2021年03月11日
高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と領域。放物線の弦の中点の軌跡。
さて、軌跡と領域。
今回は、放物線の弦の中点に関する問題です。
問題 放物線 y=x2 と直線 y=m(x-1) が異なる2点A、Bで交わっているとき、線分ABの中点の軌跡を求めよ。
さあ、いよいよ難しくなってきました。
どうやって解いたらいいのでしょう?
線分ABの中点をP(x , y) とおく。
とりあえず、この1行だけは、何が何でも書きたいですね。
それが、第一歩です。
問題集の解答解説を読んで、解き方は理解できるのだが、類題は解けない。
テストになると、頭が真っ白になって、解けない。
そういう悩みを抱えている人が多いかと思います。
解き方が理解できるだけでは、自力で解けるようにはならないことがあります。
なぜその解き方をするのか、最初の発想が自分のものになっていない限り、全く同じ構造で数値が異なる問題しか解けない。
しかも、高校数学の問題はパターンが多すぎるので、丸暗記はかなり苦しい。
そうなりがちです。
解き方を発想するには、「どうすれば答が出るのか」と後ろから考えることが必要になってきます。
しかし、問題集の解答解説は、答案を前から順番に書いてあります。
なぜそう解くのか、解答解説だけでは、最初の発想がわからないことが多いのです。
数学の自学自習が難しい理由はそこにあります。
なぜそのように解き始めているのか、それについてのヒントや解説があれば、あとは自力で解ける人は多いと思うのです。
今、線分ABの中点の軌跡を求めたいのです。
どの数値が必要でしょうか?
点A、Bの座標が必要です。
中点は、点A、Bのx座標、y座標をそれぞれ足して2で割った座標になります。
いや、x座標だけ求められれば、どうにかなるでしょう。
中点は、与えられた直線AB上にあります。
x座標がわかれば、直線の式に代入することで、y座標を求めることができます。
では、目標は、中点のx座標を求めること。
それには、点A、Bのx座標を求めること。
点A、Bのx座標・・・。
それは、与えられた放物線と直線との交点のx座標ですから、2つの式を連立して、yを消去すればよいでしょう。
やってみましょう。
y=x2 と y=m(x-1) を連立して、
x2=m(x-1)
整理すると、
x2-mx+m=0 ・・・①
これを解く場合、解の公式を使うことも可能ですが、ここで、2次方程式の解と係数との関係を思いだせると、計算が楽になります。
解と係数との関係。
どういうものだったでしょうか?
2次方程式 ax2+bx+c=0 の異なる2つの解をα、βとすると、
α+β=-b/a、αβ=c/a
というものでした。
最終的に求めるものが中点の座標なのですから、α+β=-b/aは有効に利用できそうです。
中点の座標は、各座標を足して2で割りますから。
点A、Bのx座標をα、βとすると、解と係数との関係から、
α+β=m
よって、点Pのx座標は、
x=α+β / 2=1/2m となります。
また点Pは、直線y=m(x-1)上の点であるから、
y=m(1/2m-1)=1/2m2-m
これで、媒介変数表示ができました!
x=1/2m ・・・②
y=1/2m2-m ・・・③
ここから媒介変数mを消去しましょう。
②より、
1/2m=x
m=2x
これを③に代入して、
y=1/2(2x)2-2x
=1/2・4x2-2x
=2x2-2x
これが、点Pの軌跡です。
・・・ところで、定義域は?
xはすべての実数で大丈夫でしょうか?
この問題、mに変域があり、したがって、xにも変域があるのではないでしょうか?
mの変域?
もう一度、①の式に戻りましょう。
x2-mx+m=0 ・・・①
これは、放物線と直線の方程式を連立させたものでしたが、放物線と直線は、常に異なる2点で交わるとは限りません。
1点で接する場合もありますし、共有点をもたない場合もあるでしょう。
しかし、今回、「異なる2点ABで交わる」と、問題にあります。
ということは、①の方程式は、異なる2つの実数解があるということです。
・・・判別式!
そう。
その発想が必要だったのです。
①が異なる2つの実数解をもつことから、
判別式D=m2-4m>0
これを解いて、
m(m-4)>0
m<0 , 4<m ・・・④
x=1/2m ・・・② より、
m=2x ですから、これと④より、
2x<0 , 4<2x
これを解いて、
x<0 , 2<x
よって、求める軌跡は、
放物線y=2x2-2xのx<0 , 2<xの部分です。
こうやって解答を見てから、改めて問題に戻ると、この問題を自力で解けない原因がわかってくると思います。
まず、点P(x , y)とおく、という最初の発想が出てこない人。
中点の座標の求め方を忘れている人。
中点が直線AB上にあるという発想をもてない人。
放物線と直線を連立するという発想をもてない人。
解と係数との関係を忘れている人。
判別式を忘れている人。
これらのどこかの段階で詰まってしまうと、その先に進めないのです。
それは、交点の座標は、放物線と直線を連立して求めるのだという中学数学を忘れているという、かなり深刻な状態の場合もあります。
2次方程式の判別式といった、数Ⅰの知識が抜け落ちてしまっている場合もあります。
2次方程式の解と係数との関係といった、数Ⅱの学習内容を早くも忘れているという場合もあります。
中点Pが直線AB上にあるということがわからず、説明されても「え?」「え?」となってしまう場合もあります。
方程式が出来上がるともう安心し、「変域は?」と考える習慣がないといった場合もあります。
1題の応用問題を解く過程で、課題があぶりだされてきます。
応用力がないのは基礎力がないことも大きな原因、という課題が見えてくると思います。
発想しようとしても、発想するための下地が自分の中にない。
テストが終われば定理や公式はすべて忘れて、それでいいと思ってきた。
数学は、積み上げ科目です。
今まで学習してきたすべてを、これからも使います。
忘れてしまっていることが多いと感じたら、復習しましょう。
春休みは良い機会。
復習の時間を作ってください。
今回は、放物線の弦の中点に関する問題です。
問題 放物線 y=x2 と直線 y=m(x-1) が異なる2点A、Bで交わっているとき、線分ABの中点の軌跡を求めよ。
さあ、いよいよ難しくなってきました。
どうやって解いたらいいのでしょう?
線分ABの中点をP(x , y) とおく。
とりあえず、この1行だけは、何が何でも書きたいですね。
それが、第一歩です。
問題集の解答解説を読んで、解き方は理解できるのだが、類題は解けない。
テストになると、頭が真っ白になって、解けない。
そういう悩みを抱えている人が多いかと思います。
解き方が理解できるだけでは、自力で解けるようにはならないことがあります。
なぜその解き方をするのか、最初の発想が自分のものになっていない限り、全く同じ構造で数値が異なる問題しか解けない。
しかも、高校数学の問題はパターンが多すぎるので、丸暗記はかなり苦しい。
そうなりがちです。
解き方を発想するには、「どうすれば答が出るのか」と後ろから考えることが必要になってきます。
しかし、問題集の解答解説は、答案を前から順番に書いてあります。
なぜそう解くのか、解答解説だけでは、最初の発想がわからないことが多いのです。
数学の自学自習が難しい理由はそこにあります。
なぜそのように解き始めているのか、それについてのヒントや解説があれば、あとは自力で解ける人は多いと思うのです。
今、線分ABの中点の軌跡を求めたいのです。
どの数値が必要でしょうか?
点A、Bの座標が必要です。
中点は、点A、Bのx座標、y座標をそれぞれ足して2で割った座標になります。
いや、x座標だけ求められれば、どうにかなるでしょう。
中点は、与えられた直線AB上にあります。
x座標がわかれば、直線の式に代入することで、y座標を求めることができます。
では、目標は、中点のx座標を求めること。
それには、点A、Bのx座標を求めること。
点A、Bのx座標・・・。
それは、与えられた放物線と直線との交点のx座標ですから、2つの式を連立して、yを消去すればよいでしょう。
やってみましょう。
y=x2 と y=m(x-1) を連立して、
x2=m(x-1)
整理すると、
x2-mx+m=0 ・・・①
これを解く場合、解の公式を使うことも可能ですが、ここで、2次方程式の解と係数との関係を思いだせると、計算が楽になります。
解と係数との関係。
どういうものだったでしょうか?
2次方程式 ax2+bx+c=0 の異なる2つの解をα、βとすると、
α+β=-b/a、αβ=c/a
というものでした。
最終的に求めるものが中点の座標なのですから、α+β=-b/aは有効に利用できそうです。
中点の座標は、各座標を足して2で割りますから。
点A、Bのx座標をα、βとすると、解と係数との関係から、
α+β=m
よって、点Pのx座標は、
x=α+β / 2=1/2m となります。
また点Pは、直線y=m(x-1)上の点であるから、
y=m(1/2m-1)=1/2m2-m
これで、媒介変数表示ができました!
x=1/2m ・・・②
y=1/2m2-m ・・・③
ここから媒介変数mを消去しましょう。
②より、
1/2m=x
m=2x
これを③に代入して、
y=1/2(2x)2-2x
=1/2・4x2-2x
=2x2-2x
これが、点Pの軌跡です。
・・・ところで、定義域は?
xはすべての実数で大丈夫でしょうか?
この問題、mに変域があり、したがって、xにも変域があるのではないでしょうか?
mの変域?
もう一度、①の式に戻りましょう。
x2-mx+m=0 ・・・①
これは、放物線と直線の方程式を連立させたものでしたが、放物線と直線は、常に異なる2点で交わるとは限りません。
1点で接する場合もありますし、共有点をもたない場合もあるでしょう。
しかし、今回、「異なる2点ABで交わる」と、問題にあります。
ということは、①の方程式は、異なる2つの実数解があるということです。
・・・判別式!
そう。
その発想が必要だったのです。
①が異なる2つの実数解をもつことから、
判別式D=m2-4m>0
これを解いて、
m(m-4)>0
m<0 , 4<m ・・・④
x=1/2m ・・・② より、
m=2x ですから、これと④より、
2x<0 , 4<2x
これを解いて、
x<0 , 2<x
よって、求める軌跡は、
放物線y=2x2-2xのx<0 , 2<xの部分です。
こうやって解答を見てから、改めて問題に戻ると、この問題を自力で解けない原因がわかってくると思います。
まず、点P(x , y)とおく、という最初の発想が出てこない人。
中点の座標の求め方を忘れている人。
中点が直線AB上にあるという発想をもてない人。
放物線と直線を連立するという発想をもてない人。
解と係数との関係を忘れている人。
判別式を忘れている人。
これらのどこかの段階で詰まってしまうと、その先に進めないのです。
それは、交点の座標は、放物線と直線を連立して求めるのだという中学数学を忘れているという、かなり深刻な状態の場合もあります。
2次方程式の判別式といった、数Ⅰの知識が抜け落ちてしまっている場合もあります。
2次方程式の解と係数との関係といった、数Ⅱの学習内容を早くも忘れているという場合もあります。
中点Pが直線AB上にあるということがわからず、説明されても「え?」「え?」となってしまう場合もあります。
方程式が出来上がるともう安心し、「変域は?」と考える習慣がないといった場合もあります。
1題の応用問題を解く過程で、課題があぶりだされてきます。
応用力がないのは基礎力がないことも大きな原因、という課題が見えてくると思います。
発想しようとしても、発想するための下地が自分の中にない。
テストが終われば定理や公式はすべて忘れて、それでいいと思ってきた。
数学は、積み上げ科目です。
今まで学習してきたすべてを、これからも使います。
忘れてしまっていることが多いと感じたら、復習しましょう。
春休みは良い機会。
復習の時間を作ってください。
Posted by セギ at 11:29│Comments(0)
│算数・数学
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。