たまりば

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2019年06月26日

数学Ⅱ「式と証明」多項定理。

数学Ⅱ「式と証明」多項定理。

今回は、「多項定理」の学習です。
例えば、こんな問題です。

問題 (a+b+c)7の展開式におけるa3b2c2の係数を求めよ。

まずは、(a+b+c)7を逐一展開することをイメージしましょう。
考え方の基本は二項定理のときと同じです。
(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)(a+b+c)
と書いてみるとわかりやすいと思いますが、この7つの( )から文字を1つずつ選んでかけたものが、展開した際の1つ1つの項となります。
aaaaaaaすなわちa7は1度しか出てきませんので、係数は1だとすぐわかりますが、aaabbccすなわちa3b2c2は、何回も同じものが出てくるでしょう。
どの( )からaを選び、どの( )からbを選び、どの( )からcを選ぶのか。
それらを選んで並べた順番だけ、同じ項が出てきます。
aaabbccだったり、aababccだったりと、文字の順番はそれぞれ違うでしょうが、まとめるとa3b2c2となることに変わりはない同類項です。
そしてそれの出てきた回数が、a3b2c2の係数となるでしょう。

それは、aaabbccを並べる順列の数と同じです。

すなわち、ここでも用いるのは「同じものを含む順列」です。
「同じものを含む順列」の考え方は2通りあります。
前回は並んだ箱をイメージして、特定の文字を入れる箱をそこから選ぶという考え方を用いました。
今回は別の考え方を用いてみましょう。
aaabbccで言えば、まずは7つの文字の順列を単純に考えます。
すなわち、7P7=7!ですね。
しかし、これは、同じ文字を別のものとして数えています。
aについて考えれば、aの後ろに番号をつけて区別して、3つのa1,a2,a3をそれぞれ別の文字として数えていることになります。
しかし、表面的には、それらは同じ文字です。
a1,a2,b,a3,b,c,c も、a2,a3,b,a1,b,c,c も、実質は同じ並べ方で、区別する必要がありません。
7!では、同じ並べ方を何度もかぶって計算していることになります。
どれだけかぶって計算しているでしょうか?
上の例で言えば、
〇〇b〇bcc
の〇の位置にaがあります。
その3つの〇にa1,a2,a3を並べる順列だけ、同じ並べ方を何度もかぶって計算しているでしょう。
すなわち、aに関しては、7!を3!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
次に、bについてはどうでしょう。
これも同じで、2つのbの位置にどちらのbを入れても実質は同じなので、bの並べ方だけかぶって計算していますから、2!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
最後のcについても同様に、2!で割ることで本当の順列の数が出てきます。
すなわち、7!/(3!2!2!) をすることで、正しい順列の数が導かれます。
7!/(3!2!2!)
=(7・6・5・4・3・2・1)/(3・2・1・2・1・2・1)
=7・6・5
=210

これがa3b2c2の係数です。

ところで、前回のようなCを使った求め方はできないでしょうか。
上の問題で言えば、まず7つの並んだ箱をイメージします。
その7つから、aを入れる3つの箱を選びます。
すなわち、7C3です。
次に、残った4つ箱からbを入れる箱を選びます。
これは、4C2です。
上の2つは積の関係が成り立ちますから、7C3・4C2で全体の数を求めることができます。
ここで、残った2つの箱には自動的にcが入ります。
だから計算しなくても良いのですが、2つの箱から2つを選ぶ、すなわち2C2をやるとしても、同じ結果になります。
2C2=1ですから。
それをあえて書くと、
7C3・4C2・2C2
=(7・6・5/3・2・1)×(4・3/2・1)×(2・1/2・1)
分数で表記するとよりわかりやすいと思いますが、これは上の解き方の、
(7・6・5・4・3・2・1)/(3・2・1・2・1・2・1)
と全く同じ式です。
結局、この2つは同じ式になるのです。
だとしたら、上の解き方のほうが、簡単に立式できそうです。
7!/3!2!2!
の分子の「7」はどこから来た数字かというと、(a+b+c)7の「7」です。
分母の3!2!2!の「3」「2」「2」は何の数字かというと、a3b2c2という項のそれぞれの文字の指数です。
与えられた式の指数と求める項の指数を見ただけでささっと立式できます。
そのようにして公式化されたもの。
それが多項定理です。


別の問題も解いてみましょう。

問題 (a-b+2c)7 の展開式におけるa2b3c2の係数を求めよ。

まず、7!/(2!3!2!) は必要ですが、これだけではありません。
それぞれの項に1以外の係数がありますので、それも考えます。
bの係数は-1ですので、-bを3回かけたのですから、(-1)3も係数としてかけなければなりません。
cの係数は2ですので、22もかけなければなりません。
したがって、
7!/(2!3!2!)・(-1)3・2
=-210・4
=-840
これが答えとなります。


二項定理も多項定理も、一度出てくるとまたしばらく出てこないせいか忘れやすく、忘れてしまうと公式の意味がわからないので使えなくなり、また公式の意味を一から説明しなければならなくなることが多い定理です。
公式というのは不思議なもので、「この公式は以前に自分は理解した」「証明も理解した」という記憶が残っていれば、今、その証明を覚えていなくても、自信をもって使用できます。
しかし、公式自体を完全に忘れてしまい、学習した記憶すらないようだと、急に「この公式を使って」と言われても、気持ちが硬直し、手が止まってしまって使えない人が多いです。
その都度、なぜその公式で解けるのか、基礎の基礎に戻らなければなりません。
多項定理の場合、説明しようとすると順列や組合せの基礎にまで戻らないといけないですし、実は順列と組合せもよく理解できていなかったことが掘り起こされてしまったりします。
そうした復習は一度で済めば「良い機会だった」「良い復習ができた」という感想を教える者も教わる者も抱きますが、多くの場合、一度では済まない覚悟が互いに必要です。
そのときはわかったような気がしても、また忘れてしまう人が多いのです。
苦手なことを得意にするというのは、生易しいことではありません。
どうせまた忘れてしまうのだから、諦めて丸暗記して使えばいいのに・・・というわけにはいきませんし。

記憶が残るようになるまでは何度でも説明。
そうする覚悟が教える側に必要となります。

とはいえ、教わる側にも遠慮が生じるようです。
個別指導だから、わからないことは何度でも質問していいはずだけれど、センセイがちょっと変な顔をしているなあ・・・。
以前に説明したのに・・・という顔だなあ。
きっと説明されたんだろうなあ。
覚えてないけど。
ということはあるようです。

そんなときは、教科書や参考書、こうしたネットの記録や動画を利用するのをお薦めします。
応用問題の解き方などは調べてもわからない場合が大半と思いますが、基本の公式の意味と証明は、すぐに調べることができます。
何度でも復習できます。


少し話が変わりますが、先日、高校生から「英語のリスニング力を強化したい」という相談があり、それはリスニング教材で実際に練習するのも勿論だけれど、NHKのラジオ講座がいいよと話しました。
そのとき、その子は、問い返しました。
「え?NHKはラジオもそういうのをやっているんですか?英語もやっているんですか?」
「・・・うん?どういうこと?」
「高校の物理の先生がNHKの物理講座がいいというので、録画して見てるんで。あれはかなり助かります」
「・・・ああ。それは、NHK高校講座の番組ですね。テレビやラジオで番組を見たり聞いたりして、レポートを書いたり、テストを受けたり、スクーリングに参加したりすると、高校卒業の資格を得ることができるんですよ」
「・・・え?何ですか、それ」
「・・・ていうか、私の勧めるラジオ講座は、それじゃないんだけど」
「・・・え?」
といった、かなり混線した会話を交わしました。

NHK語学講座のことも、それとは別系統のNHK高校講座のことも、知らない子は全く知らない。
勿体ないことだと思います。
NHK高校講座数学Ⅰはテレビで、数学Ⅱはラジオで通年放送中です。
非常に易しいので、基本中の基本を理解したい人にお薦めです。
急に授業が空いて、午後7時台にぽつんと1人教室にいるときなど、ラジオ講座数学Ⅱを聴くことがあります。
テキストがなくても聴き取れるほど易しいです。
テキストがあればさらに易しいでしょう。
お薦めです。




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