たまりば

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2020年09月21日

高校英語。複合関係代名詞の whichever と whatever。


さて、今回は、複合関係代名詞の whichever と whatever です。
まずは例文を見てみましょう。

Help yourself to whichever you want.
どれでも欲しいものを自由にとって食べて。

help oneself to ~は、「自由にとって食べる」という熟語です。
テーブルの上などにある食べ物を客に勧めるときの決まり文句です。

文法事項としては、前回学習した whoever が whichever になっているだけなので、比較的理解しやすいかと思います。
これの書き換えは、
Help yourself to whichever you want.
=Help yourself to any ones that you want.
となります。

これのほうが「うん?」ですよね。
Help yourself to anything that you want.
じゃないの?
~thing や、~one は、物なら thing で、人なら one でしょう?

はい。
でも、one という不定代名詞は、人でも物でも使うのです。
one という不定代名詞の複数形は、ones です。
anyone なら人ですが、any one は、物を指します。

実は、anything は、別の文の書き換えに用います。
まず、その文を見てみましょう。

I'll do whatever you tell me to do.
あなたがやれということなら何でも私はやります。
=I'll do anything you tell me to do.

このように使い分け、書き分けます。

・・・とはいえ、ネイティブも人間なので、文法的な誤りは多いです。
例えば、近年では、分詞の前置修飾がネイティブの間ですたれ始め、多くが後置修飾になっていると聞きます。
それにともない、前置修飾の分詞には、「常にそれをやっている人」という特別なニュアンスが付加され始めているというのです。

しかし、それは結局、正確な英語を使えないネイティブが増えて、それによって英語が変わり始めているということだと思うのです。
言語とはそういうもので、それは日本語もそうです。
例えば「行かれる」という表現を「行くことができる」という可能の意味にとらえる人は減り、尊敬の意味にのみとらえる人が多くなっている。
行くことができるという意味を表したいときは、「行ける」というんだよ、「行かれる」なんて言わないよ。
そんなことを、外国の日本語学習者に向けて発言する日本人もいるかもしれません。
・・・いや、しかし、本当に可能の意味で「行かれる」を使うのは、間違った日本語なんでしょうか?

そこらへんは本当に微妙で、外国語についての、「今はこう言う」「そんな言い方は古い」という情報には慎重であったほうがいいとは思います。
一方で、分詞の前置修飾と後置修飾の使い分けにネイティブの間で変化が生じ始めているのは、知っておいたほうが良いことでもあります。
外国人留学生も多い、国際的な大学の英語の入試問題には、実際に単独の分詞なのに後置修飾の用例も出題され始めています。
古く正しい文法事項の重箱の隅をつつくのも大概にしないと、ネイティブに「そんな区別を我々はしない」「そもそも、そんな書き換え表現は使わない」と一笑にふされておしまいということもありそうです
一所懸命学習したのに、言語についてむしろ鈍感なネイティブにあっさり否定されてしまう・・・。
whichever と whatever の上のような書き替えの違いなど、そんなに必死に学ぶことではないと、私は思います。


そんなことより、whichever と whatever 自体の使い分けは、今もなお重要でしょう。
これは、which と what という疑問詞の使い分けが基本にあります。

選択肢がいくつかある中で、その中の「どれ」であるかを問うのが、which です。
選択肢はなく、全てのものの中で「何」であるかを問うのが、what です。

例えば、バス停がいくつか並んでいる駅前ロータリーで、どのバスに乗るのかと尋ねたいのなら、which。
色々なデザイン、色々な機能のバスを心の中に自由に思い描き、どんなバスに乗ってみたいかと尋ねるのなら、what。
この使い分けは、一度しっかり理解すれば、特に問題ないと思います。

さて、わかりにくいのは、やはり、「譲歩」の用法があることでしょうか。
例文を見てみましょう。

It's all the same to us whichever side wins.
どちら側が勝っても、私には同じことです。

SVOCMを分析しましょう。
it が主語。
is が動詞。
same が補語。
to us は修飾語。
これはSVCの文です。
whichever side wins は、文の主な骨組みではありません。
これは、M(修飾語)です。
こういう場合の、whichever 節は、譲歩の用法となります。
「どちらが~しようとも」という意味です。

ちなみに、上の文の whichever は、side という名詞を伴っています。
複合関係形容詞とも呼ぶべき用法です。


さて、この辺で、書き換え問題を解いてみましょう。

問題、以下の英文を次のようにほぼ同じ意味に書き換えるとき、空所を埋めよ。
It's all the same to us whichever side wins.
=It's all the same to us ( )( )( )( )( )win.

whoever の譲歩の用法のときと同じで、no matter を使うんでしょう?
だったら、
It's all the same to us (no)(matter)(which)(side)( )win.

・・・あれ?
( )が1つ余る・・・。

正解は、
It's all the same to us (no)(matter)(which)(side)(may)win.
です。

その may は何?
と、驚く人もいるかもしれません。
またモヤモヤする内容きたー。

この文は譲歩の用法の文なので、確定した内容ではありません。
だから、推定の助動詞 may、あるいは、それをさらに婉曲的にする might が用いられることがあります。
絶対に使わなくてはならないものではありませんが、こうした空所補充問題では、使用しないと空所が埋まらない、ということがあります。

whichever だけでなく、他の複合関係代名詞でも使用されます。
長文読解をする受験生に対しては、文中の意味不明な may や should は、実際大した意味はないから読み飛ばしなさい、と勧めています。

では、次の問題は、もう楽勝ですね。

問題 以下の英文を以下のようにほぼ同じ意味に書き換える際の空所を埋めよ。
Whatever happens, I will go.
=( )( )( )( )( ), I will go.

正解は、
=(No)(matter)(what)(may)(happen), I will go.
です。

なお、whatever は、否定文・疑問文で強調のために用いられることがあります。

No problem whatever.
全く問題ありません。

Do you have any interest whatever in Japanese animation ?
日本のアニメについて少しでも関心がありますか。

これも、長文の中で出てきたときは、意味のわからない whatever は無視する作戦で大丈夫でしょう。
  


  • Posted by セギ at 11:51Comments(0)英語