たまりば

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2020年04月20日

2桁×2桁を暗算する方法。

2桁×2桁を暗算する方法。


2桁×2桁のかけ算を暗算でできたらいいのになあと思ったことがあるでしょうか。

ただ、暗算というのは、本人が思うよりもずっと時間がかかるのです。
頭を使ってものを考えているとき、時間の流れはとても速いのです。
だから、暗算すればほとんど時間がかからないような錯覚を本人は抱いていても、客観的に見ていると、何をいつまでもぼんやりしているのだろうと不可解なほどの時間が流れています。
しかも、計算ミスする子の多くは、暗算で失敗する子たちです。
答案を見ると、わざと1行とばしに計算過程を書いているの?という書き方の子が、数学で基本問題を失点する子には多いのです。
「数学のテストはいつも時間が足りない」
と本人は言うのですが、時間が足りない原因の1つは無理な暗算に時間がかかっていることです。
明らかに、書いたほうが速い。
比較的丁寧に書いている私は、無理な暗算をしているその子と同じ問題を解いても半分の時間で解き終わります。

全ての暗算をやめろと言っているわけではありません。
無駄な行は書かなくていい、と常々話しています。

例えば、中学数学の初期の頃は、教科書も参考書も、こんなふうに計算過程を書いてあります。

-1+4-2+5
=-1-2+4+5
=-(1+2)+(4+5)
=-3+9
=6

これは解説のために丁寧に書いているので、本来、2行目と3行目は不要です。

-1+4-2+5
=-3+9
=6

これで十分安全に計算していけます。
教科書は、解き方を説明しているので、実際の答案がそうでなければならないということではないのです。
実際に計算するなら、上のように3行で書いていくのが、安全で無理がありません。

しかし、暗算に固執する子は、
-1+4-2+5
=6
と書きたがります。

それが瞬時になされ、精度も極めて高いのなら、私も文句は言いません。
けれど、私が上のように3行書いている間に、うんうんうなって暗算して、結局、私より答を書くのが遅くなり、しかもしばしば計算ミスをするのなら、暗算はしないでほしい。
しっかり書いていくことでスピードと精度を保ちましょう。


方程式も同様です。
例えば、

5x+2=2x-7
5x-2x=-7-2
  3x=-9
   x=-3

教科書に書いてあるこの模範解答のうち、2行目は不要です。
移項しながら計算することくらいは、無理なくできます。

5x+2=2x-7
  3x=-9
   x=-3

これで十分安全に計算できます。

ところが、これも暗算したがる子は、
5x+2=2x-7
   x=3
などと誤答してしまいます。
移項して、たし算して、それからわり算してと、いくつもの作業を一度に行うために、結局、符号にまで意識が回らないのです。
よくあるミスです。


暗算撲滅、全部筆算しろ、と言っているのではありません。
ある程度の暗算は必要です。
分数の約分をするときにもわり算の筆算が必要という計算力の子もいます。
それでは困ってしまいます。
42÷2の商が、筆算しないとわからない。
42÷3を、筆算しないとできない。
そもそも、42が3で割り切れることに気づかない。
それでは、困ります。

目安としては、×1桁、÷1桁の計算は、暗算でできること。
2桁+2桁、2桁-2桁の計算は、暗算でできること。
それくらいの計算力があり、あとは頭を使うよりも手を使って式を書いていけば、それなりにスピードと精度を保って計算できます。


そんなわけで、暗算に対しては消極的、というより懐疑的な私ですが、今は時間のあるときです。
頭の体操のつもりで、ちょっと2桁×2桁の暗算の練習でもしてみましょうか?
実際に使うかどうかは、また別の話として。


まずはその仕組みから。
十の位がa、一の位がbである整数と、十の位がx、一の位がyである整数をかけるとします。
文字式で表すと、(10a+b)(10x+y) と表すことができます。
これを展開すると、
100ax+10ay+10bx+by
となります。
これを筆算のように書いてみると、

  ab
x xy
axby
 ay
 bx

と表すことができます。
ここで、3行目の ax や by は、実際に計算した積のことであり、文字そのものではありません。

例えば、36×27 は、

  36
× 27
 642  ・・・2×3=6 の横に、6×7=42 を書いたもの。
 21   ・・・3×7=21 を書いたもの。
 12   ・・・2×6=12 を書いたもの。
 972

となります。

この構造をしっかり理解していると暗算が可能です。
  36
× 27

まずは6×7=42 の2が一の位にくることは確定です。

  36
× 27
   2

次に、先ほどの6×7=42 の4と、互いの十の位と一の位とをたすきにかけた答えの一の位の数とを足したものが、答えの十の位となります。
上の例で言えば、3×7=21の1と、6×2=12の2です。
4+1+2=7
これて、十の位は7だとわかります。

  36
× 27
  72

先程の十の位を出すためのたし算に繰り上がりの数があったら忘れずにメモをしておきますが、今回はありませんでした。
次は、互いの十の位どうしをかけた数3×2=6の6と、互いの十の位と一の位とをたすきにかけた答えの十の位を足します。
6+2+1=9
これは2桁になったらそのまま、千の位から書いていきます。
今回は、百の位におさまりましたね。
先程の繰り上がりがあったら、それもたします。


  36
× 27
 972

これが答えです。

慣れないうちは大変ですが、慣れれば機械的作業ですから、暗算が可能です。
こんな苦労をするくらいなら普通の筆算のほうがいいと私は思いますが。
ただ、この方式で筆算する、という手もあります。

  36
× 27
 642
 21
 12 
 972

まずはかけ算に集中し、最後にまとめてたし算するので、途中の繰り上がりに頭を使わなくて済みます。
日本式の筆算は、繰り上がりを意識しながら、かけ算とたし算を同時にこなさなくてはならず、そこでミスする子が多いのです。

とはいえ、周囲が普通の筆算をしているのに1人だけこの方式でかけ算するというのは、もしも混乱したときに補助してくれる人が存在しません。
リスクが高いです。
間違えたときに、何を間違えたのか指摘したり補助したりしてくれる先生も友達もいないことを覚悟しなくてはなりません。


ずっと前にこのブログに書きましたが、アメリカ式のひき算と日本式のひき算との間で苦労していた子に授業したことがあります。
アメリカ人のお父さんと日本人のお母さんとの間に生まれた子でした。
小学校の途中まではアメリカに住んでいて、アメリカ式のひき算を学習したのですが、途中から日本で暮らすようになりました。
インターナショナルスクールに通えば問題なかったのでしょうが、両親の強い希望で日本の公立学校に転入したため、日本式のひき算を途中からやらねばならなくなりました。

ところで、アメリカ式のひき算とはどのようなものか?
アメリカ式とはいっても、アメリカ全土で同じようにやっているのかどうかは未確認なのですが、その子がやろうとしている計算は、日本のひき算とは異なるものでした。
例えば、14-7 の計算。
日本では、まず一の位の計算をする際、4から7は引けないので、十の位から10を下ろして、14-7=7 とします。
その計算をさらに詳しく語るならば、下ろしてきた10から7を引いて、10-7=3。
その3と、もともと一の位にあった4をたして、3+4=7 です。

ところが、その子の引き算は、
4から7が引けないことを確認したら、まず7-4=3 をします。
日本では禁じ手である、下から上をひく計算をするのです。
これで、ひけない分、つまり不足分が3であることがわかります。
その不足分は、十の位から10を下ろしてきて引きます。
10-3=7 です。
したがって、14-7=7 です。
日本は、引いてから足します。
アメリカ、引いて、さらに引くのです。

それぞれ理屈は正しいので、どちらかのやり方を貫き通せば何も問題ないのですが、その子はアメリカではアメリカ式、しかし、日本に帰ってからは日本式で教えられ、ごちゃごちゃになってしまったようです。
14-7=13
といった誤答が多く見られました。
いったん癖になってしまうと、こういう基本的なことはなかなか治りません。
長期に渡る丹念な指導が必要でした。

多少複雑でも、1つのやり方で通したほうが、結局は合理的。
結論はそうなってしまうかもしれません。
上で説明した、2桁×2桁の暗算も、そんなやり方もできる、ということにとどめておいたほうがいいのだろうと思います。




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