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2020年08月26日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その6。恒等式の利用。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その6。恒等式の利用。

今回は、こんな問題を。

問題 2直線 2x+y-5=0、3x-2y-11=0 の交点と、点(1,-2) を通る直線の方程式を求めよ。

・・・あれ?
簡単すぎる・・・?
こういう問題は、以前に学習しましたよね。

では、まず、その解き方から。

2点の座標がわかれば、直線の方程式は求められます。
1点は、問題で示されている点(1,-2)。
あと1点は、2直線の交点。
まず、これを求めましょう。
2直線の方程式を連立して解きます。
2x+y-5=0   ・・・①
3x-2y-11=0 ・・・②

①×2+②
  4x+2y-10=0
+)3x-2y-11=0
 7x  -21=0
     7x=21
      x=3 ・・・③

③を①に代入して、
6+y-5=0
   y=-1

よって、交点の座標は(3,-1) です。

すなわち、求める直線は、点(1,-2) , (3,-1) を通りますから、2点を通る直線を求める公式に代入して、
y+2=1/2(x-1)
y=1/2x-1/2-4/2
y=1/2x-5/2

これが答となります。


この解き方で構わないのですが、後に、2円の共有点と他の1点を通る円の方程式などを求める際に利用する解き方があります。
こちらのほうが汎用性が高いです。
ただし、これからの数学の多くはそうですが、汎用性の高い考え方は、難しいです。
できるだけわかりやすく説明したいと思いますが。
まずは、答案を見てみてください。

2直線、2x+y-5=0、3x-2y-11=0 の交点を通る直線の方程式は、
k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0 ・・・① と表される。
この直線が、点(1 , 2) を通るから、
k(2-2-5)+(3+4-11)=0
-5k-4=0
-5k=4
k=-4/5
これを①に代入して、
-4/5(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
-4(2x+y-5)+5(3x-2y-11)=0
-8x-4y+20+15x-10y-55=0
7x-14y-35=0
x-2y-5=0

これが答です。


・・・はあ?
何それ?
何をしたの?
そのkって何?

そのような声が、絶叫レベルで聞こえてきそうな気がします。

上の答案は、冒頭の2行が謎に満ちていると感じる人が多いでしょう。

2直線、2x+y-5=0、3x-2y-11=0の交点を通る直線の方程式は、
k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0 と表される。

・・・何それ?
何で、2直線の交点を通る直線の方程式が、そんなもので表されるの?

問題は、そこですよね。

これは、kについての恒等式なんです。
kの値が何であっても、この式は成立するということなのです。

・・・どういうこと?

それでは、kの値が何であってもこの式が成立するための条件を考えてみましょう。
k(2x+y-5)の部分の、(2x+y-5)の値が0でなければ、そんなものは成立しません。
この( )の中が、例えば1であったり、2であったり、何か0以外の数字になってしまったら、kの値によって、左辺=0 が成立することもあれば成立しないこともある、となってしまいます。
kの値が何であってもこの式が成立するためには、kの係数は0である必要があります。
だから、2x+y-5=0 です。
また、それだけでは、必ず左辺=0 とはなりません。
後半の( )の中身、3x-2y-11=0 も同時に満たさなければ、左辺=0 とはなりません。

ということは、どういうことか?
k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
という式が常に成り立つということは、2x+y-5=0、かつ、3x-2y-11=0 だということです。

2x+y-5=0、かつ、3x-2y-11=0
そのときの x と y の値は、この2つの式を連立して解いた解ということです。
それは、この2直線の交点の座標ですよね?
だから、
k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
という式が表す直線は、2直線の交点の x 座標と y 座標の値のときは、k の値が何であっても、必ず成立するのです。
すなわち、この直線は、k の値は謎のままであっても、2直線の交点の x 座標と y 座標の関係は満たします。
つまり、この直線は、2直線の交点を必ず通るのです。
わさわざ計算して交点の座標を求めなくても、その交点を通る直線を表すことができるのが、この解き方の利点です。

それでもまだもやもやするという人のために、一応確認しておきましょうか?
冒頭の求め方で、2直線の交点の座標は出してありました。
交点は、点(3,-1) でしたね。
この値を、この k を用いた式に代入してみましょう。
k(6-1-5)+(9+2-11)=0
0・k+0=0
確かに、これなら、kが何であっても、成立します。
2直線の交点(3,-1) の値を代入すると、kが何であってもこの式は成立します。
つまり、この直線は、kの値が何であっても、必ず点(3,-1) は通るのです。

ただし、このままでは、kが定まっていません。
2直線の交点は必ず通るけれど、傾きもy切片も定まりません。
2直線の交点のところでピン留めされた直線が、360度、ぐるぐる回るイメージを抱いてください。
k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
という式が表しているのは、そういう、ぐるぐる回る無数の直線なのです。

このkが定まるとき、その直線は1つに定まります。
回転をやめ、定まった傾きとy切片をもった直線の式となります。

では、どうやってkを求めましょう?
問題を見直してみましょう。

問題 2直線 2x+y-5=0、3x-2y-11=0 の交点と点(1,-2) を通る直線の方程式を求めよ。

求める直線は、点(1,-2) を通るのです。
ならば、求める直線は、
k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
という式で表されるうえに、さらに、x=1 のときy=-2 という条件を満たすということです。
そのとき、kの値はただ1つに定まります。
代入してみましょう。
k(2-2-5)+(3+4-11)=0
これをkについて解きます。
-5k-4=0
-5k=4
k=-4/5

2直線の交点を通る直線は、360度回転して無数に存在するけれど、k=-4/5であるとき、点(1,-2) を通ります。
では、このkの値を、k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0 の式に代入すれば、求める式になるでしょう。
代入しましょう。
-4/5(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
これを整理しましょう。
両辺を5倍して、
-4(2x+y-5)+5(3x-2y-11)=0
展開すると、
-8x-4y+20+15x-10y-55=0
7x-14y-35=0
x-2y-5=0

これが、求める直線です。
一番上の求め方では、y=1/2x-5/2となりました。
形が違うだけで、同じ式です。
確かめましょうか。
x-2y-5=0 を、yについて解いてみましょう。
-2y=-x+5
y=1/2x-5/2
やはり、同じ式ですね。


なぜkを用いるのかが理解できたところで、細かい疑問が浮かぶ人もいるかもしれせん。
k(2x+y-5)+(3x-2y-11)=0
という式は、なぜ、2x+y-5のほうにkをかけたのか?
3x-2y-11のほうにkをかけてはいけないのか?

どちらでも、大丈夫です。
同じ結果が出ます。
同じ交点を通る直線の式を表しているのですから。

でも、不安な人もいるかもしれません。
試してみましょう。

k(3x-2y-11)+(2x+y-5)=0 
これが点(1,-2)を通るから、
k(3+4-11)+(2-2-5)=0
-4k-5=0
-4k=5
k=-5/4 

kの値が違うっ、と慌てないで。
この段階では違う値が出ます。

このkを、k(3x-2y-11)+(2x+y-5)=0 に代入します。
-5/4(3x-2y-11)+(2x+y-5)=0
-5(3x-2y-11)+4(2x+y-5)=0
-15x+10y+55+8x+4y-20=0
-7x+14y+35=0
x-2y-5=0

無事に、同じ式となりました。
大丈夫です。
どちらでも、好きなほうの直線をk倍してください。





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