たまりば

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2019年07月14日

高校英語。不定詞その4。原形不定詞。

高校英語。不定詞その4。原形不定詞。

不定詞の学習。
今回はこんな問題から。

問題 (  )内の正しいものを選べ。
(1) I heard you (1.play 2.to play 3.played) that song on the flute.
(2) I saw her (1.to try 2.trying 3.tried) to remove a stain from the carpet.
(3) I had him (1.translate 2.to translate 3.translating 4.translated) the letter.
(4) He was made (1.do 2.to do 3.doing 4.done) it against his will.
(5) He had his salary (1.raise 2.to raise 3.raising 4.raised) last month.

この問題をざっと眺めて、「全て知覚動詞と使役動詞の文だ」とわかる人は、勉強している人です。
そのことに気づくことができず、この問題がどういう問題なのかを把握できないまま勘で解いてしまうと、もうグチャグチャになってしまうのがこのあたりのところです。
あるとき、生徒に、
「この文の動詞は知覚動詞ですよね?」
と問いかけたら、ポカンとしていたので、「知覚動詞」と板書すると、
「ああ!」
と声を上げたことがあります。
「違うチカクをイメージしていました」
と言うのです。
その子は、「地殻動詞」だと思ったらしく、どういうことだろうと悩んでしまったらしいのです。

その子はそのとき高3で、知覚動詞を初めて習ったわけでもなかったのですが、「チカクドウシ」と言われても正しく漢字変換できないほど、この動詞のことが意識にありませんでした。
それでは、この問題がどういう文法問題であるかを把握するのは難しいと思います。

文法用語は、別に覚えなくても大丈夫なものも多いですが、覚えておけば容易にカテゴライズできるのでむしろ楽なものも多いのです。
知覚動詞と使役動詞は、その中でも、覚えておくととても楽になる知識です。
そのグループはこう対処すれば良い、というしっかりとしたルールがあります。

知覚動詞は、一般動詞の中で、五感を使った動詞を指します。
see , hear , feel , notice , taste , smell などがそうです。
これらを動詞として使った文の中で、SVCは特に問題ないと思います。
You look happy.
楽しそうだね。
など、中学2年で学習する内容です。

(1)は、SVOCで、Vが知覚動詞の文です。
このとき、Cには原形不定詞を用いるというルールがあります。
例えば、
I heard someone shout in the distance.
私は、誰かが遠くで叫ぶのを聞いた。
この shout がC(補語)で、原形不定詞です。

原形不定詞は、動詞の原形と同じ形をしています。
to 不定詞の to のないものです。
じゃあ、それは動詞なんじゃないの?
そのような疑問を抱かれることもあるかと思いますが、動詞はC(補語)にはなりません。
その文の中でV(述語動詞)の働きをしているものを動詞と呼びます。
一方、Cになるのは、形容詞か名詞、またはその働きをする語句です。
だから、この文の shout はVでないのです。
Vでないものは、動詞ではありません。
そのような文法的な分析から、このshout は原形不定詞とされます。

こういうことを「意味がわからない。どうでもいい」と思うか「面白い。うふふ」と思うかが、文法好きかどうかの違いかもしれません。
興味がなかったら、「原形不定詞というのは、要するに動詞の原形のことだな」と思っても、別に構いません。
要は正しく使えるかどうかです。
この観点から、上の問題の(1)を見てみましょう。

(1) I heard you (1.play 2.to play 3.played) that song on the flute.

知覚動詞を用いた、SVOCの文です。
正解は、原形不定詞の 1.play です。

ところで、この問題、4択ではなく3択問題になっています。
なぜか、playing という選択肢が外されている。
どうしてでしょう?

実は、playing でも、正解となってしまうので、あえて除外してあるのです。
I heard you play that song on the flute.
I heard you playing that song on the flute.
このどちらも正しい英語です。
上の文は、「私はあなたがあの曲をフルートで演奏するのを聞いた」という意味。
下の文は、「私はあなたがあの曲をフルートで演奏しているのを聞いた」という意味。
え?どう違うの?

Cに原形不定詞を用いた場合は、動作の一部始終を知覚したことを表します。
上の文では、あなたがあの曲を演奏し始めてから演奏し終わるまで、一曲全部聞いたことを表します。
Cに現在分詞を用いた場合は、一瞬だけ知覚したことを表します。
上の文では、通りかかったときに、あなたがあの曲を演奏しているのをちょっと聞いたことを表します。

この知識があると、(2)の問題も簡単ですね。

(2) I saw her (1.to try 2.trying 3.tried) to remove a stain from the carpet.

正解は、現在分詞の 2.trying です。
I saw her trying to remove a stain from the carpet.
私は、彼女がカーペットの染みを取ろうとしているのを見た。

こういう文を見たときに、
「あれ?trying to~という言い方はないんじゃないの?」
という謎ルールを持ち出し、そんなルールはないですよと説明しても納得しない高校生もいます。
try という動詞は、to 不定詞と動名詞の両方をとりますが、意味が異なります。
try+to 不定詞は、「~しようとする」。
try+動名詞は、「試しに~してみる」。
不定詞と動名詞の使い分けのところでも説明しました。
その知識と混線して、「trying to~という言い方はない」という謎ルールになってしまうようです。
try という単語自体は、文の中の働きによって、to try にも trying にもなります。
to try to~もあれば、trying to~もあります。
to try~ing もあれば、trying ~ing もあります。
try の後ろがどうなるかで意味が変わるという文法事項なのですが、その前後関係を混線してしまう様子です。
「とうもろこし」が「トウモコロシ」になってしまう音韻転変と似たようなことが、その子の頭の中で起きているのだろうと想像されます。

英語初学者が自らの頭の中で作りだす「謎ルール」は他にも色々あります。
~ing は連続して使ってはいけないとか。
to は1つの文の中で2回使ってはいけないとか。
そんなルールはありません。
中2で不定詞を学習した最初の頃、「to+動詞の原形」ということがどうしても理解できず、「動詞+to」 を不定詞と思いこんでしまう子もいます。
want to~、like to~、という覚え方も良くないのでしょうが、それだけでもないようです。
副詞的用法や形容詞的用法になっても、語順の混乱がなくなりません。
中1の頃によく見るgo to school などの動詞と to との位置関係から脱却できず、to は動詞の後ろにくるものという思い込みが強くて、不定詞を含む乱文整序問題ではほとんど正答できない子もいます。
文法が嫌いなわりに「謎ルール」を自ら作り出す子は多いです。
人はルールを見出さずにいられないのかもしれません。
ならば、正しいルールを見出したいですね。


(3) I had him (1.translate 2.to translate 3.translating 4.translated) the letter.

この文の動詞 have は使役動詞です。
使役動詞は3つしかないので、それを覚えるだけです。
make は、主語が、目下の人を使役して「~させる」という意味です。
have は、主語が、対等または目上の人に「~してもらう」という意味です。
let は、主語が、目下の人がやりたがっていることを「~させてやる。~することを許す」という意味です。
使い分けも明瞭ですね。

使役動詞もSVOCの文のVになり、このときのCは原形不定詞となります。
したがって、(3)の答えは、1.translate です。
文の意味は、「私は彼にその手紙を翻訳してもらった」となります。
使役動詞は、Cに現在分詞をとることはありません。


(4) He was made (1.do 2.to do 3.doing 4.done) it against his will.

あ、これも使役動詞だ。
じゃあ、答えは原形不定詞かな?
ところが、そうではないのです。
上の文は、よく見ると受動態の文ですね。
使役動詞 make は、上のように受動態を作ることができる動詞です。
他の使役動詞には、このような受動態はありません。
そして、使役動詞 make の受動態は、能動態で原形不定詞だったところがto 不定詞になるというルールがあります。
したがって、正解は、2.to do です。
He was made to do it against his will.
「彼は、意志に反してそれをやらされた」という意味になります。

使役動詞 make の他に、知覚動詞もこのような受動態を作ることができます。
The man was seen to go into the house.
「その男は、その家に入るのを見られた」という意味です。

受動態のときは to 不定詞。
例によって、些末な文法事項として無視する人が多いですが、テストに出やすいのはこういうところです。
見るからにテストに出そう。
テストに出るとわかりきっている。
そういうところを無視せず、丁寧に学習しましょう。

make の受動態の作り方はわかったけれど、他の使役動詞はどうやって受動態を作ったら良いのでしょうか?
let の場合は、そのままでは受動態は作れませんので、同じ意味の別の動詞に変えます。
使役動詞ではないけれど、意味は使役動詞に近い動詞があるのです。
let に意味が近いのは、allow 。
それを利用します。
例えば、let を用いた能動態の文は、
My mother let me go abroad.
allow を用いると、
My mother allowed me to go abroad.
使役動詞ではないので、SVOCのCは to 不定詞をとります。
これを受動態にすると、
I was allowed to go abroad by my mother.

使役動詞 have の場合はどうしましょうか?
ここで(3)の文を振り返ってみましょう。
(3) I had him translate the letter.

この文の本来のOである him を主語に変えた受動態の文を作ることはできません。
日本語でも、そのような意味あいの受け身の文を作ることはできないですね。
「彼は私のためにその手紙を翻訳してくれた」
それは、能動態の文です。
しかし、Oを the letter に変えた文なら、作ることができます。
I had the letter translated by him.
私は彼にその手紙を翻訳してもらった。
これも使役動詞 have を用いたSVOCの文ですが、Cは原形不定詞ではなく、過去分詞となります。
OとCの関係から、Cが過去分詞になる例は、他の動詞でもありますね。
we found the road blocked by heavy snow.
[道路は大雪でふさがれていた」
知覚動詞でも、この構造の文は作れます。
She heard her name called from behind.
「彼女は背後から自分の名前が呼ばれるのを聞いた」
OがCされる関係のときは、Cは過去分詞を用います。
これが、(5)の問題です。

(5) He had his salary (1.raise 2.to raise 3.raising 4.raised) last month.

答えは、4.raised です。
給料は上げられるものだからです。
「彼は、先月給料を上げてもらった」という意味です。

このhave は、「受け身・被害のhave」と呼ばれるもので、意味内容によって、主語にとって良い意味のこともあれば被害のこともあります。
I had my bag stolen.
という文のときに「私はカバンを盗んでもらった」とは訳しません。
これは被害だから「私はカバンを盗まれた」と訳します。
しかし、(5)の文を「彼は給料を上げられた」とは訳しません。
給料を上げられたことが不満であるかのようなニュアンスになってしまうからです。
けれどそれは日本語の都合で、英語としては、OとCとの関係からCが過去分詞になっているだけです。

さて、ここまでのところをまとめると。
知覚動詞のSVOCの文のCは、原形不定詞・現在分詞・過去分詞のどれかになる。
OとCとの関係から選択する。
ただし、受動態の文の場合は、to 不定詞・現在分詞のどちらかになる。

使役動詞のSVOCの文のCは、make , let の場合は原形不定詞。
ただし、make の文の受動態は to 不定詞になる。
have の場合は、原形不定詞・過去分詞のどちらかになる。
OとCとの関係から選択する。

多少複雑ですが、テストに非常に出やすいところですので、しっかり身につけておくと得点源になります。
範囲は無限と感じられる熟語問題よりは、分析可能なこうした問題のほうがはるかに易しいです。
センター試験にも、英検にも、TOEICにも、必ず出題されています。




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