たまりば

  地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾  三鷹市 三鷹市

2020年05月31日

中1「正負の数」。加減と数直線。


中1「正負の数」は、数学の学習の中で、もっとも簡単なようでいて、教えるのは最も難しいものの1つです。
基本の基本になるほど、それを「わからない」という子に説明するのは困難を極めます。
一応わかったのだろうと安心するのは禁物です。
「正負の数」の単元の終わりに復習すると、
(+1)+(+3)=-2
といった答案を目にし、愕然とすることがあります。

何で?
それは、小学校1年生で学習した、1+3ですよ?
答は4に決まっていますよ。
なぜ、中学に入ったら-2になると思うの?
なるわけないでしょう?

といった「常識の押し付け」は、しかし、教える者と教わる者、両者にとって不幸です。

それは、「正負の数」の体系が、その子の中に形成されていないということなのです。
数学の学習が、やり方の丸暗記に終始しているのです。
そして、やり方をちょっと間違ったために、そんな答になるのです。

・・・やばい、この子は全然わかっていない。
根本的には何も理解していない。
これは、最初からやり直しだ。

教える者がそう判断しても、しかし、幾度やり直したところで同じ結果になるのかもしれません。
「そんな答になるわけないでしょう!」
と、大人が驚くのを見る度、子どもは委縮し、理解できていないことを隠そう、わかっているふりをしよう、とさらに必死にやり方だけ暗記し、表面上は正しい操作ができるようになるだけということも多いからです。


学校や塾の教え方が悪いんじゃないのか?

ある意味、そうなのかもしれません。
しかし、弁解するなら、そうとばかりも言えない面もあるのです。
やり方だけを説明しているわけではないからです。
意味を丁寧に説明しても、その部分は聞き流し、やり方だけ暗記してしまう子が多いのです。

順を追って説明しましょう。

「正負の数」は、まず、正負の数の意味から学習が始まります。
正の数と負の数が存在することは、大半の子が理解できます。
寒暖計の目盛りの-10℃など、負の数の存在は、幼い頃から目にしていますから。
そういうものが存在することは知っているのです。

しかし、次の段階で早くもつまずく子が現れます。
あることがらを、正負の数を用いて言い表す問題です。

問題 次のことがらを正の数を用いて表せ。
(1)-20㎏の増量
(2)-30万円の収入
(3)-1万人の減少
(4)-4分の遅れ

正解は、
(1)+20㎏の減量
(2)+30万円の支出
(3)+1万人の増加
(4)+4分の進み

言葉遊びのようですが、後に正負の数の減法を理解するための全てがここに詰まっています。
この言い換えが理解できないと、正負の数の減法の符号の操作は、理解できないのです。
しかし、この問題の意味どころか、その重要性すら理解できずに通りすぎていく子は多いです。

そうした子の誤答の例としては、
(1)+20
(2)+30
(3)+1万
(4)+4
と、符号を+に変えただけで、単位もついていなければその後に続く言葉も書いていない場合が、まず多いのです。
問題の意味を全く理解していません。

「いや。その後に続く言葉も含めて、このことがら全体を正の数で言い表すんですよ」
と説明しても、書き直したものは以下のような誤答という子が多いです。
(1)+20㎏の増量
(2)+30万円の収入
(3)+1万人の減少
(4)+4分の遅れ
後ろにつく言葉を言い換えていないのです。

「-20㎏の増量と、+20㎏の増量は、意味が反対だと思わない?それじゃ、同じことを言い表したことにならないよね?」
「え?同じことを表すの?」
「・・・そうですよ」

何だと思っていたの?

やり方しか暗記しない子の多くは、また、問題文をほぼ読まないという、もう1つの習慣を持っていることに思い至り、絶望の度合いを深めたりもするのですが、それを補助するのが私の役目です。
中学入学は良い機会。
悪い学習の癖を改め、やり方の暗記ではない学習、問題文を正確に読んで理解して解く学習習慣を身につけましょう。
そう思って補助します。

ところが、ここでまた「やり方だけ暗記する」という悪い習慣を発動する子が多いのです。
-20㎏の増量は、+20㎏の減量と言い換えればいいらしい。
ははあ、数字の符号を反対にして、言葉を反対にすればいいだけか。
そのように「やり方」を把握し、それでさっさと処理する子が現れます。
そのようにして正解は出せるのですが、意味はわかっていません。
こんなことを、なぜ学習したのか?
なぜこんな問題が出題されるのか?
それは、全く理解していません。

意味を理解すると、これは面白いのです。
-20㎏の増量は、20㎏の減量。
確かにそうだなあ。
じゃあ、体重が1㎏増えたときは、「-1㎏減りました」って言えばいいんだ。
1万円赤字のときは、「-1万円の黒字です」って言うんだ。
面白い。
ひねくれた言い方で、面白い。
そうした言い換えを面白く感じ、頭に沁みていくなら、それが頭の中の数理の体系に静かに組み込まれていくのです。


さて、とりあえず、このことは置いておいて。
「正負の数の加法」すなわち、たし算の学習に進みましょう。

正負の数のたし算の考え方の基本は、数直線上の移動です。
正の数は、原点よりも右に移動した点。
負の数は、原点よりも左に移動した点。

(1) (+3)+(+5)
これは、数直線上の原点から、まず右へ3移動した+3の位置から、さらに右へ5移動することを意味します。
右へ3移動し、さらに5移動。
だから、答は、+8。

(2) (+3)+(-5)
これは、数直線上の原点から、まず右へ3移動した+3の位置から、左に5移動することを意味します。
右に3移動した後、左に5移動。
結局、原点から左に2だけ移動したことになります。
だから、答は、-2。

(3) (-3)+(+5)
これは、数直線上の原点から、まず左に3移動した-3の位置から、右に5移動することを意味します。
左に3移動した後、右に5。
だから、答は、+2。

(4) (-3)+(-5)
これは、数直線上の原点から、まず左に3移動した-3の位置から、さらに左に5移動することを意味します。
左に3移動後、さらに左に5。
だから、答えは、-8。


これを理解できない子は、ほとんどいません。
教科書や問題集に書かれた数直線上にペン先を立てて、一所懸命右へ左へと移動させて、答を導いていきます。

そして、これが加法の本質であり、私は今もそれを頭の中でやっています。
頭の中の数直線で数を移動させています。
いちいち数直線を描いたり、数直線の目盛りを数えたりはしないだけで、頭の中に数直線のイメージは常にあります。
やり方だけ暗記する子は、おそらく、頭の中に数直線のイメージがないのだと思うのです。

なぜ、頭の中に数直線のイメージがないのか?
次の学習段階で、この計算方法のルールをまとめてしまうことも一因かと思います。
(+3)+(+5)=+8
(+3)+(-5)=-2
(-3)+(+5)=+2
(-3)+(-5)=-8

これからわかるルールは?
同符号のたし算の答は、その符号で、絶対値の和。
異符号のたし算の答は、絶対値の大きいほうの符号で、絶対値の差。

このルールの整理は、頭の中の数直線上の移動を円滑にするための補助に過ぎないのですが、これが学習のメインになってしまう子が大半です。
このルールを丸暗記し、そのルール通りの操作で以後は計算します。
そのため、
(+3)+(+5)=-2
といった、ありえないミスをする子が出てきます。
ルールを丸暗記して操作しているだけで実感はないので、そんな答の異常性には気づかないのです。
やり方だけ暗記している子にとっては、正の数どうしのたし算すら、実感を伴うものではありません。


さて、次に正負の数の減法に入ります。
(1) (+3)-(+5)
さきほど出てきた「言葉遊び」がここで生きてきます。
「+5をひく」ことは、「-5をたす」ことと同じです。
よって、
(+3)-(+5)
=(+3)+(-5)
=-2

(2) (-3)-(-5)
「-5をひく」ことは、「+5をたす」ことと同じです。
よって、
(-3)-(-5)
=(-3)+(+5)
=+2

正負の数の減法は、すべて加法に置きかえて計算できます。
この世にひき算は存在しない。
全て、たし算なのだ。
そのように意識を切り替えるのです。

理解していれば、何も問題はないのです。
しかし、丸暗記で済ませている子にとっては、そろそろ重荷が増してきています。
上のような符号の操作も、丸暗記で済ますしかないのです。
-+は、+-に書き換える。
--は、++に書き換える。
というように。

だから、ミスが絶えません。
(+3)-(+5)
=(+3)-(-5)
=(+3)+(+5)
=+8
という謎の二度手間の誤答をこれまで幾度も見てきました。
(-3)-(-5)
=(-3)+(-5)
=-8
というミスも極めて多いです。
全て丸暗記による操作ミスです。
意味がわかっていたら、こんな誤答はしないのです。


練習を重ねて、丸暗記で操作できるようになっても、「正負の数」の学習は、さらにここから難度を上げていきます。
( )を外す操作がここに加わるのです。
+3は3のことなので、いちいち+は書かない。
-は省略できないので、-を書く。
+(-3)などは、-3 と表記する。
このようなルールで( )を外すようになると、それまで必死に丸暗記したことがまた崩れ始め、混乱を起こす子は多いです。

(+3)-(+5)
=3-5
=-2
これで正しいのですが、

(+3)-(+5)
=3+5
=8
と誤答する子に、「なぜ?」と問いかけても、意味を考えて解いていませんから、理由はないのです。
操作をちょっと間違えただけなのです。

慣れてしまえば、( )なんかないほうが見やすくて楽だ。
しかし、それはこの計算に習熟している大人の感覚。
中学1年生にとって、このあたりの計算は、全力の800m走並みの負荷がかかる難度であり、「たかが正負の数」ではないのです。


練習を重ねて、どうにか加減だけはできるようになっても、次は乗除の計算です。
符号のルールをまた丸暗記しなければなりません。
さらに加減乗除混合の四則計算に入ります。
もう、符号はぐちゃぐちゃです。


数学は、丸暗記で済ますには限界があります。
意味を理解しなければ、先はありません。
「正負の数」という単元で、何よりも学んでほしいのは、このことです。
意味を理解して学んでください。
頭の中に常に数直線をイメージし、実感で計算してください。


  


  • Posted by セギ at 15:35Comments(0)算数・数学

    2020年05月27日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞 what の慣用表現。




    関係代名詞 what は、慣用表現が多いことも特徴です。
    慣用表現は、覚えるしかありません。
    1つずつ見ていきましょう。

    ◎what is called または、what we call
    「いわゆる」という意味です。

    This music is what is called rap.
    この音楽は、いわゆるラップです。

    what we call は、文脈により、what you call や what they call という形でも使用されます。
    「いわゆる」というと、so to speak などの熟語もあります。
    言い換えは色々ある、ということも含めて、記憶しておきたい熟語です。


    ◎what S is
    「現在のS」という意味です。
    これは慣用表現というよりも what の普通の用法なのですが、最初にこの用法の文を見たときに意味をとれない高校生は多いので、一応ここで解説します。

    His mother has made him what he is.
    彼の母が、彼を今日の彼にした。

    時制を過去にすれば、「過去のS」という意味になります。

    This town is a diffrent place from what it was ten years ago.
    この町は、10年前とは違う場所だ。

    This town is a diffrent place from what it used to be ten years ago.

    この文も同じ意味です。
    過去の状態を表す熟語の助動詞 used to を用いた文です。


    ◎what is more 「さらに、そのうえ」
     what is worse 「さらに悪いことには」
     what is more surprising 「さらに驚くことに」
    what is more important 「さらに重要なことに」 など。 

    His power is absolute, and what is more, hereditary.
    彼の権力は絶対的なものであり、そのうえ、世襲によるものである。

    We got lost in the dark and, what was worse, it began to rain.
    私たちは暗闇で道に迷い、さらに悪いことには、雨が降り出した。

    上の2文を見て気づくかと思いますが、カンマ(,)と and の位置関係は、どちらでも大丈夫です。
    基本、文の途中にカンマ・カンマでこの慣用表現を挿入します。
    1文目をいったん終わらせて、2文目の冒頭に置くことも可能です。


    このあたりまでは何とか覚えている人も多いのですが、この先になると、
    「そんなのありましたか?」
    と秀才まで言い出すことがあるので、がっかりするところです。
    この先こそ、理解していないと、全く対応できなくなるので気合を入れて覚えましょう。


    ◎what little +名詞 「少ないながらもあるだけの~」

    He gave her what little money he has.
    彼は、少ないながらもあるだけのお金を彼女にあげた。

    これも、慣用表現とすることには異論があると思います。
    正しくは、この what は、関係形容詞と呼ばれるものです。
    名詞を修飾するのが、形容詞。
    だから、名詞を修飾しつつ関係詞の働きをしているものは、関係形容詞です。
    でも、そうした文法分析が面白い人はそれでいいですが、もう勘弁して・・・という人は、これも慣用表現として覚えてしまって構わないと思います。

    little のない用法もあります。

    He gave me what help he could give.
    彼は、できる限りの援助を私に与えてくれた。

    「what+名詞」=「all the+名詞+that」と把握できます。

    後ろに名詞のつかない用法もあります。
    その場合は関係形容詞ではなく、関係代名詞です。
    これの基本は、what =anything that です。

    What I have is yours.
    私の持っているものは全てあなたのものです。

    この例文の what は、後に学習する whatever に置き換えることができます。
    とりあえず、これらの what には、「すべての」という意味がこもっているという把握で乗り切りましょう。


    さて、以下の2つは、これまで以上にガチの慣用表現です。
    覚えていないと文の構造を把握できません。

    ◎what with A and (what with) B 「AやらBやらで」

    What with the wind and the rain, our walk was spoiled.
    風やら雨やらで、私たちの散歩は台無しだった。

    そもそも日本語の「AやらBやらで」の意味がわからない、聞いたことがない・・・という高校生は多いですが、こういうのは死語ではなく、文語表現です。
    自分は知らなくてもこの世に存在する正しい日本語なのだという意識をもって覚えてください。
    「AやBのせいで」という意味です。


    ◎A is to B what C is to D 
    「AとBとの関係は、CとDとの関係と同じだ」
    「BにとってのAは、DにとってのCと同じだ」

    Reading to the mind what food is to the body.
    精神にとっての読書は、肉体にとっての食べ物と同じだ。

    これを学習すると、
    「何かそういうのを前に勉強した気がする・・・」
    と言う高校生がいます。
    え?
    言い換え表現がありましたっけ?
    私はピンとこないので授業が停滞するのですが、よくよく聞くとその生徒の頭の中にあるのは、「クジラ公式」のことだったりします。
    それは、全然違うので、結びつけないでください。
    クジラ公式は、
    「クジラが哺乳類なのは、馬が哺乳類なのと同じだ」
    というのが有名な例文です。
    「哺乳類にとってのクジラは、哺乳類にとっての馬と同じだ」
    ではありません。

    関係ないことが頭の中で結びついてしまうのは脳の働きの1つで、脳としてはそれで知識を安定させたいらしいのです。
    そういう錯誤にも気をつけましょう。

    慣用表現は、覚えているかいないかの問題。
    学校の文法テキストでは、最後のほうに列挙してあるので、まあこれはいいや・・・と捨ててしまい、テストにがっつり出て後悔した人は多いと思います。
    あるいは、テストに出ていても、それが文法のテスト範囲の慣用表現だと気づかず、熟語集などの他のテスト範囲から出題された問題なんだろうと誤解して済ませてしまうために、テスト対策の姿勢が改められない、という人もいると思います。

    学校からは、文法テキストとセットで、似たような表紙のぶ厚い文法の参考書が配布されていると思います。
    そうした参考書のボリュームと比べれば、文法テキストは薄いのです。
    もともと薄いのに、見開きの左側は解説ページ、右側は問題ページという構成になっているものが多く、解説は厳選され絞り込まれています。
    そこに載っているのは、文法のエッセンスです。
    どんなに小さな字で書かれていても、全て重要事項です。
    捨てて良い箇所は1つもありません。

    しかし、参考書の存在を忘れ、文法テキストだけを見る人は、その中でも重要な箇所とそうでない箇所とを選別しようとします。
    そして、そのような判断をする人は、重要箇所と、中学の文法の復習箇所とを混同しがちです。
    自分が知っていることだから重要な気がする・・・という錯誤を起こしてしまうようです。
    中学の文法の復習は、それは基本ですから、重要です。
    しかし、そこから一歩も先に進まず、中学の復習以外は全て些末なことで、覚えなくてもいいや、テストにはたぶん出ないよ・・・という判断で大丈夫でしょうか?
    絶対ダメですよね。
    でも、テスト前になると、そんな錯誤をしてしまうのです。

    学校の文法テキストに載っていることで、自分の知らないこと、初耳のことが全てテストに出る。
    そこが重要。
    そのように意識を変えて勉強してください。

    what の慣用表現は、テストに出て当たり前のことばかりです。

      


  • Posted by セギ at 14:25Comments(2)英語

    2020年05月25日

    高校数Ⅰ「因数分解」の難問。



    高校数学には、普通の高校では授業では扱わない発展的な公式があります。
    あるいは扱っても「こんなのも一応あります」と紹介される程度で定期テストには出ないのです。
    その高校の先生の考え方によるのでしょう。
    高校1年の段階では、これは必要ない。
    文系・理系にコースが分かれた後、理系クラスだけの数ⅠA演習といった授業では扱う学校もあります。
    あるいは、高校1年の最初に、もう全部教えてしまう学校もあります。

    今回は、そんな公式の話。
    例えば、こんな問題です。

    問題 次の式を因数分解せよ。
    x3+y3-6xy+8

    うん?
    一見単純そうですね?

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y)(x2-xy+y2)-6xy+8

    ・・・・あれ?この先、進まない。
    では、xで括ってみましょうか。

    x3+y3-6xy+8
    =x(x2-6y)+y3+8
    =x(x2-6y)+(y+2)(y2-2y+4)

    ・・・・あれ?やっぱり共通因数が見つからない。
    うーん?

    さらに頑張ってみましょう。
    最後の8は、2の3乗とみることができます。
    3乗の項が3つある・・・。
    これは、やはり、3乗の公式にからんだ何かが使える気がします。

    3乗の公式について、もう少し考えてみましょうか。
    高校で学習する3乗の公式に、こういうものがあります。
    (a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
    これは、左辺と右辺をひっくり返してから部分的に移項することで、
    a3+b3=(a+b)3-3a2b-3ab2
    と変形することができます。
    これを利用してみましょう。

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y)3-3x2y-3xy2-2・3xy+8
    順番を入れ替えながら、共通因数でくくってみましょう。

    =(x+y)3+23-3xy(x+y+2)

    ここで、x+y=A と心のなかで見立てながら、しかし、もう中学生ではないので、Aは使わずにくくっていきましょう。
    今度は、a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2) という公式を使います。

    =(x+y+2){(x+y)2-2(x+y)+4}-3xy(x+y+2)

    共通因数 x+y+2 が見えました!
    くくります。
    ついでに{ }の中は適宜計算し整理します。

    =(x+y+2)(x2+2xy+y2-2x-2y+4-3xy)
    =(x+y+2)(x2+y2+4-xy-2y-2x)

    できたー!
    でも、大変だった・・・。

    こんなの自力で発想できない・・・。
    そんな声が聞こえてきます。
    確かに。

    実は、これ、発展的な公式を利用すれば、1行で因数分解は完成するのです。
    考え方は上と同じで、それを公式として固定化しているものがあるのです。


    その前に、まず基本的な因数分解の公式を確認します。
    因数分解の公式は、中学3年生で学習するものは、以下の通りです。
    a2+2ab+b2=(a+b)2
    a2-2ab+b2=(a-b)2
    x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)
    a2-b2=(a+b)(a-b)

    高校1年、つまり数Ⅰで新しく学習するものは、

    acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)

    いわゆる「たすきがけ」の公式です。

    さらに、本当は数Ⅱの学習内容とされているけれど、一緒に学習してしまおうということで、多くの高校は、以下の公式も高校1年で学習します。

    x3+y3=(x+y)(x2-xy+y2)
    x3-y3=(x-y)(x2+xy+y2)
    x3+3x2y+3xy2+y3=(x+y)3
    x3-3x2y+3xy2-y3=(x-y)3

    しかし、因数分解の公式は、他にもあります。
    発展的な重要公式として有名なのは、以下の2つ。

    a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)2

    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)

    問題に戻りましょう。
    x3+y3-6xy+8

    これは、上の公式の、
    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)
    を利用できます。
    公式のaが上の問題でxにあたります。
    bがy。
    cが2。
    だから、-3abcは、-6xy。
    この公式を利用すれば簡単に因数分解できるのです。

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y+2)(x2+y2+4-xy-2y-2x)

    できたー。
    公式を知っていると、早いですね。


    では、こんな問題はどうでしょうか?

    問題 次の式を因数分解せよ。
    (x-y)3+(z-y)3-(x-2y+z)3

    これも、先ほど使ったのと同じ公式を利用できそうです。
    3番目の(  )の前のマイナスは、その(  )自体に-の符号がついているのだと思えば良いです。
    負の数の3乗は、負の数です。

    でも、公式は、左辺に-3abcがあるけれど、この問題は、3乗の項が3つあるだけ・・・。
    そこも、頭を柔らかく。
    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca) は、
    a3+b3+c3=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)+3abc
    と変形できます。
    そして、この形が案外使いまわしが効くのです。

    とはいえ、最後の+3abcの部分がはみ出すので、因数分解は完成しないのでは?
    本当にこれを利用して良いのかな?
    ちょっと不安になってしまいます。
    特に後半の長い(   )の部分を書いていくのは大変そうで、これで解けないのならやりたくない作業です。
    しかし、ここでためらい、やらずに済ませてしまうと、この問題は解けません。
    無駄に思えても思考錯誤は必要。
    他に策があるわけでもないのなら、思いついた策を試してみることが大切。
    やってみましょう。

    (x-y)3+(z-y)3-(x-2y+z)3
    ={(x-y)+(z-y)-(x-2y+z)}(・・・・・・・
    =(x-y+z-y-x+2y-z)(・・・・・・・

    ここまで書いて、気づくのです。
    最初の( )は、計算すると0になる!
    0に何をかけても0なので、公式の( )(     )の部分は全部0になって消えます。
    だから、+3abcの部分だけが残るのです。
    3番目の( )の前にマイナスがついていることに気をつけて、+3abcの部分を書いていくと、

    =-3(x-y)(z-y)(x-2y+z)
    =3(x-y)(y-z)(x-2y+z)

    できたっ!
    こうなると、単に公式を知っているかどうかだけではなく、その公式を利用するかどうか決断を迫られるところにちょっとワクワクしますし、ごちゃごちゃした部分が一気に消える爽快感もあって好きなタイプの問題です。

    発展的な公式に関するお話でした。
    覚えて使ってください。



      


  • Posted by セギ at 15:33Comments(0)算数・数学

    2020年05月22日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞 what の用法。


    今回は、関係代名詞 what の用法です。
    まずは、こんな2文から。

    They couldn't believe the things. They saw the things.

    この2文を、「彼らは、自分たちの見たものを信じられなかった」という文にしたいとき。
    1文目と2文目の the things が同一のものですから、これを先行詞とすることができます。

    They couldn't believe the things which they saw.
    彼らは、自分たちの見たものを信じることができなかった。

    これはこれで正しい英語です。

    これを言い換えることができるのが、関係代名詞 what です。
    what は、「ものごと」という意味の先行詞を含みこんでいる関係代名詞。
    だから、先行詞なしで使います。

    They couldn't believe what they saw.
    彼らは、自分たちの見たものを信じられなかった。

    what は、文にあわせて「もの」や「こと」と訳すと自然な日本語になります。

    what = the thing(s) which
    この把握で基本は理解できると思います。


    もう1つ例文を見ましょう。

    What he says is different from what he does.
    彼の言うことは、彼の行うこととは異なる。

    言うこととやることが違う。
    彼は言動不一致の人なのですね。
    冒頭の what he says という関係代名詞節全体が主節の主語の働きをしています。
    後半の what he does は from という前置詞の目的語の働きをしています。


    関係代名詞の what は、疑問詞と区別がつかず混乱する人がいます。
    もともと、関係詞と疑問詞はどれも同じ見た目です。
    同じ単語の使いまわし感が強い。
    それでも、先行詞がある場合はそんなに疑問文っぽくなかったので混乱しなかった人も、what があまりにも疑問詞の印象が強いので混乱するようです。
    その混乱は理由のある混乱です。

    what を用いた文は、間接疑問文との区別がつかないことがあるのです。

    Tell me what you want.

    この文をどうとらえるか?
    今回学習した、関係代名詞ととらえるなら、この文の意味は、
    「あなたの欲しいものを私に教えて」
    となります。

    中3で学習した間接疑問文ととらえるなら、
    「あなたが何が欲しいのか、私に教えて」
    となります。

    ・・・あれ?
    それは、同じ意味ですね。
    だったら、別にどちらでもいいでしょう。
    そんなわけで、関係代名詞でも間接疑問文でも、どちらにとってもいいよ、という場合が大半です。


    しかし、それでは困る場合もあります。

    He asked me what I expected.

    これを関係代名詞ととらえるなら、
    「彼は、私が予期したことを尋ねた」
    という意味になります。
    こういう質問をしてくるだろうなあと予期していた通りのことを尋ねてきた、という意味です。

    これを間接疑問文ととらえるなら、
    「彼は、私が何を期待しているのかを尋ねた」
    という意味になります。
    おまえは何を期待しているんだね?と彼に尋ねられた、という意味です。

    これは意味が違います。
    見た目が同じなのに、意味が違う。
    どうしたらいいのでしょう?
    文章ならば、文脈判断です。
    前後から判断して、どちらの意味なのかをとらえます。
    会話ならば、疑問詞の what は強く発音され、関係代名詞の what は弱く発音されます。


    what という関係代名詞がわかりにくいのは、このように間接疑問文との混同が起こりやすいことが第一です。
    しかし、再三述べているように、高校で新出の文法事項をそもそも覚えていないので、
    「関係代名詞に what なんてあったっけ?」
    という人もかなりいると思います。
    what は、長文読解問題の中で普通に使われますから、知らないと困るのです。
    そのように話しても、浮かない顔をするばかり。
    「脳のメモリーはもうパンパンで、新しいことなんて入らない」
    という愚痴も聞こえてきます。

    ・・・そんなわけ、ないんですよ。
    まず、その認識を改めてほしいのです。
    脳のメモリーは、安物のガジェットのそれとは違います。
    脳の記憶容量は無限といって構わないほど大きいのです。
    英文法や英単語はもう頭に入らない、覚えられない、と言っている人も、新しいアニメのタイトルや登場人物はすぐに覚えるじゃないですか。
    新しいバンドや歌手の名も曲名も正確に覚えるじゃないですか。
    そして、
    「最近のバンドは、どっちがバンドの名前でどっちが曲名かわからない」
    と、もしも私が言ったら、「おばさん・・・」と揶揄するじゃないですか。

    私は、新しいアニメのタイトルも登場人物も、覚えないです。
    新しいバンドの名も、もう覚えないかもしれません。
    それは、興味がないからです。
    脳のメモリーがパンパンだから、ではありません。

    だから、英文法や英単語を覚えない人も、脳のメモリーがパンパンだから、ではないのです。
    興味がないのでしょう?

    気持ちはわからなくはありません。
    でも、そこは理性で乗り越えましょう。
    英語ができないままで、どうするんですか?

    本当に英語が必要ないのなら、それでいいと思います。
    大学に行く気はない。
    将来的にも、英語が必要な職業につくことはない。
    だから、自分には英語は必要ない。

    そのようにスパッと割り切れているのなら、それでいいのです。
    でも、現実はそうではない。
    大学には行きたいと思っている。
    英語の成績が上がったらいいなあと思っている。
    英語が聞き取れたり、読めたり、話せたりしたらいいなあと思っている。
    将来、英語を使う予感がする。
    でも、興味がもてない。

    それならば、とりあえず、それを脳の容量にせいにするのは、やめましょう。
    興味をもてば、覚えられるのです。

    しかし、どうしたら興味をもてるようになるのかは、難しいことです。
    例えば私が、どうしたら今さらテレビアニメに興味がもてるようになるかと、しばらく考えてみました。
    そして、どう考えても興味がもてるようにはならないだろう、という結論に達しました。
    私はアニメ第一世代ですから、アニメーションについて、何も知らないというわけではないのです。
    今も『未来少年コナン』の再放送を見ています。
    ひー、懐かしい、やめてくれー、とつぶやきながら。
    家庭にビデオデッキもなかった時代で、一度しか見ていないアニメを、なぜこれほど覚えているのだろう。
    十代の記憶力というのは本当に薄気味悪いくらいに凄いな、と感じながら。

    私が『未来少年コナン』に対してそうであったように、今作られている新作のテレビアニメを、一度で何もかも目に焼き付けるほどに集中して見ている若い子たちは多いと思います。
    その人たちにとって、それがどれほど大切なものであるかは、自分の十代の頃を思えば、よくわかるのです。
    だから、アニメというジャンルを否定する気持ちは全くない。
    でも、私は、今のテレビアニメには、もう興味はもてないのです。

    ただし、もしも仕事上それが必要なことになれば、話は別です。
    仕事で必要なら、アニメを見るし、覚えるべきことは覚えると思います。


    えー?
    ・・・そういうことじゃないじゃん、アニメは。
    それなら見てもらいたくないよ。

    そんなふうに言わないで。

    私は、もしも中学生や高校生が、
    「英語なんか好きじゃないけど必要だから勉強するし、覚える」
    と言ったときに、そういうことじゃないじゃん、とは思いません。
    それでいいよ、と思います。
    そこから始まる何かが必ずありますから。
    英語は、面白いですから。
    ほれぼれするような簡便さと合理性。
    それでもじわじわとにじんでくる歴史性。

    必要なことは、やりましょう。
    必要なんですから。
    英語を覚えることは、必要なことです。
    そのように認識したとき、きっと、前よりは覚えやすくなると思います。

      


  • Posted by セギ at 20:51Comments(0)英語

    2020年05月20日

    高校数学。開平法。平方根のおよその大きさが必要なときに。




    数学の問題を解いていて、平方根のおよその値が必要なときがあります。
    そんなとき、どうしましょう?
    今回は、そんな問題について考えてみましょう。


    問題 √19 の整数部分をa、小数部分をbとするとき、a2+b2の値を求めよ。

    これは、aの値がわからないと解けないです。
    √19って、整数部分はいくつなんだろう?
    √2=1.41421356・・・・
    など、語呂合わせで覚えている数は、せいぜい√5までの人が大半だと思います。
    √19って、どれくらいでしょう?

    実は、これは中学3年生で学んでいるのです。
    まず、整数に直せる平方根との大小を比べます。
    √16<√19<√25
    ですね。
    これを、√18<√19<√20
    と書いてしまう人がいますが、そういうことではなく、整数に直せる平方根でなければ意味がありません。
    また、一番値の近いものを書くことも必要です。
    √4<√19<√36
    では、意味がありません。

    √16<√19<√25
    これを整数に直すと、
    4<√19<5
    よって、√19は、4と5の間にある数、つまり、4.・・・と表される数とわかります。
    ゆえに、整数部分 a=4です。
    さて、bは、無限に続いていく小数なのにどうするのでしょう?
    心配いりません。
    b=√19-4 と表せば良いのです。

    この問題が解けない中学3年生は、この発想を持てないことが多いです。
    「b=√19-4 なんて書き方で、いいの?」
    と不安そうに言います。
    あるいは、
    「そんなの自分で思いつかない」
    と落ち込んでしまう子もいます。

    数学者ではないので、こんなことをゼロから自力で発想できなくてもいいです。
    この解き方をテクニックとして自分のものとしておけば大丈夫です。
    「自分には数学の才能がない」「勉強しても意味がない」と落ち込む必要はありません。
    2つの値の和がわかっているとき、一方は他方の数を用いて差で表すことができる。
    こうしたことをテクニックとして学び、以後、他の問題で活用できれば良いのです。

    さて、問題に戻って、
    a2+b2
    の求め方は大丈夫でしょうか?

    これくらい単純なら、このままの形で代入してもスピードも精度も変わりません。
    a2+b2
    =42+(√19-4)2
    =16+19-8√19+16
    =51-8√19

    これでも良いですが、もっと複雑な問題になったときのために、対称式を利用した解き方も思いだしておきましょう。

    a2+b2
    =(a+b)2-2ab
    ここで、a+bというのは、何のことはない、√19そのものです。
    =√192-2・4(√19-4)
    =19-8√19+32
    =51-8√19

    同じ答えになります。

    「答えに√19が残っていいの?」
    と質問した子がかつていました。
    「え?どういうこと?」
    「√19が残ったらダメなんじゃないの?」

    答に平方根が残ったらダメだなんて問題には書いてないのですが、そうした謎の思い込みに苦しむ子もいます。
    何は良くて、何はダメなのか、学年が上がるにつれ、そうしたことで悩む子が増えてきます。
    本質を理解していないのに解き方だけ丸暗記して表面をとりつくろってきたツケが、いよいよ回ってきたのだと感じます。
    本人の頭の中に数理の体系が存在しないので、自分で判断できないのです。
    おそらく小学校の算数の頃から、いちいち理解するのが面倒くさいので、やり方の丸暗記で済ませてきた。
    そのまま中学生・高校生になり、気がつくと、理解したくても理解できなくなっていた。
    案外頭の回転が速く、楽できる方法をついつい探してしまう子にこのタイプが多いのです。


    平方根のおよその大きさが必要な問題には、連立不等式もあります。
    問題 以下の連立不等式の解の範囲を求めよ。
    x2-x-8>0   ・・・①
    8x2-19x-27<0 ・・・②

    計算過程は今回は省略します。
    ①より
    x<1-√33 /2 , 1+√33 /2<x 
    ②より
    -1<x<27/8

    ここまで順調に解いて、数直線上にそれぞれの範囲を記していく際に、あれ?と思います。
    1-√33 /2 と-1って、どちらが大きいの?
    1+√33 /2 と27/8って、どちらが大きいの?
    それがわからないと、数直線上に記すことができません。

    まずは、1-√33 /2 と-1を比べましょう。
    両方を2倍して、
    1-√33 と-2。
    両方から1を引いて、
    -√33 と-3
    それぞれを2乗すると、
    33と9。
    負の数は、絶対値が大きいほうが小さい数ですから、
    -√33<-3
    よって、1-√33 /2<-1

    しかし、このように丁寧に計算していくスペースが答案用紙や計算用紙に存在しない、ということが数学のテストの場合、起こります。
    そもそも、数学の解答スペースの使い方が下手な子は、高校数学の問題を解いていて、途中でスペースがなくなってしまいます。
    解答スペースの上から2㎝ほども下がったあたりから、1㎝四方ほどの大きな字で答案を書き出し、書くスペースがなくなり、その問題は解けなくなって終了、という子がかつていました。
    それは極端な例ですが、こんなどうでもいい計算に解答スペースをあまり使いたくないものです。
    この程度のことは、暗算できれば何よりです。
    √33は、5<√33<6。
    大体6として、1-6は-5。
    それを2で割るから、1-√33 /2は、約-2.5。
    だから、-1よりは小さい。

    一方、1+√33 /2と27/8の大小は?
    √33は6より少し小さい数。
    だから、1+√33は7より少し小さい数。
    1+√33 /2は、3.5より少し小さい数。
    一方、27/8は、27÷8だから、3.3・・・。
    あれ、あまり差がないなあ。
    これで1+√33 /2のほうが大きいとするのは危険です。
    やはり、こういうときは、しっかり計算するしかありません。
    両方を2倍して、
    1+√33と27/4
    両方から1を引いて、
    √33と23/4
    両方を2乗して、
    33と529/16
    529/16=33+1/16
    うわ、27/8のほうが大きかったのですね。

    それぞれを数直線に記して、重なっている部分がこの連立不等式の解ですから、
    1+√33 /2<x<27/8。

    あー、大変だった。


    それでも、大小の判断だけならこれで何とかなるのですが、一番厄介なのが、数Ⅰ「データの分析」です。
    標準偏差は、平方根になります。
    高校の定期テストや入試問題で、それを何のヒントもなく小数を用いた表記に直させるようなことはありませんが、問題集などで自分で問題を解いている際に、模範解答で平方根がスルッと小数に直っているのを見て、「何で?」と思ったことはありませんか?
    小数第2位まで、平然と小数に直しているけれど、どういうこと?
    どうやるの?

    やり方は3つあります。
    まず1つ目は、「平方根表」を使用する方法。
    三角比の表と似たような見た目の「平方根表」というものがあります。
    中3向けの問題集の巻末などに載っています。
    例えば、「体系問題集・代数2」など。
    その表で読み取ります。
    大学入試共通テストは、今のところ、問題がそれを必要としている場合は「平方根表」を添付してくれるようです。

    2つ目。
    電卓を使用する。
    √ のボタンのついている電卓なら、すぐに平方根の値が出てきます。
    √ のボタンのない電卓でも、それなりの値段の電卓、あるいはスマホの電卓アプリならば、平方根を計算するやり方があります。
    多少複雑なボタン操作になりますので、説明書をよく読んで使用しましょう。
    ただし、テスト中は電卓・スマホは使用できない場合がほとんどですね。

    3つ目。
    「開平法」で筆算する。
    平方根は、筆算で小数に直すことができます。
    一番上の画像がその計算です。

    上の画像は、√13 を計算したものです。
    まず、13より少し小さい平方数(何かの2乗の数)を考えます。
    3×3=9ですね。
    その3を、√13の横に書き、平方数の9を13の下に書いて、引きます。
    引いた答えは、4となります。
    これに小数点以下の2桁分を加え、400とします。
    3は、真下にも3を書き、足します。
    3+3=6 となります。
    この6が十の位となります。
    次に、6☐×☐の答えが、400より少し小さくなる数を探します。
    ☐は6ですね。
    66×6=396を400の下に書いて、引きます。
    答えは4です。
    66の下に、見つけた6を書いて、足します。
    72となります。
    これを繰り返し、見つけた数を順番に√13の上に書いていくと、それが√13を小数に直した数となります。

    これを開平法、あるいは開平計算と言います。
    なぜ、こんな方法で計算できるのか?
    大体のイメージを説明しましょう。
    √xという数を開平法で計算するとします。
    まず、2乗してxより少し小さくなる数を見つけ、それをaとし、
    √x=a+b
    と表すとします。
    上の√13の例で言えば、x=13、a=3 です。
    √x=a+b を2乗しましょう。
    x=(a+b)2
    x=a2+2ab+b2
    移項します。
    x-a2=2ab+b2
        =b(2a+b)
    次に、x-a2の値より少し小さくなるb(2a+b)を満たすbを探します。
    上の図で、bは0.6です。
    2a+b=6.6、そして、b(2a+b)=3.96です。
    以下、これの繰り返しで割り進めていきます。

    正確な証明ではありませんので、今の説明で、パッとひらめくものがあればそれで良し、わからなかったら、もうそれはそれでいいというくらいに気楽に受け取ってください。
    開平法は、必ず身につけなければならないというものではありません。
    こんな方法もありますよ、というお話でした。
      


  • Posted by セギ at 11:25Comments(0)算数・数学

    2020年05月18日

    高校英語。前置詞と関係代名詞。


    まずは、以下の2文を1文にしてみましょう。

    This is the office. I work in the office.

    「これが私が働く職場です」という文を作りましょう。
    1文目の the office と、2文目の the office が同じものですから、これが先行詞となります。
    先行詞が人以外なので、which を使いましょう。

    This is the office which I work in.

    2文目の the office が、関係代名詞 which になり、先行詞の直後にきました。
    その後は、2文目の残りを普通の順番で続けます。
    関係代名詞を使った文を作るときの、基本ルールですね。
    which をthat に置き換えることもできます。

    This is the office that I work in.

    前置詞のことを無視しがちで、何かと前置詞を書き忘れる人は、この最後の in を忘れがちですが、これは省略できません。
    繰り返します。
    前置詞は、省略できません。
    まず、ここまで、大丈夫でしょうか?
    ここから、さらにこれのバリエーションの解説を始めます。

    この関係代名詞 that や which は、「前置詞の目的語」です。
    目的格の関係代名詞は省略可能。
    だから、これらの関係代名詞も省略できます。

    This is the office I work in.

    これも、正しい英語です。


    ところが、別の語順も考えられます。
    意味のまとまり(句)は、in the office です。
    句としてのまとまりを大事にするなら、in the office は、 in which となり、そのまとまりごと先行詞の直後に置くことも可能です。

    This is the office in which I work.

    これも正しい英文です。
    こちらのほうが、文法的にガチガチに正しい書き言葉です。

    なお、 in which は、in that に書き換えることはできません。
    これは、重要です。
    in that は、「~の点において」という意味の接続詞の用法ならばあります。
    それは、関係代名詞ではありません。
    他の前置詞の場合も、前置詞+関係代名詞という形で that を使うことはできません。
    that は万能ではない。
    使ってはいけない場合もあるのです。

    ここまで、4つの文が全て同じ意味であり、英文として正しいことを説明しました。
    まとめます。
    This is the office I work in.
    =This is the office that I work in.
    =This is the office which I work in.
    =This is the office in which I work.

    この4つの文は、上の文ほど口語的(話し言葉)で、下へ行くほど文語的(書き言葉)になります。


    さて、では、これから書く文は、正しい英語なのか、そうではないのか。
    どうでしょうか?

    I found the key for which my mother had been looking.
    母が探していた鍵を私は見つけた。

    この文は、間違いです。
    正しくは、
    I found the key which my mother had been looking for.

    なお、which は省略しても構いません。

    ルール通りに英文を作ったはずなのに、前のほうの文はなぜ間違いなのか?
    これは、前置詞が、どの単語と緊密に結びついているかによるのです。

    一番上の文では、in the office が意味のまとまりです。
    前置詞から始まるので、前置詞句と呼ばれます。
    しかし、今回の for は、for the key という前置詞句を作っているわけではありません。
    この for は、動詞 look との結びつきが強いのです。
    look for で、「探す」という意味の熟語です。
    動詞+前置詞などの形で、その動詞本来の意味とは別の意味を作っているものを「群動詞」と呼びます。
    look for は、群動詞です。
    群動詞の一部である前置詞の場合、関係詞につられてふわふわと前に行ったりはしないのです。
    動詞の側にいないと意味が壊れて、伝わらなくなってしまうからです。

    群動詞かそうじゃないかは、どうやって見分けるの?

    そんな質問があるかと思いますが、究極のところ、それは知識です。
    look for が、look(見る)とは異なる意味の熟語、すなわち群動詞であると判断できるのは、その知識があるからです。
    その群動詞を覚えているかどうかです。
    熟語として覚えているから、その熟語を引き離してはいけないと理解できます。

    何だ、結局覚えないとダメなのかあ・・・。

    ため息をついた方もいらっしゃると思いますが、単語も熟語も、覚えないとダメなものはダメです。
    look for は中学で学習する熟語ですが、それでも覚えていない子は、覚えていません。
    テスト範囲だったときは何とか覚えて、テストが終わればすぐに忘れてしまうのです。

    英語でそのような学習習慣だと、学年が上がるにつれて本当にひどいことになります。
    定期テストは、跳びぬけて良いわけではないにせよ、そこそこの点は取っている。
    そういう場合、保護者の方は、子どもがそのような学習習慣に陥っていると気がついていないことがあります。
    中学生の間は、目に見える形では、危機が露呈しません。
    ひどいことになっていると気がつくのは、多くの場合、高校2年。
    校外模試や学力テストで、英語の偏差値が極端に低いことを初めて目にし、愕然とする保護者の方が多いです。
    あるいは、当然受かるだろうと思って受検を勧めた英検準2級や英検2級に筆記試験で不合格という事実に直面したとき。

    ただし、生徒自身はそのずっと前から状況にうすうす気づいています。
    自分が、中学生から全く英語力が伸びていないこと。
    単語も熟語も覚えていない。
    文法も、細かいところはよくわからない。
    それは本人には自覚があるのですが、定期テストの点数がそこそこなので、保護者は気がつかないのです。

    単語も熟語も、反復がものを言います。
    文法練習をたくさんやっている子は、その中で単語・熟語にも多く触れているので、少なくとも中学で学習した熟語は身についています。
    ただ、高校英語になると、覚えるべき熟語が大量なので、文法練習をやりながら身につけるということでは間にあわなくなっていきます。
    熟語は熟語で、整理して覚えていかなければなりません。
    暗記しましょう。
    英語は、ある程度時間を割いて勉強しなければ身につかない教科です。
    教科書だけとか、定期テストの範囲だけとか、視野の狭い学習にならないように気をつけて、反復してください。

    それを知り、実践してきた高校生と、実践しなかった高校生とでは、高校3年生では英語力に大差がつきます。
    大学入試問題に全く歯がたたない人と、普通に対応できる人と。
    高3になっても、英検2級の問題文の単語がほとんどわからない人と、英検準1級でも普通に正答でき、リスニングなら英検1級問題にも対応できる人と。
    私の実感では、中間層は少ないのです。
    できるか、できないか。
    その二択になってしまうのが英語です。
    その差は、才能よりも努力の差です。
    努力できることも才能だという見方をすれば、それも才能の差ではあるのですが。


      


  • Posted by セギ at 12:21Comments(0)英語

    2020年05月15日

    確証バイアスと計算ミス。



    ソーシャルディスタンスは2m。
    スーパーでもドラッグストアでも、レジの行列は一定の間隔で並ぶための線が床に貼られています。
    しかし、そのことに気づかず、すぐ後ろに並ぶ人がたまにいて、困惑することがあります。
    そんなとき、ちょっと後ろを振り返り、そのまま、さらに床に目を落とすと、床に貼られたテープに気づき、下がってくれる人もいます。
    知らない人との会話そのものにリスクがあるので、声を出す気にはなれません。
    こうした視線の動きで気づいてほしい。
    そう思うのですが、なかには全く気づいてくれない人もいます。

    先日、駅前の書店で買い物したときも、行列でやはりテープを無視して私のすぐ後ろに立った人がいました。
    その後、それぞれ別のレジで支払いを済ませたので、書店を出るのもほぼ同時になりました。
    ビルの3階にあるその書店から降りるエスカレーターで、その人は、わざわざ歩いてきて私のすぐ後ろに立ちました。
    私がちょっと歩いて距離を保とうとしても、またその人も数歩歩いて距離を詰めてくるのです。
    私の前には、別の人が立っていました。
    これ以上私が進んだら、今度は私が前の人に近づき過ぎてしまう・・・。
    普段なら特に何ということもない行動ですが、こういう時期にそれをやられると・・・。

    こうした人は、自分が間違った行動をとっていることに気づいていない可能性が高いのです。
    まさか、わざとやっているわけではないでしょうから。
    本人にもリスクのある行動です。
    私がもしも感染者だったら、どうするつもりなんだろう?

    むしろ、その人は、自分は正しいことをしていると思っていたかもしれません。
    行列は詰めて並ぶものだし、エスカレーターは後ろの人に迷惑をかけないようにどんどん歩くものだ。
    そう信じ込み、今の時期はそれが必ずしも正しいわけではないと気づいていなかったのだと思います。


    他人の振り見て我が振り直せ。
    「自分は間違っていない」と思い込んでいることはないか?
    自分のほうが間違っていることを示す情報が目の前にあるのに、気づいていないということはないだろうか?
    そんなふうに考えてみました。

    「確証バイアス」という言葉があります。
    自分が正しいことを証明する情報は目に入ってきやすいが、それを反証する情報は目に入りにくい。
    意識してのことではなく、本当に目に入らず、無視するそうなのです。

    だから、自分が間違っていても、間違っていると気づくのは難しい。
    確証バイアスは、学習面でも大きな課題です。


    数学の授業中、計算ミスをしているので、
    「そこ、間違っているんじゃない?」
    と柔らかく問いかけても、
    「間違ってません!」
    と即答する子が、かつていました。
    その子に、間違っていることを納得させるのには、他の子よりも時間がかかりました。
    計算ミスの箇所を指さしても、なかなかピンとこない様子でした。
    正しい答えを私が言ってもまだ「え?」と疑い深い顔をし、そこでようやく考え始め、1分ほども考えて、ようやく気づくのでした。

    滅多にミスをしない子なら、そのように自信家なのもわからなくはないのです。
    しかし、その子は、むしろ普通よりもミスの多い子でした。
    計算ミスの他にも、毎週のように何かしら忘れ物をしてくるので、授業がスケジュール通りにいかないこともありました。
    計算ミスが多いこと。
    忘れ物が多いこと。
    そうしたことを自覚していてもおかしくないのですが、本人は全く認めず、それを指摘するときょとんとした顔をしました。
    ありもしないことを指摘された、といった表情です。
    単にすっとぼけているだけなのか?
    うすうす気づいているのだが、認めたくなくて、知らない顔をしているのか?

    これがどうも、本当に気づいていないようなのでした。
    計算ミスが多いことも。
    忘れ物が多いことも。
    そして、自覚がないので対策も立てませんから、ミスが減ることもないのでした。

    これも確証バイアスの一種だったのかもしれません。
    自分がミスした事実は意識しないのです。
    ミスをしたことをすぐに忘れます。
    一方、他人のミスはよく目につき、記憶するようでした。
    他人はミスが多いなあと感じる。
    自分が10回ミスをしてもすぐに忘れるが、他人が1回ミスをしたことは、非常に印象深く記憶する。
    他人はよくミスをする、と感じる。
    他人と比べれば自分はそんなにミスをするほうではない。
    ミスをしやすい人ほど、案外本当にそう思ってしまうようなのです。

    しかし、それは事実とは異なります。
    学校で、家庭で、それを指摘されることはあったでしょう。
    あなたは、よくミスをするよ。
    あなたは、ミスが多いよ。
    自分の思う真実と、複数の他人が指摘する事実とが明らかに異なるのです。
    信念が脅かされます。
    「間違ってません!」
    という叩き返すような断定は、そういうところから発していたのかもしれません。

    計算ミスを防ぐには、計算ミスをしやすい事実を認め、どこで計算ミスをしやすいかを自覚し、対策しなければなりません。
    符号ミスをする。
    0と6をいい加減に書いて見間違う。
    かけ算やわり算の筆算をまっすぐに書いていくことができず、桁がズレる。
    7の段など、特定の九九を間違える。
    数字や文字を書き間違う。
    無理な暗算をする。
    そうした、自分がミスをする傾向と原因を把握し、意識し、そこに差し掛かったらスピードを落として慎重に事を運び、また、そこを重点的に見直すことが必要となります。
    1度はミスをしても、2度と同じミスをしないよう努力する。
    自分が何をミスしたかを記憶していることが、それを助けます。
    そうやって慎重にやっていても、睡眠不足だったり、疲れがたまっていたり、他に気になることがあって精神的に安定していなかったりすると、ミスは出ます。

    人はミスをするものです。
    それすらも認められない間は、ミスは減りません。

    「間違ってません!」
    と即答する子は、もう高校生になっていました。

    ある日、その子の定期テストの答案を見た後、改めて、私は問いかけました。
    「あなたは普通よりも計算ミスが多いし忘れ物が多いと私は思う。あなたはどう思う?」
    その子は、顔を歪めて否定しようとしましたが、その後、黙ってしまいました。
    「計算ミスが多いことを自覚しないと、その対策もできないですよ」
    「そんなことを認めたら・・・・」
    「うん?認めたらどうなるの・・・・?」
    「・・・・」
    返事はありませんでした。

    でも、私の指摘は、そのときその子に届いたのだと思います。
    認めることはできないけれど、その事実が自分の外側に存在することは自覚したのだと思います。
    それ以降、計算ミスを指摘すると、静かに見直すようになりました。
    計算ミスは、そう簡単には減りませんでした。
    しかし、忘れ物は目に見えて減りました。



      


  • Posted by セギ at 12:26Comments(0)講師日記算数・数学

    2020年05月12日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞 that の用法。


    関係代名詞 that は、中学でも学習します。
    ただ、中学では、who や which の代用ができる、ということしか教わらなかった人が多いかもしれません。

    確かに、that は who の代わりも which の代わりもできます。
    主格でも目的格でも使えます。
    万能感が強い。
    いちいち判断しなくて済むので、口語では多用されます。
    だから、もう何でも that を使おうと決めてしまった人もいたと思います。
    しかし、そのつもりでいたら、中学の定期テストの4択問題で選択肢に that が存在せず、絶望の淵に立たされた、という人もいたと思います。
    自分が that で済ますのは自由だけれど、他人は who も which も使います。
    使い分けは理解しておいたほうが良いのです。


    さらに、高校英語になると、that は、最優先で使うべき場合と、使ってはいけない場合を学びます。
    中学では学ばなかった細かいルールを高校では学んでいきます。

    今回は、that を最優先で使うべき場合について学習します。
    場合ごとに列挙していきます。
    以下の場合は、関係代名詞は、that を用います。


    ①先行詞が「唯一の」など特定の1つのものを表す修飾語を伴うとき
    This is the only suit that he has.
    これは、彼が持っている唯一のスーツです。

    先行詞(関係詞節に修飾されている名詞)の前に、特定の1つのものを表す修飾語があるときです。
    この文では、the only です。
    「唯一の」という意味です。
    こうした修飾語を伴う先行詞のとき、関係代名詞は that を用います。
    the only の他に、the first , the second , the last(最後の) , the very(まさにその) , the same(同じ) 、最上級の形容詞、などがあります。

    This is the hottest summer that we have had in seventy years.
    今年は70年間で最も暑い夏です。

    The first and the simplest emotion that we discover in the human mind is curiosity.
    人間の心の中で最初に見いだされ、そして最も単純な情動は、好奇心である。


    ②先行詞が「全」または「無」の意味をもつ修飾語を伴うとき
    Don't believe all the gossip that you hear.
    耳にする全てのうわさ話を信じてはいけない。

    先行詞の前に、all , every , any , little , no およびその合成語があるときです。
    上の文では、gossip が先行詞で、その前に all があります。
    そのため、関係代名詞は that が使われています。

    There was little that interested him at the exhibition.
    その展示会で、彼の興味をひくものはほとんどなかった。

    この文は、little の後ろに漠然とした「ものごとや情報」を表す先行詞があるはずですが、それが省略されているとみなすことができます。
    little がその先行詞を修飾しているので、その後ろの関係代名詞は that です。


    ③先行詞が人+人以外のものの場合。
    Look at that boy and the dog that are running over there.
    向こうを走っているあの男の子と犬を見て。

    この用法は、中学でも学習している人が多いと思います。
    上の文では先行詞が「男の子と犬」なので、who を用いても which を用いても不自然です。
    こういう場合は、that を用います。

    The men and manners that he describes will be unfamiliar to most of his readers.
    彼が述べる人間と風習は、大部分の読書にはなじみがないだろう。


    ④疑問詞が先行詞の場合
    Who that understands music could say his playing was good ?
    音楽のわかる人の誰が、彼の演奏を良かったと言えるだろうか。

    この文の主節は、
    Who could say his playing was good ?
    です。
    では、どんな who なのかというと、「音楽を理解している人」なのです。
    このように、疑問詞を修飾する関係代名詞節のときは、that を用います。
    先行詞は明らかに人間なのだから who を用いてもいいのではないかと思う人もいると思いますが、
    Who who understands music could say his playing was good ?
    は、さすがに口調が悪いと判断され、避けられます。


    ⑤先行詞が人の地位・職業・性格を表し、関係代名詞節の中で補語の働きをしている場合
    He is not the man that he was ten years ago.
    彼は10年前の彼ではない。

    これを2文に分けるならば、
    He is not the man. He was the man ten years ago.
    となります。
    1文目の the man と2文目の the man が同一人物ですから、それが先行詞と関係詞になります。
    2文目の the man は、2文目の中でC(補語)の働きをしています。
    なお、この that は which への言い換えは可能です。
    「え?人なのに?」
    と驚くかもしれませんが、who や whom での代用はできません。


    以上、that が優先的に使われる場合をまとめました。
    こういう細則は、学校の文法テキストでは小さい字で書かれていたり、別枠のコラムなどでまとめられています。
    「じゃあ、そんなに重要じゃないんだな」
    と思ってしまい、覚えないでいると、定期テストで後悔します。
    基本の理解を重視するタイプのテスト問題を作る先生でも、上の①~③は、テストに出します。
    少し難しい問題を作る先生ならば、④も⑤もテストに出します。
    テストに出ないという判断そのものがまず誤りだと自覚してください。
    テストは、むしろこういうところが出るのです。

    また、英語表現Ⅱの演習テキストを勘で解いたら間違いだらけで、でもなぜ違うのかわからない・・・という人は、こういうところを覚えていないために間違ってしまう場合が多いのです。
    4択問題なのだから確率的には25%は正答できるはずなのに、10%も正解にならない・・・という人は、細則を重視した文法の総復習をすると疑問が晴れてスッキリします。

    「こんなのどうせテストに出ないよ」
    というのは、バイアスのかかった認知です。
    テストに出ないと思ったほうが覚えなくて済むので楽だ、という気持ちが根底にありませんか?
    高校生になれば、そうしたことも客観視できるはずです。

    これは、テストによく出ます。
    そのつもりで覚えましょう。

      


  • Posted by セギ at 12:32Comments(0)英語

    2020年05月08日

    イコールの意味に気づいていますか。


    例えば、こんな計算問題を小学生が解くとき。

    25+(15-3)×2+18÷3-2

    四則計算の問題です。
    計算の順序は理解できているのに、答案が以下のようになってしまう子がいます。

    25+(15-3)×2+18÷3-2=12×2=24+25=49+6=55-2=53

    答 53

    大人が見るとかなり異様な式なのですが、その異様さが、小学生にはわからないようなのです。
    25+(15-3)×2+18÷3-2
    という式の、どこを先に計算するかというと、まずは( )の中です。
    ( )の中は、12。
    その12×2を次に計算します。
    だから、
    25+(15-3)×2+18÷3-2=12×2
    と書いてしまうのです。
    12×2の計算の結果は、24。
    その24と、最初の25をたします。
    だから、
    25+(15-3)×2+18÷3-2=12×2=24+25=49
    と書いているのです。
    その次にやるのはわり算。
    18÷3=6
    だから、49+6。
    この調子で、最終解答が出るまで式は続いています。

    「・・・イコールという記号は、その記号の左側と右側が等しいという意味です。等しくないものをイコールで結んだらダメなんですよ」
    そのように声をかけるのですが、こうした式を書いてしまう小学生は、大抵きょとんとした顔をします。
    このセンセイ、何を言っているんだろう?という顔です。
    算数のカラーテストでは90点以上の子でも、こんな計算過程の子はいます。
    そして、私が直しなさいと言えば、その場では直しますが、しばらく経って四則計算をすると、また同じことをやってしまいます。

    25+(15-3)×2+18÷3-2
    12×2=24
    25+24=49
    18÷3=6
    49+6=55
    55-2=53
    答 53

    小学生が上のような書き方をしているのなら、目くじらを立てることはありません。
    それがわかりやすいのなら、それでもいいのです。
    しかし、
    25+(15-3)×2+18÷3-2=12×2=24+25=49
    は、見ていて気持ち悪い。
    こんな間違った式を見ていたくない。
    やめてくれ。
    頼むからやめてくれ、と思います。
    その気持ち悪さが、小学生には伝わりません。

    なぜ、このような式を書いてしまうのでしょう?
    もしかしたら、彼らは、=(イコール)という記号の意味を理解していないのではないかと思うのです。
    イコールは、日本語では「等号」と呼ばれる記号です。
    左辺と右辺の値が等しいことを表す記号です。
    25+(15-3)×2+18÷3-2と、12×2は等しくありません。
    12×2と、24+25は、等しくありません。
    それを等号で結ぶことはできません。
    彼らは、それを理解していないのだと思うのです。

    彼らにとって、=(イコール)の意味は、「さあ計算しまーす」程度の意味なのではないかと想像します。
    12×2を計算しまーす。
    24+25を計算しまーす。
    その程度の意味で等号をとらえているのではないかと思います。
    =を「は」と読むことも多少は影響しているのでしょうか。
    等号の左側と右側が等しいとか等しくないとか、そんなことはどうでもいいらしいのです。
    計算過程を書いているだけなので、文句を言う人の気持ちがむしろわからない。
    そんなふうなのではないかと想像します。


    しかし、中学生になれば、多くの子が以下のように答案を書いていくようになります。

    25+(15-3)×2+18÷3-2
    =25+12×2+6-2
    =25+24+6-2
    =53

    まだ計算しない部分も含め、式を全部書いていきます。
    イコールの前後は常に等しい。
    気持ちのよい式です。
    また、この式のほうが見やすく、計算しやすいのです。
    次は何をすればよいか、いちいち最初の式に戻って考えずに済みます。
    計算過程を横に横に書いていかず、下に下に書いていることも案外重要です。
    目が左右に散って書き写し間違うのを避けることができます。
    上下を見比べるだけで済むので、確かめも簡単です。
    式として正しく、かつ合理的です。

    しかし、小学生にとっては、計算しない部分を書いていくことは、むしろ不合理に思えるのかもしれせん。
    多くの小学生は、手を使って字を書くことに何かとてつもない精神的負担があるのか、余計な文字は1文字でも書くのを惜しみます。
    計算しない部分をあえて書いていくことなど、ありえないのかもしれません。
    「計算しない部分も書いていけば、等しくなるでしょう?等しいときだけイコールで結ぶんですよ」
    と、ルールを説明しても、そのルールを厳密に守る気持ちにはなかなかなれないようです。
    そんなくだらないルールを守っていたら、余計な文字を書かねばならない。
    そんな無駄なことはできない。
    彼らは、そう思っているのかもしれません。

    そもそも、=は、等しいという意味だなんて、そんなの聞いたことがない。
    =は、計算しますよー、という意味だよ。
    だって、=は、イコールなんて読まないもん。
    計算の結果「は」いくつなのかを書いていくだけの記号だもん。
    そんな気持ちでいるのだろうかと想像します。

    想像の域を出ないのは、こうした間違いをおかす小学生が、なぜそうするのかを語ることは皆無だからです。
    何か一言でもそのように計算式を書いている理由を語ってほしいと思うこともありますが、彼らはただ黙りこみ、言われたときには直し、しかし、次のときにはまた同じ間違いをおかします。
    わかっているけれど、忘れてしまうのか。
    納得できていないから、また同じ間違いをおかすのか。


    繰り返しますが、中学生になると、一応は、下に下に式を書いていけるようになる子が大半です。
    教科書にそう書いてあるし、学校の先生もそうしろと命じるので、中学の数学はそう書くものなのだと何となく理解するからでしょうか。
    小学校の算数と中学の数学はスタイルが違う。
    中学の数学は、こう書くものなのだ。
    そのように理解しているのかもしれません。

    書き方が直ったのは良いのですが、上のような「単なるスタイルの問題」として理解していると、その先がやや不安です。
    なぜなら等号の本質を理解していない中学生が陥りやすい誤りがあるのです。

    順をおって説明します。
    中学生は、中1の初めにまず「正負の数」を学習します。
    その中で、正負の数の四則演算を学びます。

    次の単元は、「文字式」です。
    1/2a+2/3+3/4a+5/6
    などの、係数や定数項が分数の式の計算も学習します。

    1/2a+2/3+3/4a+5/6
    =2/4a+3/4a+4/6+5/6
    =5/4a+9/6
    =5/4a+3/2

    と、通分して計算していくことは、大抵の中1は出来るようになります。

    続いて、「方程式」の単元に進みます。
    ここで、まず等式の性質について学び、その後、それによって方程式を解く方法を学びます。
    係数が分数の方程式は、全体を何倍かして解きます。

    1/2x=3/4x-8
    両辺を4倍して、
     2x=3x-32
    -x=-32
     x=32

    これも、自力で解けるようになる子が大半です。

    順調に学習が進んでいるように見えます。
    しかし、この学習の後、夏休みなどに1学期の復習をすると、先ほどの文字式の問題を以下のように解く子が現れます。

    1/2a+2/3+3/4a+5/6
    =6a+8+9a+10
    =15a+18

    式全体を12倍して、分母を払ってしまうのです。

    「いや。文字式は、全体を何倍かしたらダメです。勝手に12倍したら、12倍した値になるじゃありませんか。それは、等しくない。そんなときには、=は使えない」
    そのように説明しても、小学生の頃、四則計算のときに等しくないものをイコールで結んだときのようにきょとんとした顔をするだけの子は多いのです。

    文字式と方程式の区別がつかない。
    どんなときに全体を何倍かして良くて、どんなときにはダメなのか、わからない。
    数学が苦手な子に共通のこの悩みは、中学3年になっても尾を引くことが多いです。

    原因の多くは、等号の本質を理解していないことにあります。
    等号がわかっていないのです。
    だから、文字式と方程式の区別がつきません。

    文字式は、与えられた式に=がついていません。
    その式を計算していくときには、自分で=をつけてその先を続けます。
    勝手に何倍かして、その式の値を変えることはできません。
    一方、方程式は、真ん中に=があって、最初から左辺と右辺があります。
    それは関係を表す式だから、両辺を何倍かしても、関係は変わりません。

    文字式と方程式は、見た目だけではっきり区別がつくのです。

    そのように説明しても、
    「わからない・・・」
    と首を横に振る子もいます。
    小学生の頃、横に=をつけて、式を横に横に書いていたことがここでネックになっているのかもしれません。
    文字式と方程式との見た目の違いがよくわからないようなのです。


    違いの本質は、等号にあり。
    等しくないものに=を使ってはいけない。
    左辺と右辺を平等に何倍かするのなら等号は成立するが、勝手に等号の後だけ何倍かしてはいけない。
    そうした説明が理解しきれない子は、中2になっても中3になっても、文字式の計算のときに、全体を何倍かしてしまうのです。


    「等号の意味」のように、ものごとの基本中の基本で本質的な概念は、小学生の頃に言語化されないまま数理の体系として頭の奥まで染みていくのが理想です。
    算数・数学が得意な子は、説明されなくても、それを理解しています。
    言語化されないまま、数理の体系が頭の中で形成されていくのです。
    しかし、ただ「やり方」だけ暗記し、意味や本質を理解しない子も一定数います。

    なぜ、意味や本質が理解できないのか?
    数理の体系が頭の中に構築される子と、何が違うのか?
    学び方のどこに差があるのか?
    全てその子の頭の中で起こっていることなので、外からは見えにくいのです。
    カラーテストは良い点が続き、表面的には何も問題はないように見える子が、数理の体系を全く理解していないということがあり得るのです。

    意味や本質をそもそも理解できない子も、いるかもしれません。
    しかし、理解しようとしない子も多いのではないかと思います。
    意味や本質の理解は、彼らにとっては「容量」的に重いのです。
    「脳のメモリ」をやたらと喰ってしまいます。
    容量を軽くするには、やり方だけ覚えること。
    そのほうが脳に負担がかからない。
    そのような判断を無意識にしているのではないでしょうか。
    やり方だけ覚え、テストが終われば消去してしまえばいい。
    それが要領の良い学習だと、本人が、というよりその子の脳が、誤解している・・・。
    そうではない学習ができないほどそれは習慣化し、ぱっと覚えるがすぐに忘れ、深い理解はない。
    何もかもが軽い・・・。

    概念のレベルのことは、本人の脳が本質に向かって動きださないと、深い理解に至らないのです。

    では、どうしたらよいのか?
    こんなときにいつも思い出すのは、ヘレン・ケラーを教えたサリバン先生のことです。
    サリバン先生は、ヘレンにまず指で文字を作ることを教えました。
    目が見えず耳が聞こえなくても、指で作られた文字を触って理解することができます。
    自ら指文字を作り、意思を伝えることも。
    しかし、ヘレンは、指文字が物を指し示すことを理解しませんでした。
    ものには全て名前があることも、この世には言葉があることも知らなかったので、教えられる指文字は、ただそれをなぞるだけのゲームに過ぎませんでした。

    では、永久にそのままだったのか?
    そうではなかったことを、私たちは知っています。
    「ウォーター」の意味を突然理解したヘレンの奇跡。
    それは、ヘレンに繰り返し繰り返し指文字を教え続けたサリバン先生が起こした奇跡です。

    脳は、本人の望む通りには動きません。
    でも、繰り返し繰り返し同じ情報を与え続けたときに、本人の意思とは関係なく、脳が本質に向かって思考し始めることはあると思います。

    イコールは、等号の前と後ろが等しいという意味です。
    表面をなぞるだけでは当たり前すぎて何も伝わってこないこの情報が、いつか脳の奥深くに到達し、その子の中に数理の体系を生み出すことを、私は夢見ます。


      


  • Posted by セギ at 21:35Comments(0)算数・数学

    2020年05月04日

    高校英語。関係代名詞。所有格の関係代名詞 whose。


    今回は、所有格の関係代名詞 whose の話です。

    まずは、2文を1文にするところから確認しましょう。

    I found a notebook. Its cover was red.
    私はノートを見つけた。その表紙は赤だった。

    この2文を、「私は表紙の赤いノートを見つけた」という1文にします。
    1文目と2文目で共通のものを表す単語は、1文目の notebook と2文目の its です。
    2文目が、1文目の notebook を修飾するようにしたいですが、関係代名詞は、いつも通りの which で良いでしょうか?
    関係代名詞は、2文目の中でどんな働きをしているかで使い分けます。
    人以外のもの、すなわち物や動物が先行詞(修飾される名詞)のときは、主格でも目的格でも which でしたが、今回は、主格でも目的格でもありません。
    its は、所有格です。
    こうした場合に用いるのが、所有格の関係代名詞 whose です。

    I found a notebook whose cover was red.
    私は、表紙の赤いノートを見つけた。


    日本語に訳すときは、上の文のように、whose を訳さないようにすると、むしろスムーズです。

    I have a friend whose father is an actor.
    私は、お父さんが俳優の友達がいる。

    The man whose old rusty bike had been stolen was reluctant to report the theft to the police.
    古い錆びた自転車を盗まれたその男は、いやいや警察に届けを出した。

    This grammar book is specially intended for people whose native tongue is not English.
    この文法書は、特に英語を母国語としない人たちに向けて書かれたものである。

    だんだん難しくなっていますが、基本構造がわかれば、意味は取れると思います。

    関係代名詞 whose は、先行詞が人でも、人以外でも使います。
    そこを誤解し、人以外のときには which を使ってしまう人がいますが、そういうことはありません。
    所有格のときは、全て whose が使えます。

    上のような誤解をする人がいる一因は、whose の言い換え表現にあるのでしょう。
    whose を of which で言い換えることができるのです。

    We mended the chairs whose legs were broken.
    = We mended the chairs the legs of which were broken.
    私たちは、脚の壊れた椅子を修理した。

    「whose +名詞」を「the 名詞+ of which 」に言い換えることができるのです。
    この場合は、さすがに先行詞は人以外のもののときとなります。


    whose は、中学では学習しない関係代名詞ということもあり、そういう関係代名詞があることすら忘れてしまう高校生は多いです。
    中学で習った文法以外は一切身につかない様子なのは、高校の学習内容は量が多く覚えきれないことが一因だろうと思います。
    高校1年の「英語表現Ⅰ」で高校文法を全て学習し、高校2年の「英語表現Ⅱ」では、それを踏まえた演習を行う高校は多いです。
    高1で学んだ文法が全部頭から抜け落ちていると、高2の演習で苦労します。
    何の文法単元の、どんな文法事項の問題を解いているのか、全くわからないまま、ただ問題を解いてしまうのです。
    全部、熟語や語法の問題だと勘違いして解いてしまう人もいます。
    何の文法単元なのかを意識し、文法のテキストや参考書を読み直してから解くと、かなり演習しやすくなります。
    定期テストのために一度は覚えても、また忘れてしまっていることが大半です。
    繰り返し復習することで、身についてきます。


    ところで、『ルーム』という映画をご存じでしょうか。
    新型コロナウィルスによる閉塞感の強い今、あの映画は、メンタルの弱い人は見ないほうが良いのかもしれませんが、5歳の男の子の視点で描かれていることもあって、英語は非常に易しく、聞き取りやすいです。
    メンタルの強い人は、リスニング学習のつもりで、字幕なしで見てみると良いでしょう。
    映画の後半、登場人物の一人が叫びます。

    Do you think you're the only one whose life was destroyed?
    人生を破壊されたのは、あなただけだと思っているの?

    非常にクリアに聞き取れるはずですし、完璧な形で whose が使われています。
    今の時代でこそ、共感できることも、励まされることも多い映画です。






      


  • Posted by セギ at 15:40Comments(0)英語

    2020年05月02日

    高校数Ⅱ「式と証明」。3次方程式の解と係数の関係。



    今回で、数Ⅱの第1章「式と証明」もついに最終回です。
    こんな問題を解きましょう。

    問題 3次方程式 x3-x2+2x-3=0 の3つの解をα、β、γとするとき、次の3つの数を解とする3次方程式を求めよ。
    (1)2α, 2β, 2γ
    (2)αβ, βγ, γα
    (3)α+β, β+γ, γ+α
    (4)α2, β2, γ2

    これは3次方程式の解と係数の関係の問題です。
    α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)はギリシャ文字で、これへの違和感から問題を過度に難しく感じる人もいます。
    また、αとa、βとB、γと数字の6などを見間違えるミスもおこりがちです。
    自分の描いた文字や、テキストに書いてある数値を、普段からなぜか見間違うことの多い人は、特に注意が必要です。

    では、まず2次方程式の解と係数の関係の復習をしておきましょう。
    2次方程式 ax2+bx+c=0 の2つの解をα、βとすると、
    α+β=-b/a , αβ=c/a

    そんなのありましたね。
    それの3次方程式バージョンが今回の問題です。

    3次方程式の解と係数の関係について確認しましょう。
    3次方程式 ax3+bx2+cx+d=0 の3つの解をα、β、γとします。
    すると、3次方程式は以下のように表すこともできます。
    a(x-α)(x-β)(x-γ)=0

    x3の係数がaですので、( )の外側にaを置くことで係数の辻褄を合わせています。
    この左辺を展開しましょう。
    =a(x-α)(x2-γx-βx+βγ)
    =a(x3-γx2-βx2+βγx-αx2+γαx+αβx-αβγ)
    =ax3-aγx2-aβx2+aβγx-aαx2+aγαx+aαβx-aαβγ

    xについて降べきの順に整理しましょう。
    =ax3-a(α+β+γ)x2+a(αβ+βγ+γα)x-aαβγ

    これが、一番上の ax3+bx2+cx+d=0 と同じ方程式なのですから、それぞれの係数を比較すると、
    -a(α+β+γ)=b すなわち、α+β+γ=-b/a
    a(αβ+βγ+γα)=c すなわち、αβ+βγ+γα=c/a
    -aαβγ=d すなわち、αβγ=-d/a

    まとめますと、
    α+β+γ=-b/a
    αβ+βγ+γα=c/a
    αβγ=-d/a
    これが、3次方程式の解と係数の関係です。

    さて、これを利用すると、与えられた3次方程式は、x3-x2+2x-3=0 ですから、
    α+β+γ=1
    αβ+βγ+γα=2
    αβγ=3 
    となります。
    これらを用いて、以下の3つの数を解に持つ新しい3次方程式を作るのです。

    (1)2α、2β、2γ の3つを解に持つ3次方程式は?

    x3の係数はとりあえず1としておきましょう。
    出来上がった方程式が分数を含むごちゃごちゃした式になった場合は、全体を何倍かして整えれば大丈夫ですから。
    そうすると、この3次方程式は、
    x3-(2α+2β+2γ)x2+(4αβ+4βγ+4γα)x-8αβγ=0 となります。
    x2の係数を求めましょう。
    2α+2β+2γ
    =2(α+β+γ)
    =2・1
    =2
    よって、x2の係数は-2です。

    次に、xの係数を求めましょう。
    4αβ+4βγ+4γα
    =4(αβ+βγ+γα)
    =4・2
    =8

    次に、定数項を求めましょう。
    -8αβγ
    =-8・3
    =-24

    よって、求める3次方程式は、x3-2x2+8x-24=0 です。


    (2)αβ , βγ , γα の3つを解にもつ3次方程式の1つは、
    x3-(αβ+βγ+γα)x2+(αβ・βγ+βγ・γα+γα・αβ)x-αβ・βγ・γα=0 です。

    x2の係数を求めましょう。
    αβ+βγ+γα=2
    よって、x2の係数は-2です。

    次にxの係数を求めましょう。
    αβ・βγ+βγ・γα+γα・αβ
    =αβγ(β+γ+α)
    =αβγ(α+β+γ)
    =3・1
    =3

    定数項を求めましょう。
    -αβ・βγ・γα
    =-α2β2γ2
    =-(αβγ)2
    =-32
    =-9

    よって、求める方程式は、x3-2x2+3x-9=0 です。


    (3)α+β , β+γ , γ+α の3つを解にもつ3次方程式の1つは、
    x3-(α+β+β+γ+γ+α)x2+{(α+β)(β+γ)+(β+γ)(γ+α)+(γ+α)(α+β)}x-(α+β)(β+γ)(γ+α)=0 です。

    x2の係数を求めましょう。
    α+β+β+γ+γ+α
    =2α+2β+2γ
    =2(α+β+γ)
    =2・1
    =2
    よって、x2の係数は-2です。

    次にxの係数を求めましょう。
    (α+β)(β+γ)+(β+γ)(γ+α)+(γ+α)(α+β)
    これをこのまま展開すると、かなり複雑なことになります。
    ここでちょっと工夫します。
    α+β+γ=1 ですから、
    α+β=1-γ
    β+γ=1-α
    γ+α=1-β
    これらを代入します。
    (1-γ)(1-α)+(1-α)(1-β)+(1-β)(1-γ)
    =1-α-γ+γα+1-β-α+αβ+1-γ-β+βγ
    =-2α-2β-2γ+αβ+βγ+γα+3
    =-2(α+β+γ)+(αβ+βγ+γα)+3
    =-2・1+2+3
    =3
    この工夫の仕方は、覚えておきましょう。
    なかなか自力では発想できませんから。

    次に定数項を求めます。
    -(α+β)(β+γ)(γ+α)
    =-(1-γ)(1-α)(1-β)
    =-(1-γ)(1-β-α+αβ)
    =-(1-β-α+αβ-γ+βγ+γα-αβγ)
    =-1+β+α-αβ+γ-βγ-γα+αβγ
    =-1+(α+β+γ)-(αβ+βγ+γα)+αβγ
    =-1+1-2+3
    =1

    よって、求める方程式は、x3-2x2+3x+1=0 です。


    (4)α2 , β2 , γ2 の3つを解に持つ3次方程式の1つは、
    x3-(α2+β2+γ2)x2+(α2β2+β2γ2+γ2α2)x-α2β2γ2=0 です。

    x2の係数を求めましょう。
    α2+β2+γ2
    =(α+β+γ)2-2αβ-2βγ-2γα
    =(α+β+γ)2-2(αβ+βγ+γα)
    =12-2・2
    =1-4
    =-3
    よってx2の係数は-3。

    xの係数を求めましょう。
    α2β2+β2γ2+γ2α2
    =(αβ+βγ+γα)2-2αβ・βγ-2βγ・γα-2γα・αβ
    =(αβ+βγ+γα)2-2αβγ(α+β+γ)
    =22-2・3・1
    =4-6
    =-2

    定数項を求めましょう。
    -α2β2γ2
    =-(αβγ)2
    =-32
    =-9

    よって、求める方程式は、x3-3x2-2x-9=0 です。

      


  • Posted by セギ at 12:29Comments(0)算数・数学