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2019年04月12日

数A「整数の性質」不定方程式。xyの2次式を含む場合。

数A「整数の性質」不定方程式。xyの2次式を含む場合。

なおも「不定方程式」の学習は続きます。
今回はこんな問題です。

問題 方程式 xy-x+3y-12=0 を満たす整数の組(x,y)の値を全て求めよ。

この問題が今までと違うのは、xyという2次の項が含まれていること。
これでは、前回までのように、
◇x+△y=◎
といった形に整理するのは無理ですね。
でも、因数分解して、
(x+◇)(y+△)=◎
という形にすることはできるんじゃないでしょうか。
それができれば、整数の組を見つけることができそうです。
だから、まず因数分解のようなことをしてみます。

定数項ははみだして構わないので、完全な因数分解ではありません。
xy-x+3y-12=0
前の2つの項の共通因数はxなので、とりあえず2つだけをくくってみます。
x(y-1)+3y-12=0
ここで最初の共通因数であるxにばかり目がいって、
「もう残りの項にxがない!だから、因数分解できない!」
と嘆く高校生がいます。
因数分解の問題を解くときもそうですね。
着眼点がズレているのです。

この先の共通因数はxではありません。
(  )の中身のほうが全体の共通因数です。
後半の項を(y-1)が共通因数となるようにくくることが次の目標となります。
x(y-1)+3(y-1)
このように、まずは強引に(y-1)という共通項を作ってしまいます。
しかし、3(y-1)は、展開すれば3y-3です。
-3という項は、この式に存在しません。
だから、辻褄をあわせるために、その後に+3をします。
すなわち、
x(y-1)+3(y-1)+3-12=0
x(y-1)+3(y-1)-9=0
x(y-1)+3(y-1)=9
共通因数(y-1)でくくります。
(y-1)(x+3)=9
順番を整えます。
(x+3)(y-1)=9

実際の答案では、ここまで丁寧に書く必要はなく、互いに影響しあわない作業は1行の中で処理していきます。
ただ、あまり省略し過ぎると計算ミス・符号ミスをしやすいので、自分の中の「安全速度」を守って作業します。

教科書や参考書に書いてある通りの書き方をしないとダメと思い、そのままそっくりに書いてしまう子は、特に中学入学直後に多いです。
正負の数の計算で、
(+3)-(+2)
=(+3)+(-2)
といった説明のための途中式をいつまでもいつまでも、そう書かねばならないのだと思い込んで書いていたりします。
( )を外せるようになっても、
3-7+4-11
=3+4-7-11
と、順番をいちいち同符号ごとに直す癖の残っている子もいます。
「それ、要らないよね?暗算できるよね?」
と問いかけても、こう書いていた時期が半年を過ぎてしまっていると、もう癖になり、こう書かないと不安になり、一生直せない場合もあるようです。

文字式の計算では、
a2×ab
=a×a×a×b
=a3×b
=a3b
と丁寧に丁寧に書かなければならないと思いこんでいる子もいました。
算数・数学があまり得意ではなく、しかも中1の最初に塾に通わなかった子がそのようになりがちです。
教科書や参考書に書いてあるのは、わかりやすくするための説明であって、それが答案そのままとは限らないのですが、その加減が自学自習ではわからないのでしょう。

場合によっては、文字まで印刷体とそっくりに書かねばならないと思い込んでしまっていた子もかつていました。
x や y という文字、あるいは b という文字を、筆記体あるいはブロック体の書きやすい書体ではなく、印刷体そのままの妙な飾りやうねりのついた文字で書いていたのです。
そう書かねばならないと思い込んで、そのままずっとそう書いてきて、違うと指摘されてももう直せなくなっていました。
近年の算数・数学の教科書はその弊害を避けるために、極力、筆記体で x や y を書いてありますが、問題集まではそうなっていませんので、印刷体をなぞって書いている子は、今もいます。
数字と区別がついているのなら、書き癖くらいはまあいいか、とも思うのですが、z の斜め線にクロスさせる点をつけない子は、「z」と「2」との見間違いが多く、計算ミスにつながってしまうのが残念です。

一方、方程式の計算過程を全部単なる解説だと誤解して、与式の次はすぐにx=・・・ と書いてしまう子もいます。
全部教科書の解説をそのままなぞる子も困りますが、省略し過ぎる癖がついている子も、計算ミスが減らない最大の原因となってしまいます。
中1の最初、数学を学び始める最初の半年だけでも個別指導を受けてくれていたらと思うのは、そんな答案を見たときです。
算数から数学への大きな転換期に、助言をくれる大人が側にいなかった。
ノートや答案を丁寧に見てもらえなかった。
それは、案外大きな傷跡を残します。
一斉授業、あるいは、インターネットの動画を見るだけの授業は、本人の観察力や判断力が大きく作用します。
間違えて覚えてしまった場合に修正できません。
最初に間違った書き癖がつくと、根治は難しい場合が多いのです。


さて、不定方程式の話を戻しましょう。
(x+3)(y-1)=9
まで式を整理できたら、それからどうするか。
x、yは整数ですから、x+3、y-1も整数です。
整数×整数が9になる場合は限られています。
まずは、x+3と y-1との積が9になる場合を書き並べていきます。
(x+3,y-1)=(1,9),(3,3),(9,1),(-1,-9),(-3,-3),(-9,-1)
次に、そこからx、yの値の組を求めていきます。
x+3から x を求めるには、-3をしていけば良いですね。
y-1から y を求めるには、+1をします。
(x,y)=(-2,10),(0,4),(6,2),(-4,-8),(-6,-2),(-12,0)

xとyとを同時に計算していくと煩雑なので、先にxだけ計算することをお勧めします。
x+3の値から単純に、-3した数値を書き込んでいきます。
その後にyに値を書き込みますから、そのスペースは空けておきます。
xの値を書き終えたら、次にyの値を書き込んでいきます。
y-1の値からyの値を出すには、+1をします。
そうした単純作業に置き換えることで、暗算しやすくします。
x、y、x、y、と順番に計算していくと、煩雑な作業になり、時間もかかりますし、計算ミスもしやすくなります。
ミスをしないためのちょっとした工夫を常にし続けること。
それを習慣とすると、数学の得点は伸びていきます。





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    Posted by セギ at 12:09│Comments(0)算数・数学
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