たまりば

  地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾  三鷹市 三鷹市

2019年05月23日

小学校算数。公式と交換法則・分配法則。

小学校算数。公式と交換法則・分配法則。

問題 底辺7㎝、高さ13㎝の平行四辺形の面積を求めなさい。

四角形の面積は、5年生で学習します。
平行四辺形の面積の公式は、底辺×高さ=面積 です。

7×13=91 答え 91c㎡
となります。
しかし、これを、
13×7=91
と書く小学生は案外多いです。

問題 直径8cmの円の円周を求めなさい。

公式は、直径×円周率=円周 です。
順当に式を書くならば、
8×3.14
となります。
しかし、これも、
3.14×8
と書く子を多く見ます。

Twitterなどで、ときどき、こういう式を書いた子どもがテストでバツにされた、おかしい、という投稿を見かけます。
この式をどうとらえるかは微妙な問題です。
かけ算は交換法則が成立します。
かける数とかけられる数の順番を入れ替えても、計算の結果は変わりません。
どうせ計算の結果は同じになるのに、公式通りではないからといってバツをつけるのは、おかしい。
そのように考える人が多いのも理解できます。

中学生になれば、公式の順番が変わってしまうことがあります。
円周は、半径をrとし、2πr と表します。
円周をどのように求めているかの意味を伝えるよりも、文字式の順番を優先した公式に変わってしまいます。
答えも、文字式の順番が優先されます。
直径8a cmの円の円周は、8πa cmです。
8aπ cmと書いたら、誤りです。

中学に入れば変わってしまう順番なのですから、3.14×8という式でも正解として良いと私も思います。
小学校の大多数の先生は、3.14×8 という式を見たら、丸をつけた上で、横に、赤ペンで、8×3.14 と書いています。
それで十分でしょう。

しかし、1つ気になるのは、なぜわざわざ公式の順番に逆らって、
3.14×8 
という式を立てる子が多いのかということです。

どっちが先でもいいという雑な神経で式を立てているのでしょうか?
そんな雑な感覚で、中学・高校と複雑になっていく公式を正確に活用できるでしょうか。
そう思うと、ちょっと心配にはなるのです。
そういう式を立てている子に対しては、
「丸をつけていいけれど、公式通りの正しい順番で式を書こうね」
と助言します。

公式通りに書かない雑な立式をする子は、例えば、直方体を組み合わせた複雑な図形の体積の問題などで立式ミスをすることがあります。
常に、縦×横×高さ の順番で立式していれば数値を確認しやすいのですが、適当な順番で数字を並べていくと途中で混乱し、高さ×横×高さ といった式を立ててしまうことがあるのです。
3つの数字をどれでも適当な順番にかけときゃいいという考えでいると、そんなミスが起こります。
小学生の中には、面積と体積、平面と立体との識別が、わかっているようで案外わかっていない子もいて、立体の「高さ」と「縦」との区別が曖昧になってしまうことがあります。
公式通りの順番で式を立てるのは、そうしたミスを防ぐための安全策でもあるのです。


6年生で、奇妙な立式ミスをする子がかつていました。

問題 面積が13㎝で、高さが26/3㎝である平行四辺形の底辺の長さを求めなさい。

こうした問題で、1/13×26/3という式を立ててしまうのです。
13÷26/3=13×3/26 とすべきところを、わられる数のほうを逆数にしてしまいます。
分数のわり算のやり方がわかっていないのなら、それを教えれば済みます。
しかし、単なる計算問題では、そんなミスはしませんでした。
文章題になると、いきなりそんな式を立ててしまいます。

「式を書きながらその後の計算のことも考えているから、こういう式になったのかな。わり算だなと思ったら、まずわり算の式を書いて、それを逆数のかけ算に変えて計算しましょう」
その子には、そういう助言をしましたが、なかなか直りませんでした。
まずわり算の式を書くことが無駄な作業のように思えて、省略したかったようです。


式を書きながら、その後の計算のことを考えていると、こういう式になる・・・。

そのとき、何気なく自分で言ったことに、あ、と気づきました。

公式通りの順番で式を立てない子は、単に雑なのではなく、その後の計算のことを考えているのではないか?
円周を求める式を、
3.14×8
と立ててしまう子は、その後、3.14×8 と筆算するつもりでいるから、そのように書いてしまうのではないでしょうか。

しかし、8×3.14 という式を書いても、その後の筆算は、3.14×8 として良いのです。
もしかしたら、8×3.14 という式を立てたら、その順番で筆算しなければならないと思い込んでいるのでしょうか?
式は式。
計算は計算。
式は8×3.14 でも、計算は交換法則を利用して良いのです。

8×3.14 ではなく、3.14×8 という式を立てる子は、交換法則が理解できているのだから、むしろ数学センスがある。
そのように言う人もいます。
しかし、本当にそうでしょうか。
小学生から高校生まで、長期に渡って算数・数学の指導をしている実感から言えば、3.14×8 という式を立てるかどうかでは数学センスは測れないと感じます。
立式と計算とは別だということが理解できていない。
むしろ、そうしたことが懸念されます。
式を立てることと計算することを頭の中で分割できず混同しているから、そういう式を立ててしまう。
式とは、どのように解いたのかを示すもので、計算ではありません。
自分の思考の過程を示すものです。
公式を使用したのなら、公式の通りの順番に書いてあるほうが、どのように解いたかを明瞭に示せます。

小学校で学習する易しい内容ならば、逆に書いても意味はまあまあ伝わります。
しかし、その習慣は後々まで残る可能性があります。
高校数学で、何の定理を使ったかを示さず、自分の計算優先で暗算したり順番を変えたりしてある答案は、1週間も経てば、本人もその式の意味を説明できなくなります。
そして、そういう答案を書いてしまう子ほど、記述式の問題を恐れます。
何をどう書いていいのかわからないと言うのです。
答案を読む人が理解しやすい式を書く努力をしてこなかったので、記述答案をどう書いていいかわからなくなるのです。

式の1行目は、意味の伝わる式を立てる。
高校数学ならば、何の定理であるか、どういう考え方であるかも示します。
2行目以降は、ガンガン計算の工夫をします。
というより、計算過程など書いても書かなくても良いのです。
そうしたメリハリを理解できていない子が高校生でも多いのが現状です。
式と計算とを混同しているのです。
そういう意味では、前述の 3.14×8 という式に褒めるべき要素はありません。
バツにするのは可哀想だとは思いますが。


小学生の段階で数学センスを感じるのは、交換法則よりも分配法則を活用できる子です。
円周の問題や円の面積の問題で分配法則を活用できれば、計算が楽になり、正確になります。
しかし、活用できない子は多いです。
例えば、いくつかの半円が組み合わさった図形の面積。
5×5×3.14÷2-3×3×3.14÷2+2×2×3.14÷2
=(5×5÷2-3×3÷2+2×2÷2)×3.14
=(12.5-4.5+2)×3.14
=10×3.14
=31.4
といった計算の工夫ができる小学生は、限られています。
中学受験生でもこれはできない子が多いのです。

☐×〇+△×〇=(☐+△)×〇
という分配法則は、普通に学校で小4で学習するのにほとんど定着しない内容です。
それだけに、これを活用する子に出会うと、この子は数学センスがあるなと感じます。

ただし、センスはあっても、上のように丁寧に式を書かず、1行目から、
(12.5-4.5+2)×3.14
といった式を立てる子も多いです。
そうした子には、
「式と計算とは違うのですよ」
と注意をしなければなりません。
意味のわかる1行目を書くことの意義を理解してもらうのに時間がかかります。
え?そんなのわかるでしょう?という気持ちが本人の中で強いようです。
そういう意味では、センスがあっても小学生はまだ主観的ですから、自分が意味がわかることは、他人も意味がわかって当然と思っているのかもしれません。
あるいは、自分の計算のために式を書いているので、他人がそれを理解するかどうかは、どうでも良いのでしょう。

高校数学がどのようであるかを想像できるはずのない子に、高校数学に至る道筋を指導していくのは、なかなか難しいです。
3.14×8 という式が表面上正しいかどうかではなく、その式を書く子が、数学的にこの先どう成長するのか。
注目すべきはそちらだと思います。




  • 同じカテゴリー(算数・数学)の記事画像
    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その4。絶対値を含む不等式。
    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その3。いろいろな問題。
    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その2。相加平均と相乗平均。
    高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その1。
    数Ⅱ「式と証明」。等式の証明その2。
    数Ⅰ「1次不等式」、1次不等式の文章題。
    同じカテゴリー(算数・数学)の記事
     高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その4。絶対値を含む不等式。 (2019-09-22 13:16)
     高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その3。いろいろな問題。 (2019-09-15 13:24)
     高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その2。相加平均と相乗平均。 (2019-09-08 13:30)
     高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その1。 (2019-09-01 11:15)
     数Ⅱ「式と証明」。等式の証明その2。 (2019-08-25 15:08)
     数Ⅰ「1次不等式」、1次不等式の文章題。 (2019-08-13 14:53)

    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    小学校算数。公式と交換法則・分配法則。
      コメント(0)