たまりば

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2013年03月20日

英語が苦手な子の特徴


さて、もうすぐ春期講習。
準備に追われる毎日です。

本日は、英語の話。
どの教科の成績も悪く、英語も他の教科と同様に悪い、という場合はまた話が違ってくるのですが、5教科の成績が科目によってガタガタで、なかでも英語がパッとしない、という人がときどきいます。
科目によっては、5段階で「4」あるいは「5」をとっているのに、英語の成績は悪いというのは、明らかに、勉強の仕方が悪いです。
何か、本人の中で、英語に関して、あるいは、英語学習に関して誤解があり、間違った勉強をしている可能性があります。

以前も書きましたが、1つの原因は、小学校時代の「お楽しみ英語」の授業に慣れていて、そこから脱皮できなかったのかもしれません。
カタコトのお買いものごっこをALTの先生とやって、わあ、英語が通じた、楽しいなー、といったレベルのことが、英語の勉強であるという認識で中学校に入り、そのまま意識を転換できないと、ペーパーテストでの得点力は、どんどん下がっていきます。
英語との幸福な出会いとして、そういうことは大切なことなのですが、楽しいと、そのレベルに安住し、そのままというのが、子どもにはありがちです。
永遠に、英語と、ただ出会っているだけで、何も深まりません。
英語ともっと深い関係を構築しましょう。

英語学習が地道な訓練であるという意識がない子は、地道な練習を嫌います。
そういうことをする必要があるとも思っていません。
なので、中1レベルの英語が身についていません。
土台が揺らいでいます。

単語のスペルを正しく書けない。
三単現のs、esをしばしばつけ忘れる。
名詞の複数形を正しく書けない。
人称代名詞を正しく使い分けられない。
英語の語順が理解できていない。
名詞・動詞・形容詞・副詞・前置詞といった文法用語に正しく反応できない。

これらのことは、全部、中1で学ぶことです。

特に、英語の語順に関しては、たくさん聴いたりしゃべっているうちに自然にわかってくると誤解している人もいるのですが、それは、無意識に理屈を把握する能力のある人の話で、一般的には難しいです。
そういうことが誰でも可能なのは、10歳未満までだと言われています。
幼児には、周囲の大人の話す言葉から、その言語の文法体系を把握する能力があります。
周囲の大人の言い間違いや、文法的に正しくない口語表現も含めて、つまりエラー込みで体系を把握するのですから、それは、もの凄い能力です。
その能力があるから、子どもは、母国語を話せるようになります。
しかし、そうした能力は、4歳を過ぎると急激に衰えるそうです。
中学生が、たくさん英語を読んだりしゃべったりしたからといって、英語の語順の正しい理解に直結するとは思わないほうが良さそうです。
多少は可能だとしても、それはとても無駄の多い学習方法となります。

英文法を体系的に学べば、英語の語順は理屈で理解できます。
最短で正しい英語を身につけるには、文法からのアプローチが有効です。

数か月前、日曜日に山を歩きながら、ラジオ「子ども電話相談室リアル」を聞いていましたら、中学生から、こんな相談が寄せられていました。
「英語は、何で、主語の後にすぐ動詞を言うんですか。日本語は、述語は最後です。なんで英語はそうじゃないんですか。おかしいと思います」
・・・・・若い世代は、我々よりもグローバルに物事を見ることが出来るだろうというのは幻想に過ぎないと、こういう中学生の発言を聞くと感じます。
若いだけ愚かであり、若いだけ主観的な場合も多いです。
自分が慣れ親しんでいるものごとが常に正しいのだという思い込み。
日本語の語順のほうが、むしろ、世界全体では珍しいのではないかと、なぜ考えないのかなあ。
でも、日本語と英語と語順が違うことに気がついているだけで、中学生としては、上出来なのかもしれません。

英語を和訳してもらうと、おかしな訳をしてしまう子は結構います。
例えば、

Yesterday I played baseball . 

これを、「昨日、私がやったのは、野球です」と訳してしまうんです。
意味的には、大体そういうことなんですけど、その日本語は、英語に直すと、別の英語になります。

It was baseball that I played yesterday.

強調構文ですね。

英訳問題の答案も、おかしい子がいます。
「私は、テストのために、一生懸命英語を勉強しました」

I for the test hard studied English.

冗談ではなく、こんな英語を書く中学生・高校生は、たくさんいます。
(^_^;) 

「主語を書いたら、すぐ動詞。前置詞から始まる句は、修飾句だから、被修飾語の後で書く」
こういう助言をしても、文法用語が理解できていないと、何を言われたか理解できず、本人は、ぽかんとしています。
なので、主語とは何か、動詞とは何かを説明することになるのですが、文法が嫌いな子は、こういう話を1分以上聴き続けることができない場合が多いです。
嫌なんでしょうね。
嫌なことは、無理に聴いても、頭に残りません。
なので、いつまでもいつまでも、上のような英文を書き続け、自分が何をどう間違えているのか、理解できません。

これらのことが身についていなかったら、学年が進むにつれて、英語はどんどんわからなくなり、テストで得点できなくなっていきます。
高校生になって、巻き返そうと思い、自分で英語の参考書を買っても、書いてあるのは、文法用語を駆使した説明ばかりなので、参考書が参考になるどころか、呪文が書いてあるようにしか思えなくなります。

それでも、子どもは、文法を否定したがります。
文法なんか学ばなくても英語が身につく魔法がどこかにあると、思いたいのでしょうか。

一方、海外に語学留学した人から話を聞くと、日本に戻ってきて、改めて文法を勉強し始めた人が多いですね。
自分に足りなかったのは文法力だったと、留学して、ようやく理解したそうです。
だって、英語力がそんなにないのに留学するから、入れるのは語学学校の基礎クラスで、そこでは、「知っている形容詞を皆で挙げてみましょう」といった授業を受けるんですから。
たくさん挙がった形容詞を使って、次には例文をたくさん考えて、結論として、形容詞は、補語になるか、名詞を修飾しますね、なんてことを、わざわざ留学して学ぶことになります。
その授業が英語で行われるから、何か意味があるような気がするけれど、よく考えたら、基本的な英文法を学んでいるだけです。
そして、留学先でネイティブの先生に言われて、ようやく、文法的なアプローチが語学習得の近道なんだと納得するんです。

そんなこと、日本にいるうちに、気づきましょう。
(^_^;)

英語力とは、文法力と単語力。
その両輪のどちらかが欠けていると、英文は、読めません。
聴いても、理解できません。

地道に頑張りましょう。



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    Posted by セギ at 20:59│Comments(0)英語
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