たまりば

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2020年03月11日

秀才のスピーキング能力が伸びない理由の1つには。

秀才のスピーキング能力が伸びない理由の1つには。

英語四領域、すなわち、「読む」「聴く」「話す」「書く」の中で、一番弱い分野が「話す」である人は多いと思います。
語彙には、自ら使用できる「使用語彙」の外側に、読んだり聞いたりしたときには意味を理解できる「理解語彙」があります。
つまり、意味がわかっていても自分では使えない単語のほうが膨大なのです。
しかし、「話す」という作業は、自分で使える単語だけをその場で何とか駆使して行わなければなりません。
そのため、「読む」「聴く」よりも「話す」は難度が上がります。
だから、四領域を難しさの順に並べると、「話す」「書く」「読む」「聴く」の順になるのは普通のことです。

昔は、リスニングも難度の高いものだったのですが、今は、英語はそんなに得意ではなくても、リスニングはまあまあできる子が増えています。
聴いて答えるだけなので、「勉強」らしい苦痛が少ないから、リスニングは好きだという子もいます。
秀才も自分も対等だと感じるのかもしれません。

そう言えば、スピーキングも、秀才とそうでない子との差をあまり感じない分野です。
というより、秀才は、スピーキングで他の子たちと比べて突出した様子を見せないことが多いのです。
周囲に埋没して、どんぐりの背比べとなりがちです。
何だか、他の三領域と比べるとお粗末なんだけど、どうしたの?

第一の原因は練習不足でしょう。
英語秀才は、他の領域では不断の努力を怠りません。
しかし、スピーキングだけは、普段、練習していない人が大半です。
学校でテストもないし、入試にも出ないし。
そうなると、練習しないんですね。

日本人が全般的にスピーキングが苦手な理由は、
「発音が悪いので、恥ずかしい。自分の英語はネイティブには通じないのではないか」
という気持ちが先に立って、話すことを避けたがるのが主な理由だと思います。
秀才は、そうした自意識がさらに強くなるということもあるかもしれせん。

しかし、そればかりではないのだと感じる出来事がありました。

英検準1級の2次面接の対策をしていたときのことです。
学年相当の英語力はある高校生です。
筆記試験は合格しました。
しかし、2次面接の練習をすると、何も答えられず、黙り込んでしまうのです。

何か答えないと、合格しないよー。

例えば、「大学に高齢者のための講座があることをどう思うか」という設問。
3分間、絶句。
設問の意味はわかっている?と訊くと、わかっていると答えました。
では、英語じゃなくていいから、日本語だったら、どう答える?と訊くと、以下のようなことを話し始めました。
「高齢者の中には、社会参加を望む人もいると思う。そうした人たちが、大学で学ぶ機会を得て資格を取得し、その結果社会に貢献することは妥当なことであると思う」

・・・硬い。( 一一)

そういえばこの秀才は、普段の話し方も書き言葉みたいなのでした。

英検準1級は、帰国子女ならば小学生でも合格します。
試されているのは、社会問題についての考察力ではなく、英語力です。
英語によるコミュニケーション能力です。
「勉強をしたいお年寄りは沢山いると思います。彼らが勉強できるのは、良いことだと思います」
こんな程度でも合格します。
はい。中学英語です。
四領域のうち「話す」の能力が誰もが低いことは周知の事実。
だから、スピーキングの採点基準は甘いです。
え?こんな出来で合格するの?というくらい甘いです。
易しい英語で語りなさい。
易しい英語しか咄嗟に思いつくことはできないし、それで合格するのだから。

そのようにアドバイスしながら、私は、秀才のスピーキングが他の子たちと比べて突出しない理由の1つは、こういうことなのかもしれない、と感じていました。
本人の日本語能力にふさわしい英語力が、身についていないのです。
考えたことをそのまま英語にするには、英語の語彙が足りません。
日本語の書き言葉は、英文に変換しやすい構造だと思いますが、そのまま英語にするには本人の使用語彙が足りない。
日常で用いる日本語は小難しいのに、咄嗟に出てくるのは中学英語なので、その差を埋められず絶句することになる・・・。
秀才が英語をペラペラ話しだすには、使用語彙のレベルを高校英語に引き上げる必要があるのです。

・・・いや、言語レベルを下げるほうが簡単じゃない?

易しい英語を使いなさい。
難しいことを易しくわかりやすく語りなさい。
自分の日本語を易しい英語に翻訳しなさい。
頭が良いとはそういうことでもあるよ。

これは英語の勉強なの?という謎のアドバイスに終始した英検対策でした。
ともあれ、結果は、合格でした。
本番は絶句せず答えられたようです。
良かった。

日本に住んでいて、普段英語を話す機会もなかったら、ペラペラになんかなりません。
そんなにハードルを上げないで、とにかく話してみることです。
「ペラペラ」の「ぺ」くらいでいいから。
「ぺ」くらいで、英検準1級は合格します。

ともあれ、10年前は、英検2級を受検する高校生すらまれでした。
偏差値65以上の大学を受験する人は、筆記試験でいえば英検準1級程度の学力は身についていましたが、入試間際にそんなものを受ける必要も暇もありませんでした。
だから、高校生に英検対策をする必要はなかったのです。
中学まで一所懸命英検を受けていた高校1年生が、そのままのノリで英検準2級を受けることがある程度でした。
この10年で、私立高校を中心に、学校単位で英検2級を目指すようになりました。
大学に内部進学するための条件とする場合もあり、その対策授業が増えてきました。
それでも2級止まりでしたが、壁を突き破ったのは、大学入試の民間試験導入です。
英検準1級を取得すれば、英語の入試得点は満点とする、というのです。
結局、大学入試に民間試験の導入は見送られましたが、1度視野に入った英検準1級を受ける人はやはりいます。

これからは、こういう仕事が増えるのかもしれないと感じた出来事でもありました。





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