たまりば

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2019年08月13日

数Ⅰ「1次不等式」、1次不等式の文章題。


さて、お盆休みは、文章題を。
こんな問題です。

問題 
25人以上50人以下の団体で目的地に向かうとする。
電車賃は目的地まで1人420円で団体割引はない。
バスは1人480円だが、1万円の団体券で25人まで乗ることができる。
電車で行ったほうが料金が安いのは、人数が何人以上何人以下のときか?

中学生・高校生に方程式・不等式の文章題を教えていて苦慮するのは、何年経っても最初の1行を書き出せない人がいることです。
「求める人数をx人とする」
これさえ書いてしまえば、その次は、ではこのxを用いて問題文の中のどんな数量を表す式を立てようかと、次の段階に進むことができます。
この書き出しを発想できず、文章題を見た途端に意識が小学生に戻り、どうやって人数を求める式を立てよう、うーん、うーん、うーん、わかんない・・・と考え込んでしまう人は多いです。
結局、中学の3年間、方程式の文章題の学習になる度にそれを繰り返す人は多いです。
そのまま高校生になり、たまに出てくるこうした文章題に歯が立たない。
そうなりがちです。

xを用いて式を表すことは発想できても、xを定義しない人も多いです。
文字を用いるのなら、その文字が何であるかを定義する必要があります。
どんな文字を用いても良いけれど、その文字が何であるかを定義する。
それは数学の答案の根本ルールの1つです。
「えー。面倒くさい。そんなの、わかるじゃん」
と言う人は、その式が間違っていたときに、何をxとしたのか質問されて、すぐに答えられるでしょうか。
もう一度問題を読み直し、もう一度解き直さないと、xが何であるかわからないのではないでしょうか。
自分でも、自分の思考の跡をたどれないのです。
数日後には自分でも思考の跡をたどれないような答案を、他人が見てわかるわけがありません。
数学の答案は、どのように解いたのかを相手に明瞭に説明するものです。
それは、何か月経っても、自分の答案を見直したときに、何をどう解いたのかすぐにわかるということでもあります。
数学答案の根本のルールはそれです。
どう書いたら良いかわからない・・・。
そんな質問もよく受けますが、細部の書き方にこれでなければならないという定型があるわけではありません。
後で意味がわかるように書けば良いだけです。

問題に戻りましょう。

求める人数をx人とする。(25≦x≦50、xは自然数)

とxに関する定義を書いたら、次は不等式の立式です。
xを求めることに集中し過ぎるあまり、xの値を表す式を立てようとして苦慮する人もいますが、方程式でも不等式でも、式が表す数量は、xを表すものではありません。
何か他の数量を表すものです。
「え?式は関係を表すもので、何かの数量を表すものではないのでは?」
という質問を受けることがありますが、そのように思っていると式は立てにくいです。
関係を表す・・・というのは、間違っていませんが漠然としています。
どうやってどんな関係を表すのか、よくわかりません。
式が何かの数量を表すことを明確に意識していると、立式は楽になります。

この問題では、勿論、バスを使った場合の料金の全額と、電車を使った場合の料金の全額とを比較して立式しましょう。
まずはバス料金のほうから。
25人分の団体料金が10000円。
それ以外の人は、普通に1人480円を払います。
その人数は、(x-25)人。
よって、バス料金の全額は、
10000+480(x-25)
と表すことができます。
一方、電車料金は、常に1人420円ですから、
420x円
電車で行くほうが安くなるのですから、不等式は、
10000+480(x-25)>420x
これを解きましょう。
10000+480x-12000>420x
              60x>2000
                x>100/3
                x>33+1/3 ・・・①

ああ、じゃあ、答えは、34人以上50人以下だ。

・・・本当に、それで良いでしょうか?
ここで、発想の飛躍が必要となります。
人数分いなくても、団体券を2枚買うことも可能なのです。
え?そんなのずるくない?
そんなことしたらダメなんじゃない?
・・・いいえ、別に構わないです。
座席指定券を買い占めて、座る人もいないのに席を確保するということではありません。
料金は50人分を払うというだけのことです。
そもそも、そういうモラルの話をしているのでもありません。
これは、どちらが安いのか、という単純な計算です。
ただ、何というか、善良な人というかお人好しというか、そういう人はこの発想がなく、この不等式の問題を間違えてしまうことがあるようです。

団体券を2枚買うことにすれば、バス料金は20000円。
電車賃は変わらず、420x円。
ですから、不等式は、
20000>420x
    x<20000/420
    x<47+13/21 ・・・②

①、②より、
33+1/3<x<47+13/21
ここで、25≦x≦50、xは自然数だから、
求める人数は、34人以上47人以下。

これで最終解答となります。

気をつけたいのは、答案の最後を、34≦x≦47 で終えてしまう人もいることです。
勝手に自分でxを使ったのに、それでは終われません。

どんな文字を使ってもいいが、正確に定義する。
使った文字は、最終解答には残さない。
これを守るだけで、答案を見る先生に「お。答案の書き方がわかっているね」と思われます。
  


  • Posted by セギ at 14:53Comments(0)算数・数学

    2019年08月04日

    高校数Ⅱ「式と証明」。等式の証明。その1。


    本日の学習内容は、「等式の証明」です。
    「等式の証明」は、その次の「不等式の証明」と比べればはるかに易しいです。
    ただ、
    「何のためにこんなことを証明しなければならないのかわからない」
    と言う子もいます。
    何のためにと言われても、これは基礎訓練ですから、証明する内容に大した意味はありません。
    この等式が何かを表しているわけではありません。
    このやり方を利用して、大切な公式や定理も証明できますから、まずその基礎訓練をしましょうということです。
    やってみましょう。

    問題 (a2-b2)(c2-d2)=(ac+bd)2-(ad+bc)2  を証明せよ。

    等式の証明は色々な方法があります。
    ①左辺を変形し、右辺と等しいことを示す。
    ②右辺を変形し、左辺と等しいことを示す。
    ③左辺、右辺をそれぞれ変形し、左辺=右辺であることを示す。
    今までの3つは、同じようなことですね。
    さらに、
    ④左辺-右辺=0であることを示す。
    ⑤左辺÷右辺=1であることを示す。
    といった方法があります。
    問題によってどの方法で示すのが楽であるかを判断します。
    上の問題は単純な構造のものですので、③のやり方で大丈夫そうですね。
    ④や⑤で解くことも勿論可能ですが、これらはもっと発展的な問題のときに利用する方法ですので、無理して使う必要はないでしょう。

    では、解いてみましょう。
    左辺=(a2-b2)(c2-d2)
       =a2c2-a2d2-b2c2+b2d2
    右辺=(ac+bd)2-(ad+bc)2
       =a2c2+2abcd+b2d2-(a2d2+2abcd+b2c2)
       =a2c2+2abcd+b2d2-a2d2-2abcd-b2c2
       =a2c2-a2d2-b2c2+b2d2
    よって左辺=右辺となり、等式が成り立つ。

    考え方は難しくないので、これは計算力の問題となります。
    高校2年ともなりますと、計算力は個人個人で大きな隔たりがあります。
    高校1年生までの数学を完璧にマスターしている子もいます。
    高校受験のための勉強は一所懸命やったので中学数学はマスターしているけれど、高校の数Ⅰ・数Aの内容が定着していない子もいます。
    中高一貫校の子や、高校受験の勉強をしてもよく理解できなかった子の中には、中学数学の内容が定着していない子もいます。

    (a+b)2=a2+2ab+b2
    という乗法公式を覚えていないため、上手く展開できない子。
    何度覚え直しても、(a+b)2=a2+b2 というふうにいつの間にか間違えている子もいます。
    中3で学習するこの乗法公式は、普通に展開しても答えが出そうということもあって、本気で暗記しない子がいます。
    次に因数分解の学習をしたときに、この公式は必要だとようやく気づいても、もう変な癖がついてしまっていて、後の祭りということがあります。
    一度間違って覚えてしまったことの訂正は、本当に難しい。
    こんな公式の1つくらい、覚えても覚えなくても大したことないと思っていたら、その後、延々と使い続けることになり、足枷となる。
    数学にはそういうことが多いです。

    また、
    (ab)2=a2b2
    などの指数法則を理解していないため、上手く展開できない子。
    やり方をその都度暗記しようと努めていても、どうしてそうなるのか根本のところで理解できていない様子の子もいます。
    ・・・いや、見たまま、そうなるでしょう?
    数学が得意な高校生にはそういう数理の感覚があるので、このあたりの断絶は大きいです。

    指数の理解の深さ浅さは、高校数学の理解に強い影響を与えます。
    中1の頃から、指数を含む計算は半分以上不正解で、でも、こういう難しいのは自分はまあいいやと思ってきたら、高校数学になって問題が指数まみれになり、にっちもさっちもいかない・・・。

    指数は特にそうですが、それ以外にも、中3の数学・高1の数学を経てきたとは思えない理解度と計算力で高2の問題を解いているように見える子がいます。
    学力が中2の「連立方程式」くらいで止まっている・・・。
    数学が苦手な子は、そういう子が珍しくないのです。
    その先で学習したことは、定期テストを切り抜けるために一夜漬けで何とかやり過ごしたけれど、身についていない。
    忘れてしまっているのです。

    高校数Ⅱで新しく教わる内容が理解できないわけではないのです。
    でも、そのはるか手前の基本となる知識が抜けている子は多いです。
    そのため、自分で問題を解こうとすると正答を出すことができません。
    一方、数Ⅱの問題集の解答解説は、この程度のことは省略し始めるので、間違えても、何をどう間違えたのかも判断できなくなります。

    夏休みなど、比較的時間に余裕があるときに、総復習できると良いですね。
    学校が出してくれる課題だけでなく、中3の薄い問題集を1冊復習。
    その後、学校の数ⅠAの問題集をもう一度解き直すと、当時よりも理解できることに気づくと思います。
    忘れてしまったのなら、反復し、思い出してください。

      


  • Posted by セギ at 16:04Comments(0)算数・数学

    2019年07月26日

    高校数Ⅱ「式と証明」。分数式の計算。



    今回は「分数式の加法・減法」。
    例えば、こんな問題です。

    x-3         x-1
    x2-6x+8  -  x2-2x-8

    分数をこのブログに書き込んでいくのは難しいのですが、大体の感じはつかめていただけたかと思います。

    計算の基本は、数の計算と同じです。
    分数は、分母が等しくなければ引き算できません。
    すなわち、通分が必要となります。
    このまま、(x2-6x+8)(x2-2x-8)という分母にすることでも通分はできます。
    しかし、それは、普通の分数の計算で、例えば分母が6と8だったときに、それを通分するのに48としてしまうようなものです。
    後の計算が煩雑になる悪手です。
    互いの共通因数を考えて通分しましょう。
    それにはまず、分母をそれぞれ因数分解してみます。
    x2-6x+8=(x-2)(x-4)
    x2-2x-8=(x+2)(x-4)
    (x-4)が共通因数であることがわかります。
    よって、通分した後の分母は、(x-2)(x+2)(x-4)
    このように通分するのですから、それぞれの分子は、それまでの分母にはなかった因数をそれぞれにかけて、
    (分子)=(x-3)(x+2)-(x-1)(x-2)
    この後、分子の計算を行います。
    (分子)=x2-x-6-(x2-3x+2)
        =x2-x-6-x2+3x-2
        =2x-8

    これで、分子は2x-8、分母は(x-2)(x+2)(x-4)
    というところまで整理できました。
    普通の分数の計算でもそうですが、計算後は、約分できるかどうかを確認します。
    分子は2(x-4)と整理できます。
    分母の(x-4)と約分できることがわかります。
    よって、解答は、2/(x-2)(x+2)

    単純な計算ばかりなので、前回の多項式の除法とこの分数式の計算は、数Ⅱの学習内容の中では理解しやすいところです。
    ここが最後のオアシスだったと後になって降り返る人も少なくありません。
    しかし、そのオアシスさえ、計算ミスを繰り返して得点には至らない人も多いのです。
    理解できることと、実際に得点できることとは別のことです。
    途中で一度でも書き間違いや符号ミス・計算ミスをしたら、正解には至りません。

    ミスをなくすには、どうしたら良いか。

    ミスは、学力的に安定した状態ではないために起きている場合があります。
    試しに中学数学の計算問題を解き直してみてください。
    心の中でやってみて判断するだけではダメです。
    実際に中学時代の正負の数の計算、文字式の計算、方程式などをそれぞれ20題ほど解いてみてください。
    簡単過ぎる問題ではなく、多少は複雑な計算過程が必要な問題が妥当です。
    そういう問題は全くミスしないのに、高校の数学の問題を解くとケアレスミスが多いという場合は、高校数学の理解が不十分である可能性が高いです。
    高校数学の基本問題を中心に反復し、基礎力を鍛えれば、基本問題での妙なケアレスミス・計算ミスは減っていくでしょう。

    一方、中学時代の計算問題を解いてもやはりミスがあるという場合は、どういうミスをしているのか分析し、過剰書きにしてみてください。
    符号ミス。
    指数の書き洩らし。
    数字の書き間違い。
    問題の写し間違い。
    ひき算ミス。
    たし算ミス。
    「正」の字を書いて、どのミスが多いのか確認すると良いと思います。
    自分のミスを可視化することで、意識し、改善できるかもしれません。

    ただ、おそらくは、どのミスも同じように分散し、多様なミスが多発している場合が一番多いのではないかと思います。
    特にどこが苦手というのではなく、全般的にミスをしやすい。
    それを直視するのはつらいことかもしれませんが、そうであるなら、ミスを含み込んで得点を読んでいきましょう。
    テストの8割の問題を解けるようになっておけば、ミスを含み込んで、6割は得点できる。
    そのようにミスを織り込み済みの得点の読み方をしたほうが、気持ちが安定します。
    そうすることで、むしろ、ミスは減ると思います。

    英語のスペルミスや時制ミスはほとんどないし、古文の助動詞や助詞の紛らわしいのも識別できるし、日本史や世界史の人名や国名も正確に覚えられるけれど、数学は基本問題でもケアレスミスをするので正解できないなあ・・・。
    高校生になれば、そういうことがはっきりと見えてくる人もいます。
    まあ、何というか、数学と相性が悪い。
    数学の正確さとそりが合わない。
    そういうこともあると思います。

    「数学が世の中の役に立っていることを否定するつもりはない。でも、自分が数学を勉強しなければならない意味はわからない」
    昔、極端な文系秀才の生徒からこのように言われて、さすがに言っていることの筋が通っていると感心したことがあります。
    後は、教育システムの問題です。
    数学に関しては、高校卒業に必要な単位のために最低限の勉強をする。
    受験には使わない。
    そういうやり方もあると思います。

    では、どの段階で文系・理系の判断をするのか?
    極端な文系秀才ならば判断しやすいでしょうが、普通の高校1年は自分が文系か理系かの判断はつかない場合がほとんどです。
    高校1年までは、「数学と歴史が得意。国語と理科が苦手」といった判断に窮する傾向の子のほうがむしろ多いです。
    しかし、高校2年で学習する科目は専門性が高まります。
    「得意なつもりでいたけど、ここまでやるとなると、何かもう訳がわからない。無理だな」
    という判断もあるでしょうし、
    「皆は苦手だ嫌いだと言うけど、自分はこの科目好きだな。何か急に面白くなってきた。これを大学で勉強するためなら、受験に必要な他の科目も頑張れる気がする」
    という判断もあると思います。
    高校2年まで数学をやることでようやく判断がつく人が多いと思います。
    この話をすると、さすがは秀才。それもすぐに理解してくれました。

    理系秀才にとって、古文・漢文の授業もまた、
    「古典を貶める気持ちはないが、自分が古文・漢文を学ぶ意味はわからない。自分が原文を読めるようになる必要はないし、読めるようにはならないと思う。内容だけなら知りたいが、それなら現代語訳で十分だ」
    とも言えます。
    高校2年生まで同じ教育課程であるのは、壮大な無駄のような気もする一方、しかし、全ての子どもに平等な機会を与えるという点では、文系・理系の判断は遅いほうが良いでしょう。
    以前も書きましたが、効率だけを考えたあげく、例えば12歳で学力テストを行い、学力が基準に満たない者にはそれ以上の教育は与えず、基準を満たした者はその能力にあわせ、選抜して専門科目のみ教育する、などという仕組みが素晴らしい社会を生むとは到底思えません。
    そんなのは、悪夢でしかありません。
    自分には必要なさそうな数学や古文も勉強するのは、義務じゃなくて、権利です。
    数Ⅱ・Bに対するあまりの違和感に、これはもうダメだと感じる人も、少し距離をおいて、これを学ぶのも自分の権利と考えて楽しんでくれれば、少し光が見えてくるのではないかと思います。

    話は分数式の計算に戻って。


    2x-5    2x2+9x-28
    x-4  -  x2+2x-24

    さて、これも、上の問題と同じように計算していくこともできるのですが、それぞれの分子と分母を見比べて、分子の係数や次数が分母より大きい場合、もっと整理してからのほうが計算が楽にできます。
    普通の分数の計算で言えば、仮分数を帯分数に直して計算するような感覚です。
    ここで、前回学習した(多項式)÷(多項式)の計算が活きてきます。

    (2x-5)÷(x-4)=2あまり3
    (2x2+9x-28)÷(x2+2x-24)=2あまり(5x+20)

    よって上の分数式は、


          3          5x+20
    2 + x-4  -2 - x2+2x-24 

    と整理されます。

    普通の分数の仮分数を帯分数に直すのと全く同じことをやっています。
    そうすることで、整数は整数同士で、分数は分数同士で引けばよいので、かなりスッキリします。
    その後の計算方法は上の問題と同じです。
    分子の次数が抑えられて、計算しやすくなります。

      


  • Posted by セギ at 22:54Comments(0)算数・数学

    2019年07月17日

    小学算数。EXテストの衝撃。


    先日、小学生が教室にEXテスト(エクストラ・テスト)を持ってきてくれました。
    「こんなテストを、前にも受けたことある?」
    と質問しましたところ、去年も何回かこのテストを学校で受けたとのことでした。

    しかし、こうした口頭の情報は、不確かになりがちです。
    私の質問の意図を子どもは正確に把握できない可能性があるからです。
    普通のカラーテストと混同しているかな?
    それとも、本当に去年も何回かEXテストは受けたのかな?
    謎のままです。
    他の学校の小学生に尋ねると、受験生もそうでない子も、
    「知らない」「受けてない」
    という返答ばかりでした。

    それは中3でもまだそうで、例えば、
    「都立高校入試の模試に似ている学力テストを学校で受けましたか?」
    と質問しても、その子は、それがどのテストを指す何であるかを正確に把握できないことが多いです。
    質問の意図がわからないし、都立高校入試の模試というのをまだ受けたことがないので、それに似ているものと言われてもわからない。
    結局、国が実施する学力調査と誤解してしまう子もいましたし、何を訊かれているのかわからないからか、
    「ない」
    と適当に答える子もこれまで何人も見てきました。
    あった、と答えて、では点数は?とさらに問われるのが嫌なので、テストの存在をなるべく隠そうとする気持ちもあるのかもしれません。
    点数を見せたくないという防衛心が働くのか、こちらが訊かない限りどんなテストのことも言わないのです。
    実物を示して、
    「これをもう受けた?」
    と訊かない限り、明確な答えは得られない。
    しかし、私の手元に実物があるわけではないので、質問もあやふやにならざるを得ず、返答はさらにあやふやになるということが繰り返されます。
    とはいえ、中3が学校で受ける模試に似たテストのことは、私が知らなくてもどうということはないので、近年は質問もしないのですが。
    秋以降、校外で受ける本当の模試の結果を見せてもらえれば問題はありません。


    話を戻しますと、EXテストの見た目は、いつものカラーテストとよく似ていました。
    両面カラー印刷で、カラフルです。
    紙の大きさもいつもと同じです。
    違うのは、テストの質。
    思考力・判断力・表現力を見るEXテスト。
    難度が高いです。

    何だろうこのテストは?
    ネットで検索すると、学校教材のサイトに簡単にいきつくことができました。
    小学校1年生から6年生までのテストがあること、国語と算数があることまでは把握できました。
    理科や社会があるのかどうかはわかりません。
    いつ頃から作られているテストであるのかもわかりませんが、今年初めて作られたテストではないようです。

    個人のブログや悩み相談サイトを見ると。
    小1の子がEXテストで0点を取ってきたとか、同じ子が、小2では15点だったとか。
    中学受験生なんだけれどEXテストでもあまり良い点が取れないとか。
    そうした情報が得られました。
    当然ですが、テストそのものがネットにアップされているようなことはありません。
    それは絶対やったらダメなことですね。

    今回、たった1枚、実際に目にした小6算数のEXテスト。
    それだけで把握できることには限りがありますが、並んでいる問題は、中学受験の受験算数の易しい典型題でした。

    受験算数としては基本問題ですが、その基本問題を解けない中学受験生が多いのが現実です。
    そうした子も、受験勉強を始める前は、学校の普通のカラーテストは満点連発だったのかもしれません。
    「算数は簡単だ」という間違った感覚を抱いていた可能性もあります。
    いや、むしろ、保護者の方が、満点連続のカラーテストを見て、この子は算数は得意だと誤解していた可能性のほうが高いかもしれません。
    「間違った感覚」というのは、カラーテストは、基本中の基本が身についているかどうかを検査するものだからです。
    計算の手順が身についているかどうか。
    公式をそのままあてはめる問題を解けるかどうか。
    非常に簡単であるため、内容を理解していなくても作業手順を覚え込むことだけで、満点が取れます。
    思考力はほとんど必要ありません。
    満点連続のカラーテストを見た保護者の方は、まさか自分の子どもの思考力が弱いとは想像もしないと思います。
    だって、現実にテストは満点なんですから。

    多くの子が、学力的に余裕を持って受けることができるのがカラーテストです。
    それが悪いということではありません。
    小学生のうちから、その子の学力的限界をそんなに突きつけなくてもいいでしょう。
    そんなことをしたら、学ぶこと自体が嫌になってしまいかねません。
    本人は「わーい、満点だー」と喜んでいればいい。
    満点のテストを見た大人も、「わあ。また満点だ。頑張ってるねえ」と褒めたらいい。
    しかし、だから、この子は数学的才能があるとか、中学に入っても数学は大丈夫とか、中学受験をしても大丈夫とか、そんなことの判断材料にはならないことを、大人は知っておいて良いと思います。

    学校の算数の問題はよくできるので、中学受験をしても大丈夫なのではないか?
    そうした誤解から起こる悲劇は、枚挙にいとまがありません。
    中学受験の受験算数は、思考力がないと対応できません。
    それ以前は、パッと見てパッと解き方がわかる問題しか解いたことがないのです。
    筋道立ててじっくり考えるということをしたことがないので、どうしたらいいのかわからない。
    パッと見てわからない問題は、その子には解けない問題です。
    結果的に、受験算数は基本問題を解くのも悪戦苦闘となります。
    それまでもじっくりとものを考えてきた子以外はそうなりがちです。

    とはいえ、今は教育技術が進歩していますから、わからないことをわかるように教えることが可能です。
    筋道立てて考えることも、一歩ずつ教えることができます。
    わからないこともねばって、1つずつ解けるようになっていく。
    じっくり考えていく。
    そういう子は、受験勉強の後半でジリジリと学力を上げていきます。

    ところが、「パッと見てパッと解き方がわかる頭のいい自分」というセルフイメージへの固執の強い子もいます。
    じっくりねばって考えるとはどういうことなのわからないだけでなく、そんなことはやりたくないと思っている子もいます。
    自分が上手くできないことは嫌い。
    苦労して考えてやっと答えがわかるなんてダサい。
    パッと見てもわからない問題を解かされると、劣等感を覚える・・・。
    自分の限界を思い知らされるようで、つらい・・・。
    勉強しているように見えても、テキストに載っている問題の解き方を丸暗記しているだけで深い理解はなく、受験算数の問題の周囲を無意味にぐるぐる回っているような状態で、問題の核心に向かってアクセスできないまま入試を迎える。
    そういう子も多いです。
    つまりは能力よりも精神力の問題になりがちですが、まだ小学生ですから、そんなに強い精神力を求めるほうがどうかしています。
    入試のような人生の一大事に直面する時期ではまだなかった。
    時期を選ぶべきだった。
    成長過程において、中学受験が向いている子もいれば、そうではない子もいる。
    誰もが中学受験をすることが有利なわけではない。
    そういうことだと思うのです。

    思考力が弱いというのは、生涯そうであるというような決定事項ではありません。
    思考力も鍛えれば強くなります。
    パッと見てパッと問題の構造をつかむ瞬発力のようなもののある子は、つまり、頭の回転は速いのです。
    ただ、深く思考したことがない。
    ものごとを筋道たててじっくり考えるということをしたことがない。
    それを要求されて応える精神力もない。
    やってもできなかったという形になるのが嫌なので、勉強しない方向に自分を誘導しがちです。
    逃げ道を探すことに頭を使ってしまう・・・。
    才能の無駄遣いをしてしまう子も多いです。

    数学で大きな結果を出している塾や学校は、「じっくり考えることのできる者が最上位」というヒエラルキーが確立されています。
    じっくり考えることでしか解けない問題を考える。
    それを解いた人が称賛される。
    そうした空気の作り方に成功しています。
    大人がそれを強制してもなかなか従わない子も、自分と同年齢の子たちがじっくり考え、そのヒエラルキーに従っている環境にいると、それに従い始めます。
    考える者が最も優れた者であり、称賛される。
    パッと思いついただけのことを言っても正答できないので、誰もが考え始めます。

    EXテスト。
    今の小学校では、思考力をちょっと試し、それを成績つけの参考にすることはあっても、それ以上の活用は難しいと思います。
    問題解説をしたところで、理解でき、類題が解けるようになる子は半分にも満たないでしょう。
    来年度からの、新しい学習指導要領の下では、どうなるのか?
    これは、そのためのテストなのか?

    蓋を開けてみなければわからないことが、まだ多いです。

      


  • Posted by セギ at 11:40Comments(0)算数・数学

    2019年07月10日

    数Ⅱ「式と証明」。多項式の除法。


    今回は「多項式の除法」です。
    中学数学でやっているような気がするのに、意外に一度もやっていないのが、多項式の除法です。

    問題 (x3+3x2-5)÷(x-2) を計算し、商と余りを求めよ。

    これは筆算していくことができます。
    やり方・考え方は数字のわり算の筆算と同じです。

    例えば、764÷6を筆算してみましょう。

    6 )764

    の7と6を見比べて、7の上に「1」という商が立つと判断します。
    その後、1と6をかけたものを7の下に書いていき、そして7からそれを引きます。
       1
    6 )764
       6  
       1

    これと同じことをやっていきます。

    x-2 )x3+3x2   -5

    x3とxを見比べて、x3の上に「x2」という商が立つと判断します。
    そのx2と「割る数」であるx-2とをかけたものを元の式に下に書いていきます。

        x2
    x-2 )x3+3x2   -5
         x3-2x2

    そして、元の式から、今書いたものを引いていきます。

        x2
    x-2 )x3+3x2   -5
         x3-2x2
            5x2

    次に、引き算の結果である「5x2」とx-2を見比べで、商を立てます。
    「5x」という商が立ちます。
    その5xとx-2をかけたものを下に書いていきます。
    そして、上の行から下の行を引きます。

        x2+5x
    x-2 )x3+3x2     -5
         x3-2x2
            5x2
            5x2-10x
                10x -5

    次に、引き算の結果である「10x」とx-2を見比べて、商を立てます。
    「10」という商が立ちます。
    その10とx-2とをかけたものを下に書き、上の行から下の行を引きます。

        x2+5x  +10
    x-2 )x3+3x2     -5
         x3-2x2
            5x2
            5x2-10x
                10x -5
                10x-20
                    15

    よって、商は x2+5x+10、余りは15です。

    「本当にこんなやり方で割ったことになるの?」
    「何でそれで答えが出るのか、意味がわからない」
    という感想の多いところです。

    そこで、ちょっと検算をしてみましょう。
    わり算は、(割る数)×(商)+(余り)=(もとの数)
    で検算することができるのでした。

    (x-2)(x2+5x+10)+15
    =x3+5x2+10x-2x2-10x-20+15
    =x3+3x2-5

    はい。
    もとの式に戻りました。

    やり方は理解できても、最初のうちはなかなか正答できない高校生が多いです。
    ミスしやすい箇所としては、多項式の書き写し間違い。(特に指数と符号)
    上の式の-5-(-20)のような箇所の符号ミス。

    符号ミスは、中学生になって負の数の計算をするようになると同時に始まります。
    答えが負の数になる問題は決して正答できないというくらいに符号を書き忘れる子もいます。
    これを「ケアレスミス」ととらえ、本人が注意すれば解決すると思うのは、しかし、誤りだと思います。
    そもそも、俗にケアレスミスと呼ばれるものが多い子ほど、ケアレスミスの意味を「ちょっとしたミス」などととらえています。
    ケアレスミスは不注意なミスという意味だよと教えると、嫌な顔をします。
    不注意と指摘されることにも傷ついてしまうようです。
    しかし、問題はもっと深刻で、符号ミスは単なる不注意なミスではないと思ったほうが良いと思います。

    小学校では必要なかった負の符号が中学数学では必要になるのに、そのことが知識として身についていない。
    そうとらえたほうが現実に即していると思います。
    つまりは、本人の脳内の根本のところで知識がバージョンアップされていず、いつまでもいつまでも、ついつい気がつくと負の数など存在しないような感覚で数学を解いてしまっているのだと思うのです。
    バージョンアップは、簡単にできる人もいますが、非常に時間のかかる人もいます。

    傍で見ていると、何でそんなに安易に負の符号を書きもらすのか、意味がわからない・・・。
    ぼんやりしているから、そんなことになるのではないか?
    ・・・ついついそう思ってしまいがちですが、本人もミスなどしたくないから一所懸命やっているはずです。
    それで書きもらすとなると、符号に関するバージョンアップがされていないと見るほうが自然です。
    それは、本人が自覚すれば治るというものではなく、脳内でアップデートされない限り同じミスが繰り返されます。

    では、どうすればアップデートされるのか?
    それは脳次第であるところが歯がゆいところです。
    人間の脳は自力ではコントロールできません。
    何で覚える必要があることを覚えられないの?
    何でアップデートできないの?
    そういうこととの闘いです。
    ただ、「数学なんか嫌い」「数学なんかやっても意味ない」と思っている人のアップデートは当然遅いです。
    せめて、自ら数学から遠ざかることだけは避けたいところです。
    結局、練習を重ねることで、脳がアップデートの必要を感じるのを待つしかありません。

    上の多項式の除法でいえば、引き算であるところをたし算してしまうミスも多いです。
    商を立てた後、例えば3x2の下に-2x2という項を書くところまでは上手くできるのですが、下の項に負の符号がついていると、そのままたし算してしまうミスは多いです。
    指摘してもピンとこない様子で、正しい筆算をしてみせるとようやく理解するということがあります。
    これが繰り返されるのは、もはやケアレスミスというものではなく、そこが明らかに理解不足の弱点となっているのです。
    ケアレスミスじゃないぞー。
    明らかな理解不足だぞー。
    そのミス、何度目だー。
    ・・・そのような指摘をするまでもなく、ほぼ全問どこかでひっかかって誤答しますので、さすがに本人の顔色が悪くなってくるところではあります。
    やり方はわかっているのに、幾度解き直しても正解に至らない。
    解き直す度に違う答えは出るけど、正解でないのはなぜ・・・?
    解答が間違っているんじゃないの?
    数Ⅱに入ると、そういうことが本当に増えてくると思います。
    練習不足なんです。
    数Ⅱの問題を正確に解ける計算力が身についていないのです。
    一度でパッとできるようになる人もいます。
    でも、沢山練習する必要のある人もいます。
    そんなのは、スポーツでも何でも普通のことです。

    こういう話をすると、何だ才能の話かと諦めてしまう人もいると思います。
    これは、努力の話です。
    例えば、目の前でやられると非常に煩わしいペン回し。
    小学校高学年から中学生の頃、特に男子の大半は、あれに夢中になります。
    数回で器用にできるようになる人もいますが、なかなか上手くできなかった不器用な人もきっといたはずです。
    なのに、諦めない。
    学校の授業中、延々とペン回しの練習をしましたよね。
    そして、ついに習得しました。
    努力の成果です。
    努力って、実は誰でもできるのですよ。
    努力の方向性はともかく。


    さて、もう1問。

    問題 (a3+2abc+b3-c3)÷(a+b-c) をaに着目して行い、商と余りを求めよ。

    最初の問題との違いは、文字が1種類ではないこと。
    「aに着目して」ということは、aについての文字式とみなし、他の文字は係数や定数項として扱いなさい、という意味です。
    これは、筆算として書くときから順番を意識し、他の文字はaの係数や定数項であるとわかるようにしておくことで解きやすくなります。
    aについて降べきの順に整理して書いてみましょう。

    a+(b-c) )a3     +2bca+(b3-c3)

    a3とaを見比べると、まずa2という商が立ちます。
    その商と「割る数」であるa+(b-c)をかけていきます。

           a2
    a+(b-c) )a3        +2bca+(b3-c3)
             a3+(b-c)a2 

    上の行から下の行を引きます。
    上から次に使う項も下ろしておきます。

           a2
    a+(b-c) )a3        +2bca+(b3-c3)
             a3+(b-c)a2
              -(b-c)a2+2bca

    ここでは、2次の項はもともと存在しなかったところから(b-c)a2を引くので、
    0-(b-c)a2
    =-(b-c)a2
    となることに注意が必要です。
    上からおろしてくる項は、あえて書けば、
    2bca-0
    =2bca
    となりますので、符号は変わりません。
    0から引くことと、0を引くこととは大違いですね。

    次に-(b-c)a2とaを見比べて、-(b-c)aという商が立ちます。

           a2-(b-c)a
    a+(b-c) )a3        +2bca+(b3-c3)
             a3+(b-c)a2
              -(b-c)a2+2bca
              -(b-c)a2-(b-c)2a

    例によって、上の行から下の行を引くのですが、ちょっと複雑で引きにくいですね。
    こういうときは、ノートの横の空欄などを利用して、そこの部分だけ計算すると良いでしょう。
    係数だけのひき算をすれば良いですね。
    すなわち、
    2bc+(b-c)2
    =2bc+b2-2bc+c2
    =b2+c2

    上から定数項も下ろしてくると、

           a2-(b-c)a
    a+(b-c) )a3        +2bca+(b3-c3)
             a3+(b-c)a2 
              -(b-c)a2+2bca
              -(b-c)a2-(b-c)2a
                      (b2+c2)a+(b3-c3)

    次の商は、(b2+c2) ですね。

           a2-(b-c)a +(b2+c2)
    a+(b-c) )a3        +2bca   +(b3-c3)
             a3+(b-c)a2 
              -(b-c)a2+2bca
              -(b-c)a2-(b2+c2)a+(b3-c3)
                      (b2+c2)a+(b-c)(b2+c2)

    最後の定数項のひき算も複雑ですね。
    ノートの空いているスペースで計算しましょう。
    (b3-c3)-(b-c)(b2+c2)
    =b3-c3-(b3+bc2-b2C-c3)
    =b3-c3-b3-bc2+b2C+c3
    =-bc2+b2c

    これが余りとなります、
    よって、商は  a2-(b-c)a+(b2+c2)
    となりますが、整理したほうが見た目がきれいですね。
    ( )を外しておきましょう。
    従って、商 a2+b2+c2-ab+ca
        余り -bc2+b2c
    となります。

    この筆算は複雑ですが、この先、「分数式の計算」や「因数定理」を学習する際にまた利用しますので、必ず身につけておきましょう。
    とはいえ、ネットでは罫線を上手く引けないので、物凄く見にくいと思います。
    全体の板書が上の画像です。

      


  • Posted by セギ at 12:58Comments(0)算数・数学

    2019年07月06日

    ケアレスミスと数学不安症。


    例えば、都立高校の数学の入試問題で、大問3「関数」、大問4「平面図形」、大問5「空間図形」のそれぞれ一番最後の小問は難しいから解けないので、各5点×3=15点は失点するとして、残る85点は取れる。
    そういう得点の読み方をすることがあります。
    あるいは、定期テストは基本問題だけで80点は取れる。
    これに共通しているのは、「基本問題を解くだけで十分な得点」という夢物語です。

    「夢物語」とあえていうのは、現実はそんなに甘くはないからです。
    基本問題をきっちり得点できる学力の人は、応用問題も解けます。
    基本問題しか解けない人は、基本問題もある程度は失点します。
    それは避けられません。

    しかし、基本が身についていないのに、やたらと応用応用という子には、私も冒頭のような説明をすることがあります。
    定期テストで、公式を代入するだけの基本問題や、出題されるとわかりきっている典型題をポロポロ失点しているのに、最後の応用問題がわからなかったことをやたらと残念がる子もいるからです。
    実際の得点は30点台、40点台なのに、最後の応用問題がわからなかったことを、テストが終わると強調するのです。
    テストが返ってきたら反省が大切なのですが、反省ポイントがズレていては、次回も似たような結果になってしまいます。
    正しい反省を促さなければなりません。
    最後の7点の応用問題が解けなくても、他の問題で正答していたら93点です。
    あなたの現実の点とは50点以上差がありますよ。
    その50点は、どこで失っていますか?
    そういう話をします。

    基礎を固めないうちは、応用問題の解説を聞いても、その問題の解き方を「わかったような気がする」だけで、類題を自力で解けるようにはなりません。
    まして、タイプの異なる応用問題には全く対応できません。
    出るとわかっている典型題なら解説もしますし、練習もします。
    しかし、何でこんな応用問題を出すのか出題意図もよくわからない、ただただ難しいだけの問題を解説するのは時間が惜しい。
    今は、そんな勉強をする時期ではない。
    そのことをわかってもらう必要があります。

    1つ考えられるのは、そういう子の心の中では、「わかる問題」と「解ける問題」との混同があるのではないかということです。
    公式を見て代入すれば解ける問題は、本人の中では「わかる問題」=「解ける問題」。
    解説を聞けば理解できる典型題は、本人の中では「わかる問題」=「解ける問題」。
    だから、そういう問題は、本人の中ではOKになっているのではないか?
    学校でテスト解説を聞いてもよくわからなかった、あるいは解説してもらえなかった最後の応用問題だけは、「わからない問題」。
    だから、とても気にかかる。
    とても残念である。
    そういう気持ちなのではないかと思うのです。

    「わかる問題」と「解ける問題」は違います。
    公式を見て代入すれば解ける問題なのは事実でも、その公式を覚えていないし、代入して解く練習もそんなにしていない場合、テストではもたもたし、代入ミスをしがちです。
    それは「解ける問題」にはなっていないということです。

    「わかる」だけではダメで、「解ける」ようにしなければ。
    基本問題だけでも全部解ければ、定期テストは80点ですよ。
    今、目指すのは、まずはそこですよ。
    基本に目を向けてもらうため、そのように言います。


    ただ、私は、基本問題だけ解ける子が実際に80点を取れるとは思っていません。
    その状態では、80点は無理だとわかっています。
    定期テストなら、基本問題だけで配点は80点になる。
    それは事実です。
    しかし、基本問題しか解けない子は、基本問題を全て正答することはできません。
    学力的に余裕がない子は、ミスをします。
    現状が40点ならば、まずは50点、そして60点と順番に上を目指しましょう。
    60点を越えたら、より発展的な学習も行いましょう。


    学校の定期テスト前日に、数学の授業を振替設定することがあります。
    そんなとき、テスト範囲の演習はひと通り終わっていますので、前日に行うのは最終調整です。
    しかし、単なる確認と調整のために解いている基本問題を計算ミスでぽろぽろ失点する生徒もいます。
    テストに必ず出る、易しい問題で失点します。
    解き方はわかっているのに、計算ミスを繰り返し、正答できないのです。
    計算ミスをすればするほど目に見えて動揺していきます。
    そして、さらにミスを重ね、続く簡単な問題もやはり正答できなくなっていきます。
    目の前で見る見る精神的に崩れていく・・・。
    テスト当日だけではないんだ。
    前日で、既にこういう精神状態なのか・・・。


    『しくじり先生』というバラエティ番組があります。
    ゲスト出演する「先生」役が自身の失敗を語る番組です。
    以前、その番組にG・G・佐藤選手が先生役で出演しました。
    北京オリンピックでエラーを繰り返し、日本代表チームが銅メダルすら取れなかった原因の1つと言われている野球選手です。
    日本代表になるほどのプロ野球選手が、ゴロをトンネル。
    さらに、簡単なフライを落球すること2回。
    なぜそのようなことが起こったのかを本人自らが分析し語っていました。

    G・G・佐藤選手は、1つ目のトンネルの後、もうどんな球も取れる気がしない精神状態に陥ったそうです。
    だから、球が飛んでこないことをひたすら願った。
    オリンピックという大舞台。
    自分のエラーのせいでチームが負けてしまうことに怯えた。
    しかし、怯えるほどにそれは明確なイメージになった。
    あんなゴロもトンネルしてしまった自分は、フライなんか取れるわけがないと思ってしまった。
    そして、実際、もう取れなかった。
    プロ野球選手が・・・・・。

    本番に弱い人の精神状態が赤裸々に語られ、しかも、その精神状態のときに技術的にはどのように失敗するのかVTRを見ながら具体的な説明がありました。
    バラエティ番組のはずなのに、ホラーかと思うほど怖い内容でした。

    1つ目のフライは、緊張で手がガチガチに硬まっていた。
    しかも慌てているため、グローブを出すのが早かった。
    そのため、グローブの土手に当たって球を弾いてしまった。
    さらに、サングラスを帽子の上にかけたまま、目にかけるのをずっと忘れていた。
    球をよく目視できていないのに、そのことにすら気がつかなかった。

    2つ目のフライは、大事に行き過ぎて両手で取ろうとした。
    片手のほうが可動域が広く操作しやすいのに、両手で取ろうとして、結局、球をこぼした。
    普段とは違うことをそのときだけやってしまったのです。
    子どもの頃からフライなんかいくらでも取ってきたプロ野球選手が。


    生徒の数学の答案を見ても、テストのときだけ不可解な答案を書く子がいます。
    普段したことがない計算の工夫をして間違えたり。
    普段は、単なる移項すらいちいち丁寧に書いているのに、テストのときだけ左辺と右辺をひっくり返しながら部分的に移項もして、結果、符号ミスをしたり。
    テストでそういうことをしたいのなら普段から練習しておけば良いのに、なぜか普段は丁寧なやり方を変えない子がテストのときだけそんなことをします。
    あるいは、テスト中だけその解き方が正しいのだとなぜか思い込んで、間違ったやり方をしていたり。
    テストのときだけなぜか普段と違うことをしてしまうのです。
    後で冷静になれば何でそんなことをしていたのか本人も理解できないような考えにとりつかれてしまうようです。
    理解不足だった問題をやっぱり間違えているというような、ある意味で安定感のあるものとは印象の異なる、不安定な数学の答案を見ることがあります。


    「数学不安症」という言葉があります。
    1950年代に確認され、近年、アメリカのスタンフォード大学で、数学の問題を見ると脳の恐怖中枢の活動が高まる人が存在することが実証されました。
    イギリスでは全人口の4分の1が数学不安症であると推測されているそうです。
    理解できない数学の問題を見るとき、ヘビを見たときに感じるような恐怖や不安を感じる。
    不安ばかりでなく、実際に身体に痛みを覚える人もいます。
    数学の問題を見ると頭が痛くなったり、お腹が痛くなったりします。
    他の科目ではそのようなことはないのに、なぜ数学だけそのような不安症が出るのでしょうか?

    正解・不正解があまりにも明確で、到達度に関して数値目標が明示されやすいこと。
    子どもの頃から計算スピードや到達度に関して具体的に強い期待をされ、要求されること。
    そうしたことが他の科目とは異なる点ではないかと分析されています。

    確かに、私がこれまでに見てきた、テスト前日で異様に動揺してしまう子は、本人や保護者が漠然と期待している実力と、本当の実力との乖離の激しい子たちでした。
    子どもの頃から強く期待され要求され、特に計算ミス・ケアレスミスについては強めに指摘されてきたのかもしれません。
    お子さんの小学校の算数を見るお母さんは、計算ミス・ケアレスミスに厳しくなりがちです。
    解けない文章題のことを問題視して叱るお母様は少ないと思うのですが、計算ミス・ケアレスミスは問題視する傾向があると思います。
    ここは得点できるのに、と思ってしまう。
    ついつい、そこを強めに指摘してしまう・・・。

    しかし、毎度毎度計算ミスのことを強めに指摘されてきた小学生が計算ミスをしなくなるかというと、そうでもないのです。
    字が雑で、勉強に対する心構えも甘くて、それでミスばかりしているような小学生ならば、中学・高校と本人が成長するにつれて意識が高まり、計算ミスをしなくなることが期待できます。
    しかし、小学生の頃から、字は丁寧だし、ノートの取り方もしっかりしているのに、なぜか計算ミス・ケアレスミスが多いという子の場合、中学・高校と進むにつれて、指摘されればされるほど、むしろミスは増えていくように感じます。
    学年が上がるにつれて、本人が余裕をもって解くことができる問題は減っていきます。
    期待に応えてテストで高い得点を取ることは、年々難しくなっていきます。
    親からの期待。
    本人のプライド。
    そうしたものが混沌としている中で、
    「失敗してはいけない」
    となったとき、むしろミスをする土壌が出来上がってしまうのでしょう。

    ここで複雑なのは、計算ミスの多い子が、それを直視し、それを自分の課題としてとらえているかというと、むしろそれは本人の中で表面化していないことが多いのです。
    自分がミスをしやすい人間であると認めることは、非常に自己評価を下げる・・・。
    そういう気持ちがあるのかもしれません。
    前述のように、計算ミスをしやすく、基本問題で得点することも心もとない子が、応用問題にこだわるのを見ると、そのように感じます。
    子どもの頃から繰り返し注意されてきたケアレスミスのことを、本人は表面的には自覚していないように見えるのです。
    自分は他人よりはミスが少ないほうだとすら思っているように感じられます。
    そして、応用問題が解けなかったことばかり、強く意識しています。

    ただ、無意識のレベルでは、自分がミスをしやすいことはわかっていると思うのです。
    その影のような不安が、さらにミスを誘い込んでいるのかもしれません。
    テストのときに、気持ちが不安定になり、さらにミスをしやすくなるのです。
    ケアレスミスは、本人が不注意に問題を解いているから起きているとは限りません。
    真剣に解いていても、計算過程で1つ指数を書き洩らしたら、もう正解には至りません。
    心が不安定であるため、正確さ・完璧さを保つことができないのです。
    問題が、本人にとって心の負担になっているほど難しい。
    実は根本のところがあまり理解できていない。
    しかし、それを認められない。
    周囲も認めてくれない・・・。

    計算ミスは、計算ミスだけが課題なのではありません。
    本人の現在の実力と、頭の中で本人が思っている理想の実力との乖離。
    そのことからくる、勉強のやり方のまずさ。
    尽きない不安。
    そこに課題があると感じます。

    多様なミスを多発している人は、ケアレスミスを除外して、「本当は何点取れた」=「自分は何点の実力」と評価する傾向があります。
    保護者の方がそのような得点の読み方をしていることもあると思います。
    だから、実際の得点と自己評価とがいつまでも一致しません。
    本来やるべき、基本問題を何も見ないで自力で解く練習を、ろくにしないでテストを受けています。
    応用問題ばかり気にしています。
    しかし、本当は基本問題を解けないことに、常に影のような不安がさしています。
    そのような状態でテストを受けて、良い結果が出るはずがありません。

    特に高校生で数学の得点が低い場合、理由は明らかに勉強不足なのです。
    学校の問題集をノートに解くことがテスト勉強の全てになっていることは、繰り返しここで書いてきました。
    基本問題すら公式や解答解説を見ながら解いているので、練習になっていません。
    そして、問題集の発展問題や章末の演習問題を何とかノートに解くことに非常に多くの時間を使っています。

    「学校の問題集のB問題の難しいもの、発展問題、章末の演習問題は、3分考えてわからなかったら、赤ペンで解答解説をノートに丸写しして提出しなさい。意味を考える必要はない。式は解説を見ても、計算だけは自分でやろうと思う必要もない。丸写しをしなさい。その代わり、例題とA問題を解答解説を見ないでもう一度解きなさい」
    高校生の場合は、たったそれだけの指示で、テストの得点が目に見えて改善していくことがあります。
    60点までなら、それで上がります。
    60点取れる力がついてから、B問題、発展問題、章末演習問題に目を向けても遅くはありません。

    それでは間にあわなくなるのでは・・・?

    ・・・何に?
    基本も身に着かない今の勉強をしていて、では何に間に合うのでしょう?

    しかし、数学不安症的な子は、このような指示に従うことができない子が多いです。
    やはり、不安なのでしょう。
    それでは、間に合わなくなる・・・。
    あるいは、そんなことをしたら学校の先生に叱られるか目をつけられると思っている子もいます。
    定期テストで30点台の子が応用問題を赤ペンで丸写ししたノートを提出することを問題視する高校の数学の先生なんていません。
    その代わりに例題やA問題をもう1度解いているならなおさらです。
    しかし、そこでも障壁となるのは、実態と乖離した高い理想自己なのかもしれません。
    そうして、解答解説を読んでも意味のわからない発展問題・章末演習問題に時間をかけ、公式を上手く使えない不安定な状態でテストを受け、指数の書き洩らしや符号ミスを多発し、基本問題が8割を占めるテストで惨敗します。
    そして、テストの後は、ケアレスミスした問題は得点できた問題として加算し、捕らぬ狸の皮算用を繰り返します。

    そんなことをしているから、内心の不安が消えない。

    誰にも彼にも基本・基本・基本という教え方には私は懐疑的です。
    小学生や中学生には、その子の現在の学力で理解できる限界まで応用問題を解かせます。
    「同じ問題集を全問3回解き直し」
    といった、写経のような学習方法は、生徒よりも先に私がうんざりしてしまいます。
    解ける問題を3回解いても意味がありません。
    特に公立中学の教科書準拠ワークの基本問題は簡単過ぎて、基本問題を3回解いても定期テストには対応できません。
    そのレベルで良いと思っていると、定期テストの問題は解けません。

    しかし、高校生は違います。
    高校生は、学校の問題集の基本問題を何も見ないで自力で解く学力に至っていない子が多いのです。
    高校数学の基本問題は、彼らにとって基本問題ではありません。
    しかも、そのことに気づいていない。
    あるいは、認められない。
    それでは、不安が消えないでしょう。

    まず自分の不安の正体を見つめましょう。


      


  • Posted by セギ at 13:35Comments(0)算数・数学

    2019年07月01日

    高校数Ⅱ「式と証明」。二項定理の利用。



    前回と同じく「二項定理」の学習です。
    二項定理は、例えば、(a+b)5などを展開していく際に用いる定理ですが、全て展開しなくても、必要な項の係数だけを求めることもできます。
    例えば、こんな問題です。

    例題 (x+2)6 を展開したときの、x3の係数を求めよ。

    全て展開していくのだとしたら、二項定理を用いて、以下のようになります。
    (x+2)6
    =6C0x6+6C1x5・2+6C2x4・22+6C3x3・23+6C4x2・24+6C5x・25+6C6・26
    =X6+12x5+30x4+160x3+240x2+192x+64

    前回も解説した通り、xの6乗の項は、6個の(x+2)から全てxを選んでかけている項です。
    それは1通りしかありませんので、係数は1です。
    xの5乗の項は、6個の(x+2)から5個のxと1個の2を選んでかけている項です。
    それは、xxxxx2を並べる順列と同じ個数だけ同類項があります。
    同じものを含む順列の考え方を用いて、6C1=6。
    係数としては、2も係数となりますので、6×2=12となります。
    xの4乗の項は、6個の(x+2)から4個のxと2個の2を選んでかけている項。
    それは、xxxx2・2を並べる順列と同じ個数だけあります。
    同じものを含む順列の考え方を用いて、6C2=15。
    2・2も係数となりますので、15×4=60。
    この辺で法則が見えてきたと思います。

    例えば、6C2の「6」は、(x+2)6の「6」です。
    6C2の「2」は、(x+2)の2を「2個」選んでいることを示します。
    それはxを6-2=4(個)選んでいるということでもあります。
    では、問題のx3の係数はどう求めることができるでしょうか。
    x3ということは、6個の(x+2)から、xを3個選んだということ。
    それは、2のほうを6-3=3(個)選んだということです。
    すなわちx・x・x・2・2・2の並べ方だけ、同類項が存在します。
    6C3=(6・5・4)÷(3・2・1)=20。
    2の3乗も係数となりますから、20×23=160。
    答えは、160となります。

    二項定理は、2項のうちの前の項、(x+2)で言えばxの項を初めは6回かける項、次はxを5回2を1回かける項というように、前の項を1個ずつ減らし、後の項を1個ずつ増やしていく形をとっています。
    最後は、全て後の項、(x+2)で言えば2を6回かけて終わります。
    二項定理の一般項は、nやrやn-rといった文字を用いるためか、それで混乱する高校生がいるのですが、全体の流れを把握することで一般項の意味を理解しましょう。

    二項定理を利用する際、前の項の指数を1つずつ減らすと頭ではわかっているのに、途中から前の項の指数を逆に1ずつ増やしてしまうミスをする人は案外多いです。
    また、単純に指数を「書きもらす」「書き間違える」「計算を間違える」を繰り返す人も多いです。
    指数を1つ書きもらしたら、それ以降の計算は全て無駄になります。
    指数の書きもらしは、高校生に極めて多いミスの1つです。


    もう少し解いてみましょう。

    例題 (2x-3y)7 を展開したときのx4y3の係数を求めよ。

    基本の解き方は同じですが、xの項もyの項もそれぞれ1以外の係数がついているのに注意する必要があります。
    それらも全て項全体の係数に含まれていきます。
    x4y3の項ですから、7個の( )から、xを4回yを3回選んでかけた項ということでしょう。
    すなわち、その項の出てくる回数は、7C3。
    さらに、単純にx4y3ではなく、(2x)4・(-3y)3ということなのですから、xの係数である2の4乗、yの係数である(-3)の3乗も係数となります。
    7C3・24・(-3)3
    =(7・6・5)÷(3・2・1)×16×(-27)
    =-15120

    これが答えです。


    さて、ここからは応用です。
    考えてみましょう。

    例題(3x2+x)8 を展開したときの x10の係数を求めよ。

    この問題が今までのもとは違うのは、( )内のどちらの項にもxが含まれていることです。
    どんなときにx10になるのでしょうか?
    3x2の項を5回かけた場合?
    でも、そのとき、もう一方のxの項も3回かけますから、xの指数は合計で13になり、問題の指示とはことなる項になってしまいます。

    こうした問題では、まず、どちらの項を何回ずつかけたらx10の項になるのかを求める必要があります。

    3x2をp回、xをq回かけた項がxの10乗の項であるとします。
    全体で8乗、すなわち、8個の同じ( )から、どちらかの項を1つずつ選んでかけていくと個々の項が出てくるのですから、
    p+q=8・・・① となります。
    また、x10という結果になることを踏まえると、指数法則から、
    2p+q=10・・・② となります。
    (3x2)p・xqという項がx10の項となることから、その指数部分だけを見て②の式を立てています。
    指数法則の理解が曖昧だと、ここは少し難しいところかもしれません。
    指数法則の基本を振り返ってみましょう。
    22×23は、2の何乗でしょうか?
    22×23=(2・2)×(2・2・2)=25 です。
    すなわち、積の場合は、指数同士をたすことになります。
    また、(22)3は、2の何乗でしょうか?
    (22)3=(2・2)×(2・2)×(2・2)=26 です。
    すなわち、累乗の場合は、指数の積となります。
    したがって、上の式のは、
    (3x2)p・xq=3p・x2p・xq ですので、xの次数は、2p+qとなります。
    ①・②を連立して解くと、
    p=2、q=6
    よって、3x2を2回、xを6回かけた項がxの10乗の項であるとわかります。
    あとは、二項定理にあてはめて、係数は、
    8C6・32・16
    =(8・7)÷(2・1)×9
    =4・7・9
    =252
    これが答えです。

    さらにこのような問題はどうでしょうか。

    例題 (x2+1/x)10 を展開したときのx11の係数を求めよ。

    後の項は分母にxがある分数です。
    前の項との積は、約分されてxの次数が減ってしまいます。
    x2をp回、1/xをq回かけるとすると、
    p+q=10 ・・・① であるのは上の問題と変わりませんが、
    xの指数はたし算ではなくなります。
    約分されて減りますから、
    2p-q=11 ・・・② となります。
    (x2)p・(1/x)q を計算すると、分子はx2p、分母はxq ですから、分母にあるだけのxを約分することになります。
    約分の結果、xの次数は 2p-q となります。
    それが10だというのが、②の式です。
    ①、②を連立して、
    3p=21、すなわちp=7、q=3 です。
    x2を7回、1/xを3回かけた項がxの11乗となることがわかりました。
    二項定理より、
    10C3=(10・9・8)÷(3・2・1)=10・3・4=120
    係数は120です。

    二項定理だけでなく、指数法則の理解が必要なので、こうした問題は易しい教科書や問題集からは除外されていることがあります。
    使っている指数法則自体は中学校で学んでいる内容なのですが、pだのqだのと抽象化されると「全くわからない」と言う高校生は多いです。
    しかし、この先数Ⅱ「指数関数」を学習した後に受験勉強で解き直すと、少しは理解しやすくなるかもしれません。
    いずれにせよ、大学入試はこのレベルです。
    センター試験は基本問題ばかりとは言いますが、計算ドリルみたいな問題は出題されませんので、最低でもこのレベルとなります。

      


  • Posted by セギ at 11:53Comments(0)算数・数学

    2019年06月26日

    数学Ⅱ「式と証明」多項定理。


    今回は、「多項定理」の学習です。
    例えば、こんな問題です。

    問題 (a+b+c)7の展開式におけるa3b2c2の係数を求めよ。

    まずは、(a+b+c)7を逐一展開することをイメージしましょう。
    考え方の基本は二項定理のときと同じです。
    (a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)
    と書いてみるとわかりやすいと思いますが、この7つの( )から文字を1つずつ選んでかけたものが、展開した際の1つ1つの項となります。
    aaaaaaaすなわちa7は1度しか出てきませんので、係数は1だとすぐわかりますが、aaabbccすなわちa3b2c2は、何回も同じものが出てくるでしょう。
    どの( )からaを選び、どの( )からbを選び、どの( )からcを選ぶのか。
    それらを選んで並べた順番だけ、同じ項が出てきます。
    aaabbccだったり、aababccだったりと、文字の順番はそれぞれ違うでしょうが、まとめるとa3b2c2となることに変わりはない同類項です。
    そしてそれの出てきた回数が、a3b2c2の係数となるでしょう。

    それは、aaabbccを並べる順列の数と同じです。

    すなわち、ここでも用いるのは「同じものを含む順列」です。
    「同じものを含む順列」の考え方は2通りあります。
    前回は並んだ箱をイメージして、特定の文字を入れる箱をそこから選ぶという考え方を用いました。
    今回は別の考え方を用いてみましょう。
    aaabbccで言えば、まずは7つの文字の順列を単純に考えます。
    すなわち、7P7=7!ですね。
    しかし、これは、同じ文字を別のものとして数えています。
    aについて考えれば、aの後ろに番号をつけて区別して、3つのa1,a2,a3をそれぞれ別の文字として数えていることになります。
    しかし、表面的には、それらは同じ文字です。
    a1,a2,b,a3,b,c,c も、a2,a3,b,a1,b,c,c も、実質は同じ並べ方で、区別する必要がありません。
    7!では、同じ並べ方を何度もかぶって計算していることになります。
    どれだけかぶって計算しているでしょうか?
    上の例で言えば、
    〇〇b〇bcc
    の〇の位置にaがあります。
    その3つの〇にa1,a2,a3を並べる順列だけ、同じ並べ方を何度もかぶって計算しているでしょう。
    すなわち、aに関しては、7!を3!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
    次に、bについてはどうでしょう。
    これも同じで、2つのbの位置にどちらのbを入れても実質は同じなので、bの並べ方だけかぶって計算していますから、2!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
    最後のcについても同様に、2!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
    すなわち、7!/(3!2!2!) をすることで、正しい順列の数が導かれます。
    7!/(3!2!2!)
    =(7・6・5・4・3・2・1)/(3・2・1・2・1・2・1)
    =7・6・5
    =210

    これがa3b2c2の係数です。

    ところで、前回のようなCを使った求め方はできないでしょうか。
    上の問題で言えば、まず7つの並んだ箱をイメージします。
    その7つから、aを入れる3つの箱を選びます。
    すなわち、7C3です。
    次に、残った4つ箱からbを入れる箱を選びます。
    これは、4C2です。
    上の2つは積の関係が成り立ちますから、7C3・4C2で全体の数を求めることができます。
    ここで、残った2つの箱には自動的にcが入ります。
    だから計算しなくても良いのですが、2つの箱から2つを選ぶ、すなわち2C2をやるとしても、同じ結果になります。
    2C2=1ですから。
    それをあえて書くと、
    7C3・4C2・2C2
    =(7・6・5/3・2・1)×(4・3/2・1)×(2・1/2・1)
    分数で表記するとよりわかりやすいと思いますが、これは上の解き方の、
    (7・6・5・4・3・2・1)/(3・2・1・2・1・2・1)
    と全く同じ式です。
    結局、この2つは同じ式になるのです。
    だとしたら、上の解き方のほうが、簡単に立式できそうです。
    7!/3!2!2!
    の分子の「7」はどこから来た数字かというと、(a+b+c)7の「7」です。
    分母の3!2!2!の「3」「2」「2」は何の数字かというと、a3b2c2という項のそれぞれの文字の指数です。
    与えられた式の指数と求める項の指数を見ただけでささっと立式できます。
    そのようにして公式化されたもの。
    それが多項定理です。


    別の問題も解いてみましょう。

    問題 (a-b+2c)7 の展開式におけるa2b3c2の係数を求めよ。

    まず、7!/(2!3!2!) は必要ですが、これだけではありません。
    それぞれの項に1以外の係数がありますので、それも考えます。
    bの係数は-1ですので、-bを3回かけたのですから、(-1)3も係数としてかけなければなりません。
    cの係数は2ですので、22もかけなければなりません。
    したがって、
    7!/(2!3!2!)・(-1)3・2
    =-210・4
    =-840
    これが答えとなります。


    二項定理も多項定理も、一度出てくるとまたしばらく出てこないせいか忘れやすく、忘れてしまうと公式の意味がわからないので使えなくなり、また公式の意味を一から説明しなければならなくなることが多い定理です。
    公式というのは不思議なもので、「この公式は以前に自分は理解した」「証明も理解した」という記憶が残っていれば、今、その証明を覚えていなくても、自信をもって使用できます。
    しかし、公式自体を完全に忘れてしまい、学習した記憶すらないようだと、急に「この公式を使って」と言われても、気持ちが硬直し、手が止まってしまって使えない人が多いです。
    その都度、なぜその公式で解けるのか、基礎の基礎に戻らなければなりません。
    多項定理の場合、説明しようとすると順列や組合せの基礎にまで戻らないといけないですし、実は順列と組合せもよく理解できていなかったことが掘り起こされてしまったりします。
    そうした復習は一度で済めば「良い機会だった」「良い復習ができた」という感想を教える者も教わる者も抱きますが、多くの場合、一度では済まない覚悟が互いに必要です。
    そのときはわかったような気がしても、また忘れてしまう人が多いのです。
    苦手なことを得意にするというのは、生易しいことではありません。
    どうせまた忘れてしまうのだから、諦めて丸暗記して使えばいいのに・・・というわけにはいきませんし。

    記憶が残るようになるまでは何度でも説明。
    そうする覚悟が教える側に必要となります。

    とはいえ、教わる側にも遠慮が生じるようです。
    個別指導だから、わからないことは何度でも質問していいはずだけれど、センセイがちょっと変な顔をしているなあ・・・。
    以前に説明したのに・・・という顔だなあ。
    きっと説明されたんだろうなあ。
    覚えてないけど。
    ということはあるようです。

    そんなときは、教科書や参考書、こうしたネットの記録や動画を利用するのをお薦めします。
    応用問題の解き方などは調べてもわからない場合が大半と思いますが、基本の公式の意味と証明は、すぐに調べることができます。
    何度でも復習できます。


    少し話が変わりますが、先日、高校生から「英語のリスニング力を強化したい」という相談があり、それはリスニング教材で実際に練習するのも勿論だけれど、NHKのラジオ講座がいいよと話しました。
    そのとき、その子は、問い返しました。
    「え?NHKはラジオもそういうのをやっているんですか?英語もやっているんですか?」
    「・・・うん?どういうこと?」
    「高校の物理の先生がNHKの物理講座がいいというので、録画して見てるんで。あれはかなり助かります」
    「・・・ああ。それは、NHK高校講座の番組ですね。テレビやラジオで番組を見たり聞いたりして、レポートを書いたり、テストを受けたり、スクーリングに参加したりすると、高校卒業の資格を得ることができるんですよ」
    「・・・え?何ですか、それ」
    「・・・ていうか、私の勧めるラジオ講座は、それじゃないんだけど」
    「・・・え?」
    といった、かなり混線した会話を交わしました。

    NHK語学講座のことも、それとは別系統のNHK高校講座のことも、知らない子は全く知らない。
    勿体ないことだと思います。
    NHK高校講座数学Ⅰはテレビで、数学Ⅱはラジオで通年放送中です。
    非常に易しいので、基本中の基本を理解したい人にお薦めです。
    急に授業が空いて、午後7時台にぽつんと1人教室にいるときなど、ラジオ講座数学Ⅱを聴くことがあります。
    テキストがなくても聴き取れるほど易しいです。
    テキストがあればさらに易しいでしょう。
    お薦めです。

      


  • Posted by セギ at 14:49Comments(0)算数・数学

    2019年06月17日

    1学期中間テストの結果が出ました。2019年。


    1学期中間テストの結果が出ました。

    数学 70点台 1人 60点台 1人 50点台 2人
    英語 80点台 1人 50点台 1人 40点台 2人

    受験が終わり、新学期になり、塾生の顔ぶれもかなり変わりました。
    さあ、まずはここから。
    前回、数学が40点台、英語が30点台だった人は、順調に上昇しました。


    数学の成績が思うように伸びない高校生の保護者の方からこんなふうな相談をされることがあります。
    「数学はこつこつ勉強しているようなんですが」

    数学をこつこつ・・・。
    それは、数学を勉強している時間は長いのだろうけれど、質や量の面はどうなのかなあ・・・。
    つい、そう考えてしまいます。

    大半の高校は、問題集を生徒に配っています。
    定期テスト範囲としてその問題集からページ指定があり、テスト当日の朝にそのページの問題を解いたノートを提出することになっている高校が多いです。
    数Ⅰと数A、数Ⅱと数Bのように、高校数学は2科目あります。
    1回のテスト範囲でそれぞれ15ページから20ページのテスト範囲が指定されます。

    数学が苦手な子は、高校数学の問題集を1ページ解くのに、2時間から3時間かかります。
    数学2科目で合計30ページの問題集を1回解くのに最低で60時間かかる計算になります。
    確かに数学をこつこつ勉強しているでしょう。
    けれど、それでもテスト範囲の問題集を1回解いただけなのです。

    その1回の中身も、質的にかなり怪しいのが実状です。
    公式を覚えていないので、教科書や問題集の解答解説と首っぴきで解いているのではないでしょうか。
    公式を代入するだけの基本問題ですら、教科書でその公式を見ながら代入しています。
    定期テスト必出の典型題も、解答解説を見ながら解いているだけです。

    そのように解答解説を見ながら解いても、時間はかかります。
    式を書き写した後は、自分で計算しようとする子が大半だからです。
    答えを書き写しているという意識が本人にはなく、わからないところだけ参考にしているつもりですから、そうなります。
    そうやって計算し終わって解答を見ると、間違っている・・・。
    どこかで計算ミスをしているのです。
    どこで計算ミスをしたのか?
    その発見と直しに、また時間がかかります。
    問題集を1回解き終わる頃には定期テスト前日になっています。

    その状態で定期テストを受けると結果はどうなるか?
    公式だけは、直前に暗記して、テスト用紙の上のほうに急いでメモしたとしても。
    どの問題でその公式を使うのか、よくわからない。
    その公式の代入の練習をしたのは随分前なので、どう代入するのかよくわからない。
    他の科目と比べて随分勉強時間を使ったのに、どうしてこんなに解けないんだろう・・・。
    そういうことになりがちです。

    少しの解決策としては。
    最初に公式を覚え、重要事項を復習し、その後、教科書や解答解説を見ないで問題を解くことです。
    せっかくこつこつ勉強している時間は、有効に使いましょう。
    「あとで覚えよう」
    と思っていたら、高校の公式は覚えきれません。
    忘れるのも早いです。

    抜本的な解決策としては。
    学校の問題集で少しでも解答解説を見て解いた問題は、必ずチェックを入れ、時間をおいて解き直しましょう。
    別の問題集でも復習するとなお良いでしょう。

    しかし、それには、それだけの勉強をする時間の確保が必要です。
    問題集1ページに2時間も3時間もかかっているのを何とかしないといけません。

    何で1ページに2時間も3時間もかかるのか?
    解き方を考えているから時間がかかっているわけではありません。
    それならむしろ良いのですが、大抵は、1分と考えずに解答解説を見ているはずです。
    それでも、2時間から3時間かかるのは、計算が遅いからです。
    遅い上に計算ミスもするので、その直しにさらに時間がかかり、結果、1ページに2~3時間かかってしまうのです。

    数学は頭脳のスポーツと言われるくらいですから、若いほうが有利です。
    理系に進む子は、高校生の段階で、私よりも計算は速くなります。
    文系でも、最低限、私と同程度のスピードでなければ、センター試験を時間内に最後まで解くことができません。

    しかし、現実には、何にそれほど時間がかかっているのだろうと疑問なほどに計算の遅い子が多いのです。
    しかも、ノートを覗き込んでも、何をしているのかよくわからないのです。
    計算過程が数学が得意な子とは違うため、何をしているのか見てもわからない・・・。
    なぜ、( )をそこで開くの?
    なぜ、そことそこを約分するの?
    なぜ、そんな順番で計算するの?
    なぜ、そこで同類項の整理をしないの?

    それは、やり方が間違っていることもありますし、間違ってはいないけれど遠回りになっていることもあります。
    そういうことの積み重なりが計算ミスをしやすい原因の1つであり、解くのにも直すのにも時間がかかる原因となっています。
    数学が頭脳のスポーツであるならば、計算には正しいフォームが必要です。
    合理的な正しいフォームで計算すれば、案外ゆっくり解いていても、答えは速く出ます。

    しかし、計算フォームというのは癖になっていて、きわめて直しにくいことの1つです。
    本人が強く自覚した上でも、矯正に時間がかかります。
    最初から正しいフォームを身につけていれば、こんなことにならないのに、と思います。

    また、そもそもかけ算・わり算の暗算が上手くできない人は、速く計算できません。
    そんなに凄い暗算をしろといっているわけではありません。
    ×1桁、÷1桁を暗算する力を持っていてほしいのです。
    もっと言えば、数字を頭の中で因数分解する力が欲しいのです。
    例えば、75=25×3 であることが筆算しなくてもパっとみてわかる力。
    48=16×3 であることを見てとれる力。
    あるいは、どんな数が7で割りきれ、どんな数が9で割りきれるかを見る力。

    これができないと、小学校5年以降の分数の通分・約分にもたつきます。
    小6以降、分数のかけ算・わり算にもたつきます。
    中1以降、小数の計算がほぼ姿を消し、分数計算ばかりになるため、数学そのものに苦手意識を持ちます。
    中3以降、因数分解が上手くできません。
    中3以降、平方根の整理にもたつきます。
    中3以降、2次方程式の計算にもたつきます。
    中3以降、三平方の定理の活用にもたつきます。
    高1以降、2次関数の整理にもたつきます。
    高1以降、三角比の計算にもたつきます。
    高1以降、確率の計算にもたつきます。
    高1以降、データの計算にもたつきます。
    高1以降、不定方程式の計算にもたつきます。
    高2以降、・・・もうやめましょう。

    整数を見たときに、その整数が何かの積の形に見えること。
    それができない数は素数であることを認識していること。

    数学が得意な人にとって当たり前のそのことに、数学が苦手な人は気づいていないことがあります。

    小学校5年になって約分・通分を学習してから急に「かけ算・わり算は暗算しろ」と命令されるわけではありません。
    そうとは言われない形で練習を繰り返しているのが、わり算の筆算です。
    わり算の筆算をスムーズに行う子は、×1桁、÷1桁の暗算がスムーズにできる子です。
    さらに言えば、わり算の筆算はそれにひき算も加わりますから、総合格闘技のようなものです。

    わり算の筆算自体は、中学以降は使う機会が減っていきます。
    全て分数で処理していきますから、筆算で割るのではなく、約分していきます。
    しかし、その約分は、わり算の筆算で鍛えてきたからこそ楽にできるようになるものです。
    約分は、わり算を暗算で行うものだからです。
    約分しなければならない段階になって急に「暗算しなさい」と言われても、練習していない子には難しいのです。
    一方、わり算の筆算が得意だった子は、最初から大きな数でバッサバサと約分できます。
    ちまちまと2や3で約分することを繰り返して途中で計算ミスをしたり、答案が汚くなって自分で見誤るといった事態を避けることができます。

    将来の約分のためにも、わり算の筆算は有効。
    ところが、全く暗算しないでわり算の筆算をする小学生もいます。
    商にまず「5」を立てて、実際に筆算し、違ったら消してやり直すのです。
    何でも「5」から始めて、1ずつ数字を上げていったり、下げていったりするのです。

    ・・・誰が教えたのだろう、こんな頭を使わない方法を。

    人間はコンピュータじゃないんですから、無駄なことを機械的に全部試すようなことは、させたらダメです。
    コンピュータはそういうことを猛スピードでできるので計算の結果は速く出ますが、人間がそれをやったら単なるわり算の筆算1問に5分もかかることがあります。
    人間を性能の悪い電卓にしてはいけない。
    わり算の筆算は、わり算をするためだけに練習しているのではありません。
    その先の学習の準備も兼ねています。
    全ての学習は、上へ上へと積み上がっていくのです。

    ただ、同じようにそれを教わっても、商に何でも「5」を立てることの無駄に早い時期で気づく子もいるでしょう。
    もっと予測を立てて、一度で正しい商を立てたら良くないか?
    わる数と予測した商との積を頭の中で暗算して、その商が正しいことを確認することは可能ではないか?
    繰り上がってくる数があるのが少しややこしいけれど、やろうと思えばできる。
    そう思う子は、商をスパスパ立て、わり算の計算問題をこなしながら、暗算力も鍛えていくのです。

    何でもまず「5」を立てて順番にやれば頭を使わなくていい。
    そんなところに安住していたら、将来、数学は相当苦しいものになると思います。

    ・・・結局、そういうことの繰り返しだったのではないか?
    例えば、中学3年になったとき、平方根の整理は、頭の中で数字を分解せず、何でも素因数分解の筆算をしてきたのではないか。
    平方根のかけ算は、平方根どうしをまずかけ算して、たとえ3桁の数になったとしても、それから素因数分解してきたのではないか。

    もっとも不器用で回り道なやり方を、それが一番頭を使わない方法だから、常に選択してきた。
    その結果が、今、高校数学の、遠回りで計算ミスだらけの答案になっているのではないか?
    工夫したやり方、頭を使うやり方を避けて、地道でも必ず答えの出るやり方を選んできたつもりが、地道過ぎて時間ばかりかかり、途中で計算ミスするため正答の出ないやり方にいつの間にかなっていた・・・。

    高校生の数学の答案に、そのような痕跡を見ることがあります。
    計算のフォームを変えましょう。
    遠回りで無駄な計算を長年やってきた分だけ、直すのに時間はかかると思います。
    それでも、改革が必要なことはあります。

      


  • Posted by セギ at 14:55Comments(0)算数・数学

    2019年06月15日

    高校数Ⅱ「式と証明」、4次式の展開と二項定理。




    数Ⅱの学習に入り、まずは3次式の展開、そして3次式の因数分解と学習しました。
    今回は、4次以上の式の展開に進みます。

    例題 (a+b)4 を展開しなさい。

    これは「二項定理」を用いて解いていくのですが、「二項定理」を理解し活用するためには、数Aで学習した「同じものを含む順列」という学習内容が身についていることが必要です。
    そして、「同じものを含む順列」を理解するためには、「組合せ」の基本を理解していることが前提となります。

    前回の3次式の因数分解でもそうでしたが、数Ⅰ・数Aの学習内容が身についていないと、新しい定理の学習が上手く進みません。
    授業では、「二項定理」を説明する前に、「同じものを含む順列」や「組合せ」について確認することが多いです。

    以下は、順列と組合せの復習です。

    例題 a、b、c、dから3つを選んで順番に並べる方法は何通りあるか。

    これが「順列」です。
    樹形図をイメージして考えていきます。
    1番目にくる候補は4通り。
    2番目は、そのそれぞれから樹形図の枝が3通りに広がります。
    3番目は、さらにそこから2通りに広がっていきます。
    したがって、式は、4×3×2=24
    高校数学では、
    4P3=4・3・2=24
    と表します。
    答は24通りです。

    したがって、順列の一般式は、
    nPr=n(n-1)(n-2)・・・・(n-r+1)
    となります。
    最後の(n-r+1)の意味がよくわからないという生徒がときどきいますが、要するに、nから順番に1ずつ小さくなる数を全部でr個かけていくということです。
    上の4P3ならば、4から始めて、4・3・2と全部で3つの数をかけました。

    それに対して「組合せ」は選ぶ順番は関係ない選び方です。

    例題 a、b、c、dから3つを選ぶ方法は何通りあるか。

    3つ選ぶだけなので、順番は関係ないですね。
    abcという選び方も、acbという選び方も、同じ選び方です。
    順番が関係ないことが「順列」との違いです。
    ですから、上の4P3の計算方法では、同じ選び方を何回もダブって数えてしまうことになります。
    具体的には、どれくらいダブって数えてしまうでしょう。
    abcを例にとれば、そのabc3つの並べ方だけダブって数えているでしょう。
    abc、acb、bac、bca、cab、cbaの6通りです。
    この計算方法は、3つから3つを選んで並べる順列です。
    すなわち3P3=3・2・1=6 です。
    よって、組合せは、上の4P3を3P3で割れば求められます。
    (4・3・2)÷(3・2・1)=4
    答えは4通りです。
    一般式としては、
    nCr=nPr÷rPrです。

    「組合せ」の基本の復習が終わったところで、次は「同じものが含まれる順列」の復習に進みます。

    例題 a、a、a、b、bの5文字の並べ方は何通りあるか。

    これは、普通の順列5P5ではダメです。
    普通の順列の計算では、3個あるaや2個あるbをそれぞれ区別して並べてしまうことになりますが、見た目が同じものは、同じ並べ方です。
    このaとあのaは実は違うと言われても、見た目が同じですから、同じ並べ方として数えるしかありません。
    5P5では、同じ並べ方を何回もダブって数えてしまうことになります。

    では、どうするか?
    同じものが含まれる順列は、これらの文字を入れる箱をまずイメージします。
    この問題では、5個の箱が横に並んでいると考えます。
    その箱のどれにa3個を入れるかを考えます。
    残る2個の箱には自動的にbが入ります。
    3個の箱の選び方は、
    5C3=(5・4・3)÷(3・2・1)=10
    答えは10通りです。
    ちなみに、aを入れる箱を選んでから、残る2個の箱からbを入れる箱2個をあえて選んでも同じ結果となります。
    5C3・2C2=(5・4・3)÷(3・2・1)×(2・1)÷(2・1)=10
    同じです。

    さて、以上で復習が終わりました。
    いよいよ、ここから一番上の問題を解いていきます。

    例題 (a+b)4 を展開しなさい。

    ( )を全て書いていけば、この式は、(a+b)(a+b)(a+b)(a+b)
    となります。
    これを、まずは公式を使わず、逐一展開してみましょう。
    4つの(  )から、1つずつ文字を選んで順番にかけていくことで展開できます。
    (a+b)4
    =aaaa+aaab+aaba+aabb+abaa+abab+abba+abbb+baaa+baab+baba+babb+bbaa+bbab+bbba+bbbb
    同類項をまとめると、
    =a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4
    となります。
    ( )の中の文字aとbのどちらか1つを選んで4つ並べていくことで1つの項が形成されるのをご理解いただけるでしょうか。
    地道に展開すると、このように解いていくことになります。

    これを、このように逐一展開するのではなく、計算で解いていく方法はないでしょうか。
    同類項ごとに、同じ同類項が何回出てくるのか考えてみます。
    aaaaすなわちa4という項は1つしかないですね。

    aaab、すなわちa3bは、逐一展開する中で何回か同じものが出てくることが予想されます。
    それは、何回出てくるのでしょうか?
    その回数がa3bの係数となるでしょう。
    その計算方法はないでしょうか?

    それは、aaabの4文字の並べ方と同じ数ではないでしょうか。
    何番目の( )からbを選んだかの数と同じという言い方もできます。
    「同じものを含む順列」の考え方をここで利用します。
    aaabの4文字を並べる順列。
    4つの箱をイメージします。
    bを入れる箱を選びましょう。
    4C1=4です。
    ちなみに、aを入れる箱3つを選んでも、同じ答えになります。
    4C3=(4・3・2)÷(3・2・1)=4です。

    次に、aabb、すなわちa2b2の係数はどうなるでしょう。
    aabbの4文字を並べる順列の数と同じでしょう。
    すなわち、4C2=(4・3)÷(2・1)=6です。

    abbb、すなわちab3の係数はどうでしょう。
    abbbの4文字を並べる順列の数と同じでしょう。
    すなわち、4C3=4C1=4です。

    最後にbbbb、すなわちb4は、1回しか出てこないとすぐに判断できますが、これも組合せの考えを使うならば、
    4C4=1とみなすことができます。
    ならば、最初のaaaaすなわちa4の係数も、4C0=1とみなすことができますね。
    bを1回も選ばないということです。
    よって、
    (a+b)4
    =4C0a4+4C1a3b+4C2a2b2+4C3ab3+4C4b4
    =a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4

    逐一展開したときと同じ結果になりました。ヽ(^。^)ノ

    これを一般化したものが「二項定理」です。
    二項定理をここに書こうかと思いましたが、このブログの形式では、上の式でも読みにくいのに、nだのrだと文字ばかりになると最悪の読みにくさなので、公式の確認はお手元のテキスト等をご覧いただけますと幸いです。
      


  • Posted by セギ at 13:37Comments(0)算数・数学

    2019年06月09日

    小学校算数。円の面積に関する応用問題。



    問題 半径2㎝の円を組み合わせた上の図の灰色の部分の面積を求めなさい。
    ただし、円周率は3.14とします。

    この図をどう見るか、そして計算の工夫をどうするかで、この問題を解くスピードは大きく違ってきます。
    最短で1分とかかりませんが、計算にまごつくと10分以上かかることもあると思います。

    まずは、比較的発想しやすい普通の解き方で考えてみましょう。
    4つの円が重なっているこの図の、重なって白抜きになっている葉っぱのような形に注目します。
    受験算数では、「葉っぱ形」あるいは「ラグビーボール形」などの通称でおなじみの形です。
    4つの円の面積の和から、この葉っぱ形を引けば、求める面積が出ます。
    葉っぱ形を何個分引けば良いでしょう?
    4個?
    いいえ。
    二重に重なったものが両方の円について白抜きになって失わているのですから、1つの葉っぱにつき2個分の面積が失われていることになります。
    したがって、4つの円の面積の和から、8個の葉っぱ形の面積を引けば、求める面積が出ます。

    ところで、葉っぱ形の面積はどうすれば求められるでしょう。
    近年は、小学校の教科書にも葉っぱ形の面積1つを求める問題は載っています。

    この葉っぱ形の求め方も、考え方は2つあります。
    1つは、まず葉っぱの半分を求めて、それを2倍する方法です。
    中心角90°のおうぎ形から、直角二等辺三角形を引くことで、葉っぱの半分の面積を求めます。
    今、この図の葉っぱ形は、1辺2㎝の正方形に囲まれている葉っぱ形です。
    半径2㎝中心角90°のおうぎ形から、直角を挟む2辺の長さが2㎝の直角二等辺三角形を引くと、
    2×2×3.14÷4-2×2÷2
    =3.14-2
    =1.14
    これが、葉っぱの半分の面積ですから、葉っぱ1つの面積は、
    1.14×2=2.28

    葉っぱ形の面積も求め方の、もう1つの考え方は。
    90°のおうぎ形を向かいあわせに重ねて正方形を作ったときの重なった部分が葉っぱ形となります。
    ということは、おうぎ形2つ分から正方形を1つ引いたものが、葉っぱ形となります。
    2×2×3.14÷4×2-2×2
    =6.28-4
    =2.28

    葉っぱ形の求め方に関する基本的な考え方はこの2つですが、中学受験では葉っぱ形はよく出てくるので、その都度いちいちこんなことをしているのは面倒です。
    正方形の中で葉っぱの面積はどのような割合になっているかを考えてみるのはどうでしょう。
    まず、数値のわかりやすい基本となる正方形で考えてみます。
    1辺1㎝の正方形に囲まれた葉っぱ形の面積は、上の求め方を用いるなら、
    1×1×3.14÷4×2-1×1
    =1.57-1
    =0.57
    面積が1㎠の正方形の中に、0.57㎠の葉っぱ形があります。
    この割合は、正方形が大きくなっても小さくなっても、変らないでしょう。
    つまり、葉っぱ形は、常に正方形の面積の0.57倍です。
    1辺2㎝の正方形に囲まれた葉っぱ形は、
    2×2×0.57=2.28 
    となります。
    0.57倍ということだけ覚えておけば、とても簡単ですね。
    「名探偵コナン」と、ごろ合わせで覚えておきましょう。
    コナンで、57です。

    0.57という数字は、中学生になって円周率がπになったらもう何の意味もない数字ですので、中学受験をするのでなければ覚える必要はありません。
    そんなものを覚えるより、葉っぱ型をどうやって求めるか、その考え方は理解しておいたほうが良いのです。
    その考え方は、中学で円周率がπになっても使います。

    ともかく、上の問題の葉っぱ1つが2.28㎠だとわかりました。
    これで問題を解くことができます。
    円4つから葉っぱ8つを引きます。
    2×2×3.14×4-2.28×8
    真面目に計算してもミスしなければ答えが出ますが、少し計算の工夫をしたほうが簡単でしょう。
    2×2×3.14×4-2.28×8
    =2×3.14×8-2.28×8
    =(6.28-2.28)×8
    =4×8
    =32
    答えは、32㎠ です。


    この解き方でも、勿論答えは出るのですが、よりスマートな解き方はないでしょうか?
    この図を見てください。






    あれ?
    直しても直しても画像が傾く・・・。
    仕方ないので、この図で説明しましょう。
    上の図を、円が4つ重なっているのではなく、東京都のマークのようなイチョウの葉が4つある図と見ます。
    その1つに着目し、葉っぱの茎の付近の部分を上の図のように長方形で囲みます。
    この長方形は、中心角90°のおうぎ形2つと、葉っぱの茎の部分とに分けられるのが見えるでしょうか。
    中心角90°のおうぎ形2つ?
    それは、茎より上の部分の半円を2つに分ければ、ちょうど、中心角90°のおうぎ形2つになります。
    つまり、イチョウの葉と、長方形とは、面積が等しいです。
    この長方形の面積は?
    2×4 です。
    求める面積はイチョウ4個分ですから、
    2×4×4=32
    答えは、32㎠。
    とても簡単に求めることができますね。

    ほんのちょっとした発想や計算の工夫で、難しい問題はとても簡単に解くことができます。
    ヽ(^。^)ノ


      


  • Posted by セギ at 14:30Comments(0)算数・数学

    2019年06月06日

    高校数Ⅱ「式と証明」。3次式の因数分解と対称式の計算。


    今回から数Ⅱの学習に入ります。
    まずは、「3次式の因数分解」です。
    例えば、こんな問題です。

    問題 27x3+8y3 を因数分解せよ。

    3乗+3乗 の因数分解の公式を使うのだと、すぐにピンとくる人が多いと思います。
    この公式は、一応数Ⅱの学習範囲なのですが、数Ⅰの教科書や参考書にも載っていますので、そこで学習済みの人が大半でしょう。
    公式は、
    a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2)
    です。
    この公式は、右辺を展開すると左辺と同じになることから証明できます。
    疑問を感じる人は、一度、右辺を地道に展開して、左辺になることを確認すると良いと思います。

    公式が信頼できたところで、利用してみましょう。
    27x3+8y3
    =(3x+2y)(9x2-6xy+4y2)

    できました。ヽ(^。^)ノ

    では、こんな問題はどうでしょう。

    問題 x6-64 を因数分解しなさい。

    上の類題に見えて、これが意外に難しいのです。
    3次式の因数分解の公式のもう1本は、
    a3-b3=(a-b)(a2+ab+b2)
    です。
    直前まで、この公式の基本練習をしていると、それに引きずられやすくなります。

    xの6乗は、xの2乗の3乗。
    ということは、

    x6-64
    =(x2-4)(x4+4x2+16)
    =(x+2)(x-2)(x4+4x2+16)

    よし、できたー、と思ってしまいそうですね。

    しかし、これはまだ正解ではありません。
    x4+4x2+16 は、さらに因数分解できるのです。

    数Ⅰで学習しました。
    複2次式の因数分解というものです。

    x4+4x2+16
    =x4+8x2+16-4x2
    =(x2+4)2-(2x)2
    =(x2+4+2x)(x2+4-2x)
    =(x2+2x+4)(x2-2x+4)

    平方完成の考え方を利用する解き方です。
    存在しないものをあえて足し、その後同じものを引いて辻褄をあわせます。
    そんなことをしていいの?とキョトキョトする高校生もいます。
    答えを見たら理解できるけれど自分ではきっと発想できない、と諦めてしまう子もいます。

    それにしても、この問題、本当にこんなに難しい解き方しかないのでしょうか?
    実は、もっと易しいやり方があるのです。
    中3で学習した2次式の因数分解の公式、a2-b2=(a+b)(a-b)をまず利用します。
    その後、3次式の因数分解の公式を利用します。

    x6-64
    =(x3+8)(x3-8)
    =(x+2)(x2-2x+4)(x-2)(x2+2x+4)

    随分簡単に解いていくことができます。
    3次式の因数分解を勉強したのだから、3次式の公式だけを使うのだ。
    そういうふうに視野が狭くなっていると、一番上の解き方しか発想できません。
    6次式を2次式と4次式に分解したら、後が厄介なのではないか?
    それよりも、3次式と3次式に分解したほうが後がやりやすいのでは?
    慣れてくれば、そのように先の見当をつけて解いていくこともできると思います。


    続いては、「3次式の展開公式の利用」に関する問題。
    こんな問題です。

    問題 x+1/x=3のとき、x3+1/x3の値を求めよ。

    対称式の値に関する問題です。
    中3から既に発展的内容として学習していますし、数Ⅰでも、新しい単元になる度、その都度それに関する対称式の問題を学習してきましたから、そろそろ慣れてきている人も多いと思います。
    しかし、対称式の問題に対処する度に、同じことが同じように解けない人もいます。
    理解できなかったことがそのまま残ってしまっていたり。
    わかったつもりだったのが、結局わかっていなかったりするのだと思います。

    基本対称式に関する問題は、x+yの値と、xyの値、すなわち和と積と2本の式があるはずなのに、この問題は和の式しかない。
    これじゃ、解けない。
    あるいは、積が与えられていなかったから、基本対称式の問題だと気づかなかった。
    そういう人が多いです。
    確かに、この問題では、x+1/x=3 という和しか与えられていません。
    でも、積は計算できるのです。
    積は、x・1/x=1 です。
    これの理解が重要です。

    何年か前、数学が苦手な高校生とこんなふうな会話を交わしたことがあります。
    「積は、x・1/x=1と計算できるんですよ」
    「何でですか」
    「約分すると、そうなりますよね」
    「どうしてですか」
    「分母のxと分子のxを約分すると、1になるでしょう?」
    「でも、xって、何の数かわからないじゃないですか」
    「・・・・え?」
    「何の数かわからないのに、約分していいんですか」
    「・・・・約分していいですよ。分母のxが例えば8なら、分子のxも同じ8なのだから、約分できるじゃないですか」
    「xが8って、何でわかるんですか」
    「今、『例えば』と言いましたよ。8でも7でも、分母のxと分子のxは同じ数ですから、約分できますよ」
    「分母のxが8で、分子のxが7だったら、どうするんですか」
    「そういうことはないから、大丈夫ですよ」
    「何で大丈夫だってわかるんですか」

    ・・・・うーん、これは大変だ。
    数学が苦手な子の頭の中で、「変数x」は、こんなにも不安定なものなのだと実感しました。
    数Ⅰの復習云々ではなく、小学校の「関係をあらわす式」のあたりから、もうxとyに不信感があり、理解したふりで理解できずに高校生になってしまったのだろうと思うのです。
    方程式のときはxの値が定まったり。
    関数になるとxの値は定まらなかったり。
    数学がわからない子は、このあたりが特に混沌としているのだと思います。

    「方程式と関数って、何が違うんですか?」
    と問われることもあります。
    グラフを利用できる点でかなりの部分は重なるが、そもそも定義が異なるものなので違いを考える必要はないと思うが、と説明すると、しかし、彼らは余計に混乱します。
    数学がわからない人は、その学習段階では触れないほうが良い疑問に抵触しやすい人なのかもしれません。
    その一方、中学2年の「1次関数」の学習で、連立方程式をグラフで解く方法はどこの中学でも必ず学習するのです。
    また、x=3 や y=-2 といった式もグラフに表せることを学びます。
    方程式と関数はかなりの部分で重なるものであることがそのときに示され、積年の疑問が晴れて頭がスッキリするはずなのですが、その学習にそれほどの感動を示す子を見たことはありません。

    方程式と関数は、何が違うのか?
    彼らの考えている疑問の正体は、そういうことではないのかもしれません。
    方程式と関数は、同じもののようなのに、使い方が違うのはなぜなのか?
    わからないことの正体は、それなのかもしれません。
    彼らの混沌とした疑問は、言葉の数が少ないこともあって、本当に分析が難しいのです。

    数学が苦手ということは、どういうことなのか。
    その解明は、なお道半ばです。


    ともかく、上の問題をもう一度見直しましょう。

    問題 x+1/x=3のとき、x3+1/x3の値を求めよ。

    対称式の計算のとき、因数分解の公式の他に、便利な公式があります。
    a3+b3=(a+b)3-3ab(a+b)
    というものです。
    これなら、a+b とab さえわかれば代入して求められます。
    この式も、右辺を展開すれば左辺になることで証明できます。
    対称式の値を求めるために作られた公式です。
    使ってみましょう。

    x3+1/x3
    =(x+1/x)3-3x・1/x(x+1/x)
    =33-3・1・3
    =27-9
    =18
    これが答えです。



      


  • Posted by セギ at 11:11Comments(0)算数・数学

    2019年05月30日

    高校数A n進法 その3。分数の処理。


    今回が数A最後の内容です。
    内容は、「分数の小数表示と記数法」。
    10進法の分数をn進法の小数に直す問題を解きましょう。

    例題 1/4を5進法の小数で表せ。

    これは、10進法の小数をn進法の小数に直すときと、基本の考え方は同じです。
    まず、
    1/4=a/5+b/5の2乗+c/5の3乗+・・・・① とおきます。
    ①×5をすると、
    5/4=a+b/5+c/5の2乗+d/5の3乗+・・・
    両辺の整数部分を比較して、
    a=1とわかります。
    次に両辺から1を引いて、
    1/4=b/5+c/5の2乗+d/5の3乗+・・・② とおきます。
    ②×5をすると、
    5/4=b+c/5+d/5の2乗+・・・・
    よって、b=1。
    以下同様に、c=d=・・・・・=1とわかります。
    したがって、1/4=0.1111・・・・・です。

    分数や小数とn進法は、さすがにそこまで復習していないという人もいて、センター試験あるいはセンター模試でそれが出てしまうと、もう完全にアウトとなってしまう人が多くいました。
    解き方を知っているか知らないかだけの問題で白紙答案になってしまうのは勿体ないので、解き方をいつでも復元できるように、なぜそれで解けるのか、その理屈を理解しておくことをお薦めします。
    手順だけ覚えるのは、忘れるのも速いです。
    理屈を理解していれば、復元可能です。


    さて、ここで、n進法の応用問題を少し。

    問題 150台が駐車可能な駐車場がある。駐車位置は1から順に番号が付けられているが、4という数は使われていない。駐車位置の番号の中で最大の数は何番か。

    例えば0と1しか使わないのなら2進法だとわかるけれど、逆に、4だけは使わないというのは、どう解いたら良いのかわからない・・・。
    そういう人もいるかもしれません。
    もっと頭を柔らかく。
    4だけは使わないのですから、0、1、2、3、5、6、7、8、9の数字を使う。
    つまり、これは9進法なのだとわかります。
    ただし、普通の9進法は、0から8までの数字を使うのですが、これは4を使わないが9を使います。
    だから、計算した後に数字を変換する必要があります。

    まず、150を普通の9進法で表すと、
    150=1×92+7×9+6
    すなわち、176(9) となります。

    4を使っていないから、このままでいいでしょうか?
    いいえ、そういうわけにはいきません。
    9の2乗の位の数である1は、そのままでいいでしょう。
    9の2乗のまとまりが1組あるということは、4という数字を使っても使わなくても変わらずに1です。
    しかし、9の1乗の位の7は、普通の9進法での7です。
    9のまとまりが7組あるということです。
    その7組に、4を使わずに番号をつけるならば、1組目、2組目、3組目、5組目、6組目、7組目、8組目。
    つまり、これは7ではなく、8と表さなければなりません。
    最後に、一の位の6も、普通の9進法で、1が6個あるということです。
    それに番号をつけるならは、1、2、3、5、6、7。
    つまり、これも6ではなく7と表さなければなりません。
    よって、この駐車場の最大の番号は、187となります。

    さて、数ⅠAの学習がこれでひと通り終わりました。
    最初のほうで学習したことを忘れてしまっていると、数Ⅱの学習は困難を極めます。
    数Ⅱの学習を進めながらも、常に数ⅠAを復習すると良いと思います。
    1度では理解できなかったことも、2度目なら、案外すんなりと理解できることがあります。
    1度目は覚えきれなかった公式も2度目なら見慣れて、頭にすっと入ってきます。
    数学の学習は、諦めなければ必ず前に進むことができます。
    頑張りましょう。
    ヽ(^。^)ノ


      


  • Posted by セギ at 12:28Comments(0)算数・数学

    2019年05月23日

    小学校算数。公式と交換法則・分配法則。


    問題 底辺7㎝、高さ13㎝の平行四辺形の面積を求めなさい。

    四角形の面積は、5年生で学習します。
    平行四辺形の面積の公式は、底辺×高さ=面積 です。

    7×13=91 答え 91c㎡
    となります。
    しかし、これを、
    13×7=91
    と書く小学生は案外多いです。

    問題 直径8cmの円の円周を求めなさい。

    公式は、直径×円周率=円周 です。
    順当に式を書くならば、
    8×3.14
    となります。
    しかし、これも、
    3.14×8
    と書く子を多く見ます。

    Twitterなどで、ときどき、こういう式を書いた子どもがテストでバツにされた、おかしい、という投稿を見かけます。
    この式をどうとらえるかは微妙な問題です。
    かけ算は交換法則が成立します。
    かける数とかけられる数の順番を入れ替えても、計算の結果は変わりません。
    どうせ計算の結果は同じになるのに、公式通りではないからといってバツをつけるのは、おかしい。
    そのように考える人が多いのも理解できます。

    中学生になれば、公式の順番が変わってしまうことがあります。
    円周は、半径をrとし、2πr と表します。
    円周をどのように求めているかの意味を伝えるよりも、文字式の順番を優先した公式に変わってしまいます。
    答えも、文字式の順番が優先されます。
    直径8a cmの円の円周は、8πa cmです。
    8aπ cmと書いたら、誤りです。

    中学に入れば変わってしまう順番なのですから、3.14×8という式でも正解として良いと私も思います。
    小学校の大多数の先生は、3.14×8 という式を見たら、丸をつけた上で、横に、赤ペンで、8×3.14 と書いています。
    それで十分でしょう。

    しかし、1つ気になるのは、なぜわざわざ公式の順番に逆らって、
    3.14×8 
    という式を立てる子が多いのかということです。

    どっちが先でもいいという雑な神経で式を立てているのでしょうか?
    そんな雑な感覚で、中学・高校と複雑になっていく公式を正確に活用できるでしょうか。
    そう思うと、ちょっと心配にはなるのです。
    そういう式を立てている子に対しては、
    「丸をつけていいけれど、公式通りの正しい順番で式を書こうね」
    と助言します。

    公式通りに書かない雑な立式をする子は、例えば、直方体を組み合わせた複雑な図形の体積の問題などで立式ミスをすることがあります。
    常に、縦×横×高さ の順番で立式していれば数値を確認しやすいのですが、適当な順番で数字を並べていくと途中で混乱し、高さ×横×高さ といった式を立ててしまうことがあるのです。
    3つの数字をどれでも適当な順番にかけときゃいいという考えでいると、そんなミスが起こります。
    小学生の中には、面積と体積、平面と立体との識別が、わかっているようで案外わかっていない子もいて、立体の「高さ」と「縦」との区別が曖昧になってしまうことがあります。
    公式通りの順番で式を立てるのは、そうしたミスを防ぐための安全策でもあるのです。


    6年生で、奇妙な立式ミスをする子がかつていました。

    問題 面積が13㎝で、高さが26/3㎝である平行四辺形の底辺の長さを求めなさい。

    こうした問題で、1/13×26/3という式を立ててしまうのです。
    13÷26/3=13×3/26 とすべきところを、わられる数のほうを逆数にしてしまいます。
    分数のわり算のやり方がわかっていないのなら、それを教えれば済みます。
    しかし、単なる計算問題では、そんなミスはしませんでした。
    文章題になると、いきなりそんな式を立ててしまいます。

    「式を書きながらその後の計算のことも考えているから、こういう式になったのかな。わり算だなと思ったら、まずわり算の式を書いて、それを逆数のかけ算に変えて計算しましょう」
    その子には、そういう助言をしましたが、なかなか直りませんでした。
    まずわり算の式を書くことが無駄な作業のように思えて、省略したかったようです。


    式を書きながら、その後の計算のことを考えていると、こういう式になる・・・。

    そのとき、何気なく自分で言ったことに、あ、と気づきました。

    公式通りの順番で式を立てない子は、単に雑なのではなく、その後の計算のことを考えているのではないか?
    円周を求める式を、
    3.14×8
    と立ててしまう子は、その後、3.14×8 と筆算するつもりでいるから、そのように書いてしまうのではないでしょうか。

    しかし、8×3.14 という式を書いても、その後の筆算は、3.14×8 として良いのです。
    もしかしたら、8×3.14 という式を立てたら、その順番で筆算しなければならないと思い込んでいるのでしょうか?
    式は式。
    計算は計算。
    式は8×3.14 でも、計算は交換法則を利用して良いのです。

    8×3.14 ではなく、3.14×8 という式を立てる子は、交換法則が理解できているのだから、むしろ数学センスがある。
    そのように言う人もいます。
    しかし、本当にそうでしょうか。
    小学生から高校生まで、長期に渡って算数・数学の指導をしている実感から言えば、3.14×8 という式を立てるかどうかでは数学センスは測れないと感じます。
    立式と計算とは別だということが理解できていない。
    むしろ、そうしたことが懸念されます。
    式を立てることと計算することを頭の中で分割できず混同しているから、そういう式を立ててしまう。
    式とは、どのように解いたのかを示すもので、計算ではありません。
    自分の思考の過程を示すものです。
    公式を使用したのなら、公式の通りの順番に書いてあるほうが、どのように解いたかを明瞭に示せます。

    小学校で学習する易しい内容ならば、逆に書いても意味はまあまあ伝わります。
    しかし、その習慣は後々まで残る可能性があります。
    高校数学で、何の定理を使ったかを示さず、自分の計算優先で暗算したり順番を変えたりしてある答案は、1週間も経てば、本人もその式の意味を説明できなくなります。
    そして、そういう答案を書いてしまう子ほど、記述式の問題を恐れます。
    何をどう書いていいのかわからないと言うのです。
    答案を読む人が理解しやすい式を書く努力をしてこなかったので、記述答案をどう書いていいかわからなくなるのです。

    式の1行目は、意味の伝わる式を立てる。
    高校数学ならば、何の定理であるか、どういう考え方であるかも示します。
    2行目以降は、ガンガン計算の工夫をします。
    というより、計算過程など書いても書かなくても良いのです。
    そうしたメリハリを理解できていない子が高校生でも多いのが現状です。
    式と計算とを混同しているのです。
    そういう意味では、前述の 3.14×8 という式に褒めるべき要素はありません。
    バツにするのは可哀想だとは思いますが。


    小学生の段階で数学センスを感じるのは、交換法則よりも分配法則を活用できる子です。
    円周の問題や円の面積の問題で分配法則を活用できれば、計算が楽になり、正確になります。
    しかし、活用できない子は多いです。
    例えば、いくつかの半円が組み合わさった図形の面積。
    5×5×3.14÷2-3×3×3.14÷2+2×2×3.14÷2
    =(5×5÷2-3×3÷2+2×2÷2)×3.14
    =(12.5-4.5+2)×3.14
    =10×3.14
    =31.4
    といった計算の工夫ができる小学生は、限られています。
    中学受験生でもこれはできない子が多いのです。

    ☐×〇+△×〇=(☐+△)×〇
    という分配法則は、普通に学校で小4で学習するのにほとんど定着しない内容です。
    それだけに、これを活用する子に出会うと、この子は数学センスがあるなと感じます。

    ただし、センスはあっても、上のように丁寧に式を書かず、1行目から、
    (12.5-4.5+2)×3.14
    といった式を立てる子も多いです。
    そうした子には、
    「式と計算とは違うのですよ」
    と注意をしなければなりません。
    意味のわかる1行目を書くことの意義を理解してもらうのに時間がかかります。
    え?そんなのわかるでしょう?という気持ちが本人の中で強いようです。
    そういう意味では、センスがあっても小学生はまだ主観的ですから、自分が意味がわかることは、他人も意味がわかって当然と思っているのかもしれません。
    あるいは、自分の計算のために式を書いているので、他人がそれを理解するかどうかは、どうでも良いのでしょう。

    高校数学がどのようであるかを想像できるはずのない子に、高校数学に至る道筋を指導していくのは、なかなか難しいです。
    3.14×8 という式が表面上正しいかどうかではなく、その式を書く子が、数学的にこの先どう成長するのか。
    注目すべきはそちらだと思います。

      


  • Posted by セギ at 14:42Comments(0)算数・数学

    2019年05月20日

    高校数A n進法 その2。小数の処理。


    今回も「n進法」の続きです。
    2進法は、「2の0乗の位」「2の1乗の位」「2の2乗の位」というように、1桁上がるごとに桁の2の指数が上がっていくのだということを前回確認しました。
    では、小数はどのように扱われるのでしょうか?

    まず10進法で考えるのならば、小数第1位は「10分の1の位」、小数第2位は「100分の1の位」、小数第3位は「1000分の1の位」です。
    それは、「10分の1の位」「10の2乗分の1の位」「10の3乗分の1の位」と書き表すこともできます。
    1つ下の位から見て、1つ上の位はそれを10倍した数の桁、という関係が成立しているのが10進法です。

    2進法も同じように考えます。
    小数第1位は、「2分の1の位」、小数第2位は「2の2乗分の1の位」、小数第3位は「2の3乗分の位」です。
    そうすることで、1つ下の桁から見て1つ上の桁の数は2倍の関係が成立しています。
    ちなみに、2分の1は、指数では「2の-1乗」、2の2乗分の1は、指数では「2の-2乗」と表します。

    ところで、「2の2乗」を「にのじじょう」と読む人は中高生ではかなり減ってきましたが、まだ一応存在します。
    「2の-2乗」を「にのマイナスじじょう」と読む人はさすがに減っています。
    高校の数学の先生は「にじょう」と正しく読む人が大半であることも関係しているかもしれません。

    「2乗」のときだけ「じじょう」と読むのは、本来、不自然なことです。
    数字は「いち、に、さん」と読みます。
    「いち、じ、さん」ではありません。
    「2乗」だけ「じじょう」と特別扱いの読み方をすることには理由がありません。

    しかし、自分が信じてきたことを否定されると強い拒絶反応を示す人もいます。
    「じじょう」は「自乗」という意味なんだ!
    と言う人がいます。
    「2乗」だけそのような特別扱いをする理由はないのですが。

    「にじょう」なんて読み方はまぬけっぽい、と言う人もいます。
    しかし、そういう主観は、数学とは関係ありません。

    ただ、読み方なんか究極どうでも良いので、生徒が「じじょう」と読むのを訂正しないのですが、私が「にじょう」と読むのを生徒が「このセンセイ、読み方を間違えている」と感じているのではないかと考えてしまうことはあります。
    こういうことは、間違っていてもそれを信じている人のほうが強いのです。

    おっと話が逸れました。
    マイナスの指数の話でした。
    2分の1は、「2の-1乗」、2の2乗分の1は「2の-2乗」、2の3乗分の1は、「2の-3乗」。
    指数はこのように表記されます。
    これは、n進法の桁の仕組みと整合しています。
    指数がこのように負の数に拡張されることは、n進法を理解していると容易に納得できることです。
    指数の拡張は、詳しくは数Ⅱの「指数関数」で学習します。


    では、n進法に戻って、実際に問題を問いてみましょう。

    問題 10進数0.375を6進法で表せ。

    6進法の小数第1位は、6分の1の位。
    6進法の小数第2位は、6の2乗分の1の位。
    ですから、
    0.375=a/6+b/62+c/63+・・・・
    と表すことができます。
    この両辺を6倍すると、
    2.25=a+b/6+c/62+d/63+・・・・・

    b/6以下は、全て分母のほうが分子より大きい真分数です。
    b/6以下の総和は、1より大きくなることはありせん。
    そこで、両辺を比較すると、
    2=aであることがわかります。

    両辺から2=aを引いて、
    0.25=b/6+c/62+d/63+・・・・

    この両辺を6倍すると、
    1.5=b+c/6+d/62+e/63・・・・
    よって、1=bであることがわかります。

    さらに、両辺から1=bを引いて、
    0.5=c/6+d/62+e/63+・・・・
    この両辺を6倍すると、
    3=c+d/6+e/62・・・・・
    3=cであり、d以降は0であることがわかります。

    よって、10進数0.375は、6進法では、2.13です。

    上のように、6倍して整数になったものを次の桁の数字と確定していくと、それを利用した筆算が可能です。
    整数になったものを取り除きながら、次々と×6をしていく方法です。
    数学Aの参考書などに筆算のやり方が載っていますので、参考にしてください。
    そして、やり方だけ覚えるのではなく、なぜそれで筆算できるのか、意味を理解してください。
    意味を伴っていない筆算は、すぐに忘れます。
    n進法の勉強ばかりそんなに毎日していられませんから、突然テストに出て、全く解けないという事態に至ります。
    意味を理解していれば、やり方の復元が可能です。
      


  • Posted by セギ at 12:58Comments(0)算数・数学

    2019年05月15日

    数A「整数の性質」n進法。


    数A最後の学習内容は、「n進法」です。

    n進法は、中学受験の受験算数でも出題されることがあります。
    容易に理解できる小学生もいれば、高校生でも全く理解できない子もいる単元です。

    理解できない子は、10進法の仕組みの根本を理解できていない可能性があります。
    10進法の仕組みは、子どもの頃から慣れ親しみ過ぎて自明の理のようになっていて、むしろ意識しにくいということはあります。
    しかし、n進法を学ぶことで10進法の仕組みが逆に照射され、それが絶対のものではないことに気づかされます。
    そのとき、頭の中が一瞬揺れるような快感があるはずなんです。

    数が10集まったら上の桁に上げることは、絶対のことではない。
    他の可能性もあるのだ。

    n進法を学ぶ最大の意義は、これに気づくことではないでしょうか。

    当たり前だと思っていることは、実は当たり前ではない。
    そういうルールを皆で守っているだけで、自明の理のわけではない。

    そのことに気づくもう1つの単元というと、これも受験算数で出題される「約束記号」があります。
    しかし、こちらも、理解できない子は、見ていて不可解なほどに理解できません。

    まず、そちらから見ていきましょう。
    なぜn進法の理解が進まないか、原因をさぐる一助になると思います。

    問題 A◎B=A+A×B-B とする。3◎19を計算しなさい。

    何も難しくないはずなんです。
    問題に書いてある通りに代入して、
    3+3×19-19=41
    と解答するだけです。

    ところが、この問題、理解できない子は全く理解できません。
    小学生だけではありません。
    中学生でも、高校生でも、この種の問題には全く対応できない子がいます。
    「問題が何を言っているのか、わからない」
    異口同音にそう言います。

    この問題のときだけ、◎に計算記号の意味をもたせる。
    そのことが理解できないようです。
    そんなことをしていいはずがない。
    あり得ない。
    だから、全く理解できない。
    そういうことなのだろうかと想像するのですが、想像の域を出ません。
    本人が、明確に言葉にして表現することがないからです。

    このことが理解できない子は、大抵うろたえています。
    どこがわからないのか問い返しても、絶句している場合が大半です。
    解き方や正解を教えても、動揺は消えません。
    説明の仕方を変えても、類題を解いても、動揺したまま、理解が進みません。

    「割合」がわからないとか、「速さ」がわからないという場合は、何がどうわかりにくいのか、教える側が推測できる余地があるのですが、約束記号がわからない場合は、違う種類の断絶がそこにある気がします。
    大袈裟に言ってしまえば、世界観が違うのかもしれないというほどの断絶がそこにあります。

    +、-、×、÷なんて計算記号は、単なる記号で、絶対のものではありません。
    そう決めて、その通りに使っているだけです。
    世界中でそうしているので、その記号を使えば便利だから今後も使い続けるでしょうが、絶対のものではありません。
    だから、今だけ◎に計算記号の意味あいをもたせても何も悪くありません。
    勿論、それはその問題だけの約束で、一般には通用しません。

    小学生でも一瞬でそうしたことがわかり、パッと顔の輝く子がいます。
    当たり前だと思っていたことは、何1つ当たり前ではない。
    頭の中がグラッと揺れる快感がそこにあります。
    数学を学ぶ快感の1つだと思います。


    n進法も、そのような単元です。
    小学生でも理解できる一方、高校生でも理解できない子がいます。
    思い込みにしばられると理解しにくいようです。

    2進法を例にとって考えてみましょう。
    便宜上10進法と同じ数字を使いますが、本当は全く別の文字や記号を使っても良いのです。
    受験算数では、むしろ数字を使わない2進法の問題のほうが多く出題されるくらいです。

    10進法と同じ数字を使って2進法で数を表す場合、使える数字は、0と1の2種類だけです。
    これで全ての数量を表します。
    10進法の1にあたる数は、2進法でも、1です。
    10進法の2にあたる数は、2進法では10と表します。
    10進法の3にあたる数は、2進法では11です。
    10進法の4にあたる数は、2進法では100です。
    10進法の5にあたる数は、2進法では101です。
    10進法の6にあたる数は、2進法では110です。
    10進法の7にあたる数は、2進法では、111です。
    10進法の8にあたる数は、2進法では、1000です。
    それぞれの桁で2つ数がたまると、上の桁に上げていくということです。

    それは、10進法で、それぞれの桁で数が10個たまると上の桁に上げていくということと対応しています。
    10進法では、1が10集まると、十の位に数を上げて、「10」と表します。
    10が10集まると、百の位に数を上げて、「100」と表します。
    同じように、2進法では、1が2集まると「10」と上の桁に上げます。
    2が2集まると「100」と上の桁に上げます。

    10進法では、各桁を「一の位」「十の位」「百の位」と通常呼びますが、それは指数を用いて「1の位」「10の位」「10の2乗の位」「10の3乗の位」と呼ぶこともできます。
    同じように、2進法では、「1の位」「2の位」「2の2乗の位」「2の3乗の位」となります。
    さらに言えば「1の位」は「2の0乗の位」、「2の位」は「2の1乗の位」と表しても良いですね。
    n進法と連動させると、指数法則がより明確になってきます。

    しかし、10進法の説明自体を10進法を基盤として行わざるを得ないという皮肉もあり、理解できない子は全く理解できないということが起こります。
    「数字が10個集まると、十の位に上げて、10と表す」
    説明の中に既に10が出てくるので、何のことやらわからない、ということになりがちです。

    「10進法で使う数字は、0から9までの10個でしょう?2進法では、0と1の2個の数字を使うんですよ」
    と説明すると、
    「10進法で使う数字は10個じゃない」
    と言う子がかつていました。
    9の次は、10だし、次は11だし、12だし、数字は無限にあるんだから、数字は10個じゃない。10進法じゃない。
    そう言うのです。

    これが、n進法が理解できない根本の原因だと思います。
    核心が見えた瞬間でした。
    n進法を理解できない原因を言語化できず、ただ動揺する子が多い中で、それを言語化できる。
    言語能力は高いが数学がよくわからない子とのこういう対話は、興味深いです。
    こちらが学べることが沢山あります。

    11は、「11」という数字ではなく、10と1です。
    12は、「12」という数字ではなく、10と2です。
    そのことは、小学校の低学年から幾度も幾度も勉強しています。
    例えば、
    475=100×☐+10×☐+1×☐
    といった穴埋め問題は、新しい桁の数を学ぶ際に、小学生が繰り返し練習させられることです。
    あるいは、
    475は、100が☐こ、10が☐こ、1が☐こ集まってできた数です。
    といった問題もあります。
    この穴埋め問題は簡単に正解できる子が大半です。
    しかし、この問題が何を伝えようとしているのか、その本質を理解できないまま通り過ぎてしまう子が多いのだと思います。
    小学校で学んでいる数理の本質は、あまりにも本質なため、言葉にすると難解になり、子どもに伝えにくい内容です。
    しかし、子どもは、難解なことを言語化されなくても本質的に理解できる能力があります。
    それに頼って繰り返されるこうした問題。
    ここから数理の本質を理解した子と、何も気がつかなかった子と。
    n進法の理解についての根本の差は、そうしたところから生まれているのだと思います。

    就学前、あるいは小学1年生が数を数えると、まだ10進法のルールを理解していないことがあります。
    「1、2、3、・・・・・、9、10、11、12、13、・・・19、100」
    19の次がもう100になってしまう子が、たまにいます。
    12くらいまでは耳慣れているので、その流れで19までは知っているのですが、その先の数の仕組みがどうなっているのかわからないので、19の次は100になってしまうのです。
    10が2個たまったら100にしているので、十の位だけ2進法になっているのです。

    10が10個たまると、100になる。
    このように幼い段階で正しい10進法へと導びかれているのですが、そのことがあまりにも無意識のレベルに沈み込み、意識されないようです。
    小学校で、大きい数や小数へと数が拡張されていく度に、上述のように桁に対して正しい理解をしているかを確認する問題が出されているのですが、何を確認されているのか、意識できないのです。

    それは、10倍、100倍、あるいは1/10、1/100する際に、桁移動で処理できることが身につかない子の中にも見られます。
    ÷100の計算を、真面目に筆算してしまう子がいます。
    ×100の計算も同様です。
    桁を移動すれば良いと助言すると、「あ、そうだった」と言うのですが、100倍するのに3桁移動してしまう子も多いです。
    そのやり方を教わったことがあるのを覚えているだけで、意味を理解していないのだと、そうした様子から気づきます。
    そのまま高校生になって、n進法に出会い、愕然とする。
    どうしてもどうしても理解できない。
    そういう人がいるようです。

    どうか頭を柔らかく。
    小学生のときにはわからなかったことでも、高校生の今なら理解できるかもしれません。
    数字の桁の仕組みについて、改めて考えてみる、良い機会です。
      


  • Posted by セギ at 10:57Comments(0)算数・数学

    2019年05月08日

    なぜ子どもは「速さ」の問題が苦手なのか。


    ラジオ講座と同様、好きなラジオ番組は録音して、家事などやりながら、あるいは寝る前に聴くことにしています。
    どうしても録音はたまりがちで、ひと月ほども後に番組を聴くことがあります。
    前にもこのブログで書いた、『%がわからない大学生』という本の著者がゲスト出演しているラジオ番組を昨日になって聴きました。

    日本の算数・数学教育がつまらない。
    その例として、ラジオ番組で語られた内容に、再び首を傾げてしまいました。

    「花子さんは、340円のお弁当を6個買いました。いくら払ったでしょうか」
    例えば、かけ算の文章題はこんなのばかりだからつまらないと、その著者は言うのです。
    代案としては、
    「稲妻が光った後、6秒経って雷の音が聞こえました。雷が落ちた場所は、ここから何m離れているでしょう?」
    という問題が良いというのです。

    ・・・いやいやいや。
    それ、音の速さの問題ですよね?
    その問題で、340×6という式の意味を理解でき、面白いと感じる子は、ほおっておいても数学や理科が好きです。
    数学嫌いな子は、何かのトラウマでもあるのかというくらいに「速さ」が苦手です。
    それに「音速」という物理の要素が加わると、ごく簡単なことも全く理解できない様子の子に何人も出会ってきました。

    「速さ」という単元は、小学校6年生で学習します。
    これといって難しい要素はないはずなのに、苦手な子は多いです。
    速さ×時間=みちのり
    という感覚的にもごく自然な式がわからない子もいます。
    実感がわかない。
    理解できない。
    自分は絶対に速さの問題は解くことができないという謎の主張をする子をなだめ、落ち着かせてようやく学習に入ることもあります。

    「速さ」という単元の難しさは、まず「速さ」の定義にあるのだと思います。
    学校や塾での最初の授業時に正確に定義されているはずなのですが、子どもは、多くの場合、そういうものは聞き流します。
    速さの定義がそれほど重要なものであることに気づかないのだと思います。
    言葉の意味を聞き流す学習習慣がついているのでしょう。
    必要なのは解き方を丸暗記することだけ。
    そういう学習姿勢が既に出来上がっているのかもしれません。

    「速さ」とは何か?
    目の前を何かビューンと動いていく物のスピードのこと。
    速いほど、ビューンというスピードが速い。
    ・・・実感としては、そんなふうではないでしょうか。
    そして、この実感が、「速さ×時間=みちのり」という公式の理解を阻む最初の壁です。

    ビューンというのは擬声語です。
    何かを表現しているようでも、これでは何も説明していません。
    スピードというのは「速さ」のことですから、英語で言い換えただけです。
    結果として、何も説明していないことになります。

    でも、速さは、実感としては確かにそういうことです。
    速いと遅いはどう違うのか?
    どうすれば、速さを比べられるか?
    どうすれば、速さを量的に表すことができるか?

    目の前をビューンと動いていくスピードそのものを表すことは、現実には不可能です。
    でも、同じ時間を与えられたら、速いものほど長い距離を移動します。
    そのことで、速さを量的に表すことができるでしょう。
    そこから生まれたのが速さの定義です。

    1時間で進む道のりを速さとして表したものが、時速。
    1分で進む道のりを速さとして表したものが、分速。
    1秒で進む道のりを速さとして表したものが、秒速。
    単位時間で進む道のりを、速さと定義しています。

    この定義をしっかり理解した子と理解していない子とで、その後の理解が大きく異なります。
    わかったような顔でふんふんとうなずいて見せても、「速さ」が後になるほどわからなくなる子は、この定義が理解できていないのです。
    速さに時間をかけるとなぜ道のりになるのか理解できないのは、速さの定義を理解していないからです。

    ここで恐ろしいのは、短期記憶能力の高い子ほど、その場では完全に理解したような顔をすることです。
    教わったときだけは完璧に公式を活用できます。
    しかし、言葉の定義や公式の意味は、すぐに忘れます。
    1週間後には、もう速さの定義を忘れています。
    公式だけは、必要だと思うからか覚えています。
    意味は本人の中で後退し、公式は、もはや単なる記号です。

    その繰り返しで、算数・数学は意味のわからないものになっていきます。
    そうした学習方法が後になるほどどれだけの困難を本人にもたらすか、本人には自覚がないので、注意して治るようなものではありません。

    中学生や高校生になってから、
    「数学は意味がわからない」
    と、急に本人が意味を重視した発言をすることがあります。
    しかし、小学生の頃、本人が意味を重視した学習をしていたのかどうかは疑問です。
    立ち止まって意味を理解しようとするより、公式を丸暗記して目の前の問題を解くほうが楽ですから。
    小学校の算数の頃に学習したことの意味が記憶の中で後退し、全てはただの作業手順となっている子が、中学や高校の数学の意味を理解しようとしても、それには多くの労力が必要となります。
    中学・高校の数学の意味を理解するための前提となる知識が本人の中にないのです。
    頭の中にあるのは、形骸化し記号化した公式と作業手順だけです。

    教え方をちょっと変えたくらいでこういうことが改まるとは思えません。
    意味を含んで全部を理解するのは、重いのです。
    学習内容を軽量化するには、公式や解法手順だけ丸暗記すること。
    本人がそのように無意識に判断し、全てを忘却しようとする脳の仕組みがそれを助けています。
    それで一見上手くいっているように見えることに楔を打ち込むのは、大変な作業です。

    しかし、楔は打ち込まなければなりません。
    解法手順だけ丸暗記して解いている子に、数学的な未来はありません。


    「速さ」に話を戻します。
    例えば、時速。
    時速は、1時間に進む道のりのことです。
    だから、時速4kmの人は、1時間に4km歩きます。
    では、2時間では、何km歩くことができるか?
    2時間は、1時間が2個分ですから、
    4×2=8 で、8kmです。
    速さ×時間=道のり
    この公式の意味は、そういうことです。

    15kmの道のりを、3時間で歩いたとします。
    この人の時速は?
    時速というのは、1時間で何km進んだか、です。
    15kmは、3時間の道のりなのだから、1時間あたりの道のりは、
    15÷3=5 で、
    時速5km。

    時間を求めるのも簡単ですね。
    時速3kmの人が、12km歩くのに何時間かかるか?
    時速3kmというのは、1時間で3kmということだから、12kmの中に3kmが何個分あるかと考えると、
    12÷3=4
    4時間です。

    速さ×時間=道のり
    道のり÷時間=速さ
    道のり÷速さ=時間

    この3つをまとめて「速さの3公式」と呼びます。
    全て意味を理解できる公式ですので、覚え方は本来必要ありません。
    意味から考えれば、当然そうなるものです。
    そういう点では、「速さ」は「割合」とは異なります。
    「割合」は式を変形しただけなので意味を実感できませんが、「速さ」は、常に意味を伴っています。

    だから、私は「は・じ・き」や「は・じ・み」の図は基本的には教えません。
    速さの問題は、文章題から意味を汲み取って正しい式を立てることが可能だからです。
    しかし、私が教えなくても「は・じ・き」の図を誰かから教わって使うようになる子が大半です。

    気持ちはわからないでもありません。
    上の3つの公式は意味から理解できる公式ですが、「単位量あたり」の問題など、それ以前の学習が未消化で終わっている子の場合、公式の意味がわからないことがあります。
    この単元はかけ算。
    この単元はわり算。
    そういう把握をしてきた子は、かけ算かわり算かを自分で判断しなければならない単元が苦手です。
    そもそも意味を考えて公式を利用したことがなく、意味から算数にアプローチをした経験がないのだと思います。
    理解するのではなく、覚えることが算数。
    そういう学習をずっと続けてきた子が、いきなり「速さ」だけは意味を理解するというのは、困難を伴うことだと思います。


    速さを本当に理解しているかどうかは、問題のレベルを少し上げると露呈します。

    問題 時速4kmで歩く人が、30分歩きました。何m歩きましたか。

    4×30=120
    答え 120m

    速さの本質を理解していない子は、こういった誤答をしがちです。
    そして、公式通りに式を立てたのに正解できなかったことで混乱し、「速さ」という単元にトラウマを抱き、「速さ」と聞いただけで嫌な顔をするようになっていきます。

    意味から考えるならば、時速4kmの人、とは1時間で4km歩く人のことです。
    4×30 という式では、30時間歩いた道のりが出てしまうと気づきます。
    30分というのは、1時間の半分なのだから、進む道のりも半分になるでしょう。
    それは、30分=1/2時間ということでもあります。
    4×1/2=2
    この2は2kmということだから、mに単位を直して、答えは、2000m。
    意味を考えれば、このように楽に解いていけます。

    しかし、意味を考えず、全てが公式と作業手順だけになっている子にとって、単位換算は作業手順として複雑で厄介です。
    単位換算の1つ1つに実感はなく、作業手順として暗記しようとしているので、覚えきれないのです。
    分を時間に直すとき、60倍するのだったか、1/60にするのだったか、すぐわからなくなってしまいます。
    長さの単位換算をただの丸暗記をしている子は、1km=100m としがちです。
    1kmに対して、100mに対して、何も実感がないのだと思います。
    あるいは、それぞれの距離感は実感しているのだとしても、それを算数と結びつける発想がないのかもしれません。
    算数は、とにかく公式と手順を丸暗記するものと思い込んでいるのでしょう。

    こんなに簡単な問題を、なぜこんなに大変そうに解いているのだろう・・・?
    そう感じるとき、この子は意味を理解していない、作業手順で解いているのだと透けて見えてきます。
    「速さ」だけ理解させようとしても、そう簡単にいかないのです。


    6年生で「速さ」を学習した後、現行のカリキュラムでは中学1年の理科で「音」について学びます。
    「音」や「光」は、中学1年で学習するのは無理なのではないかと感じるほど、苦手な子が多い単元です。
    中学3年になって、高校受験のために復習しても、中1の他の分野ほどには理解が進まないことが多いです。
    ともあれ、中1以降は、理科で既に学習済みということで、数学でも音に関する文章題がたまに出題されることがあります。
    そして、ほとんどの生徒が、補助しなければその問題を解けません。
    「音の速さを秒速340mとして求めなさい」
    というように、解き方の何もかもが問題文の中に書いてあるのに正答率が低い。
    それが音の速さに関する問題です。
    速さだけでも苦手なのに、さらに嫌いな理科の要素が加わったら、もう解ける気がしない・・・。
    そういう子が多いのです。

    現実に雷が鳴ったときに、雷と自分との距離の求め方がわかる。
    だから、こういう問題なら興味をもって生き生きと学習できるだろう・・・。
    『%がわからない大学生』の著者のそうした狙いはわかるのですが、そのような安易な理想を全て踏みつぶしていくのが現実の子どもたちです。
    雷と自分との距離なんて、現実の子どもたちは「興味ない」で終わりにします。
    もう恐ろしいくらいに全てのことに「興味ない」なんです。
    勉強に関わることは全部「興味ない」のかもしれません。
    そもそも勉強が嫌いなので、勉強に興味をもたせようと大人が仕向けてくる気配を感じると、早めにシャットアウトするのかもしれません。

    そういう現実の子どもたちに拒否され、安易な理想は簡単に潰されて。
    現実の数学教育は、しかし、そこから始まります。
    地獄絵図のような思い出もあれば、宝石のような思い出もあります。
    算数・数学を長く教えてきて、振り返った感想はそういうものです。
    なかなか理想通りにはいかないけれど、思いもしなかった成果もありました。

    ただ、こういう著者の勘違いはわからないでもないのです。
    この人、大学教授なのだそうです。
    数学教員になりたい教育学部の学生に教えているようです。
    現実にうといのは、そういう立場だからかもしれません。
    毎日子どもたちに算数・数学を教えている立場の人ではないのです。

    学校の学習内容を扱う民放のテレビ番組などもそうです。
    生徒役の若い女性タレントなどが、
    「わかりやすーい。学校でも、こうやって教えてくれたら授業を聞いたのにー」
    といった感想を口にすることがあります。
    番組的にはそれで良いわけですが、あの女性タレントは、収録が終わったら番組の内容はほとんど覚えていないのではないかと思います。
    わかりやすーい。
    理解できた気がするー。
    しかし、それはそれだけのこと。
    右の耳から左の耳へと通り抜けていき、記憶には残りません。

    その教授は、子どもたちに実際に授業をすることもあるのかもしれません。
    そんなときの子どもたちの反応もそういうものではないのでしょうか。
    大学の先生が、自分たちに授業をしてくれる。
    普段とは違う、その特別な雰囲気。
    そんなときには、
    「わかりやすーい」
    「面白ーい」
    「はじめて算数がわかったー」
    子どもは、そういう感想を口にすると思います。

    私も、そういう子どもの称賛を受けることがあります。
    「わかりやすーい」
    「学校の先生もこうやって教えてくれればいいのにー」
    そのように褒めてくれる生徒は昔も今もいます。
    若い頃は、そういう称賛に自惚れたこともありました。

    でも、今は、そういう褒め言葉は聞き流すことにしています。
    「わかりやすーい」
    と言った子は、翌週にはその内容を覚えていないかもしれません。
    「学校もこうやって教えてくれればいいのにー」
    と褒めてくれたところで、その考え方を利用した問題を解けるとは限りません。

    私は何のために存在するのか?
    わかりやすいけれど子どもの耳を素通りしていく授業ではダメなのです。
    「わかりやすーい」だけではダメ。
    理解したら、その理論を利用する問題を自力で解いて正答する。
    それが本当に理解したということです。
    そこに至れない子がいくら褒めてくれても、それではダメだと思っています。
    褒めてくれるその気持ちを大切にしたいからこそ、その子が本当に算数・数学の問題を解けるようにしたいのです。

    「花子さんは、340円の弁当を6個買いました。いくら支払ったでしょうか」

    旧態依然としたこの問題は、確かに面白くないかもしれません。
    けれど、かけ算の概念を子どもが最も理解しやすいのは、こうした値段に関する問題です。
    340円の弁当を6個。
    それなら、340×6だ。
    この式は、多くの子が自力で立てられます。
    面白いかどうかよりも、自分が理解できて正答できることのほうが、子どもにとってはどれほど嬉しいことか。
    花子さんには、永遠に弁当を買わせてやってほしい。
    私は、そう思います。

    そのラジオ番組で面白かったのは、数学が大嫌いな番組のパーソナリティーが、子どもの頃の思い出を語った部分でした。
    わり算を勉強したときに、先生が、8÷2を教えるのに、
    「8の中に2は大体いくつあるでしょう」
    という教え方をしたのにつまずいたというのです。
    算数に「大体」はありえないと思い、そこからわり算がわからなくなった、という話でした。
    それに対して、その教授は、
    「わり算というのは難しいですからね」
    などと言葉を濁して済ませていました。
    学校の先生がうっかり使った「大体いくつ」という言葉でつまずく子どもがいる・・・。
    そのことの恐ろしさに、もっとビンと反応しても良かったのではないかと思います。
    その番組の中で、最も聴く価値があったのは、その部分でした。

    しかし、本当にそんなたった一言でつまずくものでしょうか。
    「大体」という言葉につまずくのは、それ以前に算数に対する苦手意識や嫌悪感があったからではないかと思うのです。
    もともと、算数・数学に対して良い感情を持っていなかったのではないか?
    否定するための理由を無意識にずっと探していたのではないか?
    だから、その一言に飛びついたのではないか?
    理由さえ見つければ、算数が嫌いな自分を肯定できる・・・。

    子どもは、ありとあらゆる理由を見つけて、算数を嫌います。
    幼く判断力不足な子どもは、安易に算数・数学を嫌い、理解することよりも解き方を暗記することを選びます。
    理解しなさい、考えなさい、と言われることをひどく嫌います。
    学習の軽量化・スリム化には、丸暗記が有効。
    深い理解は脳の容量をやたらと喰うだけ。
    無意識に、そのような判断をしているようです。

    しかし、そうやって意味を失い形骸化した公式や作業手順の集積の上に、高校数学の知識は乗りません。
    高校生になると数学が全くわからなくなるのは、そのためです。
    数学がわからないことは、進路を決める上で大きく影響します。
    そのリスクを、幼い子どもは知りません。
    自分の将来を自分が狭めていることを、知りません。

    大人の責任は重い。
    そのことに関しては、その教授の言いたいことはわかります。
    頑張らなければ。
    そう思います。

      


  • Posted by セギ at 14:24Comments(0)算数・数学

    2019年04月26日

    割合を理解できない子どもたちと「く・も・わ」の図。


    『%がわからない大学生』といったタイトルの本が出版されたようで、そのプロモーションのネット記事を今読んだところです。
    その本そのものは読んでいないのですが、その記事を読んだ限りでは、ちょっと読む気が起こりません。
    もしかしたら、本は、ネット記事とは異なり、良い内容なのかもしれませんが、プロモーション記事には、新しい内容が何にもない・・・。

    %がわからない大学生がいるのは事実だと思います。
    例えば「2億は50億の何%か」といった問題に正答できない大学生。
    それは存在すると思います。
    それは、もうずっと前から言われていることです。
    大学の歯学科や獣医学科など、理系の学生なのに分数のたし算ができない子のいる大学もあると聞きます。
    そういう大学では、算数や中学数学の復習を1年次に履修させているそうです。
    そういう話は、ゆとり教育を受けた子たちが大学生になった頃からずっと言われ続けていることです。
    それほど学力基準が高いわけではない大学に、しかもAO入試や推薦入試で合格した子の中には、そういう子もいるでしょう。

    その記事の中で現代と比較されていたのが、1980年代のデータでした。
    ゆとり教育の始まる前、詰め込み教育の時代は、こういう問題には正答できる子どもが多かったのです。
    ゆとり教育以降、「割合」の問題を解けない子どもが激増している。
    それは、わかります。

    小学校5年で学習する「割合」という単元を理解できる小学生は、全体の50%に満たないだろうというのが私の実感です。
    問題は、その分析です。
    なぜその子たちは、「割合」を理解できないのでしょうか?

    そのネット記事で不愉快だったのは、「誤答している子ほど、答案の隅に『く・も・わ』の図を描いている」という一種の揶揄でした。
    まるで、深い理解を阻む犯人が「く・も・わ」の図であるような書きぶりでした。
    それは違うと思います。
    その書き手こそ、「割合」という単元について理解していないから、そういうことを平気で書くのではないか?
    小学生が初めて「割合」を学ぶとき、どのような反応であるかを知らないからではないか?
    そう感じるのです。

    その記事を書いた人は、おそらく「く・も・わ」の図を使わずに割合の問題を解けるのでしょう。
    では、そもそも、「割合」は、なぜ「比べられる量÷もとにする量」で求めるのか?
    その問いに、その人は答えられるのでしょうか?
    また、「もとにする量」は、「比べられる量÷割合」で求められるのはなぜなのか?
    そして、「比べられる量」は、「もとにする量×割合」で求められるのはなぜか?
    この式に子どもが感じる違和感を想像できない人に、子どもがなぜ「割合」を理解できないのかを語ってほしくない。
    原因は、正答の求め方だけを安易に教える数学教育にあるとする。
    しかし、表面の正答率だけ見ているのはあなたのほうではないのか?
    そう思うのです。

    「く・も・わ」の図を使わない人も、公式を「そういうものだ」と思い込み、暗記して使っているだけではないでしょうか。
    何十年もそういうものだと思って使ってきたせいで、それが自明の理のように思えるだけで、理由の説明はできないのではないでしょうか。

    「く・も・わ」の図を使った子が記事の中で揶揄されているのは、正答できなかったからです。
    正答できればそれでいい。
    記事を書いている本人の中にも、その意識が濃く漂っているのを感じます。

    私自身は、割合の問題を解く際に「く・も・わ」の図は使いません。
    子どもの頃も、使っていませんでした。
    大学生になって、塾講師のアルバイトを始めたとき、バイト仲間が「く・も・わ」の図を使って子どもたちに教えているのを見て、へえ便利な教え方があるものだと思い、私も教えるときには使うようになりました。
    それが、まさに80年代です。
    だから、この教え方は古くから存在します。
    今に始まったことではないのです。
    80年代も、その図を使って解いていた子は多いと思います。
    ただ、その図を使って正答していたから、「%がわからない」と言われることはなかった。
    それだけのことだと思うのです。

    「割合」はかなり特殊な単元で、これを「正答さえ出れば良いという教育が理解を妨げる」例に挙げるのには無理があります。

    「割合」は、なぜ「比べられる量÷もとにする量」で求められるのか?
    このブログの中で幾度も書いてきましたが、その根本は分数です。

    問題 サッカー選手のA君は、7本シュートして、2本ゴールしました。A君がゴールした割合は、どれだけでしょうか?

    答えは、2/7 ですね。
    このことは、実感をもって理解できることです。
    しかし、「割合」で実感をもって理解できることは、これしかありません。
    あとは、理論上の操作ばかりです。

    2/7 という分数を式で表すと、
    2/7=2÷7 です。
    では、2÷7 とは、上の文章題で何を意味するでしょうか。
    2とは、ゴールした数。
    7とは、シュートした数。
    全体の中での2の量的価値を、判断しようとしています。
    そういうときの2を「比べられる量」と呼びます。
    全体の7のほうが「もとにする量」です。
    割合=比べられる量÷もとにする量 という公式は、ここから生まれています。
    このわり算の公式そのものが、子どもにとっては実感を伴うものではないのです。

    大人の多くは、この公式を沢山使うことで実感を後付けしています。
    だから、自明の理のように感じています。
    しかし、初めて学ぶ小学生がこの公式に強い違和感を抱くのは普通のことです。

    小学校低学年で割り算を最初に学ぶとき、わり算と言えば「大きい数÷小さい数」なのが当たり前でした。
    だから、文章題をろくに読みもせずにただ「大きい数÷小さい数」で式を立ててやり過ごしてきた子も多いのです。
    しかし、「割合」は、「小さい数÷大きい数」であることのほうが多くなります。
    その違和感に耐えられず、「小さい数÷大きい数」の式を立てることが不安で、どうしてもその式を立てられない子が存在します。

    そんなのは、文章題をろくに読みもせず、「大きい数÷小さい数」なんてくだらない考え方で問題を解いてきた本人が悪いんだろう?

    ・・・確かに、そうかもしれません。
    でも、子どもは、学習の先に何があるかを知りません。
    「わり算だったら、大きい数÷小さい数」という解き方は、大人が教える解き方ではありません。
    その解き方に未来がないことを大人は知っていますから。
    「大きい数÷小さい数」は、子どもが自ら発見してしまうのです。
    しかも、目端の利く子ほど、そういう解き方を発見します。
    算数を、考え方よりも正解が出ればそれで良いものとしてしまうのは、子ども本人であることが多いのです。
    答えよりも考え方を大切にしなさい、などと言っても、聴く耳を持ちません。
    実際、正解が出ているのですから、それの何が問題であるのか、幼い子どもにはなかなか通じません。

    勿論それは、式の見た目さえあっていて正答さえ出ていれば何も言わない周囲の大人の反応を感じているからのことでしょう。
    そもそも、「%がわからない大学生」ということが言われるのは、表面上、%を求める問題で正答できない大学生が存在するから、それを課題ととらえています。
    本質は理解していないけれど、やり方だけ知っていて正解している大学生のことは、問題視しないのです。
    80年代だって、本質を理解していない子は多かったのかもしれないのにです。
    それもまた、正解さえ出せればそれでいいという考え方です。
    問題意識を持っている人も、そこから脱却できていないのです。

    比べられる量÷もとにする量=割合 
    という式だけでもこんな実感から乖離して難しいというのに、残る2本は、さらに実感とは無関係です。
    それらは、逆算で式を操作しただけの式です。
    ☐を使った式から☐を求めるのが逆算です。
    式の変形ということですね。

    上の式から、比べる量を求める式を導くと、
    もとにする量×割合=比べられる量

    もとにする量を求める式を導くと、
    比べる量÷割合=もとにする量

    これは式を変形して公式としたものですから、何の実感も伴わなくて当然です。
    比べる量を割合で割ると、もとにする量に戻る・・・。
    よくよく考えたら気持ち悪くないですか?
    気持ち悪いのは、それが意味を持たないからです。
    式を変形しただけだからです。
    ただ、実感はなくても、これは正しい式なのです。

    意味なんてない。
    式を変形しただけ。
    それならば、公式を3つも1度に覚えられない子のために「く・も・わ」の図を使うのは有効だと思います。
    実際に「く・も・わ」の図を使って割合の問題を正答できるようになっている子は沢山います。
    意味を教えなければならないものなら、そうした教え方は避けるべきです。
    しかし、もともと意味なんかないものは、「く・も・わ」で教えて構わないでしょう。


    ところで、「く・も・わ」の図で教えているのは、80年代も現代も同じであるのに、なぜ、現代の子は「割合」の正答率が低いのか?
    正当できない原因の第一は国語力でしょう。
    そのことは、その本の中でも述べられているようです。

    低学年で問題文をろくに読まず、
    「今はわり算を勉強しているんだから、大きい数÷小さい数の式を立てときゃいいんだろう」
    という判断で文章題をこなし、それで正答してきた子たちは、小学校高学年になると、それでは解決できない文章題に突き当たります。
    「単位量あたり」の問題がそうです。
    「割合」の問題もそうです。
    かけ算なのか、わり算なのか。
    わり算だとして、どの数字をどの数字で割るのか?
    数量の関係を見極めて式を立てなければなりません。
    そのときになって、しぶしぶ問題文を真面目に読もうとしても、数量の関係を読み取れない子がいます。
    「比べられる量÷もとにする量」という式を使うとわかっていても、どれが比べられる量で、どれがもとにする量か、読み取れない。
    大学生になっても、それが読み取れない。
    そういう子が、今は本当に多いだろうと思います。
    それは、確かに問題です。
    ただ、それは、数学教育に問題があるとは言い切れないと思うのです。

    記事中には、
    「数学が苦手な生徒には、答えを当てるマークシート問題だけ解ければ良いという困った指導が広く行われている」
    という記述がありました。
    なぜそんなに雑な総括をするのでしょう。
    数学のマークシート問題で答えだけを当てるのは不可能に近いです。
    数学のセンター試験の正答率の低さを知らないのでしょうか。
    答えだけ当てることなどできないから、あの正答率なんです。
    数学のセンター試験は、論理を追っていけないと空欄が埋まらないのです。

    今の小学校の教科書は、子ども自身に考えてみるよう常に問いかけています。
    改訂前の今も十分にそうです。
    それでも、考えない。
    解き方だけ覚えようとする子どもは多いです。
    指導がそうなのではなく、本人がそうである場合が本当に多い。
    どうしてそうなってしまうのでしょう?

    そうして、高校生になり、覚えきれない複雑な公式や解法手順ばかりなると、数学は完全に諦める・・・。
    本当にそれは日本の数学教育のシステムが悪いからそうなってしまうのでしょうか?

    比較的理解力の高い、中学受験をする小学生でもそうです。
    小学校では教えない特殊算。
    例えば植木算や、分配算など、基本の考え方を塾ではまず解説します。
    その上で、例題は、本人に解き方を考えてもらいます。
    塾としてはそれが普通の授業形態だと思うのですが、その授業に不満を抱いていた子と話をしたことがあります。
    「初めて見る問題なんだから、教わらなければわかるわけがないのに、自分で考えろって言うんだよ。おかしいでしょう」
    「・・・でもね、入試問題は、初めて見る問題だよ。見たことある問題、解いたことある問題なんて、いくつもないよ」
    「・・・」
    解いたことのある問題しか解けるわけがない・・・。
    初めて見る問題を自分で考えてみろと言うのは、相手がおかしい・・・。
    かなり理解力の高い子でそこまで言い切る子に初めて会いましたが、公式や解法手順だけ丸暗記して済ませたいタイプの子の、これが本音なのだと思います。
    自分で考えろと言われることが、本当に不愉快で、それを要求してくる相手は敵であると感じるようです。
    その子は、その塾がお母様に薦めた家庭学習法として、その週のうちにテキストの問題を3回解き直していました。
    それには素直に従っていたようです。
    解き方を完璧に丸暗記するための、1週間で3回の解き直し・・・。
    私が小学生だったら、そっちのほうに猛反発したと思います。
    何で1度解いた問題を3回も解かないといけないの?
    ・・・写経?

    確かに解法の丸暗記教育は、一部で現実に行われているのだと思います。
    そんな解き直しよりも、類題を自分で考えて考えて考え抜くほうが、段違いの学力がつくのですが。
    しかし、そういうことができない子もいます。
    感情的に反発します。
    それを見越して、何もしないよりは週3回の解き直しを提案するほうが、今よりは正答率が上がるのも事実です。



    「割合」の学習は、5年生でひと通り学んだ後、6年生で「比」を学び、それと連動して復習します。
    中学の数学では、「割合」は、方程式の文章題の中で再び使用します。
    5年生のときには数量の関係を把握できなかったけれど、ここで回復する。
    そういう子も多く存在します。
    一方、この段階でもやはり把握できない子は、ここで典型題の解法のみを何とか丸記憶してやり過ごします。
    あるいは、割合の文章題が出たらもう諦めて解かない子もいると思います。

    中学になって「割合」を復習しても、やはり理解できない子は存在します。
    幾度復習しても、理解できない。
    割合の3用法に意味などない、式の変形だけなのだと説明しても、その説明が理解できない。
    問題文から比べられる量ともとにする量を識別することがどうしてもできない。
    割合というものが何を表すものなのか、その本質を理解できない。
    そういう単元が「割合」です。
    それは、直接「割合」とは関係ないように見える単元にも表れます。

    例えば、中学3年で学習する「相似」。
    △ABCと△DEFが相似で、相似比が3:2である。
    AB=60のときの、DEの長さは?

    こういう問題で、
    60:DE=3:2
    3DE=120
    DE=40
    という比例式を用いた定型的な解き方でないと解けない子がいます。

    「割合」と「比」が、無関係な知識として頭の中に存在し、連動しないのです。

    「相似比が3:2なんだから、DEはABの2/3でしょう?だから、40でしょう。これは見たらわかるよね」
    数学が苦手な子はともかく、都立自校作成校を受験する子には、そう説明するのですが、
    「いや、そういうのはわからないから」
    と頑なに比例式を立て続ける子もいました。
    数学の定期テストで90点台を取れるようになっていても、頭の奥まで数学的思考が染みていっていないのです。

    数学的思考が頭の中まで染みていくのを拒み、跳ね返すものがある。
    それは、何なのだろう?
    それが、なかなか見えてこないのです。

    答えを当てるマークシート問題だけ解ければ良いという困った指導なんかしていません。
    そんな指導をしている気配を学校の先生から感じることもありません。
    答えではなく、数学的な考え方を理解してほしいと、みんな思っています。
    でも、考えることを拒否する子どもは、確実に存在します。


    小学生の頃は、解き方を暗記したほうが簡単だから、それで済ませたいという、ある意味目端の利く子が多いのだとしても、中学・高校と数学の学習が進むにつれて、論理や考え方が重視され、論理を追えないと正解が出せない問題が増えていきます。
    しかし、本人の意識が切り替わらないのです。
    結果、高校数学になると、解き方が複雑になって暗記できなくなり、ついていけなくなる・・・。
    数学が苦手な子の、それが現実ではないかと思うのです。

    一方、私の問いかけが通じる子も、また少なくないのです。
    現在数学ができるかどうかは、あまり関係ありません。
    「座標平面上の求めたい点のx座標を自分で勝手に t と置いたのに、t が求められるわけがない。自分で勝手に置いたんだから」
    「√36は、2乗したら36になる数なんだから、√36=36だと思う」
    といった数々の妄言を繰り返し、何かと授業中に私と議論になった中学生は、気がつくと自力で応用問題を解けるようになり、数学のテストで高得点を取るのが当たり前になっていました。
    考える子は、いくらでも伸びます。

    考える子と、考えることを徹底して拒否する子とは、何が違うのだろう?

    大学生になっても%を理解できない子のことを誰よりも悲しんでいるのは、子どもの頃のその子たちの算数・数学教育に携わっていた人たちでしょう。

    記事には、ある学生が、
    「数学を苦手としている者でも、本心は時間をかけてでも内容をよく理解したいと思っているのです」
    と熱く語った、という記述がありました。

    そういう子は、早い時期に出会えれば、確実に助けられます。
    解き方だけ覚えようとするのをさえぎり、
    「今の、本当にわかった?」
    と問いかける度、嫌な顔をされることのほうが多いけれど。
    そう思います。

      


  • Posted by セギ at 14:11Comments(0)算数・数学

    2019年04月24日

    座標平面上の三角形の面積。アクティブラーニング的に。



    来年度から、小学校で新学習指導要領による授業が始まります。
    いよいよ「主体的・対話的な深い学び」の開始です。
    来年になって急に始めようとしてもできることではありませんから、小・中・高ともに、そろそろ助走が始まったと感じるこの頃です。

    以前、Twitterで
    「三角形の面積の求め方を子ども自身に発見させることにそんなに必死になる必要があるんだろうか」
    というつぶやきを読んだことがあります。
    私もそれには共感します。
    アクティブ・ラーニングは、公式や定理の発見まで子どもに任せると、大変な労力と時間がかかります。
    しかも、大元を発見させるためには学習上のガイダンスも曖昧になりがちで、何のために何をやっている授業なのか全く理解できない子を大量に生みます。
    授業は、その子たちを置き去りにしてしまいます。

    一方、中学受験をする子たちは、学校で授業を受ける頃には既に三角形の面積の公式は学習済みであり、知っていることも知らないふりでアクティブ・ラーニングに参加しなければなりません。
    「そんなの知っている」
    の一言で授業を粉砕できるのですが、賢い子は、それをやると先生が困ることも知っています。
    先生の顔色を見ながら、先生がどう授業を進めたがっているかを考えて、それに沿う意見を言い、先生をサポートする。
    頭の良い子は、そうすることも可能です。
    うーん・・・。
    そういうのを忖度と言いませんかね。
    アクティブ・ラーニングは、今世紀を生きる子どもたちが、社会人になったときに必要となるスキルを磨く学習の形である。
    それが忖度を学ぶ授業になってしまうのは、痛烈な皮肉です。
    少なくとも、そこには、本人たちの学ぶ喜びは存在しないように思います。

    そうしたことも考えあわせますと、公式や定理は、証明まで含めて、先生が解説するのが無難でしょう。
    それをどのように組み合わせて問題を解いていくかをアクティブ・ラーニングでやるのなら、その授業形態には可能性を感じます。
    それもまた、中学受験生は圧倒的に有利ではありますが、少なくとも、予備知識がなく、三角形の面積の求め方を初めて学習する子たちも、今はどういう単元で、何を学んでいるかは自覚できます。
    それならば、授業で何を話しあっているのかよくわからないとしても、家庭学習は可能です。
    塾がサポートすることも可能です。


    そんなことを考えたのは、うちの塾に通う高校2年生の生徒の学校で、どうやらアクティブ・ラーニングが始まったからでした。
    急に全面的にアクティブ・ラーニングを導入するのは無理ですから、徐々に慣らし、先生も研鑽を積む必要があるのでしょう。
    数Ⅱ「図形と方程式」の学習で、2点間の距離、直線の式、点と直線との距離などの求め方を学習した後、授業はグループ学習に入り、いくつか課題が出されたとのことです。

    上の図の問題がその1つです。

    問題 3点、0(0,3)、A(6,3)、B(2,6)を頂点とする三角形の面積を求めよ。

    しかし、
    「・・・学校の授業が全くわかりません」
    と、その子は言いました。
    ノートを見ると、問題が1問ずつノートの最上段に貼ってあり、それをグループで解かねばならないようなのですが、答案が完成していないページが多いです。
    問題以外は白紙のページもあります。
    うわ、これはまずい・・・。

    「この問題は、三角形を長方形で囲んで、要らない部分を引けば、いいんですよね」
    上記の問題を指さし、その子は言いました。
    「・・・」
    うーん・・・。

    それでも、求めることは勿論できます。
    できますが、今、何を学習していますか?
    2点間の距離、直線の式、点と直線との距離の求め方を学んだ直後です。
    その先にポンと出された、この問題。
    これを出題する先生の意図は何でしょうか?
    いや、そういうのが忖度ですかね・・・。

    何の話?
    と思われる方もいらっしゃると思いますので、ここで、この問題の解き方を整理しましょう。
    この問題は、私が思いつく限りでは、3通りの解き方があります。

    まずは、その子も思いついた、中学1年で学習する解き方。
    3点、0(0,3)、A(6,3)、B(2,6)を頂点とする三角形を、x軸、y軸と平行な線分による長方形で囲みます。
    上の図で、赤線で描いた長方形がそれです。
    その長方形の面積から、不要な三角形3つの面積を取り除けは、求めたい△OABの面積を求めることができます。
    長方形は縦6、横6。
    それぞれの三角形の底辺や高さも座標から読み取れますから、
    6・6-1/2・2・6-1/2・6・3-1/2・4・3
    =36-6-9-6
    =15
    よって、△OAB=15 です。


    しかし、現在学習しているのは、数Ⅱ「図形と方程式」です。
    直線の式や、2点間の距離や、点と直線の距離の求め方を学んだばかりです。
    それを活用する解き方を考えてみましょう。

    ここで公式の確認を。

    点(x1,y1)を通り傾きaの直線の方程式は、
    y-y1=a(x-x1)

    また、2点(x1,y1),(x2,y2)間の距離は、
    √(x1-x2)2+(y1-y2)2

    さらに、点(x1,y1)と直線ax+by+c=0 との距離は、
    d=|ax1+by1+c|/√a2+b2

    これらの習いたての知識を使って、この問題を解くのなら。

    線分OAを底辺とし、点Bと直線OAとの距離を高さと見て、△OABの面積を求める解き方が導き出されます。
    これが、今回のアクティブ・ラーニングの結論と、一応の予想が立ちます。

    公式を用いて、
    OA=√36+9=3√5
    また、直線OAの式は、x-2y=0
    B(2,6)と直線x-2y=0との距離は、
    |2-12|/ √1+4
    =10/ √5
    よって△OAB=1/2・3√5・10/ √5=15

    同じ答えが導き出されました。

    数Ⅱの授業としてはおそらくここまでだと思いますが、数Bで「ベクトル」を学ぶと、さらに発展的な公式を学習することになります。
    もしかしたら先生は、生徒の結論をまとめた後で、さらにこういう解き方があるのだと説明するのかもしれません。
    それもまた、アクティブ・ラーニング的です。

    それは、ベクトルの内積を利用して三角形の面積を求める公式です。
    ベクトルの→を文字の上に表記することはこのブログではできないので、以下はベクトルとして読んでください。
    ベクトルの成分がOA=(a1,a2)、OB=(b1,b2)のとき、
    △OAB=1/2|a1・b2-a2・b1|

    この公式を利用すると、
    △OAB
    =1/2|6・6-3・2|
    =1/2|30|
    =15
    こんなに簡単な式で、同じ答えが出ます。
    3番目のこの解き方が異様に簡単であることは、衝撃的なことだと思います。
    アクティブ・ラーニングの最後に登場するこの公式にわくわくする、数学好きな子もいるでしょう。
    最も難しい理論にもとづく解き方が、最もシンプルであること。
    数学は、かくも美しい。


    授業の演出としてはなかなかのものだと、私は勝手に想像しているのですが、実際の効果はまた別です。
    現に、目の前にいる生徒は、今のところこの形の授業についていけていないようです。
    アクティブ・ラーニングは、全ての生徒にとって有効なものではないのだと、やはり感じます。
    特に数Ⅱ「図形と方程式」は、中学時代に学習したやり方で地道に解けることを、高校数学の公式を使って解く場合が多いので、その階段を登れない子が多く出る単元です。
    公式を学習した直後だけは、その公式を使えるのです。
    しかし、時間をおいて問題演習をすると、高校の公式を覚えていないため、中学の解き方で解いてしまう子が多いのです。
    アクティブ・ラーニングで本人たちに考えさせたら、なおさらそうなってしまうでしょう。
    ここで、グループに1人くらいはいるのかもしれない高校数学についていけている子が、その単元にふさわしい解き方で解いて、それをグループ全員に教えたとして、それは、全体の授業で先生から教わるのと違うものなのでしょうか?
    それはかろうじて対話的かもしれないけれど、本当に主体的なのでしょうか?
    深い学びにつながるのでしょうか。
    基本的なことも理解できずに終わる子をフォローする手立てはあるのでしょうか。
    基礎学力が下がってしまわないでしょうか。

    昔、ゆとり教育が強く批判されたのは、日本の子どもたちの学力の国際的な順位が下がったからでした。
    そうした順位は、平均点で評価されます。
    平均点は、国内で相対的に学力の低い子たちにも基礎学力がある場合に、高い数値を維持できます。
    ひと握りの優秀な生徒たちがより楽しく深く学ぶだけのシステムでは、国際的な順位はまた下がるかもしれません。
    そうしてまた、基礎学力だ計算力だ、と騒がれる時代が反動としてやって来るのでしょうか。
    「100ます計算」や、生徒たちにとにかく基本問題を反復させ訓練する秋田県の校長の取り組みがもてはやされる、あの時代が再び訪れるのでしょうか。
    同じことの繰り返しは避けたいのですが。

    アクティブ・ラーニングを一方的に否定するつもりはありません。
    面白い授業になる可能性を秘めています。
    ただ、全ての子の学力を底上げできるかどうか・・・。

    ともあれ、学校がそういう授業ならば、塾はどうするべきか?
    その子が自ら発見するのであれ何であれ、理解すべき内容を理解をしてほしい。
    そして、解答解説を見ないで、自力で問題を解けるようになってほしい。
    まずは、学校のノートの空白を埋めなければ。
    塾の仕事はさらに増えて、忙しい新学期となっています。


      


  • Posted by セギ at 13:14Comments(0)算数・数学

    2019年04月19日

    高校数A「整数の性質」不定方程式。項が3次式の場合。


    「不定方程式」の学習も今回が最後です。
    今回学習するのは、こんな問題です。

    問題 方程式x3+y3-2x2y=1を満たす整数の組(x,y)をすべて求めよ。

    これは3次式ですね。
    これも、(  )(  )=整数 という形に整理できれば、解けそうです。
    ですから、まず、(  )(  )でくくるという、因数分解のようなことをしましょう。
    定数項は外にはみ出していいけれど、文字を含む項だけは必ず(  )(  )の中に収めることが目標です。

    まずは、xについて降べきの順に整理してみましょうか。
    共通因数でくくって、
    x2(x-2y)+y3=1
    うーん・・・。
    これでは、この先が手詰まりとなりますね。
    ( )の中を共通因数にすることが、これではできません。

    ふりだしに戻りましょう。
    見た目から、何となくですが、(x-y)という共通因数がありそうな気がします。
    どうしましょう?
    強引に(x-y)となるようにくくってみましょうか。
    x3-2x2y+y3=1
    x2(x-y)-x2y+y3=1
    真ん中の-2x2yという項を、-x2y-x2y と分けたイメージです。
    そうすると、さらに後半の2項もくくれることに気づきます。
    x2(x-y)-y(x2-y2)=1
    x2(x-y)-y(x+y)(x-y)=1
    (x-y){x2-y(x+y)}=1
    (x-y)(x2-xy-y2)=1
    できました!ヽ(^。^)ノ

    これは、因数分解の問題としても発展的で難しいものです。
    ある文字について降べきの順に整理していくのが因数分解の定石ですが、これはその定石では解けない種類の因数分解です。
    こういう特別なやり方を何もないところから初めて発想するには、この1問を何日も考え続けることになるかもしれません。
    何日も何日も考えて、それでも思いつかないかもしれません。
    しかし、考え続けることで数学の力は伸びていきます。
    ただ、それをするには、少なくとも定石通りの因数分解なら自在に解けるほどには練習を重ねている必要があります。
    そうでないと、そもそも何をどう考えるかもわからないのは仕方のないことです。

    あるいは、こういう難問にもパターンというものがありますので、それを覚えて、頭の中にストックしておくこと。
    今回の問題でストックしておくべき知識は、1つにまとまっている項を2つに分けることで因数分解できる可能性がある、ということでした。

    あるいは、この問題の見た目を何となくでも記憶しておくこと。
    こんな問題を前にも解いた、何だか特別な解き方をしたなあという記憶をとどめておくこと。
    そうすれば、類題を解くときにはスンナリと因数分解できるかもしれません。
    長い時間考えて、今の自分には解けないと見切りがついたら、解答・解説を見て、そのテクニックをしっかり学びとり、2度と忘れないことが大切です。
    別の機会に必ずこれを活用できるように覚えておきましょう。


    さらに、これは数Ⅱで学習する内容になりますが、多項式÷多項式の筆算ができるのならば、x-y という共通因数があるのではないかと気が付いたら、強引に割ってみるのも1つのやり方です。


        x2-xy-y2  
    x-y ) x3-2x2y   +y3
         x3-x2y
           -x2y   +y3
           -x2y+xy2
              -xy2+y3
              -xy2+y3  
                   0                

    割り切れました。
    これで、
    x3+y3-2x2y=(x-y)(x2-xy-y2)
    であることがわかります。
    かなりの力業ですが、どうしてもこの問題を解かねばならない場合、やってみる価値のあることだと思います。

    何よりも、思考錯誤を重ねることを厭わないことが大切です。
    小学生の頃の意識の延長なのだと思いますが、結論まで全て見えて、正しい解き方だと確信してから答案を書きたい、ノートを汚したくないという姿勢の人がいます。
    それでは難問の解法を自力で見つけるのは難しいと思います。
    ノートは、後で見直すためのノートと、問題を演習しては使い捨てていくノートと2種類あるのです。
    問題を演習しては使い捨てていくノートは、振り返ることなどありませんから、途中まで解いてダメだと気が付いて大きくバツをつけてまた書き出すということがあっても、全く構わないのです。
    意識を変えましょう。


    さて話を戻して。
    (x-y)(x2-xy-y2)=1
    と、ここまで整理できたら、その後はどうしましょうか。
    初めて見る応用問題になると、ここまででもかなり時間がかかっていますので、何のためにこれをやったのか、途中で目的を見失うことがあります。

    今回は、何のためにこんなことをしたのでしたっけ?
    xとyの整数値を出したかったからでした。
    前回解いたような問題では、例えば、
    (x-3)(y+2)=1となったら、(x-3,y+2)=(1,1),(-1,-1)
    として、
    (x,y)=(4,-1),(2,-3)と求めるのでした。

    だったら今回は、
    (x-y)(x2-xy-y2)=1
    (x-y,x2-xy-y2)=(1,1),(-1,-1)とすれば良いでしょう。
    x, y が整数ですから、x-y も、x2-xy-y2 も整数です。
    その積が1となるのは、1×1の場合と、-1×(-1) の場合しかないでしょう。
    この2通りのそれぞれを解けば良いです。

    すなわち、
    x-y=1・・・①
    x2-xy-y2=1・・・②
    という連立方程式と
    x-y=-1・・・③
    x2-xy-y2=-1・・・④
    という連立方程式をそれぞれ解きます。

    上のほうの連立方程式をまず解きます。
    ①より
    x=y+1・・・①'
    これを②に代入して、
    (y+1)2-(y+1)y-y2=1
    y2+2y+1-y2-y-y2=1
    -y2+y=0
    y2-y=0
    y(y-1)=0
    y=0,1
    これを①'に代入して、
    y=0のとき、x=1
    y=-1のとき、x=0

    同様に③、④を解いて、
    y=-2のときx=-3
    y=1のときx=0

    したがって、最終解答は、
    (x,y)=(1,0),(2,1),(-3,-2),(0,1)
    となります。

      


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