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2021年03月01日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と領域。媒介変数と軌跡。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と領域。媒介変数と軌跡。

軌跡と領域。今回は少し発展的な内容です。

問題 実数 t が次の(1)、(2)の範囲で変化するとき、放物線 y=x2-2tx+4t の頂点の軌跡の方程式を求めよ。
(1) すべての実数値
(2) 0≦t≦3

こうなると、何をどうして良いのか、問題を読んで途方に暮れる人もいるかもしれません。
しかし、ともかく、できることをやってみるのが大切です。
数学の応用問題を解くには、そのように、無駄なのかもしれない第一歩をとにかく踏んでみることです。
解き方の作業手順を覚えようとしても、高校数学は、問題のパターンごとに作業手順が異なり、しかも、その作業手順自体が複雑で、もう覚えきれないという思いを抱いてる人もいると思います。
なぜそう解くのかを理解すること。
手順を自力で判断すること。
自分の中で、「まずこうやってみる」という判断の基準を持つこと。
放物線を見たら、まずは平方完成してみるのは、そうした判断基準の1つです。

頂点というのですから、頂点がわかるように、与えられた放物線を平方完成しましょう。
y=x2-2tx+4t
=(x-t)2-t2+4t
すなわち、頂点の座標は、(t,-t2+4t)です。
この頂点の軌跡を求めるのですね。

t が変化すれば、頂点の座標も変化していきます。
例えば、t=0、1、2、・・・と変化すれば、
頂点は、(0 , 0) , (1 , 3) , (2 , 4)・・・と変化します。
これらの点のx座標とy座標にどのような関係があるか?

求める頂点の座標を(x , y)としましょう。
これも、軌跡を求める問題の鉄則です。
このxとyとの関係を表す式が、すなわち、軌跡の方程式です。

今回、それが、(t , -t2+4t)なのですから、
x=t
y=-t2+4t
という関係が成立します。

このように、x と y を別の文字を用いて表す方法を、「媒介変数表示」と呼びます。
ここでは、文字 t が、媒介変数(パラメータ)です。
t の値が1つに定まると、(x , y) の値は1つに定まり、t が変化すると、(x , y) は座標平面上を動き、図形を描きます。

この「媒介変数表示」は、数Bで学習する「ベクトル」で再び登場します。
最初は簡単だと思っていた「ベクトル」が、内積が出てきたあたりから怪しい雲行きになり、この媒介変数表示やベクトル方程式が出てくると、もう全く意味がわからずホワイトアウト・・・。
ありがちな成り行きです。
せめて、媒介変数表示は、ベクトルで急に出てきたものではなく、以前に学習したことがあるという記憶があれば、抵抗感も多少は和らぐと思います。

ところで、この問題は、媒介変数表示をして終了、ということでよいのでしょうか?
問題は、軌跡の方程式を求めることでした。
上に書いたものは、媒介変数表示であり、方程式ではありません。
xとyとの関係を、他の文字を介在させずに表すことができないでしょうか?
この t は、消去できるのではないか?
できますよね?

t=x を、y=-t2+4tに代入すると、
y=-x2+4x
すなわち、頂点の軌跡は、放物線 y=-x2+4x です。
これが、(1)の答えです。

続いて、(2)。
0≦t≦3 と、媒介変数に変域があります。
x=t ですから、
0≦x≦3 です。
よって、(2)の答えは、
放物線 y=-x2+4x (0≦x≦3)
となります。


もう1つ、類題を解いてみましょう。

問題 円 x2+y2+3ax-2a2y+a4+2a2-1=0 がある。aの値が変化するとき、円の中心の軌跡を求めよ。

今度は円の中心の軌跡。
やはり、与えられた式を整理したうえで、まず、円の中心を媒介変数表示してみましょう。
x2+y2+3ax-2a2y+a4+2a2-1=0
(x+3/2a)2+(y-a2)2=-a4-2a2+1+9/4a2+a4
(x+3/2a)2+(y-a2)2=1/4a2+1

よって、円の中心の座標を(x , y) とすると、
x=-3/2a
y=a2

ここから、a を消去します。
-3/2a=xより、
a=-2/3x
これをy=a2 に代入して、
y=(-2/3x)2=4/9x2

したがって、求める軌跡は、放物線 y=4/9x2
これが解答です。



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    Posted by セギ at 11:07│Comments(0)算数・数学
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