2025年05月22日
現在完了から、中学英語は理屈を理解することで巻き返せます。

文法を全面に出して英語を教えるのは悪いことであるかのような風潮が一時期ありました。
文科省の意向がそうであるのは今も変わりません。
しかし、そんなことに従っていると英語ができない生徒が増えるばかり。
教育現場は変わらず文法を重視しています。
英語で英語を教えるラジオ講座、「中高生の基礎英語 in English」も短命で終わりました。
英語では、英文法を教えられません。
文法を理解せずに言語を学ぶのは、ひどく遠回りです。
英語で英語を全部教えるのは、無理があります。
英語で英語を学ぶ時間も1週間の中にある、という程度ならば効果的なのですが。
文法を軽視し、感覚で英文を読み、英単語を並べて英文を作ろうとする子は、中学英語で挫折していきます。
日本で生まれ育った日本人が自分の感覚で作る英文は、自分の知っている型の英文です。
すなわち、小学校から中1までに学習した、SV、SVC、SVOの、修飾語句の少ない短い文しか意味がわからないし、作れないのです。
それが、日本で生まれ育った日本人の英語感覚です。
そういう英語しか知らないのですから、当然です。
中2の後半、不定詞の学習あたりから、英語がわからなくなっていくのは、そのためです。
今まで考えたこともなかった語順の英語が当たり前のように出てきます。
文の途中に、to があって、また動詞が出てくる?
そんなの、感覚ではわかりません。
今までの感覚で英文を読もうとしても、意味がわからない。
乱文整序問題や英作文問題を解くと、全部バツ。
それでは、英語が嫌いになっていきます。
理屈が好きな子、理屈が理解できる子に、文法で英語を教えると即効性が高いです。
文法で教わったほうがわかるのに、文法用語を使わず、何の文法事項を扱っているのか伏せた状態で、基本例文というのを暗記させられ、その文の意味を覚えていく学習を何年も続けていくと、彼らは、英語に対してモヤモヤしています。
そういう子に、中2の後半から中3で出会うと、タイミングが適切ということもあり、飛躍します。
例えば、こんな問題。
次の文と同じ用法の現在完了の文を、下の①~③から選びなさい。
I have been in this town for two years.
①She has known the man since he was a child.
②He has read the book three times.
③I have already finished my homework.
こうした問題を意味から判断しようとするのは、大変な苦労です。
「私は2年間この町に住んでいます」
①彼女は彼が子どもの頃から彼を知っています。
②彼はその本を3回読んだことがあります。
③私はすでに宿題を終えてしまいました。
この日本語訳から、同じ用法のものを考えて選ぶのです。
「完了」「継続」「経験」「結果」という現在完了の4つの用法という観点はなく、日本語の意味から、同じ意味あいのものを選ぶのです。
・・・・何てまだるっこしい。
訳し方をちょっと失敗したら、終わりです。
「同じ意味あい」とは、どういうことなのか?
かなり曖昧です。
不定詞の3用法の見分けなどもそうですが、英語の問題は、英文を日本語に直して、意味から判断するものだと思い込んでいる子たちがいます。
英文と日本文の1対1の対応で勉強してきたので、他の把握の仕方を知らないのです。
しかし、こういう問題は、そういう解き方をする問題ではありません。
英文のままで、判断できるのです。
答えは①です。
問題文は、for two years という期間を表す語句があるので、継続の用法。
①も、since he was a child という期間を表す語句が使われていますので、継続の用法です。
②はthree times という回数表現があるので、経験の用法。
③はalreadyが使われているので、完了の用法です。
そうした語句から判断すれば、正解をすばやく選ぶことができます。
理屈がわかる子たちは、現在完了をこのように教えると覚醒します。
「わかりやすい」
「初めて英語がわかった」
と感動してくれて、英語の成績も急上昇していきます。
ところが、同じ授業をしても、それほど歓迎されないこともあります。
英語と日本語の1対1対応から、抜け出せないのです。
他の学び方ができない。
他の学び方がある、という発想がない。
どうしても、日本語に直して意味を理解しないと、文法問題が解けないのです。
理屈で文法問題を解いている子たちは、英文の意味を理解していないわけではありません。
むしろ、理屈を理解すると、英文の意味は瞬時に把握できるようになります。
文法は、そういうアプローチが可能な道具です。
文法を嫌い、文法を理解せず、個々の単語の意味から英文の意味をつかもうとするほうが、実は大変です。
文法が嫌いな子は、それをやらねばならないのです。
単語と単語の関係は想像で意味を補うなど、大変な苦労をして、時間もかかり、そして報われません。
意識を変えれば、英語は簡単。
単語・熟語は暗記。
文法は理屈の理解。
その両輪でさくさく英語学習を進めてください。
現在完了の学習は、ステップアップの好機です。
Posted by セギ at 12:56│Comments(0)
│英語
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