たまりば

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2024年11月23日

定期テストの得点をどう見るか。テストの後に何をするか。


画像は、久しぶりに見た虹です。
薄いですが。

さて、2学期は、難しい学期です。
テスト範囲の難度が高いにも関わらずあまり勉強に集中している様子の見られない生徒が現れる時期です。
中だるみですし、2学期は学校行事も多いですし。
毎年のことなので、ああ、またか、今度はこの子かと私は思います。
本人は肝が冷えて3学期は頑張るでしょう。

一方、公立中学の、特に中1の場合は、これまで幾度も書いてきましたが、いよいよ生徒本人の実力が現れてくる時期です。
小学校の頃は、易しいカラーテストと肯定的な観点別評価のため、本当の学力は実際のところよくわからなかったのです。
小学校のカラーテストは、生徒の学力を選別するためではなく、個々の生徒の到達度を測る目的のものなので、基本をしっかり理解していれば100点が取れるように設計されています。
100点は取れなくても、80点台、90点台は普通に取れている子が大多数です。
成績もまた好意的につけられていますので、小学校では、過半数の子は秀才のような成績だったと思います。

そのまま、公立中学に入学して。
中1の1学期も、まだ学習内容が易しいため、定期テストの得点は案外良いことが多いのです。
まるで、小学校のカラーテストの得点と地続きであるかのように。
1学期の成績は、英語も数学も「5」。
ああ、大丈夫だと安心し、自信を持ちます。

そのように自信をもって学習することは良いことではありますが、自信だけでどうにかなるわけでもないのが、公立中学の定期テストです。
以下は、勿論、5教科についての話です。

公立の定期テストは、「5」と「4」、「4」と「3」の違いを明確にするテストです。
中3になれば、それが「内申」となり、高校進学で大きな意味を持ちます。
無論、成績評価はテストだけで決まるものではありません。
評価基準を学年の初めに明示する学校も今は多いでしょう。
「授業態度」や「提出物」にも配点はあります。
しかし、成績が「3」以上の子なら、それらは良いのがあたりまえです。
今どきの公立中学で、授業態度の悪い生徒はそんなにいませんし、いても「1」か「2」の生徒です。
「提出物」を出さないのも、「1」か「2」の生徒です。
「3」以上の生徒では、それらの観点では差はあまりつかないのです。
やはり、差は、テストでつきます。

非常に雑なことを言えば、定期テストで90点以上を取っていれば、たいていの場合、「5」がつきます。
80点以上を取っていれば、「4」がつきます。
それ以下は、「3」です。
勿論、誤差はありますが。

中1の1学期の成績は「5」。
2学期の成績は「4」。
3学期の成績は「3」。
そのまま、「3」で安定した。
そういう成績表をこれまで多く見てきました。
これは、成績が下がったのではなく、残念ですが、成績と本人の学力とがそこで一致した、と見たほうがいいのです。
保護者の方は、お子さんの実際の定期テスト問題を自分で解いてみてください。
いまどきの公立中学のテストは、解きにくく、難しいです。
英語も数学も、まだ中1なのに、難しいのです。
このテストで90点以上取るなんて、不可能ではないのか?
そういうテストに、今はなっています。
基本だけ理解している学力では、解けません。
思考力や応用力が必要な問題が後半に並んでいます。

一方、中堅私立の中高一貫校の多くの定期テストは、不可解なほどに基本問題ばかりが並んでいます。
中学だけでなく、高等部になっても。
勉強すれば100点を取ることが可能なテストです。
授業も基本問題しか扱いません。

道は明瞭に分かれています。

中堅私立の中高一貫校は、学校推薦や総合型選抜で生徒が大学に進学するのをアシストするために、評定は高く維持してくれます。
自分の学校の生徒に悪い評定をつけて、それで総合型選抜で他校の生徒に競り負けたら意味がありませんから。
自覚して学校以上のレベルの学習を進めている子が、自力で進学してくれるのなら、それも良し。
だから、努力して高い成績を維持している子には、一般受験することを勧めます。
自力で一般入試に受かりそうな子には、評定が高くても学校推薦の枠は使わせず、いまいち心許ない子のほうを学校推薦で合格させる。
そんな「黒い噂」を聞くことさえあります。
そうやって進学実績を上げることで、また多くの生徒が中学受験をしてくれます。

一方、都立の中高一貫校や、都立高校の自校作成校は、大学入試では、
「学校推薦は基本的に行わない。推薦枠は使わせない」
と公言することがあります。
実際に高校3年生になったときに本当にそうなのかどうかはまた別の話ですが、自力で大学に進学させるのが基本路線です。
授業もテストも、大学入試を意識したものです。

道は、明瞭に分かれています。
どちらがいいとか悪いとかではなく、どちらがその子に合っているか、です。

だから、保護者の方は、子どもが持ち帰ってくるテストの得点は何を意味しているのか、理解してください。

中堅私立に通う子の定期テストの得点が100点でも、学力が高いとは限りません。
一方、公立中学に通う子の定期テストの得点が70点でも、学力が低いとは限りません。
頑張っています。
あとは、どうやって、それを80点台に押し上げるか、です。

英語も数学も、返却された定期テストをよく見て、出題傾向を把握することが大切です。
テストが終わると、その解き直しはするけれど、それはそれとして、次の定期テスト前の勉強は、相変わらず学校のワークを解くだけ。
そんな通りいっぺんの学習では、次回も同じ得点です。

英語は、文法にしろ読解にしろ、教科書の範囲だけがテスト範囲のほうが対策がしやすいです。
テスト範囲だけにしぼって対策すれば良いのですから。
何が出るかは、わかりきっています。
しかし、実際には、公立中学の場合は、教科書の本文そのままが出題される場合は少なく、初見の英文を読んで解かなければならないテストが多いです。
学校の教科書でしか英文を読んでいないような英語学習をしていては、テストに対応できないのです。 
常により多くの英文に触れているほうが有利です。
毎日毎日フレッシュな英文を怒涛のごとく提供してくれるNHK「基礎英語」が、低コストで高パフォーマンスなのは、言うまでもありません。
また、スピーキングテストや都立入試の英作文問題を意識してか、スピーキングテストのようなイラストを見たり英文を読んで、答を英作文する問題を出す学校が増えてきました。
しかし、英作文は、そんなに簡単に実力の上がるものではありません。
結局、以前に書いたことのある英文と、そのバリエーションしか、テストでは書くことができません。
まずは、和文英訳から、沢山練習しましょう。
教科書の英文を、日本語訳から逆に英文に戻す「反訳トレーニング」は当然のこと。
さらに、学校のワークにこだわらず、多くの問題に触れましょう。
文法を意識しながら、日本語を英語に直すことに日頃から十分に慣れておきましょう。
その上で、課題英作文に普段から積極的に取り組み、採点してもらうことの繰り返しで力がついてきます。


数学も、出題傾向を把握することが重要です。
子どもの学習姿勢は、親が思う以上に受け身です。
「学校の先生は、プリントで授業をするから、何をやっているのか、よくわからない」
という悩みを生徒から聞くことがあります。
学校の先生のプリントは、何も特殊なものではなく、教科書の順番通りであり、教科書の例題がそのままプリントされているだけだったのですが、その子はそのことに気づいていなかったのでした。
学校ではプリントを使う、となると、教科書を開かない。
教科書を開いて確認することさえしない。
学習姿勢が幼いのです。

学校のプリントと教科書の両方を塾にもってきてもらい、このプリントは教科書のここ、このプリントは、教科書のこのページで、学校は何も特別なことはやっていない、教科書通りのことを教科書通りの順番でやっているんだよと説明すると、愕然としていました。

また、その子は、教科書は確認しない一方、学校からもらった問題集は一所懸命解いていました。
数学の勉強というと、ただただ数学の問題集を解くだけ。
それは、別に間違っていませんが、公式を見ながら、あるいは、問題集の解答解説を見ながら解いているだけでは、数学の力はつきません。
わからないとすぐに答を見てしまう・・・。
気持ちはわかりますが、その学習では、解いたことのある問題とそっくりな問題しか解けるようにはなりません。
何回も解き直して、その問題はマスターしても、その類題が、類題であることにすら気づかない、ということがあります。
最悪の場合は、解いた問題すら実は身についていないこともあります。
テストを受けるときになって自分が公式を使うだけの基本問題を解くこともできないと気づいて呆然とすることになります。

公式の意味や証明をまずは理解し、理解したら、公式は丸暗記する。
そして、活用します。
いつでも使えるように頭の中に入れます。
問題の解法パターンも、頭の中に入れます。

そして、初見の問題を自力で考えます。
わからなくて、つらくても、我慢して、最低30分はその問題と格闘してください。
グラフを描く、図を描く、も必ず行うことです。
問題に書いてある情報を目に見える形で整理します。
頭の中だけで処理できるレベルの問題を解いているわけではないのに、いつまでも小学生のつもりで、問題をパッと見て、パッと解き方がわかるのがカッコいい、そういう自分でありたい、と思っていると、取り残されます。
考えて考えて考え抜いて、ついに応用問題を自力で解く人が、数学ではカッコいいのです。

時間をかけて分析して。
ついに自力で解けたときの爽快感を知っている子、とうとうわからなくて解答解説を読んだときの悔しさを知っている子は、数学は爆発的に伸びます。
そうやって、頭の中に解法の筋道を刻み付けていくと、発想力が強化されるのです。

そういう学習法を提案しても、
「数学にそんなに時間はかけられない」
という場合は、それはもう、それで仕方ないので、数学的な達成は諦めるのもありだと思います。
見切ることも、また賢さです。
向いていないことに時間はかけない。
ただ、基本問題だけは絶対に解けるようにしておく。
それの何が悪いのか?
・・・何も悪くないと、私は思うのです。

とはいえ、毎日毎日スマホを見ている3時間のうちの1時間を勉強に振り分ければ、人生が変わります。
才能の問題ではなく、具体的に時間を作って学習できるかどうかが大きいのです。

そのような話をしたとき、ある生徒は、
「3時間なんか見てないしー」
と言いました。
私はよく知りませんが、iPhone だと、スクリーンを開いている時間を調べることができるらしいですね。
「調べてみる!」
とその子が言うので結果を待つと、その子は、その日、6時間以上スマホを見ていました。

・・・6時間?

さすがに、本人も驚き、
「考えてみる」
と言って、帰っていきました。
本当に、隙間時間も含めて、驚くほどの時間を、誰もがスマホに使っています。
それは、多分、私もそうです。
そんな時間があったら、本を読もう。
そんな反省も、私自身、することになりました。


  


  • Posted by セギ at 14:46Comments(0)講師日記算数・数学英語