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2020年01月22日

高校数Ⅱ「式と証明」。複素数。2次方程式の解の正負。

高校数Ⅱ「式と証明」。複素数。2次方程式の解の正負。


今回も「複素数」。
まずは、複素数の範囲での因数分解です。

問題 x4+3x2-40 を次の範囲で因数分解せよ。
(1)有理数 (2)実数 (3)複素数

こうした問題でネックとなるのは、数学用語の理解です。
「有理数」「実数」「複素数」の定義を覚えていないと、問題が要求していることがよくわかりません。
言葉の定義がわからない場合は、下の記事に戻って、ご確認ください。
https://seghi.tamaliver.jp/e469030.html

(1)有理数
「有理数」の範囲での因数分解というのは、今まで通りの因数分解ということです。
x4+3x2-40
=(x2+8)(x2-5)
これ以上はどうにもならない。
これが有理数の範囲での因数分解です。

(2)実数
実数は、有理数の外側に無理数を含んだ集合です。
平たく言えば、√ が出てきても良いのです。
ならば、( )の中はまだ分解できますね。
a2-b2=(a+b)(a-b) の公式を使えば後ろのほうの( )をさらに分解できます。

(x2+8)(x2-5)
=(x2+8)(x+√5)(x-√5)

(3)複素数
複素数の範囲での因数分解ならば、前のほうの( )も分解できます。
まずは、x2+8=0 を解いてみましょう。
x2=-8
x=±√-8
x=±2√2 i
この解から逆に2次方程式を復元するなら、
(x-2√2 i)(x+2√2 i)=0 
となります。
これが、最初の x2+8=0 と等しいのですから、
x2+8=(x-2√2 i)(x+2√2 i)
と分解できます。
公式 a2-b2=(a+b)(a-b) を利用しても同じです。
x2+8
=x2-(-8)
=x2-(2√2 i)2
=(x+2√2 i)(x-2√2 i)

よって、(3)の答えは、
(x+2√2 i)(x-2√2 i)(x+√5)(x-√5)
となります。

( )内が全てxの1次式に因数分解できました。
あとは、ここまでやる必要があるのかどうかということ。
やりたいならば、ここまでできるということなのです。


問題 2次方程式x2+2(a+2)x-a=0 が-3と2の間に異なる2つの解をもつような定数aの範囲を定めよ。

2次方程式の解の正負に関する問題です。
数Ⅰ範囲でのこの典型題については、以下に解説してありますので、ご覧ください。

http://seghi.tamaliver.jp/e446027.html

以下は、上のページをご参照いただいた、あるいは、その典型題なら理解していることを前提に解説が進みます。

f(x)=x2+2(a+2)x-a とおきます。
これは下に凸に放物線のグラフとなります。
それが、-3と2の間で2か所、x軸と交われば良いのです。
まずは、その通りのグラフを描いて考えます。
このようなグラフにするためには、ともかく、x軸と2点で交わらなければならないので、判別式を用いましょう。
判別式D>0 ならば、x軸と2点で交わります。

ここのところで、「え?」となってしまう人もいると思います。
「D>0ならば、放物線は、x軸の上に浮いて、交わらないんじゃないの?」
と言う子は多いです。
感覚的にわからないでもない誤解ですが、判別式は、そういうものではないです。
判別式は、放物線のグラフの概形とそのように短絡的につながるものではありません。

判別式は、2次方程式の解の公式の√ 部分の中身です。
√ 部分の中身が0ならば、2次方程式の解は、1つ、すなわち重解となります。
2次関数のグラフで言えば、x軸と接している状態です。
√ 部分の中身が正の数ならば、2次方程式の解は、2つの実数解となります。
2次関数のグラフで言えば、x軸と2点で交わっています。
√ 部分の中身が負の数ならば、2次方程式の解は、2つの虚数解となります。
グラフで言えば、x軸とは共有点がない、平たく言えば、下に凸のグラフならばX軸より上に浮いています。
それを判別するのが判別式でした。

グラフがx軸より上に浮いているからD>0ではないのです。
異なる2つの解をもつ、すなわちx軸と2か所で交わるから、D>0なのです。

[1]判別式D>0より
D/4=(a+2)2+a>0
a2+4a+4+a>0
a2+5a+4>0
(a+1)(a+4)>0
a<-4,-1<a ・・・①

この計算過程でも、「何をどうやっているのか、わからない」と混乱する高校生はいます。
2次不等式の解き方を忘れてしまっているのです。
わからない場合は、下のページを見てください。
http://seghi.tamaliver.jp/e445206.html

数Ⅱを高校生に教えていて困るのは、数Ⅰで学習したことをほとんど忘れている場合があること。
数Ⅰの内容が身についていないと、数Ⅱを学習していくのには多くの困難があります。
数Ⅱで新しく学ぶ内容がわからないわけではないのです。
数Ⅰで学習済みの内容がわからないのです。
数Ⅱで突然つまずくわけではないのです。
数Ⅰが身についていないから、その上にはもう何も積み上がらないだけなのです。

「でも、何を復習したら良いのかわからない」
という反応がありがちです。
復習して無駄な箇所などありませんので、自分で曖昧になっていると感じるところをどこからでも復習しましょう。
今回は、2次不等式の計算が必要なのに、そこが曖昧だと気づいたら、そこを復習してください。
春休みなどの時間があるときにまとまった復習をしたいのならば、特に「2次関数」と「三角比」は、今後もずっとネックとなり続けるので、最優先の復習課題です。
応用問題はわからなくても何とかなるので、基本の定理や計算方法とのその意味はわかるようにしておくと、数Ⅱの学習が随分楽になります。

さて、問題に戻りましょう。
x軸との交点が2つあることから、とにかく、[1]の条件を考えました。
他にどんな条件を満たせば、解は、-3と2との間に2つあるのでしょうか。
1つには、放物線の軸が、-3と2との間にあると良いですね。
y=ax2+bx+cの軸の方程式は、x=-b/2a でした。
それを用います。
(ここのところを唐突に感じたら、数Ⅰ「2次関数」の軸の方程式のところを復習してください)

[2]軸の方程式より
-3<-2(a+2)/2<2
-3<-a-2<2
-1<-a<4
1>a>-4
-4<a<1 ・・・②

しかし、この条件だけでは、放物線は横にだらんと広がり、-3と2の間にx軸との交点が2つあることにならないかもしれません。
ここで、あと2つの条件に気づきます。
f(-3)>0 と、f(2)>0 です。
x=-3のときのyの値が0より大きいならば、その右側で、放物線x軸と交わっているてしょう。
x=2のときのyの値が0より大きいならば、その左側で、放物線はx軸と交わっています。

[3] f(-3)>0, f(2)>0 より
f(-3)=(-3)2+2(a+2)(-3)-a>0
9-6(a+2)-a>0
9-6a-12-a>0
-7a-3>0
-7a>3
a<-3/7 ・・・③

f(2)=22+2(a+2)×2-a>0
4+4(a+2)-a>0
4+4a+8-a>0
3a+12>0
3a>-12
a>-4 ・・・④

これでグラフはイメージ通りの形になりますね。
よって、①~④より、
-1<a<-3/7となります。


2次方程式の解の正負に関する問題は、数Ⅰのときも数Ⅱのときも、テストに出て当然の典型題なのですが、難しいせいか、出ないことを祈る、祈っているから出ないだろうという訳のわからない神頼みで避けて通る人がいます。
意味を理解しながら、自力で解けるように練習を重ねてください。




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