2023年05月21日
数学のケアレスミスは集中力と関係あります。
今年も都立野川公園に桑の実がなりました。
さて。
本人なりに頑張っているのに、なぜ、成績が伸びないか。
今回は、数学に限って、なぜなのかを考えてみたいと思います。
テストでの大きな失点原因は、やはり、計算ミスやケアレスミスです。
解ける問題も途中でミスをして、得点に結びつきません。
テスト前半の単純な計算問題は、通常の感覚では得点源ですが、ここでの正答率が5割以下という子もいます。
何でそんなにミスをするのか。
ミスの多い子の様子を見ていますと、集中力不足に原因の1つがあると感じます。
生徒が問題を解いている間、私も同じ問題を解いていることがあるのですが、そんなときに、
「遠くで目覚ましの音がする」
と、言い出す子がかつていました。
えっと思って耳を澄ますと確かに聞こえてくるのですが、それは思考の邪魔になるような音量ではありませんでした。
問題に集中していた間は、私には聞こえなかった音です。
しかし、その子は、問題を解いていて、そんな音が聞こえたり気になったりするのでした。
問題のことを考えながら別のことも考えているから、そんな音が聞こえてくるのではないか?
2つ以上のことを同時に考えている。
それが出来るのなら止めないですが、それでは精度が下がるのが現実です。
私自身は、音楽をかけながら、ラジオを聴きながら、あるいはテレビをつけたままで、数学の問題を解くことがあります。
とはいえ、実質、数学の問題を解いている間は何も聞いていないので、無意味です。
一方、生徒に解いてもらう予定の英語長文の下調べをしているときなどは、音が邪魔になるので、消します。
つまりは、英文を読むときの私の集中度は、数学のときほど高くない。
英文を読みながらでも、ラジオの音が聴こえてしまい、邪魔だなと感じます。
音が邪魔になる程度に気が散りやすいのだと思います。
あくまで私自身の話ですが、数学の問題を解いているときは、何も聞こえないのです。
他のことを考えることができません。
他のことを考えながら数学の問題を解いたら、私はミスをしてしまうでしょう。
いや、考えがまとまらず、まず解くことそのものに困難を感じます。
ミスの多い生徒たちは、常にその状態で問題を解いているのかもしれません。
他のことを常に同時に考えているので、深い思考に至らず、考えがまとまらず、数学の問題を自力で解くことができないのかもしれないのです。
問題を解いている途中で、ふっと顔をあげて窓の外を見る子もいました。
うちの塾の窓の外は、向いのマンションの外壁しか見えません。
鳥や猫が横切るということもありません。
それなのに、度々顔を上げ、外を見ます。
「どうしたの?」
「いや、暗くなったなあと思って」
「・・・え?」
その子も、やはり、問題の写し間違いや書き間違い、計算ミスの多い子でした。
1つのことに集中できず、散漫なのだと思うのです。
そういう子が、隙間時間に数学の宿題を解いていると言ったことがありました。
学校の休み時間や、見ているテレビや動画の飛ばせないCMの間に、ちょろちょろっと解くというのです。
それは2~3分の隙間時間の有効活用だと本人は考えているようでした。
応用問題の解き方を自力で考えつくこともできるのに、単なる計算問題の宿題でほぼ全滅することがあるので不思議だったのですが、そんなことをしていたとは。
短い時間にぐっと集中できる人が隙間時間を有効活用するためにそうするのなら良いのですが、注意力散漫な子がそんなことをやったらミスだらけになってしまいます。
ミスの多い子は、集中できる静かな環境で、まとまった時間に数学を解いたほうがいいです。
集中するとはどういうことか実感できるようになり、どこででも集中できるようになるまでは。
テストのときになると終了時間を異様に気にするのもミスの多い子の特徴の1つです。
時間までに問題を全部解けるかどうか気になって気になって、始終時計を見ているようです。
そんなことでは深い思考はできません。
時計を見る度にいちいち思考が途切れ、そのせいで余計にミスが増えているのではないでしょうか。
そして、普段は「たくさん問題を解かされたら損だ」と思っているのではないかと疑ってしまうほど、のろのろと字を書いているのに、テストのときだけ速く解こうとするので、さらに焦りが生じます。
普段は丁寧に途中式を書いているのに、テストのときだけ暗算しようとし、それで余計に時間がかかってしまう子もいます。
時間を気にするのには、いろいろな要因があると思われますが、基本は自信のなさでしょう。
学年が上がるにつれてどんどん数学の得点が低くなっているので、もう自信がない。
普段から計算が遅かったり、ミスしてやり直すことが多いので、時間内に終わるかどうか気になる。
対策としては、試験時間と同じ時間で普段の勉強もやるのが効果的です。
定期テストが50分なら、家庭学習も50分単位で行う。
50分勉強して、10分休憩。
そうやって、「50分」という時間の長さを体感として自らに叩き込む。
時計なんか見なくても、勉強していて大体何分くらい経っているか実感できるまで何年でもそれを続けます。
私は子どもの頃からそうしていましたし、周囲の子もそういう子が大半でしたので、それが普通の勉強法だと思っていました。
しかし、今の時代、1科目集中して50分勉強する子は一部の秀才に限られるようです。
集団指導塾に勤めていた頃、テスト前の土日にはテスト対策として塾を開放していました。
その監督として、テスト勉強する様子を見ていると、1科目10分ともたない子がたくさんいました。
学校の数学のワークを解いているなあと思って見ていると、10分と経たずに英語のワークに変えています。
別に数学のワークが終わったわけではないのです。
飽きてしまった。
あるいは、数学のワークを解いていると、英語のワークが終わっていないことが気になって、そっちを先にやることにした。
そして、見ている間に、また科目を変えてしまいます。
1つの科目を勉強していると、他の科目のことが気になって、集中できないのかもしれません。
腰をすえて50分1科目を勉強する、ということができないようです。
「いや、ゲームだったら、50分集中できる」
と、へらず口は叩くんですけど。
ゲームのように強い刺激が絶え間なくあるものならば、50分集中できる。
勉強のように自ら集中していかなければならないものは、集中できない。
やはり、集中力のなさを感じました。
こうしたことの改善には、多くの努力と時間が必要となります。
一朝一夕では、変わらないかもしれません。
何より、本人が変わりたいと望み、変える方向で努力しないことには、なかなか変わっていけないのです。
Posted by セギ at 16:45│Comments(0)
│算数・数学
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