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2019年06月15日

高校数Ⅱ「式と証明」、4次式の展開と二項定理。


高校数Ⅱ「式と証明」、4次式の展開と二項定理。


数Ⅱの学習に入り、まずは3次式の展開、そして3次式の因数分解と学習しました。
今回は、4次以上の式の展開に進みます。

例題 (a+b)4 を展開しなさい。

これは「二項定理」を用いて解いていくのですが、「二項定理」を理解し活用するためには、数Aで学習した「同じものを含む順列」という学習内容が身についていることが必要です。
そして、「同じものを含む順列」を理解するためには、「組合せ」の基本を理解していることが前提となります。

前回の3次式の因数分解でもそうでしたが、数Ⅰ・数Aの学習内容が身についていないと、新しい定理の学習が上手く進みません。
授業では、「二項定理」を説明する前に、「同じものを含む順列」や「組合せ」について確認することが多いです。

以下は、順列と組合せの復習です。

例題 a、b、c、dから3つを選んで順番に並べる方法は何通りあるか。

これが「順列」です。
樹形図をイメージして考えていきます。
1番目にくる候補は4通り。
2番目は、そのそれぞれから樹形図の枝が3通りに広がります。
3番目は、さらにそこから2通りに広がっていきます。
したがって、式は、4×3×2=24
高校数学では、
4P3=4・3・2=24
と表します。
答は24通りです。

したがって、順列の一般式は、
nPr=n(n-1)(n-2)・・・・(n-r+1)
となります。
最後の(n-r+1)の意味がよくわからないという生徒がときどきいますが、要するに、nから順番に1ずつ小さくなる数を全部でr個かけていくということです。
上の4P3ならば、4から始めて、4・3・2と全部で3つの数をかけました。

それに対して「組合せ」は選ぶ順番は関係ない選び方です。

例題 a、b、c、dから3つを選ぶ方法は何通りあるか。

3つ選ぶだけなので、順番は関係ないですね。
abcという選び方も、acbという選び方も、同じ選び方です。
順番が関係ないことが「順列」との違いです。
ですから、上の4P3の計算方法では、同じ選び方を何回もダブって数えてしまうことになります。
具体的には、どれくらいダブって数えてしまうでしょう。
abcを例にとれば、そのabc3つの並べ方だけダブって数えているでしょう。
abc、acb、bac、bca、cab、cbaの6通りです。
この計算方法は、3つから3つを選んで並べる順列です。
すなわち3P3=3・2・1=6 です。
よって、組合せは、上の4P3を3P3で割れば求められます。
(4・3・2)÷(3・2・1)=4
答えは4通りです。
一般式としては、
nCr=nPr÷rPrです。

「組合せ」の基本の復習が終わったところで、次は「同じものが含まれる順列」の復習に進みます。

例題 a、a、a、b、bの5文字の並べ方は何通りあるか。

これは、普通の順列5P5ではダメです。
普通の順列の計算では、3個あるaや2個あるbをそれぞれ区別して並べてしまうことになりますが、見た目が同じものは、同じ並べ方です。
このaとあのaは実は違うと言われても、見た目が同じですから、同じ並べ方として数えるしかありません。
5P5では、同じ並べ方を何回もダブって数えてしまうことになります。

では、どうするか?
同じものが含まれる順列は、これらの文字を入れる箱をまずイメージします。
この問題では、5個の箱が横に並んでいると考えます。
その箱のどれにa3個を入れるかを考えます。
残る2個の箱には自動的にbが入ります。
3個の箱の選び方は、
5C3=(5・4・3)÷(3・2・1)=10
答えは10通りです。
ちなみに、aを入れる箱を選んでから、残る2個の箱からbを入れる箱2個をあえて選んでも同じ結果となります。
5C3・2C2=(5・4・3)÷(3・2・1)×(2・1)÷(2・1)=10
同じです。

さて、以上で復習が終わりました。
いよいよ、ここから一番上の問題を解いていきます。

例題 (a+b)4 を展開しなさい。

( )を全て書いていけば、この式は、(a+b)(a+b)(a+b)(a+b)
となります。
これを、まずは公式を使わず、逐一展開してみましょう。
4つの(  )から、1つずつ文字を選んで順番にかけていくことで展開できます。
(a+b)4
=aaaa+aaab+aaba+aabb+abaa+abab+abba+abbb+baaa+baab+baba+babb+bbaa+bbab+bbba+bbbb
同類項をまとめると、
=a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4
となります。
( )の中の文字aとbのどちらか1つを選んで4つ並べていくことで1つの項が形成されるのをご理解いただけるでしょうか。
地道に展開すると、このように解いていくことになります。

これを、このように逐一展開するのではなく、計算で解いていく方法はないでしょうか。
同類項ごとに、同じ同類項が何回出てくるのか考えてみます。
aaaaすなわちa4という項は1つしかないですね。

aaab、すなわちa3bは、逐一展開する中で何回か同じものが出てくることが予想されます。
それは、何回出てくるのでしょうか?
その回数がa3bの係数となるでしょう。
その計算方法はないでしょうか?

それは、aaabの4文字の並べ方と同じ数ではないでしょうか。
何番目の( )からbを選んだかの数と同じという言い方もできます。
「同じものを含む順列」の考え方をここで利用します。
aaabの4文字を並べる順列。
4つの箱をイメージします。
bを入れる箱を選びましょう。
4C1=4です。
ちなみに、aを入れる箱3つを選んでも、同じ答えになります。
4C3=(4・3・2)÷(3・2・1)=4です。

次に、aabb、すなわちa2b2の係数はどうなるでしょう。
aabbの4文字を並べる順列の数と同じでしょう。
すなわち、4C2=(4・3)÷(2・1)=6です。

abbb、すなわちab3の係数はどうでしょう。
abbbの4文字を並べる順列の数と同じでしょう。
すなわち、4C3=4C1=4です。

最後にbbbb、すなわちb4は、1回しか出てこないとすぐに判断できますが、これも組合せの考えを使うならば、
4C4=1とみなすことができます。
ならば、最初のaaaaすなわちa4の係数も、4C0=1とみなすことができますね。
bを1回も選ばないということです。
よって、
(a+b)4
=4C0a4+4C1a3b+4C2a2b2+4C3ab3+4C4b4
=a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4

逐一展開したときと同じ結果になりました。ヽ(^。^)ノ

これを一般化したものが「二項定理」です。
二項定理をここに書こうかと思いましたが、このブログの形式では、上の式でも読みにくいのに、nだのrだと文字ばかりになると最悪の読みにくさなので、公式の確認はお手元のテキスト等をご覧いただけますと幸いです。



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