たまりば

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2020年09月03日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。点と直線の距離。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。点と直線の距離。


今回は、点と直線との距離を求める問題です。

問題 点(1,2) から直線 3x+4y=5 までの距離を求めよ。

そもそも、「点と直線との距離」とは何か、その確認からしましょう。
中学生が作図問題を解いている様子を見ていると、ああ、わかっていないかもしれないなあと感じることがあるのが、点と直線との距離です。
与えられた点と直線との距離を示す線分を描けといった問題に上手く対応できないのです。
それの応用である、与えられた点を中心とし、与えられた直線と接する円を描けといった問題にも困惑することになります。

数学で「距離」というのは「最短距離」のことです。
点と直線との最短距離とは何か?
その点からその直線に垂線を下したときの、その点と垂線の足との距離が最短距離です。
ちなみに、垂線の足とは、垂線と直線の交点のことです。

・・・このように、説明しても説明しても、そこにまた数学用語が出てきて、それをまた説明しなければならないということが、数学の授業
では起こりがちです。
テストのために暗記するけれど、テストが終わったら忘れる。
そのような学習習慣の子が幾何が苦手な原因の1つが、用語の意味がわからないことです。
重要なことを覚えていないのです。
だから、説明を聞いても、その説明が理解できない、という状況に簡単に陥ります。

用語がごついだけで、言っていることはとても単純なことです。
点から直線には、多くの線が引けますが、その中で一番短い線は?
その点からその直線に垂直に引いた線ですよね?
それが最短距離です。
そのことを、点と直線との距離と呼びます。

しかし、上のような不正確な表現は、許されません。
上の説明は、図を示しながら、ニュアンスで理解してもらおうとしている説明です。
この説明が通じればよいですが、もし通じなければ、相手を混乱させるだけです。

勝手な用語を使うと全く通じないことがあります。
もう何年も前になりますが、中3の生徒が図形問題を解いている途中で、
「この棒の長さが」
と言い出して、ぎょっとしたことがあります。
・・・棒?
棒って何のこと?
虚をつかれて、本当に何のことかわからなかったのですが、それは「線分」のことでした。

別の子で、これは代数の学習でしたが、式の計算のところで、
「この式をほぐしていいですか?」
と質問するので、困惑したこともあります。
式をほぐす?
それは、何をどうすること?
・・・その子が言っていたのは、式を展開することでした。
ニュアンスで説明するのは、本人はよく理解できても、他人に通じない可能性が高いのです。

上の私の説明も、幾何の専門家からすれば、線分を棒と呼ぶほどの暴挙を寄せ集めた説明です。
1つ1つ、正確に定義された言葉を使うことで、相手に正確に伝わります。
だから、数学は定義が極めて重要です。


問題の意味が正確にわかったところで、さて、どう解きましょう。
もう一度、問題を読んでみます。

問題 点(1,2) から直線 3x+4y=5 までの距離を求めよ。

よくわからなかったら、グラフを描いてみると助けになると思いますが、そろそろ、実際にグラフを描かなくても、頭の中のイメージだけで何とかなりそうな気がします。
とにかく直線 3x+4y=5 がある。
その直線外の点(1,2) がある。
その点から直線に垂線を引く。
その点とその垂線の足との距離が、求める距離です。

これまで学習したことを利用して求められそうな気がします。
点(1,2)を、点Pとしましょう。
与えられた直線 3x+4y=5 を対称の軸として、点Pと対称な点をQ(a,b)とおきます。
直線 3x+4y=5 と、直線PQは、垂直です。
線分PQの中点は、直線 3x+4y=5 を通ります。
こうしたことを利用して、何とか求めることができそうな気がします。
Qの座標がわかれば、線分PQの長さがわかります。
それを1/2にしたものが、点Pと直線との距離でしょう。
その指針で、解いてみましょう。

まず、与えられた直線の傾きを求めます。
3x+4y=5 をyについて解くと、
4y=-3x+5
y=-3/4x+5/4

この直線の傾きは、-3/4であることがわかりました。
では、それと垂直な直線PQの傾きは、4/3です。
垂直な2直線の傾きの積は、-1だからです。

直線PQの傾きは、P(1,2)、Q(a , b) を、変化の割合の公式に代入すると、
b-2 / a-1 です。
よって、
b-2 / a-1=4/3
これを整理すると、
4(a-1)=3(b-2)
これは、両辺が分数のときに、互いの分母×分子は等しいことを利用しました。
4a-4=3b-6
4a-3b=-2 ・・・①

式が1本出来ました。
もう1本式があれば、Q(a , b) を求めることができます。

線分PQの中点が、対称の軸を通ることを利用しましょう。
線分PQの中点の座標は、(a+1 / 2 , b+2 / 2)。
これが直線3x+4y=5を通るから、
3( a+1 / 2) +4(b+2 / 2)=5
各辺を2倍して、
3(a+1)+4(b+2)=10
これを整理して、
3a+3+4b+8=10
3a+4b=-1 ・・・②

①、②を連立して、aとbを求めましょう。
①×4+②×3 をすると、
25a=-11
a=-11/25 ・・・③

③を②に代入して、
3・(-11/25)+4b=-1
-33+100b=-25
100b=8
b=2/25

よって、Q(-11/25 , 2/25)

P(1,2)、Q(-11/25 , 2/25)より、PQ間の距離を求めることができます。
2点の距離を求める公式に代入して、
√(-11/25-1)2+(2/25-2)2
=√(-36/25)2+(48/25)2
=√1296+2304 / 252
=√3600 / 252
=60/25
=12/5

PQ間の距離が12/5ですので、点Pと対称の軸との距離は、その1/2ですから、
12/5×1/2
=6/5

できました。


とはいえ、計算が面倒でしたね。

・・・これ、公式があったんじゃない?
そのようなツッコミもあるかと思います。
はい。
これは公式に代入して、もっと簡単に答を出せる問題なのです。
まずは公式を確認しましょう。

直線 ax+by+c=0 と、この直線外の点(x1,y1)との距離dは、
d=|ax1+by1+c| / √a2+b2

このブログの表示では、もう何のことやらさっぱりわからないかもしれません。
お手元の教科書・参考書で確認されるか、上の画像をご覧ください。
公式そのものは、そんなに特殊なものではなく、どこの高校でも必ず学習する基本公式です。

これに代入すると、上の問題は、点(1,2)から直線3x+4y-5=0 までの距離となりますから、
|3・1+4・2-5| / √9+16
=|6|/ √25
=6/5

と簡単に求めることができます。

ただ、数学が苦手な子は、そもそも絶対値記号のことを忘れていたり、
「3・1+4・2+5ではないのは、なぜですか?」
と質問し、そこの思い込みからなかなか抜け出せないことがあります。

3x+4y-5=0 と移項したからですよと説明すればわかってくれる場合は比較的簡単ですが、
「絶対値は正の数なのだから、-5というのはおかしい。+5でなければおかしい」
という論理のねじれや歪みが生じている場合は、説得は簡単ではありません。
数学の問題を解いていて、このような論理のねじれや歪みを起こしやすい人がいます。
絶対値の基本に戻り、|-2|=2といった、絶対値記号の内側は負の数でも構わないことを確認し、誤解を解いていく必要があります。
自力では、こうした誤解からなかなか脱出できません。
個別指導の強みはそこです。
どんな妄言でもよいので、妄言は妄言のまま声に出してくれると、解決への道が開かれます。

さて、では、この公式の証明を始めましょう。
直線 ℓ : ax+by+c=0 と、この直線外の点P(x1, y1) がある。
Pから ℓ に引いた垂線と ℓ との交点をH(x2, y2) とすると、
PH=√(x2-x1)2+(y2-y1)2 ・・・①
また H は直線 ℓ 上の点だから、
ax2+by2+c=0 ・・・②
ここで、
(ⅰ) ab≠0 のとき、
ℓ の傾きは、-a / bであるから、直線PHの傾きは、b/a
よって、
y2-y1 / x2-x1=b / a
これを整理すると、
y2-y1=b / a ・ x2-x1
y2-y1 / b=x2-x1 / a
この値をtとおく。
すなわち、
x2-x1 / a=t、 y2-y1 / b=t、
これを変形して、
x2-x1=at 、 y2-y1=bt
x2=at+x1 、 y2=bt+y1 ・・・③
これを②に代入して、
a(at+x1)+b(bt+y1)+c=0
これをtについて解くと、
a2t+ax1+b2t+by1+c=0
t(a2+b2)=-ax1-by1-c
t=-ax1-by1-c / a2+b2 ・・・④
③、④を①に代入すると、
PH=√a2t2+b2t2
=√(a2+b2)t2
=√(a2+b2)t2・(ax1+by1+c)2 / (a2+b2)2
=√(ax1+by1+c)2 / (a2+b2)
=|ax1+by1+c| / √a2+b2 ・・・⑤

(ⅱ)a=0、b≠0のとき、
y=-c/b
PH=|y1+c /  b|
=|by1+c|/ |b|
⑤の式からもこれと同じ式が得られる。
またa≠0、b=0のときも、同様のことがいえる。
よって、aかbのいずれか1つが0のときも、PHは⑤の式であらわされる。

したがって、(ⅰ)(ⅱ)より、
PH=|ax1+by1+c| / √a2+b2

公式の証明を理解したら、あとは活用するだけです。
この公式は、使う機会がとても多い公式ですので、早めに覚えて活用しましょう。





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