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2021年09月14日

高校数Ⅱ「三角関数」。三角不等式。

高校数Ⅱ「三角関数」。三角不等式。

さて、今回は、三角不等式です。

問題 0≦θ<2π のとき、次の不等式を解け。
1/2<cosθ≦1/√2

不等式は、単位円を描いて考えます。
等号を含んでいてもいなくても、まずは等式として解き、動径を書き込みます。
動径というのは、動く半径のこと。
要するに、その角度を示す半径を単位円に書き込むということです。
まず、cosθ=1/2 を考えてみましょう。
コサインの値が1/2。
第1象限で言えば、60°のところ。
すなわち、θ=π/3。
第4象限にも、コサインが1/2のところがあります。
よって、θ=π/3、5/3 π。
単位円に、その2本の動径を書き込み、不等式として考えます。
1/2<cosθ なのですから、xの値が1/2より大きいということです。
単位円上の点で、x座標が1/2より大きい部分というと、
0≦θ<π/3 , 5/3 π<θ<2π ・・・①

次に、cosθ=1/√2 を考えます。
コサインの値が、1/√2。
第1象限で言えば、45°のところ。
すなわち、θ=π/4。
上と同様に、第4象限にもあります。
よって、θ=π/4 , 7/4 π。
実際には、θ≦1/√2 ですから、
その動径よりもxの値が小さい部分。
π/4≦θ≦7/4 π ・・・②

①、②の共通部分が、答となります。
よって、不等式を満たすθの範囲は、
π/4≦θ<θ/3 , 5/3 π<θ≦7/4 π

実際に単位円を描いて考えても、単位円上の x 座標の大小ということで混乱してしまう人もいます。
円周上を動く点のx座標がどんなときに大きくてどんなときに小さいかが、実感として、よくつかめない。
そういう人は、x軸上にその点を落とすために、x軸と垂直な線を引いてみるとわかりやすいかと思います。

もっと根本的なこととしては、cos θ の値ということと、θ の大きさということが、わかっているつもりでいて、問題を解くときには混線してしまう人。
あるいは、コサインの値を間違って覚えていて、何でも1/√2 と答える人もいます。
cos π/3 でも、cos π/6 でも、1/√2。
うっかりと、「cos π/3=1/√2 だから、θ=1/√2」といった謎の解答を書くようになり、しかも、いったんこの迷宮に入ると、自力での脱出は困難です。
数Ⅰの「三角比」を十分に理解できなかったか、あるいは、そのときは理解したが、テストが終われば全部忘れてしまったか。
そうした曖昧な状態で、それでも数Ⅱ「三角関数」を学習しなければならない。
後戻りは許されない。
これは、きついです。

しかし、このきつい状態が、数学が苦手な高校生の大多数の状態なのだと思います。
以前に学習したことは、ほとんど忘れてしまった。
だから、今、学んでいることがわからない。
でも、後戻りして学習する時間も余裕もない・・・。

高校数学がわからない人は、どこか1か所がわからなくてつまずいているという場合は少ないのです。
過去に学んだことの大半を忘れてしまっています。
中学数学の基礎知識も覚えていないことがあります。
まして、数ⅠAの学習内容なんて、複雑な分だけ覚えにくいですから、記憶にとどめているわけがありません。
理解せず、丸暗記で済ませた知識は、テスト終了とともに消えていきます。

「三角関数」がわからないことの背景には、「三角比」を理解していないし覚えていないことがあります。
「三角関数」の学習の冒頭部分も、もう忘れているということもありす。
なかでも、三角比を角度のことだと誤解し、そこから脱出できていないことが特に大きく影響しています。
サイン・コサイン・タンジェントとは何であったか、すぐにわからなくなるのです。
わかっていても、三角比を角度のことだとふっと誤解して問題を解いてしまう人もいます。
繰り返し定義に戻って確認しても、1週間経つと、もうわからない・・・。
夏休みに「三角比」は総復習したのに、もうわからなくなっている・・・。
理解したはずのことが、砂の城のように崩れていく・・・。

それでも、諦めるのはまだ早いのです。
崩れない砂の城もあります。
精巧な砂の城は、まず土台作りにかける時間が常識を越えています。
砂に圧力をかけ、固めて固めて固めて、強固な砂の塊を作り出し、それを刻んで作り上げるのが本物の砂の城です。
そこを目指し、復習を繰り返し繰り返し繰り返し、知識を固めれば、必ず理解できる日がきます。
1度や2度の復習で身につかなかったからといって、諦めるにはまだ早い。
3度、4度、5度、復習し続ければ、マスターできる日がきます。
頑張りましょう。
数ⅠAの教科書や参考書は常に手元におき、わからなかったらすぐにそこに戻れる状態をキープしてください。
常に定義に戻って意味を確認することで、モヤモヤは晴れていきます。




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    Posted by セギ at 12:48│Comments(0)算数・数学
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