2011年05月20日
正確にグラフを描く

今日の午前中は、三鷹産業プラザの地下1階で、「大人のための数学講座」を開きました。
内容は、中学二年で勉強する、1次関数です。
その2回目。本日は、グラフの描き方から。
たとえば、y=-2x+3 のグラフは、切片が3なので、y軸上に(0,3)の点を取り、さらに、傾きが-2なので、xが1増えたら、yは-2増える、すなわち、2減る、として点を打っていく。
ここまでは、特に難しいわけではなく、参加者も問題なく理解してくださったのですが、ここで、問題発生。
参加者の1人が、2点を結ぶ直線を何回引いても、ズレてしまいました。
「近すぎる2点では、遠くになるにしたがって、傾きがズレやすいので、方眼紙の中で、なるべく遠い2点を打ってください」
「シャーペンの幅の分のズレを意識して、あえて、少し定規をずらし、シャーペンの先が正しく2点に当たっているか、確認の上、息を止めて、一気に直線を引いてください」
等々、声をかけて、様子を見ていたのですが、いざ直線を引くと、わあ、これは、中学校の定期テストでは得点できないズレ方だあ・・・、というくらいに、ズレてしまいました。
5回トライして、やはり、ズレる。
えー、どうしてだろう。
他の参加者をあまりお待たせできないので、これは、数学的な問題ではないし、と私自身があきらめてしまいましたが、悔いが残りました。
中学生に教えるときには、これは、必ずテストに出ることなので、居残り特訓をするのですが、大人の方に居残りを命じるわけにはいきません。
こんなつまらないことで、「ああ、数学は、やっぱり自分には無理・・・」なんて大げさに考えないでくださるといいのですが。
ところで、私自身、かなり不器用なほうで、包丁を持たせると、キャベツの千切りも、キュウリの輪切りも、何だこの雑な切り方は、というふうになってしまいます。
世の中には、スライサーという便利な道具がある、なんて平気で言ってしまうので、上達もしません。
そんな不器用な私ですが、直線を引くのに、ああ、ずれた、やり直し、という経験は、ほとんどない。
なぜかなあ、と考えると、これは、やはり練習量が違うということかもしれません。
数学を教えているからといって、いつもいつもグラフばかり描いているわけではありません。
でも、ズレずに2点を結ぶ直線は、たくさん描いています。
上の画像は、2万5000分の1地形図「丹波」。
引いてある赤い線は、磁北線と呼ばれるものです。
地形図に、コンパス(方位磁石)を当てて、進むべき方向を特定していくことは、登山をするためには必要なことです。
無雪期の山歩きならば、山と高原地図で十分ですし、そのほうが見やすくて便利なくらいですが、積雪期の山、あるいは、無雪期でも、登山道ではないところを歩く場合、地形図を読み、コンパスを当てて方位を確かめる技術が必要になります。
ところが、コンパスは、正確には真北を指しません。
磁力体としての地球の極は、北極と一致していないからです。
磁力体としての極は、北半球では、カナダのハドソン湾付近。
しかも、磁力線は、地殻の影響を受けるので、長い年月の間には、それもズレていく。
コンパスの針がどの向きを指すかは、地域によって、年によって違ってきます。
年によるズレ方は、ごくわずかなので無視するとしても、地域によるズレは、無視できません。
そこで、地形図には、必ず、地図上の北と、磁石上の北(磁北といいます)とのズレを示してあります。
「西偏7°20′」と描いてあれば、地図上の真北よりも、磁北は、7°20′だけ西にズレていますよ、ということです。
目分量でやってしまう人もいないわけではありませんが、私は、新しい地形図を買うと、磁北線を引きます。
コンパスの示す北を地図上に表した線が磁北線です。
磁北線は、地図を買った人が、自分で引きます。
三角比を利用して、地図の縦の長さから、横に何cmズラせばいいか計算して、地図の上と下に正しく2点を打ち込んで、50cm定規を当てて、息を止めて、一気に引きます。
多少の誤差は、大丈夫なのですが、自分の中で、「遭難しませんように」、と祈りを込めて引く、一種の儀式になっているので、できる限り正確に、正確に、引いています。
製図などの本職の方は除きますが、素人の中では、2点を通る直線を正しく引くことを相当練習していると言えるんじゃないでしょうか。
(*^_^*)
練習すれば、大丈夫ですよ。
2011年05月16日
ピンクとオレンジのペン

中間テスト前ですので、勉強の仕方の話を。
やけにきれいなノートを作って、それで「勉強した」と満足してしまうのは、成績不振の女の子にときどきみられる傾向です。
ノート作りが目的になってしまっているのです。
しかし、作ったノートで重要事項を覚えなければ、テストで正解できません。
ノートを作るのが悪いのではなく、作ったノートをどう活用するか、です。
普段の予習・復習と合わせて、1つの単元が終わるごとに、暗記するためのノートを作っていくのもいいと思います。
私も、中学生の頃は、そうしていました。
バス通学でしたので、テスト前は、バスの中でそのノートを開いて、暗記していました。
今でも、電車の中で、そういうノートを開いて見ている子を見ますと、ああ、頑張ってるな、と感じます。
ただ、ノート作りは、案外時間がかかります。
普段のノートとは別に、暗記するためのノートをまた1冊作るというのは、作業的に無駄です。
ノートを作ることで復習にはなりますが、それだけで暗記できるわけではありません。
また、暗記の時間も必要。
問題練習する時間も必要。
だけど、勉強時間は、限られている。
そういう場合、授業用ノートを、そのまま暗記するためのノートにしてしまうという方法があります。
最初から、まとめノートを作るつもりで、書いていく。
学校の授業での先生の板書も、塾の先生に教わったプラスアルファの重要事項も、自分で参考書を見て理解したことも、1冊のノートに集約させていく。
教科ごとに、さらに細かいノウハウがありますが、そうやって普段からノートを作っていく。
秀才は、こういうノートを作っている場合が多いです。
他人が見ると、あまりにも書き込みが多くて、何だかよくわからない場合が結構ありますが、本人がわかっているなら、何も問題ないのです。
また、学校の先生の作るプリントがとても親切でわかりやすい場合。
重要事項が書き込み式になっているので、そのプリントを見直せば、テスト前に暗記すべきことがよくわかる。
これならば、新たにノートに書き起こす必要はないので、そのプリントをノートに貼っていけばいいわけです。
プリントで、学校の先生が空欄にしてくれていた部分、すなわち重要事項には、色つきのペンで書き込みます。
問題は、その色づかい。
学校の先生がチョークで使った通りの色でノートに書いている子もいます。
でも、赤や青や緑は、ノートには使わないほうがいいんです。
学校の先生が、プリント提出の際に色使いまでくどくど言うのでない限りは。
使う色は、ピンク、またはオレンジ。
なぜ、その色なのか。
赤シートをかけたとき、その色ならば、消えるからです。
秀才は、ピンクやオレンジのペンを、濃淡いろいろ、何本も持っていることが多い。
重要度に合わせ、どのペンを使用するか、本人の中で使い分けがあるんです。
そして、覚えるときは、赤シートをかけて覚える。
漫然と眺めても、覚えられるわけがありません。
赤シートをかけて、本当に覚えているか、常にチェックする。
常に、自分を試す。
その繰り返しで暗記する。
学校の先生からもらったプリントは、提出するのでない限り、すぐノートに貼ってしまいます。
いったん鉛筆で書きこんだものも、暗記の必要があると感じたら、すべて、ピンクかオレンジのペンで書き直します。
ペンケースの中に、小さなハサミとスティックのりを入れてあって、そんな作業も授業中にしてしまう子もいます。
テスト前にいかに能率的に勉強するか。
常に、それを考えて、普段から準備しています。
有名私立校に通う子は、部活の先輩や友達からこの勉強の仕方を教わっていて、私からは指導の必要がない場合が多いです。
これらは、何も特別な方法ではなく、勉強の上手な子が、よくやっている方法です。
けれど、公立中学の生徒は、このことを知らない子が多いんです。
受験勉強の上手い子の多くが、中学入学とともに他の学校へ行ってしまって、こういう勉強のやり方を友達から教わる機会が少ないのかもしれません。
こういうやり方は、友達や先輩から教わるのが、一番素直に真似しようという気になれます。
大人の言うことには、何となく心が逆らう年頃。
一方、友達や先輩の言うことなら、根拠のない不確かなことでも、丸ごと信じる年頃。
その時代に、良い勉強方法を友達に教われない、そういう情報が友達から得られないというのは、1つの不運かもしれません。
写真は、昨日歩いた陣馬山。
5月の快晴の下、こいのぼりが薫風に泳ぐ、さわやかな山頂でした。
2011年05月11日
十枚山のクマはぎ

昨日歩いた十枚山。
「枚」というのは滝を数えるときに使う単位。
登り下りの急なことを、静岡の古い言い方では、「登り十枚、下り十枚」と言うそうです。
滝がいくつも続くような急斜面、という意味らしいです。
確かに、一本調子の登りの続く、急斜面の山でした。
静岡の安倍川のほとり、六郎木から登り、シイタケ栽培地を過ぎた分岐を左にとって、ヒノキの林の続く急登を延々と歩きました。
随分と高いところまで植林の続く山でした。
「熊出没注意」の大看板が立っていて、これは、ただごとではないなと思いながら歩いていくと、なるほど、この山には熊がいます。
木には、爪痕がくっきり。
これは、「クマはぎ」と呼ばれるもののようです。
木の皮がはがされてしまっています。
熊は、皮をはがして形成層をかじります。
スギ・ヒノキなどの造成林の木をかじってダメにするので、林業の人は、熊を、害獣と呼びます。
何のためにこんなことをするのかは、まだよくわかっていません。
交尾期のサインポスト説。
木に含まれる良い匂いを楽しんでいるとする説。
とりあえず、登山者には、この山に熊がいることが、ストレートに伝わってきます。
2011年05月10日
十枚山を歩きました

十枚山。
山梨県と静岡県の県境の山です。
静岡県側の登山道を歩きました。
ひたすらな登り。
標高差1000mをただ登りました。
何の苦行だろうというような山歩きになりましたが、山頂の眺望に納得です。
富士山は五合目まで、南アルプスは見えずでしたが、天気が悪いときならではの迫力のある空を眺めることができました。
雨が降るというときに山に行かなくても良さそうなものですが、こんな日でも、案外登れることがあります。
パラパラと天気雨に降られましたが、結局、雨具は着ないまま、下りてくることができました。
山の本当の天気は、登山口まで行ってみなければわからない。
写真は、山頂からの眺望。
2011年05月02日
九鬼山を歩きました

連休のはざまの月曜日、山梨県の九鬼山を歩きました。
今日、山で出会った人は、8人。
静かな山歩きです。
想像以上に花の多い山でした。
チゴユリ ・ イカリソウ ・ ツクバネウツギ ・ ヒトリシズカ ・・・ 。
3時間ほどで歩ける低山ですが、3m歩いては、しゃがみこんで花の撮影、5m歩いてはまた撮影、という調子で、さっぱりはかどりませんでした。
山の花として希少価値があるというわけではないのですが、どこの山でも、こういう普通の花が毎年減っています。
歩きながら、どうしよう、ブログには、山の名前自体を伏せたほうがいいだろうか、と歩きながら考えたほど。
分岐が多く、道標の表現が少しわかりにくいので、事前に地図を読み、周辺の地名を把握していないと、不安になる個所がありました。昨日、ふいに思いついた山歩きなので、二万五千分の一地形図を持参せず、「山と高原地図」という山地図と、ガイドブックのコピーだけを持ってきたのを少し後悔。
まあ、山梨百名山ですから、道標はありますし、一番踏み跡のしっかりしている道を選んでいる限り、どうにかなりますけれども。
九鬼山山頂から、紺屋の休み場までの間には、「地滑りがあった後の山腹に何とか作った登山道」という印象の場所があり、細くて傾いた道がしばらく続きました。
低山だから平気、と靴底のすり減った靴で来ると少し後悔しそうです。
不安な人は、滑りにくい靴かストックがあると安心でしょう。
慎重に歩けば、特に危険箇所というほどではありません。
駅にも、登山口にも、熊の目撃情報があり、熊鈴をリンリン鳴らして歩きました。
熊が里に現れるのは秋が多いですが、山では、5月から7月も危険な時期だそうです。
繁殖期で、気分が高揚している。
山菜とりで、人が熊のテリトリーに侵入してしまう。
梅雨の大雨の後で沢が増水し、人の物音を熊が聞き逃す。
熊は、耳がよく、臆病なので、基本的には、熊のほうで人の接近に気付けば避けてくれるのですが、うっかりして人と出会ってしまうと、臆病な分だけ、過剰に攻撃してくる可能性があるそうです。
パニックマ。
人間のほうで、気をつけてあげたいですね。
写真は、チゴユリ。
上のほうの花には、小さな虫が乗っていますね。
バッタかな?
2011年05月01日
リットルの表記
小学校の算数の教科書がぶ厚くなりましたが、それとともに小さな変化が。
体積を表す単位、「リットル」の表記が変わりました。
これまでは、リットルを表すのには、筆記体の小文字のエル「ℓ」が使われていました。
今年からは、リットルは、ブロック体の大文字のエル「L」になっています。
私も、筆記体に慣れていたので、この変更には違和感がありました。
特に、ノートに書く場合に、数字の「1」との区別が明確なので、「ℓ」は有効な表記法だと感じていましたから。
ですが、調べてみますと、「ℓ」は、国際的に認められた表記ではないんです。
小文字「l」と数字「1」がまぎらわしいことは、世界的にそうであり、問題でした。
そこで、1979年、国際度量衡総会において、リットルの表記は、これまでの小文字「l」とともに大文字「L」も使うことが採択されました。
ということは、このときすでに、筆記体「ℓ」は論外だった。
英語圏では、もともとあまり使用されない表記だったんだそうです。
多くの国際標準機関が、昔も今も、この筆記体による表記を認めていない。
それでも、日本の慣習として、特に小学校の算数では、ずっと残ってきた筆記体による表記でしたが、ついに今回の小学校教科書から改定されることになりました。
教科書とともに、参考書も、問題集も、ワークも、一斉に表記が変わりました。
慣れれば、特に問題ありませんし、国際基準に合わせるのは良いことだと思います。
ちなみに、ミリやキロは小文字で表記しますので、「5mL」「7kL」などの表記になります。
そういう目で、飲み物のペットボトルの表記を改めて見直すと、まだ会社によっていろいろで、面白いですよ。
お子さんに算数を教える場合、こんな小さなことを知らないだけでも、子どもはその大人に不信感をいだきます。
逆に、こんな小さなことを知っているだけで、子どもは、尊敬します。
体積を表す単位、「リットル」の表記が変わりました。
これまでは、リットルを表すのには、筆記体の小文字のエル「ℓ」が使われていました。
今年からは、リットルは、ブロック体の大文字のエル「L」になっています。
私も、筆記体に慣れていたので、この変更には違和感がありました。
特に、ノートに書く場合に、数字の「1」との区別が明確なので、「ℓ」は有効な表記法だと感じていましたから。
ですが、調べてみますと、「ℓ」は、国際的に認められた表記ではないんです。
小文字「l」と数字「1」がまぎらわしいことは、世界的にそうであり、問題でした。
そこで、1979年、国際度量衡総会において、リットルの表記は、これまでの小文字「l」とともに大文字「L」も使うことが採択されました。
ということは、このときすでに、筆記体「ℓ」は論外だった。
英語圏では、もともとあまり使用されない表記だったんだそうです。
多くの国際標準機関が、昔も今も、この筆記体による表記を認めていない。
それでも、日本の慣習として、特に小学校の算数では、ずっと残ってきた筆記体による表記でしたが、ついに今回の小学校教科書から改定されることになりました。
教科書とともに、参考書も、問題集も、ワークも、一斉に表記が変わりました。
慣れれば、特に問題ありませんし、国際基準に合わせるのは良いことだと思います。
ちなみに、ミリやキロは小文字で表記しますので、「5mL」「7kL」などの表記になります。
そういう目で、飲み物のペットボトルの表記を改めて見直すと、まだ会社によっていろいろで、面白いですよ。
お子さんに算数を教える場合、こんな小さなことを知らないだけでも、子どもはその大人に不信感をいだきます。
逆に、こんな小さなことを知っているだけで、子どもは、尊敬します。