たまりば

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2019年10月03日

中3数学「2次方程式の利用」文章題の立式とその後の計算。


今回は中3に戻って、2次方程式の文章題を解いてみます。
計算問題なら大丈夫なんだけれど、文章題は苦手、という人、多いですよね。

問題 兄は弟より4歳年上で、兄の年齢の平方は、弟の年齢の平方の3倍より8小さい。兄と弟の年齢を求めよ。

もう幾度も書いてきましたが、方程式の文章題の答案の1行目は、何をxとしたかを書きます。
しかし、これを書かない子は多いです。
つい忘れてしまうようで、答案作成の習慣として定着しません。
何を文字で表したのか定義しなければ答案を読む人に伝わりません。
けれど、本人としては、そもそも x を使うように要求しているのは数学の先生なので、自分の関知するところではない、自分の責任ではないという意識があるのかもしれません。
自分は x なんか使いたいわけではない、使わされているだけだ、という気分なのでしょうか。
「そんなの書かなくて大体わかるじゃん」
という気持ちになってしまう底には、そういう意識があるのではないかと思うのです。

もっと単純に、小6で初めて x や y を使うことになったときは、そんなことは要求されなかった、中学になったら何でそんなにうるさいんだろう、という気持ちもあるのでしょうか。
小学生にそこまで要求しても無理だから要求されなかっただけなのですが。

xの定義は重要です。
式を見て、
「このxは何を表しているの?」
と尋ねても、即答できない場合がほとんどだからです。
自分でもわからないものを他人にはわかれと要求することはできません。

そういう、「答案を読む人に迷惑をかけるな」系の理由の他に、何をxとするかを明記することは本人にとっても利点が大きいのです。
文章題が苦手な中学生は、文章題を見た途端に小学生に戻ってしまう傾向があります。
どうやって答えを求めよう?
どういう式なら答えが出るだろう?
かけ算?
割り算?
そんなことをうっかりすると考え始めてしまいます。

「・・・何を x としますか?」
そう声をかけると、はっと目が覚めた様子で、まずその1行を書き、そうだった、これは方程式だったと気がついて、立式し始める子は多いです。
私がそのように声をかけなくても、自分で何を x とするかを考えるならば、文章題は自力で解けるようになります。
数学は、常に1行目の書き出しが一番難しい。
それさえ書きだせれば、次の段階に進めるのです。

さて、無事に1行目が書けたとして。

方程式の文章題の採点基準は、
①何を文字においたかを書いてあるか。
②方程式が正しいか。
③計算の結果が正しいか。
④変域について考察してあるか。
⑤最終解答が書いてあるか。
です。

つまり、立式が正しいことを確認した後は、すぐに計算の結果に目を移し、途中は読まない先生が多いのです。
③の計算の結果が正しくない場合のみ、その前に戻って、どの行まで計算が正しいかを確認し、そこまでを赤ペンで区切って部分点を決定というのが採点の普通の流れです。
どこを採点されているのか、そのメリハリを理解し、答案を書いていくと良いですね。

さて、問題に戻りましょう。
これは、兄と弟の年齢のどちらをxとしても構わないです。
ただ、兄の年齢をx歳とすると、弟の年齢は(x-4)歳と、負の符号が出てきますので、符号ミスが多い人は、ちょっと危険要素が加わることにはなります。
とりあえず、今回は、弟の年齢をx歳としてみましょう。
答案に、「弟の年齢をxとする」と書く人も多いですが、xは単位をつけて書きます。
年齢なら単位は「歳」に決まっているのでまだましですが、例えば速さに関する問題で、xの単位が「分」なのか「秒」なのかわからず、実は本人も混乱しているとなると、大変です。
「弟の年齢をx歳とする」と書くのが正しい書き方です。

弟の年齢をx歳とする。

さて、ここから立式です。
よくあるのが、こんなミスです。

(x+4)2-8=3x2

・・・うん?
もう一度問題を読み直しましょう。
「兄は弟より4歳年上で、兄の年齢の平方は、弟の年齢の平方の3倍より8小さい」

上のような間違った式を書いてしまうのは、小学生時代に文章題に苦しめられ過ぎた後遺症なのかもしれません。
「8小さい」をどう処理するか、頭の中であれこれ考えた結果、左辺にくっつけてしまうのです。
小学校の文章題は、答えを求める式を立てますから、加えたと言われたら引かなければならず、かけたと言われたら割らねばなりません。
とにかく、裏を裏を考えないと、正しい式が立ちません。
その癖が中学生になっても抜けない人は多いです。
方程式は、裏を考える必要はありません。
問題文に書いてある通りに書いて行けば良いのです。
「兄の年齢の平方」は「弟の年齢の平方の3倍より8小さい」。
この前半のカギかっこが、左辺。
後半のカギかっこが、右辺。
書いてある通りに書けば、式になります。
兄の年齢の平方は、(x+4)2。
弟の年齢の平方の3倍より8小さい数は、3x2-8。
その2つが等しいのですから、
(x+4)2=3x2-8
これが正しい立式です。
式が表しているのは、兄の年齢の平方です。
そこから8を引いたりしては、左辺だけが一方的に小さくなっていきます。

考え過ぎたあげく、
(x+4)2+8=3x2
という式を立てる人もいます。
この式は、間違ってはいません。
ただ、本人の苦闘が如実に表れているわりに、「あー、はいはい。別に間違ってはいませんよ」程度の評価しか受けません。
せっかくの方程式の旨味をなぜ生かさない?
書いてある通りに式を立てるだけでいいのに。
採点官の感想はその程度です。
余計なことを考えずに、その方程式が何を表すのかを意識しながら、文章の通りに式を立てるのが、立式のコツです。

さて、立式したら、計算です。
(x+4)2=3x2-8
右辺にもx2の項がありますので、これは一度左辺を展開すると良いですね。

x2+8x+16=3x2-8
2x2-8x+8=0

・・・うん?
何か間違っていますね。
今度は何をしたの?
単純に移項すれば、
-2x2+8x+24=0 
となります。
そうなると、x2の項に負の符号がついてしまい、それが嫌なのは、わかります。
だから、移項しつつ、符号を転換することもしたかったようです。
そして、定数項でしくじった・・・。

そういうことをやりたい場合、書いているのは左辺でも、意識は全ての項を右辺に移項するイメージでやっていくと、比較的ミスなく書いていけます。
つまり、本当は、
0=2x2-8x-24
と移項しているのですが、「0=」は書かず、いきなり右辺を書いていき、最後に「=0」を書き加えるイメージです。

2x2-8x-24=0

しかし、別にそんな無理をせず、
-2x2+8x+24=0 
x2-4x-12=0
としていくのでも、手間は変わりません。
結局、式全体を割って、x2の係数を1にしますから。

ちょっとした手間を惜しんで、暗算で済ませて、符号ミスや計算ミスのリスクを抱え込む。
暗算に時間がかかる上に、実は手間もそんなに違わない。
そういうことが、方程式の計算には多いです。
計算は正確であることが大切です。
というより、正確であること以外は何も求められていません。

さて、
x2-4x-12=0
(x-6)(x+2)=0
x=6 , -2

ここで、xの変域(高校生になると定義域と呼びます)を考えます。
人間の年齢なので、-2歳などありえません。
そこで、「x≧0 だから」 あるいは、「xは正の整数なので」といった変域を考察する1行が必要となります。
これが上に書いた、
④変域について考察してあるか。
という採点基準です。

x=6 , -2
xは正の整数だから、
x=6
兄10歳、弟6歳

これで答案は終了です。
さて、もう1問。


問題 原価500円の品物に、原価のx割の利益を見込んで定価をつけたが、売れないので定価のx割引で売ったところ、45円の損失となった。xの値を求めよ。

こうした売買損益の問題が苦手な子は、本当に多いです。
そもそも割合の問題が苦手な上に、「原価」「定価」「売値」「利益を見込む」といった商業用語が出てくるので、ハードルが高いのでしょう。
原価というのは、仕入れ値。
お店の人が仕入れた値段です。
お店の人は、その原価のまま商品を売ったら、1円ももうかりません。
それでは商売になりません。
だから、原価に利益を見込んだ定価をつけます。
まだその利益は確定ではないので、「利益をつける」という言い方はできません。
これだけの利益を得る予定である、という意味で、「利益を見込む」という言い方をします。

上の問題は、まずは定価の表し方を考えてみましょう。
そう呼びかけると、こんな答えが返ってくることがあります。

500x

・・・え?
500円にx割の利益を見込んだ定価は、500x?
この答え、数学の成績が「4」の子でも出てくる答えです。

「・・・1割って、分数ではどう表しますか?」
「ええと・・・」
これが、まず出てこないのです。
「割合」の学習は、小5の3学期に行う場合が多いですが、そのときはまだ「分数のかけ算・わり算」は学習していないため、割合の数値は小数を用います。
小6になって、分数のかけ算・わり算を学習した直後や「比」を学習する直前に、改めて「割合と分数」を学習するのですが、そこで学びそこねてしまう子は多いです。
自分は小数を使うからいいや、と思ってしまうのでしょうか。
また、中1では、「文字式」の学習の際に「a円の1割」といったことを文字式にする練習をします。
しかし、それもよく理解できないまま、そんなのは多くの問題の中の1問、結局最後までできなかったけれど、まあいいか、と通り過ぎていきます。
中1の「1次方程式」、中2の「連立方程式」で、文章題を学ぶ度に割合の問題は出てきますが、それもまた、そういうのは自分は難しいからよくわからないけど、まあいいや、と通り過ぎていきます。
繰り返し繰り返し、幾度学習しても、割合が定着しない子は多いです。

「1割は、1/10。わかりますか?」
「ああ、そうだ。1/10」
「じゃあ、x割は、どう表されるでしょう?」
「5/10」
「・・・え?」
・・・どこから湧いてきたの、その5/10は?
500円からきたの?
やはり、本当に混乱しているのだなあと、驚くことが多いです。

500円のx割は、500×x/10。
まず、ここの理解までが大変で、理解できないからとにかくそこは暗記して済ます・・・という子も多いところです。
方程式の文章題を学ぶ度に丸暗記でやり過ごそうとし、そしてすぐ忘れてしまうのでしょう。
もとにする量×割合=くらべる量
この公式は、「比べる量÷もとにする量=割合」という基本の公式を使いやすいように変形しただけの式なので、確かに暗記するしかありません。
本来、感覚的に実感できる種類のものではありません。
しかし、私は、この式に実感があります。
多くの大人もそうだと思います。
それは、子どもの頃から数限りなく使用し、それで正解が出ることがわかっているので、実感と結びついたのだと思います。
500円を1/10にしたいときは、500×1/10なのだ。
それは、500円を3倍したいときに、500×3をするのと同じだ。
少しも間違っていない。
沢山使っていくうちに実感を伴ってくるものなのですが、間違った式ばかり立てている子は、その実感が育たないのです。
この公式が脳の奥まで染みていれば何も問題がないところですが、全く納得しないまま、ただやり過ごして中3まできてしまう子は、相当数いると思います。

小学生のうちに、何とか割合の基本は身につけてほしい。
そう思っても、なかなかに厄介なのが割合という単元です。
うちの塾でも、ことあるごとにふりかえって復習していますが、その都度新鮮に間違えて、また覚え直して、の繰り返しの子は多いです。
「300円の1/3はいくらですか」
といった問題で、
300÷1/3 
という式を立てることをどうしてもやめられない小学生が多いのです。
300を1/3にするんだ。
だったら、わり算だな。
という感覚が真っ先にきてしまうのだろうと想像されます。
彼らの中では、300÷1/3と、300÷3 は、同じ意味なのだと思います。
違いが意識できないのだろうと思うのです。
だから、300÷3 をする気持ちで、300÷1/3 をしてしまうのでしょう。


しかも、上の問題は、500円のx割ではなく、原価500円にx割の利益を見込んだのです。
500(1+x/10)円が、定価となります。
しかし、ここで突然現れた「1」の意味が理解できない子が多いです。
もともと500円はある。
それは、全体1。
それにさらに、x/10の利益を見込む。
だから、定価は、500円の(1+x/10)倍になる。
このことが、実感としてなるほどその通りだと理解できれば、以後、このタイプの問題が幾度出てきても何も困ることはありません。
しかし、全くわからないまま解き方を暗記しては忘れ、間違えては混乱し、どっちが正しかったからわからなくなってはまた混乱し、を繰り返し、中学生になり高校生になってしまう人は多いです。

1つのわかりやすい考え方としては、もともと500円の原価はあり、それに利益を見込んで付け加えるのだから、
500+500×x/10 
という式なら、ギリギリわかる、という子は多いです。
それを500でくくると、
500(1+x/10) になりますよ、と説明すると、
「本当だ!初めて意味がわかった!」
と感動します。
しかし、その感覚のまま、その続きを立式すると、
500+500×x/10-500×x/10
という間違った式を導きやすいのです。
意味が理解できたら、必ず、500(1+x/10) と(  )でくくっておきなさいと厳命しておかないと危険です。
本当は、最初から 500(1+x/10) の意味を当たり前に理解し、500+500×x/10 という式を介さずに式を立てられるようであってほしい。

それには、線分図です。

線分図を描いて、全体を①として、そこにx割、すなわちx/10をたして、・・・という解説が意味をなし、理解してもらえると、私は心底安堵します。
もう大丈夫。
この子は、売買損益の文章題をマスターした、大丈夫だ、と感じます。
しかし、中学受験をした子以外は、線分図の見方をほぼ知りません。
中学受験生だって、線分図の見方を初めから理解できる子は少ないです。
4年生の頃から毎週のように見せられ、それを描けと要求され、よくわからないまま物真似のように図を描き続け、反復して反復して、ようやく、6年生になった頃に違和感がなくなり、うっすらとその意味がわかってくる、という子も多いのです。
数量を線分の長さで表すという概念の理解は、子どもには一大事なのだと思います。
まして、その線分が、実数と割合と二重の意味を持っているという概念の理解は、さらに困難を極めます。
わかりやすく目に見える形にしたつもりの図が、子どもに負担を与えるだけで、意味をなさないのです。
線分図を見ても、何1つ理解できない子は多いです。

そんな中で、何の偶然なのか、突然ふっと理解できる子がいます。
頭の中も清明な良く晴れた秋の日に、突然、それはやってくるかもしれません。
ユ・リイカ!
我、発見せり!
センセイが線分図とかいう妙な図で何か繰り返し力説していたことの意味が、今わかった!

そんな晴れ晴れとした日は、長い格闘の時間があってこそ訪れます。
諦めてはいけない。
焦ってもいけない。
割合の学習は、繰り返し繰り返し根気よく続けていくしかないと思っています。

上の問題に戻ります。
この問題、さらに続きがあります。
その定価を、今度はx割引きするのです。
したがって、売値は、
500(1+x/10)(1-x/10)

1+x/10 が理解できなかったら、1-x/10 が理解できるわけがありません。
この文章題は、ハードルが高過ぎる。
というより、ほぼ障害物競走に近い・・・。
割合が理解できない子を見分け選別するために存在している文章題なのか?
それほどに、割合が苦手な子には立式が困難なのがこの文章題です。

500(1+x/10)(1-x/10)
それでも何とかここまで理解したとして。
この売値で、45円の損失があった。
原価500円の品物を500円で売ったら、損失0円。
では、45円の損失があったということは、売値は、500-45(円)だったということでしょう。
したがって、式は、
500(1+x/10)(1-x/10)=500-45
となります。
この式を自力で立てられる中3は、本当に凄いのですよ。
ヽ(^。^)ノ

ともかく、立式はできたとして。
しかし、その後の計算も困難を極める子が多いのがこの問題です。

500(1+x/10)(1-x/10)=455

これをどう解くか?
単なる計算問題と異なり、文章題で立てた式は、計算しにくいことが多いです。
何も指示せず、好きに解いてもらうと、大半の中学生がこの式をグチャグチャにしてしまいます。

5000(10+x)(10-x)=4550

・・・うん?
何をしたの?

(500+50x)(500-50x)=455

・・・うん?
大丈夫?

(1+x/10)(1-x/10)=455/500
「センセイ、この先どうするの?全部分数になっちゃって、計算できない」
「・・・うん、そうですね」
( 一一)

500(1+x/10)(1-x/10)
というのは、
500×(1+x/10)×(1-x/10) という意味です。
下手をすると、そういう意味だということすら忘れて、ただ手順だけ覚えて計算している中学生もいます。
この式、左辺全体がかけ算の大きな1つのまとまりです。
かけ算のまとまりのところは、1箇所を10で割り、代わりに他の箇所を10倍しても、計算の結果は変わりません。
それは、小学校の算数で学習していることです。
50×0.2=5×2=10
といった数理の仕組みは、小学4年生で学習します。
こうした計算も、その単元のときだけわかったような顔をするが、以後、全く活用しない小学生が多いです。
小学校の算数は、数理の根本が詰まっています。
「小学校のこの単元は苦手だったけど、まあ中学の数学とは関係なくない?」
とやり過ごして良い単元は1つもありません。
些末なことに見えることほど、後になって重大事となります。

これを活用すれば、上の式は極めて簡単になります。
500(1+x/10)(1-x/10)=455
5(10+x)(10-x)=455
全体を10倍する、100倍するといったことは、この式には必要ないのです。

ここで慌てて(  )を開いてしまう人もいますが、得策ではありません。
まず、両辺を5で割りましょう。
(10+x)(10-x)=91
ここで展開します。
乗法公式が使えますね。
100-x2=91
-x2=-9
x2=9
x=±3

ここで、xの変域について考察します。
-3割の利益を見込む、といったことはありえません。
それでは、最初から3割引きしていることになります。
だから、x>0です。
x>0 より x=3
この問題は、問題文の中にxがあり、その値を求めよと言われましたので、これで最終解答です。
答を書く前に問題文を見直すことが必要ですが、それをしない子も多く、「3割」などと答えて、つまらない減点をされてしまいます。

さまざまな困難を乗り越えて、文章題をパーフェクトに解く快感。
そういうものを味わい、どうか文章題を得意になってください。


  


  • Posted by セギ at 11:24Comments(0)算数・数学

    2019年09月27日

    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その5。とにかく解こうという気持ち。


    さて今回はまずこんな問題から。

    問題 a+b=4 のとき、3a2+b2≧12 を証明せよ。

    a+b=4 という新しい種類の条件が提示されましたが、この使い方は何となくわかるような気がします。
    おそらく、代入して、文字を1種類に整理するのでしょう。
    a+b=4 より b=4-a 
    これを代入して、
    3a2+b2
    =3a2+(4-a)2
    =3a2+16-8a+a2
    =4a2-8a+16
    ここで平方完成してみましょう。
    =4(a2-2a)+16
    =4(a-1)2-4+16
    =4(a-1)2+12

    右辺と同じ12が出てきましたね。
    これで証明できました。
    (a-1)2≧0 より 
    4(a-1)2+12≧12

    等号はa=1のときですね。
    ならば、bも決定します。
    b=4-a=4-1=3
    よって、等号成立は、a=1、b=3のとき。


    前にも書きましたが、不等式の証明を学習していて、よく受ける質問に、
    「どのやり方で証明するのか、判断がつかない」
    というものがあります。
    パッと見た瞬間に、この問題はこのやり方、あの問題はあのやり方で証明する、と判断する基準は何なのか?
    それを質問する高校生は多いです。

    しかし、とにかく試行錯誤してみるのが、力をつけるには一番良いのです。
    「どのやりかたを使っていいのかわからないから、イライラする。解くのが苦痛だ」
    ではなく、
    「どのやりかたを使うのかわからないから、色々試してみる。それが面白い」
    だと思うんです。
    数学を楽しむ態度とはそういうものではないでしょうか。

    正解に至る簡単な見分け方を教えてほしいと思ったり、それがわからないから解けない、とすぐに諦めたり。
    そういう傾向は、高校生になって突然現れるものではありません。
    小学生のときから、そういう傾向はあります。


    例えば、こんな問題。

    問題 14/15 : 35/36 を簡単にしなさい。

    これは、小学校6年生が学習する「比」の問題です。
    教科書で学習する内容よりはやや難しいです。
    しかし、「解けない」と諦めてしまうようなレベルの問題ではないと思うのですが、中学受験をしない小学生で、この問題を正答できる子は意外なほど少ないのです。

    まず、第一段階として、分母の通分が上手くできない子が多いのです。
    小学校では、「連除法」は教えません。

    3 ) 15  36
         5  12

    3×5×12=180 と、このように最小公倍数を求める方法が連除法です。

    現行の教育課程で、学校でこれを学ぶのは、高校1年数A「整数の性質」です。
    小学生にこれを教えないのは、この解き方の意味を理解できる小学生が限られているからでしょう。
    素因数分解を実感として理解できない状態でこの解き方だけを教えても、それは、単なる解き方の作業手順を教えるだけです。
    意味のわからない作業手順の丸暗記を、学校が率先して指導するわけにはいきません。
    公倍数とは何なのか。
    小学生が最初に学習するときは、その本来の意味を理解することを優先したほうがいい。
    意味が明瞭な解き方をしたほうがいい。
    というわけで、学校では、15と36の公倍数を求めるときには、それぞれの倍数を書き出していって、共通のものを見つけるやり方を教えるのが普通です。
    15、30、45、60、75、90、・・・・
    36、72、108、・・・・
    というように並べて書いていきます。
    これが面倒で、途中で諦めて、分母の15と36を通分できない子が多いです。

    上のやり方でもいいけれど、大きい数のほうが、1倍、2倍、3倍、・・・と数がすぐに大きくなっていきますから、書き出していくのは大きい数だけのほうが早いよね、と塾では助言します。
    大きい数を1倍、2倍、3倍、・・・していって、その数が小さい数の倍数にもなっているかどうか確認していけば、最小公倍数は早く見つかります。
    36、72、108、144、180、・・・
    「72は、15の倍数?違うね。108は、15の倍数?これも違うね」
    そう声をかけて、つきっきりで面倒を見ると、誰でも、180という最小公倍数を見つけることができます。

    しかし、作業自体はそんなに難しいことではないのに、宿題に出したり、独りで演習させると、15と36の最小公倍数を見つけられる子は本当に少ないのです・・・。
    180は、36の5倍でしかありません。
    たった5個目に答えがあるのに、そこに至る前に諦めてしまう子が大半なのです。
    算数・数学ができない理由の第一は、それだと思います。
    諦めが早すぎるのです。

    では、なぜ、そんなに簡単に諦めるのか?
    それは、暗算が苦手なことが第一の原因でしょう。
    36を1倍、2倍、3倍、していくことが苦痛なのだと思います。
    しかも、その結果が、15の倍数であるかを確かめるのもつらいのでしょう。
    いちいち筆算しないとそれができない計算力の子もいます。
    36×2=72 を筆算して、それから72÷15を筆算して、という作業をしないと公倍数であるかどうか確かめられない計算力では、15と36の最小公倍数を求めるのは、難行苦行です。
    頭の中でかけ算・わり算することが容易であれば、この問題は諦める必要なく解いていけるのです。

    しかも、この問題が解きにくい原因は、これだけではありません。

    14/15 : 35/36=168/180 : 175/180=168 : 175 

    ここまで解いたとしても、これをさらに簡単にすることができない子が多いのです。
    ここから、さらに、同じ数で割って比を簡単にするのですが、その数、つまり168と175の公約数を見つけることができないのです。
    暗算力のある子は、この2つの数を眺め、頭の中でちょっと暗算しているうちに、「あ、7で割れる」と気がつきます。
    しかし、そうした作業が苦痛で、強要されない限りそんなことは絶対にしない子たちは、7を見つけることができません。

    この問題の公約数は7という1桁の数なので、実はまだ見つけやすいのですが、17や19などのときは、もっと苦労することになります。
    しかし、このような場合にも、公約数を発見する方法はあります。
    168と175と、どちらからアプローチしても良いのですが、175からやってみたほうが簡単そうです。
    175を割ることのできる数を考えます。
    つまり、素因数分解するのです。
    すぐに思いつくのは、5です。
    175÷5=35
    35は、さらに5で割れます。
    35÷5=7
    つまり、175=5×5×7 です。
    これは、175は、5や7で割り切れる、という意味でもあります。
    一方、168という数の中には、5という要素(因数)は絶対ないと見た目でわかります。
    だとすれば、168を割れる可能性のある数は、7です。
    試してみると、確かに割ることができる。
    そういう作業をすれば、共通に割ることのできる数、すなわち公約数を発見することができます。

    このやり方も、小学校では学習しません。
    教科書にある公約数の見つけ方は、それぞれの約数を全て書き出し、共通のものを見つけるやり方です。
    1、2、3、4、7、8、12、14、21、24、42、56、84、168
    1、5、7、25、35、175
    全部書き出すと、最大公約数は、7だとわかります。
    この解き方でしか公約数が見つけられない子は案外多いのです。
    そして、この解き方の作業時間が長くとても面倒くさいので、公約数を見つけることをすぐに諦めてしまうのだと思います。
    教わったやり方から一歩も外れることができないのは、なぜそれで解けるのか、本質を理解していないからでしょう。
    学校で教わったものより少しだけ高度な解き方の意味を理解することができず、あるいは、理解できたとしても、自分で問題を解くときに活用することはできないのです。

    14/15 : 35/36=168/180 : 175/180=168 : 175=24:25
    これが正解です。

    この問題が解けない子たちに欠けている力は何なのか?
    1つには計算力。
    特に、整数が他の整数の積の形に見えているかどうか、です。
    175=5×5×7 という形に見ることができるかどうか。
    こうしたことは、小学校で教える内容ではありませんが、教わらなくても理解している子もいるのです。
    175が、5で割り切れるなら、175÷5の商である35でも、175は割り切れる。
    35で割り切れるということは、35=5×7だから、175は、7でも割り切れる。
    そういう、かけ算とわり算の関係を理解していると言い換えても良いです。
    それは、「わり算の検算」という学習で小学校でも一応触れているのですが、その内容の重要性に気づかず、頭の隅にも残さない子も多いです。
    しかし、算数が本当に得意な子たちは、理解しています。
    かけ算・わり算を沢山やっていく中で自然に獲得している知があるのです。
    数の体系を、数理の根本を、教わらなくても理解している子たちが、算数・数学で高い能力を発揮します。
    一方、計算のやり方などの実務的な学習事項に目を奪われ、論理的なことの重要性に気づかず聞き流す子たちも多いのが現状です。

    また、1つには、理解力と応用力。
    小学校の教え方は、最大多数の子が理解できるようにと考えられた教え方です。
    だから、公倍数の求め方も、公約数の求め方も、とにかく地道です。
    最初はそれで良いのですが、本質を理解したら、もっと早く求める方法があります。
    それを活用できない子が多いのです。
    塾で教えても、そのときは理解した顔をしますが、自分のものにできない子が多いです。
    家庭でご両親が教える場合も、数学が得意な人が教えるほど、むしろ子どもが全くついてこられず喧嘩になってしまうということは多くあると思います。
    私も、その子の理解力次第で連除法も教えるつもりでいるのですが、ちょっと無理だなと判断する場合が多いです。
    せめて、大きいほうの数を1倍、2倍、3倍して、早く最小公倍数を見つけることくらいは身につけてほしいと思っても、結局いつも小さいほうの数を1倍、2倍、3倍し始めて、いつまでも数が大きくならず、なかなか公倍数に至らず、諦めてしまう子が多いのです。
    なぜ、小さいほうの数を1倍、2倍、3倍するのか?
    おそらく、問題に最初に書いてあるのは、小さいほうの数だからでしょう。
    あるいは、片方の数だけ1倍、2倍、3倍していけば良いということをすぐに忘れ、学校の解き方に戻ってしまうので、まず小さいほうの数の倍数を書き出しているのでしょう。
    算数の問題を解く作業が、学校で教わったことを教わった通りに機械的に再現するだけになっていて、考えて作業をする気配がない・・・。
    学力そのものが低いわけではないのに、そのようになってしまっている小学生が多いです。

    もう1つは、粘り強さ。
    学校で教わった地道な解き方だって、いつか答えは出るのです。
    何かやっていけば必ず答えが出せる問題で、なぜ諦めるのか?
    なぜ、36の5倍すらやってみようとしないのか。
    なぜ、その前で諦めるのか?
    180がみつからなかったとして、いっそ36の10倍の360ではどうかと考えてみることも、なぜしないのか?
    後で整理すれば良いのだから、それでも良いのです。
    そういう、ダメでもいいからやってみる強い気持ちに欠け、諦めてしまうのです。


    14/15 : 35/36 を簡単にしなさい。

    さすがに高校生になれば、この程度の問題で諦めてしまうことはないと思います。
    それは、高校生の学力で小学生の問題を見ているからです。
    しかし、その関係は、そっくり、高校生の問題にスライドできるのではないでしょうか。
    高校数学の問題の解き方がわからないとすぐに諦めている高校生は、比を簡単にする問題を諦めている小学生と同じように見える、という視点も存在するのではないでしょうか。
    そして、解けない原因も、共通するものが多いのではないでしょうか。
    1つには、計算力。
    高校数学の問題をあれこれ試行錯誤するためには、自在に計算する力が必要です。
    計算自体が億劫なので、試しに計算してみることができない、ということはないでしょうか。
    また1つには、理解力と応用力。
    問題の目先が変わると解き方がわからないのは、基本問題の意味を本当はわかっていなくて、解き方の作業手順を丸暗記しているだけだからではないでしょうか。
    理解することをおろそかにし、作業手順の丸暗記で済ませてはいないでしょうか。
    そして、もう1つ大切なのは、粘り強さ。
    あと一歩粘れば解ける問題を、途中で諦めてはいないでしょうか。
    わからない。
    簡単に解き方のわかる方法を知りたい。
    と思う前に、あと一歩、粘るだけで実は答えは出るのではないでしょうか。

    色々考えるのが数学の楽しさです。
    粘って、何時間も考えるから、数学は面白いのです。


    さて、次の問題。

    問題 a>1、b>1、a+b=1 のとき、不等式 ax2+by2≧(ax+by)2 を証明せよ。

    まずは、これも代入して、左辺-右辺≧0を証明することを考えてみましょう。
    a+b=1 より b=1-a
    左辺-右辺 
    =ax2+by2-(ax+by)2
    =ax2+(1-a)y2-{ax+(1-a)y}2
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy(1-a)-y2(1-a)2
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy+2a2xy-y2(1-2a+a2)
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy+2a2xy-y2+2ay2-a2y2

    うわあ・・・・。
    この先、やりようがあるのかもしれませんが、ちょっと迂回したくなってきました。
    これは、1回戻って考え直したほうが良さそうです。
    バラバラにしたのが良くなかったのかもしれません。
    代入前に戻って整理してみます。
    中学の数学の、文字式の値を求める問題も、まず整理してから代入するのが鉄則でしたものね。
    x について降べきの順に整理してみましょう。

    ax2+by2-(ax+by)2
    =ax2+by2-(a2x2+2axby+b2y2)
    =ax2+by2-a2x2-2axby-b2y2
    =(a-a2)x2-2abxy+(b-b2)y2
    =a(1-a)x2-2abxy+b(1-b)y2

    あ、これは対称式です。
    対称式というのは、文字を入れ替えても値の変わらない式のことです。
    ここで、あっとひらめくのです。
    a+b=1より、1-a=bですし、1-b=aです。
    この両方をそれぞれに代入してはどうでしょうか。

    =a(1-a)x2-2abxy+b(1-b)y2
    =abx2-2abxy+aby2
    =ab(x2-2xy+y2)
    =ab(x-y)2≧0
    よって、ax2+bx2≧(ax+by)2
    等号成立は、x-y=0、すなわちx=yのとき。

    ・・・そんなやり方、思いつかないよ。
    最初はそういう感想で当然だと思います。
    こんなのは自力で発想できなくても良いのです。
    ただ、このテクニックは、頭の引き出しに入れておきましょう。
    そして、類題を解くときに使えるようにしておくのです。
    テクニックを頭の引き出しに入れておくことは、作業手順の丸暗記とは違うのです。



      


  • Posted by セギ at 12:56Comments(0)算数・数学

    2019年09月22日

    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その4。絶対値を含む不等式。


    今回は、「絶対値を含む不等式の証明」の学習です。
    「絶対値」という言葉は、中学1年生の「正負の数」で学びます。
    数学学習の初期の初期に出てきます。
    絶対値の定義は、「数直線上での原点からの距離」です。
    だから、+3も-3も絶対値は3です。
    したがって、絶対値とはその数の符号を外した数、すなわち正の数ととらえることが可能です。

    ここまでならシンプルな話なのですが、絶対値に文字がからむと途端にわかりにくくなるようです。
    例えば、高校数Ⅰで学習する以下の内容。

    |a|≧a
    |a|≧-a
    |a||b|=|ab|
    |a+b|2=a2+2ab+b2

    パッと見て、「そりゃそうだ。当たり前だ」と感じる人と、「え?え?何?」と焦る人とがいます。
    1つには、文字が正負の記号を含みこんでいることが理解しきれていないせいかもしれません。
    aという文字は、a≧0の可能性とa<0の可能性とがあります。
    そう説明されれば、「それは知っている。わかっている」と言うのですが、上のような等式・不等式を見るときに、いつの間にか、
    aは正の数。
    -aが負の数。
    という認識になっていないでしょうか?

    「aという文字が何なのか決まっていないのに、何で大小が言えるんですか?」
    不等式の学習がここまで進んでから、突然そう質問されて、その質問がどういう意図のものかわからず、困惑したこともあります。
    「不等式の証明」の学習の始まりには、そういう疑問はもたない様子で、それなりに解いていたのです。
    しかし、絶対値を含む不等式になると、その質問が口をついて出てしまったようです。

    絶対値がわからないのか?
    最初から不等式がわからなかったのか?
    aという文字の正負がわからないのなら、左辺と右辺のどちらが大きいかはそのときによるんじゃないか?
    急にそう感じるようになった、ということなのでしょうか。

    とりあえず、まず、上の不等式を1つ1つ見ていきましょう。
    |a|≧a
    これは、まずはaの正負によって場合分けして考えると理解できると思います。
    a≧0 のときは、|a|=a です。
    a<0 のときは、|a|は正の数、a自体は負の数ですから、|a|>a です。
    それらをまとめると、
    |a|≧a
    となります。
    ≧ というのは、>であるか、または=であるか、ということですから、どちらかになれば良いのです。

    |a|≧-a
    これも、まずはaの正負によって場合分けして考えます。
    a>0 のとき、|a|は正の数で、-aは負の数ですから、|a|>-a が成立します。
    a=0 のとき、|a|=0、そして、-a=0 ですから、|a|=-aです。
    a<0 のとき、|a|は正の数、-aも正の数ですから、|a|=-aです。
    それらをまとめると、
    |a|≧-a は、aの正負に関わらず、必ず成立します。

    |a||b|=|ab|
    これは、比較的理解しやすいかもしれません。
    a、bの正負に関係なく、|a||b|は正の数です。
    |ab|も正の数です。
    よって、
    |a||b|=|ab|
    は、常に成立します。

    |a+b|2=a2+2ab+b2
    もしかしたら、これが一番理解しにくいかもしれません。
    |a+b|2 が正の数であることには疑問の余地はないと思います。
    問題は右辺でしょうか。
    a2+2ab+b2
    これが負の数の可能性があるように感じるので、たとえ絶対値が等しくても、等式は成立しないのではないか、と感じることがあるようです。
    しかし、この右辺は、因数分解できます。
    a2+2ab+b2=(a+b)2
    a+bが正の数であっても負の数であっても、(a+b)2は正の数です。
    よって、左辺も右辺も正の数で、もともと絶対値が等しいことは見ればわかりますから、
    |a+b|2=a2+2ab+b2
    が言えるのです。

    ちなみに、上の記述は、感覚的に納得するための説明であって、証明ではありません。
    証明は、もう少し細かい定義が必要となります。

    これで感覚的に納得してもらえたはずだ・・・、と思っても、納得した顔をしない高校生もいます。
    何か騙された気がすると言うのです。
    詐欺にあったような顔をしています。
    では、どこが疑問なのかと問い返すと、それはどこかはわからないけれど、何となく納得できない・・・という曖昧な答えが返ってきます。
    場合分けして説明されることに、そもそも懐疑を示す人もいます。
    その場合分けが全てではないような気がするというのです。
    そうでない場合もあるのに、そこで騙された気がする・・・。
    どこで騙されたとは指摘できないけれど、きっと騙されている・・・。

    そんなにも疑い深い一方、ネットに書いてある根拠のないことや、テレビで有名人がわかったふうに喋っていることをたやすく信じてしまうのは、なぜなのでしょう。
    友達から聞いた噂話を鵜呑みにしてしまうこともありますよね。
    そういうことを簡単に信じないために、数学を学ぶという側面もあります。
    信じるべきことと疑いを抱くべきことを自分で判断するために、「論理」を学ぶのです。
    数学は、論理を学ぶことができる学問です。

    ともあれ、疑いが消えないならば、そうではない例、すなわち反例を自分であれこれと考えたみたら良いと思います。
    aやbを正の数にしたり、負の数にしたり、色々な組合せで考えて、実際に計算してみて、納得できるまで上の等式・不等式が成立することを確認してみてください。
    それをしてみることで、正負の数に関する自分の認知の歪みに気がつくこともあると思います。
    中学1年で突然習った「負の数」というものの本質をつかみきれないまま、計算のやり方だけ暗記して済ませてきたことが尾を引いているのかもしれません。
    この機会に歪みを正すことができたら、この先の学習が楽になります。


    さて、それでは、数Ⅱの実際の問題にあたってみましょう。

    問題 |a|+|b|≧|a+b|を証明せよ。

    え?
    |a|+|b|=|a+b|じゃないの?
    いつも等しいんじゃないの?
    という錯誤が生まれてしまうことがあるかと思いますが、それは、やはり気がつくとaやbは正の数だと決めつけていることからくる錯覚です。
    実際には、aやbは正の数のこともあれば負の数のこともあり、0のこともあります。
    そのどの場合でも、上の不等式は成立します。
    それを証明しろと言われているのですね。
    不等式の証明は、左辺・右辺の両辺が正の数であることが確実ならば、2乗したもの同士で比較しても大丈夫でした。
    すなわち、(左辺)2-(右辺)2≧0 ならば、(左辺)≧(右辺) です。
    ここで活躍するのが、上の|a+b|2=a2+2ab+b2 などの基本ルールです。

    (左辺)2-(右辺)2
    =(|a|+|b|)2-|a+b|2
    =|a|2+2|a||b|+|b|2-(a2+2ab+b2)
    =a2+2|ab|+b2-a2-2ab-b2
    =2|ab|-2ab≧0

    最後が唐突な印象があるでしょうか。
    では、|ab|-ab の正負について考えてみましょう。
    aとbが同符号あるいは0のときは、ab≧0 です。
    このとき、
    |ab|=ab となり、|ab|-ab=0 です。
    aとbが異符号のとき、すなわちab<0 のとき
    -ab>0 となります。
    |ab|-ab は、正の数と正の数との和となりますから、
    |ab|-ab>0 です。
    これらをまとめると、
    |ab|-ab≧0 となります。
    よって、2|ab|-2ab≧0 も成立します。
    (左辺)2≧(右辺)2であるから、左辺≧右辺も成立し、
    |a|+|b|≧|a+b|
    等号はa=bのとき成立する。


    続いて、こんな問題です。

    問題 |a-b|≧|a|-|b| を証明せよ。

    上の問題と似ているようですが、これはちょっと違うのです。
    何が違うのか?
    |a|+|b|≧|a+b|
    は、左辺も右辺も、正の数です。
    正の数での大小の比較ですから、それぞれ2乗して大小を比較することで単純に判断できました。
    しかし、
    |a-b|≧|a|-|b|
    は、左辺は正の数ですが、右辺は、負の数かもしれません。
    単純に2乗して大小を比較することはできません。
    ここは、場合分けして判断していかなければなりません。
    1) |a|-|b|<0 すなわち |a|<|b| のとき
    |a-b|>0、|a|-|b|<0だから、
    |a+b|>|a|-|b|
    2) |a|-|b|≧0 すなわち |a|≧|b| のとき
    (左辺)2-(右辺)2
    =|a-b|2-(|a|-|b|)2
    =a2-2ab+b2-(|a|2-2|a||b|+|b|2)
    =a2-2ab+b2-a2+2|ab|-b2
    =-2ab+2|ab|
    =2|ab|-2ab
    =2(|ab|-ab)≧0
    ゆえに、
    |a-b|2≧(|a|-|b|)2
    したがって、
    |a-b|≧|a|-|b|
    1)、2)より、
    |a-b|≧|a|-|b|
    等号は|ab|=ab すなわち ab≧0 かつ|a|≧|b|のときに成り立つ。

    いかがでしょうか?
    この機会に、絶対値アレルギーをなくすことができると良いと思います。
    絶対値がわからない、という人は、何か誤解があるのです。
    あるいは、わかっているつもりで、問題を解いている最中に、ふっと混乱が起こるのです。
    そこがスッキリすると、数学全体がかなりスッキリしてくると思います。


      


  • Posted by セギ at 13:16Comments(0)算数・数学

    2019年09月15日

    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その3。いろいろな問題。


    さて、今回は、不等式の証明に関する少し難しい問題をいくつか解いてみましょう。

    問題 不等式 x2-6xy+10y2≧4y-4 を証明せよ。

    x と y と文字が2つあり、両方とも2次で、しかも、xy の項もあるので、文字ごとに別々に平方完成することはできない問題です。
    さて、どのように解くか?
    これは、まず x を優先し、xを含んでいる項で平方完成してしまいましょう。
    いえ、y を優先しても別に構いません。
    とにかく、どちらかの文字をまず優先するという考え方で処理していきます。

    左辺-右辺
    =x2-6xy+10y2-4y+4
    x2 と-6xyを優先して平方完成します。
    =(x2-6xy+9y2)+y2-4y+4
    =(x-3y)2+y2-4y+4
    後半の3つの項も平方完成できますね。
    =(x-3y)2+(y-2)2≧0
    よって、
    x2-6xy+10y2≧4y-4
    等号成立は、x-3y=0 かつ y-2=0
    すなわち、x=6、y=2のとき。


    問題 不等式 (a2+b2)(x2+y2)≧(ax+by)2 を証明せよ。

    文字が4種類もあるわりに、これは単純に解いていけそうな予感がします。
    左辺-右辺
    =(a2+b2)(x2+y2)-(ax+by)2
    =a2x2+a2y2+b2x2+b2y2-a2x2-2abxy-b2y2
    =a2y2+b2x2-2abxy
    =a2y2-2abxy+b2x2
    =(ay-bx)2≧0
    よって、
    (a2+b2)(x2+y2)≧(ax+by)2
    等号成立は、ay-bx=0 すなわち、ay=bx のとき。

    同様に、
    (a2+b2+c2)(x2+y2+z2)≧(ax+by+cz)2
    も証明可能です。
    これらは、コーシー・シュワルツの不等式と呼ばれているものです。


    問題 x>0のとき、x+16/(x+2)の最小値を求めよ。

    急に最小値と言われても、2次関数ではなさそうなのに、どういうことだろう?
    このように問題の目先が変わると、何をどうして良いか全くわからなくなる人もいると思います。
    「どういうふうに考えるんですか?」
    と相談されることが多いのです。
    分子と分母にxがある場合、相加平均・相乗平均が使える可能性があるよね?と問いかけると、
    「だから、そういうことをどう発想するんですか?」
    と問われます。

    最小値・最大値という文字を見たら、まず2次関数かな?と考える。
    そうでなかったら、あれ?では不等式かな?と発想する。
    何もないところからいきなりその発想をもてないということは理解できます。
    ならば、発想のストックを自分の中にもっておくことをお薦めします。

    では、不等式をどう使うのでしょう?
    最小値というのは、とりうる値の中で最小の数。
    x+16/(x+2) はいくつ以上なのだろうと考えると、あ、これは不等式なんだなと気づくと思います。

    後半の分母が x+2 なので、前半も x+2 にしてみます。
    それなら、相加平均・相乗平均の定理が使えるでしょう。

    相加平均・相乗平均の関係より、
    x+2+16/(x+2)≧2√(x+2)・16/(x+2)
    右辺の√ は、式の最後までかかります。
    x+2+16/(x+2)≧2√16
    x+2+16/(x+2)≧8
    x+16/(x+2)≧6
    よって最小値は6とわかりました。
    ところで、このときのxはいくつでしょう。
    それも求めましょう。
    相加平均・相乗平均の関係より、
    等号成立は、x+2=16/(x+2) のとき。
    よって、
    (x+2)2=16
    x+2=±4
    x=-2±4
    x=-6、2
    x>0より 
    x=2
    よって、
    x=2のとき最小値6

    これが最終解答となります。


    問題 x>0、y>0 のとき、(3x+2y)(3/x+2/y) の最小値を求めよ。

    これも、相加平均・相乗平均を利用するんだろうなあと、一度上のような問題を解くと、発想のヒントが見えてくると思います。
    問題を解く経験を積む。
    発想の源は、経験であることが多いのです。

    とりあえず、与式を展開してみましょう。
    (3x+2y)(3/x+2/y)
    =9+6x/y+6y/x+4
    =13+6x/y+6y/x
    ここで、相加平均・相乗平均の関係より、
    x/y+y/x≧2√x/y・y/x
    x/y+y/x≧2
    よって、
    13+6x/y+6y/x≧13+6・2
    13+6x/y+6y/x≧25
    等号成立は、x/y=y/x のとき。
    x>0、y>0 より
    x2=y2 すなわちx=yのとき。
    よって、
    x=yのとき、最小値25

    これが最終解答です。
    相加平均・相乗平均を利用したときの等号成立のところが何だか飛躍しているようでよくわからない人いるでしうか。
    これは、相加平均・相乗平均の定理を使っているだけなのです。
    a+b≧2√ab
    等号成立は、a=bのとき。
    この定理を利用して、等号成立のときを判断しているだけです。
    その都度計算しているわけではないのです。
    前に学習したことをスルッと使われて解説されると、よくわからない・・・。
    そういうことは、直前で学習したことでもすぐに起こります。
    モヤモヤしたら、定理に戻って確認しましょう。

    また、すぐ上の問題では、
    x/y=y/x のとき、
    x>0、y>0 より
    x2=y2 すなわちx=y
    というところがわからない、という人もいるかと思います。
    両辺が分数の式のとき、互いの分母×分子は等しいということを知らない人は高校生になっても多いです。
    三角比の正弦定理の式も、それを用いて整理すれば簡単になります。

    a/b=c/d のとき、ad=bc
    分数の基本に戻って考えましょう。
    通分・約分するときの基本の考え方ですが、分母・分子に同じ数をかけても、分数全体の大きさは変わりません。
    だから、a/b=ak/bk は常に成立しています。
    この式の、左辺の分子×右辺の分子は、abk。
    右辺の分子×左辺の分子も、abk。
    よって、両辺が分数の式は、たすきにかけたような形に簡単に整理できるのです。
    それで上の x/y=y/x も、x2=y2 と変形できるのです。


    それで思い出したのですが、最近、別の塾で「比」を学習した小学生が、こんな解き方をしました。
    2/15 : 1/5=15 : 10=3 : 2

    ・・・うん?
    何をしたの?
    「x攻撃すると、簡単なんだよ」
    と、その子は、知らないなら教えてあげるというような、謎の上から目線で教えてくれました。
    しかし、この問題の正解は、2 : 3 です。
    その子は、左の項の分母と右の項の分子をかけて、15×1=15。
    左の項の分子と右の項の分母をかけて、2×5=10。
    だから、15 : 10=3 : 2 としてしまったのでした。
    それは、逆です。
    そういうやり方をするのなら、左の項の分子と右の項の分母の積が先、左の項の分母と右の項の分子の積が後。
    比は、順番が大切。
    逆に書いたら、それは誤答。
    「xにかける」のは一見簡単そうですが、どちらを先に書くのか曖昧になったら、そのやり方は失敗します。

    2/15 : 1/5=2/15 : 3/15=2 : 3
    という普通の解き方でなぜいけないのか?
    この解き方のほうが、どういう解き方をしているのか、その意味も明確で、間違える可能性も少なく、解く手間も上の解き方と同じです。

    ところが、小学生は、このような「x攻撃~」的な解き方が好きです。
    その解き方は間違える可能性が高いから普通に通分しなさいと助言したのですが、「嫌だ」の一言で却下されました。
    比なんて、どんなに気をつけても順番を逆に書いてしまうことが多い単元。
    それにさらにこんな不確定要素が加わったら、この先、まともに正解が出る気がしません・・・。
    この先の受験算数は、ほとんど全て比を使います。
    「速さと比」「割合と比」「面積と比」「つるかめ算と比」「平均と比」と、比ばかりなのに・・・。
    算数が苦手な子には理解しづらいところで、ただでも大変なのに、x攻撃をやめさせるという余計な負担が1つ増えました。
    ただ今、その方向に向けて努力中です。

    x攻撃。
    この解き方を教える際に、ただし順番には注意することという指示があったのかもしれません。
    しかし、「順番に注意」といった細則はすぐに頭から抜け落ちていくのが子どもです。
    算数が苦手な子どもたちのために、楽しい解き方を教えてやろう。
    それは善意から出たものでしょうが、その子は、分数比を簡単な整数の比に直す作業の正答率は常に五分五分のリスクを一生かかえる可能性があります。
    この解き方は、リスクが高いです。

    それと混同されやすく、誤解される可能性がありますが、両辺が分数の式を分母と分子の積の形に直すのは、どっちが先でも後でも、必ず等式が成立します。
    一見、上のx攻撃と似ていますが、誤用のリスクはありません。
    誤用のリスクのある解き方は、算数・数学が苦手な子に教えないほうがいい。
    意味がわかる基本の解き方を丁寧に実践することのほうが、結局、子どものためになる。
    これは不文律とすべきだと、改めて感じました。


      


  • Posted by セギ at 13:24Comments(0)算数・数学

    2019年09月08日

    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その2。相加平均と相乗平均。


    今回は、相加平均と相乗平均の話です。
    言葉がまず少し難しい印象ですね。
    相加平均は、小学生の頃からお馴染みのいわゆる「平均」です。
    加は、加法の加。
    つまり、たし算の平均が相加平均。
    n個の数の和をnで割ったものです。
    一方、相乗平均は、n個の数の積のn乗根となります。
    乗は、乗法の乗。
    つまり、かけ算の平均が相乗平均です。
    ただ、まだ「指数関数・対数関数」の単元を学習していませんので、この「n乗根」というのが厄介です。
    今回の学習内容では、そこまで話を拡大する必要がありませんので、2つの数の積の平方根に限って話を進めましょう。


    2つの数に限定して説明すると、
    相加平均は、2数aとbとの和を2で割ったもの。つまり(a+b)/2。
    相乗平均は、2数aとbの積の平方根。つまり、√ab です。

    a≧0、b≧0のとき
    (a+b)/2≧√ab
    等号はa=bのとき成り立つ。

    これが、相加平均≧相乗平均の定理です。
    証明もそんなに難しくありません。
    左辺-右辺をやってみましょう。
    左辺-右辺≧0 となれば、左辺≧右辺 を証明できますね。

    (a+b)/2-√ab
    これをまず通分します。
    =(a+b-2√ab)/2
    中3で学習した因数分解の公式が使えそうです。
    =(√a2+√b2-2√ab)/2
    =(√a-√b)2/2≧0
    よって左辺≧右辺となり、(a+b)/2≧√ab です。
    等号は√a-√b=0、すなわち a=b のとき成り立つ。

    相加平均≧相乗平均 の定理は、分数のままだと使いにくいので、両辺を2倍して、
    a+b≧2√ab
    の形で利用することが多いです。
    では、実際に利用してみましょう。

    問題 a≧0、b≧0とする。
    (a+1/a)(b+1/b)≧4 を証明せよ。

    左辺の( )内がそれぞれ和の形になっています。
    文字の並びからして相乗平均したら右辺のように文字が消えて数字だけが残りそうです。
    これは、相加平均≧相乗平均 の定理が使えるでしょう。

    相加平均≧相乗平均 より
    a+1/a≧2√a・1/a
    a+1/a≧2 ・・・①
    同様に、
    b+1/b≧2 ・・・②
    ①×②をすると
    (a+1/a)(b+1/b)≧4
    等号はa=1/a かつ b=1/b すなわち、a=b=1のとき成り立つ。

    見た目は似ているようでも、全ての問題で相加平均≧相乗平均を使うわけではありません。

    問題 a≧0、b≧0のとき、√2(a+b)≧√a+√b を証明せよ。

    左辺全体に√ がかかっているものとして読んでください。

    これも、相加平均≧相乗平均 を使うのだろうかと悩む高校生がときどきいますが、試しに使ってみると、すぐに式がグチャグチャになってきて行き詰まることがわかると思います。
    相加はあっても相乗がなさそうな式には、この定理は使えないのです。

    とはいえ、それが見抜けないと言う人もいます。
    そういう人は、あれこれ悩む前に、可能性を感じるのならやってみたら良いと思います。
    手は動かさないのに、「どんなときに使うの?どうやって見分けるの?」と質問する高校生は多いのですが、手を動かし、試行錯誤すれば、見分けがつくようになります。
    そうなる前に説明だけ聞いて見分けようとしても、その説明が長くしかも細かくて何を言っているのかわからないということが起こりがちです。
    しかも、見分け方だけ聞くとなぜか安心するようなのが、見ていて恐ろしい。
    見分け方だけ聞いても、実際にそれで見分けられるようには、なかなかならないです。
    選択肢の1つとして、常に相加平均・相乗平均のことを頭においてください。
    そのほうが良いです。

    さて、相加平均・相乗平均の定理を使わないのなら、どうやって解くのか?
    上の式はa≧0、b≧0ですので、左辺も右辺も正の数であることがわかっています。
    ならば、それぞれ2乗しても大小関係は変わりません。
    だから、それぞれ2乗してみましょう。
    √2(a+b)と√a+√bの2乗の差は、
    2(a+b)-(√a+√b)2
    =2(a+b)-(a+2√ab+b)
    =2a+2b-a-2√ab-b
    =a-2√ab+b
    =(√a-√b)2≧0
    よって√2(a+b)≧√a+√b
    等号は√a-√b=0 すなわちa=b のとき成り立つ。

    今までのところを整理しますと、不等式を証明するには、左辺-右辺≧0 を示すのが基本ですが、そのためには、
    ①平方完成する
    ②相加平均≧相乗平均 を利用する
    ③全体を2乗する
    などのテクニックがあります。
    これらのうちのどのテクニックを使うかは、その問題ごとに自分で判断します。
    判断がつかないうちは試行錯誤してみましょう。
    数学の問題を解いていて一番楽しい時間は、この試行錯誤の時間だと思うのです。
    一番意味のある時間でもあると思います。
      


  • Posted by セギ at 13:30Comments(0)算数・数学

    2019年09月01日

    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その1。


    今回は、「不等式の証明」に入ります。
    「左辺と右辺が文字ばっかりじゃ、大小なんてわからないんじゃないの?」
    以前、そういう鋭い質問を受けたことがあります。
    文字の値によって大小なんて違ってくるんじゃないの?
    そんなものをどうしたら証明できるの?

    勿論、個々の文字の値が何であるかによって大小が異なる場合がほとんどです。
    証明できるものはごく一部です。
    だから、練習する問題は、証明できるものだけなのです。
    では、どんな場合に証明できるのか?

    まず、左辺-右辺≧0 を証明できれば、左辺≧右辺 です。
    では、どんなときに左辺-右辺は0以上になるのか?
    左辺-右辺を何かの2乗の形にできるなら、それは0以上の数でしょう。
    実数の場合、2乗すれば必ず0以上の数になります。
    不等式は、これを用いて証明することが多いです。

    問題 x4+y4≧x3y+xy3 を証明せよ。

    左辺-右辺
    =(x4+y4)-(x3y+xy3)
    =x4+y4-x3y-xy3
    項の順番を変えてみましょう。
    =x4-x3y-xy3+y4
    ここで、共通因数で括ります。
    =x3(x-y)-y3(x-y)
    ( )の中身が共通因数となりましたので、さらに因数分解できます。
    =(x-y)(x3-y3)
    後半の(  )は、さらに因数分解できます。
    3乗の公式を使います。
    =(x-y)(x-y)(x2+xy+y2)
    =(x-y)2(x2+xy+y2)

    さて、ここまで因数分解して、前半の(x-y)2は、2乗ですから、必ず0以上になります。
    後半の x2+xy+y2 は、どうでしょうか。
    ここは、平方完成してみます。

    平方完成を覚えているでしょうか?
    数Ⅰの「2次関数」でやりました。
    頂点の座標を求めるために式を変形する方法です。
    因数分解と異なり、定数項が(  )の外にはみ出しても、別に構わないのでした。
    今回はxについての文字式と考えて平方完成しますので、yはxの係数として扱います。
    x2+yx+y2
    =(x+1/2y)2-1/4y2+y2
    =(x+1/2y)2+3/4y2≧0
    この式は、前半も後半も2乗の形になっています。
    だから、どちらも0以上の数だとわかります。
    0以上の数同士を足しても、0以上です。
    よって、この式は、0以上です。
    元の式に戻りましょう。
    (x-y)2(x2+xy+y2)
    =(x-y)2{(x+1/2y)2+3/4y2}
    これは、0以上の数と0以上の数の積であることがわかります。
    よって、全体も0以上です。
    左辺-右辺≧0
    左辺≧右辺
    これで証明できました。

    さて、≧のように、等号が含まれている不等式の場合、どんなときに等号が成り立つかを書き添えるのが慣例です。
    (x-y)2{(x+1/2y)2+3/4y2}=0
    は、どんなときに成立するでしょうか。
    前半の( )または後半の{ }の中身が0ならば、積は0です。
    よって、x-y=0 または、x+1/2y=0かつy=0
    となります。
    これを整理すると、
    前半は、x=y です。
    「または」の後のほうは、y=0をx+1/2y=0に代入すると、
    x=0となり、よってx=y=0です。
    これは、前半のx=yの1例と考えることができます。
    よって、等号は、x=y のときに成り立ちます。

    以上が不等式の解き方の基本です。
    因数分解や平方完成を忘れてしまっていると上手くできないかもしれません。
    数学は、積み上げ科目。
    1つの単元が終われば、そのときに使った解法や公式は全て忘れる。
    そういう勉強をしていると段々苦しくなるのは、こういうことがあるからです。

    ただ、1回学習したくらいでは身につかないのも事実です。
    因数分解ばかりしていると、平方完成のやり方を忘れる。
    平方完成ばかりしていると、因数分解のやり方を忘れる。
    また戻って練習して、できるようになって、また忘れて、また練習しての繰り返し。
    それでいいと思います。
    もう無理だ、と諦めてしまう前に、まだできることがあります。






      


  • Posted by セギ at 11:15Comments(0)算数・数学

    2019年08月25日

    数Ⅱ「式と証明」。等式の証明その2。



    今回も「等式の証明」です。

    問題 a/b=c/d のとき、(a2+c2)/(b2+d2)=ac/bd であることを証明せよ。

    前回の問題よりも複雑になってきました。
    このように与えられた式が分数のときは、どう証明すれば良いのでしょうか。
    例えばaについて解いても、その結果は分数になり、しかも文字が3種類残るので、左辺=右辺を示すことは難しそうだと見通せます。
    こんなとき、別の文字に置き換えるというテクニックがあります。

    a/b=c/d=k とおく。
    すなわち、a=bk、c=dk。
    これを代入して、
    左辺=(b2k2+d2k2)/(b2+d2
       =k2(b2+d2)/(b2+d2
       =k2
    右辺=bk・dk/bd
       =k2
    よって、左辺=右辺

    このテクニックは、とても便利ですので、覚えておきたいものです。
    もう1つ問題を解いてみましょう。


    問題 x/3=y/4=z/2‡0 のとき、(x-y)2/(y2+z2) の値を求めよ。

    これも、与えられた式が分数です。
    ということで、これもkを使ってみましょう。
    x/3=y/4=z/2=k とおくと、
    x=3k、y=4k、z=2k。
    これを代入して、
    与式=(3k-4k)2/(16k2+4k2
       =k2/20k2
       =1/20
    わあ、約分でkが消えて、式の値が出てきましたー。
    やはり便利です。
    このテクニックは、忘れた頃にまた別の単元で使うことがあります。

    こうしたテクニックを覚えておきましょうと話すと、
    「でも、数学は暗記科目じゃないし、解き方の暗記じゃダメだと言っていたくせに」
    という反論もあるかと思います。
    勿論、意味もわからず丸暗記しているのではダメです。
    意味を理解した上で、でも暗記もしましょうということなのです。

    意味がわからないのに暗記だけする。
    小学生の頃から、算数・数学はそのような勉強をしてしまう子は多いです。

    例えばこんな問題の場合。

    問題 5/3dLで2/3㎡の壁を塗れるペンキがあります。2dLでは、何㎡の壁を塗ることができますか。

    かけ算なのか、わり算なのか、問題文を見てもわからない・・・。
    この問題は2段階の計算が必要だということもわからず、一度で答えが出ると思い込んでしまう子も多いです。
    この問題は、まず、1dLあたりの面積を求めます。
    2/3÷5/3=2/3×3/5=2/5(㎡)
    だから、2dLでは、
    2/5×2=4/5
    答は、4/5㎡ です。

    このように単位量あたりの問題の数値が分数になると、かけ算なのかわり算なのか、式の立て方が全くわからない場合。
    こうした問題は、わかりにくかったら整数に直して考えてみましょう。
    「4dLで2㎡の壁を塗れるペンキがあります。3dLでは、何㎡の壁を塗れますか」
    1dLあたりの面積を求めるには、
    2÷4
    これがピンとくるようなら、それは整数でも分数でも同じなのだから、単位量あたりを求めるにはわり算だと判断できます。
    ただ、整数に置き換えても、この式が立てられない子もいます。
    わり算は、大きい数を小さい数でわるものと丸暗記している子たちです。
    その子たちは、2÷4 の式を立てることができません。
    小学生の段階で既に、算数は意味を考えて解くものではなく、解き方を暗記して解くものになっている子は案外多いです。
    単位量あたりの学習をするのが、5年生。
    それに分数のかけ算・わり算が加わるのが、6年生。
    それまでに、もう何年も、算数は解き方を暗記するだけになっているのです。

    丸暗記ではなく、意味を考えて解きましょう。
    そういう子に、そのように声をかけても、ほとんど定着しません。
    そのようなアプローチをしたことがないからでしょうか。
    意味を考えて解くということが、よくわからないようなのです。
    いえ。
    それは話が逆で、意味を考えて解くことができないから解き方を丸暗記し、算数がわかっているふりを長い間続けてきたと見るべきなのかもしれません。
    教科書に載っている、2本の半直線に目盛りをつけたもので説明すると、それが整数の間は何とか理解できるのですが、分数になると目が泳ぎ始める子は多いです。
    その半直線の示す、2倍、3倍ということは理解できても、3/2倍、4/5倍といったことが、そもそも理解できない気配も感じます。
    しかし、学校のテストは明日。
    そんなとき、まずいとは知りつつも、私もこんな教え方をしてしまうことがあります。

    まず、2dLで、8㎡の壁をぬるペンキは、1dLでは何㎡の壁を塗れるかという問題を考えてみて。
    それは、8÷2だよね?
    それはわかるよね?
    8÷2をよく見て。
    2は、2dLの2だね。
    1dLあたりの量を求めるとき、dLのついている数字で割っているね。
    単位あたり量を求めるときには、その単位のついている数字で、割るんだよ。
    1dLあたりの量を求めるなら、dLという単位のついている数字で、割るんだよ。
    もしも、1㎡あたりの量を求めるなら、㎡という単位のついている数字で、割るんだよ。
    そうすると、単位量あたりが出るよ。
    それは、いつでも必ずそうなるよ。

    意味を幾度説明しても理解できなかった子が、この説明で見違えるように正答できるようになります。
    わり算は、大きい数÷小さい数。
    そうした、誤った丸暗記からもバージョンアップできます。
    しかし、これもまた新たな丸暗記に過ぎないのかもしれません。
    暗記の魔力は本当に恐ろしい。
    低学年から丸暗記で算数をこなしてきた子は、理解を促してもほとんど進歩しない一方、単なる解き方だけを教えた途端に異様なほど定着するのです。

    今は仕方ない。
    また、復習のときに。
    忸怩たる思いが胸をよぎります。
    あるいは、幾度復習しても、小学生の間は理解できないかもしれません。
    この解き方の意味を理解するのは、もしかしたら大人になってからかもしれません。
    でも、正しい解き方を知っていたら、いつか、必ず理解できる日がきます。


    こんな問題もあります。

    問題 厚さ2㎝の板を用いて、ふたのない直方体の容器を作った。容器の外側の縦が28㎝、横が32㎝、高さが18㎝のとき、この容器の容積は何㎤か。

    この問題で、こういう式を立てた子がいました。
    26×30×17

    厚さが2㎝であることに気づいていないだけだと思い、
    「板の厚さは2㎝だよ」
    と助言しても、その子は、
    「え?容器のときは、縦と横は-2、高さは-1するんだよ」
    と、逆に私に説明しました。
    「・・・それは、板の厚さが1㎝のときでしょう?」
    「え?」
    その後、正しい内のりの長さの求め方を説明しても、理解してもらうまでに長い時間が必要でした。
    この問題には、実際は挿し絵がついていましたので、それを用いながら説明すれば簡単に理解してもらえそうなものでしたが、図の内のりのここからここまでがと差し示して説明しても、しきりに首をひねり、理解できないようなのでした。
    つまり、学校の教科書やテストでは、容器の内のりを自分で求める問題でも、板の厚さは1㎝と決まりきっている場合がほとんどですので、その解き方だけを丸暗記していたのです。
    だから、板の厚さが2㎝になると、もう正しい式を立てられないのです。
    板の厚さが2㎝だから、容器の内のりの縦と横は-4、深さは-2をすることが、理解できなかったのです。
    なぜ引くのか、その根本を理解せず、ただ解き方だけ暗記していたのでした。


    解き方の丸暗記は、文章題だけに限りません。
    計算も丸暗記で処理し、本質を理解していないことは多いです。
    そのため、やり方を間違って暗記している場合は、繰り返し同じことを同じように間違えてしまいます。

    例えば 1/3(9x-2)+1/2(8x-4)

    文字式の計算です。
    そんなに難しくないはずなのですが、間違える子は、ほぼ同じようにこう間違えてしまいます。
    =3x-2+4x-4
    何をどう間違えているのか?
    前半で言えば、1/3と( )の中の9xだけをかけて、-2はそのままにしてしまうのです。
    1/3が( )内の各項に平等にかかっていくことが理解できていない様子です。
    後半も同様です。

    また別の問題。

    2(3x-4)3(2x+7)
     5      2
    ちょっと見にくいですが、5や2が分母である分数だと思ってください。
    これは、分母が異なるので、通分が必要です。
    そこでは、こういうミスをしてしまう子がいます。
    =4(6x-8)-15(10x+35)

    まず、分母を払うために、全体を10倍したのだろうと想像されます。
    これが方程式ならば、左辺と右辺の両方を10倍しても関係は変わりませんが、今回は文字式ですので、全体を10倍することはできません。
    しかし、やり方を丸暗記し、なぜそれをやっていいのか理解していない子は、文字式でも同じことをしてしまいます。
    また、上の答案の場合、前半の分母の5を10にするために、分子の2を×2して4にしたのと同時に、( )の中にも、全て×2をしています。
    後半も同様に、逐一×5をした様子です。

    何でさっきの問題では、( )の中の片方しかかけないという不平等なことをやっておきながら、今度は必要もないところに逐一×2をするのだろう?
    それは、やはり、どういう性質を利用してそれをやっているのか、本質を理解せず、ただ解き方を暗記しているためだろうと思うのです。

    通分ではこのミスはしない子も、例えば方程式の「割合」に関する文章題で作った式を整理するときに、同じ性質のミスをしがちです。
    割合に関する文章題では、下のような形の式になることは多いです。
    (x-1/10)(x-2/10)=7
    これを整理するとき、
    (10x-1)(10x-2)=70
    としてしまうミスは、中学の数学の成績が「4」の子の中にも見られます。
    ( )を1つずつ10倍したということは、全体を100倍したということだから、右辺は700だよと教えても、きょとんとしてしまいます。
    何でそうなるのか、わからない様子なのです。
    説明すると、そのときは理解した表情にはなるのですが、ひと月もすれば、また同じミスをしてしまいます。
    計算上そんなことはあり得ない、ということを感覚的に把握できるほどの深い理解に至らないのです。
    こういう計算はしてもいい、これはしてはいけないと1つ1つ暗記するしかなく、覚えきれずに失敗するのでしょう。
    何かが理解できていないのです。
    しかし、それは言葉で説明してもなかなか伝わりません。
    わかった顔はしますが、忘れた頃にまた同じミスが復活します。

    数に対する正しい感覚がどうして形成されないのか。
    逆に、上のようなミスは決してしない子の、数に対する感覚は、どのように養われたものなのか。
    小学生時代に何をすれば、上のようなミスはしない子になるのか。
    あるいは、中学や高校からでも、どのような学習をすれば、数理の本質を理解できるようになるのか。
    難しい課題です。



      


  • Posted by セギ at 15:08Comments(0)算数・数学

    2019年08月13日

    数Ⅰ「1次不等式」、1次不等式の文章題。


    さて、お盆休みは、文章題を。
    こんな問題です。

    問題 
    25人以上50人以下の団体で目的地に向かうとする。
    電車賃は目的地まで1人420円で団体割引はない。
    バスは1人480円だが、1万円の団体券で25人まで乗ることができる。
    電車で行ったほうが料金が安いのは、人数が何人以上何人以下のときか?

    中学生・高校生に方程式・不等式の文章題を教えていて苦慮するのは、何年経っても最初の1行を書き出せない人がいることです。
    「求める人数をx人とする」
    これさえ書いてしまえば、その次は、ではこのxを用いて問題文の中のどんな数量を表す式を立てようかと、次の段階に進むことができます。
    この書き出しを発想できず、文章題を見た途端に意識が小学生に戻り、どうやって人数を求める式を立てよう、うーん、うーん、うーん、わかんない・・・と考え込んでしまう人は多いです。
    結局、中学の3年間、方程式の文章題の学習になる度にそれを繰り返す人は多いです。
    そのまま高校生になり、たまに出てくるこうした文章題に歯が立たない。
    そうなりがちです。

    xを用いて式を表すことは発想できても、xを定義しない人も多いです。
    文字を用いるのなら、その文字が何であるかを定義する必要があります。
    どんな文字を用いても良いけれど、その文字が何であるかを定義する。
    それは数学の答案の根本ルールの1つです。
    「えー。面倒くさい。そんなの、わかるじゃん」
    と言う人は、その式が間違っていたときに、何をxとしたのか質問されて、すぐに答えられるでしょうか。
    もう一度問題を読み直し、もう一度解き直さないと、xが何であるかわからないのではないでしょうか。
    自分でも、自分の思考の跡をたどれないのです。
    数日後には自分でも思考の跡をたどれないような答案を、他人が見てわかるわけがありません。
    数学の答案は、どのように解いたのかを相手に明瞭に説明するものです。
    それは、何か月経っても、自分の答案を見直したときに、何をどう解いたのかすぐにわかるということでもあります。
    数学答案の根本のルールはそれです。
    どう書いたら良いかわからない・・・。
    そんな質問もよく受けますが、細部の書き方にこれでなければならないという定型があるわけではありません。
    後で意味がわかるように書けば良いだけです。

    問題に戻りましょう。

    求める人数をx人とする。(25≦x≦50、xは自然数)

    とxに関する定義を書いたら、次は不等式の立式です。
    xを求めることに集中し過ぎるあまり、xの値を表す式を立てようとして苦慮する人もいますが、方程式でも不等式でも、式が表す数量は、xを表すものではありません。
    何か他の数量を表すものです。
    「え?式は関係を表すもので、何かの数量を表すものではないのでは?」
    という質問を受けることがありますが、そのように思っていると式は立てにくいです。
    関係を表す・・・というのは、間違っていませんが漠然としています。
    どうやってどんな関係を表すのか、よくわかりません。
    式が何かの数量を表すことを明確に意識していると、立式は楽になります。

    この問題では、勿論、バスを使った場合の料金の全額と、電車を使った場合の料金の全額とを比較して立式しましょう。
    まずはバス料金のほうから。
    25人分の団体料金が10000円。
    それ以外の人は、普通に1人480円を払います。
    その人数は、(x-25)人。
    よって、バス料金の全額は、
    10000+480(x-25)
    と表すことができます。
    一方、電車料金は、常に1人420円ですから、
    420x円
    電車で行くほうが安くなるのですから、不等式は、
    10000+480(x-25)>420x
    これを解きましょう。
    10000+480x-12000>420x
                  60x>2000
                    x>100/3
                    x>33+1/3 ・・・①

    ああ、じゃあ、答えは、34人以上50人以下だ。

    ・・・本当に、それで良いでしょうか?
    ここで、発想の飛躍が必要となります。
    人数分いなくても、団体券を2枚買うことも可能なのです。
    え?そんなのずるくない?
    そんなことしたらダメなんじゃない?
    ・・・いいえ、別に構わないです。
    座席指定券を買い占めて、座る人もいないのに席を確保するということではありません。
    料金は50人分を払うというだけのことです。
    そもそも、そういうモラルの話をしているのでもありません。
    これは、どちらが安いのか、という単純な計算です。
    ただ、何というか、善良な人というかお人好しというか、そういう人はこの発想がなく、この不等式の問題を間違えてしまうことがあるようです。

    団体券を2枚買うことにすれば、バス料金は20000円。
    電車賃は変わらず、420x円。
    ですから、不等式は、
    20000>420x
        x<20000/420
        x<47+13/21 ・・・②

    ①、②より、
    33+1/3<x<47+13/21
    ここで、25≦x≦50、xは自然数だから、
    求める人数は、34人以上47人以下。

    これで最終解答となります。

    気をつけたいのは、答案の最後を、34≦x≦47 で終えてしまう人もいることです。
    勝手に自分でxを使ったのに、それでは終われません。

    どんな文字を使ってもいいが、正確に定義する。
    使った文字は、最終解答には残さない。
    これを守るだけで、答案を見る先生に「お。答案の書き方がわかっているね」と思われます。
      


  • Posted by セギ at 14:53Comments(0)算数・数学

    2019年08月04日

    高校数Ⅱ「式と証明」。等式の証明。その1。


    本日の学習内容は、「等式の証明」です。
    「等式の証明」は、その次の「不等式の証明」と比べればはるかに易しいです。
    ただ、
    「何のためにこんなことを証明しなければならないのかわからない」
    と言う子もいます。
    何のためにと言われても、これは基礎訓練ですから、証明する内容に大した意味はありません。
    この等式が何かを表しているわけではありません。
    このやり方を利用して、大切な公式や定理も証明できますから、まずその基礎訓練をしましょうということです。
    やってみましょう。

    問題 (a2-b2)(c2-d2)=(ac+bd)2-(ad+bc)2  を証明せよ。

    等式の証明は色々な方法があります。
    ①左辺を変形し、右辺と等しいことを示す。
    ②右辺を変形し、左辺と等しいことを示す。
    ③左辺、右辺をそれぞれ変形し、左辺=右辺であることを示す。
    今までの3つは、同じようなことですね。
    さらに、
    ④左辺-右辺=0であることを示す。
    ⑤左辺÷右辺=1であることを示す。
    といった方法があります。
    問題によってどの方法で示すのが楽であるかを判断します。
    上の問題は単純な構造のものですので、③のやり方で大丈夫そうですね。
    ④や⑤で解くことも勿論可能ですが、これらはもっと発展的な問題のときに利用する方法ですので、無理して使う必要はないでしょう。

    では、解いてみましょう。
    左辺=(a2-b2)(c2-d2)
       =a2c2-a2d2-b2c2+b2d2
    右辺=(ac+bd)2-(ad+bc)2
       =a2c2+2abcd+b2d2-(a2d2+2abcd+b2c2)
       =a2c2+2abcd+b2d2-a2d2-2abcd-b2c2
       =a2c2-a2d2-b2c2+b2d2
    よって左辺=右辺となり、等式が成り立つ。

    考え方は難しくないので、これは計算力の問題となります。
    高校2年ともなりますと、計算力は個人個人で大きな隔たりがあります。
    高校1年生までの数学を完璧にマスターしている子もいます。
    高校受験のための勉強は一所懸命やったので中学数学はマスターしているけれど、高校の数Ⅰ・数Aの内容が定着していない子もいます。
    中高一貫校の子や、高校受験の勉強をしてもよく理解できなかった子の中には、中学数学の内容が定着していない子もいます。

    (a+b)2=a2+2ab+b2
    という乗法公式を覚えていないため、上手く展開できない子。
    何度覚え直しても、(a+b)2=a2+b2 というふうにいつの間にか間違えている子もいます。
    中3で学習するこの乗法公式は、普通に展開しても答えが出そうということもあって、本気で暗記しない子がいます。
    次に因数分解の学習をしたときに、この公式は必要だとようやく気づいても、もう変な癖がついてしまっていて、後の祭りということがあります。
    一度間違って覚えてしまったことの訂正は、本当に難しい。
    こんな公式の1つくらい、覚えても覚えなくても大したことないと思っていたら、その後、延々と使い続けることになり、足枷となる。
    数学にはそういうことが多いです。

    また、
    (ab)2=a2b2
    などの指数法則を理解していないため、上手く展開できない子。
    やり方をその都度暗記しようと努めていても、どうしてそうなるのか根本のところで理解できていない様子の子もいます。
    ・・・いや、見たまま、そうなるでしょう?
    数学が得意な高校生にはそういう数理の感覚があるので、このあたりの断絶は大きいです。

    指数の理解の深さ浅さは、高校数学の理解に強い影響を与えます。
    中1の頃から、指数を含む計算は半分以上不正解で、でも、こういう難しいのは自分はまあいいやと思ってきたら、高校数学になって問題が指数まみれになり、にっちもさっちもいかない・・・。

    指数は特にそうですが、それ以外にも、中3の数学・高1の数学を経てきたとは思えない理解度と計算力で高2の問題を解いているように見える子がいます。
    学力が中2の「連立方程式」くらいで止まっている・・・。
    数学が苦手な子は、そういう子が珍しくないのです。
    その先で学習したことは、定期テストを切り抜けるために一夜漬けで何とかやり過ごしたけれど、身についていない。
    忘れてしまっているのです。

    高校数Ⅱで新しく教わる内容が理解できないわけではないのです。
    でも、そのはるか手前の基本となる知識が抜けている子は多いです。
    そのため、自分で問題を解こうとすると正答を出すことができません。
    一方、数Ⅱの問題集の解答解説は、この程度のことは省略し始めるので、間違えても、何をどう間違えたのかも判断できなくなります。

    夏休みなど、比較的時間に余裕があるときに、総復習できると良いですね。
    学校が出してくれる課題だけでなく、中3の薄い問題集を1冊復習。
    その後、学校の数ⅠAの問題集をもう一度解き直すと、当時よりも理解できることに気づくと思います。
    忘れてしまったのなら、反復し、思い出してください。

      


  • Posted by セギ at 16:04Comments(0)算数・数学

    2019年07月26日

    高校数Ⅱ「式と証明」。分数式の計算。



    今回は「分数式の加法・減法」。
    例えば、こんな問題です。

    x-3         x-1
    x2-6x+8  -  x2-2x-8

    分数をこのブログに書き込んでいくのは難しいのですが、大体の感じはつかめていただけたかと思います。

    計算の基本は、数の計算と同じです。
    分数は、分母が等しくなければ引き算できません。
    すなわち、通分が必要となります。
    このまま、(x2-6x+8)(x2-2x-8)という分母にすることでも通分はできます。
    しかし、それは、普通の分数の計算で、例えば分母が6と8だったときに、それを通分するのに48としてしまうようなものです。
    後の計算が煩雑になる悪手です。
    互いの共通因数を考えて通分しましょう。
    それにはまず、分母をそれぞれ因数分解してみます。
    x2-6x+8=(x-2)(x-4)
    x2-2x-8=(x+2)(x-4)
    (x-4)が共通因数であることがわかります。
    よって、通分した後の分母は、(x-2)(x+2)(x-4)
    このように通分するのですから、それぞれの分子は、それまでの分母にはなかった因数をそれぞれにかけて、
    (分子)=(x-3)(x+2)-(x-1)(x-2)
    この後、分子の計算を行います。
    (分子)=x2-x-6-(x2-3x+2)
        =x2-x-6-x2+3x-2
        =2x-8

    これで、分子は2x-8、分母は(x-2)(x+2)(x-4)
    というところまで整理できました。
    普通の分数の計算でもそうですが、計算後は、約分できるかどうかを確認します。
    分子は2(x-4)と整理できます。
    分母の(x-4)と約分できることがわかります。
    よって、解答は、2/(x-2)(x+2)

    単純な計算ばかりなので、前回の多項式の除法とこの分数式の計算は、数Ⅱの学習内容の中では理解しやすいところです。
    ここが最後のオアシスだったと後になって降り返る人も少なくありません。
    しかし、そのオアシスさえ、計算ミスを繰り返して得点には至らない人も多いのです。
    理解できることと、実際に得点できることとは別のことです。
    途中で一度でも書き間違いや符号ミス・計算ミスをしたら、正解には至りません。

    ミスをなくすには、どうしたら良いか。

    ミスは、学力的に安定した状態ではないために起きている場合があります。
    試しに中学数学の計算問題を解き直してみてください。
    心の中でやってみて判断するだけではダメです。
    実際に中学時代の正負の数の計算、文字式の計算、方程式などをそれぞれ20題ほど解いてみてください。
    簡単過ぎる問題ではなく、多少は複雑な計算過程が必要な問題が妥当です。
    そういう問題は全くミスしないのに、高校の数学の問題を解くとケアレスミスが多いという場合は、高校数学の理解が不十分である可能性が高いです。
    高校数学の基本問題を中心に反復し、基礎力を鍛えれば、基本問題での妙なケアレスミス・計算ミスは減っていくでしょう。

    一方、中学時代の計算問題を解いてもやはりミスがあるという場合は、どういうミスをしているのか分析し、過剰書きにしてみてください。
    符号ミス。
    指数の書き洩らし。
    数字の書き間違い。
    問題の写し間違い。
    ひき算ミス。
    たし算ミス。
    「正」の字を書いて、どのミスが多いのか確認すると良いと思います。
    自分のミスを可視化することで、意識し、改善できるかもしれません。

    ただ、おそらくは、どのミスも同じように分散し、多様なミスが多発している場合が一番多いのではないかと思います。
    特にどこが苦手というのではなく、全般的にミスをしやすい。
    それを直視するのはつらいことかもしれませんが、そうであるなら、ミスを含み込んで得点を読んでいきましょう。
    テストの8割の問題を解けるようになっておけば、ミスを含み込んで、6割は得点できる。
    そのようにミスを織り込み済みの得点の読み方をしたほうが、気持ちが安定します。
    そうすることで、むしろ、ミスは減ると思います。

    英語のスペルミスや時制ミスはほとんどないし、古文の助動詞や助詞の紛らわしいのも識別できるし、日本史や世界史の人名や国名も正確に覚えられるけれど、数学は基本問題でもケアレスミスをするので正解できないなあ・・・。
    高校生になれば、そういうことがはっきりと見えてくる人もいます。
    まあ、何というか、数学と相性が悪い。
    数学の正確さとそりが合わない。
    そういうこともあると思います。

    「数学が世の中の役に立っていることを否定するつもりはない。でも、自分が数学を勉強しなければならない意味はわからない」
    昔、極端な文系秀才の生徒からこのように言われて、さすがに言っていることの筋が通っていると感心したことがあります。
    後は、教育システムの問題です。
    数学に関しては、高校卒業に必要な単位のために最低限の勉強をする。
    受験には使わない。
    そういうやり方もあると思います。

    では、どの段階で文系・理系の判断をするのか?
    極端な文系秀才ならば判断しやすいでしょうが、普通の高校1年は自分が文系か理系かの判断はつかない場合がほとんどです。
    高校1年までは、「数学と歴史が得意。国語と理科が苦手」といった判断に窮する傾向の子のほうがむしろ多いです。
    しかし、高校2年で学習する科目は専門性が高まります。
    「得意なつもりでいたけど、ここまでやるとなると、何かもう訳がわからない。無理だな」
    という判断もあるでしょうし、
    「皆は苦手だ嫌いだと言うけど、自分はこの科目好きだな。何か急に面白くなってきた。これを大学で勉強するためなら、受験に必要な他の科目も頑張れる気がする」
    という判断もあると思います。
    高校2年まで数学をやることでようやく判断がつく人が多いと思います。
    この話をすると、さすがは秀才。それもすぐに理解してくれました。

    理系秀才にとって、古文・漢文の授業もまた、
    「古典を貶める気持ちはないが、自分が古文・漢文を学ぶ意味はわからない。自分が原文を読めるようになる必要はないし、読めるようにはならないと思う。内容だけなら知りたいが、それなら現代語訳で十分だ」
    とも言えます。
    高校2年生まで同じ教育課程であるのは、壮大な無駄のような気もする一方、しかし、全ての子どもに平等な機会を与えるという点では、文系・理系の判断は遅いほうが良いでしょう。
    以前も書きましたが、効率だけを考えたあげく、例えば12歳で学力テストを行い、学力が基準に満たない者にはそれ以上の教育は与えず、基準を満たした者はその能力にあわせ、選抜して専門科目のみ教育する、などという仕組みが素晴らしい社会を生むとは到底思えません。
    そんなのは、悪夢でしかありません。
    自分には必要なさそうな数学や古文も勉強するのは、義務じゃなくて、権利です。
    数Ⅱ・Bに対するあまりの違和感に、これはもうダメだと感じる人も、少し距離をおいて、これを学ぶのも自分の権利と考えて楽しんでくれれば、少し光が見えてくるのではないかと思います。

    話は分数式の計算に戻って。


    2x-5    2x2+9x-28
    x-4  -  x2+2x-24

    さて、これも、上の問題と同じように計算していくこともできるのですが、それぞれの分子と分母を見比べて、分子の係数や次数が分母より大きい場合、もっと整理してからのほうが計算が楽にできます。
    普通の分数の計算で言えば、仮分数を帯分数に直して計算するような感覚です。
    ここで、前回学習した(多項式)÷(多項式)の計算が活きてきます。

    (2x-5)÷(x-4)=2あまり3
    (2x2+9x-28)÷(x2+2x-24)=2あまり(5x+20)

    よって上の分数式は、


          3          5x+20
    2 + x-4  -2 - x2+2x-24 

    と整理されます。

    普通の分数の仮分数を帯分数に直すのと全く同じことをやっています。
    そうすることで、整数は整数同士で、分数は分数同士で引けばよいので、かなりスッキリします。
    その後の計算方法は上の問題と同じです。
    分子の次数が抑えられて、計算しやすくなります。

      


  • Posted by セギ at 22:54Comments(0)算数・数学

    2019年07月17日

    小学算数。EXテストの衝撃。


    先日、小学生が教室にEXテスト(エクストラ・テスト)を持ってきてくれました。
    「こんなテストを、前にも受けたことある?」
    と質問しましたところ、去年も何回かこのテストを学校で受けたとのことでした。

    しかし、こうした口頭の情報は、不確かになりがちです。
    私の質問の意図を子どもは正確に把握できない可能性があるからです。
    普通のカラーテストと混同しているかな?
    それとも、本当に去年も何回かEXテストは受けたのかな?
    謎のままです。
    他の学校の小学生に尋ねると、受験生もそうでない子も、
    「知らない」「受けてない」
    という返答ばかりでした。

    それは中3でもまだそうで、例えば、
    「都立高校入試の模試に似ている学力テストを学校で受けましたか?」
    と質問しても、その子は、それがどのテストを指す何であるかを正確に把握できないことが多いです。
    質問の意図がわからないし、都立高校入試の模試というのをまだ受けたことがないので、それに似ているものと言われてもわからない。
    結局、国が実施する学力調査と誤解してしまう子もいましたし、何を訊かれているのかわからないからか、
    「ない」
    と適当に答える子もこれまで何人も見てきました。
    あった、と答えて、では点数は?とさらに問われるのが嫌なので、テストの存在をなるべく隠そうとする気持ちもあるのかもしれません。
    点数を見せたくないという防衛心が働くのか、こちらが訊かない限りどんなテストのことも言わないのです。
    実物を示して、
    「これをもう受けた?」
    と訊かない限り、明確な答えは得られない。
    しかし、私の手元に実物があるわけではないので、質問もあやふやにならざるを得ず、返答はさらにあやふやになるということが繰り返されます。
    とはいえ、中3が学校で受ける模試に似たテストのことは、私が知らなくてもどうということはないので、近年は質問もしないのですが。
    秋以降、校外で受ける本当の模試の結果を見せてもらえれば問題はありません。


    話を戻しますと、EXテストの見た目は、いつものカラーテストとよく似ていました。
    両面カラー印刷で、カラフルです。
    紙の大きさもいつもと同じです。
    違うのは、テストの質。
    思考力・判断力・表現力を見るEXテスト。
    難度が高いです。

    何だろうこのテストは?
    ネットで検索すると、学校教材のサイトに簡単にいきつくことができました。
    小学校1年生から6年生までのテストがあること、国語と算数があることまでは把握できました。
    理科や社会があるのかどうかはわかりません。
    いつ頃から作られているテストであるのかもわかりませんが、今年初めて作られたテストではないようです。

    個人のブログや悩み相談サイトを見ると。
    小1の子がEXテストで0点を取ってきたとか、同じ子が、小2では15点だったとか。
    中学受験生なんだけれどEXテストでもあまり良い点が取れないとか。
    そうした情報が得られました。
    当然ですが、テストそのものがネットにアップされているようなことはありません。
    それは絶対やったらダメなことですね。

    今回、たった1枚、実際に目にした小6算数のEXテスト。
    それだけで把握できることには限りがありますが、並んでいる問題は、中学受験の受験算数の易しい典型題でした。

    受験算数としては基本問題ですが、その基本問題を解けない中学受験生が多いのが現実です。
    そうした子も、受験勉強を始める前は、学校の普通のカラーテストは満点連発だったのかもしれません。
    「算数は簡単だ」という間違った感覚を抱いていた可能性もあります。
    いや、むしろ、保護者の方が、満点連続のカラーテストを見て、この子は算数は得意だと誤解していた可能性のほうが高いかもしれません。
    「間違った感覚」というのは、カラーテストは、基本中の基本が身についているかどうかを検査するものだからです。
    計算の手順が身についているかどうか。
    公式をそのままあてはめる問題を解けるかどうか。
    非常に簡単であるため、内容を理解していなくても作業手順を覚え込むことだけで、満点が取れます。
    思考力はほとんど必要ありません。
    満点連続のカラーテストを見た保護者の方は、まさか自分の子どもの思考力が弱いとは想像もしないと思います。
    だって、現実にテストは満点なんですから。

    多くの子が、学力的に余裕を持って受けることができるのがカラーテストです。
    それが悪いということではありません。
    小学生のうちから、その子の学力的限界をそんなに突きつけなくてもいいでしょう。
    そんなことをしたら、学ぶこと自体が嫌になってしまいかねません。
    本人は「わーい、満点だー」と喜んでいればいい。
    満点のテストを見た大人も、「わあ。また満点だ。頑張ってるねえ」と褒めたらいい。
    しかし、だから、この子は数学的才能があるとか、中学に入っても数学は大丈夫とか、中学受験をしても大丈夫とか、そんなことの判断材料にはならないことを、大人は知っておいて良いと思います。

    学校の算数の問題はよくできるので、中学受験をしても大丈夫なのではないか?
    そうした誤解から起こる悲劇は、枚挙にいとまがありません。
    中学受験の受験算数は、思考力がないと対応できません。
    それ以前は、パッと見てパッと解き方がわかる問題しか解いたことがないのです。
    筋道立ててじっくり考えるということをしたことがないので、どうしたらいいのかわからない。
    パッと見てわからない問題は、その子には解けない問題です。
    結果的に、受験算数は基本問題を解くのも悪戦苦闘となります。
    それまでもじっくりとものを考えてきた子以外はそうなりがちです。

    とはいえ、今は教育技術が進歩していますから、わからないことをわかるように教えることが可能です。
    筋道立てて考えることも、一歩ずつ教えることができます。
    わからないこともねばって、1つずつ解けるようになっていく。
    じっくり考えていく。
    そういう子は、受験勉強の後半でジリジリと学力を上げていきます。

    ところが、「パッと見てパッと解き方がわかる頭のいい自分」というセルフイメージへの固執の強い子もいます。
    じっくりねばって考えるとはどういうことなのわからないだけでなく、そんなことはやりたくないと思っている子もいます。
    自分が上手くできないことは嫌い。
    苦労して考えてやっと答えがわかるなんてダサい。
    パッと見てもわからない問題を解かされると、劣等感を覚える・・・。
    自分の限界を思い知らされるようで、つらい・・・。
    勉強しているように見えても、テキストに載っている問題の解き方を丸暗記しているだけで深い理解はなく、受験算数の問題の周囲を無意味にぐるぐる回っているような状態で、問題の核心に向かってアクセスできないまま入試を迎える。
    そういう子も多いです。
    つまりは能力よりも精神力の問題になりがちですが、まだ小学生ですから、そんなに強い精神力を求めるほうがどうかしています。
    入試のような人生の一大事に直面する時期ではまだなかった。
    時期を選ぶべきだった。
    成長過程において、中学受験が向いている子もいれば、そうではない子もいる。
    誰もが中学受験をすることが有利なわけではない。
    そういうことだと思うのです。

    思考力が弱いというのは、生涯そうであるというような決定事項ではありません。
    思考力も鍛えれば強くなります。
    パッと見てパッと問題の構造をつかむ瞬発力のようなもののある子は、つまり、頭の回転は速いのです。
    ただ、深く思考したことがない。
    ものごとを筋道たててじっくり考えるということをしたことがない。
    それを要求されて応える精神力もない。
    やってもできなかったという形になるのが嫌なので、勉強しない方向に自分を誘導しがちです。
    逃げ道を探すことに頭を使ってしまう・・・。
    才能の無駄遣いをしてしまう子も多いです。

    数学で大きな結果を出している塾や学校は、「じっくり考えることのできる者が最上位」というヒエラルキーが確立されています。
    じっくり考えることでしか解けない問題を考える。
    それを解いた人が称賛される。
    そうした空気の作り方に成功しています。
    大人がそれを強制してもなかなか従わない子も、自分と同年齢の子たちがじっくり考え、そのヒエラルキーに従っている環境にいると、それに従い始めます。
    考える者が最も優れた者であり、称賛される。
    パッと思いついただけのことを言っても正答できないので、誰もが考え始めます。

    EXテスト。
    今の小学校では、思考力をちょっと試し、それを成績つけの参考にすることはあっても、それ以上の活用は難しいと思います。
    問題解説をしたところで、理解でき、類題が解けるようになる子は半分にも満たないでしょう。
    来年度からの、新しい学習指導要領の下では、どうなるのか?
    これは、そのためのテストなのか?

    蓋を開けてみなければわからないことが、まだ多いです。

      


  • Posted by セギ at 11:40Comments(0)算数・数学

    2019年07月10日

    数Ⅱ「式と証明」。多項式の除法。


    今回は「多項式の除法」です。
    中学数学でやっているような気がするのに、意外に一度もやっていないのが、多項式の除法です。

    問題 (x3+3x2-5)÷(x-2) を計算し、商と余りを求めよ。

    これは筆算していくことができます。
    やり方・考え方は数字のわり算の筆算と同じです。

    例えば、764÷6を筆算してみましょう。

    6 )764

    の7と6を見比べて、7の上に「1」という商が立つと判断します。
    その後、1と6をかけたものを7の下に書いていき、そして7からそれを引きます。
       1
    6 )764
       6  
       1

    これと同じことをやっていきます。

    x-2 )x3+3x2   -5

    x3とxを見比べて、x3の上に「x2」という商が立つと判断します。
    そのx2と「割る数」であるx-2とをかけたものを元の式に下に書いていきます。

        x2
    x-2 )x3+3x2   -5
         x3-2x2

    そして、元の式から、今書いたものを引いていきます。

        x2
    x-2 )x3+3x2   -5
         x3-2x2
            5x2

    次に、引き算の結果である「5x2」とx-2を見比べで、商を立てます。
    「5x」という商が立ちます。
    その5xとx-2をかけたものを下に書いていきます。
    そして、上の行から下の行を引きます。

        x2+5x
    x-2 )x3+3x2     -5
         x3-2x2
            5x2
            5x2-10x
                10x -5

    次に、引き算の結果である「10x」とx-2を見比べて、商を立てます。
    「10」という商が立ちます。
    その10とx-2とをかけたものを下に書き、上の行から下の行を引きます。

        x2+5x  +10
    x-2 )x3+3x2     -5
         x3-2x2
            5x2
            5x2-10x
                10x -5
                10x-20
                    15

    よって、商は x2+5x+10、余りは15です。

    「本当にこんなやり方で割ったことになるの?」
    「何でそれで答えが出るのか、意味がわからない」
    という感想の多いところです。

    そこで、ちょっと検算をしてみましょう。
    わり算は、(割る数)×(商)+(余り)=(もとの数)
    で検算することができるのでした。

    (x-2)(x2+5x+10)+15
    =x3+5x2+10x-2x2-10x-20+15
    =x3+3x2-5

    はい。
    もとの式に戻りました。

    やり方は理解できても、最初のうちはなかなか正答できない高校生が多いです。
    ミスしやすい箇所としては、多項式の書き写し間違い。(特に指数と符号)
    上の式の-5-(-20)のような箇所の符号ミス。

    符号ミスは、中学生になって負の数の計算をするようになると同時に始まります。
    答えが負の数になる問題は決して正答できないというくらいに符号を書き忘れる子もいます。
    これを「ケアレスミス」ととらえ、本人が注意すれば解決すると思うのは、しかし、誤りだと思います。
    そもそも、俗にケアレスミスと呼ばれるものが多い子ほど、ケアレスミスの意味を「ちょっとしたミス」などととらえています。
    ケアレスミスは不注意なミスという意味だよと教えると、嫌な顔をします。
    不注意と指摘されることにも傷ついてしまうようです。
    しかし、問題はもっと深刻で、符号ミスは単なる不注意なミスではないと思ったほうが良いと思います。

    小学校では必要なかった負の符号が中学数学では必要になるのに、そのことが知識として身についていない。
    そうとらえたほうが現実に即していると思います。
    つまりは、本人の脳内の根本のところで知識がバージョンアップされていず、いつまでもいつまでも、ついつい気がつくと負の数など存在しないような感覚で数学を解いてしまっているのだと思うのです。
    バージョンアップは、簡単にできる人もいますが、非常に時間のかかる人もいます。

    傍で見ていると、何でそんなに安易に負の符号を書きもらすのか、意味がわからない・・・。
    ぼんやりしているから、そんなことになるのではないか?
    ・・・ついついそう思ってしまいがちですが、本人もミスなどしたくないから一所懸命やっているはずです。
    それで書きもらすとなると、符号に関するバージョンアップがされていないと見るほうが自然です。
    それは、本人が自覚すれば治るというものではなく、脳内でアップデートされない限り同じミスが繰り返されます。

    では、どうすればアップデートされるのか?
    それは脳次第であるところが歯がゆいところです。
    人間の脳は自力ではコントロールできません。
    何で覚える必要があることを覚えられないの?
    何でアップデートできないの?
    そういうこととの闘いです。
    ただ、「数学なんか嫌い」「数学なんかやっても意味ない」と思っている人のアップデートは当然遅いです。
    せめて、自ら数学から遠ざかることだけは避けたいところです。
    結局、練習を重ねることで、脳がアップデートの必要を感じるのを待つしかありません。

    上の多項式の除法でいえば、引き算であるところをたし算してしまうミスも多いです。
    商を立てた後、例えば3x2の下に-2x2という項を書くところまでは上手くできるのですが、下の項に負の符号がついていると、そのままたし算してしまうミスは多いです。
    指摘してもピンとこない様子で、正しい筆算をしてみせるとようやく理解するということがあります。
    これが繰り返されるのは、もはやケアレスミスというものではなく、そこが明らかに理解不足の弱点となっているのです。
    ケアレスミスじゃないぞー。
    明らかな理解不足だぞー。
    そのミス、何度目だー。
    ・・・そのような指摘をするまでもなく、ほぼ全問どこかでひっかかって誤答しますので、さすがに本人の顔色が悪くなってくるところではあります。
    やり方はわかっているのに、幾度解き直しても正解に至らない。
    解き直す度に違う答えは出るけど、正解でないのはなぜ・・・?
    解答が間違っているんじゃないの?
    数Ⅱに入ると、そういうことが本当に増えてくると思います。
    練習不足なんです。
    数Ⅱの問題を正確に解ける計算力が身についていないのです。
    一度でパッとできるようになる人もいます。
    でも、沢山練習する必要のある人もいます。
    そんなのは、スポーツでも何でも普通のことです。

    こういう話をすると、何だ才能の話かと諦めてしまう人もいると思います。
    これは、努力の話です。
    例えば、目の前でやられると非常に煩わしいペン回し。
    小学校高学年から中学生の頃、特に男子の大半は、あれに夢中になります。
    数回で器用にできるようになる人もいますが、なかなか上手くできなかった不器用な人もきっといたはずです。
    なのに、諦めない。
    学校の授業中、延々とペン回しの練習をしましたよね。
    そして、ついに習得しました。
    努力の成果です。
    努力って、実は誰でもできるのですよ。
    努力の方向性はともかく。


    さて、もう1問。

    問題 (a3+2abc+b3-c3)÷(a+b-c) をaに着目して行い、商と余りを求めよ。

    最初の問題との違いは、文字が1種類ではないこと。
    「aに着目して」ということは、aについての文字式とみなし、他の文字は係数や定数項として扱いなさい、という意味です。
    これは、筆算として書くときから順番を意識し、他の文字はaの係数や定数項であるとわかるようにしておくことで解きやすくなります。
    aについて降べきの順に整理して書いてみましょう。

    a+(b-c) )a3     +2bca+(b3-c3)

    a3とaを見比べると、まずa2という商が立ちます。
    その商と「割る数」であるa+(b-c)をかけていきます。

           a2
    a+(b-c) )a3        +2bca+(b3-c3)
             a3+(b-c)a2 

    上の行から下の行を引きます。
    上から次に使う項も下ろしておきます。

           a2
    a+(b-c) )a3        +2bca+(b3-c3)
             a3+(b-c)a2
              -(b-c)a2+2bca

    ここでは、2次の項はもともと存在しなかったところから(b-c)a2を引くので、
    0-(b-c)a2
    =-(b-c)a2
    となることに注意が必要です。
    上からおろしてくる項は、あえて書けば、
    2bca-0
    =2bca
    となりますので、符号は変わりません。
    0から引くことと、0を引くこととは大違いですね。

    次に-(b-c)a2とaを見比べて、-(b-c)aという商が立ちます。

           a2-(b-c)a
    a+(b-c) )a3        +2bca+(b3-c3)
             a3+(b-c)a2
              -(b-c)a2+2bca
              -(b-c)a2-(b-c)2a

    例によって、上の行から下の行を引くのですが、ちょっと複雑で引きにくいですね。
    こういうときは、ノートの横の空欄などを利用して、そこの部分だけ計算すると良いでしょう。
    係数だけのひき算をすれば良いですね。
    すなわち、
    2bc+(b-c)2
    =2bc+b2-2bc+c2
    =b2+c2

    上から定数項も下ろしてくると、

           a2-(b-c)a
    a+(b-c) )a3        +2bca+(b3-c3)
             a3+(b-c)a2 
              -(b-c)a2+2bca
              -(b-c)a2-(b-c)2a
                      (b2+c2)a+(b3-c3)

    次の商は、(b2+c2) ですね。

           a2-(b-c)a +(b2+c2)
    a+(b-c) )a3        +2bca   +(b3-c3)
             a3+(b-c)a2 
              -(b-c)a2+2bca
              -(b-c)a2-(b2+c2)a+(b3-c3)
                      (b2+c2)a+(b-c)(b2+c2)

    最後の定数項のひき算も複雑ですね。
    ノートの空いているスペースで計算しましょう。
    (b3-c3)-(b-c)(b2+c2)
    =b3-c3-(b3+bc2-b2C-c3)
    =b3-c3-b3-bc2+b2C+c3
    =-bc2+b2c

    これが余りとなります、
    よって、商は  a2-(b-c)a+(b2+c2)
    となりますが、整理したほうが見た目がきれいですね。
    ( )を外しておきましょう。
    従って、商 a2+b2+c2-ab+ca
        余り -bc2+b2c
    となります。

    この筆算は複雑ですが、この先、「分数式の計算」や「因数定理」を学習する際にまた利用しますので、必ず身につけておきましょう。
    とはいえ、ネットでは罫線を上手く引けないので、物凄く見にくいと思います。
    全体の板書が上の画像です。

      


  • Posted by セギ at 12:58Comments(0)算数・数学

    2019年07月06日

    ケアレスミスと数学不安症。


    例えば、都立高校の数学の入試問題で、大問3「関数」、大問4「平面図形」、大問5「空間図形」のそれぞれ一番最後の小問は難しいから解けないので、各5点×3=15点は失点するとして、残る85点は取れる。
    そういう得点の読み方をすることがあります。
    あるいは、定期テストは基本問題だけで80点は取れる。
    これに共通しているのは、「基本問題を解くだけで十分な得点」という夢物語です。

    「夢物語」とあえていうのは、現実はそんなに甘くはないからです。
    基本問題をきっちり得点できる学力の人は、応用問題も解けます。
    基本問題しか解けない人は、基本問題もある程度は失点します。
    それは避けられません。

    しかし、基本が身についていないのに、やたらと応用応用という子には、私も冒頭のような説明をすることがあります。
    定期テストで、公式を代入するだけの基本問題や、出題されるとわかりきっている典型題をポロポロ失点しているのに、最後の応用問題がわからなかったことをやたらと残念がる子もいるからです。
    実際の得点は30点台、40点台なのに、最後の応用問題がわからなかったことを、テストが終わると強調するのです。
    テストが返ってきたら反省が大切なのですが、反省ポイントがズレていては、次回も似たような結果になってしまいます。
    正しい反省を促さなければなりません。
    最後の7点の応用問題が解けなくても、他の問題で正答していたら93点です。
    あなたの現実の点とは50点以上差がありますよ。
    その50点は、どこで失っていますか?
    そういう話をします。

    基礎を固めないうちは、応用問題の解説を聞いても、その問題の解き方を「わかったような気がする」だけで、類題を自力で解けるようにはなりません。
    まして、タイプの異なる応用問題には全く対応できません。
    出るとわかっている典型題なら解説もしますし、練習もします。
    しかし、何でこんな応用問題を出すのか出題意図もよくわからない、ただただ難しいだけの問題を解説するのは時間が惜しい。
    今は、そんな勉強をする時期ではない。
    そのことをわかってもらう必要があります。

    1つ考えられるのは、そういう子の心の中では、「わかる問題」と「解ける問題」との混同があるのではないかということです。
    公式を見て代入すれば解ける問題は、本人の中では「わかる問題」=「解ける問題」。
    解説を聞けば理解できる典型題は、本人の中では「わかる問題」=「解ける問題」。
    だから、そういう問題は、本人の中ではOKになっているのではないか?
    学校でテスト解説を聞いてもよくわからなかった、あるいは解説してもらえなかった最後の応用問題だけは、「わからない問題」。
    だから、とても気にかかる。
    とても残念である。
    そういう気持ちなのではないかと思うのです。

    「わかる問題」と「解ける問題」は違います。
    公式を見て代入すれば解ける問題なのは事実でも、その公式を覚えていないし、代入して解く練習もそんなにしていない場合、テストではもたもたし、代入ミスをしがちです。
    それは「解ける問題」にはなっていないということです。

    「わかる」だけではダメで、「解ける」ようにしなければ。
    基本問題だけでも全部解ければ、定期テストは80点ですよ。
    今、目指すのは、まずはそこですよ。
    基本に目を向けてもらうため、そのように言います。


    ただ、私は、基本問題だけ解ける子が実際に80点を取れるとは思っていません。
    その状態では、80点は無理だとわかっています。
    定期テストなら、基本問題だけで配点は80点になる。
    それは事実です。
    しかし、基本問題しか解けない子は、基本問題を全て正答することはできません。
    学力的に余裕がない子は、ミスをします。
    現状が40点ならば、まずは50点、そして60点と順番に上を目指しましょう。
    60点を越えたら、より発展的な学習も行いましょう。


    学校の定期テスト前日に、数学の授業を振替設定することがあります。
    そんなとき、テスト範囲の演習はひと通り終わっていますので、前日に行うのは最終調整です。
    しかし、単なる確認と調整のために解いている基本問題を計算ミスでぽろぽろ失点する生徒もいます。
    テストに必ず出る、易しい問題で失点します。
    解き方はわかっているのに、計算ミスを繰り返し、正答できないのです。
    計算ミスをすればするほど目に見えて動揺していきます。
    そして、さらにミスを重ね、続く簡単な問題もやはり正答できなくなっていきます。
    目の前で見る見る精神的に崩れていく・・・。
    テスト当日だけではないんだ。
    前日で、既にこういう精神状態なのか・・・。


    『しくじり先生』というバラエティ番組があります。
    ゲスト出演する「先生」役が自身の失敗を語る番組です。
    以前、その番組にG・G・佐藤選手が先生役で出演しました。
    北京オリンピックでエラーを繰り返し、日本代表チームが銅メダルすら取れなかった原因の1つと言われている野球選手です。
    日本代表になるほどのプロ野球選手が、ゴロをトンネル。
    さらに、簡単なフライを落球すること2回。
    なぜそのようなことが起こったのかを本人自らが分析し語っていました。

    G・G・佐藤選手は、1つ目のトンネルの後、もうどんな球も取れる気がしない精神状態に陥ったそうです。
    だから、球が飛んでこないことをひたすら願った。
    オリンピックという大舞台。
    自分のエラーのせいでチームが負けてしまうことに怯えた。
    しかし、怯えるほどにそれは明確なイメージになった。
    あんなゴロもトンネルしてしまった自分は、フライなんか取れるわけがないと思ってしまった。
    そして、実際、もう取れなかった。
    プロ野球選手が・・・・・。

    本番に弱い人の精神状態が赤裸々に語られ、しかも、その精神状態のときに技術的にはどのように失敗するのかVTRを見ながら具体的な説明がありました。
    バラエティ番組のはずなのに、ホラーかと思うほど怖い内容でした。

    1つ目のフライは、緊張で手がガチガチに硬まっていた。
    しかも慌てているため、グローブを出すのが早かった。
    そのため、グローブの土手に当たって球を弾いてしまった。
    さらに、サングラスを帽子の上にかけたまま、目にかけるのをずっと忘れていた。
    球をよく目視できていないのに、そのことにすら気がつかなかった。

    2つ目のフライは、大事に行き過ぎて両手で取ろうとした。
    片手のほうが可動域が広く操作しやすいのに、両手で取ろうとして、結局、球をこぼした。
    普段とは違うことをそのときだけやってしまったのです。
    子どもの頃からフライなんかいくらでも取ってきたプロ野球選手が。


    生徒の数学の答案を見ても、テストのときだけ不可解な答案を書く子がいます。
    普段したことがない計算の工夫をして間違えたり。
    普段は、単なる移項すらいちいち丁寧に書いているのに、テストのときだけ左辺と右辺をひっくり返しながら部分的に移項もして、結果、符号ミスをしたり。
    テストでそういうことをしたいのなら普段から練習しておけば良いのに、なぜか普段は丁寧なやり方を変えない子がテストのときだけそんなことをします。
    あるいは、テスト中だけその解き方が正しいのだとなぜか思い込んで、間違ったやり方をしていたり。
    テストのときだけなぜか普段と違うことをしてしまうのです。
    後で冷静になれば何でそんなことをしていたのか本人も理解できないような考えにとりつかれてしまうようです。
    理解不足だった問題をやっぱり間違えているというような、ある意味で安定感のあるものとは印象の異なる、不安定な数学の答案を見ることがあります。


    「数学不安症」という言葉があります。
    1950年代に確認され、近年、アメリカのスタンフォード大学で、数学の問題を見ると脳の恐怖中枢の活動が高まる人が存在することが実証されました。
    イギリスでは全人口の4分の1が数学不安症であると推測されているそうです。
    理解できない数学の問題を見るとき、ヘビを見たときに感じるような恐怖や不安を感じる。
    不安ばかりでなく、実際に身体に痛みを覚える人もいます。
    数学の問題を見ると頭が痛くなったり、お腹が痛くなったりします。
    他の科目ではそのようなことはないのに、なぜ数学だけそのような不安症が出るのでしょうか?

    正解・不正解があまりにも明確で、到達度に関して数値目標が明示されやすいこと。
    子どもの頃から計算スピードや到達度に関して具体的に強い期待をされ、要求されること。
    そうしたことが他の科目とは異なる点ではないかと分析されています。

    確かに、私がこれまでに見てきた、テスト前日で異様に動揺してしまう子は、本人や保護者が漠然と期待している実力と、本当の実力との乖離の激しい子たちでした。
    子どもの頃から強く期待され要求され、特に計算ミス・ケアレスミスについては強めに指摘されてきたのかもしれません。
    お子さんの小学校の算数を見るお母さんは、計算ミス・ケアレスミスに厳しくなりがちです。
    解けない文章題のことを問題視して叱るお母様は少ないと思うのですが、計算ミス・ケアレスミスは問題視する傾向があると思います。
    ここは得点できるのに、と思ってしまう。
    ついつい、そこを強めに指摘してしまう・・・。

    しかし、毎度毎度計算ミスのことを強めに指摘されてきた小学生が計算ミスをしなくなるかというと、そうでもないのです。
    字が雑で、勉強に対する心構えも甘くて、それでミスばかりしているような小学生ならば、中学・高校と本人が成長するにつれて意識が高まり、計算ミスをしなくなることが期待できます。
    しかし、小学生の頃から、字は丁寧だし、ノートの取り方もしっかりしているのに、なぜか計算ミス・ケアレスミスが多いという子の場合、中学・高校と進むにつれて、指摘されればされるほど、むしろミスは増えていくように感じます。
    学年が上がるにつれて、本人が余裕をもって解くことができる問題は減っていきます。
    期待に応えてテストで高い得点を取ることは、年々難しくなっていきます。
    親からの期待。
    本人のプライド。
    そうしたものが混沌としている中で、
    「失敗してはいけない」
    となったとき、むしろミスをする土壌が出来上がってしまうのでしょう。

    ここで複雑なのは、計算ミスの多い子が、それを直視し、それを自分の課題としてとらえているかというと、むしろそれは本人の中で表面化していないことが多いのです。
    自分がミスをしやすい人間であると認めることは、非常に自己評価を下げる・・・。
    そういう気持ちがあるのかもしれません。
    前述のように、計算ミスをしやすく、基本問題で得点することも心もとない子が、応用問題にこだわるのを見ると、そのように感じます。
    子どもの頃から繰り返し注意されてきたケアレスミスのことを、本人は表面的には自覚していないように見えるのです。
    自分は他人よりはミスが少ないほうだとすら思っているように感じられます。
    そして、応用問題が解けなかったことばかり、強く意識しています。

    ただ、無意識のレベルでは、自分がミスをしやすいことはわかっていると思うのです。
    その影のような不安が、さらにミスを誘い込んでいるのかもしれません。
    テストのときに、気持ちが不安定になり、さらにミスをしやすくなるのです。
    ケアレスミスは、本人が不注意に問題を解いているから起きているとは限りません。
    真剣に解いていても、計算過程で1つ指数を書き洩らしたら、もう正解には至りません。
    心が不安定であるため、正確さ・完璧さを保つことができないのです。
    問題が、本人にとって心の負担になっているほど難しい。
    実は根本のところがあまり理解できていない。
    しかし、それを認められない。
    周囲も認めてくれない・・・。

    計算ミスは、計算ミスだけが課題なのではありません。
    本人の現在の実力と、頭の中で本人が思っている理想の実力との乖離。
    そのことからくる、勉強のやり方のまずさ。
    尽きない不安。
    そこに課題があると感じます。

    多様なミスを多発している人は、ケアレスミスを除外して、「本当は何点取れた」=「自分は何点の実力」と評価する傾向があります。
    保護者の方がそのような得点の読み方をしていることもあると思います。
    だから、実際の得点と自己評価とがいつまでも一致しません。
    本来やるべき、基本問題を何も見ないで自力で解く練習を、ろくにしないでテストを受けています。
    応用問題ばかり気にしています。
    しかし、本当は基本問題を解けないことに、常に影のような不安がさしています。
    そのような状態でテストを受けて、良い結果が出るはずがありません。

    特に高校生で数学の得点が低い場合、理由は明らかに勉強不足なのです。
    学校の問題集をノートに解くことがテスト勉強の全てになっていることは、繰り返しここで書いてきました。
    基本問題すら公式や解答解説を見ながら解いているので、練習になっていません。
    そして、問題集の発展問題や章末の演習問題を何とかノートに解くことに非常に多くの時間を使っています。

    「学校の問題集のB問題の難しいもの、発展問題、章末の演習問題は、3分考えてわからなかったら、赤ペンで解答解説をノートに丸写しして提出しなさい。意味を考える必要はない。式は解説を見ても、計算だけは自分でやろうと思う必要もない。丸写しをしなさい。その代わり、例題とA問題を解答解説を見ないでもう一度解きなさい」
    高校生の場合は、たったそれだけの指示で、テストの得点が目に見えて改善していくことがあります。
    60点までなら、それで上がります。
    60点取れる力がついてから、B問題、発展問題、章末演習問題に目を向けても遅くはありません。

    それでは間にあわなくなるのでは・・・?

    ・・・何に?
    基本も身に着かない今の勉強をしていて、では何に間に合うのでしょう?

    しかし、数学不安症的な子は、このような指示に従うことができない子が多いです。
    やはり、不安なのでしょう。
    それでは、間に合わなくなる・・・。
    あるいは、そんなことをしたら学校の先生に叱られるか目をつけられると思っている子もいます。
    定期テストで30点台の子が応用問題を赤ペンで丸写ししたノートを提出することを問題視する高校の数学の先生なんていません。
    その代わりに例題やA問題をもう1度解いているならなおさらです。
    しかし、そこでも障壁となるのは、実態と乖離した高い理想自己なのかもしれません。
    そうして、解答解説を読んでも意味のわからない発展問題・章末演習問題に時間をかけ、公式を上手く使えない不安定な状態でテストを受け、指数の書き洩らしや符号ミスを多発し、基本問題が8割を占めるテストで惨敗します。
    そして、テストの後は、ケアレスミスした問題は得点できた問題として加算し、捕らぬ狸の皮算用を繰り返します。

    そんなことをしているから、内心の不安が消えない。

    誰にも彼にも基本・基本・基本という教え方には私は懐疑的です。
    小学生や中学生には、その子の現在の学力で理解できる限界まで応用問題を解かせます。
    「同じ問題集を全問3回解き直し」
    といった、写経のような学習方法は、生徒よりも先に私がうんざりしてしまいます。
    解ける問題を3回解いても意味がありません。
    特に公立中学の教科書準拠ワークの基本問題は簡単過ぎて、基本問題を3回解いても定期テストには対応できません。
    そのレベルで良いと思っていると、定期テストの問題は解けません。

    しかし、高校生は違います。
    高校生は、学校の問題集の基本問題を何も見ないで自力で解く学力に至っていない子が多いのです。
    高校数学の基本問題は、彼らにとって基本問題ではありません。
    しかも、そのことに気づいていない。
    あるいは、認められない。
    それでは、不安が消えないでしょう。

    まず自分の不安の正体を見つめましょう。


      


  • Posted by セギ at 13:35Comments(0)算数・数学

    2019年07月01日

    高校数Ⅱ「式と証明」。二項定理の利用。



    前回と同じく「二項定理」の学習です。
    二項定理は、例えば、(a+b)5などを展開していく際に用いる定理ですが、全て展開しなくても、必要な項の係数だけを求めることもできます。
    例えば、こんな問題です。

    例題 (x+2)6 を展開したときの、x3の係数を求めよ。

    全て展開していくのだとしたら、二項定理を用いて、以下のようになります。
    (x+2)6
    =6C0x6+6C1x5・2+6C2x4・22+6C3x3・23+6C4x2・24+6C5x・25+6C6・26
    =X6+12x5+30x4+160x3+240x2+192x+64

    前回も解説した通り、xの6乗の項は、6個の(x+2)から全てxを選んでかけている項です。
    それは1通りしかありませんので、係数は1です。
    xの5乗の項は、6個の(x+2)から5個のxと1個の2を選んでかけている項です。
    それは、xxxxx2を並べる順列と同じ個数だけ同類項があります。
    同じものを含む順列の考え方を用いて、6C1=6。
    係数としては、2も係数となりますので、6×2=12となります。
    xの4乗の項は、6個の(x+2)から4個のxと2個の2を選んでかけている項。
    それは、xxxx2・2を並べる順列と同じ個数だけあります。
    同じものを含む順列の考え方を用いて、6C2=15。
    2・2も係数となりますので、15×4=60。
    この辺で法則が見えてきたと思います。

    例えば、6C2の「6」は、(x+2)6の「6」です。
    6C2の「2」は、(x+2)の2を「2個」選んでいることを示します。
    それはxを6-2=4(個)選んでいるということでもあります。
    では、問題のx3の係数はどう求めることができるでしょうか。
    x3ということは、6個の(x+2)から、xを3個選んだということ。
    それは、2のほうを6-3=3(個)選んだということです。
    すなわちx・x・x・2・2・2の並べ方だけ、同類項が存在します。
    6C3=(6・5・4)÷(3・2・1)=20。
    2の3乗も係数となりますから、20×23=160。
    答えは、160となります。

    二項定理は、2項のうちの前の項、(x+2)で言えばxの項を初めは6回かける項、次はxを5回2を1回かける項というように、前の項を1個ずつ減らし、後の項を1個ずつ増やしていく形をとっています。
    最後は、全て後の項、(x+2)で言えば2を6回かけて終わります。
    二項定理の一般項は、nやrやn-rといった文字を用いるためか、それで混乱する高校生がいるのですが、全体の流れを把握することで一般項の意味を理解しましょう。

    二項定理を利用する際、前の項の指数を1つずつ減らすと頭ではわかっているのに、途中から前の項の指数を逆に1ずつ増やしてしまうミスをする人は案外多いです。
    また、単純に指数を「書きもらす」「書き間違える」「計算を間違える」を繰り返す人も多いです。
    指数を1つ書きもらしたら、それ以降の計算は全て無駄になります。
    指数の書きもらしは、高校生に極めて多いミスの1つです。


    もう少し解いてみましょう。

    例題 (2x-3y)7 を展開したときのx4y3の係数を求めよ。

    基本の解き方は同じですが、xの項もyの項もそれぞれ1以外の係数がついているのに注意する必要があります。
    それらも全て項全体の係数に含まれていきます。
    x4y3の項ですから、7個の( )から、xを4回yを3回選んでかけた項ということでしょう。
    すなわち、その項の出てくる回数は、7C3。
    さらに、単純にx4y3ではなく、(2x)4・(-3y)3ということなのですから、xの係数である2の4乗、yの係数である(-3)の3乗も係数となります。
    7C3・24・(-3)3
    =(7・6・5)÷(3・2・1)×16×(-27)
    =-15120

    これが答えです。


    さて、ここからは応用です。
    考えてみましょう。

    例題(3x2+x)8 を展開したときの x10の係数を求めよ。

    この問題が今までのもとは違うのは、( )内のどちらの項にもxが含まれていることです。
    どんなときにx10になるのでしょうか?
    3x2の項を5回かけた場合?
    でも、そのとき、もう一方のxの項も3回かけますから、xの指数は合計で13になり、問題の指示とはことなる項になってしまいます。

    こうした問題では、まず、どちらの項を何回ずつかけたらx10の項になるのかを求める必要があります。

    3x2をp回、xをq回かけた項がxの10乗の項であるとします。
    全体で8乗、すなわち、8個の同じ( )から、どちらかの項を1つずつ選んでかけていくと個々の項が出てくるのですから、
    p+q=8・・・① となります。
    また、x10という結果になることを踏まえると、指数法則から、
    2p+q=10・・・② となります。
    (3x2)p・xqという項がx10の項となることから、その指数部分だけを見て②の式を立てています。
    指数法則の理解が曖昧だと、ここは少し難しいところかもしれません。
    指数法則の基本を振り返ってみましょう。
    22×23は、2の何乗でしょうか?
    22×23=(2・2)×(2・2・2)=25 です。
    すなわち、積の場合は、指数同士をたすことになります。
    また、(22)3は、2の何乗でしょうか?
    (22)3=(2・2)×(2・2)×(2・2)=26 です。
    すなわち、累乗の場合は、指数の積となります。
    したがって、上の式のは、
    (3x2)p・xq=3p・x2p・xq ですので、xの次数は、2p+qとなります。
    ①・②を連立して解くと、
    p=2、q=6
    よって、3x2を2回、xを6回かけた項がxの10乗の項であるとわかります。
    あとは、二項定理にあてはめて、係数は、
    8C6・32・16
    =(8・7)÷(2・1)×9
    =4・7・9
    =252
    これが答えです。

    さらにこのような問題はどうでしょうか。

    例題 (x2+1/x)10 を展開したときのx11の係数を求めよ。

    後の項は分母にxがある分数です。
    前の項との積は、約分されてxの次数が減ってしまいます。
    x2をp回、1/xをq回かけるとすると、
    p+q=10 ・・・① であるのは上の問題と変わりませんが、
    xの指数はたし算ではなくなります。
    約分されて減りますから、
    2p-q=11 ・・・② となります。
    (x2)p・(1/x)q を計算すると、分子はx2p、分母はxq ですから、分母にあるだけのxを約分することになります。
    約分の結果、xの次数は 2p-q となります。
    それが10だというのが、②の式です。
    ①、②を連立して、
    3p=21、すなわちp=7、q=3 です。
    x2を7回、1/xを3回かけた項がxの11乗となることがわかりました。
    二項定理より、
    10C3=(10・9・8)÷(3・2・1)=10・3・4=120
    係数は120です。

    二項定理だけでなく、指数法則の理解が必要なので、こうした問題は易しい教科書や問題集からは除外されていることがあります。
    使っている指数法則自体は中学校で学んでいる内容なのですが、pだのqだのと抽象化されると「全くわからない」と言う高校生は多いです。
    しかし、この先数Ⅱ「指数関数」を学習した後に受験勉強で解き直すと、少しは理解しやすくなるかもしれません。
    いずれにせよ、大学入試はこのレベルです。
    センター試験は基本問題ばかりとは言いますが、計算ドリルみたいな問題は出題されませんので、最低でもこのレベルとなります。

      


  • Posted by セギ at 11:53Comments(0)算数・数学

    2019年06月26日

    数学Ⅱ「式と証明」多項定理。


    今回は、「多項定理」の学習です。
    例えば、こんな問題です。

    問題 (a+b+c)7の展開式におけるa3b2c2の係数を求めよ。

    まずは、(a+b+c)7を逐一展開することをイメージしましょう。
    考え方の基本は二項定理のときと同じです。
    (a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)
    と書いてみるとわかりやすいと思いますが、この7つの( )から文字を1つずつ選んでかけたものが、展開した際の1つ1つの項となります。
    aaaaaaaすなわちa7は1度しか出てきませんので、係数は1だとすぐわかりますが、aaabbccすなわちa3b2c2は、何回も同じものが出てくるでしょう。
    どの( )からaを選び、どの( )からbを選び、どの( )からcを選ぶのか。
    それらを選んで並べた順番だけ、同じ項が出てきます。
    aaabbccだったり、aababccだったりと、文字の順番はそれぞれ違うでしょうが、まとめるとa3b2c2となることに変わりはない同類項です。
    そしてそれの出てきた回数が、a3b2c2の係数となるでしょう。

    それは、aaabbccを並べる順列の数と同じです。

    すなわち、ここでも用いるのは「同じものを含む順列」です。
    「同じものを含む順列」の考え方は2通りあります。
    前回は並んだ箱をイメージして、特定の文字を入れる箱をそこから選ぶという考え方を用いました。
    今回は別の考え方を用いてみましょう。
    aaabbccで言えば、まずは7つの文字の順列を単純に考えます。
    すなわち、7P7=7!ですね。
    しかし、これは、同じ文字を別のものとして数えています。
    aについて考えれば、aの後ろに番号をつけて区別して、3つのa1,a2,a3をそれぞれ別の文字として数えていることになります。
    しかし、表面的には、それらは同じ文字です。
    a1,a2,b,a3,b,c,c も、a2,a3,b,a1,b,c,c も、実質は同じ並べ方で、区別する必要がありません。
    7!では、同じ並べ方を何度もかぶって計算していることになります。
    どれだけかぶって計算しているでしょうか?
    上の例で言えば、
    〇〇b〇bcc
    の〇の位置にaがあります。
    その3つの〇にa1,a2,a3を並べる順列だけ、同じ並べ方を何度もかぶって計算しているでしょう。
    すなわち、aに関しては、7!を3!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
    次に、bについてはどうでしょう。
    これも同じで、2つのbの位置にどちらのbを入れても実質は同じなので、bの並べ方だけかぶって計算していますから、2!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
    最後のcについても同様に、2!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
    すなわち、7!/(3!2!2!) をすることで、正しい順列の数が導かれます。
    7!/(3!2!2!)
    =(7・6・5・4・3・2・1)/(3・2・1・2・1・2・1)
    =7・6・5
    =210

    これがa3b2c2の係数です。

    ところで、前回のようなCを使った求め方はできないでしょうか。
    上の問題で言えば、まず7つの並んだ箱をイメージします。
    その7つから、aを入れる3つの箱を選びます。
    すなわち、7C3です。
    次に、残った4つ箱からbを入れる箱を選びます。
    これは、4C2です。
    上の2つは積の関係が成り立ちますから、7C3・4C2で全体の数を求めることができます。
    ここで、残った2つの箱には自動的にcが入ります。
    だから計算しなくても良いのですが、2つの箱から2つを選ぶ、すなわち2C2をやるとしても、同じ結果になります。
    2C2=1ですから。
    それをあえて書くと、
    7C3・4C2・2C2
    =(7・6・5/3・2・1)×(4・3/2・1)×(2・1/2・1)
    分数で表記するとよりわかりやすいと思いますが、これは上の解き方の、
    (7・6・5・4・3・2・1)/(3・2・1・2・1・2・1)
    と全く同じ式です。
    結局、この2つは同じ式になるのです。
    だとしたら、上の解き方のほうが、簡単に立式できそうです。
    7!/3!2!2!
    の分子の「7」はどこから来た数字かというと、(a+b+c)7の「7」です。
    分母の3!2!2!の「3」「2」「2」は何の数字かというと、a3b2c2という項のそれぞれの文字の指数です。
    与えられた式の指数と求める項の指数を見ただけでささっと立式できます。
    そのようにして公式化されたもの。
    それが多項定理です。


    別の問題も解いてみましょう。

    問題 (a-b+2c)7 の展開式におけるa2b3c2の係数を求めよ。

    まず、7!/(2!3!2!) は必要ですが、これだけではありません。
    それぞれの項に1以外の係数がありますので、それも考えます。
    bの係数は-1ですので、-bを3回かけたのですから、(-1)3も係数としてかけなければなりません。
    cの係数は2ですので、22もかけなければなりません。
    したがって、
    7!/(2!3!2!)・(-1)3・2
    =-210・4
    =-840
    これが答えとなります。


    二項定理も多項定理も、一度出てくるとまたしばらく出てこないせいか忘れやすく、忘れてしまうと公式の意味がわからないので使えなくなり、また公式の意味を一から説明しなければならなくなることが多い定理です。
    公式というのは不思議なもので、「この公式は以前に自分は理解した」「証明も理解した」という記憶が残っていれば、今、その証明を覚えていなくても、自信をもって使用できます。
    しかし、公式自体を完全に忘れてしまい、学習した記憶すらないようだと、急に「この公式を使って」と言われても、気持ちが硬直し、手が止まってしまって使えない人が多いです。
    その都度、なぜその公式で解けるのか、基礎の基礎に戻らなければなりません。
    多項定理の場合、説明しようとすると順列や組合せの基礎にまで戻らないといけないですし、実は順列と組合せもよく理解できていなかったことが掘り起こされてしまったりします。
    そうした復習は一度で済めば「良い機会だった」「良い復習ができた」という感想を教える者も教わる者も抱きますが、多くの場合、一度では済まない覚悟が互いに必要です。
    そのときはわかったような気がしても、また忘れてしまう人が多いのです。
    苦手なことを得意にするというのは、生易しいことではありません。
    どうせまた忘れてしまうのだから、諦めて丸暗記して使えばいいのに・・・というわけにはいきませんし。

    記憶が残るようになるまでは何度でも説明。
    そうする覚悟が教える側に必要となります。

    とはいえ、教わる側にも遠慮が生じるようです。
    個別指導だから、わからないことは何度でも質問していいはずだけれど、センセイがちょっと変な顔をしているなあ・・・。
    以前に説明したのに・・・という顔だなあ。
    きっと説明されたんだろうなあ。
    覚えてないけど。
    ということはあるようです。

    そんなときは、教科書や参考書、こうしたネットの記録や動画を利用するのをお薦めします。
    応用問題の解き方などは調べてもわからない場合が大半と思いますが、基本の公式の意味と証明は、すぐに調べることができます。
    何度でも復習できます。


    少し話が変わりますが、先日、高校生から「英語のリスニング力を強化したい」という相談があり、それはリスニング教材で実際に練習するのも勿論だけれど、NHKのラジオ講座がいいよと話しました。
    そのとき、その子は、問い返しました。
    「え?NHKはラジオもそういうのをやっているんですか?英語もやっているんですか?」
    「・・・うん?どういうこと?」
    「高校の物理の先生がNHKの物理講座がいいというので、録画して見てるんで。あれはかなり助かります」
    「・・・ああ。それは、NHK高校講座の番組ですね。テレビやラジオで番組を見たり聞いたりして、レポートを書いたり、テストを受けたり、スクーリングに参加したりすると、高校卒業の資格を得ることができるんですよ」
    「・・・え?何ですか、それ」
    「・・・ていうか、私の勧めるラジオ講座は、それじゃないんだけど」
    「・・・え?」
    といった、かなり混線した会話を交わしました。

    NHK語学講座のことも、それとは別系統のNHK高校講座のことも、知らない子は全く知らない。
    勿体ないことだと思います。
    NHK高校講座数学Ⅰはテレビで、数学Ⅱはラジオで通年放送中です。
    非常に易しいので、基本中の基本を理解したい人にお薦めです。
    急に授業が空いて、午後7時台にぽつんと1人教室にいるときなど、ラジオ講座数学Ⅱを聴くことがあります。
    テキストがなくても聴き取れるほど易しいです。
    テキストがあればさらに易しいでしょう。
    お薦めです。

      


  • Posted by セギ at 14:49Comments(0)算数・数学

    2019年06月17日

    1学期中間テストの結果が出ました。2019年。


    1学期中間テストの結果が出ました。

    数学 70点台 1人 60点台 1人 50点台 2人
    英語 80点台 1人 50点台 1人 40点台 2人

    受験が終わり、新学期になり、塾生の顔ぶれもかなり変わりました。
    さあ、まずはここから。
    前回、数学が40点台、英語が30点台だった人は、順調に上昇しました。


    数学の成績が思うように伸びない高校生の保護者の方からこんなふうな相談をされることがあります。
    「数学はこつこつ勉強しているようなんですが」

    数学をこつこつ・・・。
    それは、数学を勉強している時間は長いのだろうけれど、質や量の面はどうなのかなあ・・・。
    つい、そう考えてしまいます。

    大半の高校は、問題集を生徒に配っています。
    定期テスト範囲としてその問題集からページ指定があり、テスト当日の朝にそのページの問題を解いたノートを提出することになっている高校が多いです。
    数Ⅰと数A、数Ⅱと数Bのように、高校数学は2科目あります。
    1回のテスト範囲でそれぞれ15ページから20ページのテスト範囲が指定されます。

    数学が苦手な子は、高校数学の問題集を1ページ解くのに、2時間から3時間かかります。
    数学2科目で合計30ページの問題集を1回解くのに最低で60時間かかる計算になります。
    確かに数学をこつこつ勉強しているでしょう。
    けれど、それでもテスト範囲の問題集を1回解いただけなのです。

    その1回の中身も、質的にかなり怪しいのが実状です。
    公式を覚えていないので、教科書や問題集の解答解説と首っぴきで解いているのではないでしょうか。
    公式を代入するだけの基本問題ですら、教科書でその公式を見ながら代入しています。
    定期テスト必出の典型題も、解答解説を見ながら解いているだけです。

    そのように解答解説を見ながら解いても、時間はかかります。
    式を書き写した後は、自分で計算しようとする子が大半だからです。
    答えを書き写しているという意識が本人にはなく、わからないところだけ参考にしているつもりですから、そうなります。
    そうやって計算し終わって解答を見ると、間違っている・・・。
    どこかで計算ミスをしているのです。
    どこで計算ミスをしたのか?
    その発見と直しに、また時間がかかります。
    問題集を1回解き終わる頃には定期テスト前日になっています。

    その状態で定期テストを受けると結果はどうなるか?
    公式だけは、直前に暗記して、テスト用紙の上のほうに急いでメモしたとしても。
    どの問題でその公式を使うのか、よくわからない。
    その公式の代入の練習をしたのは随分前なので、どう代入するのかよくわからない。
    他の科目と比べて随分勉強時間を使ったのに、どうしてこんなに解けないんだろう・・・。
    そういうことになりがちです。

    少しの解決策としては。
    最初に公式を覚え、重要事項を復習し、その後、教科書や解答解説を見ないで問題を解くことです。
    せっかくこつこつ勉強している時間は、有効に使いましょう。
    「あとで覚えよう」
    と思っていたら、高校の公式は覚えきれません。
    忘れるのも早いです。

    抜本的な解決策としては。
    学校の問題集で少しでも解答解説を見て解いた問題は、必ずチェックを入れ、時間をおいて解き直しましょう。
    別の問題集でも復習するとなお良いでしょう。

    しかし、それには、それだけの勉強をする時間の確保が必要です。
    問題集1ページに2時間も3時間もかかっているのを何とかしないといけません。

    何で1ページに2時間も3時間もかかるのか?
    解き方を考えているから時間がかかっているわけではありません。
    それならむしろ良いのですが、大抵は、1分と考えずに解答解説を見ているはずです。
    それでも、2時間から3時間かかるのは、計算が遅いからです。
    遅い上に計算ミスもするので、その直しにさらに時間がかかり、結果、1ページに2~3時間かかってしまうのです。

    数学は頭脳のスポーツと言われるくらいですから、若いほうが有利です。
    理系に進む子は、高校生の段階で、私よりも計算は速くなります。
    文系でも、最低限、私と同程度のスピードでなければ、センター試験を時間内に最後まで解くことができません。

    しかし、現実には、何にそれほど時間がかかっているのだろうと疑問なほどに計算の遅い子が多いのです。
    しかも、ノートを覗き込んでも、何をしているのかよくわからないのです。
    計算過程が数学が得意な子とは違うため、何をしているのか見てもわからない・・・。
    なぜ、( )をそこで開くの?
    なぜ、そことそこを約分するの?
    なぜ、そんな順番で計算するの?
    なぜ、そこで同類項の整理をしないの?

    それは、やり方が間違っていることもありますし、間違ってはいないけれど遠回りになっていることもあります。
    そういうことの積み重なりが計算ミスをしやすい原因の1つであり、解くのにも直すのにも時間がかかる原因となっています。
    数学が頭脳のスポーツであるならば、計算には正しいフォームが必要です。
    合理的な正しいフォームで計算すれば、案外ゆっくり解いていても、答えは速く出ます。

    しかし、計算フォームというのは癖になっていて、きわめて直しにくいことの1つです。
    本人が強く自覚した上でも、矯正に時間がかかります。
    最初から正しいフォームを身につけていれば、こんなことにならないのに、と思います。

    また、そもそもかけ算・わり算の暗算が上手くできない人は、速く計算できません。
    そんなに凄い暗算をしろといっているわけではありません。
    ×1桁、÷1桁を暗算する力を持っていてほしいのです。
    もっと言えば、数字を頭の中で因数分解する力が欲しいのです。
    例えば、75=25×3 であることが筆算しなくてもパっとみてわかる力。
    48=16×3 であることを見てとれる力。
    あるいは、どんな数が7で割りきれ、どんな数が9で割りきれるかを見る力。

    これができないと、小学校5年以降の分数の通分・約分にもたつきます。
    小6以降、分数のかけ算・わり算にもたつきます。
    中1以降、小数の計算がほぼ姿を消し、分数計算ばかりになるため、数学そのものに苦手意識を持ちます。
    中3以降、因数分解が上手くできません。
    中3以降、平方根の整理にもたつきます。
    中3以降、2次方程式の計算にもたつきます。
    中3以降、三平方の定理の活用にもたつきます。
    高1以降、2次関数の整理にもたつきます。
    高1以降、三角比の計算にもたつきます。
    高1以降、確率の計算にもたつきます。
    高1以降、データの計算にもたつきます。
    高1以降、不定方程式の計算にもたつきます。
    高2以降、・・・もうやめましょう。

    整数を見たときに、その整数が何かの積の形に見えること。
    それができない数は素数であることを認識していること。

    数学が得意な人にとって当たり前のそのことに、数学が苦手な人は気づいていないことがあります。

    小学校5年になって約分・通分を学習してから急に「かけ算・わり算は暗算しろ」と命令されるわけではありません。
    そうとは言われない形で練習を繰り返しているのが、わり算の筆算です。
    わり算の筆算をスムーズに行う子は、×1桁、÷1桁の暗算がスムーズにできる子です。
    さらに言えば、わり算の筆算はそれにひき算も加わりますから、総合格闘技のようなものです。

    わり算の筆算自体は、中学以降は使う機会が減っていきます。
    全て分数で処理していきますから、筆算で割るのではなく、約分していきます。
    しかし、その約分は、わり算の筆算で鍛えてきたからこそ楽にできるようになるものです。
    約分は、わり算を暗算で行うものだからです。
    約分しなければならない段階になって急に「暗算しなさい」と言われても、練習していない子には難しいのです。
    一方、わり算の筆算が得意だった子は、最初から大きな数でバッサバサと約分できます。
    ちまちまと2や3で約分することを繰り返して途中で計算ミスをしたり、答案が汚くなって自分で見誤るといった事態を避けることができます。

    将来の約分のためにも、わり算の筆算は有効。
    ところが、全く暗算しないでわり算の筆算をする小学生もいます。
    商にまず「5」を立てて、実際に筆算し、違ったら消してやり直すのです。
    何でも「5」から始めて、1ずつ数字を上げていったり、下げていったりするのです。

    ・・・誰が教えたのだろう、こんな頭を使わない方法を。

    人間はコンピュータじゃないんですから、無駄なことを機械的に全部試すようなことは、させたらダメです。
    コンピュータはそういうことを猛スピードでできるので計算の結果は速く出ますが、人間がそれをやったら単なるわり算の筆算1問に5分もかかることがあります。
    人間を性能の悪い電卓にしてはいけない。
    わり算の筆算は、わり算をするためだけに練習しているのではありません。
    その先の学習の準備も兼ねています。
    全ての学習は、上へ上へと積み上がっていくのです。

    ただ、同じようにそれを教わっても、商に何でも「5」を立てることの無駄に早い時期で気づく子もいるでしょう。
    もっと予測を立てて、一度で正しい商を立てたら良くないか?
    わる数と予測した商との積を頭の中で暗算して、その商が正しいことを確認することは可能ではないか?
    繰り上がってくる数があるのが少しややこしいけれど、やろうと思えばできる。
    そう思う子は、商をスパスパ立て、わり算の計算問題をこなしながら、暗算力も鍛えていくのです。

    何でもまず「5」を立てて順番にやれば頭を使わなくていい。
    そんなところに安住していたら、将来、数学は相当苦しいものになると思います。

    ・・・結局、そういうことの繰り返しだったのではないか?
    例えば、中学3年になったとき、平方根の整理は、頭の中で数字を分解せず、何でも素因数分解の筆算をしてきたのではないか。
    平方根のかけ算は、平方根どうしをまずかけ算して、たとえ3桁の数になったとしても、それから素因数分解してきたのではないか。

    もっとも不器用で回り道なやり方を、それが一番頭を使わない方法だから、常に選択してきた。
    その結果が、今、高校数学の、遠回りで計算ミスだらけの答案になっているのではないか?
    工夫したやり方、頭を使うやり方を避けて、地道でも必ず答えの出るやり方を選んできたつもりが、地道過ぎて時間ばかりかかり、途中で計算ミスするため正答の出ないやり方にいつの間にかなっていた・・・。

    高校生の数学の答案に、そのような痕跡を見ることがあります。
    計算のフォームを変えましょう。
    遠回りで無駄な計算を長年やってきた分だけ、直すのに時間はかかると思います。
    それでも、改革が必要なことはあります。

      


  • Posted by セギ at 14:55Comments(0)算数・数学

    2019年06月15日

    高校数Ⅱ「式と証明」、4次式の展開と二項定理。




    数Ⅱの学習に入り、まずは3次式の展開、そして3次式の因数分解と学習しました。
    今回は、4次以上の式の展開に進みます。

    例題 (a+b)4 を展開しなさい。

    これは「二項定理」を用いて解いていくのですが、「二項定理」を理解し活用するためには、数Aで学習した「同じものを含む順列」という学習内容が身についていることが必要です。
    そして、「同じものを含む順列」を理解するためには、「組合せ」の基本を理解していることが前提となります。

    前回の3次式の因数分解でもそうでしたが、数Ⅰ・数Aの学習内容が身についていないと、新しい定理の学習が上手く進みません。
    授業では、「二項定理」を説明する前に、「同じものを含む順列」や「組合せ」について確認することが多いです。

    以下は、順列と組合せの復習です。

    例題 a、b、c、dから3つを選んで順番に並べる方法は何通りあるか。

    これが「順列」です。
    樹形図をイメージして考えていきます。
    1番目にくる候補は4通り。
    2番目は、そのそれぞれから樹形図の枝が3通りに広がります。
    3番目は、さらにそこから2通りに広がっていきます。
    したがって、式は、4×3×2=24
    高校数学では、
    4P3=4・3・2=24
    と表します。
    答は24通りです。

    したがって、順列の一般式は、
    nPr=n(n-1)(n-2)・・・・(n-r+1)
    となります。
    最後の(n-r+1)の意味がよくわからないという生徒がときどきいますが、要するに、nから順番に1ずつ小さくなる数を全部でr個かけていくということです。
    上の4P3ならば、4から始めて、4・3・2と全部で3つの数をかけました。

    それに対して「組合せ」は選ぶ順番は関係ない選び方です。

    例題 a、b、c、dから3つを選ぶ方法は何通りあるか。

    3つ選ぶだけなので、順番は関係ないですね。
    abcという選び方も、acbという選び方も、同じ選び方です。
    順番が関係ないことが「順列」との違いです。
    ですから、上の4P3の計算方法では、同じ選び方を何回もダブって数えてしまうことになります。
    具体的には、どれくらいダブって数えてしまうでしょう。
    abcを例にとれば、そのabc3つの並べ方だけダブって数えているでしょう。
    abc、acb、bac、bca、cab、cbaの6通りです。
    この計算方法は、3つから3つを選んで並べる順列です。
    すなわち3P3=3・2・1=6 です。
    よって、組合せは、上の4P3を3P3で割れば求められます。
    (4・3・2)÷(3・2・1)=4
    答えは4通りです。
    一般式としては、
    nCr=nPr÷rPrです。

    「組合せ」の基本の復習が終わったところで、次は「同じものが含まれる順列」の復習に進みます。

    例題 a、a、a、b、bの5文字の並べ方は何通りあるか。

    これは、普通の順列5P5ではダメです。
    普通の順列の計算では、3個あるaや2個あるbをそれぞれ区別して並べてしまうことになりますが、見た目が同じものは、同じ並べ方です。
    このaとあのaは実は違うと言われても、見た目が同じですから、同じ並べ方として数えるしかありません。
    5P5では、同じ並べ方を何回もダブって数えてしまうことになります。

    では、どうするか?
    同じものが含まれる順列は、これらの文字を入れる箱をまずイメージします。
    この問題では、5個の箱が横に並んでいると考えます。
    その箱のどれにa3個を入れるかを考えます。
    残る2個の箱には自動的にbが入ります。
    3個の箱の選び方は、
    5C3=(5・4・3)÷(3・2・1)=10
    答えは10通りです。
    ちなみに、aを入れる箱を選んでから、残る2個の箱からbを入れる箱2個をあえて選んでも同じ結果となります。
    5C3・2C2=(5・4・3)÷(3・2・1)×(2・1)÷(2・1)=10
    同じです。

    さて、以上で復習が終わりました。
    いよいよ、ここから一番上の問題を解いていきます。

    例題 (a+b)4 を展開しなさい。

    ( )を全て書いていけば、この式は、(a+b)(a+b)(a+b)(a+b)
    となります。
    これを、まずは公式を使わず、逐一展開してみましょう。
    4つの(  )から、1つずつ文字を選んで順番にかけていくことで展開できます。
    (a+b)4
    =aaaa+aaab+aaba+aabb+abaa+abab+abba+abbb+baaa+baab+baba+babb+bbaa+bbab+bbba+bbbb
    同類項をまとめると、
    =a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4
    となります。
    ( )の中の文字aとbのどちらか1つを選んで4つ並べていくことで1つの項が形成されるのをご理解いただけるでしょうか。
    地道に展開すると、このように解いていくことになります。

    これを、このように逐一展開するのではなく、計算で解いていく方法はないでしょうか。
    同類項ごとに、同じ同類項が何回出てくるのか考えてみます。
    aaaaすなわちa4という項は1つしかないですね。

    aaab、すなわちa3bは、逐一展開する中で何回か同じものが出てくることが予想されます。
    それは、何回出てくるのでしょうか?
    その回数がa3bの係数となるでしょう。
    その計算方法はないでしょうか?

    それは、aaabの4文字の並べ方と同じ数ではないでしょうか。
    何番目の( )からbを選んだかの数と同じという言い方もできます。
    「同じものを含む順列」の考え方をここで利用します。
    aaabの4文字を並べる順列。
    4つの箱をイメージします。
    bを入れる箱を選びましょう。
    4C1=4です。
    ちなみに、aを入れる箱3つを選んでも、同じ答えになります。
    4C3=(4・3・2)÷(3・2・1)=4です。

    次に、aabb、すなわちa2b2の係数はどうなるでしょう。
    aabbの4文字を並べる順列の数と同じでしょう。
    すなわち、4C2=(4・3)÷(2・1)=6です。

    abbb、すなわちab3の係数はどうでしょう。
    abbbの4文字を並べる順列の数と同じでしょう。
    すなわち、4C3=4C1=4です。

    最後にbbbb、すなわちb4は、1回しか出てこないとすぐに判断できますが、これも組合せの考えを使うならば、
    4C4=1とみなすことができます。
    ならば、最初のaaaaすなわちa4の係数も、4C0=1とみなすことができますね。
    bを1回も選ばないということです。
    よって、
    (a+b)4
    =4C0a4+4C1a3b+4C2a2b2+4C3ab3+4C4b4
    =a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4

    逐一展開したときと同じ結果になりました。ヽ(^。^)ノ

    これを一般化したものが「二項定理」です。
    二項定理をここに書こうかと思いましたが、このブログの形式では、上の式でも読みにくいのに、nだのrだと文字ばかりになると最悪の読みにくさなので、公式の確認はお手元のテキスト等をご覧いただけますと幸いです。
      


  • Posted by セギ at 13:37Comments(0)算数・数学

    2019年06月09日

    小学校算数。円の面積に関する応用問題。



    問題 半径2㎝の円を組み合わせた上の図の灰色の部分の面積を求めなさい。
    ただし、円周率は3.14とします。

    この図をどう見るか、そして計算の工夫をどうするかで、この問題を解くスピードは大きく違ってきます。
    最短で1分とかかりませんが、計算にまごつくと10分以上かかることもあると思います。

    まずは、比較的発想しやすい普通の解き方で考えてみましょう。
    4つの円が重なっているこの図の、重なって白抜きになっている葉っぱのような形に注目します。
    受験算数では、「葉っぱ形」あるいは「ラグビーボール形」などの通称でおなじみの形です。
    4つの円の面積の和から、この葉っぱ形を引けば、求める面積が出ます。
    葉っぱ形を何個分引けば良いでしょう?
    4個?
    いいえ。
    二重に重なったものが両方の円について白抜きになって失わているのですから、1つの葉っぱにつき2個分の面積が失われていることになります。
    したがって、4つの円の面積の和から、8個の葉っぱ形の面積を引けば、求める面積が出ます。

    ところで、葉っぱ形の面積はどうすれば求められるでしょう。
    近年は、小学校の教科書にも葉っぱ形の面積1つを求める問題は載っています。

    この葉っぱ形の求め方も、考え方は2つあります。
    1つは、まず葉っぱの半分を求めて、それを2倍する方法です。
    中心角90°のおうぎ形から、直角二等辺三角形を引くことで、葉っぱの半分の面積を求めます。
    今、この図の葉っぱ形は、1辺2㎝の正方形に囲まれている葉っぱ形です。
    半径2㎝中心角90°のおうぎ形から、直角を挟む2辺の長さが2㎝の直角二等辺三角形を引くと、
    2×2×3.14÷4-2×2÷2
    =3.14-2
    =1.14
    これが、葉っぱの半分の面積ですから、葉っぱ1つの面積は、
    1.14×2=2.28

    葉っぱ形の面積も求め方の、もう1つの考え方は。
    90°のおうぎ形を向かいあわせに重ねて正方形を作ったときの重なった部分が葉っぱ形となります。
    ということは、おうぎ形2つ分から正方形を1つ引いたものが、葉っぱ形となります。
    2×2×3.14÷4×2-2×2
    =6.28-4
    =2.28

    葉っぱ形の求め方に関する基本的な考え方はこの2つですが、中学受験では葉っぱ形はよく出てくるので、その都度いちいちこんなことをしているのは面倒です。
    正方形の中で葉っぱの面積はどのような割合になっているかを考えてみるのはどうでしょう。
    まず、数値のわかりやすい基本となる正方形で考えてみます。
    1辺1㎝の正方形に囲まれた葉っぱ形の面積は、上の求め方を用いるなら、
    1×1×3.14÷4×2-1×1
    =1.57-1
    =0.57
    面積が1㎠の正方形の中に、0.57㎠の葉っぱ形があります。
    この割合は、正方形が大きくなっても小さくなっても、変らないでしょう。
    つまり、葉っぱ形は、常に正方形の面積の0.57倍です。
    1辺2㎝の正方形に囲まれた葉っぱ形は、
    2×2×0.57=2.28 
    となります。
    0.57倍ということだけ覚えておけば、とても簡単ですね。
    「名探偵コナン」と、ごろ合わせで覚えておきましょう。
    コナンで、57です。

    0.57という数字は、中学生になって円周率がπになったらもう何の意味もない数字ですので、中学受験をするのでなければ覚える必要はありません。
    そんなものを覚えるより、葉っぱ型をどうやって求めるか、その考え方は理解しておいたほうが良いのです。
    その考え方は、中学で円周率がπになっても使います。

    ともかく、上の問題の葉っぱ1つが2.28㎠だとわかりました。
    これで問題を解くことができます。
    円4つから葉っぱ8つを引きます。
    2×2×3.14×4-2.28×8
    真面目に計算してもミスしなければ答えが出ますが、少し計算の工夫をしたほうが簡単でしょう。
    2×2×3.14×4-2.28×8
    =2×3.14×8-2.28×8
    =(6.28-2.28)×8
    =4×8
    =32
    答えは、32㎠ です。


    この解き方でも、勿論答えは出るのですが、よりスマートな解き方はないでしょうか?
    この図を見てください。






    あれ?
    直しても直しても画像が傾く・・・。
    仕方ないので、この図で説明しましょう。
    上の図を、円が4つ重なっているのではなく、東京都のマークのようなイチョウの葉が4つある図と見ます。
    その1つに着目し、葉っぱの茎の付近の部分を上の図のように長方形で囲みます。
    この長方形は、中心角90°のおうぎ形2つと、葉っぱの茎の部分とに分けられるのが見えるでしょうか。
    中心角90°のおうぎ形2つ?
    それは、茎より上の部分の半円を2つに分ければ、ちょうど、中心角90°のおうぎ形2つになります。
    つまり、イチョウの葉と、長方形とは、面積が等しいです。
    この長方形の面積は?
    2×4 です。
    求める面積はイチョウ4個分ですから、
    2×4×4=32
    答えは、32㎠。
    とても簡単に求めることができますね。

    ほんのちょっとした発想や計算の工夫で、難しい問題はとても簡単に解くことができます。
    ヽ(^。^)ノ


      


  • Posted by セギ at 14:30Comments(0)算数・数学

    2019年06月06日

    高校数Ⅱ「式と証明」。3次式の因数分解と対称式の計算。


    今回から数Ⅱの学習に入ります。
    まずは、「3次式の因数分解」です。
    例えば、こんな問題です。

    問題 27x3+8y3 を因数分解せよ。

    3乗+3乗 の因数分解の公式を使うのだと、すぐにピンとくる人が多いと思います。
    この公式は、一応数Ⅱの学習範囲なのですが、数Ⅰの教科書や参考書にも載っていますので、そこで学習済みの人が大半でしょう。
    公式は、
    a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2)
    です。
    この公式は、右辺を展開すると左辺と同じになることから証明できます。
    疑問を感じる人は、一度、右辺を地道に展開して、左辺になることを確認すると良いと思います。

    公式が信頼できたところで、利用してみましょう。
    27x3+8y3
    =(3x+2y)(9x2-6xy+4y2)

    できました。ヽ(^。^)ノ

    では、こんな問題はどうでしょう。

    問題 x6-64 を因数分解しなさい。

    上の類題に見えて、これが意外に難しいのです。
    3次式の因数分解の公式のもう1本は、
    a3-b3=(a-b)(a2+ab+b2)
    です。
    直前まで、この公式の基本練習をしていると、それに引きずられやすくなります。

    xの6乗は、xの2乗の3乗。
    ということは、

    x6-64
    =(x2-4)(x4+4x2+16)
    =(x+2)(x-2)(x4+4x2+16)

    よし、できたー、と思ってしまいそうですね。

    しかし、これはまだ正解ではありません。
    x4+4x2+16 は、さらに因数分解できるのです。

    数Ⅰで学習しました。
    複2次式の因数分解というものです。

    x4+4x2+16
    =x4+8x2+16-4x2
    =(x2+4)2-(2x)2
    =(x2+4+2x)(x2+4-2x)
    =(x2+2x+4)(x2-2x+4)

    平方完成の考え方を利用する解き方です。
    存在しないものをあえて足し、その後同じものを引いて辻褄をあわせます。
    そんなことをしていいの?とキョトキョトする高校生もいます。
    答えを見たら理解できるけれど自分ではきっと発想できない、と諦めてしまう子もいます。

    それにしても、この問題、本当にこんなに難しい解き方しかないのでしょうか?
    実は、もっと易しいやり方があるのです。
    中3で学習した2次式の因数分解の公式、a2-b2=(a+b)(a-b)をまず利用します。
    その後、3次式の因数分解の公式を利用します。

    x6-64
    =(x3+8)(x3-8)
    =(x+2)(x2-2x+4)(x-2)(x2+2x+4)

    随分簡単に解いていくことができます。
    3次式の因数分解を勉強したのだから、3次式の公式だけを使うのだ。
    そういうふうに視野が狭くなっていると、一番上の解き方しか発想できません。
    6次式を2次式と4次式に分解したら、後が厄介なのではないか?
    それよりも、3次式と3次式に分解したほうが後がやりやすいのでは?
    慣れてくれば、そのように先の見当をつけて解いていくこともできると思います。


    続いては、「3次式の展開公式の利用」に関する問題。
    こんな問題です。

    問題 x+1/x=3のとき、x3+1/x3の値を求めよ。

    対称式の値に関する問題です。
    中3から既に発展的内容として学習していますし、数Ⅰでも、新しい単元になる度、その都度それに関する対称式の問題を学習してきましたから、そろそろ慣れてきている人も多いと思います。
    しかし、対称式の問題に対処する度に、同じことが同じように解けない人もいます。
    理解できなかったことがそのまま残ってしまっていたり。
    わかったつもりだったのが、結局わかっていなかったりするのだと思います。

    基本対称式に関する問題は、x+yの値と、xyの値、すなわち和と積と2本の式があるはずなのに、この問題は和の式しかない。
    これじゃ、解けない。
    あるいは、積が与えられていなかったから、基本対称式の問題だと気づかなかった。
    そういう人が多いです。
    確かに、この問題では、x+1/x=3 という和しか与えられていません。
    でも、積は計算できるのです。
    積は、x・1/x=1 です。
    これの理解が重要です。

    何年か前、数学が苦手な高校生とこんなふうな会話を交わしたことがあります。
    「積は、x・1/x=1と計算できるんですよ」
    「何でですか」
    「約分すると、そうなりますよね」
    「どうしてですか」
    「分母のxと分子のxを約分すると、1になるでしょう?」
    「でも、xって、何の数かわからないじゃないですか」
    「・・・・え?」
    「何の数かわからないのに、約分していいんですか」
    「・・・・約分していいですよ。分母のxが例えば8なら、分子のxも同じ8なのだから、約分できるじゃないですか」
    「xが8って、何でわかるんですか」
    「今、『例えば』と言いましたよ。8でも7でも、分母のxと分子のxは同じ数ですから、約分できますよ」
    「分母のxが8で、分子のxが7だったら、どうするんですか」
    「そういうことはないから、大丈夫ですよ」
    「何で大丈夫だってわかるんですか」

    ・・・・うーん、これは大変だ。
    数学が苦手な子の頭の中で、「変数x」は、こんなにも不安定なものなのだと実感しました。
    数Ⅰの復習云々ではなく、小学校の「関係をあらわす式」のあたりから、もうxとyに不信感があり、理解したふりで理解できずに高校生になってしまったのだろうと思うのです。
    方程式のときはxの値が定まったり。
    関数になるとxの値は定まらなかったり。
    数学がわからない子は、このあたりが特に混沌としているのだと思います。

    「方程式と関数って、何が違うんですか?」
    と問われることもあります。
    グラフを利用できる点でかなりの部分は重なるが、そもそも定義が異なるものなので違いを考える必要はないと思うが、と説明すると、しかし、彼らは余計に混乱します。
    数学がわからない人は、その学習段階では触れないほうが良い疑問に抵触しやすい人なのかもしれません。
    その一方、中学2年の「1次関数」の学習で、連立方程式をグラフで解く方法はどこの中学でも必ず学習するのです。
    また、x=3 や y=-2 といった式もグラフに表せることを学びます。
    方程式と関数はかなりの部分で重なるものであることがそのときに示され、積年の疑問が晴れて頭がスッキリするはずなのですが、その学習にそれほどの感動を示す子を見たことはありません。

    方程式と関数は、何が違うのか?
    彼らの考えている疑問の正体は、そういうことではないのかもしれません。
    方程式と関数は、同じもののようなのに、使い方が違うのはなぜなのか?
    わからないことの正体は、それなのかもしれません。
    彼らの混沌とした疑問は、言葉の数が少ないこともあって、本当に分析が難しいのです。

    数学が苦手ということは、どういうことなのか。
    その解明は、なお道半ばです。


    ともかく、上の問題をもう一度見直しましょう。

    問題 x+1/x=3のとき、x3+1/x3の値を求めよ。

    対称式の計算のとき、因数分解の公式の他に、便利な公式があります。
    a3+b3=(a+b)3-3ab(a+b)
    というものです。
    これなら、a+b とab さえわかれば代入して求められます。
    この式も、右辺を展開すれば左辺になることで証明できます。
    対称式の値を求めるために作られた公式です。
    使ってみましょう。

    x3+1/x3
    =(x+1/x)3-3x・1/x(x+1/x)
    =33-3・1・3
    =27-9
    =18
    これが答えです。



      


  • Posted by セギ at 11:11Comments(0)算数・数学

    2019年05月30日

    高校数A n進法 その3。分数の処理。


    今回が数A最後の内容です。
    内容は、「分数の小数表示と記数法」。
    10進法の分数をn進法の小数に直す問題を解きましょう。

    例題 1/4を5進法の小数で表せ。

    これは、10進法の小数をn進法の小数に直すときと、基本の考え方は同じです。
    まず、
    1/4=a/5+b/5の2乗+c/5の3乗+・・・・① とおきます。
    ①×5をすると、
    5/4=a+b/5+c/5の2乗+d/5の3乗+・・・
    両辺の整数部分を比較して、
    a=1とわかります。
    次に両辺から1を引いて、
    1/4=b/5+c/5の2乗+d/5の3乗+・・・② とおきます。
    ②×5をすると、
    5/4=b+c/5+d/5の2乗+・・・・
    よって、b=1。
    以下同様に、c=d=・・・・・=1とわかります。
    したがって、1/4=0.1111・・・・・です。

    分数や小数とn進法は、さすがにそこまで復習していないという人もいて、センター試験あるいはセンター模試でそれが出てしまうと、もう完全にアウトとなってしまう人が多くいました。
    解き方を知っているか知らないかだけの問題で白紙答案になってしまうのは勿体ないので、解き方をいつでも復元できるように、なぜそれで解けるのか、その理屈を理解しておくことをお薦めします。
    手順だけ覚えるのは、忘れるのも速いです。
    理屈を理解していれば、復元可能です。


    さて、ここで、n進法の応用問題を少し。

    問題 150台が駐車可能な駐車場がある。駐車位置は1から順に番号が付けられているが、4という数は使われていない。駐車位置の番号の中で最大の数は何番か。

    例えば0と1しか使わないのなら2進法だとわかるけれど、逆に、4だけは使わないというのは、どう解いたら良いのかわからない・・・。
    そういう人もいるかもしれません。
    もっと頭を柔らかく。
    4だけは使わないのですから、0、1、2、3、5、6、7、8、9の数字を使う。
    つまり、これは9進法なのだとわかります。
    ただし、普通の9進法は、0から8までの数字を使うのですが、これは4を使わないが9を使います。
    だから、計算した後に数字を変換する必要があります。

    まず、150を普通の9進法で表すと、
    150=1×92+7×9+6
    すなわち、176(9) となります。

    4を使っていないから、このままでいいでしょうか?
    いいえ、そういうわけにはいきません。
    9の2乗の位の数である1は、そのままでいいでしょう。
    9の2乗のまとまりが1組あるということは、4という数字を使っても使わなくても変わらずに1です。
    しかし、9の1乗の位の7は、普通の9進法での7です。
    9のまとまりが7組あるということです。
    その7組に、4を使わずに番号をつけるならば、1組目、2組目、3組目、5組目、6組目、7組目、8組目。
    つまり、これは7ではなく、8と表さなければなりません。
    最後に、一の位の6も、普通の9進法で、1が6個あるということです。
    それに番号をつけるならは、1、2、3、5、6、7。
    つまり、これも6ではなく7と表さなければなりません。
    よって、この駐車場の最大の番号は、187となります。

    さて、数ⅠAの学習がこれでひと通り終わりました。
    最初のほうで学習したことを忘れてしまっていると、数Ⅱの学習は困難を極めます。
    数Ⅱの学習を進めながらも、常に数ⅠAを復習すると良いと思います。
    1度では理解できなかったことも、2度目なら、案外すんなりと理解できることがあります。
    1度目は覚えきれなかった公式も2度目なら見慣れて、頭にすっと入ってきます。
    数学の学習は、諦めなければ必ず前に進むことができます。
    頑張りましょう。
    ヽ(^。^)ノ


      


  • Posted by セギ at 12:28Comments(0)算数・数学