たまりば

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2021年02月05日

高校英語。仮定法。仮定法現在。

高校英語。仮定法。仮定法現在。

仮定法現在。
耳慣れない名称、と感じる人もいるかもしれません。
高校生向けの文法書には硬軟ありますが、柔らかい、わかりやすい文法書ではこの用語はごく小さい字で書いてあります。
巻末の索引で調べないと、そんな用語が載っていることすら気づかないかもしれません。
しかも、「仮定法」の単元ではないところ、例えば「助動詞」のところに掲載されています。

では重要ではないのかというと、現代の用法における仮定法現在は、文法問題では頻出の内容です。
「仮定法現在」には、古い英語での用法と、現代の英語での用法とがあるのです。
どちらも動詞の原形を用いるので、「仮定法現在」とくくられています。

まずは古い英語の用法から。

If it be good, it cannot last too long.
良いものであるなら、どれだけ長く続いてもよい。

If need be, I'm ready to sacrifice my own profit.
必要とあらば、私は進んで自分の利益を犠牲にしよう。

これは、現在および未来の不確かな仮定の場合に使われる用法です。
動詞は原形を用います。
2つ目の文の If need be は決まり文句として覚えてしまえばよい用法です。
これは、現代英語でも、改まった場合などに用いられることがあるようです。
とはいえ、こうした古い用法は、現代では、直接法の if 節が使われるのが普通です。

古い用法なんだな。
じゃあ、古い英文を読むときに出てきたら、まあそういうもんだと読み流したらいい。
大丈夫。
読み流すのは得意。

読解としては、それで大丈夫だと思います。
問題なのは、現代英語で用いられている仮定法現在。

こんな用法です。

The doctor advised that she remain in bed for a week.
医者は彼女に1週間寝ているよう助言した。

He insisted that he stay at the hotel.
彼は、そのホテルに滞在することを主張した。

・・・主節が過去形なのに、時制を一致させていない。
that 節の主語は she や he なのに、動詞に三単現の s もついていない。
動詞の原形だ・・・。
何、これ・・・?

これらの文は、should を用いた形もよく見ます。
The doctor advised that she should remain in bed for a week.
He insisted that he should stay at the hotel.

「要求・命令・提案」の動詞の後の that 節は should を用いる。
省略してもよいが、動詞は原形。

このように覚えておけばスッキリする内容です。

ところが、こういうルールを、覚えない、覚えられない、使えない、という人が多いのも事実です。
ルールを覚えることと、活用することが、その子の頭の中でつながっていないようなのです。
文法をわざと軽視したり反抗したりするというのでもないのです。
しかし、問題を解くと、習った文法ルールを一切使わない。
自分の感覚、「英語って多分こんなふう」という感覚で文法問題を解き、それが正解になることを夢想する、そんな姿勢の子は多いです。
1日に1時間も英語に触れていない、日本生まれの日本人に、「英語における言語感覚」などあるわけがないのです。
本人の中にあるのは、小学校から学んでいる、幼い英語。
短い、日常会話の英語。
そして、間違って作ってしまった自分の誤答の英語の堆積。
いつまでも、いつまでも、その感覚で英単語を並べ、失敗し続けます。

そうした中で、英語ってルールだなと目覚める子もいます。
中1の頃は英語で低迷しても、中2の後半、そして中3で突出して英語ができるようになっていく子は、
「英語の勉強は数学の勉強と同じだ」
と理解した子が多いです。
ルールを把握し、それを使って組み立てていくだけ。
より複雑なルールを学んだら、またそれを活用するだけ。
ただ、それだけ。
いたってシンプルです。


さて、それでは、もう少し複雑なルールを。
仮定法現在は、上記のように、「要求・命令・提案」の動詞の後の that 節の他に、以下の場合があります。

It is necessary that he go there at once.
彼がすぐにそこに行くのは当然だ。

It is important that you be sincere.
誠実であることは、重要だ。

こちらの用法も、that 節に should を用いる用法もあります。

It is necessary that he should go there at once.
It is important that you should be sincere.

これらの文は、
「It is +必要・重要・妥当の形容詞+that 節」
という形をとっています。

こうした形容詞で語られる内容は、事実ではなく、その文を語る人・書く人の心の中の想定で語られる内容であるから仮定法になるのだろう、という把握が可能です。
つまり、この文で語られる内容は、間接的ではあるが話し手・書き手の要求・命令・提案なのだという点で、上記の動詞の後ろの that 節の場合と、同じ種類のものなのです。

that 節には should を用いる。
省略してもよいが、動詞は原形。

全部それで済めばよいのですが、そうではない場合もあるのが、厄介です。

It is natural that he should like you.
彼があなたを好きなのは、当然だ。

このような、話し手・書き手の感情・判断の形容詞の場合、that 節に should を用いますが、省略した場合は、動詞は適切な形に変えます。

It is natural that he likes you.

また、感情・判断ではなく、客観的事実である場合は、そもそも should を用いません。

It is natural that babies cry.
赤ん坊が泣くのは当然だ。


・・・わからない。
違いがわからない。
そのような嘆きも、これに関しては、同意します。

話し手・書き手の主観的判断である形容詞ならば、とりあえず、should を入れるのは、OK。
でも、仮定法現在は、要求・命令・提案のときだけ。
「当然だ」は、要求のような気もするけれど、上の文をよく見たら、これは要求ではないとわかります。
同じように「当然だ」と訳しますが、necessary と natural は、意味が異なるのです。

それでも、あまりにも微妙で曖昧だ、と思う場合は、具体的に、こういう形容詞のときはこう、と把握すれば大丈夫です。

should を省略した場合に動詞原形、すなわち仮定法現在になる主な形容詞を以下に記します。
necessary 当然だ 
important 重要だ
essential 必要だ  
vital 重要だ
urgent 必要だ   
desirable 望ましい
crucial 必要だ   
advisable 望ましい
expedient 得策だ 
imperative 必要だ

重要だから、必要だから、そうしろと、間接的に要求しているのです。
ただし、important は、文脈によっては、仮定法現在ではなく、普通の時制で表すことがあります。

・・・もうやめてーっ。
という声が聞こえそうなので、今回は、ここまで。




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