たまりば

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2012年08月22日

塾の宿題が解けない


集団指導塾は、「友達も通っているから」「親が行けと言うから」、という理由で何となく通っている子が、個別指導よりもどうしても多くなります。

そういう子は、当たり前ですが、塾から出された宿題は、やりません。
学習意欲も低いので、成績は、中1の1学期から徐々に下がっていきます。
これは、もうびっくりするほど明瞭で、私の勤めていた塾では、学力別に上下2つのクラスに分かれていましたが、下のクラスできちんと宿題をやってくる子は、ほとんどいませんでした。

けれど、そういう子でも、中学3年生になると、さすがに目覚め始め、勉強しようとし始めます。
ところが、それまでさぼるだけさぼっていた事実はそれほど簡単に克服できるものではありません。

もう今から自分は変わるんだと思い、塾の宿題をやろうとしても、解けない。
数学の計算問題くらいなら、やるだけはやれます。
でも、英語となると、これは完全な「積み上げ科目」ですから、中1・中2の学力的蓄積がないのに中3の問題を解くのは、無理があります。
そもそも、何か答を書こうとしても、単語のスペルがわからない。
英語長文なんて、3行くらいで内容がわからなくなります。
国語なら解けるかと言うと、文章を読むことに慣れていないので、問題文を読み通せないし、意味がわからない。
中3ともなれば、説明的文章もかなり抽象的な内容になりますから。
理科や社会は、知識がないので、ちんぷんかんぷん。
いちいちテキストに戻って、1つ1つ知識を確かめる地道な勉強ができる子なら、そもそも中3でそんな状態に追い込まれてはいません。

やる気がないわけではなく、解きたいけれど、解けない。
そういう状態になってしまいます。

塾から出される宿題をうまくこなせない。
「これをやれば成績が上がる」と言われても、やれないし、だから結果も出ない。

そうなったら、その塾はやめて、個別指導を受けるようにしたほうが早道なのですが、子どもは結果の出ない塾に惰性で通い続けることが多いです。
お兄さん、お姉さんが、その塾に通い、結果を出している場合は特に、やめたいと言っても、なかなか親がやめさせてくれない場合もありますし。
今の人間関係がありますから、やめると、その塾に通っている子に学校で何か言われる可能性もありますし。
環境を変えるのは、子どもには怖いことですし。


そういう子が、塾に通い続けながらどういう行動をとるか。
ここで、はっきり分かれます。

ありがちな行動の1つが、塾とは無関係な勉強を始めてしまうこと。
塾の宿題はうまく解けないので、市販の問題集を買って勉強をします。
しかも、問題集の中でも薄くて大判な「10日間完成、都立入試対策」といった、お手軽で、都立の出題傾向とは実は何も一致していない、あまり良いものではない問題集を選んでしまいがちです。
簡単で、自分にも解けそうな気がするからでしょう。
そういう問題集の特徴として、解答がすぐ横に書いてあることが多く、見ながら解いているのに、自分で解いたように誤解できるのも本人にとっては都合が良いのかもしれません。
短問短答形式であることが多く、問題も簡単です。
最後に、実際の入試問題風の模擬問題が1回分付いていることを指して「都立対策」と称しているのかなあ、というのが、そういう問題集の実態です。
それも、都立そっくり模試などと比べると、そんなに似ていないのですが。

その子の性格によっては、それを塾の授業中に堂々と開いて、勉強したりします。
反抗期とか、そういうことではないようです。
本人、悪気はないことも多いようで、あっけらかんとしています。
だって、塾のテキストの問題は、解けない。
だから、自分がわかる問題集で勉強しているんだ。
本人にとっては、それだけのことです。
塾の授業のない日も、自習に来て、それをやっていたりしますから。
しかも、10日で完成させる問題集のはずが、1日1ページ解いたくらいで「随分頑張ったな、自分」と満足してしまうので、入試まで、それ1冊で終わりです。
(^_^;)

当然ですが、そういう勉強をする子の合格率は、きわめて低いです。
そういう勉強をしているのを見たら、上に書いたような理由でダメなんだよと説明するのですが、体系的でボリュームがあり、だからそれなりに苦しい勉強をできない心の状態になってしまっている子は、残念ですが説得できず、そのまま無駄な勉強を続けてしまいます。
個別指導ならば、すぐ保護者に連絡し、実状を報告して、その問題集を使用禁止にしてもらいますが、集団指導塾では、講師が、教務を飛び越えて、保護者に直接連絡をとるということは、基本的に認められていないので、保護者が実態をなかなか把握できない場合が多いです。
講師と保護者との距離が遠いので、子どもが無駄な勉強をしていることに保護者がなかなか気づけないのは、集団指導塾の1つの問題かもしれません。

けれど、一番の問題は、本人の中にあります。
中1の初めから塾の宿題を解いていれば、そういう問題は生じません。
塾の宿題は、塾で習っている内容の復習の宿題。
塾の授業を聞いていれば解けるレベルの問題を宿題に出します。
その積み重ねで、宿題は徐々に難しくなっていきます。
量も多くなります。
だから、中3から急に勉強を始めた子が最初に感じる抵抗は仕方のないことです。

でも、じゃあ中3から勉強を始める子には挽回の余地はないのか。
もちろん、あります。
中1から真面目にやってきた奴にはかなわない。
でも、今よりは進歩したい。
そう思うから、解けない問題を抱えて塾に来て、授業を真剣に聞いて、何がわからなかったか、理解しようとする子は、います。
そして、家に帰って、また解き直す。
それを繰り返しているうちに、少しずつ、地力で解ける問題が増え、塾の宿題も解けるようになっていきます。
それが、学力が向上したということです。
そういう方向で頑張る子は、中3の夏から、ぐっと伸びていきます。

塾に通っているのに、塾のカリキュラムを無視した勉強をしている。
そんなことになっていないか、お子さんの塾のテキストとノートを、どうかチェックしてください。
  


  • Posted by セギ at 12:46Comments(0)講師日記