地があるのですが、約束記号がわからない場合は、違う種類の断絶がそこにある気がします。
    大袈裟に言ってしまえば、世界観が違うのかもしれないというほどの断絶がそこにあります。

    +、-、×、÷なんて計算記号は、単なる記号で、絶対のものではありません。
    そう決めて、その通りに使っているだけです。
    世界中でそうしているので、その記号を使えば便利だから今後も使い続けるでしょうが、絶対のものではありません。
    だから、今だけ◎に計算記号の意味あいをもたせても何も悪くありません。
    勿論、それはその問題だけの約束で、一般には通用しません。

    小学生でも一瞬でそうしたことがわかり、パッと顔の輝く子がいます。
    当たり前だと思っていたことは、何1つ当たり前ではない。
    頭の中がグラッと揺れる快感がそこにあります。
    数学を学ぶ快感の1つだと思います。


    n進法も、そのような単元です。
    小学生でも理解できる一方、高校生でも理解できない子がいます。
    思い込みにしばられると理解しにくいようです。

    2進法を例にとって考えてみましょう。
    便宜上10進法と同じ数字を使いますが、本当は全く別の文字や記号を使っても良いのです。
    受験算数では、むしろ数字を使わない2進法の問題のほうが多く出題されるくらいです。

    10進法と同じ数字を使って2進法で数を表す場合、使える数字は、0と1の2種類だけです。
    これで全ての数量を表します。
    10進法の1にあたる数は、2進法でも、1です。
    10進法の2にあたる数は、2進法では10と表します。
    10進法の3にあたる数は、2進法では11です。
    10進法の4にあたる数は、2進法では100です。
    10進法の5にあたる数は、2進法では101です。
    10進法の6にあたる数は、2進法では110です。
    10進法の7にあたる数は、2進法では、111です。
    10進法の8にあたる数は、2進法では、1000です。
    それぞれの桁で2つ数がたまると、上の桁に上げていくということです。

    それは、10進法で、それぞれの桁で数が10個たまると上の桁に上げていくということと対応しています。
    10進法では、1が10集まると、十の位に数を上げて、「10」と表します。
    10が10集まると、百の位に数を上げて、「100」と表します。
    同じように、2進法では、1が2集まると「10」と上の桁に上げます。
    2が2集まると「100」と上の桁に上げます。

    10進法では、各桁を「一の位」「十の位」「百の位」と通常呼びますが、それは指数を用いて「1の位」「10の位」「10の2乗の位」「10の3乗の位」と呼ぶこともできます。
    同じように、2進法では、「1の位」「2の位」「2の2乗の位」「2の3乗の位」となります。
    さらに言えば「1の位」は「2の0乗の位」、「2の位」は「2の1乗の位」と表しても良いですね。
    n進法と連動させると、指数法則がより明確になってきます。

    しかし、10進法の説明自体を10進法を基盤として行わざるを得ないという皮肉もあり、理解できない子は全く理解できないということが起こります。
    「数字が10個集まると、十の位に上げて、10と表す」
    説明の中に既に10が出てくるので、何のことやらわからない、ということになりがちです。

    「10進法で使う数字は、0から9までの10個でしょう?2進法では、0と1の2個の数字を使うんですよ」
    と説明すると、
    「10進法で使う数字は10個じゃない」
    と言う子がかつていました。
    9の次は、10だし、次は11だし、12だし、数字は無限にあるんだから、数字は10個じゃない。10進法じゃない。
    そう言うのです。

    これが、n進法が理解できない根本の原因だと思います。
    核心が見えた瞬間でした。
    n進法を理解できない原因を言語化できず、ただ動揺する子が多い中で、それを言語化できる。
    言語能力は高いが数学がよくわからない子とのこういう対話は、興味深いです。
    こちらが学べることが沢山あります。

    11は、「11」という数字ではなく、10と1です。
    12は、「12」という数字ではなく、10と2です。
    そのことは、小学校の低学年から幾度も幾度も勉強しています。
    例えば、
    475=100×☐+10×☐+1×☐
    といった穴埋め問題は、新しい桁の数を学ぶ際に、小学生が繰り返し練習させられることです。
    あるいは、
    475は、100が☐こ、10が☐こ、1が☐こ集まってできた数です。
    といった問題もあります。
    この穴埋め問題は簡単に正解できる子が大半です。
    しかし、この問題が何を伝えようとしているのか、その本質を理解できないまま通り過ぎてしまう子が多いのだと思います。
    小学校で学んでいる数理の本質は、あまりにも本質なため、言葉にすると難解になり、子どもに伝えにくい内容です。
    しかし、子どもは、難解なことを言語化されなくても本質的に理解できる能力があります。
    それに頼って繰り返されるこうした問題。
    ここから数理の本質を理解した子と、何も気がつかなかった子と。
    n進法の理解についての根本の差は、そうしたところから生まれているのだと思います。

    就学前、あるいは小学1年生が数を数えると、まだ10進法のルールを理解していないことがあります。
    「1、2、3、・・・・・、9、10、11、12、13、・・・19、100」
    19の次がもう100になってしまう子が、たまにいます。
    12くらいまでは耳慣れているので、その流れで19までは知っているのですが、その先の数の仕組みがどうなっているのかわからないので、19の次は100になってしまうのです。
    10が2個たまったら100にしているので、十の位だけ2進法になっているのです。

    10が10個たまると、100になる。
    このように幼い段階で正しい10進法へと導びかれているのですが、そのことがあまりにも無意識のレベルに沈み込み、意識されないようです。
    小学校で、大きい数や小数へと数が拡張されていく度に、上述のように桁に対して正しい理解をしているかを確認する問題が出されているのですが、何を確認されているのか、意識できないのです。

    それは、10倍、100倍、あるいは1/10、1/100する際に、桁移動で処理できることが身につかない子の中にも見られます。
    ÷100の計算を、真面目に筆算してしまう子がいます。
    ×100の計算も同様です。
    桁を移動すれば良いと助言すると、「あ、そうだった」と言うのですが、100倍するのに3桁移動してしまう子も多いです。
    そのやり方を教わったことがあるのを覚えているだけで、意味を理解していないのだと、そうした様子から気づきます。
    そのまま高校生になって、n進法に出会い、愕然とする。
    どうしてもどうしても理解できない。
    そういう人がいるようです。

    どうか頭を柔らかく。
    小学生のときにはわからなかったことでも、高校生の今なら理解できるかもしれません。
    数字の桁の仕組みについて、改めて考えてみる、良い機会です。
      


  • Posted by セギ at 10:57Comments(0)算数・数学

    2019年05月08日

    なぜ子どもは「速さ」の問題が苦手なのか。


    ラジオ講座と同様、好きなラジオ番組は録音して、家事などやりながら、あるいは寝る前に聴くことにしています。
    どうしても録音はたまりがちで、ひと月ほども後に番組を聴くことがあります。
    前にもこのブログで書いた、『%がわからない大学生』という本の著者がゲスト出演しているラジオ番組を昨日になって聴きました。

    日本の算数・数学教育がつまらない。
    その例として、ラジオ番組で語られた内容に、再び首を傾げてしまいました。

    「花子さんは、340円のお弁当を6個買いました。いくら払ったでしょうか」
    例えば、かけ算の文章題はこんなのばかりだからつまらないと、その著者は言うのです。
    代案としては、
    「稲妻が光った後、6秒経って雷の音が聞こえました。雷が落ちた場所は、ここから何m離れているでしょう?」
    という問題が良いというのです。

    ・・・いやいやいや。
    それ、音の速さの問題ですよね?
    その問題で、340×6という式の意味を理解でき、面白いと感じる子は、ほおっておいても数学や理科が好きです。
    数学嫌いな子は、何かのトラウマでもあるのかというくらいに「速さ」が苦手です。
    それに「音速」という物理の要素が加わると、ごく簡単なことも全く理解できない様子の子に何人も出会ってきました。

    「速さ」という単元は、小学校6年生で学習します。
    これといって難しい要素はないはずなのに、苦手な子は多いです。
    速さ×時間=みちのり
    という感覚的にもごく自然な式がわからない子もいます。
    実感がわかない。
    理解できない。
    自分は絶対に速さの問題は解くことができないという謎の主張をする子をなだめ、落ち着かせてようやく学習に入ることもあります。

    「速さ」という単元の難しさは、まず「速さ」の定義にあるのだと思います。
    学校や塾での最初の授業時に正確に定義されているはずなのですが、子どもは、多くの場合、そういうものは聞き流します。
    速さの定義がそれほど重要なものであることに気づかないのだと思います。
    言葉の意味を聞き流す学習習慣がついているのでしょう。
    必要なのは解き方を丸暗記することだけ。
    そういう学習姿勢が既に出来上がっているのかもしれません。

    「速さ」とは何か?
    目の前を何かビューンと動いていく物のスピードのこと。
    速いほど、ビューンというスピードが速い。
    ・・・実感としては、そんなふうではないでしょうか。
    そして、この実感が、「速さ×時間=みちのり」という公式の理解を阻む最初の壁です。

    ビューンというのは擬声語です。
    何かを表現しているようでも、これでは何も説明していません。
    スピードというのは「速さ」のことですから、英語で言い換えただけです。
    結果として、何も説明していないことになります。

    でも、速さは、実感としては確かにそういうことです。
    速いと遅いはどう違うのか?
    どうすれば、速さを比べられるか?
    どうすれば、速さを量的に表すことができるか?

    目の前をビューンと動いていくスピードそのものを表すことは、現実には不可能です。
    でも、同じ時間を与えられたら、速いものほど長い距離を移動します。
    そのことで、速さを量的に表すことができるでしょう。
    そこから生まれたのが速さの定義です。

    1時間で進む道のりを速さとして表したものが、時速。
    1分で進む道のりを速さとして表したものが、分速。
    1秒で進む道のりを速さとして表したものが、秒速。
    単位時間で進む道のりを、速さと定義しています。

    この定義をしっかり理解した子と理解していない子とで、その後の理解が大きく異なります。
    わかったような顔でふんふんとうなずいて見せても、「速さ」が後になるほどわからなくなる子は、この定義が理解できていないのです。
    速さに時間をかけるとなぜ道のりになるのか理解できないのは、速さの定義を理解していないからです。

    ここで恐ろしいのは、短期記憶能力の高い子ほど、その場では完全に理解したような顔をすることです。
    教わったときだけは完璧に公式を活用できます。
    しかし、言葉の定義や公式の意味は、すぐに忘れます。
    1週間後には、もう速さの定義を忘れています。
    公式だけは、必要だと思うからか覚えています。
    意味は本人の中で後退し、公式は、もはや単なる記号です。

    その繰り返しで、算数・数学は意味のわからないものになっていきます。
    そうした学習方法が後になるほどどれだけの困難を本人にもたらすか、本人には自覚がないので、注意して治るようなものではありません。

    中学生や高校生になってから、
    「数学は意味がわからない」
    と、急に本人が意味を重視した発言をすることがあります。
    しかし、小学生の頃、本人が意味を重視した学習をしていたのかどうかは疑問です。
    立ち止まって意味を理解しようとするより、公式を丸暗記して目の前の問題を解くほうが楽ですから。
    小学校の算数の頃に学習したことの意味が記憶の中で後退し、全てはただの作業手順となっている子が、中学や高校の数学の意味を理解しようとしても、それには多くの労力が必要となります。
    中学・高校の数学の意味を理解するための前提となる知識が本人の中にないのです。
    頭の中にあるのは、形骸化し記号化した公式と作業手順だけです。

    教え方をちょっと変えたくらいでこういうことが改まるとは思えません。
    意味を含んで全部を理解するのは、重いのです。
    学習内容を軽量化するには、公式や解法手順だけ丸暗記すること。
    本人がそのように無意識に判断し、全てを忘却しようとする脳の仕組みがそれを助けています。
    それで一見上手くいっているように見えることに楔を打ち込むのは、大変な作業です。

    しかし、楔は打ち込まなければなりません。
    解法手順だけ丸暗記して解いている子に、数学的な未来はありません。


    「速さ」に話を戻します。
    例えば、時速。
    時速は、1時間に進む道のりのことです。
    だから、時速4kmの人は、1時間に4km歩きます。
    では、2時間では、何km歩くことができるか?
    2時間は、1時間が2個分ですから、
    4×2=8 で、8kmです。
    速さ×時間=道のり
    この公式の意味は、そういうことです。

    15kmの道のりを、3時間で歩いたとします。
    この人の時速は?
    時速というのは、1時間で何km進んだか、です。
    15kmは、3時間の道のりなのだから、1時間あたりの道のりは、
    15÷3=5 で、
    時速5km。

    時間を求めるのも簡単ですね。
    時速3kmの人が、12km歩くのに何時間かかるか?
    時速3kmというのは、1時間で3kmということだから、12kmの中に3kmが何個分あるかと考えると、
    12÷3=4
    4時間です。

    速さ×時間=道のり
    道のり÷時間=速さ
    道のり÷速さ=時間

    この3つをまとめて「速さの3公式」と呼びます。
    全て意味を理解できる公式ですので、覚え方は本来必要ありません。
    意味から考えれば、当然そうなるものです。
    そういう点では、「速さ」は「割合」とは異なります。
    「割合」は式を変形しただけなので意味を実感できませんが、「速さ」は、常に意味を伴っています。

    だから、私は「は・じ・き」や「は・じ・み」の図は基本的には教えません。
    速さの問題は、文章題から意味を汲み取って正しい式を立てることが可能だからです。
    しかし、私が教えなくても「は・じ・き」の図を誰かから教わって使うようになる子が大半です。

    気持ちはわからないでもありません。
    上の3つの公式は意味から理解できる公式ですが、「単位量あたり」の問題など、それ以前の学習が未消化で終わっている子の場合、公式の意味がわからないことがあります。
    この単元はかけ算。
    この単元はわり算。
    そういう把握をしてきた子は、かけ算かわり算かを自分で判断しなければならない単元が苦手です。
    そもそも意味を考えて公式を利用したことがなく、意味から算数にアプローチをした経験がないのだと思います。
    理解するのではなく、覚えることが算数。
    そういう学習をずっと続けてきた子が、いきなり「速さ」だけは意味を理解するというのは、困難を伴うことだと思います。


    速さを本当に理解しているかどうかは、問題のレベルを少し上げると露呈します。

    問題 時速4kmで歩く人が、30分歩きました。何m歩きましたか。

    4×30=120
    答え 120m

    速さの本質を理解していない子は、こういった誤答をしがちです。
    そして、公式通りに式を立てたのに正解できなかったことで混乱し、「速さ」という単元にトラウマを抱き、「速さ」と聞いただけで嫌な顔をするようになっていきます。

    意味から考えるならば、時速4kmの人、とは1時間で4km歩く人のことです。
    4×30 という式では、30時間歩いた道のりが出てしまうと気づきます。
    30分というのは、1時間の半分なのだから、進む道のりも半分になるでしょう。
    それは、30分=1/2時間ということでもあります。
    4×1/2=2
    この2は2kmということだから、mに単位を直して、答えは、2000m。
    意味を考えれば、このように楽に解いていけます。

    しかし、意味を考えず、全てが公式と作業手順だけになっている子にとって、単位換算は作業手順として複雑で厄介です。
    単位換算の1つ1つに実感はなく、作業手順として暗記しようとしているので、覚えきれないのです。
    分を時間に直すとき、60倍するのだったか、1/60にするのだったか、すぐわからなくなってしまいます。
    長さの単位換算をただの丸暗記をしている子は、1km=100m としがちです。
    1kmに対して、100mに対して、何も実感がないのだと思います。
    あるいは、それぞれの距離感は実感しているのだとしても、それを算数と結びつける発想がないのかもしれません。
    算数は、とにかく公式と手順を丸暗記するものと思い込んでいるのでしょう。

    こんなに簡単な問題を、なぜこんなに大変そうに解いているのだろう・・・?
    そう感じるとき、この子は意味を理解していない、作業手順で解いているのだと透けて見えてきます。
    「速さ」だけ理解させようとしても、そう簡単にいかないのです。


    6年生で「速さ」を学習した後、現行のカリキュラムでは中学1年の理科で「音」について学びます。
    「音」や「光」は、中学1年で学習するのは無理なのではないかと感じるほど、苦手な子が多い単元です。
    中学3年になって、高校受験のために復習しても、中1の他の分野ほどには理解が進まないことが多いです。
    ともあれ、中1以降は、理科で既に学習済みということで、数学でも音に関する文章題がたまに出題されることがあります。
    そして、ほとんどの生徒が、補助しなければその問題を解けません。
    「音の速さを秒速340mとして求めなさい」
    というように、解き方の何もかもが問題文の中に書いてあるのに正答率が低い。
    それが音の速さに関する問題です。
    速さだけでも苦手なのに、さらに嫌いな理科の要素が加わったら、もう解ける気がしない・・・。
    そういう子が多いのです。

    現実に雷が鳴ったときに、雷と自分との距離の求め方がわかる。
    だから、こういう問題なら興味をもって生き生きと学習できるだろう・・・。
    『%がわからない大学生』の著者のそうした狙いはわかるのですが、そのような安易な理想を全て踏みつぶしていくのが現実の子どもたちです。
    雷と自分との距離なんて、現実の子どもたちは「興味ない」で終わりにします。
    もう恐ろしいくらいに全てのことに「興味ない」なんです。
    勉強に関わることは全部「興味ない」のかもしれません。
    そもそも勉強が嫌いなので、勉強に興味をもたせようと大人が仕向けてくる気配を感じると、早めにシャットアウトするのかもしれません。

    そういう現実の子どもたちに拒否され、安易な理想は簡単に潰されて。
    現実の数学教育は、しかし、そこから始まります。
    地獄絵図のような思い出もあれば、宝石のような思い出もあります。
    算数・数学を長く教えてきて、振り返った感想はそういうものです。
    なかなか理想通りにはいかないけれど、思いもしなかった成果もありました。

    ただ、こういう著者の勘違いはわからないでもないのです。
    この人、大学教授なのだそうです。
    数学教員になりたい教育学部の学生に教えているようです。
    現実にうといのは、そういう立場だからかもしれません。
    毎日子どもたちに算数・数学を教えている立場の人ではないのです。

    学校の学習内容を扱う民放のテレビ番組などもそうです。
    生徒役の若い女性タレントなどが、
    「わかりやすーい。学校でも、こうやって教えてくれたら授業を聞いたのにー」
    といった感想を口にすることがあります。
    番組的にはそれで良いわけですが、あの女性タレントは、収録が終わったら番組の内容はほとんど覚えていないのではないかと思います。
    わかりやすーい。
    理解できた気がするー。
    しかし、それはそれだけのこと。
    右の耳から左の耳へと通り抜けていき、記憶には残りません。

    その教授は、子どもたちに実際に授業をすることもあるのかもしれません。
    そんなときの子どもたちの反応もそういうものではないのでしょうか。
    大学の先生が、自分たちに授業をしてくれる。
    普段とは違う、その特別な雰囲気。
    そんなときには、
    「わかりやすーい」
    「面白ーい」
    「はじめて算数がわかったー」
    子どもは、そういう感想を口にすると思います。

    私も、そういう子どもの称賛を受けることがあります。
    「わかりやすーい」
    「学校の先生もこうやって教えてくれればいいのにー」
    そのように褒めてくれる生徒は昔も今もいます。
    若い頃は、そういう称賛に自惚れたこともありました。

    でも、今は、そういう褒め言葉は聞き流すことにしています。
    「わかりやすーい」
    と言った子は、翌週にはその内容を覚えていないかもしれません。
    「学校もこうやって教えてくれればいいのにー」
    と褒めてくれたところで、その考え方を利用した問題を解けるとは限りません。

    私は何のために存在するのか?
    わかりやすいけれど子どもの耳を素通りしていく授業ではダメなのです。
    「わかりやすーい」だけではダメ。
    理解したら、その理論を利用する問題を自力で解いて正答する。
    それが本当に理解したということです。
    そこに至れない子がいくら褒めてくれても、それではダメだと思っています。
    褒めてくれるその気持ちを大切にしたいからこそ、その子が本当に算数・数学の問題を解けるようにしたいのです。

    「花子さんは、340円の弁当を6個買いました。いくら支払ったでしょうか」

    旧態依然としたこの問題は、確かに面白くないかもしれません。
    けれど、かけ算の概念を子どもが最も理解しやすいのは、こうした値段に関する問題です。
    340円の弁当を6個。
    それなら、340×6だ。
    この式は、多くの子が自力で立てられます。
    面白いかどうかよりも、自分が理解できて正答できることのほうが、子どもにとってはどれほど嬉しいことか。
    花子さんには、永遠に弁当を買わせてやってほしい。
    私は、そう思います。

    そのラジオ番組で面白かったのは、数学が大嫌いな番組のパーソナリティーが、子どもの頃の思い出を語った部分でした。
    わり算を勉強したときに、先生が、8÷2を教えるのに、
    「8の中に2は大体いくつあるでしょう」
    という教え方をしたのにつまずいたというのです。
    算数に「大体」はありえないと思い、そこからわり算がわからなくなった、という話でした。
    それに対して、その教授は、
    「わり算というのは難しいですからね」
    などと言葉を濁して済ませていました。
    学校の先生がうっかり使った「大体いくつ」という言葉でつまずく子どもがいる・・・。
    そのことの恐ろしさに、もっとビンと反応しても良かったのではないかと思います。
    その番組の中で、最も聴く価値があったのは、その部分でした。

    しかし、本当にそんなたった一言でつまずくものでしょうか。
    「大体」という言葉につまずくのは、それ以前に算数に対する苦手意識や嫌悪感があったからではないかと思うのです。
    もともと、算数・数学に対して良い感情を持っていなかったのではないか?
    否定するための理由を無意識にずっと探していたのではないか?
    だから、その一言に飛びついたのではないか?
    理由さえ見つければ、算数が嫌いな自分を肯定できる・・・。

    子どもは、ありとあらゆる理由を見つけて、算数を嫌います。
    幼く判断力不足な子どもは、安易に算数・数学を嫌い、理解することよりも解き方を暗記することを選びます。
    理解しなさい、考えなさい、と言われることをひどく嫌います。
    学習の軽量化・スリム化には、丸暗記が有効。
    深い理解は脳の容量をやたらと喰うだけ。
    無意識に、そのような判断をしているようです。

    しかし、そうやって意味を失い形骸化した公式や作業手順の集積の上に、高校数学の知識は乗りません。
    高校生になると数学が全くわからなくなるのは、そのためです。
    数学がわからないことは、進路を決める上で大きく影響します。
    そのリスクを、幼い子どもは知りません。
    自分の将来を自分が狭めていることを、知りません。

    大人の責任は重い。
    そのことに関しては、その教授の言いたいことはわかります。
    頑張らなければ。
    そう思います。

      


  • Posted by セギ at 14:24Comments(0)算数・数学

    2019年04月26日

    割合を理解できない子どもたちと「く・も・わ」の図。


    『%がわからない大学生』といったタイトルの本が出版されたようで、そのプロモーションのネット記事を今読んだところです。
    その本そのものは読んでいないのですが、その記事を読んだ限りでは、ちょっと読む気が起こりません。
    もしかしたら、本は、ネット記事とは異なり、良い内容なのかもしれませんが、プロモーション記事には、新しい内容が何にもない・・・。

    %がわからない大学生がいるのは事実だと思います。
    例えば「2億は50億の何%か」といった問題に正答できない大学生。
    それは存在すると思います。
    それは、もうずっと前から言われていることです。
    大学の歯学科や獣医学科など、理系の学生なのに分数のたし算ができない子のいる大学もあると聞きます。
    そういう大学では、算数や中学数学の復習を1年次に履修させているそうです。
    そういう話は、ゆとり教育を受けた子たちが大学生になった頃からずっと言われ続けていることです。
    それほど学力基準が高いわけではない大学に、しかもAO入試や推薦入試で合格した子の中には、そういう子もいるでしょう。

    その記事の中で現代と比較されていたのが、1980年代のデータでした。
    ゆとり教育の始まる前、詰め込み教育の時代は、こういう問題には正答できる子どもが多かったのです。
    ゆとり教育以降、「割合」の問題を解けない子どもが激増している。
    それは、わかります。

    小学校5年で学習する「割合」という単元を理解できる小学生は、全体の50%に満たないだろうというのが私の実感です。
    問題は、その分析です。
    なぜその子たちは、「割合」を理解できないのでしょうか?

    そのネット記事で不愉快だったのは、「誤答している子ほど、答案の隅に『く・も・わ』の図を描いている」という一種の揶揄でした。
    まるで、深い理解を阻む犯人が「く・も・わ」の図であるような書きぶりでした。
    それは違うと思います。
    その書き手こそ、「割合」という単元について理解していないから、そういうことを平気で書くのではないか?
    小学生が初めて「割合」を学ぶとき、どのような反応であるかを知らないからではないか?
    そう感じるのです。

    その記事を書いた人は、おそらく「く・も・わ」の図を使わずに割合の問題を解けるのでしょう。
    では、そもそも、「割合」は、なぜ「比べられる量÷もとにする量」で求めるのか?
    その問いに、その人は答えられるのでしょうか?
    また、「もとにする量」は、「比べられる量÷割合」で求められるのはなぜなのか?
    そして、「比べられる量」は、「もとにする量×割合」で求められるのはなぜか?
    この式に子どもが感じる違和感を想像できない人に、子どもがなぜ「割合」を理解できないのかを語ってほしくない。
    原因は、正答の求め方だけを安易に教える数学教育にあるとする。
    しかし、表面の正答率だけ見ているのはあなたのほうではないのか?
    そう思うのです。

    「く・も・わ」の図を使わない人も、公式を「そういうものだ」と思い込み、暗記して使っているだけではないでしょうか。
    何十年もそういうものだと思って使ってきたせいで、それが自明の理のように思えるだけで、理由の説明はできないのではないでしょうか。

    「く・も・わ」の図を使った子が記事の中で揶揄されているのは、正答できなかったからです。
    正答できればそれでいい。
    記事を書いている本人の中にも、その意識が濃く漂っているのを感じます。

    私自身は、割合の問題を解く際に「く・も・わ」の図は使いません。
    子どもの頃も、使っていませんでした。
    大学生になって、塾講師のアルバイトを始めたとき、バイト仲間が「く・も・わ」の図を使って子どもたちに教えているのを見て、へえ便利な教え方があるものだと思い、私も教えるときには使うようになりました。
    それが、まさに80年代です。
    だから、この教え方は古くから存在します。
    今に始まったことではないのです。
    80年代も、その図を使って解いていた子は多いと思います。
    ただ、その図を使って正答していたから、「%がわからない」と言われることはなかった。
    それだけのことだと思うのです。

    「割合」はかなり特殊な単元で、これを「正答さえ出れば良いという教育が理解を妨げる」例に挙げるのには無理があります。

    「割合」は、なぜ「比べられる量÷もとにする量」で求められるのか?
    このブログの中で幾度も書いてきましたが、その根本は分数です。

    問題 サッカー選手のA君は、7本シュートして、2本ゴールしました。A君がゴールした割合は、どれだけでしょうか?

    答えは、2/7 ですね。
    このことは、実感をもって理解できることです。
    しかし、「割合」で実感をもって理解できることは、これしかありません。
    あとは、理論上の操作ばかりです。

    2/7 という分数を式で表すと、
    2/7=2÷7 です。
    では、2÷7 とは、上の文章題で何を意味するでしょうか。
    2とは、ゴールした数。
    7とは、シュートした数。
    全体の中での2の量的価値を、判断しようとしています。
    そういうときの2を「比べられる量」と呼びます。
    全体の7のほうが「もとにする量」です。
    割合=比べられる量÷もとにする量 という公式は、ここから生まれています。
    このわり算の公式そのものが、子どもにとっては実感を伴うものではないのです。

    大人の多くは、この公式を沢山使うことで実感を後付けしています。
    だから、自明の理のように感じています。
    しかし、初めて学ぶ小学生がこの公式に強い違和感を抱くのは普通のことです。

    小学校低学年で割り算を最初に学ぶとき、わり算と言えば「大きい数÷小さい数」なのが当たり前でした。
    だから、文章題をろくに読みもせずにただ「大きい数÷小さい数」で式を立ててやり過ごしてきた子も多いのです。
    しかし、「割合」は、「小さい数÷大きい数」であることのほうが多くなります。
    その違和感に耐えられず、「小さい数÷大きい数」の式を立てることが不安で、どうしてもその式を立てられない子が存在します。

    そんなのは、文章題をろくに読みもせず、「大きい数÷小さい数」なんてくだらない考え方で問題を解いてきた本人が悪いんだろう?

    ・・・確かに、そうかもしれません。
    でも、子どもは、学習の先に何があるかを知りません。
    「わり算だったら、大きい数÷小さい数」という解き方は、大人が教える解き方ではありません。
    その解き方に未来がないことを大人は知っていますから。
    「大きい数÷小さい数」は、子どもが自ら発見してしまうのです。
    しかも、目端の利く子ほど、そういう解き方を発見します。
    算数を、考え方よりも正解が出ればそれで良いものとしてしまうのは、子ども本人であることが多いのです。
    答えよりも考え方を大切にしなさい、などと言っても、聴く耳を持ちません。
    実際、正解が出ているのですから、それの何が問題であるのか、幼い子どもにはなかなか通じません。

    勿論それは、式の見た目さえあっていて正答さえ出ていれば何も言わない周囲の大人の反応を感じているからのことでしょう。
    そもそも、「%がわからない大学生」ということが言われるのは、表面上、%を求める問題で正答できない大学生が存在するから、それを課題ととらえています。
    本質は理解していないけれど、やり方だけ知っていて正解している大学生のことは、問題視しないのです。
    80年代だって、本質を理解していない子は多かったのかもしれないのにです。
    それもまた、正解さえ出せればそれでいいという考え方です。
    問題意識を持っている人も、そこから脱却できていないのです。

    比べられる量÷もとにする量=割合 
    という式だけでもこんな実感から乖離して難しいというのに、残る2本は、さらに実感とは無関係です。
    それらは、逆算で式を操作しただけの式です。
    ☐を使った式から☐を求めるのが逆算です。
    式の変形ということですね。

    上の式から、比べる量を求める式を導くと、
    もとにする量×割合=比べられる量

    もとにする量を求める式を導くと、
    比べる量÷割合=もとにする量

    これは式を変形して公式としたものですから、何の実感も伴わなくて当然です。
    比べる量を割合で割ると、もとにする量に戻る・・・。
    よくよく考えたら気持ち悪くないですか?
    気持ち悪いのは、それが意味を持たないからです。
    式を変形しただけだからです。
    ただ、実感はなくても、これは正しい式なのです。

    意味なんてない。
    式を変形しただけ。
    それならば、公式を3つも1度に覚えられない子のために「く・も・わ」の図を使うのは有効だと思います。
    実際に「く・も・わ」の図を使って割合の問題を正答できるようになっている子は沢山います。
    意味を教えなければならないものなら、そうした教え方は避けるべきです。
    しかし、もともと意味なんかないものは、「く・も・わ」で教えて構わないでしょう。


    ところで、「く・も・わ」の図で教えているのは、80年代も現代も同じであるのに、なぜ、現代の子は「割合」の正答率が低いのか?
    正当できない原因の第一は国語力でしょう。
    そのことは、その本の中でも述べられているようです。

    低学年で問題文をろくに読まず、
    「今はわり算を勉強しているんだから、大きい数÷小さい数の式を立てときゃいいんだろう」
    という判断で文章題をこなし、それで正答してきた子たちは、小学校高学年になると、それでは解決できない文章題に突き当たります。
    「単位量あたり」の問題がそうです。
    「割合」の問題もそうです。
    かけ算なのか、わり算なのか。
    わり算だとして、どの数字をどの数字で割るのか?
    数量の関係を見極めて式を立てなければなりません。
    そのときになって、しぶしぶ問題文を真面目に読もうとしても、数量の関係を読み取れない子がいます。
    「比べられる量÷もとにする量」という式を使うとわかっていても、どれが比べられる量で、どれがもとにする量か、読み取れない。
    大学生になっても、それが読み取れない。
    そういう子が、今は本当に多いだろうと思います。
    それは、確かに問題です。
    ただ、それは、数学教育に問題があるとは言い切れないと思うのです。

    記事中には、
    「数学が苦手な生徒には、答えを当てるマークシート問題だけ解ければ良いという困った指導が広く行われている」
    という記述がありました。
    なぜそんなに雑な総括をするのでしょう。
    数学のマークシート問題で答えだけを当てるのは不可能に近いです。
    数学のセンター試験の正答率の低さを知らないのでしょうか。
    答えだけ当てることなどできないから、あの正答率なんです。
    数学のセンター試験は、論理を追っていけないと空欄が埋まらないのです。

    今の小学校の教科書は、子ども自身に考えてみるよう常に問いかけています。
    改訂前の今も十分にそうです。
    それでも、考えない。
    解き方だけ覚えようとする子どもは多いです。
    指導がそうなのではなく、本人がそうである場合が本当に多い。
    どうしてそうなってしまうのでしょう?

    そうして、高校生になり、覚えきれない複雑な公式や解法手順ばかりなると、数学は完全に諦める・・・。
    本当にそれは日本の数学教育のシステムが悪いからそうなってしまうのでしょうか?

    比較的理解力の高い、中学受験をする小学生でもそうです。
    小学校では教えない特殊算。
    例えば植木算や、分配算など、基本の考え方を塾ではまず解説します。
    その上で、例題は、本人に解き方を考えてもらいます。
    塾としてはそれが普通の授業形態だと思うのですが、その授業に不満を抱いていた子と話をしたことがあります。
    「初めて見る問題なんだから、教わらなければわかるわけがないのに、自分で考えろって言うんだよ。おかしいでしょう」
    「・・・でもね、入試問題は、初めて見る問題だよ。見たことある問題、解いたことある問題なんて、いくつもないよ」
    「・・・」
    解いたことのある問題しか解けるわけがない・・・。
    初めて見る問題を自分で考えてみろと言うのは、相手がおかしい・・・。
    かなり理解力の高い子でそこまで言い切る子に初めて会いましたが、公式や解法手順だけ丸暗記して済ませたいタイプの子の、これが本音なのだと思います。
    自分で考えろと言われることが、本当に不愉快で、それを要求してくる相手は敵であると感じるようです。
    その子は、その塾がお母様に薦めた家庭学習法として、その週のうちにテキストの問題を3回解き直していました。
    それには素直に従っていたようです。
    解き方を完璧に丸暗記するための、1週間で3回の解き直し・・・。
    私が小学生だったら、そっちのほうに猛反発したと思います。
    何で1度解いた問題を3回も解かないといけないの?
    ・・・写経?

    確かに解法の丸暗記教育は、一部で現実に行われているのだと思います。
    そんな解き直しよりも、類題を自分で考えて考えて考え抜くほうが、段違いの学力がつくのですが。
    しかし、そういうことができない子もいます。
    感情的に反発します。
    それを見越して、何もしないよりは週3回の解き直しを提案するほうが、今よりは正答率が上がるのも事実です。



    「割合」の学習は、5年生でひと通り学んだ後、6年生で「比」を学び、それと連動して復習します。
    中学の数学では、「割合」は、方程式の文章題の中で再び使用します。
    5年生のときには数量の関係を把握できなかったけれど、ここで回復する。
    そういう子も多く存在します。
    一方、この段階でもやはり把握できない子は、ここで典型題の解法のみを何とか丸記憶してやり過ごします。
    あるいは、割合の文章題が出たらもう諦めて解かない子もいると思います。

    中学になって「割合」を復習しても、やはり理解できない子は存在します。
    幾度復習しても、理解できない。
    割合の3用法に意味などない、式の変形だけなのだと説明しても、その説明が理解できない。
    問題文から比べられる量ともとにする量を識別することがどうしてもできない。
    割合というものが何を表すものなのか、その本質を理解できない。
    そういう単元が「割合」です。
    それは、直接「割合」とは関係ないように見える単元にも表れます。

    例えば、中学3年で学習する「相似」。
    △ABCと△DEFが相似で、相似比が3:2である。
    AB=60のときの、DEの長さは?

    こういう問題で、
    60:DE=3:2
    3DE=120
    DE=40
    という比例式を用いた定型的な解き方でないと解けない子がいます。

    「割合」と「比」が、無関係な知識として頭の中に存在し、連動しないのです。

    「相似比が3:2なんだから、DEはABの2/3でしょう?だから、40でしょう。これは見たらわかるよね」
    数学が苦手な子はともかく、都立自校作成校を受験する子には、そう説明するのですが、
    「いや、そういうのはわからないから」
    と頑なに比例式を立て続ける子もいました。
    数学の定期テストで90点台を取れるようになっていても、頭の奥まで数学的思考が染みていっていないのです。

    数学的思考が頭の中まで染みていくのを拒み、跳ね返すものがある。
    それは、何なのだろう?
    それが、なかなか見えてこないのです。

    答えを当てるマークシート問題だけ解ければ良いという困った指導なんかしていません。
    そんな指導をしている気配を学校の先生から感じることもありません。
    答えではなく、数学的な考え方を理解してほしいと、みんな思っています。
    でも、考えることを拒否する子どもは、確実に存在します。


    小学生の頃は、解き方を暗記したほうが簡単だから、それで済ませたいという、ある意味目端の利く子が多いのだとしても、中学・高校と数学の学習が進むにつれて、論理や考え方が重視され、論理を追えないと正解が出せない問題が増えていきます。
    しかし、本人の意識が切り替わらないのです。
    結果、高校数学になると、解き方が複雑になって暗記できなくなり、ついていけなくなる・・・。
    数学が苦手な子の、それが現実ではないかと思うのです。

    一方、私の問いかけが通じる子も、また少なくないのです。
    現在数学ができるかどうかは、あまり関係ありません。
    「座標平面上の求めたい点のx座標を自分で勝手に t と置いたのに、t が求められるわけがない。自分で勝手に置いたんだから」
    「√36は、2乗したら36になる数なんだから、√36=36だと思う」
    といった数々の妄言を繰り返し、何かと授業中に私と議論になった中学生は、気がつくと自力で応用問題を解けるようになり、数学のテストで高得点を取るのが当たり前になっていました。
    考える子は、いくらでも伸びます。

    考える子と、考えることを徹底して拒否する子とは、何が違うのだろう?

    大学生になっても%を理解できない子のことを誰よりも悲しんでいるのは、子どもの頃のその子たちの算数・数学教育に携わっていた人たちでしょう。

    記事には、ある学生が、
    「数学を苦手としている者でも、本心は時間をかけてでも内容をよく理解したいと思っているのです」
    と熱く語った、という記述がありました。

    そういう子は、早い時期に出会えれば、確実に助けられます。
    解き方だけ覚えようとするのをさえぎり、
    「今の、本当にわかった?」
    と問いかける度、嫌な顔をされることのほうが多いけれど。
    そう思います。

      


  • Posted by セギ at 14:11Comments(0)算数・数学

    2019年04月24日

    座標平面上の三角形の面積。アクティブラーニング的に。



    来年度から、小学校で新学習指導要領による授業が始まります。
    いよいよ「主体的・対話的な深い学び」の開始です。
    来年になって急に始めようとしてもできることではありませんから、小・中・高ともに、そろそろ助走が始まったと感じるこの頃です。

    以前、Twitterで
    「三角形の面積の求め方を子ども自身に発見させることにそんなに必死になる必要があるんだろうか」
    というつぶやきを読んだことがあります。
    私もそれには共感します。
    アクティブ・ラーニングは、公式や定理の発見まで子どもに任せると、大変な労力と時間がかかります。
    しかも、大元を発見させるためには学習上のガイダンスも曖昧になりがちで、何のために何をやっている授業なのか全く理解できない子を大量に生みます。
    授業は、その子たちを置き去りにしてしまいます。

    一方、中学受験をする子たちは、学校で授業を受ける頃には既に三角形の面積の公式は学習済みであり、知っていることも知らないふりでアクティブ・ラーニングに参加しなければなりません。
    「そんなの知っている」
    の一言で授業を粉砕できるのですが、賢い子は、それをやると先生が困ることも知っています。
    先生の顔色を見ながら、先生がどう授業を進めたがっているかを考えて、それに沿う意見を言い、先生をサポートする。
    頭の良い子は、そうすることも可能です。
    うーん・・・。
    そういうのを忖度と言いませんかね。
    アクティブ・ラーニングは、今世紀を生きる子どもたちが、社会人になったときに必要となるスキルを磨く学習の形である。
    それが忖度を学ぶ授業になってしまうのは、痛烈な皮肉です。
    少なくとも、そこには、本人たちの学ぶ喜びは存在しないように思います。

    そうしたことも考えあわせますと、公式や定理は、証明まで含めて、先生が解説するのが無難でしょう。
    それをどのように組み合わせて問題を解いていくかをアクティブ・ラーニングでやるのなら、その授業形態には可能性を感じます。
    それもまた、中学受験生は圧倒的に有利ではありますが、少なくとも、予備知識がなく、三角形の面積の求め方を初めて学習する子たちも、今はどういう単元で、何を学んでいるかは自覚できます。
    それならば、授業で何を話しあっているのかよくわからないとしても、家庭学習は可能です。
    塾がサポートすることも可能です。


    そんなことを考えたのは、うちの塾に通う高校2年生の生徒の学校で、どうやらアクティブ・ラーニングが始まったからでした。
    急に全面的にアクティブ・ラーニングを導入するのは無理ですから、徐々に慣らし、先生も研鑽を積む必要があるのでしょう。
    数Ⅱ「図形と方程式」の学習で、2点間の距離、直線の式、点と直線との距離などの求め方を学習した後、授業はグループ学習に入り、いくつか課題が出されたとのことです。

    上の図の問題がその1つです。

    問題 3点、0(0,3)、A(6,3)、B(2,6)を頂点とする三角形の面積を求めよ。

    しかし、
    「・・・学校の授業が全くわかりません」
    と、その子は言いました。
    ノートを見ると、問題が1問ずつノートの最上段に貼ってあり、それをグループで解かねばならないようなのですが、答案が完成していないページが多いです。
    問題以外は白紙のページもあります。
    うわ、これはまずい・・・。

    「この問題は、三角形を長方形で囲んで、要らない部分を引けば、いいんですよね」
    上記の問題を指さし、その子は言いました。
    「・・・」
    うーん・・・。

    それでも、求めることは勿論できます。
    できますが、今、何を学習していますか?
    2点間の距離、直線の式、点と直線との距離の求め方を学んだ直後です。
    その先にポンと出された、この問題。
    これを出題する先生の意図は何でしょうか?
    いや、そういうのが忖度ですかね・・・。

    何の話?
    と思われる方もいらっしゃると思いますので、ここで、この問題の解き方を整理しましょう。
    この問題は、私が思いつく限りでは、3通りの解き方があります。

    まずは、その子も思いついた、中学1年で学習する解き方。
    3点、0(0,3)、A(6,3)、B(2,6)を頂点とする三角形を、x軸、y軸と平行な線分による長方形で囲みます。
    上の図で、赤線で描いた長方形がそれです。
    その長方形の面積から、不要な三角形3つの面積を取り除けは、求めたい△OABの面積を求めることができます。
    長方形は縦6、横6。
    それぞれの三角形の底辺や高さも座標から読み取れますから、
    6・6-1/2・2・6-1/2・6・3-1/2・4・3
    =36-6-9-6
    =15
    よって、△OAB=15 です。


    しかし、現在学習しているのは、数Ⅱ「図形と方程式」です。
    直線の式や、2点間の距離や、点と直線の距離の求め方を学んだばかりです。
    それを活用する解き方を考えてみましょう。

    ここで公式の確認を。

    点(x1,y1)を通り傾きaの直線の方程式は、
    y-y1=a(x-x1)

    また、2点(x1,y1),(x2,y2)間の距離は、
    √(x1-x2)2+(y1-y2)2

    さらに、点(x1,y1)と直線ax+by+c=0 との距離は、
    d=|ax1+by1+c|/√a2+b2

    これらの習いたての知識を使って、この問題を解くのなら。

    線分OAを底辺とし、点Bと直線OAとの距離を高さと見て、△OABの面積を求める解き方が導き出されます。
    これが、今回のアクティブ・ラーニングの結論と、一応の予想が立ちます。

    公式を用いて、
    OA=√36+9=3√5
    また、直線OAの式は、x-2y=0
    B(2,6)と直線x-2y=0との距離は、
    |2-12|/ √1+4
    =10/ √5
    よって△OAB=1/2・3√5・10/ √5=15

    同じ答えが導き出されました。

    数Ⅱの授業としてはおそらくここまでだと思いますが、数Bで「ベクトル」を学ぶと、さらに発展的な公式を学習することになります。
    もしかしたら先生は、生徒の結論をまとめた後で、さらにこういう解き方があるのだと説明するのかもしれません。
    それもまた、アクティブ・ラーニング的です。

    それは、ベクトルの内積を利用して三角形の面積を求める公式です。
    ベクトルの→を文字の上に表記することはこのブログではできないので、以下はベクトルとして読んでください。
    ベクトルの成分がOA=(a1,a2)、OB=(b1,b2)のとき、
    △OAB=1/2|a1・b2-a2・b1|

    この公式を利用すると、
    △OAB
    =1/2|6・6-3・2|
    =1/2|30|
    =15
    こんなに簡単な式で、同じ答えが出ます。
    3番目のこの解き方が異様に簡単であることは、衝撃的なことだと思います。
    アクティブ・ラーニングの最後に登場するこの公式にわくわくする、数学好きな子もいるでしょう。
    最も難しい理論にもとづく解き方が、最もシンプルであること。
    数学は、かくも美しい。


    授業の演出としてはなかなかのものだと、私は勝手に想像しているのですが、実際の効果はまた別です。
    現に、目の前にいる生徒は、今のところこの形の授業についていけていないようです。
    アクティブ・ラーニングは、全ての生徒にとって有効なものではないのだと、やはり感じます。
    特に数Ⅱ「図形と方程式」は、中学時代に学習したやり方で地道に解けることを、高校数学の公式を使って解く場合が多いので、その階段を登れない子が多く出る単元です。
    公式を学習した直後だけは、その公式を使えるのです。
    しかし、時間をおいて問題演習をすると、高校の公式を覚えていないため、中学の解き方で解いてしまう子が多いのです。
    アクティブ・ラーニングで本人たちに考えさせたら、なおさらそうなってしまうでしょう。
    ここで、グループに1人くらいはいるのかもしれない高校数学についていけている子が、その単元にふさわしい解き方で解いて、それをグループ全員に教えたとして、それは、全体の授業で先生から教わるのと違うものなのでしょうか?
    それはかろうじて対話的かもしれないけれど、本当に主体的なのでしょうか?
    深い学びにつながるのでしょうか。
    基本的なことも理解できずに終わる子をフォローする手立てはあるのでしょうか。
    基礎学力が下がってしまわないでしょうか。

    昔、ゆとり教育が強く批判されたのは、日本の子どもたちの学力の国際的な順位が下がったからでした。
    そうした順位は、平均点で評価されます。
    平均点は、国内で相対的に学力の低い子たちにも基礎学力がある場合に、高い数値を維持できます。
    ひと握りの優秀な生徒たちがより楽しく深く学ぶだけのシステムでは、国際的な順位はまた下がるかもしれません。
    そうしてまた、基礎学力だ計算力だ、と騒がれる時代が反動としてやって来るのでしょうか。
    「100ます計算」や、生徒たちにとにかく基本問題を反復させ訓練する秋田県の校長の取り組みがもてはやされる、あの時代が再び訪れるのでしょうか。
    同じことの繰り返しは避けたいのですが。

    アクティブ・ラーニングを一方的に否定するつもりはありません。
    面白い授業になる可能性を秘めています。
    ただ、全ての子の学力を底上げできるかどうか・・・。

    ともあれ、学校がそういう授業ならば、塾はどうするべきか?
    その子が自ら発見するのであれ何であれ、理解すべき内容を理解をしてほしい。
    そして、解答解説を見ないで、自力で問題を解けるようになってほしい。
    まずは、学校のノートの空白を埋めなければ。
    塾の仕事はさらに増えて、忙しい新学期となっています。


      


  • Posted by セギ at 13:14Comments(0)算数・数学

    2019年04月19日

    高校数A「整数の性質」不定方程式。項が3次式の場合。


    「不定方程式」の学習も今回が最後です。
    今回学習するのは、こんな問題です。

    問題 方程式x3+y3-2x2y=1を満たす整数の組(x,y)をすべて求めよ。

    これは3次式ですね。
    これも、(  )(  )=整数 という形に整理できれば、解けそうです。
    ですから、まず、(  )(  )でくくるという、因数分解のようなことをしましょう。
    定数項は外にはみ出していいけれど、文字を含む項だけは必ず(  )(  )の中に収めることが目標です。

    まずは、xについて降べきの順に整理してみましょうか。
    共通因数でくくって、
    x2(x-2y)+y3=1
    うーん・・・。
    これでは、この先が手詰まりとなりますね。
    ( )の中を共通因数にすることが、これではできません。

    ふりだしに戻りましょう。
    見た目から、何となくですが、(x-y)という共通因数がありそうな気がします。
    どうしましょう?
    強引に(x-y)となるようにくくってみましょうか。
    x3-2x2y+y3=1
    x2(x-y)-x2y+y3=1
    真ん中の-2x2yという項を、-x2y-x2y と分けたイメージです。
    そうすると、さらに後半の2項もくくれることに気づきます。
    x2(x-y)-y(x2-y2)=1
    x2(x-y)-y(x+y)(x-y)=1
    (x-y){x2-y(x+y)}=1
    (x-y)(x2-xy-y2)=1
    できました!ヽ(^。^)ノ

    これは、因数分解の問題としても発展的で難しいものです。
    ある文字について降べきの順に整理していくのが因数分解の定石ですが、これはその定石では解けない種類の因数分解です。
    こういう特別なやり方を何もないところから初めて発想するには、この1問を何日も考え続けることになるかもしれません。
    何日も何日も考えて、それでも思いつかないかもしれません。
    しかし、考え続けることで数学の力は伸びていきます。
    ただ、それをするには、少なくとも定石通りの因数分解なら自在に解けるほどには練習を重ねている必要があります。
    そうでないと、そもそも何をどう考えるかもわからないのは仕方のないことです。

    あるいは、こういう難問にもパターンというものがありますので、それを覚えて、頭の中にストックしておくこと。
    今回の問題でストックしておくべき知識は、1つにまとまっている項を2つに分けることで因数分解できる可能性がある、ということでした。

    あるいは、この問題の見た目を何となくでも記憶しておくこと。
    こんな問題を前にも解いた、何だか特別な解き方をしたなあという記憶をとどめておくこと。
    そうすれば、類題を解くときにはスンナリと因数分解できるかもしれません。
    長い時間考えて、今の自分には解けないと見切りがついたら、解答・解説を見て、そのテクニックをしっかり学びとり、2度と忘れないことが大切です。
    別の機会に必ずこれを活用できるように覚えておきましょう。


    さらに、これは数Ⅱで学習する内容になりますが、多項式÷多項式の筆算ができるのならば、x-y という共通因数があるのではないかと気が付いたら、強引に割ってみるのも1つのやり方です。


        x2-xy-y2  
    x-y ) x3-2x2y   +y3
         x3-x2y
           -x2y   +y3
           -x2y+xy2
              -xy2+y3
              -xy2+y3  
                   0                

    割り切れました。
    これで、
    x3+y3-2x2y=(x-y)(x2-xy-y2)
    であることがわかります。
    かなりの力業ですが、どうしてもこの問題を解かねばならない場合、やってみる価値のあることだと思います。

    何よりも、思考錯誤を重ねることを厭わないことが大切です。
    小学生の頃の意識の延長なのだと思いますが、結論まで全て見えて、正しい解き方だと確信してから答案を書きたい、ノートを汚したくないという姿勢の人がいます。
    それでは難問の解法を自力で見つけるのは難しいと思います。
    ノートは、後で見直すためのノートと、問題を演習しては使い捨てていくノートと2種類あるのです。
    問題を演習しては使い捨てていくノートは、振り返ることなどありませんから、途中まで解いてダメだと気が付いて大きくバツをつけてまた書き出すということがあっても、全く構わないのです。
    意識を変えましょう。


    さて話を戻して。
    (x-y)(x2-xy-y2)=1
    と、ここまで整理できたら、その後はどうしましょうか。
    初めて見る応用問題になると、ここまででもかなり時間がかかっていますので、何のためにこれをやったのか、途中で目的を見失うことがあります。

    今回は、何のためにこんなことをしたのでしたっけ?
    xとyの整数値を出したかったからでした。
    前回解いたような問題では、例えば、
    (x-3)(y+2)=1となったら、(x-3,y+2)=(1,1),(-1,-1)
    として、
    (x,y)=(4,-1),(2,-3)と求めるのでした。

    だったら今回は、
    (x-y)(x2-xy-y2)=1
    (x-y,x2-xy-y2)=(1,1),(-1,-1)とすれば良いでしょう。
    x, y が整数ですから、x-y も、x2-xy-y2 も整数です。
    その積が1となるのは、1×1の場合と、-1×(-1) の場合しかないでしょう。
    この2通りのそれぞれを解けば良いです。

    すなわち、
    x-y=1・・・①
    x2-xy-y2=1・・・②
    という連立方程式と
    x-y=-1・・・③
    x2-xy-y2=-1・・・④
    という連立方程式をそれぞれ解きます。

    上のほうの連立方程式をまず解きます。
    ①より
    x=y+1・・・①'
    これを②に代入して、
    (y+1)2-(y+1)y-y2=1
    y2+2y+1-y2-y-y2=1
    -y2+y=0
    y2-y=0
    y(y-1)=0
    y=0,1
    これを①'に代入して、
    y=0のとき、x=1
    y=-1のとき、x=0

    同様に③、④を解いて、
    y=-2のときx=-3
    y=1のときx=0

    したがって、最終解答は、
    (x,y)=(1,0),(2,1),(-3,-2),(0,1)
    となります。

      


  • Posted by セギ at 11:24Comments(0)算数・数学

    2019年04月12日

    数A「整数の性質」不定方程式。xyの2次式を含む場合。


    なおも「不定方程式」の学習は続きます。
    今回はこんな問題です。

    問題 方程式 xy-x+3y-12=0 を満たす整数の組(x,y)の値を全て求めよ。

    この問題が今までと違うのは、xyという2次の項が含まれていること。
    これでは、前回までのように、
    ◇x+△y=◎
    といった形に整理するのは無理ですね。
    でも、因数分解して、
    (x+◇)(y+△)=◎
    という形にすることはできるんじゃないでしょうか。
    それができれば、整数の組を見つけることができそうです。
    だから、まず因数分解のようなことをしてみます。

    定数項ははみだして構わないので、完全な因数分解ではありません。
    xy-x+3y-12=0
    前の2つの項の共通因数はxなので、とりあえず2つだけをくくってみます。
    x(y-1)+3y-12=0
    ここで最初の共通因数であるxにばかり目がいって、
    「もう残りの項にxがない!だから、因数分解できない!」
    と嘆く高校生がいます。
    因数分解の問題を解くときもそうですね。
    着眼点がズレているのです。

    この先の共通因数はxではありません。
    (  )の中身のほうが全体の共通因数です。
    後半の項を(y-1)が共通因数となるようにくくることが次の目標となります。
    x(y-1)+3(y-1)
    このように、まずは強引に(y-1)という共通項を作ってしまいます。
    しかし、3(y-1)は、展開すれば3y-3です。
    -3という項は、この式に存在しません。
    だから、辻褄をあわせるために、その後に+3をします。
    すなわち、
    x(y-1)+3(y-1)+3-12=0
    x(y-1)+3(y-1)-9=0
    x(y-1)+3(y-1)=9
    共通因数(y-1)でくくります。
    (y-1)(x+3)=9
    順番を整えます。
    (x+3)(y-1)=9

    実際の答案では、ここまで丁寧に書く必要はなく、互いに影響しあわない作業は1行の中で処理していきます。
    ただ、あまり省略し過ぎると計算ミス・符号ミスをしやすいので、自分の中の「安全速度」を守って作業します。

    教科書や参考書に書いてある通りの書き方をしないとダメと思い、そのままそっくりに書いてしまう子は、特に中学入学直後に多いです。
    正負の数の計算で、
    (+3)-(+2)
    =(+3)+(-2)
    といった説明のための途中式をいつまでもいつまでも、そう書かねばならないのだと思い込んで書いていたりします。
    ( )を外せるようになっても、
    3-7+4-11
    =3+4-7-11
    と、順番をいちいち同符号ごとに直す癖の残っている子もいます。
    「それ、要らないよね?暗算できるよね?」
    と問いかけても、こう書いていた時期が半年を過ぎてしまっていると、もう癖になり、こう書かないと不安になり、一生直せない場合もあるようです。

    文字式の計算では、
    a2×ab
    =a×a×a×b
    =a3×b
    =a3b
    と丁寧に丁寧に書かなければならないと思いこんでいる子もいました。
    算数・数学があまり得意ではなく、しかも中1の最初に塾に通わなかった子がそのようになりがちです。
    教科書や参考書に書いてあるのは、わかりやすくするための説明であって、それが答案そのままとは限らないのですが、その加減が自学自習ではわからないのでしょう。

    場合によっては、文字まで印刷体とそっくりに書かねばならないと思い込んでしまっていた子もかつていました。
    x や y という文字、あるいは b という文字を、筆記体あるいはブロック体の書きやすい書体ではなく、印刷体そのままの妙な飾りやうねりのついた文字で書いていたのです。
    そう書かねばならないと思い込んで、そのままずっとそう書いてきて、違うと指摘されてももう直せなくなっていました。
    近年の算数・数学の教科書はその弊害を避けるために、極力、筆記体で x や y を書いてありますが、問題集まではそうなっていませんので、印刷体をなぞって書いている子は、今もいます。
    数字と区別がついているのなら、書き癖くらいはまあいいか、とも思うのですが、z の斜め線にクロスさせる点をつけない子は、「z」と「2」との見間違いが多く、計算ミスにつながってしまうのが残念です。

    一方、方程式の計算過程を全部単なる解説だと誤解して、与式の次はすぐにx=・・・ と書いてしまう子もいます。
    全部教科書の解説をそのままなぞる子も困りますが、省略し過ぎる癖がついている子も、計算ミスが減らない最大の原因となってしまいます。
    中1の最初、数学を学び始める最初の半年だけでも個別指導を受けてくれていたらと思うのは、そんな答案を見たときです。
    算数から数学への大きな転換期に、助言をくれる大人が側にいなかった。
    ノートや答案を丁寧に見てもらえなかった。
    それは、案外大きな傷跡を残します。
    一斉授業、あるいは、インターネットの動画を見るだけの授業は、本人の観察力や判断力が大きく作用します。
    間違えて覚えてしまった場合に修正できません。
    最初に間違った書き癖がつくと、根治は難しい場合が多いのです。


    さて、不定方程式の話を戻しましょう。
    (x+3)(y-1)=9
    まで式を整理できたら、それからどうするか。
    x、yは整数ですから、x+3、y-1も整数です。
    整数×整数が9になる場合は限られています。
    まずは、x+3と y-1との積が9になる場合を書き並べていきます。
    (x+3,y-1)=(1,9),(3,3),(9,1),(-1,-9),(-3,-3),(-9,-1)
    次に、そこからx、yの値の組を求めていきます。
    x+3から x を求めるには、-3をしていけば良いですね。
    y-1から y を求めるには、+1をします。
    (x,y)=(-2,10),(0,4),(6,2),(-4,-8),(-6,-2),(-12,0)

    xとyとを同時に計算していくと煩雑なので、先にxだけ計算することをお勧めします。
    x+3の値から単純に、-3した数値を書き込んでいきます。
    その後にyに値を書き込みますから、そのスペースは空けておきます。
    xの値を書き終えたら、次にyの値を書き込んでいきます。
    y-1の値からyの値を出すには、+1をします。
    そうした単純作業に置き換えることで、暗算しやすくします。
    x、y、x、y、と順番に計算していくと、煩雑な作業になり、時間もかかりますし、計算ミスもしやすくなります。
    ミスをしないためのちょっとした工夫を常にし続けること。
    それを習慣とすると、数学の得点は伸びていきます。


      


  • Posted by セギ at 12:09Comments(0)算数・数学

    2019年04月06日

    数A「整数の性質」。不定方程式。文字が3種類で自然数の解を求める問題。


    今回も「不定方程式」。こんな問題です。

    問題 方程式 x+3y+5z=23 を満たす自然数の組(x,y,z)をすべて求めよ。

    方程式は1本。文字は3つ。
    こんな問題、解は無数にあるのでは?
    でも、全部たし算ですし、「自然数」という条件があるので、解は限定されます。
    「自然数」というのは、1,2,3,4,・・・・という、正の整数です。
    どの文字も負の数になってはいけないということです。
    合計23の中で、1つの文字の取り分が増えていけば、他の文字の取り分が減るので、これは限りがあるとわかります。

    さて、こういう問題は、係数の大きい文字の範囲をまず計算します。
    この問題では、zの係数が5と一番大きいので、zの範囲を決めます。
    23からの取り分が大きくなる文字から決定したほうが、その後の計算が楽だからです。
    x+3y+5z=23
    移項して、
    5z=23-x-3y
    ここで、x、yは自然数なので、x≧1、y≧1。
    x=1、y=1を代入して、
    5z≦23-1-3・1
    5z≦19
    z≦19/5
    zは自然数だから、
    z=1,2,3

    ここで一番難しいのは、5z≦23-1-3・1 でしょうか。
    予想していた向きとは不等号の向きが逆で、「え?え?」となってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
    合計は常に23です。
    その中で、xとyの最小値1を代入しました。
    その場合、5zの取り分は最大となります。
    だから、実際の5zはその最大値以下となります。

    さて、ここから場合分けして考えていきます。

    [1] z=1のとき
    x+3y+5z=23 に代入して、
    x+3y+5・1=23
    x+3y=18
    よって、
    (x,y)=(3,5),(6,4),(9,3),(12,2),(15,1)

    [2] z=2のとき
    x+3y+5・2=23
    x+3y=13
    よって、
    (x,y)=(1,4),(4,3),(7,2),(10,1)

    [3]z=3のとき
    x+3y+5・3=23
    x+3y=8
    よって、
    (x,y)=(2,2),(5,1)

    これらは、x=1の場合から1つ1つ代入して計算しても勿論求められるのですが、時間がかかります。
    もう少し早く合理的に求めたいです。
    例えば、x+3y=18 の場合、
    x=0ならば、3y=18なので、y=6です。
    しかし、xは自然数なので、x=0は解ではありません。
    そこからyが1減って、y=5になると、3y=15です。
    全体の18から3減ることになります。
    それがxの取り分となりますから、x=3、y=5が最初の解の組だとわかります。
    あとは同じように変化していきます。
    つまり、全体としては常に3だけyからxへとやりとりがあります。
    だから、xは3ずつ増え、yは1ずつ減ります。
    (3,5)が見つかった後は、xは3ずつ増やし、yは1ずつ減らして、yが0や負の数になる前に止めれば良いのです。

    こういうやりとりの問題は、中学受験の受験算数でも出題されます。
    しかし、小学生でも、そして高校生でも、このやりとりがよくわからないという場合があります。
    わからないから、1から全部代入して求めたい。
    よく考えればわかるかもしれないけれど、煩わしいので、普通に計算したい。
    とりあえず解き方の理解に集中したい。
    やりとりの話は全体が見えてからゆっくり考えたい・・・。

    じっくり考えれば何も難しいことではないので、そういう人も大丈夫だと思いますが、これがわからないままとなると、テストでこの問題を解くのに時間がかかり、時間切れの恐れが出てきます。
    これは理解してほしいところです。

    例えば、 2x+3y=24 (x、yは自然数) を解くときに、xが0ならば、yは8です。
    これは暗算ですぐ出てきます。
    ここからxを増やしていきますが、yの項からもらえるものは必ず3の倍数です。
    しかし、2xは2の倍数です。
    だから、余りが出ないようにするには、2と3の最小公倍数の6ずつやりとりをすることになります。
    すなわち、xは3ずつ増え、yは2ずつ減ります。
    だから、
    (x,y)=(3,6),(6,4),(9,2)
    どうでしょうか?
    このことは、理解できる子には何でもないことなのですが、「わかりにくい」と感じる子にとっては、いくら説明を聞いてもわからない、何を言っているのかさっぱりわからない、日本語で説明されているとは思えないくらいわからない、ということのようなのです。

    表現が難しいですが、「数字と友達になっていない」ということなのかもしれません。
    サッカー選手にとって「ボールは友達」で自在に操れるものであるように、数字を自在に操れると、色々なことが楽になります。

    こういうことだけに限りません。
    例えば、「関数」の学習をしているとき。
    座標平面上の点の移動を上手く読み取れない子がいます。
    A(1,-5)からB(-3,-2)への移動は、x軸方向に-4、y軸方向に3だけ移動したもの。
    これは、見ただけでわかることなのですが、中学生・高校生の中に、この移動が読み取れない子がいます。
    「どういう式ですか?」
    と質問されたりします。
    ・・・式?
    あえて言えば、「移動後の座標-移動前の座標」で、
    -3-1=-4
    -2-(-5)=3
    ということですが、そんなややこしい式をいちいち立てていたら、かえって符号ミスをしそうです。
    1から-3への移動が-4の移動であることを、見ただけで読み取るというのは、ではどのように判断しているかというと。
    頭の中で、まず符号を決定しています。
    小さい数のほうに移動しているので、これはマイナスの移動です。
    移動の絶対値は、まず、1から0までで1。
    0から-3までで3。
    だから合計4。
    したがって、-4の移動です。
    -5から-2への移動。
    これは、大きい数に移動していますので、ブラスの移動です。
    移動の絶対値は5-2で3。
    だから、+3の移動。
    見ただけで判断するというのは、分析すれば、こういうことをほぼ直感的にやっていることです。

    「なぜたし算だったりひき算だったりするの?」
    そう訊かれれば、
    「同符号のときはひき算で、異符号のときは足し算です」
    と答えるのですが、ピンとこないようです。
    「わかんない、わかんない、わかんないー!」
    「・・・・・」
    これは私が悪いのです。
    わからないなら、式を立てて計算すればいいんですよ。
    こういう会話の後で、そのように話すこともあります。

    高校生でこの状態の子は、中1で最初に学ぶ「正負の数」の計算を実感をもって理解できず、やり方を丸暗記したのだろうと思います。
    数直線上の数値の移動が飲み込めなかったのでしょう。
    だから、数直線を見た瞬間に「ああ、これ嫌い」と言ったりします。
    数直線でイメージしていないので、正負の数の計算はルールを暗記しているだけです。
    だから、久しぶりに「正負の数」を復習すると、誤答が目立ちます。
    「あれ?負の数+負の数って、正の数になるんじゃね?」
    「・・・なぜ、そう思うの?」
    「あれ?違った?」
    「・・・負の数×負の数と混ざっていない?」
    「あ、そうかそうか」
    本人は気楽そうですが、負の数+負の数は、実感として正の数になるわけがないのに、なぜそこに違和感を抱かないのかと思うとき、私は足元に暗い深淵が覗いているように感じます。
    そういう子にとって、数字は友達ではありません。
    数字なんて、扱いにくくて厄介な存在なのだと思うのです。
    どうすれば、数字が友達になるかなあ。

    かなり話がそれました。
    まだ最終解答をまとめていませんでした。
    答えは、(x,y,z)の値の組で答えますから、
    (x,y,z)=(3,5,1),(6,4,1),(9,3,1),(12,2,1),(15,1,1),(1,4,2),(4,3,2),(7,2,2),(10,1,2),(2,2,3),(5,1,3)
    これが最終解答です。

      


  • Posted by セギ at 18:24Comments(0)算数・数学

    2019年03月20日

    立方体の展開図の読み取り。



    画像が傾いていますが、ご了承ください。

    問題 上の図で、面㋒と平行な面はどれか。

    こうした立方体の展開図に関する問題は、小学校4年生で1度、中学1年生でもう1度学習しますが、苦手なままで終わってしまう人が多くいます。
    側面が横並びに4枚並び、その上と下に底面がついているタイプの展開図ならば読み取れる人も、上のような展開図だと、どの面がどの位置にくるのか、よくわからないことがあるようです。

    頭の中でこの展開図を組立てられれば何の問題もありません。
    今は組み立てられない人も、今後の空間図形の学習のために、頭の中で展開図を組み立てるトレーニングはしたほうが良いと思います。
    空間図形をイメージする力は重要です。

    とはいえ、こうした空間把握力は素質もかなり影響します。
    イメージしなさいといくら励ましても、イメージできないものはイメージできない。
    この展開図を実際に折って組み立てれば、なあんだ、こんな図形だったのかあと納得し、理解したつもりになるようですが、イメージする力がそれでつくわけではありません。
    別の問題になれば、また読み取れない可能性が高いです。

    では、諦めるしかないのか?
    そんなこともありません。
    イメージ力の乏しさを知識で補うことは可能です。
    知識で補強することによって、頭で組み立てられるようにもなっていきます。

    完全なイメージができない場合は、とりあえず、2つの面だけを考えるのが有効です。
    面㋒と垂直になる面を1つ1つイメージしてみましょう。
    面㋒を上の底面と見立て、全部を1度にではなく、1枚ずつ側面にあたる面の見当をつけるのです。
    展開図ですぐ隣りにある面は、間の辺で折りますから、全て垂直の関係になるでしょう。
    上の図で言えば、面㋐、㋑、㋓は、すぐに側面だと判断できます。
    問題は面㋔で、これがどうなるかをイメージできない子が、すなわち空間把握力にやや課題がある子なのですが、辺サシと辺スシが一致することを知識で補うことができれば、それで面㋔も、面㋒と隣りあう面、すなわち、組み立てれば垂直の関係になる面なのだと理解できます。
    これで、面㋒を上の底面と見たときの4つの側面を全て発見できました。
    だとすれば、残る面㋕は、下の底面になるでしょう。
    底面と底面は平行です。
    すなわち、面㋒と平行な面は、面㋕です。

    図によっては、平行な面がすぐに見つかる場合もあります。
    3つの面が横並びになっている場合などは、その3つのうちの両端の面は平行となるでしょう。

    そんなまわりくどいことをいちいち考えないと、見えないの?
    保護者の方がイメージ力のある人の場合、こんな説明にむしろイライラするかもしれません。
    我が子がこれをイメージできないことにもイライラするでしょうが、見えない人には本当に見えないのです。
    上の展開図の面㋕が下の底面になることが、どうしてもイメージできないということはよくあることです。
    しかし、2面ずつならば、練習すれば自力で判断できるようになります。
    残る面が底面にまわり込んでいくのだと、後は知識で処理していきます。
    それを繰り返すうちに、ふと気づくと、まわり込んでいく底面も自力でイメージできるようになっている場合もあります。
    頭の中で、何かの回線がつながったのだと思います。
    そうなるまで、とりあえず、平行な面を答える問題は、すぐ横の面ではない面が平行な面、という知識で解くのが正解に至るコツです。

    何で平行な面が答えられないの?簡単なのに、と思う人も、こんな問題になると「あれ、これは難しい」となることがあります。

    問題 上の展開図を組立てたとき、点アと一致する点を全て答えよ。

    点アと点ウが一致するのは、比較的容易にイメージできると思います。
    しかし、もう1つ、点ケも点アと一致します。
    これをイメージできるでしょうか?

    一種の脳トレとして、あくまでも頭の中でこの立方体を組み立てようとするのも良いのですが、これがテスト問題であり、こんなところで失点するわけにはいかない場合、絶対確実な解き方があります。
    これは知識で解ける問題なのです。

    立方体で、ある点と対角線上にある点、すなわち、その点から一番遠い点は、展開図ではどこに存在するでしょう?
    それは、展開図で隣りあう面2つだけを抜き出して作った長方形の対角線上の位置に存在する点です。

    まず立方体の見取り図をイメージし、その上の底面と正面に見えている側面の2面だけを展開図としてイメージしてください。
    他の面はイメージの邪魔になりますから、今は無視します。
    その2枚だけの長方形の対角線の位置にある2点は、組み立てた立方体で対角線の位置にあります。
    もしわからなければ、このことは実際の立方体で確認してみると良いと思います。

    次、上の底面と右横の側面の2面で考えみます。
    今度は横長の長方形がイメージできると思います。
    その長方形の対角線の位置にある2点は、やはり組み立てた立方体で対角線の位置にあります。
    イメージするのは、そのことだけで良いのです。
    6つの面を同時にイメージするから大変なので、イメージは2面だけに絞ります。

    対角線の位置にある点のことがわかったところで、では、一致する点はどう見つけるのか?
    対角線の位置にある点にとっての対角線の位置にある点は、元の点と一致します。
    まず対角線の位置にある点を見つけ、次にその点にとって対角線の位置にある点を見つけます。
    すると、元の点と一致する点が見つかります。

    上の図で言うと、点アと対角線の位置にあるのは、点シです。
    その点シと対角線の位置にある点は?
    点アに戻っては意味がありません。
    別の2面の長方形を見つけます。
    面㋔と面㋕の2面で長方形になりますね。
    点シと対角線上にあるのは、点ケです。
    すなわち、点アと一致するのは、点ケとなります。
    点アと点ウのように、見たらすぐ一致するとわかる、90°の関係になっている点も、このやり方で発見できますが、それは見たまますぐ見つければ良いでしょう。
    したがって、点アと一致する点の答えは、点ウと点ケです。

    このやり方ならば、どんな奇妙な展開図でも正確に一致する点を答えていくことができます。
    イメージできなくても知識でこのように補っていく過程で、「へえ、こんな位置にある点が一致するんだ」と驚きながら、頭の中でそれを組み立てようとしてみる。
    その繰り返しで、イメージ力も少しずつ鍛えられていきます。

      


  • Posted by セギ at 11:28Comments(0)算数・数学

    2019年03月11日

    高校数A「整数の性質」不定方程式。解が自然数の場合。


    「不定方程式」の学習を続けます。
    今回は、こんな問題です。

    例題 方程式 3x+7y=71 を満たす自然数の組(x , y)を全て求めよ。

    この問題が今までと異なるのは、求める解が「整数」ではなく、「自然数」であることです。
    自然数とは、1、2、3、4、・・・・といった、正の整数。
    x も y も自然数となると、解は無数にあるわけではなさそうです。
    どちらかが負の整数であるものは解ではないからです。
    ですから、こういう問題は、具体的な解を全てあげて答えます。

    まずは、いつも通りの不定方程式の解き方で計算していきます。
    x、y の具体的な解を1組、見つけましょう。
    係数の大きい y のほうから、1、2と具体的に代入していくことで、x=19、y=2が見つかりますね。
    したがって、
    3・19+7・2=71 ・・・・②
    与式を①として、①-②をすると、
    3(x-19)+7(y-2)=0
    移項して、
    3(x-19)=-7(y-2)
    3と7は互いに素だから、
    x-19=7k (kは整数)
    x=7k+19 ・・・③
    y-2=-3k
    y=-3k+2 ・・・④
    という整数解がまず見つかります。

    ここからが今までと異なります。
    x、yは自然数なので、
    1≦x、1≦yです。
    これに③を代入すると、
    1≦7k+19
    7k+19≧1
    7k≧-18
    k≧-18/7
    1≦y に④を代入すると、
    1≦-3k+2
    3k≦1
    k≦1/3
    よって、-18/7≦k≦1/3
    kは整数だから
    k=-2、-1、0
    これで、自然数の解は3組あることが確認できました。
    これを③、④に代入して、
    (x、y)=(5 , 8),(12 , 5),(19 , 2)
    x=7k+19 ですので、1つめの x=5 を計算したら、その他のxの解は単純に7ずつ増やしていくと、求める時間を短縮できます。
    yも同様です。
    y=-3k+2 ですから、最初は計算で y=8 を出した後は、3ずつ減らしていくとよいでしょう。
    今回は解が3組だけでしたが、もっと沢山あっても全部書いていきますので、計算時間の短縮は重要です。
    計算の工夫ですね。

    高校生の定期テストを見ると、計算でもたつき、時間がかかってテストを最後まで解くことができない人もいます。
    計算スピードが遅い生徒を見ていると、手が止まって考え込んでいる時間が長いのが特徴です。
    立式を考えているのではありません。
    式が立った後、計算で手が止まって考え込んでいるんです。
    何をしているのかというと、暗算をしています。
    その暗算のやり方がまずいのです。
    上の例で言えば、k=-2をx=7k+19に代入した暗算をするのは納得できます。
    7・(-2)+19=5
    その後は、5+7=12、12+7=19 と暗算していけば速いのですが、
    7・(-1)+19=・・・うーん、うーん、うーん・・・。
    7・0+19=・・・うーん、うーん、うーん・・・。
    と逐一、もとの式に代入して暗算しているので、時間がかかるのです。

    これは、暗算と筆算とのバランスの問題もあるかもしれません。
    楽に暗算できるところは暗算し、不正確になりがちなところは目に見える形にしておく。
    例えば、もっと単純な1次方程式でも、そういう子の答案は、変に丁寧なところと省略しているところとがアンバランスなことが多いです。
    3x-17=8x+53
      -5x=70
        x=-14
    これが普通の計算の進め方だと思いますが、計算の下手な子は、こういう書き方をすることがあります。
    3x-17=8x+53
    3x-8x=53+17
        x=-14

    え?その2行目、要らなくない?
    え?その2行目から3行目に跳ぶの、つらくない?
    同じ行数でも、上の書き方と比べると、暗算の負担が大きくなり、時間がかかります。
    ミスも出やすいでしょう。
    何でそんなアクロバティックな省略をしたがるのか私にはわからないのですが、書いている本人は、もう何年もそういう答案を書いているので、何を指摘されているのか、なかなか飲み込めない様子です。
    ここを省略するから計算しにくくなって、ここで符号ミスをして、ここで計算ミスをする。
    そういうことに対して普段から自覚がなく、
    「次はミスしないようにしよう」
    と思うだけのようです。
    それでは、ミスが減ることはあまり期待できません。

    計算ミスが多いのは、何か原因があります。
    計算のスタイルを改善する必要があるのです。
    具体的に何かを変えていかなかったら、ミスは減りません。
    「ミスしないよう、次は頑張ります」と思うだけでは、ミスは減りません。

    我流のスタイルが身体にしみついている場合、改善が難しいのは事実です。
    スポーツに通じるものがあるかもしれません。
    正しいフォームが大切なのは一般論としてはわかっている。
    でも、自分は正しいフォームで行うことができない。
    我流のやり方がしみついている。
    そこを注意されても、直せない。
    そういうことは多いと思います。

    例えば、テニスのサーブで、自分の真上にトスを上げるのは初心者にはなかなか難しいことです。
    多くの場合、斜め前方にトスを上げてしまい、そこからへっぴり腰で威力のないサーブを打つしかありません。
    しかし、そこを注意されても、直せない。
    何をどうすればそれが直るのかも、わからない。
    そういうことはあると思います。
    斜め前方に上げたトスから打つサーブでも、とにかく相手コートには入る。
    だから、もうそれで良しとしてしまうのです。
    不正確なフォームのまま、本人の中でそれでOKとなってしまうのは、指導力のあるコーチが側にいない場合には、よくあることでしょう。
    正しいフォームを身につければ無限に伸びる可能性が生まれるのに、我流から脱することができないのです。

    数学も、そうなのかもしれません。
    そういうところは、数学はスポーツと似ていると思います。
    数学は頭脳のスポーツ。
    正しいフォームで数学の問題を解きましょう。

      


  • Posted by セギ at 14:40Comments(0)算数・数学

    2019年03月04日

    高校数A「整数の性質」不定方程式。文字が3つの場合。



    さて、「不定方程式」の続きです。
    今回は、文字が3つある、3元1次不定方程式の解き方。
    まずは連立型。
    式が2本ある場合です。

    問題 連立方程式 
    7x+5y+2z=37・・・①
    2x-y+z=13・・・②
    の整数解を全て求めよ。

    不定方程式の基礎が身についたら、この解き方は自力で発見することもできそうです。
    zを消去した式をまず1本作ったら良いですよね。
    どうしたら消去できるか?
    zの係数を揃えて、足したり引いたりすれば消えます。
    ①-②×2をすると。
      7x+5y+2z=37
    -)4x-2y+2z=26
      3x+7y   =11 ・・・③

    ここから xとyの解を求めるまでは、今まで学習した不定方程式の解き方と同じです。
    暗算で、xとyの整数解の1つを求めます。
    例えば、(x, y)=(-1, 2)がそうですね。

    この暗算が上手くいかないという悩みをもつ高校生もいます。
    見つけられないと言うのです。
    では、ちょっとしたコツを。

    上の式で言えば、3xと7yの和が11という正の数になるということは、xとyのどちらかが負の数だということにまず気づきます。
    3×1+7×1=10 ですから、どちらも正の数の場合、この先、どんどん和は大きくなっていく一方で、和が11になることはありません。
    必ず、xとyのどちらかは負の数です。
    あとは、係数の大きいyのほうに、1、2と入れていって辻褄が合うかどうかを検討するのが手っ取り早いです。
    7と3の差が4で、11と7の差が4であることから、xの係数とyの係数の絶対値の差は1であることも判断できます。
    しかし、今すらっと書いたことを読んで「え?」と思われる場合は、その考え方を使うのはかえって時間がかかる可能性があります。
    そんなことをいちいち考えるより、y=1、y=2と代入していくほうが早く見つかるでしょう。

    さて、そのようにして、x=-1、y=2という整数解の1つが見つかります。
    3・(-1)+7・2=11・・・④
    ③-④をすると、
    3(x+1)+7(y-2)=0
    移項して、
    3(x+1)=-7(y-2)
    3と7は互いに素だから、
    x+1=7k (kは整数) ・・・⑤
    ⑤を③に代入して計算すると、
    y=3k+2
    よって、x=7k-1
         y=3k+2 (kは整数)

    xと y の解がわかったら、それを与式のどちらかに代入すれば z も求めることができます。
    今回は②の式が求めやすそうなので②に代入しますが、①に代入しても同じ答えが出ますし、そのことで考えこんでしまう必要はありません。
    しかし、ここでいつまでも考え、悩み、手が止まってしまう子もいます。

    ぱっと見てどちらが解きやすいか判断がつかないのは、それはどちらも本人にとって同じ労力だからなのでしょう。
    係数の大きいかけ算はあまりやりたくない。
    かといって、負の数のかけ算はミスをしそうで気が進まない。
    結局、どちらもやりたくない・・・。
    負の数になると符号ミスをしやすい高校生の場合は、むしろ①に代入したほうが正解の可能性が高まるかもしれません。


    計算の工夫は、そうしなければならないというものではありません。
    ただ、高校生に「三角比」や「三角関数」を教えていると特に感じるのですが、計算が苦手な子ほど計算ミスをしやすい計算方法で計算してしまう傾向があります。

    例えば、余弦定理の利用の問題で、下のような式を立てるところまではできたとします。
    49=(x-1)2+25-2(x-1)・5・(-1/2)
    この式の後ろのほう、-2(x-1)・5・(-1/2) はごちゃごちゃしているように見えますが、ここは全てかけ算の連なりですから、どこからかけても結果は同じです。
    -2と-1/2を先にかけてしまえば、ここは1です。
    だから、5(x-1)=5x-5 と簡単に整理できます。

    しかし、計算が苦手な子ほど、前から順番にかけてしまいます。

    -2(x-1)・5・(-1/2)
    =-2x+2・5・(-1/2)
    =-2x+10・(-1/2)
    =-2x-5

    これは、誤った計算です。
    -2x+2を(  )でくくるのを忘れ、そこから、もう正しい計算ではなくなっているのです。
    余弦定理の利用で、非常に多く見られる計算ミスです。

    そこを何とかクリアしても、
    (-2x+2)・5・(-1/2)
    =(-10x+10)・(-1/2)
    =5x-5

    と、見ていて、「うわあ・・・・」とつぶやいてしまう危険な計算過程をたどる子は多いです。
    多項式の( )をいちいち開いたら面倒くさくなるよ、そこは最後にして単項式から先にかけなさいと助言するのですが、そういうのは問題を解いているときには気づかないと本人は言います。
    使っているのは、単なる交換法則です。
    それが使えないと言うのです。
    言われればわかるけれど、使いこなせない。
    どんなときにどんな法則を使うのか、本当のところがよくわかっていないのかもしれません。

    交換法則を学習するのは、小学4年生です。
    そこが大きな分岐点だったことなど、小学4年生本人も保護者の方も気づきません。
    高校生になって、交換法則が使えないことが発覚しても、なかなか定着しません。
    交換法則は、強く深く理解しておいてください。
    後になるほど大きく影響してきます。
    「計算のくふう」は苦手。
    よくわからない。
    普通に計算したい・・・。
    そんなことを言う小学生は、交換法則が実はよくわかっていない可能性があります。

    計算の工夫は、簡単に計算するための工夫です。
    簡単に計算できれば、ミスしにくくなります。


    さて、不定方程式に話を戻しまして。
    x=7k-1 , y=3k+2 を ②の2x-y+z=13 に代入しましょう。
    2(7k-1)-(-3k+2)+z=13
    14k-2+3k-2+z=13
    17k-4+z=13
           z=-17k+4+13
           z=-17k+17
    よって、
    x=7k-1
    y=-3k+2
    z=-17k+17 (kは整数)

    これが3元1次不定方程式の解です。
      


  • Posted by セギ at 13:04Comments(0)算数・数学

    2019年02月20日

    数A「整数の性質」。不定方程式。定数項が大きい場合。


    今回も「不定方程式」の学習の続きです。
    例えば、こんな問題。

    例 41x+17y=30 の整数解を求めよ。

    x や y の係数も大きいですし、定数項30もそこそこ大きいですね。
    でも、解き方の基本は今までと同じです。
    不定方程式を解くには、まずxyの整数解を1組見つけます。
    暗算で見つけられれば、それでOK。
    しかし、このようにxyの係数が大きいと、さすがに暗算で見つけるのは難しくなります。
    そこで互除法を利用します。
    41と17に互除法を用いて、
    41÷17=2あまり7 より 7=41-17・2
    17÷7=2あまり3  より 3=17-7・2

    目標は、x、yの整数解を1組見つけること。
    すなわち、41◇+17△=30
    という形の式を1本作ることです。
    そこに向かって、互除法で得られた式をどんどん代入していきます。
    あまりが1になるまで計算しなくても、あまりが30の約数になるまで互除法をやれば、そこから変形していくことができます。
    3ならば、10倍すれば30ですから、今回は、そこから始めましょう。

    3=17-7・2
     =17-(41-17・2)・2
     =17-41・2+17・4
     =41・(-2)+17・5
    よって、
    41・(-2)+17・5=3

    この式の両辺を10倍します。
    41・(-20)+17・50=30 ・・・・②

    かけ算のまとまりのところ、例えば41・(-2)のところは、-2のほうだけ10倍すれば、全体を10倍したことになります。
    41と-2と両方を10倍し、410・(-20)としてしまうと、結果としてその部分は100倍したことになってしまうので、注意が必要です。
    これは、中学生が方程式を整理するときによくやってしまうミスですが、高校生になっても、なぜそれではダメなのか実のところわかっていない人もいます。
    こういうことをしてはダメなんだというルールとして覚えようとして覚えきれず、ミスを繰り返す。
    「数理の根本がよくわかっていないのではないか?」
    数学の先生にそう指摘されてしまうのは、こういう点だったりします。
    本当にわからない人は、ここで解決しておきたいですね。

    わからなくなる度に、実際に計算し、実感をもって確認しておくと良いでしょう。
    上の式で、かけ算のまとまりところを両方10すると、
    410・(-20)+170・50
    =-8200+8500
    =300
    となります。
    やはり、もともとの右辺である3を100倍した結果になってしまい、10倍にはなりません。

    ところが、ここで、0を多く含む計算の正しいやり方を小学生のときに習得できなかったのか、
    410・(-20)=-820
    としてしまう人もいます。
    違うと指摘されれば気づくのですが、自分では、1桁小さくしてしまっていることに気づかないようです。
    このあたりがあやふやであることも、等式の両辺を10倍するやり方を根本で飲み込めなくなっている原因の1つでしょう。
    かける数とかけられる数をそれぞれ10倍すれば、全体としては100倍になることが、やはり未定着なのだと思います。
    小学校の算数のどこかがあやふやであることは、中学・高校と進むにつれて大きな困難を伴います。
    算数は大事です。


    不定方程式の計算に戻りましょう。

    与式を①として、①-②をすると。
    41(x+20)+17(y-50)=0
    移項して、
    41(x+20)=-17(y-50)
    41と17は互いに素だから。
    x+20=17k (kは整数)
    y-50=-41k
    よって、答えは、
    x=17k-20
    y=-41k+50 (kは整数)

    後半の計算過程は、ご理解いただけたでしょうか?
    そのときはわかるけれど、時間が経つと、またわからなくなる。
    不定方程式の計算は、わかって、わからなくなって、またわかっての繰り返しとなる人が多いです。

    作業手順だけ覚えようとすると、忘れるのも早いのです。
    必ず計算の意味に戻れるようにしておいてください。


      


  • Posted by セギ at 10:33Comments(0)算数・数学

    2019年02月13日

    算数・数学の文章題が読み解けない子。


    国語が苦手なために、算数・数学の文章題を上手く解くことができない子の話は、以前にも書きました。
    例えば、こういう文章題が読めないのでした。

    問題 ある数を2乗するところを誤って2倍したため、計算の結果は19小さくなりました。ある数を求めなさい。

    この問題の何が読み取れないのか?
    「計算の結果」とは、2乗したもののことか2倍したもののことか、わからないと本人は言うのです。
    誤って2倍したほうが計算の結果です。
    誤って2倍したのだから、その誤った計算を実際にやっているのでしょう?
    そう説明しても、
    「そうかな?どこに書いてあるの?」
    と首をひねり、自分はこの文からはそんなことは読み取れない、と言うのです。

    それに関して、以前は、文章の読み方の癖として、目立つ動詞や名詞しか目に入っていないからなのではないか、という解釈をしました。
    目につく単語を拾い読みするほうが速く読み取れるので、それが習慣になり、語句の関係が複雑な文は読解できなくなっているのではないか?
    助詞・助動詞の働きが理解できず、語句の関係をつかめないので、正確な読解ができないのではないかと考えたのです。
    その見方は必ずしも間違っていないと今も思っているのですが、最近、また新たな発見がありました。

    別の、やはり国語が苦手な子が、以下の文章題を読み取れなかったのです

    問題 色紙でつるを600羽折りました。赤い色紙のつるは全体の30%にあたります。赤いつるは何羽でしょう。

    「割合」に関する文章題の中では、比較的易しい問題です。
    600羽の30%なのだから、
    600×0.3=180 で、答えは180羽ですね。

    上の問題、
    「600羽の30%なんだよ」
    と私が解説すると、その子は、スラスラと式を立てることができるのです。
    だから、割合の3用法は理解できています。
    もとにする量×割合=比べられる量
    そういう公式は理解しています。
    しかし、文章から、その関係を読み解けないのです。

    私が小学生に算数の「割合」を教えるようになった最初の頃から、文章中の何が「もとにする量」で何が「くらべられる量」なのか判断できない子は存在しました。
    むしろ、小学生の過半数はそうではないかとも思います。
    そうした場合に「もとにする量の、割合」という文章の構造を教えると理解できるようになる子は多いです。
    文章中の割合を表す数値はどれであるかは、さすがに9割以上の子が識別できます。
    むきだしの小数・分数、または%や何割何分何厘といった単位のついている数値が割合。
    それでほぼ判断がつきますから。
    上の文章題で言えば、「30%」が割合です。
    その数字の前にひらがなの「の」があります。
    助詞の「の」ですが、そんなことは説明しなくて大丈夫です。
    その「の」の前に書いてあるものが「もとにする量」。
    上の文章題で言えば、「全体」がもとにする量です。
    全体の30%。
    もとにする量の、割合。
    文章題からそれを発見すること。
    「割合」と「もとにする量」を発見できれば、そうでない数字が「くらべられる量」です。
    「割合」が本当に苦手で、文章題で得点できる可能性がほとんどない子に対しては、この教え方は効果的です。

    ☐cmの1割5分は7cmです。

    といった、1行の基本問題ならば、自力で立式できるようになります。
    1割5分が「割合」。
    「の」の前にあるのが☐だから、☐は「もとにする量」。
    もとにする量を求めるのだから、式は、比べられる量÷割合。
    だから、式は、7÷0.15 です。

    しかし、上の問題は、そのやり方では解けない子がいます。
    もう一度、上の問題を確認しましょう。

    問題 色紙でつるを600羽折りました。赤い色紙のつるは全体の30%にあたります。赤いつるは何羽でしょう。

    「全体の30%」という表現から、30%が「割合」。
    その前に「の」があるから、そのさらに前の「全体」が「もとにする量」。
    そこまでは読み取れるのです。
    しかし、全体が何羽であるかを読み取れないので、式が立てられないのです。
    全体が600羽であることを、この短い文章から読み取れないようです。
    どういうことなのでしょう?


    また別の問題。

    問題 定員55人のバスに、140%の人が乗っています。このバスに乗っているのは何人でしょう?

    この文章題は「もとにする量の、割合」という構造が崩れています。
    140%が割合ということは識別できます。
    しかし、その前に「の」がない。
    だから、もとにする量が何であるかを読み取れない子がいます。
    したがって、求めるものが「もとにする量」なのか「くらべられる量」なのかを識別できません。
    ふーむ・・・。

    「もとにする量の、割合」という構造になっていないのは事実だけれど、どう見ても「定員55人」が「もとにする量」なんだけれど、やっぱり、わかりませんか?
    その子の返事は、「わからない」でした。
    ふーむ・・・。


    また別の問題。
    問題 めぐみさんの学校では、今日は18人休みました。これは学校全体の4%にあたるそうです。今日出席しているのは何人でしょう。

    この問題は少し複雑で、小学生にとっては応用問題です。
    18人が4%にあたるのですから、「もとにする量」である学校全体の人数は、
    18÷0.04=450 (人)
    そのうち18人が休んでいるのだから、今日出席しているのは、
    450-18=432 (人)
    いきなり答えが出ず、2段階で計算していかなければならない問題は、難しいです。
    そのように解くということを発想できない小学生が多いですから。
    小学生の多くは、算数の問題は1本の式で答えが出るものと思い込んでいるのです。
    だから、答えを出す式を立てようとウンウンうなったあげくに、ギブアップとなってしまいます。

    応用問題ですから、解けなくても良いと思って出題してはいるのですが、それでも、4パーセントが「割合」で、「学校全体」が「もとにする量」で、18人が「くらべられる量」というところまでは分析してほしい。
    そこまではできるはずだから、と思うのですが、なかなかうまくいきません。
    「学校全体」が「もとにする量」までは何とか分析できるのですが、18人が何なのかわからないのです。

    ふーむ・・・。


    これらの問題を、なぜ子どもは読み解けないのか?
    共通することは何なのでしょう。

    問題1 ある数を2乗するところを誤って2倍したため、計算の結果は19小さくなりました。ある数を求めなさい。
    問題2 色紙でつるを600羽折りました。赤い色紙のつるは全体の30%にあたります。赤いつるは何羽でしょう。
    問題3 定員55人のバスに、140%の人が乗っています。このバスに乗っているのは何人でしょう?
    問題4 めぐみさんの学校では、今日は18人休みました。これは学校全体の4%にあたるそうです。今日出席しているのは何人でしょう。

    上のように別紙に問題を書き取って、じっと眺めているうちに、私はあることに気づきました。
    これらの文章題は、全て、途中が読点、あるいは句点で、問題文が区切られています。
    彼らは、読点、あるいは句点を越えた内容の関係性を把握できないのではないか?
    読点の度、句点の度に、意味がリセットされて、その先はまた白紙のところから読むため、意味をつかめないのではないか?

    問題1は「誤って2倍したため」という表現の後に読点があるので、本人の中でそこでリセットされてしまい、「計算の結果」が何の計算の結果なのかを読み取れないのではないでしょうか。
    つまり、問題1をこのように書き変えれば、読み取れるのです。
    「ある数を2乗するところを誤って2倍したため、誤って2倍した計算の結果は2乗したものよりも19小さくなりました。ある数を求めなさい」

    同様に、
    問題2 色紙でつるを600羽折りました。赤い色紙のつるは、折った600羽全体の30%にあたります。赤いつるは何羽でしょう。
    問題3 定員55人のバスに、定員55人の140%の人が乗っています。このバスに乗っているのは何人でしょう?
    問題4 めぐみさんの学校では、今日は18人休みました。今日休んだ18人は学校全体の4%にあたるそうです。今日出席しているのは何人でしょう。

    このように問題を自分で書き直した際の私自身の感想は、
    わかりやすいのかもしれないけれど、下手くそな文だな・・・。
    くどいなあ。文章の呼吸というものが何もない・・・。

    でも、ここまでくどくどと書かないと意味を取れない子が存在するのです。
    すなわち、文章の呼吸を読み取れない子が存在します。


    高校の国語教育改革が取沙汰されています。
    高校の国語は、契約書や資料などを含む実用的な文章の読み取りに重点を置くものに変わり、文学作品の読解は選択科目になってしまうとのこと。
    それに関して、例のAIによる大学受験や読解テストで有名になった学者が、現在、高校国語の全ての教科書で採択されている『山月記』などは教える意味がないといった発言をし、批判を浴びています。

    現代の子どもの多くが、上のように読点や句点を越えた読み取りすらできない現状では、確かに、文学の鑑賞などよりも、基本的な文章が読み取れる学習のほうを強化すべきかもしれません。
    教科書を読めない子どもたちがいることはどうにかしないといけません。

    しかし、それで文学作品を教えることを否定するのはどうなのでしょう?
    文学を理解することが、高い能力を持つ者だけの教養や贅沢になってしまうのは気持ち悪いという以上に、契約書や資料の読み取りに夢中になれる子どもなど果たして存在するのかという懸念があります。
    文章を読むことがますます嫌いにならないでしょうか?
    文字を読むことそのものが好きな私ですら、契約書を読み通すのは、ある種の苦行です。
    つまらないです。
    その中から面白さを探せ、それが勉強だなどと言われたら、さすがにちゃぶ台をひっくり返しますよ。
    つまらないものは、どうしたってつまらないです。
    必要だから読みますが、面白くはないです。
    どこまでいっても、面白くなりようがないです。
    無味乾燥な文章なのですから。
    つまらないことを勉強するのは嫌です。
    文学作品の読解は、文字を読むことが嫌いな子どもが、1つの作品との出会いで劇的に文章を読むことが好きになる、わずかな可能性を担っていると思うんです。


    それにしても、なぜ、句読点を越えると意味がリセットされるような読み取りをする子どもが存在するのでしょう。
    デジタル世代だから?
    そんな乱暴な論を振り回している場合ではないので、その子に質問してみました。
    「子どもの頃、読み聞かせとか、してもらった?」
    その子の答えは、こうでした。
    「してもらった!すごくしてもらった。だから絵本は好きなんだけど、他の本は好きじゃないんだよね」
    「・・・・・・」

    子どもを本好きにさせるのは容易なことではないと改めて思います。

      


  • Posted by セギ at 12:12Comments(0)算数・数学

    2019年02月07日

    数A「整数の性質」不定方程式。互除法の利用。



    今回も「不定方程式」の学習です。
    前回は、比較的係数の小さい不定方程式を解きました。
    不定方程式は、具体的な x と y の整数解を1組見つけることができれば解いていくことができるのでした。
    係数の小さい不定方程式なら、頭の中でちょちょっと代入して、暗算で求めることができました。

    しかし、暗算ではなかなか見つけられない場合もあります。
    そんなときは、「互除法」を利用して整数解を1組求めます。

    問題 43x+13y=1 の整数解を全て求めよ。

    これは暗算では整数解をなかなか見つけられそうにないです。
    こんなときは、互除法を利用します。

    43と13に互除法を用いてみましょう。
    43÷13=3あまり4
    これを後で利用しやすいように変形しておきます。
    4=43-13・3
    これは、余り=もとの数-割る数×商 という変形です。

    この変形で苦労する高校生がときどきいます。
    形だけ真似ることはできても、よく意味がわからないようなのです。
    おそらく、小学生の頃から、加減乗除の関係の理解が完全ではなかったのだと思います。
    小学4年生でわり算の筆算を学習したとき、検算もあわせて学習しますが、なぜそれで検算できるのか、実は理解できなかったのかもしれません。
    検算しろと言われたから、公式通りに代入して検算した形にした。
    でも、本当は、なぜそれで検算になるのか、意味はわからなかった。
    あるいは、意味など考えなかった。

    ☐を使った式の変形などでも、かなり苦労する小学生がいます。
    例えば、
    ☐-3=5
    などの☐を求める式を上手く立てることができないのです。

    中学生になって方程式を解くときにも、加減乗除が理解しきれていないことは影響したはずです。
    移項をするとき、なぜ符号が変わるのかわからないまま、「そういうものだ」と作業手順だけ覚えて済ませてしまったのかもしれません。
    あるいは、意味が理解できなかったわけではないけれど、作業手順だけを頭に残してきた。
    手順だけを覚え、作業の意味を忘れてしまう繰り返しの中で、算数・数学の根幹への理解が痩せていってしまったのかもしれません。
    いちいち意味を確かめながら作業していたら時間がかかるので、作業は自動化しがちです。
    自動化の中で、意味は無用のものだから記憶から消去してしまった。
    そして、意味がわからなくなった。
    数学が苦手な子の典型の1つです。

    中学受験の受験算数では、しつこいくらい「逆算」の計算問題が出題されます。
    上の、☐を使った計算です。
    中学生になったら使うことのない逆算を、なぜそんなにしつこく問うのかといえば、加減乗除の関係を正しく理解できている子を入学させたいからでしょう。
    表面的には逆算を使用することは中学入学以後はないけれど、加減乗除の関係が定着している子でないと、その上に何を積み上げていっても不安定です。
    不安定な基礎の上に無理に数学を積み上げていっても、やがて何も積み上がらなくなってしまう。
    中学側は、数理の基礎を理解している子を入学させたいのでしょう。

    小学校でもっと、☐を使った計算を沢山やれば良いのに、と思わないでもありません。
    しかし、それをやると、過半数の子は上手く解くことができないかもしれません。
    小学校で、過半数が解けない問題を扱えば、授業が成立しないでしょう。
    小学校は、皆が解ける問題を勉強する場所。
    勉強に関して絶望させない場所です。
    ☐を使った計算は、深追いできないでしょうか。

    その一方、高校数学には絶望が存在する。
    わからな過ぎて、授業中に涙を流す高校生が存在します。
    本質的には小学校の算数が身についていないのですから、無理ないのです。
    目の前のことがわからないのではない。
    そのはるか手前でつまずいているのです。
    そのことに自覚的になるだけでも、高校数学を攻略する道が見えてくると思います。


    不定方程式に話を戻します。
    43と13に互除法を用いて、
    43÷13=3あまり4 より 4=43-13・3
    13÷4=3あまり1 より 1=13-4・3

    ここで、余りが1となりました。
    与えられた不定方程式の右辺と一致しました。
    ここから、変形しておいた式を代入して、復元作業をしていきます。
    1=13-4・3
     =13-(43-13・3)・3
     =13-43・3+13・3・3
     =13-43・3+13・9
     =43・(-3)+13・10

    すなわち、
    43・(-3)+13・10=1 ・・・②

    43x+13y=1と同じ形になりました。(*'▽')
    つまり、x=-3、y=10 は、この方程式の整数解の1つです。
    これが互除法を利用した整数解の1組の求め方です。
    途中、何をどう代入しているのかわからなくなる人。
    わかるつもりなんだけど、自分でやってみると、この通りにならない人。
    そういう人が多く出るところです。
    1人でできるようになるまでは、補助があると良いですね。
    目標は、与えられた式、43x+13y=1 と同じ構造にすること。
    そこへ向かって、道筋を誤らないようにします。
    慣れないうちは、符号ミスが出やすいですし、計算しないでおくべきところをすぐに計算してしまって、訳がわからない見た目になったりしがちです。


    後は、前回解いた問題と同じ解き方です。
    与えられた不定方程式・・・① から、今求めた式②を引きます。
      43x    +13y  =1
    -)43・(-3)+13・10=1
      43(x+3)+13(y-10)=0

    移項すると、
    43(x+3)=-13(y-10) ・・・③
    43と13は互いに素だから、
    x+3=13k (kは整数)
    これを③に代入すると、
    43・13k=-13(y-10)
    13(y-10)=-43・13k
    y-10=-43k
    y=-43k+10
    よって、答えは、
    x=13k-3, y=-43k+10 (kは整数)

    これで、係数が大きい不定方程式も解けます。
    途中でわからないところがある人は、前回の、不定方程式の基本のところに戻って見直してみてください。
    ヽ(^。^)ノ
      


  • Posted by セギ at 12:03Comments(0)算数・数学