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2020年04月29日

高校英語。関係代名詞。目的格の関係代名詞 whom。

高校英語。関係代名詞。目的格の関係代名詞 whom。

さて、関係代名詞。今回は目的格です。

前回説明したのは、主格の関係代名詞でした。

I have an aunt. She lives in New York.
この文を関係代名詞で1文にすると、
I have an aunt who lives in New York.

この関係代名詞 who は、2つ目の文の中で、主語の働きをしています。
こういう関係代名詞を主格の関係代名詞といいます。
2つ目の文、すなわち関係代名詞節の中でどんな働きをしているか、で分類します。
主節の中の何を修飾しているか、ということと混乱する人がいるので要注意です。

I will show you the pen which was given to me by my uncle.

この文もそうですね。
この関係代名詞 which は、2つ目の文の中で、主語の働きをしています。
繰り返しますが、1つ目の文、すなわち主節の中でどんな働きをしているかは関係ないのです。
主節の中で先行詞が主語だろうと補語だろうと目的語だろうとどうでもよいのです。
関係代名詞節の中で主語の働きをしている関係代名詞が主格。
関係代名詞節の中で目的語の働きをしている関係代名詞が目的格の関係代名詞です。

今回は、その、目的格の関係代名詞について説明します。

She is the girl. Tom invited her to the party.

この2文を1文にして、「彼女は、トムがパーティーに招待した女の子です」という文を作りたい場合。
1つ目の文の the girl と、2つ目の文の her が同一人物です。
関係代名詞に変化する単語 her は2つ目の文の先頭ではないので、文をつなげにくいです。
でも原則は主格のときと同じです。
修飾される名詞である先行詞がきたら、すぐに関係代名詞です。
だから、2つ目の文の her を、whom という関係代名詞にして、先行詞の直後に置きます。
その後、2つ目の文を主語から普通に続けていきます。
her はもう whom に形を変えて先頭にいったので、飛ばします。

She is the girl whom Tom invited to the party.

できました。


ところで、whom って何?

今までの関係代名詞は、疑問詞と同じ形をしていたのに、何か、whom って見慣れない・・・。
そういう感想を抱く人がいるかと思いますが、実は whom も疑問詞の1つで、書き言葉としては今も使われることがあります。
By whom was this book written ?
「この本は、誰によって書かれたのですか」
直訳がやや固くなりましたが、英語的にもやや固い表現です。
しかし、「誰によって?」という疑問が文頭から明確に伝わるという点で、論理的な文章としては有効です。
語句の関係が明瞭だということは、読みとりやすいということです。
who was this book written by ?
も正しい文ですが、最後の by を聞くまで、疑問の中身が何であるか不明瞭です。

勿論、こんなことを受動態で質問するからややこしいので、話し言葉ならば、
who wrote this book ?
と能動態で質問するでしょう。
けれど、もっと込み入った内容の論説文の場合、by whom 、 for whom 、with whom などは、有効な表現です。
そして、勿論、関係代名詞 whom も書き言葉として現役です。


ところが、ゆとり教育の時代に、中学の英語教科書から関係代名詞 whom が消えました。
新課程になった後も、復活していません。

理由は色々考えられますが、最も大きい理由は、目的格の関係代名詞は省略可能だということ。
She is the girl Tom invited to the party.
と、whom を省略することが可能なのです。
話し言葉では、むしろ省略される場合がほとんどです。
girl と Tom の間に少しポーズをとって区切れば、十分意味が伝わります。
アメリカの口語英語を基準としている中学英語教科書は、そういうわけで whom の存在を消してしまったようです。

日常で省略されることが多くなると、何が起こるか?
ネイティブでも、who と whom の使い分けができない人が増えてきています。
たまに使うときに、whom と言うべきところを誤って who と言ってしまうのです。
間違う人が多くなると、それも正しい表現として認められていくのが言語です。
現在では、目的格でも who を用いることが許容されています。
高校の「英語表現」の教科書では、目的格の関係代名詞は、whom の他に who が明記されています。


こうした情報をどう読み取るか?
「じゃあ、何でも who でいいんだ!who しか覚えない」
と決めてかかって良いのでしょうか?
いいえ。
whom も身につけておいたほうが良いでしょう。
なぜなら、書き言葉として、whom は現役の関係代名詞だからです。
また、「前置詞+関係代名詞」という内容をこの先に学習しますが、それはさすがに who での代用を認められていません。
前置詞の後ろに主格の who をもってくる感覚は、ネイティブにはないのです。
ですから、結局、whom は学習しなければならない関係代名詞です。
どうせ学習しなければならないのなら、基本の用法から正確に身につけておくに越したことはありません。
現実問題として、何でも who でいいと覚えていたのに、高校の英語表現のテストの四択問題で、選択肢に who がない、ということはあり得ることです。

「どちらでもいいのなら、片方しか覚えない」という学習姿勢は、英語には不向きです。
覚えていないもう片方を相手が使う可能性があるからです。

関係代名詞に限らず話を広ければ、英語は同じ表現の繰り返しを嫌いますから、1つの文章の中で同じことを常に言い換えていきます。
1つの表現しか覚えないという姿勢では、英文を読めないのです。
英語長文を読んでいて、
「何でいちいち言い換えるの?だから途中で意味がわからなくなるんだよ」
と愚痴を言う子もいますが、1つのことを1通りの表現でしか表せない言語は、文化的に痩せた言語です。
類義語・類語表現の多さは、言語的な豊かさの証です。
自分1人の学びやすさのために英語が存在するわけではない。
つくづくとそれを悟るのも、外国語を学ぶ意味の1つであるように思います。


さて、whom の基本的な用法に話を戻しましょう。
The boy could speak Japanese a little. I met him in the park.
この2文を「私が公園で会った少年は、少し日本語を話すことができた」という文にするには、どうすればよいでしょう。

2つの文で同一人物なのは、The boy と him です。
これが先行詞と関係代名詞になります。
先行詞と関係代名詞になる語との距離がさらに開きました。
これも、先行詞がきたら関係代名詞、という基本ルールでつなげば大丈夫です。
したがって、主節は途中で分断されます。

The boy whom I met in the park could speak Japanese a little.

The boy という先行詞がきたら、すぐに whom。
その後、2つ目の文、すなわち関係代名詞節を先頭から書いていきます。
ここで変な倒置を考える人がいるのですが、必要ありません。
主語から普通に述べていき、ただし、whom に変わった him は省略し、さらにその後ろを普通に述べていきます。
関係代名詞節が全部終わったら、主節に戻り、これも普通に順番通りに述べていきます。
ルールは極めてシンプルです。
勿論、この whom も目的格ですから省略可能です。


上のように2つの英文が与えられて、関係代名詞を使って1文にしなさい、という問題なら正答できる人が、日本文を英文に直す問題では難渋することがあります。
「私が公園で会った少年は、少し日本語を話すことができた」
この日本語を英語に直す問題のとき。
多くの場合、まず、
I met a boy in the park
と書いてしまい、その後に何も続けられなくなってしまうのです。

前回の主格の関係代名詞のときも書きましたが、日本語を英語に直すときは、日本語の主語・述語を把握しましょう。
「私が公園で会った少年は、少し日本語を話すことができた」
この文の主語と述語は何でしょうか?
国語の文法の学習でも主語と述語を見つけることが苦手な人がいますが、そういう人は、まず主語を探してしまうようです。
しかも、主語は必ず文頭にあるという間違った思い込みをしています。

日本語で主語と述語を探すときは、まず述語を探します。
倒置法などの特殊な場合を除き、述語は、文末にあります。
一方、主語は、文頭にあるとは限らないのです。
上の文の述語は、1文節で正確に答えるなら「できた」ですが、今は英文を作るための主・述の確認なので、意味がとれるよう「話すことができた」とざっくり把握しましょう。
話すことができたのは誰なのか?
その「誰」にあたるのが、この文の主語です。
話すことができたのは、「私」ではなく、「少年」です。
英語は、主語から書き出します。
だから、英文の書き出しは、The boy です。
The boy
どんな少年なのか?
私が公園で会った少年。
この修飾関係が見えたら、もう大丈夫。
名詞を修飾する2語以上の語句は、名詞の直後に置かれます。
修飾語句の中にも主語と述語が存在するのが感じ取れますから、これは関係代名詞節で修飾するのだと予想が立ちます。
The boy I met in the park
そのように分析すると、ここまで英文を作ることができます。
これで、文の主語とその修飾語句が作れました。
で、そのボーイがどうしたのか?
「少し日本語を話した」
なるほど、では、その部分を作ってみましょう。
The boy I met in the park could speak Japanese a little.
で、問題を読み直し、「関係代名詞を用いて」と、もし書いてあれば、これは先行詞が人間で目的格の関係代名詞 whom だなと判断し、
The boy whom I met in the park could speak Japanese a little.
これで正解です。
ヽ(^。^)ノ

そんな手間はかけられない、と言う子もいます。
しかし、最初はこうやってしっかり分析して書くようにすると、そのうち、パッと読んだときに日本語の構造が見えてくるようになります。
そうなれば、こんな手順を踏まなくても、スラスラと正しい英文を書けるようになります。
日本語の構造を正しく把握できるようにもなります。
良いことづくめです。







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