たまりば

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2025年02月18日

英語。英検二次面接が上手くいかない。

英語。英検二次面接が上手くいかない。

今年も野川公園にセツブンソウが咲きました。

さて、英検などの二次面接、すなわちスピーキングテストになると、力を発揮できない人たちがいます。
それでも、英検準2級までなら、1週間程度の調整で何とか合格できる場合が多いですが、2級以上になると、スピーキングテストの内容も多少複雑になります。
一方、英語の四技能、すなわち「読む」「書く」「聴く」「話す」の中で、「話す」は、本人がほとんど練習しないで済ませてきていることがあり、そんなに短期間で簡単に能力の伸びる分野でもないため、苦戦することになります。
教科書の音読すら、勧められても、やらない。
英語を目の前で読むように言われたときだけ、しぶしぶ読む。
それなのに、英検に合格することは、普通に期待している・・・。
いや、それは矛盾していますよ。
英語を口に出すことができないと、スピーキングテストで良い点は取れないです。

例えば、英検2級のこんな過去問。
3コマのマンガの内容を英語で説明する問題です。

マンガは示せないので、代わりに模範解答を示します。

① One day, Ken started a teacher training program at a kindergarten.
ある日、ケンは幼稚園で教師トレーニングプログラムを受け始めました。
A woman said to him, "You'll be taking care of three children today."
女性は彼に言いました。「あなたは今日、3人の子どもたちの世話をします」

② Later that day, the children were playing with rabbits.
その日のその後、子どもたちはウサギと遊んでいました。
Ken was fixing a fence.
ケンは柵を修理していました。

③ Thirty minutes later, the children were washing their hands.
30分後、子どもたちは手を洗っていました。
Ken was thinking of reading a book to them.
ケンは彼らに本を読むことを考えていました。


それぞれのコマの冒頭や、実際のセリフは、マンガの中に描かれていますので、かなり補助があります。
あとは、マンガの通りに描写すればいいのです。

まず1コマ目。
冒頭の1文は、問題に指定されていますので、それをそのまま読むだけです。
その次の第2文で、早くも文法ミスをしてしまう人がいます。

「・・・The teacher told him that ・・・」
「うん・・・。動詞の tell を使うと、that を用いることになり、間接話法で語らなくてはならないです。that 節は難しいですよ」
「・・・The teacher said that ・・・」
「うん。それも、同じです。that と言ってしまうと、that 節になるので、主語や時制を考えなくてはならなくて、難しいですよ」
「・・・The teacher telled that ・・・」
「・・・」

途中で止められたので、動揺して、助言がよく耳に入らなくなってしまうのです。
初回の練習で、この件をしっかり助言したら、以後は間違えないのならいいのですが、毎回、このミスが口をついて出てしまう人もいます。
英語を話さなければならないということで頭が一杯なうえ、文法があまり好きではないので、that 節を使うと間接話法で語らねばならなくなることを毎回忘れてしまうのです。

マンガ中のセリフをそのまま使いたいときは、直接話法です。
A woman said to him, "You'll be taking care of three children today."
このほうが楽です。
これを、that 節を用いて間接話法で語るならば、
A woman told him that he would be taking care of three children that day.
と、that 節の主語や時制を変えなければならず、その場でスピーキングするにはレベルが上がります。

それができれば凄いですし、英検準1級の模範解答は、間接話法のことも多いです。
しかし、ミスをしてしまう可能性が高いですから、ここは、直接話法で逃げたい。
それなのに、そっちにいったらダメだよという方向に必ず向かっていってしまうのが、スピーキングが苦手な子の宿命。
本番も、that 節を使ってしまうかもしれません。
その分の減点はあらかじめ見込んで、他でカバーできれば合格できますから、まあ、仕方ない。

むしろ、問題は、その先にあります。
2コマ目の模範解答は。

② Later that day, the children were playing with rabbits.
その日の後、子どもたちはウサギと遊んでいました。
Ken was fixing a fence.
ケンは柵を修理していました。

英検2級といっても、スピーキングテストの内容は、中学英語レベルです。
しかし、その中学英語がとっさには出てこないことがあります。
そこで、黙り込んでしまうのです。
英語によるコミュニケーション能力を問われているテストで、黙り込むのが一番まずい・・・。

「・・・どうしました?」
「校庭って、英語で何と言いますか?」
「school ground で良いですが、そもそも、そんなことは言わなくても大丈夫ですよ。彼らは、何と遊んでいるの?」
「・・・遊ぶって、英語で何と言いますか?」
「play です」
「・・・ウサギって、英語で何と言いますか?」
「rabbit です」
「・・・They playing rabbit.」
「・・・・」

簡単な単語が出てこないことに動揺してしまうからか、中学英語の文法もめちゃめちゃになっていくのです。

そのまま、3コマ目に行こうとするので、
「ケンの様子も説明してください」
「・・・できません」
「何がわからない?」
「柵」
「a fence」
「ああ!修理する、は?」
「fix」
「ああ・・・」
言われれば意味のわかる単語ばかりなのですが、自分で思いつくことができないのです。

読んだり聞いたりしたときに意味のわかる単語を「理解語彙」といいます。
一方、自ら使うことのできる単語は「使用語彙」です。
ネイティブでも、理解語彙は広いけれども、使用語彙はそのごく一部で、狭い。
知っているけれど使えない単語のほうが圧倒的に多いものです。
まして外国語となると、そもそも理解語彙も狭いのに、使用語彙はさらに狭い。
それを広くするための日頃の練習も特に行っていない・・・。
スピーキングは苦手だから、スピーキングは普段やらない。
そういう英語学習をしてしまう中学生・高校生は多いです。

その一方で、英検受検に関して、ためらいはない。
入試に有利だから。
学校の先生が勧めるから。
そういう理由で気軽に申し込んでしまうのですが、スピーキングの練習をしていないのに英検を受けるので、苦戦してしまいます。

3コマ目の模範解答は。
③ Thirty minutes later, the children were washing their hands.
30分後、子どもたちは手を洗っていました。
Ken was thinking of reading a book to them.
ケンは彼らに本を読むことを考えていました。

英検2級とはいえ、これも、中学英語です。
しかし、またも沈黙してしまう子もいます。

「・・・どうしました?」
「手を洗うって、何と言いますか」
「wash 誰々's hands です」
「・・・They washing they hand.」
「・・・」
文法ミスは、指摘するほど動揺してしまうので、もう目をつぶることにします。
それでも、また沈黙。
「・・・何がわからないですか」
「読み聞かせるって・・・」
「read a book to 誰々」
「・・・He reading book children.」
「・・・」

テンパってしまっていて、普段ならできることもできなくなっています。
塾での模擬面接でこれなので、本番はもっととんでもないことになるのかもしれません。

なぜ、主語の後に動詞をすぐing 形にするのだろう?
冠詞や前置詞が全く出てこなくなるのはなぜなのか。
いや、そもそも基本的な動詞や名詞が出てこないのが深刻だ・・・。

スピーキングが苦手な子の多くは、そうです。
読めばわかる単語も、自分からは使えないのです。


二次面接は、3コマ漫画を英語で説明するだけでは終わりません。
この後、英問英答もあります。
3級なら、「次の週末に何をする予定ですか」程度の易しい問に答えるだけですが、2級ともなれば、社会問題を問われます。
例えば、

Some people say that people in Japan spend too much time at work. What do you think about that?
日本人は働くことに時間を使いすぎると言う人もいます。あなたはそれについてどう思いますか。

これは、日本語で問われても、黙り込んでしまう高校生もいるかもしれません。
社会問題に関心がないので、そんなことを問われても、何の意見もない。
自分には関係ないことだから、考えたことがない。
急に問われても、わからない。
それが正直なところでしょう。

しかし、何か意見を言わなければならない。
身構えてしまい、何か高度なことを言おうとして、かえって言葉が出てこなくなり、黙り込む・・・。
そういうことなのだろうと思うのです。

英検2級で要求されている意見なんて、そんなに高度なことではないのです。
模範解答としては、
I agree. Many companies give their workers too much to do. People don't get enough time to be with their families.
賛成です。多くの会社は労働者にやるべきことを与えすぎです。人々は家族と過ごす十分な時間がありません。

社会問題を論じているようでいても、一歩も先に進んでいません。
状況を説明しているだけです。
でも、それでいいのです。
社会問題を解決する策を提案せよ、と言われているわけではないのですから。
でも、身構えてしまった子は、何か解決策を出さなければならないと思ってしまうのかもしれません。
そして、何か難しいことを言おうとすると、英語が出てこない人も多いです。
長時間労働の弊害って、英語でどう言えばいいんだろう?
従業員って、何て言うんだっけ・・・。
残業って、何て言うんだっけ・・・。
過労死って、何て言うんだっけ・・・。

日本語は思いつくけれど、英語にできないことばかり・・・。

しかし、それで当たり前なのです。
英検2級なんて、ネイティブとしては子どもの英語力です。
だから、むしろ、英語力のある小学生のほうが英検2級には簡単に合格することがあります。
本人の日本語力と英語力が一致していて、落差がないので、言いたいことを英語にできずに言葉に詰まるということが少ないのでしょう。
言いたいことがそもそも幼いので、幼い英語力で済むのです。

一方、高校生は、日本語としてはそれなりに難しい熟語を使ったりします。
それを英語にできないことが多いのです。
自分の日本語を英語に転換できないのです。

ここで重要なのは、表現のレベルを下げること。
自分が英語で語れることのレベルを自覚すること。

ただ、それもまた、普段練習しているから把握できることであり、1次試験の合格通知が届いてから急に練習しても、間にあいません。

器用な人、そもそもの英語力が高い人は、それでも何とか合格圏内に滑り込めますが、スピーキングに自信がない人は、かなり前から準備をしたほうがいいのです。
塾での模擬面接も有効ですし、自学するならば、過去問を使って、回答したいことを紙に書いてみてください。
時間無制限で。
それは、なかなか英語が出てこないことを自覚するためでもあります。
自分が言いたいことを、時間をかけて英語で書くことすら、思うようにいかない。
何て不自由なんだろう。
自分の英語力は、こんな程度なのか。
それを自覚することで、次のステップに進めます。

易しい言葉で、難しいことを語る。
それは可能なことです。
言いたいことのレベルを自分の英語力まで下げていくのが、合格への近道です。
言いたいことのレベルに自分の英語力を上げるのも重要ですが、それには、時間がかかります。

言いたいことを思うように英語にできないことを自覚したら、模範解答の日本語訳を見て、それを英語に直す練習から始めると良いと思います。
模範解答のレベルを知るためでもありますし、答え方のコツをつかむ練習でもあります。
何回かやってみると、解答のパターンがつかめてきます。
こういうふうに応えればいいだけか、とわかってきます。

また、二次試験前だけでなく、日頃から、英語を口に出して言ってみる練習が有効です。

NHKラジオ「英会話タイムトライアル」は、平日の毎日10分で、英語を口に出して言ってみる練習ができます。
「ラジオ英会話」も、前半はその日のスキットの内容解説ですが、後半、毎回2~3問、日本語を英語に直す練習があります。
英検などのスピーキングテストと形式が違うとか、傾向が違うとかには、こだわらないことです。
とっさに英語が出てこない・・・。
その悩みを解決するための練習です。
瞬発力を養いましょう。






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