2016年05月30日
奥多摩 御嶽山、大岳山、馬頭刈尾根を歩きました。2016年5月。
2016年5月29日(日)、奥多摩を歩いてきました。
ホリデー快速奥多摩3号に乗り、御嶽駅下車。
駅前の横断歩道を渡り、左へいくと「ケーブル下」へのバス停です。
10分ほどバスに乗ると終点「ケーブル下」。
バス停からケーブル駅まで、舗装された上り坂です。
この坂道をつらく長く感じる朝もあるのですが、今回はかなり短く感じたので体調が良いのでしょう。
ケーブルカーは大人片道ならばSuicaで乗車可能です。
さて、ケーブル山頂駅。9:30。
ここから、まずは御嶽神社を目指します。
舗装された遊歩道ですが、ここの坂道もきつい。
神社への階段もきつい。
観光客も多いのですが、御嶽神社周辺は結構体力を使う場所です。
ともあれ参拝も済ませ、階段の途中にある近道からロックガーデンへ。
奥多摩の人気のある山は、若い人も多いです。
私の前を行く若い女の子の2人連れは、小走りに先に行っては、互いに写真を撮りあっていました。
その度に、両手を広げたり片足を上げたり楽しそうなポーズをとります。
何度も何度もそれを繰り返します。
山を歩きに来たんだか、自分たちの写真を撮りに来たんだか、わからないなあ。
(´_ゝ`)
小走りになって時間を作り、後ろの人の歩行の邪魔にならないよう配慮しているところなど、マナーの良い子たちで、特に文句はないのですが。
若い女の子のインスタグラムの後ろに半笑いのおばさんが見切れているのを見かけたら、私だと思ってください。
きっかけなんか何でもいいので、山は楽しかったね、また来たいねと思ってくれたらいいなあ。
さて、よく整備された飛び石を歩き、石の階段を上がり、新緑と岩と苔の眺めを楽しみながら綾広の滝へ。
ここでロックガーデンはおしまいです。11:00。
急にそっけない感じになった山道を大岳山へと登っていきます。
樹間から見える大岳山は高く遠い。
はあ、あそこまで行くんだなあ。
登りに汗をかき、少し平らになってくると今度は岩がちな道が始まります。
十分な道幅はあり、鎖もかかっていますが、用心して歩いていき、大岳神社へ。11:45。
ここでひと息つき、さていよいよ大岳山頂へ登っていきます。
最初は滑りやすい土の道から、やがて、本日一番の岩がちの道へ。
登りと下りが同じ道なので順番待ちの渋滞の起こりやすいところですが、今日は意外に空いていて、スルスルと登っていけました。
むしろ休憩できないので息が切れ、ゼイゼイいいながら山頂へ。12:05。
大展望ですが、この季節ですと富士山は全く見えないですね。
上の画像が山頂で撮影したものです。
岩の1つに座っておにきりを食べて、さて来た道を戻ります。
私の前を行く女の子5人のグループはまさに初心者の印象で、岩場の下りに腰がひけていました。
お尻をついてそろそろと降りていきます。
しかし、そんなに何時間も続くことではないので、私はその後ろでのんびり待っていました。
すると、後ろから男女3人がガサガサっと降りてきました。
30代から40代くらいの印象です。
雑に歩くので石が動き、一番前を行く男の落とした直径2㎝前後の小石が私の靴のかかとに当たりました。
こういう場所でガサガサと雑に動き、小さいながらも落石を起こすとは。
振り返ると、「あ、すいません」と謝ってはくれましたが、こんなわずかな渋滞も待てないのか、木の間の道ではない場所をガサガサと無理に通って私たちを追い抜いていきました。
ふーむ。
彼らは、岩場を降りる技術は確かに前を行く女の子たちよりある。
私より上だとも思う。
でも、どうも敬意を払う気になれません。
こんな初心者向けの山域で上手ぶっても仕方ないでしょう、としか思えない。
ああいう人たちは、岩登りをやればいいのになあ。
本物の岩を登れば、自分の技術の未熟さがわかる。
どれだけ技術を高めても登れない岩がさらに立ちはだかる。
山を歩きながら、山の大きさよりも自分の大きさをひけらかして歩いているようでは意味がないこともわかるだろう。
大岳神社まで戻り、道しるべを確認し、ここからは馬頭刈尾根を下ります。
馬頭刈尾根を歩くのは2年ぶり2度目。
大岳の山頂にいた人たちの大半は、御嶽に戻るか鋸尾根を行くかで、こちらの尾根を下る人は本当に少ないです。
急に前後に人が誰もいなくなって、ザックから熊鈴を出してリンリン鳴らしながら、崖っぷちの細い道を行きました。
「落石あり注意」という看板に、しかし、注意しようにも落石があったら逃げ場がないとつぶやきながら足早に通過。
尾根に乗ると、しばらくはのどかな道が続きます。
ときどき岩がちな登り下りがありますが、全体に歩きやすい。
細い丸太で土留めをした木段道が2年前よりも増えている印象でした。
新しい丸太で道が整備されています。
富士見台。13:20。
木が伸びて、富士山どころか大岳山もよく見えません。
しかし2年前の古びたテーブルとベンチが新しいものに替えられていました。
新しいといっても既に風雨にさらされ、上の写真のようになってはいますが。
道しるべも、真新しいものに変わっています。
こんなに整備が進んでいるのに人がいないのは何だか勿体ない。
静かな山歩きができて、私は嬉しいのですが。
道はさらに岩がちになってきて、鉄階段を2つ下りると、その先の岩の下りが一番険しいところです。
「この先 道悪し」の小さな看板が立っています。
注意して下れば大丈夫ですが、どれが正しいコースなんだろうと下をきょろきょろ覗き込んで、少しうろうろしてしまいました。
少しいくと、つづら岩。13:40。
10人ほどの人がいました。
山岳会の岩登り講習でしょうか。
ロープは1本しか垂れていないのに、下に人がたくさんいます。
皆、岩を見上げています。
私の姿を見つけて、
「通行者いまーす。脇によけてー」
と先輩格らしい女性が言ってくれて、無事に通過。
その先にも、ロープの下に1人。
2年前は岩登りの練習をしている人は2人しかいなかったので、今日は随分賑やかだなあと思いながらさらに岩をまわり込んで登っていくと、そちらにもロープが見えました。
さらにその先にも。
全部で4パーティ?
これは盛況だ。
千足から直接登ってもここまで2時間かかります。
アクセスが悪いので、ゲレンデ(岩登りの練習場)としてはあまり人気がないのだろうと思っていたのですが、どうして大人気です。
つづら岩を過ぎると尾根が広くなり、草の中の平らな登山道を行くのどかな場所がしばらく続きます。
もうこのまま下山していけるのかと思うのですが、再び道は岩がちに。
初めて馬頭刈尾根を歩いたときは、この道の変化に裏切られて、心理的に疲れました。
しかし、2度目になると、どうせ鶴脚山までは岩がちな道が繰り返されるんだと思うので、楽な気持ちで歩いていけました。
岩がちの道が繰り返されるとわかって歩いていくと、岩場といってもホールドは豊富で難しくないし、高度感のあるところも少ないので、この道は楽しいです。
道しるべはプラスチック板を貼られた最新のものが分岐ごとに整備され、それも安心感につながっていました。
鶴脚山。14:40。
狭い山頂です。
ちょっと休憩し、先を行きます。
馬頭刈山。15:05。
ここはベンチがいくつかある、比較的広い山頂。
休んでいる先客が6人いて、つづら岩以外で馬頭刈尾根で人に会ったのはここが初めてでした。
馬頭刈山からの段差のある下りからは、これから降りていく武蔵五日市の街並み、さらにその遠くに東京の街並みが遠望できました。
晩秋の空気の澄んだ日にまた歩いてみたい眺望でした。
そこからは平らな良い道をズンズン歩き、高明山へ。
ピークという印象はないのですが、小さな神社のあるところです。
石段を下り、良い道をどんどん行くと分岐。
分岐の道しるべを確認して「瀬音の湯」へ。15:45。
ここから道は細く急な下りとなりました。
砂まじりの道で、小石や木の枝で滑りやすいです。
前回、2回も滑ったので用心したのですが、やはり1回ズルっと滑ってしまいました。
小さな橋。16:20。
歩行者専用のしっかりした作りの橋で、揺れることもなく安心です。
民家も下に見えているので、前回ここで安心して気持ちが途切れ、ここからの登り返しは随分堪えました。
今回はそれも覚悟しているので淡々と登り返します。
木段の上りの後も登り道はしばらく続き、うんざりしてしまうところですが、とにかくあと少し。
ちょっと高度感のある段差の下りを終えて大きく曲がると道は緩く広くなり、瀬音の湯の駐車場に出ました。
登山道から降りてきたままの方向に直進すると、まず見えてくるのがバス停。
瀬音の湯まで来てくれるバスは本数が限られているので、徒歩8分の十里木バス停のバス時刻を確認し、瀬音の湯の建物へ。
入り口すぐの受付は無人。
そこから直進していくとザック置き場があり、貴重品以外をそこに置いて靴を脱ぎます。
靴箱は、100円が後で返却される方式。
それから販売機で入浴券を購入します。
大人1名。900円。
受付に入浴券と靴箱の鍵を出すと、脱衣所のロッカーの鍵が渡されます。
脱衣所は狭いですが、浴場は広く、洗い場の数も多いので待たずに入浴できました。
シャワーのお湯の出方もシャンプーやボディソープの泡立ちも良好。
内湯と露天があります。
とろりとした泉質です。
露天からの眺めは、奥多摩のもえぎの湯のほうが上かもしれません。
樹木の姿があまり良くないし、山が見えないんです。
でも、大きな問題ではないかな。
さて、お風呂あがりは受付を直進した別棟へ。
土地の野菜や名産品などの置いてある売店です。
奥の冷蔵庫に冷えたビールがあります。500mL410円。
2年前から値上がりしていませんでした。
外にある足湯の向かいのベンチで夕空を眺めながらのんびり飲みました。
十里木へのバス停は、山から下りてきた方向のまま温泉の建物の前を通り過ぎていくと、道しるべが出てきます。
途中の分岐は道しるべがなければ直進の法則をしっかり守って歩いていくと、橋が見えてきます。
橋を渡ると檜原街道が見えてきました。
バス通りを歩くのは嫌なので1本内側の道を行くと、バス停に到着です。
やってくるのは、18:14のバス。
これは、この前1時間15分待ったバスと同じバスだなあ。
ベンチに座って携帯を見ているうちにすぐにバスがやってきました。
2016年05月26日
計算の工夫。

中学3年生の数学は、「因数分解」の学習が終わるとその利用の学習が始まります。
因数分解を利用して筆算しないで計算問題を解く問題などがあります。
例えば、こんな問題です。
98×102 を工夫して計算しなさい。
この程度なら、筆算したって大した手間ではないのですが、因数分解を利用して、
98×102
=(100−2)(100+2)
=10000−4
=9996
というふうに計算できます。
ただ、これを便利と感じるか、かえって面倒くさいと感じるかは微妙なところです。
こういう問題は、因数分解を利用するために人工的に作られた問題という印象が強いですね。
普段の計算の際には、気がついたのならやったら良いけれど、別に普通に筆算しても良さそうです。
しかし、計算ミスをしないために必要な計算の工夫というものもあります。
そして、計算ミスをしやすい子は、計算ミスをしやすい過程を踏む傾向があります。
なぜ、よりによってその過程を選ぶのか?
それでも解けるけれど面倒くさくないか?
見ていると不思議なほどに面倒くさいほうを選んでしまうのです。
例えば、こんなふうに。
4×4×5
=16×5
いえ、それでも、答えは出ます。
でも、16×5の暗算ができないので、渋い顔をしてわざわざ筆算しています。
計算の苦手な子の中には、そこで筆算ミスをしてしまう子もいます。
そうした子に、
「後ろの4×5を先に計算して、4×20として解くと楽だよ」
と説明すると、
「そういうやり方があるんだ!」
と驚愕しています。
計算は頭から順番にやるものと決めつけているので、交換法則を利用できることに気づかないのでしょう。
こういうちょっとした計算センスが出やすいのが、連立方程式。
特に、3元1次方程式です。
例えば、こんな問題です。
4a+2b+c=0 ・・・・①
25a+5b+c=0 ・・・・②
a+b+c=−2 ・・・・③
文字が3種類ありますので、式全体を足したり引いたりして1つの文字を消去し、文字が2種類だけの2本の式を新たに作りだして解きます。
どうやって作るか。
cの係数はどれも1です。
これが一番消しやすい。
係数が違うと式全体を何倍かしなければならなくなり、それだけ面倒くさくなります。
だから、cを消します。
②−①で
21a+3b=0 ・・・④
①−③で
3a+b=2 ・・・⑤
④−⑤×3で
12a=−6
a=−0.5
本当は分数で表記したいのですが、分数表記の1/2はどうも見にくいので、今回は小数で表記してみました。
それはともかく、こんなふうに解いていけば、あとは芋づる式にbの値もcの値も出てきます。
ところが、計算が苦手な子ほどなぜか別の方法で解く傾向があります。
aを消そうとするんです。
aを消すとなったら、例えば③×25とか③×4をしなければなりません。
そして、途中で計算ミスをおかします。
右辺の定数項を何倍かするのを忘れるミスは特に多いです。
1人2人の話ではありません。
私が出会った計算が苦手な子は、たいていそうでした。
なぜ、cを消そうと思わないのか?
最初の文字がaだから何も考えずにaを消すのでしょうか。
結局、何の工夫もしないで算数・数学の問題に対してきた結果が計算力の差につながります。
ちょっとの工夫で劇的に計算は楽になるので、この発想ができると良いのになあ。
私は、そう思っていました。
ですが、ここ1年ほど、
「あれ?これは?」
と感じる生徒の入会が続き、別の側面も考えるようになりました。
どう表現したら適切なのかよくわからないのですが、「変な工夫をする」子たちの存在を感じるようになったのです。
例えば、わり算の筆算。
78÷13 の筆算をするとき、普通は割られる数の78をまず書き、それに「屋根」をつけ、それから割る数の13をその左に書きます。
ところが、これを13から書く子たちがいるのです。
そして、それをする子たちは、割る数と割られる数の混同を起こしやすく、78÷13の計算をしなければならないのに、13÷78の計算をしてしまうミスが多いのです。
それはそうですよね。
式の見た目と異なることを自分の判断でやっているのですから。
そのうち混同します。
そして一度混同すると、どちらが正しいかわからなくなり、一生混乱し続ける可能性があります。
そのミスを発見する度に注意しているのですが、なかなか治りません。
もう治らないのかもしれないと感じるほどです。
そもそも何でその子は割る数から書くようになったのでしょうか。
横書きのノートは左から文字を埋めていくもの。
そこからの発想だったのでしょうか?
つまり、本人としてはそれはノートをきれいに埋めていくための「工夫」だったのでしょうか。
その工夫を始めたとき、それが後に自分をどれほど苦しめることになるか、本人にはわからなかったのです。
そうした子たちのわり算の筆算を行う過程も、常識とは順番が異なることがあります。
まっとうな手順を踏みません。
1桁ずつ商を立てて、かけて、ひいて、上から次の桁の数を下ろしてきて、という作業手順を踏まず、見ていてヒヤヒヤするような危うい作業手順でわり算を進めます。
割れないとわかると、上からまとめて2桁おろしてきたり。
横線をひくのが面倒なのか、後でまとめてひいたり。
単に手順が理解できていないと見ることもできます。
ただ、もしかしたら「同じ作業はまとめてやったほうが合理的」と考えているのではないかと筆算の様子を見ていて感じることがあるのです。
筆算で同じ作業をまとめてやるのは、合理的どころか自らミスを誘い込むことです。
くだらない工夫を筆算に持ち込むから桁に対する認識が薄れ、商に0を立てることができず、どの桁に商を立てるかさえわからなくなり、答えは大抵桁がズレています。
その子たちにもう1つ共通するのは、分数を分子から書いてしまうこと。
これも注意しても治らず、翌週の授業ではまた同じことをやってしまいます。
一度癖がつくとなかなか治らないのです。
ノートは上から書くものだというルールからそうしているのでしょうか。
わり算の筆算のときと同じルール、ある意味合理的な「工夫」が働いているのでしょうか?
単に手順が理解できていないと見ることもできます。
ただ、もしかしたら「同じ作業はまとめてやったほうが合理的」と考えているのではないかと筆算の様子を見ていて感じることがあるのです。
筆算で同じ作業をまとめてやるのは、合理的どころか自らミスを誘い込むことです。
くだらない工夫を筆算に持ち込むから桁に対する認識が薄れ、商に0を立てることができず、どの桁に商を立てるかさえわからなくなり、答えは大抵桁がズレています。
その子たちにもう1つ共通するのは、分数を分子から書いてしまうこと。
これも注意しても治らず、翌週の授業ではまた同じことをやってしまいます。
一度癖がつくとなかなか治らないのです。
ノートは上から書くものだというルールからそうしているのでしょうか。
わり算の筆算のときと同じルール、ある意味合理的な「工夫」が働いているのでしょうか?
どうも、ノートの見た目にある種のこだわりがあるように感じます。
低学年まで使っていたマス目のノートに1文字ずつ数字を埋めていくことへのこだわりが高学年になっても残っているのかもしれません。
上から、あるいは左からきちっと埋めていかないと、変な余白が生まれてしまう・・・・。
それは避けなればならないというこだわりでしょうか。
こちらは実害は少ないのですが、口頭で、
「これは4分の1でしょう?」
などと説明すると、彼らは4/1とノートに書いてしまうことがあり、その点に注意を払う必要があります。
自分の中での工夫にこだわり、自らに変な癖をつけてしまい、しかもそれを直せないのだとしたら、それはやはり学力が低いということかなあ・・・・・。
一般的に、算数の苦手な子には、例えば「円とおうぎ形の面積」の単元で計算の工夫を教えるのは難しい場合が多いです。
8×8×3.14÷4-4×4×3.14÷2
=(8×8÷4-4×4÷2)×3.14
=(16-8)×3.14
=8×3.14
こうした工夫をして計算すれば、×3.14の計算は1回で済む。
そのように教えても、算数が苦手な子たちは、うまく呑み込めないようで実行できません。
一番最初に書いた、4×4×5=16×5と解く子たちは、こうした工夫が苦手です。
一番最初に書いた、4×4×5=16×5と解く子たちは、こうした工夫が苦手です。
ひどく混乱し、やがて意地を張った顔になり、
「私は普通に解きたいの!」
と怒り出すこともあります。
ですから、私は、わり算の筆算や分数が逆になってしまう子たちにも、計算の工夫は教えませんでした。
その日も、その子は、計算しながらため息をつき、時計ばかりチラチラ見ていました。
計算で正答できることが少ないせいか、彼らはそもそも計算が嫌いです。
子どものそんな態度には慣れている私はそうしたサインは一切無視して彼の手元を見ていました。
すると、彼は、うんざりしたように、
8×8×3.14÷4-4×4×3.14÷2
=3.14×(16-8)
と書いたのです。
「・・・・・・え?今、何をしたの?」
それに対してものも言わず消しゴムで消そうとする彼を止め、
「いや、消さないで。合ってるから。正しいから」
しかし、慌てて消したので、本当に消したかったところではなく、別の問題の式を消してしまっている・・・・。
「私は普通に解きたいの!」
と怒り出すこともあります。
ですから、私は、わり算の筆算や分数が逆になってしまう子たちにも、計算の工夫は教えませんでした。
その日も、その子は、計算しながらため息をつき、時計ばかりチラチラ見ていました。
計算で正答できることが少ないせいか、彼らはそもそも計算が嫌いです。
子どものそんな態度には慣れている私はそうしたサインは一切無視して彼の手元を見ていました。
すると、彼は、うんざりしたように、
8×8×3.14÷4-4×4×3.14÷2
=3.14×(16-8)
と書いたのです。
「・・・・・・え?今、何をしたの?」
それに対してものも言わず消しゴムで消そうとする彼を止め、
「いや、消さないで。合ってるから。正しいから」
しかし、慌てて消したので、本当に消したかったところではなく、別の問題の式を消してしまっている・・・・。
それはともかく、その次の問題でも彼は交換法則・分配法則を利用した計算の工夫が出来ました。
×3.14の計算は間違えてしまうので、正解は出せないのですが・・・・。
このバランスの悪さは何だろう?
ともあれ、この子は、工夫ができる。
算数の苦手な子はこの工夫ができない、という今までの私の中の判断を覆す事態でした。
私の知る算数・数学が苦手な子というのは、単純に言えば数学センスのない子たちでした。
一方で、数学の問題の解き方を作業手順として覚え込み、言われたことを言われた通りに再現することはできる可能性がありました。
数学に対してそういう学習態度のため、高校生になれば数学は消化試合、ただ単位を取るだけの科目となってしまうのですが・・・・・。
今、偶然にもうちの塾に複数いるこの子たちは、数学センスがないというのとは違う。
普通に数学が苦手な子よりも今はテストの点数は低いかもしれないけれど、数学センスがないというのとは違う。
これは、回復可能なのだろうか?
もう何年も計算手順を間違えて、それが癖になっている。
それを治すことは可能だろうか。
このところ、そんなことを考えていることが多いです。
このところ、そんなことを考えていることが多いです。
2016年05月16日
上川乗~生藤山~陣馬山~高尾山を歩きました。2016年5月。
2016年5月15日(日)、上川乗から高尾山まで縦走しました。
例年は4月中旬に行っている縦走ですが、捻挫のためひと月ずれ込みました。
先週と同じく、ホリデー快速あきかわ3号に乗車し、終点武蔵五日市駅下車。8:50。
数馬行きのバスは今週も増発で、3台同時に出発です。9:00。
先週1時間15分も待ったバス停「笹平」も過ぎ、檜原村の中心も抜けて「上川乗」下車。9:35。
下りたのは私1人。
バスの進行方向に少し歩き、三叉路を左折。
橋を渡って道路を登っていくと、登山口です。
山支度をし、熊鈴をつけ、ラジオの音も大きめにして出発。
登っていく間は人に会いませんでしたが、登り切って少し平らになった祠のあるところで、男性5人が休憩していました。
皆、無言で同じ方向を見ています。
何だろうと思って私もその方向を見ると、木がユサユサ揺れていました。
ああ、サルだー。
ニホンザルが、木の上のほうの枝から落ちるようにして下の枝に移って降りていくのが見えました。
こんな何でもないところにサルがいるとなると、登山地図に「ニホンザルの生息地」と書いてあるようなところはどれだけのサルがいるのだろう。
しばらく平らなところを歩き、尾根の向こう側にまわり込んでいくと、あずま屋が見えてきました。
浅間峠。10:35。
ここでは女性7人のグループが休憩中。
「ここまで1時間半で来たわよ」
「順調ね」
と励ましあっていて、朗らかな印象でした。
今日は男女別で歩く日かな。
そんなくだらないことを考えながら、さて、ここから笹尾根です。
いつもは4月に歩くので、笹尾根はまだ木の芽がようやく出た頃。
隣りの尾根がよく見える中を歩くので、直射日光もよく当たり、アップダウンが堪えます。
しかし、5月になると笹尾根は新緑のトンネルの中の道でした。
グリーンシャワーを浴びながら、あっという間に熊倉山へ。11:20。
去年より15分も早い。
腐葉土を多く含む柔らかい道は、急な下りでも滑る心配がなく歩きやすいです。
三国山。11:45。
晴れているのですが、春霞というレベルでなく靄がかかり、富士山どころか丹沢すら霞んでいます。
新緑の山々とのコントラストで空がきれいでした。
さて、ここから生藤山。
今日一番険しいところです。
岩がちの登りを行くと、狭い山頂。11:55。
ベンチが空いていたので、昼食をとることにしました。
さて、出発。
生藤山からの下りは滑りやすい砂と岩のまじった急な下りです。
昔は歩いて降りられたけれど、今日はところどころ両手をついて通過。
こういうところの通過は膝が自由であることと、あとは前腿の筋肉が必要ですね。
上半身のバランスをとるために腹筋も重要。
あとは良い道が続きます。
今日は気温もそんなに上がらず、爽やかな風が吹いています。
新緑の下を歩くのは本当に気持ちいい。
醍醐丸が近づくと、また道は岩がちになってきました。
つまずいたら終わりですので、用心して通過しました。
醍醐丸。13:30。
たったか下って、登山道からいったん林道に出て、道しるべの通り右へ。
この道しるべは数年前まではなかったなあ。
わかりやすくなりました。
和田峠。14:00。
自転車の人、バイクの人が休憩しています。
ここから茶店の左手の木段を登っていきます。
草が茂って、木段がいつもより狭く感じました。
木段からいったん平らな道へ、そしてまた木段。
これが繰り返され、最後の木段を上がっていくと、陣馬山です。14:20。
笹尾根から来た場合、一番近いのが一番下の茶店。
ここで休憩。
ラムネ200円を購入。
そのまま渡されたけど、蓋の開け方がわからず、茶店のおじさんに開けてもらいました。
おじさんは、日向のベンチで食事中の2人に中へ入るよう声もかけていました。
混雑具合にもよるだろうけれど、何も買わなくても日陰で休ませてくださるのは有難いですね。
さて、足の具合も問題ないので、予定通りこのまま高尾山まで縦走します。
ただし、巻いて巻いていきます。
明王峠。15:05。
景信山は巻いて、城山下。16:50。
城山も巻いて、一丁平や紅葉台も巻いて、高尾山下。17:30。
高尾山も巻いて、薬王院はお詣りして、ケーブル駅。18:05。
この時期のケーブル最終は18:30。
上ってきたケーブルに乗り込むと、乗客が誰もいず、一番前の特等席に座れました。
運転士さんの隣りの席です。
ケーブルには何度も乗りましたが、この席は初めて。
かぶりつきです。
さて18:15、出発。
ケーブルカー日本最大の急勾配を降りていきます。
登りのケーブルがやって来た!
子どものようにケーブルカーからの眺めを堪能して、笹尾根から高尾縦走、今年も無事に終了しました。
2016年05月12日
奥多摩 今熊山、刈寄山、市道山を歩いてきました。2016年5月。

2016年5月8日(日)、奥多摩の今熊山、刈寄山、市道山を歩いてきました。
この山は、2007年4月にも歩いたのですが、道に迷って迷って時間をかなりロスしました。
苦闘の山行記録が手元に残っています。
さて、今回私は迷わずに歩けるのでしょうか?
いつものようにホリデー快速あきかわ号に乗り、終点武蔵五日市駅下車。8:50。
駅のトイレは個室が3つしかなく、行列ができていました。
でも、この先にトイレはないと思うので、行列に並びました。
出発。9:00。
今熊山へは、駅前から 9:09発の八王子駅行きのバスに乗り、今熊山登山口に下車するのが一番近道です。
これに乗るのが一番確実な方法だと思います。
でも、自分が悩んだところを確認したくて、今回も徒歩で行きました。
そして、またしても道に迷いました。
2007年も私は最初の目的地である阿伎留神社に行きつくことができず、いきなり次の目的地の広徳寺に着いてしまいました。
そこから金剛の滝までは何とか道を見つけましたが、その先がどうにもわからず、小峰公園に降りてしまい、そこで小一時間も無駄にしました。
都もあきる野市も、武蔵五日市駅から今熊山に歩いていく人というのを想定していないのか、道しるべが存在しません。
現地に行けば整備された登山道が存在するのですが、登山地図に道が描いてありません。
ここは、奥多摩の死角。
ハセツネのコースですから、一度では無理でも小分けにして歩いてみたい人は多いと思うのですが。
こんなに街の近くに、読図能力のない者を阻む山が存在するとは。
駅から、まずは檜原村方面に車道をしばらく歩いていきましたが、今回も分岐がわかりませんでした。
そこで、いったん駅前に戻り、とにかく小峰公園に行くことにしました。
小峰公園への道しるべはあったからです。
実はそれが正しい道で、そこからすぐに右折すれば阿伎留神社に行けたようです。
9:09分のバスに追い抜かれ、早くも後悔しながらとぼとぼ歩いていくと、小峰公園入口に。
以前と違い、その入り口に大きな地図が掲示され、公園の概要がわかりました。
その地図に今熊山への道も示されていました。
その地図を頭に入れて、公園の外縁の登山道を登っていきました。
上の画像は、公園から登山道に入ったところで振り返った1枚です。
ずっと車道を歩いてきたので、木陰が嬉しいー。
(*^^)v
最初の道しるべには「ハイキングコース」としか示されていないのが若干不安でしたが、とにかく登山道を登っていき、木のてすりのついた急な木段を何とか上がりきると、次の道しるべを発見。
「金剛の滝・沢戸橋・今熊山」と書いてあります。
その道しるべの通りにゆるく下り、また登ります。
左手の樹間に変電所が見えていました。
また道しるべを発見。
でも、そこには「金剛の滝・沢戸橋」しか書いてありません。
今熊山は?
((+_+))
あれ?
変電所の脇にあった細い道を行けば良かったのかなあ?
でも、あれは、変電所の職員さんが使う作業道じゃないの?
やっぱり、今回も小峰公園から迷ってしまいました。
さて、どうしようと思っていたところに、犬を連れた2人連れの方がやってきました。
天の助けです。
今熊山への道を訊くと、略地図を開いて見せてくださいました。
小峰公園のビジターセンターで配布されているようです。
自分たちはゆっくり行くからという2人にお礼を言って別れ、教えられた道へ。
「金剛の滝・沢戸橋」への道を行くので良かったのです。
変電所を左に見ながら、登ったり降りたり。
いったん変電所が見えなくなり、鉄塔の側を通ると、三叉路へ。

ここが重要な分岐でした。
この三叉路の、道しるべで示されていない下り道が、今熊山への道です。
私は、その今熊山への道に立って、振り返ってこの写真を撮影しています。
ここに立ったとき、この分岐だけ明瞭に記憶があり、愕然としました。
そうだ、ここだ。
これが正しい道だ。
この道をしばらく行くと正面に再び変電所が見えてきました。
舗装されている道になり、変電所を左に見ながらしばらく行くと、消火栓が。
ここが今熊山の登山口でした。

ここも、道しるべはないのですが、この木の杭の間を通って少し行くと、「今熊山登山口」という看板が見えてきました。
先ほどの2人連れの方にそのことを詳しく説明してもらっていたから安心して歩いていったけれど、そうじゃなかったら、ここを入っていく気にはなれません。
ひー、わかりにくーい。
そこからは、道しるべには全て「今熊山」と書いてあり、登山道も明瞭でした。
道は崖っぷちの登り道で、ところどころ細くなるところは注意が必要でしたが概ね良い道です。
登っていくと、今熊山山頂。11:00。
神社があり、その下は平らな広場になっていて、ベンチもありました。
眺望もまずまずです。
2007年のときはここで既に12:00でしたから、道迷いはあってもまだ傷は浅い。
2人連れの方に感謝感謝です。
さて出発。
ここから先は道しるべはあり過ぎるほどで、迷う箇所はありません。
刈寄山の道しるべを確認して、まずは平らな良い道を行きます。
やがて道は登りになり、左手の樹間からは、山肌を削る作業現場が見えてきました。
「発破作業中につき入山禁止」という看板もありますが、それは山菜採りなどの人への警告でしょう。
登山道を行く分には大丈夫でした。
その看板の下に黒マジックで「自然ハカイ」と落書きされているのも目撃して、うーむとうなりながら先を行きます。
林道を作っているのでしょうか。
日曜日でも作業中でした。
刈寄山への分岐。12:00。
前回は遅くなったので、刈寄山に行くのは諦めたのでした。
往復45分の寄り道となります。
今回は、行ってみよう。
しかし、今日も夏日。
耳元で低くかけているラジオからは7月上旬の気温との情報が。
林道が左手に見えてきて、木陰が切れて直射日光を浴びるせいもあり、一気にバテてきました。
小さいピークを登っては下ります。
これがかなり堪えました。
刈寄山。12:25。
狭い山頂でした。
ビニールシートを敷いて座っている若い人が2人。
少し下るとあずま屋があり、そこで昼食休憩を取りました。
先客の男性は、缶ビールを飲んでいました。
うらやましーい。
さて、分岐に戻ろうと思ったのですが、途中の道しるべに「市道山・陣馬山」とあったので、先ほど来た道と方向は違うのですが、そっちに行ってみることにしました。
その分岐に従って、林道へと降りていきます。
しばらく林道と並行な細い道から、いったん林道へ。
すぐに階段を登り返します。
先ほどの分岐からの道とどこで合流したのかよくわかりませんでしたが、それは正しい道でした。
そこからは、市道山への長い道。
コースタイムで2時間20分かかります。
ここもアップダウンが繰り返されます。
この道がハセツネのコースだというのは、恐ろしいことだ。
レースの序盤で大半の人を振るい落とす印象です。
ときどきまき道もあるのですが、アップダウンはあるが道幅の広いほうを選ぶか、細い崖っぷちのまき道を選ぶかは、難しい選択です。
本当に細くて斜めになっているまき道もありますから。
まき道を選んで歩いていると、向こうから単独行の男性が。
「トッキリ場って、こっちですか」
と訊かれました。
「えー・・・・。さっき見た道しるべにトッキリ場と書いてあったので、この先だと思うんですが」
「いや、私も、さっき見た道しるべにトッキリ場って書いてあったんだけど」
「えー・・・・」
うーむ。
結局、どこがトッキリ場なのか私もわからず通過。
そこから、アップダウンはさらに激しくなりました。
1つのピークに立つと、そこからの急な下りと次の急な登りが見えます。
うわあ・・・・・。
逆回りの人たちとときどきすれ違います。
その人たちも、かなりバテている印象です。
ハセツネ10km地点。14:25。
ここでまだ10km。
恐ろしいことだ。

そこから先、右手の視界がふっと開ける場所に出ました。
深い山奥にいるような眺めでした。

市道山。15:10。
ここも狭いピーク。
山頂標識は不可解なほど立派なのですが、それ以外は今までのピークと何が違うのかわかりません。
それでも周辺のピークの中では一番高いので、山の名前がついているのでしょうか。
さて、下山。
岩がちで少し歩きにくい道を臼杵山方向へ進むと分岐です。
道しるべの通りに笹平へと向かいます。
ここがかなり急な下りでした。
私が立って降りられるギリギリの斜度のところも何回かありました。
つかまる木もなく、落ち葉が積もっていて、砂混じり。
一番苦手なタイプの下り道です。
そろそろ降りていくと、道は良くなったり、段差の激しい道になったりを繰り返します。
分岐の道しるべには「笹平60分」と書いてあったけれど、下りに自信のある人はともかく、普通はもう少し時間に余裕を見たほうが良さそうです。
やがて廃屋のような建物が見えてきました。
木橋で沢を渡って、丸太でできた桟道を登っていくと、林道に出ました。16:25。
そこにも道しるべはあり、その通りに林道を歩いていきます。
この林道歩きが案外長い。
やがて民家が並ぶ道になり、そこからバス通りへ。16:40。
バス停はすぐに見つかりましたが、時刻表を見てがっかり。
次のバスは、17:57。
前のバスが行ったばかりなのでした。
あと少し速く歩けなかったものか。
でも、時間の無駄はなかったものなあ。
今日1日、どこの場面でも、私は全力を出しましたよ。
でも、次に来るとき、逆回りが得策かもしれません。
バス時間を気にせず直接武蔵五日市駅に下るのなら、日の長い時期なら臼杵山も歩けると思います。
まあ仕方ない。
諦めてスマホで時間潰し。
今さら今熊山への登山口を検索し、画像つきとはいえ、何度も何度も右折左折を繰り返すのを見て、これはわからないわとつぶやいているうちに1時間はすぐに過ぎ、ゆっくりとバスがやってきました。
2016年05月05日
1週間遅れの外秩父七峰縦走 その2。2016年5月。

2016年5月1日(日)、大会から1週間遅れの外秩父七峰縦走を行いました。
今回は、その後半の模様を。
笠山山頂。11:45。
朝の道迷いと寄り道で、例年の大会参加ペースからは25分遅れていました。
ここでも、CPの先の山頂に座って少し休憩。
さて、笠山山頂からの下り。
まずは少しだけ急な下り道の後、いったん緩くなり、その先はロープも張ってある下りです。
ここは走って下れる人もいれば、木につかまらないと立っていられない人もいます。
技術の差が出るところです。
下り終わるといったん車道。
そこからまたすぐに登山道。
緩やかで、例年渋滞もなく、ほっとする道です。
笠山峠からは再び登りが始まります。
今年、笠山峠の少し先で、登山道は新道と旧道に別れていました。
大会コースはどちらを通っても良いようで、道しるべにもそう案内されていました。
試しに新道へ。
道が緩やかで歩きやすい。
でも、道幅が細いので、歩くのが遅い人がここを塞いだら渋滞が起こりそうです。
大会に参加するなら、ここは旧道かなあ。
旧道は、段差はありますが道幅が広く複線化していて自由に追い抜けますから。
歩くのが遅い人がいるのは仕方ないのです。
完歩が目標ではない人もいますし。
私も、強い日差しと気温上昇に体力を奪われ、そのとき、のろのろと歩いていましたし。
問題は、前の人がそのようにゆっくり歩いていたときに後ろを行く元気な人がどう対処するか。
前を行く人が遅く、その人の前には人がいない場合、直後の人がこまめに追い抜くことをしていれば、遅い人が作り出す渋滞はもう少し解消されるでしょう。
勿論、危険な細い崖っぷちで無理に追い抜くのは論外です。
様子を見ながら、少し道幅が広がった安全な箇所で素早く追い抜くのがコツです。
前の人がどんなに遅くても何も考えずにその後をついていってしまうと、渋滞の第一段階を作ってしまいます。
それが2人連れだったりすると、そこで3人縦列の壁ができてしまいます。
3人まとめて追い抜くには、道に余程の余裕がないと難しい。
ですから、4人目の人は抜きたくてももう追い抜けなくなります。
そこから渋滞が発生します。
一番前の遅い人が脇によけて休憩したら、そこから一気に渋滞解消という場面は大会でよく見られます。
一方、目視できる限り渋滞の列が続き、皆が立ち止まったりのろのろ歩きをしているときに追い抜くのはマナー違反。
みんな我慢して順番を待っているんですから、そこではたとえ道幅に余裕があっても追い抜いたらダメなんです。
それにしても、堂平山へのこの登りが、何でこんなに苦しいのか。
笠山に比べれば斜度も大したことはありません。
でも、身体に熱がこもり、速く歩くことができません。
立ち止まり立ち止まり、少しずつ先に進みます。
夏日の低山縦走は、つらい。
堂平山のなだらかな芝生の周囲の道に出て、ほっとしました。
堂平山CP、天文台観測所。12:40。
いつもの完歩ペースより45分遅れ。
堂平山は、大会当日は色々な売店が出て、買い食いが楽しめるところですが、本日は勿論そんなものはありません。
ただ、「水・トイレ」の道しるべに従って事務所のほうに下りていくと、自動販売機がありました。
助かった。
ここでスポーツドリンクを補給。
1本150円。
ただ、この販売機、大会当日は早々に売り切れになるんだろうなあ。
あてには出来ません。
トイレは、靴のまま入れるのは多目的トイレが1つ。
女子トイレは、靴を脱いで入ります。
時間のロスが多くなりそうです。
木陰もないので、ここで昼食休憩する気にはならず、さらに先に進みました。
剣ヶ峰CP。13:05。
短い丸太の登り道。
日差しが強いと、ここもきついです。
登りきると緩やかな下り道。
白石峠。
飲み物やアイスを売る移動車が停まっていました。
大会のときには逆にここでそういう車を見たことがありません。
今日はバイクや自転車の人が多く、その人たちで繁盛している様子でした。
ここから、長い長い丸太の登り道。
土が流出して丸太が飛び出し、丸太階段というよりハードル化しているところです。
168段?
172段?
確か、そのくらいの階段数。
いつもはここを一気に登れるのに、2度ほど立ち止まりました。
はあ、暑い。
登りきるとのどかなアップダウンの道となります。
途中のベンチでようやく昼食をとりました。
バテたバテたー。
梅干しおにぎりを何とか1つ呑み込んで、さて出発。
小さな岩場の登りがあり、ここも例年渋滞箇所です。
その先は、銀色の手すりのある急な下り。
眺望の良いところなのですが、立ち止まって撮影できる場所ではなく、過去に1枚も写真を撮ったことがありません。
今日は撮れるかなと楽しみにしていましたが、空が曇ってきました。
日差しが弱まるのは有難いのですが、眺望も今1つで、やはり撮影せず。
定峰峠。14:25。
売店があり、大会随一のオアシスです。
ここの飲み物は売り切れる心配がなく、店頭で水で冷やしているものを売店の方が手早く売ってくださるので、補給所はここに決めています。
本日はお休み。
シャッターが閉まっていました。
ここで、例年の完歩ペースよりも1時間25分の遅れとなりました。
ここの下山指定時刻は15:00です。
ここから、次の大霧山までが最後の難所。
アップダウンが多いですし、午後のこの山道は特に長く感じます。
しかし、時間は遅くなっているもののまだ気持ちに余裕はあり、いつになく楽しくこの道を通過できました。
今までは獅子岩なんか見る余裕もありませんでしたが、今回は撮影しましたよ。

ライオンの横顔。
さてそこからは、ロープの張ってある急な下り。
さらに登り返してどんどん行くと、右手に有刺鉄線のある道。
だんだん眺望が良くなってきて、左に大霧山山頂が見えてきました。
一旦途切れた有刺鉄線が再び現れると、そこから山頂まで15分。
最後の登りを終えると、大霧山CP。15:40。
もう空は曇って眺望はありませんでした。
山頂からは急な下り道。
去年より整備が進んで、少し歩きやすくなっていました。
いったん道が緩くなったところで、ここでも新道と旧道に別れました。
新道がお勧めという表示もあり、ここも試しに左側の新道へ。
なるほど新道は段差もなく、歩きやすい。
でも、ここも道が細い。
渋滞の可能性がありそうです。
旧道は段差が大きいし崖っぷちのところも少しあるので、危険回避と言う意味では確かに新道がお勧めなのですが、道は広いのです。
舗装道路に出て、粥仁田峠。16:05。
ここの指定下山時刻は、15:20なので、ついにタイプアップですが、先に進みました。
舗装道路の緩い登りを行くと、秩父高原牧場へ。
牧場の売店そのものはまだ開いていましたが、ソフトクリーム売り場はカーテンが閉まっていました。
車で来ている観光客でにぎわっていましたが、
「大駐車場は16時30分までです」
といったアナウンスが流れて、観光地としてももう終わりの時間帯。
あとまだ2座あるんですけどー。
牧場には羊が。
一番上の画像がそれです。
車道をひたすら登っていきます。
でも、いつものペースが出ません。
やはり、体力を奪われているのを感じます。
やっと二本木峠を越えて、そこからまだ少し舗装道路をいった先が登山口。
短い階段の登り道。
ここは何ということもない道なのですが、もはや体力が尽きた人による渋滞の起こるところです。
足が前に進まない。
いつもは遅いなあと感じるところですが、今日は渋滞を起こす人の気持ちがわかります。
突然、ガサガサっと音がして、右手の草むらに茶色い生き物が動いています。
何だ何だ何だ?
・・・・・タヌキだ!
夕方になると野生動物の活動が活発になります。
ちょっと怖いなあ。
ザックにつけていた熊鈴を時計バンドに付け直し、リンリン鳴らしながら先に進みました。
いったん下って、登り返して、やっと山頂。
皇鈴山。17:10。
あとひと山。
下って、また登り返します。
登谷山。17:30。
これで七座達成。
ともかく明るいうちに登山道は歩き終えることができました。
しかし、皇鈴山の登りの途中で、足の裏に違和感が。
歩くうちに、それは明確な痛みに変わってきました。
両足の第2指から第4指の付け根に、直径2㎝ほどの水膨れができていたのです。
大きさは家に帰ってから確認したのですが、それが水膨れであること、既に破れていることは痛みから自覚できました。
足の裏に水膨れ・・・・・。
しかも両足に。
これまで七峰を歩いて、一度も経験のないことでした。
去年も一昨年も大会で履いた靴下とトレイルランニング・シューズだったのになあ。
勿体ないからこの七峰縦走と夏の富士山以外では履かない、一押しの靴下と靴なのになあ。
夏日でこれほど蒸れたことは初めてだったので起きてしまったアクシデントだったのでしょう。
汗で靴下が足裏に張り付き、摩擦が起きてしまったのだと思います。
最後の10kmの舗装道路歩きで、この足が最大のネックとなりました。
気温が下がり、体力的にはまだ多少余裕はあったのですが、この足ではスピードが上がりません。
一歩ずつが痛い。
せめて日没前に林道を出たい。
そう思っていたのですが、いつもなら1時間半で下れる道でスピードが出ません。
中間平を過ぎた頃から周囲は暗くなりました。
その先は街灯くらいあるかなあと期待していたのですが、そこから再び樹木に囲まれた林道に突入。
人家の近くでも街灯はほとんどありませんでした。
ヘッドランプは用意していましたけれども暗い道を歩くのは不安です。
車のよく通る道路に出て、左折。
ここの手前の道しるべが直進を示していたのですが、直進できる道がそもそもありません。
ここは左折だったはず。
記憶に頼って歩いていきます。
道路の左側に歩道が確保されている、最後の長い長い道を今自分は歩いているはず。
そうは思うのですが、周囲が暗い上に道に見覚えがないので不安が募ります。
保育園のバス停があるけれど、そんなのあったかなあ。
看板も1つも見覚えがないなあ。
ここで道を間違えたら最悪です。
これだけ広い道路でも街灯がほとんどないのにも驚きました。
車はどんどん行きかうので、真っ暗というのではないのですが。
不安が募り、先ほどの左折箇所に戻ろうかと思ったのですが、道路の向かい側に小さめの警察署が見えてきました。
あれは、見たことがあるのでは?
去年、前を行く人が、あの建物が見えたのがきっかけで、途中で誰かが滑落したみたいだったけれど無事だったのかなと話し始めた記憶があるのです。
方向的には間違っていないはず。
あと少しあと少しと歩いていき、踏切の標識が見えたときには、ほっとしました。
良かった、ひき返さなくて。
「外秩父七峰縦走ハイキング」のおなじみの道しるべもそこでようやく発見し、八高線の踏切を渡りました。
道はさらに真っ暗になりましたが、記憶のある所なので、気持ちは前向きです。
ついにゴール地点、鉢形城跡。19:30。
大会の締め切り時間18:30から1時間遅れてゴールインでした。
ひー、13時間もかかってしまったー。
そこから先は、見慣れたセブンイレブン、見慣れた荒川の橋。
見慣れた駅前の道を行き、寄居駅。19:55。
自動販売機でコーラを購入し、停車していた東武東上線に乗り込みました。
結局、捻挫の足は痛みませんでした。
終わってみると、大会以外の日に1人で歩くのも捨てがたい良さがありますね。
でも、暑い日は避けます。
(^-^;
2016年05月02日
1週間遅れの外秩父七峰縦走その1。2016年5月。

ゴールデンウイーク、今年は久しぶりに奥穂高岳に行く計画を立てていたのですが、3月に高尾でまさかの捻挫をしてしまい、その治りが遅く、今年は遠出を諦めました。
奥穂高岳は、今年は雪が少なく、しかし岩盤のように硬く、そこへ先週の前線通過で新雪がかぶって、コンディションはあまり良くないようです。
穂高岳山荘からの情報では、小屋前から岩場を上がった先の雪壁は例年より斜度があるということでした。
そんな山に、こんな足で行ったら危ない。
いざというときに踏ん張りが効かないかもしれません。
ところで捻挫の状態はというと、もう正座しても痛くないので、治ったといえば治ったのですが、長距離を歩いたときにどうなるかの予測が立ちません。
日帰りで様子を見よう。
やばくなったときのためにエスケープルートの豊富な山がいい。
・・・・・外秩父七峰縦走?
というわけで、1週間遅れで1人で外秩父七峰縦走をしてきました。
三鷹から小川町まで行く場合、朝の最短ルートは、JR北朝霞から東武朝霞台へ上手く乗り換えられるかどうかが鍵です。
その間、3分しかありません。
去年はこの乗り換えに失敗するという痛恨のミスがありました。
今回は必死に乗り換えているのは私1人ということもあり、余裕でした。
乗り込む車両を選び最短ルートを走れば間に合います。
でも、昔のダイヤに戻してくれることを切に願います。
小川町駅着。6:29
駅前から歩きだしました。
去年もらったコースマップを持っていたので、すぐに開いて確認すれば良かったのですが、自分の記憶を確認したい気持ちがあり、何も見ないで歩いたら、途中の右折箇所に気づかず国道まで出てしまいました。
ここ、違うんじゃないの?と気づいたのですが、国道の交差点に「官ノ倉山」の細い道しるべが立っていたので、こっちからも行けるのかなと道しるべの通りに右折。
そして、道に迷いました。(^-^;
道の先に、官ノ倉山が見えているというのに、どう行けばいいのかわからない。
出てくる道しるべは「ダム」とか「親水公園」とか、予想を越えた内容。
少し戻って、ようやくもう一本細い道しるべを見つけてそこを左折。
見覚えのある道に出て、「外秩父七峰」のおなじみの道しるべも見つけました。
しかし、その先、また見覚えのない道に。
軽く10回は歩いているこの道をなぜ迷う?
いや、この道、去年とは少し違うコースになっていないか?
どうも記憶が曖昧です。
縦走大会のとき、私は道を見ていないのでしょう。
人ばかり見ている。
前を行く2人をどう追い抜くかだけ考えて歩いている。
横並びで歩いている2人連れを追い抜くのは案外難しいのです。
そんなに親しくない2人の間には間隔があるので余計に幅を取ったりします。
後ろから車も来ますし。
人をどう抜くか、どう位置取りするか。
外秩父七峰縦走大会で完歩するのにはそういうことも必要なので、道ではなく人ばかり見てしまう。
ある程度自覚はしていましたが、まさか1人で歩けないほど道の記憶がないとは思っていませんでした。
官ノ倉山近くのトイレで準備。
いつも長い行列が出来ているトイレなので利用することはありませんが、ペーパーもあるきれいな水洗トイレでした。
手を洗う水道もあります。
いよいよ山道。
大会当日は横断幕が張られ、そして渋滞が始まるところです。
今日は無人。
道端にミヤマナルコユリがひっそり咲いていました。
立ち止まり、しゃがみこんで撮影。
縦走大会ではこれができません。
いえ、やろうと思えばできるのですが、私の中にその余裕がないのです。
登り始めは急な段差、その先は緩やかな道、複線化している急登、さらに鎖場。
さすがに山道の記憶は明瞭でした。
でも、この鎖場、こんなに急なんだなあ。
いつも渋滞のことで頭がいっぱいで、この山の険しさに対しては何の感想もなかったけれど。
登りきると道は2つに別れます。
いつもは勿論左のまき道へ。
でも、せっかくだから今日は普段はパスしている山頂を踏んでみます。

石尊山。7:58。
よく晴れて、眺望良好でした。
いつもの道に合流し、そこからは急な下り。
砂まじりの道で少し滑りやすいです。
下り終えるとなだらかな道へ。
大会のときもここは渋滞が終わって快適に歩けるところです。
途中、官ノ倉山山頂への道しるべを発見。
行ってみようかなあと坂道を見上げていると、降りてくる人がいました。
地元の方のようで、手ぶらです。
「早いね。七峰やるの?」
と声をかけられました。
「はい」
「せっかくだから山頂行ってきたら?」
「どのくらいですか?ここから5分くらい?」
「いや、2~3分」
案外近いんだなあ。

官ノ倉山。8:13。
狭い山頂でした。
画像の奥に見えている道しるべによればそこから七峰縦走路に戻れるらしく、そっちの道を選んでみました。
岩がちで段差のある下りでした。
両手も使って降りていくと、なだらかな道に合流。
そこは、東武竹沢駅からのBルートでした。
ここに合流するのかあ。
・・・・来た道を戻ったほうが早くない?
ともかく、そこから合流点、官ノ倉山CPへ。8:25。
いちいち寄り道しているので、渋滞がないのに普段より15分ほど遅いです。
なだらかな道から、太いロープの張られた滑りやすい下り道へ。
とっとこ降りて、車道。
ここから和紙の里までの車道は記憶が明瞭でした。
しかし、今日は日差しが強いです。
七峰縦走の大敵は、雨よりも雪よりも、快晴の夏日。
車道歩きは照り返しもあってくらくらします。
保冷剤を首に巻き、手袋は取って、体温が上がり過ぎないよう注意し、スピードも加減して歩きました。
和紙の里。9:10。
いったん中に入って、渡り廊下のようなところを抜け、道なりに右に曲がって登っていきます。
登り切り、さらに少し右へ進み、そこからV字に左折。
長い林道歩きの始まりです。
日差しがきつい。
アスファルトの上り坂が延々と続きます。
気温もグングン上昇しています。
ここで無理をするとリタイヤ必至。
もう時間は気にせず、ゆっくりゆっくり登っていきました。
途中、山道の短縮ルートへ。
ここも例年少し渋滞するところです。
1か所、斜めの段差のところがあり、そこが歩きにくいためです。
山道は同じようでいて少しずつコンディションが変わります。
今年は例年よりさらに歩きにくい感じになっていて、先週は大渋滞が発生したんじゃないでしょうか。
再びアスファルトの林道へ。
春の遅い年には桜やミツバツツジの咲くのどかな下り道。
今年は、サラサドウダンが咲いていました。
朝のミヤマナルコユリもそうでしたが、季節が1つ先に進んでいる印象です。
今年は縦走大会の開催日そのものがカレンダーの関係で今までで一番遅かったのに加え、さらにその1週間遅れで歩いているからですね。
萩平丁字路。10:40。
普段より50分ほど遅れています。
いつもなら、ここからは遠回りでも林道を選びます。
ここの渋滞はひどいですから。
今日は渋滞の心配がないので山道へ。
歩いてみると思ったより長く感じました。
日差しと暑さに疲れていたからでしょうか。
大渋滞に巻き込まれた記憶では、こんな短い山道にこんなに時間がかかるの?と感じたものでしたが。
いったん車道に出て、すぐまた山道へ。
V字にえぐれた細い道を登っていきます。
雨の日は滑り易いところです。
次の車道との合流点の登りが急な泥道で、ロープもかけてあり、かなり難渋する人もいて大渋滞の原因となるところ。
普段はここも車道を通っています。
次の区間は雑木林の中の緩やかな上り道。
しかし、ここも疲れてペースダウンしてしまう人で詰まってしまい、例年のろのろ歩きになるところ。
いつもならパスするこの3区間を久しぶりに歩いて、何だか少し嬉しくなりました。
いよいよ山道一択の笠山への登り。
危険個所はありませんが、急な登りが続きます。
トウゴクミツバツツジが咲いていました。
一番上の画像がそれです。
こんなにのどかな気持ちでこの山道を見るのは初めてです。
新緑が光に透けて鮮やかです。
でも、暑いなー。
少しやばいかなあ。
積極的に水分を補給したこともあり、もう500mlのペットボトルを3本飲み終えていました。
残り1本。
いつもの定峰峠での調達では間に合わないかもしれません。

笠山山頂。11:45。
笠山CPの奥がこの山頂ですが、いつもは、こんな寄り道すらしません。
完歩だけを目標にガツガツ歩いています。
それはそれで楽しいのですが、こんな歩き方もいいなあ。
笠山の渋滞がないため、ここで普段より25分遅れに回復。
しかし、夏日の七峰縦走の恐ろしさは、ここからが本番でした。
その話は、また後日。