たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾三鷹市 三鷹市

2019年11月27日

高校英語。比較表現。富士山は日本で一番高い山です。


高校英語。今回は「比較表現」です。
この単元は重要表現や構文、慣用表現が多いため、マスターすることを諦めてしまう人が出やすいです。
しかし、入試はそこが出るので、1つでも多くの表現を身につけるべく前向きにやっていきましょう。

今回は、その中では基本。
中学でも少し学習している、原級・比較級・最上級の言い換え表現です。

「富士山は日本で一番高い山である」
これの伝え方には、何通りもの表現があります。

一番最初にピンとくるのは最上級でしょう。
最上級は、「最も~」「一番~」ということを意味するときに使うものです。

Mt.Fuji is the highest mountain in Japan.

最上級は、形容詞・副詞の原級に est を付けるのが基本の形です。
また、形容詞の最上級の前には必ず the をつけます。
副詞の最上級の場合は、the はつけてもつけなくても構いません。

上の文の high は、mountain という名詞を修飾しているので、形容詞です。
だから、必ず the がつきます。


さて、この最上級の文だけで事足りる気もしないではありませんが、何しろ英語というのは言い換え表現が多用される言語です。
何回も同じ表現を繰り返すのは、文章を書くのが下手な人。
教養がないと思われます。

読む側にとっては、同じことは何回でも同じ表現をしてもらわないと困る。
同じことは、同じ表現がなされるべきだ。
そのように思っている人は、言い換えを読み取れない場合が多いのです。
だから、読解の四択問題で、本文と同じ表現を使っている選択肢に簡単に引っかかります。
正解の選択肢は、本文と同じ内容を別の表現で説明していることが多いのです。
むしろ、全く同じ表現が使われている選択肢は、フェイクの匂いがプンプンします。
同じ表現を使わざるを得なかったからこの選択肢が正解だったのだということもありますが、同じ表現なのはひっかけの選択肢であることのほうが多いと理解しておくだけでも、正答率が上がります。

同じことを別の言葉で表現されたら、わかるわけがないんですけど・・・。
こうした課題を抱えている人は、まず単語力をつけること。
類義語を沢山知っておくこと。
そして、文法による言い換え表現を身につけることが効果的です。


そんなわけで、「富士山は日本で一番高い山です」を最上級以外の表現で表す方法を確認しましょう。
まずは、比較級で表現するには。

Mt.Fuji is higher than any other mountain in Japan.
富士山は、日本の他のどの山よりも高い。

同じ意味になりました。
「比較級+than+any other+単数名詞」という形で記憶しておきたい表現です。

他にもあります。
No other mountain in Japan is higher than Mt.Fuji.
日本の他のどの山も、富士山ほど高くはない。

主語に no がついていますので、実質的にこの文は否定文で、日本の他の山は高さにおいて否定されています。

比較級のどちらの表現も、mountain は単数形であることは特に強調して覚えておきたいところです。
基本、比較は1対1で比較するもの、というイメージで覚えておくと、覚えやすいでしょうか。


原級による表現もあります。
原級表現というのは、as ~ as を使うもののことです。

He is as old as my brother.
彼は私の弟と同じ年齢だ。

と、主語と比較対象が同じであることを示すのがas ~asです。
これの否定文は、主語を否定することになります。

He is not as old as my brother.
あえて直訳すると、「彼は私の弟ほど年をとっていない」です。
つまり、「彼は私の弟より年下だ」となります。
これを使えば、最上級の言い換え表現となります。

as ~as と so ~ as は、ほぼ同じ意味としてとらえて大丈夫です。
使い分けを質問されることがありますが、so のほうが強調の気持ちがこもっているという程度のことです。
中学の頃はas ~ as しかなかったのに、高校になると so ~ as が加わってきます。
しかも、そのことについて特に説明されないこともあります。
それで混乱し、どう使い分けるのだろうとおろおろする人もいますが、心配無用です。
一方、so ~ as が 使われている文を何回見ても、「え。こんなの初めて見た」と言い、説明は耳を素通りし、すぐに忘れる人も多いです。
だから、今回はあえて so ~ as のほうを使いますよー。

No other mountain in Japan is so high as Mt Fuji.
日本の他のどの山も富士山ほど高くはない。
最上級と同じ意味になりました。

以上の4通りを覚え、問題ごとに適切な形のものを選んで答えていけば、この文法事項はクリアです。

もう一度整理しましょう。
Mt.Fuji is the highest mountain in Japan.
=Mt.Fuji is higher than any other mountain in Japan.
=No other mountain in Japan is higher than Mt.Fuji.
=No other mountain in Japan is so high as Mt Fuji.
です。


では、具体的に問題を解いてみましょう。

問題 次の各文を指示に従って書き換えよ。
(1) John is the tallest boy in this class. (原級で)

これは簡単です。
上の富士山の文の形をそのまま使用できます。
正解は、
No other boy in this class is so tall as John.


(2) Nothing is so precious as health. (比較級で)

比較級による表現は2通りありますから、そのどちらでも正解です。
Nothing is more precious than health.
Health is more precious than anything else.

この問題が (1) よりもやや難度が高いのは、まず、precious という単語の意味がわからず、だからこの問題は解けないと諦めてしまう人がいること。
単語の意味はわからなくても、とにかくこれは形容詞だなと、文法事項として把握すれば正解に至るのですが、「意味がわからなければ解けない」という思い込みが強い人もいます。
数学の問題は意味を考えずに解いているようだがなあと嫌味の1つも言いたくなることもあります。
勉強が苦手な子は、何ごとも逆のこだわりを示しがちなのです。
勉強が苦手ということは、究極、そのように考え方の方向が違う、見当が違うことの積み重ねなのかもしれません。
ただ、precious の意味がわかるに越したことはありません。
この機に覚えてくれるのなら何よりです。

もう1つの問題は、形容詞 precious の比較級が more preciuos であることに気づかず、preciouser としてしまう人がいること。
基本的に、3音節以上の形容詞・副詞は、比較級は more+原級の形をとります。

また、もとの文が nothing から始まっているのですから、そのままnothing から始めれば楽に書き換えられるのですが、なぜか health から書き出し、
Health is more precious than 
まで書いて、続きがわからない・・・ということも起こりがちです。
富士山の例文の場合は、比較対象は日本の他の山々でしたが、この文は比較対象がわからない。
というより、全ての中で健康が一番貴重だと言っているのです。
その場合、anything else 「他の何よりも」という表現を覚えていないと、文の後半が作れないのです。


(3) He is not so young as he looks. (He looks から書き出して)

「彼は見た目ほど若くない」という意味です。
この文の表す意味内容は最上級表現ではないですね。
だから、今までの問題とは少し性質が異なります。
彼の実年齢と彼の見た目とを比較しているのです。
だから、比較級で書き換えるのだろうと見当がつきます。
He looks younger than he is.
「見た目」が he looks で、年齢的な現実がhe is であることは、問題文にも使用されていることなのですが、書き換えろと言われると、案外それが使えない・・・。
こういうことは練習により柔軟性が増してくることなので、やはり、練習あるのみだと思います。
しかも、効果的な練習を。


間違えた問題にはチェックを入れて必ず解き直すと、効果的・能率的な練習となります。
「解き直し」というと、正解だった問題も不正解だった問題もべったりと解き直す人がいます。
3か月くらいたって復習するのならそれも良いことですが、解いたばかりの問題を解き直すときには、正解だった問題は飛ばし、不正解だった問題だけを解き直しましょう。
何回解き直しても同じところを同じように間違えるが、全体としては60%くらいの正答率なので、大体こんなもんでいいか、基本は身についた、という勉強では、残り40%の「穴」は永遠に埋まりません。
解けなかった問題を解けるようにするのが勉強です。

間違えた問題にはチェックを入れて解き直す。
そんなことは、誰もが言う勉強の工夫で、目新しいものではありません。
しかし、中学生・高校生は、これを出来ない人が多いのです。
間違えた問題の番号にチェックを入れることすらできない子が大半です。
間違えたときに、自分のノートにバツをつけることすらできない子もいます。
書き直して丸をつけてしまうのです。
「自分のマイナスを見つめる」作業をすると劣等感を刺激されて気持ちがつらくなるので、そういうことを無意識に避けてしまうのか?
見栄っぱりなので、ノートはとりあえず全部正解の状態にしておきたいのか。
そうして、本当はできていないことをできたかのように、記憶を塗り替える。
あるいは、自分ができることを繰り返して、うん、自分はできる、という勉強だけをしてしまう。
勉強が下手な人に多い傾向です。

つまり、間違えた問題を解き直すという勉強法は、誰もが知っていても、実践できる人は少ない。
実践しているのは、秀才たちだけです。
最初のうちは多少心が傷ついたり、嫌な思いもするけれど、我慢してこの勉強法を取り入れることができれば、成績は上がります。
実践できない人たちが、いつまでも同じところを同じように間違えている中で、自分は、同じ間違いをしないようになれるのですから。

英語の勉強は、なかなか結果が出なかったり、苦労ばかり多くて報われない思いが強かったり。
そんな中でも、諦めなかった人たちだけが、英語が得意になっていきます。
ほんのちょっとの我慢の繰り返しで、苦手は苦手でなくなります。

  


  • Posted by セギ at 12:21Comments(0)英語

    2019年11月24日

    数学の語句補充問題は難しい。


    数学の語句補充問題というのは、現在、中学の数学のテストで必ず出される問題となっています。
    どの問題がどの領域の問題であるかを問題に明示しなければならなくなり、「知識・理解」を問う問題として、数学の語句補充問題が作られるようになりました。
    これを苦手とする子は多いです。

    例えば、こんな問題です。

    問題 以下の空所にあてはまる語句を答えよ。
    y=ax+b の形で表すことができる関数を(1)という。(1) のグラフは(2)となる。また、aをグラフの(3)、bを(4)と呼ぶ。
    yの増加量÷xの増加量で表されるものを(5)といい、(1)においては、aの値が(5)を表す。

    正解は、
    (1) 1次関数 (2) 直線 (3) 傾き (4) 切片 (5) 変化の割合
    となります。

    語句の定義に関するこうした問題は、類題をいくつか解けば、何とか穴埋めできると思います。
    しかし、何の準備もなくいきなりこの問題を解こうとすると、かなり難しいことは、実際に解いてみると実感できるのではないでしょうか。

    上の問題では、(2)直線 という答えが、一般の感覚ではもっとも難しいと思います。
    そんなことを問われているとは、正解を見るまで想像もしていなかった・・・。
    正解を見ると、まあそうだなと納得するが、自力で穴埋めできる気がしない・・・。
    数学の問題を解くのが好きな人でも、そう感じるかもしれません。
    また、中学生では、「傾き」と「変化の割合」をどう使いわけるのかわからず、答えが逆になってしまう子が多いです。
    こうした問題の対策としては、数学の教科書や参考書の、語句の定義に関する文を繰り返し読んでおくこと。
    このような問題をテスト前に解いて慣れておくこと。
    それである程度は対応できます。

    上のような語句の定義に関する問題はまだ答えを絞り込みやすいのです。
    この種の問題としては良問と言えます。
    数学的な考え方の語句補充になると、さらに難度が上がります。
    例えば、こんな問題。

    問題 以下の空所に当てはまる語句を答えよ。
    2元1次方程式の(1)は直線のグラフになる。
    つまり、2元1次方程式のグラフの交点とは(2)である。
    (3)の解は2つの2元1次方程式の(2)であるから、交点の座標は(3)を解くことで求めることができる。

    言いたいことはわかるのですが、当てはまる語句は色々と候補が浮かび、1つに定まらない・・・。
    そこを空所にした出題者の意図がよくわからない。
    そういうことが起こりがちです。

    これの模範解答は、
    (1)解を座標とする点の集まり (2)共通の解 (3)連立方程式

    ・・・いや、わからないわ、これは・・・。
    正解を見れば、まあそれはそうだと思うものの、自力で答えを書き込むのは難しいです。
    空所補充問題の正答が日本語として3文節以上というのは、悪問の始まりです。


    2次方程式の因数分解による解法の考え方を説明する空所補充問題を見たこともあります。

    問題 次の☐に当てはまる、語句または文字・数字を答えよ。
    (x-a)(x-b)=0 であるとき、
    ☐-a=0 または☐-b=0 であるから、x=a または x=b である。

    この2か所の空所を、
    a-a=0 またはb-b=0 であるから、x=a または x=b である。
    と埋めている子がいました。
    答案を見て、うーん、これは本当は意味がわかっているのかもしれない。
    でも、もしかしたら何もわかっていないのかもしれない。
    答案の見た目では、それがわからない・・・。
    どう評していいものかと困惑しました。
    ちなみに、正解は2か所とも「x」が入ります。
    正直、問題にも悪いところがある、と感じました。
    これが入試問題だったら異論が噴出し、「別解あり」、あるいは「問題無効」の措置が取られたかもしれません。

    数学の先生が悪いわけではありません。
    こういう「知識・理解」に関する空所補充問題を定期テストに出題するよう指導しているのは文科省です。
    ただ、どういう形で出題するかは個々の先生の裁量に任されているはずなので、こういうところで変に独自性を示すのはやめて、語句の定義に関する、ありがちで穏当な問題を出題してくれることを願うばかりです。
    基本的な知識の定着を確認するのが目的の出題だと思いますので、奇をてらう必要はないのです。
    三角形の合同条件を書かせたり。
    数学用語や定理の名称を空所補充させたり。
    そういうことは大賛成です。
    あるいは、数学的な考え方に関するこうした語句補充問題は、せめて選択肢を示してくれないかなと思います。


    とはいえ、数学用語の理解・数学的な考え方の理解をテストで試すのは、こういう形が便利なのかもしれません。
    解き方だけ丸暗記して、数学的な意味はまったく理解していない子に、その勉強ではダメだということを自覚してもらうには良いきっかけではあります。

    高校の定期テストでは、このような語句補充問題は出題されません。
    問題文をどう読み取るか、記述答案をどう書くかで、数学的な知識・理解は十分に測ることができるからです。
    例えば、こんな問題。

    問題 曲線 y=f(x) の接線の傾きはx2に比例する。また、この曲線は、点(3,2)、(6,1)を通る。この曲線を表す式を求めよ。

    この問題の意味を読み取れるということは、微分と接線の傾き、あるいは微分と積分との関係が理解できているということです。
    あるとき、この問題の意味がわからない、と質問を受けました。
    「・・・x2 に比例するって何ですか?」
    「中学3年のときにやったでしょう。2乗に比例する関数。y=ax2。あれのことです」
    「直線ということですか?」
    「いや、直線になるのは1次関数です。2乗に比例する関数は放物線です」
    「傾きが放物線?傾きは直線じゃないんですか?」
    「うん。接線は直線ですが、接線の傾きの変化は放物線になることもあります。この問題では2乗に比例するんですね」
    「2乗に比例するなんてことが、ありますか?」
    「・・・ありますよ」

    例として、y=2x2 という関数で、
    x   1 2  3  4 ・・・
    x2  1 4  9 16 ・・・
    y   2 8 18 32 ・・・
    このような表をざっと書き、x2が2倍、3倍、・・・になると、yも2倍、3倍、・・・になることを確認すると、その子に驚愕の表情が浮かびました。
    「本当だ。2乗に比例している」
    「はい。そうです。これが2乗に比例する関数です」

    微分・積分は問題なくマスターしている秀才が、なぜ「2乗に比例する関数」を知らないのだろう・・・。
    内心驚愕していたのは私のほうですが、そんなこともたまには起こります。
    用語の理解というのは、繰り返し確認していかないと、思わぬ盲点が存在するのかもしれません。
    その日の授業の帰りぎわ、
    「今日の授業は、2乗に比例する関数のところが一番わかりやすかったです」
    と感想を述べて去っていきました。

      


  • Posted by セギ at 15:36Comments(1)算数・数学

    2019年11月22日

    高校数Ⅱ「式と証明」。複素数。その2。



    「複素数」の学習、今回は2回目です。
    今回は、2次方程式の解に関する問題から。

    問題 次の2次方程式を解け。
    6x2-2x+1=0

    因数分解できないので、解の公式を使って解きます。
    xの係数が偶数なので、2本目の解の公式が有効ですね。
    x=1±√1-6
     =1±√-5
     =1±√5 i

    虚数単位を使うと、このように、全ての2次方程式に解が存在します。


    問題 次の方程式の実数解を求めよ。
    (2+i)x2+(3+i)x-2(1+i)=0

    これは、係数が虚数です。
    このまま強引に解の公式を利用する方法もあるのですが、ここはシンプルに、実部と虚部に分けて考えると楽に解けます。

    (2+i)x2+(3+i)x-2(1+i)=0
    2x2+ix2+3x+ix-2-2i=0
    (2x2+3x-2)+(x2+x-2)i=0

    虚数a+bi=0 のとき、a=0、かつb=0 ですから、
    2x2+3x-2=0 かつ x2+x-2=0 
    となります。
    ですから、これを連立方程式としてその解を求めれば良いですね。
    2x2+3x-2=0
    (x+2)(2x-1)=0
    x=-2、1/2・・・①
    x2+x-2=0
    (x+2)(x-1)=0
    x=-2、1・・・②
    ①かつ②が解となるので、
    x=-2

    xを基準にまとめるのか、iを基準にまとめるのか、途中でよくわからなくなる人がいます。
    今は実部と虚部に分けて整理しようしているので、iの有無で分けていくのです。

    ここらへんになると、やっていること自体は特に難しくない計算問題でも、気持ちで負けてしまう高校生が現れます。
    精神的に支えていくことも私の仕事になります。
    数学が嫌いな子の多くは、中学の数学も完全に身についているわけではありません。
    「中学の数学くらいわかりますよっ」
    と主張するのですが、2次方程式の解の公式をスラスラ活用できるかというと、それは怪しかったりします。
    「公式くらい、わかってますよっ。でも、僕は、引き算が苦手なんですよっ」
    と言われて、言葉を失ったこともあります。
    ・・・・そうか。
    じゃあ、ゆっくりやろう。
    そう声をかけても良いのですが、そんな優しさはむしろ相手を傷つけてしまいそうでした。
    何より本人が、自分の言った言葉に自分で傷ついて、涙目になっていたのです。


    問題 次の2次方程式の解を判別せよ。
    1/3x2-1/2x+1/5=0

    解の判別に関する問題は、数Ⅰ「2次関数」の章で学習しました。
    ただし、その頃は虚数解というものはなく、「実数解なし」という判別をしていました。
    そこをバージョンアップしていきます。

    解を判別するには、判別式を用います。
    判別式とは何か?
    2次方程式 ax2+bx+c=0 のとき、
    解の公式は、x=(-b±√b2-4ac)/2a です。
    この√ の部分がもし0ならば、解は x=-b/2a の1つだけとなります。
    これがすなわち重解です。
    √ の中身が正の数ならば、異なる2つ実数解が求められます。
    このように、√ の中身で解の個数を判別できるので、√ の中身の部分を「判別式」と言うのでした。
    すなわち、判別式D=b2-4ac
    また、xの係数が偶数のときの解の公式の√ の中身を用いることも可能です。
    判別式D/4=b'2-acとなります。

    まとめますと、
    D>0 のとき、異なる2つの実数解
    D=0 のとき、重解
    D<0 のとき、異なる2つの虚数解
    今後は、このように判別していくことになります。

    さて、上の問題は、
    1/3x2-1/2x+1/5=0
    という見た目です。
    これでは計算しにくいので、係数が整数になるように整理しましょう。
    方程式ですから、両辺を何倍かしても、関係は変わりません。
    3と2と5の最小公倍数は30ですから、両辺を30倍すると、分母を払うことができます。
    10x2-15x+6=0
    よって、
    判別式D=152-4・10・6=225-240=-15<0
    解は 異なる2つの虚数解です。

    しかし、単純に解を判別するだけの問題は、退屈ですね。
    少し応用的なものも解きたくなります。
    例えば、こんな問題です。

    問題 2次方程式 x2+(k+1)x+k+2=0 が異なる2つの虚数解をもつようなkの値の範囲を定めよ。

    判別式を使うんだなあということはピンとくると思います。
    使ってみましょう。
    D=(k+1)2-4・1(k+2)
     =k2+2k+1-4k-8
     =k2-2k-7
    異なる2つの虚数解をもつのですから、D<0 です。
    よって、
    k2-2k-7<0
    これは2次不等式です。
    まず2次方程式に直して計算します。
    k2-2k-7=0 とすると、
    解の公式を用いて、
    k=1±√1+7
     =1±2√2
    よって、上の2次不等式の解は、
    1-2√2<k<1+2√2
    これが最終解答です。

    途中まではわかっても、「2次不等式」のところで詰まってしまう高校生もいます。
    数Ⅰの内容があまり身についていない高校生は、2次不等式の解き方を忘れてしまっているのです。
    そもそも、その前の段階の「判別式」を数Ⅰで学習したことすら曖昧になっている子もいます。
    学校では、数Ⅰでやった内容はざっと復習するだけです。
    それだって随分親切な授業です。
    しかし、完全に忘れてしまっている子にとっては、せっかくやってくれる「ざっと復習」も、その授業スピードでは、速すぎて理解できないようです。
    数Ⅱで大きく崩れ、数学の授業についていけなくなる子が多い原因の1つは、このように、数Ⅰの内容が身についていないことにあります。

    もっとも、高校2年の秋ともなりますと、数学が苦手な生徒への配慮のある高校も多いです。
    授業スピードはゆるめないものの、定期テストは易しくなる高校が多いのです。
    数学の単位が取れないと、卒業できないですから。
    中高一貫の進学校なのに計算ドリルみたいなテストだったりします。
    そうしたテストをつくづくと眺め、結局数学の最終学年でこんなテストになるのなら、中等部のときにあんなに異様な分量と難度のテストで生徒を苦しめて数学嫌いにさせなければよいのに、と嘆息することもあります。
    公立中学から普通の都立高校に進学していたら、この子もセンター試験くらいは対応できる数学力がついたのではないかと思ってしまうことも多いです。
    どの進路が子どもを伸ばすかは、1人1人違う、と感じます。

    2次不等式の解き方を忘れてしまった方は、ここに、2次不等式の基本を説明してあるページがありますので、ご参照ください。
    https://seghi.tamaliver.jp/e445206.html

      


  • Posted by セギ at 11:44Comments(0)算数・数学

    2019年11月18日

    奥多摩 浅間尾根を歩きました。2019年11月。


    2019年11月17日(日)、奥多摩の浅間尾根を歩きました。
    ホリデー快速あきがわ3号で終点武蔵五日市駅下車。
    駅前から数馬行きのバスに乗りました。
    バスは3台同時発車。9:00。

    本宿役場前バス停下車。9:20。
    降りたのは私1人でした。
    バス停近くの三叉路で信号を渡り、バスとは反対方向に歩きだします。

    払沢の滝入口。9:35。
    台風19号による土砂崩れで、払沢の滝への遊歩道は現在通行不可。
    駐車場への車道を登っていきながら、外から紅葉を楽しみました。
    人であふれる日も、誰もいない日も、払沢の紅葉は変わらず朝日に赤く輝いていました。

    駐車場でトイレを借りて、舗装道路をさらにしばらく行くと、左手に登山口が見えてきました。
    道しるべに「通行注意」の掲示が。
    黒マジックで何か書かれています。
    この字が、読みづらい。
    なぐり書きなのです。
    最初がサンズイであることは、どうにかわかります。
    うーん、「深追い注意」かな?
    そうだなあ。
    ネットに上がっていた登山記録によれば登山道が一部崩落しているらしいから、これは本当に危険だなと思ったら、深追いせずに戻ろう。
    バス停まで戻って、バスで数馬の湯に行って1日のんびりするのだって楽しい休日だから。
    そんなことを思いながら、登山道に入っていきました。

    登山道は浅間林道をときどきショートカットしながら登っていきます。
    本当に民家の脇、布団を干している隣りも歩いていきます。
    申し訳ない。
    高度が上がり、隣りの尾根の紅葉が見えてきました。
    例年と比べると、赤も黄色も少しくすんでいるかもしれません。
    これも台風の影響でしょうか。
    写真に撮ったら、そんなにきれいには見えないかなあ。

    峠の茶屋。10:40。
    手打ちうどんで有名だったこの茶屋は、何年か前にご主人が亡くなって閉店しましたが、店は無傷のようです。
    何となくほっとします。
    ベンチからの見晴らしも良好でした。

    道しるべに、また「通行注意」の掲示が下がっていました。
    「沢沿い注意。登山道崩落」
    ・・・あ!
    深追い注意ではなく、沢沿い注意だったんだ。
    なるほど。
    謎が解けたところで、緩い下り道をしばらく歩いていくと、そば処の垣根が見えてきました。
    そば処「みちこ」は1年前に休業しました。
    休業直前に「ポツンと一軒家」というテレビ番組の取材を受けたこともあって、休業間際は開店と同時に本日の受付終了となるほどの大盛況・大混雑だったと聞いています。
    台風で屋根が壊れたりしていなければよいがと覗き込むようにして歩いていくと、あれ、人の気配があります。
    煙も上がっています。
    垣根の入り口には、メニューと「準備中」の掲示。
    店名が「瀬戸沢」に変わっています。
    メニューにはそばがきやお汁粉の他に、天ぷら付きの蕎麦なども書かれていました。
    建物を借りて、別の人が営業しているのかな?
    それとも、本人かな?
    親戚かな?
    他人かな?
    など、余計な詮索をしながら前を通り過ぎました。

    さて、そこから問題の「沢沿い」です。
    一時は沢が登山道を呑み込んで、流出させてしまったようなのです。
    大きな石がごろごろしているのは前からだったかな。
    ここは崩落したところに土をもって修復したのだろうと感じる箇所もありました。
    以前よりは少し歩きにくいですが、特に危険ということはありませんでした。

    ジクザグに登っていき、尾根から一段下がったほぼ水平な登山道に入りました。
    ここのほうが異変を感じました。
    何だか登山道が狭いのです。
    浅間尾根といえば、程よい道のりと歩きやすい登山道でハイカーから愛されるコース。
    登山道はこんなに細くなかったと思うのです。
    台風の大雨で、崖側の土が削られたのか?
    斜面から土が崩れてきて登山道を狭めているのか?
    その両方なのかもしれません。
    あるいは、登山道の崖側にたまっていた土や枯葉が路肩の役割をしていたのが、風雨に流されてしまったのが原因かもしれません。
    道幅はそんなに変わっていないけれど、崖側の露出感が強くなり、歩いていて以前よりも何となく緊張するということかも。

    登山道としては奥多摩ではこのくらいの細さは普通。
    怖くて歩けない、というほどでもないのです。
    でも、こういう道はあまり好きじゃないな、早く尾根に出たいなあと思いながら歩いていくと、道幅はたまに広くなりました。
    そうそう。
    浅間尾根はこの雰囲気。
    と思っていると、また狭くなります。
    その繰り返しで、分岐に着きました。
    まっすぐ行くと、そのまま浅間嶺休憩所。
    左に曲がり、尾根を登っていくと、浅間嶺の展望地。
    勿論、左へ。

    前回歩いたときも秋で、落ち葉が積もってどこが登山道がわからず、道に迷ってしまったのですが、今回は道は明瞭でした。
    台風で登山道以外の場所は枯れ枝や倒木が多いので、逆に登山道が明瞭なのです。
    前回はどこを間違えたのだろうとあれこれ考えて歩いているうち、ほどなく尾根に乗りました。
    広い尾根です。
    ああ、歩きやすい。
    山が黄色に染まり、きれいな尾根道が続いていました。

    浅間嶺展望地。11:55。
    御前山と大岳山がくっきりと見えます。
    あれ?
    のぞき穴から山座同定ができる杭がなくなっています。
    台風で倒れたのかなあ。
    反対側は、雪化粧した富士山が見えました。

    ベンチで昼食を取り、さて、再び出発。
    浅間嶺の付近は、尾根道とまき道があります。
    まき道が細くなっていると嫌なので、尾根道をとりました。
    登り下りはあるけれど、尾根道は変わらず歩きやすい道でした。
    かなり歩いて、まき道と合流。
    その先、また道は2つに分かれました。
    右の道は以前から露出感の強かった伐採地の細いまき道で、あれよりさらに細くなっていると嫌なので、左の尾根道を選びました。
    尾根道はやがて斜面の中腹に無理に作られたちょっと歩きにくい踏み跡になりました。
    失敗したかな。
    でも、細い崖道が苦手な私には、こちらのほうがまだましだったと思います。
    やがて、踏み跡の先はロープで侵入禁止になり、まき道に合流しました。

    人里峠。12:45。
    しばらく行くと、数年前に岩盤崩落により付け替えられた細い道に入りました。
    付け替えられた当初は歩きにくかったけれど、今は踏み固められています。
    木段なども整備されているので、このあたりはむしろ歩きやすく感じました。
    それよりも、やはり全般的に登山道が細く、露出感が強いと感じます。
    台風の威力はすさまじいです。

    繰り返しますが、特に危険個所はありません。
    用心してしっかり歩いていけば大丈夫です。
    怖くて歩けないというほどの細さではないのです。
    浅間尾根の歩きやすい穏やかな登山道が好きだったので、残念だなあと感じるだけです。
    本当に今回の台風はひどかったのだなあ。

    一本松(一本杉)を過ぎ、猿石を過ぎ、数馬分岐。13:45。
    ベンチが並び、里に近い観光地の印象が強まって、ほっと安心。
    ここからはいつも通りでした。
    広く歩きやすい道を下っていきます。
    いったん林道を横切り、道しるべの通りに再び登山道を下っていき、舗装道路と合流。
    登山口の道しるべには「通行注意」の掲示はありませんでした。
    払沢の滝登山口の「通行注意」の掲示は、外し忘れているものなのかもしれません。

    急な下り坂の舗装道路をとことこ降りて、橋を渡ると、檜原街道に出ました。
    バス道路です。
    車の行き来は多いですが、細い歩道がついています。
    バス停2つ分、約10分歩いて、数馬の湯に着きました。14:45。
    ちょうど次のバスが来る時間帯なので、温泉は空いていました。

    のぼせやすいので、早めに上がり、自販機でビール500mL460円。
    荷物の整理をしたり、撮った写真を眺めたりしているうちに、もう時間です。
    数馬の湯の前にバス停があり、バスは16:08の定刻に3台続けてやってきました。
    バスの車窓から見た檜原街道は、まだところどころ片側通行になっているところがあり、台風の傷跡はなおも残っています。
    そんな中、こんなに早く浅間尾根を歩けるようにしてくださってありがとうございます。
    どこに伝えていいのかわからない感謝を心の中でつぶやきました。

    今日も良い山歩きでした。
      


  • Posted by セギ at 11:41Comments(0)

    2019年11月15日

    高校英語。付帯状況の with と分詞。


    なおも、分詞の学習です。
    今回は、with+名詞+分詞 の用法です。
    これは、「こういう語順のもの」と覚え込んでも別に構わないのですが、見方としては、with を冒頭につけた独立分詞構文として把握すると、理解しやすいかもしれません。
    まずは、分詞構文ではない、普通の文から。

    The little girl called out to her mother, and tears ran down her cheeks.
    その少女は母親に大声で呼びかけ、涙が彼女の頬を流れた。

    この後半部分を分詞構文とするなら、
    The little girl called out to her mother, tears running down her cheeks.
    となります。
    前の節と主語が異なりますので、主語 tears が残っている独立分詞構文ですね。

    これに、付帯状況であることをよりわかりやすく伝えるため、「付帯状況のwith」と呼ばれる前置詞 with をつけると、
    The little girl called out to her mother, with tears running down her cheeks.
    その少女は、頬に涙を流しながら、母親に大声で呼びかけた。
    となります。

    分詞構文は、接続詞を省略し、動詞を分詞に変えたもの。
    それによって、従属節はSVのある節ではなく、句(SVのない意味のまとまり)となります。
    句の前には前置詞がつくことが可能です。
    せっかく接続詞を省略したのに、前置詞がついちゃうの?何それ?
    というものになっているのが、付帯状況の with から始まる分詞構文です。
    何だか難しいな、よくわからないな、と思ったら、こんな説明はどうでもいいので、とにかく「with+名詞+分詞」で付帯状況を表す、と覚えても大丈夫です。

    The dog sat there with his tongue hanging out.
    その犬は、舌を垂らしてそこに座っていた。

    後半の with his tongue hanging out の部分。
    his tongue が名詞部分、hanging out が分詞部分です。
    もとの節に戻すなら、
    and his tongue hung out となります。
    もとの節は能動態です。

    こんな文はどうでしょうか。

    He sat there with his legs crossed.
    彼は足を組んでそこに座っていた。

    後半の with his legs crossed の部分がそうです。
    his legs が名詞部分、crossed が分詞です。
    もとの節に戻すなら、
    and his legs were crossed となります。
    もとの節は受動態です。

    いちいちもとの節に戻して、使うのは現在分詞か過去分詞か考えるのも面倒くさいので、「with+名詞+分詞」の際は、名詞と分詞との関係のみをとらえて、
    名詞がその動作をするなら、現在分詞。
    名詞がその動作をされるなら、過去分詞。
    と把握するのが簡単でしょう。
    舌は、舌が垂れ下がるものなので、現在分詞。
    足は、足は組まれるものなので、過去分詞。

    いや、舌も別に本人の意思ではなく、犬が垂れ下げているものなのでは・・・?
    と考え始めると、全て過去分詞になりかねないので注意しましょう。
    意思の有無ではなく、その名詞がその動作をしているか、されているか、だけです。

    これには、その動詞の本来の意味を正確に把握しているかどうかも影響します。
    自動詞か他動詞かを把握している、という言い方もできます。
    「~が垂れ下がる」なのか「~は、・・・を垂れ下げる」なのか、ということです。
    両方の意味がある動詞ならば、自動詞の意味優先で大丈夫です。

    本来、独立分詞構文の being が省略されて先頭に with がついたものなので、分詞部分は必ず分詞とは限らず、形容詞や副詞もきます。
    Don't talk with your mouth full.
    食べ物をほおばって話すな。
    この full は形容詞です。

    Did you intervew her with the tape recorder on?
    テープレコーダーのスイッチを入れて彼女にインタビューしましたか。
    この on は副詞です。
    現在分詞 being が省略された独立分詞構文ととらえれば、一貫したルールで文が作られていることがわかります。


    「with+名詞+分詞」は分詞の学習の中でも大きな文法事項で、これはテストに出ると思って学習を進めておくべき内容です。



      


  • Posted by セギ at 10:55Comments(0)英語

    2019年11月11日

    一ノ尾根から陣馬山、高尾山へと縦走しました。2019年11月。


    2019年11月10日(日)、陣馬山から高尾山へと縦走しました。
    高尾駅で乗り換えて、藤野駅着。8:55。
    高尾・相模湖間の単線運行も終わり、電車のダイヤも通常通りです。
    駅に降り立つと、うっすらと柚子の香りがしました。
    見回しても、柚子畑は見えなかったのですが。
    さすが柚子の町です。
    支度をして出発。9:05。
    駅のデッキからそのまま、高尾方面へと歩きだします。
    しばらく行くと踏切が見えてきます。
    踏切を渡り、すぐにトンネル。
    トンネルは、真ん中あたりの電灯が切れて、ほんの数メートルですが真っ暗でした。
    数日快晴が続いているのに、天井から水滴がぽつんと落ちてきました。
    これは水害の影響なのでしょうか?

    トンネルを抜け、舗装道路をてくてく歩いていくと、和田行きのバスが続けて2台、走り抜けていきました。
    バスももう通常運転。
    乗客は満員でした。

    なおもてくてく歩き、陣馬山登山口のバス停を過ぎて、陣馬温泉の大きな看板のところで右折。
    この道をまっすぐ行くと栃谷尾根。
    一ノ尾根は、次の道しるべを左折します。
    運動会の本部のような大きなテントが張られていました。
    「陣馬山トレイルラン」と書かれたのぼりもはためいています。
    ここはチェックポイントのようで、給水所も設けられていました。
    うわあ、今日はトレイルランの大会の日なんですね。
    知らなかった。

    まだしばらくは舗装道路が続きます。
    なかなかの急坂かつ急カーブの道を上っていきました。
    一か所、ブルーシートが斜面にかけられていました。
    通行には問題ありませんが、土砂崩れの跡なのかなあ。

    登山口。9:45。
    まずは緩やかで歩きやすい登山道。
    やがて道は細くなり、岩がちな急登になり、登り切るとまた広く歩きやすい道。
    一ノ尾根は、それが繰り返されます。
    急登もそんなに長くはないので、陣馬山に登る道の中でも、少し長いけれど気持ちのよいコースです。
    台風でどこか傷ついた様子もなく、いつも通りの穏やかな登山道でした。

    東側の眺望が開け、気持ちよいジグザグの上りになったあたりで、トップのランナーが駆け降りてきました。
    コースが掲示されていたのでちらっと見た限りでは、藤野のどこかのスタート地点から、明王峠まで登り、陣馬山を越えて、一ノ尾根を下るようです。
    何時に出発したのか知らないけど、速いなあ。
    1人、また1人。
    トップを行く人たちは、まだまばらです。
    やがて、集団が現れ始めました。
    5人の集団。
    10人の集団。
    集団は徐々に人数が増え、団子状態になっていきました。
    その都度立ち止まってランナーを通していると全く先に進めないので、すれ違い可能な道幅のあるところでは、用心しながらゆっくり歩いていきました。

    前にも書きましたが、トレイルランという新しいスポーツが始まった当初、創始者たちは、登山者と摩擦が起こらないよう気を遣い、このスポーツの技術的な指導と同じくらいにマナーの啓蒙を重視していました。
    登山者を怒らせ、「山から出ていけ」と言われないように。
    トレイルランを禁止する山域が広がらないように。
    今、トレイルランはすっかり市民権を得ましたが、マナーの徹底しているランナーは今も多いです。
    登山者とすれ違うときは、特に危険な箇所ではなくても、スピードを緩め、安全にすれ違うこと。

    ところが、前から来たランナーの1人が私に気づき、スピードを緩めたその瞬間、すぐ後ろを走っていたランナーが追い抜こうとして横に飛び出てきて、危うく私と接触しそうになったのです。
    危ない!

    衝突は回避しましたが、危ないなあ。
    前の人がなぜスピードを緩めたか、その理由を考慮せず、あ、前の人が遅くなった、追い抜こう、と単純に考えたんでしょう。
    前を走る人が急にスピードを緩めた原因を考えてほしい。
    登山者がいる可能性をまず考えてほしいです。
    とはいえ、どんなスポーツも、裾野が広がると、徹底できないことは増えるのだ。
    怒らない、怒らない。

    ランナーの集団はとうとう50人規模になり、大行列が過ぎていくようになりました。
    木の根の段差の道とその横に作られた平坦の道との並ぶ緩やかな登りのあたりで、ランナーはまた少人数となりました。
    そして、「救護」と書かれたゼッケンをつけた人を最後に、山は再び静寂に包まれました。
    はあ、終わったようだ。

    和田からの登山道との合流点。11:10。
    ベンチで休憩していると、和田から登ってくる人が現れました。
    「和田からの道、大丈夫でしたか?」
    「ああ。登山口のあたりはまだちょっとごちゃごちゃしているけどね」

    そこからしばらく行くと、ジグザグの急な登りが始まります。
    さらにその先は、長い木段。
    もう清水茶屋は見えているのに、なかなか歩が進みません。
    この木段はいつも長いなあ。

    ともあれ、陣馬山山頂。11:35。
    足止めされている時間が長かったので、いつもより20分ほど遅い到着となりました。
    清水茶屋と、白馬のモニュメントの前の茶店は営業していました。
    山頂から少し下がったところの茶店は、本日は休業。
    陣馬山に憩う登山客の数は、いつもと同じくらいでした。
    台風直後は、登山道の多くが寸断されて、山頂がすっからかんになった日もあったようです。

    よく晴れて気持ちの良い日なのですが、富士山だけは雲をまとって姿が見えませんでした。
    生藤山の優美な尾根はくっきり。
    遠く大岳山は、濃い紫色。

    さて、ここからは高尾山へと縦走します。
    晴れが続いたので、陣馬山付近でも泥んこのところは少なく、快適に歩いていけました。
    奈良子峠よりも手前、陣馬高原下へと降りていく細い道にはロープが張られ、侵入禁止となっていました。
    「登山道消失」とのこと。
    一度も歩いたことがなかったなあ・・・。

    陣馬山方向へと歩いてくる登山者は、いつもより少ない気がします。
    その分、人の少ない遠い山を歩くときの登山者どうしのような親しみがわいてきたりします。
    いつもの奥高尾縦走路は、そんな感じは全くなく、挨拶しない人も多い都会の観光地なのですが。
    「今朝はどこから来たの?」
    と、向こうから来た登山者に声をかけられました。
    「藤野駅から歩いて一ノ尾根を来ました」
    「そうか。歩いてかあ。陣馬高原下に降りて、そこからバスが出ているところまで歩こうかなあと思ったけど、どうかなあ」
    「え。遠くないですか?バスは大久保までしか来てないらしいですよ。一ノ尾根を降りても、和田に降りても、バスが来てますよ。歩くこともできますし」
    「歩くと藤野駅までどれくらい?」
    「一ノ尾根の登山口から30分から40分くらいです」
    「そう」

    そんな情報交換をし、しばらく行くと、今度は小学生の女の子3人が。
    「山頂まで、どれくらいですか?」
    「山頂?陣馬山?」
    「はい。私たち、陣馬山に行きたいんです」
    「はあ・・・。陣馬山まで、ここからだと後30分くらいですね」
    「そうですか。ありがとうございます」
    礼儀正しい子たちだったけど、小学生だけで陣馬山まで縦走するのかなあ?
    それからどうするんだろう?
    呼び止めて、根掘り葉掘り聞いたら良かったなあ・・・。


    奈良子峠で、トレイルランナーが登ってくるところに再び遭遇しました。
    先程のランナーたちとはスピードも雰囲気も異なり、初心者ランナーたちの様子です。
    2つのコースが設定されている大会なのかもしれません。
    陣馬山方面とは反対側、明王峠へと走っていきました。

    明王峠。12:35。
    ランナーたちは、ここから相模湖与瀬神社へのコースを下っていきました。
    このコースは、水平な崖道のあたりで登山道が崩落していると、ネットに上がっていた記録で読みました。
    通行禁止にはなっていず、注意して慎重に通行を、ということのようです。
    ランナーが大勢踏んでいけば、崩落個所もさらに歩きやすくなりそうです。

    明王峠のベンチで昼食を取り、さて出発。12:50。
    ここから高尾山への道は、幾度も通った良く知る道のはずなのですが、丈の高いススキや他の草に覆われた何だか見覚えのない道が。
    ああ、ここは伐採地だ。
    植林帯が伐採され、日影のない暑くて埃っぽい場所でしたが、草の丈が高くなり、雰囲気が変わっていました。
    林が再生されていく様子を、これから行く度に感じることができるでしょうか。

    底沢峠から陣馬高原下に降りていく道は、通れるようで、ロープは張られてありませんでした。
    マス釣り場へと降りていく道です。
    でも、バスが来てないですからね。

    陣馬山から景信山まで、まき道は全て通行可能。
    いつも通りでした。
    景信山まで、ピークを1つパスできるまき道も通行可能。

    景信山。14:05。
    上の茶店が営業中。
    下の茶店はお休みでした。
    富士山が姿を見せていましたが、もう午後なので、うっすらと薄い富士山でした。
    景信山は、正規の登山道の1つである、小仏バス停からの南東尾根は通行可能。
    小仏までのバスももう通常運行となっています。

    山頂直下の歩きにくい急な下りをとっとこ降りていくと、四辻の分岐。
    ヤゴ沢へと降りていく道は、「侵入禁止」を示す木による山の目印で塞がれていました。
    台風直後に歩いた人の記録がネットに上がっていて、木橋は崩落し、どこが道かわからなくなっているとのことです。
    歩くなら自己責任、ということのようです。

    小仏峠から登り返して、相模湖の見えるベンチ。
    相模湖の水は、もう澄んでいました。
    しばらく行くと、木段。
    左の小仏まき道は、登山道崩落により、通行不可。
    木段と木の根の段差の道を頑張って上っていき、小仏城山。15:10。
    茶店は2軒とも営業していましたが、もう帰り支度を始めていました。
    日影沢林道が土砂崩れで通行止めのため、帰宅に時間がかかるから、早めに茶店を閉めるのでしょう。
    早く赤くなる種類のカエデが、真っ赤の見ごろ。
    上の画像がそれです。
    他のカエデも沢山ありますので、紅葉の最盛期ははまだまだこれからです。

    まき道を歩いて、高尾山直下。15:55。
    やばい。
    あと1時間もせずに日が暮れます。
    高尾山頂も巻いて、トイレのところまで出ると、観光客でごった返しているのに驚きました。
    え?
    何でこんな時間にこんなに観光客がいるの?
    あと1時間で日が暮れるのに?
    「おまえが言うな」という話ですかね。
    今日はちょっと遅くなっちゃったなあ。

    ケーブルカー山頂駅。16:40。
    ケーブルカーは、7分間隔運行で、20分待ち。
    でも、20分待ちならば、1号路を下るよりは早く下山できるので、待つことにしました。
    整理券をもらい、切符を購入して、斜面の土止めのコンクリートに腰かけ、順番を待ちました。
    まだまだ、後から後から観光客が来ていました。
    たちまち日は暮れ、ようやく次の改札の順番が来て行列に並ぶと、十三夜の月が東の空に浮かんでいました。
    ああ、月がきれいだ。
    今日も、楽しい山歩きでした。

      


  • Posted by セギ at 13:43Comments(0)

    2019年11月06日

    高校数Ⅱ「式と証明」。複素数。

    r


    今回は、いよいよ「複素数」の学習の始まりです。
    その前に、いったん「2次方程式」に話を戻して考えてみましょう。

    例 x2+2x+5=0 を解きなさい。

    解いてみます。
    因数分解はできないようなので、解の公式を使いましょう。
    x=-1±√1-5
     =-1±√-4
    √の中が負の数になってしまいました。( 一一)
    2乗して負の数になる数なんてありません。
    だから、この2次方程式は、「解なし」となります。

    これが、今までの解き方でした。
    実数の範囲では、これで仕方ないのですが、しかし「解なし」というのは少し残念な感じがあります。
    解のない方程式があるなんて、美しくないな。
    これの解があることにしたらどうでしょうか?
    だって、少なくとも数字の上では書き表すことができるのですから。
    これが、複素数の出発点です。

    ピラミッドを作っていた時代から、その数はあるのではないかと問いかけられては否定されてきました。
    複素数の歴史を紐解くと、デカルト、オイラー、ガウスといった数学界のビッグ・ネームが次々と登場します。
    興味がある方は検索して調べてみてもよいと思いますが、複素数を知るのが初めての状態ですと異次元の数学世界が広がっていますので、驚かれるかもしれません。

    物凄くかいつまんで説明しますと、実数というのは、1本の数直線上のどこかに存在する点として表すことができます。
    有理数も無理数も、1本の数直線上に存在します。
    しかし、虚数は、実数の数直線上には存在しません。
    では、どこに存在するのか?
    実数の数直線を含む平面上に存在します。
    その平面が、複素数平面です。
    この瞬間に、数は、1次元から2次元に拡張されたのです。
    複素数は「2元数」ともいいます。
    でも、このお話が始まるのは、まだはるか先。
    複素数平面について学ぶのは、数Ⅲです。
    数Ⅱでは、まずその基礎を学びます。

    では、複素数の定義を見てみましょう。
    まずは虚数単位から。
    2乗すると-1になる数を i とし、虚数単位と呼ぶ。
    すなわち、 
    i2=-1
    また、a>0のとき、
    √-a=√a i , -√-a=-√ai とする。

    そして、複素数の定義。
    a+bi (ただし、a、bは実数。iは虚数単位)
    の形で表される数を複素数といい、aを実部、bを虚部という。
    b=0のとき、すなわちa+0・i=aで、実数aを表す。
    b‡0のとき、すなわち実数でない複素数を虚数という。
    また、a=0のとき、すなわち0+bi=bi を純虚数という。

    以上が、虚数と複素数に関する定義です。
    これ以上は噛み砕ける内容ではないので、1行1行噛みしめて意味を理解してください。
    全て定義ですので、「なぜ?」という質問は存在するはずがありません。
    その定義を受け入れるだけです。
    これから始まる話は、全てこの定義を前提としますよ、というルールのようなものです。
    こんなルールは受け入れられない、自分は違うルールでやっていく、というわけにはいかないのです。

    これまで、数の集合は実数の輪を最大のものとして閉じていました。
    ベン図にするとわかりやすいです。
    まず自然数の集合がありました。
    1、2、3、・・・・といった正の整数です。
    それを含んで、その外側に、整数の集合がありました。
    負の整数や0が自然数の外側に加わったひと回り大きな輪ですね。
    さらにそれを含んで有理数の集合がありました。
    整数で表すことができない小数や分数が外側に加わったひと回り大きな輪です。
    さらにその外側に実数の輪があります。
    実数の輪の内側で、有理数の輪の外側に位置するのが無理数です。
    無理数は、有理数ではない数。
    すなわち分数で現すことができない数です。
    円周率や√2などが無理数でした。
    有理数と無理数とをあわせて、実数と呼びました。
    実数の大きな集合の輪。
    今、その周りに複素数の大きな輪が描かれました。
    実数は、複素数の一部です。
    上の複素数の定義の a+bi で、b=0 の場合が実数ですね。

    ベン図でイメージすると上のようになることを、複素数平面で考えると、実数は1本の数直線上に全て存在し、虚部が0ではない数、すなわち虚数は、その直線以外の平面上に存在しているのです。

    さて、ここまで理解できれば、あとは計算です。
    複素数の計算ルールは、i2=-1 を守ること。
    あとは実数のルール、特に文字式・方程式のルールに似ていますので、大きな抵抗はないと思います。
    実部は実部同士、虚部は虚部同士で足し算できます。
    実部×虚部は可能です。
    虚部×虚部も可能です。

    (a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i
    (a+bi)(c+di)=ac+adi+bci+bdi2
             =(ac-bd)+(ad+bc)i
    ただし、a、b、c、dは実数。


    問題 (3-5i)(7+2i) を計算せよ。
    =21+6i-35i-10i2
    =21-29i-10・(-1)
    =21-29i+10
    =31-29i

    慣れてくれば計算過程は適宜省略し、与式の次は答えでも構いません。
    符号ミスを起こしやすい人は、最初は丁寧に解いていったほうが無難でしょう。


    問題 x=(-1+√5i)/2、 y=(-1-√5i)/2 のとき、x3+y3+x2y+xy2 の値を求めよ。

    これは、様ざまな単元の計算問題で繰り返し出てきた、対称式に関する問題です。
    逐一代入しても答えは出るのですが、面倒で時間がかかります。
    まず、xとyの和と積を求めるのが定石でした。

    x+y=(-1+√5i-1-√5i)/2
       =-2/2
       =-1
    xy=(-1+√5i)(-1-√5i)/4
      =(1-5i2)/4
      =(1+5)/4
      =6/4
      =3/2
    よって、
    x3+y3+x2y+xy2
    =(x+y)3-3xy(x+y)+x2y+xy2
    =(x+y)3-3xy(x+y)+xy(x+y)
    =(x+y)3-2xy(x+y)
    =(-1)3-2・(-1)・3/2
    =-1+3
    =2
    これは、対称式の計算のときによく使う、
    x3+y3=(x+y)3-3xy(x+y)
    という公式を利用した解き方です。

    あるいは、先に、
    x2+y2=(x+y)2-2xy=(-1)2-2・/32=1-3=-2
    を求めているのなら、
    x3+y3+x2y+xy2
    =(x+y)(x2-xy+y2)+x2y+xy2
    =(x+y)(x2-xy+y2)+xy(x+y)
    =(x+y)(x2-xy+y2+xy)
    =(x+y)(x2+y2)
    =-1・(-2)
    =2
    という求め方も可能です。
    これも公式を利用しています。
    x3+y3=(x+y)(x2-xy+y2)
    という公式です。

    新しい単元に入っても、既習の公式を覚えていないと実際の問題は解けません。
    解答・解説を読んでも、何でそういう変形をしているのか、意味がわかりません。
    とにかく、公式は全部頭に入れておきましょう。

    ところで、-1+√5i と-1-√5i は、和や積で虚数部分が消えて、その後の計算が随分楽になりましたね。
    虚部が異符号なのが良かったですね。
    こういう数を「互いに共役な複素数」と言います。
    「a+bi と a-bi を互いに共役な複素数という」というのが定義です。


    問題 -27の平方根を求めよ。
    -27の平方根は、±√-27 です。
    ±√-27 =±√27i=±3√3i

    2乗して負の数になる数の中にも、正の虚数と負の虚数がある・・・。
    そのことで混乱する人もいるようです。
    つながるべきではないところがつながって、頭の中がメビウスの輪になっていないでしょうか?
    虚数にも正負があって、別に構わないです。
    「だって、負の数は2乗したら正の数になってしまうから、-27にはならないじゃないですか?」
    ・・・うん?
    i2がある限り、その数は負の数になりますよ。
    落ち着いて、落ち着いて。


    問題 √-24・√-18 を計算せよ。

    √-24・√-18
    =√24i・√18i
    =2√6・2√3・i2
    =2・2・3√2・(-1)
    =-12√2

    これをいきなり1つの√ でくくり、
    √-24・√-18
    =√-24・(-18)
    =√24・18
    =12√2
    としてはいけないのです。
    a<0、b<0 のとき、√a・√b=√ab ではありません。
    それは、実数のときだけのルールです。
    虚数ではそれはできません。
    必ず、最初に i を使って書き直してから計算していきます。

    なぜできないか?
    だって、上のように計算していいのなら、
    -12√2=12√2 となってしまい、矛盾します。
    これは背理法で証明できることだと推測できますね。
      


  • Posted by セギ at 13:22Comments(0)算数・数学