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2020年05月25日

高校数Ⅰ「因数分解」の難問。

高校数Ⅰ「因数分解」の難問。


高校数学には、普通の高校では授業では扱わない発展的な公式があります。
あるいは扱っても「こんなのも一応あります」と紹介される程度で定期テストには出ないのです。
その高校の先生の考え方によるのでしょう。
高校1年の段階では、これは必要ない。
文系・理系にコースが分かれた後、理系クラスだけの数ⅠA演習といった授業では扱う学校もあります。
あるいは、高校1年の最初に、もう全部教えてしまう学校もあります。

今回は、そんな公式の話。
例えば、こんな問題です。

問題 次の式を因数分解せよ。
x3+y3-6xy+8

うん?
一見単純そうですね?

x3+y3-6xy+8
=(x+y)(x2-xy+y2)-6xy+8

・・・・あれ?この先、進まない。
では、xで括ってみましょうか。

x3+y3-6xy+8
=x(x2-6y)+y3+8
=x(x2-6y)+(y+2)(y2-2y+4)

・・・・あれ?やっぱり共通因数が見つからない。
うーん?

さらに頑張ってみましょう。
最後の8は、2の3乗とみることができます。
3乗の項が3つある・・・。
これは、やはり、3乗の公式にからんだ何かが使える気がします。

3乗の公式について、もう少し考えてみましょうか。
高校で学習する3乗の公式に、こういうものがあります。
(a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
これは、左辺と右辺をひっくり返してから部分的に移項することで、
a3+b3=(a+b)3-3a2b-3ab2
と変形することができます。
これを利用してみましょう。

x3+y3-6xy+8
=(x+y)3-3x2y-3xy2-2・3xy+8
順番を入れ替えながら、共通因数でくくってみましょう。

=(x+y)3+23-3xy(x+y+2)

ここで、x+y=A と心のなかで見立てながら、しかし、もう中学生ではないので、Aは使わずにくくっていきましょう。
今度は、a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2) という公式を使います。

=(x+y+2){(x+y)2-2(x+y)+4}-3xy(x+y+2)

共通因数 x+y+2 が見えました!
くくります。
ついでに{ }の中は適宜計算し整理します。

=(x+y+2)(x2+2xy+y2-2x-2y+4-3xy)
=(x+y+2)(x2+y2+4-xy-2y-2x)

できたー!
でも、大変だった・・・。

こんなの自力で発想できない・・・。
そんな声が聞こえてきます。
確かに。

実は、これ、発展的な公式を利用すれば、1行で因数分解は完成するのです。
考え方は上と同じで、それを公式として固定化しているものがあるのです。


その前に、まず基本的な因数分解の公式を確認します。
因数分解の公式は、中学3年生で学習するものは、以下の通りです。
a2+2ab+b2=(a+b)2
a2-2ab+b2=(a-b)2
x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)
a2-b2=(a+b)(a-b)

高校1年、つまり数Ⅰで新しく学習するものは、

acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)

いわゆる「たすきがけ」の公式です。

さらに、本当は数Ⅱの学習内容とされているけれど、一緒に学習してしまおうということで、多くの高校は、以下の公式も高校1年で学習します。

x3+y3=(x+y)(x2-xy+y2)
x3-y3=(x-y)(x2+xy+y2)
x3+3x2y+3xy2+y3=(x+y)3
x3-3x2y+3xy2-y3=(x-y)3

しかし、因数分解の公式は、他にもあります。
発展的な重要公式として有名なのは、以下の2つ。

a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)2

a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)

問題に戻りましょう。
x3+y3-6xy+8

これは、上の公式の、
a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)
を利用できます。
公式のaが上の問題でxにあたります。
bがy。
cが2。
だから、-3abcは、-6xy。
この公式を利用すれば簡単に因数分解できるのです。

x3+y3-6xy+8
=(x+y+2)(x2+y2+4-xy-2y-2x)

できたー。
公式を知っていると、早いですね。


では、こんな問題はどうでしょうか?

問題 次の式を因数分解せよ。
(x-y)3+(z-y)3-(x-2y+z)3

これも、先ほど使ったのと同じ公式を利用できそうです。
3番目の(  )の前のマイナスは、その(  )自体に-の符号がついているのだと思えば良いです。
負の数の3乗は、負の数です。

でも、公式は、左辺に-3abcがあるけれど、この問題は、3乗の項が3つあるだけ・・・。
そこも、頭を柔らかく。
a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca) は、
a3+b3+c3=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)+3abc
と変形できます。
そして、この形が案外使いまわしが効くのです。

とはいえ、最後の+3abcの部分がはみ出すので、因数分解は完成しないのでは?
本当にこれを利用して良いのかな?
ちょっと不安になってしまいます。
特に後半の長い(   )の部分を書いていくのは大変そうで、これで解けないのならやりたくない作業です。
しかし、ここでためらい、やらずに済ませてしまうと、この問題は解けません。
無駄に思えても思考錯誤は必要。
他に策があるわけでもないのなら、思いついた策を試してみることが大切。
やってみましょう。

(x-y)3+(z-y)3-(x-2y+z)3
={(x-y)+(z-y)-(x-2y+z)}(・・・・・・・
=(x-y+z-y-x+2y-z)(・・・・・・・

ここまで書いて、気づくのです。
最初の( )は、計算すると0になる!
0に何をかけても0なので、公式の( )(     )の部分は全部0になって消えます。
だから、+3abcの部分だけが残るのです。
3番目の( )の前にマイナスがついていることに気をつけて、+3abcの部分を書いていくと、

=-3(x-y)(z-y)(x-2y+z)
=3(x-y)(y-z)(x-2y+z)

できたっ!
こうなると、単に公式を知っているかどうかだけではなく、その公式を利用するかどうか決断を迫られるところにちょっとワクワクしますし、ごちゃごちゃした部分が一気に消える爽快感もあって好きなタイプの問題です。

発展的な公式に関するお話でした。
覚えて使ってください。






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