たまりば

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2018年01月26日

英語のライティングは英語で発想しましょう。

英語のライティングは英語で発想しましょう。

英語の4分野の能力、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング。
英検2級の出題内容が2016年度から変わっています。
従来の大問3の乱文整序問題がなくなり、代わって英作文が出題されるようになりました。
与えられたテーマに沿って、80語から100語の英文を書きます。
2016年度第1回日曜日実施問題のテーマは、オフィス・カジュアルについて。
第2回日曜日実施問題のテーマは、化学物質を使わない農業について。

何だか難しそうですが、実際の試験はもっと親切で、色々説明してくれています。
例えば、第1回の問題では、
「今日、従業員にジーパンやTシャツのようなカジュアルな服装を許可する会社もあります。
そうした会社の数は将来増えると思いますか」
これならイエスかノーかですから、意見が書きやすいですね。
試験問題は、そう思う理由を2つ書きなさいとも指示されています。
しかも、参考となるポイントも3つあげられてまいす。
ビジネス・カルチャー
快適さ
ファッション
このポイントは使っても使わなくても構いません。

「英作文が苦手」と言う人は多く、あまりにも苦手なので2015年のうちに無理をして英検2級を取った生徒もいました。
大学に内部進学するのに、英検2級取得が必須なためです。
中学3年で英検2級を取得するほうが余程大変なんですが、「英作文が出題される」というのはそれほどショックだったのかもしれません。

しかし、「英作文が苦手」と言う人が、本当にそんなに英作文が苦手なのかというと、どうもそうではない場合も多いように思います。
学年相応に書く能力があるのに、英作文が苦手だと言う人もいるのです。
自分の読む英語と比べて自分の書く英語が幼稚で見劣りがするため苦手意識にとらわれているのでしょうか。

リーディング能力と比べてライティング能力が劣るのは普通のことです。
母国語に関してもそうです。
難解な論文も一応は読み通せるが、書く文章はそれより何段階も劣ったものになるのは仕方ないです。
名文を書こうとしても仕方ない。
わかりやすい文を書けば良いのです。
そういうことを理解していることが客観性ということだよ、と思うのです。

しかし、中学生や高校生はまだなかなか自分の能力について客観性を持てません。
満点でなければならないという固定観念にとらわれている子もいます。
だから、何を書いても△がついて返ってくるテスト答案にショックを受けてしまうのでしょう。
そして苦手意識を持ってしまう。
そういう場合があります。
英作文で満点を取ることを目標として委縮し、結局何も書けないのはつまらないことです。
英作文問題は、満点でなくても構わないんです。
まず、そこから意識を変えられるといいなあと思います。

英作文の何が△になってしまうのかというと、大きくは「文法上の誤りやスペルミス」と「内容」に別れます。
文法上の誤りやスペルミスが多いほど減点されるのは当然で、それは英語力の問題ですから改善したいです。
中学生や高校生に特に多いのは冠詞の欠落。
可算名詞は単数形でむき出して使うことはありません。
必ず冠詞か所有格か指示形容詞がつきます。
平たく言えば、aやtheやmyやthisなどがつくか、そうでなければ複数形で使用します。
これは単純な「和文英訳」問題でもミスの多いところです。

もう少し根深いミスもあります。
中学生や、英語があまり得意ではない高校生は、英作文の宿題を解くときに、辞書を引いて英文を書いてくることがあります。
しかし、品詞に対する意識が希薄なので形容詞や副詞を名詞のように主語として使っていたり、接続詞を使わず文と文をつないでいたり、主語がなかったりします。
何が書いてあるのか全くわからない奇妙な語順の英文を書いてきます。
「これ、日本語から英語にしたでしょう?しかも、辞書を引きましたね?」
と指摘すると、本人は努力してそうしたので、そこを非難されるとびっくりしてしまう様子です。
品詞によって単語を使い分ける文法知識がないと、辞書を引いても正しい英作文はできません。
日本語の語順・表現のまま英語に直しても、意味は通じません。
英文として読み解くことが困難な、暗号のようになってしまい、
「これ、何が言いたかったの?日本語で説明してくれる?」
と私は質問せざるを得ないのですが、そう質問されると生徒はぶ然とし、なかなか答えてくれなかったりします。
嫌味で言ってるわけじゃない。
本当に意味がわからないから訊いているんだよー。
( ;∀;)

例えば「環境問題」を語るのに、「環境問題」を英語で何と言うか、ど忘れした。
そういうことなら辞書を引いて解決したら良いのですが、日本語の言い回しを辞書を引いて繋げただけの作文は、異形のものです。
読むほうもつらい。
本人の努力のわりに報われません。
そうしたことを繰り返したあげくの挫折感から英作文が嫌いになってしまうのは、勿体ないし、哀しいです。
もっと平易な、自分が自力で書くことのできる範囲の英語で十分なのです。
そこから少しずつ書く能力を高めていったら良いのですから。
お手本となるのは、中学の英語の教科書です。
あんなに語彙が少なく、文法も易しいのに、環境問題も、戦争の災禍も、異文化コミュニケーションも、もう何でも説明しています。
あの英文が書けたら、英検2級の英作文は満点でしょう。
目指すところはあそこです。
そんなに難しい単語は必要ないのです。
中学2年・3年の英語の教科書は、だから捨てないで取っておいたほうがいいです。
勿論、高校の教科書も。

子どもは、親に「部屋を片付けなさい」と命じられると、真っ先に勉強関係のものを捨てる傾向がありますが、教科書だけはとっておいたほうが良いのです。
なかには毎年春になると昨年度の教科書・教材を全部捨てる暴挙に出る子どももいますが、受験が終わるまで、教材は捨てるものではありません。
都立入試のための社会科の勉強をしたいのに、地理の教科書や資料集・地図帳を捨ててしまって持っていない生徒、たまにいます。
理科の復習をしたいのに、中1・中2の理科の教科書や参考書を捨ててしまって、どう復習していいのかわからなくなってしまう子もいます。
慌てて受験用のものを買い直すのですが、ざっくりとしか説明していないので、細かいところが何だかよくわからず、モヤモヤとした受験勉強をしている子は多いです。
わからないところを振り返りたくても、振り返る教材がないのです。
中学入学の際に、小学生の頃の教科書や教材を捨てるのは、わかります。
高校入学の際に、中学英語の教科書以外を捨てるのもわかります。
でも、その途中で教材を捨てるのは、後で困るだけです。
大学入学の際も、英語の文法参考書・単語集は取っておきましょう。
大学に入っても、英語はありますから。
他にも、進む学部学科によって、少し取っておいたほうがよい教材はあると思います。
子どもに任せておくと本当に何でも捨てますから、部屋の大掃除も助言は必要です。

話がそれました。
英作文について。

英作文への誤った思いこみや姿勢が直り、自力で英文を書くようになった子にも、さらなる困難はあります。
これは国語の作文でも言えることです。
そもそも、書くことがない。
意見がない。
何も思い浮かばない。
そういう子も多いです。
これが「内容」に関する課題です。

そうした子のためにも英検2級の出題形式は有難いです。
イエスかノーなら誰でも判断できますし、そう判断した理由も何かあるでしょう。
そして、もし作文の課題がそういう形式ではなかったら、自分でそういう形式に直したらいい。
これは、入試の小論文対策などでも、よく言われることです。
漠然とした課題をイエスかノーかで答えられる問題にする。
その内容について、イエスかノーかを明示する。
その理由を述べる。
それで十分合格点の作文を書くことができます。

英検2級の英作文課題は、従来からある英検準1級の問題の指定語数が少ないだけです。
もっと練習したいのに、まだ出題形式が変更されて2年なので、過去問の数が少ないなあと嘆く人は、英検準1級の過去問を買って、指定語数だけ変えて解いて、模範解答を参考にすると良いと思います。
2級に合格したら次は準1級ですから、無駄になる買い物ではないですし。
さらにもっと本気で対策したい人は、NHKのラジオ講座「ビジネス英語」はこうした話題を常に扱っていますから勉強になると思います。
新しいものの考え方を、それをどう英語で表現するかも含めて書いてあるので、テキストを読むだけでも面白いです。


今はパターンが変わりましたが、以前、子ども向けの英会話教室のラジオCMで、子どもが自分の作った3行の英文を発表する形式のものがよく流れていました。
将来の夢を語るものが大半でした。
例えば、
「私は、将来ツアーコンダクターになりたいです。
世界中を見てまわりたいです
いつか、あなたは私の案内で外国を旅行するかもしれませんよ」
そんな内容のものか幾通りも放送されていました。

この3行の英作文、何通りもパターンがあったのにほとんど同じ構造なのが気になりました。
3つ目の英文の変に気の利いた言い回しが、何種類か聞くとむしろテンプレート丸出しでした。
ひな型に押し込めるだけの幼児英語教育であることを宣伝しているようで、逆効果じゃないのかなあ。
聞く度にそう感じていました。

ただ、ひな型が必要な子が多いのも事実です。
英検2級の英作文も、この2年でたちまち対策がシステム化し、どのように書くかテンプレートが完成しています。
これもまた大学受験の小論文と同じ流れです。
受験産業とはそういうもの。
何も書けない子を、型通りに何か書かせるようにして、受験会場へと背中を押すもの。
だって、ほおっておくと、日本語を英語に写したままの意味不明の呪文を書いてしまうものなあ・・・。
1つ目の理由と2つ目の理由と、自由気ままに混ぜこぜで書くからなあ・・・。
合格点の英作文を書かせるには、書き出しを固定し、ひな形に押し込めるのが手っ取り早いものなあ・・・。
そうやってテンプレートを教えると、作文の書けない生徒は喜ぶし安心するものなあ。
ここから始めて、あとは自分の努力で肉づけしていこうね。
自分の中にない英語は、どうやっても書けないからね。
語彙を増やし、表現を豊かにするのは、受験のための対策ではなく、一生の勉強だから。
何か苦いものを感じながらも、そのように思います。


英作文に関しては、以前、こんなこともありました。
あるとき、生徒の定期テスト答案を見ると、
使役動詞を用いてひと続きの内容の3文を書きなさい」
という出題がされていました。
その子の答案は、文法ミスを直して復元すると、このような感じのものでした。

My parents don't let me use their computer.
Because it made me play video games for many hours.
So I am careful not to use it.

おお。使役動詞を2個も使っている。
でも、採点した先生の評価は低かったのです。
第2文、第3文は得点がなく、ほとんど直されていました。

Because I can play video games with it for many hours.
So I decide not to use it.

先生の添削では、むしろ使役動詞は使われていません。
生徒が書いた、
「コンピュータが私にテレビゲームをさせた」
「コンピュータを使わないように気をつけます」
という表現が全て直されているのが興味深いです。

1つには、それは英語的な発想ではない。
論理構造がおかしい。
無生物主語は英語によくあるとは言え、こんな言い方はしないでしょう。
日本語としても、そういう表現は大人をイラッとさせる気がします。

コンピュータが私にテレビゲームをさせた、じゃありませんよ。
あなたが勝手に長時間やったんです。
コンピュータは強制していません。
それをコンピュータのせいにする自分の甘さを直視できていますか?
コンピュータを使わないように気をつけます、じゃありませんよ。
そのもってまわった言い方は、およそ英語的ではないですよ。

そうした先生の怒りや心配が添削された英作文から感じられて、私には興味深かったのですが、その生徒に学校の先生の気持ちが伝わったかどうかは微妙です。
本人の感想は、
「テレビゲームって、ビデオゲームって言うんですね」
でした。

そこっ?(''Д'')





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