2020年03月19日
高校数Ⅱ「式と証明」。剰余の定理・因数定理の利用。
今回も「剰余の定理・因数定理の利用」です。
問題 整式 f(x)をx(x+1)で割ったときの余りが2x+1、x+2で割ったときの余りが7であるという。f(x)をx(x+1)(x+2)で割ったときの余りを求めよ。
とりあえず、問題の通りに整式 f(x)を表してみましょう。
f(x)=x(x+1)g(x)+2x+1 ・・・①
と、まず表すことができます。
f(x)が何次式なのかわからなので、商も何次式かわからないまま、とりあえずg(x)と置きました。
また、こうも表すことができます。
f(x)=(x+2)h(x)+7 ・・・②
このh(x)も、何次式なのかわからないのでとりあえずおいた商です。
さらに、この問題の答えとなる余りを含む式を立ててみましょう。
f(x)=x(x+1)(x+2)i(x)+ax2+bx+c ・・・③
f(x)が何次式かわからないので、商であるi(x)も何次式であるかはわかりません。
しかし、x(x+1)(x+2)という3次式で割っていますので、余りはどんなに次数が高くても2次式です。
このax2+bx+cを求めれば良いのです。
剰余の定理を用いましょう。
①より、f(0)=1 です。
f(x)=x(x+1)g(x)+2x+1 にx=0 を代入すると、
f(0)=0・(0+1)・g(0)+2・0+1
となり、前半部分は0に何をかけても0ですから、
f(0)=1 となります。
これが剰余の定理です。
かけ算のつらなりのどこかが0になるような数を代入するのがコツです。
これを③に代入すると、
f(0)=c=1 ・・・④
また同じく剰余の定理より、①より f(-1)=-1です。
f(-1)=-1(-1+1)g(x)+2(-1)+1=-2+1=-1 ということです。
この f(-1)=-1を③に代入すると、
f(-1)=a-b+c=-1 ・・・⑤
また、剰余の定理より、②より f(-2)=7 です。
f(-2)=(-2+2)h(x)+7=7 ということです。
これを③に代入すると、
f(-2)=4a-2b+c=7 ・・・⑥
さて、a、b、cと文字が3種類。
式が、④、⑤、⑥の3本。
これは連立方程式として解けます。
中学生の間は、連立方程式の計算過程は答案にしっかり残さないとテストで減点されますが、高校生は、連立1次方程式は解くことができて当然なので、答案にはその過程は残さなくても大丈夫です。
勿論、書いてもいいですが。
④、⑤、⑥より
a=5、b=7、c=1
よって余りは、
5x2+7x+1
これが答です。
問題 f(x)をx2+6で割ったときの余りがx-5、x-1で割ったときの余りが3であるという。
f(x)を(x2+6)(x-1)で割ったときの余りを求めよ。
剰余の定理を用いたいと思って、(x2+6)を因数分解すると、(x+√6i)(x-√6i)となります。
虚数が入ってきて面倒くさいことになりそうです。
他にスマートな解き方はないでしょうか?
あります。ヽ(^。^)ノ
f(x)=(x2+6)g(x)+x-5 ・・・① とおく。
ここまでは一緒です。
ここで、その商であるg(x)=(x-1)h(x)+p とおきます。
g(x)はf(x)とは異なる整式ですから、(x-1)で割ったときの余りは、まだわかりません。
とりあえず余りはpと置いておくなら、この式は何も問題ないですね。
何で f(x)ではない式をx-1で割るの?
意味なくない?
と思うかもしれませんが、しばしお待ちを。
これを①に代入するのです。
f(x)=(x2+6){(x-1)h(x)+p}+x-5
①のg(x)のところに先程の式をカポっと代入しています。
この式を部分的に展開して整理してみましょう。
f(x)=(x2+6)(x-1)h(x)+p(x2+6)+x-5
式全体を眺めると、この、p(x2+6)+x-5 が、f(x)を(x2+6)(x-1)で割った余りであることがわかります。
ここで問題より、f(x)をx-1で割った余りは3でした。
すなわち、剰余の定理より、f(1)=3 ですから、
f(1)=(1+6)(1-1)h(x)+p(1+6)+1-5
すなわち、
f(1)=7p-4=3 となります。
これを解いて、
p=1
よって、
p(x2+6)+x-5
=x2+x+1
余りは、x2+x+1 です。
この解き方はスマートで、一番上の問題でも使えます。
とはいえ、自力でこの解き方を発想するのは難しいかもしれません。
こういう解き方があるという知識を頭にインプットするのが何よりです。