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2020年09月12日

高校英語。複合関係代名詞 whoever。

高校英語。複合関係代名詞 whoever。

さて、今回は、複合関係代名詞。
名前からして難しそうで、モヤモヤの残ってしまう人が多いところです。
まずは、例文から見てみましょう。

Whoever leaves the classroom last should turn off the light.
教室を最後に出る人なら誰でも、明かりを消すべきだ。

この whoever は、「~は誰でも」と訳します。
Whoever leaves the classroom last が、
「教室を最後に出る人は誰でも」という意味です。
この意味のまとまりが、従属節(関係代名詞節)で、主節の主語となっています。

複合関係代名詞は、先行詞を必要としません。
複合関係代名詞から始まる節がこの文の主語となり、それが should turn off the light.である。
すなわち、「明かりを消すべきだ」と続いていきます。

もう1つ例文を見てみましょう。

The club admits whoever pays the entry fee.
そのクラブは、入会金を払う人なら誰でも入会を認める。

club が主語。
admits(認める)が、動詞。
whoever pays the entry feeは「入会金を払う人なら誰でも」という意味の従属節(関係代名詞節)で、主節の中で目的語の働きをします。

文法的に分析すると、英文の構造がよくわかり、意味を理解しやすくなりますね。
こういう文になってくると、SVOCMの分析は理解を助けるものであって、決して敵視してはならないのです。

こうした whoever は、anyone who で書き換えることができます。

Whoever leaves the classroom last should turn off the light.
=Anyone who leaves the classroom last should turn off the light.
です。
The club admits whoever pays the entry fee.
=The club admits anyone who pays the entry fee.
です。

中1の最初に some と any を学習したところから知識のバージョンアップがされず、
「any は疑問文と否定文で使うものなのに、変な使い方がされていてモヤモヤする・・・」
という人がいるかもしれません。
肯定文で any を用いたときは、「何でも」という意味があります。
肯定文の anyone は、「誰でも」という意味です。
こういう細かい知識は、大きな文法事項とは異なるため、何となく頭から脱落しがちでなかなか定着しないのですが、結局、そうした小さな知識の欠落からモヤモヤすることが多くなります。
「そんなの習ったことない」
という感覚に陥りやすいところでもあります。

しかし、これは中学で学習しています。
大きな文法事項ではないので、例えば「過去形は中1の終わりに学習した」というほどの印象は残りません。
教科書の本文にさらっと出てきていて、
「この any は・・・」
とさらっと説明され、特に違和感はないのでどうでもいいやと聞き流したことが、後になってモヤモヤとして残るのです。

いや、そもそも someone とか something とか、そういうことを学習した記憶がないんだけど・・・。
何だか、いつの間にが出てきていて、謎なんだけど?
そんな疑問を抱く人もいるかもしれません。
これらは中2で学習する内容なんですが、やはり、あまり定着しないし、記憶にも残らないようです。
学習事項としては「代名詞」にあたります。
その中でも「不定代名詞」と呼ばれる、モヤモヤする文法事項です。
高校生ならば、文法参考書を読んで、モヤモヤをすっきりさせることをお勧めします。

先日も、中2の生徒と「不定詞」の学習をしていて、この不定代名詞と不定詞の語順を解説しました。
I want something to eat.
などの語順が定着し、うん、良かったと思った直後のことです。
不定詞の形容詞的用法全体の演習に入ると、
「今日はやるべきことがたくさんある」
を英語に直す問題で、
I have a lot of something to do.
という文をその子は作りました。

うーん、なるほど、そういうミスにつながるのか。

I have a lot of things to do.
が正解ですよ、と説明しましたが、不服そうでした。

something を使うとき、それはまだ不定の「何か」です。
I have something to do.
という文がもしあるなら、それは、やるべきことがあるとして、それが何であるかは不定な状態です。
「今日はやるべきことがたくさんある」という文を言っている、あるいは書いている「私」は、やるべきことがわかっているはずです。
そこに不定の「何か」という意味の something を使うことはありません、と説明すると、わかりにくかったのか、頭を抱えてしまいました。
うーん・・・。

そこで、
「I want something to eat. は、どう訳すの?」
と質問すると、
「食べるものがほしい」
と訳すので、
「いいえ。『何か食べるものがほしい』と訳すようにしましょう。まだ不定の『何か』であることをちゃんと訳しましょう。『何か』がついているところで something を使いましょう」
と説明すると、
「『何か』がついていれば、必ず something なんですか?」
と、また微妙なことを訊いてくるので、私は腕組をして、
「絶対にそうだとは限りませんけれど、『何か』がついているのに、 things を使うことはないでしょう」
と裏側から答えると、しぶしぶ了解してくれた形でした。

もつべき疑問が、中2にしては複雑な内容なのでした。
そこはすっと流して、まあそんなものなのだと思い、先送りにしたほうが、言語習得は楽な場合もあります。
高校生、あるいはそれ以上になれば、文法的に明晰な分析があり、それを理解できるようになります。
まだそういう年齢ではないのに、明晰な文法的分析が必要なことについて疑問を抱き、そこでつまずいたりしてしまう・・・。
今の自分が理解できる範囲を越えたことに疑問を抱くので、疑問が解決しないのです。
そこでモヤモヤし、それで英語が嫌いになってしまうのは、勿体ないです。
語学学習は長いスパンでやっていくもの。
短気を起こさず、地道に気長に努力していくと、振り返るとびっくりするような実力がついています。


話を複合関係代名詞に戻します。

上の例だけなら、whoever は、そんなに難しいものではない気もするのですが、ここで大問題が生じます。
whoever には、別の用法があり、書き換え方も異なるのです。
例文を見てみましょう。

Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
誰が電話をしてこようとも、私は電話に出たくない。

これは「譲歩」を意味する複合関係代名詞、と呼ばれるものです。
これの書き換えは、
Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
=No matter who calls me, I don't want to answer the phone.

whoever=no matter who です。

これが出てくると、どちらの書き換えをすればよいかわからず、モヤモヤが一気に上がる人もいるかと思います。
「どうせ意味から判断するんでしょう?」
と決めつけている人もいますが、まあそれも1方法ではあるものの、文法的に正確に分析できます。
この譲歩の用法のときの関係詞節は、必ず副詞節です。
一方、冒頭の用法の関係詞節は、名詞節なのです。
主節の主語や目的語の働きをします。
主語や目的語になるのは、名詞です。
節ならば、名詞節です。

一方、副詞節というのは、SVOCのどれにもなりません。
M(修飾語)です。
ですから、whoever を含む文が、どちらの用法なのかわからない場合は、主節のSVOCMを分析すればよいのです。
Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
は、主節の主語は、I。
主節の動詞は don't want。
主節の目的語は、to answer the phone という、不定詞による名詞句。
この文は、SVOの文であり、Whoever calls me は、主節の主な要素であるSVOCのどれでもありません。
「誰が電話をかけてきても」という節は、動詞を修飾する副詞節です。
こうした用法のときは、「譲歩」の用法となります。

Whoever calls me, I don't want to answer the phone.
のように、先頭に whoever がきていて、間にカンマ( , ) があれば、譲歩の用法ですか?

と、賢い質問をする人がいます。
確かに、それはそうです。
しかし、それ以外は絶対に譲歩の用法ではない、とは限りません。
I don't want to answer the phone whoever calls me.
という位置関係の場合もあり、これも「譲歩」の用法だからです。

やはり、主節のSVOCMを分析するのが、正確に解くコツです。
そうすることを苦手と言わず、できるようになると楽ですよ。
1文の長い英文を読むために、それは必要なことですから。
全ての英文でそんなことをする必要はありませんが、必要なときはあります。

繰り返します。
SVOCMの分析は理解を助けるものであって、決して敵視してはならないのです。
文法的に分析すると、英文の構造がよくわかり、意味を理解しやすくなります。
それが習慣になっていれば、普段、特に意識しないで英文を読んでいるときにも、自然に、意味のまとまりごとに文意を把握できるようになっていきます。
英文を前から読む、英文を英文のまま読むというのは、そういうことです。




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