2019年01月09日
高校数A 合同式の利用 その3 合同方程式。
合同式の利用。
今回は、合同方程式と呼ばれるものです。
問題 次の合同式を満たすxをそれぞれの法mにおいて、x≡a(mod m)の形で表せ。(aはmより小さい自然数)
(1) x+4≡2(mod 6)
(2) 3x≡4(mod 5)
(3) 4x≡4(mod 6)
合同式の性質は、等式の性質と共通の部分が多いです。
すなわち、
a≡b、c≡d のとき、
a+c≡b+d
a-c≡b-d
ac≡bd
が成り立ちます。
これらを利用し、上の問題を解いてみましょう。
(1) x+4≡2(mod 6)
両辺から4を引いて、
x≡2-4=-2(mod 6)
ここで、-2≡4(mod 6)
よって、x≡4(mod 6)
あ、簡単だ。ヽ(^。^)ノ
では、
(2) 3x≡4(mod 5)
4は3で割ると整数にならないので、厄介だから、
まず、4≡9(mod 5) を利用します。
3x≡9(mod 5)
両辺を3で割って、
x≡3(mod 5)
はい正解です。
(3) 4x≡4(mod 6)
超簡単だ。ヽ(^。^)ノ
両辺を4で割って、
x≡1(mod 6)
・・・いいえ。これは間違いなのです。
ええー?
何が違うのー?
実は、上の合同式の性質に、a≡b、c≡dのとき、
a/c≡b/d
というのはなかったのです。
一部使えることもあるのですが、それには条件があります。
aとmが互いに素であるとき、ax≡ay(mod m)ならば、x≡y です。
上の(2)では、3と5は互いに素なので、両辺を3で割ることができました。
(3)は、4と6は互いに素ではないので、両辺を4で割ることはできません。
証明しましょう。
ax≡ay(mod m) ならば、ax-ay=mk(kは整数)と表されます。
すらっと書きましたが、ちょっとわかりにくいでしょうか?
法をmとして合同ということは、mで割った余りが等しいもの同士ということです。
axもayも、余りがいくつなのかはわかりませんが、mで割ったあまりは等しいのです。
だとすれば、ax-ayは、余りの分はちょうど引かれてなくなり、mの倍数のみ残るでしょう。
だから、ax-ay=mk(kは整数)となります。
さらに左辺を共通因数aでくくると、
a(x-y)=mk
この式は、aとmが互いに素のときには、x-yは、mの倍数であることを示します。
よって、
x-y=mL(Lは整数) ※本当はLは小文字で書きます。
よってx≡y(mod m)
上の証明では、aとmが互いに素であることが条件でした。
だから、aとmが互いに素ではない場合は、x-yは、mの倍数とは限らなくなります。
証明の根拠が崩れたのです。
根拠が崩れたことは、使えば必ず誤りを生みます。
何だか、よくわからない・・・。
そんな声が聞こえてきます。
互いに素について、さらに考えてみましょう。
例えば、3・8=4・6
この場合、3と4は互いに素です。
3と4は互いに素なのに、3・8=4・6が成立しているのは、8は、4の倍数、6は3の倍数だからです。
その関係がないと、積が等しくなることはありません。
例えば、3・7と4・6が等しくならないのは、3と4が互いに素なのに、7は4の倍数ではないからです。
あるいは、7と21は互いに素ではありません。
その場合、7・9=21・3 のように、9は21の倍数にはなりませんし、3は7の倍数になりません。
これは、この先の不定方程式を解く際に使う、重要な考え方です。
(3) について、さらに具体的に考えてみましょう。
4x≡4(mod 6)
よって、x≡1(mod 6) では、正解ではなかったのですが、x≡1は正解の一部であり、もっと他に答えがあったのです。
6を法としていますから、xは0、1、2、3、4、5のいずれかです。
一覧表にしてみましょう。
x 0 1 2 3 4 5
4x 0 4 8≡2 12≡0 16≡4 20≡2
4x≡4 となるものは、x≡1だけではないですね。
x≡4のときも、4x≡16≡4 となることが逐一表にしてみることでわかります。
ですから、x≡1、x≡4 が(3)の正解となります。
これを(2)の、3x≡4(mod 5) でもやってみると、
x 0 1 2 3 4
3x 0 3 6≡1 9≡4 12≡2
と、同じ数字が被らず、きれいに散るのがわかります。
3と5が互いに素であるとき、そうなります。
解き方としてまとめますと、合同式の場合、両辺を割ることはできるときとできないときがあるので、注意すること。
それさえ意識しておけば、合同方程式はそんなに難しいものではありません。
今回は、合同方程式と呼ばれるものです。
問題 次の合同式を満たすxをそれぞれの法mにおいて、x≡a(mod m)の形で表せ。(aはmより小さい自然数)
(1) x+4≡2(mod 6)
(2) 3x≡4(mod 5)
(3) 4x≡4(mod 6)
合同式の性質は、等式の性質と共通の部分が多いです。
すなわち、
a≡b、c≡d のとき、
a+c≡b+d
a-c≡b-d
ac≡bd
が成り立ちます。
これらを利用し、上の問題を解いてみましょう。
(1) x+4≡2(mod 6)
両辺から4を引いて、
x≡2-4=-2(mod 6)
ここで、-2≡4(mod 6)
よって、x≡4(mod 6)
あ、簡単だ。ヽ(^。^)ノ
では、
(2) 3x≡4(mod 5)
4は3で割ると整数にならないので、厄介だから、
まず、4≡9(mod 5) を利用します。
3x≡9(mod 5)
両辺を3で割って、
x≡3(mod 5)
はい正解です。
(3) 4x≡4(mod 6)
超簡単だ。ヽ(^。^)ノ
両辺を4で割って、
x≡1(mod 6)
・・・いいえ。これは間違いなのです。
ええー?
何が違うのー?
実は、上の合同式の性質に、a≡b、c≡dのとき、
a/c≡b/d
というのはなかったのです。
一部使えることもあるのですが、それには条件があります。
aとmが互いに素であるとき、ax≡ay(mod m)ならば、x≡y です。
上の(2)では、3と5は互いに素なので、両辺を3で割ることができました。
(3)は、4と6は互いに素ではないので、両辺を4で割ることはできません。
証明しましょう。
ax≡ay(mod m) ならば、ax-ay=mk(kは整数)と表されます。
すらっと書きましたが、ちょっとわかりにくいでしょうか?
法をmとして合同ということは、mで割った余りが等しいもの同士ということです。
axもayも、余りがいくつなのかはわかりませんが、mで割ったあまりは等しいのです。
だとすれば、ax-ayは、余りの分はちょうど引かれてなくなり、mの倍数のみ残るでしょう。
だから、ax-ay=mk(kは整数)となります。
さらに左辺を共通因数aでくくると、
a(x-y)=mk
この式は、aとmが互いに素のときには、x-yは、mの倍数であることを示します。
よって、
x-y=mL(Lは整数) ※本当はLは小文字で書きます。
よってx≡y(mod m)
上の証明では、aとmが互いに素であることが条件でした。
だから、aとmが互いに素ではない場合は、x-yは、mの倍数とは限らなくなります。
証明の根拠が崩れたのです。
根拠が崩れたことは、使えば必ず誤りを生みます。
何だか、よくわからない・・・。
そんな声が聞こえてきます。
互いに素について、さらに考えてみましょう。
例えば、3・8=4・6
この場合、3と4は互いに素です。
3と4は互いに素なのに、3・8=4・6が成立しているのは、8は、4の倍数、6は3の倍数だからです。
その関係がないと、積が等しくなることはありません。
例えば、3・7と4・6が等しくならないのは、3と4が互いに素なのに、7は4の倍数ではないからです。
あるいは、7と21は互いに素ではありません。
その場合、7・9=21・3 のように、9は21の倍数にはなりませんし、3は7の倍数になりません。
これは、この先の不定方程式を解く際に使う、重要な考え方です。
(3) について、さらに具体的に考えてみましょう。
4x≡4(mod 6)
よって、x≡1(mod 6) では、正解ではなかったのですが、x≡1は正解の一部であり、もっと他に答えがあったのです。
6を法としていますから、xは0、1、2、3、4、5のいずれかです。
一覧表にしてみましょう。
x 0 1 2 3 4 5
4x 0 4 8≡2 12≡0 16≡4 20≡2
4x≡4 となるものは、x≡1だけではないですね。
x≡4のときも、4x≡16≡4 となることが逐一表にしてみることでわかります。
ですから、x≡1、x≡4 が(3)の正解となります。
これを(2)の、3x≡4(mod 5) でもやってみると、
x 0 1 2 3 4
3x 0 3 6≡1 9≡4 12≡2
と、同じ数字が被らず、きれいに散るのがわかります。
3と5が互いに素であるとき、そうなります。
解き方としてまとめますと、合同式の場合、両辺を割ることはできるときとできないときがあるので、注意すること。
それさえ意識しておけば、合同方程式はそんなに難しいものではありません。