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2021年01月08日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。2円の位置関係。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。2円の位置関係。

さて、今回は、2円の位置関係に関する問題です。

問題 円x2+y2=9 ・・・①
    x2+y2-10x+k=0 ・・・②
   が、共有点を持つようなkの値の範囲を求めよ。

さて、これも、ピンとこなかったら、自分で図を描いてみると良い問題です。
円x2+y2=9 は、中心が原点、半径が3の円です。
これは、確定していますので、描くことができます。
確定しているものは、迷わず描くことです。
「問題の解き方がわかってから、図を完成させる」
と誤解している人がいるのですが、完成したイメージがあるのなら、図を描く必要はないのです。
わからないから図を描く。
自分の助けになる図を描く。
前にも書きましたが、問題というのは1つのカタマリではないのです。
分割し、分析して解いていきます。

わかる部分だけでも解いてみる。
そうやって、問題の核心に迫っていきます。

しかし、そのようなアプローチをしたことがなく、「全てか0か」になってしまう人は、図を描くということも、「何も描かないか、完成した図を描くか」になってしまうようです。
図は、自分が考えるために描きます。
考える材料としての図なので、わかることだけ、まず図にしていきます。

座標平面上に、x2+y2=9 の円をとりあえず描いてみましょう。
そして、考えます。
この円と共有点を持つ円というのは、どういうものだろう?
そこで気づきます。
もう1つの円の式も、どんな円なのかわかるように、整理しておかなければ。

x2+y2-10x+k=0
(x-5)2+y2=-k+25

この円の中心は(5,0)だとわかりました。
x軸上にあります。
x2+y2=9 の中心は原点ですから、中心間の距離は5であることがわかります。

また、②の円の半径は、√(-k+25)
この半径が伸び縮みすることで、x2+y2=9 の円と共有点を持ったり持たなかったりするのだと気づきます。

2円の位置関係については、覚えられるのなら覚えたら良いのです。

定理としては、
2円の半径をr1、r2、2円の中心間の距離をdとするとき、
2円が外にあって共有点をもたないとき、
d>r1+r2
2円が外接するとき、
d=r1+r2
2円が交わるとき、
|r1-r2|<d<r1+r2
2円が内接するとき、
d=|r1-r2|
一方が他方に含まれ、共有点を持たないとき、
d<|r1-r2|

しかし、これをただ丸暗記するのは、大変です。

上の問題で実際に考えてみましょう。
円②の半径が一番小さくて、それでも①の円と共有点を持つ場合を考えてみます。
円①の右に円②があり、2円が接している場合がそうですね。
接しているので、2円の半径の和は、2円の中心間の距離です。
すなわち、d=r1+r2 ということです。
3+√(-k+25)=5 のときが最小です。

また、円②の半径が一番大きくて、それでも①の円と共有点を持つ場合を考えてみます。
円②が本当に大きくて、円①を含みこんで接している場合がそうでしょう。
その場合、円②の半径から円①の半径を引いた値が2円の中心間の距離となります。
え?
と思う人は、実際に図を描いてみて、r1、r2を書き込んでみてください。
それはそうだなと、気づきます。
一般化するとき、r1、r2のどちらが大きいかわかりませんから、|r1-r2|とすれば、大きいほうから小さいほうを引いた差となります。
すなわち、内接するとき、d=|r1-r2| です。
√(-k+25)-3=5 のときが最大です。

3+√(-k+25)=5 より
√(-k+25)=2
-k+25=4
-k=-21
k=21

√(-k+25)-3=5 より
√(-k+25)=8
-k+25=64
-k=39
k=-39

よって、
-39≦k≦21
これが、答です。

このように分けて解くと案外シンプルなのですが、問題集はそのように解いていないことが多く、解答解説の意味がわからない、という質問を受けることがあります。
最大・最小の場合を考えるところまでは自力でできたとしても、解答の、
√(-k+25)-3≦5≦√(-k+25)+3
という不等式の意味が、よくわからないというのです。

大小の感覚がそこで歪む、ということがあるのかもしれません。
√(-k+25)-3は、最大の値。
√(-k+25)+3は、最小の値。
だから、
√(-k+25)+3≦5≦√(-k+25)-3
なのではないか?
というのです。

それは感覚的な誤解なのですが、一度誤解するとなかなか解決しないことがあります。
√(-k+25)-3は、最大の値ですから、最大で5です。
だから、√(-k+25)-3≦5
√(-k+25)+3は、最小の値ですから、最小で5です。
だから、5≦√(-k+25)+3
これを1つの不等式にすると、
√(-k+25)-3≦5≦√(-k+25)+3
です。

また、不等式の意味はわかったけれど、その後の計算が上手くいかない、という人もいます。
確かに、少し解きにくい。
これは、いったん分けて解いてみましょう。
√(-k+25)-3≦5より、
√(-k+25)≦8
また、
5≦√(-k+25)+3より、
2≦√(-k+25)
よって、
2≦√(-k+25)≦8
となります。
全体を2乗して、
4≦-k+25≦64
-21≦-k≦39
-39≦k≦21
これが答です。

問題集の解答解説がそのようになっているからといって、無理して真似する必要はないと思います。
自分がわかるように解くことが大切。
どのように解いているか適宜解説を加えた答案を完成させるならば、最初のほうの解き方で何も問題ありません。




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    Posted by セギ at 12:37│Comments(2)算数・数学
    この記事へのコメント
    この問題を見たとき、②のx^2+y^2に①を代入して
    9-10x+k=0
    として k=10x-9 が円①②の交点のx座標の満たす条件となり、
    これと①でxの範囲が-3≤x≤3
    とわかるから-39≤k≤21
    という解答はあり得ますが、高校生としてはこの解法は思いつかないのでしょうか?x^2+y^2の塊が両式で見えますから、かなり自然に行きそうに見えます。①から-3≤x≤3 という部分が高校生には思いつかないですかね。
    Posted by saitou at 2021年01月10日 11:09
    コメントありがとうございます。
    スマートな解き方ですね。
    そのように解ける子もいると思います。
    「そんなことをしていいの?」
    と感じる子も多いと思います。
    Posted by セギセギ at 2021年01月11日 08:10
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