たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾三鷹市 三鷹市

2020年11月26日

高校英語。仮定法。if節と主節の時制が異なる場合。

高校英語。仮定法。if節と主節の時制が異なる場合。

本日は、仮定法の中でもちょっと失点原因になりやすい問題を解いてみましょう。

問題 次の空所を埋めよ。
(1) If you had been a little more careful, you would ( )( )( ) such a mistake.
(2) If I had not taken the wrong train, I ( )( ) there now.

if 節を見ると、「if +主語+過去完了」 となっています。
これは、仮定法過去完了。
過去の事実に反する仮定を述べる文。

仮定法過去完了の主節は、「主語+助動詞過去形+現在完了」です。
ええと、ええと。
(1) If you had been a little more careful, you would (have)(not)(made) such a mistake.
(2) If I had not taken the wrong train, I (would)(have) there now.
よし、できた。

・・・うーん。
(1)は、正解です。
しかし、(2)は、不正解です。

仮定法には、「if 節は仮定法過去完了、主節は仮定法過去」という形があるのです。
すなわち、正解は、
(2) If I had not taken the wrong train, I (would)(be) there now.
です。

・・・何でそんな変な形があるの?

と、生徒に嫌な顔をされることがあるのですが、考えてみれば、そういうことを言いたい場合も多いのではないでしょうか。
過去のあのときこうしていたら、今頃はこうだったろう。
単なる仮定法過去完了よりもさらに根深い「たら・れば」で、気が滅入ること限りなしではありますが、そういうことを言いたいときもあるでしょう。
そのためにあるのが、この形です。

(2)は、「もし私が間違った電車に乗っていなかったら、今頃はそこにいただろう」という意味です。
「もし間違った電車に乗っていなかったら」というのは、過去の事実に反する仮定。
過去の事実に反する仮定だから、if 節は、仮定法過去完了。
今頃、そこにいただろうというのは、現在の事実に反すること。
だから、主節は、仮定法過去です。

もう少し例文を見てみましょう。

If he had not bought that expensive picture, he would have a lot of money now.
もしあの高価な絵を買わなかったら、彼は今頃多くのお金を持っているだろう。

If she had eaten sensibly as a child, she would have better teeth now.
もし子どもの頃に考えて食事をしていたら、彼女は今頃もっと良い歯をしていただろう。


見分け方のコツとしては、主節の最後に now と書いてある場合が多いです。
それを見つけたら、ああ、このパターンだと思い出してください。
ここは大事なところです。
テストにもよく出ます。
これを知っておけば簡単に得点できますから、むしろラッキーなくらいです。

しかし、英語のテストの得点がふるわない子に、
「ここは重要。こういうところがテストによく出るよ」
と強調しても、それを覚えないことがあります。
むしろ、
「そんなはずはない。こんなところはテストに出ない」
とすら思うようなのです。

なぜなのでしょうか?

もしかしたら、英語に関して、「ここはテストによく出る」という感覚がズレているのかもしれません。
それには、「こういうのはテストに出ないでほしい」という願望が入っているような気がします。
「たら・れば」を口にしなければならないような願望まじりの勉強です。
「もしも、あのときこれを勉強していたら、今頃私はこの問題を解いているだろう」
と、テスト中に後悔するような勉強をしているのです。

では、なぜそのような間違った認識をしてしまうのでしょうか。
英語が苦手な人、特に英文法が苦手な人は、文法の中でも基本中の基本だけが大切で、それだけがテストに出ると思ってしまう傾向があります。
それは中学生の頃からそうです。
教科書の各セクションの基本例文だけ暗記して、それで英語は大丈夫と思ってしまう人がいます。
しかし、テストは、主語を変えたり、時制を変えたりした、もう少し細かい文法事項が出題されます。
基本例文だけ丸暗記しても、解けないことが多いです。

文法問題の練習をして、間違えても、あまり気にしないのが、そういう人の不可解な点です。
間違えた問題がテストに出るかもしれないという意識を持っていないようなのです。
間違えた問題からは目をそらし、「基本はできた。大体できた」と思ってしまう様子です。
自分が正解できた問題は、良い問題。
自分が間違えた問題は、些末なくだらない問題。
こんなのは、テストに出ない。
そこまで強く意識しているわけではないにしろ、間違えた問題を復習しないということは、そういう判断をしているということなのですが、それに気づいていないようです。
間違えたということは、そこが学習上の「穴」になっているのですが、そのことに気づいていない。
そういうことが繰り返されているのに、学習方法を改善せず、同じ失敗を繰り返していないでしょうか?

仮定法過去完了で言えば、ごく基本の、
「if +主語+過去完了, 主語+助動詞過去形+現在完了」
という基本だけ覚えて、これがテストに出る、その他のことは些末なことなのでテストに出ない。
出ないでほしい。
そのように思ってしまうようなのです。

基本は基本ですから、大切です。
しかし、それしかテストに出ないと思っていると、テストの得点は、パッとしないままです。
テストは、紛らわしいところを出題するのです。
紛らわしいところの使い分けが、情報伝達の手段としての言語を学ぶのに重要ですから。
当然、今回のパターンのようなところは、テストに頻出の箇所です。
仮定法過去完了の問題が3問出題されていたら、1問はこれでしょう。
2問出題されていても、1問はこれだと思います。
それくらい、よく出る問題です。
細かいところまでよく勉強しているかを試すことができる問題ですから。
テストに出ないほうがおかしいくらいです。

しかし、そうした出題傾向があることを認めない。
そうした人が英語が苦手な人に多いように思うのです。

・・・なぜ基本しか出ないと誤解しているのでしょうか。
細かい文法事項はテストに出ないと決めつけてしまうのは、なぜなのでしょう。
もう高校生なのに、テスト勉強をしているときの姿勢が、まだ小学生なのでしょうか。
小学校のカラーテストなら、確かにこんな些末なことは出題されません。
基本しか出題されないのです。

小学生の頃に戻りたい。
あの頃が一番楽しかった。
ちょっと勉強すれば、テストは80点くらいは取れた。
今は、勉強しても勉強しても、いい点が取れない・・・。

・・・そんな気持ちでいるのかなあと想像することがあります。

小学生の頃とは違い、高校生は脳が発達していますから、もっと複雑なことを理解し、覚えることができます。
だから、複雑なこと、些末がことがテストに出されます。
もう小学生ではない。
あの頃とは、脳が違うのです。
それなのに、自分に対する限界を低く設定していないでしょうか。
覚えることが多いと、こんなの無理だと諦めていませんか?
基本を覚えれば大丈夫と思い込み、簡単なところだけ覚えて、自分を安心させていないでしょうか。
まずいのは、おそらくそれを無意識でやっていることなのです。

以前も書きましたが、高校の英文法テキストに載っていることは、どんなに小さな字で書いてあることも、テストによく出ることばかりです。
あれは、英文法のエッセンスです。
本当は、もっともっと些末な文法事項が無限にあります。
一緒に渡された英文法の参考書はぶ厚いでしょう?
その中で大事なところだけを紙面の限られた中で選び抜き、載せているのが英文法のテキストです。

しかし、英語が苦手な人は、英文法のテキストの中でも、さらに大切なところと大切でないところを選んでしまう癖があります。
結果、基本中の基本だけを覚えて、あとは「テストに出るはずがない」と決めつけて捨ててしまいます。

願望と現実を混同してはいけない。
言語学習で重要なのは、些末なところです。
現実に存在する民族が、現実生活の中で使っている言語です。
細部まで重要。
細部を大切にするのが、外国語を敬意をもって学ぶ姿勢です。
当然、そこがテストに出ます。

繰り返します。
if 節が仮定法過去完了で、主節が仮定法過去である形式は、重要です。
テストにも、よく出ます。




  • 同じカテゴリー(英語)の記事画像
    英語の重要文を暗唱する学習法。
    誤読のメカニズム。主観で文章を読む子。
    質問しても、しなくても、大丈夫。
    共通テストで失敗したと感じたら。2024年1月。
    「覚える」ということが、何をどうすることか、わからない。
    英語長文読解。具体例から論理を推理する。
    同じカテゴリー(英語)の記事
     英語の重要文を暗唱する学習法。 (2024-04-18 12:08)
     誤読のメカニズム。主観で文章を読む子。 (2024-03-20 10:57)
     質問しても、しなくても、大丈夫。 (2024-02-25 14:59)
     共通テストで失敗したと感じたら。2024年1月。 (2024-01-16 14:24)
     「覚える」ということが、何をどうすることか、わからない。 (2023-11-24 12:15)
     英語長文読解。具体例から論理を推理する。 (2023-10-20 13:13)

    Posted by セギ at 11:21│Comments(0)英語
    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    高校英語。仮定法。if節と主節の時制が異なる場合。
      コメント(0)