たまりば

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2021年02月25日

高校英語。仮定法。「もし~がなかったら」。


2021年度から中学は新課程になります。
英語の大きな変更点として、高校英語の学習内容のいくつかが中3に下りてきます。
その1つが、使役動詞。
旧課程から新課程のはざまで、SVOCの文を教科書で学習する機会のない子たちが、いきなり使役動詞とは。
ここは補習が必要で、頭の痛いところです。

2つ目が、現在完了進行形。
現在完了とほぼ同時に学習することになります。

そして3つ目が、仮定法。
仮定法過去と、I wish+仮定法が、中学の学習内容となります。

数学の変更点が「データの分析」に集中していることと比べると、英語の変更点はかなり大きいです。
教科書にもよるのでしょうが、三鷹市採択の教科書では学習内容が2ページごとにころころ変わり、これは教えにくそうです。
不定詞なら不定詞。
仮定法なら仮定法。
連続してまとめてがっつり教えないと、生徒の印象には残りにくいのに、パラパラとコマ切れに学習する配置になっています。
塾では、まとめてがっつり教えようっと。

それはともかく、仮定法の簡単なもの2つが中学の学習内容に下りたところで、高校で学ぶ仮定法の負担が減るわけでもありません。
仮定法は、本当に多くの学習内容があります。
今回は、「もし~がなかったら」という意味の文です。

If it were not for appropriate software, a computer would be a mere box.
適切なソフトがなければ、コンピュータはただの箱だ。

この、If it were not for ~は、決まり文句として覚えてしまうのがいいと思います。
この文は、仮定法過去、すなわち現在の事実に反する仮定ですが、仮定法過去完了の形もあります。

If it had not been for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.
もし母の献身的な看護がなかったら、私はあのとき死んでいただろう。

この had not been の語順を正しく把握できず、間違って覚えてしまう人もいるので、注意が必要です。
be動詞の否定文ならば、「be動詞+否定語」の語順。
しかし、それに助動詞が加われば、「助動詞+否定語+be動詞」の語順。
これは、今回だけに限らない、英語全体の共通ルールなのですが、初期に学習した「be動詞+否定語」の語順の印象が強いせいか、それだけが正しいと思ってしまう子や、言い慣れた英語の感覚に頼りがちな子は間違いやすいです。

しかし、それでも、これだけならば、これを何とか丸暗記して済ますことができそうですが、これの言い換え表現がいくつかあります。
まず、単純に、if の省略。
if を省略して、be動詞または助動詞を文頭に置く、倒置の用法です。

If it were not for appropriate software, a computer would be a mere box.
=Were it not for appropriate software, a computer would be a mere box.

If it had not been for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.
=Had it not been for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.

それでも、これだけならば、if を省略するやり方を理解することでしのぐことができますが、さらに別に表現があります。

But for ~で、「もし~がなかったら」という意味になります。
これは、SVがない、つまり句なので、時制というものがありません。

If it were not for appropriate software, a computer would be a mere box.
=But for appropriate software, a computer would be a mere box.

If it had not been for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.
=But for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.

時制がないので使用は簡単ですが、文法問題は、But for の文を、時制のあるほうの文に書き換えさせるものが出題されることがあります。
そのほうが、仮定法の時制を正しく理解しているかも、あわせて問うことができるからでしょう。

書き換えは、他にもあります。
But for = Without です。

If it were not for appropriate software, a computer would be a mere box.
=Without appropriate software, a computer would be a mere box.

If it had not been for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.
=Without my mother's devoted nursing, I would have died at that time.

以上をまとめますと、
If it were not for appropriate software, a computer would be a mere box.
=Were it not for appropriate software, a computer would be a mere box.
=But for appropriate software, a computer would be a mere box.
=Without appropriate software, a computer would be a mere box.

If it had not been for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.
=Had it not been for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.
=But for my mother's devoted nursing, I would have died at that time.
=Without my mother's devoted nursing, I would have died at that time.

あとは、空所の数や問題の指示に従って書き換えるだけです。

これらがしっかり身についている人にとって、意外に盲点なのが、With を用いた用法です。
without があるのですから、with もあります。
「もし~があれば」という用法です。

With your advice, he would not have failed in business.
あなたの忠告があれば、彼は事業で失敗せずにすんだだろう。

これの書き換えは、どうなるでしょう?
上のパターンは、「もし~がなかったら」ですので、使用できません。
自分で意味を考え、時制を考えて if 節を復元しなければなりません。

時制は、主節を見ることで判断できます。
主節の動詞の形は、would not have failed。
これは、仮定法過去完了の主節です。
では、if 節も仮定法過去完了にする必要があります。
あとは、意味を考えて、主語と動詞を復元させていきます。
忠告を受け取るのは、「彼」だから、主語を彼にしましょう。

With your advice, he would not have failed in business.
=If he had taken your advice, he would not have failed in business.

これで書き換え完了です。

  


  • Posted by セギ at 12:11Comments(0)英語

    2021年02月22日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と領域。三角形の重心の軌跡。


    さて、軌跡の学習の続きです。

    先日、渋谷に掲示された大きな看板に「墾田永年私財法」と書かれてあり、何の宣伝なのかわからないので話題になったそうです。
    受験勉強で、一番リズムがよくて覚えやすかった単語は何か、といったアンケートの結果だったそうです。
    同時に、受験勉強で一番嫌いだった言葉は何かというアンケートで上位にきたのが「動点P」だったとか。

    そうか・・・。
    動点Pは、それほどに嫌われているのか・・・。

    でも、算数・数学の問題で言えば、池をわざわざ反対方向に、しかも片方は徒歩、片方は自転車に乗って1周する兄弟のほうが不気味だと思うんです。
    彼らは、一定の速さで歩いたり自転車を漕いだりする技術を身につけています。
    歩幅が常に一定の兄弟もいます。
    そんな技術を身につけているとなると、職業はかなり限られてくると思います。
    「たかしさん」「あきらさん」といった名前だが、彼らは、職業的にプロ中のプロで、40歳は越えているのではないか・・・。

    そんなイメージを伴うものよりは、動点Pは、何かのシステムで動いているだけです。
    無機質ゆえの安定感があります。
    むしろスッキリしているので、私は好きです。

    とはいえ、小学校の算数や中学の数学の動点は、一定の「速さ」で動いている点でした。
    速さや関数と図形の融合問題であることが多く、そのすべてが苦手な人にとっては、もっとも嫌いな問題として記憶された理由もわかります。

    高校数Ⅱの軌跡で学習する点Pは、速さをもっていません。
    可動域を持っていますが、速さはもっていません。
    点の可動域。
    すなわち、軌跡です。
    だから、解き方も異なります。

    点の軌跡。
    今回は、こんな問題です。

    問題 点A(2,0)、B(2,-2)と円 x2+y2=1 上を動く点を3つの頂点とする三角形の重心Pの軌跡を求めよ。

    三角形の3点が固定されていれば、重心も1か所に固定されますが、三角形の3つ目の点が動点なので、それによって重心も動くでしょう。
    どのように動くかの具体的なイメージはもてなくても大丈夫です。
    計算の結果から、どのように動くのかを判断できます。
    というよりも、どのように動くのかを知るために軌跡の計算があるとみるべきでしょう。

    点Pの座標を (x , y) とおく。
    これが鉄則です。
    何とかして、このxとyとの関係を表す式を求めればよいのです。
    それが点Pの軌跡です。

    今回、点Pとは別の動点があります。
    円 x2+y2=1 上を動く点です。
    この点をQ(p , q)とおきましょう。

    ここで用いる記号は何でもよいので、Q(a , b) とする人もいます。
    昔は、Q(X,Y) と大文字のX , Yを使うことも多かったのですが、紛らわしくなるので、学校では、近年は避ける先生が多くなりました。

    ともかく、円 x2+y2=1 上の点をQ(p , q)とおく。

    しかし、三角形の重心の座標の求め方を忘れていると、ここで行き詰まります。
    確認しましょう。
    A(x1 , y1) , B(x2 . y2) , C(x3 , y3)の重心の
    x座標は、x1+x2+x3 / 3
    y座標は、y1+y2+y3 / 3
    です。

    え?
    そんなの、どこで学習したの?
    と、重心という言葉が出てくる度に、不安そうな顔をする人がいます。
    重心の座標の求め方は、今回学習している数Ⅱ「図形と方程式」という単元の最初のほうで学習しています。
    内分点・外分点の座標の求め方の次に出てくる教科書が多いです。

    重心という言葉は、中3数学の「円」のところで、発展的内容としてちょっと出てきますが、発展的な内容なので、公立中学では学習しない場合が多いです。
    中学数学では、ゆとり教育の時代に「円」の学習内容の大半を削除しました。
    その後も、中学の円の学習は、円周角の定理のみで、内心・外心・重心は学習しません。
    「円と相似」は学習しないわけではないのですが、難しいので公立中学ではさらっとしか扱いません。

    そのまま高校生になると、数Aは授業時数は少ないのに単元が「場合の数と確率」「図形」「整数の性質」と3つもあるので、「図形」は夏休みに自習課題としたり、大半を省略して軽く学習するだけの高校もあります。
    図形が苦手な中学生は、そのまま、図形が苦手な高校2年生になります。
    そうであるのに、高校2年で学習する単元は、数Ⅱ「図形と方程式」にしろ数B「ベクトル」にしろ、図形がたくさん出てくる・・・。
    数Aの図形は、やったのかやらなかったのか、よくわからないのに・・・。
    そんな意識があるせいか、三角形の重心について、実は学習しているのに「学習していない」気分になってしまう人が多いようです。
    何だかいつまでも「苦手気分」「ちゃんと学習していない気分」を引きずってしまうのです。

    問題に戻りましょう。

    今回、三角形の3つの頂点の座標は、
    A(2,0) , B(2,-2) , Q(p , q)です。
    その重心がP(x , y)なのですから、
    x=2+2+p / 3=p+4 / 3 
    y=0-2+q / 3=q-2 / 3 
    これらをそれぞれp、qについて解きます。
    p+4 / 3=x
    p+4=3x
    p=3x-4 ・・・①
    q-2 / 3=y
    q-2=3y
    q=3y+2 ・・・②

    点Qは、円x2+y2=1上の点ですから、この式のxとyの関係を満たします。
    すなわち、p2+q2=1です。
    ①、②をこの式に代入して、
    (3x-4)2+(3y+2)2=1
    どうやら、これは円のようですね。
    もう少しわかりやすいように式を整理しなければなりません。
    この式を、一度展開して整理するのも間違いではありませんが、このまま( )の中を3で割るほうが楽です。
    ただし、( )の中を3で割るということは、( )2は、3の2乗の9で割ったことになります。

    このあたりの説明が理解できず、「え?」「え?」となってしまう人は、中学数学の方程式の文章題でも、似たようなところで混乱してきたと思います。
    (3x-4)2+(3y+2)2=1
    {3(x-4/3)}2+{3(y+2/3)}2=1
    9(x-4/3)2+9(y+2/3)2=1
    (x-4/3)2+(y+2/3)2=1/9
    という仕組みなので、どうかこの際に、理解してください。

    { }を外すところの処理がよくわからない人もいるかもしれません。
    指数法則 (ab)2=a2b2 を使っています。
    その根本は、乗法の交換法則・結合法則です。
    (ab)2=(a×b)×(a×b)=a×a×b×b=a2b2
    です。

    説明は一応理解できるが、自分で解くときには失敗してしまう人も多いですね。
    ともあれ、
    (x-4/3)2+(y+2/3)2=1/9

    したがって、求める点Pの軌跡は、
    中心(4/3 , -2/3)で半径1/3 の円 です。

      


  • Posted by セギ at 11:50Comments(0)算数・数学

    2021年02月17日

    都立野川公園で、セツブンソウを見ました。


    2021年2月13日(土)、少し風は強いけれど、ぽかぽか陽気の中、自転車で野川公園に行ってきました。
    武蔵境通りから、東八道路へと右折し、自転車専用レーンを西にずっと走っていくと、都立野川公園です。
    駐輪場に自転車を置いて、まずは野川沿いに東へと歩き始めました。
    野川は、川の両岸に遊歩道が整備されていますが、その内側、まさに川のほとりを歩くこともできます。
    前回はまだ晩秋で、紅葉がきれいでした。
    今回は、早春の野川です。
    水位が低い。
    徒渉できる箇所が沢山ありました。
    飛び石のところだけでなく、地続きになっているところすらあります。
    春が近づくと、野川は水量が少なくなるんでしょうか。
    最近、雨がほとんど降らなかったせいかもしれません。
    (その後、翌々日の月曜日に大量の雨が降りました)

    川が浅いせいか、川遊びをしている人も秋の頃より多く見られました。
    橋の下をときどきくぐりながら、どんどん東へ歩いていくと、カモの群れを発見。
    ちょっとびっくりするくらい丸々太ったカモたちでした。
    何だか混乱して「おいしそう」という形容が浮かぶほど。
    中州には、これも、何だかおいしそうな草が生えています。
    あれは、ハーブの1種じゃないのかな。

    さらに東へ東へ。
    しかし、途中で侵入禁止のロープが張られてありました。
    そこから土手に上がると、遊歩道には水車が。
    苔むした水車が実際に動いていました。
    近くには、かやぶき屋根の農家も保存されています。
    梅の花も開花し、良い雰囲気でした。
    遊歩道をさらにしばらく東へ進むと、そこも侵入禁止になりました。
    遠くで、ショベルカーが野川に入っているのが見えました。
    クレーン車の姿も。
    調整池を整備しているのだそうです。
    そうか。
    野川は、調整池で、突然の豪雨による氾濫を防いでいるのですね。

    西へと戻り、渡れそうな地続きのところを見つけて対岸へ。
    前回来たときは、野川の左岸の遊歩道は舗装されていると思ったのですが、実際に歩いてみると、舗装と見間違えるほどに平らに整備された未舗装の道でした。
    だから、自転車も走っているのですね。
    橋の前後だけは舗装されていました。

    土曜日ということもあるけれど、左岸のほうが何となく人が多い。
    ・・・何かあるのかな?
    よくわからないまま、自然観察園に、歩数を稼ぐつもりで入ってみることにしました。
    晩秋の頃よりも少し人が多いというくらいで、他人との距離は十分に保てます。
    遊歩道の端で、うつ伏せになって撮影している男性がいました。
    他の歩行者の邪魔にはならないように、道の端に寄ってはいるのですが、完全に寝そべっているのです。
    何を撮影しているのだろう?
    カメラが向けられていたのは、細い緑の葉でした。
    あれは、ジャノヒゲソウ。
    こんなに熱心に撮影しているところを見ると、根元に、あのきれいな青い実がついているのかな?

    そこまでは平静だった私ですが、その先、驚愕の事態が。
    通りかかった道の脇に白い花が沢山咲いているのです。
    はて・・・?
    しゃがみこんでよく見て、声なき叫びをあげました。

    これは、セツブンソウ?

    セツブンソウは、山でもほとんど見ることがなくなった珍しい花です。
    昔はセツブンソウの群落のあった山も、今はふもとのセツブンソウ園地に移植して保存に努めています。

    もっと驚いたのは、この花に誰も興味をもっていないことでした。
    通りかかった人も、すっと通り過ぎていくのです。
    知らないの?
    これ、セツブンソウというんですよ。
    見ようと思って簡単に見られる種類の花ではないんですよ。
    電車を乗り継いで乗り継いで乗り継いで、山の花が保存されている園地の、しかも、何だか傾いている歩きにくい木段を下って下って下って、やっと見ることができる花なんですよー。

    しかし、そういえば、何年か前、Facebookで、野川公園のセツブンソウの画像を見たことがありました。
    あの頃は、野川公園というのは、府中か国分寺が最寄り駅の、しかも駅からかなり離れていて行きにくい場所の公園という認識でしたので、自分が行く場所とは思っていなかったのでした。
    土地勘がないというのは、そういうことです。
    自転車で30分で行ける場所だったというのに。
    そして、今年も、この散歩の後に見たら、野川公園のセツブンソウの画像はFacebookに上がっていたのです。

    ひゃー。
    セツブンソウがこんなに無造作に遊歩道のすぐ脇に咲いていて、撮影し放題。
    沢山撮影して、じっと観察して、至福のときを過ごしました。

    どれだけ撮影しても、どれだけ眺めても、まだ後ろ髪を引かれるような思いがありながら、しかし、そろそろ終わりにしようと、また歩き始めると、ポツンと白い花が咲いていました。
    セツブンソウと少し似ていますが、マツバボタンのような葉が生えていないので、セツブンソウではありません。

    この花は、何という名前だったろう。
    多分、とても有名な花なのです。
    この花の名前を知らないなんて、と花好きに笑われるくらいに有名な花。
    山で、見たことがある。
    何という名前だったっけ。
    どこで見たんだっけ?
    ・・・栃木県の女峰山?
    いやいやいや、女峰山に登ったのは7月。
    季節がまるで違うでしょう。
    平地でこの時期に咲くということは、山では3月頃に咲く花。
    うーん・・・。

    首をひねりながら、自然観察園のゲートを出ました。
    出入口には、園内の略図と、今咲いている花の写真が掲示してありました。
    それを見て、私は、膝から崩れ落ちそうになりました。

    ・・・ミスミソウ?

    本当ですか?
    俗称「雪割草」の、あのミスミソウですか?
    だったら、私が見たのは、新潟県の角田山です。
    本当ですか?
    ミスミソウが咲いているんですか、この園地は。

    都立野川公園、おそるべし。

    呆然としながら、駐輪場まで戻ってきましたが、まだ歩きたりません。
    隣接する都立武蔵野公園に行くことにしました。
    道路を渡って、野川の右岸を歩きます。
    野球場を通り過ぎると、都立武蔵野公園。
    晩秋の頃は、煮炊きをする人で大賑わいでしたが、今は、バーベキュー禁止の掲示が出ていました。
    人が集まって飲食するのですから、いくら屋外といっても、都立の施設で許可できることではないのでしょう。
    バーベキューさえできないとは。
    コロナめー。

    舗装された遊歩道を歩くのはつまらないので、木立の中をぶらぶら歩いていきました。
    西へ西へと歩いていくと、木が途切れ、斜面が見えてきました。
    ちゃんとてっぺんがあり、道しるべらしきものが立っていたので、登ってみることにしました。
    てっぺんに立つと、それは、道しるべではなく、山頂標識でした。
    「くじら山」と書いてあります。
    わあ、山だ。
    約1年ぶりに山に登った。

    てっぺんからはだだっ広い公園が見渡せて、子どもたちが遊んでいました。
    子どもが遊びやすい、何もない、良い公園です。

    さあ、そろそろ帰ろう。
    歩数計は、とうに1万歩を越えていました。
    今回も大満足な散歩でした。

      


  • Posted by セギ at 12:59Comments(0)

    2021年02月15日

    高校英語。仮定法。if の省略。


    さて、仮定法。
    今回は、if の省略です。
    話し言葉ではそのようなことはほとんど行われませんが、書き言葉では、仮定法において if という接続詞を省略することが可能です。
    if を省略し、助動詞またはbe動詞を文頭に持ってくる用法です。

    例えば、
    If World War Ⅱ had ended two years earlier, many lives would have been saved.
    もしも第二次世界大戦が2年早く終わっていたら、多くの命が救われただろう。
    という文。
    仮定法過去完了の文です。
    過去の事実に反する仮定をしています。
    この文の if を省略する場合、
    Had World War Ⅱ ended two years earlier, many lives would have been saved.
    と、助動詞 had を冒頭にもってくればよいのです。

    もう1つの例文。
    If I were in his position, I would decline with thanks.
    もし、私が彼の立場ならば、礼を言って断るだろう。
    仮定法過去の文です。
    現在の事実に反する仮定を表します。
    この文の if を省略するならば、
    Were I in his position, I would decline with thanks.
    と、be動詞 were を冒頭にもってくればよいのです。

    さらにもう1つの例文。
    If you should change your mind, no one would blame you.
    万が一あなたが気持ちを変えても、誰もあなたを責めないでしょう。
    仮定法未来の文です。
    万が一の仮定を表します。
    この文の if を省略するならば、
    Should you change your mind, no one would blame you.
    と、助動詞を冒頭にもってくればよいのです。

    この用法は、if 節に助動詞やbe動詞があることが前提です。
    だから、一般動詞を用いた仮定法過去の文では、通常使いません。
    If you said so, I wouldn't be surprised.
    もしあなたがそう言っても、私は驚きません。

    この文の if 節には、助動詞もbe動詞もありません。
    だから、if の省略は行わないのが普通です。
    もっとも、文法書によっては、
    Did you say so, I wouldn't be surprised.
    という用法がなくはない、と書いてあるものもあります。
    一般動詞過去形とともに用いる助動詞は did であり、強調のための倒置で用いることはあるので、理屈はわからなくはないですが、伝わりにくいだろうなあと思います。
    伝わりにくいという観点で言えば、if を省略した時点でそもそもかなり伝わりにくいので、私たちが英作文をする場合には、何もわざわざこんな用法を用いる必要はない、と思います。
    ネイティブが使っているのを見たら、if を省略しているんだなと理解できれば、それで十分だと思います。

    強調のために用いる do, does, did については、またいずれ解説したいと思います。
    それで思い出したのですが、中学生に一般動詞過去形の授業をしたときに、こんな答案を見たことがあります。

    問題 ( )内の語句を用いて、以下の文を過去形の文にしなさい。
    (1) I study English. (last night)
    答 I did study English last night.
    (2) He goes to the library. (yesterday)
    答 He did go to the library yesterday.

    何をどう誤解すると、こういうことになるのだろう・・・。
    一般動詞過去形の肯定文・否定文・疑問文も学習し、不規則動詞の暗唱もした後なのに・・・。

    I did study English last night.
    という英文は、ただの過去形の英文ではありません。
    これを動詞を強調している文です。
    「私は昨夜、英語をまさに勉強したのだ」
    という文です。

    しかし、そんなことは、高校生になって学習することなので、知っていて使っているわけがありませんでした。

    この子は、「過去形の文を作るときは、動詞の前に did」という、新しいルールを自分で作ってしまったのでしょう。
    これは、ピジン・イングリッシュのようだなあ・・・。

    動詞の前に did を置くだけなら、規則動詞・不規則動詞を区別する必要がないので、簡単です。
    確か、ハワイのピジン・イングリッシュは、did ではないけれど、何かの単語を挿入することでその文が過去形であることを表すのではなかったかと記憶しています。

    ピジン・イングリッシュは、英語圏の植民地・占領地で、現地の労働者の間で使用されていた、簡略化された英語です。
    ハワイのピジン・イングリッシュが有名ですが、その他の地域にもそれぞれ、独自の現地英語があったそうです。
    そして、今、その継承者は急速に減り、あえて保存に努め、学校の選択科目で学習する場合もあるようです。
    本物のピジン・イングリッシュは、それを用いざるを得なかった人々が支配され差別された歴史があり、それを含めて、丸ごと保存することに意義があります。

    しかし、日本の中学生がオリジナルでピジン・イングリッシュを作っても、正答にはなりません。
    現実に使われている言語には不合理な覚えにくさや不規則なところがありますが、それも含めて文化というものなので、味わって覚えるのが外国語学習の面白さでもあります。

    if の省略もまた、それでなくても覚えにくい仮定法をさらにわかりにくくしている要素の1つですが、それも味わって覚えたいものです。

      


  • Posted by セギ at 12:41Comments(0)英語

    2021年02月10日

    おうぎ形の弧の長さに関する問題と、割合の考え方。


    図形問題が苦手な中学生は多いです。
    それは、中1の最初からそうです。
    例えば、「空間図形」という単元で、空間の中での直線や平面の平行や垂直を把握する問題は、本人にイメージする力がないとかなり難しい場合もあります。
    他人の作った動画を楽しみ、自らも動画を撮影して配信する世代であっても、頭の中で映像をイメージする力は弱い場合が多いのです。
    空間の中での垂直や平行の位置取りに自由度が低く、平面的なイメージしか持てないのです。

    しかし、これは、正しいイメージ、すなわち正解を繰り返し頭の中で再生するトレーニングをすれば、ある程度は解決します。
    諦めずに練習することが大切です。

    空間の中での垂直や平行の把握は、本質的である分だけ難解でもあります。
    もっと得点しやすいところはないか。
    図形の周の長さや面積を求める問題ならば、得点しやすいのでは?
    そう思うのですが、それもなかなか難しい場合があります。

    例えば、おうぎ形に関する問題です。
    まずは、こんな問題。

    問題 半径4㎝、中心角90度のおうぎ形の弧の長さを求めなさい。

    「・・・わかりません」
    ある年、生徒がこう言うので、びっくりしたことがあります。
    「え?何がわからない?」
    「・・・」
    「え?」

    めちゃめちゃ基本問題なんですけど?
    小学校でも、学習していますよ?

    何がわからないのか幾度も質問して、ようやく聴き取ってわかったのは、その子は、この種の問題で図が添えられていないものを解くのは初めてだったのでした。
    問題文から具体的なおうぎ形をイメージしたことがなく、それが可能なことだという自覚がなかったのです。
    問題文から自分で図をイメージするんだよと声をかけると、問題を読み直し、「あ」と声を上げていました。

    その後、その子の次の質問にも衝撃を受けました。
    「これ、学校でも、もう π(パイ)を使っていいんですか?」
    「・・・はい?」
    まだ、3.14を使わなければならない問題があると思っているのでした。
    中学の先生は、塾で予習している子を嫌い、まだ学校ではπを習っていないのに勝手にπを使う子に目をつけたり、成績を下げたりするのではないか・・・。
    そのような「忖度」を学んでしまっている子が現代の子には多いです。
    そのとき、学校でも、随分前にπは学習していました。
    本人が覚えていなかったのです。

    そのようにして、多少のごたごたはありましたが、ようやくその子が立てた式は、
    8π÷4
    というものでした。

    ÷4・・・。
    間違ってはいません。
    しかし、これは、小学生の立てる式です。
    幾分かの危惧を心の中に抱きながら、次の問題に進みました。

    問題 半径5㎝、中心角135度のおうぎ形の弧の長さを求めなさい。

    その子は、この問題は解けませんでした。
    ÷4という式を立てている子には、中心角がこの数値の問題は難しいのです。

    おうぎ形の弧の長さを求める公式は、
    ℓ=2πr× a/360
    です。
    r はおうぎ形の半径、a は中心角を表します。

    中心角が90度のときに、÷4をするのは、わかる。
    しかし、中心角が135度のときに、×135/360 をする意味は、わからない・・・。

    今も、中学1年生の半数近くは、この公式の意味が本当はわからないまま、諦めて暗記して使っているのではないかと思うことがあります。
    これは、割合の考え方を利用している公式だからです。

    比べられる量=もとにする量×割合

    中心角が135度ならば、弧の長さは、全円の135/360の長さになる。
    だから、円周×135/360 をすればよい。
    そのことが、実感として理解できないのです。
    割合が苦手な子は、もとにする量に分数をかける理由が、中学生になってもわからないままであることが多いのです。

    彼らの多くは、小学校の低学年の頃に、
    「もとの数より小さい値を求めたいときは、わり算」
    という、小学校ではそこそこ活用できるルールを身につけて、それで算数の文章題を解いてきています。
    もとの数より小さい値を求めたいときにかけ算の式を立てることが、だから、できないのです。
    おうぎ形の弧が、円よりも短いことは、見てわかる。
    だから、わり算の式を立てたい。
    中心角が90度ならば、÷4で処理できる。
    しかし、中心角が135度の場合、どうしてよいのかわからない・・・。

    1つには、小学校のカリキュラム上の問題があります。
    5年生で「割合」を学ぶとき、使うのは分数ではなく、小数です。
    割合の数値は、すべて小数に直して式を立てます。
    分数のかけ算・わり算を5年生ではまだ学習していないからです。
    6年生になって、分数のかけ算・わり算を学んだ後、「分数と割合」ということで学習し直しますが、応用的な内容と感じる子が多く、あまり定着せずに終わっていきます。
    分数と割合についての感覚が鈍いまま、中学生になっています。

    しかし、根本の問題は、単に小数か分数か、ということではないように思います。

    彼らは、小5で学ぶ「割合」という単元で、かけ算とわり算を間違い続けたまま、中学生になっています。
    もとの数より小さくしたいときは、わり算。
    絶対にわり算。
    その感覚が常に邪魔をし、正しい式を立てられず、「割合」の文章題を間違い続け、深い理解のないまま中学生になっています。

    わり算の商が、もとの数より小さくなるのは、わる数が1より大きいときだけです。
    それは、小学校の「小数のわり算」という単元で、学習しています。
    1より小さい数でわれば、商はもとの数より大きくなります。
    それは非常に重要なことなのですが、そのことの重要性を認識しないまま、やり過ごしてきたのです。
    そういうことを面白いとも感じないし、興味も抱かなかったのでしょう。

    算数好きな子にとって、そこは1つのツボです。
    数って不思議だ。
    数って面白い。
    と感じるきっかけになることもあります。
    わり算したのに、商が大きくなる。
    なんでそうなるのだろう?
    それを不思議に思い、その理由に気づく。
    そのとき、その子の中に数理の体系が、また1つ立体的に形成されていくのです。

    一方、そうしたことに全く興味をもたず、身につかない子も多いです。
    算数にそもそも興味がなく、「やっつけ仕事」で問題をこなしてきた子もいるでしょう。
    案外頭の回転は速いのですが、問題にじっくり真正面から向きあうことができず、問題文を読まずに済ます方法を編み出してしまう子たちです。
    また、算数が苦手で、よくわからないので、わからなくても答を出せる「裏ワザ」に逃げてきた子もいるでしょう。
    周囲の大人は一切教えていない「もとの数より小さい値を求めたいときは、わり算」という、自分が発見した「万能ルール」を中学まで持ち越してしまうのです。
    小学校で数理の感覚を身につけることがなく、スカスカの基礎のまま、中学に進学してきます。

    だから、彼らの立てる式は、中学生になっても、もとの数より小さい値を出したいときは、「わり算」です。
    「割合」の考え方を用いる問題でも、比べられる量は、もとの数より小さくなるのだから、わり算の式を立ててしまいます。
    例えば何かの数量を4分の1にしたいとき、分数を使うよう指示すると、÷1/4という式を立てます。
    ×1/4という式は、その子たちにとっては、実感としてあり得ないのです。
    何が何でも、もとにする量より小さい値を求めたいときは、わり算なのです。

    かけ算するのか、わり算するのかについて、それ以外の基準をもっていない。
    計算の意味を理解していない。
    数理の体系が、その子の中に、形成されていない。
    算数・数学は、その子にとって全て「作業」であり、意味を伴っていないのです。

    「割合」を学習したのは、小5の冬。
    平面図形を学習するのは、中1の冬。
    2年間、間違った式を立て続けた影響は大きく、修正しても修正しても、時間が経つと、また間違った認識が復活します。
    結局、おうぎ形の公式の意味を実感することはないまま、公式の丸暗記と作業手順でこなしていくしかない子は多いです。

    何かを4分の1にしたいときは、÷1/4ではなく、×1/4です。
    何かを2倍したいときは、×2をします。
    何かを1/4にしたいときも、×1/4です。
    何かを135/360にしたいときは、×135/360です。

    まず、このことを理解していないと、おうぎ形の弧の長さの公式の意味は理解できません。


    公式の意味・・・。

    しかし、小学校の算数から高校数学まで個別指導している私の実感から言えば、高校数学になれば、公式の意味を理解していない子はどんどん増えていきます。
    意味がわかって公式を使っているのは中学の数学まで、という場合は多いです。
    例えば、高校数Ⅱの三角関数の公式。
    なぜその公式は正しいのか。
    証明しなさい、と言われると絶句する子のほうが多いです。
    必死に暗記して、やっと使っているのです。

    先日、ネットで、2倍角の公式 sin2Θ=2sinΘcosΘ の覚え方として、「サインは錦織」というのを見つけました。
    これは2倍角の公式だぞと強く念じたうえで、
    サインの2倍角ならば、に・シ(サイン)・コリ(コサイン)と覚える、というのです。

    ・・・いや、しかし、2倍角の公式は、加法定理を使っているだけです。
    sin2Θ=sin(Θ+Θ)=sinΘcosΘ+cosΘsinΘ=2sinΘcosΘ です。
    だから、sin2Θというのをぼんやり眺めているだけで、2sinΘcosΘ が二重写しに見えてくるはず・・・。

    そうも思うのですが、そもそも根拠となる加法定理の暗記も結構大変です。
    それを活用するのもたどたどしい子はいます。
    加法定理から復元していたら、1本の公式を作るのに5分、10分かかるかもしれない。
    それでも復元できるだけまし、という場合もあると思うのです。

    証明しろと言われたら、時間はかかるが根性でやってみせる。
    公式の根拠が何であったかは、何となく把握している。
    しかし、公式そのものは、丸暗記で使う。
    それの何が悪いの?
    そう問われたら、いや、悪くない、と思うのです。

    三角関数の公式は、2倍角だけではありません。
    3倍角も覚えておいたほうがいい。
    半角の公式もある。
    三角関数の合成は、座標平面を使って解くとして。
    和積の公式と積和の公式は・・・。
    暗記していなかったら、復元するのは無理ではないか?

    高校の数学の先生が、
    「自分はこんな公式、覚えていない。必要になったら、自分で作る」
    とニヤニヤして言っていた。
    生徒からそんな話を聞くことがあります。
    いや、その「ニヤニヤして」は、生徒を小バカにしての笑いではないと思いますよ。
    それが無理な場合もあるのはわかっているから自分の言っていることに自分で苦笑しているんですよ。
    感情表現がわかりにくいんですよね、きっと。

    ともあれ、高校数学の公式になったら、丸暗記して使うだけの子は多い。
    ならば、中学の公式も、丸暗記して使うだけでも、仕方ないのではないか・・・?

    実際、冒頭の中1の子も、中学数学の公式をそのまま使用するようになると、非常に定着が良いのでした。
    円の面積の公式も、πr2という順番のまま、正確に式を立てるようになりました。
    昔は、小学校で学習した円の面積の公式の記憶が強く残っている子が多く、πr2 という公式は公式として、実際に立てる式は、
    半径×半径×π
    だった子が多かったのですが、その子は、πr2という公式の順番のまま、立式するようになりました。
    むしろ、意味がわかっていないから、公式の順番のままなのではないか?
    小学校で学習した円の面積の公式を完全に忘れていて、中学で学習した文字を使った公式を新たに丸暗記しているだけなのではないか?
    時間が経つと、これもすぐ忘れてしまうのではないか?
    そんな不安もあったほどでした。

    公式は丸暗記して使うだけ。

    ・・・いや、中1でそれは早過ぎないか?
    見たままでわかるレベルの公式を意味もわからず丸暗記するよりも、意味がわかったほうがいいのではないか?

    ・・・かけ算・わり算の意味すら、本当には理解していないのかもしれないのに?
    そこからの掘り返しに、どれだけの時間がかかるの?

    ・・・でも、それを教えるのが、私の仕事でしょうが。
    諦めてどうするんですか。

    そのように思い、教え続けて。
    その子は、果たして、数学が理解できるようになったのか?

    テストの得点は上がりました。
    もとにする量×割合 の式を立てられるようになりました。
    都立入試の出題形式にしぼっていえば、大問2の式による証明も、大問3の関数も全問正解できるようになりました。
    大問4平面図形と大問5空間図形のそれぞれ最後の小問だけは解けない。
    しかし、ケアレスミスがなければ、数学は90点取れる。
    大丈夫、行ってらっしゃい。
    そうやって送り出し、無事に都立高校に合格しました。

    質問できる子であったことは、圧倒的な強みだったと思います。
    「π を使っていいんですか?」
    など、何だそれ、と思うようなことも、恐れず口にする子でした。
    対話が可能でした。
    対話が可能である限り、その子が、今、数学的にどのような状態であるかの判断が可能だったのです。
    私からのアクセスも、だから可能でした。

    都立高校合格とともに、塾は卒業。
    高校数学が全くわからない、というSOSは、以後、受け取っていません。
    大丈夫だったのかな。
    大丈夫だと、いいな。
    そんなふうに思います。
    少しの不安も抱えながら。

      


  • Posted by セギ at 13:13Comments(0)算数・数学

    2021年02月05日

    高校英語。仮定法。仮定法現在。


    仮定法現在。
    耳慣れない名称、と感じる人もいるかもしれません。
    高校生向けの文法書には硬軟ありますが、柔らかい、わかりやすい文法書ではこの用語はごく小さい字で書いてあります。
    巻末の索引で調べないと、そんな用語が載っていることすら気づかないかもしれません。
    しかも、「仮定法」の単元ではないところ、例えば「助動詞」のところに掲載されています。

    では重要ではないのかというと、現代の用法における仮定法現在は、文法問題では頻出の内容です。
    「仮定法現在」には、古い英語での用法と、現代の英語での用法とがあるのです。
    どちらも動詞の原形を用いるので、「仮定法現在」とくくられています。

    まずは古い英語の用法から。

    If it be good, it cannot last too long.
    良いものであるなら、どれだけ長く続いてもよい。

    If need be, I'm ready to sacrifice my own profit.
    必要とあらば、私は進んで自分の利益を犠牲にしよう。

    これは、現在および未来の不確かな仮定の場合に使われる用法です。
    動詞は原形を用います。
    2つ目の文の If need be は決まり文句として覚えてしまえばよい用法です。
    これは、現代英語でも、改まった場合などに用いられることがあるようです。
    とはいえ、こうした古い用法は、現代では、直接法の if 節が使われるのが普通です。

    古い用法なんだな。
    じゃあ、古い英文を読むときに出てきたら、まあそういうもんだと読み流したらいい。
    大丈夫。
    読み流すのは得意。

    読解としては、それで大丈夫だと思います。
    問題なのは、現代英語で用いられている仮定法現在。

    こんな用法です。

    The doctor advised that she remain in bed for a week.
    医者は彼女に1週間寝ているよう助言した。

    He insisted that he stay at the hotel.
    彼は、そのホテルに滞在することを主張した。

    ・・・主節が過去形なのに、時制を一致させていない。
    that 節の主語は she や he なのに、動詞に三単現の s もついていない。
    動詞の原形だ・・・。
    何、これ・・・?

    これらの文は、should を用いた形もよく見ます。
    The doctor advised that she should remain in bed for a week.
    He insisted that he should stay at the hotel.

    「要求・命令・提案」の動詞の後の that 節は should を用いる。
    省略してもよいが、動詞は原形。

    このように覚えておけばスッキリする内容です。

    ところが、こういうルールを、覚えない、覚えられない、使えない、という人が多いのも事実です。
    ルールを覚えることと、活用することが、その子の頭の中でつながっていないようなのです。
    文法をわざと軽視したり反抗したりするというのでもないのです。
    しかし、問題を解くと、習った文法ルールを一切使わない。
    自分の感覚、「英語って多分こんなふう」という感覚で文法問題を解き、それが正解になることを夢想する、そんな姿勢の子は多いです。
    1日に1時間も英語に触れていない、日本生まれの日本人に、「英語における言語感覚」などあるわけがないのです。
    本人の中にあるのは、小学校から学んでいる、幼い英語。
    短い、日常会話の英語。
    そして、間違って作ってしまった自分の誤答の英語の堆積。
    いつまでも、いつまでも、その感覚で英単語を並べ、失敗し続けます。

    そうした中で、英語ってルールだなと目覚める子もいます。
    中1の頃は英語で低迷しても、中2の後半、そして中3で突出して英語ができるようになっていく子は、
    「英語の勉強は数学の勉強と同じだ」
    と理解した子が多いです。
    ルールを把握し、それを使って組み立てていくだけ。
    より複雑なルールを学んだら、またそれを活用するだけ。
    ただ、それだけ。
    いたってシンプルです。


    さて、それでは、もう少し複雑なルールを。
    仮定法現在は、上記のように、「要求・命令・提案」の動詞の後の that 節の他に、以下の場合があります。

    It is necessary that he go there at once.
    彼がすぐにそこに行くのは当然だ。

    It is important that you be sincere.
    誠実であることは、重要だ。

    こちらの用法も、that 節に should を用いる用法もあります。

    It is necessary that he should go there at once.
    It is important that you should be sincere.

    これらの文は、
    「It is +必要・重要・妥当の形容詞+that 節」
    という形をとっています。

    こうした形容詞で語られる内容は、事実ではなく、その文を語る人・書く人の心の中の想定で語られる内容であるから仮定法になるのだろう、という把握が可能です。
    つまり、この文で語られる内容は、間接的ではあるが話し手・書き手の要求・命令・提案なのだという点で、上記の動詞の後ろの that 節の場合と、同じ種類のものなのです。

    that 節には should を用いる。
    省略してもよいが、動詞は原形。

    全部それで済めばよいのですが、そうではない場合もあるのが、厄介です。

    It is natural that he should like you.
    彼があなたを好きなのは、当然だ。

    このような、話し手・書き手の感情・判断の形容詞の場合、that 節に should を用いますが、省略した場合は、動詞は適切な形に変えます。

    It is natural that he likes you.

    また、感情・判断ではなく、客観的事実である場合は、そもそも should を用いません。

    It is natural that babies cry.
    赤ん坊が泣くのは当然だ。


    ・・・わからない。
    違いがわからない。
    そのような嘆きも、これに関しては、同意します。

    話し手・書き手の主観的判断である形容詞ならば、とりあえず、should を入れるのは、OK。
    でも、仮定法現在は、要求・命令・提案のときだけ。
    「当然だ」は、要求のような気もするけれど、上の文をよく見たら、これは要求ではないとわかります。
    同じように「当然だ」と訳しますが、necessary と natural は、意味が異なるのです。

    それでも、あまりにも微妙で曖昧だ、と思う場合は、具体的に、こういう形容詞のときはこう、と把握すれば大丈夫です。

    should を省略した場合に動詞原形、すなわち仮定法現在になる主な形容詞を以下に記します。
    necessary 当然だ 
    important 重要だ
    essential 必要だ  
    vital 重要だ
    urgent 必要だ   
    desirable 望ましい
    crucial 必要だ   
    advisable 望ましい
    expedient 得策だ 
    imperative 必要だ

    重要だから、必要だから、そうしろと、間接的に要求しているのです。
    ただし、important は、文脈によっては、仮定法現在ではなく、普通の時制で表すことがあります。

    ・・・もうやめてーっ。
    という声が聞こえそうなので、今回は、ここまで。

      


  • Posted by セギ at 13:53Comments(0)英語

    2021年02月02日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と方程式。距離の比が一定な点の軌跡。


    今回から、数Ⅱ「図形と方程式」は第2章、軌跡と領域に進みます。
    まず、軌跡とは何か?
    「与えられた条件を満たす点が動いてできる図形を、その条件を満たす点の軌跡という」

    この定義がすんなり理解できる人も多いのですが、何を言っているのか全くわからない・・・という人もいます。

    え?点が動くってどういうこと?

    言い方を少し変えると、与えられた条件を満たす点は、1点に定まるとは限らない、ということです。
    与えられた条件を満たす点は、いくつもあるかもしれません。
    1つ1つの点が集まって集まって、直線になったり曲線になったりすることも多いでしょう。
    そうした点の集合。
    そうした点が集合して、直線や曲線となって見えているもの。
    それが、点の軌跡です。

    しかし、中1の頃から繰り返し繰り返し、点の集合は直線になったり曲線になったりするのだと解説しても、なかなか理解できない人も多いです。

    それは、動画で伝えると、ピンとくるのかもしれません。
    粗い点がポツンポツンと並んでいるのが、だんだん密な点の集合になり、やがて直線や曲線になっていく様子は動画なら伝えやすいかと思うのです。
    しかし、その程度のことなら、わざわざ他人の作った動画を見なくても、自分の頭の中でイメージすることができると思います。
    簡単なイメージです。
    まず、そのイメージを頭に思い描くことが軌跡の学習の第一歩です。


    点が集まって、直線や曲線になる。
    そうしたイメージを持てるかどうかは、中1の作図の学習でも大きなカギとなります。

    例えば、こんな問題。
    何でもない鋭角三角形ABCが描いてあると思ってください。

    問題 △ABCで、頂点Aと頂点Bから等しい距離にあり、さらに、辺ACと辺BCからも等しい距離にある点Pを作図により求めなさい。

    点Aと点Bから等しい距離にあるのだから、その条件を満たす点の集合は、線分ABの垂直二等分線。
    辺ACと辺BCから等しい距離にあるのだから、その条件を満たす点の集合は、∠Cの二等分線。
    だから、その2直線の交点が点Pです。
    あとは、作図の基本の通りに、線分ABの垂直二等分線と∠Cの二等分線を描いて、点Pを記すだけ。
    とても簡単。

    そう思うのですが、これが解けない中1は案外多いです。
    基本の作図はできるのです。
    線分ABが与えられていて、垂直二等分線を引きなさい、と言われたら引けます。
    △ABCが与えられていて、∠Cの二等分線を引きなさい、と言われたら引けます。

    しかし、応用が利きません。

    点Aと点Bから等しい距離にある点の集合が、線分ABの垂直二等分線であることが、イメージできない。
    辺ACと辺BCから等しい距離にある点の集合が、∠Cの二等分線であることが、イメージできない。

    ホワイトボードに点を沢山描いて、それがやがて線になっていく様子を示しながら解説する度に、ああそうか、わかったという顔をするのに、類題はまた解けない・・・。

    「来週、学校で作図の小テストがある」
    というので、もう仕方なく、
    「2点から等しい」と言われたら、垂直二等分線。
    「2辺から等しい」と言われたら、角の二等分線。
    とにかく、それを暗記しなさーい。
    覚えなさーい。
    今回の小テストは、それで乗り切りなさーい。
    私がそう言うと、むしろ嬉しそうにいそいそとそれをノートに取ったりします。

    ・・・いや、そんなことでは、数学は得意にならない・・・。

    しかし、いつまでもそうなのかというと、そんなこともないのです。
    学校で作図を学習するのは、中1で学習する一度きりです。
    中2になると、作図を学習したこと自体忘れてしまったりします。
    ところが、中3になって受験勉強を始めると、都立高校の入試問題には作図問題が必ず1問ある、という現実に直面します。
    上の問題と同じ程度、あるいはそれ以上の応用的な作図が出題されます。
    配点は6点。
    他の問題よりも高いです。

    その事実を知ると、作図ができるようになる子は多いのです。
    入試問題の後半のほうの、平面図形や空間図形は、問1を解くだけで精一杯。
    式による証明も、頑張ってはみるが、難しい。
    関数も、応用問題は解けない。
    そういう現実が見えてきます。
    では、どこで得点するのか?
    作図くらいはできないと、高校に入れない。
    それを悟ると、作図ができるようになっていくようです。

    本気になれば脳は動き出し、イメージできるようになります。
    がんばりましょう。


    さて、高校数Ⅱ。
    軌跡とは何かが理解できたところで、実際の問題を見てみましょう。


    問題 2点A(-1,-1)、B(5,2)からの距離が等しい点Pの軌跡を求めよ。

    2点からの距離が等しい・・・。
    点Pは、線分ABの垂直二等分線上のどの点でもいいですね。
    線分ABの垂直二等分線上を動くことが可能なのです。
    その直線の式を求めることを、「点Pの軌跡を求める」といいます。
    点Pの座標を (x , y) とおいて、その x と y との関係を表す式を求めればよいのです。

    2点からの距離が等しいのですから、AP=BPです。
    2点間の距離の公式にあてはめると、
    AP=√(x+1)2+(y+1)2
    BP=√(x-5)2+(y-2)2
    よって、
    √(x+1)2+(y+1)2=√(x-5)2+(y-2)2
    両辺を2乗して、
    (x+1)2+(y+1)2=(x-5)2+(y-2)2
    展開して整理すると、
    x2+2x+1+y2+2y+1=x2-10x+25+y2-4y+4
    12x+6y-2=0
    6x+3y-1=0

    よって、点Pの軌跡は、直線 6x+3y-1=0


    問題 2点A(-4,0)、B(2,0)からの距離の比が2:1である点の軌跡を求めよ。

    2点からの距離が等しい、すなわち距離の比が1:1のときは、上の問題のように直線でした。
    距離の比が、2:1のときは、どうなるのでしょう?

    考え方は同じです。
    問題文に点Pという記述がなくても、自分で点Pを定義すればよいのです。
    条件を満たす点をP(x , y) とすると、
    AP:BP=2:1
    よって、AP=2BP
    すなわち、AP2=4BP2
    2点間の距離の公式を用いて、
    (x+4)2+y2=4{(x-2)2+y2}
    展開して整理すると、
    x2+8x+16+y2=4(x2-4x+4)+4y2
    x2+8x+16+y2=4x2-16x+16+4y2
    -3x2+24x-3y2=0
    x2-8x+y2=0
    見たところ円のようなので、整理しましょう。
    (x-4)2+y2=16
    よって、
    求める軌跡は、中心が(4,0)、半径が4の円。


    一般に、2定点A、Bからの距離の比がm:n(m>0,n>0,m‡n)である点の軌跡は、線分ABをm:nに内分する点と外分する点を直径の両端とする円となります。
    これをアポロニウスの円と呼びます。
    自分では上手くイメージできない場合も、計算の結果からそうなることが理解できます。

      


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