2024年12月21日
高校英語長文読解。間違っているものを選ぶ四択問題。

さて、こんな長文問題を生徒と解いたときのことです。
Is there a creative writer who hasn't at times wondered what drives thousands of people to spend thousands of hours thinking about and writing made-up stories? At best these stories will be read by thousands of people who have got nothing better to do than read made-up stories! Is there some evolutionary need that has molded our minds to seek stories? Steven Pinker, the author of How the Mind Works, controversially tells that music confers no survival advantage but that fiction can "supply us with a mental catalogue of the fatal difficulties we might face someday and the outcome of strategies we could make use of in them." Perhaps for writers of fiction the truth of this is even greater. But what does this mean for the mind? Does it tell we have special systems in our brains that have evolved for the purpose of creating stories that might some day be useful in our real lives? And why is it that some people are better at making up stories than others, and if they are, are they therefore better prepared for whatever life throws at them?
問 This paragraph asks all of the following questions EXCEPT
あ. Why do people read and write fiction?
い. Dose the brain have a need to create stories?
う. What is the relation between music and fiction?
え. Does writing stories help us deal with real life?
かなり難しいですが、例によって、わからないところはわからないまま、読んでもらいました。
まずは、第1文。
Is there a creative writer who hasn't at times wondered what drives thousands of people to spend thousands of hours thinking about and writing made-up stories?
「創造的な作家はいるだろうか。ときどき不思議に思うことがない。何が運転するのか。何千人の人々に。費やすように。何千時間考えて書くことを。メイドアップな物語を」
「ここのdrive は、運転するという意味ではなさそうですので、ドライブのままで理解しましょう」
続けて、第2文。
At best these stories will be read by thousands of people who have got nothing better to do than read made-up stories!
「せいぜい、これらの物語は、読まれるだろう。何千人の人々に。何も得ていない。メイドアップな物語を読むよりも良いことを」
第3文。
Is there some evolutionary need that has molded our minds to seek stories?
「何かエボルーショナルな必要があるだろうか。私たちの心に物語をシークするようモールドする」
「・・・はい」
第4文。
Steven Pinker, the author of How the Mind Works, controversially tells that music confers no survival advantage but that fiction can "supply us with a mental catalogue of the fatal difficulties we might face someday and the outcome of strategies we could make use of in them."
「スティーブン・ピンカー、How the Mind Works の著者は、コントラバースリーに言う。音楽はコンファーしない。生き残る有利を。しかし、フィクションは、私たちに供給する。心のカタログで。フェイタルな困難の。私たちがいつか直面するかもしれない。そして、戦略のアウトカムを。私たちが利用できる。その中で」
かなり単語を覚えているほうです。
第5文。
Perhaps for writers of fiction the truth of this is even greater.
「多分、フィクションの作家にとって、この真実は、より偉大ですらある」
第6文。
But what does this mean for the mind?
「しかし、これは何を意味するのだろうか。精神にとって」
第7文。
Does it tell we have special systems in our brains that have evolved for the purpose of creating stories that might some day be useful in our real lives?
「それは言うだろうか。私たちが特別なシステムを持っていることを。私たちの脳の中に。エボルブした。物語を作る目的のために。いつか役に立つ。私たちの本当の人生に」
第8文。
And why is it that some people are better at making up stories than others, and if they are, are they therefore better prepared for whatever life throws at them?
「そして、なぜだろう。ある人々のほうが得意なのは。物語を作るのが。他人よりも。そして、もし彼らがそうならば、彼らはそれゆえに、よりよく準備しているのだろうか。どんな人生が彼らに投げられても」
問 This paragraph asks all of the following questions EXCEPT
あ. Why do people read and write fiction?
い. Dose the brain have a need to create stories?
う. What is the relation between music and fiction?
え. Does writing stories help us deal with real life?
英文が、このように多少難しくても、選択肢のほうは比較的易しいということは多いです。
選択肢が日本語の場合すらあります。
このように平易な選択肢が並んでいれば、それでむしろ、この英文は何について書かれているのか、理解の助けになります。
英文の内容を整理し、要約してくれています。
有難い。
この4つのうち、3つは、正しい選択肢なのですよ。
こういうことが書いてある英文なのですね。
そのつもりで見直すと、わかりにくかった英文がほぐれて、ああそういう意味か、と理解しやすくなるのです。
あ. なぜ人々はフィクションを読んだり書いたりするのか。
い. 脳は物語を創造する必要があるのだろうか。
う. 音楽とフィクションとの関係は何だろうか。
え. 物語を書くことは、私たちが現実生活に対処するのを助けるだろうか。
「答は?」
「え」
「・・・違います」
完璧でないとしても、この程度は意味を取ることができているのなら、正解しても良いはずなのに、なぜか誤答してしまう・・・。
そういう不器用なタイプの生徒もいます。
「問の This paragraph asks all of the following questions EXCEPT の意味はわかりますか?」
「・・・このパラグラフは、尋ねる。すべての以下の質問を。~を除いて」
「そうです。よくわかっているじゃないですか。つまり、この段落には、多くの疑問が提示されているのですが、あ~えの選択肢の中で、1つだけ示されていない疑問があります。それを選ぶんですよね?」
「はい」
「間違っている選択肢を選ぶ問題ですよね?正しい選択肢を選んでしまった、ということではないですよね?」
「はい」
「え. Does writing stories help us deal with real life? を訳してください」
「・・・書かれた物語は助ける。私たちを。本当の人生を処理することを」
「・・・writing stories は、書かれた物語、ではないです。書かれた物語ならば、written stories 。writing stories は、動名詞。そうすると、そこのところは、どういう意味でしょうか」
「書いている物語は・・・」
「・・・動名詞ですよ。分詞じゃないんです。耳に届いてますか?動名詞、です」
一度思い込むと、修正が効かないということは、生徒にはよくあります。
動名詞という文法事項を知らないわけではないのに、間違えるとパニックを起こして、ヒントが耳に届きにくくなります。
「動名詞です。~すること、です。物語を書くこと、です」
「ああ・・・。どう見分けるんですか」
「文脈で判断します。ストーリーさんが何かを書くわけがないので、分詞だとは思えません。だから、動名詞です」
「ああ・・・」
「物語を書くことが、私たちを助けるんです。私たちが何をすることを助けるんですか」
「本当の人生を・・・」
「・・・間違ってはいないですが、何か少し変ですね。real life は『現実生活』という意味です」
「どう見分けるんですか」
「本当の人生ならば、true life じゃないですかね」
おそらく、中学生の頃から、really を見慣れ過ぎていて、それはいつも「本当に」と訳してきたので、そこからの類推で、real life を、本当の人生、と訳してしまうのだと思います。
完全に間違っているわけではないですが、訳し方のバリエーションが不足していて、いつも1つの固定した訳しかできない子は、少しずつニュアンスのズレた訳が集まって集まって、結果として英文全体の意味がよくわからない、ということが起こりやすいです。
「deal with の意味は?」
「処理する」
「うーん・・・。では、全体の訳をもう一度」
「物語を書くことは、私たちを助ける。現実生活を処理することを」
「うーん・・・。やはり、処理するが少し気持ち悪いですね。deal with は、対処する、という意味で覚えておいほうが使いまわしが効きますよ」
「・・・」
書いてある物語は、私たちが本当の人生を処理するのを助ける。
という誤訳。
物語を書くことは、私たちが現実生活に対処するのを助ける。
という訳。
似ていますし、上の誤訳で十分正答に至ることのできる生徒もいますが、若干頭が固くて、だから、訳も固くなるタイプの子は、自分の誤訳が、本文のどこかに書いてあるとは思えず、そうすると「え」が答、となってしまうようです。
この問いかけは、第7文に書いてありました。
Does it tell we have special systems in our brains that have evolved for the purpose of creating stories that might some day be useful in our real lives?
「私たちの脳の中には、特別なシステムがあるというのだろうか / 物語を作る目的のために進化した / いつか、私たちの現実生活に役にたつかもしれない」
日本語らしい順番に並べれば、
私たちの脳の中には、いつか現実生活に役にたつかもしれない物語を作るために進化した特別なシステムがあるというのだろうか。
書いてありますね。
では、「え」は正解ではないです。
間違っているものを選ぶ四択問題は、選択肢を読んでいるうちに正しい選択肢を選んでしまうという失敗をしてしまう子が多いです。
さすがに高校生ですから、設問を読んで、間違っている選択肢を選ぶのだと一応認識しているのですが、読んでいるうちに忘れてしまうようです。
それがまず、初歩のつまずき。
次に、間違っている選択肢を選ぶということは理解しているものの、英文を読む力が弱く、本文も、選択肢も、実際のところほとんど読み通すことができない場合。
何度も書いてきましたが、本文と同じ語句が使われている選択肢が正しい選択肢、使っていなければ間違っている選択肢、という判断しかできない学力の子たちもいます。
しかし、むしろ、正しい選択肢は、本文を言い換えていることのほうが多いのです。
とはいえ、今回は、どの選択肢も、本文中に使われている言葉が入っているので、そういう観点で選択肢を選ぶことはできません。
第三段階になると、上のように、意味の取り方が固いため、本文に書かれていることとはニュアンスが異なってしまって、
「こんなことは書いていない」
と思って選んでしまう子。
単語暗記はしているのですが、1単語について1つの訳して覚えていないので、すべてが固いのです。
これは、経験不足によるところが大きいです。
教科書の英文を自分で日本語に訳して、模範の訳と照らし合わせて、正しいニュアンスの訳をつかんでいく練習。
あるいは、日本語から英語に直すことで、この日本語がこんな英語になるんだいう感覚を養っていく練習。
そういう基本の積み重ねが、初見の長文を読む際に、底力となります。
とはいえ、この問題、本文の多少の難しさとバランスをとるように、設問自体は非常に簡単です。
正解は、「う. What is the relation between music and fiction?」です。
音楽とフィクションとの間の関係は何であるか。
そんな話、してないですよね。
音楽という単語は、1回だけ出てきますが。
第4文。
Steven Pinker, the author of How the Mind Works, controversially tells that music confers no survival advantage but that fiction can "supply us with a mental catalogue of the fatal difficulties we might face someday and the outcome of strategies we could make use of in them."
「スティーブン・ピンカー、How the Mind Works の著者は、コントラバースリーに言う。音楽はコンファーしない。生き残る有利を。しかし、フィクションは、私たちに供給する。心のカタログで。フェイタルな困難の。私たちがいつか直面するかもしれない。そして、戦略のアウトカムを。私たちが利用できる。その中で」
生徒のこの訳で、十分だと思います。
音楽ができないことをフィクションは行うと語っているだけで、『関係』は語っていません。
そのことは、この訳で十分わかります。
長文読解は、どれだけ単語を覚えても、自分が第一志望とする大学や、受けようと思う英検の級では、知らない単語が出てくるのは仕方ありません。
全て知っている単語ばかりの長文は、自分にとって完全に格下レベルの長文です。
滑り止めの大学ならわかりますが、第一志望でそれはないでしょう。
英検ならば、もう1つ上の級を受けたらいいのです。
つまり、知らない単語は、問題文の中に常に出てきます。
知らない単語は英語のままで読み通していけばよいのです。
それには、常にこのような練習をしていく必要があります。
前から順番に訳すのも、そのためです。
日本語の順番に整えようとし、修飾関係を考えて訳そうとすると、負荷がかかり、混乱します。
それは、「和訳せよ」という設問のときにのみ、対応すればいいことです。
読み進めていくときに、そんなことは必要ありません。
わからない単語は、わかってみれば、どうでもいい単語のことが多いのです。
意味をちょっと強めているか、弱めているだけ。
副詞の場合は特にそうです。
それでも気になる人は、辞書ではなく、自分の単語集の索引で、わからなかった単語を引いてみるのをお勧めします。
単語集に載っているのにわからなかった単語のことは、多少反省したほうがいいです。
覚え直しましょう。
しかし、単語集にも載っていない単語なら、入試問題としては、どうでもいいと見切るのも、実践的な英語学習法です。