たまりば

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2019年01月24日

高校数A 不定方程式。


今回は、「不定方程式」の学習に進みます。
不定方程式とは、何か?
解が明確には定まらない方程式のことです。

例えば、 3x-4y=0

この方程式1本では、x、yの値は定まりません。
y=3/4x
と変形してみるとわかりやすいですが、これは比例の式ですから、xとyの値の組は無数に存在します。

では、不定方程式は、「解は無数に存在する」で終わらせるのかいうと、もう少し範囲を狭めて、何か情報を伝えたいものです。

不定方程式の問題は、「x、yの整数解を求めよ」となっているのも特徴です。
無数に存在する中で、xもyも整数である解を求めなさいというのです。

いやいや、それだって無数に存在するのですが、何か解の性質のようなものを伝えて、それを答えとしたい。
そういう方向で解いていくことになります。

では、解いてみましょう。

3x-4y=0

とりあえず、yを移項します。
3x=4y

こうすることで、xとyの整数解の関係が見やすくなりました。
3と4は、最大公約数が1。
それ以外に整数の共通因数を持ちません。
つまり互いに素です。
それで、3x=4y が成り立っているということは、xには4の因数が含まれているということです。
一方、yには3の因数が含まれている。
つまり、xは4の倍数で、yは3の倍数です。
そうでなければ、この等式は成立しません。

よって、
x=4k、y=3k (kは整数)

これが、この不定方程式の整数解となります。
1つに特定することはできないけれど、xは4の倍数ですし、yは3の倍数ですよ。
kに整数を代入すれば、個々の解は全て出てきますよ。
この解答が伝えていることは、そういうことです。
これが、不定方程式の解です。

「何だか解いた気がしない」
と言う高校生もいます。
数学は答えが1つに決まるものだと思っていたのに、この答えは中途半端だ。
今までの方程式と何か違うので、やりにくい。
頑固なタイプの生徒ですと、違和感を抱き、反発心も強く、なかなか定着しないことがあります。
納得できない内容は、頭に入らないですよね。
しかし、
「数学とはこうでなければならない」
という固定観念の強い人ほど、この先の数学で実感的に納得できる内容は少なくなっていきます。

頑固にならないでね。
この先の内容で納得できないことがあっても、そんな考え方もあるのかと受け流すといいよと話しています。

さて、不定方程式をもう1問。

3x+5y=1

これは、どう解きましょうか?
右辺が0なら、上の問題のようにxとyの関係を見ることができますが、右辺が1なのでやりにくいです。
では、まず右辺を0にしましょう。
どうやって?

上の方程式が成立するxとyの整数解を1組、とにかく見つけます

もっと複雑になると見つけ方の計算方法もありますが、今のところ問題がシンプルなので、暗算で見つけることができますね。
x=1のときは、yは整数解はありません。
x=2、y=-1。
これは成立します!
そこで、与式から、今作った式を引きます。
  3x +5y   =1 
-)3・2+5・(-1) =1 
3(x-2)+5(y+1)=0

上のように共通因数でくくり、扱いやすくしておきます。

これで右辺は0になり、xとyの関係が見やすくなりました。
移項して、
3(x-2)=-5(y+1) ・・・・①
3と5は互いに素ですから、x-2は5の倍数だとわかります。

よって、
x-2=5k (kは整数) ・・・②
x=5k+2
②の x-2=5k を、①の3(x-2)=-5(y+1) に代入すると、
3・5k=-5(y+1)
15k=-5(y+1)
-5(y+1)=15k
y+1=-3k
y=-3k-1
よって、この不定方程式の解は、
x=5k+2、y=-3k-1 (kは整数)

最初に見つけた整数解によって、この解答は見た目が少し違ってきます。
しかし、表しているものの関係は変わりません。
だから、模範解答と異なるものでも正解はあります。

慣れてくると、上の、
3(x-2)=-5(y+1)
からすぐに、
x=5k+2
y=-3k-1 (kは整数)
という解を導くことができます。

不定方程式は単なる計算問題なので、解法の過程が重視される問題ではありません。
だから、慣れたら、いきなり跳んでも構いません。
ただ、どのように解いているのか、その痕跡がノートに残らないため、時間が経つと解き方を忘れてしまい、不定方程式が解けなくなってしまう高校生がいます。

どういう根拠でそのように解けるのか、納得できないとペンが進まない。
その一方、一応理解できると、自分で計算するときにはやたらと省略してしまう。
しかし、時間が経つと根拠を忘れ、解き方がわからなくなる。

中学生の頃から、例えば関数の式を求める際にも、同じ失敗をしてきていなかったでしょうか。
解き方がわかっているときにはやたらと省略し、何もかも一度に代入して計算する。
しかし、時間が経つと、解き方を忘れ、全くわからなくなる。
ノートを見直しても、全てを一気に代入した謎の計算式が残っているだけなので、自分が何をどうしたのか、よくわからない・・・。

それを反省点として、後で見直してもよくわかるノートを作っておくことをお薦めします。
記憶なんて、そんなに長持ちしません。
宿題も、
「どう解いたの?」
と私が尋ねると、答えに詰まって絶句する人は多いです。
そのときは確かにわかっていた。
でも、もう今はわからない。
そんなことにならないように解き方をノートに残しておきましょう。

  


  • Posted by セギ at 11:53Comments(0)算数・数学