2011年09月17日
三角比が目指していること

2学期の学習が本格的に始まりました。
学校の進度にもよりますが、中高一貫私立の中3と、多くの高1は、そろそろ三角比の学習に入った頃と思います。
サイン・コサイン・タンジェント、というあれですね。
(*^_^*)
その後に学ぶ数学が、どれだけ抽象的になるかを考えれば、決して理解できない内容ではないのですが、やっぱりこの頃から、息切れする人が出始めます。
なんで、数学を学ばないといけないの?
こんなことを学んで、意味があるの?
そんな疑問が心の中の多くの部分を占めるようになります。
私も高校生の頃、多少、その傾向のある子どもでした。
進学校だったので、先生たちは、手加減というものを知りませんでしたから、高1の最初から、学校指定の問題集は赤チャートでした。
わかるか、こんなもん。
幾度、海に向かって赤チャートを投げようとしたことか。
教科書を使った記憶はあまりなく、授業は、とにかく、先生が、黒板に向かって、赤チャートの問題を延々解いていたように思います。
予習をするにも、1題解くのに時間がかかるので、解いても解いても終わらない。
ついでに言えば、英語のリーダーの予習も、やってもやっても間に合わない。
今、この仕事をしている原動力の1つに、あの頃の自分を支えたい、という気持ちがあるのかもしれません。
もう少し頑張れば、作業は速くなるよ。
大丈夫。遊ぶ時間も作れるよ。
何のために、何をやっているのかも、もう少し待てば、わかるようになるよ。
難しいけれど、とても面白いことを、やり始めているんだよ。
あの頃の自分に、そう呼びかけたいのかもしれません。
通称「赤チャート」。
高校数学の教科書と参考書で有名な数研出版の、市販型参考書。
「チャート式数学」は、難易度別に色分けがあり、赤は大学受験用。
青は、日常学習から受験まで。
さらに、黄色、白と順番に易しくなっていきます。
今は、進学校でも、高1・高2は、青チャートを使うところのほうが多いように思います。
あるいは、同じ数研出版の学校販売型問題集「サクシード」のほうが薄くて扱いやすいので、そちらも多いです。
三角比を学ぶ場合でも、赤チャートですと、重要事項のまとめの後、いきなり例題とその解法が載っているので、結局、三角比って何なのか、何のために三角形の辺の比を求めたりするのか、何だかよくわからないまま、とにかくやれと言われたことをやらなければならない、という形で勉強が進みます。
使いみちは多様なので、ひと口には言えないことですが、三角比を学ぶ最初の目標としては、「三角形の角度や辺の長さや面積を、ものさしや分度器で測らないで求めようとしているんだよ」ということでいいんじゃないかな、と思います。
中学で学ぶ、三角形の合同条件。
3辺がそれぞれ等しい2つの三角形は、合同である。
2辺とその間の角がそれぞれ等しい2つの三角形は、合同である。
1辺とその両端の角がそれぞれ等しい2つの三角形は、合同である。
合同である、ということは、そういう三角形は、この世に1つしかないということです。
1つしかないものならば、その三角形の残るすべての角、残る全ての辺の数値は、決定している。
それは、計算で求められるはず。
3辺がわかっていれば、3つの角は計算できる。
2辺とその間の角がわかっていれば、残る1辺と、残る2角は計算できる。
1辺とその両端の角がわかっていれば、残る2辺と1角は計算できる。
そして、全て、面積は計算できる。
三角比という単元の目標は、それ。
とりあえず、それでいいんじゃないでしょうか。
しかし、その目標達成のために、まずは直角三角形の辺の比から始まったものが、突然「単位円」なんてものになり、座標平面上に描かれます。
じゃあ、関数なのか?と思っていたら、公式がたくさん出てくる。
じゃあ、方程式なのか?と思っていたら、しまいに、直角ではない三角形の話になってしまいます。
この流れに飲み込まれ、混乱してしまいませんように。
写真は、1995年版の赤チャート。
「数学Ⅰ」は、今、教室に置きっぱなしなので、「数学Ⅱ」です。
まだハードカバーだった頃のもの。
私物です。
あんなに嫌いだった赤チャートですが、やっぱり、持っていないと不安な1冊。
Posted by セギ at 12:34│Comments(0)
│算数・数学
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