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2018年12月13日

数A「整数の性質」合同式の利用。

数A「整数の性質」合同式の利用。


前回、合同式とはどういうものか学習しました。
それでは、この合同式、具体的にはどういうことに利用するのか。
例えば、こんな問題です。

問題 nは13で割って5あまる数であるとき、3n4-7n2を13で割ったあまりを求めよ。

半角の数字は指数だと思ってください。

これを、合同式を利用せず、普通に解くと、
n=13m+5 と表す。(mは整数)
3n4-7n2
=3(13m+5)4-7(13m+5)2
=3(132m2+13・10m+25)2-7(13・13m2+13・10m+25)
=3(134m4+132・102m2+625+2・133・10m3+2・13・10・25m+2・25・132m2)-7・132m2-7・13・10m-7・25
=3・134m4+3・132・102m2+1875+6・13・10・25m3+6・25・132m2-7・132m2-7・13・10m-175
=13(3・133m4+1500m3+13・359m2-70m)+1700
=13(3・133m4+1500m3+13・359m2-70m+130)+10
よって、余りは10。

上の途中式、書き間違いをしているかもしれません。
それくらいに面倒くさい。
この問題を解く上で大事なところは、あまりはいくつかなのですから、13という因数をもっていない部分です。
上の式でいえば、1700は13で割ると余りはいくつなのか。
そこだけに着目すれば余りが出るのに、13という因数を含んでいることがわかりきっている、いわばどうでもいい部分の計算に神経を使います。
これを簡単にクリアできるのが、合同式です。


合同式を用いると、n≡5(mod13) となります。
よって3n4-7n2≡3・54-7・52=3・252-7・25
ここで25≡-1(mod13)ですから
3・252-7・25≡3・(-1)2-7・(-1)=3+7=10
ゆえに、あまりは10です。

合同によって言い換えたものを数字としてそのまま計算し、また合同で言い換えていきます。
あまりにだけ注目している合同式ならば、それが可能です。
ちょっと手品のようですが、慣れると、もう一番上のような解き方はやりたくない。
それくらいに便利なものが合同式です。

あるいは、こんな問題。

問題 a、bを整数とする。aを5で割ると3余り、bを5で割ると4余る。このとき、abを5で割ったときの余りを求めよ。

これも、合同式を用いないで解くことも勿論可能です。

m、nを整数とすると、a、bは、m、nを用いて、
a=5m+3、b=5n+4 と表すことができます。
ab=(5m+3)(5n+4)
  =25mn+20m+15n+12
  =5(5mn+4m+3n+2)+2
よって、abを5で割った余りは2。

これを合同式を用いて解くと、
a≡3、b≡4 (mod5)
ab≡3・4=12≡2 (mod5)
よって、abを5で割った余りは2。

合同式を用いると余計な文字を使わずに済むので、答案がシンプルです。
実は考え方の本質は同じなので、ぜひ合同式を身につけて簡単に解いていただきたいと思います。

また別の問題。

問題 2012の200乗を7で割ったときの余りを求めよ。
200乗?
普通の解き方だと、さすがにこれはどう解くのだろうか、と考え込んでしまいます。
しかし、合同式を用いればこれも簡単です。
まず2012を実際に7で割って確認すると、
2012≡3 (mod7) です。
よって、
2012200≡3200=9100≡2100=833・2≡133・2≡2 (mod7)
よって、余りは2。

合同で言い換えては計算し、また合同で言い換える。
指数法則がわかっていないと、この計算はピンとこないかもしれません。
こうした指数計算は、この後、数Ⅱ「指数関数」、数B「数列」でもよく使うのですが、よく詰まるところです。
模範解答を見ても、何をどう計算して次の行になっているのかわからないという話をよく聞きます。

上の答案では、
2100≡833・2
のところがわかりにくいかと思います。
2の100乗を、(23)33・2 と直しているのですが、指数法則が理解できていないと、
「そんなことをしていいんですか?」
と感じるかもしれません。

指数がわからなくなったら、指数法則の基本に戻りましょう。
a2×a3=(a×a)×(a×a×a)=a5 でした。
(a2)3=(a×a)×(a×a)×(a×a)=a6 でした。
ですから、(23)33・2=299・2=2100 となりますね。
逆の操作で、2100=299・2=(23)33・2=833・2 とすることができます。

ところが、上のような説明も、
(a×a)×(a×a×a) の( ) は、どういう意味なんですか?
( )がないときと、どう違うんですか?
それは要らないんじゃないんですか?
と、それこそ不要な質問で頭がいっぱいになり、このほうがわかりやすいだろうと思って使った( )があだとなることもあります。
何かがわからないというのはそういう場合が多く、本筋ではないところに目がいき、主要なところの理解を阻む。
そういう傾向があります。

しかし、なぜ本筋ではないところに目がいってしまうのでしょうか。
その原因を考えれば、そもそも、( )の使い方について不安があるのではないか?
小学校で( )を使った式を立てることを学習した小学校3年生の頃に、( )の使い方をしっかり身につけることができなかったのではないか?
それは四則演算の原則がどこか曖昧になっているということでもあります。
あるいは、( )の使い方の基本はわかっているのだけれど、自分で式を立てるときには、つい( )をつけ忘れたり、不要な( )を書いてしまったりを繰り返して、何となく苦手という感覚が高校生になっても残ってしまっているのではないか?
さらには、几帳面な正確もあって、以前、自分が( )を使ったときには不要だと言われたのに、説明のためという理由で使用されているのが納得できないのかもしれません。
先生や教科書・参考書が使用している( )のニュアンスを理解できない。
そういうことが学習を阻む場合もあるかと思います。

もう1つの壁は、やはり指数に対する感覚でしょう。
同じ数を何回もかけるときに指数を使うという根本が理解しきれていないのではないか想像される場合もあります。
23=2×2×2ということが、ふっと頭から抜ける。
そのため、23=6と、気がつくと思い違いをしている。
そんな場合もあると思います。
(23)33・2=833・2 という転換が理解できず、
「そんなことして、いいんですか?」
と不安になるのは、指数の定義や乗法の交換法則が頭の奥まで染み込んでいないのが一因ではないかと感じます。

それは、普通の指数計算の際にも表れます。
26 を計算せよと言われて、
2、4、8、16、32、64 と、逐一2倍していないでしょうか?
26=64 と一瞬で転換している人を、「暗記しているのかな?」と思っていないでしょうか?
26=(23)2=82=64 です。
同じように、34=(32)2=92=81 です。
指数を一瞬で計算している人は、この作業を一瞬で行っている場合が多いのです。
答えを暗記しているとは限りません。
あまりにも繰り返される計算に関しては、さすがに答えを覚えてしまっている場合もありますが。
こうした指数に対する感覚、かけ算に対する感覚は、誰かに教えられたのではなく、本人が計算する過程で身につけていることが多いです。
むしろ、このやり方を教えても、
「いいの!私は普通にやらないとわからないの!」
と意固地になる子もいるので、教えてわかるものではないのかもしれません。
しかし、教えてわかるわけではないことがわからないと、合同式や、高校数Ⅱで学習する指数関数・対数関数の理解に大差が生じるようになる・・・。

いやいやいや。
こんなこと、教われば、わかることです。
わかってください。
・・・と最後は古いフォークソングみたいになって、また次回。
ヽ(^。^)ノ






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    Posted by セギ at 13:08│Comments(0)算数・数学
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