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2017年10月18日

2次関数の解の正負に関する問題。

2次関数の解の正負に関する問題。

高校数Ⅰの「2次関数」のラストを飾るにふさわしい応用問題と言えば、これ。
2次関数の解の正負に関する問題です。

問題 2次方程式 x2-2ax+a+2=0 が2つの正の解をもつとき、aの値の範囲を求めよ。

発展的な問題とはいえ典型題ですので、解法パターンをしっかり把握しておきたいものです。
それには、なぜそれで解けるのか、一度しっかり理解することが大切です。
まず、f(x)=x2-2ax+a+2 という2次関数を考えます。
このグラフは下に凸の放物線です。
それが、x軸の正の部分と2点で交われば、上の2次方程式は2つの異なる正の解をもちます。
そのような放物線を座標平面上に描いてイメージします。
このとき、x軸・y軸との位置関係が重要なので、それらもしっかりと描いておくことが必要です。
きちんと描いた上で、放物線がこのような位置にくる条件を考えていきます。
x軸と2点で交わることから真っ先に思い浮かぶのは判別式でしょう。
判別式が0より大きいならば、x軸と2点で交わるのでした。

ここで「え?」となってしまう場合、判別式のところに戻って復習したほうが良いと思います。
応用問題を解く中で、以前に学習した基本が身についていないことに気づくことはよくあることですが、そこに戻って復習することを嫌う子は多いです。
「まあ、いいから、そういうことなんだとしよう」
と目先の応用問題ばかり気にかけ、解き方だけ暗記しようとします。
しかし、判別式とx軸との共有点の関係がピンとこなくなっているのなら、この応用問題は形が少し変わればもう解けないと思います。
ならば、前に戻って復習し、せめて判別式に関する基本問題で得点することを目指すほうが現実的です。

[1]判別式D/4>0より
a2-(a+2)>0
a2-a-2>0
(a+1)(a-2)>0
a<-1,2<a ・・・①

しかし、これだけでは、放物線はx軸の正の位置でも負の位置でもどこでも、とにかく2点で交わることしか決定しません。
では次に、放物線の軸の位置を決定してはどうでしょうか。
軸が正の位置にあるなら、それより右側の共有点は、正の位置に確定するでしょう。

[2]軸の方程式より
x=2a/2>0
a>0 ・・・②

ここで、
「え?今、何をやったの?何かの公式?」
とうろたえる生徒も多数出ます。
軸の方程式という言葉の意味さえわからないということもあり得ます。

2次関数の学習が始まった最初のほうで、2次関数の頂点の座標を求める練習をしています。
平方完成ですね。
一般式でいうなら、
y=ax2+bx+c
 =a(x2+b/ax)+c
 =a(x+b/2a)2-a(b/2a)2+c

本当はもっと整理するのですが、今はx座標だけ見れば良いので、ここまでとします。
頂点のx座標は、-b/2a です。
したがって、この放物線は、x=-b/2a という直線を軸として線対称です。
この直線の式を「軸の方程式」と呼ぶのでした。

「ちょっと何言ってるのかわからない」
という感想の場合、ここらへんが曖昧になっていると思いますので、復習したほうがいいのです。
「2次関数」は大きい単元なので、テスト範囲が1学期末と2学期中間に分かれることがあります。
そうなると、2学期中間テストの勉強をしていて、既に1学期末テスト範囲だったところがわからなくなっている子もいます。
しかも、「テスト範囲ではないから」と言って、前半の振り返りをしないのです。
基本がわからなくなっているのに、応用問題の解き方だけは丸暗記して済ませたい。
こういう無理をする子がいます。
でも、できるわけないですよね。
( ;∀;)
[3] f(0)>0より
f(0)=a+2>0
a>-2 ・・・③

さて、これは軸の左側の共有点のことを考えています。
軸がx軸の正の位置にあっても、左側の共有点は負の位置に来る可能性はありますね。
それを阻止するには、どうするか。
放物線が、y軸と正の位置で交われば良いのです。
そうすれば、必ずその右側でx軸と交わっています。

以上で、放物線は確かにx軸の正の部分で2つの共有点を持つように固定できました。

①、②、③より a>2
最後は、数直線上に3つの条件を整理して、3つとも満たすところだけを範囲とします。
ここで、見誤って、2つしか満たしていないところを答えとしてしまう人も多いです。
連立2次不等式を解く際にも同じ作業をするのですが、そこでも数直線を上手く読み取れない人がいます。
そこが弱点だなと感じたら、自力で正答できる自信が持てるまで重点的に練習してください。


さて、もう1つのパターンを見てみましょう。

問題 2次方程式 x2-ax+a=0 が異符号の解をもつときのaの範囲を求めよ。

これも3つの条件なのかな?
と考えてしまいがちですが、実はこれ、ただ1つの条件を満たせば良いのです。
f(x)=x2-ax+a という2次関数のグラフは下に凸の放物線です。
これがx軸と正の位置と負の位置の2か所で交わるのなら、f(0)<0 です。
これだけを満たせば、大丈夫です。
「うそだー」
と思う場合、y軸と負の位置で交わるのに、x軸の交点は正と負の2か所ではない放物線を描いてみましょう。
描けませんよね?
f(0)<0 だけが条件であることがそれで実感できると思います。

すなわち、f(0)=a<0
よって、a<0 が答えとなります。

「2次関数」は、繰り返し問題を解いて慣れてしまえば、高校数学の中でも特にわかりやすい得点源です。
(*^^)v




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