たまりば

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2020年02月27日

高校英語。比較表現。AはBの~倍。


問題 次の文がほぼ同じ意味になるように空所を埋めよ。
  This room is three times as large as that one.
=This room is three times (  )(  ) that one.
=This room is three times (  )(  ) of that one.
=That room is (  ) as large as this one.

まず、一番上の文の意味を確認しましょう。
「この部屋は、あの部屋の3倍の大きさだ」
このように、原級表現の as ~as を用いて、AはBの~倍だ、という意味を表すことができます。
as ~as の前に、何倍であるかを具体的に述べます。
2倍ならば twice 。
3倍ならば、three times 。
4倍ならば、four times です。
昔の英語では、3倍を表す thrice という言葉があったようですが、現代英語では用いられていません。
また、これらの倍数表現とは系列の異なる語として、double(2倍)、treble(3倍)、さらに別系統の語として、twofold(2倍)、threefold(3倍)というものがありますが、これらは、as ~as とともに用いられることはありません。

さて、2番目の文を見ましょう。
主語は変わっていないので、やはり、同じように「この部屋はあの部屋の3倍の大きさだ」という意味の文を完成させればよいのでしょう。
しかし、as large as を入れるには、空所の数が足りません。
実は、比較級でも、同じ意味の倍数表現となります。
This room is three times (larger)(than) that one.
これでも、「この部屋は、あの部屋の3倍の大きさだ」という意味になります。
3倍より大きい、という意味ではありません。

このあたりを「原級表現の学習」「比較表現の学習」と別々に学習することが多いせいか、どちらでも倍数表現ができることが定着せず、片方が身につかなかったり、片方は間違った英語だと思い込んだりする誤解が生じやすいところです。
言い換え問題への対策として、別の章で学習したこともスッキリと頭の中でつなげておくことが大切です。

ただし、注意が必要なのは、twice は as ~as だけで用いて、比較級では使用しません。
twice larger than ~という言い方はしないので注意してください。


続いて3番目の文。
=This room is three times (  )(  ) of that one.

これは(  )の後ろが of であるのがヒントとなります。
as ~as でもないし、比較級 than でもなさそうです。
=This room is three times (the)(size) of that one.
となります。
形容詞 large を用いる代わりに、名詞 size を用いる用法です。
the 名詞 of ~の形を覚えておきましょう。


次は、4番目の文。
=That room is (  ) as large as this one.

主語が変わっていることに気づきます。
ということは、ほぼ同じ意味にするには、「あの部屋は、この部屋の3分の1の大きさだ」という英文を作れば良いということになります。
3分の1。
分数表現です。
=That room is (one-third) as large as this one.
が答えとなります。

英語は分数を分子から読みます。
one が分子。one 、two、 three と、基数で表します。
thirdが分母。second、third と、序数で表します。
「3分の2」のように、分子が複数のときは、two-thirds と分母に s をつけます。

英語は分数を分子から読みます。
帰国子女の子に算数・数学を教えていると、例えば「3分の2」と読むべきところを「2分の3」と読んでしまうことがあるのはそのためです。
まあ、数学は読み方は間違っていてもいい、正しい式が書けていれば、と思ってノートを覗き込むと実際に3/2と書いていることもあり、それには衝撃を受けます。
日本に帰ってきて、読み方と書き方で混線して、書くときにも逆になってしまうようなのです。

これは日本育ちの子でも起こることです。
幾度注意しても、分数を分子から書く癖がついてしまっている子が、分数を正しく読めなくなってしまい、ついには、数字のどちらを上に書くかわからなくなって逆に書いてしまう、ということがあります。
「読むように書きなさい」
と注意しても、なかなか直りません。
「3分の2」と読むものを、なぜわざわざ分子の2から書くのか?
文字は上から書くものというルールのほうを何となく優先させてしまうのか?
こんなのどちらでもいいと思い、適当に上から書く習慣がついてしまったのか?
理由はわかりませんが、自分のやっていることがいずれ重大事を引き起こすと、本人は気づかないのです。
何が重要か、優先順位がわかっていないからそうなるんだ、自業自得だね、と切り捨ててしまうには、まだ幼く、可哀想です。
初めて分数を学習したときに、変な癖がついてしまったのですから。
そして、いったん変な癖がついてしまうと、直せる子は少ないです。

分子から書くのが癖になっている子に注意し続けていると、むしろ余計にこじれて混乱するということがあるので、帰国子女と、まるで帰国子女のように分子から書く日本育ちの子には、分数に関する注意はしないことにしています。
たとえ分子から書いていても、意味がわかっていればいい。
混乱するのが一番良くない。
ただ、日本で算数・数学を学習しているのに分数を分子から書いているのは、かなりのリスクを背負っているのは事実です。
文章題などから立式する際に、結局分子と分母を逆に書いてしまうミスがあるのは、そういう子だからです。
本人が「2、バー、3」と意識している分数は、音声としては「3分の2」と発声され続けます。
混乱して当然です。

分数についての理解が十分に出来た後ならば、混乱することはありません。
分数についてしっかり定着している日本の高校生が、英語の分数表現に触れたことで分数がわからなくなったという話は聞いたことがありません。
知識が曖昧な時期に学習するとまずい。
そういう意味で、日本の小学生に英語の分数表現を教えるのはリスキーだろうと思います。

話が逸れました。
さて、ここで類題を。

類題 以下の文がほぼ同じ意味になるように空所を埋めよ。
He has twice as many foreign stamps as I have.
=He has twice (  )(  ) of foreign stamps of me.
=I have (  )(  ) many foreign stamps (  ) he has.


正解は、
He has twice as many foreign stamps as I have.
=He has twice (the)( number) of foreign stamps of me.
=I have (half)(as) many foreign stamps (as) he has.

です。


  


  • Posted by セギ at 12:58Comments(0)英語

    2020年02月24日

    景信山南東尾根から高尾山を歩きました。2020年2月。



    2020年2月23日(日)、景信山から高尾山を歩きました。
    高尾山ビジターセンターが、ハナネコノメが1輪2輪咲き始めましたとネットで伝えたのが前日の土曜日。
    え?例年より2週間は早い。
    今年は春が早いなあ。
    ということで、早咲きのハナネコノメを見に、春の山歩きをしてきました。

    三鷹から中央特快に乗って、JR高尾駅下車。
    北口から小仏行きのバスに乗車しました。
    いつもなら、日影で降りる人が沢山いるのに、今日はゼロ。
    日影沢林道の復旧が待たれます。
    終点の小仏で、ほぼ全員が下車しました。
    まだ腰が本調子ではないので、速い人の迷惑にならないよう、ゆっくり支度をして、一番後ろから出発。
    まずは舗装道路をバスが来た方向のまま、上っていきます。9:15。
    日陰の沢沿いの道路から、だんだん高度を上げて日向の明るい道になってくると、右手に登山口。9:35。
    すぐに上りが始まります。
    いかにも里山めいた樹木の中の登山道から徐々に急な上り坂に。
    眺望が開けてきても、まだ先は長いです。
    ベンチなどは設置されていないので、道幅が広くなり、手ごろな倒木を見つけると、そこに座って休憩しました。
    この道を歩くのは久しぶりです。
    何年か前、積雪のある日に来た記憶があります。
    崖っぷち道がほとんどないので危険が少なく、青空の下、雪山気分が楽しめた1日でした。

    小下沢林道からの登山道との合流点。10:10。
    小下沢林道へと下りていく道は、ロープが張られて侵入禁止となっていました。
    ここまでくれば、あと少し。
    道幅の広い登山道から、急な上り、そして、木段の道と頑張って、景信山山頂。10:30。
    腰を庇ってゆっくり歩くと、全く息切れしないので、何の苦もなくここまで来ました。
    急な上りだとそんなに急ぐ人もいないので、後ろを気にしなくて済むのも助かります。
    景信山からは関東平野が見渡せました。
    春霞で地平線はぼんやりしています。
    下の茶店に降りていくと、こちらからは富士山がくっきり見えました。
    前景に相模湖。
    ここは、売店利用者優先席だけど、誰もいなかったので、ちょっとだけお邪魔して、そそくさと写真だけ撮影。

    さて出発。
    春になり、地面も柔らかくなったので、景信山からの急な下りも歩きやすいです。
    とっとこ下りて行き、四辻。
    ヤゴ沢コースへの侵入禁止を示す木がなくなっている・・・。
    歩けるのかな?
    初夏の頃に、歩いてみようかな。

    そこからは下りの連続です。
    やはり、土が乾いていて柔らかい。
    下りを歩くと、冬とは違う歩きやすさを実感します。

    小仏峠。11:05。
    小仏バス停へと下りていく道を封鎖するロープが外されていました。
    先週開通したそうです。
    少しずつ、台風で通れなくなった道が復旧していきます。

    小仏峠からは、左手は緩く広い上り坂。
    右手は、狭い木段道。
    若いカップルが、その前に立ち止まり困惑していました。
    春になると、高尾を歩くのが初めての若い人を見るようになります。
    初々しいですね。
    「・・・どちらを歩いても、途中で合流しますよ」
    そう声をかけて、私は木段の道へ。
    背後で、
    「ありがとうございます!」
    の声が聞こえました。

    上っていくと、相模湖の見えるベンチ。
    ここからも富士山がよく見えました。
    今日は暖かいのに眺望がいいなあ。

    さらにしばらく緩い坂を上り、そこからは、小仏城山へ向かう木段と木の根の作る段差の急登。
    ここのまき道は、今日も封鎖されていました。
    ここのところ、コースを変えて奥高尾を歩いているけれど、結局ここを通るのは変わらないなあと思いながら、小仏城山到着。11:30。
    城山茶屋は営業中。
    醤油仕立てのなめこ汁を注文する人で大賑わいでした。
    春美茶屋は本日お休み。
    こちら側のテーブルが空いていたので、そこを借りて、本日もカップラーメンの昼食です。

    食べ終わって、相模湖方面に少し下りていくと、芝生からは富士山の大きな姿が見えました。
    写真に撮ると小さいのですが、肉眼では満足度の高い富士山です。
    芝生にレジャーシートを敷いて、昼食中の人。
    お昼寝の人。
    ああ、良い日和です。

    さて、そろそろ左のお尻が凝ってきたので、無理せずまき道から高尾山の真下へ。12:30。
    ちょっとマッサージをして、また出発。
    まだ歩けるので、今日は6号路の琵琶滝コースを下ります。
    去年の台風以来、ここを歩くのは初めてです。
    トイレの分岐から右に曲がり、しばらく舗装された道を行き、ベンチの並ぶ広場から、木段の下りへ。
    崖道を少し行くと、沢沿いの道の始まりです。
    沢の中を飛び石を踏んで歩く道だったところが、台風でグチャグチャになり、今は沢の横を歩いていくようになりました。
    あの大きな飛び石は、少し下流にまとまって並んでいました。
    水の力でそこまで押し流されたのでしょうか。
    その先は、大体今までと同じ道です。
    しばらく歩きにくい道が続きます。
    上ってくる人の多さに驚きました。
    昔は、山に行くなら午前中に登るのが当たり前でした。
    午後になってこの道を登ってくるのは、ヤンキー風なグループくらいなものでした。
    今は6号路を昼から登るのも普通のことになっているようです。
    ただ、やっぱり、服装や靴が山仕様ではない観光客ばかりです。
    山慣れている人は、そんな行動はとらないのです。
    高尾山は観光地だけれど、それでもやっぱり山だから。
    琵琶滝コース登山口。13:55。
    今日は随分早い下山となりました。


    お目当てのハナネコノメも撮影できました。
    私が撮影していると、若い女の子たちが、
    「あ、咲いてる。ずっと探して探して、ここまで来たんですー」
    「撮影している人がいなかったら、気がつかなかったかも」
    と話しかけてきました。
    花の大きさは、2mmほど。
    春を告げるこの花は、あまりにも小さいので、咲いている場所を知らないと見つけにくいのです。
    咲き始めたハナネコノメ。
    見頃は来週と思います。

    こことは別の、秘密の場所に咲くハナネコノメは、無事だろうか。
    あの台風で株ごと流され、土に埋まっていないだろうか。
    今は、林道が封鎖され、行くこともできないけれど。
    心の中で、秘密の場所のハナネコノメを思いながら、高尾山口駅へと向かいました。

      


  • Posted by セギ at 14:12Comments(0)

    2020年02月19日

    高校数Ⅱ「式と証明」。剰余の定理と組立除法。


    さてこの学習は、3次式以上の方程式、すなわち「高次方程式」を解くことが目標です。
    そのためには、高次方程式を因数分解することが必要です。

    2次方程式は、因数分解すれば解けました。
    例えば、
    x2-x-2=0 
    という2次方程式は、
    (x-2)(x+1)=0
    と因数分解できます。

    かけ算で答えが0になるということは、少なくとも一方は0です。
    すなわち、x-2=0、またはx+1=0
    よって、
    x=2,-1 
    という解を得ることができます。

    同様に、例えば、ある3次式が、
    (x-1)(x-2)(x+4)=0
    と因数分解されるならば、その解は、
    x=1,2,-4
    です。

    あるいは、
    (x+1)(x2+5x+20)=0
    という形まで因数分解できれば、
    最初の( )からx=-1。
    後の( )は解の公式で解いて、2つの解を得ることができるでしょう。

    目標は、そういうことができるようになることです。
    では、どうすれば、3次以上の式を因数分解できるのでしょうか?
    そこに向かって学習は進んでいきます。

    多項式を余りなく因数分解したい。
    ( )( )という形にくくりたい。
    そのために、まずは3次式÷1次式の余りの性質について考えていきます。

    ここで登場するのが、「剰余の定理」です。

    f(x)=ax3+bx2+cx+d を x-α で割った商が px2+qx+rで、あまりがRだとします。
    これは、
    f(x)=(x-α)(px2+qx+r)+R
    と書き表すことができます。

    使っている考え方は、小学校で勉強する、わり算の検算の式です。
    わられる数=わる数×商+余り
    という式です。
    小学校で学習したことなのに、覚えていない人の多い式です。
    中学時代に方程式の利用で用いましたし、数A「整数の性質」でも利用しましたので、もうさすがに覚えているでしょうか。

    ただ、公式としては覚えているけれど、なぜ、「わる数×商+余り」がわられる数に戻るのか、理屈が理解できない、何も実感がないとなると少し心配ではあります。
    かけ算とわり算との関係を小学生の頃に学びそこねた可能性があるのです。
    算数・数学が得意な人は、わり算の逆の作業がかけ算であることは、いちいち教わらなくても計算している課程で実感として理解しているのですが、小学生の頃にそのように頭を働かしたことが一度もない人は、この公式を実感できません。
    丸暗記するしかなく、何度覚えてもまた忘れてしまうようなのです。
    わる数に商をかけて、余りを足したら、もとの数に戻る。
    そんなことは、説明するまでもない自明の理。
    そのように実感できる人も多いのですが、全く理解できない人もまた多いのです。
    頭の中に数理の体系のある人と、暗記した作業手順だけがある人との違いとも言えます。

    小学生の頃に、算数の色々なことを実感で理解できず、作業手順を丸暗記するだけだった人は、高校数学を理解するのに多くの困難を伴うことになります。
    また、中学で学習した(  )(  )という書き方が、(  )×(  )という意味であることを忘れている、気づいていない、という高校生もいます。
    (x+2)(x+3) を計算しなさい、といった問題を解くことはできますが、それは何も考えずに作業をしているだけで、(x+2)×(x+3) ということをやっているのだと、知らないのです。
    わかっていないのに、作業手順だけで解いています。
    土台がこのようにフワフワした状態だったり、いくつか抜けてスカスカだったりするところに、強引に高校数学の内容を乗せていくので、積載量を超えると、一気に崩れ落ちます。

    本当に、今学んでいることだけが理解できないのなら、わかりやすく解説すれば疑問が解けるのですが、解説すればするほど、その背後にわかっていないことが幾層にもあり、教えていて呆然とすることがあります。
    大元をたどれば、小学生の頃の本人の学び方の癖、習慣にたどりついてしまいます。
    小学生の頃、意味を説明されても、聞いていなかった可能性が高いのです。
    興味がなかったのでしょう。
    結論さえわかれば、それでいい。
    細かい説明は、右の耳から左の耳へ。
    意味よりも、やり方だけ知りたい。
    やり方だけ教えて。
    覚えるから。
    そういう学習を小学校の低学年の頃からずっと続けてきた子が、高校数学を学ぶと、作業手順が複雑で覚えられなくなり、「意味がわからない」とこぼすようになります。
    本当は、もっとずっと前から、意味はわかっていなかったのです。
    最初の最初、算数にまでさかのぼらないと、意味のわかる学習にたどりつけないことがあるのです。

    ただ、もう高校生なので、小学生のときには理解できなかったことも、今なら理解できるかもしれません。
    わり算の検算の式を、今こそ理解し、高校数学に生かしてください。

    剰余の定理に話を戻します。
    (x)=ax3+bx2+cx+d を x-α で割った商が px2+qx+rで、あまりがRだとします。
    これは、
    f(x)=(x-α)(px2+qx+r)+R
    と書き表すことができます。

    さて、ここに、x=αを代入してみましょう。
    すると、最初の( )内が(α-α)=0となります。
    0に何をかけても0ですので、
    (α-α)(pα2+qα+r)=0 となります。
    したがって、( )( )の部分は消えてしまい、
    f(α)=R 
    となります。
    多項式f(x)をx-αで割った余りは、f(α)、すなわち、もとの式にx=αを代入した数となる。
    これが剰余の定理です。
    この考え方が、高次方程式を因数分解するための基本です。
    まずは、剰余の定理に慣れるための練習問題を解いてみましょう。


    問題 f(x)=3x2-6x2+3x を x-3 で割った余りを求めよ。

    x-3で割るのですから、x=3を代入すれば良いですね。
    ここで、x=3か、x=-3か、符号がわからなくなる人がいます。
    f(x)=(x-3)(      )+・・・ という式を作りたいのだから、x-3=0 となるときのxの値、つまり x=3 だ、というところまで戻って考えれば、混乱を避けられます。

    f(3)=3・33-6・32+3・3
       =81-54+9
       =36
    余りは、36です。

    ところで、これでは余りしか求められませんが、商と余りと両方を求める方法はないでしょうか?
    勿論、真面目に筆算すれば良いのですが、もっと簡単な方法はないでしょうか?
    あるんです。
    それが組立除法です。

    まず、上の板書を見てください。
    読みにくいからと無視すると、この先の話は何もわからないので、我慢してご覧ください。
    ax3+bx2+cx+dをx-αで割った商がpx2+qx+r、あまりがRだったときの筆算を書いたものです。

    筆算するとき、まず ax3÷x を考えて商を立てます。
    今、その商が px2 と立ちました。
    ということは、aとpは、同じ数だということになります。
    すなわち、p=aが成り立ちます。
    次に、筆算では、立てた px2 という商と -α をかけたものを筆算で書き込み、bx2 との差を下に書いていきます。
    その係数は b-(-αp)=b+αp です。
    次の商で qx が立ったということは、q=b+αp が成り立ちます。
    同様に、r=c+αq 、R=d+αr が成り立ちます。
    すなわち、筆算しなくても、p=aですし、そこから芋づる式に、q、r、Rを求めていくことができます。
    それを図式化したのが、組み立て除法です。

    やり方自体は簡単なのですが、理解するまでに相当すったもんだするのが、この「組立除法」です。
    上の画像の後半は、その組立除法のやり方を示しています。
    まず、与えられた多項式の係数だけを書いていきます。
    ない次数の項があったら、忘れずに0も入れていきます。
    の横に、x-α で割る場合は、αを記入します。
    符号がわからなくなったらx-α=0となるときのxの値だと思い出してください。

     a  b  c  d   |α
               

    その下に1行分のスペースを開けて、下線を引いておきます。
    その下線の下に、まずは、aをそのまま下ろします。
    次に、bの下に、αaの値を記入します。
    bとαaの和を下線の下に記入します。それがqです。
    そのqとαの積をcの下に記入します。
    その値とcとの和を下線の下に記入します。それがrです。
    そのrとαとの積をdの下に記入します。
    その値とdとの和を下線の下に記入します。それがRです。
    下線の下に書かれた数値が、p、q、r、Rとなります。

    具体的な問題でやってみましょう。
    問題 x3-4x2+6x-7 をx-1 で割ったときの商と余りを求めよ。

    まず、与式の係数を書いていきましょう。

     1  -4  6  -7   |1

    次に、上の説明した通りの計算をしていきます。

     1 -4  6  -7    |1
        1 -3   3
     1 -3  3  -4

    よって、商は、x2-3x+3 、余りは-4です。

    いったん理解すれば、計算方法自体は簡単なのですが、こうやって書いていて、理解してもらえる自信がありません。
    実際に授業を受けてもらい、補助しながら演習すれば、何ということもないのですが。
    このように文字情報だけですと、何でもない前提でつまずいてしまい、わからないと感じる場合もあるかもしれません。
    どうしても個別指導を受けられない場合は、多くの具体的な計算の結果を見て、やり方を身につけるのが早道だと思います。
      


  • Posted by セギ at 14:14Comments(0)算数・数学

    2020年02月16日

    中学の英語のことを少し。



    中学入学をひかえた小学6年生はワクワクの季節が近づいてきました。
    一方、保護者の方は心配な季節。
    上手く中学生の生活にシフトできるかしら。
    勉強についていけるかしら。
    うちの教室でも、早めに中学の予習をという要請の入る時期です。

    ところで、今の小6は、果たして中学のことをどれくらい理解しているのでしょう?
    敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。

    口は達者だし、かなり反抗期も入ってるし、まあしっかりしているから大丈夫、と思っていると、この情報社会で、意外にカヤの外にいるのが、最近の子どもの特徴です。
    自分の知りたい情報しか得ようとしないので、勉強の情報があまり入ってこないのですね。
    勉強のことを話せる友達がいないという子が、案外多いのです。
    くだらないことは、話せるのですが。

    お兄さんお姉さんがいれば、その動きを見ていて、中学生活というものが大体わかっているのですが、ひとりっ子ですと、上からの情報も皆無。
    親は、そんなことは当然知っているだろうと思って説明しません。

    中学に定期テストというものが存在することを知らない子に会ったことがあります。
    「小学校だってテストはあるよ」
    センセイは、小学校にテストがあることも知らないの?みたいな顔で言い返してくる子でした。
    小学校のテストと同列で扱われても・・・。
    テストの紙質にまずびっくりする、というようなことがないと良いのですが。

    定期テストという名称は知っていても、その重要性をわかっていない子もいました。
    定期テストで成績の大半が決まるということを、知らなかったのです。
    科目ごとに5段階の数字でかっちり評価されるということを知りませんでした。
    「授業態度が良ければ、大丈夫でしょ?」
    と、どこかで聞き齧ったことを過大評価して言ったりします。
    「提出物が20点分あるって、学校の先生は言ってたよ」
    と、得意げに情報提供してくれる子もいました。
    しかし、近年、授業態度の悪い子などほとんど存在しません。
    提出物は、よほど意欲のない子や、物の管理が上手くできず教材やノートを紛失し、出したくても出せない子以外は全員が出します。
    出すのが前提なのです。
    しかし、学校のワークをテスト前に全部解いて提出するだけで物凄く努力している感覚のある子は、それで成績が上がる気がするようです。
    冷静に考えましょう。
    今の時代、授業態度の悪い子も、提出物を出さない子も、本当に少ないのです。

    では、結局、何で評価が分かれるのか?
    国・社・数・理・英の5教科は、定期テストの得点です。
    提出物を出し、授業態度で特に悪いところがないのを前提として。
    定期テストで90点以上取れば、大抵の場合「5」になります。
    定期テストで80点以上取れば、大抵の場合「4」になります。
    逆に、それより低くて「4」や「5」を望むのは、なかなか難しいのです。

    なお、音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科については、ペーパーテストよりも、実技と授業態度が評価を大きく左右します。
    こちらはむしろ、期末テストで満点を取ったところで「5」になる保証はありません。

    さらに、そうやって決定した成績を高校受験で使用するということを知らない子は多いです。
    「内申」というのは、各教科の「1」から「5」の評価から計算される数字です。
    そのことを知らず、内申とは担任の先生がその子についての評価を文章で書くものだけだと思っているのです。
    内申は、数値で出されるものがメインであることを知っておきましょう。
    都立高校の多くは、入試得点1000点満点のうち、300点が内申点です。
    国・社・数・理・英はそのまま、残る4教科は得点を2倍して、その合計65点満点を300点満点に換算したものが内申点です。

    極端な例ですと、中学に英語の定期テストがあることを知らない子もいました。
    小学校の外国語の授業では、簡単な英会話やゲームや歌ばかりやっていたので、「英語は遊びの時間なんだ」と思い込み、勉強だということがわかっていなかったのです。
    それは、英語との幸福な出会いですが、その思い込みが強すぎると、中学の英語の授業の雰囲気についていくことができません。
    中1の1学期の定期テストだけは易しいので何とか乗り切れても、その後、テストの度に得点が半減していきました。

    今後、小学校で英語が教科となりテストも行われることで多少は改善されると思いますが、小学校の英語のテストは書くことがメインではないので、そのことで新たな誤解が生まれる可能性もあります。
    本当は、小学生の頃から、アルファベットや簡単な単語をどしどしテストするようにしたほうがいいと思います。
    中学1年生の教科書では、小学校で習っている単語は、もう知っているものとしてどんどん進むので、スペルを覚えなければならない単語の数が多いのです。
    また、そこをスルーするので、中2になっても中3になっても、数字や曜日・月名を英語で正しく書けない子も多いです。
    中学に入ってから何もかも一気に書くようになるので、そこで落ちこぼれてしまうのです。

    英単語のスペル練習など、地道な作業をすると、
    「こんなのは英語の勉強じゃない。思っていたのと違う」
    と感じ、つらくなってしまう子は今も多いです。
    国語の漢字練習や数学の計算練習に対しては、それなりに諦めの気持ちをもって取り組んでいても、英単語の練習は「つらい」「つまらない」という気持ちが先に立ってしまうようです。
    本人の中で、「英語は楽しいもの」という意識が強すぎるのでしょう。
    使用することが多い単語のスペルを正しく書けないことは、学年が上がるにつれて決定的な学力差となっていきます。
    中学・高校の英語において、ペーパーテストの比重は相変わらず高いです。
    書くことができないと、どうにもなりません。

    確かに、今は、読んだり書いたりするだけの英語で済む時代ではありません。
    リスニングもスピーキングも重要です。
    しかし、それは、書くことを軽視して良いということではないのです。
    テーマと語数を指定された英作文が、定期テストや入試に導入されています。
    書く力も、昔よりもずっと高いレベルで問われているのです。

    英語学習の準備としては、ローマ字の読み書きも、できないよりはできるほうが良いでしょう。
    何となくでいいですので、文字と音との対応がわかっているほうが、読むように書くことが身についていきます。
    そうではない場合、読み方がわからないまま、文字だけ覚えるような状態になることがあります。
    読み方が全くわからないのに、スペルだけ何とか覚えようとする子に、かつて出会ったことがあります。
    英語の成績は「1」に近い「2」でした。
    それは、乱数表を覚えるようなもの。
    そんなのは、さすがに無理でした。

    とはいえ、正式にフォニックスを学習するのも敷居が高いです。
    フォニックスというのは、英語の文字と発音との関係を学習する方法です。
    アメリカの小学校などでは広く行われていますが、それは、そもそもその英単語を知っているネイティブの小学生だから可能な教育なのではないかと感じます。
    日本の学校でも、中1にフォニックスを教えるところがあるのですが、生徒の多くは消化不良で終わるようです。
    a という文字はどんなときに「ア」と読み、どんなときに「エイ」と読むか?
    そういう細かいルールを列挙してあるのがフォニックスです。
    フォニックスが難しすぎて、自分は英語のルールがわからない、英語は無理だと思ってしまうようなのです。
    そうした悩みを抱えて、うちの教室に入ってきた子もいました。

    最初のうちは、そんなの大体でいいんです。
    大体この文字はこんな読み方をするみたい。
    でも、そうじゃないときもある。
    同じ文字に何通りか読み方があるようだ。
    それでいいと思います。

    漢字だって、色々な読み方があるじゃない?
    単語ごとに、読み方とスペルを覚えていこう。
    最初はそれでいいと思いますよ。
    そう励まし、フォニックスよりも文法や読解・リスニングに力を入れたら、その子の英語への苦手意識は薄らいでいきました。
    日本人は、最初はローマ字の読み方を知っておくくらいでちょうどいいんじゃないかと思います。

    大体の読み方がわかるようになって、高校生になったら、もう一度フォニックスのテキストを読み返してみると、驚くと思います。
    当たり前に感じることが書いてある。
    でも、発音問題によく出てくることなのにルールがわからずずっとモヤモヤしてきたことも書いてある。
    あれ?このテキスト、役に立つ?
    そう思えるようになります。

    発音記号も同様で、易しい英単語の読み方やスペルもおぼつかないうちから発音記号を覚えようとしても無理があります。
    しかし、発音記号がわかれば、文字を見ただけでその単語の音がわかるのも事実。
    高校生になっても発音記号が全く読めない子には、大体でいいから覚えたほうがいいよと促しています。



    中学に入学すると直面することに、「カタカナ英語で発音しないと周囲から浮く」という問題があります。
    周囲がカタカナ英語なので、自分もそれを真似し、同調しようとする、と言い換えても良いかもしれません。
    そんな、20世紀の片田舎でも起こらなかったことが、この21世紀の東京で起こることなのか?
    ・・・起こっています。
    公立中学の生徒の英語は、絶望的に発音が悪いことが多いのです。
    英語の成績は「4」または「5」ですが、not は「ノット」、got は「ゴット」、didn't は「デドント」、written は「リトン」と、私が中学の頃だってそんな発音をする子はいなかったが?と驚くようなカタカナ英語の子が多いのです。

    勿論、国語の教科書を音読するのにもかなりの努力が必要な学力の子が3分の1はいるだろうと想像されますから、まして英文となると、とにかく読むだけで精一杯で、発音など構っていられない、ということはあると思います。
    しかし、やろうと思えばもっと良い発音が出来る子も、カタカナ英語に同調する空気があるのではないか?
    そうでなければ、本来、私の世代よりもずっと耳が良く身体的な感覚の鋭敏な子たちが、あの発音で平気でいられるわけがありません。
    しかも、リスニングはよくできるのです。
    リスニングで聴く本物の英語と自分の発音との乖離に、気が付かないはずがないのです。
    ・・・考えられるのは、英語らしい発音をして周囲から浮き上がりたくない、という気持ちが強いのではないか、ということです。

    ただ、勿論、公立中学に通う子は、ネイティブの英語に触れる機会が少ないことは否定できません。
    学校にALTの先生が来たときに耳にする英語。
    普段の授業で、授業中に流されるCDの英語。
    それだけが、耳にする英語の全てである可能性はあります。
    個人的に努力しなければ、模範となるきれいな英語を耳にする機会が少ないのです。
    一方、私立の学校は、ネイティブの先生の英会話の授業があり、会話のテストのある学校も多いです。
    またはインターネットでの個別指導を全員が学校で受講するなど、英会話については充実している学校が多いのです。

    本物の英語に触れる機会が少ない。
    それを打破する方法の1つが、NHKのラジオ講座ですが、公立中学の子は、ラジオ講座の存在すら知らない子が多いです。
    私立に通う子は、ラジオ講座「基礎英語」もテスト範囲とする学校も多く、真面目な子は、毎日毎日、ネイティブの英語に触れています。
    ラジオ講座を聴く習慣を確立できず、ラジオ講座のテスト範囲の分だけごっそり得点を失う私立の子も多いですが、それは自業自得の面があります。
    公立の子たちが、ラジオ講座の存在を知らないために学習の機会を失っているのは、悲しい。
    公立の秀才の発音が、私立に通う普通の学力の子と比べてひどく悪いのは、胸が痛いです。

    光明もあります。
    都立高校入試に、数年後、英語のスピーキングが導入される予定です。
    入試に出るなら、正しい発音に向けて努力するのは当然のこと。
    全員カタカナ英語で足並みを揃える空気は一掃される可能性はあると思います。

    なお、公立中学出身の子も、それで終わりということはなく、高校進学後、秀才であればあるほど、発音は良くなっていきます。
    うちの教室でも、高校生に対しては、単語暗記を目的としてCDによる例文暗唱を繰り返します。
    それで発音やイントネーションが矯正され、劇的に発音が良くなる子は多いです。
    あまりにもあっさりと変わるので、あのカタカナ英語は、仕方なくやっていたことだったんだろうなあと想像したりもします。

      


  • Posted by セギ at 17:04Comments(0)講師日記英語

    2020年02月13日

    高校英語。比較表現。~すればするほど、ますます・・・。


    比較の重要表現。
    今回は、「~すればするほど、ますます・・・」という表現です。

    まずは例文を見てみましょう。

    The older my wife gets, the fatter she gets.
    私の妻は年を取ればとるほどますます太っていく。

    ・・・失礼な。
    それはともかく、この文の構造は、the 比較級+S・V, the 比較級+S・V です。
    「~すればするほど、ますます・・・・」と比例の意味を表します。
    比較級に the をつけること。倒置が起こること。
    それらを印象づけて覚えておきたい重要文です。

    少し文法的な説明をすれば、冒頭の the は「程度」を表し、後の the は、「その程度だけ」と照応する意味となります。
    しかし、さすがにこういう文法になると、そういうのが本当に好きで好きで、そういう話を聞いているだけでワクワクする人以外は、無視して良いと思います。
    こういう構造のものなんだ、と丸暗記して使うだけで大丈夫です。

    さらにいくつか例文を見て、構造を確認しておきましょう。

    The sooner you see a doctor, the better.
    医者に診てもらうのは、早ければ早いほど良い。

    この文は、後半がわかりきっているので省略されています。
    省略しなかったら、
    The sooner you see a doctor, the better it is.
    です。
    英語では、わかりきっている代名詞の主語と be 動詞は、省略される傾向がある。
    そうしたことを覚えておくと、理解しやすいと思います。

    The more we have, the more we want.
    多く持てば持つほど、ますます欲しくなる。

    これは、ことわざです。
    日本のことわざで、これと対応するのは何でしょうね。
    何かあると思うんですが。

    The higher a mountain is, the more people like to clime; the more dngerous the mountain is, the more they wish to conquer it.
    山が高ければ高いほど、人は登りたいと思い、その山が危険であればあるほど、人はそれを征服したいと願う。


    それでは、そろそろ問題演習を。

    問題 次の日本語を英語に直しなさい。
    時間があればあるほど、多くの仕事ができる。

    ここでやってしまいがちな誤答例。
    The more you have time, the more you can do work.
    英語の語順に関連して、句(意味のまとまり)ということが実感できていない人がやってしまいがちなミスです。
    正しくは、
    The more time you have, the more work you can do.
    です。

    これは、中学で「比較」の学習をしている頃からやりがちなミスです。
    例えば、「私は彼と同じくらい多くのCDを持っています」という意味の英文を作るときにも、
    I have books as many as he.
    としてしまいます。
    正しくは、
    I have as many books as he.
    なのですが、この語順が絶望的に定着しない人は案外多いのです。
    形容詞は補語として単独で使用される他に、名詞を修飾している場合があります。
    その場合は、形容詞+名詞は、1つの意味のまとまり(句)となっていますので、そこを引き離してはいけないのです。

    「比較級になるのは形容詞と副詞である」という文法事項も、聞くだけで嫌な顔をし、動詞に er をつけたりする人もいますので、文法アレルギーが引き起こすものは、英語学習が進むほど深刻です。
    「複合関係形容詞」みたいな文法用語を無理して覚えろとは言いませんから、少なくとも、名詞・動詞・形容詞・副詞だけは理解してください。
    それを理解しておくだけで、文法は随分わかりやすくなります。

    さて、次は書き換え問題。

    問題 次の2文がほぼ同じ意味になるように空所を埋めよ。
    The more you study, the more you know.
    =( ) you study more and more, you know more.

    学べば学ぶほど、ますます多くを知る。
    この意味の文を作れば良いのですね。
    冒頭の( )は、位置から考えて、接続詞でしょう。
    「~するにつれて」という意味の接続詞を入れれば良いとわかります。
    答は、as です。

    The more you study, the more you know.
    =(As) you study more and more, you know more.

    これは、「比例の as 」と呼ばれるものです。
    as の意味の中でも忘れやすいものですので、注意が必要です。


      


  • Posted by セギ at 10:59Comments(0)英語

    2020年02月10日

    南高尾山稜を歩きました。2020年2月。


    2020年2月9日(日)、南高尾山稜を歩いてきました。

    前日、高尾のビジターセンターのサイトを見ると、南高尾山稜は現在、大洞山~大垂水峠間が通行不可となっていました。
    大垂水峠の歩道橋近くのあの崖っぷち道はもともと狭かったから、台風で登山道が崩落したのだろうと想像されます。
    台風直後に聞いた情報では、見晴らし台付近の登山道が崩落したということでしたが、そのような記載は今はないので、高尾山口駅から、大洞山までは行くことができるのでしょう。
    では、高尾山口から大洞山まで行って、中沢峠に戻って梅ノ木平に下山するというコースで歩いてみようかな?
    そのように計画して、出発しました。

    相変わらず腰痛があるので、今回は、腰に使い捨てカイロを貼って、高尾山口駅を出発。8:55。
    カイロは効果があり、お尻の凝りは昼頃まで穏やかでした。
    とはいえ、腰の様子を見ながらそろそろと歩くので、いつもよりずっと遅い歩行ペースです。

    甲州街道の交差点を渡って、ゆるい登り坂を左方向に歩いていくと、すぐに草戸山の道しるべが見えてきます。
    その道しるべの通りに、民家の横の細い道を登っていきます。
    道はすぐ、どこの深山?という雰囲気になります。
    登りきると四辻。9:10。
    ここを右折して、そこからは小さなピークが繰り返されます。
    東高尾と呼ばれるこのあたりの道は、アクセスが良いのに山深い印象があります。
    今日は特別寒い朝だからか、それとも、南高尾登山道不通のせいか、例年よりも登山者が少ない気がしました。
    私が初めてこの道を歩いた頃も、登山者の数はこんなふうでした。
    たまに、単独行の人がいる程度。
    トレイルランニングというスポーツそのものが存在しませんでしたので、走っている人はいませんでした。
    あまり人に知られていない、気持ちの良い登山道。
    腰痛を抱え超ゆっくりペースの今は、後ろを気にしなくて良いのはありがたいです。

    小さいピークを登っては下り、登っては下り。
    かなり急な下りもありますが、ロープが整備され、腰を庇いながらでも降りていけました。
    草戸峠。10:20。
    高尾山の尾根がよく見える峠で、ベンチが沢山並んでいる休憩適地です。
    水分補給して、さて、もうひと頑張り。
    少し下って、最後の登りを行くと、草戸山。10:30。
    城山湖を見渡す休憩所が設置されてあります。
    ここも休憩適地です。
    休憩所脇のベンチに座って、休憩。
    一応お尻をマッサージ。
    まだそんなに凝っていない。ありがたい。

    ここからは、急な階段道が多くなります。
    道幅が広く歩きやすい緩やかな上り道と、急な階段の上り道の繰り返しです。
    横には階段が整備される前の急な斜面も残っていて、そこを歩くこともできますが、そこよりは階段のほうがましだと感じるほど急な道です。

    三沢峠。11:05。
    多くの登山道が集まる五叉路です。
    ベンチとテーブルもあり、ここも休憩適地。
    ここでも、ほっとひと息し、マッサージ。

    さて、ここから南高尾の道です。
    登山道は明瞭で落ち葉もよく踏まれてあるので、秋以降にここを歩いた人は多いのだと感じました。
    ときどき、脇道にロープが張られてあり、通行禁止となっているのが今までとは違う印象です。
    やがて道は崖っぷちの細い道となります。
    以前から歩きにくいところだったので用心して進んでいくと、あれ?
    以前より、歩きやすい・・・。
    ところどころ土嚢が入っていて、道幅が十分保たれているのです。
    これは、台風以降に相当な整備が入ったのでしょう。
    進むにつれて土嚢の数はどんどん増え、この作業に要した時間や人手に、両手をあわせたい気持ちになりました。
    以前はちょっと嫌だなと感じながら通り抜けたところも楽々通過。
    樹間からは、富士山の白い姿。
    冬枯れの南高尾山稜の良さを満喫しながら、見晴台到着です。11:55。

    いつもなら、ベンチはほぼ満席なのですが、ここも空いていて、先客は1人だけでした。
    富士山と津久井湖を眺めながら、本日もカップラーメンの昼食。
    南向きで温かく、1枚羽織る必要もありませんでした。

    さて、出発。
    とりあえず大洞山まで行くことにしました。
    向こうからやってくる人が、ときおり現れます。
    梅ノ木平から来ているのかな?
    甲州街道を含む舗装道路歩きが長いので、そんなに人気のある道とは思えないけれど?

    そこで、これまで南高尾山稜を歩いていて訊かれることが多いけれど自分からは発したことのなかった質問を、向こうからやってきた単独の登山者に発してみました。
    「どこから登っていらしたんですか?」
    「え?大垂水から」
    「大垂水?大洞山から大垂水の間は、通れないんじゃないんですか?」
    「ああ、崖は崩れているけれど、途中から甲州街道に降りられる道があるんですよ」
    「・・・行けば、わかりますか?」
    「多分・・・。僕も最初、今日と反対周りでその道を降りたとき、特に迷った記憶はないから」

    ・・・これは、様子を見に行ってみよう。

    まずはいつもの細いまき道を用心して歩いていき、中沢峠の道しるべで、梅ノ木平への登山道を確認。
    ここに戻ってくることも十分予定した上で、行けるところまで行ってみることにしました。
    大体、坂道を直接甲州街道に降りていくなんて、危険極まりないです。
    この辺りの甲州街道は、車の通行が激しいのに、歩道がないんだから。
    気をつけないと。

    そんなふうに思いながら、急な坂道を上り、コンピラ山を越えて、大洞山。12:55。
    トレイルランナーの集団と遭遇しました。
    これは・・・?
    やはり、大垂水から来る人がかなりいる?

    そこからも、いつもの下り道です。
    落ち葉もよく踏まれて、人が常に歩いているのがうかがえます。
    階段道を降りていき、道しるべのところで右に曲がり、そこからはちょっと歩きにくい木の根の作る段差の大きい下り道。
    もうすぐ例の細い崖道に入るが大丈夫なのか?と思っていると、その先で登山道がロープで封鎖されていました。
    そして、まさにそこから、別の踏み跡が派生していたのです。
    いえ、踏み跡というレベルではなく、これも登山道だというレベルのしっかりとした歩きやすい下り道が5メートルほど。
    そこからあっという間に舗装道路に出ました。
    でも、ここは甲州街道ではないぞ?
    道なりに下っていくと、鉄の門が7割ほど閉まっていて、開いているところには鍵のついた鎖が張られてありました。
    つまり、車は入ってこられないけれど、歩行者は、その鎖をくぐって通り抜けできるのです。
    その先が、甲州街道でした。

    ・・・Σ(・□・;)

    しかし、ここは、どこかの会社の私有地なのではないでしょうか。
    通り抜けできるよう、好意で門を開けておいてくれているのではないか?
    何と申し訳ないことだろう。
    ここは、正規の道ではありません。
    こういう善意に増長して、わーい、歩ける、と思うのは、良くない気がする・・・。
    すみません、すみません、ありがとうございますと思いながら、甲州街道に出ました。
    大洞山~大垂水間の崖路が、早く復旧されるといいなあ。
    でも、日影沢林道の復旧のほうがどう考えても急がれることだし。
    台風の傷跡は、まだ本当に山の多くに残っています。

    そこから甲州街道の歩道のない道を左方向にとぼとぼ歩いていくと、向こうから登山姿の歩行者が2人やってきました。
    「どこから来たんですか?」
    と例の質問を今度は私がされました。
    私は、崖を指さし、
    「あのあたりが崩落しているんで、少し手前で下りたんです。大洞山から来ました」
    「大洞山。こっちに行くと、高尾駅ですよね?」
    その人は、私が歩いてきた方向を指さしました。
    「・・・はい、そうですね」
    「どのくらいかかりますか?」
    「高尾駅まで?歩いたことないですけど、だいぶかかると思いますよ」
    1時間?2時間?
    わからないので、時間を言うことはできませんでした。

    小仏城山から降りてきて、ここで行き詰まった人なのでしょうか。
    でも、大洞山の情報に食いつく様子は全くなかったので、最初から、大垂水が終点だったのだと思います。
    大垂水からバスに乗る予定だったのかもしれません。
    バスの本数があまりに少ないので、歩きだした、ということでしょうか。

    大垂水までそのままとぼとぼ歩き、歩道橋を通り過ぎ、小仏城山へと上り返す登山口に入りました。13:30。
    あたりの崖は、ワイヤーロープで巨大な網の目のように頑丈に固定されていました。
    ここも台風で崖崩れが起きたのでしょうか。
    土がむき出しになっているので、表層の土や木は流れ落ちたのだろうと思います。
    急な階段を手すりに頼って上っていくと、小さな沢に出ました。
    以前よりも沢が登山道に近い。
    沢が狭くなり、そして深くなった印象です。

    ジグザグの登り道で沢と離れ、その先も緩く登っていくと、道しるべが見えてきました。
    ここで息を整え、最初の急登を行きます。
    木段が整備されて、歩きやすいですが、とにかく急です。
    上りきると、いったん道は緩やかなアップダウンの道となります。
    カイロの効果が切れたのか、左のお尻の凝りが始まりました。
    でも、先週ほどではなく、何とか歩くことができます。
    やがて、再び急登。
    これも1回では済まず、一度緩くなって、その先、もう一度最後の急登があります。
    ゆっくりゆっくり登っていき、奥高尾縦走路と合流するデッキに出ました。14:30。

    今日は本当に寒いので、奥高尾の登山者もいつもより少ないように感じます。
    デッキ道や木段道をゆっくり下り、一丁平展望台で、再び富士山を眺めました。
    富士山の左手に、風で尾を引いているような雲。
    あそこは凄い風が吹いているだろうなあと、飽かず眺めました。
    ベンチで少し休憩して、さあ高尾山へ。
    今回も勿論、紅葉台は巻きました。
    腰が痛いからだけでなく、お目当ては、まき道のシモバシラの氷花。
    この寒さならと期待した通り、小さいけれど氷花を見ることができました。

    高尾山も巻いて、ケーブル山頂駅。16:05。
    今日はさすがに15分間隔の通常運行かと思っていたら、改札後たちまち満員となり、予定より早く、16:10出発。
    16:17、降り立ったケーブルカーはすぐに客を乗せて登っていきました。

      


  • Posted by セギ at 12:17Comments(0)

    2020年02月07日

    数Ⅱ「式と証明」2次方程式の解の範囲。少し難問を解いてみましょう。


    数Ⅱの2次方程式の解の範囲に関する問題をさらに解いてみます。
    少し難しい問題に挑戦してみましょう。

    問題 2次方程式 x2-2(a-4)x+2a=0 の2つの解がともに2より大きい場合の定数aの値の範囲を定めよ。

    数Ⅱ的アプローチで解いてみましょう。
    まずは、判別式D≧0 はこの2次方程式が実数解をもつための大前提です。
    あれ、D>0 じゃないの? と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この問題は「2つの解」と書いてあっても、その2つが異なる解であるとは書いていないのです。
    つまり、重解の可能性は否定できないのです。
    重解のときの判別式はD=0。
    だから、今回の判別式の範囲はD≧0 となります。

    判別式 D/4=(a-4)2-2a≧0
    a2-8a+16-2a≧0
    a2-10a+16≧0
    (a-2)(a-8)≧0
    a≦2, 8≦a ・・・①

    さて、解と係数の関係をここから利用します。
    上の2次方程式の2つの解をα、βとすると、問題の条件より、
    α>2、β>2
    すなわち、
    α-2>0、β-2>0
    よって、
    (α-2)+(β-2)>0 かつ、(α-2)(β-2)>0 

    ここで、α>2、β>2から
    α+β>4 かつ、αβ>4
    と単純にやってしまうと、誤差が生じてしまいます。
    正負の判断は、積の場合、必ず右辺を0に直して行わないと、正確なものにならないのです。
    上の、(α-2)(β-2)>0 を展開してみましょう。
    αβ-2α-2β+4>0 です。
    単純な、αβ>4 とは異なることがわかりますね。

    (α-2)+(β-2)>0
    α+β-4>0
    解と係数の関係より、
    α+β-4=2(a-4)-4>0
    2a-8-4>0
    2a>12
    a>6 ・・・②

    (α-2)(β-2)>0
    αβ-2α-2β+4>0
    αβ-2(α+β)+4>0
    解と係数の関係より、
    2a-2・2(a-4)+4>0
    2a-4a+16+4>0
    -2a+20>0
    -2a>-20
    a<10 ・・・③

    ①、②、③より
    8≦a<10

    これが解答です。


    しかし、上の件がどうしても納得いかず、α>2、β>2なんだから、α+β>4、αβ>4でいいんじゃないかと思う人もいるかもしれません。
    それで解くとどうなるでしょう。
    やってみましょう。
    判別式 D≧0 より、a≦2、8≦a ・・・① は同じです。
    α+β>4 も同じですから、
    2(a-4)>4
    2a-8>4
    2a>12
    a>6 ・・・②
    αβ>4 とすると、
    2a>4
    a>2 ・・・③
    ①、②、③より
    8≦a
    という別の答になってしまいます。


    「本当はこっちのほうが正しいんだよ」という不毛な論争の前に、それでは数Ⅰ的アプローチで、解答を確認してみましょう。

    判別式 D≧0 より、a≦2、8≦a ・・・① は同じです。
    次に、軸の方程式が2より大きいことを利用します。
    軸の方程式は、x=2(a-4)/2=a-4
    よって、a-4>2
    a>6 ・・・②
    さらに、2つの解が2より大きいということは、f(x)=x2-2(a+4)+2a としたときのf(2)の値は正の数ということになります。
    これは、放物線を実際に描いてみると実感できます。
    f(2)=4-2(a-4)・2+2a>0 
    4-4a+16+2a>0
    -2a>-20
    a<10 ・・・③
    ①、②、③より
    8≦a<10

    (α-2)(β-2)>0 の解き方と解が一致しましたね。

    8≦a ではなく、8≦a<10。
    どちらが本当の正解か?
    a=10を代入して確認してみましょう。
    「2次方程式 x2-2(a-4)x+2a=0 の2つの解がともに2より大きい」という条件を満たすでしょうか?
    x2-2(10-4)x+2・10=0
    x2-12x+20=0
    (x-2)(x-10)=0
    x=2,10
    解の1つは2となり、「2より大きい」という条件を満たしません。
    8≦a では正解とならないことがわかります。


    問題 x2-2(a-4)+2a=0 の2つの解がともに2より小さい場合の定数aの値の範囲を定めよ。

    これも、上の解き方と基本は同じなのですが、「2より小さい」と言われると混乱する人もいるようです。
    まず、判別式D≧0 であることは、上の問題と同じです。
    これは大丈夫でしょう。

    判別式 D/4=(a-4)2-2a≧0
    a2-8a+16-2a≧0
    a2-10a+16≧0
    (a-2)(a-8)≧0
    a≦2, 8≦a ・・・①

    次の解と係数の関係を利用します。
    上の2次方程式の2つの解をα、βとすると、
    α<2、β<2 より
    α-2<0、β-2<0 です。
    よって、
    (α-2)+(β-2)<0 かつ、(α-2)(β-2)>0
    解と係数の関係より、α+β=2(a-4)、αβ=2a だから、
    (α-2)+(β-2)=2(a-4)-4<0
    2a-8-4<0
    2a<12
    a<6 ・・・②
    (α-2)(β-2)=αβ-2(α+β)+4>0
    2a-2・2(a-4)+4>0
    2a-4a+16+4>0
    -2a>-20
    a<10 ・・・③
    ①、②、③より
    a≦2 が解答となります。


    問題 2次方程式 x2-2(a-4)x+2a=0 の1つの解が4より大きく、他の解は4より小さいとき、定数aの値の範囲を定めよ。

    何だか、これが一番難しそう・・・と思いますが、解き方としては、これが一番簡単です。

    上の2次方程式の解をα、βとする。
    α<β とすると、α<4、β>4
    すなわちα-4<0、β-4>0
    よって、(α-4)(β-4)<0
    αβ-4α-4β+16<0
    αβ-4(α+β)+16<0
    解と係数の関係よりα+β=2(a+4)、αβ=2aだから、
    2a-4・2(a-4)+16<0
    2a-8a+32+16<0
    -6a<-48
    a>8

    あっという間に答えが出ました。

    この問題は、数Ⅰ的アプローチでも、簡単に解くことができます。
    f(x)=x2-2(a-4)x+2a とおくと、
    f(4)<0
    16-2(a-4)・4+2a<0
    16-8a+32+2a<0
    -6a<-48
    a>8

    同じ答えとなりますね。

    こういう解き方のときは、何で判別式Dの話は出てこないのかなあ・・・と思う人もいるかもしれません。
    どちらの解き方でも、α<4<β あるいは、f(4)<0 と定めたときに、もう、放物線はx軸と交わることが確定しているからなんです。
    下に凸の放物線が、自動的に、びょーんと下に引っ張られて、どうしたってx軸と2点で交わっているイメージをもてたら、大正解です。

      


  • Posted by セギ at 11:49Comments(0)算数・数学

    2020年02月05日

    数Ⅱ「式と証明」2次方程式の解の範囲。アクティブラーニング的に。


    さて、前回は、2次方程式の解の範囲に関して、数Ⅰで学習した解き方を解説して終わりました。
    前回の問題は、数Ⅰの解き方が適していたのです。
    しかし、数Ⅱで学習する「解と係数の関係」を用いると、もっと簡単に解くことができる問題も多いです。

    今回は、こんな問題を見てみましょう。

    問題 2次方程式x2+2(a+2)x-a=0 が異なる2つの正の解をもつような定数aの範囲を定めよ。

    このタイプの問題の中では、一番易しいと思います。
    まずは、もう一度、数Ⅰの解き方で解いてみましょう。
    f(x)=x2+2(a+2)x-a という放物線をイメージします。
    そのグラフとx軸との交点のx座標が、上の2次方程式 x2+2(a+2)x-a=0 の解です。
    実際に、x軸と放物線との概形を描いて具体的にイメージすると、この解き方は理解しやすいです。

    どうすれば、x軸と放物線との交点は2つともx軸の正の位置にくるか?
    条件は3つあります。

    (1)判別式D>0 であること。
    これにより、放物線は、x軸と2つの交点をもつことになりますので、大前提です。

    (2)放物線の軸が、y軸より右にあること。
    もしも、放物線の軸が、y軸より左にあったら、x軸との交点の少なくとも1つは負の数になってしまいます。

    (3) f(0)>0 であること。
    放物線がx軸と2つの交点をもつことと、軸がy軸よりも右側にあることがクリアできても、そのままでは、放物線は横にだらしなく広がり、1つの交点のx座標は負の数になってしまう可能性があります。
    y軸との交点、すなわちy切片が正の数であれば、放物線はスッとすぼまり、問題の条件通り、x軸との交点は2つともx軸の正の部分となります。

    納得できない場合、この3つの条件を満たすが、x軸との交点は負の数になる放物線を描いてみようとしてください。
    どう描いても、放物線はx軸の正の部分と2か所で交わるようになります。
    反例が存在しない。
    すなわち、この3つの条件を満たせば、必ず、放物線はx軸の正の部分と2か所で交わるのです。

    ここのところは、「解き方」として丸暗記するだけでは忘れるのも早いので、心の底から納得できるまで理解を深めてほしいと思います。
    ただ、この問題だけ急に理解を深めようとしても、それ以前の学習を「まあよくわからないけど、そういうものなんだろう」と流してきた人には難しいかもしれません。
    こういう問題になると急に眉を寄せて、
    「わからない。わからない。わかるように解説してほしい」
    と要求する人がいます。
    気持ちはわかりますが、放物線とx軸との交点が2次方程式の解だということも、まずなかなか理解できない場合もあるのです。
    どこからわからなくなっているのか?
    中2で学習した、連立方程式の解が2直線の交点の座標だということも、本質は理解していなかったのではないか?
    中3で学習した、直線と放物線の交点の座標を求めるときに2つの式を連立して解くことも、本質は理解していなかったのではないか?

    「覚えやすいこと」=「わかること」。
    「覚えにくいこと」=「わからないこと」。
    覚え方を教えてもらえば、意味なんかわからなくてもいい。
    そういう学習を小学生の頃から続けてきたのではないか?
    でも、高校数学は複雑で、とうとう覚えきれなくなってきた・・・。
    そうして急に「意味がわからない」という方向にシフトし始めた。
    本当は、意味なんか、小学生の頃からわかっていなかったのに・・・。

    高校数学がわからなくなる子に、そういう子は多いです。
    中学の数学は、暗記と反復で何とかこなしてきた。
    なぜその解き方で解けるのか、深く考えたことなどなかったけれど、典型題の暗記と反復でそこそこの点数を取ってきた。
    ところが、高校数学は、暗記しきれない・・・。
    暗記しても暗記しても、頭から公式や解法が抜け落ちる・・・。

    ・・・そんな勉強をしてきたからですよ、と責めるのは簡単です。
    でも、意味がわからないことに気づいた今こそが、チャンスです。
    もう小学生のときの頭脳ではありません。
    脳は日々成長しています。
    中学生のときに、わからないから諦めてきたことも、もう理解できるかもしれません。
    あのときはわからなかったことも、今ならわかるかもしれないのです。
    1つ1つ、意味に立ち返ることができれば、高校数学はわかるようになります。
    実際は、そんなに大したことはやっていないのですから。
    高校数学なんて、数学の基礎のまた基礎です。
    理解しようと努力すれば理解できるレベルです。
    あとは、どれだけ粘れるか、です。
    今までのように「もういいから、やり方だけ覚えよう」と思ってしまったら、今までと同じ。
    それどころか、暗記することが本当に多いですから、もう数学は諦めることになります。
    数Ⅱのここからが正念場です。


    さて、問題に戻ります。
    上の解法で解いてみましょう。
    (1)判別式より
    x2+2(a+2)x-a=0 の判別式をDとすると、
    D/4=(a+2)2-(-a)>0
    a2+4a+4+a>0
    a2+5a+4>0
    (a+1)(a+4)>0
    a<-4,-1<a ・・・①

    (2)軸の方程式より
    f(x)=x2+2(a+2)x-a の軸の方程式は、x=-2(a+2)/2=-a-2
    軸はy軸より右側にあるから、
    -a-2>0
    -a>2
    a<-2 ・・・②

    (3) f(0)>0より
    f(0)=-a>0
    a<0 ・・・③

    ①、②、③より
    a<-4

    これが解答となります。


    この解き方で何も問題ないのですが、さてここからアクティブラーニング的に。
    グループに分かれて、この問題の解き方を皆で考えなさいと指示された場合、当然、数Ⅰ的な上の解き方が案として出てくるわけですが、他の解き方はないでしょうか?
    数Ⅱで解と係数の関係を学習しました。
    それを利用した解き方も可能ではないでしょうか。
    もう一度問題を見てみましょう。

    問題 2次方程式x2+2(a+2)x-a=0 が異なる2つの正の解をもつような定数aの範囲を定めよ。

    とりあえず、この2次方程式に異なる2つの実数解がないことには、前提が覆ります。
    だから、判別式D>0 は絶対に必要です。
    それは、数Ⅰの解き方と同じですね。
    あとは、解と係数の関係から考えていきます。
    この2次方程式の2つの解をα、βとします。
    この2つが正の数なのですから、α+β>0 ですし、αβ>0 です。
    この条件をクリアすれば、この2次方程式は、2つの正の解をもつでしょう。

    解いてみましょう。
    (1)判別式より
    これは先ほども計算しました。
    x2+2(a+2)x-a=0 の判別式をDとすると、
    D/4=(a+2)2-(-a)>0
    a2+4a+4+a>0
    a2+5a+4>0
    (a+1)(a+4)>0
    a<-4,-1<a ・・・①

    (2)解と係数の関係より
    α+β=-2(a+2)>0
    -2a-4>0
    -2a>4
    a<-2 ・・・②

    αβ>0
    -a>0
    a<0 ・・・③

    ①、②、③より
    a<-4


    同じ答えとなりました。
    そして、こちらのほうが、簡単に式を立てて計算していくことができるのが、答案を見比べて明瞭だと思います。

    数Ⅰで学習した解き方、数Ⅱで学習するこの新しい解き方。
    片方しか覚えない、面倒だから、ではなく、両方とも理解し、適宜使い分けることをお薦めします。

      


  • Posted by セギ at 11:33Comments(0)算数・数学

    2020年02月03日

    陣馬山から高尾山へ縦走しました。2020年2月。


    2020年2月2日(日)、久しぶりに山を歩きました。
    日曜日になると曇ったり雨だったりということが多いのですが、それだけでなく、腰痛が悪化し、山が遠のいております。
    しかし、じっとしていて治るとも思えない。
    腰をだましだまし、久しぶりに山に向かいました。

    去年の12月末に、ようやく陣馬高原行きのバスが復旧しました。
    今回はそれに乗って、陣馬山に向かいました。
    8:50に臨時増発が出て、それに座っていくことができました。
    道路は、どこが崩れたのかわからないほど、もう完璧に復旧していました。
    9:25。陣馬高原下、到着。
    しかし、トイレが閉鎖されていました。
    代わりに、仮設トイレが2つ。
    高尾駅で済ますべきだったー。

    ともあれ、支度をして出発。9:35。
    まずは舗装された林道をとことこ登っていき、小さな道しるべの立つ分岐から山道に入ります。
    もう何度歩いたかわからない、見慣れた麓の道。
    ところが、途中から、「あれ、ここ直進だっけ?」と違和感が。
    こんなに沢がよく見える道でしたっけ?
    去年の秋の台風で、沢の流れが変わった?
    でも、冬枯れのせいかもしれません。
    この道の真ん中の岩には見覚えがある・・・。
    しばらく行くと、これも見覚えのある道しるべが見えてきて、その通りに右折すると、そこからは見慣れた急登が始まりました。

    まず1つ目の長い急登。
    ジグザグに登っていくと、最後は大きく左に曲がり、そこから道の印象が変わります。
    新緑の頃は、緑に包まれて登っていく、気持ちのよい道です。
    緩い登りで息を整え、2番目の急登へ。
    このコースが開かれたとき最初に整備されたジグザグ道と、踏み跡の濃くなった直登と、登山道は複線化しています。
    尾根が広いのでどこからでも登れます。
    その先に青空が見えるので、もう次は山頂かと誤解しそうなところですが、まだまだ中盤です。
    再び、少し道は緩くなり、そこで息を整え、3番目の急登。
    今日は私も直登コースを。
    登りきって、斜面をトラバースする道へ。
    道が細い部分もあり、用心して通過すると、大きなカエデの木のもとへ。
    ここから、陣馬山はこの時期、雪道あるいは泥道の2択しかないのですが、連日の晴れで泥が乾き、固まっていて助かりました。
    それでも、最後の登りは深い泥道を用心して歩いていき、白馬のモニュメントの立つ陣馬山山頂。10:50。

    今日は冬晴れで遠望が効き、富士山がくっきり見えました。
    南アルプスもよく見えました。
    上の画像がそれです。
    木段を降りて、枯草の上にレジャーシートを敷いて、少しのんびり。
    富士山がよく見える場所なので人気が高く、枯草に寝転ぶ人がずらり。
    折り畳み椅子持参の人もいました。
    茶店は、本日は清水茶屋のみ営業中でした。

    さて、下山。
    登ってきた道と別れ、奥高尾縦走路に入ると、ドロンドロンの泥道が始まりました。
    先週は、2日も17℃を越す好天で、その前に降った雪は道の端にも残っていませんが、さすがに泥までは消えなかったようです。
    しかし、例年のこの時期よりは泥道は短く済み、歩きやすい道をたったか・・・と言いたいところですが、ここで腰痛からくる左側臀部の凝りが悪化。
    岩盤のように固くなり、激痛に変わっていきました。
    腰を庇ってお尻の筋肉に力が入るのか、お尻が岩のように固くなり、歩くのに難渋します。
    人は、お尻が凝ると上手く歩けないのですね。
    自力でお尻をもみほぐしながら、少しずつ歩を進めます。
    冬枯れの樹間からは富士山。
    登山道の途中から富士山が眺められるのも冬だけの楽しみです。
    目を癒しながら、一歩一歩頑張りました。

    明王峠。12:00。
    ここでお昼にしました。
    本日もカレーヌードルです。
    疲れて食欲がないときは、カレーに限ります。

    さて、再び出発。
    目標は縦走よりも下山に絞りました。
    最大限、まき道を選びます。
    景信山もまいて、小仏峠。14:10。
    ベンチに座って、念入りにマッサージ。
    ほぐせば、また少し歩けます。
    小仏に降りていく道は、まだ封鎖されていました。

    相模湖の見えるベンチまで登っていき、また座ってマッサージ。
    そこから再びゆっくり歩いていきました。
    少し期待していたのですが、小仏城山をまく道も、まだ閉鎖中。
    木段と木の根の作る段差を登って、小仏城山。14:40。
    時間が遅いせいもあるのか、茶店は2つとも閉店していました。

    一丁平展望台。
    富士山は雲に隠れてしまいました。
    丹沢は、中腹から雪をかぶっていました。
    腰の調子が良ければ、今日は丹沢に行きたかったなあ。
    しかし、この歩行ペースでは、丹沢に行ったら下山中に日没だったでしょう。

    さて、木段をゆっくり下りていき、紅葉台は勿論まいて、高尾山直下。15:30。
    高尾山もまいて、観光客のいる場所に入りました。
    夕方近くに観光客が多いことも、もう見慣れました。
    昔と比べて、観光客の行動パターンが変わったんでしょうね。
    薬王院を通過し、ケーブル山頂駅へ。16:15。
    ケーブルカーは、本日も7分間隔で運行中でした。

    そして、これを書いている本日、腰痛とお尻の懲りはかなり解消されています。
    やはり、運動不足が一番いけないので、多少無理をしても歩かなくちゃダメだなあ。
    頑張ります。
      


  • Posted by セギ at 11:53Comments(0)