たまりば

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2021年09月30日

1年7か月ぶりに山を歩きました。2021年9月。


2021年9月29日(水)、緊急事態宣言も明日で解除となります。
そろそろ大丈夫かな?
意を決し、山を歩いてきました。

とはいえ、休日の山は混雑が予想され、避けたい。
平日が無難です。
電車移動となると、平日の朝晩のラッシュ時も避けたい。
朝遅めに出発して、短時間で登ってこられる山がいい。
となると、高尾山です。

1年7か月ぶりに山に行く準備をして驚いたのは、山シャツと山ズボンが古びていたことでした。
いや、前から古びていたのかもしれません。
久しぶりに見ると、余計にそう見えるのだと思います。
え?これ、ボロくない?
そろそろ新調しなくては。

ザックの小さいポケットのファスナーが、錆びて開かない!
大きいファスナーは開くからいいですけれど。
軽登山靴は、風通しのよい場所において、ときどき手入れはしていたけれど、この靴底、加水分解しないかな?
もしも、歩いている途中で靴底がポコッと外れてしまったときのために、ビニールひもやらガムテープやらを準備。
うわあ。
アルファ米の賞味期限が、今月で切れる!
ギリギリだった。
これをお昼ご飯にしましょう。

マスクの予備を忘れずに。
手指の消毒液。
ジェルタイプの石鹸も。
アルコール除菌ティッシュも。

さて、三鷹駅発、8:50の中央快速に乗りました。
ラッシュ時は過ぎていますし、下り電車でしたので、乗客は少なめ。
なるほど、話には聞いていましたが、車両の中央部分の大きな窓の上部を細めに開けてあり、空気が流れるようになっているのですね。
乗客は、びっくりするほど整然と、1人おきに座っていました。
席が空いていても、無理に座る人はいません。
立っている人は、数人。
誰もつり革につかまりません。
中央快速は、そこそこ揺れるけれども、踏ん張って立っています。
そして、誰も喋らない。
乗客は、完全にニューノーマルに対応しています。

・・・と思っていたら、山歩き姿の高齢者の二人連れが乗ってきて、私の隣りに座り、しかも会話を始めました。
あー・・・。
ワクチンを接種したから自分は安全、他人も安全と信じ込んでいる高齢者が、世の中と摩擦を起こしていると聞きますが、これは確かに・・・。
そっと席を立ちました。
揺れる電車で立っているには、足で踏ん張るよりも、腹筋に力を入れると安定します。
以前、電車通勤していた頃、バランス訓練のために、電車でつり革につかまらないようにしていたことがありました。
腹に力を入れて生きていこう。
他人を責めても、仕方ない。
他人には他人の考えがある。

高尾駅で乗り換えて、高尾山口駅下車。
トイレに立ち寄りました。
コロナ禍から、トイレも怖い場所になっていますが、山歩きとなると行かないわけにもいきません。
ここのトイレは清掃頻度も高そうだし、洗面台にはプッシュ式の液体石鹸の設備がありました。
水は以前から自動で出てくる仕組みなので、心の負担は少ないです。

さて、支度をして出発。
まずケーブル駅まで歩きます。
1年7か月ぶりの清滝ケーブル駅。
そこから左にそれて、舗装道路をとことこ歩いていくと、6号路琵琶滝コースの登山口です。
登山口に看板。
マスクをしましょう。
混雑しているときのおしゃべりはひかえめに。
・・・なるほど。
それはともかく、出発。9:50。

ゆるやかな砂利道を登っていきます。
右手に沢。
疲れている帰り道は結構長く感じる道ですが、何だかあっという間に琵琶滝まで歩いてきてしまいました。
何だろう、この軽快な感じは。
山って、こんなに歩きやすいんですね。
前のペースで歩けるか実際不安だったのですが、昨日も山を歩いたようなこの感覚。
いや、むしろ、昨日山を歩いたのなら、筋肉痛で、こんなに軽快ではない。

琵琶滝と別れる登山道は、中央に支柱が立っていて、まるで通行禁止のようだった記憶があるのですが、支柱は撤去されていました。
ここを侵入禁止と誤解する人が多いからでしょうか。
琵琶滝と別れてすぐの場所は落石が多く、波形のプラスチック屋根がボコボコになっていたのを覚えていますが、それがきれいに直されていました。
私がこない間に、高尾山の整備は進んでいます。

沢沿いの道を行きます。
浅い沢に下りていける道もあります。
あたりにはシダが繁茂しています。
人がいないのを確認して、マスクを外して、深呼吸。
冷たく湿った清浄な空気。
土の匂い。
緑の匂い。
ああ、気持ちいい。

しかし、高尾山は、平日でも、人はひっきりなしに通ります。
「こんにちは」
と声をかけてくる人も。
私は、うつむいて、返事をしませんでした。
無礼なのはわかっているのですが。
でも、どうか、「こんにちは」はやめてほしいのです。
やめて。
声をかけてこないで。
飛沫が飛びますよ?

山の挨拶は、「こんにちは」。
しかし、なぜ、山でそのように挨拶をするのか。
街では、知らない人に挨拶などしないのに。

それは、山奥で人と会うのはまれで、そして、ある意味とても怖いことだからだと思うのです。
相手は、悪人かもしれません。
敵意はない。
自分は強盗ではない。
互いにそれを確認しあうための、「こんにちは」だと思うのです。

例えばアメリカなどで、エレベーターに乗り合わせた他人同士が、軽く挨拶をしあうのと同じ心理だと思います。
とにかく、互いに悪意がないことを確認しあわないと、正直、おっかない。

高尾山に、山賊は出ないです。
ちょっと山を歩きに来た善良な市民であることは、お互いわかっています。
だから、「こんにちは」は、今の時期はやめませんか?

野外では感染リスクは低い。
それもわかっています。
でも、リスクがゼロなわけではない。
あえて飛沫を飛ばす理由はない。
声を出す必要はありません。

声を立てるな。

・・・いや、そんなことを言う私のほうがよほど強盗っぽいか。


苦笑しながら歩いていくと、再び、山を下りてきた人が現れました。
少し脇によけて道を譲ると、その人は、黙って会釈し、通り過ぎていきました。
しっかりマスクをつけていて、黙って会釈をしてくれました。
目が明らかに笑っていて、好意が伝わる。
何てスマートなコミュニケーション。
その後も、そのようにしてくれる人を多くみかけました。
皆、山慣れた様子の人でした。

マスクをしながらの山歩きは、高所登山訓練のつもりでなかったら、きつい。
特に、汗でマスクが全体に湿ってくると、通気性が著しく低下し、息苦しい。
マスクを外してしまう人の気持ちもわかります。

そんなとき、前方に、マスクを外して、しかもおしゃべりしている人が!
私の表情は、楳図かずおの漫画の登場人物みたいになっていたと思います。
・・・恐ろしい。
息苦しくてマスクを外したところまでは、わかる。
でも、そういうときは、黙りませんか?
喋る余裕があるなら、マスクをつけましょうよ。
しかも、喋っている内容が、「あたし、走馬灯を見たことがある」という、もう全くどうしようもない内容でした。
それは、山でわざわざ話すこと?

・・・しかし、おしゃべりな人は、場所とか場合とかは、関係ないのです。
話題すらどうでもよく、とにかく口を動かし、何か発語するのが楽しい。
それがもう生きがい的に楽しい。
これを止めるのは不可能に近い。
コロナ禍でストレスもたまっていて、話したいのだろうなあ。

他人には他人の考えがあります。
この時期に山に来るということは、多少のリスクは覚悟するということ。
昔、大手の個別指導塾で働いていたときは、空気のこもる狭いブースの中で、ずっと咳をしているのにマスクをしない子どもを相手に授業をしていました。
感染するかどうかは、私の体力次第でした。
そんな環境では、インフルエンザも、子どもの間で流行していた肺炎も、感染しました。
今は、感染を避けるための環境整備を自力で行うことができます。
マスクをしないでおしゃべりしている登山客は、追い越せばよいのです。

そんなわけで、ガシガシ登っていきました。
あっという間に、沢の中の道になり、台風で流れてしまった飛び石は、そのままだなあと感じながら登りきると、木段が見えてきました。
うわあ。
階段がデッキ状に整備されている・・・。
ものすごく歩きやすくなっていました。
それでも、ここの階段道は長い。
さすがに息苦しく、人が向こうから来ないときは、マスクから鼻を出すと、それだけで、何て息がしやすい!
マスクから鼻を出している人の気持ちが初めてわかりました。
それでも息が続かず、途中休憩も入れて何とか階段を登り切り、ベンチの1つで大休憩。
登山道に背を向けて、林を眺めました。
ああ、やっぱり、山はいいなあ。
今は、季節のはざまで、わりと何もない時期だけど、それでも十分に、山はいいなあ。

そこから、舗装された道を山頂まで歩きました。
1号路には、「マスクをつけましょう」の横断幕。
上の画像がそれです。

高尾山山頂。11:15。
雲が出て富士山は隠れていましたが、丹沢が大きい。
青い空と、緑の夏の丹沢。
ああ、私は山に帰ってきました。

人が多いので、山頂での休憩は避けて、すぐに木段を下りました。
帰り道は、稲荷山尾根を下ります。
こちらのほうが少し空いていました。
やはり、琵琶滝コースは、沢沿いの道が涼しくて面白いので、人気があるのですね。
木段を下りるだけ下りると、ベンチがあり、そこで休憩。
アルファ米に朝水を入れて持ってきましたが、空いているというもののときどき人は通るので、ここで食事は無理かなあ。
スポーツドリンクをごくごく飲み、チョコレートや飴を口に入れているので、エネルギー切れということはないから、まあ大丈夫。
大体、まだお昼前だし。
お腹はすきましたが。

稲荷山コースは、たまに歩くと、整備が進んでいて驚きます。
前回歩いたのは、いつだったか。
あれから、また整備が進み、気持ちよくたったか下れる場所がさらに増えたと感じました。
道幅が広いところも多いので、すれ違いも楽です。
でも、同じような道が繰り返されるので、飽きてきて、長いなあと感じます。
あずまやは老朽化で取り壊され、ベンチが新たに作られていました。
その付近の段差も整備され、歩きやすくなっていました。

たったか歩いて、稲荷に手をあわせ、さらにどんどん下っていくと、下界の音が。
階段を下りると、ケーブル駅の脇にポンと出て、下山完了。12:45。

ああ、楽しかった。
今度は、もっと人の少ないコースを歩きます。

  


  • Posted by セギ at 13:12Comments(0)