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2020年02月19日

高校数Ⅱ「式と証明」。剰余の定理と組立除法。

高校数Ⅱ「式と証明」。剰余の定理と組立除法。

さてこの学習は、3次式以上の方程式、すなわち「高次方程式」を解くことが目標です。
そのためには、高次方程式を因数分解することが必要です。

2次方程式は、因数分解すれば解けました。
例えば、
x2-x-2=0 
という2次方程式は、
(x-2)(x+1)=0
と因数分解できます。

かけ算で答えが0になるということは、少なくとも一方は0です。
すなわち、x-2=0、またはx+1=0
よって、
x=2,-1 
という解を得ることができます。

同様に、例えば、ある3次式が、
(x-1)(x-2)(x+4)=0
と因数分解されるならば、その解は、
x=1,2,-4
です。

あるいは、
(x+1)(x2+5x+20)=0
という形まで因数分解できれば、
最初の( )からx=-1。
後の( )は解の公式で解いて、2つの解を得ることができるでしょう。

目標は、そういうことができるようになることです。
では、どうすれば、3次以上の式を因数分解できるのでしょうか?
そこに向かって学習は進んでいきます。

多項式を余りなく因数分解したい。
( )( )という形にくくりたい。
そのために、まずは3次式÷1次式の余りの性質について考えていきます。

ここで登場するのが、「剰余の定理」です。

f(x)=ax3+bx2+cx+d を x-α で割った商が px2+qx+rで、あまりがRだとします。
これは、
f(x)=(x-α)(px2+qx+r)+R
と書き表すことができます。

使っている考え方は、小学校で勉強する、わり算の検算の式です。
わられる数=わる数×商+余り
という式です。
小学校で学習したことなのに、覚えていない人の多い式です。
中学時代に方程式の利用で用いましたし、数A「整数の性質」でも利用しましたので、もうさすがに覚えているでしょうか。

ただ、公式としては覚えているけれど、なぜ、「わる数×商+余り」がわられる数に戻るのか、理屈が理解できない、何も実感がないとなると少し心配ではあります。
かけ算とわり算との関係を小学生の頃に学びそこねた可能性があるのです。
算数・数学が得意な人は、わり算の逆の作業がかけ算であることは、いちいち教わらなくても計算している課程で実感として理解しているのですが、小学生の頃にそのように頭を働かしたことが一度もない人は、この公式を実感できません。
丸暗記するしかなく、何度覚えてもまた忘れてしまうようなのです。
わる数に商をかけて、余りを足したら、もとの数に戻る。
そんなことは、説明するまでもない自明の理。
そのように実感できる人も多いのですが、全く理解できない人もまた多いのです。
頭の中に数理の体系のある人と、暗記した作業手順だけがある人との違いとも言えます。

小学生の頃に、算数の色々なことを実感で理解できず、作業手順を丸暗記するだけだった人は、高校数学を理解するのに多くの困難を伴うことになります。
また、中学で学習した(  )(  )という書き方が、(  )×(  )という意味であることを忘れている、気づいていない、という高校生もいます。
(x+2)(x+3) を計算しなさい、といった問題を解くことはできますが、それは何も考えずに作業をしているだけで、(x+2)×(x+3) ということをやっているのだと、知らないのです。
わかっていないのに、作業手順だけで解いています。
土台がこのようにフワフワした状態だったり、いくつか抜けてスカスカだったりするところに、強引に高校数学の内容を乗せていくので、積載量を超えると、一気に崩れ落ちます。

本当に、今学んでいることだけが理解できないのなら、わかりやすく解説すれば疑問が解けるのですが、解説すればするほど、その背後にわかっていないことが幾層にもあり、教えていて呆然とすることがあります。
大元をたどれば、小学生の頃の本人の学び方の癖、習慣にたどりついてしまいます。
小学生の頃、意味を説明されても、聞いていなかった可能性が高いのです。
興味がなかったのでしょう。
結論さえわかれば、それでいい。
細かい説明は、右の耳から左の耳へ。
意味よりも、やり方だけ知りたい。
やり方だけ教えて。
覚えるから。
そういう学習を小学校の低学年の頃からずっと続けてきた子が、高校数学を学ぶと、作業手順が複雑で覚えられなくなり、「意味がわからない」とこぼすようになります。
本当は、もっとずっと前から、意味はわかっていなかったのです。
最初の最初、算数にまでさかのぼらないと、意味のわかる学習にたどりつけないことがあるのです。

ただ、もう高校生なので、小学生のときには理解できなかったことも、今なら理解できるかもしれません。
わり算の検算の式を、今こそ理解し、高校数学に生かしてください。

剰余の定理に話を戻します。
(x)=ax3+bx2+cx+d を x-α で割った商が px2+qx+rで、あまりがRだとします。
これは、
f(x)=(x-α)(px2+qx+r)+R
と書き表すことができます。

さて、ここに、x=αを代入してみましょう。
すると、最初の( )内が(α-α)=0となります。
0に何をかけても0ですので、
(α-α)(pα2+qα+r)=0 となります。
したがって、( )( )の部分は消えてしまい、
f(α)=R 
となります。
多項式f(x)をx-αで割った余りは、f(α)、すなわち、もとの式にx=αを代入した数となる。
これが剰余の定理です。
この考え方が、高次方程式を因数分解するための基本です。
まずは、剰余の定理に慣れるための練習問題を解いてみましょう。


問題 f(x)=3x2-6x2+3x を x-3 で割った余りを求めよ。

x-3で割るのですから、x=3を代入すれば良いですね。
ここで、x=3か、x=-3か、符号がわからなくなる人がいます。
f(x)=(x-3)(      )+・・・ という式を作りたいのだから、x-3=0 となるときのxの値、つまり x=3 だ、というところまで戻って考えれば、混乱を避けられます。

f(3)=3・33-6・32+3・3
   =81-54+9
   =36
余りは、36です。

ところで、これでは余りしか求められませんが、商と余りと両方を求める方法はないでしょうか?
勿論、真面目に筆算すれば良いのですが、もっと簡単な方法はないでしょうか?
あるんです。
それが組立除法です。

まず、上の板書を見てください。
読みにくいからと無視すると、この先の話は何もわからないので、我慢してご覧ください。
ax3+bx2+cx+dをx-αで割った商がpx2+qx+r、あまりがRだったときの筆算を書いたものです。

筆算するとき、まず ax3÷x を考えて商を立てます。
今、その商が px2 と立ちました。
ということは、aとpは、同じ数だということになります。
すなわち、p=aが成り立ちます。
次に、筆算では、立てた px2 という商と -α をかけたものを筆算で書き込み、bx2 との差を下に書いていきます。
その係数は b-(-αp)=b+αp です。
次の商で qx が立ったということは、q=b+αp が成り立ちます。
同様に、r=c+αq 、R=d+αr が成り立ちます。
すなわち、筆算しなくても、p=aですし、そこから芋づる式に、q、r、Rを求めていくことができます。
それを図式化したのが、組み立て除法です。

やり方自体は簡単なのですが、理解するまでに相当すったもんだするのが、この「組立除法」です。
上の画像の後半は、その組立除法のやり方を示しています。
まず、与えられた多項式の係数だけを書いていきます。
ない次数の項があったら、忘れずに0も入れていきます。
の横に、x-α で割る場合は、αを記入します。
符号がわからなくなったらx-α=0となるときのxの値だと思い出してください。

 a  b  c  d   |α
           

その下に1行分のスペースを開けて、下線を引いておきます。
その下線の下に、まずは、aをそのまま下ろします。
次に、bの下に、αaの値を記入します。
bとαaの和を下線の下に記入します。それがqです。
そのqとαの積をcの下に記入します。
その値とcとの和を下線の下に記入します。それがrです。
そのrとαとの積をdの下に記入します。
その値とdとの和を下線の下に記入します。それがRです。
下線の下に書かれた数値が、p、q、r、Rとなります。

具体的な問題でやってみましょう。
問題 x3-4x2+6x-7 をx-1 で割ったときの商と余りを求めよ。

まず、与式の係数を書いていきましょう。

 1  -4  6  -7   |1

次に、上の説明した通りの計算をしていきます。

 1 -4  6  -7    |1
    1 -3   3
 1 -3  3  -4

よって、商は、x2-3x+3 、余りは-4です。

いったん理解すれば、計算方法自体は簡単なのですが、こうやって書いていて、理解してもらえる自信がありません。
実際に授業を受けてもらい、補助しながら演習すれば、何ということもないのですが。
このように文字情報だけですと、何でもない前提でつまずいてしまい、わからないと感じる場合もあるかもしれません。
どうしても個別指導を受けられない場合は、多くの具体的な計算の結果を見て、やり方を身につけるのが早道だと思います。



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