たまりば

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2013年05月16日

三頭山で道に迷いました。2013年5月。


5月12日(日)、前日の雨も夜中のうちに上がり、晴れ。
GWに雪山に行ったばかりなので、今週末は家でのんびりしてもいいかなあと思うのですが、今月は、今日を逃すと、もう休みがありません。
模試の会場責任者の仕事が来週から2週続けて日曜日に入っているので、天気が良くても山に行けそうにありません。

それに、GWの翌週は、観光地も山も、いつもより空いているんです。
GWに遠出したばかりだし、母の日だし、皆、家か近所のレストランなどでのんびり過ごすのでしょう。
だから、今日歩けば、山は空いていて快適です。

そんなわけで、いつものようにホリデー快速奥多摩号に乗って、奥多摩駅下車。
駅前で「丹波」行きのバスに乗りました。
バスは、座っていくことができました。

三頭山は、武蔵五日市駅から「数馬」行きのバスに乗り、都民の森から登るのなら、よく整備されたハイキングコースです。
でも、そのコースは、ちょっと歩き足りない。
なので、今回は、奥多摩湖にかかる麦山の浮橋、通称「ドラム缶橋」から、ヌカザス尾根を登る計画を立てました。
このコースは、2003年9月にも歩いたことがあります。
10年ぶりです。

さて、バスが「小河内神社」バス停に近づいたので、「次下ります」のチャイムを押すと、運転者さんから話しかけられました。
「三頭山ですか?」
「・・・・・・はい」
「今、浮橋、取り外されていますけど、いいですか」
「え?」

ドラム缶橋は、奥多摩湖にプカプカ浮いている橋で、水位が下がれば取り外されます。
この時期に、そんな水位になっていると思っていなかったから、何も確認しなかったー。
(@_@;)

「あ・・・・・。じゃあ、下りません」
やばい、やばい。
じゃあ、「鴨沢」で下りて、雲取山への道を、日帰りのタイムリミットまで歩いて、戻ろうか。
頭の中でそんなことを忙しく考えていたら、運転者さんから、もう一度声をかけられました。

「三頭山ですよね」
「はい」
「じゃあ、深山橋で下りてください」
「・・・・・あ。はい」
そうだ。地図では、ヌカザス尾根と途中で合流するもう1つの尾根が西にあった。
そこから登ればいいんだー。

運転者さんは、下りる際に、道も教えてくれました。
「この深山橋を渡って、その奥の白い橋も渡ると、登山口が右手に見えてきますよ」
本当に、ありがとうございましたー。
(*^_^*)

とはいえ、運転者さんのせっかくの親切も役に立てることのできない道迷いがこの後始まるのでした。
(-_-;)

言われた通り、バス停からすぐ見えていた深山橋を渡り、その後、それより小さく白っぽい三頭橋も渡りました。
ムロクボ尾根への登山口は、三頭橋を渡ってすぐのところにあったのだと思われます。
ところが、私は、多分、その標識を見過ごしたんですね。
(-_-;)

道路から見えていた標識は、あったんです。
でも、その標識は、道路を左に行くことを示しているように見えました。
本当は、その標識の立っているところに登山口があったのではないかと推測されます。
私は、道路を左に行くんだと思い、とことこ歩きだしてしまいました。
(-_-;)

随分遠いなあ、おかしいなあと感じながら、バイクががんがん通り過ぎていく206号線を歩いていくと、右手に「三頭山登山口」の標識がやっと見えてきました。10:30。
でも、さすがに気がつきました。
この登山口、私が最初から登るつもりでいた、ヌカザス尾根の登山口です。
その標識には、「浮橋」を示す矢印もありましたから。
参ったなー。

予定通りの登山口に来たのだから、まあいいじゃないか。
そう考えることも可能です。
でも、浮橋が取り外されているのですから、この山道、今日は、私以外は誰も歩かないでしょう。
何も起こらなければ良いけれど、何かあったとき、通りかかる登山者に助けを求めることができない。
誰かが通りかかることを一切期待できない。
これは、かなり厳しいです。

しかし、単独行とは、そういうことを指す。

よし、慎重に行こう。
そう決めて、歩き始めました。

三頭山の北に伸びるヌカザス尾根。
登山地図では赤い実線で描かれていますし、下山路に選んでいるガイドブックもありますが、三頭山の登山道の中ではわりと険しい道です。
わざわざ厳しいほうの山道を歩く必要はないのですが、そういう道が好きな人は必ずいますから、道はよく踏まれ、明瞭でした。
空はよく晴れて青く、雨上がりの新緑からの木漏れ日がキラキラ光っていました。
爽やかだなあ。
ついでに、登山道を横切る蜘蛛の糸もキラキラ光っています。
完全な蜘蛛の巣が作られているわけではなく、1本スイッと登山道を横断している蜘蛛の糸。
そういうのが、度々ありました。
しばらく人が通っていない証拠でしょう。
見つける度、蜘蛛の糸を払いながら、前進。

急登ではありますが、特に危険は感じない登山道を歩いて、イヨ山到着。11:25。
山頂の標識に、落書きがありました。
「この先、危険個所あり。ヌカザス山の手前、急坂」
落書きではなく、道標の管理者が書きこんだものなのかもしれません。
でも、管理者が書くなら、道標の下に吊るす形で追加の情報を書くから、やっぱり落書きかな。
「危険」と言われても、どれくらい危険なのか、そういうのは書き込んだ人の主観だから、わからない。
だけど、とにかく、用心していこう。

いったん道が下りになりました。
表面に砂が乗っていて滑りやすい。
ここが危険なのかな。

再び上りになると、尾根が痩せてきました。
一歩滑ると崖から落ちそうです。
ここが危険なのかな。
ここは、下るのは怖いかもしれません。
上るのも、ちょっとヒヤヒヤしました。

尾根は、ぐっと痩せたと思うと、また普通に戻る繰り返しです。
特にここが危険と特定しにくいけれど、全体的にあまり楽しくない道です。
急な箇所にはつかみやすい岩や木の根があります。
だから、技術的難度が高いわけではないのですが、何となく険しい感じがずっと続きました。

ヌカザス山。12:20。
ここは、ムロクボ尾根の登山道との合流点です。
バスから降りたとき、本当はすぐに登山口が見つかるはずだったのがムロクボ尾根でした。
よし、ここからは、少なくとも蜘蛛の糸が登山道を横切っているということはない。
今日も、私以外にも、きっと誰かが歩いています。

しかし、ここで安堵したのが、逆にまずかったのかもしれません。
(-_-;)

そこから、「オツネノ泣坂」という急坂に入りました。
トラロープが張ってありますが、古いようなので、つかまらず、ときには地面に手をついて登っていくと、本日初めての登山者と遭遇しました。
20代と思われる若い男の子です。
「はあ、急な下りばっかりですね、この道」
そう話しかけられました。
しばらく行くと、今度は若い女の子がやって来ました。
さっきの男の子と一緒に来ていたのかもしれません。
そうだ。
「浮橋、取り外されているの、ご存じですよね?」
これは、伝えておかなければ。
女の子は、少し戸惑った顔でしたが、
「あ、はい。知っています」
と答えました。
そうか。
知らないのは、私だけだなー。

女の子は、尾根の岩の間から下りてきましたが、見ると、右手のまき道も明瞭でした。
まき道というより、こちらのほうが本当の登山道じゃないのかな。
そう思って、歩き出してしまいました。

このまき道が徐々に薄くなり、斜面を無理やり歩いている細い踏み跡程度のものになっていったのです。
しかも斜面なので滑り易い。
まずいな。
残雪期に、誰かが無理に歩いただけかな、ここ。

雪の季節に奥多摩を歩く人には、登山道は関係ありません。
トレースが濃い場合は、雪が融けていった後も、そこを歩く人は多くなり、やがて踏み跡となります。
それだったのでしょうか。
あるいは、山菜取りか林業の人の歩いた跡でしょうか。
雪どけ後のぐちゃぐちゃの泥道は、普段よりもはっきりと踏み跡がつきます。
そうしてできた踏み跡の1つに、私は迷いこんでしまったようでした。

少し我慢してそのまま斜面をトラバースしながら、歩けそうなところを探して、とりあえず尾根にはい上がりました。
尾根の上は、斜面よりは歩きやすかったですが、足元の感触からいって、ここは登山道ではありません。
わあ、道を見失ったなー。

見上げると、今私が乗っているのは枝尾根で、上のほうにはさらに大きな尾根がありました。
斜面の踏み跡を歩いているうちに、主脈から外れてしまった様子です。

しかし、その枝尾根から見下ろすと、足元に、幅のある明瞭な道が見えていました。
とにかく、そこは山道の様子です。
そこまで下りていくことにしました。

かなりしっかりした道で、踏み跡という種類のものではありません。
しかし、道なりに歩きだして、しばらく行って、気がつきました。
あれ。
この道、下っている?

相変わらず、左手に、大きな尾根。
三頭山に向けて、方向は間違っていません。
あの尾根に乗りたい。
でも、この道は、方向は間違っていないけれど、下っている。
このままでは、あの尾根には上がれない。

立ち止まって少し考え、今来た道を戻ることにしました。

戻っていくと、道は三叉路に行きあたりました。
そのうちの1本の道が上り坂だったので、その道を選ぶと、道は九十九折になって上っていきました。

方向だけは、見失わないようにしよう。
この尾根が、自分の左側にある間は、三頭山に向かっている。
地形的に、それは間違いないのだから。
スモールライトを浴びて、小さくなって、地図の上を歩いていこう。
それが出来ている間は、多分、大丈夫。

しばらく上ると、ぽんと尾根に出ました。
今まで歩いてきた道とは明らかに印象の違う、本当の登山道です。
地面の硬さと道幅がまるで違うのです。
しかも、道しるべを発見。
道標には「三頭山」を示す方向が示されていました。
そして、私が歩いてきた道の方向には、「作業道」と記されてありました。

あー、やばかった。
まさか三頭山で道に迷うとは。
朝もそうだけど、さっきの尾根とまき道との分岐でも、観察が足りなかったなー。
失敗しました。

しっかりした登山道を歩いていくと、鶴峠分岐に到着。13:40。
そこの道標には、浮橋が取り外されているというお知らせが吊り下げられていました。
今年の2月28日に取り外されたようです。
2013年5月12日現在、まだ復活せず。
雪の時期に橋が取り外されて、春になっても歩く人が増えないから、雪どけの季節の踏み跡が生きていたんだなあ。
気をつけないと。

三頭山到着、14:00。
時間は少し遅いものの、さすがに山頂ですので、登山者の姿がちらほら。
西向きのベンチが1つ空いていたので、早速座って、まずはスポーツドリンクをごくごく飲んで、ひと心地つきました。
午後になって雲が増えてきたので、富士山は裾野しか見えていないなー。
さあ、おにぎり食べようー。
そこで気がつきました。
あれ、撮影クルーがいる。
何かのテレビ番組かな。

しかし、出演者と思われるメガネをかけた若い男性も中年女性も、全く見たことのない人たちです。
誰、この人たち?
私の後から山頂に来た2人も、私の近くで、撮影クルーをじっと観察。
我々3人の視線に耐えきれなかったのか、ディレクターさんが、スケッチブックに何か書いて、私たちに見せてくれました。
「NHKあさイチです。あさってオンエアです」
ほほお。

さて下山開始。14:20。
三頭山避難小屋の前を通り、笹尾根へ。
都民の森の整備のされ方とは多少違うものの、午前中に歩いてきた道と比べたら、ここは有難いくらい整備された道でした。
オオカメノキの白い花が、もう咲いていました。

とっとこ歩いて、槇寄山。15:15。
そのすぐ先、西原峠の分岐から左に折れて、「仲の平」バス停を目指しました。
そこも、緩やかで歩きやすい下り道でした。
チゴユリの咲く道を麓へ向かいます。
ぽんと畑に出て、害獣避けの高いフェンスに挟まれた細い道を行くと、舗装道路に出ました。
そこからは、とにかく迷ったら下りの方向を選んで進んでいきました。
不安になる頃に、ほどよく道標も出てきます。
やがて、バスの走る206号線に出ました。16:15。
右に曲がって、5分ほど道路を歩いていくと、檜原温泉センター数馬の湯。

ここの温泉に入るのは3年ぶりくらいでしょうか。
露天風呂もありますが、内風呂の雰囲気のほうが好きです。
1日汗をたっぷりかいて、十分な水分補給もなく長風呂したら、たちまち湯あたり。
温泉、好きなんですけど、良い温泉ほど、湯あたりするのが早くて、長湯できないです。
(^_^;)

湯上がりなのに再び汗がだくだく出るのを感じながら、長い廊下のベンチで発泡酒を飲んでひと休み。
温泉のすぐ目の前がバス停なので、時間を見て外に出て、17:32のバスに乗りました。
バスは空いていて、武蔵五日市駅までゆっくり座っていくことができました。

かなりアクシデントの多かった山歩きでしたが、何とか無事に下山。


そして、5月14日(火)、「あさイチ」を見たら、撮影にも気づかずスポーツドリンクをごくごく飲んでいる自分が映り込んでいて、あわわわわと思ったのでした。
(^_^;)



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    Posted by セギ at 12:50│Comments(2)
    この記事へのコメント
    ああ、山歩きしたくなりました~
    Posted by すこや at 2013年05月17日 00:54
    すこや様、コメントありがとうございます。
    (*⌒-⌒)
    いざ山へ。
    ヽ(*⌒-⌒)/
    Posted by セギ at 2013年05月18日 00:13
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      コメント(2)