たまりば

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お知らせ

2020年06月11日

オンライン授業を始めています。



2020年6月8日(月)、教室にようやく光回線が通りました。
これで、全授業をオンライン化することが可能となりました。

咳・くしゃみ・微熱などの症状がある場合は、オンライン授業をお申込みください。
オンライン授業への変更は当日で可能です。
コロナ対策だけでなく、普通の風邪やインフルエンザ対策としても、お願いいたします。
せっかく通塾いただいても、そのまま帰宅していただく場合があります。
ご了承ください。
なお、今まで通り、前日までのご連絡ならば振替が可能です。

また、台風や大雪の場合は、こちらからオンライン授業への変更を提案いたしますが、休講も承ります。
今までと同様、台風当日・大雪初日の場合は、当日のご連絡でも欠席扱いはせず振替が可能です。
台風の翌日や大雪の2日目以降の当日欠席は、振替授業はできませんので、ご了承ください。
ゲリラ豪雨による欠席は振替授業の対象ではありませんが、オンライン授業への変更のご希望は承ります。
よろしくお願いいたします。

オンライン授業初回は、さまざまな連絡が必要となります。
遅くとも授業の当日2時間前にはオンラインへの変更をご連絡いただけると助かります。
また、その際にはオンタイムで会話できるよう、LINEで「友だち」になりましょう。

これまで、初回の授業はトラブルが起こることが多く、授業開始が10分ほど遅れています。
原因の第一は、音声が通じないことです。
私のパソコンやスマートフォンでそのような事態が発生したことがないので、原因はよくわかりません。
「パソコンのオーディオを使用する」にチェックが入っていないことが主な原因と考えられます。
ソフトをあらかじめ使用し、操作に慣れておかれることをお勧めします。


近年、LINE利用が普通になっていることもあり、教室にご登録いただいているメールアドレスは、すぐには御覧にならないアドレスが多くなってきています。
台風や大雪で休校の連絡をこちらからする場合に、なかなか返信がなく心配なことがあります。
オンライン授業では、即レスできるツールでの連絡が必要となります。
よろしくお願いいたします。
なお、私のパソコンアドレスは、数日に一度チェックするアドレスです。
急を要するご連絡は、携帯アドレスまたはLINEにお願いいたします。

オンライン2回目以降は、授業開始15分前までにご連絡いただければ何とかなります。

授業時間帯は、通常の授業時間帯と同じです。
学校がなお変則的な登校が続く間は、午後の早い時間帯への移動も承ります。
詳細はお問い合わせください。


さて、ここからは雑感です。
4月、コロナ禍で通塾を断念された方から、試験的にオンライン授業を始めていました。
自転車で通うことが不可能な遠距離からの電車通学の方。
小学生で、通塾に本人や保護者の方が不安を抱いた方。
ウィルスの流行が収束するまで塾を休みたいという連絡があった方に、オンライン授業のご提案をしておりました。

オンライン授業は午後の早い時間に私の自宅で行い、夜は教室で授業をするという形をとっていました。
基本はそのようにしていたのですが、私立は普段よりむしろ遅い時間まで学校のオンライン授業があったり。
公立も、5月後半になると、登校日が増えていきました。
時間割は日々複雑化し、迷走しました。
私のための教材は1部しかありませんので、自宅と教室と教材の行き来も必要で、神経を遣いました。

教室でオンライン授業をできれば、こんな苦労はないのだが。
しかし、その決断が遅かったのに加え、光回線の申し込みから開設までも1か月かかりましたので、完全オンライン化が遅くなりました。

もう必要ないのでは?

いいえ。
私個人の感覚で言えば、むしろこれから全コマをオンライン化したいくらいです。
これまでは、学校が休校し、さまざまな店も自粛していたので、生徒の感染の可能性は低かったのです。
怖いのはこれからです。
ワクチンが開発されたわけでも、治療法が確立されたわけでもないのに、なぜか気が緩み始めている人が多数。
学校でクラスターが発生し休校という事態は、これから十分に起こり得ること。
少しでも異変を感じたら、オンライン授業をお申し込みください。


オンライン授業で、現時点の欠点は。
英語の授業時にリスニングを行うことができません。
英文科受験の高校3年生など、リスニングに重点をおいている授業では、オンライン化は現状難しいです。
たまの1コマなら、その日だけリスニングは行わないということで大丈夫でしょう。
音声ファイルを送り、授業時間外にリスニングを行うことは可能かと思いますが、受験学年以外は、そこまでしなくても、NHKラジオ講座などを活用して、授業とは別にリスニング力を鍛えていただければと思います。

オンライン授業の欠点、2つ目。
機動性。
宿題の結果や授業中の演習の様子から判断してプリント教材をすぐに追加、ということは難しくなります。
あらかじめ郵送したテキストやプリントでの授業となります。

オンライン授業で「タイムラグ」を欠点に挙げる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はあまり気になりません。
Wi-Fi環境によりますが、0.5秒ほどタイミングがズレることがあるのは事実です。
しかし、対面授業でも、「タイムラグ」は起こるのです。
例えば、こんな問題の答を生徒に音読してもらうとき。

問題 次の空所を埋めなさい。
I (  ) play tennis tomorrow.

正解は、
I (will) play tennis tomorrow.
です。

しかし、こういう問題の答えあわせは、通常大変な「タイムラグ」があり、私はそれを待つのが日常です。
I ・・・・・・・・・・・・ will・・・・・・・play tennis・・・・・・・・tomorrow.

宿題で解いたときにはそれでいいと思っていても、答を音読するときにまた不安になって、もう一度答を考えて確かめているのか、will を言うまでに約5秒。
言い終わった後、本当にそれで良かったのかと、また考えているのか、次の単語を読み始めるまでに約3秒。
そこまでは、まだ気持ちを理解できます。
なぜか、解答とは直接関係のない最後の単語を読む前に2秒ほどのためらいがある子もいます。
tomorrow が読めないために、ためらってしまうのでしょうか?
しかし、他の単語のときも、最後の単語を読む前に長い間が空くことが多いのです。
本当にこれで良かったのか、頭の中で最後の確認をしているのかもしれません。

できれば、タイミングよく「正解!」と言ってあげたい。
しかし、生徒がこの1文を言い終わるまでに呼吸をしないで待っていると、私は窒息します。
生徒が、絶妙な間の悪さで tomorrow を言い終わったとき、私は、息を吐いた直後かもしれず、その後、息を吸ってからでなければ「正解」とは言えないのです。
しかし、生徒は、自分の不可解なタイムラグには自覚がなく、一方、私が「正解」と言うタイミングが遅いと、「えっ?」と顔を上げます。

いやいやいや、そんな顔をするのなら、もっとスラスラ読んでください。
いつ読み終わるかわからないので、呼吸のタイミングを計れないのです。

10代はまだ主観で生きていますから、自分のタイムラグには無自覚。
一方、他人のタイムラグは気になるかもしれません。
私の感想としては、普段からそうなので、オンラインのタイムラグには、特に問題を感じません。
打てば響くような反応が必要とも思いません。
私が指示する前に答を読み、私が「正解」と言う前に丸をつけるような子には、むしろ注意をします。
ゆっくりでいいから、正確に。
それで大丈夫です。


オンライン授業の長所。その1。
生徒の忘れ物がありません。
これは重要なことで、例えば英語の授業で学校の教科書を忘れてきたら、その日、予習は進みません。
数学の授業で、塾テキストを忘れてきたら、授業が先に進みません。
学校は長い休校に入っていたので、今のところ予習ストックはありますが、学校が始まった途端、例年の倍速で進み始めています。
学校と苛烈なデッドヒートとなったときに、生徒が教科書・テキストを忘れてきたら、そこで完全に追い抜かれます。
コロナ禍以前ならば、私のテキストを一緒にのぞき込みながらの授業が可能でした。
現在、生徒と私との間には、2メートルの距離があり、テキストを共有することができません。

オンライン授業の長所。その2。
学校の数学の進度を明瞭に把握でき、また、生徒からの質問が具体的です。
学校の数学の教科書は、塾の授業では使わないので、持ってこない子が大半です。
私もそのことを特に注意しません。
進度さえわかればよいのです。
しかし、進度を正確に説明できない子もいます。
「『式の計算』をやっている・・・」
うん。知っていますよ、それは。
「式の計算」のどこをやっているの?
しかし、その問いかけに正確に答えられない子もいます。
学校がどこまで進んだかを覚えていない子もいれば、覚えてはいるのだがそれを正確に説明できない子もいます。
言葉に詰まると、適当な説明でお茶を濁す子もいます。
また、せっかくテスト範囲表が学校から配られても、それを忘れてきたら、次の授業は1週間後。
情報の共有が何より大切と、どれだけ説明しても、子どもにはなかなかピンとこない話なのです。
オンタイムで私が情報を得るには、生徒が家にいるのが一番です。
そこには、すべての情報があります。
また、教科書のこの問題がわからない、学校の問題集のこの問題がわからない、と事前に画像を送ってくれると、今までよりも質問対応がやりやすいです。

オンライン授業の長所。その3。
マスクなしで授業が可能です。
室温・湿度なども本人の好みの状態の家庭内で、感染に怯えることなく、快適に授業を受けられます。
通塾時間が不要なので、今までは無理だった早い時間の授業、または遅い時間の授業も可能と思います。

オンライン個別指導。
結構長所も多いのです。

ただ、現在空きコマはありません。
申し訳ありません。
  


  • Posted by セギ at 14:21Comments(0)講師日記コース案内

    2020年06月10日

    高校英語。関係代名詞。注意すべき which 非制限用法。


    関係代名詞の学習の中でも、今回は超マイナーで、定着しないことが多い内容です。
    非制限用法の which の話。

    勿論、which は、普通の非制限用法があります。

    My father gave me some books, which were not so interesting.
    私の父は私に何冊かの本をくれたが、それらはあまり面白くなかった。

    しかし、これとは別の用法があるのです。


    ◎前の節の一部または全体を先行詞とする which の非制限用法

    今回の中で、これが最も重要です。
    これだけでも覚えてください。

    Some school children take no breakfast, which is not good for the health.
    朝食を食べない生徒がいるが、それは健康に良くない。

    この which は、前の節全体、すなわち、「朝食を食べない生徒がいる」という内容全体を受けて、そしてそのことは健康によくないと言っています。

    この which 節は、主節の中に挿入することもできます。

    They had, which was important to them, a heroic past to boast of.
    彼らにとっては重要なことだったが、彼らは自慢するべき勇敢な過去を持っていた。

    この which は、主節全体、すなわち「彼らは自慢するべき勇敢な過去を持っていた」を指します。

    これらの which は、読解にはあまり影響しないと思います。
    意味を読み取ることは難しくありません。
    しかし、文法問題になると、苦戦する人が多いのです。
    空所補充問題で、which を入れることを発想できないのです。
    it や that を入れてしまいます。
    関係代名詞の問題である、という枠組みがないと特にそうなります。
    知識としてしっかり身につけておきたいところです。



    ◎関係形容詞の which

    名詞を修飾するのが形容詞。
    名詞を修飾しつつ関係詞の働きをするのが、関係形容詞。
    そんな面倒くさいものは、日常会話ではそんなに使わないですが、書き言葉では目にします。

    She was appointed ambassader to the country, which post she filled with honor.
    彼女はその国の大使に任命され、その職を立派に務めた。

    which post の post は名詞で、which はそれを修飾していますから、関係形容詞です。
    まあ、特にそんなことを難しく分析しなくても意味は取れますが、これも文法問題だと苦労する人がいます。
    上の日本語を関係詞を用いて英語に直しなさいという問題だった場合。
    She was appointed ambassader to the country, which she filled post with honor.
    と、which と post を引き離してしまう人は多いです。
    このレベルの単語を使用する能力があるのなら、そんな些細な語順ミスは実に勿体ない。


    これは、疑問詞でもよく起こる現象です。
    中学1年生で、How many ~? の文を学習した際、
    「あなたは何冊の本を持っていますか」という日本語を英語に直すと、
    How many do you have books ?
    という間違った語順の英文を書く人は多いです。
    How many books do you have ?
    ですよ、と何度解説しても、直らないのです。

    中学3年生で、「疑問詞+不定詞」を学習する場合も同じです。
    「どのバスに乗ればよいか、私はわからない」という日本語を英語に直す際に、
    I don't know which to take bus.
    という間違った語順の英文を書いてしまいます。
    正しくは、
    I don't know which bus to take.
    です。
    疑問詞には疑問形容詞の働きをするものがあり、後ろに名詞を伴うことがあるんですよと、ごつい文法用語で中学生に説明するのも無理があるのですが、柔らかく説明しても、定着しない・・・。

    一度本人が思い込んでしまった間違った英語の語順は、恐ろしいほどの定着をみせ、その人を一生縛りかねません。
    英語は、間違った練習をすると、間違った語順が定着しがちです。
    間違った英文を書くと、その記憶のほうが深く脳に残り、それが本人の「英語の語順」として強化され、永遠に再生され続けるのです。
    文法的な分析があまり好きではなく、「英語は大体こういう語順のもの」という感覚に頼る人ほどそうなりがちです。
    日本に住む日本人は、そもそもそんなに英語に触れていないです。
    それなのに、本人の中の英語の語順の感覚に頼ろうとする。
    その感覚の源の大部分は、本人の書いた間違った英文だというのに・・・。
    本人の英語の語順の感覚が、間違った自分の英語を書いたり見たりした記憶で拡大再生産され、強化され続けるのです。

    感覚に頼るのはやめましょう。
    知識で正しい英文を作りましょう。

    これは、学習習慣が確立していない早い時期に間違った英語の練習をたくさんやってしまうこととも関係があるのかもしれません。
    小学校で学習する内容は、どの教科もおおむね単純で、学校の授業をちゃんと受けて、授業中にちゃんと演習もしていれば、覚えようと意識しなくても覚えられることが多いのです。
    すると、家に帰って復習する習慣のある子でも、授業ノートや教科書を読み返すといったことはせず、いきなりワークやドリルを解いてしまう子が大半だと思います。
    別にそれで間違うわけでもないので、勉強とはそういうものという形が出来上がってしまいます。
    中学生になっても、それをそのままやり続ける子が多いのですが、中学で学ぶ内容は、小学校ほど量が少ないわけでもないし内容が単純なわけでもありません。
    覚えきれないこともあります。
    それなのに、自分が覚えきれていないことに対してまだ無自覚なので、ノートを見直すことも教科書を読みなおすこともせず、いきなり問題練習をする子が多いです。
    そして、間違った練習をたくさんやってしまいます。

    自分の間違いに敏感な子は、そこで気づきます。
    ああ、ここは訂正するべきだ、ここが重要だ、と。
    しかし、勉強が下手な子は、自分の間違った答が正答と違っていることに気づかず、全部マルをつけてしまうことがあります。
    違っていることに気づいても、鉛筆で書き直して赤丸をつけ、間違ったことを記憶ごと封印してしまう子もいます。
    そして、大事なテストでしくじる。
    間違った語順が高校生になっても記憶に残り、しくじり続ける・・・。


    高校生は、自分の間違いに、そろそろ耐性があってもよい頃。
    自分の間違いを正視し、直せるはずです。
    そして、ちゃんと学習事項を復習してから演習をするという手順を踏めるはずです。
    疑問詞や関係詞は名詞を伴うものがある、という知識を定着させましょう。


    上の文に戻ります。
    She was appointed ambassader to the country, which post she filled with honor.
    これは、
    She was appointed ambassader to the country, and she filled the post with honor.
    と書き換えられます。
    which post のところは、関係代名詞節では目的語の働きをしていたのですが、節の一番前にきていました。
    一方、先行詞は ambasadder です。
    先行詞がきたら、すぐに関係詞。
    原則はそうなのですが、今回は、ambassader to the country という語句のつながりが強いので、そこには割って入り込めなかったのです。
    そこに無理に挿入すると意味がとりにくくなる場合、先行詞と関係詞との間に少し距離が開くこともあります。


    ◎ in which case
    これも関係形容詞 which の用法ですが、もうこれで熟語として覚えてしまって構わないと思います。
    「そしてその場合は」という意味です。

    The plain may be several hours late, in which case there is no point in our waiting.
    その飛行機は数時間遅れるかもしれず、そしてその場合は、待っていても無駄です。

    この文は、
    The plain may be several hours late, and in that case there is no point in our waiting.
    と書き換え可能です。


    以上、マイナーながら、たまにテストに出ると、必ず失点原因となる which の非制限用法でした。


      


  • Posted by セギ at 14:44Comments(0)英語

    2020年06月07日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。数直線上の点の座標と内分・外分。



    さて、数Ⅱ「図形と方程式」。
    公式まみれの数Ⅱがいよいよ本格的に始まります。
    1つ1つの公式が全て大切で次につながるものですので、理解し、整理し、活用していきましょう。

    まずは数直線上の点の話から始まります。
    今回扱うのは数直線です。
    x軸とy軸がある座標平面ではありません。
    まずはそこからです。
    数直線上にも座標は存在します。
    数直線とはすなわちx軸のことで、それしか存在しないので、x座標しかないのだと思ってください。
    数直線上の3の位置に点Pが存在する場合、P(3)と書きます。

    次に、数直線上の2点間の距離について考えます。
    これは、中学生の頃にも学習しています。
    座標の大きいほうの点の座標から、小さいほうの点の座標を引けば、距離が出ます。

    例題 2点A(3)、B(-5)間の距離を求めよ。

    3-(-5)=3+5=8

    よって、距離は8です。

    よくあるミスが、
    3-5=-2
    距離は絶対値だから、答は2、としてしまうミスです。
    頭の中で思考が2回ねじれているのですが、ねじれていることに本人はなかなか気づかないので、一度このミスにはまってしまうと、解説や説得がほとんど無効状態になってしまうことがあります。
    数字にマイナスがついていると、それで混乱してしまうのか、1回しかマイナスを書かない癖は、中1「正負の数」を学習した当初から始まり、永遠に解決のつかない課題となりがちです。
    3から-5を引くのですから、3-(-5)が正しいのです。

    うっかり、3-5という式を立てて、結果が-2なったときに、気づくことも可能です。
    しかし、
    「距離が-2になるのはおかしいよね?」
    と問いかけても、
    「それは、3-5のところで符号を処理したから大丈夫」
    と不合理なことを主張し、異論は認めない、という状態になる子もいます。
    数直線を描き、
    「-5と3との距離は、どう見たって2じゃないよね?8だよね?」
    と示すと、ようやく理解してくれます。

    どうか、符号を無視せずに「引く」ということを強く意識してください。
    大きい数から小さい数を「引く」のです。
    7と5との距離なら、7-5=2 と正解できると思います。
    負の数になっても、それは同じこと。
    3と-5との距離は、3-(-5)=8 です。
    符号を一切省略せずに「引く」のです。
    それで正しい距離が出ます。

    3と-5との距離は、計算をするまでもなく8である、と認識できると本当は楽なのです。
    頭の中に数直線のイメージがあると、3と-5との距離は、計算するまでもなく、8です。
    原点からそれぞれの距離は3と5だから、2点間の距離は8だと、頭の中の数直線でわかるのです。
    この先、数Bで学習する「ベクトル」で、ベクトルの成分を求めていくときにも、
    A(-2,3)、B(4,-1)だから、ベクトルAB=(6,-4)
    と、見ただけで書いていくことができます。
    どちらからどちらを引いた、ではなく、x成分は-2から4に移動したのだから6だ、と見たまま書いていけるのです。
    y成分は、3から-1に移動したのだから、-4。
    頭の中の数直線で方向と距離を読み取っています。

    しかし、頭の中に数直線のイメージが存在しないと、この話は通じません。
    何を言っているのか全くわからない、という顔をされます。
    この断絶は、暗く深く、越えられないものなのかもしれません。
    頭の中の数直線は、中学に入学し数学を学び始めたときにイメージしていないと、高校2年になって急にイメージできるようにはならないようです。
    数学はすべて公式を丸暗記して数字を操作しているだけで、どんなイメージとも結びついていない。
    数学が苦手な子には、そういう子が多いです。

    話を戻して。
    3と-5との距離は、3-(-5)=8
    大きい数から小さい数を引くと、距離を求めることができます。
    符号を省略したりしなければ、必ず正しい距離が出ます。


    ところで、これは、最初から絶対値を利用する方法もあります。
    |-5-3|=|-8|=8
    |3-(-5)|=|8|=8
    これなら、2数の大小を確認せずに済みます。
    どちらの数からどちらの数を引いても同じです。
    同じ答えが出てきます。
    文字と数字、あるいは文字と文字との大小がわからないときは、これを用いることになりますので、こちらのほうが汎用性が高いといえます。
    大切なことは、必ず引くこと。
    その数についている負の符号を勝手に省略しないこと。
    その数の負の符号を、引き算のマイナスに使いまわさないこと。
    ちゃんと符号をつけて、そして引くこと。
    それさえ守れば、どちらの点の座標から先に書いても、距離は正しく求めることができます。


    続いて、内分点・外分点。

    まずは内分の定義から。
    下の図をご覧ください。

    A(1)   P(3)   B(7)

    線分ABの間に点Pがあります。
    点Pは、ABを内側で分けている点と見ることができます。
    このような点を内分点といいます。
    上の図では、AP=2、PB=4です。
    点Pは、ABを2:4、すなわち1:2に内分しています。

    A(1)  B(3)   P(9)

    この図はどうでしょうか?
    点PはABの外側にあります。
    このような点Pを外分点といいます。
    「分けていないのに外分というのは、納得がいかない」
    生徒から、このように言われることがあるのですが、内分とセットで外分という言葉を使っていると思って、そこのところは納得してください。
    上の図では、AP=8、BP=6です。
    このような場合、点Pは、ABを8:6、すなわち4:3に外分するといいます。

     P(2)  A(4)  B(8)

    この図は、点PがABの左側にあります。
    これも外分です。
    AP=2、PB=6 です。
    点Pは、ABを2:6、すなわち1:3に外分しています。

    外分点が線分の右にくるか左にくるかは、4:3や1:3といった比のどちらの数字が大きいかによります。
    初めて外分を学ぶと、上手く外分できず、結局全て内分してしまうことがありますので、できるようになるまで練習しましょう。
    最初の数字が大きい外分は、出発点から到達点を越えてグンと進んでから、相手の点に戻るようにすると外分できます。
    最初の数字が小さい外分は、まず出発点から、到達点とは反対方向に行ってから、到達点のほうにどんと進むと、外分できます。

    さて、内分・外分がわかったところで、内分点・外分点の座標の求め方に進みます。
    まずは内分点。
    公式は、これです。

    点A(a)、B(b)をm:nに内分する点の座標は、


    na+mb
    m+n

    です。
    これは、必ず覚えるべき公式です。
    今後もこの単元で出てきますし、忘れた頃、数Bの「ベクトル」の学習でも多用します。
    なぜこれで求められるのか証明を理解しておくと、万一公式を忘れた場合に自力で復元できます。
    A(a)、B(b)をm:nに内分する点をP(x)とします。

    A(a) P(x)  B(b)

    図を参照にしながら、比例式を立ててみましょう。
    (x-a):(b-x)=m:n
    となります。
    比例式は、内項の積=外項の積 ですから、
    m(b-x)=n(x-a) と変形できます。
    これを整理していきましょう。
    mb-mx=nx-na
    xの項を左辺に集めましょう。
    -mx-nx=-na-mb
    (-m-n)x=-na-mb
    x=(-na-mb)/(-m-n)
    分母・分子に-1をかけて、符号を整理しましょう。
    x=(na+mb)/(m+n)

    公式の通りになりましたね。

    次は外分点の座標の公式です。


    -na+mb
    m-n

    これが外分点の座標の公式です。
    証明しましょう。
    まずは点PがABの右にある場合。

    A(a)  B(b)   P(x)

    この位置関係ですね。
    比例式にすると、
    (x-a):(x-b)=m:n
    m(x-b)=n(x-a)
    mx-mb=nx-na
    mx-nx=-na+mb
    (m-n)x=-na+mb
    x=(-na+mb)/(m-n)

    点PがABの左にある場合はどうでしょうか?

    P(x)  A(a)  B(b)

    この位置関係です。
    (a-x):(b-x)=m:n
    m(b-x)=n(a-x)
    mb-mx=na-nx
    -mx+nx=na-mb
    (-m+n)x=na-mb
    x=(na-mb)/(-m+n)
    x=(-na+mb)/(m-n)

    やはり公式の通りになりました。
    点PがABの右にあっても左にあっても、外分点の座標は同じ公式で求められることがわかりました。
    あとは、この公式を正確に活用するだけです。
      


  • Posted by セギ at 15:29Comments(0)算数・数学

    2020年06月03日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞の非制限用法(継続用法)。


    関係代名詞の非制限用法。

    その前に、では、それとは違う「制限用法」とは何なのかから、確認しましょう。
    これは、中学から学習している、先行詞である名詞を修飾する、普通の関係代名詞のことです。
    「制限用法」という呼び方の他に「限定用法」という呼び方もあります。
    どちらも、修飾される名詞の意味を制限する、意味を限定する、ということからつけられた呼称です。

    意味を制限する・限定するのは、関係代名詞に限らず、修飾語の働きです。
    「男の子」といっただけでは、人によって色々なイメージがあると思います。
    「金髪の」と言われると、イメージがかなり限定されます。
    「10歳くらいの」と言われると、さらにイメージが限定されます。
    このように、修飾語には、修飾される語の意味を制限し、限定する働きがあるのです。
    それで、修飾する用法のことを「制限用法」または「限定用法」と呼ぶのです。

    どちらの呼び方を使ってもいいのですが、私は「制限用法」を好みます。
    なぜなら、「制限用法」の反対は「非制限用法」で、覚えやすいからです。
    一方、「限定用法」の反対は通常、「継続用法」と呼ばれます。
    ・・・覚えにくい。

    覚えられるのなら、どちらの用語でも大丈夫です。

    さて、それでは、制限用法と非制限用法の両方の例文を見てみましょう。

    (1) She has two sons who are doctors.
    (2) She has two sons , who are doctors.

    違いは1か所だけ。
    関係詞の前に、カンマ(,)があるかないか、だけです。

    (1)の日本語訳は、簡単ですね。
    「彼女には、医者である息子が2人いる」
    これが制限用法です。

    では、(2)の日本語訳は?
    「彼女には息子が2人いて、彼らは医者だ」
    これが、非制限用法です。

    え?
    そんなに違わない気がする?
    言っていることは、結局同じだと思う?

    実質が同じである場合も勿論あります。
    しかし、そうではない場合も考えられます。
    上の2つ文のうち、どちらかは、3人目の息子が存在する可能性があるのです。

    どちらでしょうか?

    正解は、(1)です。
    医者をやっている息子が2人いることは、文から明らかです。
    しかし、他の職業の息子が、他にもまだいるのかもしれないのです。

    一方、(2)は、She has two sons と、言い切っていますから、息子は2人だけです。
    息子は絶対に2人だけで、その2人ともが医者なのです。

    つまり、(2)のカンマ(,)以降は、sons を修飾しているわけではないのです。
    文が普通に続いているのです。
    (2)の文は、
    She has two sons , and they are doctors.
    と言い換えることができます。


    ここで余談ですが、son を「ソン」と発音する中学生・高校生が多く、少し気になります。
    携帯会社の社長さんじゃないんです。
    son の発音は「サン」です。
    太陽という意味の sun と全く同じ発音の「サン」です。
    日本人の耳には同じ音に聞こえてしまうというレベルのことではなく、発音記号上も全く同じ発音です。
    発音記号では、vが逆さになっている、あの「ア」の音です。

    でも、スペルに引きずられるのか、「ソン」と読んでしまう人は多いです。
    CDや外国人講師の範読を聴いたときに、「あれ?これはサンと読むのか」と気づいても良さそうなのですが、例によって認知にバイアスがかかるのか、自分が読み間違えていることには全く気づかず、「ソン」と発音し続けてしまうようです。

    さすがにちょっと気になるので、
    「それは、ソンではなくて、サンです。太陽と全く同じ発音のサンですよ」
    と一度は注意するのですが、直る場合は少ないです。
    たまたまうまく直ってほっとすると、ノートを見たら san とスペルしていて、天を仰いだこともあります。
    わかった、私が悪かった。
    san と書くくらいなら「ソン」と読んでいてもいいです。
    もう、しょうがない。
    orange を「オランゲ」と読んで覚えるようなものですよね。

    そんなふうに、結局、日本人の英語能力は、音声英語に関しては、昭和の頃から進歩していないのではないかと感じることがあります。
    ローマ字読みが直りません。

    しかし、小学校から英語教育が始まっていることは、やはりある種の変化をもたらしています。
    耳から英語が入っているために、逆に発音を間違えている子に出会うことがあるのです。
    例えば、have を「ハバ」と読む子に、これまでに数人出会いました。
    これは、小学生の頃に、
    Have a nice trip !
    だの、
    I have a pen.
    だのを、文字を使わず、耳だけで学習するために起こっている現象だと想像されます。
    have a が、リエゾンで「ハバ」と聞こえることは、否定しません。
    そのように発音したほうが英語らしいかもしれません。

    しかし、have の後ろに常に a があるとは限りません。
    生徒に文法問題の宿題の答を音読してもらうと、
    I have a two books.
    というので、「え?」と思い、ノートを見ると、
    I have two books.
    と、正答していることがあります。

    ああ、have を「ハバ」と読んでいるんだなあと、気づきます。

    What do you have a in your hand ?

    うん?
    その a は何?
    私は a を聴き取りましたが、それは何ですか?

    しかし、生徒のノートを見ると、そんな a は存在しないのです。
    今後、この問題に長く苦しむことになりそうな予感があります。
    あまりにこなれた発音を学習すると、むしろ妙な誤解をすることがあるのでしょう。
    ・・・というより、小学校も、音声英語と同時に文字英語をしっかり教えたらいいのではないかと思います。
    音だけで学習しているために、変な誤解をしてしまうことがあるのですから。
    今後、小学校の英語学習の改革に期待します。

    さて、話を戻しましょう。


    非制限用法の関係代名詞は、接続詞+代名詞 の働きをしています。
    She has two sons , who are doctors.
    =She has two sons , and they are doctors.

    この文では、who=and they です。

    復元される接続詞は、常に and というわけではありません。
    他に but や because が考えられ、それは文脈で判断します。

    He complained loudly to the storekeeper, who answered him mildly.
    前半は「彼は大声で店主に文句を言った」。
    後半は「店主は彼に穏やかに返答した」。

    これは、and ではなく、but でつなげたほうがいいですね。
    He complained loudly to the storekeeper, but she answered him mildly.

    店主の性別がわからなかったので、今は she にしておきました。


    I called him, who had called while I was out.
    前半は「私は彼に電話をした」。
    後半は「私が外出中に彼は電話をくれた」。

    これは、and でも but でも、ありません。
    これは、because を使いましょう。
    I called him because he had called while I was out.

    少し文法的な話をするなら、and, but は等位接続詞。
    文と文とを対等につなぐ接続詞です。
    しかし、because は、従属接続詞。
    主節と従属節の区別があります。
    種類の異なる接続詞を補うことは、何かちょっとモヤモヤします。
    厳密にいえば、ここで書き換えるべき接続詞は、and や but と同じ等位接続詞 for であるべきでしょう。
    for は、「というのは」と訳す、その後に理由を説明する等位接続詞です。

    とはいえ、for の存在を知らない高校生は多いと思います。
    for って、前置詞でしょう?
    接続詞の for なんて知らない・・・。
    そういう把握の人が大半と思います。
    for を用いての書き換えはレベルが高い。
    文法的な厳密さよりも、わかりやすさが大切。
    だから、文法テキストでも、because での書き換えを示していることが多いです。
    私も、ここは because を使って構わないと思います。


    非制限用法でも、関係詞と同じ意味を表す名詞のことは先行詞と呼びます。
    非制限用法の場合、先行詞は固有名詞や代名詞でも大丈夫です。
    このブログの関係代名詞の最初の回で、
    The man is Mr.Tanaka who is talking to my sister.
    は間違いだけれど、
    The man is Mr.Tanaka , who is talking to my sister.
    は、正しい英語だという話をしました。
    「その男性は、私の姉に話しかけている田中さんです」はおかしいけれど、
    「その男性は田中さんで、私の姉に話しかけています」は大丈夫。

    まずは、非制限用法の基本のお話でした。


      


  • Posted by セギ at 13:47Comments(0)英語

    2020年05月31日

    中1「正負の数」。加減と数直線。


    中1「正負の数」は、数学の学習の中で、もっとも簡単なようでいて、教えるのは最も難しいものの1つです。
    基本の基本になるほど、それを「わからない」という子に説明するのは困難を極めます。
    一応わかったのだろうと安心するのは禁物です。
    「正負の数」の単元の終わりに復習すると、
    (+1)+(+3)=-2
    といった答案を目にし、愕然とすることがあります。

    何で?
    それは、小学校1年生で学習した、1+3ですよ?
    答は4に決まっていますよ。
    なぜ、中学に入ったら-2になると思うの?
    なるわけないでしょう?

    といった「常識の押し付け」は、しかし、教える者と教わる者、両者にとって不幸です。

    それは、「正負の数」の体系が、その子の中に形成されていないということなのです。
    数学の学習が、やり方の丸暗記に終始しているのです。
    そして、やり方をちょっと間違ったために、そんな答になるのです。

    ・・・やばい、この子は全然わかっていない。
    根本的には何も理解していない。
    これは、最初からやり直しだ。

    教える者がそう判断しても、しかし、幾度やり直したところで同じ結果になるのかもしれません。
    「そんな答になるわけないでしょう!」
    と、大人が驚くのを見る度、子どもは委縮し、理解できていないことを隠そう、わかっているふりをしよう、とさらに必死にやり方だけ暗記し、表面上は正しい操作ができるようになるだけということも多いからです。


    学校や塾の教え方が悪いんじゃないのか?

    ある意味、そうなのかもしれません。
    しかし、弁解するなら、そうとばかりも言えない面もあるのです。
    やり方だけを説明しているわけではないからです。
    意味を丁寧に説明しても、その部分は聞き流し、やり方だけ暗記してしまう子が多いのです。

    順を追って説明しましょう。

    「正負の数」は、まず、正負の数の意味から学習が始まります。
    正の数と負の数が存在することは、大半の子が理解できます。
    寒暖計の目盛りの-10℃など、負の数の存在は、幼い頃から目にしていますから。
    そういうものが存在することは知っているのです。

    しかし、次の段階で早くもつまずく子が現れます。
    あることがらを、正負の数を用いて言い表す問題です。

    問題 次のことがらを正の数を用いて表せ。
    (1)-20㎏の増量
    (2)-30万円の収入
    (3)-1万人の減少
    (4)-4分の遅れ

    正解は、
    (1)+20㎏の減量
    (2)+30万円の支出
    (3)+1万人の増加
    (4)+4分の進み

    言葉遊びのようですが、後に正負の数の減法を理解するための全てがここに詰まっています。
    この言い換えが理解できないと、正負の数の減法の符号の操作は、理解できないのです。
    しかし、この問題の意味どころか、その重要性すら理解できずに通りすぎていく子は多いです。

    そうした子の誤答の例としては、
    (1)+20
    (2)+30
    (3)+1万
    (4)+4
    と、符号を+に変えただけで、単位もついていなければその後に続く言葉も書いていない場合が、まず多いのです。
    問題の意味を全く理解していません。

    「いや。その後に続く言葉も含めて、このことがら全体を正の数で言い表すんですよ」
    と説明しても、書き直したものは以下のような誤答という子が多いです。
    (1)+20㎏の増量
    (2)+30万円の収入
    (3)+1万人の減少
    (4)+4分の遅れ
    後ろにつく言葉を言い換えていないのです。

    「-20㎏の増量と、+20㎏の増量は、意味が反対だと思わない?それじゃ、同じことを言い表したことにならないよね?」
    「え?同じことを表すの?」
    「・・・そうですよ」

    何だと思っていたの?

    やり方しか暗記しない子の多くは、また、問題文をほぼ読まないという、もう1つの習慣を持っていることに思い至り、絶望の度合いを深めたりもするのですが、それを補助するのが私の役目です。
    中学入学は良い機会。
    悪い学習の癖を改め、やり方の暗記ではない学習、問題文を正確に読んで理解して解く学習習慣を身につけましょう。
    そう思って補助します。

    ところが、ここでまた「やり方だけ暗記する」という悪い習慣を発動する子が多いのです。
    -20㎏の増量は、+20㎏の減量と言い換えればいいらしい。
    ははあ、数字の符号を反対にして、言葉を反対にすればいいだけか。
    そのように「やり方」を把握し、それでさっさと処理する子が現れます。
    そのようにして正解は出せるのですが、意味はわかっていません。
    こんなことを、なぜ学習したのか?
    なぜこんな問題が出題されるのか?
    それは、全く理解していません。

    意味を理解すると、これは面白いのです。
    -20㎏の増量は、20㎏の減量。
    確かにそうだなあ。
    じゃあ、体重が1㎏増えたときは、「-1㎏減りました」って言えばいいんだ。
    1万円赤字のときは、「-1万円の黒字です」って言うんだ。
    面白い。
    ひねくれた言い方で、面白い。
    そうした言い換えを面白く感じ、頭に沁みていくなら、それが頭の中の数理の体系に静かに組み込まれていくのです。


    さて、とりあえず、このことは置いておいて。
    「正負の数の加法」すなわち、たし算の学習に進みましょう。

    正負の数のたし算の考え方の基本は、数直線上の移動です。
    正の数は、原点よりも右に移動した点。
    負の数は、原点よりも左に移動した点。

    (1) (+3)+(+5)
    これは、数直線上の原点から、まず右へ3移動した+3の位置から、さらに右へ5移動することを意味します。
    右へ3移動し、さらに5移動。
    だから、答は、+8。

    (2) (+3)+(-5)
    これは、数直線上の原点から、まず右へ3移動した+3の位置から、左に5移動することを意味します。
    右に3移動した後、左に5移動。
    結局、原点から左に2だけ移動したことになります。
    だから、答は、-2。

    (3) (-3)+(+5)
    これは、数直線上の原点から、まず左に3移動した-3の位置から、右に5移動することを意味します。
    左に3移動した後、右に5。
    だから、答は、+2。

    (4) (-3)+(-5)
    これは、数直線上の原点から、まず左に3移動した-3の位置から、さらに左に5移動することを意味します。
    左に3移動後、さらに左に5。
    だから、答えは、-8。


    これを理解できない子は、ほとんどいません。
    教科書や問題集に書かれた数直線上にペン先を立てて、一所懸命右へ左へと移動させて、答を導いていきます。

    そして、これが加法の本質であり、私は今もそれを頭の中でやっています。
    頭の中の数直線で数を移動させています。
    いちいち数直線を描いたり、数直線の目盛りを数えたりはしないだけで、頭の中に数直線のイメージは常にあります。
    やり方だけ暗記する子は、おそらく、頭の中に数直線のイメージがないのだと思うのです。

    なぜ、頭の中に数直線のイメージがないのか?
    次の学習段階で、この計算方法のルールをまとめてしまうことも一因かと思います。
    (+3)+(+5)=+8
    (+3)+(-5)=-2
    (-3)+(+5)=+2
    (-3)+(-5)=-8

    これからわかるルールは?
    同符号のたし算の答は、その符号で、絶対値の和。
    異符号のたし算の答は、絶対値の大きいほうの符号で、絶対値の差。

    このルールの整理は、頭の中の数直線上の移動を円滑にするための補助に過ぎないのですが、これが学習のメインになってしまう子が大半です。
    このルールを丸暗記し、そのルール通りの操作で以後は計算します。
    そのため、
    (+3)+(+5)=-2
    といった、ありえないミスをする子が出てきます。
    ルールを丸暗記して操作しているだけで実感はないので、そんな答の異常性には気づかないのです。
    やり方だけ暗記している子にとっては、正の数どうしのたし算すら、実感を伴うものではありません。


    さて、次に正負の数の減法に入ります。
    (1) (+3)-(+5)
    さきほど出てきた「言葉遊び」がここで生きてきます。
    「+5をひく」ことは、「-5をたす」ことと同じです。
    よって、
    (+3)-(+5)
    =(+3)+(-5)
    =-2

    (2) (-3)-(-5)
    「-5をひく」ことは、「+5をたす」ことと同じです。
    よって、
    (-3)-(-5)
    =(-3)+(+5)
    =+2

    正負の数の減法は、すべて加法に置きかえて計算できます。
    この世にひき算は存在しない。
    全て、たし算なのだ。
    そのように意識を切り替えるのです。

    理解していれば、何も問題はないのです。
    しかし、丸暗記で済ませている子にとっては、そろそろ重荷が増してきています。
    上のような符号の操作も、丸暗記で済ますしかないのです。
    -+は、+-に書き換える。
    --は、++に書き換える。
    というように。

    だから、ミスが絶えません。
    (+3)-(+5)
    =(+3)-(-5)
    =(+3)+(+5)
    =+8
    という謎の二度手間の誤答をこれまで幾度も見てきました。
    (-3)-(-5)
    =(-3)+(-5)
    =-8
    というミスも極めて多いです。
    全て丸暗記による操作ミスです。
    意味がわかっていたら、こんな誤答はしないのです。


    練習を重ねて、丸暗記で操作できるようになっても、「正負の数」の学習は、さらにここから難度を上げていきます。
    ( )を外す操作がここに加わるのです。
    +3は3のことなので、いちいち+は書かない。
    -は省略できないので、-を書く。
    +(-3)などは、-3 と表記する。
    このようなルールで( )を外すようになると、それまで必死に丸暗記したことがまた崩れ始め、混乱を起こす子は多いです。

    (+3)-(+5)
    =3-5
    =-2
    これで正しいのですが、

    (+3)-(+5)
    =3+5
    =8
    と誤答する子に、「なぜ?」と問いかけても、意味を考えて解いていませんから、理由はないのです。
    操作をちょっと間違えただけなのです。

    慣れてしまえば、( )なんかないほうが見やすくて楽だ。
    しかし、それはこの計算に習熟している大人の感覚。
    中学1年生にとって、このあたりの計算は、全力の800m走並みの負荷がかかる難度であり、「たかが正負の数」ではないのです。


    練習を重ねて、どうにか加減だけはできるようになっても、次は乗除の計算です。
    符号のルールをまた丸暗記しなければなりません。
    さらに加減乗除混合の四則計算に入ります。
    もう、符号はぐちゃぐちゃです。


    数学は、丸暗記で済ますには限界があります。
    意味を理解しなければ、先はありません。
    「正負の数」という単元で、何よりも学んでほしいのは、このことです。
    意味を理解して学んでください。
    頭の中に常に数直線をイメージし、実感で計算してください。


      


  • Posted by セギ at 15:35Comments(0)算数・数学

    2020年05月27日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞 what の慣用表現。




    関係代名詞 what は、慣用表現が多いことも特徴です。
    慣用表現は、覚えるしかありません。
    1つずつ見ていきましょう。

    ◎what is called または、what we call
    「いわゆる」という意味です。

    This music is what is called rap.
    この音楽は、いわゆるラップです。

    what we call は、文脈により、what you call や what they call という形でも使用されます。
    「いわゆる」というと、so to speak などの熟語もあります。
    言い換えは色々ある、ということも含めて、記憶しておきたい熟語です。


    ◎what S is
    「現在のS」という意味です。
    これは慣用表現というよりも what の普通の用法なのですが、最初にこの用法の文を見たときに意味をとれない高校生は多いので、一応ここで解説します。

    His mother has made him what he is.
    彼の母が、彼を今日の彼にした。

    時制を過去にすれば、「過去のS」という意味になります。

    This town is a diffrent place from what it was ten years ago.
    この町は、10年前とは違う場所だ。

    This town is a diffrent place from what it used to be ten years ago.

    この文も同じ意味です。
    過去の状態を表す熟語の助動詞 used to を用いた文です。


    ◎what is more 「さらに、そのうえ」
     what is worse 「さらに悪いことには」
     what is more surprising 「さらに驚くことに」
    what is more important 「さらに重要なことに」 など。 

    His power is absolute, and what is more, hereditary.
    彼の権力は絶対的なものであり、そのうえ、世襲によるものである。

    We got lost in the dark and, what was worse, it began to rain.
    私たちは暗闇で道に迷い、さらに悪いことには、雨が降り出した。

    上の2文を見て気づくかと思いますが、カンマ(,)と and の位置関係は、どちらでも大丈夫です。
    基本、文の途中にカンマ・カンマでこの慣用表現を挿入します。
    1文目をいったん終わらせて、2文目の冒頭に置くことも可能です。


    このあたりまでは何とか覚えている人も多いのですが、この先になると、
    「そんなのありましたか?」
    と秀才まで言い出すことがあるので、がっかりするところです。
    この先こそ、理解していないと、全く対応できなくなるので気合を入れて覚えましょう。


    ◎what little +名詞 「少ないながらもあるだけの~」

    He gave her what little money he has.
    彼は、少ないながらもあるだけのお金を彼女にあげた。

    これも、慣用表現とすることには異論があると思います。
    正しくは、この what は、関係形容詞と呼ばれるものです。
    名詞を修飾するのが、形容詞。
    だから、名詞を修飾しつつ関係詞の働きをしているものは、関係形容詞です。
    でも、そうした文法分析が面白い人はそれでいいですが、もう勘弁して・・・という人は、これも慣用表現として覚えてしまって構わないと思います。

    little のない用法もあります。

    He gave me what help he could give.
    彼は、できる限りの援助を私に与えてくれた。

    「what+名詞」=「all the+名詞+that」と把握できます。

    後ろに名詞のつかない用法もあります。
    その場合は関係形容詞ではなく、関係代名詞です。
    これの基本は、what =anything that です。

    What I have is yours.
    私の持っているものは全てあなたのものです。

    この例文の what は、後に学習する whatever に置き換えることができます。
    とりあえず、これらの what には、「すべての」という意味がこもっているという把握で乗り切りましょう。


    さて、以下の2つは、これまで以上にガチの慣用表現です。
    覚えていないと文の構造を把握できません。

    ◎what with A and (what with) B 「AやらBやらで」

    What with the wind and the rain, our walk was spoiled.
    風やら雨やらで、私たちの散歩は台無しだった。

    そもそも日本語の「AやらBやらで」の意味がわからない、聞いたことがない・・・という高校生は多いですが、こういうのは死語ではなく、文語表現です。
    自分は知らなくてもこの世に存在する正しい日本語なのだという意識をもって覚えてください。
    「AやBのせいで」という意味です。


    ◎A is to B what C is to D 
    「AとBとの関係は、CとDとの関係と同じだ」
    「BにとってのAは、DにとってのCと同じだ」

    Reading to the mind what food is to the body.
    精神にとっての読書は、肉体にとっての食べ物と同じだ。

    これを学習すると、
    「何かそういうのを前に勉強した気がする・・・」
    と言う高校生がいます。
    え?
    言い換え表現がありましたっけ?
    私はピンとこないので授業が停滞するのですが、よくよく聞くとその生徒の頭の中にあるのは、「クジラ公式」のことだったりします。
    それは、全然違うので、結びつけないでください。
    クジラ公式は、
    「クジラが哺乳類なのは、馬が哺乳類なのと同じだ」
    というのが有名な例文です。
    「哺乳類にとってのクジラは、哺乳類にとっての馬と同じだ」
    ではありません。

    関係ないことが頭の中で結びついてしまうのは脳の働きの1つで、脳としてはそれで知識を安定させたいらしいのです。
    そういう錯誤にも気をつけましょう。

    慣用表現は、覚えているかいないかの問題。
    学校の文法テキストでは、最後のほうに列挙してあるので、まあこれはいいや・・・と捨ててしまい、テストにがっつり出て後悔した人は多いと思います。
    あるいは、テストに出ていても、それが文法のテスト範囲の慣用表現だと気づかず、熟語集などの他のテスト範囲から出題された問題なんだろうと誤解して済ませてしまうために、テスト対策の姿勢が改められない、という人もいると思います。

    学校からは、文法テキストとセットで、似たような表紙のぶ厚い文法の参考書が配布されていると思います。
    そうした参考書のボリュームと比べれば、文法テキストは薄いのです。
    もともと薄いのに、見開きの左側は解説ページ、右側は問題ページという構成になっているものが多く、解説は厳選され絞り込まれています。
    そこに載っているのは、文法のエッセンスです。
    どんなに小さな字で書かれていても、全て重要事項です。
    捨てて良い箇所は1つもありません。

    しかし、参考書の存在を忘れ、文法テキストだけを見る人は、その中でも重要な箇所とそうでない箇所とを選別しようとします。
    そして、そのような判断をする人は、重要箇所と、中学の文法の復習箇所とを混同しがちです。
    自分が知っていることだから重要な気がする・・・という錯誤を起こしてしまうようです。
    中学の文法の復習は、それは基本ですから、重要です。
    しかし、そこから一歩も先に進まず、中学の復習以外は全て些末なことで、覚えなくてもいいや、テストにはたぶん出ないよ・・・という判断で大丈夫でしょうか?
    絶対ダメですよね。
    でも、テスト前になると、そんな錯誤をしてしまうのです。

    学校の文法テキストに載っていることで、自分の知らないこと、初耳のことが全てテストに出る。
    そこが重要。
    そのように意識を変えて勉強してください。

    what の慣用表現は、テストに出て当たり前のことばかりです。

      


  • Posted by セギ at 14:25Comments(2)英語

    2020年05月25日

    高校数Ⅰ「因数分解」の難問。



    高校数学には、普通の高校では授業では扱わない発展的な公式があります。
    あるいは扱っても「こんなのも一応あります」と紹介される程度で定期テストには出ないのです。
    その高校の先生の考え方によるのでしょう。
    高校1年の段階では、これは必要ない。
    文系・理系にコースが分かれた後、理系クラスだけの数ⅠA演習といった授業では扱う学校もあります。
    あるいは、高校1年の最初に、もう全部教えてしまう学校もあります。

    今回は、そんな公式の話。
    例えば、こんな問題です。

    問題 次の式を因数分解せよ。
    x3+y3-6xy+8

    うん?
    一見単純そうですね?

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y)(x2-xy+y2)-6xy+8

    ・・・・あれ?この先、進まない。
    では、xで括ってみましょうか。

    x3+y3-6xy+8
    =x(x2-6y)+y3+8
    =x(x2-6y)+(y+2)(y2-2y+4)

    ・・・・あれ?やっぱり共通因数が見つからない。
    うーん?

    さらに頑張ってみましょう。
    最後の8は、2の3乗とみることができます。
    3乗の項が3つある・・・。
    これは、やはり、3乗の公式にからんだ何かが使える気がします。

    3乗の公式について、もう少し考えてみましょうか。
    高校で学習する3乗の公式に、こういうものがあります。
    (a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
    これは、左辺と右辺をひっくり返してから部分的に移項することで、
    a3+b3=(a+b)3-3a2b-3ab2
    と変形することができます。
    これを利用してみましょう。

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y)3-3x2y-3xy2-2・3xy+8
    順番を入れ替えながら、共通因数でくくってみましょう。

    =(x+y)3+23-3xy(x+y+2)

    ここで、x+y=A と心のなかで見立てながら、しかし、もう中学生ではないので、Aは使わずにくくっていきましょう。
    今度は、a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2) という公式を使います。

    =(x+y+2){(x+y)2-2(x+y)+4}-3xy(x+y+2)

    共通因数 x+y+2 が見えました!
    くくります。
    ついでに{ }の中は適宜計算し整理します。

    =(x+y+2)(x2+2xy+y2-2x-2y+4-3xy)
    =(x+y+2)(x2+y2+4-xy-2y-2x)

    できたー!
    でも、大変だった・・・。

    こんなの自力で発想できない・・・。
    そんな声が聞こえてきます。
    確かに。

    実は、これ、発展的な公式を利用すれば、1行で因数分解は完成するのです。
    考え方は上と同じで、それを公式として固定化しているものがあるのです。


    その前に、まず基本的な因数分解の公式を確認します。
    因数分解の公式は、中学3年生で学習するものは、以下の通りです。
    a2+2ab+b2=(a+b)2
    a2-2ab+b2=(a-b)2
    x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)
    a2-b2=(a+b)(a-b)

    高校1年、つまり数Ⅰで新しく学習するものは、

    acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)

    いわゆる「たすきがけ」の公式です。

    さらに、本当は数Ⅱの学習内容とされているけれど、一緒に学習してしまおうということで、多くの高校は、以下の公式も高校1年で学習します。

    x3+y3=(x+y)(x2-xy+y2)
    x3-y3=(x-y)(x2+xy+y2)
    x3+3x2y+3xy2+y3=(x+y)3
    x3-3x2y+3xy2-y3=(x-y)3

    しかし、因数分解の公式は、他にもあります。
    発展的な重要公式として有名なのは、以下の2つ。

    a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)2

    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)

    問題に戻りましょう。
    x3+y3-6xy+8

    これは、上の公式の、
    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)
    を利用できます。
    公式のaが上の問題でxにあたります。
    bがy。
    cが2。
    だから、-3abcは、-6xy。
    この公式を利用すれば簡単に因数分解できるのです。

    x3+y3-6xy+8
    =(x+y+2)(x2+y2+4-xy-2y-2x)

    できたー。
    公式を知っていると、早いですね。


    では、こんな問題はどうでしょうか?

    問題 次の式を因数分解せよ。
    (x-y)3+(z-y)3-(x-2y+z)3

    これも、先ほど使ったのと同じ公式を利用できそうです。
    3番目の(  )の前のマイナスは、その(  )自体に-の符号がついているのだと思えば良いです。
    負の数の3乗は、負の数です。

    でも、公式は、左辺に-3abcがあるけれど、この問題は、3乗の項が3つあるだけ・・・。
    そこも、頭を柔らかく。
    a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca) は、
    a3+b3+c3=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)+3abc
    と変形できます。
    そして、この形が案外使いまわしが効くのです。

    とはいえ、最後の+3abcの部分がはみ出すので、因数分解は完成しないのでは?
    本当にこれを利用して良いのかな?
    ちょっと不安になってしまいます。
    特に後半の長い(   )の部分を書いていくのは大変そうで、これで解けないのならやりたくない作業です。
    しかし、ここでためらい、やらずに済ませてしまうと、この問題は解けません。
    無駄に思えても思考錯誤は必要。
    他に策があるわけでもないのなら、思いついた策を試してみることが大切。
    やってみましょう。

    (x-y)3+(z-y)3-(x-2y+z)3
    ={(x-y)+(z-y)-(x-2y+z)}(・・・・・・・
    =(x-y+z-y-x+2y-z)(・・・・・・・

    ここまで書いて、気づくのです。
    最初の( )は、計算すると0になる!
    0に何をかけても0なので、公式の( )(     )の部分は全部0になって消えます。
    だから、+3abcの部分だけが残るのです。
    3番目の( )の前にマイナスがついていることに気をつけて、+3abcの部分を書いていくと、

    =-3(x-y)(z-y)(x-2y+z)
    =3(x-y)(y-z)(x-2y+z)

    できたっ!
    こうなると、単に公式を知っているかどうかだけではなく、その公式を利用するかどうか決断を迫られるところにちょっとワクワクしますし、ごちゃごちゃした部分が一気に消える爽快感もあって好きなタイプの問題です。

    発展的な公式に関するお話でした。
    覚えて使ってください。



      


  • Posted by セギ at 15:33Comments(0)算数・数学

    2020年05月22日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞 what の用法。


    今回は、関係代名詞 what の用法です。
    まずは、こんな2文から。

    They couldn't believe the things. They saw the things.

    この2文を、「彼らは、自分たちの見たものを信じられなかった」という文にしたいとき。
    1文目と2文目の the things が同一のものですから、これを先行詞とすることができます。

    They couldn't believe the things which they saw.
    彼らは、自分たちの見たものを信じることができなかった。

    これはこれで正しい英語です。

    これを言い換えることができるのが、関係代名詞 what です。
    what は、「ものごと」という意味の先行詞を含みこんでいる関係代名詞。
    だから、先行詞なしで使います。

    They couldn't believe what they saw.
    彼らは、自分たちの見たものを信じられなかった。

    what は、文にあわせて「もの」や「こと」と訳すと自然な日本語になります。

    what = the thing(s) which
    この把握で基本は理解できると思います。


    もう1つ例文を見ましょう。

    What he says is different from what he does.
    彼の言うことは、彼の行うこととは異なる。

    言うこととやることが違う。
    彼は言動不一致の人なのですね。
    冒頭の what he says という関係代名詞節全体が主節の主語の働きをしています。
    後半の what he does は from という前置詞の目的語の働きをしています。


    関係代名詞の what は、疑問詞と区別がつかず混乱する人がいます。
    もともと、関係詞と疑問詞はどれも同じ見た目です。
    同じ単語の使いまわし感が強い。
    それでも、先行詞がある場合はそんなに疑問文っぽくなかったので混乱しなかった人も、what があまりにも疑問詞の印象が強いので混乱するようです。
    その混乱は理由のある混乱です。

    what を用いた文は、間接疑問文との区別がつかないことがあるのです。

    Tell me what you want.

    この文をどうとらえるか?
    今回学習した、関係代名詞ととらえるなら、この文の意味は、
    「あなたの欲しいものを私に教えて」
    となります。

    中3で学習した間接疑問文ととらえるなら、
    「あなたが何が欲しいのか、私に教えて」
    となります。

    ・・・あれ?
    それは、同じ意味ですね。
    だったら、別にどちらでもいいでしょう。
    そんなわけで、関係代名詞でも間接疑問文でも、どちらにとってもいいよ、という場合が大半です。


    しかし、それでは困る場合もあります。

    He asked me what I expected.

    これを関係代名詞ととらえるなら、
    「彼は、私が予期したことを尋ねた」
    という意味になります。
    こういう質問をしてくるだろうなあと予期していた通りのことを尋ねてきた、という意味です。

    これを間接疑問文ととらえるなら、
    「彼は、私が何を期待しているのかを尋ねた」
    という意味になります。
    おまえは何を期待しているんだね?と彼に尋ねられた、という意味です。

    これは意味が違います。
    見た目が同じなのに、意味が違う。
    どうしたらいいのでしょう?
    文章ならば、文脈判断です。
    前後から判断して、どちらの意味なのかをとらえます。
    会話ならば、疑問詞の what は強く発音され、関係代名詞の what は弱く発音されます。


    what という関係代名詞がわかりにくいのは、このように間接疑問文との混同が起こりやすいことが第一です。
    しかし、再三述べているように、高校で新出の文法事項をそもそも覚えていないので、
    「関係代名詞に what なんてあったっけ?」
    という人もかなりいると思います。
    what は、長文読解問題の中で普通に使われますから、知らないと困るのです。
    そのように話しても、浮かない顔をするばかり。
    「脳のメモリーはもうパンパンで、新しいことなんて入らない」
    という愚痴も聞こえてきます。

    ・・・そんなわけ、ないんですよ。
    まず、その認識を改めてほしいのです。
    脳のメモリーは、安物のガジェットのそれとは違います。
    脳の記憶容量は無限といって構わないほど大きいのです。
    英文法や英単語はもう頭に入らない、覚えられない、と言っている人も、新しいアニメのタイトルや登場人物はすぐに覚えるじゃないですか。
    新しいバンドや歌手の名も曲名も正確に覚えるじゃないですか。
    そして、
    「最近のバンドは、どっちがバンドの名前でどっちが曲名かわからない」
    と、もしも私が言ったら、「おばさん・・・」と揶揄するじゃないですか。

    私は、新しいアニメのタイトルも登場人物も、覚えないです。
    新しいバンドの名も、もう覚えないかもしれません。
    それは、興味がないからです。
    脳のメモリーがパンパンだから、ではありません。

    だから、英文法や英単語を覚えない人も、脳のメモリーがパンパンだから、ではないのです。
    興味がないのでしょう?

    気持ちはわからなくはありません。
    でも、そこは理性で乗り越えましょう。
    英語ができないままで、どうするんですか?

    本当に英語が必要ないのなら、それでいいと思います。
    大学に行く気はない。
    将来的にも、英語が必要な職業につくことはない。
    だから、自分には英語は必要ない。

    そのようにスパッと割り切れているのなら、それでいいのです。
    でも、現実はそうではない。
    大学には行きたいと思っている。
    英語の成績が上がったらいいなあと思っている。
    英語が聞き取れたり、読めたり、話せたりしたらいいなあと思っている。
    将来、英語を使う予感がする。
    でも、興味がもてない。

    それならば、とりあえず、それを脳の容量にせいにするのは、やめましょう。
    興味をもてば、覚えられるのです。

    しかし、どうしたら興味をもてるようになるのかは、難しいことです。
    例えば私が、どうしたら今さらテレビアニメに興味がもてるようになるかと、しばらく考えてみました。
    そして、どう考えても興味がもてるようにはならないだろう、という結論に達しました。
    私はアニメ第一世代ですから、アニメーションについて、何も知らないというわけではないのです。
    今も『未来少年コナン』の再放送を見ています。
    ひー、懐かしい、やめてくれー、とつぶやきながら。
    家庭にビデオデッキもなかった時代で、一度しか見ていないアニメを、なぜこれほど覚えているのだろう。
    十代の記憶力というのは本当に薄気味悪いくらいに凄いな、と感じながら。

    私が『未来少年コナン』に対してそうであったように、今作られている新作のテレビアニメを、一度で何もかも目に焼き付けるほどに集中して見ている若い子たちは多いと思います。
    その人たちにとって、それがどれほど大切なものであるかは、自分の十代の頃を思えば、よくわかるのです。
    だから、アニメというジャンルを否定する気持ちは全くない。
    でも、私は、今のテレビアニメには、もう興味はもてないのです。

    ただし、もしも仕事上それが必要なことになれば、話は別です。
    仕事で必要なら、アニメを見るし、覚えるべきことは覚えると思います。


    えー?
    ・・・そういうことじゃないじゃん、アニメは。
    それなら見てもらいたくないよ。

    そんなふうに言わないで。

    私は、もしも中学生や高校生が、
    「英語なんか好きじゃないけど必要だから勉強するし、覚える」
    と言ったときに、そういうことじゃないじゃん、とは思いません。
    それでいいよ、と思います。
    そこから始まる何かが必ずありますから。
    英語は、面白いですから。
    ほれぼれするような簡便さと合理性。
    それでもじわじわとにじんでくる歴史性。

    必要なことは、やりましょう。
    必要なんですから。
    英語を覚えることは、必要なことです。
    そのように認識したとき、きっと、前よりは覚えやすくなると思います。

      


  • Posted by セギ at 20:51Comments(0)英語

    2020年05月20日

    高校数学。開平法。平方根のおよその大きさが必要なときに。




    数学の問題を解いていて、平方根のおよその値が必要なときがあります。
    そんなとき、どうしましょう?
    今回は、そんな問題について考えてみましょう。


    問題 √19 の整数部分をa、小数部分をbとするとき、a2+b2の値を求めよ。

    これは、aの値がわからないと解けないです。
    √19って、整数部分はいくつなんだろう?
    √2=1.41421356・・・・
    など、語呂合わせで覚えている数は、せいぜい√5までの人が大半だと思います。
    √19って、どれくらいでしょう?

    実は、これは中学3年生で学んでいるのです。
    まず、整数に直せる平方根との大小を比べます。
    √16<√19<√25
    ですね。
    これを、√18<√19<√20
    と書いてしまう人がいますが、そういうことではなく、整数に直せる平方根でなければ意味がありません。
    また、一番値の近いものを書くことも必要です。
    √4<√19<√36
    では、意味がありません。

    √16<√19<√25
    これを整数に直すと、
    4<√19<5
    よって、√19は、4と5の間にある数、つまり、4.・・・と表される数とわかります。
    ゆえに、整数部分 a=4です。
    さて、bは、無限に続いていく小数なのにどうするのでしょう?
    心配いりません。
    b=√19-4 と表せば良いのです。

    この問題が解けない中学3年生は、この発想を持てないことが多いです。
    「b=√19-4 なんて書き方で、いいの?」
    と不安そうに言います。
    あるいは、
    「そんなの自分で思いつかない」
    と落ち込んでしまう子もいます。

    数学者ではないので、こんなことをゼロから自力で発想できなくてもいいです。
    この解き方をテクニックとして自分のものとしておけば大丈夫です。
    「自分には数学の才能がない」「勉強しても意味がない」と落ち込む必要はありません。
    2つの値の和がわかっているとき、一方は他方の数を用いて差で表すことができる。
    こうしたことをテクニックとして学び、以後、他の問題で活用できれば良いのです。

    さて、問題に戻って、
    a2+b2
    の求め方は大丈夫でしょうか?

    これくらい単純なら、このままの形で代入してもスピードも精度も変わりません。
    a2+b2
    =42+(√19-4)2
    =16+19-8√19+16
    =51-8√19

    これでも良いですが、もっと複雑な問題になったときのために、対称式を利用した解き方も思いだしておきましょう。

    a2+b2
    =(a+b)2-2ab
    ここで、a+bというのは、何のことはない、√19そのものです。
    =√192-2・4(√19-4)
    =19-8√19+32
    =51-8√19

    同じ答えになります。

    「答えに√19が残っていいの?」
    と質問した子がかつていました。
    「え?どういうこと?」
    「√19が残ったらダメなんじゃないの?」

    答に平方根が残ったらダメだなんて問題には書いてないのですが、そうした謎の思い込みに苦しむ子もいます。
    何は良くて、何はダメなのか、学年が上がるにつれ、そうしたことで悩む子が増えてきます。
    本質を理解していないのに解き方だけ丸暗記して表面をとりつくろってきたツケが、いよいよ回ってきたのだと感じます。
    本人の頭の中に数理の体系が存在しないので、自分で判断できないのです。
    おそらく小学校の算数の頃から、いちいち理解するのが面倒くさいので、やり方の丸暗記で済ませてきた。
    そのまま中学生・高校生になり、気がつくと、理解したくても理解できなくなっていた。
    案外頭の回転が速く、楽できる方法をついつい探してしまう子にこのタイプが多いのです。


    平方根のおよその大きさが必要な問題には、連立不等式もあります。
    問題 以下の連立不等式の解の範囲を求めよ。
    x2-x-8>0   ・・・①
    8x2-19x-27<0 ・・・②

    計算過程は今回は省略します。
    ①より
    x<1-√33 /2 , 1+√33 /2<x 
    ②より
    -1<x<27/8

    ここまで順調に解いて、数直線上にそれぞれの範囲を記していく際に、あれ?と思います。
    1-√33 /2 と-1って、どちらが大きいの?
    1+√33 /2 と27/8って、どちらが大きいの?
    それがわからないと、数直線上に記すことができません。

    まずは、1-√33 /2 と-1を比べましょう。
    両方を2倍して、
    1-√33 と-2。
    両方から1を引いて、
    -√33 と-3
    それぞれを2乗すると、
    33と9。
    負の数は、絶対値が大きいほうが小さい数ですから、
    -√33<-3
    よって、1-√33 /2<-1

    しかし、このように丁寧に計算していくスペースが答案用紙や計算用紙に存在しない、ということが数学のテストの場合、起こります。
    そもそも、数学の解答スペースの使い方が下手な子は、高校数学の問題を解いていて、途中でスペースがなくなってしまいます。
    解答スペースの上から2㎝ほども下がったあたりから、1㎝四方ほどの大きな字で答案を書き出し、書くスペースがなくなり、その問題は解けなくなって終了、という子がかつていました。
    それは極端な例ですが、こんなどうでもいい計算に解答スペースをあまり使いたくないものです。
    この程度のことは、暗算できれば何よりです。
    √33は、5<√33<6。
    大体6として、1-6は-5。
    それを2で割るから、1-√33 /2は、約-2.5。
    だから、-1よりは小さい。

    一方、1+√33 /2と27/8の大小は?
    √33は6より少し小さい数。
    だから、1+√33は7より少し小さい数。
    1+√33 /2は、3.5より少し小さい数。
    一方、27/8は、27÷8だから、3.3・・・。
    あれ、あまり差がないなあ。
    これで1+√33 /2のほうが大きいとするのは危険です。
    やはり、こういうときは、しっかり計算するしかありません。
    両方を2倍して、
    1+√33と27/4
    両方から1を引いて、
    √33と23/4
    両方を2乗して、
    33と529/16
    529/16=33+1/16
    うわ、27/8のほうが大きかったのですね。

    それぞれを数直線に記して、重なっている部分がこの連立不等式の解ですから、
    1+√33 /2<x<27/8。

    あー、大変だった。


    それでも、大小の判断だけならこれで何とかなるのですが、一番厄介なのが、数Ⅰ「データの分析」です。
    標準偏差は、平方根になります。
    高校の定期テストや入試問題で、それを何のヒントもなく小数を用いた表記に直させるようなことはありませんが、問題集などで自分で問題を解いている際に、模範解答で平方根がスルッと小数に直っているのを見て、「何で?」と思ったことはありませんか?
    小数第2位まで、平然と小数に直しているけれど、どういうこと?
    どうやるの?

    やり方は3つあります。
    まず1つ目は、「平方根表」を使用する方法。
    三角比の表と似たような見た目の「平方根表」というものがあります。
    中3向けの問題集の巻末などに載っています。
    例えば、「体系問題集・代数2」など。
    その表で読み取ります。
    大学入試共通テストは、今のところ、問題がそれを必要としている場合は「平方根表」を添付してくれるようです。

    2つ目。
    電卓を使用する。
    √ のボタンのついている電卓なら、すぐに平方根の値が出てきます。
    √ のボタンのない電卓でも、それなりの値段の電卓、あるいはスマホの電卓アプリならば、平方根を計算するやり方があります。
    多少複雑なボタン操作になりますので、説明書をよく読んで使用しましょう。
    ただし、テスト中は電卓・スマホは使用できない場合がほとんどですね。

    3つ目。
    「開平法」で筆算する。
    平方根は、筆算で小数に直すことができます。
    一番上の画像がその計算です。

    上の画像は、√13 を計算したものです。
    まず、13より少し小さい平方数(何かの2乗の数)を考えます。
    3×3=9ですね。
    その3を、√13の横に書き、平方数の9を13の下に書いて、引きます。
    引いた答えは、4となります。
    これに小数点以下の2桁分を加え、400とします。
    3は、真下にも3を書き、足します。
    3+3=6 となります。
    この6が十の位となります。
    次に、6☐×☐の答えが、400より少し小さくなる数を探します。
    ☐は6ですね。
    66×6=396を400の下に書いて、引きます。
    答えは4です。
    66の下に、見つけた6を書いて、足します。
    72となります。
    これを繰り返し、見つけた数を順番に√13の上に書いていくと、それが√13を小数に直した数となります。

    これを開平法、あるいは開平計算と言います。
    なぜ、こんな方法で計算できるのか?
    大体のイメージを説明しましょう。
    √xという数を開平法で計算するとします。
    まず、2乗してxより少し小さくなる数を見つけ、それをaとし、
    √x=a+b
    と表すとします。
    上の√13の例で言えば、x=13、a=3 です。
    √x=a+b を2乗しましょう。
    x=(a+b)2
    x=a2+2ab+b2
    移項します。
    x-a2=2ab+b2
        =b(2a+b)
    次に、x-a2の値より少し小さくなるb(2a+b)を満たすbを探します。
    上の図で、bは0.6です。
    2a+b=6.6、そして、b(2a+b)=3.96です。
    以下、これの繰り返しで割り進めていきます。

    正確な証明ではありませんので、今の説明で、パッとひらめくものがあればそれで良し、わからなかったら、もうそれはそれでいいというくらいに気楽に受け取ってください。
    開平法は、必ず身につけなければならないというものではありません。
    こんな方法もありますよ、というお話でした。
      


  • Posted by セギ at 11:25Comments(0)算数・数学

    2020年05月18日

    高校英語。前置詞と関係代名詞。


    まずは、以下の2文を1文にしてみましょう。

    This is the office. I work in the office.

    「これが私が働く職場です」という文を作りましょう。
    1文目の the office と、2文目の the office が同じものですから、これが先行詞となります。
    先行詞が人以外なので、which を使いましょう。

    This is the office which I work in.

    2文目の the office が、関係代名詞 which になり、先行詞の直後にきました。
    その後は、2文目の残りを普通の順番で続けます。
    関係代名詞を使った文を作るときの、基本ルールですね。
    which をthat に置き換えることもできます。

    This is the office that I work in.

    前置詞のことを無視しがちで、何かと前置詞を書き忘れる人は、この最後の in を忘れがちですが、これは省略できません。
    繰り返します。
    前置詞は、省略できません。
    まず、ここまで、大丈夫でしょうか?
    ここから、さらにこれのバリエーションの解説を始めます。

    この関係代名詞 that や which は、「前置詞の目的語」です。
    目的格の関係代名詞は省略可能。
    だから、これらの関係代名詞も省略できます。

    This is the office I work in.

    これも、正しい英語です。


    ところが、別の語順も考えられます。
    意味のまとまり(句)は、in the office です。
    句としてのまとまりを大事にするなら、in the office は、 in which となり、そのまとまりごと先行詞の直後に置くことも可能です。

    This is the office in which I work.

    これも正しい英文です。
    こちらのほうが、文法的にガチガチに正しい書き言葉です。

    なお、 in which は、in that に書き換えることはできません。
    これは、重要です。
    in that は、「~の点において」という意味の接続詞の用法ならばあります。
    それは、関係代名詞ではありません。
    他の前置詞の場合も、前置詞+関係代名詞という形で that を使うことはできません。
    that は万能ではない。
    使ってはいけない場合もあるのです。

    ここまで、4つの文が全て同じ意味であり、英文として正しいことを説明しました。
    まとめます。
    This is the office I work in.
    =This is the office that I work in.
    =This is the office which I work in.
    =This is the office in which I work.

    この4つの文は、上の文ほど口語的(話し言葉)で、下へ行くほど文語的(書き言葉)になります。


    さて、では、これから書く文は、正しい英語なのか、そうではないのか。
    どうでしょうか?

    I found the key for which my mother had been looking.
    母が探していた鍵を私は見つけた。

    この文は、間違いです。
    正しくは、
    I found the key which my mother had been looking for.

    なお、which は省略しても構いません。

    ルール通りに英文を作ったはずなのに、前のほうの文はなぜ間違いなのか?
    これは、前置詞が、どの単語と緊密に結びついているかによるのです。

    一番上の文では、in the office が意味のまとまりです。
    前置詞から始まるので、前置詞句と呼ばれます。
    しかし、今回の for は、for the key という前置詞句を作っているわけではありません。
    この for は、動詞 look との結びつきが強いのです。
    look for で、「探す」という意味の熟語です。
    動詞+前置詞などの形で、その動詞本来の意味とは別の意味を作っているものを「群動詞」と呼びます。
    look for は、群動詞です。
    群動詞の一部である前置詞の場合、関係詞につられてふわふわと前に行ったりはしないのです。
    動詞の側にいないと意味が壊れて、伝わらなくなってしまうからです。

    群動詞かそうじゃないかは、どうやって見分けるの?

    そんな質問があるかと思いますが、究極のところ、それは知識です。
    look for が、look(見る)とは異なる意味の熟語、すなわち群動詞であると判断できるのは、その知識があるからです。
    その群動詞を覚えているかどうかです。
    熟語として覚えているから、その熟語を引き離してはいけないと理解できます。

    何だ、結局覚えないとダメなのかあ・・・。

    ため息をついた方もいらっしゃると思いますが、単語も熟語も、覚えないとダメなものはダメです。
    look for は中学で学習する熟語ですが、それでも覚えていない子は、覚えていません。
    テスト範囲だったときは何とか覚えて、テストが終わればすぐに忘れてしまうのです。

    英語でそのような学習習慣だと、学年が上がるにつれて本当にひどいことになります。
    定期テストは、跳びぬけて良いわけではないにせよ、そこそこの点は取っている。
    そういう場合、保護者の方は、子どもがそのような学習習慣に陥っていると気がついていないことがあります。
    中学生の間は、目に見える形では、危機が露呈しません。
    ひどいことになっていると気がつくのは、多くの場合、高校2年。
    校外模試や学力テストで、英語の偏差値が極端に低いことを初めて目にし、愕然とする保護者の方が多いです。
    あるいは、当然受かるだろうと思って受検を勧めた英検準2級や英検2級に筆記試験で不合格という事実に直面したとき。

    ただし、生徒自身はそのずっと前から状況にうすうす気づいています。
    自分が、中学生から全く英語力が伸びていないこと。
    単語も熟語も覚えていない。
    文法も、細かいところはよくわからない。
    それは本人には自覚があるのですが、定期テストの点数がそこそこなので、保護者は気がつかないのです。

    単語も熟語も、反復がものを言います。
    文法練習をたくさんやっている子は、その中で単語・熟語にも多く触れているので、少なくとも中学で学習した熟語は身についています。
    ただ、高校英語になると、覚えるべき熟語が大量なので、文法練習をやりながら身につけるということでは間にあわなくなっていきます。
    熟語は熟語で、整理して覚えていかなければなりません。
    暗記しましょう。
    英語は、ある程度時間を割いて勉強しなければ身につかない教科です。
    教科書だけとか、定期テストの範囲だけとか、視野の狭い学習にならないように気をつけて、反復してください。

    それを知り、実践してきた高校生と、実践しなかった高校生とでは、高校3年生では英語力に大差がつきます。
    大学入試問題に全く歯がたたない人と、普通に対応できる人と。
    高3になっても、英検2級の問題文の単語がほとんどわからない人と、英検準1級でも普通に正答でき、リスニングなら英検1級問題にも対応できる人と。
    私の実感では、中間層は少ないのです。
    できるか、できないか。
    その二択になってしまうのが英語です。
    その差は、才能よりも努力の差です。
    努力できることも才能だという見方をすれば、それも才能の差ではあるのですが。


      


  • Posted by セギ at 12:21Comments(0)英語

    2020年05月15日

    確証バイアスと計算ミス。



    ソーシャルディスタンスは2m。
    スーパーでもドラッグストアでも、レジの行列は一定の間隔で並ぶための線が床に貼られています。
    しかし、そのことに気づかず、すぐ後ろに並ぶ人がたまにいて、困惑することがあります。
    そんなとき、ちょっと後ろを振り返り、そのまま、さらに床に目を落とすと、床に貼られたテープに気づき、下がってくれる人もいます。
    知らない人との会話そのものにリスクがあるので、声を出す気にはなれません。
    こうした視線の動きで気づいてほしい。
    そう思うのですが、なかには全く気づいてくれない人もいます。

    先日、駅前の書店で買い物したときも、行列でやはりテープを無視して私のすぐ後ろに立った人がいました。
    その後、それぞれ別のレジで支払いを済ませたので、書店を出るのもほぼ同時になりました。
    ビルの3階にあるその書店から降りるエスカレーターで、その人は、わざわざ歩いてきて私のすぐ後ろに立ちました。
    私がちょっと歩いて距離を保とうとしても、またその人も数歩歩いて距離を詰めてくるのです。
    私の前には、別の人が立っていました。
    これ以上私が進んだら、今度は私が前の人に近づき過ぎてしまう・・・。
    普段なら特に何ということもない行動ですが、こういう時期にそれをやられると・・・。

    こうした人は、自分が間違った行動をとっていることに気づいていない可能性が高いのです。
    まさか、わざとやっているわけではないでしょうから。
    本人にもリスクのある行動です。
    私がもしも感染者だったら、どうするつもりなんだろう?

    むしろ、その人は、自分は正しいことをしていると思っていたかもしれません。
    行列は詰めて並ぶものだし、エスカレーターは後ろの人に迷惑をかけないようにどんどん歩くものだ。
    そう信じ込み、今の時期はそれが必ずしも正しいわけではないと気づいていなかったのだと思います。


    他人の振り見て我が振り直せ。
    「自分は間違っていない」と思い込んでいることはないか?
    自分のほうが間違っていることを示す情報が目の前にあるのに、気づいていないということはないだろうか?
    そんなふうに考えてみました。

    「確証バイアス」という言葉があります。
    自分が正しいことを証明する情報は目に入ってきやすいが、それを反証する情報は目に入りにくい。
    意識してのことではなく、本当に目に入らず、無視するそうなのです。

    だから、自分が間違っていても、間違っていると気づくのは難しい。
    確証バイアスは、学習面でも大きな課題です。


    数学の授業中、計算ミスをしているので、
    「そこ、間違っているんじゃない?」
    と柔らかく問いかけても、
    「間違ってません!」
    と即答する子が、かつていました。
    その子に、間違っていることを納得させるのには、他の子よりも時間がかかりました。
    計算ミスの箇所を指さしても、なかなかピンとこない様子でした。
    正しい答えを私が言ってもまだ「え?」と疑い深い顔をし、そこでようやく考え始め、1分ほども考えて、ようやく気づくのでした。

    滅多にミスをしない子なら、そのように自信家なのもわからなくはないのです。
    しかし、その子は、むしろ普通よりもミスの多い子でした。
    計算ミスの他にも、毎週のように何かしら忘れ物をしてくるので、授業がスケジュール通りにいかないこともありました。
    計算ミスが多いこと。
    忘れ物が多いこと。
    そうしたことを自覚していてもおかしくないのですが、本人は全く認めず、それを指摘するときょとんとした顔をしました。
    ありもしないことを指摘された、といった表情です。
    単にすっとぼけているだけなのか?
    うすうす気づいているのだが、認めたくなくて、知らない顔をしているのか?

    これがどうも、本当に気づいていないようなのでした。
    計算ミスが多いことも。
    忘れ物が多いことも。
    そして、自覚がないので対策も立てませんから、ミスが減ることもないのでした。

    これも確証バイアスの一種だったのかもしれません。
    自分がミスした事実は意識しないのです。
    ミスをしたことをすぐに忘れます。
    一方、他人のミスはよく目につき、記憶するようでした。
    他人はミスが多いなあと感じる。
    自分が10回ミスをしてもすぐに忘れるが、他人が1回ミスをしたことは、非常に印象深く記憶する。
    他人はよくミスをする、と感じる。
    他人と比べれば自分はそんなにミスをするほうではない。
    ミスをしやすい人ほど、案外本当にそう思ってしまうようなのです。

    しかし、それは事実とは異なります。
    学校で、家庭で、それを指摘されることはあったでしょう。
    あなたは、よくミスをするよ。
    あなたは、ミスが多いよ。
    自分の思う真実と、複数の他人が指摘する事実とが明らかに異なるのです。
    信念が脅かされます。
    「間違ってません!」
    という叩き返すような断定は、そういうところから発していたのかもしれません。

    計算ミスを防ぐには、計算ミスをしやすい事実を認め、どこで計算ミスをしやすいかを自覚し、対策しなければなりません。
    符号ミスをする。
    0と6をいい加減に書いて見間違う。
    かけ算やわり算の筆算をまっすぐに書いていくことができず、桁がズレる。
    7の段など、特定の九九を間違える。
    数字や文字を書き間違う。
    無理な暗算をする。
    そうした、自分がミスをする傾向と原因を把握し、意識し、そこに差し掛かったらスピードを落として慎重に事を運び、また、そこを重点的に見直すことが必要となります。
    1度はミスをしても、2度と同じミスをしないよう努力する。
    自分が何をミスしたかを記憶していることが、それを助けます。
    そうやって慎重にやっていても、睡眠不足だったり、疲れがたまっていたり、他に気になることがあって精神的に安定していなかったりすると、ミスは出ます。

    人はミスをするものです。
    それすらも認められない間は、ミスは減りません。

    「間違ってません!」
    と即答する子は、もう高校生になっていました。

    ある日、その子の定期テストの答案を見た後、改めて、私は問いかけました。
    「あなたは普通よりも計算ミスが多いし忘れ物が多いと私は思う。あなたはどう思う?」
    その子は、顔を歪めて否定しようとしましたが、その後、黙ってしまいました。
    「計算ミスが多いことを自覚しないと、その対策もできないですよ」
    「そんなことを認めたら・・・・」
    「うん?認めたらどうなるの・・・・?」
    「・・・・」
    返事はありませんでした。

    でも、私の指摘は、そのときその子に届いたのだと思います。
    認めることはできないけれど、その事実が自分の外側に存在することは自覚したのだと思います。
    それ以降、計算ミスを指摘すると、静かに見直すようになりました。
    計算ミスは、そう簡単には減りませんでした。
    しかし、忘れ物は目に見えて減りました。



      


  • Posted by セギ at 12:26Comments(0)講師日記算数・数学

    2020年05月12日

    高校英語。関係代名詞。関係代名詞 that の用法。


    関係代名詞 that は、中学でも学習します。
    ただ、中学では、who や which の代用ができる、ということしか教わらなかった人が多いかもしれません。

    確かに、that は who の代わりも which の代わりもできます。
    主格でも目的格でも使えます。
    万能感が強い。
    いちいち判断しなくて済むので、口語では多用されます。
    だから、もう何でも that を使おうと決めてしまった人もいたと思います。
    しかし、そのつもりでいたら、中学の定期テストの4択問題で選択肢に that が存在せず、絶望の淵に立たされた、という人もいたと思います。
    自分が that で済ますのは自由だけれど、他人は who も which も使います。
    使い分けは理解しておいたほうが良いのです。


    さらに、高校英語になると、that は、最優先で使うべき場合と、使ってはいけない場合を学びます。
    中学では学ばなかった細かいルールを高校では学んでいきます。

    今回は、that を最優先で使うべき場合について学習します。
    場合ごとに列挙していきます。
    以下の場合は、関係代名詞は、that を用います。


    ①先行詞が「唯一の」など特定の1つのものを表す修飾語を伴うとき
    This is the only suit that he has.
    これは、彼が持っている唯一のスーツです。

    先行詞(関係詞節に修飾されている名詞)の前に、特定の1つのものを表す修飾語があるときです。
    この文では、the only です。
    「唯一の」という意味です。
    こうした修飾語を伴う先行詞のとき、関係代名詞は that を用います。
    the only の他に、the first , the second , the last(最後の) , the very(まさにその) , the same(同じ) 、最上級の形容詞、などがあります。

    This is the hottest summer that we have had in seventy years.
    今年は70年間で最も暑い夏です。

    The first and the simplest emotion that we discover in the human mind is curiosity.
    人間の心の中で最初に見いだされ、そして最も単純な情動は、好奇心である。


    ②先行詞が「全」または「無」の意味をもつ修飾語を伴うとき
    Don't believe all the gossip that you hear.
    耳にする全てのうわさ話を信じてはいけない。

    先行詞の前に、all , every , any , little , no およびその合成語があるときです。
    上の文では、gossip が先行詞で、その前に all があります。
    そのため、関係代名詞は that が使われています。

    There was little that interested him at the exhibition.
    その展示会で、彼の興味をひくものはほとんどなかった。

    この文は、little の後ろに漠然とした「ものごとや情報」を表す先行詞があるはずですが、それが省略されているとみなすことができます。
    little がその先行詞を修飾しているので、その後ろの関係代名詞は that です。


    ③先行詞が人+人以外のものの場合。
    Look at that boy and the dog that are running over there.
    向こうを走っているあの男の子と犬を見て。

    この用法は、中学でも学習している人が多いと思います。
    上の文では先行詞が「男の子と犬」なので、who を用いても which を用いても不自然です。
    こういう場合は、that を用います。

    The men and manners that he describes will be unfamiliar to most of his readers.
    彼が述べる人間と風習は、大部分の読書にはなじみがないだろう。


    ④疑問詞が先行詞の場合
    Who that understands music could say his playing was good ?
    音楽のわかる人の誰が、彼の演奏を良かったと言えるだろうか。

    この文の主節は、
    Who could say his playing was good ?
    です。
    では、どんな who なのかというと、「音楽を理解している人」なのです。
    このように、疑問詞を修飾する関係代名詞節のときは、that を用います。
    先行詞は明らかに人間なのだから who を用いてもいいのではないかと思う人もいると思いますが、
    Who who understands music could say his playing was good ?
    は、さすがに口調が悪いと判断され、避けられます。


    ⑤先行詞が人の地位・職業・性格を表し、関係代名詞節の中で補語の働きをしている場合
    He is not the man that he was ten years ago.
    彼は10年前の彼ではない。

    これを2文に分けるならば、
    He is not the man. He was the man ten years ago.
    となります。
    1文目の the man と2文目の the man が同一人物ですから、それが先行詞と関係詞になります。
    2文目の the man は、2文目の中でC(補語)の働きをしています。
    なお、この that は which への言い換えは可能です。
    「え?人なのに?」
    と驚くかもしれませんが、who や whom での代用はできません。


    以上、that が優先的に使われる場合をまとめました。
    こういう細則は、学校の文法テキストでは小さい字で書かれていたり、別枠のコラムなどでまとめられています。
    「じゃあ、そんなに重要じゃないんだな」
    と思ってしまい、覚えないでいると、定期テストで後悔します。
    基本の理解を重視するタイプのテスト問題を作る先生でも、上の①~③は、テストに出します。
    少し難しい問題を作る先生ならば、④も⑤もテストに出します。
    テストに出ないという判断そのものがまず誤りだと自覚してください。
    テストは、むしろこういうところが出るのです。

    また、英語表現Ⅱの演習テキストを勘で解いたら間違いだらけで、でもなぜ違うのかわからない・・・という人は、こういうところを覚えていないために間違ってしまう場合が多いのです。
    4択問題なのだから確率的には25%は正答できるはずなのに、10%も正解にならない・・・という人は、細則を重視した文法の総復習をすると疑問が晴れてスッキリします。

    「こんなのどうせテストに出ないよ」
    というのは、バイアスのかかった認知です。
    テストに出ないと思ったほうが覚えなくて済むので楽だ、という気持ちが根底にありませんか?
    高校生になれば、そうしたことも客観視できるはずです。

    これは、テストによく出ます。
    そのつもりで覚えましょう。

      


  • Posted by セギ at 12:32Comments(0)英語

    2020年05月08日

    イコールの意味に気づいていますか。


    例えば、こんな計算問題を小学生が解くとき。

    25+(15-3)×2+18÷3-2

    四則計算の問題です。
    計算の順序は理解できているのに、答案が以下のようになってしまう子がいます。

    25+(15-3)×2+18÷3-2=12×2=24+25=49+6=55-2=53

    答 53

    大人が見るとかなり異様な式なのですが、その異様さが、小学生にはわからないようなのです。
    25+(15-3)×2+18÷3-2
    という式の、どこを先に計算するかというと、まずは( )の中です。
    ( )の中は、12。
    その12×2を次に計算します。
    だから、
    25+(15-3)×2+18÷3-2=12×2
    と書いてしまうのです。
    12×2の計算の結果は、24。
    その24と、最初の25をたします。
    だから、
    25+(15-3)×2+18÷3-2=12×2=24+25=49
    と書いているのです。
    その次にやるのはわり算。
    18÷3=6
    だから、49+6。
    この調子で、最終解答が出るまで式は続いています。

    「・・・イコールという記号は、その記号の左側と右側が等しいという意味です。等しくないものをイコールで結んだらダメなんですよ」
    そのように声をかけるのですが、こうした式を書いてしまう小学生は、大抵きょとんとした顔をします。
    このセンセイ、何を言っているんだろう?という顔です。
    算数のカラーテストでは90点以上の子でも、こんな計算過程の子はいます。
    そして、私が直しなさいと言えば、その場では直しますが、しばらく経って四則計算をすると、また同じことをやってしまいます。

    25+(15-3)×2+18÷3-2
    12×2=24
    25+24=49
    18÷3=6
    49+6=55
    55-2=53
    答 53

    小学生が上のような書き方をしているのなら、目くじらを立てることはありません。
    それがわかりやすいのなら、それでもいいのです。
    しかし、
    25+(15-3)×2+18÷3-2=12×2=24+25=49
    は、見ていて気持ち悪い。
    こんな間違った式を見ていたくない。
    やめてくれ。
    頼むからやめてくれ、と思います。
    その気持ち悪さが、小学生には伝わりません。

    なぜ、このような式を書いてしまうのでしょう?
    もしかしたら、彼らは、=(イコール)という記号の意味を理解していないのではないかと思うのです。
    イコールは、日本語では「等号」と呼ばれる記号です。
    左辺と右辺の値が等しいことを表す記号です。
    25+(15-3)×2+18÷3-2と、12×2は等しくありません。
    12×2と、24+25は、等しくありません。
    それを等号で結ぶことはできません。
    彼らは、それを理解していないのだと思うのです。

    彼らにとって、=(イコール)の意味は、「さあ計算しまーす」程度の意味なのではないかと想像します。
    12×2を計算しまーす。
    24+25を計算しまーす。
    その程度の意味で等号をとらえているのではないかと思います。
    =を「は」と読むことも多少は影響しているのでしょうか。
    等号の左側と右側が等しいとか等しくないとか、そんなことはどうでもいいらしいのです。
    計算過程を書いているだけなので、文句を言う人の気持ちがむしろわからない。
    そんなふうなのではないかと想像します。


    しかし、中学生になれば、多くの子が以下のように答案を書いていくようになります。

    25+(15-3)×2+18÷3-2
    =25+12×2+6-2
    =25+24+6-2
    =53

    まだ計算しない部分も含め、式を全部書いていきます。
    イコールの前後は常に等しい。
    気持ちのよい式です。
    また、この式のほうが見やすく、計算しやすいのです。
    次は何をすればよいか、いちいち最初の式に戻って考えずに済みます。
    計算過程を横に横に書いていかず、下に下に書いていることも案外重要です。
    目が左右に散って書き写し間違うのを避けることができます。
    上下を見比べるだけで済むので、確かめも簡単です。
    式として正しく、かつ合理的です。

    しかし、小学生にとっては、計算しない部分を書いていくことは、むしろ不合理に思えるのかもしれせん。
    多くの小学生は、手を使って字を書くことに何かとてつもない精神的負担があるのか、余計な文字は1文字でも書くのを惜しみます。
    計算しない部分をあえて書いていくことなど、ありえないのかもしれません。
    「計算しない部分も書いていけば、等しくなるでしょう?等しいときだけイコールで結ぶんですよ」
    と、ルールを説明しても、そのルールを厳密に守る気持ちにはなかなかなれないようです。
    そんなくだらないルールを守っていたら、余計な文字を書かねばならない。
    そんな無駄なことはできない。
    彼らは、そう思っているのかもしれません。

    そもそも、=は、等しいという意味だなんて、そんなの聞いたことがない。
    =は、計算しますよー、という意味だよ。
    だって、=は、イコールなんて読まないもん。
    計算の結果「は」いくつなのかを書いていくだけの記号だもん。
    そんな気持ちでいるのだろうかと想像します。

    想像の域を出ないのは、こうした間違いをおかす小学生が、なぜそうするのかを語ることは皆無だからです。
    何か一言でもそのように計算式を書いている理由を語ってほしいと思うこともありますが、彼らはただ黙りこみ、言われたときには直し、しかし、次のときにはまた同じ間違いをおかします。
    わかっているけれど、忘れてしまうのか。
    納得できていないから、また同じ間違いをおかすのか。


    繰り返しますが、中学生になると、一応は、下に下に式を書いていけるようになる子が大半です。
    教科書にそう書いてあるし、学校の先生もそうしろと命じるので、中学の数学はそう書くものなのだと何となく理解するからでしょうか。
    小学校の算数と中学の数学はスタイルが違う。
    中学の数学は、こう書くものなのだ。
    そのように理解しているのかもしれません。

    書き方が直ったのは良いのですが、上のような「単なるスタイルの問題」として理解していると、その先がやや不安です。
    なぜなら等号の本質を理解していない中学生が陥りやすい誤りがあるのです。

    順をおって説明します。
    中学生は、中1の初めにまず「正負の数」を学習します。
    その中で、正負の数の四則演算を学びます。

    次の単元は、「文字式」です。
    1/2a+2/3+3/4a+5/6
    などの、係数や定数項が分数の式の計算も学習します。

    1/2a+2/3+3/4a+5/6
    =2/4a+3/4a+4/6+5/6
    =5/4a+9/6
    =5/4a+3/2

    と、通分して計算していくことは、大抵の中1は出来るようになります。

    続いて、「方程式」の単元に進みます。
    ここで、まず等式の性質について学び、その後、それによって方程式を解く方法を学びます。
    係数が分数の方程式は、全体を何倍かして解きます。

    1/2x=3/4x-8
    両辺を4倍して、
     2x=3x-32
    -x=-32
     x=32

    これも、自力で解けるようになる子が大半です。

    順調に学習が進んでいるように見えます。
    しかし、この学習の後、夏休みなどに1学期の復習をすると、先ほどの文字式の問題を以下のように解く子が現れます。

    1/2a+2/3+3/4a+5/6
    =6a+8+9a+10
    =15a+18

    式全体を12倍して、分母を払ってしまうのです。

    「いや。文字式は、全体を何倍かしたらダメです。勝手に12倍したら、12倍した値になるじゃありませんか。それは、等しくない。そんなときには、=は使えない」
    そのように説明しても、小学生の頃、四則計算のときに等しくないものをイコールで結んだときのようにきょとんとした顔をするだけの子は多いのです。

    文字式と方程式の区別がつかない。
    どんなときに全体を何倍かして良くて、どんなときにはダメなのか、わからない。
    数学が苦手な子に共通のこの悩みは、中学3年になっても尾を引くことが多いです。

    原因の多くは、等号の本質を理解していないことにあります。
    等号がわかっていないのです。
    だから、文字式と方程式の区別がつきません。

    文字式は、与えられた式に=がついていません。
    その式を計算していくときには、自分で=をつけてその先を続けます。
    勝手に何倍かして、その式の値を変えることはできません。
    一方、方程式は、真ん中に=があって、最初から左辺と右辺があります。
    それは関係を表す式だから、両辺を何倍かしても、関係は変わりません。

    文字式と方程式は、見た目だけではっきり区別がつくのです。

    そのように説明しても、
    「わからない・・・」
    と首を横に振る子もいます。
    小学生の頃、横に=をつけて、式を横に横に書いていたことがここでネックになっているのかもしれません。
    文字式と方程式との見た目の違いがよくわからないようなのです。


    違いの本質は、等号にあり。
    等しくないものに=を使ってはいけない。
    左辺と右辺を平等に何倍かするのなら等号は成立するが、勝手に等号の後だけ何倍かしてはいけない。
    そうした説明が理解しきれない子は、中2になっても中3になっても、文字式の計算のときに、全体を何倍かしてしまうのです。


    「等号の意味」のように、ものごとの基本中の基本で本質的な概念は、小学生の頃に言語化されないまま数理の体系として頭の奥まで染みていくのが理想です。
    算数・数学が得意な子は、説明されなくても、それを理解しています。
    言語化されないまま、数理の体系が頭の中で形成されていくのです。
    しかし、ただ「やり方」だけ暗記し、意味や本質を理解しない子も一定数います。

    なぜ、意味や本質が理解できないのか?
    数理の体系が頭の中に構築される子と、何が違うのか?
    学び方のどこに差があるのか?
    全てその子の頭の中で起こっていることなので、外からは見えにくいのです。
    カラーテストは良い点が続き、表面的には何も問題はないように見える子が、数理の体系を全く理解していないということがあり得るのです。

    意味や本質をそもそも理解できない子も、いるかもしれません。
    しかし、理解しようとしない子も多いのではないかと思います。
    意味や本質の理解は、彼らにとっては「容量」的に重いのです。
    「脳のメモリ」をやたらと喰ってしまいます。
    容量を軽くするには、やり方だけ覚えること。
    そのほうが脳に負担がかからない。
    そのような判断を無意識にしているのではないでしょうか。
    やり方だけ覚え、テストが終われば消去してしまえばいい。
    それが要領の良い学習だと、本人が、というよりその子の脳が、誤解している・・・。
    そうではない学習ができないほどそれは習慣化し、ぱっと覚えるがすぐに忘れ、深い理解はない。
    何もかもが軽い・・・。

    概念のレベルのことは、本人の脳が本質に向かって動きださないと、深い理解に至らないのです。

    では、どうしたらよいのか?
    こんなときにいつも思い出すのは、ヘレン・ケラーを教えたサリバン先生のことです。
    サリバン先生は、ヘレンにまず指で文字を作ることを教えました。
    目が見えず耳が聞こえなくても、指で作られた文字を触って理解することができます。
    自ら指文字を作り、意思を伝えることも。
    しかし、ヘレンは、指文字が物を指し示すことを理解しませんでした。
    ものには全て名前があることも、この世には言葉があることも知らなかったので、教えられる指文字は、ただそれをなぞるだけのゲームに過ぎませんでした。

    では、永久にそのままだったのか?
    そうではなかったことを、私たちは知っています。
    「ウォーター」の意味を突然理解したヘレンの奇跡。
    それは、ヘレンに繰り返し繰り返し指文字を教え続けたサリバン先生が起こした奇跡です。

    脳は、本人の望む通りには動きません。
    でも、繰り返し繰り返し同じ情報を与え続けたときに、本人の意思とは関係なく、脳が本質に向かって思考し始めることはあると思います。

    イコールは、等号の前と後ろが等しいという意味です。
    表面をなぞるだけでは当たり前すぎて何も伝わってこないこの情報が、いつか脳の奥深くに到達し、その子の中に数理の体系を生み出すことを、私は夢見ます。


      


  • Posted by セギ at 21:35Comments(0)算数・数学

    2020年05月04日

    高校英語。関係代名詞。所有格の関係代名詞 whose。


    今回は、所有格の関係代名詞 whose の話です。

    まずは、2文を1文にするところから確認しましょう。

    I found a notebook. Its cover was red.
    私はノートを見つけた。その表紙は赤だった。

    この2文を、「私は表紙の赤いノートを見つけた」という1文にします。
    1文目と2文目で共通のものを表す単語は、1文目の notebook と2文目の its です。
    2文目が、1文目の notebook を修飾するようにしたいですが、関係代名詞は、いつも通りの which で良いでしょうか?
    関係代名詞は、2文目の中でどんな働きをしているかで使い分けます。
    人以外のもの、すなわち物や動物が先行詞(修飾される名詞)のときは、主格でも目的格でも which でしたが、今回は、主格でも目的格でもありません。
    its は、所有格です。
    こうした場合に用いるのが、所有格の関係代名詞 whose です。

    I found a notebook whose cover was red.
    私は、表紙の赤いノートを見つけた。


    日本語に訳すときは、上の文のように、whose を訳さないようにすると、むしろスムーズです。

    I have a friend whose father is an actor.
    私は、お父さんが俳優の友達がいる。

    The man whose old rusty bike had been stolen was reluctant to report the theft to the police.
    古い錆びた自転車を盗まれたその男は、いやいや警察に届けを出した。

    This grammar book is specially intended for people whose native tongue is not English.
    この文法書は、特に英語を母国語としない人たちに向けて書かれたものである。

    だんだん難しくなっていますが、基本構造がわかれば、意味は取れると思います。

    関係代名詞 whose は、先行詞が人でも、人以外でも使います。
    そこを誤解し、人以外のときには which を使ってしまう人がいますが、そういうことはありません。
    所有格のときは、全て whose が使えます。

    上のような誤解をする人がいる一因は、whose の言い換え表現にあるのでしょう。
    whose を of which で言い換えることができるのです。

    We mended the chairs whose legs were broken.
    = We mended the chairs the legs of which were broken.
    私たちは、脚の壊れた椅子を修理した。

    「whose +名詞」を「the 名詞+ of which 」に言い換えることができるのです。
    この場合は、さすがに先行詞は人以外のもののときとなります。


    whose は、中学では学習しない関係代名詞ということもあり、そういう関係代名詞があることすら忘れてしまう高校生は多いです。
    中学で習った文法以外は一切身につかない様子なのは、高校の学習内容は量が多く覚えきれないことが一因だろうと思います。
    高校1年の「英語表現Ⅰ」で高校文法を全て学習し、高校2年の「英語表現Ⅱ」では、それを踏まえた演習を行う高校は多いです。
    高1で学んだ文法が全部頭から抜け落ちていると、高2の演習で苦労します。
    何の文法単元の、どんな文法事項の問題を解いているのか、全くわからないまま、ただ問題を解いてしまうのです。
    全部、熟語や語法の問題だと勘違いして解いてしまう人もいます。
    何の文法単元なのかを意識し、文法のテキストや参考書を読み直してから解くと、かなり演習しやすくなります。
    定期テストのために一度は覚えても、また忘れてしまっていることが大半です。
    繰り返し復習することで、身についてきます。


    ところで、『ルーム』という映画をご存じでしょうか。
    新型コロナウィルスによる閉塞感の強い今、あの映画は、メンタルの弱い人は見ないほうが良いのかもしれませんが、5歳の男の子の視点で描かれていることもあって、英語は非常に易しく、聞き取りやすいです。
    メンタルの強い人は、リスニング学習のつもりで、字幕なしで見てみると良いでしょう。
    映画の後半、登場人物の一人が叫びます。

    Do you think you're the only one whose life was destroyed?
    人生を破壊されたのは、あなただけだと思っているの?

    非常にクリアに聞き取れるはずですし、完璧な形で whose が使われています。
    今の時代でこそ、共感できることも、励まされることも多い映画です。






      


  • Posted by セギ at 15:40Comments(0)英語

    2020年05月02日

    高校数Ⅱ「式と証明」。3次方程式の解と係数の関係。



    今回で、数Ⅱの第1章「式と証明」もついに最終回です。
    こんな問題を解きましょう。

    問題 3次方程式 x3-x2+2x-3=0 の3つの解をα、β、γとするとき、次の3つの数を解とする3次方程式を求めよ。
    (1)2α, 2β, 2γ
    (2)αβ, βγ, γα
    (3)α+β, β+γ, γ+α
    (4)α2, β2, γ2

    これは3次方程式の解と係数の関係の問題です。
    α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)はギリシャ文字で、これへの違和感から問題を過度に難しく感じる人もいます。
    また、αとa、βとB、γと数字の6などを見間違えるミスもおこりがちです。
    自分の描いた文字や、テキストに書いてある数値を、普段からなぜか見間違うことの多い人は、特に注意が必要です。

    では、まず2次方程式の解と係数の関係の復習をしておきましょう。
    2次方程式 ax2+bx+c=0 の2つの解をα、βとすると、
    α+β=-b/a , αβ=c/a

    そんなのありましたね。
    それの3次方程式バージョンが今回の問題です。

    3次方程式の解と係数の関係について確認しましょう。
    3次方程式 ax3+bx2+cx+d=0 の3つの解をα、β、γとします。
    すると、3次方程式は以下のように表すこともできます。
    a(x-α)(x-β)(x-γ)=0

    x3の係数がaですので、( )の外側にaを置くことで係数の辻褄を合わせています。
    この左辺を展開しましょう。
    =a(x-α)(x2-γx-βx+βγ)
    =a(x3-γx2-βx2+βγx-αx2+γαx+αβx-αβγ)
    =ax3-aγx2-aβx2+aβγx-aαx2+aγαx+aαβx-aαβγ

    xについて降べきの順に整理しましょう。
    =ax3-a(α+β+γ)x2+a(αβ+βγ+γα)x-aαβγ

    これが、一番上の ax3+bx2+cx+d=0 と同じ方程式なのですから、それぞれの係数を比較すると、
    -a(α+β+γ)=b すなわち、α+β+γ=-b/a
    a(αβ+βγ+γα)=c すなわち、αβ+βγ+γα=c/a
    -aαβγ=d すなわち、αβγ=-d/a

    まとめますと、
    α+β+γ=-b/a
    αβ+βγ+γα=c/a
    αβγ=-d/a
    これが、3次方程式の解と係数の関係です。

    さて、これを利用すると、与えられた3次方程式は、x3-x2+2x-3=0 ですから、
    α+β+γ=1
    αβ+βγ+γα=2
    αβγ=3 
    となります。
    これらを用いて、以下の3つの数を解に持つ新しい3次方程式を作るのです。

    (1)2α、2β、2γ の3つを解に持つ3次方程式は?

    x3の係数はとりあえず1としておきましょう。
    出来上がった方程式が分数を含むごちゃごちゃした式になった場合は、全体を何倍かして整えれば大丈夫ですから。
    そうすると、この3次方程式は、
    x3-(2α+2β+2γ)x2+(4αβ+4βγ+4γα)x-8αβγ=0 となります。
    x2の係数を求めましょう。
    2α+2β+2γ
    =2(α+β+γ)
    =2・1
    =2
    よって、x2の係数は-2です。

    次に、xの係数を求めましょう。
    4αβ+4βγ+4γα
    =4(αβ+βγ+γα)
    =4・2
    =8

    次に、定数項を求めましょう。
    -8αβγ
    =-8・3
    =-24

    よって、求める3次方程式は、x3-2x2+8x-24=0 です。


    (2)αβ , βγ , γα の3つを解にもつ3次方程式の1つは、
    x3-(αβ+βγ+γα)x2+(αβ・βγ+βγ・γα+γα・αβ)x-αβ・βγ・γα=0 です。

    x2の係数を求めましょう。
    αβ+βγ+γα=2
    よって、x2の係数は-2です。

    次にxの係数を求めましょう。
    αβ・βγ+βγ・γα+γα・αβ
    =αβγ(β+γ+α)
    =αβγ(α+β+γ)
    =3・1
    =3

    定数項を求めましょう。
    -αβ・βγ・γα
    =-α2β2γ2
    =-(αβγ)2
    =-32
    =-9

    よって、求める方程式は、x3-2x2+3x-9=0 です。


    (3)α+β , β+γ , γ+α の3つを解にもつ3次方程式の1つは、
    x3-(α+β+β+γ+γ+α)x2+{(α+β)(β+γ)+(β+γ)(γ+α)+(γ+α)(α+β)}x-(α+β)(β+γ)(γ+α)=0 です。

    x2の係数を求めましょう。
    α+β+β+γ+γ+α
    =2α+2β+2γ
    =2(α+β+γ)
    =2・1
    =2
    よって、x2の係数は-2です。

    次にxの係数を求めましょう。
    (α+β)(β+γ)+(β+γ)(γ+α)+(γ+α)(α+β)
    これをこのまま展開すると、かなり複雑なことになります。
    ここでちょっと工夫します。
    α+β+γ=1 ですから、
    α+β=1-γ
    β+γ=1-α
    γ+α=1-β
    これらを代入します。
    (1-γ)(1-α)+(1-α)(1-β)+(1-β)(1-γ)
    =1-α-γ+γα+1-β-α+αβ+1-γ-β+βγ
    =-2α-2β-2γ+αβ+βγ+γα+3
    =-2(α+β+γ)+(αβ+βγ+γα)+3
    =-2・1+2+3
    =3
    この工夫の仕方は、覚えておきましょう。
    なかなか自力では発想できませんから。

    次に定数項を求めます。
    -(α+β)(β+γ)(γ+α)
    =-(1-γ)(1-α)(1-β)
    =-(1-γ)(1-β-α+αβ)
    =-(1-β-α+αβ-γ+βγ+γα-αβγ)
    =-1+β+α-αβ+γ-βγ-γα+αβγ
    =-1+(α+β+γ)-(αβ+βγ+γα)+αβγ
    =-1+1-2+3
    =1

    よって、求める方程式は、x3-2x2+3x+1=0 です。


    (4)α2 , β2 , γ2 の3つを解に持つ3次方程式の1つは、
    x3-(α2+β2+γ2)x2+(α2β2+β2γ2+γ2α2)x-α2β2γ2=0 です。

    x2の係数を求めましょう。
    α2+β2+γ2
    =(α+β+γ)2-2αβ-2βγ-2γα
    =(α+β+γ)2-2(αβ+βγ+γα)
    =12-2・2
    =1-4
    =-3
    よってx2の係数は-3。

    xの係数を求めましょう。
    α2β2+β2γ2+γ2α2
    =(αβ+βγ+γα)2-2αβ・βγ-2βγ・γα-2γα・αβ
    =(αβ+βγ+γα)2-2αβγ(α+β+γ)
    =22-2・3・1
    =4-6
    =-2

    定数項を求めましょう。
    -α2β2γ2
    =-(αβγ)2
    =-32
    =-9

    よって、求める方程式は、x3-3x2-2x-9=0 です。

      


  • Posted by セギ at 12:29Comments(0)算数・数学

    2020年04月29日

    高校英語。関係代名詞。目的格の関係代名詞 whom。


    さて、関係代名詞。今回は目的格です。

    前回説明したのは、主格の関係代名詞でした。

    I have an aunt. She lives in New York.
    この文を関係代名詞で1文にすると、
    I have an aunt who lives in New York.

    この関係代名詞 who は、2つ目の文の中で、主語の働きをしています。
    こういう関係代名詞を主格の関係代名詞といいます。
    2つ目の文、すなわち関係代名詞節の中でどんな働きをしているか、で分類します。
    主節の中の何を修飾しているか、ということと混乱する人がいるので要注意です。

    I will show you the pen which was given to me by my uncle.

    この文もそうですね。
    この関係代名詞 which は、2つ目の文の中で、主語の働きをしています。
    繰り返しますが、1つ目の文、すなわち主節の中でどんな働きをしているかは関係ないのです。
    主節の中で先行詞が主語だろうと補語だろうと目的語だろうとどうでもよいのです。
    関係代名詞節の中で主語の働きをしている関係代名詞が主格。
    関係代名詞節の中で目的語の働きをしている関係代名詞が目的格の関係代名詞です。

    今回は、その、目的格の関係代名詞について説明します。

    She is the girl. Tom invited her to the party.

    この2文を1文にして、「彼女は、トムがパーティーに招待した女の子です」という文を作りたい場合。
    1つ目の文の the girl と、2つ目の文の her が同一人物です。
    関係代名詞に変化する単語 her は2つ目の文の先頭ではないので、文をつなげにくいです。
    でも原則は主格のときと同じです。
    修飾される名詞である先行詞がきたら、すぐに関係代名詞です。
    だから、2つ目の文の her を、whom という関係代名詞にして、先行詞の直後に置きます。
    その後、2つ目の文を主語から普通に続けていきます。
    her はもう whom に形を変えて先頭にいったので、飛ばします。

    She is the girl whom Tom invited to the party.

    できました。


    ところで、whom って何?

    今までの関係代名詞は、疑問詞と同じ形をしていたのに、何か、whom って見慣れない・・・。
    そういう感想を抱く人がいるかと思いますが、実は whom も疑問詞の1つで、書き言葉としては今も使われることがあります。
    By whom was this book written ?
    「この本は、誰によって書かれたのですか」
    直訳がやや固くなりましたが、英語的にもやや固い表現です。
    しかし、「誰によって?」という疑問が文頭から明確に伝わるという点で、論理的な文章としては有効です。
    語句の関係が明瞭だということは、読みとりやすいということです。
    who was this book written by ?
    も正しい文ですが、最後の by を聞くまで、疑問の中身が何であるか不明瞭です。

    勿論、こんなことを受動態で質問するからややこしいので、話し言葉ならば、
    who wrote this book ?
    と能動態で質問するでしょう。
    けれど、もっと込み入った内容の論説文の場合、by whom 、 for whom 、with whom などは、有効な表現です。
    そして、勿論、関係代名詞 whom も書き言葉として現役です。


    ところが、ゆとり教育の時代に、中学の英語教科書から関係代名詞 whom が消えました。
    新課程になった後も、復活していません。

    理由は色々考えられますが、最も大きい理由は、目的格の関係代名詞は省略可能だということ。
    She is the girl Tom invited to the party.
    と、whom を省略することが可能なのです。
    話し言葉では、むしろ省略される場合がほとんどです。
    girl と Tom の間に少しポーズをとって区切れば、十分意味が伝わります。
    アメリカの口語英語を基準としている中学英語教科書は、そういうわけで whom の存在を消してしまったようです。

    日常で省略されることが多くなると、何が起こるか?
    ネイティブでも、who と whom の使い分けができない人が増えてきています。
    たまに使うときに、whom と言うべきところを誤って who と言ってしまうのです。
    間違う人が多くなると、それも正しい表現として認められていくのが言語です。
    現在では、目的格でも who を用いることが許容されています。
    高校の「英語表現」の教科書では、目的格の関係代名詞は、whom の他に who が明記されています。


    こうした情報をどう読み取るか?
    「じゃあ、何でも who でいいんだ!who しか覚えない」
    と決めてかかって良いのでしょうか?
    いいえ。
    whom も身につけておいたほうが良いでしょう。
    なぜなら、書き言葉として、whom は現役の関係代名詞だからです。
    また、「前置詞+関係代名詞」という内容をこの先に学習しますが、それはさすがに who での代用を認められていません。
    前置詞の後ろに主格の who をもってくる感覚は、ネイティブにはないのです。
    ですから、結局、whom は学習しなければならない関係代名詞です。
    どうせ学習しなければならないのなら、基本の用法から正確に身につけておくに越したことはありません。
    現実問題として、何でも who でいいと覚えていたのに、高校の英語表現のテストの四択問題で、選択肢に who がない、ということはあり得ることです。

    「どちらでもいいのなら、片方しか覚えない」という学習姿勢は、英語には不向きです。
    覚えていないもう片方を相手が使う可能性があるからです。

    関係代名詞に限らず話を広ければ、英語は同じ表現の繰り返しを嫌いますから、1つの文章の中で同じことを常に言い換えていきます。
    1つの表現しか覚えないという姿勢では、英文を読めないのです。
    英語長文を読んでいて、
    「何でいちいち言い換えるの?だから途中で意味がわからなくなるんだよ」
    と愚痴を言う子もいますが、1つのことを1通りの表現でしか表せない言語は、文化的に痩せた言語です。
    類義語・類語表現の多さは、言語的な豊かさの証です。
    自分1人の学びやすさのために英語が存在するわけではない。
    つくづくとそれを悟るのも、外国語を学ぶ意味の1つであるように思います。


    さて、whom の基本的な用法に話を戻しましょう。
    The boy could speak Japanese a little. I met him in the park.
    この2文を「私が公園で会った少年は、少し日本語を話すことができた」という文にするには、どうすればよいでしょう。

    2つの文で同一人物なのは、The boy と him です。
    これが先行詞と関係代名詞になります。
    先行詞と関係代名詞になる語との距離がさらに開きました。
    これも、先行詞がきたら関係代名詞、という基本ルールでつなげば大丈夫です。
    したがって、主節は途中で分断されます。

    The boy whom I met in the park could speak Japanese a little.

    The boy という先行詞がきたら、すぐに whom。
    その後、2つ目の文、すなわち関係代名詞節を先頭から書いていきます。
    ここで変な倒置を考える人がいるのですが、必要ありません。
    主語から普通に述べていき、ただし、whom に変わった him は省略し、さらにその後ろを普通に述べていきます。
    関係代名詞節が全部終わったら、主節に戻り、これも普通に順番通りに述べていきます。
    ルールは極めてシンプルです。
    勿論、この whom も目的格ですから省略可能です。


    上のように2つの英文が与えられて、関係代名詞を使って1文にしなさい、という問題なら正答できる人が、日本文を英文に直す問題では難渋することがあります。
    「私が公園で会った少年は、少し日本語を話すことができた」
    この日本語を英語に直す問題のとき。
    多くの場合、まず、
    I met a boy in the park
    と書いてしまい、その後に何も続けられなくなってしまうのです。

    前回の主格の関係代名詞のときも書きましたが、日本語を英語に直すときは、日本語の主語・述語を把握しましょう。
    「私が公園で会った少年は、少し日本語を話すことができた」
    この文の主語と述語は何でしょうか?
    国語の文法の学習でも主語と述語を見つけることが苦手な人がいますが、そういう人は、まず主語を探してしまうようです。
    しかも、主語は必ず文頭にあるという間違った思い込みをしています。

    日本語で主語と述語を探すときは、まず述語を探します。
    倒置法などの特殊な場合を除き、述語は、文末にあります。
    一方、主語は、文頭にあるとは限らないのです。
    上の文の述語は、1文節で正確に答えるなら「できた」ですが、今は英文を作るための主・述の確認なので、意味がとれるよう「話すことができた」とざっくり把握しましょう。
    話すことができたのは誰なのか?
    その「誰」にあたるのが、この文の主語です。
    話すことができたのは、「私」ではなく、「少年」です。
    英語は、主語から書き出します。
    だから、英文の書き出しは、The boy です。
    The boy
    どんな少年なのか?
    私が公園で会った少年。
    この修飾関係が見えたら、もう大丈夫。
    名詞を修飾する2語以上の語句は、名詞の直後に置かれます。
    修飾語句の中にも主語と述語が存在するのが感じ取れますから、これは関係代名詞節で修飾するのだと予想が立ちます。
    The boy I met in the park
    そのように分析すると、ここまで英文を作ることができます。
    これで、文の主語とその修飾語句が作れました。
    で、そのボーイがどうしたのか?
    「少し日本語を話した」
    なるほど、では、その部分を作ってみましょう。
    The boy I met in the park could speak Japanese a little.
    で、問題を読み直し、「関係代名詞を用いて」と、もし書いてあれば、これは先行詞が人間で目的格の関係代名詞 whom だなと判断し、
    The boy whom I met in the park could speak Japanese a little.
    これで正解です。
    ヽ(^。^)ノ

    そんな手間はかけられない、と言う子もいます。
    しかし、最初はこうやってしっかり分析して書くようにすると、そのうち、パッと読んだときに日本語の構造が見えてくるようになります。
    そうなれば、こんな手順を踏まなくても、スラスラと正しい英文を書けるようになります。
    日本語の構造を正しく把握できるようにもなります。
    良いことづくめです。




      


  • Posted by セギ at 11:56Comments(0)英語

    2020年04月26日

    平方根について。




    「平方根」は、中学3年生で初めて学習します。
    そして、ほぼ毎年、平方根が全く呑み込めない子が現れます。

    x2=aであるとき、xをaの平方根という。

    この定義は、確かにわかりにくいです。
    字面を目で追っても意味が伝わってこない。
    それは私も共感できるのです。
    だから、まずは具体例で説明します。

    6を2乗すると36になります。
    そして、-6も2乗すると36になります。
    言い方を少し変えると、2乗すると36になる数は、6と-6です。

    ここが実は重要で、上のように言い方を逆にしただけで、理解できなくなる子がいます。
    日本語の助詞の働きを読み取ったり聞き取ったりできない子が一定数いるのかもしれません。
    単語の羅列でしか言葉を理解していないので、語句と語句の関係を把握するのが苦手な様子です。
    だから、ちょっと語順を変えて、原因と結果が逆になっている文になると理解しづらく、眉を寄せたり、頭を抱えたりします。
    「6を2乗すると36になる」
    は理解できるのですが、
    「2乗すると36になる数は、6と-6」
    はすんなりとは飲み込めないのです。
    かなり苦しそうです。

    それでも、何とか理解するのを待ちます。
    2乗すると36になる数は、6と-6。
    36の平方根は、6と-6。
    2乗するとaになる数が、aの平方根。
    4の平方根は、±2。
    9の平方根は、±3。
    ここまで丁寧に説明すると、新しい学習内容にちょっと抵抗を示しながらでも、一応理解できるという子が多いです。


    では、2の平方根は?
    △×△=2 となるときの△にあたる数です。
    え?
    そんな数ある?
    1.5くらい?
    1.4くらい?
    はい。
    大体1.4くらいの数です。
    1.4×1.4=1.96
    1.41×1.41=1.9881
    1.414×1.414=1.999396
    どんどん2に近づいてはくるのですが、しかし、小数で表している限り、どこまでいっても2乗して正確に2なることはありません。
    2乗して2になる数は、小数で表すことはできないのです。
    これを√ という記号を用いて表すことにします。
    2乗してaになる数を±√a と表す。
    つまり、aの平方根が±√a です。
    2の平方根は、±√2 。
    √2 を2乗すると2になるということ。
    -√2 も2乗すると2になります。
    新しい記号である√ に、かなりの抵抗があり、話はさらに難しくなってきました。

    √2を2乗すると2。
    -√2を2乗すると2。
    つまり、2の平方根は±√2。
    前後をあえて逆にして、その行ったり来たりが本人の頭の中で上手くいっているか確認します。
    何とか大丈夫そうです。


    ここでようやく問題練習に入りますが、それでも、大きくつまずく子もいます。
    問題を解き始めると、理解していたはずのことが一気に崩れ、混乱が起こるのです。

    問題 √36 を整数に直しなさい。

    √36=6 です。
    わかっている者にとっては、これの何が難しいのか、むしろそれが逆にわからないくらいにシンプルな問題なのですが、これがわからない子は案外多いのです。
    √36 というのは、36の平方根のうち、正の数ということ。
    2乗して36になる数のうちの正のほうの数は、6です。
    そう説明しても、意味がその子に伝わっている様子が見られません。

    では、答えは何だと思う?
    何を誤解しているのか確認しようとして問うと、そういうのは別にないと言うのです。
    ただ、わからない。
    √36 という書き方がわからない。
    何を言っているのかわからない。
    そう言うのです。

    √4=2 です。
    -√9=-3 です。
    いくつかの具体例から共通のルールを本人が見つけることがあるかもしれないと、ボードにありったけ書いていっても、やはりわからないというのです。

    本来、√36なんて書き方はしなくてもいいのです。
    36の平方根は±6だから。
    整数になるのだから、√ を使わなくてもいいのです。
    この問題は、整理する前の形をあえて書いているだけですよ。
    そう説明しても、表情に変化はなく、目に光は宿りません。

    授業が膠着状態に入り、生徒から、ようやく自分の考えが述べられることもあります。
    「√36は、2乗したら36なんだから、36だと思う」
    「・・・・え?いや、√36 は、2乗したら36になるので、まだ36にはなってないんですよ。2乗する前の段階、1乗の段階だから、6なんです」
    「ちょっと何言ってるかわからない」
    ( ;∀;)

    平方根が理解できないのは、数学的なことが理解できないというよりも、本人の国語力・言語能力に負うところが大きいと思います。
    説明が理解できない。
    説明されている言葉が理解できない。
    平方根の壁は、言葉の壁だと感じます。


    もっとわかりやすく説明する方法はないだろうかと、数学に関する本を書店で探したことがあります。
    「平方根が子どもにとってわかりにくいのは、それが身近にあるものだと知らないからです」
    なんて書いてあったりします。
    だから、数学の授業の初めに、平方根を使った実例を説明すればいいと言うのです。
    ほほお?
    興味をもって読み進めると、その実例は、コピー用紙などの紙の規格。
    A4、B5といった規格は、どのサイズも縦と横の比が√2:1になっているという話が説明されていました。

    いやいやいや。(-_-)

    中学生でA4・B5の紙のサイズの話をして通じる子は、平方根の話も1度で通じると思います。
    そういう話を目を輝かせて聴く子は、そういうエピソードがなくても平方根は理解できるのです。
    「A4とか知らない」
    平方根が理解できない子の多くは、その一言でおしまいです。

    一般に、理解の遅い子は、世の中のことや身の回りのことへの関心が薄い傾向があります。
    音楽・アニメ・ゲームなどのサブカルチャーやスポーツなど、特定のことには興味があるのだと思いますが、現実のものごとへの関心は低く、興味を持って耳を傾けてくれることはあまり期待できないのです。

    ルーズリーフを使っている子に、
    「その袋にB5って書いてあるでしょう?それが紙の規格なんですよ。ノートの片面のサイズがB5です」
    そう説明すれば目を輝かせるかというと、
    「袋なんか見ない」
    それで話は終わってしまいます。

    そこで、紙の規格について1から説明したところで、それは本人にとって関心のあるエピソードではありません。
    平方根の説明だけでもわからないのに、紙の規格という謎の知識が加わって、さらに負担が増すのです。
    紙の規格が身近な知識になるのはコピーを取る必要が生じる大学生以降で、中学生にとってはほとんど関係ないことですから、知らないのは責められないです。
    中学生に紙の規格の話をするのは徒労感が強いです。
    平方根を教えるには、平方根で教えるしかないのです。
    だから、毎年、理解したとは到底思えない状態で初回の授業が終わります。

    それでは、平方根はマスターできないままで終わるのか?
    案外そうでもないのが不思議なところです。

    1週間後の授業では、あれほどの混乱が嘘のように収まっていることが多いのです。
    学校の授業で理解したのでしょうか?
    いえ、学校の授業がわからなかったから、塾で平方根について質問し、その説明も理解できなかったのです。
    でも、1週間後、理解できているように見えるのです。
    家で教わった?
    友達に教わった?
    そんな気配もありません。
    理解の遅い子は、私に忖度しません。
    「平方根がわかるようになったね」
    と褒めたとき、それが学校の授業のおかげや友達のおかげであるなら、
    「学校の授業でわかった」
    「友達に教わった」
    と言います。
    なぜか、そこははっきりさせておくべきだと感じる子が多いようです。
    褒められて、ただ黙っているのは、なぜ理解できるようになったのか、自分でもよくわからないからだろうと思います。

    1つ考えられること。
    これは、脳の働きなのではないか。
    脳というのは不思議なもので、睡眠をとると情報が整理され安定するらしいのです。
    だから、勉強したら、その後よく寝ることが大切。
    その場では咀嚼できなかった多くの情報。
    しかし、一晩寝たら、何がわからなかったのか不思議なくらいに理解し、安定する。
    そういうことなのではないか?
    結局、平方根を理解するために必要なことは、説明を聞くだけ聞いたらよく寝ることかもしれません。

    そんなわけで、紙の規格の話は、平方根がわからない中学生にはあまり効果がないのですが、この話自体は大人には興味深い点もあると思いますので、ここで説明します。

    紙には規格があります。
    一番大きいサイズがA0。
    縦と横の辺の比が√2:1の、約1㎡の紙です。
    これを半分に切ったサイズがA1。これも辺の比は、√2:1です。
    さらに半分に切ったのがA2。これも辺の比は、√2:1。
    このように、半分、半分、半分と切り分けていっても、どれも辺の比は、√2:1となります。
    つまり、全て相似な長方形の紙となるのです。

    これは、他の比ではうまくいかないのです。
    例えば、縦と横の比を3:2としてみましょう。
    半分に切ったとき、縦と横の比は、1.5:2=3:4。
    縦長に向きを直すと4:3。
    もう3:2にはなりません。
    1回切っただけで、もう元の紙と相似な長方形ではなくなるのです。
    √2:1の場合。
    半分に切ったとき、縦と横の比は、√2/ 2:1=√2:2=1:√2。
    縦長に向きを直すと、無事に√2:1の相似の長方形になります。
    √2だからこそできる技です。
    こりゃ凄いですね。ヽ(^。^)ノ

    A版の他にもう1つB版という規格があります。
    全く別の規格なのかというと関係性があります。
    A4の対角線の長さが、B4の長いほうの辺の長さなのです。

    A4の辺の長さを仮に√2、1としてみましょう。
    対角線の長さは、三平方の定理により、√3 と計算できます。
    その√3が、B4の長いほうの辺の長さなのです。
    ということは、A4とB4の辺の比は、√2:√3。
    すなわち相似比が√2:√3 ということです。
    面積比は、相似比の2乗ですから、2:3。
    B4は、A4の1.5倍の大きさの紙であることがわかります。
    うーん。いろんなことが美しい。
    それも、平方根があるからこそです。
    ヽ(^。^)ノ
      


  • Posted by セギ at 11:55Comments(0)算数・数学

    2020年04月23日

    高校英語。関係代名詞。まずは中学の復習から。


    さて、今回は関係代名詞。
    まずは、中学の復習をしてみましょう。

    問題 以下の英文の空所を補充せよ。
    (1) I have an uncle (  ) lives in New York.
    (2) My brother has a car (  ) runs very fast.

    これは易しいですね。
    (1) I have an uncle (who) lives in New York.
    (2) My brother has a car (which) runs very fast.

    です。
    この who や which を関係代名詞といいます。
    高校生なら、この問題はおそらく正解できたと思います。
    一応、基本の構造を確認しましょう。

    I have an uncle. He lives in New York.
    私には叔父がいます。彼はニューヨークに住んでいます。

    この2文を、後ろの文が前の文を修飾するようにして1文にしたのが、関係代名詞を用いた文です。
    「私には、ニューヨークに住む叔父がいます」という文を作ったのです。
    このときに使うのが、関係代名詞です。

    I have an uncle who lives in New York.

    修飾される「叔父」という名詞を書いたらすぐに2個目の文を続けます。
    しかし、そのまま続けてもつながりませんから、he を who という関係代名詞に変えます。
    関係代名詞は、he という代名詞の働きもしますし、前の名詞を修飾するという働きを示しながら2文をつなぐ働きもできるのです。

    My brother has a car. It runs very fast.
    私の兄は車をもっています。それはとても速く走ります。
    これも同じ構造ですね。
    2つ目の文が、1つ目の文の a car を修飾する文、すなわち「私の兄はとても速く走る車を持っている」という文を作りたいときに、関係代名詞を使います。

    My brother has a car which runs very fast.


    修飾される名詞を「先行詞」。関係代名詞から始まるS・Vのある意味のまとまりを「関係代名詞節」と言います。


    しかし、ここから少しレベルが上がると、「なぜ?」と逆に問いたいほどに関係代名詞がわからなくなる子は多いです。
    例えば、こんな問題。

    問題 以下の日本語を関係代名詞を用いて英語に直せ。
    「私の姉に話しかけている男性は田中さんです」

    よくある誤答。

    My sister is talking to a man who is Mr.Tanaka.

    一応、意味は通じる英語ですが、これは、指定された日本語の英訳ではありません。
    この英文を日本語に訳すなら、
    「私の姉は、田中さんという男性に話しかけています」
    となります。

    どっちだっていいじゃない、大体同じ意味なんだから。
    そう思う気持ちもわかるのですが、この誤答は、誤答の中でも特に、
    「ああ、この子は、思ったよりも英語がわかっていないんだなあ」
    と採点する先生を少しがっかりさせてしまうものです。
    日本語の順番通りに英語に直しているだけ。
    「私の姉」と文頭に書いてあると、「My sister」と書いてしまうのをやめられないのかなあ。
    そのような意味で、がっかりさせてしまうのです。

    「私の姉に話しかけている男性は田中さんです」
    この日本語を分析しましょう。
    主語は「私の姉」ではありません。
    この文の主語は、「男性は」です。
    日本語は、「何がどうする」「何がどんなだ」「何が何だ」という主に3つの文型に分類できます。
    上の文は、そのうちの「何が何だ」にあたる文です。
    主語は、「男性は」。
    述語は、「田中さんです」。
    そして、「私の姉に話しかけている」は、「男性は」を修飾する修飾語です。
    ですから、この文の骨組みの部分だけを作れば、
    The man is Mr.Tanaka.
    となります。
    その主語の man がどんな man であるかを説明しているのが「私の姉に話しかけている」の部分です。

    ですから、正解は、

    The man who is talking to my sister is Mr.Tanaka.

    英語的に分析しましょう。
    「私の姉に話しかけている」という修飾語は、「男性」にかかります。
    修飾語が2語以上の意味のまとまりであるとき、修飾される名詞の直後に修飾語を置くのは英語の原則。
    だから、上のように、man の直後に who is talking to my sister がきます。

    英語の原則通りの、普通の文です。
    しかし、この英文を作れない。
    あるいは、この英文の意味を取れない。
    関係代名詞が苦手な子の第一関門がここです。

    先行詞が来たら、すぐに関係代名詞。
    主節を一旦停止して、関係代名詞節。
    授業で繰り返し繰り返しその話をして、補助しながら英文を作って、練習して練習して、これで大丈夫と私は思っていても、翌週、その子の解いてきた宿題の答えは、
    The man is Mr.Tanaka who is talking to my sister.
    と、また別の誤答していて、天を仰ぐこともあります。

    なぜ、これほどに定着しないのだろう?
    どんな誤解があるのだろう?

    英語が苦手な子は、本来の文法事項をさらに簡略化した独自のルールを作ってしまうのではないか?
    そう勘繰りたくなるほど、雑なことをやってしまう子がいます。
    全部1つのパターンで問題を解いてしまうのです。
    説明したルールの複雑なところを省略して、勝手に簡略化したルールで解いてしまいます。
    上の例で言えば、「先行詞の直後に関係代名詞節」という正しいルールを教えても、それは忘れてしまい、1文を全部書いたら続けて第2文、というような、単純なルールにすりかえてしまうのです。

    小学生の頃には勉強ができたのに、学年が上がるにつれてどんどん出来なくなっていく子の多くはこういう子です。
    中学生になっても、高校生になっても、小学生のような解き方をしていないでしょうか。
    頭を使わない、とても単純な、ぱっと見て判断する解き方です。
    他の解き方ができない。
    他の解き方を知らない。
    「考えて取り組む」ということが実感としてよくわかっていないのではないかと思うのです。

    難しいことを理解することができず、本当に苦労している・・・。
    それなら仕方ないのですが、そんなふうには見えない子が、じっくりとものを考えたり判断したりということができず、凡庸な成績で低迷してしまうことがあります。
    関係代名詞のルールなんてそんなに難しいものではないのですが、そういう子にとっては、それですら複雑過ぎて不愉快らしいのです。
    でも、スポーツでもゲームでも、もっと複雑なルールのものは沢山あります。
    スポーツやゲームの複雑なルールは受け入れるのに、勉強の難しさ、英語の難しさは受け入れない・・・。

    サッカーをするのに「手を使わなきゃ何でもいいんだろ?」なんて把握をしたらバカにされます。
    同じことを勉強でやってしまっていないでしょうか。
    勉強は、自分が思うよりもずっと複雑なものだ、と認識を改めれば成績の上がる子は多いと思います。


    関係代名詞に話を戻しましょう。

    先行詞がきたら、関係代名詞。
    これがルールです。
    そのため、主語を修飾する関係代名詞節が挿入されれば、主節をいったん分断することになります。

    The man is Mr.Tanaka. He is talking to my sister.

    この2文を、関係代名詞でつないで1文にするなら、
    The man who is talking to my sister is Mr.Tanaka.
    とするのが基本です。
    先行詞は、the man ですから、それを書いたら直後に関係代名詞節を書いていきます。
    関係代名詞節を全部書き終わったら、主節に戻ります。

    「え?先行詞って何?」
    「・・・だから、修飾される名詞のことですよ」
    「え?修飾って何?」
    「・・・」

    修飾というのは、その名詞をより詳しく説明することです。
    「男」とは、どんな男なのか?
    「男」だけでは漠然としています。
    向こうを歩いている男ではなく、あそこに立っている男でもなく、私の姉に話しかけている男のことですよ。
    これでより詳しくなり、誰のことか限定されました。
    この働きを修飾、といいます。

    こういう説明がなぜか頭に残らない子も多いです。
    不定詞の学習のときも、分詞の学習のときも、同じ説明をしたのに、また同じ質問をするなあ・・・と不可解に感じることがあります。

    一体何がこんなにわからないのだろう?

    しかし、本人が、日本語でも修飾語を使うことがないようでは、無理もないのかもしれません。
    文は、主語と述語だけ。
    いや、主語すらないことも多い。
    修飾節を含む文など、口にしたことも書いたこともない。
    それなのに、母国語でもない英語で、こんなにきちんとした修飾節を含む文を作らなければならない。
    これは厄介かもしれません。
    本人の日本語能力を越える英文は作れない。
    そういう根本の原因もあると思います。

    しかし、それで諦めるわけにはいきません。
    英語で複文を作ることにより、日本語で複文を作れるようになるといいと思います。
    こういう文の構造を知ることにより、日本語の能力も高まる。
    外国語を学ぶのには、そういう効果もあるはずです。


    ところで、先ほどの2つ目の誤答、
    The man is Mr.Tanaka who is talking to my sister.
    では、なぜダメなのか?

    Mr.Tanaka のような人名や地名などを「固有名詞」といいます。
    英語では文中でも大文字で始める名詞です。
    固有名詞には、修飾節はつきません。
    日本語に訳してみるとわかります。
    「その男性は、私の姉に話しかけている田中さんです」
    違和感があります。
    別の田中さんも存在するような気がします。
    作りたかったのは、「私の姉に話しかけている男性は田中さんです」という文だったはずです。
    これでは、意味が違ってきます。

    実は、
    The man is Mr.Tanaka , who is talking to my sister.
    という英文は、存在します。
    間にカンマ (,) が入っています。
    これは、非制限用法と呼ばれるもので、高校で学習する内容です。
    「その男性は田中さんで、私の姉に話しかけています」という意味です。
    それもまた、別の意味の文ですね。


    The man who is talking to my sister is Mr.Tanaka.

    自分で作るのではなく、この英文がポンと出てきたときに、意味がわからない、構造が読み取れない、と悩む子もいます。
    どこで切れるのかわからない、というのです。
    「英語は意味のまとまりごとに把握しろ」
    と言われても、その「意味のまとまり」がわからない・・・。
    そういう場合、慣れるまでは、動詞に注目し、構造がよくわからない文のときには、2つ目の動詞の前で切るのが1つの作戦です。
    2つの文が1つの文になっているのですから、動詞は2個あります。
    上の文は、2つとも is ですね。
    2個目の is の前で文をいったん切って、意味を考えてみます。

    The man who is talking to my sister
    私の姉に話しかけている男性

    それがどうしたのかな?

    is Mr.Tanaka.
    は、田中さんです。

    というように区切ると、意味が見えてきます。

    一般動詞の文の場合は、動詞の前に頻度の副詞が入っていることなどもありますが、それは自分で微調整しましょう。
    基本は2個目の動詞の前で区切って考えてみる。
    それで随分スッキリすると思います。

    なお、意味を理解するだけなら、
    The man who is talking to my sister
    まで読んで、あるいは聞いて、
    「男性が私の姉に話しかけているんだな」
    次に、
    is Mr.Tanaka.
    を読んで、あるいは聞いて、
    「その人が、田中さんなんだな」
    という把握で大丈夫です。
    文頭から意味を取る、英語を英語のまま理解する、意味のまとまりごとに英語を理解する、というのはそういうことです。


    関係代名詞は、文法でちょろっと出てくるだけのものではありません。
    高校のコミュニケーション英語では、関係代名詞が1語も出てこないページを探すのが逆に難しいくらい頻繁に使われます。
    ここを理解しておかないと、ちょっとやばいぞ。
    そのような緊張感で取り組みたいところです。
      


  • Posted by セギ at 12:22Comments(0)英語

    2020年04月20日

    2桁×2桁を暗算する方法。



    2桁×2桁のかけ算を暗算でできたらいいのになあと思ったことがあるでしょうか。

    ただ、暗算というのは、本人が思うよりもずっと時間がかかるのです。
    頭を使ってものを考えているとき、時間の流れはとても速いのです。
    だから、暗算すればほとんど時間がかからないような錯覚を本人は抱いていても、客観的に見ていると、何をいつまでもぼんやりしているのだろうと不可解なほどの時間が流れています。
    しかも、計算ミスする子の多くは、暗算で失敗する子たちです。
    答案を見ると、わざと1行とばしに計算過程を書いているの?という書き方の子が、数学で基本問題を失点する子には多いのです。
    「数学のテストはいつも時間が足りない」
    と本人は言うのですが、時間が足りない原因の1つは無理な暗算に時間がかかっていることです。
    明らかに、書いたほうが速い。
    比較的丁寧に書いている私は、無理な暗算をしているその子と同じ問題を解いても半分の時間で解き終わります。

    全ての暗算をやめろと言っているわけではありません。
    無駄な行は書かなくていい、と常々話しています。

    例えば、中学数学の初期の頃は、教科書も参考書も、こんなふうに計算過程を書いてあります。

    -1+4-2+5
    =-1-2+4+5
    =-(1+2)+(4+5)
    =-3+9
    =6

    これは解説のために丁寧に書いているので、本来、2行目と3行目は不要です。

    -1+4-2+5
    =-3+9
    =6

    これで十分安全に計算していけます。
    教科書は、解き方を説明しているので、実際の答案がそうでなければならないということではないのです。
    実際に計算するなら、上のように3行で書いていくのが、安全で無理がありません。

    しかし、暗算に固執する子は、
    -1+4-2+5
    =6
    と書きたがります。

    それが瞬時になされ、精度も極めて高いのなら、私も文句は言いません。
    けれど、私が上のように3行書いている間に、うんうんうなって暗算して、結局、私より答を書くのが遅くなり、しかもしばしば計算ミスをするのなら、暗算はしないでほしい。
    しっかり書いていくことでスピードと精度を保ちましょう。


    方程式も同様です。
    例えば、

    5x+2=2x-7
    5x-2x=-7-2
      3x=-9
       x=-3

    教科書に書いてあるこの模範解答のうち、2行目は不要です。
    移項しながら計算することくらいは、無理なくできます。

    5x+2=2x-7
      3x=-9
       x=-3

    これで十分安全に計算できます。

    ところが、これも暗算したがる子は、
    5x+2=2x-7
       x=3
    などと誤答してしまいます。
    移項して、たし算して、それからわり算してと、いくつもの作業を一度に行うために、結局、符号にまで意識が回らないのです。
    よくあるミスです。


    暗算撲滅、全部筆算しろ、と言っているのではありません。
    ある程度の暗算は必要です。
    分数の約分をするときにもわり算の筆算が必要という計算力の子もいます。
    それでは困ってしまいます。
    42÷2の商が、筆算しないとわからない。
    42÷3を、筆算しないとできない。
    そもそも、42が3で割り切れることに気づかない。
    それでは、困ります。

    目安としては、×1桁、÷1桁の計算は、暗算でできること。
    2桁+2桁、2桁-2桁の計算は、暗算でできること。
    それくらいの計算力があり、あとは頭を使うよりも手を使って式を書いていけば、それなりにスピードと精度を保って計算できます。


    そんなわけで、暗算に対しては消極的、というより懐疑的な私ですが、今は時間のあるときです。
    頭の体操のつもりで、ちょっと2桁×2桁の暗算の練習でもしてみましょうか?
    実際に使うかどうかは、また別の話として。


    まずはその仕組みから。
    十の位がa、一の位がbである整数と、十の位がx、一の位がyである整数をかけるとします。
    文字式で表すと、(10a+b)(10x+y) と表すことができます。
    これを展開すると、
    100ax+10ay+10bx+by
    となります。
    これを筆算のように書いてみると、

      ab
    x xy
    axby
     ay
     bx

    と表すことができます。
    ここで、3行目の ax や by は、実際に計算した積のことであり、文字そのものではありません。

    例えば、36×27 は、

      36
    × 27
     642  ・・・2×3=6 の横に、6×7=42 を書いたもの。
     21   ・・・3×7=21 を書いたもの。
     12   ・・・2×6=12 を書いたもの。
     972

    となります。

    この構造をしっかり理解していると暗算が可能です。
      36
    × 27

    まずは6×7=42 の2が一の位にくることは確定です。

      36
    × 27
       2

    次に、先ほどの6×7=42 の4と、互いの十の位と一の位とをたすきにかけた答えの一の位の数とを足したものが、答えの十の位となります。
    上の例で言えば、3×7=21の1と、6×2=12の2です。
    4+1+2=7
    これて、十の位は7だとわかります。

      36
    × 27
      72

    先程の十の位を出すためのたし算に繰り上がりの数があったら忘れずにメモをしておきますが、今回はありませんでした。
    次は、互いの十の位どうしをかけた数3×2=6の6と、互いの十の位と一の位とをたすきにかけた答えの十の位を足します。
    6+2+1=9
    これは2桁になったらそのまま、千の位から書いていきます。
    今回は、百の位におさまりましたね。
    先程の繰り上がりがあったら、それもたします。


      36
    × 27
     972

    これが答えです。

    慣れないうちは大変ですが、慣れれば機械的作業ですから、暗算が可能です。
    こんな苦労をするくらいなら普通の筆算のほうがいいと私は思いますが。
    ただ、この方式で筆算する、という手もあります。

      36
    × 27
     642
     21
     12 
     972

    まずはかけ算に集中し、最後にまとめてたし算するので、途中の繰り上がりに頭を使わなくて済みます。
    日本式の筆算は、繰り上がりを意識しながら、かけ算とたし算を同時にこなさなくてはならず、そこでミスする子が多いのです。

    とはいえ、周囲が普通の筆算をしているのに1人だけこの方式でかけ算するというのは、もしも混乱したときに補助してくれる人が存在しません。
    リスクが高いです。
    間違えたときに、何を間違えたのか指摘したり補助したりしてくれる先生も友達もいないことを覚悟しなくてはなりません。


    ずっと前にこのブログに書きましたが、アメリカ式のひき算と日本式のひき算との間で苦労していた子に授業したことがあります。
    アメリカ人のお父さんと日本人のお母さんとの間に生まれた子でした。
    小学校の途中まではアメリカに住んでいて、アメリカ式のひき算を学習したのですが、途中から日本で暮らすようになりました。
    インターナショナルスクールに通えば問題なかったのでしょうが、両親の強い希望で日本の公立学校に転入したため、日本式のひき算を途中からやらねばならなくなりました。

    ところで、アメリカ式のひき算とはどのようなものか?
    アメリカ式とはいっても、アメリカ全土で同じようにやっているのかどうかは未確認なのですが、その子がやろうとしている計算は、日本のひき算とは異なるものでした。
    例えば、14-7 の計算。
    日本では、まず一の位の計算をする際、4から7は引けないので、十の位から10を下ろして、14-7=7 とします。
    その計算をさらに詳しく語るならば、下ろしてきた10から7を引いて、10-7=3。
    その3と、もともと一の位にあった4をたして、3+4=7 です。

    ところが、その子の引き算は、
    4から7が引けないことを確認したら、まず7-4=3 をします。
    日本では禁じ手である、下から上をひく計算をするのです。
    これで、ひけない分、つまり不足分が3であることがわかります。
    その不足分は、十の位から10を下ろしてきて引きます。
    10-3=7 です。
    したがって、14-7=7 です。
    日本は、引いてから足します。
    アメリカ、引いて、さらに引くのです。

    それぞれ理屈は正しいので、どちらかのやり方を貫き通せば何も問題ないのですが、その子はアメリカではアメリカ式、しかし、日本に帰ってからは日本式で教えられ、ごちゃごちゃになってしまったようです。
    14-7=13
    といった誤答が多く見られました。
    いったん癖になってしまうと、こういう基本的なことはなかなか治りません。
    長期に渡る丹念な指導が必要でした。

    多少複雑でも、1つのやり方で通したほうが、結局は合理的。
    結論はそうなってしまうかもしれません。
    上で説明した、2桁×2桁の暗算も、そんなやり方もできる、ということにとどめておいたほうがいいのだろうと思います。

      


  • Posted by セギ at 15:39Comments(0)算数・数学

    2020年04月17日

    伝わる人には伝わり過ぎて。


    もう15年も前のことになります。
    その頃、私は大手の個別指導塾で働いていました。
    当時の私立は、高校から生徒を入学させるところもまだ多く、その塾は、私立高校が第一志望の子も沢山在籍していました。
    今と同じく、私立高校は2月中旬には入試が終わります。
    しかし、中3の学年末テストは、都立の入試が終わった、さらにその後です。

    すると、どういうことが起こったか?
    私立高校に合格した子たちが、
    「学年末テストのテスト対策をしてください」
    と個別指導塾にやってくるのでした。

    中3の学年末テストのテスト対策・・・?
    テスト範囲が、2学期の期末テスト後の学習内容から今学習しているところまでと狭いならば対策もありますが、中学3年間の総復習、という広すぎる範囲のことが多いのです。
    受験勉強の成果そのままに、実力で受けたらよいテストでした。
    「いや・・・。それ、必要かなあ?」
    そのように言うと、対策をしてほしい子たちは、異口同音に言いました。
    「学校の先生が、3学期の成績を高校に送ることになっていると言っている。だから、対策をしてください」
    「・・・・・」

    そんなのは、嘘なのでした。
    高校の先生の立場に立ってみたらわかります。
    入試で、もう合格・不合格を決めたのです。
    その後、中3の3学期の成績を中学校から送りつけられても、迷惑なだけです。
    そんなデータに何の意味があるの?
    その成績を見て、どうしろと?
    成績が悪かった生徒を不合格にしろとでも?
    そんなこと、できるわけがありません。
    クラス分けなどの資料にする?
    内申と入試得点という良いデータがもう揃っているのに?

    また、中学にしても、生徒の進学先別に振り分けて3学期の成績を送るなどという煩瑣な事務作業を、卒業式の準備などで忙しい時期に、誰がやるんでしょう?
    できるわけがないのです。
    そのデータに意味があるなら、どんなに忙しくてもやるでしょうが、どこからどう考えても無意味なのです。

    例えば、高校合格後、警察に補導された。
    そのような事実が高校に知られたら、合格取り消しもあり得るかもしれません。
    しかし、3学期の成績が悪いくらいのことで、合格取り消しなどありません。
    高校側にそんな無意味なデータを送ることもあり得ません。

    では、なぜ、その当時、多くの中学の先生たちが異口同音に中3の生徒たちにそのような脅しをかけたのか?
    「3学期の成績を高校に送ることになっている」
    と、ありもしないことを口にしたのか?
    それは、高校に合格すればこっちのものと学年末テストを真面目に受けず白紙答案を出したり、学校を欠席してどこかに遊びに行ったり、ふざけて授業妨害をする生徒が存在したからでしょう。
    先生たちにとっては、80年代の荒れた中学校の記憶がまだ生々しく残っていた時期だったのかもしれません。
    そこまで表立った反抗はしなくても、高校に合格して以後は、それまで内申を気にして小さくなっていた分を取り返すかのように態度の悪くなる生徒がいたとも推測できます。
    そういう子たちの手綱を何とか放さず、無事に卒業させなくてはなりません。
    嘘の脅しでも何でもして、とにかく中学を卒業するまで、穏当に勉強し、穏当に生活していってほしい。
    そういう意味で、私は、中学の先生たちの嘘を責める気持ちにはなりませんでした。

    「学年末テストの対策をしてほしい」と塾にやってくる子は、毎年存在しました。
    そのような子たちには、共通点がありました。
    とにかく生真面目です。
    良い子なのです。
    学年末テストの範囲が「中学の総復習」の場合、範囲が広すぎてポイントをしぼった勉強はできません。
    結果、今までの定期テストよりも20点ほど得点が下がってしまったりすると、私にそのテストを見せて涙目になっていました。

    私は、その子に語りかけました。
    大丈夫。
    3学期の成績なんて高校に送られませんよ。
    それは、先生たちが、行動が心配な子たちを牽制するために言ったのです。
    あなたは、そんな脅しを受けなくても、学年末テストで手を抜いたりしないのにね。
    中学の良い思い出をかみしめて、先生方に感謝して卒業していくのにね・・・。

    一方、中学の先生たちが嘘をついてでも言動を抑え込みたかった子たちは、脅しが効くどころか、そもそも先生の話なんか聞いてもいなかった子も多かったのではないでしょうか。
    とりあえず、入試が終わった直後の学年末テストの勉強なんか、絶対にしなかったでしょう。
    いや、それはしなくても良かったのですが。

    脅しをかけたい相手は、脅しの言葉など真に受けない。
    一方、脅しをかける必要などない生真面目な子たちが、脅しの言葉を過剰に受け止め、必要以上に怯えてしまう・・・。


    この頃の世情をかいま見るとき、こんな15年前のことを思い出しています。


    行動変容、という言葉を考えています。

    このブログの過去ページにもそのまま載せてありますが、3月上旬の私は、衛生面への配慮は今見ても大丈夫なものだったと思うものの、「4月になったら山に行ってみようか」と、やはりどこか気楽なことを書いています。
    これほどのことになると予想していなかったのは、私も同じです。
    山なんて、もう当分行けないでしょう。
    高尾山の登山口には、登山自粛を呼びかける掲示がかかっているそうです。


    うちは個人でやっている完全1対1の個別指導で、いわば「会いに行ける家庭教師」ですから、「3密」の1密もありません。
    規模が小さ過ぎて、休業要請の対象でもありません。
    逆に言えば、勝手に自粛しても、支援金はもらえません。
    自力で何とかやっていかなければ。
    一方、万が一これで感染者が出たら塾は終わります。
    全ての意味で。
    決して失敗できない闘いの中にいると感じています。
    リスクは極めて低いと判断してのことであり、無謀な闘いではありません。
    繰り返す除菌と手洗いと換気。
    それが生徒を守り、塾を守り、私を守ります。

    営業する以上、最大限の注意を払っています。
    そんな中、大きめの長机の対角線上に私と生徒が位置して授業をしている際、私が端によけて距離を取ろうとすればするほど、生徒は、空いた机のスペースの真ん中をのびのび使うという事態が発生しました。

    以前は、私が生徒のノートを覗き込もうと近づけば近づくほど、生徒のほうがどんどん端に逃げていき、最終的に2人で机の端っこで向かい合い、
    「これ、バカバカしいと思いませんか?なぜ、2人でこんな隅っこに寄っているの?」
    と諭す、ということも起こりがちだったのです。

    ところが、距離を保とうと私が端に引っ込むと、生徒はのびのびと机の真ん中にノートやテキストを開き始めたのです。
    あんなに端に寄りたがっていた子が。
    ノートを机の隅に押しやって書いていた子が。
    しかも、ノートがその子の左手、テキストが右手って、それ、位置が逆でしょう?
    その分だけ、身体が机の中央にきていますよ?
    なぜにそれほど机の真ん中を使いたいの?
    押さば引け、引かば押せ?
    ・・・柔道?
    柔道なの?

    これでは、ソーシャル・ディスタンスを保てない。
    そんなわけで、私と生徒との間に机を2つ置くことにしました。
    つまり、私と生徒との間を長机2つで隔て、さらに、生徒側には「それ以上は中央に寄ってはいけない」という印の椅子をもう1つおいてブロックしています。
    ブロックのための椅子をどけて、机の真ん中に移動しようとする子には、
    「ダメです。自分の椅子を端にさらに10cm移動してください。ソーシャル・ディスタンスを保ちましょう」
    と、さらに端に寄ることを要求すると、ようやく事の次第を理解してくれる子もいます。

    ソーシャル・ディスタンスは2m。
    しかし、子どものパーソナル・スペースは、半径30cmから50cm程度なのでしょう。
    私がそれ以上近づくと遠ざかっていた子も、50cmの距離が保たれるなら、机の中央によってくる。
    勉強に夢中になると、距離なんかその程度で良くなってしまうのが子どもです。
    「おしゃべりに夢中」や「遊びに夢中」のときは、もっと寄ってしまうでしょう。
    これでは、学校再開は当分無理だと感じます。


    私個人の話に戻れば、もう20年も続けていたスポーツジムも、先日退会しました。
    3月からエアロビクスクラスがなくなっていたので、休会手続きをとっていました。
    4月第1週に、1クラス限定30名で再開していましたが、たとえ30名でも、その呼気と汗と密室であることなどを考えると、行く気にはなれませんでした。
    そして、1週間後、そのジムは休業に入りました。
    3月分も4月分も、使用料は5月分・6月分に先送りにするという話はそれで良いけれど、では、いつ再開できるのか?
    再開したとして、私は30名参加のエアロビクスに参加するのか?
    そんな無責任なことが、できるのか?
    私が感染したら、どこまで広がるかわからないのに。
    これは、退会以外の選択肢がありませんでした。
    20年通い続けたジムでしたが。
    コロナが収束したら、また通う?
    その頃、もうジムはなくなっているかもしれません。
    好きなインストラクターは、仕事を続けられず辞めてしまっているかもしれません。
    それくらいのことだよ?
    それでもいいの?
    そう自問し、でも仕方ないと決断しました。
    その決断は、全て我が身に跳ね返ることでもあると自覚しながら。


    遊びに出かけられないからと、スーパーや商店街に家族で出かけ、人口密度を高めてしまう人たち。
    買い物は1人で行くのが、お互いのためです。
    ドライブならば大丈夫だろうと、観光地に車で出かけ、途中でトイレに行きたくなって、無防備にトイレの行列に並んでしまう人たち。
    混雑している観光地で飲食してしまう人たち。
    コロナのないところに行きたいと、ウィルスをその地に持ち込んでしまう人たち。
    それをやったら何が起こるか、一歩先を考えたら、変えられる行動があると思います。

    その一方で、家から一歩も出られなくなってしまう人もいます。

    行動変容が必要な人たちには届かず、もう必要のない人がさらに生真面目に怯えてしまう・・・。
    生真面目な人たちは、テレビやネットから少し距離をとったほうがいいかもしれません。
    根拠の不確かな話に怯えてしまうだけです。
    「3学期の成績を高校に送ることになっている」みたいな話は、いい加減なことをやっている人たちに向けてのもので、生真面目な人たちに向けてのものではないのです。


    さらには、そもそも、これ以上の行動変容などできるはずもなく、全てわかったうえで、生活のために今まで通りの行動を続けている人たちも大勢います。
    大げさに言えば命がけの注意を払って、日々を生きている人も多いはずです。
    電車がどんなに怖くても、電車に乗って出勤しないわけにはいかない人のほうが、まだ大多数です。

    わかっていることは、これはゴールデンウイークで終わるような種類のものではないということ。
    5月も6月も、この状態はおそらく続くのだということ。

      


  • Posted by セギ at 13:32Comments(0)講師日記